説明

原稿搬送装置及び画像形成装置

【課題】それぞれ異なる画像形成速度で動作する複数種類の画像形成装置本体に対して、それらの画像形成速度に適した搬送速度で原稿を搬送する。
【解決手段】装置本体20からADF10に指示を与えることで、ADF10の単位時間あたりの搬送枚数を、装置本体20における単位時間あたりの画像形成枚数とほぼ同じになるように調整することができる。さらに、装置本体20からの動作モードの指示に基づき、ADF10において上記の単位時間あたりの搬送枚数を実現するような最適の搬送パターンを決定することができる。これにより、ADFの原稿搬送速度を手作業でその都度切り替えたり、複数機種のADFを用意することなく、騒音を低減させたいとか消費電力を低減させたいといったユーザの要望に応えることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は原稿搬送装置における原稿の搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機等の画像形成装置は、例えばADF(Auto Document Feeder)と呼ばれる原稿搬送装置を備えている。この原稿搬送装置は、原稿トレイに載置された原稿を、CCD(Charge Coupled Device)による画像読み取り位置まで搬送し、その画像読み取り位置においてCCDが画像を読み取り可能な速度で搬送する。画像の読み取りが終了すると、原稿は排紙トレイに排出される。例えば特許文献1には、複写枚数に応じて原稿の搬送方法を切り替える技術が開示されている。
【特許文献1】特開昭59−149245号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
最近では、原稿搬送装置が画像形成装置本体に装着可能なオプション装置として用意されることもある。画像形成装置は機種によってその画像形成速度(つまり単位時間あたりに画像を形成する記録シート枚数)が異なるが、原稿搬送装置の原稿搬送速度(つまり単位時間あたりに搬送する原稿枚数)以下の画像形成速度で動作する画像形成装置であれば、原稿搬送装置を装着することが可能である。しかし、画像形成速度が遅い画像形成装置に対して、それよりも速い原稿搬送速度の原稿搬送装置を装着した場合、原稿搬送装置は画像形成速度に比べて速い原稿搬送速度で原稿を搬送することになるので、いわゆるオーバースペックとなり、原稿搬送装置から発生する騒音が大きくなったり、原稿搬送装置の部品の寿命が尽きやすいという問題がある。これらの問題を解消するためには、例えば原稿搬送速度が異なる複数種類の原稿搬送装置を製造するとか、1つの原稿搬送装置を複数通りの原稿搬送速度に対応させておき、サービスエンジニア等が切り替えスイッチ等で適切な原稿搬送速度を指定するといった方法が考えられる。しかし、これらの方法では、原稿搬送装置の機種やコンフィグレーションが複雑化し、製造工場または出荷後のサービス体制に相当の負担がかかってしまい、結果的にコスト高に繋がってしまう。
【0004】
そこで、本発明の目的は、それぞれ異なる画像形成速度で動作する複数種類の画像形成装置本体に対して、それらの画像形成速度に適した搬送速度で原稿を搬送する仕組みを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するために、本発明は、画像読取手段によって画像が読み取られる位置へと原稿を1枚ずつ搬送し、その画像読み取り位置において前記画像読取手段が画像を読み取り可能な速度で前記原稿を搬送する搬送手段と、自装置が装着された画像形成装置本体からの指示に基づいて前記搬送手段による単位時間あたりの搬送枚数を決定し、決定した単位時間あたりの搬送枚数の原稿を搬送するように前記搬送手段を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする原稿搬送装置を提供する。この原稿搬送装置によれば、画像形成装置本体からの指示に従って原稿搬送装置の単位時間あたりの搬送枚数を決定するから、原稿搬送装置の単位時間あたりの搬送枚数を、画像形成装置本体における単位時間あたりの画像形成枚数と同じになるように調整することが可能となる。
【0006】
