説明

半導体装置

【課題】半導体装置の放熱効率を向上させる。
【解決手段】ぺルチェ効果によって吸熱する吸熱部(32、35、41)(37、40、43)と、ぺルチェ効果によって放熱する放熱部(31、35、41)(36、40、43)の両方が単一の半導体チップに集積化されている。このような構成によれば、半導体チップにおいて熱を拡散させ、全体としての放熱抵抗を低下させることができる。これは、放熱効率の向上に寄与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関し、特に、半導体装置の放熱のための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
消費電力が大きい半導体装置では、発生した熱を外部に放出するための放熱構造を工夫する必要がある。最も典型的な放熱構造の一つが放熱フィンであり、半導体装置は、放熱フィンによる自然冷却、又は、放熱フィンに冷却空気を当てることによる強制冷却によって冷却されることがある。
【0003】
半導体装置の冷却方法の一つとして、ぺルチェ効果を利用することも提案されている。例えば、特開平6−188342号公報は、SiとGeの接合で発生するぺルチェ効果を用いて、半導体チップを冷却する技術を開示している。この技術では、半導体チップに冷接点を設けると共に熱接点をチップ外に設け、これにより、半導体チップを冷却する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−188342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特開平6−188342号公報に開示された冷却構造、特に、熱接点をチップ外に設ける構造は、必ずしも一般的な半導体集積技術に適合するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の観点では、ぺルチェ効果によって吸熱する吸熱部と、ぺルチェ効果によって放熱する放熱部の両方が単一の半導体チップに集積化されている。このような構成によれば、半導体チップにおいて熱を拡散させ、全体としての放熱抵抗を低下させることができる。これは、半導体チップ内の温度分布の平滑化と、半導体チップ全体としての放熱効率の向上に寄与する。
【0007】
一実施形態では、当該半導体装置が、制御部と複数の電源ドメインとを備えており、電源ドメインのそれぞれには吸熱部と放熱部とが設けられ、制御部は、電源ドメインのそれぞれについて、吸熱部と放熱部の動作を制御する。
【0008】
この場合、複数の電源ドメインのうちで、第1電源ドメインの消費電力が大きく、第2電源ドメインの消費電力が小さい場合に、制御部は、第1電源ドメインの吸熱部を動作させ、第2電源ドメインの放熱部を動作させる。
【0009】
一実施形態では、複数の電源ドメインのそれぞれは、回路が集積化された回路ブロックと、回路ブロックに正電源電圧を供給するように構成された第1電源スイッチと、回路ブロックに負電源電圧を供給するように構成された第2電源スイッチとを具備する。この場合、第1電源スイッチは、吸熱部と放熱部に選択的に正電源電圧を供給することができるように構成され、第2電源スイッチは、吸熱部と放熱部に選択的に負電源電圧を供給することができるように構成される。制御部は、複数の電源ドメインのそれぞれの第1電源スイッチと第2電源スイッチを制御することにより、複数の電源ドメインのそれぞれにおける吸熱部による吸熱と放熱部による放熱とを制御する。
【0010】
制御部による吸熱部、放熱部の制御には、様々な手法が考えられる。一実施形態では、制御部は、半導体装置に設定された動作モードに応じて複数の電源ドメインのそれぞれの吸熱部と放熱部の動作を制御する。他の実施形態では、制御部は、複数の電源ドメインのそれぞれの正電源電圧の電圧レベルに応じて吸熱部と放熱部の動作を制御する。更に他の実施形態では、制御部は、複数の電源ドメインのそれぞれの正電源電圧の温度レベルに応じて吸熱部と放熱部の動作を制御する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、半導体装置の内部温度分布の均一性と、半導体装置全体の放熱効率を、向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態の半導体装置の構成を示す概念図である。
