説明

半導体記憶装置及びその製造方法

【課題】動作マージンを確保した半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】半導体記憶装置は、複数のメモリセル及び前記複数のメモリセルを選択する複数の選択配線を有するセルアレイを複数積層してなるセルアレイブロックと、第1高さから第2高さまで積層方向に延び、前記セルアレイブロックの選択配線のうちの所定の第1配線が側面に接続された柱状の第1ビアと、前記第1高さから第2高さまで積層方向に延び、前記セルアレイブロックの選択配線のうち前記第1配線よりも上層の所定の第2配線が側面に接続された柱状の第2ビアとを備え、前記第2配線は、前記第1配線よりも積層方向に厚く、且つ、前記第1配線よりも抵抗率が高いことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、半導体記憶装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ReRAM(Resistive RAM)等の抵抗変化メモリは、クロスポイント型に形成される。そのため、容易にセルアレイの積層することができ、集積度を向上させることができる。しかし、セルアレイの積層数を単純に増やしてしまうと、コスト増大や歩留まり低下を招く場合がある。例えば、ある配線層とこの他の配線層との電気的接続を取る場合、これら配線層間にビアを形成する必要があるが、このビアを一層毎に形成していたのでは層数がそのままコスト増につながる。
【0003】
そこで、従来では、予め複数のセルアレイを積層しておき、これら複数のセルアレイの配線層に対して同時に1回でビアを形成する製造方法が提案されている。この方法の場合、先ず、下から下層配線層、中間配線層、上層配線層を順次積層する。その際、中間配線層のビアとの接続部にスリットを形成しておく。次いで、このスリットを介して中間配線層の上から下層配線層に至るビアを形成する。その際、ビアは、側面に中間配線層の接続部との引っ掛かりとなる段差ができるように形成する。こうすることで、下層配線層と中間配線層を電気的に接続できる。更に、このように形成されたビアの上端に上層配線層を形成すれば、1回のビア形成で3層分の配線層を接続することができる。つまり、この方法によれば、セルアレイの積層数が増えても、ビアを形成するためのリソグラフィ及びエッチングの工程数の増加を抑え、コスト増と歩留まり低下を軽減することができる。
【0004】
しかし、この製造方法では、1の中間配線層の接続部に形成されたスリットの位置に複数の配線に跨るビアを形成するため、一層毎にビアを形成する場合よりも中間配線層の接続部へのエッチングによる負担が大きくなる。そのため、中間配線層の接続部のスリット周辺が削られてしまい、結果としてビアとの接触が不安定になってしまう。このことは、下層配線層と中間配線層との間に積層されている配線層数が多くなるほど顕著になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−130140号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、動作マージンを確保した半導体記憶装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に係る半導体記憶装置は、複数のメモリセル及び前記複数のメモリセルを選択する複数の選択配線を有するセルアレイを複数積層してなるセルアレイブロックと、第1高さから第2高さまで積層方向に延び、前記セルアレイブロックの選択配線のうちの所定の第1配線が側面に接続された柱状の第1ビアと、前記第1高さから第2高さまで積層方向に延び、前記セルアレイブロックの選択配線のうち前記第1配線よりも上層の所定の第2配線が側面に接続された柱状の第2ビアとを備え、前記第2配線は、前記第1配線よりも積層方向に厚く、且つ、前記第1配線よりも抵抗率が高いことを特徴とする。
【0008】
本発明の実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法は、半導体基板を形成する工程と、前記半導体基板上に第1配線を形成する工程と、前記第1配線上にメモリセルを形成する工程と、前記メモリセル上に前記第1配線よりも積層方向に厚く、且つ、抵抗率が高い材料で第2配線を形成する工程と、前記第2配線より上の第2高さから前記第1配線よりも下の第1高さに向けて積層方向に延びる、前記第1配線に側面が接続する柱状の第1ビア及び前記第2配線に側面が接続する柱状の第2配線を同時に形成する工程とを備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態に係る半導体記憶装置のブロック図である。
【図2】同半導体記憶装置のメモリセルセルアレイの一部を示す斜視図である。
【図3】図2のI−I´線で切断して矢印方向に見たメモリセル1個分の断面図である。
【図4】同半導体記憶装置の可変抵抗素子の一例を示す模式的な断面図である。
【図5】同半導体記憶装置のワード線、ビット線及びビアの接続を示す概略図である。
【図6】図5のIIで示す点線で囲まれた部分の拡大図である。
【図7】図5のIIIで示す点線で囲まれた部分の拡大図である。
【図8】同半導体記憶装置の製造方法を説明する図である。
【図9】同半導体記憶装置の製造方法を説明する図である。
【図10】同半導体記憶装置の製造方法を説明する図である。
【図11】同半導体記憶装置の製造方法を説明する図である。
【図12】同半導体記憶装置の製造方法を説明する図である。
