説明

単色中性ビームで活性化される化学プロセスシステム及び当該システムの使用方法

単色空間電荷で中性化された中性ビームで活性化される化学プロセスによって基板を処理する化学プロセスシステム及び当該化学プロセスシステムの使用方法が記載されている。当該化学プロセスシステムは、第1プラズマポテンシャルで第1プラズマを生成する第1プラズマチャンバ、及び、前記第1プラズマポテンシャルよりも大きい第2プラズマポテンシャルで第2プラズマを生成する第2プラズマチャンバを有する。前記第2プラズマは前記第1プラズマからの電子束を用いて生成される。さらに当該化学プロセスシステムは、前記第2プラズマチャンバ内に基板を設置するように備えられた基板ホルダを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の処理方法及びシステムに関し、より詳細には中性ビームで活性化される基板の化学プロセス方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体プロセス中、プラズマは、半導体基板上にパターニングされた微細線に沿った材料の異方性除去、又はビア(又はコンタクト)内部の材料の異方性除去を促進することによって、エッチングプロセスを支援するのによく利用される。そのようなプラズマ支援エッチングの例には、イオンによって活性化される化学エッチングプロセスである反応性イオンエッチング(RIE)が含まれる。
【0003】
しかし、RIEが数十年にわたって用いられてきたとはいえ、RIEが成熟するには複数の課題が存在する。その課題には、(a)広いイオンエネルギー分布(IED)、(b)様々な帯電が誘起する副作用、及び(c)部位の形状によるローディング効果(つまりマイクロローディング)が含まれる。これらの問題を緩和する一の方法は中性ビームプロセスの利用である。
【0004】
真の中性ビームプロセスは、基本的には、化学反応剤、添加剤、及び/又はエッチャントとして関与する中性熱化学種が存在しない状態で行われる。基板での化学プロセス−たとえばエッチングプロセス−は、入射する(有向性かつ高エネルギーの)中性化学種の運動エネルギーによって活性化される。入射する(有向性かつ高エネルギーの)中性化学種はまた反応剤又はエッチャントとしての役割も果たす。
【0005】
中性ビームプロセスを実行することで当然生じる一の帰結はマイクロローディングが生じないことである。なぜならそのプロセスは、熱化学種に関連するフラックス角がばらつく効果を有していないからである。しかしマイクロローディングが生じないことによる望ましくない帰結はエッチング効率が一種類になってしまうことである。これはつまり、最大のエッチング歩留まりが一種類となる、すなわち、一の入射中性化学種は名目上一種類のエッチング反応しか起こさないということである。逆に、RIEにおける豊富な熱中性化学種(エッチャント)はすべて、一の高エネルギー入射イオンによって活性化された状態で、膜のエッチングに関与することができる。従って運動エネルギーによって活性化される(熱中性化学種の)化学エッチングは、マイクロローディングを生じさせることなく、エッチング効率を10倍、100倍、又は1000倍にすることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらの短所−つまりエッチング効率、マイクロローディング、帯電損傷等−を解決するための試みが数多くなされてきたものの、これらは依然として存在し、かつエッチングの当業者は、この問題を解決するための新規で実用的な解決法を模索し続けている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、基板の処理方法及びシステムに関し、より詳細には中性ビームで活性化される基板の化学プロセス方法及びシステムに関する。
【0008】
さらに本発明は、空間電荷が中性化された中性ビームによって活性化される化学プロセスによる基板処理システム及び方法に関する。当該処理システムは、第1プラズマポテンシャルで第1プラズマを生成する第1プラズマチャンバ、及び、前記第1プラズマポテンシャルよりも大きい第2プラズマポテンシャルで第2プラズマを生成する第2プラズマチャンバを有する。前記第2プラズマは前記第1プラズマからの電子束を用いて生成される。さらに当該化学プロセスシステムは、前記第2プラズマチャンバ内に基板を設置するように備えられた基板ホルダを有する。
【0009】
本発明の一の実施例によると、基板を処理するように備えられた化学プロセスシステムが記載されている。当該化学プロセスシステムは:第1圧力で第1プロセスガスを受け入れるように備えられた第1プラズマ領域を有するプラズマ生成チャンバ;前記第1プラズマ領域からガスが流れる先に設けられ、かつ第2圧力で前記第1プラズマ領域から前記第1プロセスガスを受け入れるように備えられた第2プラズマ領域を有するプロセスチャンバ;前記プラズマ生成チャンバと結合し、かつ前記第1プロセスガスを前記第1プラズマ領域に導入するように備えられた第1ガス注入システム;前記プラズマ生成チャンバと結合し、かつ前記第1プロセスガスから前記第1プラズマ領域内で第1プラズマポテンシャルの第1プラズマを生成するように備えられたプラズマ生成システム;前記第1プラズマ領域と前記第2プラズマ領域との間に設けられた分離部材であって、前記第1プラズマ領域から前記第2プラズマ領域への電子束が、第2プラズマポテンシャルの第2プラズマを生成することを可能にするように備えられた1つ以上の開口部を有する分離部材;前記プロセスチャンバと結合し、かつ、前記電子束を制御するため、前記第2プラズマポテンシャルを前記第1プラズマポテンシャルよりも高くするように備えられたバイアス電極システム;前記プロセスチャンバと結合し、かつ、前記第2プラズマ領域付近で前記基板を支持するように備えられた基板ホルダ;並びに、前記プロセスチャンバと結合し、かつ、前記のプロセスチャンバ内の第2プラズマ領域を排気するように備えられた真空排気システム;を有する。
【0010】
本発明の他の実施例によると、基板の処理方法が記載されている。当該方法は:前記基板を処理するように備えられたプロセスチャンバ内に基板を設ける工程;第1プラズマ領域内で第1プラズマポテンシャルの第1プラズマを生成する工程;前記第1プラズマ領域からの電子束を用いることによって、第2プラズマ領域内で第2プラズマポテンシャルの第2プラズマを生成する工程;前記電子束を制御するため、前記第2プラズマポテンシャルを前記第1プラズマポテンシャルよりも高くする工程、前記プロセスチャンバ内の圧力を制御する工程;並びに、前記基板を前記第2プラズマに暴露する工程;を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1A】本発明の一の実施例による化学プロセスシステムを図示している。