また、本発明は、画像読取手段によって画像が読み取られる位置へと原稿を1枚ずつ搬送し、その画像読み取り位置において前記画像読取手段が画像を読み取り可能な速度で前記原稿を搬送する搬送手段と、自装置が装着された画像形成装置本体からの指示に基づいて、前記搬送手段による原稿の搬送パターン及び単位時間あたりの搬送枚数を決定し、決定した単位時間あたりの搬送枚数の原稿を決定した搬送パターンで搬送するように前記搬送手段を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする原稿搬送装置を提供する。前記搬送パターンには、原稿の搬送速度、原稿の搬送開始及び停止のタイミング、原稿の搬送速度を所定の速度へと加速する際の加速度、又は、その加速の開始及び停止のタイミングのうち、少なくともいずれか1つが含まれることが望ましい。この原稿搬送装置によれば、画像形成装置本体からの指示に従って原稿搬送装置の単位時間あたりの搬送枚数を決定するから、原稿搬送装置の単位時間あたりの搬送枚数を、画像形成装置本体における単位時間あたりの画像形成枚数とほぼ同じになるように調整することが可能となる。また、画像形成装置本体からの指示に応じて搬送パターンを変更することも可能となるから、例えば騒音を低減するとか又は消費電力を低減するといったような画像形成装置本体からの指示に応じて、騒音を低減する又は消費電力を低減する搬送パターンで原稿を搬送することも可能となる。
【0007】
また、本発明は、上記の原稿搬送装置と、前記原稿搬送装置に前記指示を与える制御手段と、前記原稿搬送装置によって搬送される原稿から読み取られた画像を記録シートに形成する画像形成手段とを備えた画像形成装置を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、画像形成装置1の構成を示した断面図である。図1に示すように、画像形成装置1は、原稿搬送装置であるADF10と、装置本体20とを備えている。ADF10は装置本体20の上面に対して脱着可能であり、さらに、紙面奥行き方向の奥側に設けられた図示しないヒンジ金具を支点として開閉可能である。ADF10を上方に持ち上げると(開くと)、装置本体20の上面に設けられたプラテンガラス150が露出するようになっている。画像形成装置1は、ADF10によって取り込まれた原稿から画像を読み取ることもできるし、ユーザによってプラテンガラス150上に載置された原稿から画像を読み取ることもできる。
【0009】
ADF10は、原稿トレイ11と、ピックアップローラ12と、搬送ローラ13〜16と、排出ローラ17と、排紙トレイ18とを備えている。ピックアップローラ12と、搬送ローラ13〜16と、排出ローラ17とは、原稿を搬送する搬送部(後述する図2参照)として機能する。原稿が原稿トレイ11上に載置された状態でユーザによってスキャン(画像の読み取り)が指示されると、ピックアップローラ12によって原稿が1枚ずつADF10の内部に取り込まれる。取り込まれた原稿は、後述する画像読取部が画像を読み取る画像読取位置Sまで搬送ローラ13〜15によって搬送され、その画像読取位置Sにおいて画像読取部が画像を読み取り可能な一定の速度で搬送される。画像の読み取りが終了すると、原稿は搬送ローラ16及び排出ローラ17によって排紙トレイ18へと排出される。
【0010】
装置本体20の上方には、上記の画像読取部が設けられている。この画像読取部は、フルレートキャリッジ110と、ハーフレートキャリッジ120と、結像レンズ130と、ラインセンサ140と、プラテンガラス150とを備えている。ハーフレートキャリッジ120はミラー121および122を備え、フルレートキャリッジ110からの光を結像レンズ130へと導く。結像レンズ130はミラー122とラインセンサ140とを結ぶ光路上に設けられており、原稿からの反射光をラインセンサ140の位置で結像させる。ラインセンサ140は例えばオンチップカラーフィルタを備えた複数ラインのCCDイメージセンサであり、結像された光の強度に応じた画像信号を生成して出力する。
【0011】
以上の構成のもと、ADF10によって取り込まれた原稿に対して光源111から光が照射され、その反射光がラインセンサ140によって読み取られる。ラインセンサ140は読み取った反射光に基づく画像信号を生成する。この画像信号に所定の画像処理が施されて画像データが生成される。そして、生成された画像データに基づき、以下のようにして記録シートにトナー像が形成される。画像形成ユニット210a,210b,210c,210dは、それぞれY(イエロー)、M(マゼンダ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色に対応している。