【図13】同半導体記憶装置の製造方法を説明する図である。
【図14】同半導体記憶装置の製造方法を説明する図である。
【図15】同半導体記憶装置の製造方法を説明する図である。
【図16】同半導体記憶装置の製造方法を説明する図である。
【図17】同半導体記憶装置の製造方法を説明する図である。
【図18】同半導体記憶装置の製造方法を説明する図である。
【図19】同半導体記憶装置の製造方法を説明する図である。
【図20】同半導体記憶装置の製造方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態に係る半導体記憶装置及びその製造方法を説明する。
【0011】
[半導体記憶装置の構成]
図1は、本発明の実施形態に係る半導体記憶装置のブロック図である。
【0012】
この半導体記憶装置は、後述するReRAM(可変抵抗素子)を使用したメモリセルをマトリクス状に配置したメモリセルアレイ1を複数積層してなるセルアレイブロックを備える。メモリセルアレイ1のビット線方向に隣接する位置には、メモリセルアレイ1のビット線BLを制御し、メモリセルのデータ消去、メモリセルへのデータ書き込み、及びメモリセルからのデータ読み出しを行うカラム制御回路2が設けられている。また、メモリセルアレイ1のワード線方向に隣接する位置には、メモリセルアレイ1のワード線WLを選択し、メモリセルのデータ消去、メモリセルへのデータ書き込み、及びメモリセルからのデータ読み出しに必要な電圧を印加するロウ制御回路3が設けられている。
【0013】
データ入出力バッファ4は、図示しない外部のホストにI/O線を介して接続され、書き込みデータの受け取り、消去命令の受け取り、読み出しデータの出力、アドレスデータやコマンドデータの受け取りを行う。データ入出力バッファ4は、受け取った書き込みデータをカラム制御回路2に送り、カラム制御回路2から読み出したデータを受け取って外部に出力する。外部からデータ入出力バッファ4に供給されたアドレスは、アドレスレジスタ5を介してカラム制御回路2及びロウ制御回路3に送られる。また、ホストからデータ入出力バッファ4に供給されたコマンドは、コマンド・インタフェース6に送られる。コマンド・インタフェース6は、ホストからの外部制御信号を受け、データ入出力バッファ4に入力されたデータが書き込みデータかコマンドかアドレスかを判断し、コマンドであれば受け取りコマンド信号としてコントローラ7に転送する。コントローラ7は、この半導体記憶装置全体の管理を行うもので、ホストからのコマンドを受け付け、読み出し、書き込み、消去、データの入出力管理等を行う。また、外部のホストは、コントローラ7が管理するステータス情報を受け取り、動作結果を判断することも可能である。このステータス情報は書き込み、消去の制御にも利用される。
【0014】
また、コントローラ7によってパルスジェネレータ8が制御される。この制御により、パルスジェネレータ9は任意の電圧、任意のタイミングのパルスを出力することが可能となる。具体的には、コントローラ7が、外部から与えられたアドレスをアドレスレジスタ5を介して入力し、どのメモリ層へのアクセスかを判定し、そのメモリ層に対応するパラメータを用いて、パルスジェネレータ8からのパルスの高さ・幅を制御する。このパラメータは、メモリ層ごとの書き込み等の特性を把握した上で、各メモリ層の書き込み特性が均一になるように求められた値であり、メモリセルに保存されている。ここで、形成されたパルスはカラム制御回路2及びロウ制御回路3で選択された任意の配線へ転送することが可能である。
【0015】
なお、メモリセルアレイ1以外の周辺回路素子はメモリセルアレイ1の直下のシリコン基板に形成可能であり、これにより、この半導体記憶装置のチップ面積はほぼ、メモリセルアレイ1の面積に等しくすることも可能である。
【0016】
図2は、メモリセルアレイ1の一部の斜視図、図3は、図2のI−I´線で切断して矢印方向に見たメモリセル1つ分の断面図である。
【0017】
複数本のビット線BL(0)〜BL(2)が平行に配設され、これと交差して複数本のワード線WL(0)〜WL(2)が平行に配設され、これらの各交差部に両配線に挟まれるようにメモリセルMCが配置される。ワード線WL及びビット線BLは、熱に強く、且つ抵抗値の低い材料が望ましく、例えばW、WSi、NiSi、CoSi等を用いることができる。
【0018】
メモリセルMCは、図3に示すように、可変抵抗素子VRと非オーミック素子NOの直列接続回路からなる。
【0019】
可変抵抗素子VRとしては、電圧印加によって、電流、熱、化学エネルギ等を介して抵抗値を変化させることができるもので、上下にバリアメタル及び接着層として機能する電極EL2、EL1が配置される。電極材としては、Pt、Au、Ag、TiAlN、SrRuO、Ru、RuN、Ir、Co、Ti、TiN、TaN、LaNiO、Al、PtIrO、PtRhO、Rh/TaAlN等が用いられる。また、配向性を一様にするようなメタル膜の挿入も可能である。また、別途バッファ層、バリアメタル層、接着層等を挿入することも可能である。
【0020】
可変抵抗素子VRは、カルコゲナイド等のように結晶状態と非晶質状態の相転移により抵抗値を変化させるもの(PCRAM)、金属陽イオンを析出させて電極間に架橋(コンダクティングブリッジ)を形成したり、析出した金属をイオン化したりして架橋を破壊することで抵抗値を変化させるもの(CBRAM)、電圧あるいは電流印加により抵抗値が変化するもの(ReRAM)(電極界面に存在する電荷トラップにトラップされた電荷の存在の有無により抵抗変化が起きるものと、酸素欠損等に起因する伝導パスの存在の有無により抵抗変化が起きるものとに大別される。)等を用いることができる。
