半導体装置用実装基板及び半導体装置の実装構造
【課題】フリップチップ接合された半導体装置との間にアンダーフィル樹脂が装填される半導体装置用実装基板及び半導体装置の実装構造に関し、アンダーフィル樹脂内にボイドが発生することを防止する。
【解決手段】表面にソルダーレジスト22が配設されると共に、このソルダーレジスト22の半導体装置25が実装される部位に半導体装置25を実装するための第1の開口部23が形成されてなる半導体装置用実装基板において、前記ソルダーレジスト22の第1の開口部23の周辺部に、アンダーフィル樹脂配設時におけるアンダーフィル樹脂の流れ速度を調整する速度調整用開口部30Aを設ける。
【解決手段】表面にソルダーレジスト22が配設されると共に、このソルダーレジスト22の半導体装置25が実装される部位に半導体装置25を実装するための第1の開口部23が形成されてなる半導体装置用実装基板において、前記ソルダーレジスト22の第1の開口部23の周辺部に、アンダーフィル樹脂配設時におけるアンダーフィル樹脂の流れ速度を調整する速度調整用開口部30Aを設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置用実装基板及び半導体装置の実装構造に係り、特にフリップチップ接合された半導体装置との間にアンダーフィル樹脂が装填される半導体装置用実装基板及び半導体装置の実装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
高密度化された半導体装置を実装基板に実装する方法として、フリップチップ接合が多用されている。このフリップチップ接合は、半導体装置の底面に外部接続端子としてはんだバンプを配設し、この半導体装置を実装基板に対してフェイスダウンの状態とし、はんだバンプを実装基板に形成されている電極に接合することにより実装を行う方法である。
【0003】
図1は、半導体装置(半導体素子)5がフリップチップ接合を用いて実装される従来の実装基板1の一例を示している。尚、同図では、DRAM等のセンターパッド構造を有した半導体装置5を実装基板1に実装する例を示している。
【0004】
実装基板1はプリント配線基板であり、その表面には所定の配線パターン及び電極等が形成されている。また、実装基板1の表面には、これらの配線パターン及び電極等を保護するため、ソルダーレジスト2が配設されている。
【0005】
ソルダーレジスト2は絶縁性を有する樹脂であり、またはんだ付着を防止する機能を有するものである。このソルダーレジスト2の半導体装置5が実装される実装領域6で、半導体装置5に形成されたはんだバンプと接合する電極が形成された部分には開口部3が形成されている。よって、実装基板1に形成されたバンプと接合する電極は、開口部3を介して外部に露出した状態となっている。
【0006】
ところで、実装基板1に半導体装置5をフリップチップ接合した場合、実装基板1と半導体装置5との熱膨張差が大きい場合には、加熱時にこの熱膨張差により発生する応力ははんだバンプに印加されてしまい、実装信頼性において問題が生じる。このため従来から、半導体装置5を実装基板1にフリップチップ実装した後、半導体装置5と実装基板1との間にアンダーフィル樹脂7を配設することにより、上記の熱膨張差に起因した応力の発生を抑制し、実装信頼性を高めることが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−329744号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図2は、実装基板1と半導体装置5との間にアンダーフィル樹脂7を配設する処理を示す平面図である。尚、アンダーフィル樹脂7は実装基板1と半導体装置5との間に配設するものであるため、図示の便宜上、半導体装置5については図示を省略し、その実装領域6のみを図示するものとする。
【0008】
アンダーフィル樹脂7を配設するには、注入開始位置9から実装基板1と半導体装置5との間に液状のアンダーフィル樹脂7を注入する。同図に示す例では、開口部3の図中下部の位置が注入開始位置9とされており、この注入開始位置9から注入されたアンダーフィル樹脂7は図中上方向に流れ、実装基板1と半導体装置5との間に配設されてゆく。
【0009】
この注入の際、アンダーフィル樹脂7の先端部である流れ端面7Aは直線状ではなく、図示されるように凹凸を有した形状とされている。これは、液状であるアンダーフィル樹脂7の流れ速度は、開口部3のエッジ部3A及び半導体装置5の外周縁部6Aに沿った位置が他の部位よりも速いことに起因している。具体的には、図中矢印V1で示すアンダーフィル樹脂7のソルダーレジスト2上における流れ速度に対し、エッジ部3Aにおける流れ速度V2及び外周縁部6Aにおける流れ速度V3は大きくなっている。(V1<V2,V1<V3)。
【0010】
また、図4は2列のパッド構造を持つ半導体装置を実装するため、ソルダーレジスト2に2つの開口部3,4を形成した例を示している。同図に示すように、開口部3,4を平行に配置し、これに対してアンダーフィル樹脂7を開口部3,4を直交する方向に流した場合、アンダーフィル樹脂7の回り込みは特に大きくなる。
【0011】
このようにアンダーフィル樹脂7の流れ速度は実装基板1上で均一ではないが、従来ではこれに対する対応がされていなかった。このため、アンダーフィル樹脂7は、注入開始位置9に対する反対側まで流れる間に上記した速度差に基づき流れ端面7Aの凹凸形状は大きくなる。そして、流れ速度の速い部分が流れ速度の遅い部分を回り込むようにして流れることにより、場合によっては図3及び図5に示されるように、アンダーフィル樹脂7の内部にボイド8が発生してしまう。
【0012】
このようにアンダーフィル樹脂7の内部にボイド8が発生した場合、その後の加熱においてボイド8内の空気が膨張してアンダーフィル樹脂7に破損が生じたり、また実装基板1と半導体装置5との間で発生する応力を充分に吸収することができなくなったりするおそれがあり、実装信頼性が低下してしまうという問題点があった。
【0013】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、アンダーフィル樹脂内にボイドが発生することを防止しうる半導体装置用実装基板及び半導体装置の実装構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するために本発明では、次に述べる各手段を講じたことを特徴とするものである。
【0015】
請求項1記載の発明は、
表面にソルダーレジストが配設されると共に、該ソルダーレジストの半導体装置が実装される部位に該半導体装置を実装するための第1の開口部が形成されてなる半導体装置用実装基板において、
前記ソルダーレジストの前記第1の開口部の周辺部に、アンダーフィル樹脂配設時における該アンダーフィル樹脂の流れ速度を調整する調整部を設けたことを特徴とするものである。
【0016】
上記発明によれば、ソルダーレジストの第1の開口部の周辺部に調整部を設けたため、アンダーフィル樹脂の配設時にアンダーフィル樹脂はこの調整部上を移動して半導体装置と半導体装置用実装基板との間に装填される。この移動の際、調整部はアンダーフィル樹脂の流れ速度を調整するため、均一にアンダーフィル樹脂を移動させることができ、アンダーフィル樹脂内にボイドが発生するのを防止できる。
