説明

半導体装置

【課題】不揮発性であって、作製が簡単であり、追記が可能な記憶回路を有する半導体装置の提供を課題とする。
【解決手段】本発明の半導体装置は、複数のトランジスタと、前記トランジスタのソース配線又はドレイン配線として機能する導電層と、前記複数のトランジスタのうちの1つの上に設けられた記憶素子及びアンテナとして機能する導電層とを有し、前記記憶素子は、第1の導電層と、有機化合物層又は相変化層と、第2の導電層とが順に積層された素子であり、アンテナとして機能する前記導電層と前記複数のトランジスタのソース配線又はドレイン配線として機能する導電層とは、同じ層上に設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データの送受信が可能な半導体装置及びその作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、絶縁表面上に複数の回路が集積され、様々な機能を有する半導体装置の開発が進
められている。また、アンテナを設けることにより、無線によるデータの送受信が可能な
半導体装置の開発が進められている。このような半導体装置は、無線チップ(IDタグ、
ICタグ、ICチップ、RF(Radio Frequency)タグ、無線タグ、電子
タグ、RFID(Radio Frequency Identification)タ
グともよばれる)とよばれ、既に一部の市場で導入されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
基板上に集積する様々な回路として、データを記憶する記憶回路(単にメモリともよぶ
)を設けると、より高機能で、付加価値が高い半導体装置を提供することができる。記憶
回路としては、DRAM(Dynamic Random Access Memory
)、SRAM(Static Random Access Memory)、FeRA
M(Ferroelectric Random Access Memory)、マス
クROM(Mask Read Only Memory)、EPROM(Electr
ically Programmable Read Only Memory)、EE
PROM(Electrically Erasable and Programma
ble Read Only Memory)、フラッシュメモリなどが挙げられる。こ
のうち、DRAM、SRAMは揮発性の記憶回路であり、電源をオフするとデータが消去
されてしまうため、電源をオンする度にデータを書き込む必要がある。FeRAMは不揮
発性の記憶回路であるが、強誘電体層を含む容量素子を用いているため、作製工程が増加
してしまう。マスクROMは、簡単な構造であるが、製造工程でデータを書き込む必要が
あり、追記することはできない。EPROM、EEPROM、フラッシュメモリは、不揮
発性の記憶回路ではあるが、2つのゲート電極を含む素子を用いているため、作製工程が
増加してしまう。
【0004】
上記の実情を鑑み、本発明は、不揮発性であって、作製が簡単であり、追記が可能な記
憶回路を有する半導体装置及びその作製方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一は、絶縁層上に設けられたトランジスタと、前記トランジスタのソース配線
又はドレイン配線として機能する導電層と、前記トランジスタに重畳する記憶素子と、ア
ンテナとして機能する導電層とを有し、前記記憶素子は、第1の導電層と、有機化合物層
又は相変化層と、第2の導電層とが順に積層された素子であり、アンテナとして機能する
前記導電層と前記複数のトランジスタのソース配線又はドレイン配線として機能する導電
層とは、同じ層に設けられていることを特徴とする半導体装置である。
【0006】
本発明の一は、絶縁層上に設けられたトランジスタと、前記トランジスタに重畳する記
憶素子と、アンテナとして機能する導電層とを有し、前記記憶素子は、第1の導電層と、
有機化合物層又は相変化層と、第2の導電層とが順に積層された素子であり、アンテナと
して機能する前記導電層と、前記第1の導電層とは同じ層に設けられていることを特徴と
する半導体装置である。
【0007】
本発明の一は、絶縁層上に設けられたトランジスタと、前記トランジスタに重畳する記
憶素子と、アンテナとして機能する導電層とを有し、前記記憶素子は、第1の導電層と、
有機化合物層又は相変化層と、第2の導電層とが順に積層された素子であり、アンテナと
して機能する前記導電層と、前記第2の導電層とは同じ層に設けられていることを特徴と
する半導体装置である。
【0008】
本発明の一は、第1の素子形成層と、第2の素子形成層と、前記1の素子形成層及び前
記第2の素子形成層を接着し、且つ導電性粒子を含む接着層とを有し、前記第1の素子形
成層は、絶縁層上に設けられたトランジスタと、前記トランジスタのソース配線又はドレ
イン配線として機能する導電層と、前記トランジスタ上に設けられたアンテナとして機能
する導電層とを有し、前記第2の素子形成層は、第1の導電層と、有機化合物層又は相変
化層と、第2の導電層とが積層された記憶素子を有し、前記第1の導電層又は前記第2の
導電層と、前記トランジスタのソース配線又はドレイン配線として機能する導電層とは、
導電性粒子を介して接続されることを特徴とする半導体装置である。
【0009】
本発明の一は、素子形成層と、アンテナとして機能する導電層が設けられた基板と、前
記素子形成層及び前記基板を接着し、且つ導電性粒子を含む接着層とを有し、前記素子形
成層は、絶縁層上に設けられた第1及び第2のトランジスタと、前記第1のトランジスタ
のソース配線又はドレイン配線として機能する導電層と、前記第2のトランジスタに重畳
し、且つ、第1の導電層、有機化合物層又は相変化層、及び第2の導電層が積層された記
憶素子とを有し、アンテナとして機能する前記導電層と、前記第1のトランジスタのソー
ス配線又はドレイン配線として機能する導電層とは、導電性粒子を介して接続されること
を特徴とする半導体装置である。
【0010】
本発明の一は、第1の素子形成層と、第2の素子形成層と、前記1の素子形成層及び前
記第2の素子形成層を接着し、且つ導電性粒子を含む接着層とを有し、前記第1の素子形
成層は、絶縁層上に設けられた第1及び第2のトランジスタと、前記第1のトランジスタ
のソース配線又はドレイン配線として機能する第1の導電層と、前記第2のトランジスタ
のソース配線又はドレイン配線として機能する第2の導電層とを有し、前記第2の素子形
成層は、第1の導電層、有機化合物層又は相変化層、及び第2の導電層とが積層された記
憶素子、並びにアンテナとして機能する導電層を有し、アンテナとして機能する前記導電
層と、前記第1のトランジスタのソース配線又はドレイン配線として機能する第1の導電
層とは、前記導電性粒子を介して接続し、前記記憶素子の第1の導電層又は前記第2の導
電層と、前記第2のトランジスタのソース配線又はドレイン配線として機能する第2の導
電層とは、前記導電性粒子を介して接続されることを特徴とする半導体装置である。
【0011】
本発明の一は、基板上に設けられたトランジスタと、前記トランジスタのソース配線又
はドレイン配線として機能する導電層と、前記複数のトランジスタ上に設けられたアンテ
ナとして機能する導電層を有する第1の素子形成層と、前記基板又は前記第1の素子形成
層上において、接着層を介して設けられると共に、第1の導電層、有機化合物層又は相変
化層、及び第2の導電層が積層される記憶素子を有する第2の素子形成層とを有し、前記
記憶素子の第1の導電層又は前記第2の導電層と、前記トランジスタのソース配線又はド
レイン配線として機能する導電層とは、前記導電性部材を介して接続されることを特徴と
する半導体装置である。
【0012】
本発明の一は、素子形成層と、アンテナとして機能する導電層が設けられた基板と、前
記素子形成層及び前記基板を接着し、且つ導電性粒子を有する接着層とを有し、前記素子
形成層は、絶縁層上に設けられた第1及び第2のトランジスタと、前記第1及び第2のト
ランジスタを覆う層間絶縁層と、前記層間絶縁層に設けられた開口部を介して前記第1の
トランジスタのソース領域又はドレイン領域に接続し、且つ、前記絶縁層と前記層間絶縁
層の各々に設けられた開口部を介して前記素子形成層の裏面に露出する前記第1のトラン
ジスタのソース配線又はドレイン配線として機能する導電層と、前記第2のトランジスタ
と、前記第2のトランジスタに重畳し、且つ、第1の導電層、有機化合物層又は相変化層
、及び第2の導電層が積層される記憶素子と、を有し、前記アンテナとして機能する導電
層と、前記第1のトランジスタのソース配線又はドレイン配線として機能する導電層の露
出部とは、前記接着層の前記導電性粒子を介して接続することを特徴とする半導体装置で
ある。
【0013】
本発明の一は、第1の素子形成層と、第2の素子形成層と、前記第1の素子形成層及び
前記第2の素子形成層を接着し、且つ導電性粒子を有する接着層とを有し、前記第1の素
子形成層は、絶縁層上に設けられたトランジスタと、前記トランジスタを覆う層間絶縁層
と、前記層間絶縁層に設けられた開口部を介して前記トランジスタのソース領域又はドレ
イン領域に接続し、且つ、前記絶縁層と前記層間絶縁層の設けられた開口部を介して前記
第1の素子形成層の裏面に露出する前記トランジスタのソース配線又はドレイン配線とし
て機能する導電層と、アンテナとして機能する導電層と、を有し、前記第2の素子形成層
は、第1の導電層、有機化合物層又は相変化層、及び第2の導電層が積層される記憶素子
を有し、前記記憶素子の第1の導電層又は第2の導電層と、前記トランジスタのソース配
線又はドレイン配線として機能する導電層の露出部とは、前記接着層の前記導電性粒子を
介して電気的に接続することを特徴とする半導体装置である。
【0014】
本発明の一は、第1の素子形成層と、第2の素子形成層と、前記第1の素子形成層及び
前記第2の素子形成層を接着し、且つ導電性粒子を有する接着層とを有し、前記第1の素
子形成層は、絶縁層上に設けられた第1及び第2のトランジスタと、前記第1及び第2の
トランジスタを覆う層間絶縁層と、前記層間絶縁層に設けられた開口部を介して前記第1
及び第2のトランジスタのソース領域又はドレイン領域に接続し、且つ、前記絶縁層と前
記層間絶縁層の設けられた開口部を介して前記第1の素子形成層の裏面に露出する第1及
び第2のトランジスタのソース配線又はドレイン配線として機能する第1の導電層及び第
2の導電層と、を有し、前記第2の素子形成層は、アンテナとして機能する導電層と、第
1の導電層、有機化合物層又は相変化層、及び第2の導電層が積層される記憶素子とを有
し、前記記憶素子の第1の導電層又は第2の導電層と、前記第1のトランジスタのソース
配線又はドレイン配線として機能する第1の導電層の露出部とは、前記接着層の前記導電
性粒子を介して電気的に接続し、前記アンテナとして機能する導電層と前記第2のトラン
ジスタのソース配線又はドレイン配線として機能する第2の導電層の露出部とは、前記接
着層の前記導電性粒子を介して接続することを特徴とする半導体装置である。
【0015】
本発明の一は、第1の素子形成層と、第2の素子形成層と、前記第1の素子形成層及び
前記第2の素子形成層を接着し、且つ導電性粒子を有する第1の接着層と、アンテナとし
て機能する導電層を有する基板と、前記第2の素子形成層及び前記基板を接着し、且つ、
導電性粒子を有する第2の接着層とを有し、前記第1の素子形成層は、第1の導電層、有
機化合物層又は相変化層、及び第2の導電層が積層される記憶素子を有し、前記第2の素
子形成層は、絶縁層上に設けられた第1及び第2のトランジスタと、前記第1及び第2の
トランジスタを覆う層間絶縁層と、前記層間絶縁層に設けられた開口部を介して前記第1
のトランジスタのソース領域又はドレイン領域に接続し、前記第1のトランジスタのソー
ス配線又はドレイン配線として機能する第1の導電層と、前記層間絶縁層に設けられた開
口部を介して前記第2のトランジスタのソース領域又はドレイン領域に接続し、且つ前記
絶縁層と前記層間絶縁層の設けられた開口部を介して前記第1の素子形成層の裏面に露出
するトランジスタのソース配線又はドレイン配線として機能する第2の導電層と、を有し
、前記記憶素子の第1の導電層又は第2の導電層と、前記第1のトランジスタのソース配
線又はドレイン配線として機能する第1の導電層とは、前記第1の接着層の前記導電性粒
子を介して電気的に接続し、前記アンテナとして機能する導電層と前記第2のトランジス
タのソース配線又はドレイン配線として機能する第2の導電層の露出部とは、前記接着層
の前記第2の導電性粒子を介して接続することを特徴とする半導体装置である。
【0016】
上記構成を有する本発明の半導体装置において、記憶素子には、トランジスタが接続さ
れていることを特徴とする。また、記憶素子に接続されたトランジスタは、MOSトラン
ジスタ、薄膜トランジスタ、又は有機半導体トランジスタであることを特徴とする。
【0017】
また、記憶素子は、上記トランジスタ、第1のトランジスタ、又は第2のトランジスタの
一部又は全部に重畳することを特徴とする。
【0018】
また、絶縁層は、酸化珪素層であることを特徴とする。
【0019】
また、記憶素子において、有機化合物層が、光酸発生剤がドーピングされた共役高分子材
料、電子輸送材料、又はホール輸送材料からなる場合、記憶素子は、光学的作用または電
気的作用により不可逆的に電気抵抗が変化し、記憶素子の電極間隔距離が変化することを
特徴とする。電気抵抗を変化させる前の有機化合物層の膜厚は、5〜60nm、好ましく
は10〜20nmである。
【0020】
また、記憶素子が含む前記相変化層は、結晶状態と非晶質状態の間で可逆的に変化する材
料、第1の結晶状態と第2の結晶状態の間で可逆的に変化する材料、又は非晶質状態から
結晶状態にのみ変化する材料からなることを特徴とする。
【0021】
また、上記構成を有する本発明の半導体装置は、電源回路、クロック発生回路、データ
復調/変調回路、制御回路、及びインターフェイス回路から選択された1つ又は複数を有
することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の半導体装置は、複数のトランジスタに重畳する記憶素子を有することを特徴と
し、上記特徴により、小型で高集積化された半導体装置を提供することができる。
【0023】
また、本発明の半導体装置は、複数のトランジスタを有する素子形成層上に、記憶素子
を有する基板又はアンテナとして機能する導電層を有する基板を貼り合わせる構成を有す
ることを特徴とし、上記特徴により、小型の半導体装置を提供することができる。
【0024】
また、本発明は、一対の導電層間に有機化合物層又は相変化層が挟まれた単純な構造の
記憶素子を有することを特徴とし、上記特徴により、記憶素子の作製が簡単であるために
安価な半導体装置及びその作製方法を提供することができる。また、高集積化が容易なた
め、大容量の記憶回路を有する半導体装置及びその作製方法を提供することができる。
【0025】
また、本発明の半導体装置が含む記憶回路において、一対の導電層間に有機化合物層が
挟まれた記憶素子を有する場合、光学的作用又は電気的作用によりデータの書き込みを行
うものであり、不揮発性であって、データの追記が可能であることを特徴とする。上記特
徴により、書き換えによる偽造を防止することができ、新たなデータを追加して書き込む
ことができる。つまり、書き換え不可の記憶回路を有する半導体装置を提供することがで
きる。
【0026】
また、本発明の半導体装置が含む記憶回路において、一対の導電層間に相変化層が挟ま
れた記憶素子を有する場合、記憶素子は不揮発性であるため、データを保持するための電
池を内蔵する必要がなく、小型、薄型、軽量の半導体装置の提供を実現する。また、相変
化層として不可逆的な材料を用いれば、データの書き換えを行うことはできない。このた
め、偽造を防止し、セキュリティを確保した半導体装置を提供することができる。
【0027】
従って、高機能化と高付加価値化を実現した半導体装置及びその作製方法を提供するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の半導体装置を説明する図。
【図2】本発明の半導体装置を説明する図。
【図3】本発明の半導体装置を説明する図。
【図4】本発明の半導体装置を説明する図。
【図5】本発明の半導体装置を説明する図。
【図6】本発明の半導体装置を説明する図。
【図7】本発明の半導体装置を説明する図。
【図8】本発明の半導体装置を説明する図。
【図9】本発明の半導体装置の作製方法を説明する図。
【図10】本発明の半導体装置の作製方法を説明する図。
【図11】本発明の半導体装置の作製方法を説明する図。
【図12】本発明の記憶回路を説明する図。
【図13】本発明の記憶素子を説明する図。
【図14】本発明の記憶回路を説明する図。
【図15】本発明の半導体装置を説明する図。
【図16】記憶素子の電流電圧特性を示す図。
【図17】記憶素子の電流電圧特性を示す図。
【図18】レーザ照射装置を説明する図
【図19】本発明の半導体装置の使用形態について説明する図。
【図20】本発明の本発明の半導体装置を用いた電子機器を説明する図。
【図21】本発明の半導体装置の使用形態について説明する図。
【図22】記憶素子の電流電圧特性を示す図。
【図23】記憶素子の電流電圧特性を示す図。
【図24】記憶素子の電流電圧特性を示す図。
【図25】記憶素子の構造を示す図。
【図26】本発明の半導体装置を説明する図。
【図27】本発明の半導体装置を説明する図。
【図28】本発明の半導体装置を説明する図。
【図29】本発明の半導体装置を説明する図。
【図30】本発明の半導体装置を説明する図。
【図31】本発明の半導体装置を説明する図。
【図32】本発明の半導体装置を説明する図。
【図33】本発明の半導体装置を説明する図。
【図34】本発明の半導体装置の作製方法を説明する図。
【図35】本発明の半導体装置の作製方法を説明する図。
【図36】本発明の半導体装置の作製方法を説明する図。
【図37】本発明の半導体装置を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。但し、本発明は以下の説明に限
定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変
更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、以下に示す実施の
形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する本発明の構成
において、同じものを指す符号は異なる図面間で共通して用いる。
【0030】
(実施形態1)
本実施形態の半導体装置の構成について、図1、7、及び15を参照して説明する。図1
5に示すように、本発明の半導体装置20は、非接触でデータを交信する機能を有し、電
源回路11、クロック発生回路12、データ復調/変調回路13、他の回路を制御する制
御回路14、インターフェイス回路15、記憶回路16、データバス17、アンテナ(ア
ンテナコイル)18を有する。
【0031】
電源回路11は、アンテナ18から入力された交流信号を基に、半導体装置20の内部
の各回路に供給する各種電源を生成する回路である。クロック発生回路12は、アンテナ
18から入力された交流信号を基に、半導体装置20の内部の各回路に供給する各種クロ
ック信号を生成する回路である。データ復調/変調回路13は、リーダライタ19と交信
するデータを復調/変調する機能を有する。制御回路14は、記憶回路16を制御する機
能を有する。アンテナ18は、電磁界或いは電波の送受信を行う機能を有する。リーダラ
イタ19は、半導体装置との交信、制御及びそのデータに関する処理を制御する。なお、
半導体装置は上記構成に制約されず、例えば、電源電圧のリミッタ回路や暗号処理専用ハ
ードウエアといった他の要素を追加した構成であってもよい。
【0032】
記憶回路16は、一対の導電層間に有機化合物層又は相変化層が挟まれた記憶素子を有
することを特徴とする。なお、記憶回路16は、一対の導電層間に有機化合物層又は相変
化層が挟まれた記憶素子のみを有していてもよいし、他の構成の記憶回路を有していても
よい。他の構成の記憶回路とは、例えば、DRAM、SRAM、FeRAM、マスクRO
M、PROM、EPROM、EEPROM及びフラッシュメモリから選択される1つ又は
複数に相当する。
【0033】
本実施形態の半導体装置20の斜視図について、図7(A)を用いて説明する。本実施
形態の半導体装置は、図7(A)に示すように、基板上に複数の回路が集積された構成を
有する。ここでは、基板100a上に複数のトランジスタを有する素子形成層101aが
形成されており、複数のトランジスタを有する素子形成層101aは、代表的には複数の
TFTを有する領域102、103と、記憶素子を有する領域104と、複数のTFTを
有する領域102、103及び記憶素子を有する領域104の周囲に設けられたアンテナ
として機能する導電層105とで構成されている。
【0034】
なお、以下の実施形態では、複数のトランジスタを有する素子形成層は、TFTを有す
る領域102、103で構成されている例を示すが、TFTに限定されるものではなく、
MOSトランジスタのように単結晶基板に形成されるトランジスタを用いて複数のトラン
ジスタを有する素子形成層を形成することができる。この場合、基板100aは半導体単
結晶基板となる。また、絶縁層と単結晶半導体層とが積層されたSOI(silicon
