説明

印刷装置、色変換方法、プログラム及び記録媒体

【課題】光沢材と着色材とを用いて印刷を行う印刷装置において、画像のハイライト領域における階調再現性の低下を抑制する。
【解決手段】印刷装置は、光沢材と着色材とを用いて画像を印刷する印刷装置であり、画像を構成する画素のうち、明るさに関連する指標値が第1の所定値以上のハイライト部に属する画素について、指標値がハイライト部に属しない画素に比べて、階調変化に対する明るさの変化度合いを大きくなるように、画像の色を光沢材及び着色材により表現される印刷色に変換する色変換部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光沢材と着色材とを用いて印刷を行う印刷技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、金属光沢感を発現するインク(メタリックインク)を用いて、様々な色調のメタリック色を有する画像を印刷する技術が提案されている。例えば、印刷媒体上にメタリックインクの層を形成し、その上にカラーインクを重畳させて印刷する技術が提案されている(特許文献1)。また、例えば、透明な印刷媒体上に、カラーインクの層を形成し、その上にメタリックインクを重畳させて印刷する技術が提案されている(特許文献2)。この技術では、透明な印刷媒体のうち、印刷面の反対面からカラーインク層により描かれた画像を観察するので、観察者から見るとメタリックインクが下地となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−50555号公報
【特許文献2】特開2001−1560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
メタリックインクとカラーインクとを重畳させて印刷する技術を用いる場合、例えば、インクジェット式プリンターにおいては、メタリックインクを用いる分だけカラーインクのデューティーが低下するために、画像におけるカラーインク量が少なく明るい領域(ハイライト領域)においてメタリック層の光沢発現効果(キラキラと輝く効果)が相対的に高く感じられる。したがって、かかる光沢発現効果によってカラーインク層の色が視認し難くなり、画素の階調変化に対する明度や彩度の変化の度合い(階調再現性)が低下する。加えて、メタリックインク自体の明度が比較的低い(暗い)ために、ハイライト領域では、カラーインク量を低減させても、明るさの増加度合いが低くなり、階調再現性が低下するという問題があった。
【0005】
上記課題は、金属光沢感を発現する金属顔料を含有するメタリックインクに限らず、例えば、真珠光沢に類似した光沢感を発現する顔料を含有したインク等、光沢感を発現する任意の光沢材を用いる場合に共通する問題であった。また、インクジェット式プリンターに限らず、光沢材と着色材とを用いて印刷を行う種々の印刷装置に共通する問題であった。
【0006】
本発明は、光沢材と着色材とを用いて印刷を行う印刷装置において、画像のハイライト領域における階調再現性の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]光沢材と着色材とを用いて画像を印刷する印刷装置であって、
前記画像を構成する画素のうち、明るさに関連する指標値が第1の所定値以上のハイライト部に属する画素について、前記指標値が前記ハイライト部に属しない画素に比べて、階調変化に対する明るさの変化度合いが大きくなるように、前記画像の色を前記光沢材及び前記着色材により表現される印刷色に変換する色変換部を備える、印刷装置。
【0009】
適用例1の印刷装置では、明るさに関連する指標値が第1の所定値以上のハイライト部に属する画素について、ハイライト部に属しない画素に比べて、階調変化に対する明るさの変化度合いを大きくして、画像の色を印刷色に変換するので、画像のハイライト領域において、階調変化に対する明るさの変化度合いを大きくすることができる。したがって、適用例1の印刷装置によると、光沢材と着色材とを用いて印刷を行う印刷装置を用いて印刷を行った場合に、得られた画像のハイライト領域における階調再現性の低下を抑制することができる。
【0010】
[適用例2]適用例1に記載の印刷装置において、
前記色変換部は、前記画像を構成する画素のうち、前記指標値が前記ハイライト部に属する画素について、前記指標値が前記ハイライト領域に属しない画素に比べて、階調変化に対する明るさの変化度合いを大きくする色変換用LUTを用いて、前記画像の色を前記印刷色に変換する、印刷装置。
【0011】
このような構成により、色変換用LUTを用いて色変換を行うことで、指標値がハイライト部に属する画素について、指標値がハイライト部に属しない画素に比べて、階調変化に対する明るさの変化度合いを大きくして、画像の色を印刷色に変換することができる。加えて、予め色変換用LUTが、指標値がハイライト部に属する画素について、指標値がハイライト部に属しない画素に比べて、階調変化に対する明るさの変化度合いを大きくして、画像の色を印刷色に変換するように設定されているので、画像を印刷するたびに、画像を構成する画素について階調変化に対する明るさの変化度合いを調整せずに済み、印刷に要する期間を短くすることができる。
【0012】
[適用例3]適用例1に記載の印刷装置において、
前記色変換部は、
前記画像を構成する画素のうち、前記指標値が前記ハイライト領域に属する画素について、前記指標値が前記ハイライト領域に属しない画素に比べて、階調変化に対する明るさの変化度合いを大きくする明るさ調整部と、
前記画像の色と前記印刷色とを対応付ける色変換用LUTと、
前記明るさ変換部により調整後の前記画像の色を、前記色変換用LUTを用いて前記印刷色に変換する変換部と、
を備える印刷装置。
【0013】
このような構成により、指標値がハイライト部に属する画素について、指標値がハイライト部に属しない画素に比べて、階調変化に対する明るさの変化度合いを大きくして、画像の色を印刷色に変換することができる。加えて、色変換用LUTとして、階調変化に対する明るさの変化度合いを調整していない、印刷装置用の既存LUTを用いることができるので、LUTを更新する場合に、容易にLUTを更新することができる。
【0014】
[適用例4]適用例1ないし適用例3のいずれかに記載の印刷装置において、
前記色変換部は、前記画像を構成する画素のうち、前記指標値が前記第1の所定値よりも低い第2の所定値以下のシャドー部に属する画素について、前記指標値が前記シャドー部に属しない画素に比べて、前記光沢材の量が少なくなるように、前記画像の色を前記印刷色に変換する、印刷装置。
【0015】
このような構成により、画像のシャドー領域(比較的暗い領域)において、光沢材の使用量を低減させることができる。シャドー領域では、着色材の使用量が多くなることから、光沢材による光沢発現効果が比較的小さいので、効率的に、光沢材の使用量を低減させることができる。また、印刷装置がインクジェットプリンターである場合には、着色材のにじみ等の問題から、光沢材の使用量の分だけ着色材の使用量が余計に制限されることとなり、その結果、着色材の使用量が多いシャドー領域では色再現範囲が狭くなるが、かかる問題も抑制することができる。
【0016】
[適用例5]光沢材と着色材とを用いて画像を印刷する印刷装置であって、
前記画像を構成する画素のうち、明るさに関連する指標値が第1の所定値以上のハイライト部に属する画素であって彩度が所定値以下の画素である低彩度画素について、前記指標値が前記ハイライト部に属しない画素に比べて、階調変化に対する彩度の変化度合いが大きくなるように、前記画像の色を、前記光沢材及び前記着色材により表現される印刷色に変換する色変換部を備える、印刷装置。
【0017】
適用例5の印刷装置では、明るさに関連する指標値が第1の所定値以上のハイライト部に属する画素であって、彩度が所定値以下の画素である低彩度画素について、指標値がハイライト部に属しない画素に比べて、階調変化に対する彩度の変化度合いを大きくして、画像の色を印刷色に変換するので、画像のハイライト領域において、階調変化に対する彩度の変化度合いを大きくすることができる。指標値がハイライト部に属する画素であって、彩度が所定値以下の画素(低彩度画素)とは、比較的明るく色合いの薄い画像を表わす画素である。色合いの薄い画素は、鮮やかさが低いために階調変化が認識し難い。したがって、適用例5の印刷装置によると、光沢材と着色材とを用いて印刷を行う印刷装置を用いて印刷を行った場合に、得られた画像のハイライト領域における階調再現性の低下を抑制することができる。
【0018】
[適用例6]適用例5に記載の印刷装置において、
前記色変換部は、前記画像を構成する画素のうち、前記低彩度画素について、前記指標値が前記ハイライト領域に属しない画素に比べて、階調変化に対する彩度の変化度合いを大きくする色変換用LUTを用いて、前記画像の色を前記印刷色に変換する、印刷装置。
【0019】
このような構成により、色変換用LUTを用いて色変換を行うことで、低彩度画素について、指標値がハイライト部に属しない画素に比べて、階調変化に対する彩度の変化度合いを大きくして、画像の色を印刷色に変換することができる。加えて、予め色変換用LUTが、低彩度画素について、指標値がハイライト部に属しない画素に比べて、階調変化に対する彩度の変化度合いを大きくして、画像の色を印刷色に変換するように設定されているので、画像を印刷するたびに、画像を構成する画素について階調変化に対する彩度の変化度合いを調整せずに済み、印刷に要する期間を短くすることができる。
【0020】
[適用例7]適用例5に記載の印刷装置において、
前記色変換部は、
前記画像を構成する画素のうち、前記低彩度画素について、前記指標値が前記ハイライト領域に属しない画素に比べて、階調変化に対する彩度の変化度合いを大きくする彩度調整部と、
前記画像の色と前記印刷色とを対応付ける色変換用LUTと、
前記彩度調整部により調整後の前記画像の色を、前記色変換用LUTを用いて前記印刷色に変換する変換部と、
を備える印刷装置。
【0021】
このような構成により、指標値がハイライト部に属する画素について、指標値がハイライト部に属しない画素に比べて、階調変化に対する彩度の変化度合いを大きくして、画像の色を印刷色に変換することができる。加えて、色変換用LUTとして、階調変化に対する彩度の変化度合いを調整していない、印刷装置用の既存LUTを用いることができるので、LUTを更新する場合などに、容易にLUTを更新することができる。
【0022】
[適用例8]適用例5ないし適用例7のいずれかに記載の印刷装置において、
前記色変換部は、前記画像を構成する画素のうち、前記指標値が前記第1の所定値よりも低い第2の所定値以下のシャドー部に属する画素について、前記指標値が前記シャドー部に属しない画素に比べて、前記光沢材の量が少なくなるように、前記画像の色を前記印刷色に変換する、印刷装置。
【0023】
このような構成により、画像のシャドー領域(比較的暗い領域)において、光沢材の使用量を低減させることができる。シャドー領域では、着色材の使用量が多くなることから、光沢材による光沢発現効果が比較的小さいので、効率的に、光沢材の使用量を低減させることができる。また、印刷装置がインクジェットプリンターである場合には、着色材のにじみ等の問題から、光沢材の使用量の分だけ着色材の使用量が余計に制限されることとなり、その結果、着色材の使用量が多いシャドー領域では色再現範囲が狭くなるが、かかる問題も抑制することができる。
【0024】
[適用例9]光沢材と着色材とを用いて画像を印刷する印刷装置を制御する印刷制御装置であって、
前記画像を構成する画素のうち、明るさに関連する指標値が第1の所定値以上のハイライト部に属する画素について、前記指標値が前記ハイライト部に属しない画素に比べて、階調変化に対する明るさの変化度合いが大きくなるように、前記画像の色を前記光沢材及び前記着色材により表現される印刷色に変換する色変換部を備える、印刷制御装置。
【0025】
適用例9の印刷制御装置では、明るさに関連する指標値が第1の所定値以上のハイライト部に属する画素について、ハイライト部に属しない画素に比べて、階調変化に対する明るさの変化度合いを大きくして、画像の色を印刷色に変換するので、画像のハイライト領域において、階調変化に対する明るさの変化度合いを大きくすることができる。したがって、適用例9の印刷制御装置によると、光沢材と着色材とを用いて印刷を行う印刷装置を用いて印刷を行った場合に、得られた画像のハイライト領域における階調再現性の低下を抑制することができる。
【0026】
[適用例10]光沢材と着色材とを用いて画像を印刷する印刷装置を制御する印刷制御装置であって、
前記画像を構成する画素のうち、明るさに関連する指標値が第1の所定値以上のハイライト部に属する画素であって彩度が所定値以下の画素である低彩度画素について、前記指標値が前記ハイライト部に属しない画素に比べて、階調変化に対する彩度の変化度合いが大きくなるように、前記画像の色を、前記光沢材及び前記着色材により表現される印刷色に変換する色変換部を備える、印刷制御装置。
【0027】
