説明

印刷装置、印刷装置の制御方法及びプログラム

【課題】 ユーザが、記録材がないと判定された格納手段を使用し続けることを希望しているにもかかわらず、印刷装置が、記録材がないと判定するたびに格納手段を交換可能な位置にすることは、ユーザにとって不便である。
【解決手段】 記録材を使って印刷をする印刷装置は、記録材を格納する格納手段と、記録材がないと判断された格納手段を記録材の補給可能な位置に移動する移動手段と、ユーザの指示に従って、記録材がないと判断された格納手段の使用を継続することを設定する設定手段とを有し、前記移動手段は、記録材がないと判断された格納手段の使用を継続することが設定されている場合、記録材がないとの判断に従っては、当該格納手段を前記位置に移動しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録材を格納する格納手段を有し、記録材を使って印刷する印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数のトナーカートリッジを回転移動して印刷を行う印刷装置では、あるトナーカート
リッジにてトナー無しが発生すると、そのトナーカートリッジを交換可能な位置に移動し
て、ユーザがトナーカートリッジを交換できるようにしていた(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−323027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
印刷装置は、トナーなしのトナーカートリッジを交換可能な位置に移動するためには、トナーなしが発生していることを検知する必要がある。例えば光学センサを用いてトナーカートリッジ内のトナー残量を判定し、トナーがないと判定した場合には、トナーカートリッジを交換可能な位置に移動する。これにより、ユーザはトナーカートリッジの交換をスムーズに行うことができる。
【0005】
しかしながら、光学センサの精度によっては、トナーなしと判定したものの、実際には、数ページ分のトナーがトナーカートリッジ内に残っている場合がある。ユーザによっては、印刷がかすれてしまうことを承知の上で、印刷がかすれてしまう直前まで、そのトナーカートリッジを使いたい、と要望することがある。
【0006】
ユーザが、記録材がないと判定された格納手段を使用し続けることを希望しているにもかかわらず、印刷装置が、記録材がないと判定するたびに格納手段を交換可能な位置にすることは、ユーザにとって不便である。
【0007】
本発明はこのような不便を解消するために、記録材を使って印刷する印刷装置で、記録材がないと判定された格納手段を記録材の補給が可能な位置に移動するか否かを切り替えることを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る印刷装置は、記録材を使って印刷をする印刷装置であって、記録材を格納する格納手段と、記録材がないと判断された格納手段を記録材の補給が可能な位置に移動する移動手段と、ユーザの指示に従って、記録材がないと判断された格納手段の使用を継続することを設定する設定手段とを有し、前記移動手段は、記録材がないと判断された格納手段の使用を継続することが設定されている場合、記録材がないとの判断に従っては、当該格納手段を前記位置に移動しないことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る制御方法は、記録材を格納する格納手段を有し、記録材を使って印刷をする印刷装置で行われる制御方法であって、記録材がないと判断された格納手段を記録材の補給が可能な位置に移動する移動ステップと、ユーザの指示に従って、記録材がないと判断された格納手段の使用を継続することを設定する設定ステップとを有し、記録材がないと判断された格納手段の使用を継続することが設定されている場合、記録材がないとの判断に従っては、当該格納手段を前記位置に移動しないことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るプログラムは、記録材を格納する格納手段を有し、記録材を使って印刷をする印刷装置のコンピュータにより読み取り可能なプログラムであって、記録材がないと判断された格納手段を記録材の補給が可能な位置に移動する移動ステップと、ユーザの指示に従って、記録材がないと判断された格納手段の使用を継続することを設定する設定ステップとをコンピュータに実行させ、記録材がないと判断された格納手段の使用を継続することが設定されている場合、記録材がないとの判断に従っては、当該格納手段を前記位置に移動しないようにコンピュータを制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ユーザは、記録材がないと判定された格納手段を記録材の補給が可能な位置に移動するか否かを選択することできる。また、印刷装置は、記録材がないと判定された格納手段を記録材の補給が可能な位置に移動するか否かを切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る印刷システムを示すブロック図である。
