説明

単結晶ブロックの洗浄装置及び洗浄方法

【課題】大口径高重量シリコン単結晶ブロックを自動で洗浄する装置及び方法を提供することを目的とする。
【解決手段】単結晶インゴットをブロック状に切断した単結晶ブロックの表面を洗浄する洗浄装置であって、少なくとも、
前記単結晶ブロックを洗浄するための洗浄槽部と、
前記単結晶ブロックを洗浄前工程部から洗浄工程部、更には洗浄後工程部へと搬送する搬送手段と、
前記単結晶ブロックの端面を把持して、前記搬送手段から前記洗浄槽部内へロードし、前記洗浄槽部内の洗浄槽に浸漬して前記単結晶ブロックを洗浄し、洗浄工程終了後に前記洗浄槽部から前記搬送手段へアンロードする把持ロボットと、
洗浄後の前記単結晶ブロックの表面を乾燥させる乾燥手段と
を具備するものであることを特徴とする単結晶ブロックの洗浄装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単結晶インゴットから切断された単結晶ブロック、特にはシリコン単結晶ブロックを洗浄するための洗浄装置及びこれを用いた洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコン単結晶インゴットを長さ約400mm程度のブロックに分割切断する際、切削水を使用するが、この切削水により、シリコン単結晶ブロックの表面には汚れが付着する。
例えば特許文献1には、単結晶ブロックをワイヤソーで切断した後の洗浄方法が開示されている。
しかし、単結晶ブロックのまま保管する際には、図5に示すように、従来、外観検査等の前に、作業者が布巾等を使って手作業で汚れを拭っていた。
【0003】
ところが昨今、シリコン単結晶が大口径化するにつれ、切断されたブロックも最大80kg近くになることもあり、作業者による手拭き作業は危険性が増し、出来なくなってきた。
しかしながら、例えば後工程となるブロックの自動外観検査装置では、汚れは誤判定やエラーの原因となるため、ブロックの洗浄は避けられない作業である。
そこで、作業者が直接介在せず、安全にブロックを洗浄できる装置、方法が必要となった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−075874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、大口径高重量シリコン単結晶ブロックを自動で洗浄する装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明では、単結晶インゴットをブロック状に切断した単結晶ブロックの表面を洗浄する洗浄装置であって、少なくとも、
前記単結晶ブロックを洗浄するための洗浄槽部と、
前記単結晶ブロックを洗浄前工程部から洗浄工程部、更には洗浄後工程部へと搬送する搬送手段と、
前記単結晶ブロックの端面を把持して、前記搬送手段から前記洗浄槽部内へロードし、前記洗浄槽部内の洗浄槽に浸漬して前記単結晶ブロックを洗浄し、洗浄工程終了後に前記洗浄槽部から前記搬送手段へアンロードする把持ロボットと、
洗浄後の前記単結晶ブロックの表面を乾燥させる乾燥手段と
を具備するものであることを特徴とする単結晶ブロックの洗浄装置を提供する。
【0007】
このような洗浄装置であれば、洗浄前工程から洗浄工程への単結晶ブロックの搬入から、更には洗浄後に洗浄後工程へ単結晶ブロックを搬出するまでの一連の工程を全て自動で行えるため、人手を介する必要がなく、大口径の単結晶ブロックであっても、安全に洗浄することができる。
【0008】
ここで、前記搬送手段は、洗浄前後の工程部間を接続するコンベアにより、前記単結晶ブロックをトレーに載せて搬送するものであることが好ましい。
このように、単結晶ブロックを搬送する搬送手段として、洗浄前後の工程部間をローラーコンベア等のコンベアで連結し、それによりトレーに載せた単結晶ブロックを搬送することによって、簡単に単結晶ブロックを搬出入できるため、どの工程間でも単結晶ブロックの洗浄工程を取り入れることができる。
【0009】
また、前記把持ロボットは、洗浄工程中に前記単結晶ブロックを把持したまま軸回りに回転させる回転機構を具備するものであるとすることが好ましい。
このように、回転機構を具備していれば、洗浄の際には単結晶ブロックに付着した汚れを容易に落とすことができ、また、乾燥の際にも乾燥時間を短縮させることができる。
【0010】
そして、前記洗浄前工程部と前記洗浄工程部との間の搬送手段中に、前記単結晶ブロックの側面を把持して前記単結晶ブロックを反転させる反転機構を具備するものであることが好ましい。
【0011】