適用例10の印刷制御装置では、明るさに関連する指標値が第1の所定値以上のハイライト部に属する画素であって、彩度が所定値以下の画素である低彩度画素について、指標値がハイライト部に属しない画素に比べて、階調変化に対する彩度の変化度合いを大きくして、画像の色を印刷色に変換するので、画像のハイライト領域において、階調変化に対する彩度の変化度合いを大きくすることができる。指標値がハイライト部に属する画素であって、彩度が所定値以下の画素(低彩度画素)とは、比較的明るく色合いの薄い画像を表わす画素である。色合いの薄い画素は、鮮やかさが低いために階調変化が認識し難い。したがって、適用例10の印刷制御装置によると、光沢材と着色材とを用いて印刷を行う印刷装置を用いて印刷を行った場合に、得られた画像のハイライト領域における階調再現性の低下を抑制することができる。
【0028】
[適用例11]画像の色を、印刷装置において用いられる光沢材及び着色材により表現される印刷色に変換する色変換方法であって、
前記画像を構成する画素のうち、明るさに関連する指標値が第1の所定値以上のハイライト部に属する画素について、前記指標値が前記ハイライト部に属しない画素に比べて、階調変化に対する明るさの変化度合いが大きくなるように、前記画像の色を前記印刷色に変換する工程を備える、色変換方法。
【0029】
適用例11の色変換方法では、明るさに関連する指標値が第1の所定値以上のハイライト部に属する画素について、ハイライト部に属しない画素に比べて、階調変化に対する明るさの変化度合いを大きくして、画像の色を印刷色に変換するので、印刷装置により印刷された画像のハイライト領域において、階調変化に対する明るさの変化度合いを大きくすることができる。したがって、適用例11の色変換方法によると、光沢材と着色材とを用いて印刷を行う印刷装置を用いて印刷を行った場合に、得られた画像のハイライト領域における階調再現性の低下を抑制することができる。
【0030】
[適用例12]画像の色を、印刷装置において用いられる光沢材及び着色材により表現される印刷色に変換する色変換方法であって、
前記画像を構成する画素のうち、明るさに関連する指標値が第1の所定値以上のハイライト部に属する画素であって彩度が所定値以下の画素である低彩度画素について、前記指標値が前記ハイライト部に属しない画素に比べて、階調変化に対する彩度の変化度合いが大きくなるように、前記画像の色を、前記印刷色に変換する工程を備える、色変換方法。
【0031】
適用例12の色変換方法では、明るさに関連する指標値が第1の所定値以上のハイライト部に属する画素であって、彩度が所定値以下の画素である低彩度画素について、指標値がハイライト部に属しない画素に比べて、階調変化に対する彩度の変化度合いを大きくして、画像の色を印刷色に変換するので、印刷装置により印刷された画像のハイライト領域において、階調変化に対する彩度の変化度合いを大きくすることができる。指標値がハイライト部に属する画素であって、彩度が所定値以下の画素(低彩度画素)とは、比較的明るく色合いの薄い画像を表わす画素である。色合いの薄い画素は、鮮やかさが低いために階調変化が認識し難い。したがって、適用例12の色変換方法によると、光沢材と着色材とを用いて印刷を行う印刷装置を用いて印刷を行った場合に、得られた画像のハイライト領域における階調再現性の低下を抑制することができる。
【0032】
[適用例13]画像の色を、印刷装置において用いられる光沢材及び着色材により表現される印刷色に変換するためのプログラムであって、
前記画像を構成する画素のうち、明るさに関連する指標値が第1の所定値以上のハイライト部に属する画素について、前記指標値が前記ハイライト部に属しない画素に比べて、階調変化に対する明るさの変化度合いが大きくなるように、前記画像の色を前記印刷色に変換する機能を、コンピューターに実現させるためのプログラム。
【0033】
適用例13のプログラムでは、明るさに関連する指標値が第1の所定値以上のハイライト部に属する画素について、ハイライト部に属しない画素に比べて、階調変化に対する明るさの変化度合いを大きくして、画像の色を印刷色に変換するので、印刷装置により印刷された画像のハイライト領域において、階調変化に対する明るさの変化度合いを大きくすることができる。したがって、適用例13のプログラムによると、光沢材と着色材とを用いて印刷を行う印刷装置を用いて印刷を行った場合に、得られた画像のハイライト領域における階調再現性の低下を抑制することができる。
【0034】
[適用例14]画像の色を、印刷装置において用いられる光沢材及び着色材により表現される印刷色に変換するためのプログラムであって、
前記画像を構成する画素のうち、明るさに関連する指標値が第1の所定値以上のハイライト部に属する画素であって彩度が所定値以下の画素である低彩度画素について、前記指標値が前記ハイライト部に属しない画素に比べて、階調変化に対する彩度の変化度合いが大きくなるように、前記画像の色を、前記印刷色に変換する機能を、コンピューターに実現させるためのプログラム。
【0035】
適用例14のプログラムでは、明るさに関連する指標値が第1の所定値以上のハイライト部に属する画素であって、彩度が所定値以下の画素である低彩度画素について、指標値がハイライト部に属しない画素に比べて、階調変化に対する彩度の変化度合いを大きくして、画像の色を印刷色に変換するので、印刷装置により印刷された画像のハイライト領域において、階調変化に対する彩度の変化度合いを大きくすることができる。指標値がハイライト部に属する画素であって、彩度が所定値以下の画素(低彩度画素)とは、比較的明るく色合いの薄い画像を表わす画素である。色合いの薄い画素は、鮮やかさが低いために階調変化が認識し難い。したがって、適用例14のプログラムによると、光沢材と着色材とを用いて印刷を行う印刷装置を用いて印刷を行った場合に、得られた画像のハイライト領域における階調再現性の低下を抑制することができる。
【0036】
[適用例15]適用例13または適用例14に記載のプログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体。
【0037】
このような構成により、かかる記録媒体を用いてコンピューターにプログラムを読み取らせ、各機能を実現させることができる。
【0038】
なお、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、色変換用LUT、色変換用LUT作成方法、LUT作成のためのコンピュータープログラム及びそのコンピュータープログラムを記録した記録媒体、等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施例としてのプリンターの概略構成図である。
【図2】本実施例における印刷処理のフローチャートである。
【図3】図1に示すLUTの作成手順を示すフローチャートである。
【図4】図1に示す明度調整用LUTの設定内容を模式的に示す説明図である。
【図5】第2実施例における印刷処理の手順を示す説明図である。
【図6】第3実施例におけるプリンターの概略構成図である。
【図7】第3実施例における第2LUTの作成処理の手順を示すフローチャートである。
【図8】図6に示す彩度調整用LUTの設定内容を示す説明図である。
【図9】第3実施例における印刷処理のフローチャートである。
【図10】第4実施例におけるLUT作成処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】第4の実施例におけるプリンターの入力値に係るRGB色空間を模式的に示す説明図である。
【図12】カラーラインCL1における単独カラーパッチ及び重畳カラーパッチについての各色階調とステップS235において測色したL*との関係を示す説明図である。
【図13】カラーラインCL4における各色階調とL*との関係を示す説明図である。
【図14】第5実施例におけるLUT作成処理の手順を示す第1のフローチャートである。
【図15】第5実施例におけるLUT作成処理の手順を示す第2のフローチャートである。
【図16】第5実施例におけるメタリックインク低減領域を設定する方法を模式的に示す説明図である。
【図17】図16に示す楕円体形状を決定する方法を模式的に示す説明図である。
【図18】LUTの格子点がメタリックインク低減領域に含まれるか否かを判定する方法を模式的に示す説明図である。
【図19】LUTを用いて色変換を行って得られた画像を印刷した場合に印刷媒体上において観察されるメタリックインク量を模式的に示す説明図である。
【図20】第6実施例におけるメタリックインク低減領域を設定する方法を模式的に示す説明図である。
【図21】第6実施例におけるLUTの格子点がメタリックインク低減領域に含まれるか否かを判定する方法を模式的に示す説明図である。
【図22】第7実施例におけるメタリックインク低減領域を設定する方法を模式的に示す説明図である。
【図23】変形例1においてメタリックインク量を決定するために用いるテーブルの設定内容を示す説明図である。
【図24】変形例12における本発明のコンピューターへの適用例を示す説明図である。
【図25】変形例13におけるメタリックインク低減領域に含まれる格子点に対してメタリックインク量を設定する方法を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
A.第1実施例:
A1.印刷装置の構成:
図1は、本発明の一実施例としてのプリンターの概略構成図である。プリンター20は、インクジェット式プリンターであり、紙送りモーター74によって印刷媒体Pを搬送する機構と、キャリッジモーター70によってキャリッジ80をプラテン75の軸方向に往復動させる機構と、キャリッジ80に搭載された印刷ヘッド81を駆動してインクの吐出及びドット形成を行う機構と、紙送りモーター74,キャリッジモーター70及び印刷ヘッド81との信号のやり取りを司る制御ユニット30とを備えている。
【0041】
キャリッジ80をプラテン75の軸方向に往復動させる機構は、プラテン75の軸と並行に架設され、キャリッジ80を摺動可能に保持する摺動軸73と、キャリッジモーター70との間に無端の駆動ベルト71を張設するプーリー72等から構成されている。
【0042】
キャリッジ80には、カラーインクとして、シアンインクCと、マゼンタインクMと、イエロインクYと、ブラックインクKとをそれぞれ収容したカラーインク用のインクカートリッジ82〜85が搭載される。また、キャリッジ80には、メタリックインクSを収容したメタリックインク用のインクカートリッジ86が搭載される。キャリッジ80の下部の印刷ヘッド81には、上述の各色のカラーインク及びメタリックインクSに対応するノズル列が形成されている。キャリッジ80にこれらのインクカートリッジ82〜86を上方から装着すると、各カートリッジから印刷ヘッド81へのインクの供給が可能となる。
【0043】
なお、本実施形態において「カラーインク」という場合には、ブラックインクも含む概念を意味する。また、本実施例においては、カラーインクには、顔料インクを用いる。
【0044】
また、メタリックインクとは、印刷物がメタリック感を発現するインクであり、このようなメタリックインクとしては、例えば、金属顔料と有機溶剤と樹脂とを含む油性インク組成物を用いることができる。視覚的に金属的な質感を効果的に生じさせるためには、前述の金属顔料は、平板状の粒子であることが好ましく、この平板状粒子の平面上の長径をX、短径をY、厚みをZとした場合、平板状粒子のX−Y平面の面積より求めた円相当径の50%平均粒子径R50が0.5〜3μmであり、かつ、R50/Z>5の条件を満たすことが好ましい。このような金属顔料は、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金によって形成することができ、また、金属蒸着膜を破砕して作成することも可能である。メタリックインクに含まれる金属顔料の濃度は、例えば、0.1〜10.0重量%とすることができる。もちろん、メタリックインクはこのような組成に限らず、メタリック感が生じる組成であれば他の組成を適宜採用することが可能である。
【0045】
本実施例では、メタリックインクSの組成は、アルミニウム顔料1.5重量%、グリセリン20重量%、トリエチレングリコールモノブチルエーテル40重量%、BYK−UV3500(ビックケミー・ジャパン株式会社製)0.1重量%とした。
【0046】
制御ユニット30は、CPU40と、ROM51と、RAM52と、EEPROM60とが互いにバスで接続された構成を有する。また、制御ユニット30にはメモリカードスロット91が接続されている。メモリカードスロット91は、画像データORGを記録しているメモリカードMCを収容する。本実施例においては、画像データORGは、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の3色の色成分からなるデータである。
【0047】
CPU40は、ROM51やEEPROM60に記憶されたプログラムをRAM52に展開し、実行することにより、入力部41、LUT作成部42、色変換部43、ハーフトーン処理部44、インターレース処理部45及び印刷制御部46として機能する。
【0048】
入力部41は、メモリカードスロット91に挿入されたメモリカードMCから画像データORGを読み込む。LUT作成部42は、後述するLUT作成処理を実行する。色変換部43は、画像データORG(R,G,B)を、インク色(CMYKS)のデータに変換する。ハーフトーン処理部44は、ハーフトーン処理を実行する。インターレース処理部45は、1回の主走査単位で印画するドットパターンデータに並び替えるインターレース処理を行う。印刷制御部46は、キャリッジ80の往復動や紙送りを制御すると共に、印刷ヘッド81を駆動して、印刷媒体Pへのインク吐出を制御する。