on insulator)基板を用いることができる。さらには、有機半導体トラン
ジスタを用いて複数のトランジスタを有する素子形成層を形成することができる。
【0035】
複数のTFTを有する領域102、103は様々な回路を構成する。複数のTFTを有
する領域102の代表例としては、電源回路、クロック発生回路、データ復調/変調回路
等のアンテナが受信する電磁波を処理する通信回路が設けられている。また、複数のTF
Tを有する領域103の代表例としては、他の回路を制御する制御回路、インターフェイ
ス回路等を有する。
【0036】
また、アンテナとして機能する導電層105は、通信回路を構成する複数のTFTを含
む領域102と接続する。
【0037】
また、記憶素子を含む領域104は、データを記憶する記憶回路を構成し、記憶素子及
び当該記憶素子を動作させる回路等を有する。記憶素子を含む領域104は、制御回路、
インターフェイス回路等を構成する複数のTFTを有する領域103と接続される。
【0038】
次に、図7(A)に示す構成を有する半導体装置の断面構造について、図1(A)を用
いて説明する。基板100a上に複数のトランジスタを有する素子形成層101aが形成
されている。ここでは、複数のトランジスタを有する素子形成層101aとして、記憶素
子を動作させる回路を構成するTFT111(図7(A)の記憶素子を有する領域104
の一部)、記憶素子のスイッチング用のTFT112(図7(A)の記憶素子を有する領
域104の一部)、電源回路、クロック発生回路、データ復調/変調回路等のアンテナで
受信した信号を処理する回路を構成するTFT113(図7(A)の複数のTFTを有す
る領域102の一部)、制御回路、インターフェイス等の回路を構成するTFT114(
図7(A)の複数のTFTを有する領域103の一部)を示す。
【0039】
これらのTFTは、pチャネル型TFT、nチャネル型TFT等を適宜組み合わせて構
成することが可能である。ここでは、それぞれの回路を構成するTFTをnチャネル型T
FTで示す。
【0040】
TFT111〜114は、基板100a上に絶縁層115を介して設けられている。T
FTは、半導体領域、ゲート絶縁膜116a〜116d、ゲート電極117a〜117d
、ゲート電極の側壁に設けられたサイドウォール118a〜118dで構成される。半導
体層は、ソース領域及びドレイン領域119a〜119d、低濃度不純物領域120a〜
120d、チャネル形成領域121a〜121dで構成される。また、低濃度不純物領域
120a〜120dは、サイドウォール118a〜118dに覆われている。また、TF
T111〜114を覆う絶縁層122が形成されている。絶縁層122は、パッシベーシ
ョン膜として機能し、外部からの不純物、代表的にはアルカリ金等の汚染物質をブロック
する効果があり、TFTが汚染されることがなく、信頼性が向上したTFT111〜11
4を提供することができる。なお、パッシベーション膜としては、窒化珪素膜、窒化酸化
珪素膜又は酸化窒化珪素膜等が挙げられる。
【0041】
なお、TFT111〜114の半導体層は、非晶質半導体、微結晶半導体、多結晶半導
体、有機半導体等のいずれの半導体を活性層として用いてもよいが、良好な特性のトラン
ジスタを得るために、金属元素を触媒として結晶化した半導体層、レーザ照射法により結
晶化した半導体層を用いるとよい。また、プラズマCVD法により、SiH/Fガス
、SiH/Hガス(Arガス)を用いて形成した半導体層や、前記半導体層にレーザ
照射を行ったものを半導体層として用いるとよい。
【0042】
また、TFT111〜114は、200度から600度の温度(好適には350度から
550度)で結晶化した結晶質半導体層(低温ポリシリコン層)や、600度以上の温度
で結晶化した結晶質半導体層(高温ポリシリコン層)を用いることができる。なお、基板
上に高温ポリシリコン層を作成する場合は、ガラス基板では熱に脆弱な場合があるので、
石英基板を使用するとよい。TFT111〜114の半導体層(特にチャネル形成領域)
には、1×1019atoms/cm〜1×1022atoms/cmの濃度、好適
には1×1019atoms/cm〜5×1020atoms/cmの濃度で、水素
又はハロゲン元素を添加するとよい。そうすると、欠陥が少なく、クラックが生じにくい
活性層を得ることができる。
【0043】
また、TFT111〜114の半導体層の厚さは、20nm〜200nm、好ましくは
40nm〜170nm、さらに好ましくは45nm〜55nm、さらに好ましくは50n
mとするとよい。そうすると、折り曲げても、クラックが生じにくい素子形成層101a
を提供することができる。
【0044】
また、TFT111〜114の半導体層を構成する結晶は、キャリアの流れる方向(チ
ャネル長方向)と平行に延びる結晶粒界を有するように形成するとよい。また、TFT1
11〜114のS値(サブスレッシュホールド値)は0.35V/sec以下(好ましく
は0.09〜0.25V/sec)、移動度10cm/Vs以上の特性を有するとよい
。このような半導体層は、連続発振レーザや、10MHz以上、好ましくは60〜100
MHzで動作するパルスレーザを半導体層に照射して形成することが可能である。
【0045】
低濃度不純物領域やソース領域及びドレイン領域には、p型又はn型の導電型を付与す
る元素が添加されている。ここでは、ソース領域及びドレイン領域119a〜119d及
び低濃度不純物領域120a〜120dには、n型の導電型を付与する不純物元素を、イ
オン注入法やイオンドープ法で自己整合的に添加して形成することができる。
【0046】
なお、ここでは、TFT111〜114が低濃度不純物領域120a〜120dやサイ
ドウォール118a〜118dを有する構成を示すが、本発明はこの構成に制約されない
。必要がなければ低濃度不純物領域やサイドウォールは設けなくてもよい。
【0047】
また、半導体層として、公知の有機半導体材料を適宜用いることができる。代表例とし
ては、骨格が共役二重結合から構成されるπ電子共役系の高分子材料が望ましい。代表的
には、ポリチオフェン、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリチオフェン誘導体、ペン
タセン等の可溶性の高分子材料を用いることができる。
【0048】
その他にも、可溶性の前駆体を成膜した後で処理することにより半導体層を形成するこ
とができる。なお、このような前駆体を経由する有機半導体材料としては、ポリチエニレ
ンビニレン、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)、ポリアセチレン、ポリアセチレン誘
導体、ポリアリレンビニレンなどがある。
【0049】
前駆体を有機半導体に変換する際には、加熱処理だけではなく塩化水素ガスなどの反
応触媒を添加することがなされる。また、これらの可溶性有機半導体材料を溶解させる代
表的な溶媒としては、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アニソ
ール、クロロホルム、ジクロロメタン、γブチルラクトン、ブチルセルソルブ、シクロヘ
キサン、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)、シクロヘキサノン、2−ブタノン、ジ
オキサン、ジメチルホルムアミド(DMF)または、THF(テトラヒドロフラン)など
を適用することができる。
【0050】
また、TFT111〜114と、パッシベーション膜として機能する絶縁層122を覆
うように、絶縁層123が設けられており、これらの絶縁層123は、表面を平坦化する
ために設けられている。ソース配線又はドレイン配線として機能する導電層124a〜1
24dは、ソース領域及びドレイン領域119a〜119dに接し、絶縁層122、12
3に設けられたコンタクトホールを充填する。また、ソース配線又はドレイン配線として
機能する導電層124a〜124dと同時に形成された層で、アンテナとしとして機能す
る導電層125aが形成される。導電層125aは、TFT113のソース配線又はドレ
イン配線として機能する導電層124cに接続する。導電層124a〜124d、125
を覆うように、絶縁層126、127が設けられている。これらの絶縁層126、127
は、表面を平坦化する目的と、TFT111〜114及び導電層124a〜124d、1
25を保護する目的で設けられている。
【0051】
また、TFT111〜114において、少なくともTFT113 、114は、リング
オシレータ(9段インバータ)レベルで1MHz以上、好適には10MHz以上(3〜5
Vにて)の特性を有する。又は、ゲートあたりの周波数特性を100kHz以上、好適に
は1MHz以上(3〜5Vにて)を有する。
【0052】
なお、後述するが、TFT111〜114上に積層する記憶素子134は、その構造に
よっては、レーザ光を用いた光学的作用によりデータの書き込みを行う。その場合、レー
ザ光から、TFT111〜114を保護するために、絶縁層127、及び後に形成される
絶縁層135を遮光性がある絶縁性材料により形成する。遮光性がある絶縁性材料とは、
例えば、公知の絶縁性材料に、カーボン粒子、金属粒子、顔料や着色料等を添加して撹拌
した後、必要に応じて濾過を行った材料、又は、カーボン粒子等が均一に混合されるよう
に、界面活性剤や分散剤を添加した材料等である。このような絶縁性材料は、スピンコー
ト法で形成するとよい。
【0053】
また、絶縁層127上に記憶素子134が設けられている。記憶素子は、TFT112
の一部又は全部に重畳することを特徴とする。当該構造により、狭い面積の半導体装置に
記憶素子を高い密度で集積することが可能である。
【0054】
絶縁層127上に、第1の導電層131、有機化合物層又は相変化層132、第2の導
電層133が順に積層されており、この積層体が記憶素子134に相当する。隣接する有
機化合物層又は相変化層132の間には、絶縁層135が設けられている。第1の導電層
131は、TFT112のソース配線又はドレイン配線として機能する導電層124bと
接続する。第2の導電層133上には、絶縁層136が設けられている。なお、TFT1
12は記憶素子のスイッチング用のTFTとして機能する。
【0055】
次に、図1(A)の各記憶素子にスイッチング用のTFTが設けられた記憶回路、即ち
アクティブマトリクス型の記憶回路を有する半導体装置の代わりに、パッシブ型の記憶回
路を有する半導体装置の断面構造について、図1(B)を用いて説明する。より詳しくは
、図1(A)に示した半導体装置と比較すると、記憶素子134の構造及びそれに接続さ
れるTFTが異なる半導体装置の断面構造について説明する。
【0056】
絶縁層127上に、TFT111のソース配線又はドレイン配線として機能する導電層
124aに接続するように、第1の導電層151が設けられ、第1の導電層151に接す
るように有機化合物層又は相変化層152が設けられ、有機化合物層又は相変化層152
に接するように第2の導電層153が設けられている。第1の導電層151と、有機化合
物層又は相変化層152と、第2の導電層153との積層体が記憶素子154に相当する
。隣接する有機化合物層又は相変化層152の間には、絶縁層155が設けられている。
記憶素子154上には、絶縁層156が設けられている。
【0057】
なお、第1の導電層151は共通電極として機能し、第1の導電層151を用いて複数の
記憶素子154が形成される。
【0058】
図1(B)に示す記憶素子154は、各記憶素子154にスイッチング用のTFTが接
続されておらず、記憶素子を動作させる回路を構成するTFT111に直接接続される。
【0059】
また、図1(A)及び(B)においては、基板上に複数のトランジスタを有する素子形
成層101aが形成された半導体装置の断面図について説明しているが、これに限定され
ない。例えば、基板上に剥離層を設け、剥離層上に複数のトランジスタを有する素子形成
層101aを形成した後、複数のトランジスタを有する素子形成層101aを剥離層から
剥離し、図2(A)に示すように、基板200a上に接着層201を介して複数のトラン
ジスタを有する素子形成層101aを貼り合わせても良い。なお剥離方法としては、(1
)基板と複数のトランジスタを有する素子形成層の間に金属酸化膜を設け、当該金属酸化
膜を結晶化により脆弱化して、当該複数のトランジスタを有する素子形成層を物理的に剥
離する方法、(2)基板と複数のトランジスタを有する素子形成層の間に水素を含む非晶
質珪素膜を設け、レーザ光の照射またはエッチングにより当該非晶質珪素膜を除去するこ
とで、当該複数のトランジスタを有する素子形成層を剥離する方法、(3)複数のトラン
ジスタを有する素子形成層が形成された基板を機械的に削除する、又は溶液によるエッチ
ングで除去する方法、(4)基板と複数のトランジスタを有する素子形成層の間に剥離層
及び金属酸化膜を設け、当該金属酸化膜を結晶化により脆弱化し、剥離層の一部を溶液や
CF等のガスによるエッチングで除去した後、脆弱化された金属酸化膜において物理的
に剥離する方法等を用いればよい。
【0060】
また、基板200aとしては、可撓性があり、薄くて軽いプラスチック基板を用いるこ
とが好ましく、具体的には、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチ
レンナフタレート)、PES(ポリエーテルスルホン)、ポリプロピレン、ポリプロピレ
ンサルファイド、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド
、ポリフェニレンオキサイド、ポリサルフォン、ポリフタールアミド等からなる基板を用
いることができる。また、ラミネートフィルム(ポリプロピレン、ポリエステル、ビニル
、ポリフッ化ビニル、塩化ビニルなどからなる)、繊維質な材料からなる紙、基材フィル
ム(ポリエステル、ポリアミド、無機蒸着フィルム、紙類等)と接着性合成樹脂フィルム
(アクリル系合成樹脂、エポキシ系合成樹脂等)との積層フィルムなどを用いることもで
きる。
【0061】
ラミネートフィルムは、熱圧着により、被処理体と封止処理が行われるものであり、封
止処理を行う際には、ラミネートフィルムの最表面に設けられた接着層か、又は最外層に
設けられた層(接着層ではない)を加熱処理によって溶かし、加圧により接着する。基板
200aの表面には接着層が設けられていてもよいし、接着層が設けられていなくてもよ
い。
【0062】
接着層201は、熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、エポキシ樹脂系接着剤、樹脂添加剤等
の接着剤を含む層である。
【0063】
上記のように、剥離した複数のトランジスタを有する素子形成層101aを、可撓性が
あり、薄くて軽いプラスチック基板に貼り合わせると、厚さが薄く、軽く、落下しても割
れにくい半導体装置を提供することができる。また、曲面や異形の形状上に貼り合わせる
ことが可能となり、多種多様の用途が実現する。例えば、薬の瓶のような曲面上に、本発
明の半導体装置を密着して貼り合わせることができる。さらに、基板を再利用すれば、安
価な半導体装置の提供を実現する。
【0064】
また、図2(B)に示すように、記憶素子134の第1の導電層131と同時に形成さ
れた導電層で、アンテナとして機能する導電層215aを形成してもよい。このとき、ア
ンテナとして機能する導電層215は、ソース配線又はドレイン配線として機能する導電
層124cと接続する。
【0065】
更には、図2(C)に示すように、記憶素子134の第2の導電層133と同時に形成
された導電層で、アンテナとして機能する導電層225aを形成してもよい。このとき、
アンテナとして機能する導電層225aは、導電層214を介してソース配線又はドレイ
ン配線として機能する導電層124cと接続する。
【0066】
なお、図2(A)〜(C)に示す半導体装置は、図1(B)に示すような、スイッチン
グ用のTFTが各記憶素子に設けられていない記憶素子を有するパッシブマトリクス型の
記憶回路を有する半導体装置にも適応することが可能である。
【0067】
本発明の半導体装置は、複数のTFTを有する素子形成層上に、記憶素子を積層した構
成を有することを特徴とし、上記特徴により、小型の半導体装置を提供することができる
。また、TFTのソース配線又はドレイン配線、記憶素子の導電層の何れかと同時に、ア
ンテナとして機能する導電層を形成するため、工程数を削減することが可能であり、スル
ープットを向上させることが可能である。
【0068】
上記構成を有する半導体装置において、記憶素子は、一対の導電層(第1の導電層と第
2の導電層)間に有機化合物層又は相変化層が挟まれた単純な構造を有することを特徴と
する。上記特徴により、作製が簡単であるために安価な半導体装置及びその作製方法を提
供することができる。また、高集積化が容易なため、大容量の記憶回路を有する半導体装
置及びその作製方法を提供することができる。
【0069】
また、本発明の半導体装置が含む記憶回路は、光学的作用又は電気的作用によりデータ
の書き込みを行うものであり、不揮発性であって、データの追記が可能であることを特徴
とする。上記特徴により、書き換えによる偽造を防止することができ、新たなデータを追
加して書き込むことができる。従って、高機能化と高付加価値化を実現した半導体装置及
びその作製方法を提供することができる。
【0070】
(実施形態2)
本実施形態では、上記実施形態とは異なる本発明の半導体装置の構成について、図3、
7を参照して説明する。
【0071】
本実施形態の半導体装置は、図7(B)に示すように、第1の基板100a上に形成さ
れた複数のトランジスタを有する素子形成層301aと、第2の基板300a上に形成さ
れたアンテナとして機能する導電層105を有する素子形成層302aとが、接着層で貼
り合わせられた構成を有する。
【0072】
ここでは、複数のトランジスタを有する素子形成層301aは、代表的には複数のTF
Tを有する領域102、103と、記憶素子を有する領域104で構成される。また、素
子形成層302aに形成されるアンテナとして機能する導電層105は、素子形成層30
1aに形成される通信回路を構成する複数のTFTを有する領域102と、図示しないが
導電性粒子で接続されている。
【0073】
上記の図7(B)に示す構成を有する本発明の半導体装置の断面構造について、図3を
用いて説明する。
【0074】
図3(A)に示すように、本実施形態の半導体装置は、第1の基板100a上に形成さ
れた複数のトランジスタと記憶素子を有する素子形成層301aと、第2の基板300a
上に形成されたアンテナとして機能する導電層303aを有する素子形成層302aとが
、接着層306で貼り合わせられた構成を有する。
【0075】
複数のTFTと記憶素子を有する素子形成層301aは、TFT111〜114を有す
る。これらのTFT111〜114の構造は上述した通りであり、また、記憶素子134
は、図1(A)に示す記憶素子134と同じ構造を用いて形成することが可能であり、T
FT112の一部又は全部に重畳することにより、狭い面積の半導体装置に記憶素子を高
い密度で集積することが可能である。
【0076】
基板100aに形成された、複数のTFT111〜114及び記憶素子134を有する
素子形成層301aと、基板300aに形成された導電層303を有する素子形成層30
2aは、導電性粒子305を含む接着層306により貼り合わせられている。また、TF
T113のソース配線又はドレイン配線として機能する導電層124cは、導電層214
を介して、導電層224に接続される。導電層224は接続端子として機能する。また、
導電層214は、記憶素子134の第1の導電層131と同時に形成される導電層である
。また、導電層224は、記憶素子134の第2の導電層133と同時に形成される導電
層である。さらに、接続端子として機能する導電層224と、アンテナとして機能する導
電層303とは、導電性粒子305を介して電気的に接続されている。
【0077】
なお、アンテナとして機能する導電層303が設けられた第2の基板300aは、基板
200aと同様の基板を用いることが可能である。また、基板300a及び導電層303
表面に絶縁層307を形成しても良い。ただし、TFT113の接続端子として機能する
導電層224と接続する領域は、導電層303が露出されている。
【0078】
接着層306は、熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、エポキシ樹脂系接着剤、樹脂添加剤
等の接着剤を含み、導電性粒子305が分散されている。このような接着剤を異方性導電
接着剤という。導電性粒子305は、金、銀、銅、パラジウム、又は白金から選ばれた一
元素、若しくは複数の元素で形成される。また、これらの元素の多層構造を有する粒子で
も良い。導電性粒子305は、直径が1〜100nm、好ましくは5〜50nmである場
合、一つ又は複数の導電性粒子305と導電層303、224が接続する。この場合、一
つ又は複数の導電性粒子305で導電層303と導電層224の間隔を保持する。
【0079】
また、図37に示すように、直径が0.5〜10μm、好ましくは1〜5μmの導電性
粒子308が含まれる接着層306を用いても良い。この場合、導電層303と導電層2
24は、垂直方向に押しつぶされた形状の導電性粒子309で接続される。このときは、
押しつぶされた導電性粒子309で導電層303と導電層224の間隔を保持する。
【0080】
また、樹脂で形成された粒子の表面に、金、銀、銅、パラジウム、又は白金から選ばれた
