説明

半導体装置

【課題】 ウエハ上に形成された半導体チップを試験するときに、プローブの移動回数を最小限にし、試験時間を短縮する。
【解決手段】 半導体装置は複数の半導体チップを有し、各半導体チップは、試験信号に応じて試験される回路ブロックと、回路ブロックから出力される試験結果を、隣接する半導体チップの少なくともいずれかと試験結果出力端子とに出力するとともに、隣接する半導体チップから転送される試験結果を隣接する別の半導体チップと試験結果出力端子とに出力する転送回路とを有する。これにより、半導体チップの試験結果を隣接する半導体チップに順次に転送できるため、全ての半導体チップの試験結果を1つの半導体チップの試験結果出力端子から出力できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の半導体チップを含む半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体チップは、複数個が連なった状態で半導体ウエハ上に形成され、ウエハ状態で試験される。試験では、試験する半導体チップの外部端子であるパッドにプローブを接触させ、試験パターンが試験装置から半導体チップにプローブを介して供給される。そして、試験装置は、半導体チップからプローブを介して供給される試験結果に応じて、半導体チップの良否を判定する。
【0003】
一方、半導体ウエハのスクライブライン上に形成された共通の配線を用いて、複数の半導体チップに試験パターンを同時に供給する手法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平04−075358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
試験パターンが半導体チップに同時に供給されても、半導体チップの良否を判定するためには、半導体チップ毎に試験結果を読み出さなくてはならない。例えば、試験結果の読み出しは、各半導体チップにプローブを順次に接続して実施する必要がある。半導体ウエハ上に形成される半導体チップの数が多いほど、プローブの移動回数が増えるため、試験時間は増加する。
【0006】
本発明の目的は、半導体ウエハ上に形成される半導体チップを試験するときに、試験時間を短縮し、半導体装置の製造コストを削減することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態では、半導体装置は、複数の半導体チップを備え、各半導体チップは、試験信号に応じて試験される回路ブロックと、回路ブロックから出力される試験結果を、隣接する半導体チップの少なくともいずれかと試験結果出力端子とに出力するとともに、隣接する半導体チップから転送される試験結果を隣接する別の半導体チップと試験結果出力端子とに出力する転送回路とを備えている。
【発明の効果】
【0008】
半導体チップの試験結果を隣接する半導体チップに順次に転送できるため、半導体装置内の全ての半導体チップの試験結果を1つの半導体チップの試験結果出力端子から出力できる。この結果、試験時間を短縮でき、半導体装置の製造コストを削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施形態における半導体装置の例を示している。
【図2】別の実施形態における半導体装置の例を示している。
【図3】図2に示した半導体チップが形成される半導体ウエハの例を示している。
【図4】図2に示した半導体装置の電源配線の例を示している。
【図5】図2に示した試験信号発生回路の例を示している。
【図6】図5に示した試験信号発生回路の動作の例を示している。
【図7】図2に示した比較回路の例を示している。
【図8】図2に示した転送回路の例を示している。
【図9】図8に示したマルチプレクサの例を示している。
【図10】図2に示した半導体装置を試験する試験装置の例を示している。
【図11】図8に示したマルチプレクサの動作の例を示している。
【図12】図2に示した半導体装置において、試験結果をフリップフロップに取り込む動作の例を示している。
【図13】図2に示した半導体装置において、上下の半導体チップからの試験結果をフリップフロップに取り込む動作の例を示している。
【図14】図2に示した半導体装置において、左右の半導体チップからの試験結果をフリップフロップに取り込む動作の例を示している。
【図15】図10に示した試験装置により半導体チップの試験結果を読み出す例を示している。
【図16】図10に示した試験装置により半導体チップの試験結果を読み出す例を示している。
【図17】図10に示した試験装置により半導体チップの試験結果を読み出す例を示している。
【図18】図10に示した試験装置により半導体チップの試験結果を読み出す例を示している。
【図19】図10に示した試験装置により半導体チップの試験結果を読み出す例を示している。
【図20】図10に示した試験装置により半導体チップの試験結果を読み出す例を示している。
【図21】別の実施形態における転送回路の例を示している。
【図22】図21に示したマルチプレクサの動作の例を示している。
【図23】図21に示した半導体チップの試験結果を読み出す例を示している。
【図24】図21に示した半導体チップの試験結果を読み出す例を示している。
【図25】図21に示した半導体チップの試験結果を読み出す例を示している。
【図26】図21に示した半導体チップの試験結果を読み出す例を示している。
【図27】図21に示した半導体チップの試験結果を読み出す例を示している。
【図28】別の実施形態における転送回路の例を示している。
【図29】図28に示したマルチプレクサの動作の例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態を図面を用いて説明する。信号が伝達される信号線には、信号名と同じ符号を使用する。図中の二重の四角印は、外部端子(半導体チップ上のパッド)を示している。外部端子を介して供給される信号には、端子名と同じ符号を使用する。
【0011】
図1は、一実施形態における半導体装置SEMの例を示している。半導体装置SEMは、マトリックス状に配置された複数の半導体チップCHIPを有している。例えば、半導体チップCHIPは、シリコン等の半導体ウエハ上に形成され、スクライブラインSCLを挟んで互いに接続されている。ここで、スクライブラインSCLは、半導体チップCHIPを互いに切り離すためのダイシング領域である。各半導体チップCHIPは、試験端子TST、試験結果出力端子TO、回路ブロックCBLKおよび転送回路TRを有している。なお、半導体装置SEM内に形成される半導体チップCHIPの数は、図1に示した9個に限定されるものではない。
【0012】
回路ブロックCBLKは、半導体チップCHIPの主要な機能を実現するための回路が形成されている。回路ブロックCBLKは、図1では小さく表しているが、例えば、半導体チップCHIPに形成される回路の中で最も大きい。回路ブロックCBLKは、試験端子TSTに供給される試験信号に応じてその機能が試験され、試験結果を試験結果信号TRSLTとして転送回路TRに出力する。例えば、試験結果信号TRSLTは、回路ブロックCBLKの動作の良否(パスまたはフェイル)を示す。すなわち、試験結果信号TRSLTは、半導体チップCHIPが良品か不良品かを示す。
【0013】
転送回路TRは、受けた試験結果TRSLTを、図1の上下左右に隣接する半導体チップCHIPの少なくともいずれかと試験結果出力端子TOに出力する。また、転送回路TRは、隣接する半導体チップCHIPから転送される試験結果を、別の半導体チップCHIPと試験結果出力端子TOに出力する。例えば、図1において上側に隣接する半導体チップCHIPから転送される試験結果は、下側に隣接する半導体チップCHIPに転送される。下側に隣接する半導体チップCHIPから転送される試験結果は、上側に隣接する半導体チップCHIPに転送される。左側に隣接する半導体チップCHIPから転送される試験結果は、右側に隣接する半導体チップCHIPに転送される。右側に隣接する半導体チップCHIPから転送される試験結果は、左側に隣接する半導体チップCHIPに転送される。
【0014】
