説明

印刷回路基板及びその製造方法

【課題】高屈曲性や信頼性を提供することができ、光導波路を精密に製造することができる印刷回路基板を提供する。
【解決手段】本発明の印刷回路基板100は、第1基板部110と、一端が第1基板部110に結合され、電気信号と光信号とを共に伝送するように電気配線層134と光導波路132とを含む軟性基板部130と、軟性基板部130の他端と結合される第2基板部120とを含み、電気配線層134と光導波路132は、互いに離隔して配置されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷回路基板及びその製造方法(Printed circuit board and manufacturing Method thereof)に関する。
【背景技術】
【0002】
硬軟性印刷回路基板(Rigid−Flexible PCB)は、携帯電話などのモバイル電子製品やネットワーク装備に多用されている。特にモバイル電子製品の場合は、折り畳み式やスライド式、またはさらに複雑な構造の動作が要求されるので、軟性を有する印刷回路基板の需要が高い。
【0003】
電気銅配線を用いた基板と比較して光信号を用いる基板は、EMI(Electromagnetic Interference)、EMC(Electromagnetic Compatibility)の影響を受けないので、外部雑音に強く、接地(ground)線路や差動配線を用いる必要がない。また、低損失で高速信号の伝達ができるという長所がある。
【0004】
軟性または硬軟性の印刷回路基板に光導波路を内蔵するための従来の構造例は、図1に示した通りである。電力の伝達と低速アナログ信号は、光導波路が内蔵された印刷回路基板であっても銅配線を用いる方が効果的であるので、一般的に電気配線と光配線とが共に構成されている基板構造を提示している。
【0005】
このような軟性または硬軟性印刷回路基板は、屈曲部において十分な屈曲特性や信頼性を確保しなくてはならない。屈曲特性は軟性部の厚みと剛性、そして、材料の強度により決定され、特に厚みは薄く維持することが好ましい。
【0006】
しかし、既存の光導波路を内蔵した印刷回路基板の構造では、電気配線層と光導波路層とが接しているので、一般の電気配線基板と比較して屈曲性が悪くなり、不良や信頼性の問題を起こす可能性も高かった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、基板の軟性部分に光導波路と電気配線層とを離隔して分離するように配置したので、高い屈曲性や信頼性を実現することのできる印刷回路基板及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態によれば、第1基板部と、一端が第1基板部と結合され、電気信号と光信号とを共に伝送するように電気配線層と光導波路とを含む軟性(flexible)基板部と、軟性基板部の他端と結合される第2基板部とを含み、電気配線層と光導波路は、互いに離隔して配置されていることを特徴とする印刷回路基板が提供される。
【0009】
第1基板部には、光電変換素子が実装できるように、光導波路に通じて外部に露出している溝が形成されていてもよく、溝に接する光導波路の所定位置には光電変換素子を安着するようにパッドが形成されていてもよい。この時、パッドは光導波路の表面に形成してもよく、埋め込まれるように形成してもよい。
【0010】
また、光導波路にはパッドと電気的に接続された再配線ランドがさらに形成されていてもよく、再配線ランドもパッドと同様に光導波路の表面に形成されていてもよいし、埋め込まれるように形成されていてもよい。
【0011】
一方、第1基板部には層間導通のためのビアが形成されていてもよく、この場合に再配線ランドはビアと電気的に接続することができる。
【0012】
本発明の別の実施形態によれば、一面に第1ステップが形成された第1基板と、一面に第2ステップが形成され、第1基板と所定距離だけ離隔して配置された第2基板と、一端が第1ステップに安着され、他端が第2ステップに安着された軟性(flexible)光導波路と、軟性光導波路の一端をカバーするように第1基板に積層された第1外層基板と、軟性光導波路の他端をカバーするように第2基板に積層された第2外層基板とを含む印刷回路基板が提供される。
【0013】
第1外層基板には、光電変換素子を実装できるように、軟性光導波路に通じて外部に露出された溝が形成されていてもよく、溝に接する軟性光導波路の所定位置には、光電変換素子を安着するようにパッドを形成してもよい。この時、パッドは軟性光導波路の表面に形成するか、または埋め込まれるように形成することができる。
【0014】