一元素、若しくは複数の元素で形成される薄膜が形成された導電性粒子を用いてもよい。
さらには、異方性導電接着剤の代わりに、ベースフィルム上にフィルム状に形成された異
方性導電フィルムを転写して用いても良い。異方性導電フィルムも、異方性導電接着剤と
同様の導電性粒子が分散されている。
【0081】
図3(A)に示す記憶素子134は、スイッチング用のTFT112が、各記憶素子1
34に設けられている。即ち、アクティブマトリクス型の記憶回路を有する半導体装置で
ある。なお、図3(B)に示すように、第1の導電層151、有機化合物層又は相変化層
152、第2の導電層153で構成される記憶素子154を設けることも可能である。こ
の構造では、図1(B)と同様に記憶素子154には各スイッチング用のTFTが接続さ
れておらず、TFT111に直接接続されている。また、第1の導電層151は共通電極
として機能し、第1の導電層151を用いて複数の記憶素子154が形成されており、パ
ッシブマトリクス型の記憶回路を有する半導体装置である。
【0082】
さらには、本実施形態においても、図2(A)に示すように、接着層201を介して基
板200a上に複数のトランジスタを有する素子形成層301aを設けても良い。
【0083】
本発明の半導体装置は、複数のTFTを有する素子形成層上に、記憶素子を含む層を積
層した構成を有することを特徴とし、上記特徴により、小型の半導体装置を提供すること
ができる。また、複数のトランジスタと記憶素子を有する素子形成層を形成する工程とア
ンテナとして機能する導電層を形成する工程を、独立に並行して行うことができる。従っ
て、本発明は短時間で効率よく半導体装置を作製することができる。また、複数のトラン
ジスタを有する素子形成層や、アンテナそれぞれが形成された時点で、各回路の性能を確
認し、選別して、複数のトランジスタを有する素子形成層や、アンテナを電気的に接続さ
せ半導体装置を完成させることができる。従って、欠陥品が作製される割合を抑えること
ができ、歩留まりを改善することができる。
【0084】
(実施形態3)
本実施形態では、上記実施形態の構成とは異なる本発明の半導体装置の断面構造につい
て、図4及び図7を用いて説明する。より詳しくは、図3に示した半導体装置と比較する
と、アンテナを有する導電層の代わりに、記憶素子を有する素子形成層402aが形成さ
れた基板が貼り合わせられた構造の半導体装置の断面構造について説明する。
【0085】
本実施形態の半導体装置は、図7(C)に示すように、第1の基板100a上に形成さ
れた複数のトランジスタを有する素子形成層401aと、第2の基板400a上に形成さ
れた記憶素子を有する素子形成層402aとが、接着層で貼り合わせられた構成を有する

【0086】
ここでは、複数のトランジスタを有する素子形成層401aは、代表的には複数のTF
Tを有する領域102、103と、アンテナとして機能する導電層125aを有する。ま
た、記憶素子を有する素子形成層402aは、記憶素子を有する領域104で構成される
。また、記憶素子を有する領域104は、制御回路、インターフェイス等を構成する複数
のTFTを含む領域103と、図示しないが導電性粒子で接続されている。
【0087】
上記の図7(C)に示す構成を有する本発明の半導体装置の断面構造について、図4を
用いて説明する。
【0088】
図4(A)に示すように、基板100a上には、アンテナとして機能する導電層及び複
数のトランジスタを有する素子形成層401aが形成され、アンテナとして機能する導電
層及び複数のトランジスタを有する素子形成層401aはTFT111、113、114
を有し、これらのTFTの構造は上述した通りである。また、基板400a上に記憶素子
を有する素子形成層402aが形成されている。図4(A)においては、記憶素子434
a、434bそれぞれに、スイッチング用のTFT412a、412bが接続されている
。即ち、スイッチング用のTFT412a、412bのソース配線又はドレイン配線の一
方に記憶素子の第1の導電層431a、431bが接続されている。また、スイッチング
用のTFT412a、412bのソース配線又はドレイン配線の他方は、記憶素子の第1
の導電層又は第2の導電層と同時に形成された導電層と接続されている。ここでは、ソー
ス配線又はドレイン配線として機能する導電層424の他方は、導電層425を介して導
電層426と接続している。なお、導電層425は、記憶素子の第1の導電層431a、
431bと同時に形成された導電層であり、導電層426は、記憶素子の第2の導電層4
33a、433bと同時に形成された導電層である。
【0089】
また、複数のトランジスタを有する素子形成層401a及び記憶素子を有する素子形成層
402aが接着層306で接着されている。
【0090】
また、記憶素子のスイッチング用のTFT412aのソース配線又はドレイン配線とし
て機能する導電層424と、記憶素子を動作させる回路を構成するTFT111のソース
配線又はドレイン配線として機能する導電層124aとは、導電性粒子305、及び導電
層421、425、426を介して電気的に接続されている。
【0091】
なお、記憶素子の構成によっては、記憶素子を有する素子形成層402aに対して、レ
ーザ光を用いた光学的作用によりデータの書き込みを行う場合がある。そのような場合、
記憶素子を有する素子形成層402aにおいて、スイッチング用のTFT412a、41
2bと、記憶素子434a、434bそれぞれが、重ならない領域を有するようにレイア
ウトをすることが必要である。
【0092】
図4(A)に示す記憶素子434a、434bは、それぞれスイッチング用のTFT41
2a、412bに接続される。即ち、アクティブマトリクス型の半導体装置である。なお
、図4(B)に示すように、第1の導電層451、有機化合物層又は相変化層452、第
2の導電層453で構成される記憶素子454を有する基板を貼り合わせることも可能で
ある。また、第1の導電層451、有機化合物層又は相変化層452、第2の導電層45
3は、それぞれ実施形態1に示す第1の導電層151と、有機化合物層又は相変化層15
2と、第2の導電層153と同様の構造を用いることができる。この構造では、図1(B
)と同様に記憶素子454には各スイッチング用のTFTが接続されておらず、記憶素子
を動作させる回路を構成するTFT111に導電性粒子305を介して接続されている。
また、第1の導電層451は共通電極として機能し、第1の導電層451を用いて複数の
記憶素子454が形成されており、パッシブマトリクス型の記憶回路を有する半導体装置
である。
【0093】
また、上記実施形態において、複数のトランジスタを有する素子形成層401aに記憶
素子を動作させる回路が形成されるが、これに限定されるものではない。例えば、記憶素
子を有する素子形成層402aに記憶素子を動作させる回路が形成されてもよい。具体的
には、図8(A)に示すように、記憶素子434a、434bとともに、記憶素子を動作
させる回路を構成するTFT811を基板400a上に形成した後、記憶素子を有する素
子形成層402aと複数のトランジスタを有する素子形成層401aと、導電性粒子30
5を有する接着層306で貼り合わせてもよい。このとき、記憶素子を動作させる回路を
構成するTFT811のソース配線又はドレイン配線として機能する導電層424の一方
と、TFT114のソース配線又はドレイン配線として機能する導電層124aの一方と
が、導電性粒子305、及び導電層825、826、827を介して電気的に接続される
。なお、導電層826は、TFT811のソース配線又はドレイン配線として機能する導
電層424の一方と導電層825を介して接続されている。また、導電層826は、記憶
素子の第2の導電層と同時に形成された導電層であり、導電層825は、記憶素子の第1
の導電層と同時に形成された導電層である。
【0094】
また、図4(A)において、記憶素子を有する素子形成層402aは基板400a上に
形成された構造を有しているが、図8(B)に示すように、基板800a上に接着層83
4を介して記憶素子を有する素子形成層402aを貼り合せても良い。
【0095】
本発明の半導体装置は、アンテナとして機能する導電層と複数のトランジスタを有する
素子形成層上に、記憶素子を含む層を貼りあわせた構成を有することを特徴とし、上記特
徴により、小型の半導体装置を提供することができる。また、複数のトランジスタを有す
る素子形成層を形成する工程と、記憶素子を有する素子形成層を形成する工程を、独立に
並行して行うことができる。従って、本発明は短時間で効率よく半導体装置を作製するこ
とができる。また、複数のトランジスタを有する素子形成層や、記憶素子それぞれが形成
された時点で、それぞれの性能を確認し、選別して、複数のトランジスタを有する素子形
成層や記憶素子を電気的に接続させ半導体装置を完成させることができる。従って、欠陥
品が作製される割合を抑えることができ、歩留まりを改善することができる。
【0096】
(実施形態4)
本実施形態では、上記実施形態の構成とは異なる本発明の半導体装置の断面構造につい
て説明する。より詳しくは、複数のトランジスタを有する素子形成層に、記憶素子及びア
ンテナが形成された層を有する基板が貼り合わせられた構造の半導体装置の断面構造につ
いて、図5及び図7を用いて説明する。
【0097】
本実施形態の半導体装置は、図7(D)に示すように、第1の基板100a上に形成さ
れた複数のトランジスタを有する素子形成層501aと、第2の基板500a上に形成さ
れた記憶素子及びアンテナを有する素子形成層502aとが、接着層で貼り合わせられた
構成を有する。
【0098】
ここでは、複数のトランジスタを有する素子形成層501aは、代表的には複数のTF
Tを有する領域102、103を有する。また、記憶素子及びアンテナを有する素子形成
層502aは、記憶素子を有する領域104及びアンテナとして機能する導電層105で
構成される。また、記憶素子を有する領域104は、制御回路、インターフェイス等を構
成する複数のTFTを含む領域103と、図示しないが導電性粒子で接続されている。ま
た、及びアンテナとして機能する導電層105は、通信回路を構成する複数のTFTを含
む領域102と、図示しないが導電性粒子で接続されている。
【0099】
上記の図7(D)に示す構成を有する本発明の半導体装置の断面構造について、図5を
用いて説明する。
【0100】
図5(A)に示すように、複数のTFTを有する素子形成層501aは、TFT111
、113、114を有し、これらのTFTの構造は上述した通りである。また、基板50
0a上に記憶素子434及びアンテナとして機能する導電層525を有する素子形成層5
02が形成されている。図5(A)においては、記憶素子434に、スイッチング用のT
FT412が接続されている。即ち、スイッチング用のTFT412のソース配線又はド
レイン配線の一方に、記憶素子434の第1の導電層が接続されている。
【0101】
また、スイッチング用のTFT412のソース配線又はドレイン配線の他方は、記憶素
子の第1の導電層又は第2の導電層と同時に形成された導電層425と接続されている。
ここでは、ソース配線又はドレイン配線として機能する導電層424の他方は、導電層4
25を介して導電層426と接続している。なお、導電層426は、記憶素子434の第
2の導電層と同時に形成された導電層であり、接続端子として機能する。
【0102】
また、TFT412のソース配線又はドレイン配線として機能する導電層424及びT
FT111のソース配線又はドレイン配線として機能する導電層124aは、導電層42
1、425、426及び導電性粒子305を介して電気的に接続されている。
【0103】
また、記憶素子434の第1の導電層又は第2の導電層と同時に、アンテナとして機能
する導電層525が形成される。導電層525は、TFT113のソース配線又はドレイ
ン配線として機能する導電層124cと、導電性粒子305及び導電層521を介して電
気的に接続される。また、導電層521は、アンテナとして機能する導電層525と接続
するための接続端子として機能する。
【0104】
なお、記憶素子の構成によっては、記憶素子434に対して、レーザ光を用いた光学的
作用によりデータの書き込みを行う場合がある。そのような場合、記憶素子及びアンテナ
を有する素子形成層502aにおいて、スイッチング用のTFT412及び記憶素子43
4、並びに導電層424及び記憶素子434が、重ならない領域を有するように、レイア
ウトをすることが必要である。
【0105】
図5(A)に示す記憶素子434は、スイッチング用のTFT412に接続される。即
ち、アクティブマトリクス型の半導体装置である。なお、図5(B)に示すように、第1
の導電層451、有機化合物層又は相変化層452、第2の導電層453で構成される記
憶素子454を有する基板500を貼り合わせることも可能である。また、第1の導電層
451、有機化合物層又は相変化層452、第2の導電層453は、それぞれ実施形態1
に示す第1の導電層151と、有機化合物層又は相変化層152と、第2の導電層153
と同様の構造を用いることができる。この構造では、図1(B)と同様に、パッシブマト
リクス型の記憶回路を有する半導体装置である。
【0106】
また、複数のトランジスタを有する素子形成層501aに記憶素子を動作させる回路を
構成するTFT111が形成されるが、この構造に限定されない。記憶素子及びアンテナ
を有する素子形成層に記憶素子を動作させる回路が形成されてもよい。また、図5(A)
において、記憶素子及びアンテナを有する素子形成層502aは基板500a上に形成さ
れた構造を有しているが、基板上に接着層を介して記憶素子及びアンテナを有する素子形
成層502aを貼り合せても良い。さらには、複数のトランジスタを有する素子形成層5
01aは基板100a上に形成されているが、図2(A)に示すように基板200a上に
接着層を介して複数のトランジスタを有する素子形成層501aを貼り合せても良い。
【0107】
本発明の半導体装置は、複数のTFTを有する素子形成層上に、記憶素子及びアンテナ
を含む素子形成層を接着層を介して積層した構成を有することを特徴とし、上記特徴によ
り、小型の半導体装置を提供することができる。また、複数のトランジスタを有する素子
形成層を形成する工程と、記憶素子及びアンテナを有する素子形成層を形成する工程を、
独立に並行して行うことができる。従って、本発明は短時間で効率よく半導体装置を作製
することができる。また、複数のトランジスタを有する素子形成層や、記憶素子、アンテ
ナそれぞれが形成された時点で、それぞれの性能を確認し、選別して、複数のトランジス
タを有する素子形成層や記憶素子、アンテナを電気的に接続させ半導体装置を完成させる
ことができる。従って、欠陥品が作製される割合を抑えることができ、歩留まりを改善す
ることができる。
【0108】
(実施形態5)
本実施形態では、上記実施形態の構成とは異なる本発明の半導体装置の断面構造につい
て説明する。より詳しくは、複数のトランジスタを有する素子形成層601aが形成され
る基板100a上に、記憶素子を有する素子形成層602aを搭載した構造の半導体装置
の断面構造について、図6及び図7を用いて説明する。
【0109】
本実施形態の半導体装置は、図7(E)に示すように、基板100a上に形成された複
数のトランジスタを有する素子形成層601aと基板100a上に、記憶素子を有する素
子形成層602aが、接着層611で貼り合わせられた構成を有する。
【0110】
ここでは、複数のトランジスタを有する素子形成層601aは、代表的には複数のTF
Tを有する領域102、103及びアンテナとして機能する導電層105で構成される。
また、記憶素子を有する素子形成層602aは、記憶素子を有する領域104で構成され
る。また、記憶素子を有する領域104は、制御回路、インターフェイス等を構成する複
数のTFTを含む領域103と、導電部材631を用いて電気的に接続されている。
【0111】
上記の図7(E)に示す構成を有する本発明の半導体装置の断面構造について、図6を
用いて説明する。
【0112】
図6(A)に示すように、複数のTFTを有する素子形成層601aは、TFT111
、113、114を有し、これらのTFTの構造は上述した通りである。また、記憶素子
を有する素子形成層602aが形成された基板621aが、基板100a上に接着層61
1を用いて搭載されている。図6(A)においては、記憶素子634に、スイッチング用
のTFT112が接続されている。即ち、スイッチング用のTFT112のソース配線又
はドレイン配線の一方に、記憶素子の第1の導電層が接続されている。また、スイッチン
グ用のTFT112のソース配線又はドレイン配線の他方は、記憶素子の第1の導電層又
は第2の導電層と同時に形成された導電層と接続されている。ここでは、ソース配線又は
ドレイン配線として機能する導電層124bの他方は、導電層625を介して導電層62
6と接続している。なお、導電層625は、記憶素子の第1の導電層と同時に形成された
導電層であり、導電層626は、記憶素子の第2の導電層と同時に形成された導電層であ
り、接続端子として機能する。
【0113】
また、記憶素子を有する素子形成層602aに形成された記憶素子634のスイッチン
グ用のTFT112と、複数のTFTを有する素子形成層601aに形成された記憶素子
を動作させる回路を構成するTFT111とが、導電部材631で電気的に接続されてい
る。ここでは、導電部材631をワイヤーを用い、ワイヤボンディング法によりTFT1
11とTFT112とを接続しているが、導電膜を成膜した後、所望の形状にエッチング
して、導電部材631を形成してもよい。さらには、印刷法等の接続方法を用いることが
できる。
【0114】
図6(A)に示す記憶素子634は、スイッチング用のTFT112に接続される。即
ち、アクティブマトリクス型の半導体装置である。なお、図6(B)に示すように、第1
の導電層651、有機化合物層又は相変化層652、第2の導電層653で構成される記
憶素子654が形成される基板622を、接着層611を用いて基板100a上に搭載す
ることも可能である。この構造では、パッシブマトリクス型の記憶回路を有する半導体装
置である。
【0115】
また、本実施形態では、記憶素子を有する素子形成層602aを基板100a上に搭載
したが、これに限定されず、記憶素子及びアンテナを有する素子形成層や、アンテナを有
する素子形成層を基板100a上に搭載しても良い。
【0116】
本発明の半導体装置は、複数のTFTを有する素子形成層と、記憶素子を含む層を同一
基板上に有することを特徴とし、上記特徴により、小型の半導体装置を提供することがで
きる。また、複数のトランジスタを有する素子形成層を形成する工程と、記憶素子を有す
る素子形成層を形成する工程を、独立に並行して行うことができる。従って、本発明は短
時間で効率よく半導体装置を作製することができる。また、複数のトランジスタを有する
素子形成層や、記憶素子それぞれが形成された時点で、それぞれの性能を確認し、選別し
て、複数のトランジスタを有する素子形成層や記憶素子を電気的に接続させ半導体装置を
完成させることができる。従って、欠陥品が作製される割合を抑えることができ、歩留ま
りを改善することができる。
【0117】
(実施形態6)
本実施形態では、半導体装置の作製方法に関して図面を参照して説明する。ここでは、
実施形態1の図2(A)で示す半導体装置の作製方法を示すが、各実施形態に示される半
導体装置にそれぞれ、本実施形態を適宜適応することが可能である。
【0118】
図9(A)に示すように、基板1100の一表面に、剥離層1101、1102を形成
する。
【0119】
基板1100は、ガラス基板、石英基板、金属基板やステンレス基板の一表面に絶縁層
を形成したもの、本工程の処理温度に耐えうる耐熱性があるプラスチック基板等を用いる
。上記に挙げた基板1100には、大きさや形状に制約がないため、例えば、基板110
0として、1辺が1メートル以上であって、矩形状のものを用いれば、生産性を格段に向
上させることができる。この利点は、円形のシリコン基板を用いる場合と比較すると、大
きな優位点である。
【0120】
また、基板1100上に設けられる複数のトランジスタを有する素子形成層は、後に基
板1100上から剥離される。従って、基板1100を再利用して、当該基板1100上
に新たに複数のトランジスタを有する素子形成層を形成してもよい。この結果、コストを
削減することができる。なお、再利用する基板1100には、石英基板を用いることが好
ましい。
【0121】
剥離層1101、1102は、基板1100の一表面に薄膜を形成した後、フォトリソ
グラフィ法により形成したレジストマスクを用いて選択的にエッチングして形成する。剥
離層1101、1102は、スパッタリング法やプラズマCVD法等により、タングステ
ン(W)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、
ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウ
ム(Ru)、ロジウム(Rh)、鉛(Pb)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)
、珪素(Si)から選択された元素、又は前記元素を主成分とする合金材料、又は前記元
素を主成分とする化合物材料からなる層を、単層又は積層して形成する。珪素を含む層の
結晶構造は、非晶質、微結晶、多結晶のいずれの場合でもよい。
【0122】