【図2】印刷装置の断面図である。
【図3】回転現像ロータリ方式のカレーレーザプリンタにおいてトナーカートリッジを交換する仕組みを説明する図である。
【図4】本発明に係る制御方法を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る制御方法を示すフローチャートである。
【図6】変数を管理するワーク領域の一例を示す図である。
【図7】操作部またはCRTディスプレイに表示されるメッセージの一例を示す図である。
【図8】操作部またはCRTディスプレイに表示される操作画面の一例を示す図である。
【図9】操作部またはCRTディスプレイに表示される操作画面の一例を示す図である。
【図10】第二の実施形態に係る制御方法を示すフローチャートである。
【図11】第三の実施形態に係る制御方法を示すフローチャートである。
【図12】第四の実施形態で用いられる変数を管理するワーク領域の一例を示す図である。
【図13】第四の実施形態に係る制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施形態を図面を用いて説明する。
【0014】
図1は、本発明に係る印刷システムを示すブロック図である。この印刷システムでは、コンピュータ100と印刷装置101とが双方向インタフェース24を介して通信している。双方向インタフェース24は、LANやUSBなどの有線であっても、無線LANなどの無線であってもよい。
【0015】
コンピュータ100は、CPU1、RAM2、ROM3、システムバス4、キーボードコントローラ5、CRTコントローラ6、メモリコントローラ7、通信部8、キーボード9、CRTディスプレイ10及び外部メモリ11を有する。
【0016】
CPU1は、プログラム用ROMに記憶されたプログラムに基づいて様々なデータ処理を行う。例えば、図形、イメージ、文字、表(表計算を含む)などが混在した文書を処理する。また、CPU1は、システムバス4に接続される各デバイスを統括的に制御する。さらに、CPU1は、RAM2上に設定された表示情報用RAMに、アウトラインフォントを展開し、CRTディスプレイ上でのWYSIWYG(What Yot See Is What Yot Get)を実現する。また、CPU1は、CRTディスプレイ10上のマウスカーソルで指示されたコマンドに基づいて、各種のウィンドウを開き、各種のデータ処理を実行する。
【0017】
RAM2は、CPU1の主メモリやワークメモリとして機能する。ROM3は、フォントROM、プログラムROM、データROMから構成される。フォントROMは、文書処理で使用されるフォントデータを記憶する。プログラムROMは、コンピュータ100を制御する制御プログラムのほか、プリンタセレクタやネットワークプリンタドライバなどのプログラムを記憶する。データROMは、文書処理などで使用される各種データを記憶する。
【0018】
キーボードコントローラ5は、キーボード9や不図示のポインティングデバイスからのキー入力を制御する。CRTコントローラ6は、CRTディスプレイ10の表示を制御する。
【0019】
メモリコントローラ7は、外部メモリ11へのアクセスを制御する。外部メモリ11は、ブートプログラム、アプリケーションプログラム、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイルなどを記憶する記憶装置である。外部メモリ11は、ハードディスク、フラッシュEEPROM、USBメモリなどである。
【0020】
通信部8は、双方向インタフェース24を介して行われる印刷装置101との間の通信を制御する。
【0021】
印刷装置101は、プリンタコントローラ102、操作部14、印刷部17、外部メモリ21、ハードディスク23を有する。また、プリンタコントローラ102は、CPU12、ROM13、システムバス15、印刷部インタフェース16、通信部18、RAM19、メモリコントローラ20、ディスクコントローラ22を有している。
【0022】
CPU12は、プログラムROMに記憶された制御プログラムや外部メモリ21に記憶された制御プログラムを実行して、データ処理を実行する。また、CPU12は制御プログラムに基づいて、システムバス15に接続される各種デバイスを統括的に制御する。例えば、CPU12は画像データを生成し、印刷部インタフェース16を介して印刷部17に画像データに基づく画像信号を送信する。また、CPU12は印刷部インタフェース16を介して印刷部17に制御信号を送信する。さらに、CPU12は通信部18を介して印刷装置101に関する情報をコンピュータ100に送信する。
【0023】
ROM13はフォントROM、プログラムROM、データROMから構成される。フォントROMは、画像データを生成するために使用されるフォントデータを記憶する。プログラムROMは、CPU12によって実行される制御プログラムを記憶する。データROMは、データ処理などで使用される各種データを記憶する。
【0024】