【0017】
また、請求項2記載の発明は、
請求項1記載の半導体装置用実装基板において、
前記調整部は、前記ソルダーレジストに形成した第2の開口部であることを特徴とするものである。
【0018】
上記発明によれば、ソルダーレジストに形成した第2の開口部により調整部を構成したため、調整部を第1の開口部と同時形成することが可能となり、容易に調整部を設けることができる。
【0019】
また、請求項3記載の発明は、
請求項1記載の半導体装置用実装基板において、
前記調整部は、前記ソルダーレジストに形成した凸部であることを特徴とするものである。
【0020】
上記発明によれば、ソルダーレジストに形成した凸部により調整部を構成したため、調整部をソルダーレジストの形成時に同時形成することが可能となり、容易に調整部を設けることができる。
【0021】
また、請求項4記載の発明は、
請求項2または3記載の半導体装置用実装基板において、
前記調整部は平面視した際に矩形状であることを特徴とするものである。
【0022】
上記発明によれば、調整部を簡単な形状である矩形状としたことにより、調整部の形成を簡単に行うことができる。
【0023】
また、請求項5記載の発明は、
請求項2または3記載の半導体装置用実装基板において、
前記調整部は平面視した際に多角形状であることを特徴とするものである。
【0024】
上記発明によれば、調整部を多角形状としたことにより、小さいスペースでアンダーフィル樹脂の流れ速度を大きく低減することができる。
【0025】
また、請求項6記載の発明は、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の半導体装置用実装基板において、
前記調整部を、前記第1の開口部の前記アンダーフィル樹脂の注入開始位置に対する反対側に設けたことを特徴とするものである。
【0026】
上記発明によれば、アンダーフィル樹脂が過剰に第1の開口部の反対側から流出することを防止できる。
【0027】
また、請求項7記載の発明は、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の半導体装置用実装基板において、
前記調整部を、前記半導体装置が実装され実装領域の外周縁を含む位置に形成したことを特徴とするものである。
【0028】
上記発明によれば、アンダーフィル樹脂の流れ速度が速い実装領域の外周縁に調整部を設けたことにより、アンダーフィル樹脂をより均一な状態で配設することが可能となる。
【0029】
また、請求項8記載の発明は、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の半導体装置用実装基板に対して半導体装置がフリップチップ接合されており、
かつ、前記半導体装置と前記半導体装置用実装基板との間にアンダーフィル樹脂が配設された半導体装置の実装構造において、
前記アンダーフィル樹脂が、少なくとも前記第1の開口部及び前記調整部の配設位置を含む位置に配設されていることを特徴とするものである。
【0030】
上記発明によれば、アンダーフィル樹脂の配設時においては、このアンダーフィル樹脂はこの調整部上を移動するため流れ速度を調整され、よってアンダーフィル樹脂内にボイドが発生するのを防止できる。また、アンダーフィル樹脂の配設後においては、アンダーフィル樹脂は調整部を含む位置に配設されるため、調整部によるアンカー効果によりアンダーフィル樹脂は半導体装置用実装基板に確実に保持される。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、調整部はアンダーフィル樹脂の流れ速度を調整するため、均一にアンダーフィル樹脂を移動させることができ、アンダーフィル樹脂内にボイドが発生するのを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面と共に説明する。
【0033】
図6は、本発明の第1実施例である半導体装置用実装基板20(以下、実装基板20という)を示している。この実装基板20は、半導体装置(半導体素子)25がフリップチップ接合により実装されるものである。尚、同図では、DRAM等のセンターパッド構造を有した半導体装置25を実装する例を示している。
【0034】
実装基板20は単層或いは多層のプリント配線基板であり、その表面には例えば銅よりなる所定の配線パターン及び電極等(図示せず)が形成されている。また、実装基板20の表面には、これらの配線パターン及び電極等を保護するため、また後述するはんだ付けを良好に行うためにソルダーレジスト22が配設されている。
【0035】
ソルダーレジスト22は絶縁性を有する樹脂であり、またはんだ付着を防止する機能を有するものである。このソルダーレジスト22の半導体装置25が実装される実装領域26で、半導体装置25に形成されたはんだバンプと接合する電極が形成された部分には開口部23(請求項に記載の第1の開口部に相当する)が形成されている。よって、実装基板20に形成されたバンプと接合する電極は、開口部23を介して外部に露出した状態となっている。
【0036】
このソルダーレジスト22は、実装基板20に対してスクリーン印刷法或いは写真法を用いて形成される。ここで、写真法は、感光剤を含むソルダーレジスト22を実装基板20上に塗布した後、例えば紫外線を用いて露光、現像処理を行うことにより、所望のパターンを形成するものである。上記のスクリーン印刷法或いは写真法のいずれを用いても、ソルダーレジスト22を容易に形成することができる。
【0037】
また本実施例では、ソルダーレジスト22の開口部23の周辺部に第2の開口部となる開口部30Aを形成した構成としている。この開口部30Aは、後に詳述するように、アンダーフィル樹脂27の配設時における流れ速度を調整する機能を奏するものである(以下、開口部30Aを速度調整用開口部30Aという)。
【0038】
本実施例では、速度調整用開口部30Aの形状は、実装基板20を平面視した状態で矩形状(長方形)となるよう設定している。また、速度調整用開口部30Aの配設位置は、開口部23の長辺と対峙する位置で、かつ半導体装置25の実装領域26の外周縁部26Aを含む(重なる)位置に設定されている。
【0039】
この速度調整用開口部30Aの形成は、ソルダーレジスト22に対して上記したスクリーン印刷法或いは写真法により開口部23を形成する際、同時に形成することができ、容易にかつ製造工程を複雑化することなく形成することができる。また、速度調整用開口部30Aの形状は、スクリーン印刷法或いは写真法で用いるマスクを変更することにより容易に変更可能なものである。特に本実施例では、速度調整用開口部30Aの形状が簡単な形状である矩形状であるため、速度調整用開口部30Aの形成を簡単に行うことができる。
【0040】
上記構成とされた実装基板20には、半導体装置25がフリップチップ接合される。即ち、半導体装置25の底面(回路形成面)にははんだバンプや金バンプ等の各種バンプ(図に現れず)が配設されており、このはんだバンプを実装基板20に形成され開口部23から露出している電極に接合することにより、半導体装置25を実装基板20に実装する。