剥離層1101、1102が単層構造の場合、好ましくは、タングステン層、モリブデ
ン層、又はタングステンとモリブデンの混合物を含む層を形成する。又は、タングステン
の酸化物若しくは酸化窒化物を含む層、モリブデンの酸化物若しくは酸化窒化物を含む層
、又はタングステンとモリブデンの混合物の酸化物若しくは酸化窒化物を含む層を形成す
る。なお、タングステンとモリブデンの混合物とは、例えば、タングステンとモリブデン
の合金に相当する。
【0123】
剥離層1101、1102が積層構造の場合、好ましくは、1層目としてタングステン
層、モリブデン層、又はタングステンとモリブデンの混合物を含む層を形成し、2層目と
して、タングステン、モリブデン又はタングステンとモリブデンの混合物の酸化物、窒化
物、酸化窒化物又は窒化酸化物を形成する。
【0124】
剥離層1101、1102として、タングステンを含む層とタングステンの酸化物を含
む層の積層構造を形成する場合、タングステンを含む層を形成し、その上層に酸化珪素を
含む層を形成することで、タングステン層と酸化珪素層との界面に、タングステンの酸化
物を含む層が形成されることを活用してもよい。さらには、タングステンを含む層の表面
を、熱酸化処理、酸素プラズマ処理、NOプラズマ処理、オゾン水等の酸化力の強い溶
液での処理等を行ってタングステンの酸化物を含む層を形成してもよい。これは、タング
ステンの窒化物、酸化窒化物及び窒化酸化物を含む層を形成する場合も同様であり、タン
グステンを含む層を形成後、その上層に窒化珪素層、酸化窒化珪素層、窒化酸化珪素層を
形成するとよい。
【0125】
タングステンの酸化物は、WOxで表される。Xは2≦X≦3の範囲内にあり、xが2
の場合(WO)、xが2.5の場合(W)、xが2.75の場合(W11
、xが3の場合(WO)などがある。タングステンの酸化物を形成するにあたり、上記
に挙げたXの値に特に制約はなく、そのエッチングレートなどを基に決めるとよい。但し
、エッチングレートの最も良いものは、酸素雰囲気下で、スパッタリング法により形成す
るタングステンの酸化物を含む層(WOx、0<X<3)である。従って、作製時間の短
縮のために、剥離層として、酸素雰囲気下でスパッタリング法によりタングステンの酸化
物を含む層を形成するとよい。
【0126】
また、上記の工程によると、基板1100に接するように剥離層1101、1102を
形成しているが、本発明はこの工程に制約されない。基板1100に接するように下地と
なる絶縁層を形成し、その絶縁層に接するように剥離層1101、1102を設けてもよ
い。
【0127】
次に、図9(B)に示すように、剥離層1101、1102を覆うように、下地となる
絶縁層1105を形成する。絶縁層1105は、公知の手段(スパッタリング法やプラズ
マCVD法等)により、珪素の酸化物又は珪素の窒化物を含む層を、単層又は積層で形成
する。珪素の酸化物材料とは、珪素(Si)と酸素(O)を含む物質であり、酸化珪素、
酸化窒化珪素、窒化酸化珪素等が該当する。珪素の窒化物材料とは、珪素と窒素(N)を
含む物質であり、窒化珪素、酸化窒化珪素、窒化酸化珪素等が該当する。下地となる絶縁
層は、基板1100からの不純物の侵入を防止するブロッキング膜として機能する。
【0128】
次に、絶縁層1105上に、非晶質半導体層(例えば非晶質珪素を含む層)を形成する
。この非晶質半導体層は、公知の手段(スパッタリング法、LPCVD法、プラズマCV
D法等)により、25〜200nm(好ましくは30〜150nm)の厚さで形成する。
続いて、非晶質半導体層を公知の結晶化法(レーザ結晶化法、RTA又はファーネスアニ
ール炉を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法、結晶化を助
長する金属元素を用いる熱結晶化法とレーザ結晶化法を組み合わせた方法等)により結晶
化して、結晶質半導体層を形成する。その後、得られた結晶質半導体層を所望の形状にエ
ッチングして結晶質半導体層1127〜1130を形成する。なお、剥離層1101、1
102がタングステンの場合、当該加熱処理により、剥離層1101、1102及び絶縁
層1105の界面において、タングステンの酸化物を形成することが可能である。
【0129】
結晶質半導体層1127〜1130の作製工程の具体例を挙げると、まず、プラズマC
VD法を用いて、膜厚66nmの非晶質半導体層を形成する。次に、結晶化を助長する金
属元素であるニッケルを含む溶液を非晶質半導体層上に保持させた後、非晶質半導体層に
脱水素化の処理(500℃、1時間)と、熱結晶化の処理(550℃、4時間)を行って
結晶質半導体層を形成する。その後、必要に応じてレーザ光を照射して結晶性を向上させ
た後、フォトリソグラフィ法を用いて形成されたレジストマスクを用いてエッチングして
結晶質半導体層1127〜1130を形成する。
【0130】
なお、レーザ結晶化法で結晶質半導体層1127〜1130を形成する場合、連続発振
またはパルス発振の気体レーザ又は固体レーザを用いる。気体レーザとしては、エキシマ
レーザ、YAGレーザ、YVOレーザ、YLFレーザ、YAlOレーザ、ガラスレー
ザ、ルビーレーザ、Ti:サファイアレーザ等を用いる。固体レーザとしては、Cr、N
d、Er、Ho、Ce、Co、Ti又はTmがドーピングされたYAG、YVO、YL
F、YAlOなどの結晶を使ったレーザを用いる。
【0131】
また、結晶化を助長する金属元素を用いて非晶質半導体層の結晶化を行うと、低温で短
時間の結晶化が可能となるうえ、結晶の方向が揃うという利点がある一方、金属元素が結
晶質半導体層に残存するためにオフ電流が上昇し、特性が安定しないという欠点がある。
そこで、結晶質半導体層上に、ゲッタリングサイトとして機能する非晶質半導体層を形成
するとよい。ゲッタリングサイトとなる非晶質半導体層には、リンやアルゴンの不純物元
素を含有させる必要があるため、好適には、アルゴンを高濃度に含有させることが可能な
スパッタリング法で形成するとよい。その後、加熱処理(RTA法やファーネスアニール
炉を用いた熱アニール等)を行って、非晶質半導体層中に金属元素を拡散させ、続いて、
当該金属元素を含む非晶質半導体層を除去する。そうすると、結晶質半導体層中の金属元
素の含有量を低減又は除去することができる。
【0132】
次に、結晶質半導体層1127〜1130を覆う絶縁層を形成する。絶縁層は、プラズ
マCVD法やスパッタリング法等により、珪素の酸化物又は珪素の窒化物を含む層を、単
層又は積層して形成する。具体的には、酸化珪素を含む層、酸化窒化珪素を含む層、窒化
酸化珪素を含む層を、単層で又は積層して形成する。
【0133】
次に、絶縁層上に、第1の導電層と第2の導電層を積層して形成する。第1の導電層は
、プラズマCVD法やスパッタリング法により、20〜100nmの厚さで形成する。第
2の導電層は、公知の手段により、100〜400nmの厚さで形成する。第1の導電層
と第2の導電層は、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデ
ン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ニオブ(Nd)等か
ら選択された元素又はこれらの元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成す
る。または、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶珪素に代表される半導体材料に
より形成する。
【0134】
第1の導電層と第2の導電層との組み合わせの例を挙げると、窒化タンタル(TaN)
層とタングステン(W)層、窒化タングステン(WN)層とタングステン層、窒化モリブ
デン(MoN)層とモリブデン(Mo)層等が挙げられる。タングステンや窒化タンタル
は、耐熱性が高いため、第1の導電層と第2の導電層を形成した後に、熱活性化を目的と
した加熱処理を行うことができる。
【0135】
次に、フォトリソグラフィ法を用いてレジストからなるマスクを形成し、ゲート電極を
形成するためのエッチング処理を行って、ゲート電極として機能する導電層(ゲート電極
層とよぶことがある)1107〜1110を形成する。
【0136】
次に、結晶質半導体層1127〜1130に、イオンドープ法又はイオン注入法により
、N型を付与する不純物元素を低濃度に添加して、N型不純物領域を形成する。N型を付
与する不純物元素は、15族に属する元素を用いれば良く、例えばリン(P)、砒素(A
s)を用いる。また、P型を付与する不純物元素を添加して、P型不純物領域を形成して
もよい。P型を付与する不純物元素は、例えばボロン(B)を用いる。
【0137】
次に、絶縁層と導電層1107〜1110を覆うように、絶縁層を形成する。絶縁層は
、公知の手段(プラズマCVD法やスパッタリング法)により、珪素、珪素の酸化物又は
珪素の窒化物の無機材料を含む層(無機層と表記することがある)や、有機樹脂などの有
機材料を含む層(有機層と表記することがある)を、単層又は積層して形成する。好まし
くは、絶縁層として、珪素の酸化物からなる層を形成する。
【0138】
次に、絶縁層を、垂直方向を主体とした異方性エッチングにより選択的にエッチングし
て、導電層1107〜1110の側面に接する絶縁層(以下、サイドウォール絶縁層とよ
ぶ)1115〜1118を形成する(図9(B)参照)。サイドウォール絶縁層1115
〜1117は、後にソース領域及びドレイン領域を形成するためのドーピング用のマスク
として用いる。
【0139】
なお、サイドウォール絶縁層1115〜1118を形成するためのエッチング工程によ
り、絶縁層もエッチングされ、ゲート絶縁層1119〜1122が形成される。ゲート絶
縁層1119〜1122は、導電層1107〜1110及びサイドウォール絶縁層111
5〜1118と重なる層である。このように、ゲート絶縁層がエッチングされてしまうの
は、ゲート絶縁層とサイドウォール絶縁層1115〜1118の材料のエッチングレート
が同じであるためであり、図9(B)ではその場合を示している。従って、ゲート絶縁層
とサイドウォール絶縁層1115〜1118の材料のエッチングレートが異なる場合には
、サイドウォール絶縁層1115〜1118を形成するためのエッチング工程を経ても、
絶縁層が残存する場合がある。
【0140】
続いて、サイドウォール絶縁層1115〜1118をマスクとして、結晶質半導体層1
127〜1130にN型を付与する不純物元素を添加して、第1のN型不純物領域(LD
D領域ともよぶ)1123a〜1123dと、第2のN型不純物領域(ソース領域及びド
レイン領域領域ともよぶ)1124a〜1124dとを形成する。第1のN型不純物領域
1123a〜1123dが含む不純物元素の濃度は、第2のN型不純物領域1124a〜
1124dの不純物元素の濃度よりも低い。
【0141】
なお、第1のN型不純物領域1123a〜1123dを形成するためには、ゲート電極
を2層以上の積層構造とし、該ゲート電極がテーパ部を有するようなエッチングや異方性
エッチングを行って該ゲート電極を構成する下層の導電層をマスクとして用いる手法と、
サイドウォール絶縁層をマスクとして用いる手法がある。前者の手法を採用して形成され
た薄膜トランジスタはGOLD(Gate Overlapped Lightly D
oped drain)構造になる。本発明は、前者と後者のどちらの手法を用いてもよ
い。但し、後者のサイドウォール絶縁層をマスクとして用いる手法を用いると、LDD領
域を確実に形成することができ、また、LDD領域の幅の制御が容易になるという利点が
ある。
【0142】
上記工程を経て、n型のTFT1131〜1134が完成する。
【0143】
n型のTFT1131〜1134は、LDD構造を有し、第1のn型不純物領域(LD
D領域ともよぶ。)と第2のn型不純物領域(ソース領域及びドレイン領域ともよぶ。)
とチャネル形成領域を含む活性層と、ゲート絶縁層と、ゲート電極として機能する導電層
とを有する。
【0144】
次に、TFT1131〜1134を覆うように、単層又は積層で絶縁層を形成する。T
FT1131〜1134を覆う絶縁層は、公知の手段(SOG法、液滴吐出法等)により
、珪素の酸化物や珪素の窒化物等の無機材料、ポリイミド、ポリアミド、ベンゾシクロブ
テン、アクリル、エポキシ、シロキサン等の有機材料等により、単層又は積層で形成する
。シロキサン系の材料とは、例えば、シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との
結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアル
キル基、芳香族炭化水素)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いてもよい。ま
たは置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。
【0145】
図示する断面構造では、TFT1131〜1134を覆うように、絶縁層を2層積層し
て形成した場合を示し、1層目の絶縁層1142として窒化珪素を含む層を形成し、2層
目の絶縁層1141として酸化珪素を含む層を形成する。さらには、2層目の絶縁層11
41上に、3層目の絶縁層として酸化珪素を含む層を形成してもよい。
【0146】
なお、絶縁層1141、1142を形成する前、又は絶縁層1141、1142のうち
の1つ又は複数の薄膜を形成した後に、半導体層の結晶性の回復や半導体層に添加された
不純物元素の活性化、半導体層の水素化を目的とした加熱処理を行うとよい。加熱処理に
は、熱アニール、レーザアニール法又はRTA法などを適用するとよい。
【0147】
次に、図9(C)に示すように、フォトリソグラフィ法により絶縁層1141、114
2をエッチングして、第2のN型不純物領域1124a〜1124dを露出させるコンタ
クトホール1143〜1150を形成する。
【0148】
次に、図9(D)に示すように、コンタクトホール1143〜1150を充填するよう
に、導電層を形成し、当該導電層をパターン加工して、導電層1154〜1162を形成
する。導電層1155〜1162は、TFTのソース配線又はドレイン配線として機能し
、導電層1154はアンテナとして機能する。
【0149】
導電層1154〜1162は、プラズマCVD法やスパッタリング法等により、チタン
(Ti)、アルミニウム(Al)、ネオジウム(Nd)から選択された元素、又はこれら
の元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で、単層又は積層で形成する。アルミ
ニウムを主成分とする合金材料とは、例えば、アルミニウムを主成分としニッケルを含む
材料、又は、アルミニウムを主成分とし、ニッケルと、炭素と珪素の一方又は両方とを含
む合金材料に相当する。
【0150】
導電層1154〜1162は、例えば、バリア層とアルミニウムシリコン(Al−Si
)層とバリア層、バリア層とアルミニウムシリコン(Al−Si)層と窒化チタン(Ti
N)層とバリア層の積層構造を採用するとよい。なお、バリア層とは、チタン、チタンの
窒化物、モリブデン、又はモリブデンの窒化物からなる層に相当する。アルミニウムやア
ルミニウムシリコンは抵抗値が低く、安価であるため、導電層1154〜1162を形成
する材料として最適である。また、上層と下層のバリア層を設けると、アルミニウムやア
ルミニウムシリコンのヒロックの発生を防止することができる。また下層のバリア層を設
けると、アルミニウムやアルミニウムシリコンと、結晶質半導体層との、良好なコンタク
トをとることができる。また、チタンは、還元性の高い元素であるため、チタンからなる
バリア層を形成すると、結晶質半導体層上に薄い自然酸化膜ができていたとしても、この
自然酸化膜を還元し、結晶質半導体層と良好なコンタクトをとることができる。
【0151】
次に、図9(E)に示すように、導電層1154〜1162を覆うように、単層又は積
層で絶縁層1163を形成する。導電層1154〜1162を覆う絶縁層1163は、薄
膜トランジスタを覆う絶縁層1142と同様の手法及び材料を用いて形成することができ
る。次に、導電層1154〜1162を覆う絶縁層1163にコンタクトホールを形成し
、第1の導電層1164を形成する。導電層1164は、後に形成される記憶素子の第1
の導電層として機能する。なお、第1の導電層は薄膜トランジスタ1132を覆うように
形成する。
【0152】
次に、第1の導電層1164の端部を覆うように絶縁層1165を形成した後、有機化
合物層又は相変化層1166、第2の導電層1167を形成する。第1の導電層1164
、有機化合物層又は相変化層1166、及び第2の導電層1167で記憶素子1169を
構成する。この後、絶縁層1168を形成してもよい。当該絶縁層1168は、DLC(
ダイヤモンドライクカーボン)などの炭素を含む層、窒化珪素を含む層、窒化酸化珪素を
含む層、有機材料(好ましくはエポキシ樹脂)を含む層等に相当する。なお、絶縁層は、
保護層として機能するものであり、必要がなければ形成しなくてもよい。また、絶縁層1
168として、膜厚の厚い(代表的には5〜100μm、好ましくは5〜50μm、更に
好ましくは5〜10μm)有機化合物からなる層を形成すると、剥離層1101、110
2を除去した後でも、基板1100上の複数の素子に重みがつき、基板1100からの飛
散を防止し、さらに、巻かれた形状になることがなく、素子の破壊や損傷を防止すること
ができる。以下、TFT1131〜1134及び記憶素子1169を含むを複数のトラン
ジスタを有する素子形成層1170と示す。
【0153】
また、記憶素子の有機化合物層を、インクジェットに代表される液滴吐出法により形成
してもよい。液滴吐出法を用いることにより、材料の利用効率を向上させて、作製工程を
簡略化した半導体装置の作製方法を提供することができる。また、作製時間の短縮及び作
製費用の低減を実現した半導体装置の作製方法を提供することができる。
【0154】
次に、図10(A)に示すように、剥離層1101、1102が露出するように、フォ
トリソグラフィ法により絶縁層1105、1141、1142、1163、1165、1
168をエッチングして、開口部1171、1172を形成する。
【0155】
次に、図10(B)に示すように、開口部1171、1172にエッチング剤を導入し
て、剥離層1101、1102を除去する。エッチング剤は、ウエットエッチングであれ
ば、フッ酸を水やフッ化アンモニウムで希釈した混液、フッ酸と硝酸の混液、フッ酸と硝
酸と酢酸の混液、過酸化水素と硫酸の混液、過酸化水素とアンモニウム水と水の混液、過
酸化水素と塩酸と水の混液等を用いる。また、ドライエッチングであれば、フッ素等のハ
ロゲン系の原子や分子を含む気体、又は酸素を含む気体を用いる。好ましくは、エッチン
グ剤として、フッ化ハロゲン又はハロゲン間化合物を含む気体又は液体を使用する。例え
ば、フッ化ハロゲンを含む気体として三フッ化塩素(ClF)を使用する。
【0156】
次に、図10(C)に示すように、複数のトランジスタを有する素子形成層1170に
おいて記憶素子が形成されている面を、基体1181に接着させた後、複数のトランジス
タを有する素子形成層1170を基板1100から完全に剥離する(図11(A)の断面
図参照)。
【0157】
基体1181は、実施形態1で示される基板200aと同様の材料を用いることができ
る。
【0158】
次に、図11(B)に示すように、複数のトランジスタを有する素子形成層1170の他
方の面を、接着剤1182aを用いて基板1183aに接着させる。
【0159】
基板1183aには、実施形態1で示される基板200aと同様の材料を用いることが
できる。
【0160】
次に、複数のトランジスタを有する素子形成層1170と基体1181とが接着したも
のを、スライシング装置やレーザ照射装置等を用いて分断する。
【0161】
上記工程を経て、非接触でデータを交信する機能を有する半導体装置が完成する。
【0162】
また、本実施形態では、複数のトランジスタを有する素子形成層1170と、基板1
183とを接着させた後、分断して半導体装置を形成しているが、この工程に限定されな
い。複数のトランジスタを有する素子形成層1170と基体1181を接着し、分断した
後、複数のトランジスタを有する素子形成層1170に、基板1183を接着してもよい

【0163】
このように、本発明の半導体装置は、小型、薄型、軽量であり、フレキシブル性を有す
るために、多種多様の用途が実現し、物品に貼り付けても、その物品のデザイン性を損な
うことがない。
(実施形態7)
本実施形態の半導体装置の構成について、図26、27を参照して説明する。
【0164】
本実施形態の半導体装置の斜視図について、図26(A)を用いて説明する。本実施形
態の半導体装置は、図26(A)に示すように、基板上に複数のトランジスタが集積され
た構成を有する。ここでは、複数のトランジスタを有する素子形成層101bと、基板1
08bに設けられたアンテナを有する素子形成層107bが形成されており、記憶素子と
複数のトランジスタを有する素子形成層101bは、代表的には複数のTFTを有する領
域102、103と、記憶素子を有する領域104とで構成されている。また、基板10
8b上にはアンテナとして機能する導電層105を有する素子形成層107bが形成され
ており、複数のトランジスタを有する素子形成層101bの裏面において、導電層105
と接着層で貼り合わせられた構成を有する。ここで、複数のトランジスタを有する素子形
成層101bの裏面とは、絶縁層が露出されている面をいう。
【0165】