中間転写ベルト220は、図示せぬ駆動手段によって図中の矢印B方向に移動される無端のベルト部材である。一次転写ロール230a,230b,230c,230dは、中間転写ベルト220を介して、画像形成ユニット210a,210b,210c,210dの感光体ドラムの側に付勢されている。これら感光体ドラムには画像データに基づくYMCK各色のトナー像が形成され、そのトナー像は中間転写ベルト220に転写される。二次転写ロール240およびバックアップロール250は、中間転写ベルト220が記録シートPと対向する位置において相互に付勢されており、中間転写ベルト220から記録シートPにトナー像を転写させる。給紙機構260は種々の記録シートPを収容したトレイ261aおよび261bを備え、画像形成時にはこれらの記録シートPを供給する。定着機構270は記録シートPを加熱および加圧するためのロール部材を備えており、記録シートP表面に転写されたトナー像を熱と圧力とで定着させる。このようにして記録シートにトナー像が形成されることになる。
【0012】
図2は画像形成装置1の機能構成を示したブロック図である。
まず、ADF10について説明する。ピックアップローラ12と搬送ローラ13〜16と排出ローラ17からなる搬送部101は、CPU等の制御部102によって制御される。記憶部103には、原稿の搬送速度、原稿の搬送開始及び停止のタイミング、原稿の搬送速度を所定の速度へと加速する際の加速度、又は、その加速の開始及び停止のタイミング原稿の搬送開始及び停止のタイミングを表す制御パラメータと、制御部102がこれらの制御パラメータを用いて搬送部101の搬送制御を実行するための手順が記述された制御プログラムが記憶されている。通信部104は、装置本体20の通信部201に接続されており、制御部102からの指示に従って通信部201との間でデータの授受を行う。
【0013】
次に、装置本体20について説明する。通信部201は、ADF10の通信部104に接続されており、制御部202からの指示に従って通信部104との間でデータの授受を行う。制御部202は、CPUや、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やLSI(Large Scale Integration)などを備えており、上述した画像読取部203によって生成された画像信号に所定の画像処理を施して画像データを生成し、画像形成部204に出力する。画像形成部204は、上述した画像形成ユニット210a,210b,210c,210dなどの画像形成を司る装置群からなり、画像データに基づいて記録シートにトナー像を形成する。記憶部205は、制御部202が画像形成装置1の全体を制御するために必要なデータやプログラムが記憶されている。操作部206は、ユーザによる操作を受け付ける手段である。ユーザはこの操作部を用いて、例えば画像形成装置1の動作モードを指定することができる。ここでいう「動作モード」とは、騒音を低減する動作モード(騒音低減モード)や、消費電力を低減する動作モード(電力低減モード)である。表示部207は、制御部202からの指示に従って案内画面や各種情報を表示する。
【0014】
本実施形態では、装置本体20からADF10に指示を与えることで、ADF10は自身の単位時間あたりの搬送枚数を装置本体20における単位時間あたりの画像形成枚数とほぼ同じになるように調整する。さらに、装置本体20から指示される動作モードの内容をも考慮して、上記の単位時間あたりの搬送枚数を実現するような搬送パターンを決定する。ここでいう「搬送パターン」は、原稿の搬送速度、原稿の搬送開始及び停止のタイミング、原稿の搬送速度を所定の速度へと加速する際の加速度、又は、その加速の開始及び停止のタイミングによって表される搬送方法のことを意味している。例えば装置本体20から指示された動作モードが騒音低減モードであれば、ADF10の搬送パターンを、騒音の少ないような搬送パターンとする。また、装置本体20から指示された動作モードが電力低減モードであれば、ADF10の搬送パターンを、消費電力の少ないような搬送パターンとする。
【0015】
次に、具体的な動作例について説明する。
図3は、図1のADF10の要部を拡大した図である。ピックアップローラ12から搬送ローラ13のニップ部に至るまでの搬送路は、原稿トレイ11に載置された原稿Pを取り込む部分であり、以下、取り込み搬送部分R1という。また、搬送ローラ14のニップ部Aから搬送ローラ16のニップ部Bに至るまでの搬送路は、取り込んだ原稿Pを画像読み取り位置Sへと搬送する部分であり、以下、中間搬送部分R2という。