この場合、更に、前記反転機構は、搬送されてきた前記単結晶ブロックの高さを検知し、単結晶ブロックが横置きか縦置きかを判断する機能を具備するものであることが好ましい。
【0012】
このように、反転機構を具備するものであり、更に該反転機構が搬送されてきた単結晶ブロックの高さを検知し、単結晶ブロックが横置きか縦置きかを判断する機能を具備するものであれば、長さ140mm以下の短い単結晶ブロックであっても、洗浄直前に横置きに反転させることができるため、あらゆる長さのブロックの端面を把持して洗浄をすることができる。
【0013】
また、前記把持ロボットは、弾性材からなる、複数の貫通孔が設けられたチャッキングパッドを介して前記単結晶ブロックの両端面を把持するものであることが好ましい。
【0014】
このようなチャッキングパッドを用いれば、単結晶ブロックの端面を傷付けることなく、搬送手段にアンロードする際にも、単結晶ブロックとチャッキングパッドを容易に剥離することができる。
【0015】
ここで、前記洗浄槽は、超音波印加機構を具備するものであることが好ましい。
このように、洗浄槽が超音波印加機構を具備するものであれば、単結晶ブロックに付着した汚れがより一層落ちやすくなる。
【0016】
また、前記乾燥手段は、エアーブローで前記単結晶ブロックの表面の水分を吹き飛ばすことにより乾燥させるものであることが好ましい。
このように、エアーブローを用いて単結晶ブロックを乾燥させることによって、短時間で単結晶ブロックを清浄に乾燥させることができる。
【0017】
そして、前記いずれかの単結晶ブロックの洗浄装置を用いて単結晶ブロックの洗浄を行うことが好ましい。
このように、本発明の単結晶ブロックの洗浄装置を用いて単結晶ブロックを洗浄することによって、作業者が直接介在することなく、安全に単結晶ブロックの洗浄を行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、大口径の単結晶ブロックを自動で洗浄できるため、安全にかつ迅速に単結晶ブロックを高清浄度で洗浄を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の単結晶ブロックの洗浄装置の一例を示した平面概略図である。
【図2a】図1の洗浄装置をA方向から見た側面図である。
【図2b】図2aをB方向から見た側面図である。
【図2c】本発明の単結晶ブロックの洗浄装置のチャッキングパッドの好ましい一例を示す図である。
【図3】本発明の単結晶ブロックの洗浄装置で使用することができる反転機構の一例を示す概略図である。
【図4】本発明の実施例での作業工程を示すフロー図である。
【図5】従来の作業工程を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明についてより具体的に説明する。
前述のように、従来、直径200mm以下のシリコン単結晶をブロック(長さ約400mm程度)に切断した際、スラリーやクーラント等で汚れたブロックは作業者が布巾等で拭いて汚れを拭っていた。ところが、結晶が大口径になると、ブロック重量も最大80kg近くになり、作業者が介在する作業は出来なくなってきた。ブロックの外観検査工程等も自動化されたが、たびたびブロックの汚れにより自動検査装置で誤判定されたり、装置エラーで停止することがあった。そのため、大口径高重量ブロックを自動で洗浄する装置が必要となった。
【0021】
そこで、本発明者らは、このような問題を解決すべく鋭意検討を重ねた。
その結果、従来、各々単独で行われていた単結晶ブロックの洗浄前後の工程を、例えばコンベア等で接続し、更に、単結晶ブロックを把持してコンベア上のトレーから洗浄槽部内へとロード、又は洗浄槽部からトレーへとアンロードする把持ロボット、及び洗浄後の単結晶ブロックの表面を乾燥させる乾燥手段を具備する洗浄装置であれば、人手を介することなく自動で単結晶ブロックの洗浄を行うことができることを知見し、本発明を完成させた。
【0022】
以下、本発明について図面を参照して更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1は、本発明の単結晶ブロックの洗浄装置の一例を示した平面概略図である。
また、図2aは、図1の洗浄装置をA方向から見た側面図、更に図2bは、図2aをB方向から見た側面図である。
図1〜図2bに示すように、本発明の単結晶ブロックの洗浄装置1には、単結晶ブロック2を洗浄するための洗浄槽部3、搬送手段としてローラーコンベア13とトレー14、搬送手段により運ばれてきた単結晶ブロック2をチャッキングして持ち上げ、横移動し、洗浄槽部内の洗浄槽4に浸漬させる把持ロボット5、乾燥手段として単結晶ブロック洗浄後水分を吹き飛ばすエアーブローノズル10を具備している。