【0021】
図4は、この可変抵抗素子VRの例を示す図である。図4に示す可変抵抗素子VRは、電極層10、11の間に記録層12を配置してなる。記録層12は、少なくとも2種類の陽イオン元素を有する複合化合物から構成される。陽イオン元素の少なくとも1種類は電子が不完全に満たされたd軌道を有する遷移元素とし、且つ隣接する陽イオン元素間の最短距離は、0.32nm以下とする。具体的には、化学式A(AとMは互いに異なる元素)で表され、例えばスピネル構造(AM)、イルメナイト構造(AMO)、デラフォサイト構造(AMO)、LiMoN構造(AMN)、ウルフラマイト構造(AMO)、オリビン構造(AMO)、ホランダイト構造(AMO)、ラムスデライト構造(AMO)、ペロブスカイト構造(AMO)等の結晶構造を持つ材料により構成される。
【0022】
図4の例では、AがZn、MがMn、XがOである。記録層12内の小さな白丸は拡散イオン(Zn)、大きな白丸は陰イオン(O)、小さな黒丸は遷移元素イオン(Mn)をそれぞれ表している。記録層12の初期状態は高抵抗状態であるが、電極層10を固定電位、電極層11側に負の電圧を印加すると、記録層12中の拡散イオンの一部が電極層11側に移動し、記録層12内の拡散イオンが陰イオンに対して相対的に減少する。電極層11側に移動した拡散イオンは、電極層11から電子を受け取り、メタルとして析出するため、メタル層11を形成する。記録層12の内部では、陰イオンが過剰となり、結果的に記録層12内の遷移元素イオンの価数を上昇させる。これにより、記録層12はキャリアの注入により電子伝導性を有するようになってセット動作が完了する。再生に関しては、記録層12を構成する材料が抵抗変化を起こさない程度の微小な電流値を流せば良い。プログラム状態(低抵抗状態)を初期状態(高抵抗状態)にリセットするには、例えば記録層12に大電流を充分な時間流してジュール加熱して、記録層12の酸化還元反応を促進すれば良い。また、セット時と逆向きの電場を印加することによってもリセット動作が可能である。
【0023】
[メモリセルアレイ及びその周辺部の構造]
次に、メモリセルアレイ及びその周辺部の構造について説明する。
【0024】
図5は、本実施形態に係る半導体記憶装置のワード線WL、ビット線BL及びビアVの接続を示す概略図である。また、図6、図7は、それぞれ図5の点線円II、IIIで囲まれた部分の拡大図である。なお、図5には、便宜上、左側にワード線方向の断面図、右側にビット線方向の断面図を示している。また、各ワード線及びビット線間には層間絶縁膜が形成されているが便宜上図示を省略している。
【0025】
この半導体記憶装置には、下層から上層に掛けて、金属層ML1、ワード線WL1、ビット線BL1、ワード線WL2、ビット線BL2、・・・、ビット線BL5、ワード線WL5、及び金属層ML2が形成されている。金属層ML1、及びML2には、例えば、カラム制御回路2、ロウ制御回路3等の周辺回路や電源などに接続するための配線が形成されている。
【0026】
また、ワード線WL1及びビット線BL1、ビット線BL1及びワード線WL2、・・・、並びにビット線BL4及びワード線WL5の各交差部には、それぞれ、メモリセルMC1、MC2、・・・、並びにMC8が形成されている。また、接続部C11、C21、・・・、C71は同じ層に形成されている。また、接続部C12、C22、・・・、C72及びワード線WL1は同じ層に形成されている。また、接続部C33及びビット線BL1は同じ層に形成されている。また、接続部C14及びワード線WL2は同じ層に形成されている。また、接続部C45及びビット線BL2は同じ層に形成されている。また、接続部C16、C26、・・・、C76及びワード線WL3は同じ層に形成されている。また、接続部C57及びビット線BL3は同じ層に形成されている。また、接続部C18及びワード線WL4は同じ層に形成されている。また、接続部C69及びビット線WL4は同じ層に形成されている。また、接続部C1a、C2a、・・・、C7a及びワード線WL5は同じ層に形成されている。
【0027】
さらに、この半導体記憶装置には、メモリセルアレイの周辺部において、ワード線WL、ビット線BL、及び金属層MLを接続する積層方向に延びる複数のビアVが形成されている。以下に、各ビアVを列挙し説明する。
【0028】
ビアV112は、金属層ML1に形成された接続部C11とワード線WL1に形成された接続部C12とを接続する。
【0029】
ビアV126は、接続部C12上面からワード線WL3に形成された接続部C16下面までワード線WL2に形成された接続部C14を介して形成されている。接続部C14には、ワード線方向に幅w14のスリットS14が形成されており、ビアV126はこのスリットS14を埋めるように形成されている。つまり、ビアV126の断面形状は、このスリットS14で定まる。具体的には、接続部C16下面から接続部C14上面までのワード線方向の幅がw14よりも広いw16、接続部C14上面から接続部C12上面までのワード線方向の幅がw14と下層に行くほど狭まる階段状の断面となる。ビアV126は、接続部C14に対してビアV126の接続部C14上面の段差が引っ掛かることで、接続部C12及びC16と接続部C14とを接続する。
【0030】