図1に示した半導体装置SEMでは、転送回路TRを動作することにより、各半導体チップCHIPの試験結果TRSLTは、例えば、図1の中央の半導体チップCHIPの試験結果出力端子TOから順次に出力できる。換言すれば、図1の中央の半導体チップCHIPの試験結果出力端子TOに半導体チップCHIPを試験する試験装置のプローブを接触することで、試験装置は、半導体装置SEM内の全ての半導体チップCHIPの試験結果を得ることができる。
【0015】
なお、図1では、半導体チップCHIPがマトリックス状に配置されているが、半導体チップCHIPは、図1の横方向に一列に配置されていてもよい。このとき、転送回路TRは、図の上下方向への試験結果の転送は実施しない。同様に、半導体チップCHIPは、図1の縦方向に一列に配置されていてもよい。このとき、転送回路TRは、図の左右方向への試験結果の転送は実施しない。
【0016】
以上、この実施形態では、半導体チップCHIPの試験結果TRSLTを隣接する半導体チップCHIPに順次に転送できるため、全ての半導体チップCHIPの試験結果TRSLTを1つの半導体チップCHIPの試験結果出力端子TOから出力できる。したがって、試験装置と半導体チップCHIPを接続するプローブの移動回数を最小限にできる。この結果、試験時間を短縮でき、製造コストを削減できる。
【0017】
試験装置に接続するか否かに拘わりなく、共通の端子が半導体ウエハWAF上の全ての半導体チップCHIPに形成される。このため、半導体ウエハWAF上の全ての半導体チップCHIPを、共通の設計データを用いて製造できる。すなわち、半導体ウエハWAF全体を露光するマスクパターンを形成するために必要な各半導体チップCHIPのデータを共通にできる。あるいは、半導体ウエハWAF上の少なくとも1つの半導体チップCHIPの領域を露光するレチクルパターンを形成するために必要なデータの共通にできる。半導体チップCHIPが1種類の設計データで製造されるため、試験時間を短縮できるとともに、製造コストを削減できる。
【0018】
図2は、別の実施形態における半導体装置SEMの例を示している。上述した実施形態で説明した要素と同一の要素については、同一の符号を付し、これ等については、詳細な説明は省略する。半導体装置SEMは、図1と同様に、シリコン等の半導体ウエハ上にスクライブラインSCLを挟んでマトリックス状に配置された複数の半導体チップCHIPを有している。各半導体チップCHIPは、試験端子(試験データシフト端子TDSFT、試験データ端子TD、試験データロード端子TDLD)、試験結果出力端子TO1、TO2、TO3、TO4、制御端子(選択端子LOAD、クロック端子CLKa、CLKb、選択端子SFTEN)、試験信号発生回路TSGEN、回路ブロックCBLK、比較回路CMPおよび転送回路TRを有している。
【0019】
全ての半導体チップCHIPの試験端子TDSFT、TD、TDLDは、スクライブラインSCL上に形成された試験信号線を介して互いに接続されている。同様に、全ての半導体チップCHIPの制御端子LOAD、CLKaは、スクライブラインSCL上に形成された制御信号線を介して互いに接続されている。すなわち、図2の縦方向D1および横方向D2に並ぶ全ての半導体チップCHIPは、試験信号TDSFTを同時に受け、試験信号TDを同時に受け、試験信号TDLDを同時に受ける。同様に、全ての半導体チップCHIPは、選択信号LOADを同時に受け、クロック信号CLKaを同時に受ける。
全ての半導体チップCHIPに供給する選択信号LOADおよびクロック信号CLKaを伝達する共通の信号線をスクライブラインSCL上に形成することで、スクライブラインSCLの面積を最小限にできる。この結果、半導体ウエハWAF上に形成できる半導体チップCHIPの数を増やすことができる。
【0020】
図2の横方向D2に並ぶ半導体チップCHIPの制御端子CLKb、SFTENは、半導体チップCHIP上に配線される制御信号線により互いに接続されている。すなわち、図2の横方向D2に並ぶ半導体チップCHIPの列は、クロック信号CLKbを同時に受け、選択信号SFTENを同時に受ける。なお、クロック信号CLKbおよび選択信号SFTENは、パッドでクロック信号CLKbおよび選択信号SFTENを受ける半導体チップCHIPを含む横方向D2に並ぶチップ列のみに供給される。
【0021】
試験信号発生回路TSGENは、試験パッドTDSFT、TD、TDLDまたはスクライブラインSCL上の試験信号線TDSFT、TD、TDLDを介して供給される試験信号に基づいて、試験パターンTP1−TPnおよび期待値データEXPD1−EXPDmを生成する。試験パターンTP1−TPnは、回路ブロックCBLKを試験するために回路ブロックCBLKに供給される。試験信号発生回路TSGENの例は図5に示す。
【0022】
比較回路CMPは、試験パターンTP1−TPnに応じて動作する回路ブロックCBLKから出力される出力データを期待値データEXPD1−EXPDmと比較し、試験結果信号TRSLTとして出力する。例えば、比較回路CMPは、出力データが期待値データESPD1−EXPDmと一致するときに、試験のパスを示す試験結果信号TRSLTを出力する。比較回路CMPは、出力データが期待値データESPD1−EXPDmと一致しないときに、試験のフェイルを示す試験結果信号TRSLTを出力する。比較回路CMPの例は図7に示す。
【0023】
転送回路TRは、試験結果信号TRSLTの取り込みモードに設定されているときに、比較回路CMPからの試験結果信号TRSLTをクロック信号CLKaに同期して試験結果として取り込む。取り込んだ試験結果は、図2の上下左右に隣接する半導体チップCHIPに出力される。転送回路TRは、上下の転送モードに設定されているときに、図2の縦方向D1に隣接する半導体チップCHIPからの試験結果をクロック信号CLKaに同期して取り込む。取り込んだ試験結果は、上下左右に隣接する半導体チップCHIPに出力される。転送回路TRは、左右の転送モードに設定されているときに、図2の横方向D2に隣接する半導体チップCHIPからの試験結果をクロック信号CLKbに同期して取り込む。取り込んだ試験結果は、上下左右に隣接する半導体チップCHIPに出力される。
【0024】
取り込みモードおよび上下の転送モードでは、転送回路TRは、全ての半導体チップCHIPに共通のクロック信号CLKaに同期して動作する。このため、転送回路TRによる試験結果の取り込みおよび上下の転送は、半導体装置SEMの全ての半導体チップCHIPで同時に実施される。左右の転送モードでは、転送回路TRは、横方向D2に並ぶ半導体チップCHIPの列毎に共通のクロック信号CLKbに同期して動作する。このため、転送回路TRによる試験結果の転送は、横方向D2に並ぶ半導体チップCHIPの列毎に実施される。
【0025】
実際には、図10に示すように、試験装置TESTDのプローブPRBは、半導体ウエハWAF上の半導体チップCHIPの1つのみに接触される。このため、左右の転送モードでは、横方向D2に並ぶ半導体チップCHIPの列のうち、プローブPRBが接触する半導体チップCHIPを含む列の転送回路TRのみが動作する。転送回路TRの動作モードは、選択端子LOAD、SFTENの論理レベルに応じて決定される。動作モードの設定例は、図11に示す。
【0026】
図3は、図2に示した半導体チップCHIPが形成される半導体ウエハWAFの例を示している。例えば、半導体ウエハWAF内の各半導体チップCHIPを試験するとき、試験装置TESTD(図10)のプローブPRBは、横方向D2に並ぶ半導体チップCHIPの数が一番多いチップ列CHIPRの半導体チップCHIPのいずれかに接続される。
【0027】
試験装置TESTDを用いた半導体チップCHIPの試験では、まず、取り込みモードにおいて、各半導体チップCHIPの回路ブロックCBLKの試験結果が、図2に示した転送回路TRに取り込まれる。次に、左右の転送モードにおいて、プローブPRBが接続される半導体チップCHIPを含むチップ列CHIPRの1つで試験結果の左右への転送が実施される。試験結果は、プローブPRBを介して試験装置に順次に出力される。
【0028】