操作部14は、キー入力や情報の表示をするための操作パネルであり、スイッチやLED表示器などで構成される。また、操作部14はタッチパネルであってもよい。
【0025】
印刷部インタフェース16は、印刷部17との間の通信を制御する。通信部18は、双方向インタフェース24を介して行われるコンピュータ100との間の通信を制御する。
【0026】
RAM19は、CPU12の主メモリやワークメモリとして機能する。不図示の増設ポートにオプションRAMを追加することにより、RAM19のメモリ容量は拡張可能である。また、RAM19は、展開された画像データを記憶する画像データ記憶領域、環境データを記憶する環境データ記憶領域、各種パラメータを記憶するNVRAMなどとしても機能する。
【0027】
メモリコントローラ20は外部メモリ21へのアクセスを制御する。外部メモリ21は、フォントデータ、エミュレーションプログラム、フォームデータなどを記憶する記憶装置であり、ICカードやUSBメモリなどである。
【0028】
ディスクコントローラ22はハードディスク23へのアクセスを制御する。ハードディスク23は、印刷データや制御プログラムなどを記憶する。
【0029】
図2は、印刷装置101の断面図である。図2は、主に印刷部17の内部構造を示し、回転現象ロータリ方式のカラーレーザプリンタの内部構造を示す。ここでは、印刷に使われる記録材としてトナーが使われている。
【0030】
スキャナ711は、プリンタコントローラ102からの画像信号を光信号(レーザ光)に変換するレーザ出力部(不図示)、8面体のポリゴンミラー712、ポリゴンミラー712を回転させるモータ(不図示)、f/θレンズ(結像レンズ)713などを有する。レーザ出力部から出射されたレーザ光はポリゴンミラー712の一側面で反射され、f/θレンズ713及び反射ミラー714を通って感光ドラム715の面を線状に走査(ラスタスキャン)する。感光ドラム715は、図示されている矢印方向に回転する。これによって、画像信号の示す画像に対応した静電潜像が感光ドラム715の面上に形成される。感光ドラム715の周囲には、一次帯電器717、全面露光ランプ718、用紙に転写されなかったトナー(残留トナー)を回収するクリーナ部723、転写前帯電器724などが配置されている。
【0031】
現像器ユニット726は、感光ドラム715の表面に形成された静電潜像を現像するユニットであり、以下で説明する構成を有する。トナーカートリッジ730C、730M、730Y及び730BKは現像剤としてのトナーを格納する。トナーカートリッジ内のトナーの残量はトナー残量センサ(不図示)によって測定される。現像スリーブ731C、731M、731Y及び731BKはそれぞれ感光ドラム715と接して、現像剤を使って現像を行う。スクリユー732はトナーカートリッジ730C、730M、730Y及び730BKのそれぞれに格納されている現像剤を現像スリーブ731C、731M、731Y及び731BKのそれぞれに移送する。つまり、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックのそれぞれの現像剤を使って、感光ドラム715にトナー像を形成する。トナーカートリッジ、現像スリーブ及びスクリユーは現像器ユニット726の中心軸Pの周辺に配置されている。なお、各構成要素の符号であるY、M、C及びBKはそれぞれ異なる色を示している。つまり、Cはシアン、Mはマゼンタ、Yはイエロー、BKはブラックを示す。
【0032】
カバー701は開閉可能であり、ユーザはカバー701を開けてトナーカートリッジを交換する。カバー701の真下に位置するトナーカートリッジが取り外し可能である。以下、カバー701の真下の位置をトナーカートリッジの交換可能位置と呼ぶ。図2では、トナーカートリッジ730BKが交換位置に存在している。トナーカートリッジ730Y、730M、730C及び730BKを軸Pを中心に回転することで、トナーカートリッジを交換可能位置に移動し、そのトナーカートリッジを交換可能にする。
【0033】
位置センサ742は現像器ユニット726の回転位置を検出する。感光ドラム715にイエローのトナー像を形成するときには、不図示のモータが軸Pを中心にして現像器ユニット726を回転させて、感光ドラム715と現像スリーブ731Yとが接するようにする。図2はこの状態を示している。マゼンタのトナー像を形成するときには、モータが軸Pを中心にして現像器ユニット726を回転させて、感光ドラム715と現像スリーブ731Mとが接するようにする。シアンやブラックのトナー像を形成するときも同様である。
【0034】
転写ドラム716は感光ドラム715上に形成されたトナー像を用紙に転写する。アクチユエータ板719は転写ドラム716の移動位置を検出する。ポジションセンサ720はアクチユエータ板719と近接することにより、転写ドラム716がホームポジションの位置に移動したことを検出する。
【0035】
アクチユエータ板719、ポジションセンサ720、転写ドラムクリーナ部725、紙押さえローラ727、徐電器728、転写帯電器729が、転写ドラム716の周囲に配置されている。
【0036】