【0041】
ところで、実装基板20に半導体装置25をフリップチップ接合した場合、実装基板20と半導体装置25との熱膨張差が大きい場合には、加熱時にこの熱膨張差により発生する応力ははんだバンプに印加されてしまい、実装信頼性において問題が生じることは前述した通りである。このため本実施例においても、半導体装置25を実装基板20にフリップチップ実装した後、半導体装置25と実装基板20との間にアンダーフィル樹脂27を配設することにより、上記の熱膨張差に起因した応力の発生を抑制して実装信頼性の向上を図っている。
【0042】
続いて、本実施例に係る実装基板20を用いた場合におけるアンダーフィル樹脂27の配設処理について説明する。図7乃至図10は、実装基板20と半導体装置25との間にアンダーフィル樹脂27を注入したときのアンダーフィル樹脂27の流れを示す平面図である。
【0043】
尚、アンダーフィル樹脂27は実装基板20と半導体装置25との間に配設するものであるため、図示の便宜上、半導体装置25については図示を省略し、その実装領域26のみを図示するものとする。
【0044】
アンダーフィル樹脂27を配設するには、注入開始位置29から実装基板20と半導体装置25との間に液状のアンダーフィル樹脂27を注入する。同図に示す例では、開口部23の図中下部の位置が注入開始位置29とされており、この注入開始位置29から注入されたアンダーフィル樹脂27は、毛細管現象により図中上方向(図中、矢印Xで示す方向)に流れ、実装基板20と半導体装置25との間に配設されてゆく。
【0045】
この注入の際、アンダーフィル樹脂27の流れが速度調整用開口部30Aに到達する前までは、図7に示すように、アンダーフィル樹脂27の流れは従来と変わるところはない。即ち、アンダーフィル樹脂27の先端部である流れ端面27Aは直線状ではなく、図7に示されるように凹凸を有した形状とされている。
【0046】
これは、液状であるアンダーフィル樹脂27の流れ速度は、開口部23のエッジ部23A及び半導体装置25の外周縁部26Aに沿った位置が他の部位よりも速いことに起因していることは前述した通りである。このため、図中矢印V1で示すアンダーフィル樹脂27のソルダーレジスト22上における流れ速度に対し、エッジ部23Aにおける流れ速度V2及び外周縁部26Aにおける流れ速度V3は大きくなっている。(V1<V2,V1<V3)。
【0047】
図7に示す位置よりも更にアンダーフィル樹脂27が進み、速度調整用開口部30Aに至ると、アンダーフィル樹脂27は速度調整用開口部30A内に進入する。この際、本実施例では速度調整用開口部30Aはアンダーフィル樹脂27の流れ速度の速い外周縁部26Aを含む位置に形成されているため、この流れ速度の速いアンダーフィル樹脂27が速度調整用開口部30A内に流入する。
【0048】
速度調整用開口部30A内に進入したアンダーフィル樹脂27は、その流れ端面27Aが速度調整用開口部30Aの外周縁に沿って流れるため、その流れる距離(外周縁の距離)は長くなる。また、アンダーフィル樹脂27は凹形状とされた速度調整用開口部30A内を流れるため、この速度調整用開口部30Aを埋めるまでは、速度調整用開口部30AよりX方向には進行しない。
【0049】
即ち、速度調整用開口部30Aを形成することにより、この速度調整用開口部30Aを通過するアンダーフィル樹脂27の流れ速度を他の部位に比べて遅くすることが可能となる。このように速度調整用開口部30Aによりアンダーフィル樹脂27の流れ速度の調整が行われるため、アンダーフィル樹脂27が速度調整用開口部30Aを通過した時点でアンダーフィル樹脂27の流れ端面27Aは、図8に示すように、略均一な滑らかな端面となる。
【0050】
図9は、更にアンダーフィル樹脂27がX方向に進んだ状態を示している。同図に示すように、実装領域26の中央には開口部23が存在するため、その長辺側のエッジ部23Aによりアンダーフィル樹脂27の流れ速度は速く、外周縁部26Aにおいては速度調整用開口部30Aの存在によりアンダーフィル樹脂27の流れ速度は遅い。このため図9に示されるように、アンダーフィル樹脂27は全体として卵型の形状を呈しながら進行する(流れ端面27Aが、中央部分が突出した曲線状となる)。
【0051】
図10は、アンダーフィル樹脂27の配設処理が終了した状態を示している。図9に示したように、本実施例では実装基板20に速度調整用開口部30Aを設けたことにより、アンダーフィル樹脂27の流れ分布は、その流れ端面27Aが略均一で滑らかな形状を呈するような分布となる。
【0052】
具体的には、図9に示すように、中央部分が若干先行し、両側部がそれより若干遅く追随するような流れとなる。これにより、従来のようにアンダーフィル樹脂が中央部分を残して回り込むような流れを呈することを防止でき、よってアンダーフィル樹脂27内にボイドが発生することを防止できる。このように、アンダーフィル樹脂27内におけるボイドの発生が抑制されることにより、半導体装置25を実装基板20に実装する実装信頼性を高めることができる。
【0053】
更に、配設処理が終了した後においても、アンダーフィル樹脂27は速度調整用開口部30A内に残存する。このため、速度調整用開口部30A内のアンダーフィル樹脂27は、実装基板20に対するアンカー効果を奏するため、アンダーフィル樹脂27は実装基板20に確実に保持される。よって、これによっても実装基板20と半導体装置25との実装信頼性を高めることができる。
【0054】
尚、本実施例では、開口部23の長辺と対向するよう、かつ開口部23を挟んで2個の速度調整用開口部30Aが配設されているが、速度調整用開口部30Aの配設数は2個に限定されるものではなく、複数であっても構わない。
【0055】
また、配設位置も本実施例で示す位置に限定されるものではなく、アンダーフィル樹脂27の流れに対応させて適宜選定可能なものである。例えば、速度調整用開口部を開口部23の注入開始位置29と反対側に設けた構成としてもよい。この構成することにより、アンダーフィル樹脂27が実装領域26から過剰に外部に流出することを防止できる。
【0056】
次に、図11乃至図16を参照し、本発明の第2乃至第6実施例について説明する。尚、図11乃至図16において、第1実施例の説明に使用した図6乃至図10に示した構成と同一構成については同一符号を付して、その説明を省略するものとする。
【0057】
図11は、本発明の第2実施例である実装基板20を示している。本実施例では、2列のパッド構造を有する半導体装置を実装するため、ソルダーレジスト22に2つの開口部23,24を形成した例を示している。この開口部23,24は、互いに平行に配置されており、アンダーフィル樹脂7はこの開口部3,4の延在方向(図中、左右方向)に対して直交する方向に注入される。
【0058】
また本実施例では、開口部23と開口部24との間に速度調整用開口部30Aを形成した構成としている。本実施例のように、アンダーフィル樹脂27の進行方向に二つの開口部23,24が延在し、アンダーフィル樹脂27が回り込みやすい構成であっても、速度調整用開口部30Aによりアンダーフィル樹脂27の流れ速度を調整することにより、アンダーフィル樹脂27の回り込みを抑制し、ボイドの発生を防止することができる。