次に、上下の転送モードにおいて、試験結果の転送が実施される。この転送により、プローブPRBが接続される半導体チップCHIPを含むチップ列CHIPRの1つに、別のチップ列CHIPRの試験結果が転送される。そして、動作モードが左右の転送モードに再び設定され、別のチップ列CHIPRの試験結果が、プローブPRBを介して試験装置TESTDに出力される。この後、上下の転送モードと、左右の転送モードが繰り返されることで、半導体ウエハWAF上の全ての半導体チップCHIPの試験結果は、プローブPRBが接続された1つの半導体チップCHIPを介して試験装置TESTDに出力される。なお、試験結果の転送の具体例は、図15-図20に示す。
【0029】
図4は、図2に示した半導体装置SEMの電源配線の例を示している。図4において、網掛けの領域は、電源線VCCまたは接地線GNDの配線領域を示している。X印を付けた四角は、上層の金属配線と下層の金属配線とを接続するコンタクト(例えば、プラグ領域)を示している。例えば、図の横方向に延在する金属配線は、図の縦方向に延在する金属配線に比べて上層の配線層を用いて形成されている。
【0030】
この実施形態では、半導体ウエハWAF上を縦横に配線される電源線VCCおよび接地線GNDは、スクライブラインSCLを跨いで半導体ウエハWAF上の全ての半導体チップCHIPに電気的に接続されている。そして、電源線VCCおよび接地線GNDは、各半導体チップCHIPの電源パッドVCC、GNDに接続されている。
【0031】
半導体チップCHIPを試験するときには、図3に示したように、試験装置のプローブPRBは、半導体ウエハWAF上の1つの半導体チップCHIPに接続される。電源電圧VCCおよび接地電圧GNDは、プローブPRBを介して1つの半導体チップCHIPの電源パッドVCCおよび接地パッドGNDに供給され、電源線VCCおよび接地線GNDを介して全ての半導体チップCHIPに供給される。
【0032】
試験が完了した後、各半導体チップCHIPは、スクライブラインSCLをダイシングすることにより互いに切り離される。このとき、スクライブラインSCLを跨いでいる電源線VCCおよび接地線GNDは切断される。また、図2に示したスクライブラインSCL上に形成される信号線は、ダイシングにより失われる。
【0033】
なお、半導体チップCHIP上の電源パッドVCCおよび接地パッドGNDだけでは、半導体ウエハWAF上の全ての半導体チップCHIPに供給する電源電流を確保できないときがある。このとき、電源線VCCおよび接地線GNDにそれぞれ接続される電源パッドVCCおよび接地パッドGNDをスクライブラインSCL上に形成してもよい。そして、半導体装置SEMの試験中に、スクライブラインSCL上の電源パッドVCCおよび接地パッドGNDは、プローブPRBを介して試験装置TESTD(図10)に接続される。
【0034】
図5は、図2に示した試験信号発生回路TSGENの例を示している。試験信号発生回路TSGENは、試験データシフト信号TDSFTをクロック端子CKで受ける直列に接続されたフリップフロップ列FFR1と、試験データロード信号TDLDをクロック端子CKで受ける直列に接続されたフリップフロップ列FFR2とを有している。
【0035】
フリップフロップ列FFR1の初段のデータ入力端子Dは、直列の試験データTDを順次に受ける。フリップフロップ列FFR1の各フリップフロップのデータ出力端子Qは、フリップフロップ列FFR2の対応するフリップフロップのデータ入力端子Dに接続されている。フリップフロップ列FFR2の前段側の所定数のデータ出力端子Qは、並列のテストパターンTP(TP1−TPn)を出力する。フリップフロップ列FFR2の後段側の所定数のデータ出力端子Qは、並列の期待値データEXPD(EXPD1−EXPDm)を出力する。直列の試験データTDを順次に受けて並列の試験パターンTPに変換することで、試験に必要な端子数(パッド数)を減らすことができる。また、図2に示したように、スクライブラインSCL上に配線される信号線の数を最小限できる。この結果、半導体チップCHIPの面積およびスクライブラインSCLの面積を最小限にでき、半導体ウエハWAF上に形成できる半導体チップCHIPの数を増やすことができる。
【0036】
図6は、図5に示した試験信号発生回路TSGENの動作の例を示している。まず、図5に示したフリップフロップ列FFR1は、試験データシフト信号TDSFTに同期して直列の試験データTDを順次に受ける(図6(a))。例えば、n個の試験データTDが、試験パターンTP(1)としてフリップフロップ列FFR1の前段側のフリップフロップに保持される。
【0037】
次に、フリップフロップ列FFR2は、フリップフロップ列FFR1に保持されている試験パターンTP(1)を試験データロード信号TDLDに同期して取り込み、試験パターンTP1−TPn(1)として出力する(図6(b))。このとき、フリップフロップ列FFR2は、期待値データEXPDを保持していないため、期待値データEXPDは、無効データINVALIDである(図6(c))。図2に示した各半導体チップCHIPの回路ブロックCBLKは、試験パターンTP1−TPn(1)を受けて動作する。このとき、回路ブロックCBLKから比較回路CMPに出力データは出力されない。
【0038】
次に、フリップフロップ列FFR1は、試験データシフト信号TDSFTに同期して次の試験データTD(2)を順次に受ける(図6(d))。例えば、n個の試験データTDおよびm個の試験データが、試験パターンTP(2)および期待値データEXPD1−mとしてフリップフロップ列FFR1のフリップフロップに保持される。次に、フリップフロップ列FFR2は、フリップフロップ列FFR1に保持されている試験パターンTP(2)および期待値データEXPD1−mを試験データロード信号TDLDに同期して取り込み、試験パターンTP1−TPn(2)および期待値データEXPD1−mとして出力する(図6(e))。
【0039】
各半導体チップCHIPの回路ブロックCBLKは、試験パターンTP1−TPn(2)を受けて動作する。回路ブロックCBLKは、出力データを比較回路CMPに出力する。この後、比較回路CMPは、出力データと期待値データEXPD1−EXPDmとを比較し、回路ブロックCBLKの良否を判定する。
【0040】
図7は、図2に示した比較回路CMPの例を示している。比較回路CMPは、回路ブロックCBLKからの出力データの各ビットと期待値データEXPD1−EXPDmとを比較する排他的論理和回路XORと、排他的論理和回路XORの出力を受けるOR回路とを有している。出力データの各ビットの論理と期待値データEXPD1−EXPDmの論理とのいずれかが異なるとき、対応する排他的論理和回路XORは高論理レベルを出力する。OR回路は、全ての排他的論理和回路XORが低論理レベルを出力するとき、試験結果信号TRSLTを低論理レベルに設定する。OR回路は、排他的論理和回路XORの少なくとも1つが高論理レベルを出力するとき、試験結果信号TRSLTを高論理レベルに設定する。すなわち、比較回路CMPは、回路ブロックCBLKが正常に動作するときに低論理レベルの試験結果信号TRSLTを出力する。比較回路CMPは、回路ブロックCBLKが不良を有するとき、高論理レベルの試験結果信号TRSLTを出力する。
【0041】
図8は、図2に示した転送回路TRの例を示している。転送回路TRは、マルチプレクサMPX(MPXa、MPXb、MPXc、MPXd)とマルチプレクサMPXの出力にそれぞれ接続されたフリップフロップFF(FFa、FFb、FFc、FFd)を有する4つの転送部、およびOR回路を有している。各マルチプレクサMPXa−MPXdは、入力端子I0−I2で受ける信号のいずれかを、選択信号LOAD、SFTENの論理レベルに応じて、対応するフリップフロップFFa−dに出力する。OR回路は、クロック信号CLKaまたはCLKbをフリップフロップFFa−FFdのクロック端子CKに供給する。例えば、各フリップフロップFFa−FFdは、対応するマルチプレクサMPXa−MPXdから出力される試験結果を取り込み、取り込んだ試験結果を隣接する半導体チップCHIPの少なくともいずれかに出力する取込回路として動作する。
【0042】
マルチプレクサMPXaは、入力端子I0で図8の上側からの試験結果を示す信号UIを受け、入力端子I1で試験結果信号TRSLTを受け、入力端子I2で図8の右側からの試験結果を示す信号RI1を受けている。マルチプレクサMPXbは、入力端子I0で図8の上側からの試験結果を示す信号UIを受け、入力端子I1で試験結果信号TRSLTを受け、入力端子I2で図8の左側からの試験結果を示す信号LI1を受けている。
