説明

半導体装置

【課題】耐環境性に優れ、また外部回路との接続工程を目視することができる半導体装置を提供する。
【解決手段】センサチップ20の表面に保護膜22を配置すると共に、電極21をセンサチップ20の側面から露出するように配置する。そして、電極21のうち露出されている部分を耐腐食金属27で覆うと共に、電極21と耐腐食金属27とを電気的に接続する。このような構成とすれば、耐腐食金属27がセンサチップ20の側面に備えられている構成とすることができるので耐腐食金属27と外部回路との接続工程を目視しながら行うことができる。またセンサチップ20の表面は保護膜22で覆われていると共に、電極21のうちセンサチップ20の側面から露出されている部分は耐腐食金属27で覆われているので耐環境性にも優れている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサチップを備えた半導体装置に関し、例えば圧力センサにおけるセンサチップを有した半導体装置に適用すると好適である。
【背景技術】
【0002】
従来より、センサチップを備えた半導体装置が知られている。例えば圧力センサにおいて、このような半導体装置は半導体装置表面から配線が取り出されており外部回路との電気的な接続は配線と外部回路とのボンディングワイヤにより行われている。しかし、このような圧力センサは電極部が半導体装置の表面に露出されているので車載用として用いられた場合、耐環境、例えば、排気ガスなどに弱いという問題がある。
【0003】
そこで、例えば特許文献1には、半導体装置および半導体装置に備えられたパッドと電気的な接続部分が行われるボンディング部分が直接測定媒体に曝されないようにメタルダイアフラムで覆い、メタルダイアフラム内をオイルで充填する構造が開示されている。
【0004】
また、例えば特許文献2には、半導体装置において表面および裏面のうち少なくとも一方が凹まされた凹部が備えられており、この凹部により形成される薄膜部には貫通穴が設けられると共に、貫通穴には電極が配置されており、センサチップの裏面で外部回路との電気的な接続が行うことのできる構造が開示されている。
【特許文献1】特開平7−43230号公報
【特許文献2】特開平7−66430号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に示された発明では、半導体装置やボンディング部分が測定媒体に直接曝されて腐食することを防止するためにメタルダイアフラムで覆い、メタルダイアフラム内をオイルで充填する構造であるため、半導体装置やボンディング部分を腐食から防止することはできるが、メタルダイアフラムやオイルを備えるための部品数や製造工程の増加、ひいてはコストの増加という問題がある。
【0006】
また上記特許文献2に示された発明では、半導体装置の裏面において半導体装置と外部回路との電気的な接続を行うことになるため、製造工程を目視することができずアライメントが難しくなり製造工程が複雑になるという問題がある。
【0007】
本発明は上記点に鑑みて、外部回路との接続工程を目視することができる半導体装置を提供することを目的とする。また、本発明は、耐環境性に優れていることを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明では、半導体素子を備えたセンサチップ(20)を有する半導体装置において、センサチップ(20)の側面に電極(21)が備えられており、この電極(21)を介して半導体素子と外部回路との電気的な接続を行うように構成されていることを第1の特徴とする。
【0009】
このように構成された半導体装置では、外部回路との接続をセンサチップ(20)の側面に配置された電極(21)で行うことができるので外部回路との接続工程を目視することができる。
【0010】
この場合、センサチップ(20)の表面に半導体素子を保護する保護膜を配置することが好ましい。
【0011】
また、センサチップ(20)の端部にセンサチップ(20)の表面から裏面へ向かう穴を形成し、この穴(20)に電極(21)を配置することにより電極(21)をセンサチップ(20)の側面に配置する構成としてもよい。
【0012】
この場合、電極(21)の表面を覆う耐腐食金属(27)で覆うと共に、電極(21)を介して半導体素子と耐腐食金属(27)とを電気的に接続することが好ましい。
【0013】
これらのような半導体装置は、電極(21)の表面が耐腐食金属(27)で覆われていると共に、センサチップ(20)の表面が保護膜(22)で覆われているので、耐環境性に優れている。例えば、圧力センサにこのような半導体装置を使用した場合には半導体装置を保護するメタルダイアフラムやオイルを用いないで構成することができ、部品数や製造工程の削減を図ることもできる
