厚み測定方法、厚み測定装置、および厚み測定システム
【課題】立体構造を有する物体の厚み分布を、短時間に、かつ容易に測定する。
【解決手段】厚み測定方法は、測定対象物6に光を照射する光照射工程(S1)と、測定対象物6に照射された光が、測定対象物6を透過しているときに、測定対象物6への光の照射方向とは異なる所定の方向から、測定対象物6を撮像する撮像工程(S2)と、その撮像画像に基づいて、測定対象物6の厚み分布を測定する測定工程(S3)と、を含む。
【解決手段】厚み測定方法は、測定対象物6に光を照射する光照射工程(S1)と、測定対象物6に照射された光が、測定対象物6を透過しているときに、測定対象物6への光の照射方向とは異なる所定の方向から、測定対象物6を撮像する撮像工程(S2)と、その撮像画像に基づいて、測定対象物6の厚み分布を測定する測定工程(S3)と、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体構造を有する物体の厚み分布を測定する厚み測定方法などに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、製品を形成する面の厚みを測定し、所定の厚みを有しているか否かを検査することは、当該製品の歩留まり悪化を抑制するために重要である。特に、成形品に対して、上記面の厚さを測定し、上記検査を行うことは有用である。なぜなら、成形品を形成する際に、成形前のシート(上記面を構成する部材)の厚みが一定であっても、成形後には当該シートに厚みムラが生じやすい、すなわち、厚みが所定の厚みよりも薄くなった部分においては亀裂が生じやすいためである。
【0003】
上記の厚みの測定方法としては、例えば特許文献1に開示されている。図21は、特許文献1に開示された測定方法を説明するものである。特許文献1では、図21の(a)に示すように、成形前のシート102に、予め格子状の格子パターン101が形成されている。シートが成形されると、図21の(b)に示すように、そのシートの形状に沿って格子パターン101が変形する。この成形前後の格子パターン101を撮像し、それぞれの面積(成形前領域103および成形後領域104の面積)から面積変化率を求め、体積一定の仮定の下に、成形後のシートの厚みを推定する。
【0004】
また、従来から、超音波または磁気を用いた厚さ測定計を用いて、上記面の厚さを測定する方法も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−139457号公報(2010年6月24日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の方法では、成形後のシートの厚み測定のために、成形前のシートの厚みを予め測定し、かつ成形前のシートに格子パターン101を予め設けておく必要があった。また、成形後の厚み推定では、膨大な計算処理および画像処理が必要であった。さらに、成形前のシートに格子パターン101を設けることは、費用がかかるだけでなく、当該格子パターン101が成形時の成形抵抗となり、成形の精度が悪化する可能性もあった。
【0007】
また、従来の厚み測定計では、スポット的な測定しか行えないため、シート全体の厚み測定時間が長くなってしまう(例えば、当該測定計を用いた場合、18点を測定するのに、約15分かかる)。
【0008】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、短時間で容易に物体の厚み分布を測定可能な厚み測定方法、厚み測定装置および厚み測定システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る厚み測定方法は、上記の課題を解決するために、物体の厚み分布を測定する厚み測定方法であって、上記物体は、光を透過する立体構造を有し、上記物体に光を照射する光照射工程と、上記光照射工程により上記物体に照射された光が、当該物体を透過しているときに、当該物体への光の照射方向とは異なる所定の方向から、当該物体を撮像する撮像工程と、上記撮像工程により撮像された上記物体の撮像画像に基づいて、上記物体の厚み分布を測定する測定工程と、を含むことを特徴としている。
【0010】
また、本発明に係る厚み測定装置は、上記の課題を解決するために、物体の厚み分布を測定する厚み測定装置であって、上記物体は、光を透過する立体構造を有し、上記物体に照射された光が当該物体を透過しているときに、当該物体への光の照射方向とは異なる所定の方向から撮像された当該物体の撮像画像に基づいて、上記物体の厚み分布を測定する測定手段を備えることを特徴としている。
【0011】
上記の厚み測定方法によれば、光を透過する立体構造を有する物体に光を照射し、光が透過しているときの物体を、照射方向とは異なる所定の方向から撮像する。そして、その撮像画像に基づいて、物体の厚み分布を測定する。また、上記の厚み測定装置も同様に、上記物体から光が透過しているときに、上記所定の方向から撮像された物体の撮像画像に基づいて、物体の厚み分布を測定する。
【0012】
すなわち、上記の方法および装置では、物体の厚み分布を測定するための前提として、物体に対して光を照射し、当該物体を撮像するだけでよい。すなわち、例えば特許文献1のように、成形前の格子パターンの形成およびその撮像といった前工程、並びに、上記の面積変化率を求めるといった複雑な処理工程を行う必要がない。また、その前工程および複雑な処理工程を、物体を形成する面ごとに行う必要もない。
【0013】
それゆえ、立体構造を有する物体の厚み分布を、短時間で、かつ容易に測定することができる。
【0014】
また、本発明に係る厚み測定方法では、上記物体は、所定の厚みを有する複数の面を有することにより、立体構造を形成しており、上記複数の面に対して少なくとも1つの撮像装置が配置されており、上記撮像工程において、上記複数の面を上記撮像装置が撮像し、上記測定工程において、上記面のそれぞれの撮像画像を、上記物体の撮像画像として取得することが好ましい。
【0015】
上記では、物体は所定の厚みを有する複数の面を有しており、その複数の面に対して少なくとも1つの撮像装置が配置されている。そして、上記の方法によれば、撮像装置が撮像した各面の撮像画像を、物体の撮像画像として取得する。それゆえ、立体構造を形成する物体の各面の厚み分布を容易に測定することができる。
【0016】
また、本発明に係る厚み測定方法では、上記物体は、成形品であることが好ましい。
【0017】
上記の方法によれば、成形品の厚み分布を容易に測定することができる。
【0018】
また、本発明に係る厚み測定方法では、上記測定工程は、上記物体の撮像画像の輝度値を求める輝度値算出工程と、上記輝度値算出工程により求められた上記輝度値を、相関関数により変換した上記物体の厚み分布を示す画像である厚み分布画像を生成する画像生成工程と、を含むことが好ましい。
【0019】
上記の方法によれば、撮像画像の輝度値が相関関数により変換された画像である厚み分布画像を生成する。それゆえ、例えば物体の良品判定を行う検査者は、例えば生成された厚み分布画像を見るだけで、その厚み分布を一目で確認することができる。すなわち、検査者などに、物体の厚み分布を容易に認識させることができる。
【0020】
また、本発明に係る厚み測定システムは、上記物体の厚み分布を測定する厚み測定システムであって、上記物体に光を照射する光照射装置と、上記光照射装置により上記物体に照射された光が、当該物体を透過しているときに、当該物体への光の照射方向とは異なる所定の方向から、当該物体を撮像する撮像装置と、上記に記載の厚み測定装置と、を備えることが好ましい。
【0021】
上記の構成によれば、光照射装置が、光を透過する立体構造を有する物体に光を照射し、撮像装置が、光が透過しているときの物体を、照射方向とは異なる所定の方向から撮像する。そして、厚み測定装置が、その物体の撮像画像に基づいて、物体の厚み分布を測定する。それゆえ、上述の厚み測定方法および厚み測定装置と同様、立体構造を有する物体の厚み分布を、短時間に、かつ容易に測定することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明に係る厚み測定方法は、光を透過する立体構造を有する物体に光を照射する光照射工程と、上記光照射工程により上記物体に照射された光が、当該物体を透過しているときに、当該物体への光の照射方向とは異なる所定の方向から、当該物体を撮像する撮像工程と、上記撮像工程により撮像された上記物体の撮像画像に基づいて、上記物体の厚み分布を測定する測定工程と、を含むことを特徴としている。
【0023】
また、本発明に係る厚み測定装置は、光を透過する立体構造を有する物体に照射された光が当該物体を透過しているときに、当該物体への光の照射方向とは異なる所定の方向から撮像された上記物体の撮像画像に基づいて、上記物体の厚みを測定する測定手段を備える構成である。
【0024】
それゆえ、立体構造を有する物体の厚み分布を、短時間に、かつ容易に測定することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係る厚み測定システムの概略構成の一例を示す図であり、(a)は、厚み測定装置、撮像装置、照明装置および測定台を備える様子を示す図であり、(b)は、複数の撮像装置を備えるときの様子を示す斜視図である。
【図2】上記厚み測定システムで用いられる測定対象物の一例を示す斜視図である。
【図3】上記厚み測定装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図4】上記厚み測定システムにおける処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図5】上記厚み測定装置における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の別の実施形態に係る厚み測定システムの概略構成の一例を示す図であり、厚み測定装置、撮像装置、照明装置および測定台を備える様子を示す図である。
【図7】本発明の別の実施形態に係る厚み測定システムの概略構成の一例を示す図であり、厚み測定システムを構築する検査室の概要を示す斜視図である。
【図8】上記厚み測定システムで用いられる測定対象物である内箱を含む冷蔵庫の概略構成の一例を示す斜視図である。
【図9】上記厚み測定システムで用いられる測定対象物である内箱の概略構成の一例を示す斜視図であり、(a)は、1室タイプの内箱の一例を示す図であり、(b)は、2室タイプの内箱の一例を示す図である。
【図10】上記測定台の概略構成の一例を示す斜視図である。
【図11】1室タイプの内箱が上記測定台に載置されたときの様子を示す図である。
【図12】2室タイプの内箱が上記測定台に載置されているときの様子を示す図であり、(a)は、測定台が屈曲していない状態であるときの様子を示す図であり、(b)は、測定台が屈曲している状態であるときの様子を示す図である。
【図13】上記照明装置の種類および配置例を示す図であり、(a)は、直管蛍光灯で実現された照明装置を示す図であり、(b)は、電球で実現された照明装置を示す図である。
【図14】直管蛍光灯で実現された照明装置の配置の一例を示す図である。
【図15】上記厚み測定システムにおける、内箱の搬入から搬出までの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図16】内箱が1室タイプであるときの上記処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図17】内箱が2室タイプであるときの上記処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図18】内箱の撮像画像を示すものであり、(a)は、上記照明装置がオフであるときの撮像画像の一例を示す図であり、(b)は、上記照明装置がオンであるときの撮像画像の一例を示す図である。
【図19】内箱の撮像画像の輝度値と、内箱の厚みとの関係を示す図である。
【図20】内箱の厚み分布画像の一例を示す図である。
【図21】従来技術を示す図であり、測定対象物である内箱の成形前後の格子パターンの様子を示す図であり、(a)は、内箱の成形前の格子パターンの様子を示す図であり、(b)は、内箱の成形後の格子パターンの様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について図1〜図5に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0027】
<厚み測定システムの構成>
まず、本実施の形態に係る厚み測定システム1の構成について、図1および図2に基づいて説明する。図1は、厚み測定システム1の概略構成の一例を示す図である。
【0028】
図1の(a)に示すように、厚み測定システム1は、測定対象物6(物体)の厚み分布を測定するものであり、厚み測定装置2、撮像装置3、照明装置4(光照射装置)および測定台5を備えている。また、図1の(a)では、測定台5に測定対象物6が載置されている。
【0029】
厚み測定装置2は、照明装置4から出射された光が、測定対象物6の内部から外部へと透過しているときに、撮像装置3によって撮像された測定対象物6の撮像画像(その輝度値)に基づいて、測定対象物6の厚み分布の測定を行うものである。厚み測定装置2の具体的構成については後述する。
【0030】
撮像装置3は、測定台5に載置された測定対象物6の表面を撮像するものであり、例えばカメラなどで実現されている。カメラとしては、入射光によって、低輝度の部分を高め、高輝度の部分を低くする画像処理を行うもの(例えば、所謂デジタルカメラ)よりも、所謂FAカメラ(産業用カメラ)と呼ばれるものが好適である。
【0031】
撮像装置3は、特に、照明装置4により測定対象物6に照射された光が、測定対象物6を透過しているときに、測定対象物6への光の照射方向とは異なる所定の方向から、測定対象物6を撮像するものである。撮像装置3は、光透過状態の測定対象物6を撮像した撮像画像に対して、画像形状歪み補正などを行ってもよい。
【0032】
なお、所定の方向とは、上記照射方向以外の方向(例えば、照射方向に対向する方向)を含み、測定対象物6の、照明装置4からの光を透過する側の面(入射する側と対向する面)を撮像可能な方向である。つまり、図1の(a)では、撮像装置3が測定対象物6の1つの面を撮像するように配置されているが、例えば、複数の面を一度に撮像可能な位置に配置されていてもよい。
【0033】
また、撮像装置3が撮像するタイミングは、照明装置4から光が照射された直後(点灯直後)でなくてもよく、点灯してから所定の時間経過した後であってもよい。所定の時間経過した後とすることにより、照明装置4の温度が安定してから、撮像を行うことが可能となる。
【0034】