【図1B】図1Aに図示された化学プロセスシステム内で実行される化学プロセスの条件を表している。
【図2】本発明の一の実施例による化学処理システムを図示している。
【図3】本発明の他の実施例による化学処理システムを図示している。
【図4】本発明の他の実施例による化学処理システムを図示している。
【図5】本発明の他の実施例による、基板を処理するように備えられたプラズマプロセスシステムの動作方法を表している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以降の記載では、限定ではない説明目的で、たとえば処理システムの具体的な幾何学的形状、並びに様々な部品及び処理の記載といった具体的詳細について説明される。しかし本発明は、これらの具体的詳細から逸脱する他の実施例でも実施可能であることに留意して欲しい。
【0013】
本発明の一の実施例によると、中性ビームで活性化される基板の化学プロセスを実行することで、とりわけ上述の問題の一部又は全部を緩和する方法及びシステムが供される。中性ビームで活性化される化学プロセスは運動エネルギーによる活性化(つまり熱中性化学種)を含むので、高い反応性又はエッチング効率を実現する。しかし中性ビームによって活性化される化学プロセスはまた、単色の活性化、空間電荷の中性化、及びハードウエアの実用化を実現する。
【0014】
ここで図(なお全図中、同一の参照番号は同一又は対応する素子を表す)を参照すると、図1A及び図1Bは本発明の実施例による化学プロセスシステムの概略図を示している。図1Aに図示されているように、空間電荷が中性化された中性ビームによって活性化される基板の化学プロセスを実行するように備えられた化学プロセスシステム1が記載されている。
【0015】
図1A及び図1Bに図示されているように、化学プロセスシステム1は、第1プラズマポテンシャル(Vp,1)で第1プラズマ12を生成する第1プラズマチャンバ10、及び、前記第1プラズマポテンシャル12よりも大きい第2プラズマポテンシャル(Vp,2)で第2プラズマ22を生成する第2プラズマチャンバ20を有する。前記第1プラズマ12は、前記第1プラズマチャンバ10内の電離可能ガスに出力−たとえば高周波(RF)出力−を結合させることによって生成される一方で、前記第2プラズマ22は、前記第1プラズマ12からの電子束(たとえば高エネルギー電子(ee)の高電流、jee)を用いて生成される。さらに化学プロセスシステム1は、前記第2プラズマチャンバ20内において直流(DC)状態又は浮遊接地電位となるように基板25を設けて、前記基板25を前記の第2プラズマポテンシャルの第2プラズマ22に暴露させる。
【0016】
前記第1プラズマチャンバ10は、前記第1プラズマ12の点火及び加熱を行うように備えられたプラズマ生成システム16を有する。前記第1プラズマは任意の従来のプラズマ生成システムによって加熱されても良い。従来のプラズマ生成システムには、誘導結合プラズマ(ICP)源、変成器結合プラズマ(TCP)源、容量結合プラズマ(CCP)源、電子サイクロトロン共鳴(ECR)源、ヘリコン波源、表面波プラズマ源、スロット面アンテナを有する表面波プラズマ源等が含まれるが、これらに限定されるわけではない。前記第1プラズマ12が任意のプラズマ源によって加熱されて良いとしても、前記第1プラズマ12は、そのプラズマポテンシャルVp,1の揺らぎを小さくする、すなわち抑制する方法で加熱されることが望ましい。たとえばICP源は、プラズマポテンシャルVp,1の揺らぎを小さくする、すなわち抑制する実用的な方法である。
【0017】
それに加えて前記第1プラズマチャンバ10は、前記第1プラズマ12と接する境界として機能する電導性表面を有する直流(DC)伝導性電極14を有する。DC伝導性接地電極14はDC接地と結合する。前記DC伝導性接地電極14は、前記の第1プラズマポテンシャル(Vp,1)の第1プラズマ12によって駆動するイオンシンクとして機能する。図1Aには一のDC伝導性接地電極14が図示されているが、当該化学プロセスシステム1は1つ以上のDC伝導性接地電極を有して良い。
【0018】
必要ないとはいえ、前記DC伝導性接地電極14は、前記第1プラズマ12と接する比較的大きな領域を有することが望ましい。DC状態での接地面積が大きくなればなるほど、前記第1プラズマポテンシャルは小さくなる。たとえば前記の第1プラズマ12と接するDC伝導性接地電極14の伝導性表面の面積は、前記第1プラズマ12と接する他の表面積よりも大きくて良い。それに加えてたとえば、前記の第1プラズマ12と接するDC伝導性接地電極14の伝導性表面の面積は、前記第1プラズマ12と接する他の表面積の総和よりも大きくて良い。あるいはその代わりに、例として、前記の第1プラズマ12と接するDC伝導性接地電極14の伝導性表面の面積は、前記第1プラズマ12に接する唯一の伝導性表面であっても良い。前記DC伝導性接地電極12は接地電位への最低インピーダンス経路を供して良い。
【0019】
上述したように、前記第1プラズマ12からの(高エネルギー)電子束(すなわち電流jee)が、前記第2プラズマチャンバ20内において前記第2プラズマ22を発生させ、かつ維持する。前記電子束を制御し、かつ単色の空間電荷が中性化した中性ビームを生成するため、上述の第1プラズマポテンシャル(Vp,1)及び第2プラズマポテンシャル(Vp,2)は、たとえ揺らぎがあるとしても、その揺らぎが最小限の状態で安定していなければならない。前記第2プラズマ22においてこの安定性を実現するためには、前記第2プラズマチャンバ20は、前記第2プラズマ22と接する伝導性表面を有するDC伝導性バイアス電極24を有する。前記DC伝導性バイアス電極24はDC電源26と結合する。前記DC電源26は、前記DC伝導性バイアス電極24に正のDC電圧(+VDC)をバイアス印加するように備えられている。その結果、前記第2プラズマポテンシャル(Vp,2)は電源(+VDC)によって駆動される境界で駆動するプラズマポテンシャルであるので、Vp,2は約+VDCにまで上昇し、かつ実質的に安定状態のままとなる。図1Aには1つの伝導性バイアス電極24しか図示されていないが、当該化学プロセスシステム1は1つ以上のDC伝導性バイアス電極を有しても良い。
【0020】