給紙カセット735及び736は用紙791を格納する。例えば、給紙カセット735にはA4サイズの用紙が収納されていて、給紙カセット736にはA3サイズの用紙が収納されている。給紙及び用紙の搬送を行うときには、給紙ローラ737及び738がそれぞれ、給紙カセット735及び736から用紙を給紙する。タイミングローラ739、740及び741はそれぞれ、給紙及び用紙の搬送を行うタイミングを制御する。用紙はタイミングローラ739、740及び741を経由して紙ガイド490に導かれ、その先端をグリッパ721に但持させながら、転写ドラム716に巻きつく。給紙カセット735及び736のいずれを選択するかはプリンタコントローラ102の指示により決定され、選択された給紙カセットに対応する給紙ローラのみが回転するようになっている。
【0037】
上記構成により、C、M、Y、BKの四色によるフルカラー印刷が実現される。
【0038】
図3は、図2に示す回転現像ロータリ方式のカレーレーザプリンタにおいてトナーカートリッジを交換する仕組みを説明する図である。ユーザは、トナーカートリッジを交換する場合、カバー701を開ける。開いたカバー701の真下の位置がトナーカートリッジの交換可能位置301である。ユーザは、交換可能位置301にあるトナーカートリッジを交換することができる。図3の例では、トナーカートリッジ730BKが交換可能である。なお、トナーカートリッジの交換可能位置は図3の例に限られず、印刷装置の構造に応じて異なっていてよい。
【0039】
モータは、プリンタコントローラ102からの制御信号に従って現像器ユニット726を回転し、任意のカートリッジを交換可能位置301に移動する。
【0040】
以下、本発明に係る印刷装置の制御方法を説明する。図4及び図5は、本発明に係る制御方法を示すフローチャートである。CPU12が、ROM13に格納された、図4及び図5のフローチャートに基づくプログラムを実行することにより、この制御方法は実行される。
【0041】
CPU12は、印刷が開始されるかどうかを判断する(S401)。例えば、通信部18がコンピュータ100から印刷データを受信した場合、CPU12は印刷が開示されると判断する。以下では、コンピュータ100から印刷データを受信した場合を説明する。
【0042】
印刷データが受信された場合、CPU12は、変数TotalPageに印刷データの総ページ数を設定し、変数Pに1を設定する(S402)。
【0043】
図6は、制御方法で使用される変数を管理するワーク領域の一例を示す。これらの変数の値はRAM19に格納される。
【0044】
変数TotalPageは、印刷すべき総ページ数を示す。Pは、処理中のページ番号を示す。
【0045】
変数CoverOpenは、カバー701の開閉があったか否かを示す。カバー701の開閉がない場合は、0(ゼロ)が設定され、カバー701の開閉があった場合には、1が設定される。初期値は0(ゼロ)である。
【0046】
変数CRG_OUTは、各トナーカートリッジのトナーアウトフラグを示す。トナーカートリッジがトナーアウトでなければ、0(ゼロ)が設定され、トナーカートリッジがトナーアウトであれば、1が設定される。初期値は0(ゼロ)である。
【0047】
変数CRG_OVERRIDEは、各トナーカートリッジの継続使用フラグを示す。継続使用とは、トナーカートリッジ内のトナーがなくなったと判断された場合でも、そのトナーカートリッジを使用し続けることである。トナー残量センサはトナーがなくなったと検知したものの、少量のトナーがトナーカートリッジに残っている場合がある。そのような場合には、継続使用によってその少量のトナーを使用可能である。継続使用が指定されていなければ、0(ゼロ)が設定され、継続使用が指定されていれば、1が設定される。初期値は0(ゼロ)である。
【0048】
変数CRG_CHANGEは、各トナーカートリッジが交換されたか否かを示す。トナーカートリッジが交換されていなければ、0(ゼロ)が設定され、トナーカートリッジが交換されていれば、1が設定される。初期値は0(ゼロ)である。
【0049】
CPU12は、印刷部17からステータス情報を取得する(S403)。ステータス情報には、各トナーカートリッジ内のトナーの残量を示すCRGステータスが含まれている。CPU12は、CRGステータスに基づいて、トナーが少ない状態やトナーがなくなった状態(トナーアウト)を検知できる。
【0050】
CPU12は、変数nに1を設定する(S404)。次に、CPU12は変数nの値が4より大きいかを判断する(S405)。変数nの値が4以下であれば、CPU12は、S403で取得したステータス情報に基づいて、n番目のトナーカートリッジがトナーアウトになっているかを判断する(S406)。図4の例では、トナーカートリッジ730Cが1番目、トナーカートリッジ730Mが2番目、トナーカートリッジ730Yが3番目、トナーカートリッジ730BKが4番目とする。
【0051】
n番目のトナーカートリッジがトナーアウトになっていれば、CPU12は、変数CRG_OUT[n]に1を設定する(S407)。
【0052】
次に、CPU12は変数nの値をインクリメントして(S408)、ステップS405に進む。