【0059】
図12及び図13は、本発明の第3及び第4実施例である実装基板20を示している。第3及び第4実施例に係る実装基板20は、アンダーフィル樹脂27の流れ速度を調整する調整部として、平面視した状態で多角形状としたことを特徴とするものである。図12は、十字形状の速度調整用開口部30Bを一つの開口部23を有する実装基板20に適用した例を示している。また、図13は、十字形状の速度調整用開口部30Bを二つの開口部23,24を有する実装基板20に適用した例を示している。
【0060】
このように、速度調整用開口部30Bの形状を多角形状としたことにより、アンダーフィル樹脂27の流れ速度を大きく低減させることができる。よって、小さいスペースでアンダーフィル樹脂27の流れ速度を大きく低減することが可能となり、速度調整用開口部30Bを設けることによりデッドスペースが実装基板20上に発生することを防止できる。
【0061】
これにより、実装基板20の小型化を図りつつ、実装信頼性の向上を図ることができる。尚、本実施例では、多角形状として十字形状を例に挙げているが、特にこの形状に限定されるものではない。
【0062】
図14乃至図16は、本発明の第5及び第6実施例である実装基板20を示している。
【0063】
前記した各実施例では、ソルダーレジスト22に開口部23,24を形成し、実装基板20の表面に凹部を形成することでアンダーフィル樹脂27の流れ速度を遅くする構成としていた。これに対して第5及び第6実施例である実装基板20は、アンダーフィル樹脂27の流れ速度を調整する調整部として、ソルダーレジスト22に速度調整用凸部31を形成したことを特徴とする。
【0064】
この速度調整用凸部31は、図14に示すようにソルダーレジスト22に一体的に形成され凸部であり、ソルダーレジスト22の形成時に同時形成されるものである。具体的には、ソルダーレジスト22上に、スクリーン印刷等で凸状にソルダーレジストを設けることで形成される。また、速度調整用凸部31の高さは、通常半導体装置25が実装基板20にフリップチップ接合された際に両者間に形成されるクリアランスと略等しいか、それより若干低い高さとされている。
【0065】
図14及び図15は、速度調整用凸部31を一つの開口部23を有する実装基板20に適用した例を示している。また、図16は、速度調整用凸部31を二つの開口部23,24を有する実装基板20に適用した例を示している。各図に示すように、ソルダーレジスト22に形成した凸状の速度調整用凸部31形成することにより、アンダーフィル樹脂27がこの速度調整用凸部31まで流れた際に、速度調整用凸部31はアンダーフィル樹脂27の流れを阻止するダムとして機能する。これにより、アンダーフィル樹脂27の流れ速度を低減することが可能となり、アンダーフィル樹脂27内にボイドが発生することを防止できる。
【0066】
また、図14及び図15に示すように、速度調整用凸部31を実装領域26の注入開始位置29とは反対側のコーナ部に形成することにより、アンダーフィル樹脂27が実装領域26から不要に外部に流出することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】図1は、従来の実装基板の第1従来例を示す斜視図である。
【図2】図2は、第1従来例に係る実装基板におけるアンダーフィル樹脂の流れを説明するための図である。
【図3】図3は、第1従来例に係る実装基板で発生する問題点を説明するための図である。
【図4】図4は、第2従来例に係る実装基板におけるアンダーフィル樹脂の流れを説明するための図である。
【図5】図5は、第2従来例に係る実装基板で発生する問題点を説明するための図である。
【図6】図6は、本発明の第1実施例である実装基板を示す斜視図である。
【図7】図7は、本発明の第1実施例である実装基板におけるアンダーフィル樹脂の流れを説明するための図である(その1)。
【図8】図8は、本発明の第1実施例である実装基板におけるアンダーフィル樹脂の流れを説明するための図である(その2)。
【図9】図9は、本発明の第1実施例である実装基板におけるアンダーフィル樹脂の流れを説明するための図である(その3)。
【図10】図10は、本発明の第1実施例である実装基板におけるアンダーフィル樹脂の流れを説明するための図である(その4)。
【図11】図11は、本発明の第2実施例である実装基板の要部平面図である。
【図12】図12は、本発明の第3実施例である実装基板の要部平面図である。
【図13】図13は、本発明の第4実施例である実装基板の要部平面図である。
【図14】図14は、本発明の第5実施例である実装基板の斜視図である。
【図15】図15は、本発明の第5実施例である実装基板の要部平面図である。
【図16】図16は、本発明の第6実施例である実装基板の要部平面図である。
【符号の説明】
【0068】
20 実装基板
22 ソルダーレジスト
23,24 開口部
23A,24A エッジ部
25 半導体装置
26 実装領域
26A 外周縁部
27 アンダーフィル樹脂
27A 流れ端面
29 注入開始位置
30A,30B 速度調整用開口部
31 速度調整用凸部
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置用実装基板及び半導体装置の実装構造に係り、特にフリップチップ接合された半導体装置との間にアンダーフィル樹脂が装填される半導体装置用実装基板及び半導体装置の実装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
高密度化された半導体装置を実装基板に実装する方法として、フリップチップ接合が多用されている。このフリップチップ接合は、半導体装置の底面に外部接続端子としてはんだバンプを配設し、この半導体装置を実装基板に対してフェイスダウンの状態とし、はんだバンプを実装基板に形成されている電極に接合することにより実装を行う方法である。
【0003】
図1は、半導体装置(半導体素子)5がフリップチップ接合を用いて実装される従来の実装基板1の一例を示している。尚、同図では、DRAM等のセンターパッド構造を有した半導体装置5を実装基板1に実装する例を示している。
【0004】
実装基板1はプリント配線基板であり、その表面には所定の配線パターン及び電極等が形成されている。また、実装基板1の表面には、これらの配線パターン及び電極等を保護するため、ソルダーレジスト2が配設されている。
【0005】
ソルダーレジスト2は絶縁性を有する樹脂であり、またはんだ付着を防止する機能を有するものである。このソルダーレジスト2の半導体装置5が実装される実装領域6で、半導体装置5に形成されたはんだバンプと接合する電極が形成された部分には開口部3が形成されている。よって、実装基板1に形成されたバンプと接合する電極は、開口部3を介して外部に露出した状態となっている。
【0006】