また、図1の(b)に示すように、測定対象物6を形成する複数の面のそれぞれに対して複数の撮像装置3が配置されており、各撮像装置3が、当該面のそれぞれを撮像する構成となっていてもよい。上記と同様、この構成の場合も、測定対象物6の各面と撮像装置3とが一対一に対応している必要はない。すなわち、1つの撮像装置3が測定対象物6の2つ以上の面を撮像可能なように、少なくとも1つの撮像装置3が測定台5の周囲に配置されていてもよい。なお、本実施の形態において、撮像装置3が、測定対象物6の面に対して配置、あるいは当該面に対向して配置されているとは、撮像装置3が、当該面の垂線上に配置されている形態に限らず、その垂線上でなくても、その面、あるいはその面を含む複数の面を撮像可能な位置に配置されていることを含む概念である。すなわち、上記「面に対して(対向して)配置」とは、当該面に対して撮像装置3の光軸が垂直となる位置への撮像装置3の配置、あるいはその他の位置への撮像装置3の配置を含む概念である。つまり、上記面と撮像装置3との配置関係がどのような関係であっても、光透過状態にある面を撮像して、その面の撮像画像に対して画像処理を行うことにより、当該面の厚み分布を測定することが可能であればよい。
【0035】
撮像装置3は、撮像した測定対象物6の撮像画像のデータを厚み測定装置2に送信する。この送信処理は、無線媒体、有線媒体のいずれで実現されてもよい。また、撮像画像のデータを記録媒体に保存して、厚み測定装置2がそのデータを読み出す構成であってもよい。
【0036】
照明装置4は、測定対象物6に光を照射するものであり、例えば、測定台5の、測定対象物6が載置される面と対向する面側に配置される。なお、撮像装置3と照明装置4との相対的な位置関係は、撮像装置3が、上記所定の方向から、光透過状態にある測定対象物6を撮像可能な位置関係であればよく、例えば、撮像装置3が測定台5に配置され、照明装置4が測定対象物6の周囲に配置されてもよい。また、照明装置4は、撮像装置3が撮像した撮像画像、あるいはその透過状態に応じて(すなわち、測定対象物6の分光特性に応じて)、出射する光の波長を変更してもよい。この場合、撮像装置3は、厚み分布の測定に適した撮像画像を厚み測定装置2に提供することができる。
【0037】
測定台5は、測定対象物6の厚み分布の測定時に、測定対象物6を載置するものである。
【0038】
測定対象物6は、厚み測定システム1において厚み分布の測定が実施される物体であり、照明装置4から出射された光を透過するものである。これにより、厚み測定装置2は、撮像装置3が撮像した、光透過状態にある測定対象物6の撮像画像の輝度に基づいて、当該厚み分布の測定を行うことができる。また、測定対象物6は、平面形状の物体ではなく、立体構造の物体である。
【0039】
測定対象物6は、例えば図2に示すように、箱型の物体であり、所定の厚みを有する複数の面6a(5面)からなる。この場合、測定対象物6は、開口面6bが測定台5の表面と対向するように、測定台5の上に載置される。そのように載置することにより、照明装置4から出射された光を、開口面6bから測定対象物6の内部に進入させ、複数の面6aのそれぞれから透過させることができる。
【0040】
<厚み測定装置の構成>
次に、本実施の形態に係る厚み測定装置2の概略構成の一例について、図3に基づいて説明する。図3は、厚み測定装置2の概略構成の一例を示すブロック図である。
【0041】
厚み測定装置2は、測定対象物6の厚み分布の測定を実現するために、制御部11、記憶部12および表示部13を備えている。
【0042】
制御部11は、例えば制御プログラムを実行することにより、厚み測定装置2を構成する部材を制御するものである。制御部11は、記憶部12に格納されているプログラムを、例えばRAM(Random Access Memory)等で構成される一次記憶部(不図示)に読み出して実行することにより、例えば、撮像画像の輝度値の算出、厚み分布画像の生成などの各種処理を行う。
【0043】
記憶部12は、制御部11が実行する(1)各部の制御プログラム、(2)OSプログラム、(3)アプリケーションプログラム、および、(4)これらプログラムを実行するときに読み出す各種データを記録するものである。制御部11は、例えばROM(Read Only Memory)フラッシュメモリなどの不揮発性の記憶装置によって構成されるものである。なお、上述した一次記憶部は、RAMなどの揮発性の記憶装置によって構成されているが、本実施の形態では、記憶部12が一次記憶部の機能も備えているものとして説明する場合もある。記憶部12は、例えば撮像装置3から受信した、光透過状態にある測定対象物6の撮像画像、当該撮像画像の輝度値、厚み分布画像などの各種データを格納している。
【0044】
表示部13は、表示制御部16の制御により画像を表示するものであり、例えばLCD(Liquid Crystal Display)等で実現されている。表示部13は、特に、上記撮像画像に基づいて生成された厚み分布画像を表示する。なお、本実施の形態では、厚み測定装置2が表示部13を備えているが、外部の表示装置によって表示部13が実現されていてもよい。
【0045】
次に、制御部11の構成について説明する。制御部11は、主として、画像取得部14、測定部15(測定手段)および表示制御部16を備えている。
【0046】
画像取得部14は、撮像装置3が撮像した、光透過状態にある測定対象物6の各面6aの撮像画像を、撮像装置3から取得し、記憶部12に記憶する。そして、撮像画像の取得通知を測定部15に送信する。
【0047】
測定部15は、画像取得部14から上記取得通知を受信すると、画像取得部14が記憶部12から各面6aの撮像画像を読み出し、当該撮像画像に基づいて、各面6aの厚み分布を測定する。すなわち、測定部15は、測定対象物6に照射された光が測定対象物6を透過しているときに、上記所定の方向から撮像された測定対象物6の撮像画像に基づいて、測定対象物6の厚み分布を測定するものである。
【0048】
ここで、測定対象物6が光透過状態にある場合、その光透過量は、各面6aの厚みに応じて変化するので、このときの撮像画像には、明暗の分布(輝度分布)が鮮明に現れる。そのため、測定部15は、光透過状態にある測定対象物6の撮像画像を用いることにより、厚み分布の測定を精度よく行うことができる。
【0049】
また、測定部15は、上記の測定を実現するために、輝度値算出部151、厚み分布変換部152および画像生成部153を備えている。
【0050】
輝度値算出部151は、上記撮像画像の全画素の輝度値を求めるものである。また、輝度値算出部151は、求めた輝度値のうち、予め厚みを測定した測定位置に対応する輝度値については、当該測定位置に対応付けて、記憶部12に記憶する。
【0051】
上記測定位置の厚みは、例えば磁気式厚さ測定計(例えば、Magna-Mike 8500:オリンパス株式会社製)等によって、厚み測定装置2による厚み分布の測定前に予め測定されている。その厚みと、その厚みを測定した測定位置とが、例えば厚み測定装置2が備える入力部(不図示)を介して入力され、その厚みと測定位置とが対応付けられて、記憶部12に記憶される。
【0052】
また、入力される測定位置は、例えば、測定台5に対する絶対座標であり、その絶対座標と撮像画像の画素位置とが対応付けられて、予め記憶部12に記憶されている。これにより、測定位置と、撮像画像の、測定位置に対応する画素位置とを対応付けて記憶することが可能となる。すなわち、測定位置と、その測定位置に対応する画素位置と、その画素位置に対応する輝度値とを対応付けて、厚み情報として記憶部12に記憶することが可能となる。
【0053】
輝度値算出部151は、全画素の輝度値の算出処理および厚み情報の記憶処理が完了すると、当該処理の完了通知を厚み分布変換部152に送信する。
【0054】
厚み分布変換部152は、上記完了通知を受信すると、記憶部12から厚み情報を読み出し、予め測定された測定位置の厚みと、当該測定位置に対応する輝度値とから、輝度値と厚みとの相関関数yを求める。この相関関数yは、ランバードベールの法則から指数関数となることがわかっている。そのため、厚み分布変換部152は、上記の輝度値および厚みに対して、指数関数近似を行うことにより、例えば所定の厚みばらつきの範囲(例えば±0.1mmの範囲)内において相関関数yを求める。これにより、予め厚みが測定された測定位置以外の測定位置における厚みを推定できる。すなわち、厚み分布変換部152は、輝度値算出部151が求めた撮像画像の全画素の輝度値を、相関関数yにより、測定対象物6の厚み分布に変換するものといえる。
【0055】
厚み分布変換部152は、求めた相関関数y(厚み分布)を厚み分布情報として記憶部12に記憶し、上記処理の完了通知を画像生成部153に送信する。
【0056】
画像生成部153は、上記完了通知を受信すると、記憶部12から、撮像画像と厚み分布情報とを読み出し、撮像画像の全画素について、その厚みに対応した色情報に変換し、当該変換した画像を厚み分布画像として生成する。すなわち、画像生成部153は、上記変換された厚み分布を示す画像である厚み分布画像を生成するものである。なお、上記の色情報は、例えば厚みの段階に応じた値(例えば、0mm以上0.1mm未満では青を示す値、0.1mm以上0.2mm未満では青紫を示す値など)として記憶部12に記憶されている。
【0057】
画像生成部153は、生成した厚み分布画像を記憶部12に記憶し、生成処理の完了通知を表示制御部16に送信する。
【0058】
表示制御部16は、表示部13への画像表示の制御を行うものである。表示制御部16は、特に、上記完了通知を受信したときに、記憶部12から厚み分布画像を読み出し、表示部13に表示させる。これにより、測定対象物6の検査者が、その厚みの具合を一目で確認することができ、良品判定等を行うことができる。
【0059】
<厚み測定方法>
次に、本実施の形態に係る厚み測定方法の概略構成の一例について、図4および図5に基づいて説明する。図4は、厚み測定システム1における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0060】
図4に示すように、厚み測定システム1では、まず、照明装置4によって測定対象物6に光が照射される(S1:光照射工程)。次に、測定対象物6に光が照射された状態で、撮像装置3によって、上記所定の方向から測定対象物6が撮像される(S2:撮像工程)。そして、撮像装置3によって撮像された測定対象物6の撮像画像に基づいて、測定対象物6の厚み分布が測定される(S3:測定工程)。
【0061】
次に、S3の測定工程での具体的処理について、図5に基づいて説明する。図5は、厚み測定装置2における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0062】
図5に示すように、まず、画像取得部14によって、撮像装置3から撮像画像が取得された後(S11)、輝度値算出部151によって、撮像画像の全画素の輝度値が算出される(S12:輝度値算出工程)。
【0063】
その後、厚み分布変換部152は、S12で算出された、予め厚みが測定された測定位置に対応する輝度値と、当該測定位置の厚みとから、相関関数yを求める。そして、その相関関数yにより、撮像画像の全画素の輝度値を厚み分布に変換する(S13)。そして、画像生成部153によって、S13で変換された厚み分布に基づいて、厚み分布画像が生成され(S14:画像生成工程)、表示制御部16によって、当該厚み分布画像が表示部13に表示される(S15)。
【0064】
<本実施の形態の効果>
本実施の形態に係る厚み測定方法は、立体構造を有する測定対象物6に光を照射する光照射工程と、その光が測定対象物6を透過しているときに、上記所定の方向から、測定対象物6を撮像する撮像工程と、撮像された測定対象物6の撮像画像に基づいて、測定対象物6の厚み分布を測定する測定工程と、を含む。また、厚み測定システム1は、その工程を実現するべく、照明装置4、撮像装置3および厚み測定装置2を備える構成である。また、厚み測定装置2は、上記の測定工程を実現する測定部15を備える構成である。
【0065】
上記方法、システムおよび装置によれば、立体構造を有する測定対象物6の厚み分布を測定するために、測定対象物6に対して光を照射し、当該物体を撮像するだけでよく、複雑な処理工程を必要としない。それゆえ、測定対象物6の厚み分布を、短時間で、かつ容易に測定することができる。そのため、例えば量産中である測定対象物6の全数についての厚み分布の測定を現実的に実施することができる。
【0066】
また、従来の厚み測定計を用いる場合には、一般に、測定対象物6の厚みに基づく良品判定を、全数検査ではなく、抜き取り検査によって行う。それゆえ、不良品が流出してしまう可能性が高い。上記の測定方法、システムおよび装置によれば、全数検査を現実的に実施可能であるため、不良品の流出を抑制することができる。
【0067】
さらに、厚み測定システム1では、複数の面6aに対して少なくとも1つの撮像装置3が配置されており、撮像装置3が各面6aを撮像し、厚み測定装置2の測定部15がその各面6aの撮像画像を、測定対象物6の撮像画像として取得する。
【0068】
それゆえ、測定対象物6の各面6aの厚み分布を容易に測定することができる。また、各面6aに対して少なくとも1つの撮像装置3が配置されているので、各面6aの撮像画像を一度に取得することができる。それゆえ、各面6aの厚み分布の測定を、短時間で行うことができる。
【0069】
さらに、厚み測定装置2では、輝度値算出部151によって、光透過状態にある測定対象物6の撮像画像の輝度値が求められ、画像生成部153によって、その輝度値を、相関関数により変換した測定対象物6の厚み分布を示す画像である厚み分布画像が生成される。この場合、検査者がその厚み分布画像を見るだけで、測定対象物6の厚み分布を確認することができるので、測定対象物6の検査時間を短縮することができる。また、厚み分布画像が表示部13に表示されることにより、検査者は、規定の厚みよりも薄い部分に対する補強の要否判断、良品判定などを容易に行うことができる。すなわち、厚み測定装置2は、検査者に、厚み分布の測定結果を容易にフィードバックすることができる。
【0070】
さらに、測定対象物6が、例えば真空成形などにより形成される成形品であっても、短時間に、かつ容易に、当該成形品の厚み分布の測定を行うことができる。また、この場合には、検査者は、上記厚み分布画像を見るだけで、その成形条件の修正の要否判断も行うことができる。
【0071】
また、一般に、成形前のシートの厚みムラ、または成形条件などにより、成形後のシートの厚みは細かく変化する可能性があるので、例えば従来の厚み測定計を用いた測定では、その厚み変化による不良品の流出を防ぐことは困難である。一方、本実施の形態の厚み測定システム1においては、上述のように、全数検査を現実的に実施することが可能であるため、そのような不良品の流出を抑制することができる。
【0072】
<変形例>
上記では、厚み測定装置2、撮像装置3および照明装置4の処理は、各装置で独立して行われているが、例えば、照明装置4の光出射(S1の処理)、および撮像装置3の撮像(S2の処理)についても、厚み測定装置2が制御してもよい。
【0073】
この場合、厚み測定装置2と、撮像装置3、照明装置4および測定台5とがデータ通信可能なように構成されている。そして、例えば測定台5に設けられたセンサによって、測定台5に測定対象物6が載置されたことが検知されたときに、その検知結果が測定台5から厚み測定装置2に送信される。
【0074】