【0053】
変数nの値が4より大きくなると、CPU12は変数mに1を設定する(S409)。CPU12は変数mの値が4より大きいかを判断する(S410)。変数mの値が4以下であれば、CPU12はCRG_OUT[m]の値が1であるかを判断する(S411)。すなわち、m番目のトナーカートリッジ内のトナーがなくなったと判断されたかどうかを判断する。
【0054】
CRG_OUT[m]の値が1であれば、CPU12は、CRG_OVERRIDE[m]の値が1であるかを判断する(S412)。すなわち、m番目のトナーカートリッジの継続使用がすでに指定されているかどうかを判断する。CRG_OVERRIDE[m]の値が1である場合には、m番目のトナーカートリッジの交換は行われないので、m番目のトナーカートリッジを交換可能位置に移動しない。
【0055】
CRG_OVERRIDE[m]の値が1でなければ、CPU12は、m番目のトナーカートリッジを交換可能位置に移動するよう印刷部17に指示する(S413)。印刷部17内のモータはその指示に従って、m番目のトナーカートリッジを交換可能位置に移動する。
【0056】
さらに、CPU12は、m番目のトナーカートリッジの交換が必要である旨のメッセージを操作部14に表示する(S413)。または、CPU12は、通信部18を介してm番目のトナーカートリッジがトナーアウトである旨のステータス情報をコンピュータ100に送信する。コンピュータ100は、m番目のトナーカートリッジの交換が必要である旨のメッセージをCRTディスプレイ10に表示する。
【0057】
図7は、操作部14またはCRTディスプレイ10に表示されるメッセージの一例を示す。図7の例では、ブラックのトナーカートリッジの交換が必要である旨を示している。表示されるメッセージは、トナーカートリッジがトナーアウトである旨のメッセージであってもよい。
【0058】
操作部14またはCRTディスプレイ10は、トナーカートリッジの交換が必要である旨のメッセージを表示するとともに、トナーカートリッジの継続使用を指示するボタン800を表示する。コンピュータ100は、ボタン800が押下されたかを印刷装置101に通知する。
【0059】
トナーカートリッジの継続使用が行われても、トナーが少量であるためまたはトナーが全く残存していないために、印刷のかすれが生じることがある。そこで、印刷装置101は、トナーカートリッジの継続使用をするか否かをユーザに問い合わせる。
【0060】
CPU12は、継続使用を指示するボタン800が押下されたかどうかを判断する(S414)。ボタン800が押下された場合には、CPU12は、CRG_OUTの値が1である、1または複数のトナーカートリッジについて、それぞれのトナーカートリッジに対応するCRG_OVERRIDEに1を設定する(S415)。例えば、CRG_OUT[1]とCRG_OUT[4]が1である場合、CRG_OVERRIDE[1]とCRG_OVERRIDE[4]のそれぞれに1を設定する。
【0061】
図4の例では、ユーザは一回の操作で、同時期にトナーアウトになった複数のトナーカートリッジについて継続使用を指定することができる。しかしながら、トナーアウトになった複数のトナーカートリッジの一つずつについて、継続使用をするか否かをユーザに指定させてもよい。この場合には、CPU12はS415のあとにS419に移行する。
【0062】
ボタン800が押下されていない場合、CPU12は、カバー701が開閉されたかどうかを判断する(S416)。カバー701の開閉があれば、CPU12は、変数CoverOpenに1を設定し(S417)、CRG_CHANGE[m]に1を設定する(S418)。この実施例では、CPU12は、カバー701の開閉を検知することで、トナーカートリッジが交換されたと判断する。
【0063】
CPU12は、変数mの値をインクリメントして(S419)、S410に進む。
【0064】
変数mの値が4より大きくなると、CPU12は、変数CoverOpenの値が1であるかを判断する(S420)。
【0065】
変数CoverOpenの値が1でなければ、CPU12は変数Pの値が変数TotalPageの値よりも大きいかどうかを判断する(S421)。変数Pの値が変数TotalPageの値よりも大きい場合には、全てのページの印刷が終了したので、ステップS401に進む。変数Pの値が変数TotalPageの値以下の場合、CPU12は、変数Pの値が示すページ番号の画像データを印刷部17に送信し、印刷部17は変数Pの値が示すページ番号のページを印刷する(S422)。そして、CPU12は、変数Pの値をインクリメントし(S423)、ステップS403に進む。
【0066】
変数CoverOpenの値が1であれば、CPU12は初期化処理を実行するよう印刷部17に指示する(S424)。印刷部17は初期化処理を実行することにより、交換されたトナーカートリッジを使用できるようにする。さらに、CPU12は、変数CoverOpenに0を設定する(S424)。
【0067】