さらに前記プラズマプロセスシステムは、前記第1プラズマチャンバ10と前記第2プラズマチャンバ20との間に設けられた分離部材30を有する。前記分離部材30は電子ディフューザとして機能して良い。電子拡散は、ポテンシャル差ΔV=Vp,2-Vp,1によって生成される電子加速層を介した電場によって駆動される。前記分離部材30は絶縁体−たとえば石英又はアルミナ−を有して良い。あるいは前記分離部材30は、電気的に浮遊接地電位で、かつ接地電位に対する高いRFインピーダンスを有する誘電体によってコーティングされた伝導性材料を有しても良い。前記電子加速層全体にわたって大きな電場(∇z(Vp,2-Vp,1))が生じるため、前記電子束は、前記第2プラズマ22における電離を維持するのに十分なエネルギーを有する。しかし当該化学プロセスシステム1は任意で、前記第2プラズマ22をさらに加熱するように備えられたプラズマ加熱システムを有して良い。
【0021】
前記分離部材30は、前記の第1プラズマチャンバ10から第2プラズマチャンバ20への高エネルギー電子束の通過を可能にする1つ以上の開口部を有して良い。前記1つ以上の開口部の総面積は前記DC伝導性接地電極14の表面積に対して調節されて良い。それにより前記第2プラズマ22からの逆イオン電流を最小限に抑制しながら相対的に大きなポテンシャル差ΔV=Vp,2-Vp,1が保証されることで、前記基板25に衝突するイオンのエネルギーを十分な大きさにすることが保証される。
【0022】
図1Aに図示されているように、前記第1プラズマ12内の第1数のイオンが、前記第1プラズマ12から前記の分離部材30での電子加速層を介して前記第2プラズマ22へ流れる高エネルギー電子束(すなわち電流jee)とほぼ等しい量−つまり|jj1|〜|jee|−だけ、前記の第1プラズマチャンバ10内のDC伝導性接地電極14へ流れる。
【0023】
上述したように、前記高エネルギー電子束は、前記第2プラズマ22を生成するのに十分な高エネルギーを有する。そこで第1数の熱電子と第2数のイオンが生成される。前記熱電子のほとんどは、入り込む高エネルギー電子束(すなわち電流jee)によって前記第2プラズマ22が電離する結果飛び出す電子である。しかし前記高エネルギー電子束からの高エネルギー電子の一部は相当量のエネルギーを失うため、熱電子数の一部となると考えられる。
【0024】
デバイ遮蔽のため、前記第2プラズマ22のうちの、前記高エネルギー電子束にほぼ等しい量の熱電子だけが、前記DC伝導性バイアス電極24へ流れる(たとえば熱電子による電流jte)。熱電子による電流jteが前記DC伝導性バイアス電極24へ流れる一方で、前記第2数のイオンからの第2イオン束はVp,2で前記基板へ向かって流れる(イオン電流jj2、基板25への高エネルギー電流の総和にほぼ等しいjee、及び前記高エネルギー電子が生成する第2電流jese)。
【0025】
入り込む高エネルギー電子のエネルギーが十分高い場合、相当量の高エネルギー電子束(jee)が、前記第2プラズマ22を通り抜けることができて、ウエハ25に衝突する。しかし電子の起源(つまり高エネルギー電子束jeeからの高エネルギー電子、又は熱電子群からの高エネルギー電子)に関係なく、前記基板シースを通過(つまりポテンシャルの「丘」すなわちVfe-Vp,1を昇る。ここでVfeは高エネルギー電子の浮遊接地電位のポテンシャルである)できる高エネルギー電子だけが基板25に到達する。基板25は浮遊DC接地電位であるので、(Vp,2-Vfeであることを特徴とするイオンエネルギーを有する)前記の第2プラズマ22内の第2イオン群によって供されるイオン電流ji2は電流je2に等しくなる(つまり、正味の電流が生じない。すなわち|ji2|〜|je2|、あるいはji2+je2〜ji2+jee+jese〜0である)。あるいはその代わりに、基板25はほぼDC接地電位であっても良い。なぜなら浮遊接地電位での接地面のポテンシャルはDC状態での接地ポテンシャルよりもわずかに大きいことが予想されるからである。
【0026】
当該化学プロセスシステム1のそのような構成では、前記第2プラズマポテンシャルが前記第1プラズマポテンシャルよりも大きな値への上昇は、高エネルギー電子ビームが前記第2プラズマ22を生成する促進力となる。その一方で、当該化学プロセスシステム1全体での粒子のバランスは、基板25に衝突する電子数(たとえば電流je2)とイオン数(たとえばイオン電流ji2)とを等しくさせる(つまり|je2|〜|ji2|)。この電荷バランスは、基板25へ向かって基板25での化学プロセスを活性化させる空間電荷が中性化したビームとして現れる。
【0027】
ここで図2を参照すると、本発明の実施例による化学プロセスシステム101が供されている。当該化学プロセスシステム101は、第1プラズマポテンシャルの第1プラズマ143を生成するように備えられたプラズマ生成チャンバ105、及び基板125をプラズマ処理するための汚染物の存在しない真空環境を供するように備えられたプロセスチャンバ110を有する。前記プロセスチャンバ110は、基板125を支持するように備えられた基板ホルダ125、及び、前記プロセスチャンバ110と結合し、かつ該プロセスチャンバ110を排気して該プロセスチャンバ110の圧力を制御するように備えられた真空排気システム130を有する。
【0028】
前記プラズマ生成チャンバ105は、前記第1プラズマ143から第1圧力の第1プロセスガスを受け取るように備えられた第1プラズマ領域142を有する。さらに前記プロセスチャンバ110は、前記第1プラズマ領域142からガスが流れる先に設けられた第2プラズマ領域152を有する。前記第2プラズマ領域152は、前記第1プラズマ領域142からの電子束150及び第1プロセスガスを受け取り、かつ第2プラズマポテンシャルで第2圧力の第2プラズマを内部に生成するように備えられている。
【0029】
第1ガス注入システム144は、前記プラズマ生成チャンバ105と結合し、かつ前記第1プロセスガスを前記第1プラズマ領域142へ導入するように備えられている。前記第1プロセスガスは正の電荷を有するガス若しくは負の電荷を有するガス又はこれらの混合ガスを有して良い。たとえば前記第1プロセスガスはたとえばアルゴン(Ar)のような希ガスを有して良い。それに加えてたとえば、前記第1プロセスガスは基板125を処理するのに適した任意のガスを有して良い。さらにたとえば前記第1プロセスガスは、基板125を処理するのに適した化学成分、原子、又は分子を有する任意のガスを有して良い。これらの化学成分は、エッチャント、膜を生成するガス、希釈剤、洗浄ガス等を有して良い。第1ガス注入システム144は、1つ以上のガス供給体すなわちガス源、1つ以上の制御バルブ、1つ以上のフィルタ、1つ以上のマスフローコントローラ等を有して良い。