次に、図26(A)に示す構成を有する半導体装置の断面構造について、図27(A)
を用いて説明する。複数のトランジスタを有する素子形成層101bが基板100bに設
けられている。ここでは、複数の回路を有する素子形成層101bとして、記憶素子を動
作させる回路を構成するTFT111(図26(A)の記憶素子を有する領域104の一
部)、記憶素子のスイッチング用のTFT112(図26(A)の記憶素子を有する領域
104の一部)、電源回路、クロック発生回路、データ復調/変調回路等のアンテナで受
信した信号を処理する回路を構成するTFT113(図26(A)の複数のTFTを有す
る領域102の一部)、制御回路、インターフェイス等の回路を構成するTFT114(
図26(A)の複数のTFTを有する領域103の一部)を示す。
【0166】
また、複数のトランジスタを有する素子形成層101bとアンテナを有する素子形成層1
07bは接着層106で貼り合わせられている。具体的には、絶縁層115とアンテナを
有する素子形成層107bは接着層106で貼り合わせられている。また、素子形成層1
01bのTFT113のソース配線又はドレイン配線として機能する導電層124cと、
素子形成層101bのアンテナとして機能する導電層125bは、接着層106の導電性
粒子109を介して電気的に接続されている。
【0167】
TFT111〜114は、基板100bと絶縁層115との間に設けられてまた、TF
T111〜114を覆う絶縁層122が形成されている。
【0168】
また、TFT111〜114と、パッシベーション膜として機能する絶縁層122を覆
うように、絶縁層123が設けられており、これらの絶縁層123は、表面を平坦化する
ために設けられている。ソース配線又はドレイン配線として機能する導電層124a〜1
24dは、ソース領域及びドレイン領域119a〜119dに接し、絶縁層123に設け
られたコンタクトホールを充填する。また、TFT113のソース配線又はドレイン配線
として機能する導電層124cの一方は、絶縁層115、122、123を貫通しており
、素子形成層101の裏面に露出している。
【0169】
また、導電層124a〜124d、125bを覆うように、絶縁層126、127が設
けられている。これらの絶縁層126、127は、表面を平坦化する目的と、TFT11
1〜114及び導電層124a〜124d、125bを保護する目的で設けられている。
【0170】
また、絶縁層127上に記憶素子134が設けられている。
【0171】
絶縁層127上に、第1の導電層131、有機化合物層又は相変化層132、第2の導
電層133が順に積層されており、この積層体が記憶素子134に相当する。隣接する有
機化合物層又は相変化層132の間には、絶縁層135が設けられている。第1の導電層
131は、TFT112のソース配線又はドレイン配線として機能する導電層124bと
接続する。導電層133上には、絶縁層136が設けられている。なお、TFT112は
記憶素子のスイッチング用のTFTとして機能する。また、その他の記憶素子それぞれに
もスイッチング用のTFTが設けられている。この構造では、アクティブマトリクス型の
記憶回路を有する半導体装置である。
【0172】
また、絶縁層136上には基板100bが設けられている。
【0173】
次に、図27(A)のトランジスタを設けた記憶素子の代わりに、スイッチング用のト
ランジスタを有しない記憶素子を有する半導体装置、即ちパッシブマトリクス型の記憶回
路を有する半導体装置の断面構造について、図27(B)を用いて説明する。より詳しく
は、図27(A)に示した半導体装置と比較すると、記憶素子154の構造が異なる半導
体装置の断面構造について説明する。
【0174】
絶縁層127上に、TFT111のソース配線又はドレイン配線として機能する導電層
124aに接続するように、第1の導電層151が設けられ、第1の導電層151に接す
るように有機化合物層又は相変化層152が設けられ、有機化合物層又は相変化層152
に接するように第2の導電層153が設けられている。第1の導電層151と、有機化合
物層又は相変化層152と、第2の導電層153との積層体が記憶素子154に相当する
。隣接する有機化合物層又は相変化層152の間には、絶縁層155が設けられている。
記憶素子154上には、絶縁層156が設けられている。
【0175】
本発明の半導体装置は、記憶素子と複数のトランジスタを有する素子形成層を形成する
工程とアンテナとして機能する導電層を形成する工程を、独立に並行して行うことができ
る。従って、本発明は短時間で効率よく半導体装置を作製することができる。また、記憶
素子と複数のトランジスタを有する素子形成層や、アンテナそれぞれが形成された時点で
、各回路の性能を確認し、選別して、複数のトランジスタを有する素子形成層や、アンテ
ナを電気的に接続させ半導体装置を完成させることができる。従って、欠陥品が作製され
る割合を抑えることができ、歩留まりを改善することができる。
【0176】
(実施形態8)
本実施形態では、上記実施形態の構成とは異なる本発明の半導体装置の断面構造につい
て説明する。より詳しくは、図27に示した半導体装置と比較すると、アンテナを有する
導電層の代わりに、記憶素子を有する素子形成層202bが形成された基板200bが貼
り合わせられた構造の半導体装置の断面構造について説明する。
【0177】
本実施形態の半導体装置は、図26(B)に示すように、第1の基板100b上に設け
られた複数のトランジスタを有する素子形成層201bと、第2の基板200b上に形成
された記憶素子を有する素子形成層202bとが、樹脂層で貼り合わせられた構成を有す
る。
【0178】
ここでは、複数のトランジスタを有する素子形成層201bは、代表的には複数のTF
Tを有する領域102、103と、アンテナとして機能する導電層105を有する。また
、記憶素子を有する素子形成層202bは、記憶素子を有する領域104で構成される。
また、記憶素子を有する領域104は、制御回路、インターフェイス等を構成する複数の
TFTを含む領域103と、図示しないが接着層の導電性粒子で接続されている。
【0179】
上記の図26(B)に示す構成を有する本発明の半導体装置の断面構造について、図2
8を用いて説明する。
【0180】
図28(A)に示すように、アンテナとして機能する導電層複数のトランジスタを有す
る素子形成層201bに基板100bが設けられ、複数のトランジスタを有する素子形成
層201bはTFT111、113、114を有し、これらのTFTの構造は上述した通
りである。また、TFT111のソース配線又はドレイン配線として機能する導電層12
4aは、裏面に露出している。
【0181】
また、基板200b上に記憶素子を有する素子形成層202bが形成されている。複数
のトランジスタを有する素子形成層201bと記憶素子を有する素子形成層202bは接
着層106で貼り合わせられている。具体的には、絶縁層115と記憶素子を有する素子
形成層202bは接着層106で貼り合わせられている。図28(A)においては、記憶
素子234a、234bそれぞれに、スイッチング用のTFT212a、212bが接続
されている。即ち、スイッチング用のTFT212a、212bのソース配線又はドレイ
ン配線の一方に記憶素子の第1の導電層231a、231bが接続されている。また、ス
イッチング用のTFT212a、212bのソース配線又はドレイン配線の他方は、記憶
素子の第1の導電層又は第2の導電層と同時に形成された導電層と接続されている。ここ
では、ソース配線又はドレイン配線として機能する導電層223の他方は、導電層225
bを介して導電層226と接続している。なお、導電層225bは、記憶素子234a、
234bの第1の導電層231a、231bと同時に形成された導電層であり、導電層2
26は、記憶素子234a、234bの第2の導電層233a、233bと同時に形成さ
れた導電層である。
【0182】
また、記憶素子のスイッチング用のTFT212aのソース配線又はドレイン配線とし
て機能する導電層223と、記憶素子を動作させる回路を構成するTFT111のソース
配線又はドレイン配線として機能する導電層124aとは、接着層106中の導電性粒子
109を介して電気的に接続されている。
【0183】
なお、記憶素子の構成によっては、記憶素子を有する素子形成層202bに対して、レ
ーザ光を用いた光学的作用によりデータの書き込みを行う場合がある。そのような場合、
記憶素子を有する素子形成層202bにおいて、スイッチング用のTFT212a、21
2bと、記憶素子234a、234bそれぞれが、重ならない領域を有するように、レイ
アウトをすることが必要である。
【0184】
図28(A)に示す記憶素子234a、234bは、スイッチング用のTFT212a
、212bが、各記憶素子234a、234bに設けられた記憶素子を示す。この構造で
は、アクティブマトリクス型の記憶回路を有する半導体装置である。なお、図28(B)
に示すように、第1の導電層251、有機化合物層又は相変化層252、第2の導電層2
53で構成される記憶素子254を有する基板を貼り合わせることも可能である。図28
(B)においては、各記憶素子それぞれには、スイッチング用のTFTは設けられていな
いパッシブマトリクス型の記憶回路を示す。なお、第1の導電層251、有機化合物層又
は相変化層252、第2の導電層253は、それぞれ実施形態1に示す第1の導電層15
1と、有機化合物層又は相変化層152と、第2の導電層153と同様の構造を用いるこ
とができる。
【0185】
また、上記実施形態において、複数のトランジスタを有する素子形成層201bに記憶
素子を動作させる回路が形成されるが、これに限定される物ではない。例えば、記憶素子
を有する素子形成層202bに記憶素子を動作させる回路を構成するTFT111が形成
されてもよい。具体的には、図31(A)に示すように、記憶素子234a、234bと
ともに、記憶素子を動作させる回路を構成するTFT511を基板500b上に形成した
後、記憶素子とアンテナを有する素子形成層502bと、アンテナ及び複数のトランジス
タを有する素子形成層501bと、導電性粒子109を有する接着層106で貼り合わせ
てもよい。このとき、記憶素子を動作させる回路を構成するTFT511のソース配線又
はドレイン配線524の一方と接続する導電層526と、TFT114のソース配線又は
ドレイン配線124dの一方とが、導電性粒子109を介して電気的に接続される。なお
、導電層526は、TFT511のソース配線又はドレイン配線524の一方と導電層5
25を介して接続されている。また、導電層526は、記憶素子の第2の導電層と同時に
形成された導電層であり、導電層525は、記憶素子の第1の導電層と同時に形成された
導電層である。
【0186】
また、図28(A)において、記憶素子を有する素子形成層202bは基板200b上
に形成された構造を有しているが、図31(B)に示すように、基板512b上に接着層
513を介して記憶素子を有する素子形成層202bを貼り合せても良い。具体的には、
基板上に剥離層を設け、剥離層上に複数のトランジスタを有する素子形成層202bを形
成した後、複数のトランジスタを有する素子形成層202bを剥離層から剥離し、図31
(B)に示すように、基板512b上に接着層513を介して複数のトランジスタを有す
る素子形成層202bを貼り合わせても良い。なお剥離方法としては、実施の形態1に示
す剥離方法を適宜用いることが出来る。
【0187】
また、基板512bとしては、基板200aと同様の材料を用いることができる。接着
層513は、熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、エポキシ樹脂系接着剤、樹脂添加剤等の接着
剤を含む層に相当する。
【0188】
上記のように、剥離した複数のトランジスタを有する素子形成層を、可撓性があり、薄
くて軽いプラスチック基板に貼り合わせると、厚さが薄く、軽く、落下しても割れにくい
半導体装置を提供することができる。また、曲面や異形の形状の物上に貼り合わせること
が可能となり、多種多様の用途が実現する。例えば、薬の瓶のような曲面上に、本発明の
半導体装置を密着して貼り合わせることができる。さらに、基板を再利用すれば、安価な
半導体装置の提供を実現する。
【0189】
本発明の半導体装置は、複数のトランジスタを有する素子形成層を形成する工程と、記
憶素子を有する素子形成層を形成する工程を、独立に並行して行うことができる。従って
、本発明は短時間で効率よく半導体装置を作製することができる。また、複数のトランジ
スタを有する素子形成層や、記憶素子それぞれが形成された時点で、それぞれの性能を確
認し、選別して、複数のトランジスタを有する素子形成層や記憶素子を電気的に接続させ
半導体装置を完成させることができる。従って、欠陥品が作製される割合を抑えることが
でき、歩留まりを改善することができる。
【0190】
(実施形態9)
本実施形態では、上記実施形態の構成とは異なる本発明の半導体装置の断面構造につい
て説明する。より詳しくは、複数のトランジスタを有する素子形成層の裏面に、記憶素子
及びアンテナが形成された層を有する基板が貼り合わせられた構造の半導体装置の断面構
造について説明する。
【0191】
本実施形態の半導体装置は、図26(C)に示すように、基板100bに設けられた複
数のトランジスタを有する素子形成層301bと、第2の基板300b上に形成された記
憶素子及びアンテナを有する素子形成層302bとが、接着層で貼り合わせられた構成を
有する。
【0192】
ここでは、複数のトランジスタを有する素子形成層301bは、代表的には複数のTF
Tを有する領域102、103を有する。また、記憶素子及びアンテナを有する素子形成
層302bは、記憶素子を有する領域104及びアンテナとして機能する導電層105で
構成される。また、記憶素子を有する領域104は、制御回路、インターフェイス等を構
成する複数のTFTを含む領域103と、図示しないが導電性粒子で接続されている。ま
た、及びアンテナとして機能する導電層105は、通信回路を構成する複数のTFTを含
む領域102と、図示しないが接着層の導電性粒子で接続されている。
【0193】
上記の図26(C)に示す構成を有する本発明の半導体装置の断面構造について、図2
9を用いて説明する。
【0194】
図29(A)に示すように、複数のTFTを有する素子形成層301bは、TFT11
1、113、114を有し、これらのTFTの構造は上述した通りである。また、基板3
00b上に記憶素子334及びアンテナとして機能する導電層325を有する素子形成層
302bが形成されている。図29(A)においては、記憶素子334に、スイッチング
用のTFT312が接続されている。即ち、スイッチング用のTFT312のソース配線
又はドレイン配線として機能する導電層324の一方に、記憶素子334の第1の導電層
が接続されており、アクティブマトリクス型の記憶回路を構成する。
【0195】
また、スイッチング用のTFT312のソース配線又はドレイン配線の他方は、記憶素
子の第1の導電層又は第2の導電層と同時に形成された導電層と接続されている。ここで
は、ソース配線又はドレイン配線として機能する導電層324の他方は、導電層225b
を介して導電層326と接続している。なお、導電層225bは、記憶素子の第1の導電
層と同時に形成された導電層であり、導電層326は、記憶素子の第2の導電層と同時に
形成された導電層であり、接続端子として機能する。
【0196】
また、複数のTFTを有する素子形成層301bの裏面と、記憶素子及びアンテナを有
する素子形成層302bとは、導電性粒子109を有する接着層106で貼り合わせられ
ている。即ち、絶縁層115と、記憶素子及びアンテナを有する素子形成層302bとは
、導電性粒子109を有する接着層106で貼り合わせられている。また、TFT113
のソース配線又はドレイン配線として機能する導電層124cは裏面で露出されている。
よって、TFT111のソース配線又はドレイン配線として機能する導電層124aは、
導電性粒子109を介して、アンテナとして機能する導電層325と電気的に接続されて
いる。
【0197】
また、記憶素子334の第1の導電層又は第2の導電層と同時に、アンテナとして機能
する導電層325が形成される。導電層325は、TFT113のソース配線又はドレイ
ン配線として機能する導電層124cと、導電性粒子109を介して電気的に接続される
。なお、導電層325は導電層326と同時に形成される。
【0198】
なお、記憶素子の構成によっては、記憶素子334に対して、レーザ光を用いた光学的
作用によりデータの書き込みを行う場合がある。そのような場合、記憶素子を有する素子
形成層302bにおいて、スイッチング用のTFT312及び記憶素子334、並びに導
電層325及び記憶素子434が、重ならない領域を有するように、レイアウトをするこ
とが必要である。
【0199】
図29(A)に示す記憶素子334は、スイッチング用のTFT312が、各記憶素子
に設けられた記憶素子を示す。なお、図29(B)に示すように、第1の導電層351、
有機化合物層又は相変化層352、第2の導電層353で構成される記憶素子354及び
アンテナとして機能する導電層525を有する基板300bを貼り合わせることも可能で
ある。
【0200】
また、複数のトランジスタを有する素子形成層301bに記憶素子を動作させる回路を
構成するTFT111が形成されるが、これに限定される物ではない。記憶素子を有する
素子形成層302bに記憶素子を動作させる回路を構成するTFTが形成されてもよい。
また、図29(A)において、記憶素子及びアンテナを有する素子形成層302bは基板
300b上に形成された構造を有しているが、基板300b上に接着層を介して記憶素子
及びアンテナを有する素子形成層302bを貼り合せても良い。
【0201】
本発明の半導体装置は、複数のトランジスタを有する素子形成層を形成する工程と、記憶
素子及びアンテナを有する素子形成層を形成する工程を、独立に並行して行うことができ
る。従って、本発明は短時間で効率よく半導体装置を作製することができる。 また、複
数のトランジスタを有する素子形成層や、記憶素子、アンテナそれぞれが形成された時点
で、それぞれの性能を確認し、選別して、複数のトランジスタを有する素子形成層や記憶
素子、アンテナを電気的に接続させ半導体装置を完成させることができる。従って、欠陥
品が作製される割合を抑えることができ、歩留まりを改善することができる。
【0202】
(実施形態10)
本実施形態では、上記実施形態の構成とは異なる本発明の半導体装置の断面構造について
説明する。より詳しくは、複数のトランジスタを有する素子形成層401bを、アンテナ
が形成される基板及び記憶素子を有するが形成される基板で挟み込んだ構造の半導体装置
の断面構造について、図26及び図30を用いて説明する。
【0203】
本実施形態の半導体装置は、図26(D)に示すように、基板108b上に形成された
アンテナとして機能する導電層を有する素子形成層107bと、基板200bに形成され
た記憶素子を有する素子形成層202bとを用いて、複数のトランジスタを有する素子形
成層401bを挟み込んだ構造を有する。なお、複数のトランジスタを有する素子形成層
401bと、アンテナとして機能する導電層を有する素子形成層202bとは、接着層で
貼り合わせられており、複数のトランジスタを有する素子形成層401bと、アンテナと
して機能する導電層を有する素子形成層107bとも接着層で貼り合わせられている。
【0204】
ここでは、複数のトランジスタを有する素子形成層401bは、代表的には複数のTF
Tを有する領域102、103を有する。また、記憶素子を有する素子形成層202bは
、記憶素子を有する領域104で構成される。また、記憶素子を有する領域104は、制
御回路、インターフェイス等を構成する複数のTFTを含む領域103と、図示しないが
接着層中の導電性粒子で接続されている。
【0205】
また、アンテナとして機能する導電層105は、通信回路を構成する複数のTFTを含
む領域102と、図示しないが接着層中の導電性粒子で接続されている。
【0206】
上記の図26(D)に示す構成を有する本発明の半導体装置の断面構造について、図3
0を用いて説明する。
【0207】
図30(A)に示すように、基板200b上に記憶素子を有する素子形成層202bが
形成されている。複数のトランジスタを有する素子形成層401bと記憶素子を有する素
子形成層202bは、導電性粒子109を有する接着層406で貼り合わせられている。
また、複数のトランジスタを有する素子形成層401bは、TFT111、113、11
4を有し、これらのTFTの構造は上述した通りである。また、TFT111のソース配
線又はドレイン配線として機能する導電層124aに接続する接続配線は、複数の薄膜ト
ランジスタを有する素子形成層401bの表面に露出している。また、TFT111のソ
ース配線又はドレイン配線として機能する導電層124cは、複数の薄膜トランジスタを
有する素子形成層401bの裏面に露出している。
【0208】
図30(A)においては、記憶素子234a、234bそれぞれに、スイッチング用の
TFT212a、212bが接続されている。即ち、スイッチング用のTFT212a、
212bのソース配線又はドレイン配線の一方に記憶素子の第1の導電層231a、23
1bが接続されている。また、スイッチング用のTFT212a、212bのソース配線
又はドレイン配線の他方は、記憶素子の第1の導電層又は第2の導電層と同時に形成され