ビアV16aは、接続部C16上面(第1高さ)から金属層ML2下面(第2高さ)までワード線WL4に形成された接続部C18及びワード線WL5に形成された接続部C1aを介して形成されている。接続部C18には、ワード線方向に幅w18のスリットS18が、接続部C1aには、ワード線方向に幅w18よりも広い幅w1aのスリットS1aがそれぞれ形成されており、ビアV16aはこれらスリットS18及びS1aを埋めるように形成されている。具体的には、金属層ML2下面から接続部C1a上面までのワード線方向の幅がw1aよりも広いw1b、接続部C1a上面から接続部C18上面までのワード線方向の幅がw1a、接続部C18上面から接続部C16上面までの幅がw18と下層に行くほど狭まる階段状の断面となる。ビアV16aは、接続部C1aのスリットS1a及び接続部C18のスリットS18に対して引っ掛かることで段差を形成し、接続部C16と接続部C18及びC1aとをビアV16aの底面と段差の底面及び側面とで接続する。
【0031】
ビアV212は、金属層ML1に形成された接続部C21とワード線WL1に形成された接続部C22とを接続する。
【0032】
ビアV226は、接続部C22とワード線WL3に形成された接続部C26とを接続する。
【0033】
ビアV26aは、接続部C26上面(第1高さ)から金属層ML2下面(第2高さ)までワード線WL5に形成された接続部C2aを介して形成されている。接続部C2aには、ワード線方向に幅w2aのスリットS2aが形成されており、ビアV26aはこのスリットS2aを埋めるように形成されている。具体的には、金属層ML2下面の高さから接続部C2a上面までのワード線方向の幅がw2aよりも広いw2b、接続部C2a上面から接続部C26上面までのワード線方向の幅がw2aと下層に行くほど狭まる階段状の断面となる。ビアV26aは、接続部C2aのスリットS2aに対して引っ掛かることで段差を形成し、接続部C26と接続部C2aとをビアV26aの底面と段差の底面及び側面とで接続する。
【0034】
ビアV312は、金属層ML1に形成された接続部C31とワード線WL1の層に形成された接続部C32とを接続する。なお、接続部C32とワード線WL1とは接続していない。
【0035】
ビアV326は、接続部C32上面からワード線WL3の層に形成された接続部C36下面までビット線BL1に形成された接続部C33を介して形成されている。接続部C33には、ビット線方向に幅w33のスリットS33が形成されており、ビアV326はこのスリットS33を埋めるように形成されている。具体的には、接続部C36下面から接続部C33上面までのビット線方向の幅がw33よりも広いw36、接続部C33上面から接続部C32上面までのビット線方向の幅がw33と下層に行くほど狭まる階段状の断面となる。ビアV326は、接続部C33のスリットS33に対して引っ掛かることで段差を形成し、接続部C32及びC36と接続部C33とをビアV326の底面及び上面と段差の底面及び側面とで接続する。なお、接続部C32とワード線WL1とは接続していない。また、接続部C36とワード線WL3とは接続していない。
【0036】
ビアV412は、金属層ML1に形成された接続部C41とワード線WL1の層に形成された接続部C42とを接続する。なお、接続部C42とワード線WL1とは接続していない。
【0037】
ビアV426は、接続部C42上面からワード線WL3の層に形成された接続部C46下面までビット線BL2に形成された接続部C45を介して形成されている。接続部C45には、ビット線方向に幅w45のスリットS45が形成されており、ビアV426はこのスリットS45を埋めるように形成されている。具体的には、接続部C46下面から接続部C45上面までのビット線方向の幅がw45よりも広いw46、接続部C45上面から接続部C42上面までのビット線方向の幅がw45と下層に行くほど狭まる階段状の断面となる。ビアV426は、接続部C45のスリットS45に対して引っ掛かることで段差を形成し、接続部C42及びC46と接続部C45とをビアV426の底面及び上面と段差の底面及び側面とで接続する。なお、接続部C42とワード線WL1とは接続していない。また、接続部C46とワード線WL3とは接続していない。
【0038】
ビアV512は、金属層ML1に形成された接続部C51とワード線WL1の層に形成された接続部C52とを接続する。なお、接続部C52とワード線WL1とは接続していない。
【0039】
ビアV526は、接続部C52とワード線WL3の層に形成された接続部C56とを接続する。なお、接続部C56とワード線WL3とは接続していない。
【0040】
ビアV56aは、接続部C56上面(第1高さ)から金属層ML2下面(第2高さ)までビット線BL3に形成された接続部C57及びワード線WL5の層に形成された接続部C5aを介して形成されている。接続部C57には、ビット線方向に幅w57のスリットS57が、接続部C5aには、ビット線方向に幅w57よりも広い幅w5aのスリットS5aがそれぞれ形成されており、ビアV56aはこれらスリットS57及びS5aを埋めるように形成されている。具体的には、金属層ML2下面から接続部C5a上面までのビット線方向の幅がw5aよりも広いw5b、接続部C5a上面から接続部C57上面までのビット線方向の幅がw5a、接続部C57上面から接続部C56上面までの幅がw57と下層に行くほど狭まる階段状の断面となる。ビアV56aは、接続部C5aのスリットS5a及び接続部C57のスリットS57に対して引っ掛かることで段差を形成し、接続部C56と接続部C57及びC5aとをビアV56aの底面と段差の底面及び側面とで接続する。なお、接続部C5aとワード線WL5とは接続していない。
【0041】
ビアV612は、金属層ML1に形成された接続部C61とワード線WL1の層に形成された接続部C62とを接続する。なお、接続部C62とワード線WL1とは接続していない。