【0049】
EEPROM60には、ルックアップテーブル(LUT)62が記憶されている。LUT62は、RGB形式の入力値とCMYKS形式の出力値とを対応付けるテーブルである。また、EEPROM60には、明度調整用LUT63が記憶されている。なお、明度調整用LUT63の詳細については後述する。
【0050】
以上のようなハードウェア構成を有するプリンター20は、キャリッジモーター70を駆動することによって、印刷ヘッド81を印刷媒体Pに対して主走査方向に往復動させ、また、紙送りモーター74を駆動することによって、印刷媒体Pを副走査方向に移動させる。制御ユニット30(印刷制御部46)は、キャリッジ80が往復動する動き(主走査)や、印刷媒体の紙送りの動き(副走査)に合わせて、印刷データに基づいて適切なタイミングでノズルを駆動することにより、印刷媒体P上の適切な位置に適切な色のインクドットを形成する。このようにして、プリンター20は、メモリカードMCから入力した画像データORGに基づき、画像をメタリック印刷(カラーインクのドットとメタリックインクのドットとが混在する印刷)することができる。
【0051】
プリンター20では、後述するLUT作成処理により作成されたLUT62を用いて色変換を行うことにより、カラーインクに加えてメタリックインクSを用いて印刷する場合に、画像における明るい領域(ハイライト領域)での階調再現性の低下を抑制できる。なお、前述の色変換部43及びLUT62は、請求項における色変換部43に相当する。
【0052】
A2.印刷処理:
図2は、本実施例における印刷処理のフローチャートである。ユーザーが図示しない操作パネルにおいて印刷処理を指示すると、プリンター20において印刷処理が開始される。入力部41は、メモリカードスロット91を介してメモリカードMCから印刷対象であるRGB形式の画像データORGを読み込む(ステップS105)。
【0053】
色変換部43は、EEPROM60に記憶されたLUT62に基づいて、画像データORGを、プリンター20が表現可能なCMYK形式の画像データに変換する(ステップS110)。なお、LUT62は、他の記憶媒体、例えば、プリンター20が備える図示しないハードディスクドライブに記憶されていてもよいし、プリンター20に接続された図示しないコンピューター等からダウンロードする構成としてもよい。
【0054】
ハーフトーン処理部44は、色変換処理した画像データを各色のドットのON/OFFデータに変換するハーフトーン処理を行う(ステップS115)。このとき、ハーフトーン処理部44は、メタリックインクSについては、全ての画素について、インクデューティーが一律30%となるように設定する。メタリックインクSのインクデューティーを30%としているのは、本実施例の印刷条件においては、メタリックインクSにより発現するメタリック感がインクデューティー30%で最も視覚的に認識できるからである。
【0055】
ハーフトーン処理の具体的な方法としては、周知の方法、例えば、組織的ディザー法,誤差拡散法,濃度パターン法などを採用することができる。インターレース処理部45は、インターレース処理を行う(ステップS120)。インターレース処理を行うと、印刷制御部46は、ドットパターンデータに基づいて、キャリッジモーター70、紙送りモーター74及び印刷ヘッド81を駆動し、印刷ヘッド81からメタリックインクS及びカラーインクを吐出させて、メタリック印刷を実行する(ステップS125)。
【0056】
このとき、先にメタリックインクSを吐出してメタリックインク層を形成し、その後、メタリック層の上にカラーインクを吐出してカラーインク層を形成する印刷方式(表印刷)を採用することができる。この表印刷は、観察者がカラーインク側から観察することを想定した印刷である。また、先にカラーインク層を形成し、その後、カラーインク層の上にメタリックインクSを吐出してメタリックインク層を形成する印刷方式(裏印刷)を採用することもできる。この裏印刷は、印刷媒体Pが透明であることを前提として、観察者が印刷媒体Pにおける印刷面とは反対面側から観察することを想定した印刷である。
【0057】
なお、いずれの印刷方式においても、先に印刷媒体Pの全面にメタリックインクS又はカラーインクを吐出しておき、その後、印刷媒体Pの全面にカラーインク又はメタリックインクSを吐出する方法を採用することができる。また、表印刷として、各色のノズル列を、印刷媒体Pの紙送り方向に沿って、上流側ノズル群と下流側ノズル群とに分けて、或るパスにおいて、メタリックインクS用の上流側ノズル群でメタリックインクSを吐出すると共にカラーインク用の下流側ノズル群でカラーインクを吐出し、ノズル群の距離だけ印刷媒体Pを搬送した後、次のパスにおいて同様にメタリックインクS及びカラーインクを吐出することを繰り返す方法を採用することができる。なお、裏印刷についても同様な方法を採用することができる。
【0058】
A3.LUT作成処理:
図3は、図1に示すLUTの作成手順を示すフローチャートである。LUT62の作成は、プリンター20の出荷前に実行することができる。また、プリンター20の初期起動時、或いは初期起動後の任意のタイミングでユーザーが実行することもできる。
【0059】
まず、プリンター20用の既存のLUTを用意する(ステップS205)。本実施例において、既存のLUTとは、RGB形式の値(入力値)とCMYK形式の値(出力値)との対応関係を記載した(すなわち、メタリックインクSの出力値が記載されていない)LUTを意味する。このようなLUTとしては、例えば、R,G,Bの各軸上に、17個の等間隔に並んだ参照点ごとに、C,M,Y,Kの各値が対応付けられて設定されているLUTを用いることができる。
【0060】
既存のLUTは、カラーインクとメタリックインクSとを重畳して印刷を行う際に用いるLUT62を作成するための基礎とするLUTであるので、出力値にメタリックインクSを含まない条件で作成された通常のLUTと比較して、メタリックインクSが重畳される分だけ、カラーインクのインクデューティー制限値を低減させて作成されたLUTである。カラーインクのインクデューティー制限値とは、印刷媒体の単位面積中に吐出可能なカラーインクの合計量の上限値である。インクジェット式プリンターでは、印刷媒体の単位面積中に多量のインクを吐出すると、インクのにじみが生じて、好適な色表現を行えなくなることから、このような制限が設けられる。なお、インクデューティー制限値は、印刷媒体やインクの種類等の印刷条件によって異なる。
【0061】
LUT作成部42は、ステップS205で用意された既存LUTの各参照点(R,G,BとC,M,Y,Kの対応関係が定義されている点)について、R,G,BからL*(明度),C*(彩度),h(色相角度)に変換する(ステップS210)。この色空間の変換は公知の方法、例えば、sRGB(standard RGB)をL*C*hに変換する方法や、AdobeRGBをL*C*hに変換する方法などを用いて行うことができる。
【0062】
LUT作成部42は、図1に示す明度調整用LUT63を用いて、各参照点のL*の値(明度)を調整する(ステップS215)。
【0063】
図4は、図1に示す明度調整用LUTの設定内容を模式的に示す説明図である。図4において、横軸は入力L*値を示し、縦軸は出力L*値を示す。また、図4において太い実線は、明度調整用LUT63を模式的に示している。明度調整用LUT63は、入力L*値を、出力L*値に変換するためのLUTである。
【0064】
図4に示すように、明度調整用LUT63では、ハイライト部Ah(80≦L*≦100)においては、入力L*値の増加に対する出力L*値の増加度合いが、ハイライト部Ahを除く他の領域における入力L*値の増加に対する出力L*値の増加度合いに比べて大きくなるように設定されている。加えて、ハイライト部Ahにおいては、入力L*値の増加に対する出力L*値の増加度合いが、明度調整前における入力L*値の増加に対する出力L*値の増加度合い(破線で示す直線の傾き)に比べて大きくなるように設定されている。
【0065】
次に、LUT作成部42は、ステップS210で得られた各参照点のL*C*hの各値のうち、L*について、ステップS215で調整されたL*で置き換え、置き換え後のL*C*hをRGBに変換して、調整後の新たな参照点(R’,G’,B’)を得ると共に、新たな参照点(R’,G’,B’)に対応するC,M,Y,Kの各値(インク量)を決定する(ステップS220)。前述のように、ハイライト部Ahにおいては、入力L*値の増加に対する出力L*の増加度合いが大きいので、ハイライト部Ahに属する参照点(すなわち、L*値が80≦L*≦100を満たす参照点)については、1階調当たりの明度の差がより大きくなるように新たな参照点が決定される。新たな参照点に対応するC,M,Y,Kの各インク量は、例えば、既存LUTの各参照点のインク量に基づき補間演算することにより得ることができる。
【0066】
次に、LUT作成部42は、算出した新たな参照点(R’,G’,B’)でのC,M,Y,Kの各値を、色変換用のLUT(LUT62)の参照点(R,G,B)でのインク量として使用するようにLUT62に書き込み、色変換用のLUT(LUT62)を再構築する(ステップS225)。
【0067】
このようにして得られたLUT62では、ハイライト部Ahに対応するRGB色空間の領域に属する参照点については、RGB色空間の他の領域に属する参照点に比べて、隣接する2つの参照点に対応付けられたインク色(C,M,Y,Kの各値)の明度の差(すなわち、1階調当たりのインク色の明度の差)が、より大きい。
【0068】
このようなLUT62を用いて前述のステップS110で入力画像を色変換した場合、ハイライト部Ahに属する画素(L*の値が80≦L*≦100である画素)については、ハイライト部Ahに属しない入力画素に比べて、入力画素のL*値の増加に対する実際の印刷により得られた色のL*の増加度合いが、より大きくなる。したがって、印刷画像のうち、明るい領域での階調再現性が向上することとなる。
【0069】
以上説明したように、第1実施例のプリンター20では、色変換に用いるLUT62として、ハイライト部Ahに属する入力画素の1階調当たりのインク色の明度の差が、ハイライト部Ahに属しない入力画素の1階調当たりのインク色の明度の差よりも大きくなるように設定されたLUTを用いるので、印刷画像におけるハイライト領域において、カラーインクによる階調再現性を向上させることができる。したがって、カラーインクに加えてメタリックインクSを用いて印刷する場合であっても、印刷画像のハイライト領域における階調再現性の低下を抑制できる。
【0070】
加えて、予めLUT62を、ハイライト領域おけるカラーインクによる階調再現性を向上させるように設定しておくので、印刷のたびに調整する必要がなく、印刷に要する期間を短くすることができる。
【0071】
B.第2実施例:
図5は、第2実施例における印刷処理の手順を示す説明図である。第2実施例のプリンターは、印刷処理において、ステップS106〜S108を追加して実行する点と、LUT62が既存のLUTである点とにおいて、図1に示すプリンター20と異なり、他の構成は、第1実施例と同じである。
【0072】
第1実施例のプリンター20では、ハイライト部Ahに属する入力画素の1階調当たりのインク色の明度の差が、ハイライト部Ahに属しない入力画素の1階調当たりのインク色の明度の差よりも大きくなるように設定されたLUT62を用いて色変換を行うことにより、カラーインクによる階調再現性を向上させていた。これに対し、第2実施例のプリンターでは、印刷処理において、入力画像(R,G,B)を調整することにより、カラーインクによる階調再現性を向上させる。
【0073】
具体的には、図5に示す印刷処理において、上述したステップS105の処理の後、色変換部43は、ステップS105で読み込んだ各画素について、R,G,BからL*(明度),C*(彩度),h(色相角度)に変換する(ステップS106)。この色空間の変換は、公知の方法を用いて行うことができる。
【0074】
色変換部43は、明度調整用LUT63を用いて、各画素のL*の値を調整する(ステップS107)。この処理は、第1実施例のLUT作成処理におけるステップS215の処理と同様である。したがって、ハイライト部Ahに属する画素(80≦L*≦100である画素)については、画素間のL*の差がより大きくなるように調整される。
【0075】
色変換部43は、ステップS106で得られた各画素のL*C*hの各値のうち、L*について、ステップS107で調整されたL*で置き換え、置き換え後のL*C*hをRGBに変換して、調整後画素(R’,G’,B’)を得る(ステップS108)。この処理は、第1実施例のLUT作成処理におけるステップS220の処理と同様である。
【0076】
このように、調整後画素(R’,G’,B’)が得られた後の処理については、第1実施例におけるステップS110〜S125と同じ処理が実行される。すなわち、調整後画素(R’,G’,B’)をC,M,Y,Kに変換する処理、ハーフトーン処理、インターレース処理がこの順序で実行された後に、印刷が実行される。