このような、本発明の洗浄装置の洗浄槽部や搬送手段等は、フレーム15により一体化されている。
【0023】
洗浄槽部3は、単結晶ブロックを浸漬させる洗浄槽4の他に、洗浄中に洗浄液に超音波を印加する超音波振動子8、洗浄液の液温を所定温度にするヒーター(図示せず)等から構成される。
【0024】
搬送手段である、洗浄前工程部と洗浄後工程部をつなぐローラーコンベア13は、トレー14に載せた単結晶ブロック2を、洗浄前工程部から洗浄工程部へ、洗浄後更には、洗浄工程部から洗浄後工程部へと搬送するものである。
【0025】
把持ロボット5は、単結晶ブロック2を持ち上げて移動させるためのチャッキングアーム6、単結晶ブロックの両端を把持するチャッキングパッド7、単結晶ブロックを持ち上げた状態で回転させるモータ18(把持ロボットに内蔵)から構成される。
チャッキングアーム6は、単結晶ブロック2をしっかりと把持できるよう、エアシリンダー(図示せず)で開閉動させることが好ましい。
【0026】
乾燥手段は、図2bに示すように洗浄槽部3上に具備されていてもよく、また、例えば単結晶ブロックをトレーに戻した後に端面も乾燥させるため、ローラーコンベア上部等に具備されていてもよい。
この乾燥手段は、洗浄後把持ロボット5により持ち上げられた単結晶ブロック2にシャワーノズル9から純水等をシャワーした後、エアーブローノズル10からエアーを吹き付けて乾燥するものである。この時、単結晶ブロック2は、モータ18により回転させておくことが好ましい。
【0027】
また、本発明の洗浄装置1は、例えば図1に示すように、洗浄前工程部と洗浄工程部との間の搬送手段中に、単結晶ブロックを反転させる反転機構16を具備していることが好ましい。これは、単結晶ブロック2の長さが短い場合、転倒防止のため、図1に示すようにブロックが前工程で縦置きにされていることがあるからである。
この反転機構16は、図3に示すように、レーザーセンサー17により、単結晶ブロックの高さを測定し、単結晶ブロックが横置きであるか縦置きであるかを判定する。単結晶ブロックが縦置きであれば、反転機構により、一旦トレー上で横置きにする。このように反転させることで、短い単結晶ブロックも把持ロボットで簡単に把持して、洗浄することができる。
【0028】
また、図2bに示すように、洗浄槽の給排水を行う給排水部を設けてもよく、このような給排水部は、単結晶ブロックを浸漬した際、溢れる洗浄液をオーバーフロー排水させる排水経路(オーバーフロー配管12)、オーバーフローし減った分の洗浄液を補給する給水経路(給水配管11)からなる。
【0029】
次に、本発明の単結晶ブロックの洗浄方法について、図4を参照して以下に説明するがこれに限定されるものではない。
本発明の単結晶ブロックの洗浄方法では、図1〜図2bに示すような単結晶ブロックの洗浄装置を用いて洗浄を行う。
具体的な作業手順としては、例えば以下に示す通りである。
【0030】
シリコン単結晶インゴットの切断等の前工程を経て、単結晶ブロック状に切断されたシリコン単結晶ブロック2は(図4(A)、(B))、ブロック運搬用トレー(トレー)14に積載されて、コンベア13上を洗浄前工程部から洗浄工程部へと運ばれてくる(図4(C))。
このとき、長さが140mmより長い単結晶ブロックははじめから横置きに、長さが140mm以下の単結晶ブロックは、保管や運搬中に転倒する恐れがあるため、縦置きに載せられている。
【0031】
このようなトレー14上の単結晶ブロックは、反転機構16に具備されたレーザーセンサー17等のブロック高さ検出機構により高さが測定され、単結晶ブロックが横置きであるか縦置きであるかが判定される。トレー上の単結晶ブロック2が横置きである場合は、そのまま搬送されていくが、トレー上の単結晶ブロックが縦置きである場合は、単結晶ブロック反転機構16により一旦トレー上で横置きにされた後、洗浄工程部まで搬送されていく(図4(D))。
尚、反転機構から洗浄工程部までは僅かな距離であるため、長さ140mm以下の単結晶ブロックを横置きに反転させても、この間に単結晶ブロックが転倒することはない。
【0032】
洗浄装置はフレーム15によりコンベア13をまたぐように設置されており、所定の位置でトレー14は停止する。
チャッキングアーム6が、停止したトレー14上の単結晶ブロック2を取りに、洗浄槽4上から横移動する。
このとき、アーム6に取り付けられたセンサーにより単結晶ブロックの長さを測るとともに、単結晶ブロックの端面(切断面)の位置を検知する。これにより、単結晶ブロックを持ち上げる際のチャッキングアームの開閉可動を極力短くでき、また、洗浄後トレーに返す際、常にトレーセンターに単結晶ブロック2を置くことが可能になる。