また、軟性光導波路にはパッドと電気的に接続された再配線ランドをさらに形成してもよく、再配線ランドもパッドと同様に軟性光導波路の表面に形成してもよいし、または埋め込まれるように形成してもよい。
【0015】
一方、第1基板には層間導通のためのビアが形成されていてもよく、再配線ランドはビアと電気的に接続することができる。
【0016】
本発明のさらに別の実施形態によれば、光信号を伝送できるように軟性光導波路が形成された印刷回路基板を製造する方法であって、互いに離隔して配置された第1基板と第2基板とを提供する段階と、軟性光導波路の両端部を第1基板と第2基板との間に安着するように、第1基板と第2基板にそれぞれステップを形成する段階と、ステップによって軟性光導波路を安着するように、第1基板と第2基板に軟性光導波路を積層する段階と、軟性光導波路の一端をカバーするように第1基板に第1外層基板を積層し、軟性光導波路の他端をカバーするように第2基板に第2外層基板を積層する段階とを含む印刷回路基板の製造方法が提供される。
【0017】
第1外層基板には、光電変換素子を実装するように、軟性光導波路に通じる溝が形成されていてもよく、溝に接する軟性光導波路の所定位置には、光電変換素子を安着するようにパッドが形成されていてもよい。
【0018】
一方、軟性光導波路は、光信号が移動するコアと、コアをカバーするクラッドとを含んでおり、この時、パッドを形成する方法としては、軟性光導波路と伝導層とを圧着した後にエッチング工程によって伝導性パターンを形成する方法や、または軟性光導波路上に直接印刷をして伝導性パターンを形成する方法も可能である。また、キャリア上にパッドに対応した伝導性パターンを形成する段階と、クラッドとキャリアとを圧着して伝導性パターンをクラッドに転写する段階とを経て軟性光導波路にパッドを形成することもできる。
【0019】
また、軟性光導波路には、パッドと電気的に接続された再配線ランドをさらに形成してもよく、再配線ランドの形成方法としてもパッドと同様に軟性光導波路と伝導層とを圧着した後にエッチング工程によって伝導性パターンを形成する方法や、または軟性光導波路上に直接印刷をして伝導性パターンを形成する方法も可能である。また、キャリア上に再配線ランドに対応した伝導性パターンを形成する段階と、クラッドとキャリアとを圧着して伝導性パターンをクラッドに転写する段階とを経て軟性光導波路に再配線ランドを形成することもできる。
【0020】
上述した以外の別の実施形態、特徴、利点が以下の図面、本発明の特許請求の範囲及び発明の詳細な説明によって明確になるだろう。
【発明の効果】
【0021】
本発明の好ましい実施例によれば、基板の軟性部分に光導波路と電気配線層とを離隔して分離させたので、高い屈曲性と信頼性を提供することができる。また、光導波路を別途製造して基板の製造工程に挿入するようにしたので、光導波路を精密に製造することができる。
【0022】
さらに、光電変換素子を光導波路に密着して実装するようにしたので、光損失を最小化することができた。また、再配線ランドとビアとの間の電気的接続を通じて再配線が出来るようにしたので、光導波路を形成する物質に対するメッキ特性やホール加工特性を考慮する必要がなくなった。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】従来技術に係る印刷回路基板の構造を示す断面図である。
【図2】本発明の第1実施例に係る印刷回路基板の構造を示す断面図である。
【図3】本発明の第2実施例に係る印刷回路基板の構造を示す断面図である。
【図4】本発明の第3実施例に係る印刷回路基板の構造を示す断面図である。
【図5】本発明の第4実施例に係る印刷回路基板の構造を示す断面図である。
【図6】光電変換素子が実装される部分を示す平面図である。
【図7】光電変換素子が実装される部分を示す断面図である。
【図8】本発明の別の実施例に係る印刷回路基板の製造方法を示すフローチャートである。
【図9】図8に示した印刷回路基板の製造方法における各工程の断面図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る印刷回路基板及びその製造方法の好ましい実施例を添付した図面を参照して詳しく説明する。ここで、添付図面を参照した説明において、同一である構成要素、あるいは対応する構成要素には同一の図面番号を付与し、重複した説明は省略する。
【0025】
先ず、本発明の一実施形態に係る印刷回路基板について説明する。
【0026】
図2は、本発明の第1実施例に係る印刷回路基板の構造を示す断面図である。図2に示すように、本実施例に係る印刷回路基板100は、第1基板部110、第2基板部120、溝112及び122、光電変換素子114及ぶ124、ビア116及び126、ステップ(Step)118及び128、軟性基板部130、光導波路132、コア132a、クラッド132b、電気配線層134、パッド136、パターン137、再配線ランド138を備えている。