【0042】
ビアV626は、接続部C62とワード線WL3の層に形成された接続部C66とを接続する。なお、接続部C66とワード線WL3とは接続していない。
【0043】
ビアV66aは、接続部C66上面(第1高さ)から金属層ML2下面(第2高さ)までビット線BL4に形成された接続部C69及びワード線WL5の層に形成された接続部C6aを介して形成されている。接続部C69には、ビット線方向に幅w69のスリットS69が、接続部C6aには、ビット線方向に幅w69よりも広い幅w6aのスリットS6aがそれぞれ形成されており、ビアV66aはこれらスリットS69及びS6aを埋めるように形成されている。具体的には、金属層ML2下面から接続部C6a上面までのビット線方向の幅がw6aよりも広いw6b、接続部C6a上面から接続部C69上面までのビット線方向の幅がw6a、接続部C69上面から接続部C66上面までの幅がw69と下層に行くほど狭まる階段状の断面となる。ビアV66aは、接続部C6aのスリットS6a及び接続部C69のスリットS69に対して引っ掛かることで段差を形成し、接続部C66と接続部C69及びC6aとをビアV66aの底面と段差の底面及び側面とで接続する。なお、接続部C6aとワード線WL5とは接続していない。
【0044】
ビアV712は、金属層ML1に形成された接続部C71とワード線WL1の層に形成された接続部C72とを接続する。なお、接続部C72とワード線WL1とは接続していない。
【0045】
ビアV726は、接続部C72とワード線WL3の層に形成された接続部C76とを接続する。なお、接続部C76とワード線WL3とは接続していない。
【0046】
ビアV76bは、接続部C76上面(第1高さ)から金属層ML2(第2高さ)に形成された接続部C7b下面までワード線WL5の層に形成された接続部C7aを介して形成されている。接続部C7aには、ビット線方向に幅w7aのスリットS7aが形成されており、ビアV76bはこのスリットS7aを埋めるように形成されている。具体的には、接続部C7b下面から接続部C7a上面までのビット線方向の幅がw7aよりも広いw7b、接続部C7a上面から接続部C76上面までのビット線方向の幅がw7aと下層に行くほど狭まる階段状の断面となる。ビアV76bは、接続部C7aのスリットS7aに対して引っ掛かることで段差を形成し、接続部C76及びC7bと接続部C7aとをビア76bの底面及び上面と段差の底面及び側面とで接続する。なお、接続部C7aとワード線WL5とは接続していない。
【0047】
ここで、ビット線BL2及びワード線WL5(第2配線)は、他のワード線WL及びビット線BL(第1配線)よりも厚く形成されている。例えば、図6に示すように、ワード線WL4、ビット線BL4がそれぞれ厚さt8、t9(t8≒t9)で形成されている一方、ワード線WL5は、t8、t9よりも厚いta(>t8、t9)で形成されている。
【0048】
ここで、ビット線BL2及びワード線WL5と他のワード線WL及びビット線BLが同じ抵抗率で形成されていた場合、ビット線BL2及びワード線WL5の抵抗値が、他のワード線WL及びビット線BLの抵抗値よりも低くなってしまう。そのため、ビット線BL2及びワード線WL5は、他のワード線WL及びビット線BLと同程度のシート抵抗にすべく、後述する製造方法によって他のワード線WL及びビット線BLよりも抵抗率の高い材料で形成されている。このようにワード線WL及びビット線BLのシート抵抗を同程度にすることにすることで、セルアレイ毎の書き込み/読み出し特性のバラツキを低減することができ、半導体記憶装置の動作安定性を確保することができる。
【0049】
なお、接続部C33、C46、C57、及びC6aの下に残るメモリセル材料MC1´、MC4´、MC5´、及びMCMC8´は、以下に説明する半導体記憶装置の製造方法の工程上残るものであり、これらメモリセル材料MC1´等の有無によって、半導体記憶装置の動作に影響するものではない。
【0050】
[半導体記憶装置の製造方法]
次に、図5に示す半導体記憶装置の製造方法について説明する。ここでは、金属層ML1、ビアV112、V212、・・・、及びV712の形成から、ビアV126、V226、・・・、及びV726の形成までの工程は、以下に示す上層の形成工程と同様であるため説明を省略する。なお、図8は、ビアV126、V226、・・・、及びV726形成後の状態である。
【0051】
以下では、図8に示す工程の後の工程について図9〜図20を用いて説明する。なお、簡単のため図9〜図20には層間絶縁膜を示していない。
【0052】
始めに、図9に示すように、ビット線方向に分離したメモリセルMC4の材料MC4´、メモリセル材料MC4´間の図示されない層間絶縁膜、ビアV126、V226、・・・、及びV726の上面をCMPによって平坦化した後、これらの上面にワード線WL3の材料WL3´とメモリセルMC5の材料MC5´´を順次積層する。ここで、ワード線材料WL3´は、後に形成するワード線WL4の厚さt8、ビット線BL4の厚さt9(図6参照)と同程度の厚さt6で積層させる。また、このワード線材料WL3´には、例えば、タングステンシードをBで還元させた材料を用いる。
【0053】
続いて、図10に示すように、メモリセル材料MC5´´、ワード線材料WL3´、及びメモリセル材料MC4´に対して、ワード線方向に深さがビット線BL2上面に至る溝をRIE等の異方性エッチングによって形成する。その後、これら形成した溝に絶縁材料を埋め、層間絶縁膜を形成する。これによって、メモリセルMC4が自己整合的に形成される。また、ワード線WL3の層のうち、ビアV126、V226、・・・、及びV726の位置には、それぞれ接続部C16、C26、・・・、及びC76が形成される。