ところで、実装基板1に半導体装置5をフリップチップ接合した場合、実装基板1と半導体装置5との熱膨張差が大きい場合には、加熱時にこの熱膨張差により発生する応力ははんだバンプに印加されてしまい、実装信頼性において問題が生じる。このため従来から、半導体装置5を実装基板1にフリップチップ実装した後、半導体装置5と実装基板1との間にアンダーフィル樹脂7を配設することにより、上記の熱膨張差に起因した応力の発生を抑制し、実装信頼性を高めることが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−329744号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図2は、実装基板1と半導体装置5との間にアンダーフィル樹脂7を配設する処理を示す平面図である。尚、アンダーフィル樹脂7は実装基板1と半導体装置5との間に配設するものであるため、図示の便宜上、半導体装置5については図示を省略し、その実装領域6のみを図示するものとする。
【0008】
アンダーフィル樹脂7を配設するには、注入開始位置9から実装基板1と半導体装置5との間に液状のアンダーフィル樹脂7を注入する。同図に示す例では、開口部3の図中下部の位置が注入開始位置9とされており、この注入開始位置9から注入されたアンダーフィル樹脂7は図中上方向に流れ、実装基板1と半導体装置5との間に配設されてゆく。
【0009】
この注入の際、アンダーフィル樹脂7の先端部である流れ端面7Aは直線状ではなく、図示されるように凹凸を有した形状とされている。これは、液状であるアンダーフィル樹脂7の流れ速度は、開口部3のエッジ部3A及び半導体装置5の外周縁部6Aに沿った位置が他の部位よりも速いことに起因している。具体的には、図中矢印V1で示すアンダーフィル樹脂7のソルダーレジスト2上における流れ速度に対し、エッジ部3Aにおける流れ速度V2及び外周縁部6Aにおける流れ速度V3は大きくなっている。(V1<V2,V1<V3)。
【0010】
また、図4は2列のパッド構造を持つ半導体装置を実装するため、ソルダーレジスト2に2つの開口部3,4を形成した例を示している。同図に示すように、開口部3,4を平行に配置し、これに対してアンダーフィル樹脂7を開口部3,4を直交する方向に流した場合、アンダーフィル樹脂7の回り込みは特に大きくなる。
【0011】
このようにアンダーフィル樹脂7の流れ速度は実装基板1上で均一ではないが、従来ではこれに対する対応がされていなかった。このため、アンダーフィル樹脂7は、注入開始位置9に対する反対側まで流れる間に上記した速度差に基づき流れ端面7Aの凹凸形状は大きくなる。そして、流れ速度の速い部分が流れ速度の遅い部分を回り込むようにして流れることにより、場合によっては図3及び図5に示されるように、アンダーフィル樹脂7の内部にボイド8が発生してしまう。
【0012】
このようにアンダーフィル樹脂7の内部にボイド8が発生した場合、その後の加熱においてボイド8内の空気が膨張してアンダーフィル樹脂7に破損が生じたり、また実装基板1と半導体装置5との間で発生する応力を充分に吸収することができなくなったりするおそれがあり、実装信頼性が低下してしまうという問題点があった。
【0013】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、アンダーフィル樹脂内にボイドが発生することを防止しうる半導体装置用実装基板及び半導体装置の実装構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するために本発明では、次に述べる各手段を講じたことを特徴とするものである。
【0015】
請求項1記載の発明は、
表面にソルダーレジストが配設されると共に、該ソルダーレジストの半導体装置が実装される部位に該半導体装置を実装するための第1の開口部が形成されてなる半導体装置用実装基板において、
前記ソルダーレジストの前記第1の開口部の周辺部に、アンダーフィル樹脂配設時における該アンダーフィル樹脂の流れ速度を調整する調整部を設けたことを特徴とするものである。
【0016】
上記発明によれば、ソルダーレジストの第1の開口部の周辺部に調整部を設けたため、アンダーフィル樹脂の配設時にアンダーフィル樹脂はこの調整部上を移動して半導体装置と半導体装置用実装基板との間に装填される。この移動の際、調整部はアンダーフィル樹脂の流れ速度を調整するため、均一にアンダーフィル樹脂を移動させることができ、アンダーフィル樹脂内にボイドが発生するのを防止できる。
【0017】
また、請求項2記載の発明は、
請求項1記載の半導体装置用実装基板において、
前記調整部は、前記ソルダーレジストに形成した第2の開口部であることを特徴とするものである。
【0018】
上記発明によれば、ソルダーレジストに形成した第2の開口部により調整部を構成したため、調整部を第1の開口部と同時形成することが可能となり、容易に調整部を設けることができる。
【0019】
また、請求項3記載の発明は、
請求項1記載の半導体装置用実装基板において、
前記調整部は、前記ソルダーレジストに形成した凸部であることを特徴とするものである。
【0020】
上記発明によれば、ソルダーレジストに形成した凸部により調整部を構成したため、調整部をソルダーレジストの形成時に同時形成することが可能となり、容易に調整部を設けることができる。
【0021】
また、請求項4記載の発明は、
請求項2または3記載の半導体装置用実装基板において、
前記調整部は平面視した際に矩形状であることを特徴とするものである。
【0022】
上記発明によれば、調整部を簡単な形状である矩形状としたことにより、調整部の形成を簡単に行うことができる。
【0023】
また、請求項5記載の発明は、
請求項2または3記載の半導体装置用実装基板において、
前記調整部は平面視した際に多角形状であることを特徴とするものである。
【0024】
上記発明によれば、調整部を多角形状としたことにより、小さいスペースでアンダーフィル樹脂の流れ速度を大きく低減することができる。
【0025】
また、請求項6記載の発明は、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の半導体装置用実装基板において、
前記調整部を、前記第1の開口部の前記アンダーフィル樹脂の注入開始位置に対する反対側に設けたことを特徴とするものである。
【0026】
上記発明によれば、アンダーフィル樹脂が過剰に第1の開口部の反対側から流出することを防止できる。
【0027】
また、請求項7記載の発明は、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の半導体装置用実装基板において、
前記調整部を、前記半導体装置が実装され実装領域の外周縁を含む位置に形成したことを特徴とするものである。
【0028】
上記発明によれば、アンダーフィル樹脂の流れ速度が速い実装領域の外周縁に調整部を設けたことにより、アンダーフィル樹脂をより均一な状態で配設することが可能となる。
【0029】
また、請求項8記載の発明は、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の半導体装置用実装基板に対して半導体装置がフリップチップ接合されており、
かつ、前記半導体装置と前記半導体装置用実装基板との間にアンダーフィル樹脂が配設された半導体装置の実装構造において、
前記アンダーフィル樹脂が、少なくとも前記第1の開口部及び前記調整部の配設位置を含む位置に配設されていることを特徴とするものである。