また、このような半導体装置は、ターミナル(12)が備えられたコネクタケース(10)のターミナル(12)に対して、電極(21)もしくは耐腐食金属(27)を電気的に接続し、この電気的な接続により機械的な接合を行うことが好ましい。このような機械的な接合を行うと製造工程の簡略化を図ることができる。
【0014】
この場合、ターミナル(12)に対する電極(21)もしくは耐腐食金属(27)の電気的な接続および機械的な接合をターミナル(12)に備えられたバネ部材(28)を介して行ってもよい。
【0015】
また、本発明では、半導体素子を備えたセンサチップ(20)と、センサチップ(20)の側面に備えられた電極(21)と、電極(21)の表面を覆う耐腐食金属(27)と、電極(21)および耐腐食金属(27)を搭載する土台(26)と、を有する半導体装置であって、耐腐食金属(27)は土台(26)の端部まで配置されており、土台(26)の端部に配置された耐腐食金属(27)を介して半導体素子と外部回路との電気的な接続を行うように構成されていることを第2の特徴とする。
【0016】
このような半導体装置においても、電極(21)の表面が耐腐食金属(27)で覆われていると共に、電極(21)と耐腐食金属(27)とが電気的に接続されているので、半導体装置と外部回路との接続は耐腐食金属(27)を介して行われる。この場合、耐腐食金属(27)は土台(26)の端部まで配置されており、外部回路との接続はこの端部に配置された耐腐食金属(27)を介して行われるため接続工程を目視しながら行うことができる。
【0017】
この場合、センサチップ(20)の表面に半導体素子を保護する保護膜を配置することが好ましい。
【0018】
このような半導体装置は電極(21)の表面が耐腐食金属(27)で覆われていると共に、センサチップ(20)の表面が保護膜(22)で覆われているので、耐環境性に優れている。
【0019】
また、センサチップ(20)の端部にセンサチップ(20)の表面から裏面へ向かう穴を形成し、この穴(20)に電極(21)を配置することにより電極(21)をセンサチップ(20)の側面に配置する構成としてもよい。
【0020】
また、保護膜(22)をセンサチップ(20)および電極(21)のうちセンサチップ(20)の保護膜(22)が配置されている表面と少なくとも隣接する部分まで配置し、耐腐食金属(22)を電極(21)の表面および電極(21)に配置された保護膜(22)を覆う構成としてもよい。
【0021】
また、このような半導体装置は、ターミナル(12)が備えられたコネクタケース(10)のターミナル(12)に対して、電極(21)もしくは耐腐食金属(27)を電気的に接続し、この電気的な接続により機械的な接合を行うことが好ましい。
【0022】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0024】
(第1実施形態)
本発明の一実施形態が適用された半導体装置について説明する。図1は、本実施形態にかかる半導体装置を備えた圧力センサの全体断面図、図2は図1の二点鎖線部分の拡大図、図3は本実施形態にかかる半導体装置の上面レイアウト図である。図1、図2および図3に基づいて本実施形態の半導体装置が備えられた圧力センサについて説明する。
【0025】
図1に示されるように、圧力センサにはコネクタケース10が備えられており、このコネクタケース10は、PPS(ポリフェニレンサルファイド)やPBT(ポリブチレンテレフタレート)等の樹脂を型成形することにより作られ、本実施形態では円柱状をなしている。このコネクタケース10の一端部(図1中、下方側の端部)には、凹部11が形成されており、凹部11の底面には半導体装置1が搭載されている。
【0026】
図2に示されるように、この半導体装置1は図示しないゲージ抵抗および配線を備えたセンサチップ20と、ゲージ抵抗と電気的に接続される電極21と、センサチップ20の表面に配置されゲージ抵抗および配線を保護する保護膜22と、を有して構成されている。
【0027】
センサチップ20は裏面から凹まされた凹部23が形成されていると共に、この凹部23により受圧面となるダイアフラム24を有し、ダイアフラム24の表面に形成されたブリッジ回路を構成するゲージ抵抗により、ダイアフラム24が受けた圧力を電気信号に変換し、この電気信号をセンサ信号として出力する半導体ダイアフラム式のものである。
【0028】
図3に示されるように、このセンサチップ20は表面および裏面が四角形状で長方体を成している。以下、センサチップ20において表面および裏面の四角形を構成するそれぞれの辺を端部として説明する。
【0029】