た導電層225b、226と接続されている。ここでは、ソース配線又はドレイン配線と
して機能する導電層223の他方は、導電層225bを介して導電層226と接続してい
る。
【0209】
また、記憶素子のスイッチング用のTFT212aのソース配線又はドレイン配線とし
て機能する導電層223と、記憶素子を動作させる回路を構成するTFT111のソース
配線又はドレイン配線として機能する導電層124aとは、導電性粒子109および導電
層を介して電気的に接続されている。
【0210】
また、複数のトランジスタを有する素子形成層401bと、基板108bに形成された
導電層125bを有する素子形成層107bは、導電性粒子109を含む接着層406に
より貼り合わせられている。また、TFT113のソース配線又はドレイン配線として機
能する導電層124cは、アンテナとして機能する導電層125bと、接着層407中の
導電性粒子109を介して電気的に接続されている。
【0211】
図30(A)に示す記憶素子234a、234bは、スイッチング用のTFT212a
、212bが、設けられている。即ちアクティブマトリクス型記憶回路である。なお、図
30(B)に示すように、第1の導電層251、有機化合物層又は相変化層252、第2
の導電層253で構成される記憶素子254を有する基板を貼り合わせることも可能であ
る。このような記憶素子はパッシブマトリクス型記憶回路を構成する。
【0212】
また、上記実施形態において、複数のトランジスタを有する素子形成層401bに記憶
素子を動作させる回路が形成されるが、これに限定される物ではない。例えば、記憶素子
を有する素子形成層202bに記憶素子を動作させる回路が形成されてもよい。
【0213】
また、図30(A)において、記憶素子を有する素子形成層202bは基板200bに
形成された構造を有しているが、基板上に接着層を介して記憶素子を有する素子形成層2
02bを貼り合せても良い。
【0214】
本発明の半導体装置は、複数のトランジスタを有する素子形成層を形成する工程と、記
憶素子を有する素子形成層を形成する工程とアンテナとして機能する導電層を形成する工
程を、独立に並行して行うことができる。従って、本発明は短時間で効率よく半導体装置
を作製することができる。また、複数のトランジスタを有する素子形成層や、記憶素子、
アンテナとして機能する導電層それぞれが形成された時点で、それぞれの性能を確認し、
選別して、複数のトランジスタを有する素子形成層や記憶素子やアンテナとして機能する
導電層を電気的に接続させ半導体装置を完成させることができる。従って、欠陥品が作製
される割合を抑えることができ、歩留まりを改善することができる。
【0215】
(実施形態11)
本実施形態では、上記実施形態の構成とは異なる本発明の半導体装置の断面構造につい
て説明する。より詳しくは、アンテナとして機能する導電層を有する素子形成層107b
を有する基板108b上に複数のトランジスタを有する素子形成層601bを設け、さら
にその上に記憶素子を有する素子形成層602bを搭載した構造の半導体装置の断面構造
について、図26及び図32を用いて説明する。
【0216】
本実施形態の半導体装置は、図26(E)に示すように複数のトランジスタを有する素
子形成層601bとアンテナが形成された基板108bとが接着層で貼り合わせられた構
成を有する。又、複数のトランジスタを有する素子形成層601b上に、記憶素子を有す
る素子形成層602bが、接着層で貼り合わせられた構成を有する。
【0217】
ここでは、複数のトランジスタを有する素子形成層601bは、代表的には複数のTF
Tを有する領域102、103及びアンテナとして機能する導電層105で構成される。
また、記憶素子を有する素子形成層602は、記憶素子を有する領域104で構成される
。また、記憶素子を有する領域104は、制御回路、インターフェイス等を構成する複数
のTFTを含む領域103と、電気的に接続されている。
【0218】
上記の図26(E)に示す構成を有する本発明の半導体装置の断面構造について、図3
2を用いて説明する。
【0219】
図32に示すように、複数のTFTを有する素子形成層601bは、TFT111、1
13、114を有し、これらのTFTの構造は上述した通りである。また、記憶素子を有
する素子形成層602bが形成された絶縁層621bが、絶縁層615上に接着層611
を用いて搭載されている。
【0220】
また、複数のトランジスタを有する素子形成層601bとアンテナを有する素子形成層1
07bは接着層106で貼り合わせられている。具体的には、絶縁層115とアンテナを
有する素子形成層107bは接着層106で貼り合わせられている。また、複数のトラン
ジスタを有する素子形成層601bのTFT113のソース配線又はドレイン配線として
機能する導電層124cと、素子形成層107bのアンテナとして機能する導電層125
bは、接着層106の導電性粒子109を介して電気的に接続されている。
【0221】
図32においては、記憶素子634に、スイッチング用のTFT112が接続されている
。即ち、スイッチング用のTFT112のソース配線又はドレイン配線の一方に、記憶素
子634の第1の導電層が接続されている。また、スイッチング用のTFT112のソー
ス配線又はドレイン配線の他方は、記憶素子の第1の導電層又は第2の導電層と同時に形
成された導電層と接続されている。ここでは、ソース配線又はドレイン配線として機能す
る導電層124bの他方は、導電層625を介して導電層626と接続している。なお、
導電層625は、記憶素子の第1の導電層と同時に形成された導電層であり、導電層62
6は、記憶素子の第2の導電層と同時に形成された導電層であり、接続端子として機能す
る。
【0222】
また、記憶素子を有する素子形成層602に形成された記憶素子634のスイッチング
用のTFT112と、複数のTFTを有する素子形成層601bに形成された記憶素子を
動作させる回路を構成するTFT111とが、導電部材631で電気的に接続されている

【0223】
図32に示す記憶素子634は、スイッチング用のTFT112が、各記憶素子に設け
られた記憶素子を示す。なお、図33に示すように、TFTを有する記憶素子の代わりに
、第1の導電層651、有機化合物層又は相変化層652、第2の導電層653で構成さ
れる記憶素子654が形成される基板622を、接着層611を用いて基板103b上に
搭載することも可能である。
【0224】
また、本実施形態では、記憶素子を有する素子形成層602を素子形成層601上に搭
載したが、これに限定されず、記憶素子及びアンテナを有する素子形成層や、アンテナを
有する素子形成層を素子形成層601上に搭載しても良い。
【0225】
本発明の半導体装置は、複数のTFTを有する素子形成層上に、記憶素子を含む層を積
層した構成を有することを特徴とし、上記特徴により、小型の半導体装置を提供すること
ができる。また、複数のトランジスタを有する素子形成層を形成する工程と、記憶素子を
有する素子形成層を形成する工程、アンテナとして機能する導電層を形成する工程を、独
立に並行して行うことができる。従って、本発明は短時間で効率よく半導体装置を作製す
ることができる。また、複数のトランジスタを有する素子形成層や、記憶素子、アンテナ
として機能する導電層それぞれが形成された時点で、それぞれの性能を確認し、選別して
、複数のトランジスタを有する素子形成層や記憶素子を電気的に接続させ半導体装置を完
成させることができる。従って、欠陥品が作製される割合を抑えることができ、歩留まり
を改善することができる。
【0226】
(実施形態12)
本実施形態では、半導体装置の作製方法に関して図面を参照して説明する。ここでは、
実施形態7の図27(A)で示す半導体装置の作製方法を示すが、各実施形態に示される
半導体装置にそれぞれ、本実施形態を適宜適応することが可能である。
【0227】
図34(A)に示すように、実施の形態6と同様に、基板1100の一表面に、剥離層
1101、1102を形成する。
【0228】
次に、図34(B)に示すように、実施の形態6と同様に、剥離層1101、1102
を覆うように、下地となる絶縁層1105を形成する。次に、絶縁層1105上に、非晶
質半導体層を形成した後、非晶質半導体層を公知の結晶化法により結晶化して、結晶質半
導体層を形成する。その後、得られた結晶質半導体層を所望の形状にエッチングして結晶
質半導体層1127〜1130を形成する。次に、結晶質半導体層1127〜1130を
覆うゲート絶縁層を形成する。次に、ゲート絶縁層上に、第1の導電層と第2の導電層を
積層して形成する。次に、フォトリソグラフィ法を用いてレジストからなるマスクを形成
し、ゲート電極を形成するためのエッチング処理を行って、導電層1107〜1110を
形成する。次に、結晶質半導体層1127〜1130に、イオンドープ法又はイオン注入
法により、N型を付与する不純物元素を低濃度に添加して、N型不純物領域を形成する。
次に、絶縁層と導電層1107〜1110を覆うように、絶縁層1141を形成する。
【0229】
次に、実施の形態6と同様に、絶縁層を、垂直方向を主体とした異方性エッチングにより
選択的にエッチングして、導電層1107〜1110の側面に接するサイドウォール絶縁
層1115〜1118を形成する。なお、サイドウォール絶縁層1115〜1118を形
成するためのエッチング工程により、絶縁層もエッチングされ、ゲート絶縁層1119〜
1122が形成される。続いて、サイドウォール絶縁層1115〜1118をマスクとし
て、結晶質半導体層1127〜1130にN型を付与する不純物元素を添加して、第1の
N型不純物領域(LDD領域ともよぶ)1123a〜1123dと、第2のN型不純物領
域(ソース領域及びドレイン領域ともよぶ)1124a〜1124dとを形成する。第1
のN型不純物領域1123a〜1123dが含む不純物元素の濃度は、第2のN型不純物
領域1124a〜1124dの不純物元素の濃度よりも低い。
【0230】
上記工程を経て、n型のTFT1131〜1134が完成する。
【0231】
次に、TFT1131〜1134を覆うように、単層又は積層で絶縁層1142を形成
する。
【0232】
次に、図34(C)に示すように、実施の形態6と同様に、フォトリソグラフィ法によ
り絶縁層1141、1142をエッチングして、N型不純物領域1124a〜1124d
を露出させるコンタクトホール1143〜1150を形成する。このときコンタクトホー
ル1151は、絶縁層1141、1142とともに、絶縁層1105をもエッチングして
、基板1100の一部を露出させる。
【0233】
次に、図34(D)に示すように、コンタクトホール1143〜1151を充填するよ
うに、導電層を形成し、当該導電層をパターン加工して、導電層1155〜1162を形
成する。導電層1155〜1162は、TFTのソース配線又はドレイン配線として機能
する。また導電層1159は基板表面にまで達している。また、導電層1159は、剥離
層1101、1102に接しておらず、絶縁層1105、1141、1142に接する。
これは、剥離層1101、1102をエッチング剤により除去する際に、導電層1159
がエッチング剤により除去されないようにするためである。
【0234】
次に、図34(E)に示すように、実施の形態6と同様に、導電層1155〜1162
を覆うように、単層又は積層で絶縁層1163を形成する。導電層1154〜1162を
覆う絶縁層1163は、薄膜トランジスタを覆う絶縁層1142と同様の手法及び材料を
用いて形成することができる。次に、導電層1154〜1162を覆う絶縁層1163に
コンタクトホールを形成し、導電層1164を形成する。導電層1164は、後に形成さ
れる記憶素子の第1の導電層として機能する。
【0235】
次に、導電層1164の端部を覆うように絶縁層1165を形成した後、有機化合物層
又は相変化層1166、導電層1167を形成する。導電層1164、有機化合物層又は
相変化層1166、及び導電層1167で記憶素子1169を構成する。導電層1164
は、記憶素子1169の第2の導電層として機能する。この後、絶縁層1168を形成し
てもよい。
【0236】
次に、図35(A)に示すように、実施の形態6と同様に、剥離層1101、1102
が露出するように、フォトリソグラフィ法により絶縁層1105、1141、1142、
1163、1168をエッチングして、開口部1171、1172を形成する。
【0237】
次に、図35(B)に示すように、実施の形態6と同様に、開口部1171、1172
にエッチング剤を導入して、剥離層1101、1102を除去する。
【0238】
次に、図35(C)に示すように、実施の形態6と同様に、複数のトランジスタを有す
る素子形成層1170において記憶素子が形成されている面を、基体1181に接着させ
て、複数のトランジスタを有する素子形成層1170と基体1181を接着させた後、複
数のトランジスタを有する素子形成層1170を基板1100から完全に剥離する(図3
6(A)の断面図参照)。
【0239】
次に、図36(B)に示すように、実施の形態6と同様に、複数のトランジスタを有す
る素子形成層1170の他方の面を、導電層1182が設けられた基板1183に接着さ
せる。この際、導電性粒子1900を含む接着層1191を用いて接着する。また、TF
T1133のソース配線又はドレイン配線として機能する導電層1159と、基板118
3b上の導電層1182bとが、導電性粒子1190で接するように、複数のトランジス
タを有する素子形成層1170と基板1183bとを接着させる。
【0240】
次に、複数のトランジスタを有する素子形成層1170と基体1181、1183bと
が接着したものを、スライシング装置やレーザ照射装置等を用いて分断する。
【0241】
上記工程を経て、非接触でデータを交信する機能を有する半導体装置が完成する。
【0242】
また、本実施形態では、複数のトランジスタを有する素子形成層1170と、導電層を
有する基板1183bとを接着させた後、分断して半導体装置を形成しているが、この工
程に限定されない。複数のトランジスタを有する素子形成層1170と基体1181を接
着し、分断した後、複数のトランジスタを有する素子形成層1170に、導電層1182
を有する基板1183bを接着してもよい。
【0243】
このように、本発明の半導体装置は、小型、薄型、軽量であり、フレキシブル性を有す
るために、多種多様の用途が実現し、物品に貼り付けても、その物品のデザイン性を損な
うことがない。
【0244】
(実施形態13)
次に、本発明の半導体装置が有する記憶回路の構成とその動作について図面を参照して
説明する。本発明の記憶回路は、メモリセル21がマトリクス状に設けられたメモリセル
アレイ22と、デコーダ23、24と、セレクタ25と、読み出し/書き込み回路26と
を有する。メモリセル21は、記憶素子30を有する(図12(A)参照)。
【0245】
記憶素子30は、ワード線Wy(1≦y≦n)を構成する第1の導電層27と、ビット
線Bx(1≦x≦m)を構成する第2の導電層28と、第1の導電層27と、第2の導電
層28の間に設けられた有機化合物層又は相変化層29aとを有する(図13(A)参照
)。図13Bに示すように、隣接する有機化合物層又は相変化層29aの間には、絶縁層
33が設けられる。また、記憶素子30上に、絶縁層34が設けられる。ワード線Wyを
構成する第1の導電層27は、第1の方向に延在して設けられ、ビット線Bxを構成する
第2の導電層28は、第1の方向と垂直な第2の方向に延在して設けられる。つまり、第
1の導電層27と第2の導電層28はストライプ状に、互いに交差するように設けられる

【0246】
なお、有機化合物層又は相変化層29aの構成によっては、記憶素子30に対するデー
タの書き込みを光学的作用により行う場合がある。その場合、第1の導電層27と第2の
導電層28のうち、一方又は両方は透光性を有することが必要である。透光性を有する導
電層は、インジウム錫酸化物(ITO)等の透明な導電性材料を用いて形成するか、又は
、透明な導電性材料でなくても、光を透過する厚さで形成する。
【0247】
また、図12(A)に示す等価回路図は、パッシブ型の場合であるが、メモリセル21
にトランジスタ31を設けたアクティブ型を採用してもよい(図14参照)。その場合、
スイッチング用のトランジスタ31のゲート電極はワード線Wy(1≦y≦n)に接続さ
れ、ソース電極及びドレイン電極の一方はビット線Bx(1≦x≦m)に接続され、ソー
ス電極及びドレイン電極の他方は、記憶素子30の一方の導電層に接続する。
【0248】
有機化合物層又は相変化層29aの代表例の一つとして、有機化合物材料が挙げられる
。以下、有機化合物材料で形成される層を有機化合物層と示す。
【0249】
有機化合物層の代表的例としては、4、4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェ
ニルアミノ]−ビフェニル(略称:α−NPD)や4,4’−ビス[N−(3−メチルフ
ェニル)−N−フェニルアミノ]−ビフェニル(略称:TPD)や4,4’,4’’−ト
リス(N,N−ジフェニルアミノ)−トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4
’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]−トリフェニ
ルアミン(略称:MTDATA)や4,4’−ビス(N−(4−(N,N−ジ−m−トリ
ルアミノ)フェニル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)などの芳
香族アミン系(即ち、ベンゼン環−窒素の結合を有する)の化合物やフタロシアニン(略
称:HPc)、銅フタロシアニン(略称:CuPc)、バナジルフタロシアニン(略称
:VOPc)等のフタロシアニン化合物等の正孔輸送性の高い物質を用いることができる

【0250】
また、他にも有機化合物材料として、電子輸送性が高い材料を用いることができ、例え
ばトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、トリス(4−メチル−
8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ
[h]−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)、ビス(2−メチル−8−キノリ
ノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)等キノリン骨格ま
たはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等からなる材料や、ビス[2−(2−ヒドロキ
シフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))、ビス[2−(2−
ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))などのオキサ
ゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体などの材料も用いることができる。さら
に、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニ
ル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−te
rt−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:
OXD−7)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフ
ェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチル
フェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−ト
リアゾール(略称:p−EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バ
ソキュプロイン(略称:BCP)等の化合物等を用いることができる。
【0251】
また、他にも有機化合物材料として、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(1,
1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル)−4H−ピラン(略称:DCJT
)、4−ジシアノメチレン−2−t−ブチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュ
ロリジル−9−エニル)−4H−ピラン、ペリフランテン、2,5−ジシアノ−1,4−
ビス(10−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル)ベン
ゼン、N,N’−ジメチルキナクリドン(略称:DMQd)、クマリン6、クマリン54
5T、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、9,9’−ビアン
トリル、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPA)や9,10−ビス(2−ナ
フチル)アントラセン(略称:DNA)、2,5,8,11−テトラ−t−ブチルペリレ
ン(略称:TBP)等が挙げられる。また、上記発光材料を分散してなる層を形成する場