【0030】
上記発明によれば、アンダーフィル樹脂の配設時においては、このアンダーフィル樹脂はこの調整部上を移動するため流れ速度を調整され、よってアンダーフィル樹脂内にボイドが発生するのを防止できる。また、アンダーフィル樹脂の配設後においては、アンダーフィル樹脂は調整部を含む位置に配設されるため、調整部によるアンカー効果によりアンダーフィル樹脂は半導体装置用実装基板に確実に保持される。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、調整部はアンダーフィル樹脂の流れ速度を調整するため、均一にアンダーフィル樹脂を移動させることができ、アンダーフィル樹脂内にボイドが発生するのを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面と共に説明する。
【0033】
図6は、本発明の第1実施例である半導体装置用実装基板20(以下、実装基板20という)を示している。この実装基板20は、半導体装置(半導体素子)25がフリップチップ接合により実装されるものである。尚、同図では、DRAM等のセンターパッド構造を有した半導体装置25を実装する例を示している。
【0034】
実装基板20は単層或いは多層のプリント配線基板であり、その表面には例えば銅よりなる所定の配線パターン及び電極等(図示せず)が形成されている。また、実装基板20の表面には、これらの配線パターン及び電極等を保護するため、また後述するはんだ付けを良好に行うためにソルダーレジスト22が配設されている。
【0035】
ソルダーレジスト22は絶縁性を有する樹脂であり、またはんだ付着を防止する機能を有するものである。このソルダーレジスト22の半導体装置25が実装される実装領域26で、半導体装置25に形成されたはんだバンプと接合する電極が形成された部分には開口部23(請求項に記載の第1の開口部に相当する)が形成されている。よって、実装基板20に形成されたバンプと接合する電極は、開口部23を介して外部に露出した状態となっている。
【0036】
このソルダーレジスト22は、実装基板20に対してスクリーン印刷法或いは写真法を用いて形成される。ここで、写真法は、感光剤を含むソルダーレジスト22を実装基板20上に塗布した後、例えば紫外線を用いて露光、現像処理を行うことにより、所望のパターンを形成するものである。上記のスクリーン印刷法或いは写真法のいずれを用いても、ソルダーレジスト22を容易に形成することができる。
【0037】
また本実施例では、ソルダーレジスト22の開口部23の周辺部に第2の開口部となる開口部30Aを形成した構成としている。この開口部30Aは、後に詳述するように、アンダーフィル樹脂27の配設時における流れ速度を調整する機能を奏するものである(以下、開口部30Aを速度調整用開口部30Aという)。
【0038】
本実施例では、速度調整用開口部30Aの形状は、実装基板20を平面視した状態で矩形状(長方形)となるよう設定している。また、速度調整用開口部30Aの配設位置は、開口部23の長辺と対峙する位置で、かつ半導体装置25の実装領域26の外周縁部26Aを含む(重なる)位置に設定されている。
【0039】
この速度調整用開口部30Aの形成は、ソルダーレジスト22に対して上記したスクリーン印刷法或いは写真法により開口部23を形成する際、同時に形成することができ、容易にかつ製造工程を複雑化することなく形成することができる。また、速度調整用開口部30Aの形状は、スクリーン印刷法或いは写真法で用いるマスクを変更することにより容易に変更可能なものである。特に本実施例では、速度調整用開口部30Aの形状が簡単な形状である矩形状であるため、速度調整用開口部30Aの形成を簡単に行うことができる。
【0040】
上記構成とされた実装基板20には、半導体装置25がフリップチップ接合される。即ち、半導体装置25の底面(回路形成面)にははんだバンプや金バンプ等の各種バンプ(図に現れず)が配設されており、このはんだバンプを実装基板20に形成され開口部23から露出している電極に接合することにより、半導体装置25を実装基板20に実装する。
【0041】
ところで、実装基板20に半導体装置25をフリップチップ接合した場合、実装基板20と半導体装置25との熱膨張差が大きい場合には、加熱時にこの熱膨張差により発生する応力ははんだバンプに印加されてしまい、実装信頼性において問題が生じることは前述した通りである。このため本実施例においても、半導体装置25を実装基板20にフリップチップ実装した後、半導体装置25と実装基板20との間にアンダーフィル樹脂27を配設することにより、上記の熱膨張差に起因した応力の発生を抑制して実装信頼性の向上を図っている。
【0042】
続いて、本実施例に係る実装基板20を用いた場合におけるアンダーフィル樹脂27の配設処理について説明する。図7乃至図10は、実装基板20と半導体装置25との間にアンダーフィル樹脂27を注入したときのアンダーフィル樹脂27の流れを示す平面図である。
【0043】
尚、アンダーフィル樹脂27は実装基板20と半導体装置25との間に配設するものであるため、図示の便宜上、半導体装置25については図示を省略し、その実装領域26のみを図示するものとする。
【0044】
アンダーフィル樹脂27を配設するには、注入開始位置29から実装基板20と半導体装置25との間に液状のアンダーフィル樹脂27を注入する。同図に示す例では、開口部23の図中下部の位置が注入開始位置29とされており、この注入開始位置29から注入されたアンダーフィル樹脂27は、毛細管現象により図中上方向(図中、矢印Xで示す方向)に流れ、実装基板20と半導体装置25との間に配設されてゆく。
【0045】
この注入の際、アンダーフィル樹脂27の流れが速度調整用開口部30Aに到達する前までは、図7に示すように、アンダーフィル樹脂27の流れは従来と変わるところはない。即ち、アンダーフィル樹脂27の先端部である流れ端面27Aは直線状ではなく、図7に示されるように凹凸を有した形状とされている。
【0046】
これは、液状であるアンダーフィル樹脂27の流れ速度は、開口部23のエッジ部23A及び半導体装置25の外周縁部26Aに沿った位置が他の部位よりも速いことに起因していることは前述した通りである。このため、図中矢印V1で示すアンダーフィル樹脂27のソルダーレジスト22上における流れ速度に対し、エッジ部23Aにおける流れ速度V2及び外周縁部26Aにおける流れ速度V3は大きくなっている。(V1<V2,V1<V3)。
【0047】
図7に示す位置よりも更にアンダーフィル樹脂27が進み、速度調整用開口部30Aに至ると、アンダーフィル樹脂27は速度調整用開口部30A内に進入する。この際、本実施例では速度調整用開口部30Aはアンダーフィル樹脂27の流れ速度の速い外周縁部26Aを含む位置に形成されているため、この流れ速度の速いアンダーフィル樹脂27が速度調整用開口部30A内に流入する。
【0048】
速度調整用開口部30A内に進入したアンダーフィル樹脂27は、その流れ端面27Aが速度調整用開口部30Aの外周縁に沿って流れるため、その流れる距離(外周縁の距離)は長くなる。また、アンダーフィル樹脂27は凹形状とされた速度調整用開口部30A内を流れるため、この速度調整用開口部30Aを埋めるまでは、速度調整用開口部30AよりX方向には進行しない。