【0043】
マルチプレクサMPXcは、入力端子I0で図8の下側からの試験結果を示す信号DIを受け、入力端子I1で試験結果信号TRSLTを受け、入力端子I2で図8の右側からの試験結果を示す信号RI2を受けている。マルチプレクサMPXdは、入力端子I0で図8の下側からの試験結果を示す信号DIを受け、入力端子I1で試験結果信号TRSLTを受け、入力端子I2で図8の左側からの試験結果を示す信号LI2を受けている。
【0044】
なお、半導体チップCHIPへの入力信号線LI1−2、TRSLT、UI、RI1−2、DI、CLKa、CLKb、LOAD、SFTENは、プルダウン抵抗PDに接続されている。半導体チップCHIPがダイシングにより個別に切り離されたときに、入力ノードは、プルダウン抵抗PDにより低論理レベルに固定され、フローティング状態になることが防止される。これにより、半導体チップCHIPが製品に搭載されたときに、転送回路TRが誤動作することを防止でき、半導体チップCHIPが誤動作することを防止できる。
【0045】
転送回路TRは、試験結果信号TRSLTの取り込みモードに設定されているときに、クロック信号CLKaに同期してフリップフロップFFa−FFdに試験結果信号TRSLTを取り込む。転送回路TRは、フリップフロップFFa−FFdに取り込んだ試験結果信号TRSLTを、転送信号LO1、LO2、RO1、RO2、UO、DOとして、図2の上下左右に隣接する半導体チップCHIPの転送回路TRに出力する。転送信号LO1、LO2は、左側の半導体チップCHIPに出力される。転送信号RO1、RO2は、右側の半導体チップCHIPに出力される。転送信号UOは、上側の半導体チップCHIPに出力される。転送信号DOは、下側の半導体チップCHIPに出力される。転送信号LO1、LO2、RO1、RO2は、試験結果出力端子TO1−TO4にも出力される。
【0046】
転送回路TRは、上下の転送モードに設定されているときに、クロック信号CLKaに同期して、上側の半導体チップCHIPから信号線UIを介して供給される試験結果をフリップフロップFFa、FFbに取り込む。フリップフロップFFa、FFbに取り込まれた試験結果は、信号線LO1、RO1、DOを介して左側、右側、下側の半導体チップCHIPに出力される。試験結果は、試験結果出力端子TO1、TO3にも出力される。また、転送回路TRは、上下の転送モードに設定されているときに、クロック信号CLKaに同期して、下側の半導体チップCHIPから信号線DIを介して供給される試験結果をフリップフロップFFc、FFdに取り込む。フリップフロップFFc、FFdに取り込まれた試験結果は、信号線LO2、RO2、UOを介して左側、右側、上側の半導体チップCHIPに出力される。試験結果は、試験結果出力端子TO2、TO4にも出力される。
【0047】
転送回路TRは、左右の転送モードに設定されているときに、クロック信号CLKbに同期して、右側からの半導体チップCHIPから信号線RI1を介して供給される試験結果をフリップフロップFFaに取り込む。フリップフロップFFaに取り込まれた試験結果は、信号線LO1を介して左側の半導体チップCHIPに出力される。試験結果は、試験結果出力端子TO1にも出力される。
【0048】
転送回路TRは、左右の転送モードに設定されているときに、クロック信号CLKbに同期して、左側の半導体チップCHIPから信号線LI1を介して供給される試験結果をフリップフロップFFbに取り込む。フリップフロップFFbに取り込まれた試験結果は、信号線RO1、DOを介して右側と下側の半導体チップCHIPに出力される。試験結果は、試験結果出力端子TO3にも出力される。
【0049】
転送回路TRは、左右の転送モードに設定されているときに、クロック信号CLKbに同期して、右側からの半導体チップCHIPから信号線RI2を介して供給される試験結果をフリップフロップFFcに取り込む。フリップフロップFFcに取り込まれた試験結果は、信号線LO2、UOを介して左側と上側の半導体チップCHIPに出力される。試験結果は、試験結果出力端子TO2にも出力される。
【0050】
転送回路TRは、左右の転送モードに設定されているときに、クロック信号CLKbに同期して、左側からの半導体チップCHIPから信号線LI2を介して供給される試験結果をフリップフロップFFdに取り込む。フリップフロップFFdに取り込まれた試験結果は、信号線RO2を介して右側の半導体チップCHIPに出力される。試験結果は、試験結果出力端子TO4にも出力される。
【0051】
図9は、図8に示したマルチプレクサMPXbの例を示している。マルチプレクサMPXbは、NOR回路、AND回路およびスイッチ回路SW0−SW3を有している。NOR回路は、選択信号LOAD、SFTENがともに低論理レベルのときに、選択信号SEL0を高論理レベルに設定する。AND回路は、選択信号LOADが低論理レベルで選択信号SFTENが高論理レベルのとき、選択信号SEL2を高論理レベルに設定する。選択信号SEL1は、選択信号LOADが高論理レベルのとき高論理レベルに設定される。
【0052】
スイッチ回路SW0は、選択信号SEL0が高論理レベルのときにオンし、入力端子I0で受けている信号UIを出力端子OUTに出力する。スイッチ回路SW1は、選択信号SEL1が高論理レベルのときにオンし、入力端子I1で受けている試験結果信号TRSLTを出力端子OUTに出力する。スイッチ回路SW2は、選択信号SEL2が高論理レベルのときにオンし、入力端子I2で受けている信号DIを出力端子OUTに出力する。図8に示した他のマルチプレクサMPXa、MPXc、MPXdは、入力端子I0−I2で受ける信号が異なることを除き、マルチプレクサMPXbと同じ回路である。マルチプレクサMPXa−MPXdの動作は、図11に示す。
【0053】
図10は、図2に示した半導体装置SEMを試験する試験装置TESTDの例を示している。試験装置TESTDは、テスタTSTと、プローブPRBを有するプローバPRBRとを有している。例えば、テスタTSTは、LSI用のロジックテスタである。プローバPRBRは、テスタTSTから受ける信号TDSFT、TD、TDLD、LOAD、CLKa、CLKb、SFTENおよび電源電圧VCC、GNDをプローブPRBを介して半導体チップCHIPに出力し、半導体チップCHIPから受ける信号LO1、LO2、RO1、RO2をプローブPRBを介してテスタTSTに出力する。なお、実際の半導体チップCHIPでは、電源端子VCC、GNDの数は多く、回路ブロックCBLKを動作するための信号のパッドも形成されている。
【0054】
この実施形態では、テスタTSTは、図3に示した半導体ウエハWAF上の全ての半導体チップCHIPの試験結果を、プローブPRBが接続された1つの半導体チップCHIPの出力端子LO1−2、RO1−2のみを使用して受けることができる。このため、プローバPRBRは、1つの半導体チップCHIPのパッドにプローブPRBを接触させた後に、全ての半導体チップCHIPの試験が完了するまでプローブPRBを移動させる必要がない。この結果、プローブPRBの移動回数を最小限にでき、試験時間を短縮できる。以降の説明では、プローブPRBが接触される半導体チップCHIPをマスタチップMCHIPとも称する。
【0055】
例えば、1000個の半導体チップCHIPが半導体ウエハWAF上に形成され、各半導体チップCHIPにプローブPRBを接触させて試験するとき、プローブPRBの移動回数は999回である。プローブPRBの移動時間の平均を500msとすると、999回の移動に必要な時間は約500秒である。この実施形態では、プローブPRBの移動が不要になるため、移動時間をゼロにできる。
【0056】
図11は、図8に示したマルチプレクサMPXa−MPXdの動作の例を示している。各マルチプレクサMPXa−MPXdは、選択信号LOAD、SFTENの論理レベルに応じて、選択信号SEL0−2のいずれかを高論理レベルHに設定し、対応するスイッチ回路(SW0−2のいずれか)をオンする。
【0057】
具体的には、選択信号LOAD、SFTENがともに低論理レベルのとき、試験での動作モードは上下の転送モードであり、スイッチSW0がオンする。選択信号LOADが低論理レベルで選択信号SFTENが高論理レベルのとき、試験での動作モードは左右の転送モードであり、スイッチSW2がオンする。選択信号LOADが高論理レベルのとき、試験での動作モードは試験結果信号TRSLTの取り込みモードであり、スイッチSW1がオンする。