図2に示されるように、センサチップ20の端部には表面から裏面に向かう四個の穴25が形成されていると共に、それぞれの穴25に電極21がセンサチップ20の側面と同一平面まで埋め込まれて配置されており、この電極21はセンサチップ20の側面にて露出されている。そして、ダイアフラム24に形成されているゲージ抵抗は配線を介してこの電極21と電気的に接続されている。また、センサチップ20および電極21の表面には保護膜22が配置されている。この電極21は、例えばAlやCuなどが材料として用いられ、保護膜22はSiN、SiC、SiCNなどが材料として用いられる。
【0030】
この半導体装置1は土台26と陽極接合などにより一体化されており、土台26はコネクタケース10に形成されている凹部11の底面に接着されている。そして、土台26のうち半導体装置1との接合部分の隣接部に土台26を貫通する穴が四個形成されており、それぞれの穴に耐腐食金属27が配置されている。この耐腐食金属27は電極21と接合されており、電極21を介してゲージ抵抗と電気的に接続されていると共に、電極21が露出されている部分を覆うことで電極21が外部雰囲気に曝されない構造とされている。この耐腐食金属27はTa、W、もしくは金などを材料として用いることができる。
【0031】
また、図1に示されるように、コネクタケース10には、半導体装置1と外部の回路等とを電気的に接続するための複数個の金属製棒状のターミナル12が貫通しており、インサートモールドによりコネクタケース10と一体に成形されることによってコネクタケース10内にて保持されている。
【0032】
各ターミナル12の一端側(図1中、下方端側)の端部は、半導体装置1の搭載領域の周囲において凹部11の底面から露出して配置されている。一方、各ターミナル12の他端側(図1中、上方端側)の端部は、コネクタケース10の他端側の開口部10b内に露出している。そして、ターミナル12の一端側は耐腐食金属27のうち土台26と半導体装置1との接合面の裏面から露出している部分と電気的に接続されている。
【0033】
また、図1において、コネクタケース10の他端部(図1中、上方側の端部)側は開口部10bとなっており、この開口部10bは、ターミナル12の他端側を例えばワイヤハーネス等の外部配線部材(図示せず)を介して上記外部回路(車両のECU等)に電気的に接続するためのコネクタ部となっている。
【0034】
つまり、開口部10b内に露出する各ターミナル12の他端側は、このコネクタ部によって外部と電気的に接続が可能となっている。このような構成により、半導体装置1と外部との間の信号の伝達は、ターミナル12、電極21および耐腐食金属27を介して行えるようになっている。
【0035】
また、図1に示されるように、コネクタケース10の一端部にはハウジング30が組み付けられている。具体的には、ハウジング30には収容凹部30aが形成されており、この収容凹部30a内にコネクタケース10の先側面10a側が挿入されることで、コネクタケース10にハウジング30が組みつけられた構成となっている。
【0036】
これにより、コネクタケース10とハウジング30とが一体に組み付けられてなるケーシング100が構成されており、このケーシング100内に半導体装置1が設けられた形となっている。
【0037】
このハウジング30は、例えばAl等の金属材料よりなるものであり、測定対象物からの測定圧力が導入される圧力導入孔31と、圧力センサを測定対象物に固定するためのネジ部32とを有する。
【0038】
そして、図1に示されるように、ハウジング30のうち収容凹部30a側の端部がコネクタケース10の一端部にかしめられることで、かしめ部33が形成され、それによって、ハウジング30とコネクタケース10とが固定され一体化されている。
【0039】
このように構成されているため、圧力導入孔31から導入された測定媒体の圧力は、半導体装置1に直接印加され、その圧力に応じた電気信号が電極21、耐腐食金属27およびターミナル12を介して外部に出力されることになる。
【0040】
また、コネクタケース10の先側面10aには、凹部11の外周を囲むように構成された環状の溝(Oリング溝)13が形成されている。この溝13内には、コネクタケース10とハウジング30との間をシールするためのOリング14が配設されている。このOリング14は例えばシリコンゴム等の弾性材料よりなり、コネクタケース10とハウジング30とにより挟まれて押圧されている。
【0041】
なお、凹部11内において、土台26の周囲を囲むようにシール剤15が配置されている。このシール剤15により、土台26とコネクタケース10との間の隙間から測定媒体が入り込むことによって耐腐食金属27とターミナル12との間の接合部分が腐食することを防止できる。
【0042】
次に、上記半導体装置1の製造方法について説明する。
【0043】