【0030】
任意の第2ガス注入システム154は、前記プロセスチャンバ110と結合し、かつ前記第2プラズマ領域152へ第2プロセスガスを導入するように備えられて良い。前記第2プロセスガスは基板125を処理するのに適した任意のガスを有して良い。それに加えてたとえば、前記第1プロセスガスは基板125を処理するのに適した任意のガスを有して良い。さらにたとえば前記第1プロセスガスは、基板125を処理するのに適した化学成分、原子、又は分子を有する任意のガスを有して良い。これらの化学成分は、エッチャント、膜を生成するガス、希釈剤、洗浄ガス等を有して良い。第1ガス注入システム144は、1つ以上のガス供給体すなわちガス源、1つ以上の制御バルブ、1つ以上のフィルタ、1つ以上のマスフローコントローラ等を有して良い。
【0031】
さらに図2を参照すると、当該化学プロセスシステム101は、前記プラズマ生成チャンバ105と結合し、かつ前記第1プラズマ領域142内に前記第1プラズマ143を生成するように備えられたプラズマ生成システム140を有する。前記プラズマ生成システム140は、容量結合プラズマ(CCP)、誘導結合プラズマ(ICP)、変成器結合プラズマ(TCP)、表面波プラズマ、ヘリコン波プラズマ、電子サイクロトロン共鳴(ECR)加熱プラズマ、又は当業者によって知られている他の種類のプラズマを生成するように備えられたシステムを有して良い。前記第1プラズマが任意のプラズマ源によって加熱されて良いが、前記第1プラズマは、プラズマポテンシャルVp,1における揺らぎが最小となるような方法によって加熱される。たとえばICP源はVp,1の揺らぎを抑制すなわち最小にする実際的な手法である。
【0032】
図2に図示されているように、前記プラズマ生成システム140は、電源146と結合した誘導コイル148を有して良い。前記電源146は、任意のインピーダンス整合ネットワークを介して誘導コイル148にRF出力を結合させる高周波(RF)発生装置を有して良い。RF出力は、誘導コイル148から誘電体窓108を介して、前記の第1プラズマ領域142内の第1プラズマ143と誘導結合する。前記誘導コイルへRF出力を印加する際の典型的な周波数は約10MHz〜約100MHzの範囲であって良い。それに加えて、スロット型ファラデーシールド(図示されていない)は、前記誘導コイル148とプラズマとの間での容量結合を減少させるのに用いられて良い。
【0033】
インピーダンス整合ネットワークは、反射出力を減少させることによって、プラズマへのRF出力の移送を改善するのに用いられて良い。整合ネットワーク形態(たとえばL型、π型、T型等)及び自動制御方法は当業者には周知である。
【0034】
例として、正電荷の放電においては、電子密度は約1010cm-3〜約1013cm-3の範囲であって良く、かつ電子温度は約1eV〜約10eVの範囲であって良い(利用されるプラズマ源の種類に依存する)。
【0035】
それに加えて図2に図示されているように、前記プラズマ生成チャンバ105は、前記第1プラズマ143と接する境界として機能する伝導性表面を有する直流(DC)伝導性電極106を有する。前記DC伝導性接地電極106はDC接地と結合する。前記DC伝導性接地電極106は、前記の第1プラズマポテンシャル(Vp,1)の第1プラズマ143によって駆動するイオンシンクとして機能する。図2には一のDC伝導性接地電極106が図示されているが、当該化学プロセスシステム101は1つ以上のDC伝導性接地電極を有して良い。
【0036】
必要ないとはいえ、前記DC伝導性接地電極106は、前記第1プラズマ143と接する比較的大きな領域を有することが望ましい。DC状態での接地面積が大きくなればなるほど、前記第1プラズマポテンシャルは小さくなる。たとえば前記の第1プラズマ143と接するDC伝導性接地電極106の伝導性表面の面積は、前記第1プラズマ143と接する他の表面積よりも大きくて良い。それに加えてたとえば、前記の第1プラズマ143と接するDC伝導性接地電極106の伝導性表面の面積は、前記第1プラズマ143と接する他の表面積の総和よりも大きくて良い。あるいはその代わりに、例として、前記の第1プラズマ143と接するDC伝導性接地電極106の伝導性表面の面積は、前記第1プラズマ143に接する唯一の伝導性表面であっても良い。前記DC伝導性接地電極106は接地電位への最低インピーダンス経路を供して良い。
【0037】
さらに図2を参照すると、当該化学プロセスシステム101は、前記プロセスチャンバ101と結合するバイアス電極システム180をさらに有する。前記バイアス電極システム180は、前記電子束を駆動させるため、前記第2プラズマポテンシャルを、前記第1プラズマポテンシャルの値よりも大きな値にするように備えられている。前記バイアス電極システム180は、前記第2プラズマ153と接する伝導性表面を有するDC伝導性バイアス電極182を有する。前記DC伝導性バイアス電極182は絶縁体184を介して前記プロセスチャンバ110から電気的に絶縁される。前記DC伝導性バイアス電極182はDC電源186と結合する。前記DC伝導性バイアス電極182は伝導性材料−たとえば金属又はドーピングされたシリコン−で構成される。図2には一のDC伝導性バイアス電極182しか図示されていないが、当該化学プロセスシステム101は1つ以上のDC伝導性バイアス電極182を有しても良い。
【0038】
必要ないとはいえ、前記DC伝導性接地電極182は、前記第2プラズマ153と接する比較的大きな領域を有することが望ましい。+VDCでの面積が大きくなればなるほど、前記第2プラズマポテンシャルは+VDCに近くなる。例として、前記DC伝導性バイアス電極182の総面積は、前記第2プラズマ153と接する他すべての伝導性表面の総面積よりも大きくて良い。あるいはその代わりに、前記DC伝導性バイアス電極182の総面積は、前記第2プラズマ143に接する唯一の伝導性表面であっても良い。
【0039】
前記電源186は可変DC電源を有して良い。それに加えて前記DC電源186はバイポーラDC電源を有して良い。前記DC電源186は、該DC電源186の極性、電流、電圧、若しくはオン/オフ状態の監視、調節、又は制御のうちの少なくとも1つを実行するように備えられたシステムをさらに有して良い。電気フィルタは、前記DC電源186からRF出力を分離するのに利用されて良い。
【0040】