厚み測定装置2の制御部11は、その検知結果を受信すると、照明装置4をオンにして、測定対象物6に対して光を照射させる。その後、撮像装置3に撮像開始を示す開始信号を送信することにより、撮像装置3による測定対象物6の撮像が開始される。撮像装置3は、撮像した測定対象物6の撮像画像のデータを厚み測定装置2に送信する。厚み測定装置2の制御部11は、この撮像画像のデータを、画像取得部14において取得し、上述した厚み分布の測定を開始する。
【0075】
これにより、測定台5に測定対象物6を載置するだけで、当該測定対象物6の厚み分布の測定を行うことができるので、より短時間で容易に当該測定を実現することができる。
【0076】
また、厚み測定装置2が、撮像装置3および照明装置4を含む構成であってもよい。すなわち、厚み測定装置2は、立体構造を有する測定対象物6に光を照射する照明装置4(光照射部)と、照明装置4により測定対象物6に照射された光が、測定対象物6を透過しているときに、測定対象物6への光の照射方向とは異なる所定の方向から、測定対象物6を撮像する撮像装置3(撮像部)と、撮像装置3により撮像された測定対象物6の撮像画像に基づいて、測定対象物6の厚み分布を測定する測定部15と、を含む構成であってもよい。この場合であっても、上記と同様、短時間に、かつ容易に、測定対象物6の厚み分布の測定を行うことができる。
【0077】
〔実施の形態2〕
本発明の実施の一形態について図6〜図20に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、実施の形態1と同様の部材に関しては、同じ符号を付し、その説明を適宜省略する。本実施の形態では、実施の形態1で説明した厚み測定システム1の具体的構成を示すものであり、特に、測定対象物として冷蔵庫の内箱(フードライナー)の厚み測定を行うときの一例について説明する。
【0078】
<厚み測定システムの構成>
まず、本実施の形態に係る厚み測定システム1の構成について、図6および図7に基づいて説明する。図6および図7は、本実施の形態に係る厚み測定システム1の概略構成の一例を示す図である。
【0079】
図6に示す厚み測定システム1は、厚み測定装置2、撮像装置3、照明装置4および測定台5を備えている。また、測定台5には、測定対象物(物体)として冷蔵庫60の内箱62(フードライナー)が載置されている。
【0080】
また、測定台5の、内箱62が載置される位置には、照明装置4から出射される光を拡散する拡散板7が設けられている。これにより、内箱62の内壁に均一に光を照射することができる。
【0081】
また、図7には、厚み測定システム1が構築される検査室が示されている。図7に示すように、検査室の中心に測定台5が載置され、その周囲には支柱が組まれている。その支柱には、複数の撮像装置3が、内箱62を形成する複数の面のそれぞれに対向するように設けられている。これにより、光透過状態にある内箱62の撮像が可能となる。また、測定台5の近傍に、厚み測定装置2が配置されている。
【0082】
なお、実施の形態1で述べたように、複数の撮像装置3が、内箱62を形成する面のそれぞれに対向して配置されている必要はなく、1つの撮像装置3が、内箱62の2つ以上の面を撮像するように、測定台5の周囲に配置されている構成であってもよい。また、撮像装置3が、内箱62の面に対して(対向して)配置されているとは、当該面の垂線上に配置されている形態に限られない。
【0083】
また、撮像装置3が、光透過状態にある内箱62の各面の鮮明な撮像画像を取得するためには、検査室は暗室である(少なくとも測定台5の周囲への外光の進入が防止されている)ことが好ましい。この状況を実現するために、上記の支柱には(測定台5の周囲には)、例えば遮光シートが設けられた内部壁72が設けられ、検査室の壁70および天井71にも、例えば遮光シートが設けられている。
【0084】
内部壁72が設けられる支柱は、搬送者80(図16参照)による検査室内への内箱62の搬入・搬出を可能とするための搬入口、通路、搬出口が形成されるように、検査室の壁70から所定の幅だけ離間して設けられている。なお、図7に示す検査室では、例えば、搬入口から搬出口まで延伸する支柱の長さは約5.4m、搬入口および搬出口の高さを規定する支柱の長さは約2.7m、これらの2つの支柱に垂直に、搬入口または搬出口から延伸する支柱の長さは約3.9mである。
【0085】
また、図7に示す厚み測定システム1では、後述する1室タイプの内箱62aおよび2室タイプの内箱62bのそれぞれを形成する各面を効率よく撮像可能なように、6台の撮像装置3が設けられている。これらの撮像装置3の使用方法については後述する。
【0086】
<内箱の概要>
次に、内箱62の概要について、図8および図9に基づいて説明する。図8は、本実施の形態での測定対象である内箱62を含む冷蔵庫60の概略構成の一例を示す斜視図である。
【0087】
図8に示すように、冷蔵庫60は、外箱61と内箱62と図示しないドアとからなる。外箱61は、冷蔵庫60の筐体であり、その内部に、食品を格納する内箱62、コンプレッサー(不図示)および配管(不図示)などが搭載されている。また、外箱61と内箱62との間の、コンプレッサーおよび配管などの構成部材がない空間(隙間)には、断熱材が充填されている。この断熱材により、冷蔵庫60内の温度が一定に維持される。
【0088】
また、内箱62としては、図9の(a)に示す1室タイプの内箱62aと、図9の(b)に示す2室タイプの内箱62bとがある。
【0089】
<測定台の概要>
次に、測定台5の概要について、図10〜図12に基づいて説明する。図10は、測定台5の概略構成の一例を示す斜視図である。また、図11は、1室タイプの内箱62aが測定台5に載置されたときの様子を示す図であり、図12は、2室タイプの内箱62bが測定台5に載置されているときの様子を示す図である。
【0090】
図10に示すように、測定台5は、複数のフレーム51を備えている。複数のフレーム51は、内箱62が載置される台座として機能するように、所定の間隔で略平行に配置されている。台座として機能すれば、複数のフレーム51の代わりに、ガラス板などを用いることも可能である。
【0091】
複数のフレーム51は、基礎フレーム群52と、折り曲げ用フレーム群53とを構成している。折り曲げ用フレーム群53の、基礎フレーム群52に隣接するフレーム51の両端には、蝶番55が設けられている。これにより、折り曲げ用フレーム群53の、基礎フレーム群52と略垂直な位置までの回動が可能となる。また、折り曲げ用フレーム群53の長手方向の長さlは、少なくとも2室タイプの天板側の長さL(図9の(b)参照)よりも長くなっている。これにより、2室タイプの内箱62bが測定台5に載置され、折り曲げ用フレーム群53が上記略垂直な位置まで回動した状態となったときに、その2室タイプの繋ぎ目となっている2つの面63(図12の(b)参照)の撮像が可能となる。
【0092】
また、フレーム51の上には載置板54が配置され、フレーム51と載置板54の間には、照明装置4としての直管蛍光灯41(図13の(a)参照)が配置されている。載置板54は、内箱62が載置される部材であり、内箱62を載置した際に、直管蛍光灯41と内箱62とが接触し、直管蛍光灯41が損傷することを防止するためのものである。
【0093】
載置板54は、少なくとも直管蛍光灯41から出射された光を内箱62へ導くことができればよく、例えば透明板にて実現されているが、これに限らず、上述の拡散板7にて実現されてもよい。
【0094】
載置板54の材質としては、例えば、耐衝撃性の高いポリカーボネートが挙げられるが、このポリカーボネートとともに、内箱62の載置によって載置板54が損傷することを抑制可能な耐擦傷性の高い材質が用いられることが好ましい。耐擦傷性の高い材質を用いることによって、載置板54が損傷することによる透過率の低下を防止することができる。
【0095】
測定台5に、1室タイプの内箱62aが載置されたときには、図11に示すように、折り曲げ用フレーム群53を回動させることなく、各面の撮像が行われる。一方、測定台5に、2室タイプの内箱62bが載置されたときには、図12の(a)に示すように、まず折り曲げ用フレーム群53を回動させることなく、各面の撮像が行われる。その後、図12の(b)に示すように、折り曲げ用フレーム群53を回動させた後、2室の繋ぎ目である2つの面63の撮像が行われる。
【0096】
すなわち、上記測定台5の構成により、2室タイプの内箱62bについても、効率よく撮像を行うことができる。
【0097】
なお、測定台5には、空圧シリンダまたはガススプリングなどが取り付けられていてもよい。空圧シリンダが設けられている場合には、折り曲げ用フレーム群53の回動を自動化することができる。この場合、測定台5には、例えば空圧シリンダの起動を制御するスイッチが設けられており、例えば測定工程専任者81(図16参照)がそのスイッチをオンするだけで、あとは自動的に上記の回動が実現される。また、ガススプリングが設けられている場合には、上記の回動を半自動化することができる。この場合、上記の回動時に、測定工程専任者81が折り曲げ用フレーム群53を軽く押すだけで、あとは自動的にその回動が実現される。
【0098】
<照明装置の概要>
次に、照明装置4の概要について、図13および図14に基づいて説明する。図13は、照明装置4の種類および配置例を示す図であり、図14は、直管蛍光灯41の配置例を示す図である。
【0099】
図13に示すように、載置板54の、内箱62が載置される面と対向する面側に、照明装置4が設けられる。また、照明装置4は、図13の(a)に示すように、発光ダイオード(LED)を使用した直管型の蛍光灯(直管蛍光灯)41、または、図13の(b)に示すように、LEDを使用した電球(LED電球)42などで実現されている。なお、使用される光源としては、LEDに限られないが、点灯時の色温度の安定性などを考慮すれば、LEDであることが好ましい。
【0100】
直管蛍光灯41が用いられる場合、電球タイプ(例えば、LED電球42)の光源に比べ、1つの光源あたりの発光面積が大きいので、その設置数を少なくすることができ、その結果、消費電力を低減することができる。
【0101】
直管蛍光灯41は、例えば図13の(a)に示すように、測定台5の各フレーム51と載置板54との間に、当該フレーム51に沿って設けられている。すなわち、直管蛍光灯41は、測定台5の長手方向(同図の矢印方向)と略垂直な方向に沿って配置されている(ラダー配置)。この場合、各直管蛍光灯41のオンオフ制御を行い、発光させる直管蛍光灯41の照明数を細かく制御することにより、測定台5に載置される内箱62の、測定台5の長手方向に対する大きさにあわせて、効率よく光の照射を行うことができる。
【0102】
なお、上記の配置方法に限らず、各フレーム51の間(各フレーム51の側面)に設けられてもよく、また、撮像装置3が内箱62を撮像するのに十分な光を、内箱62から透過させることが可能であれば、全てのフレーム51に対して直管蛍光灯41を設ける必要はない。
【0103】
一方、図14では、直管蛍光灯41は、測定台5の長手方向(同図の矢印方向)に沿って(長手方向と略平行に)配列されている。図14では、直管蛍光灯41は、当該長手方向に2列となるように配置されている。この場合、図13の(a)に示す配置方法に比べ、直管蛍光灯41の設置数を少なくすることができる。
【0104】
ただし、測定台5に載置される内箱62の大きさによっては、内箱62の外側において、直管蛍光灯41が発光する可能性もある。この場合、その直管蛍光灯41から出射された光により、撮像装置3が、光透過状態にある内箱62の各面を精度よく撮像することができなくなってしまう(内箱62を透過した光の強度が弱まってしまう)可能性がある。それゆえ、図14に示す配置方法の場合には、内箱62の外側に存在する直管蛍光灯41を遮光しておくことが好ましい。
【0105】
LED電球42が用いられる場合、直管蛍光灯41に比べ、1つの光源あたりの発光面積は小さくなるが、各LED電球42の角度調整を行うことができるので、内箱62の内壁(側壁)に照射される光の照明ムラが生じるのを防止することができる。また、各LED電球42のオンオフ制御を行い、発光させるLED電球42の照明数を細かく制御することにより、測定台5に載置される内箱62の大きさにあわせて、効率よく光の照射を行うことができる。
【0106】
LED電球42は、例えば図13の(b)に示すように、測定台5の各フレーム51と載置板54との間に、測定台5の長手方向に沿って配列されている。また、図13の(b)では、1列を形成するLED電球42は、フレーム51の1つおきに配置されている。このように配置されることにより、内箱62に対して効率よく光を照射できる。なお、この配置に限らず、効率よく内箱62に対して光を照射できるように配置されていればよく、また、撮像装置3が内箱62を撮像するのに十分な光を、内箱62から透過させることが可能であれば、全てのフレーム51に対してLED電球42を設ける必要はない。
【0107】
なお、照明装置4および測定台5については、実施の形態1の厚み測定システム1においても使用可能である。
【0108】
<内箱の搬入から搬出までの処理の流れ>
次に、本実施の形態に係る厚み測定システム1における、内箱62の搬入から搬出までの処理の流れについて、図15〜図17に基づいて説明する。図15は、内箱62の搬入から搬出までの処理の一例を示すフローチャートである。また、図16は、内箱62が1室タイプであるときの上記処理の流れ、図17は、内箱62が2室タイプであるときの上記処理の流れを示すものである。また、複数の撮像装置3が、内箱62の種類(1室タイプの内箱62aか、または2室タイプの内箱62bか)によって、どのように使用されるかについても説明する。なお、図15〜図17では、内箱62を「FL」と図示する。
【0109】
まず、図15に示すように、検査室内に、厚み分布の測定対象となる内箱62が搬入された後(S21)、厚み測定システム1まで搬入され、測定台5に載置される(S22)。このとき、内箱62は、その開口面側が、測定台5の載置板54と対向するように載置される。
【0110】
内箱62が1室タイプの内箱62aであれば(S23でNO)、厚み測定システム1によって内箱62aの厚み分布の測定が1回行われる(S24)。一方、内箱62が2室タイプの内箱62bであれば(S23でYES)、厚み測定システム1によって内箱62bの厚み分布の測定が2回にわたり行われる(S27、S28)。
【0111】
そして、上記測定が完了すると、厚み測定システム1から内箱62が搬出され(S25)、そのまま検査室から搬出される(S26)。
【0112】
上記の厚み分布の測定では、まず、照明装置4によって、内箱62の内部に光が照射され、内箱62が光透過状態となる。その状態において、撮像装置3によって、内箱62への光の照射方向とは異なる所定の方向から、内箱62が撮像される。そして、撮像装置3によって撮像された撮像画像に基づいて、内箱62の厚み分布が測定される。
【0113】
また、この測定では、内箱62の、予め厚み測定された測定位置と、その測定位置に対応する撮像画像の輝度値とを相関づける(指数関数近似を行って得られる相関関数yを求める)ことにより、当該測定を行っていない箇所の厚みを、当該箇所に対応する撮像画像の輝度値から換算する。すなわち、上記の相関関数yによって、撮像画像の全画素の輝度値が、内箱62の厚み分布に変換(換算)される。