【0077】
以上の構成を有する第2実施例のプリンターでは、入力画像を構成する各画素のうち、ハイライト部Ahに属する画素について、ハイライト部Ahに属しない画素に比べて、異なる明るさの画素間の明度差がより大きくするように、画像データORGを調整してから、色変換処理を行う。したがって、ステップS110(色変換処理)により、ハイライト部Ahに属する画素について、ハイライト部Ahに属しない画素に比べて、異なる明るさの画素間におけるインク色の明度の差がより大きくなるように色変換することができる。それゆえ、印刷画像におけるハイライト領域において、カラーインクによる階調再現性を向上させることができる。加えて、色変換処理用のLUTとして、プリンター20の既存LUTを用いることができるので、LUTを更新する際に、容易にLUTを更新することができる。換言すると、プリンター20の製造メーカーが作成した、更新されたLUTをそのままプリンター20(EEPROM60)に記憶させることにより、煩雑な作業を要することなくLUT62を更新することができる。
【0078】
C.第3実施例:
図6は、第3実施例におけるプリンターの概略構成図である。第3実施例のプリンター20aは、LUT62に代えて第1LUT62a及び第2LUT62bを備えている点と、彩度調整用LUT64を追加して備えている点と、画像のハイライト領域については、明度に加えて彩度も調整(強調)する点とにおいて、図1に示すプリンター20と異なり、他の構成は、第1実施例と同じである。
【0079】
第1LUT62a及び第2LUT62bは、いずれも印刷処理における色変換の際に用いるルックアップテーブルである。第1LUT62aは、第1実施例におけるLUT62と同じ内容が設定されたルックアップテーブルである。したがって、第1実施例と同様に、図3に示すLUT作成処理により得られる。但し、第1実施例と異なり、第1LUT62aは、後述するように、画像のうちハイライト部Ahに属しない画素についての色変換の際に用いられる。第2LUT62bは、画像のうちハイライト部Ahに属する画素についての色変換の際に用いられる。なお、第2LUT62bの詳細については後述する。
【0080】
C1.第2LUTの作成処理:
図7は、第3実施例における第2LUTの作成処理の手順を示すフローチャートである。第3実施例のLUT作成処理は、ステップS217を追加して実行する点と、ステップS220に代えて、ステップS220aを実行する点とにおいて、図3に示す第1実施例のLUT作成処理と異なり、他の処理は、第1実施例と同じである。
【0081】
上述したステップS205〜S215が実行された後、LUT作成部42は、ハイライト部Ahに属する参照点(ステップS215において調整される前のL*の値が、80≦L*≦100を満たす画素)について、図6に示す彩度調整用LUT64を用いて、C*の値(彩度)を調整する(ステップS217)。
【0082】
図8は、図6に示す彩度調整用LUTの設定内容を示す説明図である。図8において、横軸は入力C*値を示し、縦軸は出力C*値を示す。また、図8において太い実線は、彩度調整用LUT64を模式的に示している。彩度調整用LUT64は、入力C*値を、出力C*値に変換するためのLUTである。
【0083】
図8に示すように、彩度調整用LUT64では、低彩度部Ac(0≦C*≦20)においては、入力C*値の増加に対する出力C*値の増加度合いが、低彩度部Acを除く他の領域における入力C*値の増加に対する出力C*値の増加度合いに比べて大きくなるように設定されている。加えて、低彩度部Acにおいては、入力C*値の増加に対する出力C*値の増加度合いが、彩度調整前における入力C*値の増加に対する出力C*値の増加度合い(破線で示す直線の傾き、第1LUT62aにおける入力C*値の増加に対する出力C*の増加度合いに等しい)に比べて大きくなるように設定されている。
【0084】
次に、LUT作成部42は、ステップS210で得られた各参照点のL*C*hの各値のうち、L*及びC*について、ステップS215で調整されたL*及びステップS217で調整されたC*で置き換え、置き換え後のL*C*hをRGBに変換して、調整後の新たな参照点(R’,G’,B’)を得ると共に、新たな参照点(R’,G’,B’)に対応するC,Y,M,Kの各値(インク量)を決定する(ステップS220a)。明度に関しては、第1実施例と同様な処理を行っているので、ハイライト部Ahに属する参照点については、1階調当たりの明度の差がより大きくなるように新たな参照点が決定される。彩度については、ハイライト部Ahに属し、かつ、低彩度部Acに属する参照点(すなわち、L*値が80≦L*≦100を満たし、かつ、C*値が0≦C*≦20を満たす参照点)については、1階調値の彩度の差がより大きくなるように新たな参照点が決定される。ここで、ハイライト部Ahに属し、かつ、低彩度部Acに属する参照点とは、比較的明るく色合いが薄い色に対応する参照点を意味する。なお、新たな参照点に対応するC,M,Y,Kの各インク量は、例えば、既存LUTの各参照点のインク量に基づき補間演算することにより得ることができる。
【0085】
新たな参照点(R’,G’,B’)を得た後は、上述したステップS225が実行されて、第2LUT62bが生成される。このようにして得られた第2LUT62bでは、第1LUT62aと同様に、ハイライト部Ahに対応するRGB色空間の領域に属する参照点については、RGB色空間の他の領域に属する参照点に比べて、1階調当たりのインク色の明度の差がより大きい。加えて、低彩度部Acに対応するRGB色空間の領域に属する参照点については、RGB色空間の他の領域に属する参照点に比べて、1階調当たりのインク色の彩度の差がより大きい。
【0086】
C2.印刷処理:
図9は、第3実施例における印刷処理のフローチャートである。最初に実行されるステップS305の処理は、図2に示す第1実施例の印刷処理におけるステップS105と同じ処理である。次に、色変換部43は、ステップS105で読み込んだ各画素について、R,G,BからL*(明度),C*(彩度),h(色相角度)に変換する(ステップS310)。この色空間の変換は、公知の方法を用いて行うことができる。
【0087】
色変換部43は、各画素について、L*に基づきハイライト部Ahに属するか否かを判定する(ステップS315)。L*の値が80≦L*≦100である画素は、ハイライト部Ahに属する画素であると判定され、L*の値がL*<80である画素は、ハイライト部Ahに属しない画素であると判定される。
【0088】
色変換部43は、ハイライト部Ahに属しない画素について、第1LUT62aを用いて、R,G,BからC,M,Y,Kに色変換を行う(ステップS320a)。また、色変換部43は、ハイライト部Ahに属する画素について、第2LUT62bを用いて、R,G,BからC,M,Y,Kに色変換を行う(ステップS320b)。
【0089】
ハイライト部Ahに属しない画素について、既存LUTではなく、ハイライト部Ahにおける1階調当たりの明度の差が大きく設定されている第1LUT62aを用いて色変換を行うことにより、ハイライト部Ahに属する画素と属しない画素との間に、大きな明度差が生じることを避けることができる。
【0090】
色変換を行った(ステップS320a,S320b)後は、ハーフトーン処理(ステップS325)、インターレース処理(ステップS330)がこの順序で実行され、印刷が実行される(ステップS335)。これらステップS325〜S335は、前述の図2に示すステップS115〜S125と同じである。
【0091】
前述のステップS320bでは、ハイライト部Ahに属する画素については第2LUT62bを用いて色変換を行うので、ハイライト部Ahにおける低彩度部Acに属する画素については、低彩度部Acに属しない入力画素に比べて、入力画素のC*値の増加に対する実際の印刷により得られた色のC*の増加度合いが、より大きくなる。したがって、印刷画像のうち明るく色が薄い領域において、1階調あたりの明るさ及び鮮やかさが他の領域に比べてより増すこととなる。それゆえ、印刷画像のハイライト領域のうち、色が薄い領域における階調再現性が向上する。
【0092】
以上説明した第3実施例のプリンター20aは、第1実施例のプリンター20と同じ効果を有する。加えて、プリンター20aでは、低彩度部Acに属する画素について色変換を行う際に用いるLUTとして、低彩度部Acに属する入力画素の1階調当たりのインク色の彩度の差が、低彩度部Acに属しない入力画素の1階調当たりのインク色の彩度の差よりも大きくなるように設定された第2LUT62bを用いる。低彩度部Acに属する入力画素は、比較的明るく色合いの薄い画像を表わす画素である。色合いの薄い画素は、鮮やかさが低いために階調変化が認識し難い。したがって、第3実施例のプリンター20aによると、このように階調変化が認識し難い画素について、1階調当たりのインク色の彩度の差が大きくなるように印刷することができるので、印刷画像のハイライト領域における階調再現性を向上させることができる。それゆえ、カラーインクに加えてメタリックインクSを用いて印刷する場合であっても、印刷画像のハイライト領域における階調再現性の低下をより抑制できる。
【0093】
なお、第3実施例においては、色変換部43,第1LUT62a及び第2LUT62bは、請求項における色変換部に相当する。
【0094】
D.第4実施例:
第4実施例のプリンターは、画像において明るさの指標値が所定値以下であるシャドー領域において、メタリックインク量Svを低減させる点において、図1に示す第1実施例のプリンター20と異なり、他の構成は第1実施例と同じである。シャドー領域においてメタリックインク量Svを低減させるのは、比較的高価なメタリックインクSの使用量を減らすことによって、印刷に伴うランニングコストを削減する点と、シャドー領域における色再範囲及び階調再現性を向上させる点とを目的とする。
【0095】
図10は、第4実施例におけるLUT作成処理の手順を示すフローチャートである。第4実施例のLUT作成処理は、ステップS225に続いて、ステップS230〜S245を追加して実行する点において、図3に示す第1実施例のLUT作成処理と異なり、他の処理は、第1実施例と同じである。
【0096】
ステップS205〜S225の処理を実行して、LUT62の再構築が終了すると、ユーザーは、メタリックインクSを使用しないカラーパッチと、メタリックインクSを用いたカラーパッチとを作成する(ステップS230)。ここでのカラーパッチとは、所定のピッチで階調変化する所定色の画像データを、再構築後のLUT62を用いて色変換処理を行い、プリンターで印刷したものである。メタリックインクSを使用しないカラーパッチとは、カラー領域のみからなるカラーパッチであり、本願では、単独カラーパッチともいう。メタリックインクSを用いたカラーパッチとは、単独カラーパッチに、メタリックインクSを所定のデューティーで重畳させたカラーパッチであり、本願では、重畳カラーパッチともいう。本実施例での重畳カラーパッチは、メタリックインクSをインクデューティー30%で重畳させたものである。なお、インクデューティーを30%とした理由は、第1実施例において、メタリックインクSのインクデューティーを30%とした理由と同じである。
【0097】
また、本実施例においては、上述の通り、作成対象のLUT62を搭載するプリンターにより印刷して、カラーパッチを作成した。これは、LUT62が使用される条件でカラーパッチを作成することにより、後述する方法により作成されるLUT62の性能が向上するからである。ただし、カラーパッチは、必ずしもプリンターを用いて作成することは要しない。
【0098】
図11は、第4の実施例におけるプリンターの入力値に係るRGB色空間を模式的に示す説明図である。図11に示すように、プリンターの入力値に係るRGB色空間(階調値は0〜255)は、8個の頂点K(0,0,0)、W(255,255,255)、R(255,0,0)、G(0,255,0)、B(0,0,255)、C(0,255,255)、M(255,0,255)、Y(255,255,0)を有する立方体の内部空間として特定される。
【0099】
本実施例では、カラーパッチの所定色とは、頂点Kと頂点Wとを直線的に結ぶカラーラインCL1、頂点Kと頂点Cと頂点Wとを直線的に結ぶカラーラインCL2、頂点Kと頂点Mと頂点Wとを直線的に結ぶカラーラインCL3、頂点Kと頂点Yと頂点Wとを直線的に結ぶカラーラインCL4、頂点Kと頂点Rと頂点Wとを直線的に結ぶカラーラインCL5、頂点Kと頂点Gと頂点Wとを直線的に結ぶカラーラインCL6、頂点Kと頂点Bと頂点Wとを直線的に結ぶカラーラインCL7の、合計7つの色相の色とした。また、カラーパッチの色階調変化ピッチは、各カラーラインを、それぞれ32段階に分割するものとした。本実施例では、いずれのカラーラインにおいても、色階調値1はW(255,255,255)、色階調値32はK(0,0,0)となる。
【0100】
カラーパッチを作成すると、次に、単独カラーパッチ及び重畳カラーパッチについて、測色器を用いて各色階調の明度(L*)を測色する(ステップS235)。本実施例においては、L*は、照射角を−45度、受光角を0度として測色した。ただし、測色条件は、かかる条件に限られるものではなく、適宜設定すればよい。
【0101】