CPU12は変数sに1を設定する(S425)。CPU12は、変数sの値が4より大きいかを判断する(S426)。変数sの値が4より大きい場合には、S403に進む。変数sの値が4以下であれば、CPU12はCRG_CHANGE[s]の値が1であるかを判断する(S427)。
【0068】
CRG_CHANGE[s]の値が1であれば、CPU12はCRG_OUT[s]に0(ゼロ)を設定し、CRG_CHANGE[s]に0(ゼロ)を設定する(S428)。
【0069】
CPU12は、変数sの値をインクリメントして(S429)、S426に進む。
【0070】
図4及ぶ図5の制御方法では、継続使用が指定されたトナーカートリッジは、それ以降、交換の対象にはならず、S413で交換可能位置に移動されることがなくなる。
【0071】
ユーザは、継続使用が指定されたトナーカートリッジを交換したい場合には、トナーカートリッジの交換の指示を別途行う。図8は、操作部14またはCRTディスプレイ10に表示される操作画面の一例を示す。ユーザは、ボタン801〜804のうち、交換したいトナーカートリッジに対応するボタンを押下する。ユーザがCRTディスプレイ10に表示された操作画面でボタンを押下した場合には、コンピュータ100は、トナーカートリッジの交換の指示とユーザに選択されたトナーカートリッジを印刷装置101に通知する。
【0072】
CPU12は、ユーザにより選択されたトナーカートリッジを交換可能位置に移動するよう印刷部17に指示する。印刷部17内のモータはその指示に従って、ユーザにより選択されたトナーカートリッジを交換可能位置に移動する。その後、CPU12は、カバー701が開閉されたかどうかを判断する。カバー701の開閉があれば、CPU12は、ユーザにより選択されたトナーカートリッジに対応するCRG_OUTに0(ゼロ)を設定する。さらに、CPU12は、ユーザにより選択されたトナーカートリッジに対応するCRG_OVERRIDEに0(ゼロ)を設定する。
【0073】
<第二の実施形態>
図5の実施形態では、継続使用が指定されたトナーカートリッジは、それ以降、交換の対象にはならず、S413で交換可能位置に移動されることがなくなる。しかしながら、ユーザによっては、他のトナーカートリッジがトナーアウトになったタイミングで、継続使用が指定されたトナーカートリッジの交換を行いたい、と思うかもしれない。
【0074】
そこで、第二の実施形態では、他のカートリッジがトナーアウトになった場合に継続使用が指定されているトナーカートリッジを交換可能位置に移動するか否か、を予めユーザが選択しておけるようにする。
【0075】
図9は、操作部14またはCRTディスプレイ10に表示される操作画面の一例を示す。他のカートリッジがトナーアウトになった場合に継続使用が指定されているトナーカートリッジも交換可能位置に移動することをユーザが希望する場合、ユーザはチェックボックス901にチェックを入れ、OKボタン902を押下する。継続使用が指定されているトナーカートリッジはあくまでも交換可能位置に移動しないことをユーザが希望する場合、ユーザはチェックボックス901にチェックを入れずにOKボタン902を押下する。
【0076】
CPU12は、チェックボックス901にチェックが入っている場合には変数AUTOに1を設定し、チェックボックス901にチェックが入っていない場合には変数AUTOに0を設定する。変数AUTOの値は外部メモリ21またはハードディスク23に格納される。
【0077】
図10は、第二の実施形態に係る制御方法を示すフローチャートである。CPU12が、ROM13に格納された、図10のフローチャートに基づくプログラムを実行することにより、この制御方法は実行される。図10では、S1001〜S1002が新たに追加されている。以下では、図4との差分を中心に、図10のフローチャートを説明する。
【0078】
CPU12は、CRG_OVERRIDE[m]の値が1であるかを判断し(S412)、CRG_OVERRIDE[m]の値が1であれば、変数AUTOの値が1であるかどうかを判断する(S1001)。
【0079】
変数AUTOの値が1であれば、CPU12は、CRG_OUT[1]〜CRG_OUT[4]及びCRG_OVERRIDE[1]〜CRG_OVERRIDE[4]を参照する。そして、CPU12は、CRG_OUTの値が1でかつCRG_OVERRIDEの値が0(ゼロ)である他のトナーカートリッジがあるかどうかを判断する(S1002)。他のトナーカートリッジがあれば、CPU12は、m番目のトナーカートリッジを交換可能位置に移動する(S413)。
【0080】
第二の実施形態によれば、ユーザは、他のトナーカートリッジがトナーアウトになった場合に継続使用が指定されているトナーカートリッジを交換可能位置に移動するか否か、を選択することができる。
【0081】
<第三の実施形態>
第二の実施形態では、他のトナーカートリッジがトナーアウトになった場合に、継続使用が指定されているトナーカートリッジを交換可能位置に移動するか否かを判断した。第三の実施形態では、他のトナーカートリッジが交換された場合に、継続使用が指定されているトナーカートリッジを交換可能位置に移動するか否かを判断する。
【0082】