【0027】
本実施例に係る印刷回路基板100の両端には、第1基板部110及び第2基板部120が位置し、第1基板部110及び第2基板部120の間には軟性を有する軟性基板部130が位置している。すなわち、軟性基板部130の両端部がそれぞれ硬性を有する基板に結合される形態となっている。このとき、軟性基板部130は、光信号を伝送するための光導波路132と、電気信号を伝送するための電気配線層134とを含んでいる。
【0028】
光導波路132は、電気信号を伝送するために銅配線を用いる電気配線層134と比較して、EMI(Electromagnetic Interference)、EMC(Electromagnetic Compatibility)の影響を受けないので、外部雑音に強く、接地線路及び差動配線を用いる必要がなく、低損失で高速信号を伝達できるという長所がある。このような光導波路132は、光信号が伝達される経路であるコア132aと、このようなコア132aを取り囲むクラッド132bとを含んでいる。
【0029】
コア132aは、光信号が伝達される経路であって、クラッド132bによって取り囲まれている。コア132aは、ポリマ材質または光繊維材質から形成されていてもよい。単に本実施例では、軟性特性が優れ、光電変換素子との接続構造を小型に構成するために有利であるポリマ材質のコアを提示している。
【0030】
クラッド132bは、コア132aを取り囲み、光信号の伝送が効率的に行われるようにする手段である。このようなクラッド132bもコアと同様にポリマ材質から形成されていてもよい。ただ、効率的に光信号を伝達するために、クラッド132bの屈折率がコア132aの屈折率より低く設計されているほうがよい。
【0031】
電気配線層134は、上述した光導波路132と比べて高速信号の伝達には不利な点はあるが、高速のデジタル信号ではない電力供給においては有利な手段である。したがって、高速のデジタル信号の伝送だけを必要とする分野においては電気配線層134を省略して光導波路132のみを形成してもよい。しかし、一般的な携帯電話のような装置においてはメイン基板からディスプレイ基板へ電力とアナログ信号とを同時に伝送しなくてはならないので、光導波路132だけではなく電気配線層134も共に形成する必要がある。
【0032】
図2は、本発明の第1実施例に係る印刷回路基板100の構造を示す断面図であって、図2には光導波路132と電気配線層134とが共に形成された軟性基板部130を一例として提示している。
【0033】
一方、第1基板部110及び第2基板部120には光電変換素子114及び124を実装できるように、溝112及び122が形成されていることが好ましい。光電変換素子114及び124は、その溝112及び122に実装されることにより、本実施例に係る印刷回路基板100の厚みが全体的に減少できることになる。
【0034】
光電変換素子114及び124は電気信号を光信号に変換したり、光信号を電気信号に変換したりする機能を行う手段である。このような光電変換素子から光導波路132までの距離が長いほど光信号の損失と混線が起きて誤差が発生する恐れが大きくなる。したがって、光電変換素子114及び124から光導波路132までの距離はできるだけ短くなるように形成するほうがよい。
【0035】
このために、本実施例では、第1基板部110及び第2基板部120に光電変換素子114及び124が実装できるような溝112及び122を形成し、この溝によって光導波路132の一部を露出させ、この露出した光導波路の一部分に光電変換素子114及び124を安着できるようにパッド136を形成した。
【0036】
このような構造を通じて、本実施例に係る印刷回路基板100の厚みを減少させる効果を提供できるだけではなく、信号の信頼度を増大させる効果を提供することもできる。
【0037】
このように光導波路132にパッド136を形成する場合に、パッド136が光導波路132の表面に形成されていてもよいが、パッド136が光導波路132に埋め込まれるように形成されていることによって、全体的な厚みを減少させる効果及び信号の信頼度を増大させる効果をさらに高めることができる。
【0038】
光導波路132に埋め込まれたパッド136は、先ず、キャリア(図示せず)上にパッドの形状に対応した伝導性パターンを形成し、クラッド132bとキャリア(図示せず)とを圧着した後、クラッド132bからキャリアを除去する工程を行うことにより伝導性パターンをクラッド132bに転写して形成することができる。
【0039】