【0114】
なお、上記の測定における具体的な処理(厚み測定装置2における処理)については、実施の形態1で説明したので、これ以上の説明については省略する。
【0115】
次に、1室タイプの内箱62aの場合について、図16に基づいてより具体的に説明する。図16に示すように、検査室の搬入口から、搬送者80によって、検査室内に内箱62aが搬入される(S21)。搬送者80は、測定工程専任者81に内箱62を引き渡し、測定工程専任者81によって、厚み測定システム1内に内箱62aが搬入され、測定台5に載置される(S22)。そして、測定工程専任者81によって、内箱62aの厚み分布の測定が開始される(S24)。なお、当該測定は、測定工程専任者81によって行われる必要は必ずしもなく、搬送者80によって行われてもよい。この場合、搬送者80によって内箱62aが測定台5に載置されてもよい。
【0116】
1室タイプの内箱62aの場合、図16のS24に示すように、照明装置4によって内箱62aに光が照射された後、5つの撮像装置3(同図の丸枠囲みの「3」)によって内箱62aの撮像が行われる。これにより、内箱62aの天面、2つの側面、背面、底面のそれぞれの撮像が可能となる。
【0117】
上記測定が完了すると、内箱62aは、測定工程専任者81によって厚み測定システム1から搬出され(S25)、搬送者80に引き渡され、搬送者80によって検査室の搬出口から搬出される(S26)。その後、次の内箱62aの厚み分布の測定のために、内箱62aが検査室内に搬送され、上記と同様の処理が行われる。なお、搬送者80が上記の測定を行う場合には、厚み測定システム1および検査室からの搬出は、いずれも搬送者80によって行われる。
【0118】
次に、2室タイプの内箱62bの場合について、図17に基づいてより具体的に説明する。検査室および厚み測定システム1への搬入ステップ(S21、S22)、検査室および厚み測定システム1からの搬出ステップ(S25、S26)については、図16と同様であるので、その説明は省略する。
【0119】
測定工程専任者81によって、内箱62bが測定台5に載置された後、内箱62bの厚み分布の測定が開始される(S27:測定1)。この測定では、照明装置4によって内箱62bに光が照射された後、5つの撮像装置3(同図のS27の丸枠囲みの「3」)によって内箱62bの撮像が行われる。このとき使用される撮像装置3は、1室タイプの内箱62aと同じである。これにより、1回目の撮影では、内箱62bの天面、2つの側面、背面、底面のそれぞれの撮像が可能となる。
【0120】
次に、測定工程専任者81によって、折り曲げ用フレーム群53が、基礎フレーム群52に対して略垂直に回動された後、撮像装置3によって、内箱62bの2つの面63(図12の(b)参照)の撮像が行われる(S28:測定2)。この測定では、照明装置4によって内箱62bに光が照射されている状態において、2つの撮像装置3(同図のS28の丸枠囲みの「3」)によって、上記2つの面63の撮像が行われる。これにより、2回目の撮影では、1回目の撮影時には撮像できなかった2つの面63のそれぞれの撮像が可能となる。
【0121】
ここで、2回目の撮影時では、折り曲げ用フレーム群53が、基礎フレーム群52に対して略垂直となったとき、内箱62bの天板側(つば部分)を折り曲げ用フレーム群53に固定させておく必要がある。このとき、例えば、天板側の面63以外の面を覆うことが可能で、かつ遮光性の高いカバーによって、天板側を折り曲げ用フレーム群53に固定させることも可能である。この場合には、天板側の外側に配置された照明装置4から出射された光が、天板側の内部に進入することを防止できる。
【0122】
なお、S27およびS28の処理ごとに、厚み分布の測定(図5に示す処理)が行われても、S27においては内箱62bの撮像だけが行われ、S28において、2つの面63の撮像が完了した後に当該測定が行われてもよい。また、S27およびS28の処理ごとに、照明装置4のオンオフ制御が行われても、S27の処理開始からS28の処理完了時まで、照明装置4がオンのままであってもよい。
【0123】
以上のように、1室タイプの内箱62aか、2室タイプの内箱62bかによって、その測定方法を変えることにより、内箱62のタイプに適した厚み分布の測定を行うことができる。また、2室タイプの内箱62bの場合には、測定台5の折り曲げ用フレーム群53の折り曲げ機構を用いることによって、2室の繋ぎ目となっている2つの面63の撮像を容易に行うことができる。
【0124】
<実施例>
次に、本実施の形態に係る厚み測定システム1において実施される測定例について、図18〜図20に基づいて説明する。図18は、内箱62の撮像画像を示すものである。また、図19は、内箱62の撮像画像の輝度値と、内箱62の厚みとの関係を示す図であり、図20は、内箱62の厚み分布画像を示す図である。
【0125】
図18では、1室タイプの内箱62aの各面が撮像されたときの撮像画像を示している。なお、2つの側面のうちの1つは、図示を省略している。また、図18の(a)では、照明装置4がオフであるときの撮像画像を示し、同図(b)は、照明装置4がオンであるときの撮像画像を示している。
【0126】
上記(a)および(b)に示す撮像画像を比較すると、照明装置4がオンであるときに初めて、内箱62の厚みに応じた輝度分布(明暗の分布)を鮮明に認識できることがわかる。
【0127】
厚み測定装置2は、図18の(b)に示す撮像画像を撮像装置3から取得し、その撮像画像の輝度値を求める。そして、図19に示すように、予め厚み測定された測定位置の輝度値を、輝度−厚み座標にプロットし、指数関数近似により、例えば厚みばらつき±0.1mmの範囲内において相関関数yを求める。図19に示すように、この相関関数yにより、測定位置以外の箇所(プロットされていない箇所)についても、撮像画像の輝度値から厚みを求めることができる。すなわち、撮像画像の輝度値を、厚み分布に相関関数yにより、内箱62の厚み分布に変換することができる。
【0128】
次に、厚み測定装置2は、上記の厚み分布と、厚みの範囲ごとに予め規定されている色情報とから、図20に示すような厚み分布画像が生成され、表示される。なお、この厚み分布画像は、図18の(b)に示す撮像画像に対応するものではないが、同図の(b)のように得られた撮像画像から、相関関数yを求めた結果として得られたものである。
【0129】
図20においては、青い(濃い)色の部分ほど厚みが薄いことを示すように画像処理がなされており、この内箱62では、側面Aが薄くなっていることがわかる。このように、厚み分布画像の表示により、内箱62の検査者は、当該薄い部分に対する補強の要否判断、良品判定、成形条件の修正の要否判断などを容易に行うことができる。
【0130】
以上のように、本実施の形態に係る厚み測定システム1では、照明装置4による光の照射、撮像装置3による撮像、厚み測定装置2による厚み分布の測定が行われるので、短時間に、かつ容易にその測定を行うことができる。また、その測定結果を、内箱62の検査者に、容易にフィードバックすることができる。
【0131】
<その他の構成>
例えば、厚み分布画像(2値化された画像)の表示中に、検査者が、内箱62において厚みの薄い部分に補修テープを貼ることにより、内箱62の歩留まりを向上させることも可能である。
【0132】
また、厚み分布情報と真空成形条件とを紐付けして管理することにより、内箱62の更なる薄型化を図ることができ、内箱62の部材コストを低減することも可能である。
【0133】
また、厚み測定装置2は、厚み分布の測定前にキャリブレーションを行うことにより、照明の変化(温度ドリフト、経年変化)などをキャンセルすることができ、厚み分布の測定データの信頼性を向上させることができる。
【0134】
例えば、厚み測定装置2は、サンプルとしての内箱62の厚み測定を行って、その都度、厚みおよび輝度値の相関を取得し、その相関に基づいて、厚み測定装置2が記憶するキャリブレーション用の処理ソフトを更新することにより、上記のキャリブレーションを行う。
【0135】
キャリブレーションは、例えば午前中の工場立ち上げ時に行われるが、午後の工場立ち上げ時にも行うことにより、測定データの信頼性をさらに向上させることができる。
【0136】
また、内箱62の内壁の分光特性上、一般にその表面で反射する光が多くなる。例えば、その表面では、当該表面に照射された光の70%程度が反射する。そのため、内箱62の内部に光が照射されると、多重反射が生じるので、内箱62を透過する光の照明ムラが打ち消される。そのため、内箱62の厚み分布の測定精度は、他の測定対象物に比べて高いといえる。また、測定台5の上に、内箱62と同じ材質の板を散乱板として載置し、その上に内箱62を載置することで、さらに上記の照明ムラが打ち消されるので、より測定精度の向上を図ることができる。
【0137】
〔本発明の別表現〕
なお、本発明は、以下のようにも表現できる。
【0138】
本発明の厚み測定方法は、対象物に対して、一方から照明し、他方で透過光を撮影して画像より厚み分布を測定する測定方法であって、対象物は、ある厚みで形成された立体構造であり、立体構造の面に対応して撮影装置を配置したことにより、立体構造の厚み分布を簡易に測定することができる。
【0139】
また、本発明の厚み測定方法は、測定物からの透過光から厚みを測定する測定方法であって、測定物が光を透過する立体構造であり、光源と対向方向およびそれ以外の周囲から撮像するものである。
【0140】
また、本発明の測定方法では、立体構造は、成形により形成された成形品であることにより、成形品の厚み分布を簡易に測定することができる。
【0141】
また、本発明の測定方法では、厚み分布は、画像輝度値を規定の相関関数で変換することにより、厚み分布画像を生成することにより簡易に測定することができる。
【0142】
また、本発明の厚み測定装置は、対象物に対して、一方から照明し、他方で透過光を撮影して画像より厚み分布を測定する測定装置であって、対象物は、ある厚みで形成された立体構造であり、立体構造の面に対応して撮影装置を配置したことにより、立体構造の厚み分布を簡易に測定することができる。
【0143】
また、本発明の厚み測定システムは、上記の厚み測定装置を備え、測定結果により判定することができる。
【0144】
また、本発明の厚み測定装置は、箱型成形品厚み測定装置であって、箱型の成形品に対して内部を照明し、箱表面の透過光画像を撮影し、画像輝度値を規定の相関関数で変換することにより厚み分布画像を生成し、箱型成形品の厚み分布を測定するものである。
【0145】
〔補足〕
最後に、厚み測定装置2の各ブロック、特に制御部11の画像取得部14、測定部15(輝度値算出部151、厚み分布変換部152、画像生成部153)および表示制御部16は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0146】
すなわち、厚み測定装置2は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、前記プログラムを格納したROM(read only memory)、前記プログラムを展開するRAM(random access memory)、前記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである厚み測定装置2の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、前記厚み測定装置2に供給し、そのコンピュータ(又はCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0147】
前記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやコンパクトディスク−ROM/MO/MD/デジタルビデオデイスク/コンパクトディスク−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0148】
また、厚み測定装置2を通信ネットワークと接続可能に構成し、前記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、前記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0149】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本発明は、立体構造を有する物体の厚み分布を、短時間に、かつ容易に測定できるので、その厚み分布よって物体の検査を行う検査システムなどに好適である。
【符号の説明】
【0151】
1 厚み測定システム
2 厚み測定装置
3 撮像装置
4 照明装置(光照射装置)
6 測定対象物(物体)
6a 面
15 測定部(測定手段)
y 相関関数
62、62a、62b 内箱(物体)
63 面
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体構造を有する物体の厚み分布を測定する厚み測定方法などに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、製品を形成する面の厚みを測定し、所定の厚みを有しているか否かを検査することは、当該製品の歩留まり悪化を抑制するために重要である。特に、成形品に対して、上記面の厚さを測定し、上記検査を行うことは有用である。なぜなら、成形品を形成する際に、成形前のシート(上記面を構成する部材)の厚みが一定であっても、成形後には当該シートに厚みムラが生じやすい、すなわち、厚みが所定の厚みよりも薄くなった部分においては亀裂が生じやすいためである。
【0003】
上記の厚みの測定方法としては、例えば特許文献1に開示されている。図21は、特許文献1に開示された測定方法を説明するものである。特許文献1では、図21の(a)に示すように、成形前のシート102に、予め格子状の格子パターン101が形成されている。シートが成形されると、図21の(b)に示すように、そのシートの形状に沿って格子パターン101が変形する。この成形前後の格子パターン101を撮像し、それぞれの面積(成形前領域103および成形後領域104の面積)から面積変化率を求め、体積一定の仮定の下に、成形後のシートの厚みを推定する。
【0004】
また、従来から、超音波または磁気を用いた厚さ測定計を用いて、上記面の厚さを測定する方法も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−139457号公報(2010年6月24日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の方法では、成形後のシートの厚み測定のために、成形前のシートの厚みを予め測定し、かつ成形前のシートに格子パターン101を予め設けておく必要があった。また、成形後の厚み推定では、膨大な計算処理および画像処理が必要であった。さらに、成形前のシートに格子パターン101を設けることは、費用がかかるだけでなく、当該格子パターン101が成形時の成形抵抗となり、成形の精度が悪化する可能性もあった。