図11は、第三の実施形態に係る制御方法を示すフローチャートである。CPU12が、ROM13に格納された、図11のフローチャートに基づくプログラムを実行することにより、この制御方法は実行される。図11では、S1101〜S1102が新たに追加されている。以下では、図4との差分を中心に、図11のフローチャートを説明する。
【0083】
CPU12は、CRG_OVERRIDE[m]の値が1であるかを判断し(S412)、CRG_OVERRIDE[m]の値が1であれば、変数AUTOの値が1であるかどうかを判断する(S1101)。
【0084】
変数AUTOの値が1であれば、CPU12は、変数CoverOpenの値が1であるかどうかを判断する(S1102)。変数CoverOpenの値が1であれば、CPU12は、m番目のトナーカートリッジを交換可能位置に移動する(S413)。
【0085】
第三の実施形態によれば、ユーザは、他のカートリッジが交換された場合に継続使用が指定されているトナーカートリッジを交換可能位置に移動するか否か、を選択することができる。
【0086】
<第四の実施形態>
第四の実施形態では、継続使用が指定されてから所定枚数が印刷された後、継続使用指定されたトナーカートリッジを交換可能位置に移動するようにする。第四の実施形態では、トナーカートリッジを用いて印刷されたページ数を示す変数CRG_PrintPageと、トナーカートリッジの継続使用が指定されたときのページ数を示す変数CRG_OVERRIDEPageを用意する。
【0087】
図12は、第四の実施形態で用いられる変数を管理するワーク領域の一例を示す図である。これらの変数の値は外部メモリ21またはハードディスク23に格納される。図12の例では、トナーカートリッジ730Cを使って印刷されたページ数は100枚である。また、トナーカートリッジ730BKを使って印刷されたページ数は200枚である。さらに、トナーカートリッジ730BKを使って印刷さえたページ数が150枚であるときに、トナーカートリッジ730BKの継続使用が指定された。
【0088】
図13は、第四の実施形態に係る制御方法を示すフローチャートである。CPU12が、ROM13に格納された、図13のフローチャートに基づくプログラムを実行することにより、この制御方法は実行される。図13では、S1301〜S1304が新たに追加されている。以下では、図4との差分を中心に、図13のフローチャートを説明する。
【0089】
CPU12は、S422のあと、S422の印刷で使用された1または複数のトナーカートリッジに対応するCRG_PrintPageの値をインクリメントする(S1301)。例えば、トナーカートリッジ730BKが使用された場合には、CRG_PrintPage[4]の値をインクリメントする。
【0090】
また、CPU12は、S415のあと、S415で継続使用が指定された1または複数のトナーカートリッジについて、CRG_OVERRIDEPageにCRG_PrintPageの値を設定する(S1302)。例えば、シアンのトナーカートリッジとブラックのトナーカートリッジの継続使用が新たに指定された場合、CRG_OVERRIDEPage[1]にCRG_PrintPage[1]の値を設定する。さらに、CRG_OVERRIDEPage[4]にCRG_PrintPage[4]の値を設定する。
【0091】
また、CPU12は、CRG_OVERRIDE[m]の値が1である場合に、CRG_PrintPage[m]の値がCRG_OVERRIDEPage[m]の値に所定数を足した値よりも大きいかどうかを判断する(S1303)。図13の例では、所定数は300である。
【0092】
CRG_PrintPage[m]の値がCRG_OVERRIDEPage[m]の値に所定数を足した値よりも大きければ、ステップS413に進む。CRG_PrintPage[m]の値がCRG_OVERRIDEPage[m]の値に所定数を足した値以下であれば、ステップS419に進む。
【0093】
また、CPU12は、S428のあと、CRG_PrintPage[s]とCRG_OVERRIDEPage[s]のそれぞれに0を設定する(S1304)。
【0094】
第四の実施形態によれば、トナーカートリッジの継続使用が指定された場合でも、そのトナーカートリッジを用いて所定枚数が印刷された後は、トナーカートリッジを交換可能位置に移動するようにする。
【0095】
<その他の実施形態>
本発明に係る印刷装置はレーザビームプリンタに限られるものではなく、他のプリント方式の印刷装置であってもよい。
【0096】
上記では、トナーを使って印刷をする印刷装置を例にするが、本発明は、インクやトナーなどの記録材を使って印刷をする印刷装置に適用可能である。
【0097】
また、記録材を格納する格納手段を記録材の補給可能な位置に移動するというのは、例えば、トナーカートリッジ、インクカートリッジまたはインクタンクを交換可能位置に移動することを含む。また、トナーカートリッジにトナーを追加することを可能とする位置に当該トナーカートリッジを移動することや、インクカートリッジにインクを追加することを可能とする位置に当該インクカートリッジを移動することも含む。