一方、第1基板部110及び第2基板部120に形成された回路パターン(図示せず)と光電変換素子114及び124との間が互いに電気的に接続できるように、光導波路132にパッド136と電気的に接続された再配線ランド138を形成し、この再配線ランド138を、第1基板部110及び第2基板部120に形成されているビア116及び126、及び回路パターン(図示せず)と電気的に接続する。
【0040】
このような再配線ランド138は、前に説明したパッド136と同じ方法で形成することができ、光導波路132の表面に形成してもよく、また光導波路132に埋め込まれる形態で形成してもよい。すなわち、先ず、キャリア上に再配線ランド138の形状に対応した伝導性パターンを形成し、クラッドとキャリアを圧着した後、クラッドからキャリアを除去して伝導性パターンをクラッドに転写することにより再配線ランド138を形成することができる。
【0041】
本実施例では、図2に示したように、再配線ランド138が、ビア116及び126と直接連結されている構成を提示した。このように再配線ランド138がビア116及び126を通じて接続されるので、光導波路132を形成する物質のメッキ特性やホール加工に対する特性を考慮する必要がないという効果がある。
【0042】
一方、本実施例によれば、光電変換素子114及び124を接続するためのパッド136、及び再配線ランド138を第1基板部110及び第2基板部120に配置したので、屈曲による信頼性喪失の恐れを最小化できるという長所を備えている。
【0043】
すなわち、光電変換素子114及び124を接続するためのパッド136と再配線ランド138が、たとえ軟性を有する材質である光導波路132に形成されたとしても、パッド136と再配線ランド138が形成されている部分の上下には第1基板部110及び第2基板部120が結合されているので、パッド136と再配線ランド138は、実質的に硬性を有する基板に形成されたような効果を示すことができ、信頼性を確保することが可能である。
【0044】
一方、本実施例では第1基板部110及び第2基板部120にそれぞれステップ118及び128を形成し、光導波路132がステップ118及び128に安着されるような構造を提示した。すなわち、光導波路132の両側の側面が硬性を有する基板によってカバーされている。
【0045】
このような構造にしたことにより、光導波路が形成された層と、これに隣接した層との間が分離する可能性を低くすることができるので、優れた信頼性を提供できることになる。
【0046】
それだけでなく、ステップ118及び128を形成して光導波路132を安着させた結果、光導波路が形成されている層の一部は光導波路であるが、その他の部分は硬性を示す基板とすることができる。したがって、硬性を示す基板部分に層間導通のためのビア116及び126を形成することができ、これによって光導波路にビアを形成する必要がなくなるので、光導波路を形成する物質に対するメッキ特性やホール加工特性を考慮しなくてもよいという効果を示すことができる。
【0047】
次に、電気信号を伝送するために形成された電気配線層134は、軟性の優れたポリイミドのような絶縁材料に回路パターン(図示せず)を形成することによって構成することができ、前に説明したように光導波路132と分離して配置されることにより、互いの屈折による影響を受けないので、優れた屈曲性と信頼性を提供することができる。
【0048】
図3は、本発明の第2実施例に係る印刷回路基板200の構造を示す断面図である。図3に示すように、本実施例に係る印刷回路基板200は、第1基板210、第2基板220、ビア212及び222、ステップ218及び228、軟性光導波路230、パッド232、再配線ランド234、第1外層基板240、第2外層基板250、溝242及び252、光電変換素子244と254を備えている。
【0049】
図2で説明した本発明の第1実施例の構成要素と対応する構成要素については、第1実施例の説明と同一、または類似の機能をするので、これに対する具体的な説明は省略する。
【0050】
図3を参照すると、軟性を示す部分に電気配線層を設置せずに光導波路230だけを形成した印刷回路基板が提示されている。携帯電話のような装置においては、メイン基板からディスプレイ基板へ電力とアナログ信号とを同時に伝送しなくてはならないので、第1実施例の印刷回路基板100のように、光導波路132と電気配線層134を共に存在させなくてはならないが、高速デジタル信号の伝送のみを必要とする適用分野においては、本実施例のように電気配線層なしで光導波路230だけでも所望の機能を実現することができる。
【0051】
図4は、本発明の第3実施例に係る印刷回路基板300の構造を示す断面図である。図4に示すように、本実施例に係る印刷回路基板300は、第1基板210、第2基板220、ビア212及び222、ステップ218及び228、第1外層基板240、第2外層基板250、溝242及び252、光電変換素子244及び254、軟性基板部330、光導波路332、パッド232、再配線ランド234、電気配線層334a及び334bを備えている。