【0054】
続いて、図11に示すように、ワード線方向に分離したメモリセル材料MC5´、及びメモリセル材料MC5´間の図示されない層間絶縁膜の上面をCMPによって平坦化した後、こられの上面にビット線BL3(第1配線)の材料BL3´とメモリセルMC6の材料MC6´´を順次積層する。ここで、ビット線材料BL3´は、上述の通り、ワード線WL4、ビット線BL4の厚さt8、t9と同程度の厚さt7で積層させる。また、このビット線材料BL3´には、例えば、タングステンシードをBで還元させた材料など、ワード線材料WL3´と同じ材料を用いる。
【0055】
続いて、図12に示すように、メモリセル材料MC6´´、ビット線材料BL3´、及びメモリセル材料MC5´に対して、ビット線方向に深さがワード線WL3上面に至る溝をRIE等の異方性エッチングによって形成する。その後、これら形成した溝に絶縁材料を埋め、層間絶縁膜を形成する。これによって、メモリセルMC5が自己整合的に形成される。また、ビット線BL5の層のうち、接続部C56の上方の位置には、スリットS57を有する接続部C57が形成される。なお、この工程における異方性エッチングの際、実際には、ワード線WL3には、後述するワード線WL4と同様に、オーバーエッチングによって上部が削られるガウジングが生じてしまう。
【0056】
続いて、図13に示すように、ビット線方向に分離したメモリセル材料MC6´、及びメモリセル材料MC6´間の図示されない層間絶縁膜の上面をCMPによって平坦化した後、こられの上面にワード線WL4(第1配線)の材料WL4´とメモリセルMC7の材料MC7´´を順次積層する。ここで、ワード線材料WL4´は、上述の通り、厚さt8で積層させる。また、このワード線材料WL4´には、例えば、タングステンシードをBで還元させた材料など、ワード線材料WL3´等と同じ材料を用いる。
【0057】
続いて、図14に示すように、メモリセル材料MC7´´、ワード線材料WL4´、及びメモリセル材料MC6´に対して、ワード線方向に深さがビット線BL3上面に至る溝をRIE等の異方性エッチングによって形成する。その後、これら形成した溝に絶縁材料を埋め、層間絶縁膜を形成する。これによって、メモリセルMC6が自己整合的に形成される。また、ワード線WL4の層のうち、接続部C16の上方の位置には、スリットS18を有する接続部C18が形成される。なお、この工程における異方性エッチングの際、実際には、後述するワード線WL4と同様、ビット線BL3の上部にはガウジングが生じてしまう。
【0058】
続いて、図15に示すように、ワード線方向に分離したメモリセル材料MC7´、及びメモリセル材料MC7´間の図示されない層間絶縁膜の上面をCMPによって平坦化した後、こられの上面にビット線BL4(第1配線)の材料BL4´とメモリセルMC8の材料MC8´´を順次積層する。ここで、ビット線材料BL4´は、上述の通り、厚さt9で積層させる。また、このビット線材料BL5´には、例えば、タングステンシードをBで還元させた材料など、ワード線材料WL3´等と同じ材料を用いる。
【0059】
続いて、図16に示すように、メモリセル材料MC8´´、ビット線材料BL4´、及びメモリセル材料MC7´に対して、ビット線方向に深さがワード線WL4上面に至る溝をRIE等の異方性エッチングによって形成する。その後、これら形成した溝に絶縁材料を埋め、層間絶縁膜を形成する。これによって、メモリセルMC7が自己整合的に形成される。また、ビット線BL4の層のうち、接続部C66の上方の位置には、スリットS69を有する接続部C69が形成される。なお、この工程における異方性エッチングの際、メモリセルMC7間を確実に分離するためにオーバーエッチングを行う。その結果、図6に示すように、ワード線WL4のうち、隣接するメモリセルMC7間の上部が削られてしまう。この現象をガウジングと称し、図6の例では、ワード線WL4の上面から、メモリセル間の底部までの距離d8だけ低くなる。その結果、メモリセルMC7間のワード線WLの実効的な厚さは、t8−d8となり、ワード線WLの他の部分、例えば、メモリセルMC7が配置された下の部分よりも薄くなっている。
【0060】
続いて、図17に示すように、ビット線方向に分離したメモリセル材料MC8´、及びメモリセル材料MC8´間の図示されない層間絶縁膜の上面をCMPによって平坦化した後、これらの上面にワード線WL5(第2配線)の材料BL5´を積層する。ここで、ワード線材料WL5´は、配線WL4、BL4の厚さt8、t9よりも厚い厚さtaで積層させる。また、このワード線材料WL5´には、ワード線WL5とワード線WL4、ビット線BL4等とのシート抵抗が同じになるように、タングステンシードをBとは異なる還元ガスを用いて還元させた材料を用いる。ここで還元ガスには、SiH等を用いることができる。これによって、ワード線材料WL5´のグレインスケールを、ビット線BL3等のグレインスケールよりも小さくすることができる。換言すれば、ワード線材料WL5´の抵抗率は、ビット線材料BL3´等の抵抗率よりも高くなる。その結果、ワード線WL5をビット線BL3等よりも大きな断面積、つまり厚く形成した場合でも、シート抵抗を同程度にすることができる。なお、還元ガスを変更する他、シード膜を変更することでビット線材料BL3´等よりも抵抗率を高めても良い。
【0061】