【0016】
まず、装置本体の制御部202が、単位時間あたりの画像形成枚数として「50枚/分」、画像読取速度として「200(mm/sec)」、動作モードを特に指定しない(つまり騒音も消費電力も低減する必要のない、いわば高生産性モード)を指示した場合を説明する。この場合、制御部202からの指示は、通信部201によってADF10の通信部104に送られ、ADF10の制御部102は、通信部104を介してこの指示を受け取る。制御部102は、記憶部103の制御プログラムを読み出して、上記の指示に合致する搬送パターン及び単位時間あたりの搬送枚数を決定する。単位時間あたりの搬送枚数は、装置本体20の単位時間あたりの画像形成枚数と同じ「50枚/分」となる。そして、この単位時間あたりの搬送枚数「50枚/分」を実現する搬送パターンは図4に示すようになる。制御部102は、これらの搬送枚数及び搬送パターンを実現する制御パラメータ(つまり原稿の搬送速度、原稿の搬送開始及び停止のタイミング、原稿の搬送速度を所定の速度へと加速する際の加速度、又は、その加速の開始及び停止のタイミングを表す制御パラメータ)を記憶部103に記憶する。制御部102は、この記憶部103に記憶された制御パラメータを用いて以下に述べる搬送制御を実行する。
【0017】
図4は、ADF10において原稿の搬送が開始されてからの経過時間と、その搬送速度の関係を示した図である。原稿の先端が取り込み搬送部分R1にあるときには、搬送速度が350(mm/sec)になるまで急速に加速され、その350(mm/sec)で一定期間搬送された後、原稿の先端が搬送ローラ14のニップ部Aに到達した時点で一旦停止させられる。次に、原稿の先端が中間搬送部分R2に差し掛かると、搬送速度が400(mm/sec)になるまで急速に加速され、その400(mm/sec)で一定期間搬送された後、原稿の先端が搬送ローラ15のニップ部Bに到達した時点で再び停止させられる。そして、徐々に加速されて原稿の先端が画像読取位置Sに差し掛かると、画像読取速度と同じ搬送速度200(mm/sec)で原稿が搬送され、排紙トレイ18に排出される。以上の搬送処理が原稿1枚1枚に対して繰り返し実行される。このように、ADF10においては350(mm/sec)とか400(mm/sec)といったように比較的速い搬送速度且つ急速な加速度で原稿を搬送するから、「50枚/分」という比較的高い搬送枚数(画像形成枚数)を実現することができる。なお、原稿の搬送速度、原稿の搬送開始及び停止のタイミング、原稿の搬送速度を所定の速度へと加速する際の加速度、又は、その加速の開始及び停止のタイミングは上述した制御パラメータによって規定されている(以下の説明においても同じ)。
【0018】
次に、図5は、装置本体の制御部202から単位時間あたりの画像形成枚数として「35枚/分」、画像読取速度として「200(mm/sec)」、動作モードとして「騒音低減モード」が指示された場合の搬送パターンを説明する図である。この場合、原稿の先端が取り込み搬送部分R1にあるときには、搬送速度が250(mm/sec)になるまで急速に加速され、搬送ローラ14のニップ部Aで一旦停止させられる。次に、原稿の先端が中間搬送部分R2に差し掛かると、搬送速度が300(mm/sec)になるまで、比較的ゆっくりと加速され、搬送ローラ15のニップ部Bで再び停止させられる。そして、徐々に加速されて原稿の先端が画像読取位置Sに差し掛かると、画像読取速度と同じ搬送速度200(mm/sec)で搬送され、排紙トレイ18に排出される。以上の搬送処理が原稿1枚1枚に対して繰り返し実行される。このように、ADF10においては250(mm/sec)とか300(mm/sec)といったように比較的遅い搬送速度で原稿を搬送するから、「35枚/分」という比較的低い搬送枚数(画像形成枚数)を実現することができる。
【0019】
また、中間搬送部分R2における加速度が図4の場合よりも小さいから、騒音を低減させることも可能となる。その理由は以下の通りである。
図6は、原稿の先端が搬送ローラ14のニップ部に突入して行く様子を示す図である。図6において、まず、搬送ローラ13によって図中左側へ搬送される原稿Dの先端が、搬送ローラ14に接触した状態で停止させられる(同図(a))。この後、原稿Dの先端が搬送ローラ14のニップ部Aに突入するわけであるが、最初はニップ部にスムーズに突入しないため、原稿の先端部分に小さいループrが発生する(同図(b))。このループrは徐々に大きくなっていくが(同図(c))、原稿Dの先端が搬送ローラ14のニップ部に突入して図中左側への搬送が開始されると、このループrは徐々に解消していく(同図(d))。このときのループrが解消していく際に発生する騒音が比較的大きい。従って、搬送ローラ14による中間搬送部分R2における搬送速度の加速度を小さくすれば、ループrが極めてゆっくりと解消されることになり、その結果、騒音の発生を抑制することができる。