【0052】
図4に示す本発明の第3実施例に係る印刷回路基板は、図2及び図3で提示した本発明の第1及び第2実施例に係る印刷回路基板と比較して、複数の電気配線層334a及び334bを備えていることに特徴があり、その他の構成要素は、前に説明した実施例の対応する構成要素とその機能が同一または類似するので、これに対する具体的な説明は省略する。
【0053】
図4を参照すると、一つの光導波路332と複数の電気配線層334a及び334bが形成された印刷回路基板300を示している。電気配線層が複数構成された既存の印刷回路基板において、一部の層を光導波路332に代替することにより所望の機能を実現できる場合を提示することができる。
【0054】
さらに、図5に示すように、光導波路432a及び432bが複数形成されている印刷回路基板400を提示することも可能である。この実施例において、第1基板410、第2基板420、溝412a、412b、422a及び422b、光電変換素子414a、414b、424a及び424b、軟性基板部430、パッド436a及び436b、再配線ランド438a及び438b、電気配線層434等については、前に説明した実施例の各構成要素に対応するので、これらに対する具体的な説明は省略する。
【0055】
一方、前に提示した本発明の複数の実施例に係る印刷回路基板100、200、300及び400において、光電変換素子114、124、244および254が光導波路に直接実装できる構造を提示したが、このような構造により光損失を最小化することができる。
【0056】
図2に示した本発明の第1実施例を基準に説明すると、光電変換素子114及び124を実装するために、光導波路132にパッド136を形成し、パッド136は、銅、またはこれに対応する導電性材料から形成することができる。このように光導波路132に形成されたパッド136と、光電変換素子114及び124との間は、ワイヤボンディングまたはフリップチップの形態で接続することができる。
【0057】
パッド136から延長されたパターン137は、再配線ランド138に接続され、ビア116及び126などを通じて別の層と電気的に接続できるようになっている。このようなパッド136、パターン137、再配線ランド138などの構造は、図6(b)に示すように、光電変換素子が複数形成される場合にはそれに対応して形成することができる。
【0058】
一方、図7に示すように、パッド136、パターン137、再配線ランド138は光導波路132bに埋め込まれる形態で形成されてもよいし(図7の(a)参照)、パッド136’、パターン137’、再配線ランド138’のように光導波路132bの表面に形成されてもよい(図7の(b)参照)。光導波路132bに埋め込まれる形態の場合、別途のパターン作業を行った後に転写を行う方法を用いて形成することができ、表面に形成する場合には光導波路132bに金属層を積層した後にエッチングを行う方法などを用いて形成することができる。
【0059】
次に、本発明の別の実施形態に係る印刷回路基板の製造方法について図8及び図9を参照して説明する。
【0060】
図8は、本発明の一実施例に係る印刷回路基板の製造方法を示すフローチャートであり、図9は、本発明の一実施例に係る印刷回路基板の製造方法における各工程の断面図である。図9に示すように、完成した印刷回路基板は、第1基板110aと第1外層基板110bとを含む第1基板部110、第2基板120aと第2外層基板120bとを含む第2基板部120、溝112及び122、光電変換素子114及び124、ビア116及び126、ステップ118及び128、軟性基板部130、光導波路132、電気配線層134、パッド136、パターン137、再配線ランド138を備えている。
【0061】
先ず、段階s10において、互いに離隔して配置された第1基板110aと第2基板120aとを提供する。この第1基板110aと第2基板120aは、軟性光導波路132の両端部とそれぞれ結合されて、光信号を送受信することができる手段である。このような第1基板110aと第2基板120aには、互いに電気的信号を送受信できるように軟性電気配線層134が形成されていてもよく、高速のデジタルデータのみを伝送する場合のように軟性電気配線層134が必要でない場合には形成されていなくてもよい。
【0062】
次に、段階s20において、第1基板110aと第2基板120aとに、軟性光導波路132の両端部が安着できるようにステップ118及び128を形成する(図9(a)参照)。そして、段階s30において、ステップ118及び128に軟性光導波路132を安着するように第1基板110aと第2基板120aに軟性光導波路132を積層する(図9(b)参照)。
【0063】