合に母体となる材料としては、9,10−ジ(2−ナフチル)−2−tert−ブチルア
ントラセン(略称:t−BuDNA)等のアントラセン誘導体、4,4’−ビス(N−カ
ルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)等のカルバゾール誘導体、ビス[2−(2−ヒ
ドロキシフェニル)ピリジナト]亜鉛(略称:Znpp)、ビス[2−(2−ヒドロキ
シフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:ZnBOX)などの金属錯体等を用いる
ことができる。また、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)、9
,10−ビス(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、ビス(2−メチル−8−
キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)等を用いる
ことができる。
【0252】
また、上記有機化合物に、酸化物半導体又は金属酸化物が添加されてもよい。酸化物半
導体又は金属酸化物の具体例としては、モリブデン酸化物(MoO)、バナジウム酸化
物(VO)、ルテニウム酸化物(RuO)、タングステン酸化物(WO)、コバル
ト酸化物(Co)、ニッケル酸化物(NiO)、銅酸化物(CuO)等が挙げられ
る。この他、インジウム錫酸化物(ITO)や亜鉛酸化物(ZnO)等を用いることがで
きる。
【0253】
また、有機化合物層には、光学的作用により、電気抵抗が変化する材料を用いることが
できる。例えば、光を吸収することによって酸を発生する化合物(光酸発生剤)をドープ
した共役高分子を用いることができる。共役高分子として、ポリアセチレン類、ポリフェ
ニレンビニレン類、ポリチオフェン類、ポリアニリン類、ポリフェニレンエチニレン類等
を用いることができる。また、光酸発生剤としては、アリールスルホニウム塩、アリール
ヨードニウム塩、o−ニトロベンジルトシレート、アリールスルホン酸p−ニトロベンジ
ルエステル、スルホニルアセトフェノン類、Fe−アレン錯体PF塩等を用いることが
できる。
【0254】
次に、上記構成を有する記憶回路にデータの書き込みを行う際の動作について説明する
。データの書き込みは、光学的作用又は電気的作用により行う。なお、光学的作用とは、
外部から光を照射することであり、電気的作用とは記憶素子の第1の導電層及び第2の導
電層に所定以上の電圧を印加することである。
【0255】
メモリセル21にデータ「1」を書き込む場合、まず、デコーダ23、24およびセレク
タ25によってメモリセル21を選択する。具体的には、デコーダ24によって、メモリ
セル21に接続されるワード線W3に所定の電圧V2を印加する。また、デコーダ23と
セレクタ25によって、メモリセル21に接続されるビット線B3を読み出し/書き込み
回路26に接続する。そして、読み出し/書き込み回路26からビット線B3へ書き込み
電圧V1を出力する。こうして、当該メモリセル21を構成する第1の導電層と第2の導
電層の間には電圧Vw=V1−V2を印加する。電位Vwを適切に選ぶことで、当該導電
層間に設けられた有機化合物層又は相変化層29を物理的もしくは電気的変化させ、デー
タ「1」の書き込みを行う。具体的には、読み出し動作電圧において、データ「1」の状
態の第1の導電層と第2の導電層の間の電気抵抗が、データ「0」の状態と比して、大幅
に小さくなるように変化させるとよい。例えば、(V1、V2)=(0V、5〜15V)
、あるいは(3〜5V、−12〜−2V)の範囲から適宜選べば良い。電圧Vwは5〜1
5V、あるいは−5〜−15Vとすればよい。
【0256】
なお、非選択のワード線および非選択のビット線には、接続されるメモリセルにデータ「
1」が書き込まれないよう制御する。例えば、非選択のワード線および非選択のビット線
を浮遊状態とすればよい。メモリセルを構成する第1の導電層と第2の導電層の間は、ダ
イオード特性など、選択性を確保できる特性を有する必要がある。
【0257】
一方、メモリセル21にデータ「0」を書き込む場合は、メモリセル21には電気的作用
を加えなければよい。回路動作上は、例えば、「1」を書き込む場合と同様に、デコーダ
23、24およびセレクタ25によってメモリセル21を選択するが、読み出し/書き込
み回路26からビット線B3への出力電位を、選択されたワード線W3の電位あるいは非
選択ワード線の電位と同程度とし、メモリセル21を構成する第1の導電層と第2の導電
層の間に、メモリセル21の電気特性を変化させない程度の電圧(例えば−5〜5V)を
印加すればよい。
【0258】
次に、光学的作用によりデータの書き込みを行う場合について説明する(図13(B)
参照)。この場合、透光性を有する導電層側(ここでは第2の導電層28とする)から、
レーザ照射装置32により、有機化合物層にレーザ光を照射することにより、データの書
き込みを行う。より詳しくは、選択された記憶素子30が含む有機化合物層にレーザ光を
照射して、有機化合物層を破壊する。破壊された有機化合物層は、絶縁化し、他の記憶素
子30と比較すると抵抗値が大幅に大きくなる。このように、レーザ光の照射により、記
憶素子30の電気抵抗が変化することを利用してデータの書き込みを行う。例えば、レー
ザ光を照射していない記憶素子30を「0」のデータとする場合、記憶素子30にレーザ
光を照射して破壊することによって電気抵抗を大きくして「1」のデータを書き込むこと
が可能である。
【0259】
なお、本発明は、記憶素子30にレーザ光を照射して、有機化合物層を絶縁化すること
によりデータを書き込む形態に制約されず、記憶素子30の素子構造やレーザ光の強度を
調整することにより、記憶素子30にレーザ光を照射して、有機化合物層を絶縁破壊して
、記憶素子30の抵抗値を変化させることによりデータを書き込んでもよい。この場合、
一対の導電層を短絡させた記憶素子30は、他の記憶素子30と比較すると、抵抗値が大
幅に低くなる。このように、光学的作用を加えることにより、記憶素子30の抵抗値が変
化することを利用してデータの書き込みを行ってもよい。
【0260】
また、有機化合物層として、光を吸収することによって酸を発生する化合物(光酸発生
剤)をドープした共役高分子を用いた場合、レーザ光を照射すると、照射された部分の電
気抵抗値が変化し、未照射の部分は電気抵抗値が変化しない。この場合も、選択された有
機化合物層にレーザ光を照射することにより、記憶素子30の抵抗値が変化することを利
用してデータの書き込みを行う。例えば、レーザ光を照射していない記憶素子30を「0
」のデータとする場合、選択された記憶素子30にレーザ光を照射して電気抵抗値を変化
させて「1」のデータを書き込むことが可能である。
【0261】
続いて、データの読み出しを行う際の動作について説明する(図12参照)。データの
読み出しは、メモリセルを構成する第1の導電層と第2の導電層の間の電気特性が、デー
タ「0」を有するメモリセルとデータ「1」を有するメモリセルとで異なることを利用し
て行う。例えば、データ「0」を有するメモリセルを構成する第1の導電層と第2の導電
層の間の実効的な電気抵抗(以下、単にメモリセルの電気抵抗と呼ぶ)が、読み出し電圧
においてR0、データ「1」を有するメモリセルの電気抵抗を、読み出し電圧においてR
1とし、電気抵抗の差を利用して読み出す方法を説明する。なお、R1<<R0とする。
読み出し/書き込み回路は、読み出し部分の構成として、例えば、図12(B)に示す抵
抗素子46と差動増幅器47を用いた回路26を考えることができる。抵抗素子46は抵
抗値Rrを有し、R1<Rr<R0であるとする。抵抗素子46の代わりにトランジスタ
48を用いても良いし、差動増幅器の代わりにクロックドインバータ49を用いることも
可能である(図12(C))。クロックドインバータ49には、読み出しを行うときにH
i、行わないときにLoとなる、信号又は反転信号が入力される。勿論、回路構成は図1
2に限定されない。
【0262】
メモリセル21からデータの読み出しを行う場合、まず、デコーダ23、24およびセレ
クタ25によってメモリセル21を選択する。具体的には、デコーダ24によって、メモ
リセル21に接続されるワード線Wyに所定の電圧Vyを印加する。また、デコーダ23
とセレクタ25によって、メモリセル21に接続されるビット線Bxを読み出し/書き込
み回路26の端子Pに接続する。その結果、端子Pの電位Vpは、抵抗素子46(抵抗値
Rr)とメモリセル21(抵抗値R0もしくはR1)による抵抗分割によって決定される
値となる。従って、メモリセル21がデータ「0」を有する場合には、Vp0=Vy+(
V0−Vy)×R0/(R0+Rr)となる。また、メモリセル21がデータ「1」を有
する場合には、Vp1=Vy+(V0−Vy)×R1/(R1+Rr)となる。その結果
、図12(B)では、VrefをVp0とVp1の間となるように選択することで、図1
2(C)では、クロックドインバータの変化点をVp0とVp1の間となるように選択す
ることで、出力電位Voutとして、データ「0」/「1」に応じて、Lo/Hi(もし
くはHi/Lo)が出力され、読み出しを行うことができる。
【0263】
例えば、差動増幅器をVdd=3Vで動作させ、Vy=0V、V0=3V、Vref=1
.5Vとする。仮に、R0/Rr=Rr/R1=9とすると、メモリセルのデータが「0
」の場合、Vp0=2.7VとなりVoutはHiが出力され、メモリセルのデータが「
1」の場合、Vp1=0.3VとなりVoutはLoが出力される。こうして、メモリセ
ルの読み出しを行うことができる。
【0264】
上記の方法によると、有機化合物層又は相変化層29の電気抵抗の状態は、抵抗値の相違
と抵抗分割を利用して、電圧値で読み取っている。勿論、読み出し方法は、この方法に限
定されない。例えば、電気抵抗の差を利用する以外に、電流値の差を利用して読み出して
も構わない。また、メモリセルの電気特性が、データ「0」と「1」とで、しきい値電圧
が異なるダイオード特性を有する場合には、しきい値電圧の差を利用して読み出しても構
わない。
【0265】
また、有機化合物層にレーザ光を照射することによりデータの書き込みを行った場合も
同様であり、光学作用を加えていない記憶素子30の抵抗値と、光学的作用を加えた記憶
素子30の抵抗値の相違を電気的に読み取ることにより、データの読み出しを行う。
【0266】
また、有機化合物層に、光を吸収することによって酸を発生する化合物(光酸発生剤)
をドープした共役高分子を用いた場合も同様であり、光学的作用を加えていない記憶素子
30の抵抗値と、光学的作用を加えた記憶素子の抵抗値の相違を電気的に読み取ることに
より、データの読み出しを行う。
【0267】
また、有機化合物層又は相変化層29の代表例の一つとして、相変化層を用いてもよい
。ここでは、相変化層とは、結晶状態と非晶質状態の間で可逆的に変化する材料、相変化
層は第1の結晶状態と第2の結晶状態の間で可逆的に変化する材料、又は、非晶質状態か
ら結晶状態にのみ変化する材料が挙げられる。このような材料で形成される層という。
【0268】
なお、可逆的な材料を用いる場合、データの読み出しとデータの書き込みを行うことが
できる。一方、不可逆的な材料を用いる場合は、データの読み出ししか行うことができな
い。このように、材料の種類によっては、相変化メモリは、読み出し専用メモリ又は読み
出し/書き込みメモリになりうるため、半導体装置の用途に従って、相変化層に用いる材
料を適宜選択する。
【0269】
相変化層において、結晶状態と非晶質状態の間で可逆的に変化する材料とは、ゲルマニ
ウム(Ge)、テルル(Te)、アンチモン(Sb)、硫黄(S)、酸化テルル(TeO
x)、Sn(スズ)、金(Au)、ガリウム(Ga)、セレン(Se)、インジウム(I
n)、タリウム(Tl)、Co(コバルト)及び銀(Ag)から選択された複数を有する
材料であり、例えば、Ge−Te−Sb−S、Te−TeO−Ge−Sn、Te−Ge
−Sn−Au、Ge−Te−Sn、Sn−Se−Te、Sb−Se−Te、Sb−Se、
Ga−Se−Te、Ga−Se−Te−Ge、In−Se、In−Se−Tl−Co、G
e−Sb−Te、In−Se−Te、Ag−In−Sb−Te系材料が挙げられる。
【0270】
相変化層において、第1の結晶状態と第2の結晶状態の間で可逆的に変化する材料とは
、銀(Ag)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、
インジウム(In)、アンチモン(Sb)、セレン(Se)及びテルル(Te)から選択
された複数を有する材料であり、例えば、Te−TeO、Te−TeO−Pd、Sb
Se/BiTeが挙げられる。この材料の場合、相変化は2つの異なる結晶状態
の間で行われる。
【0271】
相変化層において、非晶質状態から結晶状態にのみ変化する材料とは、テルル(Te)
、酸化テルル(TeOx)、アンチモン(Sb)、セレン(Se)及びビスマス(Bi)
から選択された複数を有する材料であり、例えば、Ag−Zn、Cu−Al−Ni、In
−Sb、In−Sb−Se、In−Sb−Teが挙げられる。
【0272】
一対の導電層間に相変化材料を有する単純な構成を有する記憶素子は、作製工程が単純
であり、安価な半導体装置の提供を可能とする。また、相変化メモリは、不揮発性メモリ
であるため、データを保持するための電池を内蔵する必要がなく、小型、薄型、軽量の半
導体装置の提供を実現する。また、相変化層として不可逆的な材料を用いれば、データの
書き換えを行うことはできない。そうすると、偽造を防止し、セキュリティを確保した半
導体装置を提供することができる。
【0273】
次に、相変化層を有する記憶素子にデータの書き込みを行う際の動作について説明する
。有機化合物層を用いた記憶素子と同様に、第1の導電層27と第2の導電層28の間に
電圧を印加して、相変化材料の相を変えることにより、データの書き込みを行う。
【0274】
次に、光によりデータの書き込みを行う場合について説明する(図13(B)参照)。
この場合、透光性を有する導電層側(ここでは第2の導電層28とする)から、相変化層
にレーザ光を照射することにより行う。相変化層は、レーザ光の照射により、その構造に
結晶学的な相変化が起こる。このように、レーザ光の照射により、相変化層の相が変わる
ことを活用して、データの書き込みを行う。
【0275】
例えば、「1」のデータを書き込む際は、相変化層にレーザ光を照射して、結晶化温度
以上に加熱した後、徐冷することにより、相変化層を結晶状態にする。一方、「0」のデ
ータを書き込む際は、相変化層にレーザ光を照射して、融点以上に加熱昇温して溶融した
後に急冷することにより、相変化層を非晶質状態にする。
【0276】
相変化層の相の変化は、メモリセル21の大きさによるが、μmオーダの径に絞ったレ
ーザ光の照射により実現する。例えば、径が1μmのレーザビームが10m/secの速
度で通過するとき、1つのメモリセル21が含む相変化層にレーザ光が照射される時間は
100nsecとなる。100nsecという短い時間内で相を変化させるためには、レ
ーザパワーは例えば10mW、パワー密度は10kW/mmとするとよい。
【0277】
なお、相変化層に対するレーザ光の照射は、全てのメモリセル21に対して行ってもよ
いし、選択的に行ってもよい。例えば、形成したばかりの相変化層が非晶質状態の場合、
非晶質状態のままにするときはレーザ光を照射せず、結晶状態に変化させるときはレーザ
光を照射するとよい。つまり、レーザ光を選択的に照射することで、データの書き込みを
行ってもよい。このように、レーザ光を選択的に照射する場合は、パルス発振のレーザ照
射装置を用いて行うとよい。
【0278】
上記の通り、レーザ光の照射によりデータの書き込みを行う本発明の構成は、半導体装
置を簡単に大量に作成することができる。従って、安価な半導体装置を提供することがで
きる。
【0279】
続いて、相変化層を有する記憶素子にデータの読み出しを行う際の動作は、有機化合物
層を有する記憶素子と同様であり、相変化層の相状態に伴う抵抗変化から、電圧または電
流の変化を読み取ることができる。
【0280】
また、上記構成とは異なる構成として、第1の導電層27と有機化合物層又は相変化層
29aの間、もしくは第2の導電層28と有機化合物又は相変化層29の間に、整流性を
有する素子を設けてもよい(図13(C)参照)。整流性を有する素子とは、代表的には
、ショットキーダイオード、PN接合を有するダイオード、PIN接合を有するダイオー
ド、あるいはゲート電極とドレイン電極を接続したトランジスタである。もちろん、他の
構成のダイオードでも構わない。ここでは、第1の導電層と有機化合物を含む層の間に、
半導体層44、45を含むPN接合ダイオードを設けた場合を示す。半導体層44、45
のうち、一方は一方はN型半導体であり、他方はP型半導体である。このように整流作用
を有する素子を設けることにより、メモリセルの選択性を向上し、読み出しや書き込みの
動作マージンを向上させることができる。
【0281】
上記の通り、本発明の半導体装置が含む記憶回路は、一対の導電層間に有機化合物層又
は相変化層が挟まれた単純な構造の記憶素子を有することを特徴とし、上記特徴により、
作製が簡単であるために安価な半導体装置及びその作製方法を提供することができる。ま
た、高集積化が容易なため、大容量の記憶回路を有する半導体装置及びその作製方法を提
供することができる。
【0282】
また、本発明の半導体装置が含む記憶回路は、光学的作用又は電気的作用によりデータ
の書き込みを行うものであり、不揮発性であって、データの追記が可能であることを特徴
とする。上記特徴により、書き換えによる偽造を防止してセキュリティを確保しつつ、新
たなデータを追加して書き込むことができる。従って、高機能化と高付加価値化を実現し
た半導体装置及びその作製方法を提供することができる。
(実施形態14)
次に、本発明の半導体装置が有する記憶回路の構成とその動作について図面を参照して説
明する。メモリセル21は、ビット線Bx(1≦x≦m)を構成する第1の導電層と、ワ
ード線Wy(1≦y≦n)を構成する第2の導電層と、トランジスタ31と、記憶素子3
0とを有する。記憶素子30は、一対の導電層の間に、有機化合物層が挟まれた構造を有
する。トランジスタのゲート電極はワード線と接続され、ソース電極もしくはドレイン電
極のいずれか一方はビット線と接続され、残る一方は記憶素子が有する2端子の一方と接
続される。記憶素子の残る1端子は共通電極(電位Vcom)と接続される。
【0283】
次に、メモリセル21にデータの書き込みを行うときの動作について説明する(図14
)。
【0284】
まず、電気的作用によりデータの書き込みを行うときの動作について説明する。なお、
書き込みはメモリセルの電気特性を変化させることで行うが、メモリセルの初期状態(電
気的作用を加えていない状態)をデータ「0」、電気特性を変化させた状態を「1」とす
る。
【0285】
ここでは、x列y行目のメモリセル21にデータを書き込む場合について説明する。メモ
リセル21にデータ「1」を書き込む場合、まず、デコーダ23、24およびセレクタ2
5によってメモリセル21を選択する。具体的には、デコーダ24によって、メモリセル
21に接続されるワード線Wyに所定の電圧V22を印加する。また、デコーダ23とセ
レクタ25によって、メモリセル21に接続されるビット線Bxを読み出し/書き込み回
路26に接続する。そして、読み出し/書き込み回路26からビット線Bxへ書き込み電
圧V21を出力する。
【0286】
こうして、メモリセルを構成するトランジスタ31をオン状態とし、記憶素子30に、ビ
ット線を電気的に接続し、おおむねVw=Vcom−V21の電圧を印加する。なお、記
憶素子30の一方の電極は電位Vcomの共通電極に接続されている。電位Vwを適切に
選ぶことで、当該導電層間に設けられた有機化合物層を物理的もしくは電気的変化させ、
データ「1」の書き込みを行う。具体的には、読み出し動作電圧において、データ「1」
の状態の第1の導電層と第2の導電層の間の電気抵抗が、データ「0」の状態と比して、
大幅に小さくなるように変化させるとよく、単に短絡(ショート)させてもよい。なお、
電位は、(V21、V22、Vcom)=(5〜15V、5〜15V、0V)、あるいは
(−12〜0V、−12〜0V、3〜5V)の範囲から適宜選べば良い。電圧Vwは5〜
15V、あるいは−5〜−15Vとすればよい。
【0287】
なお、非選択のワード線および非選択のビット線には、接続されるメモリセルにデータ「
1」が書き込まれないよう制御する。具体的には、非選択のワード線には接続されるメモ
リセルのトランジスタをオフ状態とする電位(例えば0V)を印加し、非選択のビット線
は浮遊状態とするか、Vcomと同程度の電位を印加するとよい。
【0288】
一方、メモリセル21にデータ「0」を書き込む場合は、メモリセル21には電気的作用
を加えなければよい。回路動作上は、例えば、「1」を書き込む場合と同様に、デコーダ
23、24およびセレクタ25によってメモリセル21を選択するが、読み出し/書き込
み回路26からビット線Bxへの出力電位をVcomと同程度とするか、ビット線Bxを
浮遊状態とする。その結果、記憶素子30には、小さい電圧(例えば−5〜5V)が印加
されるか、電圧が印加されないため、電気特性が変化せず、データ「0」書き込みが実現
される。
【0289】
なお、光学的作用によりデータの書き込みを行う場合は、実施の形態13と同様である

【0290】