続いて、図18に示すように、ワード線材料WL5´、及びメモリセル材料MC8´に対して、ワード線方向に深さがビット線BL4上面に至る溝をRIE等の異方性エッチングによって形成する。その後、これら形成した溝及びメモリセル材料MC8´上に後に形成する金属層ML2の下面の高さまで絶縁材料を埋め、層間絶縁膜を形成する。これによって、メモリセルMC8が自己整合的に形成される。また、ワード線WL5の層のうち、接続部C18、C26、C57、C69、及びC76の上方の位置には、それぞれスリットS1aを有する接続部C1a、スリットS2aを有する接続部C2a、スリットS5aを有する接続部C5a、スリットS6aを有する接続部C6a、及びスリットS7aを有する接続部C7aが形成される。なお、この工程における異方性エッチングの際、実際には、前述したワード線WL4と同様、ビット線BL4の上部にはガウジングが生じる場合がある。エッチングにより分離するメモリセル層が1層であるため、エッチング条件によっては、ガウジングの発生量は小さくなる。
【0062】
続いて、図19に示すように、図示されない層間絶縁膜に対し、接続部C16、C26、C56、C66、及びC76の位置に、それぞれ後に形成する金属層ML2の下面の高さからワード線WL3の層の上面に至る積層方向に延びるビアホールH16a、H26a、H56a、H66a、及びH76aをRIE等の異方性エッチングによって一括に形成する。ここで、各ビアホールの中間層に位置する接続部、つまり、スリットを有する接続部C18、C57、C5a、C69、C6a、及びC7aの上面のスリット側は、異方性エッチングによっていわゆる「肩やられ」と呼ばれる掘り込みが生じてしまう。ここで、「肩」とは接続部のスリットに面する上部付近を指す。この肩やられが、接続部C18等の下面に達すると肩落ちが発生し、接続部はビアVの側面とでしか接触しなくなる。その結果、ビアVと接続部Cとの接触を不安定化させ、これによって、半導体記憶装置の加工マージン及び動作マージンが損なわれてしまう。特に、より上層の接続部には、より大きな掘り込み量となる。具体的には、ビアホールH56aの場合、金属層ML2下面から接続部C56上面まで一括にエッチングされるが、この場合、下層にある接続部C57よりも上層にある接続部C5aの方が、より長い時間エッチングによるストレスを受ける。その結果、スリットS5aの上面内側の形状は、理想的には、図7中IVで示す点線のような、接続部C5aの肩がほぼ直角であり、ビアV56aの段差が明確に形成され、接続部C5aの肩と段差の底部及び側面が接する形状であるべきところが、実際には、図7中Vで示す実線のようにビアV56aの肩が削られてお椀型になってしまう。同様に、ビアホールH16a、H26a、H66a、及びH76bの形成の場合、接続部C1a、C2a、C6a、及びC7aにおける掘り込み量が最も大きくなる。この場合、ビアV56aの彫り込み量が大きくなっても、スリットS5aに面する接続部C5aの下部にほぼ直線部分が存在すれば、ビア56aに段差ができていると解することができ、型落ちは発生していないということができる。すなわち、ビアV56aが接続部C5aに引っかかっているといえ、ビアV56aと接続部C5aが側面のみで接している場合に比べ接触面積が増えているからである。
【0063】
しかし、本実施形態の場合、ワード線WL5と他のビット線BL4等のシート抵抗を同等に維持しつつ、ワード線WL5を他のビット線BL4等よりも厚く形成することができるため、肩落ちを防止することにより動作マージンの低下を抑制することができる。さらには、加工マージンが向上し、メモリセルMCの高さを大きくすることができる。その結果、メモリセルMCの非書き込み、読み出し時の逆方向電流を減らすことができる。
【0064】
なお、ビアV126、V226、・・・、V726の形成の際にも、これらビアV126、V226、・・・、V726の最上に位置するビット線BL2に形成されたスリットS45を有する接続部C45に最も大きな掘り込み量となる。しかし、この場合も、ビット線BL2を、ワード線WL5に形成すれば良い。
【0065】
最後に、図20に示すように、ビアホールH16a、H26a、H56a、H66a、及びH76aを導電材料で埋め、ビアV16a、V26a、V56a、V66a、及びV76aを形成する。その後、ビアV76aの上面に金属層M2を形成すると図5に示す半導体記憶装置となる。
【0066】
[まとめ]
最後に、あらためて上記半導体記憶装置の製造方法を実行した場合における動作マージン及び加工マージンへの影響を与える。
【0067】
先ず、1点目として、メモリセルMC形成の際のワード線WL、ビット線BLに生じるガウジングについて考える。上述の通り、本実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法の場合、上面がメモリセルMCと接触していない最上層のワード線WL5を除き、ガウジングが生じてしまう。すなわち、最上層のワード線WL5上にはメモリセルを配置しないため、メモリセル間を分離する工程が無いからである。一方、ワード線WL5の場合、ワード線WL4、ビット線BL4のような異方性エッチングによるガウジングが生じない。その結果、仮に、全てのワード線WL及びビット線BLを同じ材料、同じ厚さで形成した場合、最上層のワード線WL5とその他のワード線WL、ビット線BLとの特性にバラツキが生じ、動作マージンの低下につながる。
【0068】
次に、2点目として、ビアV(ビアホールH)形成の際にスリットSを有する接続部Cに生じる肩落ちについて考える。上述の通り、本実施形態に係る半導体記憶装置の製造方法の場合、ビアホールの中間層に位置するスリットを有する接続部のうち、より上層にある接続部の掘り込み量がより大きくなる。その際、肩やられが発生すると動作マージンの低下につながる。