【0033】
チャッキングアーム6がエアシリンダーにより単結晶ブロック2を把持して持ち上げる。
この単結晶ブロック両端に接するアームに取り付けられたチャッキングパッド7はウレタンゴム製であることが好ましい。材質としてはウレタンゴムのほか、樹脂等が考えられるが、スベリ等を考慮し、ウレタンゴムが最適である。これにより、把持するに際し、単結晶ブロックの端面に傷を付けることを防止できる。
また逆に、トレーに戻す際、パッドが濡れ面から剥離し辛くなることもある。この対策として、図2cに示すように、パッドの背面に直交する通気溝71を穿ち、この溝から単結晶ブロックとの接触面側に抜ける直径3mmの貫通孔72を5箇所設けた。
これにより空気の通り道が出来、単結晶ブロックとパッドの剥離が容易になった。
【0034】
トレー上の単結晶ブロック2を把持して持ち上げた後チャッキングアーム6が横移動し、洗浄槽4上で下降し、単結晶ブロック2を洗浄液中に浸漬する。このとき、付着した汚れが落ちやすいように、単結晶ブロックは単結晶ブロック回転用のモータ18で単結晶ブロック軸を中心として回転させる。また、洗浄液に振動子8から超音波を印加することで、更に汚れが落ちやすくなる(図4(E))。
洗浄液としては、上水や純水を使用しているが、界面活性剤等を添加した薬液を使用することも可能である。
【0035】
洗浄終了後、チャッキングアーム6が上昇し、単結晶ブロック2を液中から引上げる。このとき、単結晶ブロック2は回転させたままの状態で、洗浄槽4の上部に取り付けてあるシャワーノズル9より水をかけリンスを行う。さらに、エアーブローノズル10からエアーブローし、水分を吹き飛ばす(図4(F))。
【0036】
エアーブロー終了後、単結晶ブロックの回転を止め、チャッキングアーム6がトレー14方向に移動し、下降、トレー14上に単結晶ブロック2を戻す。チャッキングパッドを外したあと、端面に残る水分をエアーブローで吹き飛ばす。
【0037】
トレー14に載せられた単結晶ブロック2は洗浄後工程部(外観検査)へ搬送される(図4(G))。
尚、この場合、洗浄後工程部までの距離が短ければ、長さ140mm以下の単結晶ブロックであっても横置きのまま搬送され、洗浄後工程終了後(図4(H))コンベアを逆方向に動かすことにより単結晶ブロックを再び倉庫に戻す際に、反転機構により長さ140mm以下の単結晶ブロックは縦置きに反転され(図4(I))、倉庫に運ばれて保管される(図4(J))。
【0038】
また、洗浄後工程部までの距離が比較的長い場合や、洗浄後工程終了後、更に次の工程に進む場合には、適宜反転機構を設けることにより、コンベアによる流れ作業をスムーズにすることができる。
【0039】
洗浄の後、洗浄槽中の水位はブロックを浸漬してオーバーフローされたことにより減っているため、減った分の洗浄液は自動補給され、単結晶ブロック2をエアーブロー、アンロードしている時間に、ヒーターで設定温度に自動で引上げられる。
【実施例】
【0040】
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例及び比較例]
実施例として、図1、図2に示すような本発明の洗浄装置を用いて、図4に示す工程を行った。
シリコン単結晶ブロックの洗浄は、下記の条件で行った。
(洗浄条件)
1.洗浄時間(浸漬時間) :60秒
2.水温(槽の温度) :40℃
3.リンス時間(シャワー時間) :10秒
4.ブロック回転速度 :6rpm
5.超音波印加 :17kHz、60秒
6.エアーブロー:ブロック側面 :25mm/秒でブロック長さ方向を2往復
ブロック端面 :3秒×3回
7.エアーブロー圧力 :0.65MPa
(これらは一例であって、プログラム設定により任意に変更できる。)
また、後工程であるブロック自動外観検査での検査項目は、ブロックの重量、長さ、直径、結晶方位、ノッチ形状(深さ、角度、先端R、面内凹凸等)、ブロック外観(エッジ部のカケ、外周部のキズ等)等である。
尚、上記洗浄工程を行わず外観検査のみを行ったものを比較例とした。
【0041】
ブロック洗浄を行わないで外観検査を行った場合(比較例)、インゴット切断時にブロック表面に付着したクーラント汚れにより、自動外観検査装置内のブロック回転ローラーでブロックが滑り、装置エラー停止が約50%の確率で発生した。従って、インゴット切断後のブロックを人手で拭き作業を行わないと、実質上自動外観検査はできないことがわかる。
また、ノッチ内に残留した異物によるノッチ形状の誤判定が約5%の確率で発生した。
一方、洗浄を行ってから自動外観検査を行った場合(実施例)、これらのエラー、誤判定が発生率0%となった。
【0042】