L*を測色すると、次に、測色したL*に応じて色階調ごとのメタリックインクSの使用量(インクデューティー)を設定する(ステップS240)。メタリックインクSの使用量の設定方法については、図12を用いて詳しく説明する。図12は、カラーラインCL1における単独カラーパッチ(図中では「メタリックなし時」)及び重畳カラーパッチ(図中では「メタリック30%時」)についての各色階調と上記ステップS235において測色したL*との関係を示す説明図である。また、その関係に基づいて設定したメタリックインクSのインクデューティーを示している。図示するように、カラーラインCL1においては、単独カラーパッチの関係線と重畳カラーパッチの関係線とは、交点CP1(色階調数18)で交差していることが分かる。
【0102】
本実施例においては、メタリックインクSのインクデューティーは、交点CP1よりも白に近い色階調、すなわち、交点CP1よりもL*が高い色階調では、一定値30%とした。また、交点CP1よりも黒に近い色階調、すなわち、交点CP1よりもL*が低い色階調(シャドー部)では、メタリックインクSのインクデューティーは、L*が低下するほど小さくなり、黒で0%となるように設定した。
【0103】
なお、仮に、メタリックインクSのインクデューティーを減らし始める削減開始ポイントを、交点CP1よりもL*が高い色階調で設定すれば、削減開始ポイントにおいては、色階調が黒に近づくにもかかわらずL*が高くなってしまう(かかる現象を本願では、明度逆転現象という)。要するに、他の色階調では、色階調が黒に近づくにしたがってL*が低くなるので、削減開始ポイントにおいて、L*の滑らかな階調変化を実現できなくなるのである。かかる観点から、削減開始ポイントは、L*が交点CP1のL*以下となる階調で設定することが望ましく、本実施例では、削減開始ポイントを交点CP1としているのである。
【0104】
図13は、カラーラインCL4における各色階調とL*との関係を示す説明図である。カラーラインCL1と同様に、カラーラインCL4においても、単独カラーパッチの関係線と重畳カラーパッチの関係線とは、交点CP4で交差していることが分かる。したがって、メタリックインクSのインクデューティーについても、同様に、交点CP4のL*よりもL*が高い色階調では、メタリックインクSのインクデューティーを一定値30%とし、L*が交点CP4のL*以下となる色階調では、メタリックインクSのインクデューティーが、L*が低下するほど小さくなり、黒で0%となるように設定した。なお、説明は省略するが、他のカラーラインについても、同様に、メタリックインクSの量を設定する。
【0105】
以上のように、メタリックインクSの量を設定すると、次に、既存LUTの格子点ごとに、上記ステップS240で決定したメタリックインクSの量に基づいて、メタリックインクSの出力値(メタリックインク量Sv)を付加する(ステップS245)。具体的には、まず、図12及び図13の横軸に示した色階調数は、カラーパッチの色階調変化の数に相当するものであるから、当該色階調数を既存LUTの階調値に置き換えて、既存LUTの階調値とメタリックインクSとの関係を求める。そして、求めた関係に基づいて、カラーラインCL1〜CL7上に属する格子点のそれぞれに付加するメタリックインク量Svを求める。そして、カラーラインCL1〜CL7上に属さない格子点のメタリックインク量Svを、カラーラインCL1〜CL7上に属する格子点を用いた補間計算により算出する。補間計算は、LUTの格子点(参照点)間の出力値を求める際に用いる種々の公知の方法を利用すればよい。こうして、全ての格子点についてメタリックインク量Svを求めて、付加することにより、LUT62は完成となる。なお、ステップS225で再構築されたLUTの各格子点のRGB値をL*a*b*値に変換して、各格子点のL*の値に応じて、図12や図13に示したL*とメタリックインクSのインクデューティーの関係から、メタリックインク量Svを設定してもよい。
【0106】
なお、本実施例においては、カラーラインCL1〜CL7上に属する格子点について、各色階調とL*との関係からメタリックインク量Svを決定する構成としたが、設定するカラーラインの数や色相は、適宜設定すればよい。例えば、カラーラインの数を増やせば、より精度の高いLUTを作成できることは勿論である。
【0107】
以上の構成を有する第4実施例のプリンターは、第1実施例のプリンター20と同じ効果を有する。加えて、第4実施例のプリンターは、L*が所定値以下に暗いシャドー部に属する画素では、メタリックインクSの使用量を相対的に減少させる。換言すれば、カラーインクのインクデューティーが高く、メタリックインクSにより得られるメタリック感が比較的小さい印刷領域では、メタリックインクSの使用量を減少させる。したがって、効率的にメタリックインクSの使用量を低減させることができる。また、カラーインクのインクデューティーにかかわらずメタリックインクSを一律重畳する構成とすれば、カラーインクの高デューティー領域では、重畳されるメタリックインクSの分だけデューティー制限が厳しくなり、色再現範囲が狭くなるが、本実施例の構成は、かかる問題を抑制し、印刷画質の低下を抑制することができる。
【0108】
また、第4実施例のプリンターは、シャドー部に属する各画素について、L*が低くなるに従って、メタリックインクSの量を徐々に減少させるので、メタリックインクSを減少させる印刷領域において、L*の階調変化を滑らかにすることができる。
【0109】
また、第4実施例のプリンターは、カラーラインCL1〜CL7において、L*が単独カラーパッチの関係線と重畳カラーパッチの関係線とが交差する交点のL*以下の印刷領域において、メタリックインクSの量を減少させるので、明度の逆転現象が生じて、印刷画質を低下させることがない。
【0110】
E.第5実施例:
第5実施例のプリンターは、メタリックインク量Svの設定方法において、第4実施例のプリンターと異なり、他の構成は、第4実施例のプリンターと同じである。
【0111】
図14は、第5実施例におけるLUT作成処理の手順を示す第1のフローチャートである。図15は、第5実施例におけるLUT作成処理の手順を示す第2のフローチャートである。図14に示すステップS205〜S235の処理は、図10に示す第4実施例のステップS205〜S235の処理と同じである。
【0112】
各カラーパッチについて各色階調の明度(L*)を測色すると(ステップS235)、図15に示すように、各色相ごとに、単独カラーパッチについて測色して得られた階調の関係線と、重畳カラーパッチについて測色して得られた階調の関係線との交点を求め、交点の階調値(R,G,B)をEEPROM60に記憶させる(ステップS260)。ステップS260における「交点」とは、図12に示す交点CP1や、図13に示す交点CP4などを意味する。
【0113】
図12に示すように、カラーラインCL1においては、単独カラーパッチの関係線と重畳カラーパッチの関係線とは、交点CP1(色階調数18)で交差している。すなわち、色階調数18よりも暗部側(黒寄り)では、メタリックインクありの場合の明度は、同じ色階調におけるメタリックインクなしの場合の明度に比べて高い(明るい)。それゆえ、交点CP1よりも暗部側(黒寄り)では、メタリックインクありの場合の色再現範囲(L*の範囲)は、メタリックインクなしの場合の色再現範囲よりも狭くなっている。これに対して、色階調数18よりも明部側(白寄り)では、メタリックインクありの場合の明度は、同じ色階調におけるメタリックインクなしの場合の明度に比べて低い(暗い)。
【0114】
図13に示すように、カラーラインCL4においては、単独カラーパッチの関係線と重畳カラーパッチの関係線とは、交点CP4(色階調数26)で交差している。すなわち、色階調数26よりも暗部側(黒寄り)では、メタリックインクありの場合の明度は、同じ色階調におけるメタリックインクなしの場合の明度に比べて高い(明るい)。それゆえ、交点CP4よりも暗部側では、メタリックインクありの場合の色再現範囲(L*の範囲)は、メタリックインクなしの場合の色再現範囲よりも狭くなっている。これに対して、色階調数26よりも明部側(白寄り)では、メタリックインクありの場合の明度は、同じ色階調におけるメタリックインクなしの場合の明度に比べて低い(暗い)。
【0115】
このように、ステップS260では、各色相ごとに7つの交点CP1〜CP7が求められる。なお、上述したステップS230〜S260の処理はユーザーが行い得る。ステップS260で求めた7つの交点CP1〜CP7の階調値(R,G,B)がEEPROM60に記憶されると、続く処理が実行される。
【0116】
LUT作成部42は、EEPROM60から7つの交点CP1〜CP7の階調値を読み出し、L*a*b*色空間において各交点CP1〜CP7に対応するポイント(以下、「低減領域参考点」と呼ぶ)RP1〜RP7を求める(ステップS265)。低減領域参考点RP1〜RP7を求める方法としては、RGB色空間からL*a*b*色空間に変換する公知の方法を用いることができる。
【0117】
LUT作成部42は、ステップS265で求めた各低減領域参考点RP1〜RP7と、プリンターのカラーガマットに基づき、メタリックインク低減領域を設定する(ステップS270)。メタリックインク低減領域とは、カラーガマットで特定される色再現領域において、他の領域に比べてメタリックインクの量を低減させる領域を意味する。
【0118】
図16は、第5実施例におけるメタリックインク低減領域を設定する方法を模式的に示す説明図である。図16において、横軸はa*軸を示し、縦軸はL*軸を示す。なお、図16では、b*軸上から見たL*a*b*空間を示している。図16において、カラーガマットGaは、L*a*b*色空間におけるプリンターのカラーガマットを示す。また、図16において、領域AR1は、メタリックインク低減領域AR1を示す。
【0119】
本実施例では、メタリックインク低減領域AR1を以下のようにして設定する。まず、L*a*b*色空間において、各低減領域参考点RP1〜PR7に近接する表面を有する楕円体形状ELを決定する。そして、この楕円体形状ELの内部とカラーガマットGaとの重複部分をメタリックインク低減領域AR1として設定する。
【0120】
図17は、図16に示す楕円体形状を決定する方法を模式的に示す説明図である。図17において、横軸及び縦軸は、図16における横軸及び縦軸と同じである。図17において、点C0は、楕円体形状ELの中心点C0を示す。また、点RP3は、1つの低減領域参考点RP3を示す。
【0121】
楕円体形状ELは、例えば、以下のようにして決定することができる。まず、楕円体形状ELを、中心点C0の座標(L*値,a*値,b*値)と、3つの空間軸に沿った3つの半径と、L*軸,a*軸,b軸からのそれぞれの3つの回転角度により定義し、中心点C0と、各低減領域参考点RP1〜RP7とを結ぶ直線LS1〜LS7を決定する。次に、各直線LS1〜LS7とカラーガマットGaとの交点CX1〜CX7を求めた上で、各交点CX1〜CX7と各低減領域参考点RP1〜RP7との距離d1〜d7を求める。そして、楕円体形状ELを定義する各パラメーター(中心点C0の座標,3つの半径,3つの回転角度)を変えて各距離d1〜d7を求め、各距離d1〜d7の平均値(平均距離)が最も小さくなるような各パラメーターを、フィッティングにより決定する。
【0122】
図17の例では、中心点C0と低減領域参考点RP3とを結ぶ直線LS3が決定され、この直線LS3とカラーガマットGaとの交点CX3が求められている。そして、交点CX3と低減領域参考点RP3との距離d3を含む平均距離が最も小さくなるように、楕円体形状ELを定義する各パラメーターが決定される。
【0123】
楕円体形状ELが決定されると、LUT作成部42は、楕円体形状ELの各パラメーターを、カラーガマットGaのプロファイルデータと共に、EEPROM60に記憶させて、メタリックインク低減領域AR1の設定が終了する。
【0124】
上述したように、ステップS260で求めた交点CP1〜CP7に対応する低減領域参考点RP1〜RP7に基づきメタリックインク低減領域AR1を決定するのは、以下の理由による。図12に示すように、カラーラインCL1について考えてみると、上述したように、交点CP1を境に、明部側(白寄り側)では、メタリックインク無しの場合のL*は、メタリックインクありの場合のL*よりも大きい(すなわち、明るい)。したがって、仮に交点CP1よりもL*が高い色階調の点に対応するL*a*b*色空間における点に基づきメタリックインク低減領域AR1を決定した場合、第4実施例において述べた明度逆転現象が発生して、L*(明度)の滑らかな階調変化を表現できなくなるおそれがあるからである。また、交点CP1よりもL*が低い色階調の点に対応するL*a*b*色空間における点に基づきメタリックインク低減領域AR1を決定した場合、交点CP1に対応する低減領域参考点RP1に基づきメタリックインク低減領域AR1を決定する場合に比べて、再現色範囲が狭くなるからである。
【0125】
また、上述したように、楕円体形状ELを用いてメタリックインク低減領域AR1を設定するのは、表面の傾斜(変化度合い)が滑らかであり、急激に変化する部分がないため、例えば、隣接する色相同士において、メタリックインク量が低減する境界(明るさ)が極端に異なることを避けることができるからである。加えて、楕円体形状ELでは、フィッティングする際に用いるパラメーターが9つ(中心点C0の座標,3つの半径,3つの回転角度)と比較的多いため、各低減領域参考点RP1〜PR7に近接する表面を有するメタリックインク低減領域を決定することができるからである。