図4は、本実施形態の半導体装置1の製造工程を示す図であり、図4に示す製造工程を参照して半導体装置1の製造工程を説明する。図4(a)に示されるように、ダイアフラム24、ゲージ抵抗および配線が備えられているセンサチップ20を用意し、図4(b)に示されるように、エッチングなどによりセンサチップ20の表面から裏面に向かう穴25を形成する。そして、図4(c)に示されるように、穴25に電極21を埋め込んで配置し、その後センサチップ20の表面と電極21の表面とが同一平面になるようにエッチバックなどにより処理する。続いて、図4(d)に示されるように、センサチップ20および電極21の表面に保護膜22を配置し、保護膜22が電極21の表面およびセンサチップ20の表面のうちダイアフラム24を構成する部分(電極21で挟まれる部分)が残されるようにパターニングする。そして、図4(e)に示されるように、保護膜22をマスクとしてエッチングなどにより電極21がセンサチップ20の側面から露出するように加工する。以上の工程により本実施形態の半導体装置1を製造することができる。
【0044】
また、本実施形態の半導体装置1を備えた圧力センサは以下の手順で製造することができる。
【0045】
まず、ターミナル12がインサート成形されたコネクタケース10を用意する。また、土台26のうちセンサチップ20と接合する部分の隣接部にレーザ等により四個の穴を形成し、それぞれの穴に耐腐食金属27を配置する。そして、半導体装置1と土台26とを陽極接合などにより接合する。この際に、半導体装置1に備えられた電極21と土台26に備えられている耐腐食金属27との接合を目視しながら行うことができる。また、半導体装置1と土台26との陽極接合を行わずに、電極21と耐腐食金属27との電気的な接続により半導体装置1と土台26との機械的な接合を行ってもよい。なお、先に土台26とセンサチップ20とを陽極接合などにより接合し、その後耐腐食金属27を目視しながら電極21と接合すると共に、土台26に形成されている穴に配置することもできる。
【0046】
続いて、半導体装置1および耐腐食金属27を備えた土台26をシリコン系樹脂等よりなる接着剤を用いて、コネクタケース10の凹部11内へ土台26を接着固定するか、もしくはターミナル12と耐腐食金属27とを金属−金属接合する。これにより、耐腐食金属27を介してターミナル12と半導体装置1に備えられている電極21が電気的に接続される。
【0047】
次に、凹部11内へシール剤15を注入し、シール剤15を凹部11の底面まで行き渡らせた後硬化させる。このとき、シール剤15がセンサチップ20の表面に付着しないように注入量を調整することが好ましい。
【0048】
続いて、ハウジング30を水平に保ったまま保持した状態で、コネクタケース10を先側面10a側がハウジング30の凹部30a内に挿入されるように嵌め込む。その後、ハウジング30の端部をコネクタケース10の一端側にかしめることにより、かしめ部33を形成する。これにより、コネクタケース10の先側面とハウジング30とが十分接するようにする。
【0049】
このようにして、ハウジング30とコネクタケース10とを一体化することにより、かしめ部33によるコネクタケース10とハウジング30との組み付け固定がなされる。これにより、図1に示される圧力センサが完成する。
【0050】
次にこのように構成された本実施形態の半導体装置1を備えた圧力センサの基本的な圧力検出動作について説明する。
【0051】
測定媒体がハウジング30の圧力導入孔31を通じて導入されるとセンサチップ20に形成されたダイアフラム24に圧力が印加される。これにより、ダイアフラム24に形成されているゲージ抵抗が変形し、ピエゾ抵抗効果によりブリッジ回路の出力電圧が変化して印加された圧力に応じたセンサ信号が出力される。このセンサ信号は、センサチップ20から電極21、耐腐食金属27およびターミナル12を介して外部回路に伝達され、これに基づいて測定媒体の圧力が検出される。
【0052】
以上説明したように本実施形態の半導体装置を備えた圧力センサおいて、半導体装置1に備えられる電極21はセンサチップ20の側面から露出されている構成とされており、半導体装置1と外部回路との接続は電極21のうちセンサチップ20の側面から露出されている部分で行うことができるため半導体装置1と外部回路との接合を目視しながら行うことができる。このため、製造工程の簡略化を図ることもできる。
【0053】
また、半導体装置1に備えられた電極21は耐腐食金属27で覆われており、電極21が外部雰囲気に曝されない構成とされていると共に、センサチップ20の表面は保護膜22で覆われているのでメタルダイアフラムおよびオイルを用いないで圧力センサを構成することができる。そのため圧力センサを構成する部品数や製造工程の減少を図ることが可能であり、ひいてはコストの削減を図ることができる。