たとえば前記のDC電源186によってDC伝導性バイアス電極182に印加されるDC電圧は約0ボルト(V)〜約10000Vの範囲であって良い。望ましくは前記のDC電源186によってDC伝導性バイアス電極182に印加されるDC電圧は約50ボルト(V)〜約5000Vの範囲であって良い。それに加えて、前記DC電圧は正の極性を有することが望ましい。さらに、前記DC電圧は約50Vよりも大きな絶対値を有する正の電圧である。
【0041】
図2に図示されているように、前記プロセスチャンバ110は接地電位に結合可能な筐体111を有する。それに加えてライナ部材188が、前記チャンバ筐体111と前記第2プラズマ153との間に設けられて良い。前記ライナ部材188は誘電材料−たとえば石英又はアルミナ−から作られて良い。前記ライナ部材188は、接地電位への高RFインピーダンスを前記第2プラズマ153に供して良い。さらに電気フィードスルー187が、前記DC伝導性バイアス電極182への電気的接続を可能にするように備えられる。
【0042】
さらに図2を参照すると、分離部材170が前記第1プラズマ領域142と第2プラズマ領域152との間に設けられる。前記分離部材170は1つ以上の開口部172を有する。前記1つ以上の開口部172は、前記第2プラズマ領域152に前記第2プラズマ153を生成するため、前記第1プロセスガス及び電子束150が、前記第1プラズマ領域142内の第1プラズマ143から前記第2プラズマ領域152へ通ることができるように備えられている。
【0043】
前記の分離部材170内の1つ以上の開口部172は超デバイ長アパーチャ−つまり横方向の寸法すなわち直径がデバイ長よりも長い−を有して良い。前記1つ以上の開口部172は適切な電子輸送を可能にするのに十分な大きさであって良い。前記1つ以上の開口部172は、前記第1プラズマポテンシャルと第2プラズマポテンシャルとの間での十分高いポテンシャル差をとることを可能とし、かつ前記第2プラズマ153と第1プラズマ143との間での逆イオン電流を減少させるのに十分なだけ小さくて良い。さらに前記1つ以上の開口部172は、前記の第1プラズマ領域142の第1圧力と、前記の第2プラズマ領域152の第2圧力との間での圧力差を維持するのに十分な程度に小さくて良い。
【0044】
前記DC伝導性接地電極106がDC接地電位と結合しているとはいえ、前記DC伝導性接地電極106は、前記DC伝導性バイアス電極182に結合するバイアスDC電圧未満のDC電圧と結合しても良い。
【0045】
図2に図示されているように、電子束150は、分離部材170を介して前記第1プラズマ領域142と第2プラズマ領域152との間で生じる。電子輸送は電場によって促進される拡散によって駆動される。前記電場は、前記第1プラズマポテンシャルと第2プラズマポテンシャルとの間のポテンシャル差によって発生する。前記電子束150は、前記第2プラズマ153における電離を維持するのに十分高いエネルギーを有する。
【0046】
真空排気システム130はたとえば、前記第2プラズマ領域152の圧力を制御するため、最大で5000l/sec(以上)の排気速度での排気が可能なターボ分子真空ポンプ(TMP)及びチャンバ圧力をしぼるゲートバルブを有して良い。さらにチャンバ圧力の監視装置(図示されていない)が、前記プロセスチャンバ110と結合して良い。圧力を測定する装置はたとえば、MKSインスツルメンツによって市販されている628B型のバラトロン絶対キャパシタンスマノメータであって良い。
【0047】
さらに図2を参照すると、前記基板ホルダ120は接地電位と結合して良い。前記基板ホルダ120が接地電位と結合する場合、前記基板125は浮遊接地電位の接地であるため、前記第2プラズマ153と接する接地電位だけが基板125によって供される浮遊接地電位の接地電位である。たとえば前記基板125が基板ホルダ120に固定されているとき、セラミックの静電固定(ESC)層は、前記の接地された基板ホルダ120から前記基板125を絶縁して良い。
【0048】
あるいはその代わりに、当該化学プロセスシステム101は、前記基板ホルダ120と結合し、かつ基板125に電気的バイアス印加を行うように備えられた基板バイアスシステムを有して良い。たとえば前記基板ホルダ120は、任意のインピーダンス整合ネットワークを介してRF発生装置と結合する電極を有して良い。前記基板ホルダ120に出力を印加する際の典型的な周波数は約0.1MHz〜約100MHzの範囲であって良い。
【0049】
さらに図2を参照すると、当該化学プロセスシステム101は、前記基板ホルダ120と結合し、かつ前記基板125の温度を調節及び制御するように備えられた基板温度制御システムを有して良い。前記基板温度制御システムは温度制御素子を有して良い。前記温度制御素子とはたとえば、基板ホルダ120から熱を受け取り、かつ熱を熱交換システム(図示されていない)へ送り、あるいは加熱するときには熱を熱交換システムへ送る再循環冷媒流を有する冷却システムである。それに加えて前記温度制御素子は加熱/冷却素子を有して良い。加熱/冷却素子とはたとえば抵抗加熱素子又は熱電ヒーター/クーラーである。加熱/冷却素子は、前記基板ホルダ120内に含まれて良く、それだけではなく、前記プロセスチャンバ110のチャンバ壁内及び当該化学プロセスシステム101内部の他の部品内部に含まれても良い。
【0050】
基板125と基板ホルダ120との間での熱伝導を改善するため、基板ホルダ120は、基板125を基板ホルダ120の上側表面に固定する機械的又は電気的固定システム−たとえば静電固定(ESC)システム−を有して良い。さらに基板ホルダ120は、基板125と基板ホルダ120との間でのガスギャップ熱伝導を改善するため、前記基板125の背面にガスを導入するように備えられている基板背面ガス供給システムをさらに有して良い。そのようなシステムは、基板内の複数の場所での温度が上昇又は下降するように制御するときに利用されて良い。たとえば前記背面ガス供給システムは二領域ガス分配システムを有して良い。前記二領域ガス分配システムでは、Heガスギャップ圧力が、基板125の中心と端部との間で独立に変化することができる。
【0051】
図2に図示されているように、前記基板ホルダ120は、該基板ホルダ120の周辺端部を超えて延在するバフル部材121によって取り囲まれて良い。前記バフル部材121は、前記真空排気システム130によって供給される排気速度を前記第2プラズマ領域152へ均一に分配するように機能して良い。前記バフル部材121は誘電材料−たとえば石英又はアルミナ−から作られて良い。前記バフル部材121は、接地電位への高RFインピーダンスを前記第2プラズマ153に供して良い。