【0007】
また、従来の厚み測定計では、スポット的な測定しか行えないため、シート全体の厚み測定時間が長くなってしまう(例えば、当該測定計を用いた場合、18点を測定するのに、約15分かかる)。
【0008】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、短時間で容易に物体の厚み分布を測定可能な厚み測定方法、厚み測定装置および厚み測定システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る厚み測定方法は、上記の課題を解決するために、物体の厚み分布を測定する厚み測定方法であって、上記物体は、光を透過する立体構造を有し、上記物体に光を照射する光照射工程と、上記光照射工程により上記物体に照射された光が、当該物体を透過しているときに、当該物体への光の照射方向とは異なる所定の方向から、当該物体を撮像する撮像工程と、上記撮像工程により撮像された上記物体の撮像画像に基づいて、上記物体の厚み分布を測定する測定工程と、を含むことを特徴としている。
【0010】
また、本発明に係る厚み測定装置は、上記の課題を解決するために、物体の厚み分布を測定する厚み測定装置であって、上記物体は、光を透過する立体構造を有し、上記物体に照射された光が当該物体を透過しているときに、当該物体への光の照射方向とは異なる所定の方向から撮像された当該物体の撮像画像に基づいて、上記物体の厚み分布を測定する測定手段を備えることを特徴としている。
【0011】
上記の厚み測定方法によれば、光を透過する立体構造を有する物体に光を照射し、光が透過しているときの物体を、照射方向とは異なる所定の方向から撮像する。そして、その撮像画像に基づいて、物体の厚み分布を測定する。また、上記の厚み測定装置も同様に、上記物体から光が透過しているときに、上記所定の方向から撮像された物体の撮像画像に基づいて、物体の厚み分布を測定する。
【0012】
すなわち、上記の方法および装置では、物体の厚み分布を測定するための前提として、物体に対して光を照射し、当該物体を撮像するだけでよい。すなわち、例えば特許文献1のように、成形前の格子パターンの形成およびその撮像といった前工程、並びに、上記の面積変化率を求めるといった複雑な処理工程を行う必要がない。また、その前工程および複雑な処理工程を、物体を形成する面ごとに行う必要もない。
【0013】
それゆえ、立体構造を有する物体の厚み分布を、短時間で、かつ容易に測定することができる。
【0014】
また、本発明に係る厚み測定方法では、上記物体は、所定の厚みを有する複数の面を有することにより、立体構造を形成しており、上記複数の面に対して少なくとも1つの撮像装置が配置されており、上記撮像工程において、上記複数の面を上記撮像装置が撮像し、上記測定工程において、上記面のそれぞれの撮像画像を、上記物体の撮像画像として取得することが好ましい。
【0015】
上記では、物体は所定の厚みを有する複数の面を有しており、その複数の面に対して少なくとも1つの撮像装置が配置されている。そして、上記の方法によれば、撮像装置が撮像した各面の撮像画像を、物体の撮像画像として取得する。それゆえ、立体構造を形成する物体の各面の厚み分布を容易に測定することができる。
【0016】
また、本発明に係る厚み測定方法では、上記物体は、成形品であることが好ましい。
【0017】
上記の方法によれば、成形品の厚み分布を容易に測定することができる。
【0018】
また、本発明に係る厚み測定方法では、上記測定工程は、上記物体の撮像画像の輝度値を求める輝度値算出工程と、上記輝度値算出工程により求められた上記輝度値を、相関関数により変換した上記物体の厚み分布を示す画像である厚み分布画像を生成する画像生成工程と、を含むことが好ましい。
【0019】
上記の方法によれば、撮像画像の輝度値が相関関数により変換された画像である厚み分布画像を生成する。それゆえ、例えば物体の良品判定を行う検査者は、例えば生成された厚み分布画像を見るだけで、その厚み分布を一目で確認することができる。すなわち、検査者などに、物体の厚み分布を容易に認識させることができる。
【0020】
また、本発明に係る厚み測定システムは、上記物体の厚み分布を測定する厚み測定システムであって、上記物体に光を照射する光照射装置と、上記光照射装置により上記物体に照射された光が、当該物体を透過しているときに、当該物体への光の照射方向とは異なる所定の方向から、当該物体を撮像する撮像装置と、上記に記載の厚み測定装置と、を備えることが好ましい。
【0021】
上記の構成によれば、光照射装置が、光を透過する立体構造を有する物体に光を照射し、撮像装置が、光が透過しているときの物体を、照射方向とは異なる所定の方向から撮像する。そして、厚み測定装置が、その物体の撮像画像に基づいて、物体の厚み分布を測定する。それゆえ、上述の厚み測定方法および厚み測定装置と同様、立体構造を有する物体の厚み分布を、短時間に、かつ容易に測定することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明に係る厚み測定方法は、光を透過する立体構造を有する物体に光を照射する光照射工程と、上記光照射工程により上記物体に照射された光が、当該物体を透過しているときに、当該物体への光の照射方向とは異なる所定の方向から、当該物体を撮像する撮像工程と、上記撮像工程により撮像された上記物体の撮像画像に基づいて、上記物体の厚み分布を測定する測定工程と、を含むことを特徴としている。
【0023】
また、本発明に係る厚み測定装置は、光を透過する立体構造を有する物体に照射された光が当該物体を透過しているときに、当該物体への光の照射方向とは異なる所定の方向から撮像された上記物体の撮像画像に基づいて、上記物体の厚みを測定する測定手段を備える構成である。
【0024】
それゆえ、立体構造を有する物体の厚み分布を、短時間に、かつ容易に測定することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係る厚み測定システムの概略構成の一例を示す図であり、(a)は、厚み測定装置、撮像装置、照明装置および測定台を備える様子を示す図であり、(b)は、複数の撮像装置を備えるときの様子を示す斜視図である。
【図2】上記厚み測定システムで用いられる測定対象物の一例を示す斜視図である。
【図3】上記厚み測定装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図4】上記厚み測定システムにおける処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図5】上記厚み測定装置における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の別の実施形態に係る厚み測定システムの概略構成の一例を示す図であり、厚み測定装置、撮像装置、照明装置および測定台を備える様子を示す図である。
【図7】本発明の別の実施形態に係る厚み測定システムの概略構成の一例を示す図であり、厚み測定システムを構築する検査室の概要を示す斜視図である。
【図8】上記厚み測定システムで用いられる測定対象物である内箱を含む冷蔵庫の概略構成の一例を示す斜視図である。
【図9】上記厚み測定システムで用いられる測定対象物である内箱の概略構成の一例を示す斜視図であり、(a)は、1室タイプの内箱の一例を示す図であり、(b)は、2室タイプの内箱の一例を示す図である。
【図10】上記測定台の概略構成の一例を示す斜視図である。
【図11】1室タイプの内箱が上記測定台に載置されたときの様子を示す図である。
【図12】2室タイプの内箱が上記測定台に載置されているときの様子を示す図であり、(a)は、測定台が屈曲していない状態であるときの様子を示す図であり、(b)は、測定台が屈曲している状態であるときの様子を示す図である。
【図13】上記照明装置の種類および配置例を示す図であり、(a)は、直管蛍光灯で実現された照明装置を示す図であり、(b)は、電球で実現された照明装置を示す図である。
【図14】直管蛍光灯で実現された照明装置の配置の一例を示す図である。
【図15】上記厚み測定システムにおける、内箱の搬入から搬出までの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図16】内箱が1室タイプであるときの上記処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図17】内箱が2室タイプであるときの上記処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図18】内箱の撮像画像を示すものであり、(a)は、上記照明装置がオフであるときの撮像画像の一例を示す図であり、(b)は、上記照明装置がオンであるときの撮像画像の一例を示す図である。
【図19】内箱の撮像画像の輝度値と、内箱の厚みとの関係を示す図である。
【図20】内箱の厚み分布画像の一例を示す図である。
【図21】従来技術を示す図であり、測定対象物である内箱の成形前後の格子パターンの様子を示す図であり、(a)は、内箱の成形前の格子パターンの様子を示す図であり、(b)は、内箱の成形後の格子パターンの様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の一形態について図1〜図5に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0027】
<厚み測定システムの構成>
まず、本実施の形態に係る厚み測定システム1の構成について、図1および図2に基づいて説明する。図1は、厚み測定システム1の概略構成の一例を示す図である。
【0028】
図1の(a)に示すように、厚み測定システム1は、測定対象物6(物体)の厚み分布を測定するものであり、厚み測定装置2、撮像装置3、照明装置4(光照射装置)および測定台5を備えている。また、図1の(a)では、測定台5に測定対象物6が載置されている。
【0029】
厚み測定装置2は、照明装置4から出射された光が、測定対象物6の内部から外部へと透過しているときに、撮像装置3によって撮像された測定対象物6の撮像画像(その輝度値)に基づいて、測定対象物6の厚み分布の測定を行うものである。厚み測定装置2の具体的構成については後述する。
【0030】
撮像装置3は、測定台5に載置された測定対象物6の表面を撮像するものであり、例えばカメラなどで実現されている。カメラとしては、入射光によって、低輝度の部分を高め、高輝度の部分を低くする画像処理を行うもの(例えば、所謂デジタルカメラ)よりも、所謂FAカメラ(産業用カメラ)と呼ばれるものが好適である。
【0031】
撮像装置3は、特に、照明装置4により測定対象物6に照射された光が、測定対象物6を透過しているときに、測定対象物6への光の照射方向とは異なる所定の方向から、測定対象物6を撮像するものである。撮像装置3は、光透過状態の測定対象物6を撮像した撮像画像に対して、画像形状歪み補正などを行ってもよい。
【0032】
なお、所定の方向とは、上記照射方向以外の方向(例えば、照射方向に対向する方向)を含み、測定対象物6の、照明装置4からの光を透過する側の面(入射する側と対向する面)を撮像可能な方向である。つまり、図1の(a)では、撮像装置3が測定対象物6の1つの面を撮像するように配置されているが、例えば、複数の面を一度に撮像可能な位置に配置されていてもよい。
【0033】
また、撮像装置3が撮像するタイミングは、照明装置4から光が照射された直後(点灯直後)でなくてもよく、点灯してから所定の時間経過した後であってもよい。所定の時間経過した後とすることにより、照明装置4の温度が安定してから、撮像を行うことが可能となる。
【0034】
また、図1の(b)に示すように、測定対象物6を形成する複数の面のそれぞれに対して複数の撮像装置3が配置されており、各撮像装置3が、当該面のそれぞれを撮像する構成となっていてもよい。上記と同様、この構成の場合も、測定対象物6の各面と撮像装置3とが一対一に対応している必要はない。すなわち、1つの撮像装置3が測定対象物6の2つ以上の面を撮像可能なように、少なくとも1つの撮像装置3が測定台5の周囲に配置されていてもよい。なお、本実施の形態において、撮像装置3が、測定対象物6の面に対して配置、あるいは当該面に対向して配置されているとは、撮像装置3が、当該面の垂線上に配置されている形態に限らず、その垂線上でなくても、その面、あるいはその面を含む複数の面を撮像可能な位置に配置されていることを含む概念である。すなわち、上記「面に対して(対向して)配置」とは、当該面に対して撮像装置3の光軸が垂直となる位置への撮像装置3の配置、あるいはその他の位置への撮像装置3の配置を含む概念である。つまり、上記面と撮像装置3との配置関係がどのような関係であっても、光透過状態にある面を撮像して、その面の撮像画像に対して画像処理を行うことにより、当該面の厚み分布を測定することが可能であればよい。
【0035】
撮像装置3は、撮像した測定対象物6の撮像画像のデータを厚み測定装置2に送信する。この送信処理は、無線媒体、有線媒体のいずれで実現されてもよい。また、撮像画像のデータを記録媒体に保存して、厚み測定装置2がそのデータを読み出す構成であってもよい。
【0036】
照明装置4は、測定対象物6に光を照射するものであり、例えば、測定台5の、測定対象物6が載置される面と対向する面側に配置される。なお、撮像装置3と照明装置4との相対的な位置関係は、撮像装置3が、上記所定の方向から、光透過状態にある測定対象物6を撮像可能な位置関係であればよく、例えば、撮像装置3が測定台5に配置され、照明装置4が測定対象物6の周囲に配置されてもよい。また、照明装置4は、撮像装置3が撮像した撮像画像、あるいはその透過状態に応じて(すなわち、測定対象物6の分光特性に応じて)、出射する光の波長を変更してもよい。この場合、撮像装置3は、厚み分布の測定に適した撮像画像を厚み測定装置2に提供することができる。
【0037】
測定台5は、測定対象物6の厚み分布の測定時に、測定対象物6を載置するものである。
【0038】
測定対象物6は、厚み測定システム1において厚み分布の測定が実施される物体であり、照明装置4から出射された光を透過するものである。これにより、厚み測定装置2は、撮像装置3が撮像した、光透過状態にある測定対象物6の撮像画像の輝度に基づいて、当該厚み分布の測定を行うことができる。また、測定対象物6は、平面形状の物体ではなく、立体構造の物体である。
【0039】
測定対象物6は、例えば図2に示すように、箱型の物体であり、所定の厚みを有する複数の面6a(5面)からなる。この場合、測定対象物6は、開口面6bが測定台5の表面と対向するように、測定台5の上に載置される。そのように載置することにより、照明装置4から出射された光を、開口面6bから測定対象物6の内部に進入させ、複数の面6aのそれぞれから透過させることができる。
【0040】
<厚み測定装置の構成>
次に、本実施の形態に係る厚み測定装置2の概略構成の一例について、図3に基づいて説明する。図3は、厚み測定装置2の概略構成の一例を示すブロック図である。
【0041】