【図2】パワーゲーティング制御の一例を示す概念図である。
【図3】各電源ドメインにおける吸熱、発熱の制御の一例を示す概念図である。
【図4】一実施形態における電源ドメインの構成を示すブロック図である。
【図5】各電源ドメインの放熱部と吸熱部の構成の例を示すレイアウト図である。
【図6A】図5の例での各電源ドメインにおける放熱動作を説明する図である。
【図6B】図5の例での各電源ドメインにおける吸熱動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の一実施形態の半導体装置の構成を示す概念図である。本実施形態の半導体装置1は、いわゆるパワーゲーティング機能を有する半導体集積回路として構成されており、同一の半導体チップに複数の電源ドメイン2が集積化されている。電源ドメイン2は、個々に電源電圧の供給及び遮断を切り換えることができるように構成されている。各電源ドメイン2への電源電圧の供給は、特定の電源ドメイン2に設けられたシステムコントローラ3によって制御される。
【0014】
図2は、半導体装置1におけるパワーゲーティング制御の例を示す概念図である。本実施形態の半導体装置では、電源ドメイン2毎に電源電圧の供給が切り替え可能である。ここで、電源電圧が供給される電源ドメイン2においても、その消費電力は電源ドメイン2によって相違する。図2では、電源ドメイン2の消費電力が4つのレベル「高」「中」「低」「OFF」の4段階に分類されて図示されている。「電力:高」は、消費電力が高い電源ドメイン2を示しており、「電力:中」は、消費電力が中程度の電源ドメイン2を示しており、「電力:低」は、消費電力が低い電源ドメイン2を示している。また、「電力:OFF」は、電源電圧の供給が遮断された電源ドメイン2を示している。このようなパワーゲーティング制御を行う場合、消費電力が高い電源ドメイン2における発熱が大きくなる。この場合、発熱が大きい電源ドメイン2における放熱性が十分でないと、半導体チップの温度が部分的に高くなることがある。
【0015】
この問題に対処するために、本実施形態の半導体装置1は、ぺルチェ効果による吸熱及び放熱を利用して熱を移動させて半導体チップ全体に熱を拡散させる構成を有している。ぺルチェ効果を用いて熱拡散を行うことにより、半導体チップ全体としての放熱抵抗を下げ、放熱性を向上させることができる。放熱性が向上することにより、チップ温度が低下し、ひいては消費電力を低減させることも可能になる。
【0016】
図3は、ぺルチェ効果による熱移動の一例を示す概念図である。図3の例では、消費電力が高い電源ドメイン2においてぺルチェ効果による吸熱が行われ、消費電力が中程度又は低い電源ドメイン2においてぺルチェ効果による放熱が行われる。ここで図3では、ぺルチェ効果による吸熱が行われる電源ドメイン2には「Pel:吸熱」と記載され、ぺルチェ効果による放熱が行われる電源ドメイン2には「Pel:放熱」と記載されていることに留意されたい。このような動作により、消費電力が高い電源ドメインから消費電力が中程度又は低い電源ドメインに熱が拡散し、半導体チップの放熱性を向上させることができる。なお、ぺルチェ効果の発現のためには電流を供給する必要があるから、本実施形態では、電源電圧の供給が遮断される電源ドメインでは、ぺルチェ効果を利用した吸熱、放熱は行われない。
【0017】
ここで、本実施形態の半導体装置1では、単一の半導体チップ上において吸熱、放熱の両方を行うことに留意されたい。これは、本実施形態の半導体装置1がぺルチェ効果を用いて熱拡散を行うという技術的思想に基づくものであることと関連している。特開平6−188342号公報に開示された冷却構造のように熱接点をチップ外に設けることは、必ずしも、一般的な半導体製造プロセスに適合しない。一方、本実施形態の半導体装置1では、吸熱を行う接合と放熱を行う接合の両方が半導体チップに集積化されるが、後述の例からも理解されるように、このような構造は、一般的な半導体製造プロセスにも適合するものである。