【0054】
なお、本実施形態のセンサチップ20はもちろん四角柱型に限定されるものではない。また、本実施形態では土台26を無くして半導体装置1を凹部11の底面に直接搭載される構成とすることもできる。
【0055】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態の半導体装置を備えた圧力センサは第1実施形態に対して半導体装置の構成とターミナル12との接続部の構成を変更したものであり、その他に関しては第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0056】
図5は本実施形態の半導体装置を備えた圧力センサの部分拡大図、図6は本実施形態にかかる半導体装置の上面レイアウト図である。なお、図5は図1における二点鎖線部分に対応している。
【0057】
図5、図6に示されるように、本実施形態の半導体装置2は、ゲージ抵抗および配線を備えたセンサチップ20と、ゲージ抵抗と電気的に接続される電極21と、センサチップ20の表面に配置されゲージ抵抗および配線を保護する保護膜22と、電極21と電気的に接続されている耐腐食金属27と、を有して構成されている。
【0058】
耐腐食金属27は電極21と接合されており、電極21を介してゲージ抵抗と電気的に接続されている。この耐腐食金属27は電極21のうちセンサチップ20の側面から露出されている部分を覆い、電極21は外部雰囲気に曝されない構造とされている。また、土台26は半導体装置2の保護膜22が配置される面の裏面と接合されている。
【0059】
また、コネクタケース10の凹部11を形成する側壁にはターミナル12が露出されており、ターミナル12と半導体装置2に備えられている耐腐食金属27はバネ28を介して電気的に接続されている。このバネ28は耐腐食金属27と同様にTa、Wもしくは金を用いた材料で構成されるのが好ましい。
【0060】
このような半導体装置2は上記第1実施形態で説明した図4(e)の工程を行った後、電極21と耐腐食金属27とを金属−金属接合することで構成される。また、図4(e)の工程を行った後、半導体装置1に耐腐食金属27を蒸着し、その後エッチングなどにより図5に示される耐腐食金属25の形に形成してもよい。
【0061】
また、本実施形態の半導体装置2を備えた圧力センサは、以下のように構成することができる。まず、凹部11の側壁から露出されているターミナル12とバネ28とを接合する。そして、半導体装置2の保護膜22が配置される面の裏面と土台26とを接合すると共に、土台26を凹部11に接着し、耐腐食金属27とバネ28とを電気的に接続させればよい。この場合は、耐腐食金属27とバネ28との電気的な接続により、機械的な接合も行われているので土台26を凹部11に接着しなくてもよい。
【0062】
このような構成としても、半導体装置2と外部回路との接続は、半導体装置2の側面に備えられている耐腐食金属27を用いて行うことができるため、耐腐食金属27とバネ28との接合工程を目視することができる。そして、また電極21のうちセンサチップ20の側面から露出されている部分は耐腐食金属27で覆われているので耐環境性にも優れており、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0063】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態の半導体装置を備えた圧力センサは第2実施形態に対して半導体装置の構成とターミナル12との接続部の構成を変更したものであり、その他に関しては第2実施形態と同様であるためここでは説明を省略する。
【0064】
図7は本実施形態の半導体装置を備えた圧力センサの部分拡大図、図8は本実施形態にかかる半導体装置の上面レイアウト図である。なお、図7は図1における二点鎖線部分に対応している。
【0065】
図7、図8に示されるように、本実施形態の半導体装置3は、ゲージ抵抗および配線を備えたセンサチップ20と、ゲージ抵抗と電気的に接続される電極21と、センサチップ20の表面に配置されゲージ抵抗および配線を保護する保護膜22と、電極21と電気的に接続されている耐腐食金属27と、センサチップ20と耐腐食金属27とを搭載する土台26と、を有して構成されている。
【0066】
土台26は表面および裏面が円形状で、かつ凹部11の底面と同じ大きさで構成されている。以下、土台26の円周を構成する辺を土台26の端部として説明する。土台26はセンサチップ20の保護膜22が配置される面の裏面および耐腐食金属27の裏面側に位置する面と接続されている。また、耐腐食金属27は電極21の表面に配置された保護膜22から電極21のうちセンサチップ20の側面から露出されている部分を覆うように配置されていると共に、土台26の表面の端部まで達するように配置されている。そして、土台26の端部に位置する耐腐食金属27は凹部11の側壁に露出されているターミナル12と電気的に接続されている。