厚み測定装置2は、測定対象物6の厚み分布の測定を実現するために、制御部11、記憶部12および表示部13を備えている。
【0042】
制御部11は、例えば制御プログラムを実行することにより、厚み測定装置2を構成する部材を制御するものである。制御部11は、記憶部12に格納されているプログラムを、例えばRAM(Random Access Memory)等で構成される一次記憶部(不図示)に読み出して実行することにより、例えば、撮像画像の輝度値の算出、厚み分布画像の生成などの各種処理を行う。
【0043】
記憶部12は、制御部11が実行する(1)各部の制御プログラム、(2)OSプログラム、(3)アプリケーションプログラム、および、(4)これらプログラムを実行するときに読み出す各種データを記録するものである。制御部11は、例えばROM(Read Only Memory)フラッシュメモリなどの不揮発性の記憶装置によって構成されるものである。なお、上述した一次記憶部は、RAMなどの揮発性の記憶装置によって構成されているが、本実施の形態では、記憶部12が一次記憶部の機能も備えているものとして説明する場合もある。記憶部12は、例えば撮像装置3から受信した、光透過状態にある測定対象物6の撮像画像、当該撮像画像の輝度値、厚み分布画像などの各種データを格納している。
【0044】
表示部13は、表示制御部16の制御により画像を表示するものであり、例えばLCD(Liquid Crystal Display)等で実現されている。表示部13は、特に、上記撮像画像に基づいて生成された厚み分布画像を表示する。なお、本実施の形態では、厚み測定装置2が表示部13を備えているが、外部の表示装置によって表示部13が実現されていてもよい。
【0045】
次に、制御部11の構成について説明する。制御部11は、主として、画像取得部14、測定部15(測定手段)および表示制御部16を備えている。
【0046】
画像取得部14は、撮像装置3が撮像した、光透過状態にある測定対象物6の各面6aの撮像画像を、撮像装置3から取得し、記憶部12に記憶する。そして、撮像画像の取得通知を測定部15に送信する。
【0047】
測定部15は、画像取得部14から上記取得通知を受信すると、画像取得部14が記憶部12から各面6aの撮像画像を読み出し、当該撮像画像に基づいて、各面6aの厚み分布を測定する。すなわち、測定部15は、測定対象物6に照射された光が測定対象物6を透過しているときに、上記所定の方向から撮像された測定対象物6の撮像画像に基づいて、測定対象物6の厚み分布を測定するものである。
【0048】
ここで、測定対象物6が光透過状態にある場合、その光透過量は、各面6aの厚みに応じて変化するので、このときの撮像画像には、明暗の分布(輝度分布)が鮮明に現れる。そのため、測定部15は、光透過状態にある測定対象物6の撮像画像を用いることにより、厚み分布の測定を精度よく行うことができる。
【0049】
また、測定部15は、上記の測定を実現するために、輝度値算出部151、厚み分布変換部152および画像生成部153を備えている。
【0050】
輝度値算出部151は、上記撮像画像の全画素の輝度値を求めるものである。また、輝度値算出部151は、求めた輝度値のうち、予め厚みを測定した測定位置に対応する輝度値については、当該測定位置に対応付けて、記憶部12に記憶する。
【0051】
上記測定位置の厚みは、例えば磁気式厚さ測定計(例えば、Magna-Mike 8500:オリンパス株式会社製)等によって、厚み測定装置2による厚み分布の測定前に予め測定されている。その厚みと、その厚みを測定した測定位置とが、例えば厚み測定装置2が備える入力部(不図示)を介して入力され、その厚みと測定位置とが対応付けられて、記憶部12に記憶される。
【0052】
また、入力される測定位置は、例えば、測定台5に対する絶対座標であり、その絶対座標と撮像画像の画素位置とが対応付けられて、予め記憶部12に記憶されている。これにより、測定位置と、撮像画像の、測定位置に対応する画素位置とを対応付けて記憶することが可能となる。すなわち、測定位置と、その測定位置に対応する画素位置と、その画素位置に対応する輝度値とを対応付けて、厚み情報として記憶部12に記憶することが可能となる。
【0053】
輝度値算出部151は、全画素の輝度値の算出処理および厚み情報の記憶処理が完了すると、当該処理の完了通知を厚み分布変換部152に送信する。
【0054】
厚み分布変換部152は、上記完了通知を受信すると、記憶部12から厚み情報を読み出し、予め測定された測定位置の厚みと、当該測定位置に対応する輝度値とから、輝度値と厚みとの相関関数yを求める。この相関関数yは、ランバードベールの法則から指数関数となることがわかっている。そのため、厚み分布変換部152は、上記の輝度値および厚みに対して、指数関数近似を行うことにより、例えば所定の厚みばらつきの範囲(例えば±0.1mmの範囲)内において相関関数yを求める。これにより、予め厚みが測定された測定位置以外の測定位置における厚みを推定できる。すなわち、厚み分布変換部152は、輝度値算出部151が求めた撮像画像の全画素の輝度値を、相関関数yにより、測定対象物6の厚み分布に変換するものといえる。
【0055】
厚み分布変換部152は、求めた相関関数y(厚み分布)を厚み分布情報として記憶部12に記憶し、上記処理の完了通知を画像生成部153に送信する。
【0056】
画像生成部153は、上記完了通知を受信すると、記憶部12から、撮像画像と厚み分布情報とを読み出し、撮像画像の全画素について、その厚みに対応した色情報に変換し、当該変換した画像を厚み分布画像として生成する。すなわち、画像生成部153は、上記変換された厚み分布を示す画像である厚み分布画像を生成するものである。なお、上記の色情報は、例えば厚みの段階に応じた値(例えば、0mm以上0.1mm未満では青を示す値、0.1mm以上0.2mm未満では青紫を示す値など)として記憶部12に記憶されている。
【0057】
画像生成部153は、生成した厚み分布画像を記憶部12に記憶し、生成処理の完了通知を表示制御部16に送信する。
【0058】
表示制御部16は、表示部13への画像表示の制御を行うものである。表示制御部16は、特に、上記完了通知を受信したときに、記憶部12から厚み分布画像を読み出し、表示部13に表示させる。これにより、測定対象物6の検査者が、その厚みの具合を一目で確認することができ、良品判定等を行うことができる。
【0059】
<厚み測定方法>
次に、本実施の形態に係る厚み測定方法の概略構成の一例について、図4および図5に基づいて説明する。図4は、厚み測定システム1における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0060】
図4に示すように、厚み測定システム1では、まず、照明装置4によって測定対象物6に光が照射される(S1:光照射工程)。次に、測定対象物6に光が照射された状態で、撮像装置3によって、上記所定の方向から測定対象物6が撮像される(S2:撮像工程)。そして、撮像装置3によって撮像された測定対象物6の撮像画像に基づいて、測定対象物6の厚み分布が測定される(S3:測定工程)。
【0061】
次に、S3の測定工程での具体的処理について、図5に基づいて説明する。図5は、厚み測定装置2における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0062】
図5に示すように、まず、画像取得部14によって、撮像装置3から撮像画像が取得された後(S11)、輝度値算出部151によって、撮像画像の全画素の輝度値が算出される(S12:輝度値算出工程)。
【0063】
その後、厚み分布変換部152は、S12で算出された、予め厚みが測定された測定位置に対応する輝度値と、当該測定位置の厚みとから、相関関数yを求める。そして、その相関関数yにより、撮像画像の全画素の輝度値を厚み分布に変換する(S13)。そして、画像生成部153によって、S13で変換された厚み分布に基づいて、厚み分布画像が生成され(S14:画像生成工程)、表示制御部16によって、当該厚み分布画像が表示部13に表示される(S15)。
【0064】
<本実施の形態の効果>
本実施の形態に係る厚み測定方法は、立体構造を有する測定対象物6に光を照射する光照射工程と、その光が測定対象物6を透過しているときに、上記所定の方向から、測定対象物6を撮像する撮像工程と、撮像された測定対象物6の撮像画像に基づいて、測定対象物6の厚み分布を測定する測定工程と、を含む。また、厚み測定システム1は、その工程を実現するべく、照明装置4、撮像装置3および厚み測定装置2を備える構成である。また、厚み測定装置2は、上記の測定工程を実現する測定部15を備える構成である。
【0065】
上記方法、システムおよび装置によれば、立体構造を有する測定対象物6の厚み分布を測定するために、測定対象物6に対して光を照射し、当該物体を撮像するだけでよく、複雑な処理工程を必要としない。それゆえ、測定対象物6の厚み分布を、短時間で、かつ容易に測定することができる。そのため、例えば量産中である測定対象物6の全数についての厚み分布の測定を現実的に実施することができる。
【0066】
また、従来の厚み測定計を用いる場合には、一般に、測定対象物6の厚みに基づく良品判定を、全数検査ではなく、抜き取り検査によって行う。それゆえ、不良品が流出してしまう可能性が高い。上記の測定方法、システムおよび装置によれば、全数検査を現実的に実施可能であるため、不良品の流出を抑制することができる。
【0067】
さらに、厚み測定システム1では、複数の面6aに対して少なくとも1つの撮像装置3が配置されており、撮像装置3が各面6aを撮像し、厚み測定装置2の測定部15がその各面6aの撮像画像を、測定対象物6の撮像画像として取得する。
【0068】
それゆえ、測定対象物6の各面6aの厚み分布を容易に測定することができる。また、各面6aに対して少なくとも1つの撮像装置3が配置されているので、各面6aの撮像画像を一度に取得することができる。それゆえ、各面6aの厚み分布の測定を、短時間で行うことができる。
【0069】
さらに、厚み測定装置2では、輝度値算出部151によって、光透過状態にある測定対象物6の撮像画像の輝度値が求められ、画像生成部153によって、その輝度値を、相関関数により変換した測定対象物6の厚み分布を示す画像である厚み分布画像が生成される。この場合、検査者がその厚み分布画像を見るだけで、測定対象物6の厚み分布を確認することができるので、測定対象物6の検査時間を短縮することができる。また、厚み分布画像が表示部13に表示されることにより、検査者は、規定の厚みよりも薄い部分に対する補強の要否判断、良品判定などを容易に行うことができる。すなわち、厚み測定装置2は、検査者に、厚み分布の測定結果を容易にフィードバックすることができる。
【0070】
さらに、測定対象物6が、例えば真空成形などにより形成される成形品であっても、短時間に、かつ容易に、当該成形品の厚み分布の測定を行うことができる。また、この場合には、検査者は、上記厚み分布画像を見るだけで、その成形条件の修正の要否判断も行うことができる。
【0071】
また、一般に、成形前のシートの厚みムラ、または成形条件などにより、成形後のシートの厚みは細かく変化する可能性があるので、例えば従来の厚み測定計を用いた測定では、その厚み変化による不良品の流出を防ぐことは困難である。一方、本実施の形態の厚み測定システム1においては、上述のように、全数検査を現実的に実施することが可能であるため、そのような不良品の流出を抑制することができる。
【0072】
<変形例>
上記では、厚み測定装置2、撮像装置3および照明装置4の処理は、各装置で独立して行われているが、例えば、照明装置4の光出射(S1の処理)、および撮像装置3の撮像(S2の処理)についても、厚み測定装置2が制御してもよい。
【0073】
この場合、厚み測定装置2と、撮像装置3、照明装置4および測定台5とがデータ通信可能なように構成されている。そして、例えば測定台5に設けられたセンサによって、測定台5に測定対象物6が載置されたことが検知されたときに、その検知結果が測定台5から厚み測定装置2に送信される。
【0074】
厚み測定装置2の制御部11は、その検知結果を受信すると、照明装置4をオンにして、測定対象物6に対して光を照射させる。その後、撮像装置3に撮像開始を示す開始信号を送信することにより、撮像装置3による測定対象物6の撮像が開始される。撮像装置3は、撮像した測定対象物6の撮像画像のデータを厚み測定装置2に送信する。厚み測定装置2の制御部11は、この撮像画像のデータを、画像取得部14において取得し、上述した厚み分布の測定を開始する。
【0075】
これにより、測定台5に測定対象物6を載置するだけで、当該測定対象物6の厚み分布の測定を行うことができるので、より短時間で容易に当該測定を実現することができる。
【0076】
また、厚み測定装置2が、撮像装置3および照明装置4を含む構成であってもよい。すなわち、厚み測定装置2は、立体構造を有する測定対象物6に光を照射する照明装置4(光照射部)と、照明装置4により測定対象物6に照射された光が、測定対象物6を透過しているときに、測定対象物6への光の照射方向とは異なる所定の方向から、測定対象物6を撮像する撮像装置3(撮像部)と、撮像装置3により撮像された測定対象物6の撮像画像に基づいて、測定対象物6の厚み分布を測定する測定部15と、を含む構成であってもよい。この場合であっても、上記と同様、短時間に、かつ容易に、測定対象物6の厚み分布の測定を行うことができる。
【0077】
〔実施の形態2〕
本発明の実施の一形態について図6〜図20に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、実施の形態1と同様の部材に関しては、同じ符号を付し、その説明を適宜省略する。本実施の形態では、実施の形態1で説明した厚み測定システム1の具体的構成を示すものであり、特に、測定対象物として冷蔵庫の内箱(フードライナー)の厚み測定を行うときの一例について説明する。
【0078】
<厚み測定システムの構成>
まず、本実施の形態に係る厚み測定システム1の構成について、図6および図7に基づいて説明する。図6および図7は、本実施の形態に係る厚み測定システム1の概略構成の一例を示す図である。
【0079】
図6に示す厚み測定システム1は、厚み測定装置2、撮像装置3、照明装置4および測定台5を備えている。また、測定台5には、測定対象物(物体)として冷蔵庫60の内箱62(フードライナー)が載置されている。
【0080】
また、測定台5の、内箱62が載置される位置には、照明装置4から出射される光を拡散する拡散板7が設けられている。これにより、内箱62の内壁に均一に光を照射することができる。
【0081】
また、図7には、厚み測定システム1が構築される検査室が示されている。図7に示すように、検査室の中心に測定台5が載置され、その周囲には支柱が組まれている。その支柱には、複数の撮像装置3が、内箱62を形成する複数の面のそれぞれに対向するように設けられている。これにより、光透過状態にある内箱62の撮像が可能となる。また、測定台5の近傍に、厚み測定装置2が配置されている。
【0082】