【0052】
さらに図2を参照すると、当該化学プロセスシステム101は制御装置190をさらに有して良い。制御装置190は、マイクロプロセッサ、メモリ、及びデジタルI/Oポートを有する。そのデジタルI/Oポートは、当該化学プロセスシステム101からの出力を監視するだけではなく、当該化学プロセスシステム101の入力とのやり取りや起動を行うのに十分な制御電圧を発生させることができる。しかも制御装置190は、第1ガス注入システム144と電源146を有するプラズマ生成システム140、任意の第2ガス注入システム154とDC電源186を有する電極バイアスシステム180、基板ホルダ120、及び真空排気システム130と結合して、これらと情報のやり取りを行って良い。たとえばメモリ内に記憶されたプログラムは、基板125の処理方法を実行するため、記憶されたプロセスレシピに従って当該化学プロセスシステム101の上記構成要素を制御するのに利用されて良い。
【0053】
制御装置190は、メモリ内に格納されている1以上の命令に係る1以上のシーケンスを実行するプロセッサに応答して、マイクロプロセッサに基づいた本発明の処理工程の一部又は全部を実行する汎用コンピュータシステムとして実装されても良い。係る命令は、他のコンピュータによる読み取りが可能な媒体−たとえばハードディスク又は取り外し可能な媒体ドライブ−から制御装置のメモリへ読み込まれて良い。多重処理装置内の1つ以上のプロセッサもまた、主メモリ内に格納された命令のシーケンスを実行する制御装置のマイクロプロセッサとして用いられても良い。代替実施例では、配線回路が、ソフトウエアの代わりに又はそれと一緒に用いられて良い。
【0054】
制御装置190は、少なくとも1つのコンピュータによる読み取りが可能な媒体又はメモリ−たとえば制御装置メモリ−を有して良い。前記少なくとも1つのコンピュータによる読み取りが可能な媒体又はメモリは、本発明の教示に従ってプログラミングされた命令を保持し、かつ本明細書に記載されたデータ構造、テーブル、レコード又は他のデータを有する。
【0055】
本明細書で用いられている“コンピュータによる読み取りが可能な媒体”という語は、実行するための制御装置190のプロセッサへ命令を供することに関与する媒体を意味する。コンピュータによる読み取りが可能な媒体は如何なる形式を取っても良い。コンピュータによる読み取りが可能な媒体には、不揮発性媒体及び透過性媒体が含まれるが、これらに限定されるわけではない。不揮発性媒体にはたとえば、ハードディスクや取り外し可能な媒体ドライブのような、光学ディスク、磁気ディスク、及び磁気光学ディスクが含まれる。揮発性媒体には主メモリのようなダイナミックメモリが含まれる。しかも、実行用の制御装置のプロセッサへ1つ以上の命令を含む1つ以上のシーケンスを実行する際には、様々な形式のコンピュータによる読み取りが可能な媒体が含まれて良い。たとえば命令は最初離れた位置にあるコンピュータの磁気ディスク上で実行されて良い。その離れた位置にあるコンピュータは、離れた場所から命令を読み取ってダイナミックメモリへ送り、ネットワークを介して命令を制御装置190へ送る。
【0056】
制御装置190を制御し、装置を駆動し、及び/又は制御装置が人間であるユーザーと相互作用できるようにするソフトウエアは、コンピュータによる読み取りが可能な媒体(の結合)に保存されて良い。係るソフトウエアには、装置のドライバ、OS、開発ツール、及びアプリケーションが含まれて良いが、これらに限定されるわけではない。係るコンピュータによる読み取りが可能な媒体はさらに、上述の処理の一部(プロセスが分配される場合)又は全部を実行するコンピュータプログラム製品をも含む。
【0057】
コンピュータコード装置は、如何なる解釈可能又は実行可能なコード機構であって良い。コンピュータコード装置には、解釈可能なプログラム、ダイナミックリンクライブラリ(DLLs)、Javaクラス、及び完全に実行可能なプログラムが含まれるが、これらに限定されるわけではない。しかも処理のほとんどは、性能、信頼性、及び/又はコストを向上するために分配されて良い。
【0058】
制御装置190は、当該化学プロセスシステム101に対して局所的に設置されても良いし、又はインターネット又はイントラネットを介して処理システム1に対して離れた場所に設置されても良い。よって制御装置190は、直接接続、イントラネット、インターネット及びワイヤレス接続のうちの少なくとも1を用いることによって当該化学プロセスシステム101とのデータのやり取りをして良い。制御装置190は、たとえば顧客側(つまりデバイスメーカー等)のイントラネットと結合して良いし、又はたとえば売り手側(つまり装置製造者等)のイントラネットと結合しても良い。さらに別なコンピュータ(つまり制御装置、サーバー等)が、たとえば制御装置とアクセスすることで、直接接続、イントラネット及びインターネットのうちの少なくとも1つを介してデータのやり取りをして良い。
【0059】
ここで図3を参照すると、本発明の他の実施例による化学プロセスシステム101’が供されている。当該化学プロセスシステム101’は、図2に図示された化学プロセスシステム101と同様の構成要素を有する。しかし化学プロセスシステム101’は、前記プラズマ生成チャンバ105の上方に設けられた誘導コイル148’を有するプラズマ生成システム140’を有する。前記誘導コイル148’は、変成器結合プラズマ(TCP)反応装置内における上方からプラズマ処理領域45とやり取りする「螺旋」又は「パンケーキ」コイルである。RF出力が、誘導コイル148’から誘電体窓108’を介して前記第1プラズマ領域142内の第1プラズマ143に誘導結合される。誘導結合プラズマ(ICP)源又は変成器結合プラズマ(TCP)源の設計及び実装は当業者には周知である。
【0060】
それに加えて図3に図示されているように、前記プラズマ生成チャンバ105は、前記第1プラズマ143と接する境界として機能する伝導性表面を有する直流(DC)伝導性接地電極106’を有する。前記DC伝導性接地電極106’はDC接地電位と結合する。
【0061】