【0126】
メタリックインク低減領域の設定(ステップS270)が終了すると、LUT作成部42は、LUT(ステップS225により再構築後のLUT)の各格子点がステップS270で設定したメタリックインク低減領域AR1に含まれるか否かを判定し、メタリックインク低減領域AR1に含まれない格子点については、メタリックインク量Svとしてインクデューティー=30%を設定し、メタリックインク低減領域AR1に含まれる格子点については、メタリックインク量Svとしてインクデューティー=0%を設定して、設定した各メタリックインク量SvをLUTの各格子点に付加する(ステップS275)。
【0127】
図18は、LUTの格子点がメタリックインク低減領域に含まれるか否かを判定する方法を模式的に示す説明図である。図18において、上段は格子点がメタリックインク低減領域AR1に含まれる場合を示し、下段は格子点がメタリックインク低減領域AR1に含まれない場合を示している。なお、図18の上段及び下段において、横軸及び縦軸は、図16,17における横軸及び縦軸と同じである。
【0128】
LUTの格子点がメタリックインク低減領域に含まれるか否かを判定する方法としては、例えば、以下の方法を採用することができる。まず、LUTの格子点(R,G,B)を、L*a*b*色空間上の座標に変換して、L*a*b*色空間上の格子点fp(L*,a*,b*)を決定する。次に、この格子点fpと楕円体形状ELの中心点C0とを結ぶ直線Lp5を求めた上で、直線Lp5とカラーガマットGaとの交点CX5を求める。そして、中心点C0と交点CX5との間の距離d51と、中心点C0と格子点fpとの間の距離d52とを比較して、距離d51が距離d52以上であれば、図18上段に示すように、格子点fpはメタリックインク低減領域AR1に含まれると判定する。これに対し、図18下段に示すように、距離d51が距離d52よりも小さい場合、格子点fpはメタリックインク低減領域AR1に含まれないと判定する。
【0129】
メタリックインク低減領域AR1に含まれない格子点については、メタリックインク量Svとして、インクデューティー=30%を設定するのは、上述したように、メタリックインクSにより発現するメタリック感がインクデューティー30%で最も視覚的に認識できるからであり、かかるインクデューティーに限定されるものではない。
【0130】
図19は、LUTを用いて色変換を行って得られた画像を印刷した場合に、印刷媒体上において観察されるメタリックインク量を模式的に示す説明図である。プリンターは、カラーガマットGaにおいてL*軸を含む或る断面Scに含まれる各色を印刷し、図19の例では、印刷した各色におけるメタリックインク量(ドット記録率)を、L*a*b*空間上において各色に対応する位置にマッピングして示している。図19に示すように、断面Scには、メタリックインク量が比較的多い(メタリックインク量が0でない)領域AR10と、メタリックインク量が比較的少ない(メタリックインク量が0である)領域AR11が現れている。そして、これら2つの領域AR10と領域AR11との境界Maは、連続的に連なった形状となっている。
【0131】
以上の構成を有する第5実施例のプリンターは、第1実施例のプリンターと同じ効果を有する。加えて、第5実施例のプリンターは、メタリックインク低減領域AR1に含まれる格子点におけるメタリックインク量Svが、メタリックインク低減領域AR1に含まれない格子点におけるメタリックインク量Svよりも少なくなるように設定されたLUT62を、色変換において用いる。ここで、メタリックインク低減領域AR1は、L*a*b*色空間において暗部側(L*値が比較的小さい領域)に設定されている。したがって、かかるLUT62を用いて色変換することにより、L*a*b*色空間においてメタリックインク低減領域AR1に含まれる画素について打ち込まれるメタリックインク量を、メタリックインク低減領域AR1に含まれる画素について打ち込まれるメタリックインク量よりも少なくすることができる。したがって、画像のシャドー領域において、カラーインク量をより増やすことができ、階調再現性を向上させることができる。また、メタリックインク低減領域AR1を決定する際に参考とする低減領域参考点RP1〜RP7は、各カラーラインCL1〜LC7において、単独カラーパッチの関係線と重畳カラーパッチの関係線とが交差する交点CP1〜CP7に基づき決定される。したがって、明度の逆転現象が生じることを抑制できる。
【0132】
また、メタリックインク低減領域AR1を、楕円体形状ELを用いて設定するので、メタリックインク低減領域AR1の境界面を滑らかにすることができる。したがって、例えば、隣接する色相同士において、メタリックインク量が低減する境界(明るさ)が極端に異なることを避けることができる。また、楕円体形状ELは多くのパラメーターを用いて定義するので、フィッティングする際の自由度を大きくすることができる。したがって、各低減領域参考点RP1〜RP7により近接する表面を有するメタリックインク低減領域AR1を設定することができる。
【0133】
また、メタリックインク低減領域AR1を、L*a*b*色空間、すなわち3次元色空間において定義するので、比較的容易に決定することができる。また、メタリックインク低減領域AR1を、デバイス非依存の色空間であるL*a*b*色空間において設定するので、LUT62のRGB色空間において適切な範囲にメタリックインクの低減領域を設定することができる。
【0134】
また、メタリックインク低減領域AR1に含まれる格子点に相当する画素については、Sメタリックインク量Svを打ち込まない(デューティー=0%に設定する)ので、メタリックインク量の消費を大幅に抑えることができ、印刷に伴うランニングコストを大きく低減することができる。
【0135】
F.第6実施例:
図20は、第6実施例におけるメタリックインク低減領域を設定する方法を模式的に示す説明図である。図20において、横軸及び縦軸は、図16における横軸及び縦軸と同じである。なお、図20では、図16と異なり、b*軸からずれた視点で見たL*a*b*色空間を示している。第6実施例のプリンターは、メタリックインク低減領域の設定方法において、第5実施例のプリンターと異なり、他の構成は、第5実施例と同じである。なお、図20において、低減領域参考点RP1〜RP7は、第1実施例の低減領域参考点RP1〜RP7と同じである。
【0136】
第6実施例では、メタリックインク低減領域AR2を以下のようにして設定する。まず、カラーラインCL1(グレー軸)における交点CP1に対応する低減領域参考点RP1を、傘の石突部に見立てて、低減領域参考点RP1を頂点とし、隣接する2つの色相(カラーライン)において決定された2つの低減領域参考点で特定される平面を決定する。その結果、6つの平面が決定され、各平面は三角形状を有する。そして、これらの平面により形成される傘形状を決定し、この傘形状の内部とカラーガマットGaとの重複部分をメタリックインク低減領域AR2として設定する。
【0137】
図20の例では、L*a*b*色空間において、低減領域参考点RP1を頂点として、2つの低減領域参考点RP6,RP7を通る平面S1が設定されている。同様に、低減領域参考点RP1を頂点として2つの低減領域参考点RP7,PR2を通る平面S2と、低減領域参考点RP1を頂点として2つの低減領域参考点RP2,PR3を通る平面S3と、低減領域参考点RP1を頂点として2つの低減領域参考点RP3,PR5を通る平面S4と、低減領域参考点RP1を頂点として2つの低減領域参考点RP5,PR4を通る平面S5と、低減領域参考点RP1を頂点として2つの低減領域参考点RP4,PR6を通る平面S6と、がそれぞれL*a*b*色空間に設定されている。これらの各平面S1〜S6において、隣り合う2つの平面は互いに接している。そして、図20の例では、各平面S1〜S6により形成される傘形状の内部とカラーガマットGaとの重複部分が、メタリックインク低減領域AR2として設定されている。
【0138】
図21は、第6実施例におけるLUTの格子点がメタリックインク低減領域に含まれるか否かを判定する方法を模式的に示す説明図である。図21において、上段は格子点がメタリックインク低減領域AR2に含まれる場合を示し、下段は格子点がメタリックインク低減領域AR2に含まれない場合を示している。なお、図21の上段及び下段において、横軸及び縦軸は、図18の上段及び下段における横軸及び縦軸と同じである。
【0139】
第6実施例において、LUTの格子点がメタリックインク低減領域に含まれるか否かを判定する方法としては、例えば、以下の方法を採用することができる。まず、LUTの格子点(R,G,B)を、L*a*b*色空間上の座標に変換して、L*a*b*色空間上の格子点fp(L*,a*,b*)を決定する。この格子点fpと原点(0,0,0)とを結ぶ直線Lp6を求めた上で、直線Lp6とカラーガマットGaとの交点CX6を求める。そして、原点と交点CX6との間の距離d61と、原点と格子点fpとの間の距離d62とを比較して、距離d61が距離d62以上であれば、図21上段に示すように、格子点fpはメタリックインク低減領域AR2に含まれると判定する。これに対し、図21下段に示すように、距離d61が距離d62よりも小さい場合、格子点fpはメタリックインク低減領域AR2に含まれないと判定する。
【0140】
以上の構成を有する第6実施例のプリンターは、第5実施例のプリンターと同様な効果を有する。加えて、メタリックインク低減領域AR2は、各低減領域参考点RP1〜PR7を含むので、各カラーラインCL1〜CL7において、各交点CP1〜CP7を、メタリックインク量Svがデューティー30%と0%との境界に位置させることができる。したがって、少なくとも各カラーラインにおいて、明度逆転現象の発生をより高い確率で抑制することができる。
【0141】
G.第7実施例:
図22は、第7実施例におけるメタリックインク低減領域を設定する方法を模式的に示す説明図である。図22では、図示の便宜上、L*a*b*色空間におけるL*軸のみを表わしている。第7実施例のプリンターは、メタリックインク低減領域の設定方法において、第5実施例のプリンターと異なり、他の構成は、第5実施例と同じである。なお、図22において、低減領域参考点RP1〜RP7は、図16に示す第1実施例の低減領域参考点RP1〜RP7と同じである。
【0142】
第7実施例では、メタリックインク低減領域を以下のようにして設定する。まず、低減領域参考点RP1を除く他の6つの低減領域参考点RP2〜RP6の座標を用いて、各低減領域参考点RP2〜PR6に近接する環状の周期スプライン曲線SCを求める。この周期スプライン曲線SCは、周知のスプライン関数を用いて算出することができる。次に、周期スプライン曲線SC上の任意の点を通り、かつ、低減領域参考点RP1を頂点として通る2次曲線の集合である形状ESを決定し、この形状ESの内部とカラーガマットGaとの重複部分をメタリックインク低減領域として設定する。なお、図22では、カラーガマットGa及びメタリックインク低減領域は省略している。
【0143】
メタリックインク低減領域の設定方法としては、上述した方法に代えて、例えば、低減領域参考点RP1を頂点として通り、かつ、他の任意の2つの低減領域参考点を通る2次曲線の集合の形状を決定し、かかる形状の内部とカラーガマットGaとの重複部分として設定することもできる。換言すると、低減領域参考点RP1と他の任意の低減領域参考点(第1低減領域参考点)とを通る2次曲線と、低減領域参考点RP1と第1低減領域参考点及び低減領域参考点RP1とは異なる他の任意の低減領域参考点(第2低減領域参考点)とを通る2次曲線と、により特定される形状の内部とカラーガマットGaとの重複部分を、メタリックインク低減領域として設定することができる。なお、第7実施例において、LUTの格子点がメタリックインク低減領域に含まれるか否かを判定する方法は、第2実施例と同様であるので、説明を省略する。
【0144】
以上の構成を有する第7実施例のプリンターは、第5実施例のプリンターと同様な効果を有する。
【0145】
H.変形例:
なお、上記各実施例における構成要素の中の、独立クレームでクレームされた要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略可能である。また、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0146】
H1.変形例1:
第3実施例では、ハイライト領域について、明度と彩度とをいずれも調整(強調)していたが、彩度のみを調整(強調)する構成とすることもできる。この場合、図7に示すLUT作成処理のステップS215を省略する。かかる構成においても、ハイライト領域のうち、色が薄い領域における階調再現性の低下を抑制できる。なお、この構成においては、ハイライト領域に属しない画素について、第1LUT62aに代えて、既存のLUTを用いて色変換処理を行うこともできる。また、第2実施例において、明度のみを調整する構成に代えて、明度及び彩度、または、彩度のみを調整する構成を採用することができる。
【0147】