【0058】
図12は、図2に示した半導体装置SEMにおいて、試験結果TRSLTをフリップフロップFFa−FFdに取り込む動作の例(試験結果信号TRSLTの取り込みモード)を示している。太い矢印は、フリップフロップFFa−FFdに取り込まれる信号の流れを示している。転送回路TRを示す枠は、半導体チップCHIPの枠も示している。試験結果TRSLTは、図11に示したように、選択信号LOADが高論理レベルのとき、図8に示したクロック信号CLKaに同期して全てのフリップフロップFFa−FFdに取り込まれる。
【0059】
フリップフロップFFa−FFdへの取り込みは、クロック信号CLKaに同期して実施される。このため、試験結果TRSLTは、半導体ウエハWAF上の全ての半導体チップCHIPのフリップフロップFFa−FFdにそれぞれ取り込まれる。
【0060】
図13は、図2に示した半導体装置SEMにおいて、上下の半導体チップCHIPからの試験結果をフリップフロップFFa−FFdに取り込む動作の例(上下の転送モード)を示している。太い矢印は、フリップフロップFFa−FFdに取り込まれる信号の流れを示している。転送回路TRを示す枠は、半導体チップCHIPの枠も示している。試験結果は、図11に示したように、選択信号LOAD、SFTENがともに低論理レベルのとき、図8に示したクロック信号CLKaに同期してフリップフロップFFa−FFbまたはFFc−FFdに取り込まれる。フリップフロップFFa−FFbは、図13において上側に隣接する半導体チップCHIPのフリップフロップFFbからの試験結果を取り込む。フリップフロップFFc−FFdは、図13において下側に隣接する半導体チップCHIPのフリップフロップFFcからの試験結果を取り込む。
【0061】
フリップフロップFFa−FFdへの試験結果の取り込みは、クロック信号CLKaに同期して実施される。このため、隣接する半導体チップCHIPからの試験結果は、半導体ウエハWAF上の全ての半導体チップCHIPのフリップフロップFFa−FFdにそれぞれ取り込まれる。
【0062】
図14は、図2に示した半導体装置SEMにおいて、左右の半導体チップCHIPからの試験結果をフリップフロップFFa−FFdに取り込む動作の例(左右の転送モード)を示している。太い矢印は、フリップフロップFFa−FFdに取り込まれる信号の流れを示している。転送回路TRを示す枠は、半導体チップCHIPの枠も示している。試験結果は、図11に示したように、選択信号LOADが低論理レベルで選択信号SFTENが高論理レベルのとき、図8に示したクロック信号CLKbに同期してフリップフロップFFa、FFcまたはFFb、FFdに取り込まれる。
【0063】
クロック信号CLKbは、プローブPRBが接触される半導体チップCHIP(マスタチップMCHIP)を含むチップ列CHIPRのみに供給される。図14では、マスタチップMCHIPを太い四角枠で示している。マスタチップMCHIPを含むチップ列CHIPRのフリップフロップFFa、FFcには、図14において右側に隣接する半導体チップCHIPのフリップフロップFFa、FFcからの試験結果が取り込まれる。マスタチップMCHIPを含むチップ列CHIPRのフリップフロップFFb、FFdには、図14において左側に隣接する半導体チップCHIPのフリップフロップFFb、FFdからの試験結果が取り込まれる。
【0064】
マスタチップMCHIPを含むチップ列CHIPRを除く半導体チップCHIPでは、図8に示したクロック端子CLKbおよび選択端子SFTENは、フローティング状態に設定され、プルダウン抵抗PDにより低論理レベルに固定される。したがって、チップ列CHIPRを除く半導体チップCHIPのフリップフロップFFa−FFdは動作せず、フリップフロップFFa−FFdに取り込まれている試験結果は保持される。
【0065】
図15−図20は、図10に示した試験装置TESTDにより半導体チップの試験結果を読み出す例を示している。図15−図20では、説明を簡単にするために、半導体ウエハWAF内に12個の半導体チップA−Lが形成される例を示している。図2に示した比較回路CMPからの試験結果信号TRSLTの転送経路は省略している。この例では、太い四角枠で示すチップEにプローブPRBが接続され、チップEはマスタチップMCHIPとして動作する。各チップA−L内の4つの小さな四角は、フリップフロップFFa−FFdを示している。フリップフロップFFa−FFdを示す四角中の符号は、フリップフロップFFa−FFdがチップA−Lのいずれの試験結果を保持しているかを示している。
【0066】
まず、図15に示すように、図10に示した試験装置TESTDは、各チップA−Lに試験パターンTPを同時に供給し、回路ブロックCBLKの試験を実施する。この後、試験装置TESTDは、各チップA−Lを試験結果TRSLTの取り込みモードに設定し、フリップフロップFFa−FFdに試験結果TRSLTを取り込む。各チップA−LのフリップフロップFFa−FFdは、自分自身の試験結果を保持する。この状態で、マスタチップMCHIPであるチップEの試験結果は、図8に示した試験結果出力端子TO1−TO4に出力される。試験装置TESTDは、チップEの試験結果をプローブPRBを介して読み込み、チップEの良否を判定する。
【0067】
次に、図16に示すように、試験装置TESTDは、動作モードを左右の転送モードに設定する。左右の転送モードでは、マスタチップMCHIPを含むチップC、D、E、Fのみにクロック信号CLKbが供給される。そして、チップC、D、E、FのフリップフロップFFa−FFdに保持された試験結果が、横方向D2に隣接する他のチップC、D、E、Fに転送される。これにより、チップF、Dの試験結果は、マスタチップMCHIPのフリップフロップFFa−FFdに保持され、マスタチップMCHIPの試験結果出力端子TO1−TO4から出力される。試験装置TESTDは、プローブPRBを介してチップD、Fの試験結果を読み込み、チップD、Fの良否を判定する。
【0068】
なお、クロック信号CLKbは、チップA、B、G−Lに供給されない。このため、チップA、B、G−LのフリップフロップFFa−FFdに保持された試験結果は、そのまま保持される。図16−図20において、フリップフロップFFa−FFdに保持される符号Xは、無効な試験結果を示す。
【0069】
同様に、図17に示すように、試験装置TESTDは、チップC、D、E、FのフリップフロップFFa−FFdに保持されている試験結果を横方向D2に隣接するチップC、D、E、Fに転送する。そして、試験装置TESTDは、チップCの試験結果を読み込み、チップCの良否を判定する。これにより、試験装置TESTDは、マスタチップMCHIPを含む横方向D2に隣接するチップC、D、E、Fの試験結果の判定を完了する。
【0070】
次に、図18に示すように、試験装置TESTDは、各チップA−Lを上下の転送モードに設定し、各チップA−LのフリップフロップFFa−FFdに保持されている試験結果を縦方向D1に隣接するチップA−Lに転送する。これにより、チップGの試験結果はチップCに転送される。チップA、Hの試験結果はチップDに転送される。チップB、Iの試験結果はチップEに転送される。チップJの試験結果はチップFに転送される。試験装置TESTDは、プローブPRBを介してチップB、Iの試験結果を読み込み、チップB、Iの良否を判定する。
【0071】
次に、図19に示すように、図16および図17と同様に、試験装置TESTDは、マスタチップMCHIPを含むチップC、D、E、Fを左右の転送モードに設定し、フリップフロップFFa−FFdに保持されている試験結果を横方向D2に隣接するチップC、D、E、Fに転送する。そして、試験装置TESTDは、チップEに転送されたチップA、H、Jの試験結果を読み込み、チップA、H、Jの良否を判定する。さらに、試験装置TESTDは、横方向D2の転送を実施し、チップEに転送されたチップGの試験結果を読み込み、チップGの良否を判定する。
【0072】