ここで図4を参照すると、本発明の他の実施例による化学プロセスシステム101’’が供されている。当該化学プロセスシステム101’’は、図2に図示された化学プロセスシステム101と同様の構成要素を有する。しかし化学プロセスシステム101’’は、前記のプラズマ生成チャンバ105の第1プラズマ領域142に設けられた誘導コイル148’’を有するプラズマ生成システム140’’を有する。前記誘導コイル148’’は、円筒形誘電体窓挿入部108’’によって前記第1プラズマ143から隔離されている。前記誘導コイル148’’は、電源146と結合する円筒形コイル−たとえばヘリカルコイル−である。RF出力は、誘導コイル148’’から前記円筒形誘電体窓挿入部108’’を介して前記の第1プラズマ領域142内の第1プラズマ143と誘導結合する。ICP源の設計及び実装は当業者には周知である。
【0062】
それに加えて図4に図示されているように、前記プラズマ生成チャンバ105は、前記第1プラズマ143と接する境界として機能する伝導性表面を有する直流(DC)伝導性接地電極106’’を有する。前記DC伝導性接地電極106’はDC接地電位と結合する。図4に図示されているように、前記誘導コイル148’’が前記第1プラズマ143内に位置しているので、前記DC伝導性接地電極106’’は、前記プラズマ生成チャンバ105の内側の面の大部分を占める表面積を有する。
【0063】
ここで図5を参照すると、本発明の実施例による、基板を処理するプラズマ処理システムの動作方法が供されている。フローチャート400は、プラズマを用いて基板処理を助けるように備えられたプラズマ処理システム内に基板を設ける工程410で開始される。前記プラズマ処理チャンバは、図1A、図1B、図2、図3、及び図4に記載されたプラズマ処理システムのうちのいずれか1つの構成要素を有して良い。
【0064】
420では、第1プラズマは、第1プラズマ領域内で第1プラズマポテンシャルをとる第1プロセスガスから生成される。図1A、図1B、図2、図3、及び図4に図示されているように、前記第1プラズマを生成するため、前記第1プラズマ領域はプラズマ生成チャンバ内に設けられて良く、かつプラズマ生成システムは前記プラズマ生成チャンバと結合して良い。
【0065】
430では、前記第1プラズマからの電子束を用いることによって、第2プラズマが、第2プラズマ領域内に第2プラズマポテンシャルで生成される。前記の第1プラズマ領域の第1プラズマからの電子束は、前記プラズマ生成チャンバから分離部材を通り抜けて、前記基板が処理されるプロセスチャンバへ向かう。図1A、図1B、図2、図3、及び図4に図示されているように、前記第2プラズマ領域はプロセスチャンバ内に設けられて良い。前記プラズマ生成チャンバと前記プロセスチャンバとの間に設けられた分離部材内の1つ以上の開口部が、前記第1プラズマ領域から前記第2プラズマ領域への電子の輸送又は供給を促進する。
【0066】
440では、前記第2プラズマポテンシャルが前記第1プラズマポテンシャルよりも大きな値にされることで、前記電子束が制御される。前記の第1プラズマ領域の第1プラズマは、境界で駆動するプラズマ(つまり前記プラズマ境界は各対応するプラズマポテンシャルに相当な影響を及ぼす)であって良い。前記の第1プラズマと接する境界の一部又は全部はDC接地電位と結合する。それに加えて前記の第2プラズマ領域の第2プラズマは境界駆動プラズマであって良い。前記第2プラズマと接する境界の一部又は全部は+VDCであるDC電源と結合する。図1A、図1B、図2、図3、及び図4供された実施例のうちのいずれか1つ又はこれらの実施例の組み合わせを実行することによって、前記第2プラズマポテンシャルを前記第1プラズマポテンシャルよりも高くすることができる。
【0067】
450では、前記プロセスチャンバへ入り込むガスが真空排気システムによって排気されることで、前記プロセスチャンバの圧力が制御される。460では、前記基板が、前記の第2プラズマ領域内の第2プラズマに暴露される。前記の基板を第2プラズマに暴露する工程は、単色の空間電荷が中性化した中性ビームによって活性化された化学プロセスに前記基板を暴露する工程を有して良い。
【0068】
たとえ本発明の特定の実施例しか上で記載されていなかったとしても、当業者は、本発明の新規な教示及び利点から実質的に逸脱することなく典型的実施例の範囲内で多くの修正型にすぐ想到する。従って全ての係る修正型は本発明の技術的範囲内に含まれるものと解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理するように備えられた化学プロセスシステムであって:
第1圧力で第1プロセスガスを受け入れるように備えられた第1プラズマ領域を有するプラズマ生成チャンバ;
前記第1プラズマ領域からガスが流れる先に設けられ、かつ第2圧力で前記第1プラズマ領域から前記第1プロセスガスを受け入れるように備えられた第2プラズマ領域を有するプロセスチャンバ;
前記プラズマ生成チャンバと結合し、かつ前記第1プロセスガスを前記第1プラズマ領域に導入するように備えられた第1ガス注入システム;
前記プラズマ生成チャンバと結合し、かつ前記第1プロセスガスから前記第1プラズマ領域内で第1プラズマポテンシャルの第1プラズマを生成するように備えられたプラズマ生成システム;
前記第1プラズマ領域と前記第2プラズマ領域との間に設けられた分離部材であって、前記第1プラズマ領域から前記第2プラズマ領域への電子束が、第2プラズマポテンシャルの第2プラズマを生成することを可能にするように備えられた1つ以上の開口部を有する分離部材;
前記プロセスチャンバと結合し、かつ、前記電子束を制御するため、前記第2プラズマポテンシャルを前記第1プラズマポテンシャルよりも高くするように備えられたバイアス電極システム;
前記プロセスチャンバと結合し、かつ、前記第2プラズマ領域付近で前記基板を支持するように備えられた基板ホルダ;並びに、
前記プロセスチャンバと結合し、かつ、前記のプロセスチャンバ内の第2プラズマ領域を排気するように備えられた真空排気システム;
を有する化学プロセスシステム。
【請求項2】
前記プロセスチャンバと結合し、かつ前記第2プラズマ領域へ第2プロセスガスを導入するように備えられた第2ガス注入システム154をさらに有する、請求項1に記載の化学プロセスシステム。
【請求項3】
前記プラズマ生成システムは、電源からの出力を前記の第1プラズマ領域内の第1プロセスガスに誘導結合する誘導コイルを有する、請求項1に記載の化学プロセスシステム。
【請求項4】
前記プラズマ生成システムは、容量結合プラズマ(CCP)源、誘導結合プラズマ(ICP)源、変成器結合プラズマ(TCP)源、表面波プラズマ源、ヘリコン波プラズマ源、電子サイクロトロン共鳴(ECR)プラズマ源、又は上記2つ以上の組み合わせを有する、請求項1に記載の化学プロセスシステム。
【請求項5】
前記プラズマ生成チャンバは、前記第1プラズマと接する境界として機能する伝導性表面を有する少なくとも1つの直流(DC)伝導性電極を有し、かつ