【0067】
このような半導体装置3は上記第1実施形態の図4(e)の工程を行った後、耐腐食金属27を電極21の表面に配置された保護膜22から電極21のうちセンサチップ20の側面から露出されている部分を含んで土台まで達し、かつそこから土台の端部まで達するように加工する。そして、センサチップ20と耐腐食金属27とを接合した後に土台26とセンサチップ20および耐腐食金属27とを接合すればよい。また、センサチップ20と土台26を接続した後に、耐腐食金属27とセンサチップ20および土台26とを接合してもよい。
【0068】
そして、本実施形態の半導体装置3を備えた圧力センサは、半導体装置3を凹部11の底面に接着すると共に、ターミナル12と土台26に備えられている耐腐食金属27とを電気的に接続すればよい。この場合は、ターミナル12と耐腐食金属27との電気的な接続により機械的な接続も行われているので半導体装置3を凹部11に接着しなくてもよい。このような構成としても半導体装置3と外部回路との接続は、半導体装置3において土台26の端部まで配置されている耐腐食金属27を用いて行うことができるため、耐腐食金属27とターミナル12との接続工程を目視することができる。そして、また電極21のうちセンサチップ20の側面から露出されている部分は耐腐食金属27で覆われているので耐環境性にも優れており、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0069】
(他の実施形態)
上記各実施形態においては、圧力センサを例に挙げて説明したが、本発明の半導体装置はもちろん圧力センサに限定されるものではない。
【0070】
また、上記各実施形態を組み合わせて半導体装置を構成することもできる。例えば、上記第1実施形態および上記第2実施形態において、耐腐食金属27は電極21のうちセンサチップ20の側面から露出されている部分および電極21の表面に配置されている保護膜22を覆う構成としてもよい。また、逆に上記第3実施形態において、耐腐食金属27は電極21の表面に配置されている保護膜22を覆わない構成としてもよい。
【0071】
さらに、上記各実施形態では、保護膜22がセンサチップ20および電極21の表面を覆う構成とされているが、保護膜22をセンサチップ20の表面のみ、もしくはセンサチップ20の表面から電極21の表面のうちセンサチップ20の保護膜22が配置される表面と隣接する部分に配置する構成とすることもできる。なお、この場合は電極21が外部雰囲気に曝されるのを防ぐために耐腐食金属27を電極21の表面および電極21の表面に配置される保護膜22まで配置することが好ましい。
【0072】
また、上記各実施形態において、電極21をセンサチップ20の側面と同一平面まで埋め込まない配置としてもよく、逆に電極21をセンサチップ20の側面から突出している構成とすることもできる。また、電極21はゲージ抵抗との接続が確保できていれば良く、例えば、センサチップ20の端部に穴25を形成しないで、電極21をセンサチップ20の側面に備え付ける構成としてもよい。
【0073】
さらに、電極21がセンサチップ20の側面から露出されるように構成する他の方法として、図4(b)で示される工程において、穴25より大きな穴を形成してその穴に電極21を埋め込み、その後電極21が二分されるようにセンサチップ20のうち電極21を含む部分をダイシングでカットすることにより電極21がセンサチップ20の側面から露出される構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる半導体装置を備えた圧力センサの全体断面図を示す図である。
【図2】図1に示す二点鎖線部分の拡大図である。
【図3】図1に示す半導体装置の上面レイアウト図である。
【図4】図1に示す半導体装置の製造工程を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態にかかる半導体装置を備えた圧力センサの部分拡大図である。
【図6】図5に示す半導体装置の上面レイアウト図である。
【図7】本発明の第3実施形態にかかる半導体装置を備えた圧力センサの部分拡大図である。
【図8】図7に示す半導体装置の上面レイアウト図である。
【符号の説明】
【0075】
20…センサチップ、21…電極、22…保護膜、25…穴、26…土台、27…耐腐食金属、28…バネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子を備えたセンサチップ(20)と、前記センサチップ(20)に備えられた前記半導体素子と電気的に接続される電極(21)と、を有する半導体装置であって、