次に、図20に示すように、図18と同様に、試験装置TESTDは、各チップA−Lを上下の転送モードに設定し、各チップA−LのフリップフロップFFa−FFdに保持されている試験結果を縦方向D1に隣接するチップA−Lに転送する。これにより、チップK、Lの試験結果はチップD、Eにそれぞれ転送される。試験装置TESTDは、プローブPRBを介してチップLの試験結果を読み込み、チップLの良否を判定する。この後、図16と同様に、横方向D2の転送が実施され、チップKの試験結果がチップEに転送される。試験装置TESTDは、プローブPRBを介してチップKの試験結果を読み込み、チップKの良否を判定する。以上により、試験装置TESTDは、プローブPRBを移動することなく、半導体ウエハWAF上の全てのチップA−Lの試験結果を読み込み、チップA−Lの良否を判定できる。
【0073】
以上、この実施形態においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、転送回路TRは、上からの試験結果を保持するフリップフロップFFa、FFbと、下からの試験結果を保持するフリップフロップFFc、FFdを有している。このため、上下の転送モードにおいて、マスタチップMCHIPの下側のチップ列からの試験結果と、マスタチップMCHIPの上側のチップ列からの試験結果とを、マスタチップMCHIPを含むチップ列に同時に転送できる。したがって、上下の転送モードでの転送回数を減らすことができ、試験時間をさらに短縮できる。
【0074】
左右の転送モードにおいて、フリップフロップFFa−FFdは、横方向D2に並ぶ半導体チップCHIPの列に共通に供給されるクロック信号CLKbに同期して動作する。また、マルチプレクサMPXa−MPXdは、横方向D2に並ぶ半導体チップCHIPの列に共通に供給される選択信号SFTENの高論理レベルを受けて、左右の転送モードとして動作する。これにより、マスタチップMCHIPとともに横方向D2に並ぶチップ列を除く半導体チップCHIPで、試験結果が左右方向に転送されることを防止できる。良否の判定に関与しない半導体チップCHIPの試験結果が無駄に移動することを防止できるため、転送動作の回数を最小限にでき、試験時間をさらに短縮できる。
【0075】
左右の転送モードにおいて、マスタチップMCHIPとともに横方向D2に並ぶチップ列を除く半導体チップCHIPでは、クロック端子CLKbおよび選択端子SFTENは、フローティング状態に設定される。しかし、これ等クロック端子CLKbおよび選択端子SFTENは、プルダウン抵抗PDにより低論理レベルに固定される。これにより、マスタチップMCHIPを含むチップ列が左右の転送モードのときに、他の半導体チップCHIPは、上下の転送モードになる。しかし、左右の転送モードでは、クロック信号CLKaが供給されないため、試験結果が上下に隣接する半導体チップCHIP間で転送されることはない。この結果、マスタチップMCHIPを含むチップ列を除くチップ列で、試験結果が上下方向に転送されることを防止でき、転送回路TRに保持されている試験結果が移動することを防止できる。この結果、転送回路TRの誤動作を防止できる。
【0076】
図21は、別の実施形態における転送回路TRの例を示している。図8と同じ要素については、同じ符号を示し、詳細な説明は省略する。この実施形態では、半導体装置SEMは、図1および図2と同様に、シリコン等の半導体ウエハ上にスクライブラインSCLを挟んでマトリックス状に配置された複数の半導体チップCHIPを有している。スクライブラインSCLには、選択信号SFT0ENを伝達する制御信号線が図8に対して追加されている。全ての半導体チップCHIPの選択端子SFT0ENは、スクライブラインSCL上に形成された制御信号線を介して互いに接続されている。また、選択端子SFT0ENは、プルダウン抵抗PDに接続されている。選択信号SFT1ENは、図9に示した選択信号SFTENの代わりに供給される。
【0077】
転送回路TRは、マルチプレクサMPX(MPXa、MPXb)、マルチプレクサMPXに対応するフリップフロップFF(FFa、FFb)およびOR回路を有している。各マルチプレクサMPXa−MPXbは、選択信号LOAD、SFT0EN、SFT1ENの論理レベルに応じて入力端子I0−I3で受ける信号のいずれかを、対応するフリップフロップFFa−FFbに出力する。OR回路は、クロック信号CLKaまたはCLKbをフリップフロップFFa−FFbのクロック端子CKに供給する。各半導体チップCHIPのその他の構成は、図2および図8と同様である。すなわち、半導体チップCHIP内に形成される試験信号発生回路TSGENおよび回路ブロックCBLKは、図2と同じである。比較回路CMPは、試験結果信号TRSLTの論理レベルを保持するラッチ回路を図2の比較回路CMPに追加している。これにより、回路ブロックCBLKの試験結果は、転送回路TRによる試験結果の転送中も比較回路CMPにより保持される。
【0078】
マルチプレクサMPXaは、入力端子I0で図21の上側の半導体チップCHIPからの試験結果を示す信号UIを受け、入力端子I1で試験結果信号TRSLTを受けている。また、マルチプレクサMPXaは、入力端子I2で図21の下側の半導体チップCHIPからの試験結果を示す信号DIを受け、入力端子I3で図21の右側の半導体チップCHIPからの試験結果を示す信号RI1を受けている。
【0079】
マルチプレクサMPXbは、入力端子I0で図21の上側の半導体チップCHIPからの試験結果を示す信号UIを受け、入力端子I1で試験結果信号TRSLTを受けている。また、マルチプレクサMPXbは、入力端子I2で図21の下側の半導体チップCHIPからの試験結果を示す信号DIを受け、入力端子I3で図21の左側の半導体チップCHIPからの試験結果を示す信号LI1を受けている。
【0080】
この実施形態では、マルチプレクサMPXa、MPXbの4つの入力端子I0−I3に対応して、4つの動作モードを有している。すなわち、転送回路TRは、上から下への転送モード、試験結果信号TRSLTの取り込みモード、左右の転送モードおよび下から上への転送モードを有している。
【0081】
転送回路TRは、試験結果信号TRSLTの取り込みモードに設定されているときに、クロック信号CLKaに同期してフリップフロップFFa、FFbに試験結果信号TRSLTを取り込む。転送回路TRは、フリップフロップFFa−FFbに取り込んだ試験結果信号TRSLTを、転送信号LO1、RO1、UO、DOとして、図21の上下左右に隣接する半導体チップCHIPの転送回路TRに出力する。左右の転送モードに設定されているときの転送回路TRの動作は、図8に示したフリップフロップFFa、FFbの動作と同じである。
【0082】
転送回路TRは、上から下への転送モードに設定されているときに、クロック信号CLKaに同期して、上側の半導体チップCHIPから信号線UIを介して供給される試験結果をフリップフロップFFa、FFbに取り込む。フリップフロップFFa、FFbに取り込まれた試験結果は、信号線LO1、RO1、DO、UOを介して左側、右側、下側、上側の半導体チップCHIPに出力される。試験結果は、試験結果出力端子TO1、TO3にも出力される。
【0083】
また、転送回路TRは、下から上への転送モードに設定されているときに、クロック信号CLKaに同期して、下側の半導体チップCHIPから信号線DIを介して供給される試験結果をフリップフロップFFa、FFbに取り込む。フリップフロップFFa、FFbに取り込まれた試験結果は、信号線LO1、RO1、UO、DOを介して左側、右側、上側、下側の半導体チップCHIPに出力される。試験結果は、試験結果出力端子TO1、TO3にも出力される。
【0084】
図22は、図21に示したマルチプレクサMPXa−MPXbの動作の例を示している。各マルチプレクサMPXa−bは、選択信号LOAD、SFT0EN、SFT1ENの論理レベルに応じて、入力信号を受けるために入力端子I0−I3のいずれかを有効にする。選択信号LOADが高論理レベルHのとき、選択信号SFT0EN、SFT1ENの論理レベルに拘わりなく、試験での動作モードは、試験結果信号TRSLTの取り込みモードに設定される。
【0085】