前記少なくとも1つのDC伝導性接地電極はDC接地電位と結合する、
請求項1に記載の化学プロセスシステム。
【請求項6】
前記少なくとも1つのDC伝導性接地電極はドーピングされたシリコン電極を有する、請求項5に記載の化学プロセスシステム。
【請求項7】
前記の少なくとも1つのDC伝導性接地電極は前記第1プラズマと接する伝導性表面を有し、かつ
前記伝導性表面の面積は、前記の第1プラズマと接する他の表面積よりも大きい、
請求項5に記載の化学プロセスシステム。
【請求項8】
前記分離部材が誘電材料で構成される、請求項1に記載の化学プロセスシステム。
【請求項9】
前記の分離部材内の1つ以上の開口部がデバイ長以上の直径を有する、請求項1に記載の化学プロセスシステム。
【請求項10】
前記バイアス電極システムは、前記第2プラズマと接する伝導性表面を有する少なくとも1つのDC伝導性バイアス電極を有し、かつ
前記少なくとも1つのDC伝導性バイアス電極はDC電源と結合する、
請求項1に記載の化学プロセスシステム。
【請求項11】
前記少なくとも1つのDC伝導性バイアス電極はドーピングされたシリコン電極を有する、請求項10に記載の化学プロセスシステム。
【請求項12】
前記DC電源が、50V〜1000Vの範囲であるDC電圧で前記少なくとも1つのDC伝導性バイアス電極にバイアス印加するように備えられている、請求項10に記載の化学プロセスシステム。
【請求項13】
前記プロセスチャンバが:
DC伝導性材料から作られ、かつ接地電位に結合するチャンバ筐体;
誘電材料から作られ、かつ前記第2プラズマから前記チャンバ筐体を電気的に絶縁するように備えられているライナ部材;
前記少なくとも1つのDC伝導性バイアス電極への電気的接続を可能にするように備えられている電気フィードスルー;及び、
前記少なくとも1つのDC伝導性バイアス電極と前記チャンバ筐体との間に設けられた電極絶縁体であって、前記少なくとも1つのDC伝導性バイアス電極を前記チャンバ筐体から電気的に絶縁するように備えられている電極絶縁体;
を有する、
請求項10に記載の化学プロセスシステム。
【請求項14】
前記基板ホルダがDC接地電位と結合し、かつ
前記基板がDC接地電位又は浮遊接地電位である、
請求項1に記載の化学プロセスシステム。
【請求項15】
前記プラズマ生成システム、前記バイアス電極システム、前記プロセスチャンバ、前記第1ガス注入システム、前記基板ホルダ、及び前記真空排気システムと結合する制御装置をさらに有する請求項1に記載の化学プロセスシステムであって、
前記制御装置は、前記プラズマ生成システムによって前記の第1プラズマ領域内の第1プラズマに結合される出力、前記バイアス電極システムによって前記第2プラズマと結合されるDC電圧、前記プラズマ生成チャンバと結合する前記第1プロセスガスの組成、前記プラズマ生成チャンバと結合する前記第1プロセスガスの流速、前記プロセスチャンバと結合する排気速度、若しくは前記基板の温度、又は上記2つ以上の組み合わせのうちの少なくとも1つを変化させることによって前記第2プラズマの調節又は制御を行うように備えられている、
化学プロセスシステム。
【請求項16】
基板を処理するように備えられた化学プロセスシステムであって:
第1プラズマポテンシャルで第1プラズマを生成する第1プラズマチャンバ;
前記第1プラズマポテンシャルよりも大きい第2プラズマポテンシャルで第2プラズマを生成する第2プラズマチャンバであって、前記第2プラズマは前記第1プラズマからの電子束を用いて生成される、第2プラズマチャンバ;及び
前記第2プラズマチャンバ内に基板を設置するように備えられた基板ホルダ;
を有する、化学プロセスシステム。
【請求項17】
前記第1プラズマがDC接地電圧で第1境界によって駆動され、かつ
前記第2プラズマがDCバイアス電圧で第2境界によって駆動される、
請求項16に記載の化学プロセスシステム。
【請求項18】
前記基板ホルダがDC接地電位と結合し、かつ
前記基板がDC接地電位又は浮遊接地電位である、
請求項16に記載の化学プロセスシステム。
【請求項19】
前記第1プラズマチャンバが、前記第1プラズマと接する伝導性表面を有する少なくともDC伝導性接地電極を有し、かつ
前記少なくともDC伝導性接地電極はDC接地電位と結合する、
請求項16に記載の化学プロセスシステム。
【請求項20】
前記第1プラズマチャンバと前記第2プラズマチャンバとの間に設けられた分離部材をさらに有する請求項16に記載の化学プロセスシステムであって、
前記分離部材は、前記第1プラズマから前記第2プラズマへの電子束を可能にするように備えられた1つ以上の開口部を有し、かつ
前記分離部材は誘電材料で構成される、
化学プロセスシステム。
【請求項21】
前記第2プラズマ領域が、前記第2プラズマと接する伝導性表面を有する少なくとも1つのDC伝導性バイアス電極を有し、かつ
前記少なくとも1つのDC伝導性バイアス電極がDC電源と結合する、
請求項16に記載の化学プロセスシステム。
【請求項22】
基板の処理方法であって:
前記基板を処理するように備えられたプロセスチャンバ内に基板を設ける工程;
第1プラズマ領域内で第1プラズマポテンシャルの第1プラズマを生成する工程;
前記第1プラズマ領域からの電子束を用いることによって、第2プラズマ領域内で第2プラズマポテンシャルの第2プラズマを生成する工程;
前記電子束を制御するため、前記第2プラズマポテンシャルを前記第1プラズマポテンシャルよりも高くする工程;
前記プロセスチャンバ内の圧力を制御する工程;並びに、
前記基板を前記第2プラズマに暴露する工程;
を有する方法。
【請求項23】
前記の基板を前記第2プラズマに暴露する工程が、単色の空間電荷が中性化した中性ビームによって活性化された化学プロセスに前記基板を暴露する工程を有する、請求項22に記載の方法。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2011−518408(P2011−518408A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500969(P2011−500969)
【出願日】平成21年3月20日(2009.3.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/037736
【国際公開番号】WO2009/117624
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】