なお、実施の形態1で述べたように、複数の撮像装置3が、内箱62を形成する面のそれぞれに対向して配置されている必要はなく、1つの撮像装置3が、内箱62の2つ以上の面を撮像するように、測定台5の周囲に配置されている構成であってもよい。また、撮像装置3が、内箱62の面に対して(対向して)配置されているとは、当該面の垂線上に配置されている形態に限られない。
【0083】
また、撮像装置3が、光透過状態にある内箱62の各面の鮮明な撮像画像を取得するためには、検査室は暗室である(少なくとも測定台5の周囲への外光の進入が防止されている)ことが好ましい。この状況を実現するために、上記の支柱には(測定台5の周囲には)、例えば遮光シートが設けられた内部壁72が設けられ、検査室の壁70および天井71にも、例えば遮光シートが設けられている。
【0084】
内部壁72が設けられる支柱は、搬送者80(図16参照)による検査室内への内箱62の搬入・搬出を可能とするための搬入口、通路、搬出口が形成されるように、検査室の壁70から所定の幅だけ離間して設けられている。なお、図7に示す検査室では、例えば、搬入口から搬出口まで延伸する支柱の長さは約5.4m、搬入口および搬出口の高さを規定する支柱の長さは約2.7m、これらの2つの支柱に垂直に、搬入口または搬出口から延伸する支柱の長さは約3.9mである。
【0085】
また、図7に示す厚み測定システム1では、後述する1室タイプの内箱62aおよび2室タイプの内箱62bのそれぞれを形成する各面を効率よく撮像可能なように、6台の撮像装置3が設けられている。これらの撮像装置3の使用方法については後述する。
【0086】
<内箱の概要>
次に、内箱62の概要について、図8および図9に基づいて説明する。図8は、本実施の形態での測定対象である内箱62を含む冷蔵庫60の概略構成の一例を示す斜視図である。
【0087】
図8に示すように、冷蔵庫60は、外箱61と内箱62と図示しないドアとからなる。外箱61は、冷蔵庫60の筐体であり、その内部に、食品を格納する内箱62、コンプレッサー(不図示)および配管(不図示)などが搭載されている。また、外箱61と内箱62との間の、コンプレッサーおよび配管などの構成部材がない空間(隙間)には、断熱材が充填されている。この断熱材により、冷蔵庫60内の温度が一定に維持される。
【0088】
また、内箱62としては、図9の(a)に示す1室タイプの内箱62aと、図9の(b)に示す2室タイプの内箱62bとがある。
【0089】
<測定台の概要>
次に、測定台5の概要について、図10〜図12に基づいて説明する。図10は、測定台5の概略構成の一例を示す斜視図である。また、図11は、1室タイプの内箱62aが測定台5に載置されたときの様子を示す図であり、図12は、2室タイプの内箱62bが測定台5に載置されているときの様子を示す図である。
【0090】
図10に示すように、測定台5は、複数のフレーム51を備えている。複数のフレーム51は、内箱62が載置される台座として機能するように、所定の間隔で略平行に配置されている。台座として機能すれば、複数のフレーム51の代わりに、ガラス板などを用いることも可能である。
【0091】
複数のフレーム51は、基礎フレーム群52と、折り曲げ用フレーム群53とを構成している。折り曲げ用フレーム群53の、基礎フレーム群52に隣接するフレーム51の両端には、蝶番55が設けられている。これにより、折り曲げ用フレーム群53の、基礎フレーム群52と略垂直な位置までの回動が可能となる。また、折り曲げ用フレーム群53の長手方向の長さlは、少なくとも2室タイプの天板側の長さL(図9の(b)参照)よりも長くなっている。これにより、2室タイプの内箱62bが測定台5に載置され、折り曲げ用フレーム群53が上記略垂直な位置まで回動した状態となったときに、その2室タイプの繋ぎ目となっている2つの面63(図12の(b)参照)の撮像が可能となる。
【0092】
また、フレーム51の上には載置板54が配置され、フレーム51と載置板54の間には、照明装置4としての直管蛍光灯41(図13の(a)参照)が配置されている。載置板54は、内箱62が載置される部材であり、内箱62を載置した際に、直管蛍光灯41と内箱62とが接触し、直管蛍光灯41が損傷することを防止するためのものである。
【0093】
載置板54は、少なくとも直管蛍光灯41から出射された光を内箱62へ導くことができればよく、例えば透明板にて実現されているが、これに限らず、上述の拡散板7にて実現されてもよい。
【0094】
載置板54の材質としては、例えば、耐衝撃性の高いポリカーボネートが挙げられるが、このポリカーボネートとともに、内箱62の載置によって載置板54が損傷することを抑制可能な耐擦傷性の高い材質が用いられることが好ましい。耐擦傷性の高い材質を用いることによって、載置板54が損傷することによる透過率の低下を防止することができる。
【0095】
測定台5に、1室タイプの内箱62aが載置されたときには、図11に示すように、折り曲げ用フレーム群53を回動させることなく、各面の撮像が行われる。一方、測定台5に、2室タイプの内箱62bが載置されたときには、図12の(a)に示すように、まず折り曲げ用フレーム群53を回動させることなく、各面の撮像が行われる。その後、図12の(b)に示すように、折り曲げ用フレーム群53を回動させた後、2室の繋ぎ目である2つの面63の撮像が行われる。
【0096】
すなわち、上記測定台5の構成により、2室タイプの内箱62bについても、効率よく撮像を行うことができる。
【0097】
なお、測定台5には、空圧シリンダまたはガススプリングなどが取り付けられていてもよい。空圧シリンダが設けられている場合には、折り曲げ用フレーム群53の回動を自動化することができる。この場合、測定台5には、例えば空圧シリンダの起動を制御するスイッチが設けられており、例えば測定工程専任者81(図16参照)がそのスイッチをオンするだけで、あとは自動的に上記の回動が実現される。また、ガススプリングが設けられている場合には、上記の回動を半自動化することができる。この場合、上記の回動時に、測定工程専任者81が折り曲げ用フレーム群53を軽く押すだけで、あとは自動的にその回動が実現される。
【0098】
<照明装置の概要>
次に、照明装置4の概要について、図13および図14に基づいて説明する。図13は、照明装置4の種類および配置例を示す図であり、図14は、直管蛍光灯41の配置例を示す図である。
【0099】
図13に示すように、載置板54の、内箱62が載置される面と対向する面側に、照明装置4が設けられる。また、照明装置4は、図13の(a)に示すように、発光ダイオード(LED)を使用した直管型の蛍光灯(直管蛍光灯)41、または、図13の(b)に示すように、LEDを使用した電球(LED電球)42などで実現されている。なお、使用される光源としては、LEDに限られないが、点灯時の色温度の安定性などを考慮すれば、LEDであることが好ましい。
【0100】
直管蛍光灯41が用いられる場合、電球タイプ(例えば、LED電球42)の光源に比べ、1つの光源あたりの発光面積が大きいので、その設置数を少なくすることができ、その結果、消費電力を低減することができる。
【0101】
直管蛍光灯41は、例えば図13の(a)に示すように、測定台5の各フレーム51と載置板54との間に、当該フレーム51に沿って設けられている。すなわち、直管蛍光灯41は、測定台5の長手方向(同図の矢印方向)と略垂直な方向に沿って配置されている(ラダー配置)。この場合、各直管蛍光灯41のオンオフ制御を行い、発光させる直管蛍光灯41の照明数を細かく制御することにより、測定台5に載置される内箱62の、測定台5の長手方向に対する大きさにあわせて、効率よく光の照射を行うことができる。
【0102】
なお、上記の配置方法に限らず、各フレーム51の間(各フレーム51の側面)に設けられてもよく、また、撮像装置3が内箱62を撮像するのに十分な光を、内箱62から透過させることが可能であれば、全てのフレーム51に対して直管蛍光灯41を設ける必要はない。
【0103】
一方、図14では、直管蛍光灯41は、測定台5の長手方向(同図の矢印方向)に沿って(長手方向と略平行に)配列されている。図14では、直管蛍光灯41は、当該長手方向に2列となるように配置されている。この場合、図13の(a)に示す配置方法に比べ、直管蛍光灯41の設置数を少なくすることができる。
【0104】
ただし、測定台5に載置される内箱62の大きさによっては、内箱62の外側において、直管蛍光灯41が発光する可能性もある。この場合、その直管蛍光灯41から出射された光により、撮像装置3が、光透過状態にある内箱62の各面を精度よく撮像することができなくなってしまう(内箱62を透過した光の強度が弱まってしまう)可能性がある。それゆえ、図14に示す配置方法の場合には、内箱62の外側に存在する直管蛍光灯41を遮光しておくことが好ましい。
【0105】
LED電球42が用いられる場合、直管蛍光灯41に比べ、1つの光源あたりの発光面積は小さくなるが、各LED電球42の角度調整を行うことができるので、内箱62の内壁(側壁)に照射される光の照明ムラが生じるのを防止することができる。また、各LED電球42のオンオフ制御を行い、発光させるLED電球42の照明数を細かく制御することにより、測定台5に載置される内箱62の大きさにあわせて、効率よく光の照射を行うことができる。
【0106】
LED電球42は、例えば図13の(b)に示すように、測定台5の各フレーム51と載置板54との間に、測定台5の長手方向に沿って配列されている。また、図13の(b)では、1列を形成するLED電球42は、フレーム51の1つおきに配置されている。このように配置されることにより、内箱62に対して効率よく光を照射できる。なお、この配置に限らず、効率よく内箱62に対して光を照射できるように配置されていればよく、また、撮像装置3が内箱62を撮像するのに十分な光を、内箱62から透過させることが可能であれば、全てのフレーム51に対してLED電球42を設ける必要はない。
【0107】
なお、照明装置4および測定台5については、実施の形態1の厚み測定システム1においても使用可能である。
【0108】
<内箱の搬入から搬出までの処理の流れ>
次に、本実施の形態に係る厚み測定システム1における、内箱62の搬入から搬出までの処理の流れについて、図15〜図17に基づいて説明する。図15は、内箱62の搬入から搬出までの処理の一例を示すフローチャートである。また、図16は、内箱62が1室タイプであるときの上記処理の流れ、図17は、内箱62が2室タイプであるときの上記処理の流れを示すものである。また、複数の撮像装置3が、内箱62の種類(1室タイプの内箱62aか、または2室タイプの内箱62bか)によって、どのように使用されるかについても説明する。なお、図15〜図17では、内箱62を「FL」と図示する。
【0109】
まず、図15に示すように、検査室内に、厚み分布の測定対象となる内箱62が搬入された後(S21)、厚み測定システム1まで搬入され、測定台5に載置される(S22)。このとき、内箱62は、その開口面側が、測定台5の載置板54と対向するように載置される。
【0110】
内箱62が1室タイプの内箱62aであれば(S23でNO)、厚み測定システム1によって内箱62aの厚み分布の測定が1回行われる(S24)。一方、内箱62が2室タイプの内箱62bであれば(S23でYES)、厚み測定システム1によって内箱62bの厚み分布の測定が2回にわたり行われる(S27、S28)。
【0111】
そして、上記測定が完了すると、厚み測定システム1から内箱62が搬出され(S25)、そのまま検査室から搬出される(S26)。
【0112】
上記の厚み分布の測定では、まず、照明装置4によって、内箱62の内部に光が照射され、内箱62が光透過状態となる。その状態において、撮像装置3によって、内箱62への光の照射方向とは異なる所定の方向から、内箱62が撮像される。そして、撮像装置3によって撮像された撮像画像に基づいて、内箱62の厚み分布が測定される。
【0113】
また、この測定では、内箱62の、予め厚み測定された測定位置と、その測定位置に対応する撮像画像の輝度値とを相関づける(指数関数近似を行って得られる相関関数yを求める)ことにより、当該測定を行っていない箇所の厚みを、当該箇所に対応する撮像画像の輝度値から換算する。すなわち、上記の相関関数yによって、撮像画像の全画素の輝度値が、内箱62の厚み分布に変換(換算)される。
【0114】
なお、上記の測定における具体的な処理(厚み測定装置2における処理)については、実施の形態1で説明したので、これ以上の説明については省略する。
【0115】
次に、1室タイプの内箱62aの場合について、図16に基づいてより具体的に説明する。図16に示すように、検査室の搬入口から、搬送者80によって、検査室内に内箱62aが搬入される(S21)。搬送者80は、測定工程専任者81に内箱62を引き渡し、測定工程専任者81によって、厚み測定システム1内に内箱62aが搬入され、測定台5に載置される(S22)。そして、測定工程専任者81によって、内箱62aの厚み分布の測定が開始される(S24)。なお、当該測定は、測定工程専任者81によって行われる必要は必ずしもなく、搬送者80によって行われてもよい。この場合、搬送者80によって内箱62aが測定台5に載置されてもよい。
【0116】
1室タイプの内箱62aの場合、図16のS24に示すように、照明装置4によって内箱62aに光が照射された後、5つの撮像装置3(同図の丸枠囲みの「3」)によって内箱62aの撮像が行われる。これにより、内箱62aの天面、2つの側面、背面、底面のそれぞれの撮像が可能となる。
【0117】
上記測定が完了すると、内箱62aは、測定工程専任者81によって厚み測定システム1から搬出され(S25)、搬送者80に引き渡され、搬送者80によって検査室の搬出口から搬出される(S26)。その後、次の内箱62aの厚み分布の測定のために、内箱62aが検査室内に搬送され、上記と同様の処理が行われる。なお、搬送者80が上記の測定を行う場合には、厚み測定システム1および検査室からの搬出は、いずれも搬送者80によって行われる。
【0118】
次に、2室タイプの内箱62bの場合について、図17に基づいてより具体的に説明する。検査室および厚み測定システム1への搬入ステップ(S21、S22)、検査室および厚み測定システム1からの搬出ステップ(S25、S26)については、図16と同様であるので、その説明は省略する。
【0119】
測定工程専任者81によって、内箱62bが測定台5に載置された後、内箱62bの厚み分布の測定が開始される(S27:測定1)。この測定では、照明装置4によって内箱62bに光が照射された後、5つの撮像装置3(同図のS27の丸枠囲みの「3」)によって内箱62bの撮像が行われる。このとき使用される撮像装置3は、1室タイプの内箱62aと同じである。これにより、1回目の撮影では、内箱62bの天面、2つの側面、背面、底面のそれぞれの撮像が可能となる。
【0120】
次に、測定工程専任者81によって、折り曲げ用フレーム群53が、基礎フレーム群52に対して略垂直に回動された後、撮像装置3によって、内箱62bの2つの面63(図12の(b)参照)の撮像が行われる(S28:測定2)。この測定では、照明装置4によって内箱62bに光が照射されている状態において、2つの撮像装置3(同図のS28の丸枠囲みの「3」)によって、上記2つの面63の撮像が行われる。これにより、2回目の撮影では、1回目の撮影時には撮像できなかった2つの面63のそれぞれの撮像が可能となる。