【0018】
以下では、ぺルチェ効果による吸熱及び放熱を利用して熱拡散を行う半導体装置1の具体的な構成について述べる。図4は、一実施形態における半導体装置1の構成、特に、各電源ドメイン2の構成を示すブロック図である。各電源ドメイン2は、電源スイッチ11と、回路ブロック12と、GNDスイッチ13とを備えている。回路ブロック12には、所望の機能を有する回路群が集積化されている。電源スイッチ11は、回路ブロック12に正電源電圧VDDを供給し、GNDスイッチ13は、回路ブロック12に負電源電圧VSSを供給する。電源スイッチ11、GNDスイッチ13は、システムコントローラ3によって制御される。ある電源ドメイン2の回路ブロックの12の回路群を動作させる場合、システムコントローラ3による制御の下、当該電源ドメイン2の電源スイッチ11、GNDスイッチ13が動作されて当該回路ブロック12に正電源電圧VDD及び負電源電圧VSSが供給される。図4では、2つの電源ドメインが図示されており、それらは、以下、電源ドメイン2A、2Bと記載することがある。なお、図4には2つの電源ドメイン2A、2Bしか図示されていないが、電源ドメイン2の数は2に限定されない。
【0019】
本実施形態の半導体装置1では、更に、各電源ドメイン2の回路ブロック12にぺルチェ素子が組み込まれており、このぺルチェ素子を用いて熱の移動が行われる。例えば図4において、電源ドメイン2Bの消費電力が高く、電源ドメイン2Aの消費電力が低いとする。この場合、消費電力が高い電源ドメイン2Bの回路ブロック12に組み込まれたぺルチェ素子において吸熱が行われ、消費電力が低い電源ドメイン2Aの回路ブロック12に組み込まれたぺルチェ素子において放熱が行われる。これにより、電源ドメイン2Bから電源ドメイン2Aに熱が拡散されて電源ドメイン2A、2Bの間の温度差が小さくなる。これは、電源ドメイン2A、2Bの全体としての放熱抵抗が低下し、放熱性が向上することを意味している。
【0020】
図5は、回路ブロック12の構成の例を示すレイアウト図である。回路ブロック12は、VDD給電領域21と、VSS給電領域22と、Nウェル領域23と、Pウェル領域24とを備えている。VDD給電領域21には、電源スイッチ11から正電源電圧VDDが供給され、VSS給電領域22には、GNDスイッチ13から負電源電圧VSSが供給される。Nウェル領域23とPウェル領域24とは、VDD給電領域21とVSS給電領域22との間に設けられている。Nウェル領域23にはPMOSトランジスタ25が形成され、Pウェル領域24にはNMOSトランジスタ26が形成される。PMOSトランジスタ25は、Nウェル領域23に形成されたPソース領域41及びPドレイン領域42と、ゲート電極45とで構成される。ここで、Pソース領域41とPドレイン領域42は、P型不純物が高濃度にドープされた領域である。一方、NMOSトランジスタ26は、Pウェル領域24に形成されたNソース領域43及びNドレイン領域44と、ゲート電極45とで構成される。ここで、Nソース領域43とNドレイン領域44とは、N型不純物が高濃度にドープされた領域である。PMOSトランジスタ25及びNMOSトランジスタ26により、回路ブロック12に集積化される回路群が構成される。VDD給電領域21及びVSS給電領域22は、この回路群に正電源電圧VDD及び負電源電圧VSSを供給する。
【0021】
ここで、本実施形態の回路ブロック12では、VDD給電領域21とVSS給電領域22が、ぺルチェ効果による吸熱及び放熱を行うことができるように構成されている。以下、VDD給電領域21とVSS給電領域22の構成について詳細に説明する。
【0022】
DD給電領域21は、第1P給電領域31と第2P給電領域32とを備えている。第1P給電領域31と第2P給電領域32は、いずれも、P型不純物が高濃度にドープされた領域である。第1P給電領域31には配線33が接続されており、第2P給電領域32には配線34が接続されている。電源スイッチ11は、それぞれ配線33、34を介して第1P給電領域31と第2P給電領域32とに個別に正電源電圧VDDを供給可能に構成されている(図4も参照)。第1P給電領域31と第2P給電領域32は、更に、配線35を介してNウェル領域23に形成されたPソース領域41に接続されている。ここで、配線33、34、35は、いずれも、金属配線である。