【0020】
図5は加速度そのものを小さくして騒音を低減する例であったが、次のように、加速の開始及び停止のタイミングを工夫することで騒音を低減させても良い。
図7は、図5の場合と同じく、装置本体の制御部202から単位時間あたりの画像形成枚数として「35枚/分」、画像読取速度として「200(mm/sec)」、動作モードとして「騒音低減モード」が指示された場合の搬送パターンを説明する図である。この場合、原稿の先端が取り込み搬送部分R1にあるときには、搬送速度が250(mm/sec)になるまで急速に加速され、搬送ローラ14のニップ部Aで一旦停止させられる。次に、原稿の先端が中間搬送部分R2に差し掛かると、まずは搬送速度が100(mm/sec)になるまで、比較的ゆっくりと加速され、搬送速度が100(mm/sec)に至ると、その搬送速度が所定期間維持される。そして、次は搬送速度が300(mm/sec)になるまで、比較的ゆっくりと加速され、搬送ローラ15のニップ部Bで再び停止させられる。そして、徐々に加速されて原稿の先端が画像読取位置Sに差し掛かると、画像読取速度と同じ搬送速度200(mm/sec)で搬送され、排紙トレイ18に排出される。以上の搬送処理が原稿1枚1枚に対して繰り返し実行される。このように段階的に加速する加速方法を採ることで、原稿に生じたループrをゆっくりと解消することができ、その結果、騒音の発生を抑制することができる。
【0021】
また、装置本体の制御部202から「電力低減モード」が指示された場合には次のような搬送パターンとすればよい。前述したように、原稿は搬送ローラ14のニップ部Aと、搬送ローラ15のニップ部Bで停止させられる。このときの停止時間を長くする一方、決定した搬送枚数を実現できるように、取り込み搬送部分R1及び中間搬送部分R2における搬送速度を大きくする。搬送速度の大きさにもよるが、停止時間を長くとれば消費電力を抑制する効果を期待することができる。
【0022】
以上述べた実施形態によれば、装置本体20からADF10に指示を与えることで、ADF10の単位時間あたりの搬送枚数を、装置本体20における単位時間あたりの画像形成枚数とほぼ同じになるように調整することができる。よって、それぞれ異なる画像形成速度で動作する複数種類の装置本体に対して、それらの画像形成速度に適した搬送速度で原稿を搬送する原稿搬送装置を提供することが可能となる。これにより、画像形成装置全体の製造コストの抑制や製造工程の簡素化を図ることができる。さらに、装置本体20からの動作モードの指示に基づき、ADF10において上記の単位時間あたりの搬送枚数を実現するような最適の搬送パターンを決定することができる。これにより、騒音を低減させたいとか消費電力を低減させたいといったユーザの要望に応えることが可能となる。
【0023】
なお、「搬送パターン」には、原稿の搬送速度、原稿の搬送開始及び停止のタイミング、原稿の搬送速度を所定の速度へと加速する際の加速度、又は、その加速の開始及び停止のタイミングのうち必要なものが少なくとも1つ含まれていればよい。また、上述の実施形態においては、4つの画像形成ユニットを備えたタンデム方式の画像形成部を例に挙げて説明したが、ロータリー方式の画像形成部であってもよい。また、中間転写ベルトに代えて用紙搬送ベルトを備え、中間転写体(中間転写ベルト)への転写を行わずに感光体ドラムから原稿に直接転写を行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】画像形成装置の構成を示した断面図である。
【図2】画像形成装置の機能構成を示したブロック図である。
【図3】図1のADFの要部を拡大した図である。
【図4】ADFにおいて原稿の搬送が開始されてからの時間と、その搬送速度の関係を示した図である。
【図5】ADFにおいて原稿の搬送が開始されてからの時間と、その搬送速度の関係を示した図である。
【図6】原稿の先端が搬送ローラのニップ部に突入して行く様子を示す図である。
【図7】ADFにおいて原稿の搬送が開始されてからの時間と、その搬送速度の関係を示した図である。