【0049】
即ち、速度調整用開口部30Aを形成することにより、この速度調整用開口部30Aを通過するアンダーフィル樹脂27の流れ速度を他の部位に比べて遅くすることが可能となる。このように速度調整用開口部30Aによりアンダーフィル樹脂27の流れ速度の調整が行われるため、アンダーフィル樹脂27が速度調整用開口部30Aを通過した時点でアンダーフィル樹脂27の流れ端面27Aは、図8に示すように、略均一な滑らかな端面となる。
【0050】
図9は、更にアンダーフィル樹脂27がX方向に進んだ状態を示している。同図に示すように、実装領域26の中央には開口部23が存在するため、その長辺側のエッジ部23Aによりアンダーフィル樹脂27の流れ速度は速く、外周縁部26Aにおいては速度調整用開口部30Aの存在によりアンダーフィル樹脂27の流れ速度は遅い。このため図9に示されるように、アンダーフィル樹脂27は全体として卵型の形状を呈しながら進行する(流れ端面27Aが、中央部分が突出した曲線状となる)。
【0051】
図10は、アンダーフィル樹脂27の配設処理が終了した状態を示している。図9に示したように、本実施例では実装基板20に速度調整用開口部30Aを設けたことにより、アンダーフィル樹脂27の流れ分布は、その流れ端面27Aが略均一で滑らかな形状を呈するような分布となる。
【0052】
具体的には、図9に示すように、中央部分が若干先行し、両側部がそれより若干遅く追随するような流れとなる。これにより、従来のようにアンダーフィル樹脂が中央部分を残して回り込むような流れを呈することを防止でき、よってアンダーフィル樹脂27内にボイドが発生することを防止できる。このように、アンダーフィル樹脂27内におけるボイドの発生が抑制されることにより、半導体装置25を実装基板20に実装する実装信頼性を高めることができる。
【0053】
更に、配設処理が終了した後においても、アンダーフィル樹脂27は速度調整用開口部30A内に残存する。このため、速度調整用開口部30A内のアンダーフィル樹脂27は、実装基板20に対するアンカー効果を奏するため、アンダーフィル樹脂27は実装基板20に確実に保持される。よって、これによっても実装基板20と半導体装置25との実装信頼性を高めることができる。
【0054】
尚、本実施例では、開口部23の長辺と対向するよう、かつ開口部23を挟んで2個の速度調整用開口部30Aが配設されているが、速度調整用開口部30Aの配設数は2個に限定されるものではなく、複数であっても構わない。
【0055】
また、配設位置も本実施例で示す位置に限定されるものではなく、アンダーフィル樹脂27の流れに対応させて適宜選定可能なものである。例えば、速度調整用開口部を開口部23の注入開始位置29と反対側に設けた構成としてもよい。この構成することにより、アンダーフィル樹脂27が実装領域26から過剰に外部に流出することを防止できる。
【0056】
次に、図11乃至図16を参照し、本発明の第2乃至第6実施例について説明する。尚、図11乃至図16において、第1実施例の説明に使用した図6乃至図10に示した構成と同一構成については同一符号を付して、その説明を省略するものとする。
【0057】
図11は、本発明の第2実施例である実装基板20を示している。本実施例では、2列のパッド構造を有する半導体装置を実装するため、ソルダーレジスト22に2つの開口部23,24を形成した例を示している。この開口部23,24は、互いに平行に配置されており、アンダーフィル樹脂7はこの開口部3,4の延在方向(図中、左右方向)に対して直交する方向に注入される。
【0058】
また本実施例では、開口部23と開口部24との間に速度調整用開口部30Aを形成した構成としている。本実施例のように、アンダーフィル樹脂27の進行方向に二つの開口部23,24が延在し、アンダーフィル樹脂27が回り込みやすい構成であっても、速度調整用開口部30Aによりアンダーフィル樹脂27の流れ速度を調整することにより、アンダーフィル樹脂27の回り込みを抑制し、ボイドの発生を防止することができる。
【0059】
図12及び図13は、本発明の第3及び第4実施例である実装基板20を示している。第3及び第4実施例に係る実装基板20は、アンダーフィル樹脂27の流れ速度を調整する調整部として、平面視した状態で多角形状としたことを特徴とするものである。図12は、十字形状の速度調整用開口部30Bを一つの開口部23を有する実装基板20に適用した例を示している。また、図13は、十字形状の速度調整用開口部30Bを二つの開口部23,24を有する実装基板20に適用した例を示している。
【0060】
このように、速度調整用開口部30Bの形状を多角形状としたことにより、アンダーフィル樹脂27の流れ速度を大きく低減させることができる。よって、小さいスペースでアンダーフィル樹脂27の流れ速度を大きく低減することが可能となり、速度調整用開口部30Bを設けることによりデッドスペースが実装基板20上に発生することを防止できる。
【0061】
これにより、実装基板20の小型化を図りつつ、実装信頼性の向上を図ることができる。尚、本実施例では、多角形状として十字形状を例に挙げているが、特にこの形状に限定されるものではない。
【0062】
図14乃至図16は、本発明の第5及び第6実施例である実装基板20を示している。
【0063】
前記した各実施例では、ソルダーレジスト22に開口部23,24を形成し、実装基板20の表面に凹部を形成することでアンダーフィル樹脂27の流れ速度を遅くする構成としていた。これに対して第5及び第6実施例である実装基板20は、アンダーフィル樹脂27の流れ速度を調整する調整部として、ソルダーレジスト22に速度調整用凸部31を形成したことを特徴とする。
【0064】
この速度調整用凸部31は、図14に示すようにソルダーレジスト22に一体的に形成され凸部であり、ソルダーレジスト22の形成時に同時形成されるものである。具体的には、ソルダーレジスト22上に、スクリーン印刷等で凸状にソルダーレジストを設けることで形成される。また、速度調整用凸部31の高さは、通常半導体装置25が実装基板20にフリップチップ接合された際に両者間に形成されるクリアランスと略等しいか、それより若干低い高さとされている。
【0065】
図14及び図15は、速度調整用凸部31を一つの開口部23を有する実装基板20に適用した例を示している。また、図16は、速度調整用凸部31を二つの開口部23,24を有する実装基板20に適用した例を示している。各図に示すように、ソルダーレジスト22に形成した凸状の速度調整用凸部31形成することにより、アンダーフィル樹脂27がこの速度調整用凸部31まで流れた際に、速度調整用凸部31はアンダーフィル樹脂27の流れを阻止するダムとして機能する。これにより、アンダーフィル樹脂27の流れ速度を低減することが可能となり、アンダーフィル樹脂27内にボイドが発生することを防止できる。
【0066】
また、図14及び図15に示すように、速度調整用凸部31を実装領域26の注入開始位置29とは反対側のコーナ部に形成することにより、アンダーフィル樹脂27が実装領域26から不要に外部に流出することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】図1は、従来の実装基板の第1従来例を示す斜視図である。