【0069】
1点目の問題については、ワード線WL5を他のワード線WL、ビット線BLよりも薄くすることで解決できる。この場合、ワード線WL5のシート抵抗が大きくなるため、他のワード線WL、ビット線BLのガウジングによって生じるシート抵抗の低下を補償し、それぞれの配線の抵抗値をほぼ一定とすることができる。
【0070】
2点目の問題については、ワード線WL5、ビット線BL2を他のワード線WL、ビット線BLよりも厚くすることで解決できる。この場合、より掘り込み量が大きい接続部C5a等のエッチングに対する加工マージンを十分に確保することができる。
【0071】
しかし、上記1点目の問題の解決手段と2点目の問題の解決手段とは相反している。つまり、上記のように、ワード線WL、ビット線BLの厚さの調整のみによって、1点目の問題及び2点目の問題を同時に解決することはできない。
【0072】
その点、本実施形態では、ワード線WL5、ビット線BL2を、その他のワード線WL、ビット線BLと対し、より厚くするばかりでなく、材料のグレインサイズを小さくしている。これにより、他のワード線WL、ビット線BLとのシート抵抗のばらつきを低減できるばかりでなく、肩落ちに対して十分に厚さの接続部を形成することができる。つまり、本実施形態によれば、加工マージン及び動作マージンを確保した半導体記憶装置及びその製造方法を提供することができる。
【0073】
[その他]
以上、発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、追加等が可能である。
【0074】
上記実施形態では、メモリセルにReRAMを用いているが、クロスポイント型のメモリセルであれば適用することができる。
【0075】
また、上記実施形態では、メモリセルの形成の際、メモリセル材料を2層ずつ加工する製造方法について説明したが、ビアを複数層に亘り一括して形成する製造方法であれば、メモリセル材料は1層ずつ加工する製造方法であっても良い。また、最上層の配線の膜厚みを厚くするだけでなく、上層から下層にいくに従い配線の膜厚を徐々に薄くしていくことも可能である。この際には、各層の配線の抵抗を調整するために、最上層から下層にいくに従い、配線の抵抗率を低くすることも可能である。その結果、加工マージン及び動作マージンをさらに向上できる。
【符号の説明】
【0076】
1・・・メモリセルアレイ、2・・・カラム制御回路、3・・・ロウ制御回路、4・・・データ入出力バッファ、5・・・アドレスレジスタ、6・・・コマンド・インタフェース、7・・・コントローラ、9・・・パルスジェネレータ、10、11・・・電極層、12・・・記録層、13・・・メタル層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のメモリセル及び前記複数のメモリセルを選択する複数の選択配線を有するセルアレイを複数積層してなるセルアレイブロックと、
第1高さから第2高さまで積層方向に延び、前記セルアレイブロックの選択配線のうちの所定の第1配線が側面に接続された柱状の第1ビアと、
前記第1高さから第2高さまで積層方向に延び、前記セルアレイブロックの選択配線のうち前記第1配線よりも上層の所定の第2配線が側面に接続された柱状の第2ビアと
を備え、
前記第2配線は、前記第1配線よりも積層方向に厚く、且つ、前記第1配線よりも抵抗率が高い
ことを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第1配線の上面に前記複数のメモリセルが所定の間隔で形成され、
前記複数のメモリセル間において、前記第1配線の厚さが薄くなっている
ことを特徴とする請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第2ビアに接続する前記第2配線の接続部の第2配線表面からの掘り込み量は、前記第1ビアに接続する前記第1配線の接続部の第1配線表面からの掘り込み量よりも大きい
ことを特徴とする請求項1又は2記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
半導体基板を形成する工程と、
前記半導体基板上に第1配線を形成する工程と、
前記第1配線上にメモリセルを形成する工程と、
前記メモリセル上に前記第1配線よりも積層方向に厚く、且つ、抵抗率が高い材料で第2配線を形成する工程と、
前記第2配線より上の第2高さから前記第1配線よりも下の第1高さに向けて積層方向に延びる、前記第1配線に側面が接続する柱状の第1ビア及び前記第2配線に側面が接続する柱状の第2配線を同時に形成する工程と
を備えることを特徴とする半導体記憶装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1配線を形成する工程は、タングステンシード層を積層する工程と、このタングステンシード層をBで還元する工程とを有し、
前記第2配線を形成する工程は、タングステンシード層を積層する工程と、このタングステンシード層をSiH又はBで還元する工程とを有する
ことを特徴とする請求項4記載の半導体記憶装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−33828(P2012−33828A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−173933(P2010−173933)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】