また、第1実施例では、色変換処理で用いるLUTは、いずれの画素についてもLUT62を用いていたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、ハイライト部Ahに属する画素については、LUT62を用いて色変換処理を行い、ハイライト領域に属しない画素については、既存LUTを用いて色変換処理を行う構成を採用することもできる。この構成においても、画像のハイライト領域における階調再現性の低下を抑制できる。
【0148】
H2.変形例2:
各実施例では、明度又は彩度を調整するために、画像データORG(R,G,B)をL*C*hに変換して、L*(明度)又はC*(彩度)を得ていたが、本発明はこれに限定されるものではない。L*C*hに代えて、HSB(H:色相,S:彩度,B:明度)に変換して、B(明度)又はS(彩度)を得ることもできる。この構成においても、Bの値又はSの値を調整した後、H,S,BからR,G,Bに変換することにより、新たな格子点を得ることができる。なお、第1実施例では、明度のみを調整するので、R,G,BをL*C*hに変換することに代えて、R,G,BをL*a*b*に変換し、L*(明度)を調整することもできる。
【0149】
H3.変形例3:
各実施例において、色変換用のLUT(LUT62や、第3実施例における第1LUT62a及び第2LUT62b)は、R,G,BからC,M,Y,Kに変換する、いわゆる3DLUTであったが、本発明は、これに限定されるものではない。4D以上の多次元LUTを採用することもできる。例えば、C,M,Y,KからC,M,Y,Kに変換する4DLUTを採用することもできる。この4DLUTを採用した場合、LUT作成処理のステップS210において、C,M,Y,Kを、L*C*hに変換し、ステップS220において、L*C*hをC,M,Y,Kに変換する。なお、C,M,Y,KとL*C*hとの色変換の方法は、公知の方法を採用することができる。第2実施例の印刷処理のステップS106では、C,M,Y,Kを、L*C*hに変換し、ステップS108において、L*C*hをC,M,Y,Kに変換する。
【0150】
また、例えば、C,M,Y,KからC,M,Y,Kに変換する4DLUTを採用する場合、LUT作成処理のステップS210において、C,M,Y,KをR,G,Bに変換し、さらに、R,G,BをH,S,B(または、L*C*h)に変換することもできる。また、ステップS220において、H,S,B(またはL*C*h)を、R,G,Bに変換し、さらに、R,G,BをC,M,Y,Kに変換することもできる。同様に、第2実施例の印刷処理のステップS106では、C,M,Y,KをR,G,Bに変換し、さらに、R,G,BをH,S,B(または、L*C*h)に変換し、ステップS108では、H,S,B(またはL*C*h)を、R,G,Bに変換し、さらに、R,G,BをC,M,Y,Kに変換することもできる。
【0151】
第5〜7実施例では、L*a*b*色空間、すなわち3次元の色空間においてメタリックインク低減領域を決定し、かかるメタリックインク低減領域をLUTに反映するようにしている。したがって、作成すべきLUTが4D以上の多次元LUTであっても、比較的領域を定義し易い3次元空間であるL*a*b*空間においてメタリックインク低減領域を決定しているので、LUT内におけるメタリックインクを低減する格子点を容易に設定することができる。
【0152】
H4.変形例4:
各実施例では、明度(L*)を調整する際に、図4に示す設定内容を有する明度調整用LUT63を用いていた。また、第3実施例では、彩度(C*)を調整する際に、図8に示す設定内容を有する彩度調整用LUT64を用いていた。しかしながら、本発明は、これらに限定されるものではない。例えば、図4の曲線を示す関係式及び図8に示す関係式を予め求めておき、これら関係式を用いて調整後の明度(L*)及び調整後の彩度(C*)を決定して調整する構成を採用することもできる。
【0153】
H5.変形例5:
各実施例において、ハイライト部Ahは、L*が80≦L*≦100を満たす領域であったが、本発明はこれに限定されるものではない。ハイライト部Ahとして、L*が、50≦L*≦100を満たす任意の範囲を、ハイライト部Ahとして採用することができる。また、第3実施例において、低彩度部Acは、C*が0≦C*≦20を満たす領域であったが、本発明はこれに限定されるものではない。低彩度部Acとして、C*が0≦C*≦30を満たす任意の範囲を、低彩度部Acとして採用することができる。
【0154】
H6.変形例6:
第4〜7実施例では、カラーインクにより表現される色の明度(L*)が所定値以下の場合に、メタリックインク量Svを低減する構成について示したが、メタリックインク量Svを低減するための指標としては、明度に限るものではなく、カラーインクにより表現される色の明るさに関連する種々の指標とすることができる。例えば、輝度、インクデューティーなどとしてもよい。
【0155】
H7.変形例7:
第4〜7実施例では、カラーパッチを測色することによって、メタリックインクSの削減ポイントを決定したが、かかる測色は必須ではなく、省略してもよい。ただし、実施例のように、測色を行ってメタリックインクSの削減ポイントを決定すれば、確実に明度逆転現象を抑制できるので、より望ましいことは勿論である。
【0156】
H8.変形例8:
第4実施例では、プリンターは、LUT62によって、印刷処理におけるメタリックインク量Svを決定する構成としたが、必ずしもLUT62を用いる必要はない。図23は、変形例1においてメタリックインク量を決定するために用いるテーブルの設定内容を示す説明図である。図23において、横軸はカラーインクのインクデューティー(%)を示し、縦軸はメタリックインクSのインクデューティー(%)を示す。図23に示すテーブル(太い実線)では、カラーインクのインクデューティーとメタリックインクSのインクデューティーとが対応付けられている。
【0157】
例えば、図23に示すテーブルを予めEEPROM60に記憶させておき、このテーブルを参照して、カラーインクのインクデューティーに基づいて、メタリックインクSの量を決定してもよい。図23に示すテーブルでは、画像のシャドー領域に対応する比較的高いカラーインクデューティーに対して、比較的小さいメタリックインクSのインクデューティーが対応付けられている。したがって、第4実施例と同様に、シャドー領域におけるメタリックインク量Svを相対的に減少させることができる。また、画像のシャドー領域に対応する比較的高いカラーインクデューティーの範囲では、カラーインクのインクデューティーが増加するに従って、メタリックインクSのインクデューティーが低下している。したがって、第4実施例と同様に、メタリックインク量Svを減少させる印刷領域において、L*の階調変化を滑らかにすることができる。
【0158】
なお、図23に示すようなテーブルを用いる構成の他に、例えば、カラーインクの入力値が表す色の明るさに関連する種々の指標値に応じて、メタリックインク量Svを決定してもよい。かかる指標値としては、例えば、L*a*b*色空間のL*成分、YCbCr色空間のY成分、L*u*v*色空間のL*成分、XYZ色空間のY成分などとすることができる。かかる構成とすれば、LUTの作成負担を軽減することができる。
【0159】
H9.変形例9:
第4実施例では、メタリックインクSの削減ポイントよりもL*が高い印刷領域では、メタリックインクSのインクデューティーを30%とし、メタリックインクSの削減ポイントから、L*が小さくなるに従って、メタリックインクSのインクデューティーを減じていき、黒でゼロとなる構成について示したが、メタリックインクSのインクデューティーの減じ方は、印刷媒体等の印刷条件、求める印刷画質、メタリックインクSの節約量などを考慮して、適宜設定すればよい。例えば、インクデューティーの上限を25%や35%としてもよいし、黒よりもL*が高いポイントからインクデューティーをゼロとしてもよい。あるいは、黒でもゼロとならない、例えば、10%となる構成であってもよい。もとより、メタリックインクSは、L*が低下するほど使用量を減少させる構成に限らず、削減ポイント以下では、一定量を減じる構成としてもよい。こうしても、簡単な構成で、一定程度の効果を期待できる。
【0160】
H10.変形例10:
第4実施例では、L*が所定値よりも高い場合のメタリックインクSのインクデューティーは、一定量(30%)に固定されていたが、ユーザーが、印刷画質に必要な所望のメタリック感のレベルを選択できる構成としてもよい。かかる場合には、例えば、プリンターが複数種類のLUT(例えば、インクデューティーの最大値が30%のLUTと15%のLUT)を記憶しておき、ユーザーの選択により、使用するLUTを切り替える構成としてもよい。あるいは、LUT62によって求められたメタリックインク量Svに対して、更に、ユーザーの選択に応じて定まる所定の削減率を乗じて、メタリックインク量Svを決定する構成としてもよい。
【0161】
H11.変形例11:
各実施例においてプリンターは、インクジェットプリンターであったが、これに代えて、光沢トナーとカラートナーとを印刷媒体上に付着させて印刷を行うレーザプリンターや、オフセット印刷装置を採用することができる。また、メタリックインクに代えて、任意の光沢インクを採用することもできる。光沢インクとは、印刷を経た印刷媒体表面において光沢を呈するインクであり、メタリック感を発現する顔料を含有するメタリックインクのほかに、印刷媒体表面に印刷されたインクの光学的特性が反射角依存性を有し、見る角度によって様々な見え方を呈するインクとしてもよい。かかるインクとしては、具体的には、メタリックインクのほかに、媒体表面への定着後に真珠光沢感を発現する顔料を含有する真珠光沢インク、媒体表面への定着後に乱反射を起こしていわゆるラメ感やなし地感を発現するよう微小凹凸を有する顔料を含有するラメインクやなし地インクなどを用いることができる。
【0162】
H12.変形例12:
各実施例では、本発明のプリンターへの適用を例示していたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明をプリンターに接続するコンピューターに適用することもできる。図24は、変形例12における本発明のコンピューターへの適用例を示す説明図である。
【0163】
図24において、コンピューター100は、プリンター20bに接続されている。なお、プリンター20bは、第1実施例のプリンター20と同様に、カラーインクとメタリックインクとを用いて印刷可能に構成されている。
【0164】
コンピューター100は、所定のオペレーティングシステムがインストールされており、このオペレーティングシステムの下で、アプリケーションプログラム120が動作している。オペレーティングシステムには、プリンタードライバー110が組み込まれている。アプリケーションプログラム120は、例えば、図示しない周辺機器インタフェースを通じて、デジタルカメラ200から画像データORGを入力する。すると、アプリケーションプログラム120は、プリンタードライバー110を介して、画像データORGをプリンター20bに出力する。なお、画像データORGは、各実施例における画像データORGと同様に、RGB形式の画像データである。
【0165】
プリンタードライバー110は、LUT作成モジュール111と、色変換モジュール112と、ハーフトーン処理モジュール113と、インターレース処理モジュール114と、LUT115とを備えている。
【0166】
LUT作成モジュール111は、図1に示す第1実施例のLUT作成部42と同様な機能を有する。また、色変換モジュール112は図1に示す色変換部43と、ハーフトーン処理モジュール113は図1に示すハーフトーン処理部44と、インターレース処理モジュール114は図1に示すインターレース処理部45と、それぞれ同様な機能を有する。
【0167】
このような構成を有するコンピューター100(プリンタードライバー110)において、上述したLUT作成処理が実行される。したがって、LUT115は、図1に示す第1実施例のLUT62と同じ設定内容となる。それゆえ、かかるLUT115を用いて色変換された後の画像データに基づきプリンター20bにおいて印刷が実行されると、印刷画像のハイライト領域における階調再現性の低下を抑制できるなど、第1実施例のプリンター20と同様な効果を奏することができる。なお、上述した変形例13におけるコンピューター100(プリンタードライバー110)は、請求項における印刷装置制御装置に相当する。以上説明したプリンター及びコンピューター(プリンタードライバー)に限らず、色変換方法、色変換プログラム、記録媒体、色変換用LUT、色変換用LUTの作成方法、印刷物などに本発明を適用することもできる。
【0168】
H13.変形例13:
第5〜7実施例では、メタリックインク低減領域に含まれる格子点については、メタリックインク量Svとして、一定値(インクデューティー=0%)が設定されていたが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0169】
図25は、変形例13におけるメタリックインク低減領域に含まれる格子点に対してメタリックインク量を設定する方法を模式的に示す説明図である。図25において、上段は各格子点(参照点)のL*とメタリックインク量Sv(デューティー)との関係を示し、下段は1つの格子点fpを例としてメタリックインク量Svを決定する方法を模式的に示す。なお、図25上段では、第5実施例における各格子点(ステップS225により再構築されたLUTの各参照点)のL*とメタリックインク量Sv(デューティー)との関係を破線で示している。