【0023】
第1P給電領域31、配線35、及び、Nウェル領域23のPソース領域41は、半導体−金属−半導体の接合を構成しているから、ぺルチェ素子として機能する。同様に、第2P給電領域32、配線35、及び、Pソース領域41もぺルチェ素子として機能する。ここで、本実施形態では、第1P給電領域31、第2P給電領域32、及びPソース領域41のぺルチェ係数が、下記の条件を満たすように調節されている:
(A1)第1P給電領域31からPソース領域41に電流が流れた場合、ぺルチェ効果によって放熱する。
(A2)第2P給電領域32からPソース領域41に電流が流れた場合、ぺルチェ効果によって吸熱する。
なお、第1P給電領域31、第2P給電領域32、及びPソース領域41のぺルチェ係数は、製造プロセスにより調節可能である。
【0024】
一方、VSS給電領域22は、第1N給電領域36と第2N給電領域37とを備えている。第1N給電領域36と第2N給電領域37は、いずれも、N型不純物が高濃度にドープされた領域である。第1N給電領域36には配線38が接続されており、第2N給電領域37には配線39が接続されている。GNDスイッチ13は、それぞれ配線38、39を介して第1N給電領域36と第2N給電領域37とに個別に負電源電圧VSSを供給可能に構成されている(図4も参照)。第1N給電領域36と第2N給電領域37は、更に、配線40を介してPウェル領域24に形成されたNソース領域43に接続されている。ここで、配線38、39、40は、いずれも、金属配線である。
【0025】
第1N給電領域36、配線40、及び、Pウェル領域24のNソース領域43はぺルチェ素子として機能し、更に、第2N給電領域36、配線40、及び、Nソース領域43もぺルチェ素子として機能する。第1N給電領域36、第2N給電領域37、及びPウェル領域24のNソース領域43のぺルチェ係数は下記の条件が成り立つように調節されている:
(B1)Nソース領域43から配線40を介して第1N給電領域36に電流が流れたときにぺルチェ効果により放熱が起こる。
(B2)Nソース領域43から配線40を介して第2N給電領域37に電流が流れたときにぺルチェ効果により吸熱が起こる。
なお、第1N給電領域36、第2N給電領域37、及びNソース領域43のぺルチェ係数は、製造プロセスにより調節可能である。
【0026】
図6Aは、ある電源ドメイン2の回路ブロック12でぺルチェ効果による放熱を行う場合の動作を示している。正電源電圧VDDが配線33を介して第1P給電領域31に供給されると共に、負電源電圧VSSが配線38を介して第1N給電領域36に供給される。配線34、39は、フローティング状態(ハイインピーダンス状態)に設定される。これにより、回路ブロック12の動作電流が、第1P給電領域31から配線35を介してNウェル23に形成されたPソース領域41に流れると共に、Pウェル領域24に形成されたNソース領域43から配線40を介して第1N給電領域36に動作電流が流れる。このような設定により、当該回路ブロック12においてぺルチェ効果による放熱を行うことができる。
【0027】
一方、図6Bは、ある電源ドメイン2の回路ブロック12でぺルチェ効果による吸熱を行う場合の動作を示している。正電源電圧VDDが配線34を介して第2P給電領域32に供給されると共に、負電源電圧VSSが配線39を介して第2N給電領域37に供給される。配線33、38は、フローティング状態(ハイインピーダンス状態)に設定される。これにより、回路ブロック12の動作電流が、第2P給電領域32から配線35を介してNウェル領域23に形成されたPソース領域41に流れると共に、Pウェル領域24に形成されたNソース領域43から配線40を介して第2N給電領域37に動作電流が流れる。このような設定により、当該回路ブロック12においてぺルチェ効果による吸熱を行うことができる。
【0028】
例えば、図4の電源ドメイン2Bにおいて図6Bに図示されている動作を行い、電源ドメイン2Aにおいて図6Aに図示されている動作を行えば、電源ドメイン2Bから電源ドメイン2Aに熱を移動させることができる。