【0098】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0099】
1 CPU
2 RAM
3 ROM
4 システムバス
5 キーボードコントローラ
6 CRTコントローラ
7 外部メモリコントローラ
8 通信部
9 キーボード
10 CRTディスプレイ
11 外部メモリ
12 CPU
13 RAM
14 操作部
15 システムバス
16 印刷部インタフェース
17 印刷部
18 通信部
19 RAM
20 メモリコントローラ
21 外部メモリ
23 ハードディスク
24 双方向インタフェース
100 コンピュータ
101 印刷装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材を使って印刷をする印刷装置であって、
記録材を格納する格納手段と、
記録材がないと判断された格納手段を記録材の補給が可能な位置に移動する移動手段と、
ユーザの指示に従って、記録材がないと判断された格納手段の使用を継続することを設定する設定手段とを有し、
前記移動手段は、記録材がないと判断された格納手段の使用を継続することが設定されている場合、記録材がないとの判断に従っては、当該格納手段を前記位置に移動しないことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記移動手段は、記録材がないと判断された格納手段の使用を継続することが設定されている場合でも、当該格納手段の交換の指示に従って、当該格納手段を前記位置に移動することを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
記録材がないと判断された第一の格納手段とは異なる第二の格納手段で記録材がないと判断された場合に前記第一の格納手段を前記位置に移動するか否かを選択する選択手段を有し、
前記第一の格納手段を前記位置に移動することが選択された場合、前記移動手段は、前記第一の格納手段及び前記第二の格納手段を前記位置に移動することを特徴とする請求項1または2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記第一の格納手段を前記位置に移動しないことが選択された場合、前記移動手段は、前記第一の格納手段を前記位置に移動せず、前記第二の格納手段を前記位置に移動することを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
記録材がないと判断された格納手段の使用を継続することが設定された後、当該格納手段を用いて印刷されたページ数が所定数に達した場合、前記移動手段は、当該格納手段を前記位置に移動することを特徴とする請求項1または2に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記記録材はトナーであり、前記格納手段はトナーカートリッジであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記移動手段は、複数の格納手段を回転して、記録材がないと判断された格納手段を前記位置に移動することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項8】
記録材の補給とは格納手段の交換を含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の印刷装置。
【請求項9】
記録材を格納する格納手段を有し、記録材を使って印刷をする印刷装置で行われる制御方法であって、
記録材がないと判断された格納手段を記録材の補給が可能な位置に移動する移動ステップと、
ユーザの指示に従って、記録材がないと判断された格納手段の使用を継続することを設定する設定ステップとを有し、
記録材がないと判断された格納手段の使用を継続することが設定されている場合、記録材がないとの判断に従っては、当該格納手段を前記位置に移動しないことを特徴とする制御方法。
【請求項10】
記録材を格納する格納手段を有し、記録材を使って印刷をする印刷装置のコンピュータにより読み取り可能なプログラムであって、
記録材がないと判断された格納手段を記録材の補給が可能な位置に移動する移動ステップと、
ユーザの指示に従って、記録材がないと判断された格納手段の使用を継続することを設定する設定ステップとをコンピュータに実行させ、
記録材がないと判断された格納手段の使用を継続することが設定されている場合、記録材がないとの判断に従っては、当該格納手段を前記位置に移動しないようにコンピュータを制御することを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−25030(P2013−25030A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159012(P2011−159012)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】