次に、電気的作用により、データの読み出しを行う際の動作について説明する。データの
読み出しは、記憶素子30の電気特性が、データ「0」を有するメモリセルとデータ「1
」を有するメモリセルとで異なることを利用して行う。例えば、データ「0」を有するメ
モリセルを構成する記憶素子の電気抵抗が読み出し電圧においてR0、データ「1」を有
するメモリセルを構成する記憶素子の電気抵抗が読み出し電圧においてR1とし、電気抵
抗の差を利用して読み出す方法を説明する。なお、R1<<R0とする。読み出し/書き
込み回路は、読み出し部分の構成として、例えば、図14(B)に示す抵抗素子246と
差動増幅器247を用いた回路26を考えることができる。抵抗素子246は抵抗値Rr
を有し、R1<Rr<R0であるとする。抵抗素子246の代わりに、トランジスタ24
8を用いても良いし、差動増幅器247の代わりにクロックドインバータ249を用いる
ことも可能である(図14(C))。勿論、回路構成は図14に限定されない。
【0291】
y行x列目メモリセル21からデータの読み出しを行う場合、まず、デコーダ23、24
およびセレクタ25によってメモリセル21を選択する。具体的には、デコーダ24によ
って、メモリセル21に接続されるワード線Wyに所定の電圧V24を印加し、トランジ
スタ31をオン状態にする。また、デコーダ23とセレクタ25によって、メモリセル2
1に接続されるビット線Bxを読み出し/書き込み回路26の端子Pに接続する。その結
果、端子Pの電位Vpは、抵抗素子246(抵抗値Rr)と記憶素子30(抵抗値R0も
しくはR1)による抵抗分割によって決定される値となる。従って、メモリセル21がデ
ータ「0」を有する場合には、Vp0=Vcom+(V0−Vcom)×R0/(R0+
Rr)となる。また、メモリセル21がデータ「1」を有する場合には、Vp1=Vco
m+(V0−Vcom)×R1/(R1+Rr)となる。その結果、図14(B)では、
VrefをVp0とVp1の間となるように選択することで、図14(C)では、クロッ
クドインバータの変化点をVp0とVp1の間となるように選択することで、出力電位V
outとして、データ「0」/「1」に応じて、Lo/Hi(もしくはHi/Lo)が出
力され、読み出しを行うことができる。
【0292】
例えば、差動増幅器をVdd=3Vで動作させ、Vcom=0V、V0=3V、Vref
=1.5Vとする。仮に、R0/Rr=Rr/R1=9とし、トランジスタ31のオン抵
抗を無視できるとすると、メモリセルのデータが「0」の場合、Vp0=2.7Vとなり
VoutはHiが出力され、メモリセルのデータが「1」の場合、Vp1=0.3Vとな
りVoutはLoが出力される。こうして、メモリセルの読み出しを行うことができる。
上記の方法によると、記憶素子30の抵抗値の相違と抵抗分割を利用して、電圧値で出力
を読み取っている。勿論、読み出し方法は、この方法に限定されない。例えば、電気抵抗
の差を利用する以外に、電流値の差を利用して読み出しても構わない。また、メモリセル
の電気特性が、データ「0」と「1」とで、しきい値電圧が異なるダイオード特性を有す
る場合には、しきい値電圧の差を利用して読み出しても構わない。
【実施例1】
【0293】
本実施例では、基板上に記憶素子を作製し、その記憶素子に電気的作用によりデータの
書き込みを行ったときの電流電圧特性を調べた実験の結果について説明する。記憶素子は
、基板上に、第1の導電層、第1の有機化合物層、第2の有機化合物層、第2の導電層の
順に積層した素子であり、第1の導電層は酸化珪素とインジウム錫酸化物の化合物(IT
SOと略称されることがある)、第1の有機化合物層は4,4’−ビス[N−(3−メチ
ルフェニル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(TPDと略称されることがある)、第
2の有機化合物層は、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビ
フェニル(α−NPDと略称されることがある)、第2の導電層はアルミニウム、により
形成した。また、第1の有機化合物層は10nm、第2の有機化合物層は50nmの膜厚
で形成した。
【0294】
まず、電気的作用によりデータの書き込みを行う前と、電気的作用によりデータを書き
込んだ後の、記憶素子の電流電圧特性の測定結果について、図16を用いて説明する。図
16は、横軸が電圧値、縦軸が電流値、プロット261は電気的作用によりデータを書き
込む前の記憶素子の電流電圧特性、プロット262は電気的作用によりデータを書き込ん
だ後の記憶素子の電流電圧特性を示す。図16から、データの書き込み前と、データの書
き込み後とで、記憶素子の電流電圧特性には大きな変化がみられる。例えば、印加電圧1
Vでは、データ書き込み前の電流値は4.8×10−5mAであるのに対し、データ書き
込み後の電流値は1.1×10mAであり、データの書き込み前と、データの書き込み
後では、電流値に7桁の変化が生じている。このように、データの書き込み前と、データ
の書き込み後では、記憶素子の抵抗値に変化が生じており、この記憶素子の抵抗値の変化
を、電圧値又は電流値により読み取れば、記憶回路として機能させることができる。
【0295】
次に、同様に基板上に記憶素子を作製した試料1〜試料6において、記憶素子に電気的
作用によりデータの書き込みを行ったときの電流電圧特性を調べた実験の結果について図
22〜24を用いて説明する。なお、ここでは、有機メモリ素子に電圧を印加して、有機
メモリ素子を短絡させて書き込みを行った。図22〜24は、それぞれ、横軸が電圧値、
縦軸が電流密度値、丸印のプロットは電気的作用によりデータを書き込み前の記憶素子の
電流電圧特性、四角印のプロットは電気的作用によりデータを書き込んだ後の、記憶素子
の電流電圧特性を示す。また、試料1〜試料6の水平面における大きさは、2mm×2m
mである。
【0296】
試料1として、第1の導電層701、第1の有機化合物層702、第2の導電層703
の順に積層した素子を図25(A)に示す。第1の導電層701をITSO、第1の有機
化合物層702をTPD、第2の導電層703をアルミニウムで形成した。また、第1の
有機化合物層は50nmの膜厚で形成した。試料1の電流電圧特性を図22(A)に示す

【0297】
また、試料2として、第1の導電層701、第1の有機化合物層711、第2の導電層
703の順に積層した素子を図25(B)に示す。第1の導電層をITSO、第1の有機
化合物層を、2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8,−テトラシアノキノジ
メンタン(F4−TCNQと略称されることがある)を添加したTPD、第2の導電層を
アルミニウムで形成した。また、第1の有機化合物層の厚さを50nmとし、F4−TC
NQを0.01wt比添加して形成した。試料2の電流電圧特性を図22(B)に示す。
【0298】
また、試料3として、第1の導電層701、第1の有機化合物層721、第2の有機化
合物層722、第2の導電層703の順に積層した素子を図25(C)に示す。第1の導
電層をITSO、第1の有機化合物層をTPD、第2の有機化合物層をF4−TCNQ、
第2の導電層をアルミニウムで形成した。また、第1の有機化合物層であるTPDの厚さ
を50nmの膜厚とし、第2の有機化合物層であるF4−TCNQを厚さ1nmで形成し
た。試料3の電流電圧特性を図23(A)に示す。
【0299】
また、試料4として、第1の導電層701、第1の有機化合物層731、第2の有機化
合物層732、第2の導電層703の順に積層した素子を図25(D)に示す。第1の導
電層はITSO、第1の有機化合物層はF4−TCNQ、第2の有機化合物層はTPD、
第2の導電層はアルミニウム、により形成した。また、第1の有機化合物層であるF4−
TCNQを厚さ1nmで形成し、第2の有機化合物層であるTPDを厚さ50nmで形成
した。試料4の電流電圧特性を図23(B)に示す。
【0300】
また、試料5として、第1の導電層701、第1の有機化合物層741、第2の有機化
合物層742、第2の導電層703の順に積層した素子を図25(E)に示す。第1の導
電層はITSO、第1の有機化合物層は、F4−TCNQを添加したTPD、第2の有機
化合物層はTPD、第2の導電層はアルミニウム、により形成した。また、第1の有機化
合物層を厚さ40nmで形成し、F4−TCNQを0.01wt比添加して形成した。ま
た、第2の有機化合物層を厚さ40nmで形成した。試料5の電流電圧特性を図24(A
)に示す。
【0301】
また、試料6として、第1の導電層701、第1の有機化合物層751、第2の有機化
合物層752、第2の導電層703の順に積層した素子を図25(F)に示す。第1の導
電層はITSO、第1の有機化合物層はTPD、第2の有機化合物層はF4−TCNQを
添加したTPD、第2の導電層はアルミニウム、により形成した。また、第1の有機化合
物層を厚さ40nmで形成した。また、第2の有機化合物層を厚さ10nmで、F4−T
CNQを0.01wt比添加して形成した。試料6の電流電圧特性を図24(B)に示す

【0302】
図22〜24に示す実験結果からも、試料1〜試料6において、データの書き込み前と
、記憶素子の書込み前後で、記憶素子の電流電圧特性に大きな変化がみられる。また、こ
れらの試料の記憶素子において、各記憶素子が短絡する電圧にも再現性があり、誤差は0
.1V以内であった。
【0303】
次に、試料1〜試料6の書込み電圧、書込み前後の特性を表1に示す。
【表1】

【0304】
表1において、書込み電圧(V)は、各記憶素子が短絡するときの印加電圧値を示す。
また、R(1V)は、印加電圧1V時の、記憶素子の書込み後の電流密度を書込み前の電
流密度で除算した値である。同様に、R(3V)は、印加電圧3V時の、記憶素子の書込
み後の電流密度を書込み前の電流密度で除算した値である。即ち、記憶素子の書込み後に
流れる電流密度の変化を示す。印加電圧が3Vの場合と比較して1V印加した場合、有機
メモリ素子の電流密度の差は10の4乗以上と大きいことが分かる。
【0305】
なお、上記のような記憶素子を記憶回路として用いる場合、データの読み出し動作の度
に、記憶素子には所定の電圧値(短絡しない程度の電圧値)が印加され、その抵抗値の読
み取りが行われる。従って、上記の記憶素子の電流電圧特性には、読み出し動作を繰り返
し行っても、つまり、所定の電圧値を繰り返し印加しても、変化しないような特性が必要
となる。そこで、データの読み出し動作を行った後の記憶素子の電流電圧特性の測定結果
について、図17を用いて説明する。なお、この実験では、データの読み出し動作を1回
行う度に、記憶素子の電流電圧特性を測定した。データの読み出し動作は合計5回行った
ので、記憶素子の電流電圧特性の測定は計5回行った。また、この電流電圧特性の測定は
、電気的作用によりデータの書き込みが行われて抵抗値が変化した記憶素子と、抵抗値が
変化していない記憶素子の、2つの記憶素子に対して行った。
【0306】
図17は、横軸が電圧値、縦軸が電流値、プロット271は電気的作用によりデータの
書き込みが行われて抵抗値が変化した記憶素子の電流電圧特性、プロット272は抵抗値
が変化していない記憶素子の電流電圧特性を示す。プロット271から分かるように、抵
抗値が変化していない記憶素子の電流電圧特性は、電圧値が1V以上のときに特に良好な
再現性を示す。同様に、プロット272から分かるように、抵抗値が変化した記憶素子の
電流電圧特性も、電圧値が1V以上のときに特に良好な再現性を示す。上記の結果から、
データの読み出し動作を複数回繰り返し行っても、その電流電圧特性は大きく変化せず、
再現性は良好である。上記の記憶素子を記憶回路として用いることができる。
【実施例2】
【0307】
本実施例では、光学的作用により、記憶回路にデータの書き込みを行う際に用いるレー
ザ照射装置について図面を参照して説明する。
【0308】
レーザ照射装置1001は、レーザ光を照射する際の各種制御を実行するコンピュータ
1002と、レーザ光を出力するレーザ発振器1003と、電源1004と、レーザ光を
減衰させるための光学系1005と、レーザ光の強度を変調するための音響光学変調器1
006と、レーザ光の断面を縮小するためのレンズや光路を変更するためのミラー等で構
成される光学系1007と、X軸ステージ及びY軸ステージを有する移動機構1009と
、コンピュータ1002から出力される制御データを変換するD/A変換部1010と、
D/A変換部から出力されるアナログ電圧に応じて、音響光学変調器1006を制御する
ドライバ1011と、移動機構1009を駆動するための信号を出力するドライバ101
2と、被照射物上にレーザ光の焦点を合わせるためのオートフォーカス機構1013とを
有する(図18参照)。レーザ発振器1003には、紫外光、可視光、又は赤外光を発振
することが可能なレーザ発振器を用いることができ、具体的には、ArF、KrF、Xe
Cl、Xe等のエキシマレーザ発振器、He、He−Cd、Ar、He−Ne、HF等の
気体レーザ発振器、YAG、GdVO、YVO、YLF、YAlOなどの結晶にC
r、Nd、Er、Ho、Ce、Co、Ti又はTmをドープした結晶を使った固体レーザ
発振器、GaN、GaAs、GaAlAs、InGaAsP等の半導体レーザ発振器を用
いることができる。
【0309】
次に、上記構成を有するレーザ照射装置1001の動作について説明する。まず、基板
1014が移動機構1009に装着されると、コンピュータ1002は図外のカメラによ
って、レーザ光を照射する記憶素子の位置を検出する。次いで、コンピュータ1002は
、検出した位置データに基づいて、移動機構1009を移動させるための移動データを生
成する。続いて、コンピュータ1002が、ドライバ1011を介して音響光学変調器1
006の出力光量を制御することにより、レーザ発振器1003から出力されたレーザ光
は、光学系1005によって減衰された後、音響光学変調器1006によって所定の光量
になるように光量が制御される。一方、音響光学変調器1006から出力されたレーザ光
は、光学系1007で光路及びビームスポット形状を変化させ、レンズで集光した後、基
板1014上に該レーザ光を照射する。このとき、コンピュータ1002が生成した移動
データに従い、移動機構1009をX方向及びY方向に移動制御する。この結果、所定の
場所にレーザ光が照射され、レーザ光の光エネルギー密度が熱エネルギーに変換され、基
板1014上に設けられた記憶素子に選択的にレーザ光が照射される。なお、上記の記載
によると、移動機構1009を移動させてレーザ光の照射を行う例を示しているが、光学
系1007を調整することによってレーザ光をX方向およびY方向に移動させてもよい。
【0310】
上記のようなレーザ照射装置を用いて、レーザ光を照射することによりデータの書き込
みを行う本発明は、リーダライタに組み込むことで、データの書き込みを簡単に行うこと
ができる。従って、大量のデータの書き込みを短時間で行うことができる。
【実施例3】
【0311】
本発明の半導体装置の用途は広範にわたるものであるが、以下にはその用途の具体例に
ついて説明する。本発明の半導体装置20は、例えば、紙幣、硬貨、有価証券類、無記名
債券類、証書類(運転免許証や住民票等、図19(A)参照)、包装用容器類(包装紙や
ボトル等、図19(B)参照)、記録媒体(DVDソフトやビデオテープ等、図19(C
)参照)、乗物類(自転車等、図19(D)参照)、身の回り品(鞄や眼鏡等、図19(
E)参照)、食品類、衣類、生活用品類、電子機器等の物品に設けて活用することができ
る。電子機器とは、液晶表示装置、EL表示装置、テレビジョン装置(単にテレビと呼ん
だり、テレビ受像機やテレビジョン受像機とも呼んだりする)、携帯電話等を指す。
【0312】
本発明の半導体装置20は、プリント基板に実装したり、表面に貼ったり、埋め込んだ
りして、物品に固定される。例えば、本なら紙に埋め込んだり、有機樹脂からなるパッケ
ージなら当該有機樹脂に埋め込んだりして、各物品に固定される。本発明の半導体装置2
0は、小型・薄型・軽量を実現するため、物品に固定した後も、その物品自体のデザイン
性を損なうことがない。また、紙幣、硬貨、有価証券類、無記名債券類、証書類等に本発
明の半導体装置20を設けることにより、認証機能を設けることができ、この認証機能を
活用すれば、偽造を防止することができる。また、包装用容器類、記録媒体、身の回り品
、食品類、衣類、生活用品類、電子機器等に本発明の半導体装置を設けることにより、検
品システム等のシステムの効率化を図ることができる。
【0313】
次に、本発明の半導体装置を実装した電子機器の一態様について図面を参照して説明す
る。ここで例示する電子機器は携帯電話機であり、筐体2700、2706、パネル27
01、ハウジング2702、プリント配線基板2703、操作ボタン2704、及びバッ
テリ2705を有する(図20参照)。パネル2701はハウジング2702に脱着自在
に組み込まれ、ハウジング2702はプリント配線基板2703に嵌着される。ハウジン
グ2702はパネル2701が組み込まれる電子機器に合わせて、形状や寸法が適宜変更
される。プリント配線基板2703には、パッケージングされた複数の半導体装置が実装
されており、このうちの1つとして、本発明の半導体装置を用いることができる。プリン
ト配線基板2703に実装される複数の半導体装置は、コントローラ、中央処理ユニット
(CPU、Central Processing Unit)、メモリ、電源回路、音
声処理回路、送受信回路等のいずれかの機能を有する。
【0314】
パネル2701は、接続フィルム2708を介して、プリント配線基板2703と接着
される。上記のパネル2701、ハウジング2702、プリント配線基板2703は、操
作ボタン2704やバッテリ2705と共に、筐体2700、2706の内部に収納され
る。パネル2701が含む画素領域2709は、筐体2700に設けられた開口窓から視
認できるように配置されている。
【0315】
上記の通り、本発明の半導体装置は、小型、薄型、軽量であることを特徴としており、
上記特徴により、電子機器の筐体2700、2706内部の限られた空間を有効に利用す
ることができる。
【0316】
また、本発明の半導体装置は、TFTを含む層上に、記憶素子を含む層を積層した構成
を有するため、小型の半導体装置を用いた電子機器を提供することができる。
【0317】
また、本発明の半導体装置は、一対の導電層間に有機化合物層又は相変化層が挟まれた
単純な構造の記憶素子を有するため、安価な半導体装置を用いた電子機器を提供すること
ができる。 また、本発明の半導体装置は高集積化が容易なため、大容量の記憶回路を有
する半導体装置を用いた電子機器を提供することができる。
【0318】
また、本発明の半導体装置が含む記憶回路は、光学的作用又は電気的作用によりデータ
の書き込みを行うものであり、不揮発性であって、データの追記が可能であることを特徴
とする。上記特徴により、書き換えによる偽造を防止することができ、新たなデータを追
加して書き込むことができる。従って、高機能化と高付加価値化を実現した半導体装置を
用いた電子機器を提供することができる。
【0319】
なお、筐体2700、2706は、携帯電話機の外観形状を一例として示したものであ
り、本実施例に係る電子機器は、その機能や用途に応じて様々な態様に変容しうる。
【0320】
続いて、本発明の半導体装置を活用したシステムの一例について説明する。まず、表示
部294を含む携帯端末の側面にリーダライタ295を設けて、物品297の側面に本発
明の半導体装置20を設けておく(図21(A)参照)。また、あらかじめ、半導体装置
20に物品297の原材料や原産地、流通過程の履歴等の情報を記憶させておく。そして
、半導体装置20をリーダライタ295にかざすと同時に、半導体装置20が含む情報が
表示部294に表示されるようにすれば、利便性が優れたシステムを提供することができ
るまた、別の例として、ベルトコンベアの脇にリーダライタ295を設けておく(図21
(B)参照)。そうすれば、物品297の検品を極めて簡単に行うことが可能なシステム
を提供することができる。このように、本発明の半導体装置を物品の管理や流通のシステ
ムに活用することで、システムの高機能化を図り、利便性を向上させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層上に設けられたトランジスタと、
前記トランジスタの少なくとも一部に重畳し、且つ、前記トランジスタに電気的に接続
される記憶素子と、
アンテナとして機能する導電層と、を有し、
前記記憶素子は、第1の導電層と、有機化合物層又は相変化層と、第2の導電層とが順
に積層された素子であり、
アンテナとして機能する前記導電層と、前記第2の導電層とは同じ層に設けられている
ことを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【公開番号】特開2012−235144(P2012−235144A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−151283(P2012−151283)
【出願日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【分割の表示】特願2005−327968(P2005−327968)の分割
【原出願日】平成17年11月11日(2005.11.11)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】