以上の結果から、本発明の洗浄装置を用いれば、大口径の単結晶ブロックの洗浄の際にも、誤判定やエラーの原因となるような汚れを安全に取り除くことができ、また、人手を介さず全自動で行うことができるため、大口径の単結晶ブロックであっても安全に洗浄することができることが実証されたといえる。
【0043】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【0044】
例えば、今回の実施例では、自動外観検査工程前に導入する例について述べたが、前後工程部をローラーコンベアで連結すれば、洗浄を必要とするどの工程間でも、人手を介しない自動洗浄工程を組み込むことができる。
【符号の説明】
【0045】
1…洗浄装置、 2…単結晶ブロック、 3…洗浄槽部、 4…洗浄槽、
5…把持ロボット、 6…チャッキングアーム、 7…チャッキングパッド、
71…通気溝、 72…貫通孔、 8…超音波振動子、 9…シャワーノズル、
10…エアーブローノズル、 11…給水配管、 12…オーバーフロー配管、
13…ローラーコンベア、 14…ブロック運搬用トレー(トレー)、
15…フレーム、 16…反転機構、 17…レーザーセンサー、 18…モータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単結晶インゴットをブロック状に切断した単結晶ブロックの表面を洗浄する洗浄装置であって、少なくとも、
前記単結晶ブロックを洗浄するための洗浄槽部と、
前記単結晶ブロックを洗浄前工程部から洗浄工程部、更には洗浄後工程部へと搬送する搬送手段と、
前記単結晶ブロックの端面を把持して、前記搬送手段から前記洗浄槽部内へロードし、前記洗浄槽部内の洗浄槽に浸漬して前記単結晶ブロックを洗浄し、洗浄工程終了後に前記洗浄槽部から前記搬送手段へアンロードする把持ロボットと、
洗浄後の前記単結晶ブロックの表面を乾燥させる乾燥手段と
を具備するものであることを特徴とする単結晶ブロックの洗浄装置。
【請求項2】
前記搬送手段は、洗浄前後の工程部間を接続するコンベアにより、前記単結晶ブロックをトレーに載せて搬送するものであることを特徴とする請求項1に記載の単結晶ブロックの洗浄装置。
【請求項3】
前記把持ロボットは、洗浄工程中に前記単結晶ブロックを把持したまま軸回りに回転させる回転機構を具備するものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の単結晶ブロックの洗浄装置。
【請求項4】
前記洗浄前工程部と前記洗浄工程部との間の搬送手段中に、前記単結晶ブロックの側面を把持して前記単結晶ブロックを反転させる反転機構を具備するものであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の単結晶ブロックの洗浄装置。
【請求項5】
前記反転機構は、搬送されてきた前記単結晶ブロックの高さを検知し、単結晶ブロックが横置きか縦置きかを判断する機能を具備するものであることを特徴とする請求項4に記載の単結晶ブロックの洗浄装置。
【請求項6】
前記把持ロボットは、弾性材からなる、複数の貫通孔が設けられたチャッキングパッドを介して前記単結晶ブロックの両端面を把持するものであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の単結晶ブロックの洗浄装置。
【請求項7】
前記洗浄槽は、超音波印加機構を具備するものであることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の単結晶ブロックの洗浄装置。
【請求項8】
前記乾燥手段は、エアーブローで前記単結晶ブロックの表面の水分を吹き飛ばすことにより乾燥させるものであることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の単結晶ブロックの洗浄装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の単結晶ブロックの洗浄装置を用いて単結晶ブロックの洗浄を行うことを特徴とする単結晶ブロックの洗浄方法。

【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−143321(P2011−143321A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3581(P2010−3581)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(000190149)信越半導体株式会社 (867)
【Fターム(参考)】