【0029】
なお、上記の実施形態では、第1P給電領域31、配線35及びPソース領域41で構成される構造と、第1N給電領域36、配線40及びNソース領域43で構成される構造の2つの構造が、ぺルチェ効果による放熱に使用されているが、一方の構造のみが回路ブロック12に設けられてもよい。同様に、上記の実施形態では、第2P給電領域32、配線35及びPソース領域41で構成される構造と、第2N給電領域37、配線40及びNソース領域43で構成される構造の2つの構造が、ぺルチェ効果による吸熱に使用されているが、一方の構造のみが回路ブロック12に設けられてもよい。
【0030】
上述したようなぺルチェ効果を利用した熱拡散を適切に行うためには、どの電源ドメイン2で吸熱動作を行わせ、どの電源ドメイン2に放熱動作を行わせるかの選択を適切に行うことが重要である。以下では、各電源ドメイン2における吸熱動作、放熱動作の制御について述べる。
【0031】
一実施形態では、半導体装置1が設定される動作モードに応じて各電源ドメイン2の動作を切り換えてもよい。半導体装置1が複数の動作モードに対応している場合、各電源ドメイン2の消費電力は、半導体装置1が設定される動作モードによって決まる。そこで、動作モードに応じて各電源ドメイン2における吸熱、放熱を選択することで適切に熱拡散を行うことができる。各電源ドメイン2における吸熱、放熱の選択は、システムコントローラ3が、動作モードに応じて各電源ドメイン2の電源スイッチ11及びGNDスイッチ13を制御することで実現できる。
【0032】
他の実施形態では、各電源ドメイン2における正電源電圧VDDの電圧レベルに応じて各電源ドメイン2における吸熱、放熱を選択してもよい。消費電力が大きい電源ドメイン2においては、電圧降下によって実際に回路ブロック12に供給される正電源電圧VDDが低下する。一方、消費電力が小さい電源ドメイン2においては、実際に回路ブロック12に供給される正電源電圧VDDの低下は小さい。このため、動作時における各電源ドメイン2における正電源電圧VDDの電圧レベルを測定し、測定された正電源電圧VDDの電圧レベルが低い電源ドメイン2においては吸熱動作を行い、電圧レベルが高い電源ドメイン2においては吸熱動作を行うことで、適切に熱拡散を行うことができる。
【0033】
より具体的には、正電源電圧VDDの電圧レベルの計測回路が各電源ドメイン2に集積化され、測定された正電源電圧VDDの電圧レベルを示す信号がシステムコントローラ3に送られる。システムコントローラ3は、各電源ドメイン2の正電源電圧VDDの電圧レベルに応じて各電源ドメイン2における吸熱、放熱を選択し、その選択結果を実現するように各電源ドメイン2の電源スイッチ11及びGNDスイッチ13を制御する。これにより、適切に熱拡散を行うことができる。
【0034】
更に他の実施形態では、各電源ドメイン2の温度が測定され、測定された温度に応じて各電源ドメイン2における吸熱、放熱を選択してもよい。この場合、各電源ドメイン2に温度計測のための素子が集積化され、測定された温度を示す信号がシステムコントローラ3に送られる。システムコントローラ3は、各電源ドメイン2の温度に応じて各電源ドメイン2における吸熱、放熱を選択し、その選択結果を実現するように各電源ドメイン2の電源スイッチ11及びGNDスイッチ13を制御する。これにより、適切に熱拡散を行うことができる。システムコントローラ3としては、CPUを用いてもよい。
【0035】
上述された3つの吸熱・放熱の制御(動作モードに応じた制御、正電源電圧VDDの電圧レベルに応じた制御、各電源ドメイン2の温度に応じた制御)は、組み合わせて実行されてもよい。一実施形態では、電源投入直後に半導体装置1の動作モードが設定されると、設定された動作モードに応じた制御が行われる。その後、設定された動作モードでの動作が開始されると、半導体装置1の動作が正電源電圧VDDの電圧レベルに応じた制御に移行する。更に、一定時間が経過して半導体チップが熱平衡状態に到達した後、半導体装置1の動作が各電源ドメイン2の温度に応じた制御にしてもよい。これにより、各電源ドメイン2の温度が動作上限温度を超えないように監視される。その後、動作モードが切り替えられる毎に、動作モードに応じた制御、正電源電圧VDDの電圧レベルに応じた制御、各電源ドメイン2の温度に応じた制御が繰り返されてもよい。