すなわち、光導波路132を別途製造して印刷回路基板を製造するレイアップ(lay−up)工程に挿入する方法を用いることになる。このために、第1基板110a及び第2基板120aを加工してステップ118及び128を形成し、ステップ118及び128の間に挿入するように光導波路132を積層した後、堅固な結合のために高温高圧下で熱圧着を行う。
【0064】
この後、段階s40において、第1基板110aと第2基板120aに対してそれぞれ第1外層基板110b及び第2外層基板120bを積層する(図9(c)参照)。第1外層基板110bと第2外層基板120bによって光導波路132の両端部がカバーされるので、光導波路132は第1基板110a及び第2基板120aとそれぞれ結合することができる。
【0065】
一方、第1外層基板110bには、光電変換素子114を実装するように溝112が形成されていてもよい。この溝112を形成しておくことにより、光電変換素子114を溝112に実装することができ、これによって印刷回路基板全体の厚みを減少させることができる。このような溝112は、第1外層基板110bが積層された後に加工してもよく、積層される前に加工して溝112が形成された状態で第1外層基板110bを積層してもよい。第2外層基板120bにも、第1外層基板110bと同様に光電変換素子124を実装するための溝122を形成してもよい。
【0066】
また、光電変換素子114が光導波路132に直接接続できるようにするために、第1外層基板110bに形成された溝112は光導波路132の一部が露出できる程度の深さで形成する。すなわち、溝112は、第1外層基板110bを貫通するように形成されるようにする。
【0067】
このような溝112によって露出された光導波路132の所定位置には、光電変換素子114を直接接続するためのパッド136が形成され、これによって光電変換素子114は光導波路132に直接接続できることになる。
【0068】
一方、印刷回路基板の全体的な厚さを減少させ、光損失を最小化するために、パッド136は光導波路132に埋め込まれる形態で形成することが好ましい。このように埋め込まれた形態のパッド136は、別途のキャリア(図示せず)にパターニング作業を行った後、これを転写する方法を用いて形成することができる。
【0069】
また、光導波路132にはパッド136と電気的に接続された再配線ランド138及びパターン137が形成されていてもよく、再配線ランド138がビア116及び126に連結されることにより光導波路132を介して伝送される光信号及び光信号から変換された電気信号が印刷回路基板の全体に渡って広く伝送できることになる。
【0070】
このような再配線ランド138及びパターン137もパッド136と同様に、光導波路132に埋め込まれる形態で形成することができ、別途のキャリア(図示せず)にパターニング(patterning)作業を行った後、これを転写する方法を用いて形成することができる。
【0071】
以上、本発明の多くの実施例に係る印刷回路基板の構造及びその製造方法について説明したが、上述した実施例以外の多くの実施例が本発明の特許請求の範囲内に存在する。
【符号の説明】
【0072】
110 第1基板部
120 第2基板部
112、122 溝
114、124 光電変換素子
116、126 ビア
130 軟性基板部
132 光導波路
134 電気配線層
136 パッド
138 再配線ランド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板部と、
一端が前記第1基板部に結合され、電気信号と光信号とを共に伝送するように電気配線層と光導波路とを含む軟性(flexible)基板部と、
前記軟性基板部の他端と結合される第2基板部とを含み、
前記電気配線層と前記光導波路は、互いに離隔して配置されていることを特徴とする印刷回路基板。
【請求項2】
前記第1基板部には、光電変換素子を実装するように前記光導波路に通じる溝が形成され、
前記溝は外部に露出していることを特徴とする請求項1に記載の印刷回路基板。
【請求項3】
前記溝に接する前記光導波路の所定位置には、前記光電変換素子を安着するようにパッドが形成されていることを特徴とする請求項2に記載の印刷回路基板。
【請求項4】
前記パッドは、前記光導波路に埋め込まれていることを特徴とする請求項3に記載の印刷回路基板。
【請求項5】
前記光導波路には、前記パッドと電気的に接続された再配線ランドがさらに形成されていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の印刷回路基板。
【請求項6】
前記再配線ランドは、前記光導波路に埋め込まれていることを特徴とする請求項5に記載の印刷回路基板。
【請求項7】
前記第1基板部は層間導通のためのビアを含み、