選択信号LOADが低論理レベルLのとき、試験での動作モードは、隣接する半導体チップCHIP(上下左右)から試験結果を転送するモードに設定される。例えば、選択信号SFT1ENが低論理レベルLのとき、選択信号SFT0ENの論理レベルに応じて、試験での動作モードは、上から下への転送モードまたは下から上への転送モードに設定される。選択信号SFT0ENが低論理レベルLで選択信号SFT1ENが高論理レベルHのとき、試験での動作モードは左右の転送モードに設定される。
【0086】
図23−図27は、図21に示した半導体チップCHIPの試験結果を読み出す例を示している。例えば、試験結果の読み出しは、図10に示した試験装置TESTDにより実施される。図15−図20と同じ要素については、同じ符号を示し、詳細な説明は省略する。図23−図27では、説明を簡単にするために、半導体ウエハWAF内に12個の半導体チップA−Lが形成される例を示している。図2に示した比較回路CMPからの試験結果信号TRSLTの転送経路は省略している。この例では、太い四角枠で示すチップEにプローブPRBが接続され、チップEはマスタチップMCHIPとして動作する。各チップA−L内の2つの小さな四角は、フリップフロップFFa−FFbを示している。
【0087】
まず、図23では、図15と同様に、試験装置TESTDは、各チップA−Lの回路ブロックCBLKの試験を同時に実施する。この後、動作モードが試験結果TRSLTの取り込みモードに設定され、各チップA−Lの試験結果TRSLTは、フリップフロップFFa−FFdに取り込まれる。試験装置TESTDは、マスタチップMCHIPであるチップEの試験結果をプローブPRBを介して読み込み、チップEの良否を判定する。
【0088】
次に、図24および図25に示すように、試験装置TESTDは、動作モードを左右の転送モードに設定する。左右の転送モードでは、マスタチップMCHIPを含むチップC、D、E、Fに供給されるクロック信号CLKbに同期して転送動作が実施される。このため、チップA、B、G−Lに保持された試験結果は、そのまま保持される。試験装置TESTDは、マスタチップMCHIPを含むチップC、D、E、FのフリップフロップFFa−FFdに保持されている試験結果を横方向D2に隣接するチップC、D、E、Fに順次に転送する。これにより、図16および図17と同様に、チップF、D(図24)およびチップC(図25)の試験結果がマスタチップMCHIPのフリップフロップFFa−FFdに順次に保持され、良否が判定する。
【0089】
次に、図26に示すように、動作モードが下から上への転送モードに設定される。試験装置TESTDは、チップD−E、G−LのフリップフロップFFa−FFdに保持されている試験結果を縦方向D1に隣接するチップA−Jに転送する。これにより、チップG−Jの試験結果は、マスタチップMCHIPを含むチップC−Fの列に転送される。チップK、Lの試験結果はチップH、Iに転送される。試験装置TESTDは、プローブPRBを介してチップIの試験結果を読み込み、チップIの良否を判定する。
【0090】
次に、図27に示すように、図24および図25と同様に、試験装置TESTDは、マスタチップMCHIPを含むチップC、D、E、Fを左右の転送モードに設定し、フリップフロップFFa−FFdに保持されている試験結果を横方向D2に隣接するチップC、D、E、Fに順次に転送する。そして、試験装置TESTDは、チップEに転送されたチップH、JおよびチップGの試験結果を順次に読み込み、良否を判定する。
【0091】
さらに、試験装置TESTDは、図26と同様に、動作モードを下から上への転送モードに設定し、チップH、Iに保持されたチップK、Lの試験結果をチップD、Eに転送する。試験装置TESTDは、チップLの試験結果を読み込み、良否を判定する。この後、動作モードが左右の転送モードに設定され、チップDに保持されたチップKの試験結果がチップEに転送され、チップKの良否が判定される。
【0092】
次に、動作モードが試験結果TRSLTの取り込みモードに設定され、全てのチップA−Lに試験結果が再度取り込まれる。この後、動作モードが上から下への転送モードに設定され、チップA、BのフリップフロップFFa−FFbに保持されている試験結果は、チップD、Eに転送される。チップBの良否が判定された後、動作モードが左右の転送モードに設定され、チップDに保持されたチップAの試験結果がチップEに転送される。そして、チップAの良否が判定され、全てのチップA−Lの良否の判定が完了する。
【0093】
以上、この実施形態においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、2つのマルチプレクサMPXa、PMXbおよび2つのフリップフロップFFa−FFbによっても、試験結果を隣接する半導体チップCHIPに順次に転送できる。この結果、回路規模の小さい転送回路TRを用いて、試験時間を短縮でき、製造コストを削減できる。
【0094】
図28は、別の実施形態における転送回路TRの例を示している。図8および図21と同じ要素については、同じ符号を示し、詳細な説明は省略する。この実施形態では、半導体装置SEMは、図1と同様に、シリコン等の半導体ウエハ上にスクライブラインSCLを挟んでマトリックス状に配置された複数の半導体チップCHIPを有している。スクライブラインSCLの構造は、図21と同じである。
【0095】
半導体装置SEM(すなわち、半導体ウエハWAF)は、図21の選択信号線SFT1ENに加えて、選択信号線SFT2ENを有している。選択信号線SFT1EN、SFT2ENは、図28の横方向D2に並ぶ半導体チップCHIPの選択端子SFT1EN、SFT2ENにそれぞれ選択信号SFT1EN、SFT2ENを供給する。選択信号線SFT1EN、SFT2ENは、各半導体チップCHIP上でプルダウン抵抗PDに接続されている。
【0096】
半導体装置SEMおよび半導体チップCHIPのその他の構成は、転送回路TRが異なることを除き、図21と同じである。すなわち、半導体チップCHIP内に形成される試験信号発生回路TSGENおよび回路ブロックCBLKは、図2と同じである。比較回路CMPは、試験結果信号TRSLTの論理レベルを保持するラッチ回路を図2の比較回路CMPに追加している。これにより、回路ブロックCBLKの試験結果は、転送回路TRによる試験結果の転送中も比較回路CMPにより保持される。
【0097】
転送回路TRは、マルチプレクサMPX、デマルチプレクサDMPX、フリップフロップFFおよびOR回路を有している。マルチプレクサMPXは、選択信号LOAD、SFT0EN、SFT1EN、SFT2ENの論理レベルに応じて入力端子I0−I4で受ける信号のいずれかを、フリップフロップFFに出力する。デマルチプレクサDMPXは、選択信号SFT0EN、SFT1EN、SFT2ENの論理レベルに応じてフリップフロップFFから出力される信号を出力端子O0−O3(信号線DO、RO1、LO1、UO)のいずれかに出力する。OR回路は、クロック信号CLKaまたはCLKbをフリップフロップFFのクロック端子CKに供給する。
【0098】
図29は、図28に示したマルチプレクサMPXおよびデマルチプレクサDMPXの動作の例を示している。マルチプレクサMPXは、選択信号LOAD、SFT0EN、SFT1EN、SFT2ENの論理レベルに応じて、入力端子I0−I4のいずれかを有効にする。有効ないずれかの入力端子I0−I3に供給される信号は、フリップフロップFFのデータ入力端子Dに伝達される。デマルチプレクサDMPXは、選択信号SFT0EN、SFT1EN、SFT2ENの論理レベルに応じて、フリップフロップFFのデータ出力端子Qからの信号を出力端子O0−O3のいずれかに出力する。
【0099】
選択信号LOADが高論理レベルHのとき、選択信号SFT0EN、SFT1EN、SFT2ENの論理レベルに拘わりなく、試験での動作モードは、試験結果信号TRSLTの取り込みモードに設定される。例えば、試験結果信号TRSLTの取り込みモード中、デマルチプレクサDMPXは、出力端子O1を有効にし、フリップフロップFFに保持された試験結果TRSLTを、試験結果出力端子TO3に出力する。
【0100】
選択信号LOADが低論理レベルLのとき、試験での動作モードは、隣接する半導体チップCHIP(上下左右)から試験結果を転送するモードに設定される。例えば、選択信号SFT1EN、SFT2ENがともに低論理レベルLのとき、試験での動作モードは、選択信号SFT0ENの論理レベルに応じて下から上への転送モードまたは上から下への転送モードに設定される。選択信号SFT0ENが低論理レベルLで選択信号SFT1ENが高論理レベルHのとき、試験での動作モードは、選択信号SFT2ENの論理レベルに応じて左から右への転送モードまたは右から左への転送モードに設定される。