【0121】
ここで、2回目の撮影時では、折り曲げ用フレーム群53が、基礎フレーム群52に対して略垂直となったとき、内箱62bの天板側(つば部分)を折り曲げ用フレーム群53に固定させておく必要がある。このとき、例えば、天板側の面63以外の面を覆うことが可能で、かつ遮光性の高いカバーによって、天板側を折り曲げ用フレーム群53に固定させることも可能である。この場合には、天板側の外側に配置された照明装置4から出射された光が、天板側の内部に進入することを防止できる。
【0122】
なお、S27およびS28の処理ごとに、厚み分布の測定(図5に示す処理)が行われても、S27においては内箱62bの撮像だけが行われ、S28において、2つの面63の撮像が完了した後に当該測定が行われてもよい。また、S27およびS28の処理ごとに、照明装置4のオンオフ制御が行われても、S27の処理開始からS28の処理完了時まで、照明装置4がオンのままであってもよい。
【0123】
以上のように、1室タイプの内箱62aか、2室タイプの内箱62bかによって、その測定方法を変えることにより、内箱62のタイプに適した厚み分布の測定を行うことができる。また、2室タイプの内箱62bの場合には、測定台5の折り曲げ用フレーム群53の折り曲げ機構を用いることによって、2室の繋ぎ目となっている2つの面63の撮像を容易に行うことができる。
【0124】
<実施例>
次に、本実施の形態に係る厚み測定システム1において実施される測定例について、図18〜図20に基づいて説明する。図18は、内箱62の撮像画像を示すものである。また、図19は、内箱62の撮像画像の輝度値と、内箱62の厚みとの関係を示す図であり、図20は、内箱62の厚み分布画像を示す図である。
【0125】
図18では、1室タイプの内箱62aの各面が撮像されたときの撮像画像を示している。なお、2つの側面のうちの1つは、図示を省略している。また、図18の(a)では、照明装置4がオフであるときの撮像画像を示し、同図(b)は、照明装置4がオンであるときの撮像画像を示している。
【0126】
上記(a)および(b)に示す撮像画像を比較すると、照明装置4がオンであるときに初めて、内箱62の厚みに応じた輝度分布(明暗の分布)を鮮明に認識できることがわかる。
【0127】
厚み測定装置2は、図18の(b)に示す撮像画像を撮像装置3から取得し、その撮像画像の輝度値を求める。そして、図19に示すように、予め厚み測定された測定位置の輝度値を、輝度−厚み座標にプロットし、指数関数近似により、例えば厚みばらつき±0.1mmの範囲内において相関関数yを求める。図19に示すように、この相関関数yにより、測定位置以外の箇所(プロットされていない箇所)についても、撮像画像の輝度値から厚みを求めることができる。すなわち、撮像画像の輝度値を、厚み分布に相関関数yにより、内箱62の厚み分布に変換することができる。
【0128】
次に、厚み測定装置2は、上記の厚み分布と、厚みの範囲ごとに予め規定されている色情報とから、図20に示すような厚み分布画像が生成され、表示される。なお、この厚み分布画像は、図18の(b)に示す撮像画像に対応するものではないが、同図の(b)のように得られた撮像画像から、相関関数yを求めた結果として得られたものである。
【0129】
図20においては、青い(濃い)色の部分ほど厚みが薄いことを示すように画像処理がなされており、この内箱62では、側面Aが薄くなっていることがわかる。このように、厚み分布画像の表示により、内箱62の検査者は、当該薄い部分に対する補強の要否判断、良品判定、成形条件の修正の要否判断などを容易に行うことができる。
【0130】
以上のように、本実施の形態に係る厚み測定システム1では、照明装置4による光の照射、撮像装置3による撮像、厚み測定装置2による厚み分布の測定が行われるので、短時間に、かつ容易にその測定を行うことができる。また、その測定結果を、内箱62の検査者に、容易にフィードバックすることができる。
【0131】
<その他の構成>
例えば、厚み分布画像(2値化された画像)の表示中に、検査者が、内箱62において厚みの薄い部分に補修テープを貼ることにより、内箱62の歩留まりを向上させることも可能である。
【0132】
また、厚み分布情報と真空成形条件とを紐付けして管理することにより、内箱62の更なる薄型化を図ることができ、内箱62の部材コストを低減することも可能である。
【0133】
また、厚み測定装置2は、厚み分布の測定前にキャリブレーションを行うことにより、照明の変化(温度ドリフト、経年変化)などをキャンセルすることができ、厚み分布の測定データの信頼性を向上させることができる。
【0134】
例えば、厚み測定装置2は、サンプルとしての内箱62の厚み測定を行って、その都度、厚みおよび輝度値の相関を取得し、その相関に基づいて、厚み測定装置2が記憶するキャリブレーション用の処理ソフトを更新することにより、上記のキャリブレーションを行う。
【0135】
キャリブレーションは、例えば午前中の工場立ち上げ時に行われるが、午後の工場立ち上げ時にも行うことにより、測定データの信頼性をさらに向上させることができる。
【0136】
また、内箱62の内壁の分光特性上、一般にその表面で反射する光が多くなる。例えば、その表面では、当該表面に照射された光の70%程度が反射する。そのため、内箱62の内部に光が照射されると、多重反射が生じるので、内箱62を透過する光の照明ムラが打ち消される。そのため、内箱62の厚み分布の測定精度は、他の測定対象物に比べて高いといえる。また、測定台5の上に、内箱62と同じ材質の板を散乱板として載置し、その上に内箱62を載置することで、さらに上記の照明ムラが打ち消されるので、より測定精度の向上を図ることができる。
【0137】
〔本発明の別表現〕
なお、本発明は、以下のようにも表現できる。
【0138】
本発明の厚み測定方法は、対象物に対して、一方から照明し、他方で透過光を撮影して画像より厚み分布を測定する測定方法であって、対象物は、ある厚みで形成された立体構造であり、立体構造の面に対応して撮影装置を配置したことにより、立体構造の厚み分布を簡易に測定することができる。
【0139】
また、本発明の厚み測定方法は、測定物からの透過光から厚みを測定する測定方法であって、測定物が光を透過する立体構造であり、光源と対向方向およびそれ以外の周囲から撮像するものである。
【0140】
また、本発明の測定方法では、立体構造は、成形により形成された成形品であることにより、成形品の厚み分布を簡易に測定することができる。
【0141】
また、本発明の測定方法では、厚み分布は、画像輝度値を規定の相関関数で変換することにより、厚み分布画像を生成することにより簡易に測定することができる。
【0142】
また、本発明の厚み測定装置は、対象物に対して、一方から照明し、他方で透過光を撮影して画像より厚み分布を測定する測定装置であって、対象物は、ある厚みで形成された立体構造であり、立体構造の面に対応して撮影装置を配置したことにより、立体構造の厚み分布を簡易に測定することができる。
【0143】
また、本発明の厚み測定システムは、上記の厚み測定装置を備え、測定結果により判定することができる。
【0144】
また、本発明の厚み測定装置は、箱型成形品厚み測定装置であって、箱型の成形品に対して内部を照明し、箱表面の透過光画像を撮影し、画像輝度値を規定の相関関数で変換することにより厚み分布画像を生成し、箱型成形品の厚み分布を測定するものである。
【0145】
〔補足〕
最後に、厚み測定装置2の各ブロック、特に制御部11の画像取得部14、測定部15(輝度値算出部151、厚み分布変換部152、画像生成部153)および表示制御部16は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0146】
すなわち、厚み測定装置2は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、前記プログラムを格納したROM(read only memory)、前記プログラムを展開するRAM(random access memory)、前記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである厚み測定装置2の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、前記厚み測定装置2に供給し、そのコンピュータ(又はCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0147】
前記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやコンパクトディスク−ROM/MO/MD/デジタルビデオデイスク/コンパクトディスク−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0148】
また、厚み測定装置2を通信ネットワークと接続可能に構成し、前記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、前記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0149】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本発明は、立体構造を有する物体の厚み分布を、短時間に、かつ容易に測定できるので、その厚み分布よって物体の検査を行う検査システムなどに好適である。
【符号の説明】
【0151】
1 厚み測定システム
2 厚み測定装置
3 撮像装置
4 照明装置(光照射装置)
6 測定対象物(物体)
6a 面
15 測定部(測定手段)
y 相関関数
62、62a、62b 内箱(物体)
63 面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の厚み分布を測定する厚み測定方法であって、
上記物体は、光を透過する立体構造を有し、
上記物体に光を照射する光照射工程と、
上記光照射工程により上記物体に照射された光が、当該物体を透過しているときに、当該物体への光の照射方向とは異なる所定の方向から、当該物体を撮像する撮像工程と、
上記撮像工程により撮像された上記物体の撮像画像に基づいて、上記物体の厚み分布を測定する測定工程と、を含むことを特徴とする厚み測定方法。
【請求項2】
上記物体は、所定の厚みを有する複数の面を有することにより、立体構造を形成しており、
上記複数の面に対して少なくとも1つの撮像装置が配置されており、
上記撮像工程において、上記複数の面を上記撮像装置が撮像し、
上記測定工程において、上記面のそれぞれの撮像画像を、上記物体の撮像画像として取得することを特徴とする請求項1に記載の厚み測定方法。
【請求項3】
上記物体は、成形品であることを特徴とする請求項1または2に記載の厚み測定方法。
【請求項4】
上記測定工程は、
上記撮像画像の輝度値を求める輝度値算出工程と、
上記輝度値算出工程により求められた上記輝度値を、相関関数により変換した上記物体の厚み分布を示す画像である厚み分布画像を生成する画像生成工程と、を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の厚み測定方法。
【請求項5】
物体の厚み分布を測定する厚み測定装置であって、
上記物体は、光を透過する立体構造を有し、
上記物体に照射された光が当該物体を透過しているときに、当該物体への光の照射方向とは異なる所定の方向から撮像された当該物体の撮像画像に基づいて、上記物体の厚み分布を測定する測定手段を備えることを特徴とする厚み測定装置。
【請求項6】
上記物体の厚み分布を測定する厚み測定システムであって、
上記物体に光を照射する光照射装置と、
上記光照射装置により上記物体に照射された光が、当該物体を透過しているときに、当該物体への光の照射方向とは異なる所定の方向から、当該物体を撮像する撮像装置と、
請求項5に記載の厚み測定装置と、を備えることを特徴とする厚み測定システム。
【請求項1】
物体の厚み分布を測定する厚み測定方法であって、
上記物体は、光を透過する立体構造を有し、
上記物体に光を照射する光照射工程と、
上記光照射工程により上記物体に照射された光が、当該物体を透過しているときに、当該物体への光の照射方向とは異なる所定の方向から、当該物体を撮像する撮像工程と、
上記撮像工程により撮像された上記物体の撮像画像に基づいて、上記物体の厚み分布を測定する測定工程と、を含むことを特徴とする厚み測定方法。
【請求項2】
上記物体は、所定の厚みを有する複数の面を有することにより、立体構造を形成しており、
上記複数の面に対して少なくとも1つの撮像装置が配置されており、
上記撮像工程において、上記複数の面を上記撮像装置が撮像し、
上記測定工程において、上記面のそれぞれの撮像画像を、上記物体の撮像画像として取得することを特徴とする請求項1に記載の厚み測定方法。
【請求項3】
上記物体は、成形品であることを特徴とする請求項1または2に記載の厚み測定方法。
【請求項4】
上記測定工程は、
上記撮像画像の輝度値を求める輝度値算出工程と、
上記輝度値算出工程により求められた上記輝度値を、相関関数により変換した上記物体の厚み分布を示す画像である厚み分布画像を生成する画像生成工程と、を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の厚み測定方法。
【請求項5】
物体の厚み分布を測定する厚み測定装置であって、
上記物体は、光を透過する立体構造を有し、
上記物体に照射された光が当該物体を透過しているときに、当該物体への光の照射方向とは異なる所定の方向から撮像された当該物体の撮像画像に基づいて、上記物体の厚み分布を測定する測定手段を備えることを特徴とする厚み測定装置。
【請求項6】
上記物体の厚み分布を測定する厚み測定システムであって、
上記物体に光を照射する光照射装置と、
上記光照射装置により上記物体に照射された光が、当該物体を透過しているときに、当該物体への光の照射方向とは異なる所定の方向から、当該物体を撮像する撮像装置と、
請求項5に記載の厚み測定装置と、を備えることを特徴とする厚み測定システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図19】
【図21】
【図18】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図19】
【図21】
【図18】
【図20】
【公開番号】特開2013−96835(P2013−96835A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239816(P2011−239816)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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