【0170】
変形例14では、図25上段に示すように、メタリックインク低減領域に含まれる格子点については、第5〜7実施例とは異なり、メタリックインク量Svとして一定値が設定されていない。具体的には、メタリックインク低減領域に含まれる格子点に対して、30%を上限としてL*とメタリックインク量Svとが線形比例するように、メタリックインク量Svが設定されている。
【0171】
例えば、図25下段に示すように、或る格子点fpとL*a*b*色空間の原点とを結ぶ直線Lp8と、メタリックインク低減領域AR1との交点が、交点CX8であった場合には、原点と交点CX8との明度差は、図25における原点(明度0)と、メタリックインク量Svが増加する領域とメタリックインク量Svがデューティー=30%で一定である領域との境界のL*であるF0との明度差(すなわち、F0)に相当する。したがって、例えば、図25下段に示すように、原点と格子点fpとの距離b1が原点と交点CX8との距離a1の半分であった場合には、図25上段に示すように、L*がF0/2におけるデューティーである「15%」が、格子点fpのメタリックインク量Svとして設定される。
【0172】
このような構成においても、第5〜7実施例と同様な効果を奏することができる。なお、図25上段に示すように、L*の値が0からF0までの範囲において、L*とメタリックインク量Sv(インクデューティー)とが線形比例の関係にある構成に代えて、L*の増加に伴いメタリックインク量Svが指数関数的に増加する関係など、L*とメタリックインク量Svとが任意の関係を有する構成を採用することができる。なお、メタリックインク低減領域AR1に含まれない格子点についても、一定値として30%に限らず、任意の値を設定することもできる。例えば、かかる格子点に対して、一定値35%を設定する構成や、L*が増加するに従って、メタリックインク量Svをより多く設定する構成も採用することができる。
【0173】
H14.変形例14:
第5〜7実施例では、メタリックインク低減領域をL*a*b*色空間において設定していたが、L*a*b*色空間に代えて、L*C*h色空間やXYZ色空間など、デバイス非依存の任意の色空間において設定することもできる。
【0174】
H15.変形例15:
第5実施例において、楕円体形状ELを決定する際に、楕円体形状ELの中心点C0のL*の値を負の値とする条件を付加することもできる。中心点C0のL*の値が正の場合、楕円体形状ELのL*方向の半径が小さいと、カラーガマットGaの下端付近において、楕円体形状ELが存在せずにカラーガマットGaと楕円体形状ELの内部とが重複しない領域が発生し得る。この場合、L*の値が小さいにも関わらずメタリックインク低減領域AR1に該当しないために、メタリックインク量Svとしてデューティー=30%が設定される画素が存在し、明度逆転現象が発生するおそれがある。そこで、円体形状ELの中心点C0のL*の値を負の値とする条件を付加することで、明度逆転現象の発生を抑制できる。
【0175】
H16.変形例16:
第5〜7実施例のLUT作成処理のステップS275では、メタリックインク低減領域に属する格子点にメタリックインク量Svを付加していたが、これに加えて、メタリックインク低減領域に属さない格子点について、カラーインク量(デューティー)を変更することもできる。上述したように、LUT62を作成する際に基礎とした既存のLUTは、メタリックインクSが重畳される分だけ、カラーインクのインクデューティー制限値を低減させて作成されたLUTである。したがって、メタリックインク低減領域に属さない格子点については、色変換の際に通常のLUTを用いて色変換した場合に比べてカラーインク量が減った色に変換される。そこで、メタリックインク低減領域に属さない格子点については、カラーインク量(デューティー)を増加させることが好ましい。なお、これとは逆に、LUT62を作成する際の基礎とするLUTとして、カラーインクのインクデューティー制限値を低減しない通常のLUTを用い、メタリックインク低減領域に属する格子点について、カラーインクのインクデューティー制限値を低減すると共にメタリックインク量Svを付加する構成を採用することもできる。
【0176】
H17.変形例17:
各実施例において、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。また、これとは逆に、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0177】
20,20a,20b…プリンター
30…制御ユニット
40…CPU
41…入力部
42…LUT作成部
43…色変換部
44…ハーフトーン処理部
45…インターレース処理部
46…印刷制御部
51…ROM
52…RAM
60…EEPROM
62…LUT
62a…第1LUT
62b…第2LUT
63…明度調整用LUT
64…彩度調整用LUT
70…キャリッジモーター
71…駆動ベルト
72…プーリー
73…摺動軸
74…紙送りモーター
75…プラテン
80…キャリッジ
81…印刷ヘッド
82〜86…インクカートリッジ
91…メモリカードスロット
100…コンピューター
110…プリンタードライバー
111…LUT作成モジュール
112…色変換モジュール
113…ハーフトーン処理モジュール
114…インターレース処理モジュール
120…アプリケーションプログラム
200…デジタルカメラ
MC…メモリカード
P…印刷媒体
K,W,C,M,Y,R,G,B…頂点
AR10,AR11…領域
Ma…境界
C0…中心点
S1〜S6…平面
SC…周期スプライン曲線
EL…楕円体形状
Ga…カラーガマット
Sc…断面
fp…格子点
CL1〜CL7…カラーライン
CP1〜CP7,CX1,CX3,CX5,CX6,CX8…交点
RP1〜RP7…低減領域参考点
AR1,AR2…メタリックインク低減領域
LS1,LS3,Lp5,Lp6,Lp8…直線
ORG…画像データ
Ah…ハイライト部
Ac…低彩度部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光沢材と着色材とを用いて画像を印刷する印刷装置であって、
前記画像を構成する画素のうち、明るさに関連する指標値が第1の所定値以上のハイライト部に属する画素について、前記指標値が前記ハイライト部に属しない画素に比べて、階調変化に対する明るさの変化度合いが大きくなるように、前記画像の色を前記光沢材及び前記着色材により表現される印刷色に変換する色変換部を備える、印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置において、
前記色変換部は、前記画像を構成する画素のうち、前記指標値が前記ハイライト部に属する画素について、前記指標値が前記ハイライト領域に属しない画素に比べて、階調変化に対する明るさの変化度合いを大きくする色変換用LUTを用いて、前記画像の色を前記印刷色に変換する、印刷装置。
【請求項3】
請求項1に記載の印刷装置において、
前記色変換部は、
前記画像を構成する画素のうち、前記指標値が前記ハイライト領域に属する画素について、前記指標値が前記ハイライト領域に属しない画素に比べて、階調変化に対する明るさの変化度合いを大きくする明るさ調整部と、
前記画像の色と前記印刷色とを対応付ける色変換用LUTと、
前記明るさ変換部により調整後の前記画像の色を、前記色変換用LUTを用いて前記印刷色に変換する変換部と、
を備える印刷装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の印刷装置において、
前記色変換部は、前記画像を構成する画素のうち、前記指標値が前記第1の所定値よりも低い第2の所定値以下のシャドー部に属する画素について、前記指標値が前記シャドー部に属しない画素に比べて、前記光沢材の量が少なくなるように、前記画像の色を前記印刷色に変換する、印刷装置。
【請求項5】
光沢材と着色材とを用いて画像を印刷する印刷装置であって、
前記画像を構成する画素のうち、明るさに関連する指標値が第1の所定値以上のハイライト部に属する画素であって彩度が所定値以下の画素である低彩度画素について、前記指標値が前記ハイライト部に属しない画素に比べて、階調変化に対する彩度の変化度合いが大きくなるように、前記画像の色を、前記光沢材及び前記着色材により表現される印刷色に変換する色変換部を備える、印刷装置。
【請求項6】
請求項5に記載の印刷装置において、
前記色変換部は、前記画像を構成する画素のうち、前記低彩度画素について、前記指標値が前記ハイライト領域に属しない画素に比べて、階調変化に対する彩度の変化度合いを大きくする色変換用LUTを用いて、前記画像の色を前記印刷色に変換する、印刷装置。
【請求項7】
請求項5に記載の印刷装置において、
前記色変換部は、
前記画像を構成する画素のうち、前記低彩度画素について、前記指標値が前記ハイライト領域に属しない画素に比べて、階調変化に対する彩度の変化度合いを大きくする彩度調整部と、
前記画像の色と前記印刷色とを対応付ける色変換用LUTと、
前記彩度調整部により調整後の前記画像の色を、前記色変換用LUTを用いて前記印刷色に変換する変換部と、
を備える印刷装置。
【請求項8】
請求項5ないし請求項7のいずれかに記載の印刷装置において、
前記色変換部は、前記画像を構成する画素のうち、前記指標値が前記第1の所定値よりも低い第2の所定値以下のシャドー部に属する画素について、前記指標値が前記シャドー部に属しない画素に比べて、前記光沢材の量が少なくなるように、前記画像の色を前記印刷色に変換する、印刷装置。
【請求項9】
光沢材と着色材とを用いて画像を印刷する印刷装置を制御する印刷制御装置であって、
前記画像を構成する画素のうち、明るさに関連する指標値が第1の所定値以上のハイライト部に属する画素について、前記指標値が前記ハイライト部に属しない画素に比べて、階調変化に対する明るさの変化度合いが大きくなるように、前記画像の色を前記光沢材及び前記着色材により表現される印刷色に変換する色変換部を備える、印刷制御装置。
【請求項10】
光沢材と着色材とを用いて画像を印刷する印刷装置を制御する印刷制御装置であって、
前記画像を構成する画素のうち、明るさに関連する指標値が第1の所定値以上のハイライト部に属する画素であって彩度が所定値以下の画素である低彩度画素について、前記指標値が前記ハイライト部に属しない画素に比べて、階調変化に対する彩度の変化度合いが大きくなるように、前記画像の色を、前記光沢材及び前記着色材により表現される印刷色に変換する色変換部を備える、印刷制御装置。
【請求項11】
画像の色を、印刷装置において用いられる光沢材及び着色材により表現される印刷色に変換する色変換方法であって、
前記画像を構成する画素のうち、明るさに関連する指標値が第1の所定値以上のハイライト部に属する画素について、前記指標値が前記ハイライト部に属しない画素に比べて、階調変化に対する明るさの変化度合いが大きくなるように、前記画像の色を前記印刷色に変換する工程を備える、色変換方法。
【請求項12】
画像の色を、印刷装置において用いられる光沢材及び着色材により表現される印刷色に変換する色変換方法であって、
前記画像を構成する画素のうち、明るさに関連する指標値が第1の所定値以上のハイライト部に属する画素であって彩度が所定値以下の画素である低彩度画素について、前記指標値が前記ハイライト部に属しない画素に比べて、階調変化に対する彩度の変化度合いが大きくなるように、前記画像の色を、前記印刷色に変換する工程を備える、色変換方法。
【請求項13】
画像の色を、印刷装置において用いられる光沢材及び着色材により表現される印刷色に変換するためのプログラムであって、
前記画像を構成する画素のうち、明るさに関連する指標値が第1の所定値以上のハイライト部に属する画素について、前記指標値が前記ハイライト部に属しない画素に比べて、階調変化に対する明るさの変化度合いが大きくなるように、前記画像の色を前記印刷色に変換する機能を、コンピューターに実現させるためのプログラム。
【請求項14】
画像の色を、印刷装置において用いられる光沢材及び着色材により表現される印刷色に変換するためのプログラムであって、
前記画像を構成する画素のうち、明るさに関連する指標値が第1の所定値以上のハイライト部に属する画素であって彩度が所定値以下の画素である低彩度画素について、前記指標値が前記ハイライト部に属しない画素に比べて、階調変化に対する彩度の変化度合いが大きくなるように、前記画像の色を、前記印刷色に変換する機能を、コンピューターに実現させるためのプログラム。
【請求項15】
請求項13または請求項14に記載のプログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2012−101453(P2012−101453A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−252197(P2010−252197)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】