【0036】
以上には、本発明の実施形態が具体的に記述されているが、本発明は、上述の実施形態に限定して解釈してはならない。本発明は、様々な変更がなされた上で実施され得ることは、当業者には自明的に理解されるであろう。
【符号の説明】
【0037】
1:半導体装置
2、2A、2B:電源ドメイン
3:システムコントローラ
11:電源スイッチ
12:回路ブロック
13:GNDスイッチ
21:VDD給電領域
22:VSS給電領域
23:Nウェル領域
24:Pウェル領域
25:PMOSトランジスタ
26:NMOSトランジスタ
31:第1P給電領域
32:第2P給電領域
33、34、35:配線
36:第1N給電領域
37:第2N給電領域
38、39、40:配線
41:Pソース領域
42:Pドレイン領域
43:Nソース領域
44:Nドレイン領域
45:ゲート電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ぺルチェ効果によって吸熱する吸熱部と、ぺルチェ効果によって放熱する放熱部とが単一の半導体チップに集積化された
半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置であって、
制御部と、
複数の電源ドメイン
とを備え、
前記電源ドメインのそれぞれには前記吸熱部と前記放熱部とが設けられ、
前記制御部は、前記電源ドメインのそれぞれについて、前記吸熱部と前記放熱部の動作を制御する
半導体装置。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体装置であって、
前記制御部は、前記複数の電源ドメインのうちの第1電源ドメインの消費電力が前記複数の電源ドメインのうちの第2電源ドメインの消費電力より大きい場合に、前記第1電源ドメインの前記吸熱部を動作させ、前記第2電源ドメインの前記放熱部を動作させる
半導体装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の半導体装置であって、
複数の電源ドメインのそれぞれは、
回路が集積化された回路ブロックと、
前記回路ブロックに正電源電圧を供給するように構成された第1電源スイッチと、
前記回路ブロックに負電源電圧を供給するように構成された第2電源スイッチ
とを具備し、
前記第1電源スイッチは、前記吸熱部と前記放熱部に選択的に前記正電源電圧を供給することができるように構成され、
前記第2電源スイッチは、前記吸熱部と前記放熱部に選択的に前記負電源電圧を供給することができるように構成され、
前記制御部は、前記複数の電源ドメインのそれぞれの前記第1電源スイッチと前記第2電源スイッチを制御することにより、前記複数の電源ドメインのそれぞれにおける前記吸熱部による吸熱と前記放熱部による放熱とを制御する
半導体装置。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれかに記載の半導体装置であって、
前記制御部は、前記半導体装置に設定された動作モードに応じて前記複数の電源ドメインのそれぞれの前記吸熱部と前記放熱部の動作を制御する
半導体装置。
【請求項6】
請求項2乃至4のいずれかに記載の半導体装置であって、
前記制御部は、前記複数の電源ドメインのそれぞれの正電源電圧の電圧レベルに応じて前記吸熱部と前記放熱部の動作を制御する
半導体装置。
【請求項7】
請求項2乃至4のいずれかに記載の半導体装置であって、
前記制御部は、前記複数の電源ドメインのそれぞれの正電源電圧の電圧レベルに応じて前記吸熱部と前記放熱部の動作を制御する
半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【公開番号】特開2012−253270(P2012−253270A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126452(P2011−126452)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】