前記再配線ランドは前記ビアと電気的に接続されていることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の印刷回路基板。
【請求項8】
一面に第1ステップ(Step)が形成された第1基板と、
一面に第2ステップが形成され、前記第1基板と所定距離だけ離隔して配置された第2基板と、
一端が前記第1ステップに安着され、他端が前記第2ステップに安着された軟性(flexible)光導波路と、
前記軟性光導波路の一端をカバーするように前記第1基板に積層された第1外層基板と、
前記軟性光導波路の他端をカバーするように前記第2基板に積層された第2外層基板と
を含む印刷回路基板。
【請求項9】
前記第1外層基板には、光電変換素子を実装するように前記光導波路に通じる溝が形成され、
前記溝は外部に露出されていることを特徴とする請求項8に記載の印刷回路基板。
【請求項10】
前記溝に接する前記光導波路の所定位置には、前記光電変換素子を安着するようにパッドが形成されていることを特徴とする請求項9に記載の印刷回路基板。
【請求項11】
前記パッドは前記光導波路に埋め込まれていることを特徴とする請求項10に記載の印刷回路基板。
【請求項12】
前記光導波路には、前記パッドと電気的に接続された再配線ランドがさらに形成されていることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の印刷回路基板。
【請求項13】
前記再配線ランドは前記光導波路に埋め込まれていることを特徴とする請求項12に記載の印刷回路基板。
【請求項14】
前記第1基板は層間導通のためのビアを含み、
前記再配線ランドは前記ビアと電気的に接続されていることを特徴とする請求項12または請求項13に記載の印刷回路基板。
【請求項15】
光信号を伝送できるように軟性光導波路が形成された印刷回路基板を製造する方法であって、
互いに離隔して配置された第1基板と第2基板とを提供する段階と、
前記軟性光導波路の両端部を前記第1基板と前記第2基板との間に安着できるように、前記第1基板と前記第2基板にそれぞれステップ(Step)を形成する段階と、
前記ステップによって前記軟性光導波路を安着するように、前記第1基板と前記第2基板に前記軟性光導波路を積層する段階と、
前記軟性光導波路の一端をカバーするように前記第1基板に第1外層基板を積層し、前記軟性光導波路の他端をカバーするように前記第2基板に第2外層基板を積層する段階と
を含む印刷回路基板の製造方法。
【請求項16】
前記第1外層基板には、光電変換素子を実装するように前記軟性光導波路に通じる溝が形成されていることを特徴とする請求項15に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項17】
前記溝に接する前記軟性光導波路の所定位置には、前記光電変換素子を安着するようにパッドが形成されていることを特徴とする請求項16に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項18】
前記軟性光導波路は、光信号が移動するコアと前記コアをカバーするクラッドとを含み、
前記パッドは、
キャリア上に前記パッドに対応した伝導性パターンを形成する段階と、
前記クラッドと前記キャリアとを圧着して、前記伝導性パターンを前記クラッドに転写する段階と
を経て形成されることを特徴とする請求項17に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項19】
前記軟性光導波路には、前記パッドと電気的に接続された再配線ランドがさらに形成されていることを特徴とする請求項17または請求項18に記載の印刷回路基板の製造方法。
【請求項20】
前記軟性光導波路は、光信号が移動するコアと前記コアをカバーするクラッドとを含み、
前記再配線ランドは、
キャリア上に前記再配線ランドに対応した伝導性パターンを形成する段階と、
前記クラッドと前記キャリアとを圧着して前記伝導性パターンを前記クラッドに転写する段階と
を経て形成されることを特徴とする請求項19に記載の印刷回路基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−43835(P2011−43835A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211622(P2010−211622)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【分割の表示】特願2007−291164(P2007−291164)の分割
【原出願日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】