【図2】図2は、第1従来例に係る実装基板におけるアンダーフィル樹脂の流れを説明するための図である。
【図3】図3は、第1従来例に係る実装基板で発生する問題点を説明するための図である。
【図4】図4は、第2従来例に係る実装基板におけるアンダーフィル樹脂の流れを説明するための図である。
【図5】図5は、第2従来例に係る実装基板で発生する問題点を説明するための図である。
【図6】図6は、本発明の第1実施例である実装基板を示す斜視図である。
【図7】図7は、本発明の第1実施例である実装基板におけるアンダーフィル樹脂の流れを説明するための図である(その1)。
【図8】図8は、本発明の第1実施例である実装基板におけるアンダーフィル樹脂の流れを説明するための図である(その2)。
【図9】図9は、本発明の第1実施例である実装基板におけるアンダーフィル樹脂の流れを説明するための図である(その3)。
【図10】図10は、本発明の第1実施例である実装基板におけるアンダーフィル樹脂の流れを説明するための図である(その4)。
【図11】図11は、本発明の第2実施例である実装基板の要部平面図である。
【図12】図12は、本発明の第3実施例である実装基板の要部平面図である。
【図13】図13は、本発明の第4実施例である実装基板の要部平面図である。
【図14】図14は、本発明の第5実施例である実装基板の斜視図である。
【図15】図15は、本発明の第5実施例である実装基板の要部平面図である。
【図16】図16は、本発明の第6実施例である実装基板の要部平面図である。
【符号の説明】
【0068】
20 実装基板
22 ソルダーレジスト
23,24 開口部
23A,24A エッジ部
25 半導体装置
26 実装領域
26A 外周縁部
27 アンダーフィル樹脂
27A 流れ端面
29 注入開始位置
30A,30B 速度調整用開口部
31 速度調整用凸部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にソルダーレジストが配設されると共に、該ソルダーレジストの半導体装置が実装される部位に該半導体装置を実装するための第1の開口部が形成されてなる半導体装置用実装基板において、
前記ソルダーレジストの前記第1の開口部の周辺部に、アンダーフィル樹脂配設時における該アンダーフィル樹脂の流れ速度を調整する調整部を設けたことを特徴とする半導体装置用実装基板。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置用実装基板において、
前記調整部は、前記ソルダーレジストに形成した第2の開口部であることを特徴とする半導体装置用実装基板。
【請求項3】
請求項1記載の半導体装置用実装基板において、
前記調整部は、前記ソルダーレジストに形成した凸部であることを特徴とする半導体装置用実装基板。
【請求項4】
請求項2または3記載の半導体装置用実装基板において、
前記調整部は平面視した際に矩形状であることを特徴とする半導体装置用実装基板。
【請求項5】
請求項2または3記載の半導体装置用実装基板において、
前記調整部は平面視した際に多角形状であることを特徴とする半導体装置用実装基板。
【請求項6】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の半導体装置用実装基板において、
前記調整部を、前記第1の開口部の前記アンダーフィル樹脂の注入開始位置に対する反対側に設けたことを特徴とする半導体装置用実装基板。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の半導体装置用実装基板において、
前記調整部を、前記半導体装置が実装され実装領域の外周縁を含む位置に形成したことを特徴とする半導体装置用実装基板。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の半導体装置用実装基板に対して半導体装置がフリップチップ接合されており、
かつ、前記半導体装置と前記半導体装置用実装基板との間にアンダーフィル樹脂が配設された半導体装置の実装構造において、
前記アンダーフィル樹脂が、少なくとも前記第1の開口部及び前記調整部の配設位置を含む位置に配設されていることを特徴とする半導体装置の実装構造。
【請求項1】
表面にソルダーレジストが配設されると共に、該ソルダーレジストの半導体装置が実装される部位に該半導体装置を実装するための第1の開口部が形成されてなる半導体装置用実装基板において、
前記ソルダーレジストの前記第1の開口部の周辺部に、アンダーフィル樹脂配設時における該アンダーフィル樹脂の流れ速度を調整する調整部を設けたことを特徴とする半導体装置用実装基板。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置用実装基板において、
前記調整部は、前記ソルダーレジストに形成した第2の開口部であることを特徴とする半導体装置用実装基板。
【請求項3】
請求項1記載の半導体装置用実装基板において、
前記調整部は、前記ソルダーレジストに形成した凸部であることを特徴とする半導体装置用実装基板。
【請求項4】
請求項2または3記載の半導体装置用実装基板において、
前記調整部は平面視した際に矩形状であることを特徴とする半導体装置用実装基板。
【請求項5】
請求項2または3記載の半導体装置用実装基板において、
前記調整部は平面視した際に多角形状であることを特徴とする半導体装置用実装基板。
【請求項6】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の半導体装置用実装基板において、
前記調整部を、前記第1の開口部の前記アンダーフィル樹脂の注入開始位置に対する反対側に設けたことを特徴とする半導体装置用実装基板。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の半導体装置用実装基板において、
前記調整部を、前記半導体装置が実装され実装領域の外周縁を含む位置に形成したことを特徴とする半導体装置用実装基板。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の半導体装置用実装基板に対して半導体装置がフリップチップ接合されており、
かつ、前記半導体装置と前記半導体装置用実装基板との間にアンダーフィル樹脂が配設された半導体装置の実装構造において、
前記アンダーフィル樹脂が、少なくとも前記第1の開口部及び前記調整部の配設位置を含む位置に配設されていることを特徴とする半導体装置の実装構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−344822(P2006−344822A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−169894(P2005−169894)
【出願日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】
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