前記電極(21)は前記センサチップ(20)の側面に備えられており、前記電極(21)を介して前記半導体素子と外部回路との電気的な接続を行うように構成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記センサチップ(20)の表面には前記半導体素子を保護する保護膜(22)が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記センサチップ(20)の端部には前記センサチップ(20)の表面から前記センサチップ(20)の裏面に向かう穴(25)が形成されており、前記穴(25)に前記電極(21)が配置されていることにより前記電極(21)が前記センサチップ(20)の側面に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記電極(21)の表面が耐腐食金属(27)で覆われていると共に、前記電極(21)を介して前記半導体素子と前記耐腐食金属(27)とが電気的に接続されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1つに記載の半導体装置であって、ターミナル(12)を備えたコネクタケース(10)の前記ターミナル(12)に対して、前記電極(21)もしくは前記耐腐食金属(27)が電気的に接続されており、前記電気的な接続により機械的な接合も行われていることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
前記ターミナル(12)に対する前記電極(21)もしくは前記耐腐食金属(27)の前記電気的な接続および前記機械的な接合は前記ターミナル(12)に備えられたバネ部材(28)を介して行われていることを特徴とする請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
半導体素子を備えたセンサチップ(20)と、
前記センサチップ(20)に備えられた前記半導体素子と電気的に接続され、かつ前記センサチップ(20)の側面に備えられる電極(21)と、
前記電極(21)の表面を覆う耐腐食金属(27)と、
前記センサチップ(20)と前記耐腐食金属(27)とを搭載する土台(26)と、を有し、
前記耐腐食金属(27)は前記土台(26)の端部まで配置されており、
前記土台(26)の端部に配置される前記耐腐食金属(27)を介して前記半導体素子と外部回路との電気的な接続を行うように構成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
前記センサチップ(20)の表面には前記半導体素子を保護する保護膜(22)が配置されていることを特徴とする請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記センサチップ(20)の端部には前記センサチップ(20)の表面から前記センサチップ(20)の裏面に向かう穴(25)が形成されており、前記穴(25)に前記電極(21)が配置されていることにより前記電極(21)が前記センサチップ(20)の側面に配置されていることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記保護膜(22)は前記センサチップ(20)の表面および前記電極(21)の表面のうち前記センサチップ(20)の前記保護膜(22)が配置されている表面と少なくとも隣接する部分まで配置されており、前記耐腐食金属(27)は前記電極(21)の表面を覆うと共に、前記電極(21)の表面に配置された前記保護膜(22)を覆う構成とされていることを特徴とする請求項4ないし9のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項11】
請求項6ないし10のいずれか1つに記載の半導体装置であって、ターミナル(12)を備えたコネクタケース(10)の前記ターミナル(12)に対して、前記電極(21)もしくは前記耐腐食金属(27)が電気的に接続されており、前記電気的な接続により機械的な接合も行われていることを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−36627(P2009−36627A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−201025(P2007−201025)
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】