【符号の説明】
【0025】
1…画像形成装置、10…ADF、101…搬送部、102…制御部、150…プラテンガラス、20…装置本体、202…制御部、205…記憶部、206…操作部、207…表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像読取手段によって画像が読み取られる位置へと原稿を1枚ずつ搬送し、その画像読み取り位置において前記画像読取手段が画像を読み取り可能な速度で前記原稿を搬送する搬送手段と、
自装置が装着された画像形成装置本体からの指示に基づいて前記搬送手段による単位時間あたりの搬送枚数を決定し、決定した単位時間あたりの搬送枚数の原稿を搬送するように前記搬送手段を制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする原稿搬送装置。
【請求項2】
画像読取手段によって画像が読み取られる位置へと原稿を1枚ずつ搬送し、その画像読み取り位置において前記画像読取手段が画像を読み取り可能な速度で前記原稿を搬送する搬送手段と、
自装置が装着された画像形成装置本体からの指示に基づいて、前記搬送手段による原稿の搬送パターン及び単位時間あたりの搬送枚数を決定し、決定した単位時間あたりの搬送枚数の原稿を決定した搬送パターンで搬送するように前記搬送手段を制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする原稿搬送装置。
【請求項3】
前記搬送パターンは、原稿の搬送速度、原稿の搬送開始及び停止のタイミング、原稿の搬送速度を所定の速度へと加速する際の加速度、又は、その加速の開始及び停止のタイミングのうち、少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする請求項2記載の原稿搬送装置。
【請求項4】
前記搬送手段による原稿の搬送速度、原稿の搬送開始及び停止のタイミング、原稿の搬送速度を所定の速度へと加速する際の加速度、又は、その加速の開始及び停止のタイミングは制御パラメータによって表されるものであり、
前記制御手段は、原稿の搬送速度、原稿の搬送開始及び停止のタイミング、原稿の搬送速度を所定の速度へと加速する際の加速度、又は、その加速の開始及び停止のタイミングを決定すると、決定した内容を表す前記制御パラメータに基づいて前記搬送手段を制御することを特徴とする請求項3記載の原稿搬送装置。
【請求項5】
前記画像形成装置本体からの指示には、前記単位時間あたりの搬送枚数に加えて、騒音を低減する動作モード又は消費電力を低減する動作モードのうち少なくとも一方を表すモード情報が含まれており、
前記制御手段は、前記前記画像形成装置本体からの指示に含まれている前記モード情報が表す動作モードで、当該指示に含まれている単位時間あたりの搬送枚数を実現するような前記搬送パターンを決定することを特徴とする請求項2記載の原稿搬送装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記前記画像形成装置本体からの指示に含まれている前記モード情報が騒音を低減する動作モードを表す場合には、原稿の搬送速度を所定の速度へと加速するまでの加速度を小さくするか又は段階的に加速する加速方法に決定することを特徴とする請求項5記載の原稿搬送装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記前記画像形成装置本体からの指示に含まれている前記モード情報が消費電力を低減する動作モードを表す場合には、原稿の搬送開始のタイミングから停止のタイミングに至るまでの時間を長くすることを特徴とする請求項5記載の原稿搬送装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1に記載の原稿搬送装置と、
前記原稿搬送装置に前記指示を与える制御手段と、
前記原稿搬送装置によって搬送される原稿から読み取られた画像を記録シートに形成する画像形成手段と
を備えた画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2007−171763(P2007−171763A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−371764(P2005−371764)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】