【0101】
この実施形態では、例えば、図10に示した試験装置TESTDを用いて、半導体装置SEM(半導体ウエハWAF)内の半導体チップCHIPの試験が実施され、プローブPRBを移動させることなく全ての半導体チップCHIPの良否が判定される。試験の基本的な流れは、左右の転送モードが左から右への転送モードと、右から左への転送モードに分けられていることを除き、図23−図27で説明した動作と同じである。以下に、この実施形態の試験の流れの概要を示す。
(1)半導体ウエハWAF内の全ての半導体チップCHIPに同時に試験パターンが供給され、各半導体チップCHIPの回路ブロックCBLKの試験が実施される。
(2)試験結果TRSLTの取り込みモードにおいて、各半導体チップCHIPの試験結果が転送回路TRに取り込まれる。
(3)プローブPRBが接触されたマスタチップMCHIPの良否が判定される。
(4)左から右への転送モードにおいて、試験結果の転送が実施され、マスタチップMCHIPの左側に位置する半導体チップCHIPの良否が順次に判定される。
(5)上記(2)が実施される。
(6)右から左への転送モードにおいて、試験結果の転送が実施され、マスタチップMCHIPの右側に位置する半導体チップCHIPの良否が順次に判定される。
(7)上記(2)が実施された後、下から上への転送モードにおいて、マスタチップMCHIPの下側のチップ列から試験結果が転送される。この後、上記(4)が実施される。
(8)上記(2)が実施された後、下から上への転送モードにおいて、マスタチップMCHIPの下側のチップ列から試験結果が転送される。この後、上記(6)が実施される。
(9)この後、上記(7)、(8)において、「下から上への転送モード」の代わりに「上から下への転送モード」に設定され、試験結果の転送と、半導体チップCHIPの良否の判定が実施される。
【0102】
なお、上記(7)、(8)および上記(8)、(9)は、チップ列の数に応じて複数回繰り返される。
【0103】
以上、この実施形態においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、マルチプレクサMPX、デマルチプレクサDPMXおよびフリップフロップFFによっても、試験結果を隣接する半導体チップCHIPに順次に転送できる。この結果、回路規模のさらに小さい転送回路TRを用いて、試験時間を短縮でき、製造コストを削減できる。
【0104】
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点および利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲がその精神および権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図するものである。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更に容易に想到できるはずであり、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および均等物に拠ることも可能である。
【符号の説明】
【0105】
CBLK‥回路ブロック;CHIP‥半導体チップ;CMP‥比較回路;DMPX‥デマルチプレクサ;FF‥フリップフロップ;MPX‥マルチプレクサ;PRB‥プローブ;PRBR‥プローバ;SCL‥スクライブライン;SEM‥半導体装置;TESTD‥試験装置;TR‥転送回路;TSGEN‥試験信号発生回路;TST‥テスタ;WAF‥半導体ウエハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の半導体チップを備え、
前記各半導体チップは、
試験信号に応じて試験される回路ブロックと、
前記回路ブロックから出力される試験結果を、隣接する半導体チップの少なくともいずれかと試験結果出力端子とに出力するとともに、隣接する半導体チップから転送される試験結果を隣接する別の半導体チップと前記試験結果出力端子とに出力する転送回路と
を備えていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記転送回路は、
前記回路ブロックからの試験結果、第1方向の一方側に隣接する半導体チップからの試験結果、および前記第1方向に交差する第2方向の一方側に隣接する半導体チップからの試験結果のいずれかを受け、受けた試験結果を前記第2方向の他方側に隣接する半導体チップに転送する第1転送部と、
前記回路ブロックからの試験結果、前記第1方向の一方側に隣接する半導体チップからの試験結果、および前記第2方向の他方側に隣接する半導体チップからの試験結果のいずれかを受け、受けた試験結果を前記第1方向の他方側に隣接する半導体チップおよび前記第2方向の一方側に隣接する半導体チップに転送する第2転送部と、
前記回路ブロックからの試験結果、前記第1方向の他方側に隣接する半導体チップからの試験結果、および前記第2方向の一方側に隣接する半導体チップからの試験結果のいずれかを受け、受けた試験結果を前記第1方向の一方側に隣接する半導体チップおよび前記第2方向の他方側に隣接する半導体チップに転送する第3転送部と、
前記回路ブロックからの試験結果、前記第1方向の他方側に隣接する半導体チップからの試験結果、および前記第2方向の他方側に隣接する半導体チップからの試験結果のいずれかを受け、受けた試験結果を前記第2方向の一方側に隣接する半導体チップに転送する第4転送部と
を備えていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1、第2、第3および第4転送部の各々は、
前記回路ブロックからの試験結果、前記第1方向に隣接する半導体チップからの試験結果、および前記第2方向に隣接する半導体チップからの試験結果のいずれかを選択信号に応じて選択するマルチプレクサと、
前記マルチプレクサから出力される試験結果を取り込み、取り込んだ試験結果を隣接する半導体チップの少なくともいずれかに出力する取込回路と
を備えていることを特徴とする請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記回路ブロックからの試験結果を受ける第1転送モードと、
前記第1方向に隣接する半導体チップからの試験結果を受ける第2転送モードと、
前記第2方向に隣接する半導体チップからの試験結果を受ける第3転送モードと、
前記第1および第2転送モード中に、第1クロック信号を全ての半導体チップの前記取込回路に伝達する第1クロック信号線と、
前記第3転送モード中に、第2クロック信号を前記第2方向に並ぶ半導体チップの列の前記取込回路に伝達する第2クロック信号線と
を備えていることを特徴とする請求項3記載の半導体装置。
【請求項5】
前記マルチプレクサを前記第1転送モードで動作させるための第1選択信号を、全ての前記半導体チップに伝達する第1選択信号線と、
前記マルチプレクサを前記第2転送モードで動作させるための第2選択信号を、全ての前記半導体チップに伝達する第2選択信号線と、
前記マルチプレクサを前記第3転送モードで動作させるための第3選択信号を、前記第2方向に並ぶ前記半導体チップの列に伝達する第3選択信号線と
を備え、
前記マルチプレクサは、前記第1転送モード中に前記回路ブロックからの試験結果を選択し、前記第2転送モード中に前記第1方向に隣接する半導体チップからの試験結果を選択し、前記第3転送モード中に前記第2方向に隣接する半導体チップからの試験結果を選択すること
を特徴とする請求項4記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2011−196704(P2011−196704A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60895(P2010−60895)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】