説明

可動部材のフレキシブル回路基板上への設置構造及びスイッチ機構及び多方向揺動型スイッチ機構

【課題】可動部材をフレキシブル回路基板上に所定の姿勢を保持した状態で設置することが容易且つ簡単な構造で実現できる、可動部材のフレキシブル回路基板上への設置構造及びスイッチ及び多方向揺動型スイッチを提供する。
【解決手段】フレキシブル回路基板20と、フレキシブル回路基板20上に設置される可動部材(操作部材)60とを具備し、フレキシブル回路基板20に連結部30を介して可動部材取付部31を設け、可動部材取付部31を連結部30を介してフレキシブル回路基板20の上面側に配置した状態で可動部材取付部31に可動部材60を取り付けると共に、可動部材取付部31から突出して設けた取付部41を、フレキシブル回路基板20又はその他の静止側部材に取り付けることで、可動部材60を複数箇所で支持し、可動部材60の姿勢を所定の姿勢に維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ操作用の操作部材等の可動部材のフレキシブル回路基板上への設置構造及びスイッチ機構及び多方向揺動型スイッチ機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1の図1に示す多方向揺動型スイッチ機構は、中央とその周囲に複数のスイッチを設置すると共に、複数のスイッチの内の中央に位置するスイッチ上に揺動且つ上下動する操作部材(操作レバー)を設置し、操作部材の周囲を囲むようにスイッチ作動部材(動作板)を設置し、スイッチ作動部材の下面に設けた複数の押圧部の下側に周囲のスイッチが位置するように構成されていた。そして操作部材を押圧すればスイッチ作動部材は移動せずに操作部材のみが下降してその真下にある中央のスイッチがオンし、一方操作部材を揺動すれば操作部材と一体にスイッチ作動部材も揺動して下降した側のスイッチ作動型物の押圧部の真下に位置する周囲のスイッチがオンする。
【0003】
ところでこのような構造の多方向揺動型スイッチ機構においては、前記操作部材は上下動のみではなく揺動動作も行う必要があるのでこの操作部材を上下動方向のみに移動するように直立した姿勢にガイドしておくことはできず、このため操作部材を何ら操作していない無負荷状態の時にこの操作部材が直立した位置よりも少し傾いた状態で停止してしまう恐れがあった。このため特許文献1の場合は上下方向に弾発するコイルスプリングによって操作部材を直立させるようにしている。しかしながらコイルスプリングを用いると、構造が複雑となって部品点数が増加するばかりか、多方向揺動型スイッチ機構の厚みが厚くなってしまうという問題があった。
【0004】
また例えば特許文献2の図1に示す二段押釦スイッチ付き回転式電子部品内に設置した二段押釦スイッチ機構は、スイッチを設けた下側のフレキシブル回路基板上に作動型物を設置すると共に作動型物上にスイッチを設けた上側のフレキシブル回路基板を設置し、さらにその上にキートップを設置して構成されている。そしてキートップを押圧するとこのキートップ下面に設けた押圧部によってまず上側のフレキシブル回路基板のスイッチがオンし、さらにキートップを押圧すると作動型物の下面に設けた押圧部によって下側のフレキシブル回路基板上のスイッチがオンする。しかしながら前記作動型物はその上下動がガイドされていないので、これを上下動する際に容易に傾き、スイッチの動作がスムーズに行えなくなる恐れがあった。一方この作動型物の上下動をガイドするガイド機構を設けると、構造が複雑化し、その小型化も阻害されてしまう。
【特許文献1】特開平8−64081号公報
【特許文献2】特開2003−178648号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、操作部材や作動型物等の可動部材をフレキシブル回路基板上に所定の姿勢を保持した状態で設置することが容易且つ簡単な構造で実現できる、可動部材のフレキシブル回路基板上への設置構造及びスイッチ及び多方向揺動型スイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願請求項1に記載の発明は、フレキシブル回路基板と、前記フレキシブル回路基板上に設置される可動部材とを具備し、前記フレキシブル回路基板に連結部を介して可動部材取付部を設け、前記可動部材取付部を前記連結部を介してフレキシブル回路基板の上面側に配置した状態でこの可動部材取付部に前記可動部材を取り付けると共に、可動部材取付部に設けた取付部を静止側部材に取り付けることにより、前記可動部材の姿勢を所定の姿勢に維持することを特徴とする可動部材のフレキシブル回路基板上への設置構造にある。この発明は、下記する「発明を実施するための最良の形態」の記載中の第一,第二,第三,第四,第五,第六,第七実施形態に対応する発明である。
【0007】
本願請求項2に記載の発明は、前記フレキシブル回路基板にスイッチを設け、このスイッチ上に押圧部を設置したことを特徴とする請求項1に記載の可動部材のフレキシブル回路基板上への設置構造にある。この発明は、下記する「発明を実施するための最良の形態」の記載中の第一,第二,第三,第四,第六,第七実施形態に対応する発明である。
【0008】
本願請求項3に記載の発明は、前記可動部材取付部には、前記フレキシブル回路基板に接続される回路パターンを設け、この回路パターンによって可動部材取付部に電気的機能部を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の可動部材のフレキシブル回路基板上への設置構造にある。この発明は、下記する「発明を実施するための最良の形態」の記載中の第二,第三,第四,第五,第六,第七実施形態に対応する発明である。
【0009】
本願請求項4に記載の発明は、スイッチを設けてなるフレキシブル回路基板と、前記フレキシブル回路基板上に設置され前記スイッチに対向する位置にこのスイッチをオンオフする押圧部を設けてなる操作部材とを具備するスイッチ機構において、前記フレキシブル回路基板に連結部を介して可動部材取付部を設け、前記可動部材取付部を前記連結部を介してフレキシブル回路基板の上面側に配置した状態でこの可動部材取付部に前記操作部材を取り付けると共に、可動部材取付部に設けた取付部を静止側部材に取り付けることにより、前記操作部材の姿勢を所定の姿勢に維持することを特徴とするスイッチ機構にある。この発明は、下記する「発明を実施するための最良の形態」の記載中の第一,第二,第三,第四実施形態に対応する発明である。
【0010】
本願請求項5に記載の発明は、フレキシブル回路基板と、前記フレキシブル回路基板上に設置される操作部材とを具備し、前記フレキシブル回路基板に連結部を介してスイッチを形成した可動部材取付部を設け、前記可動部材取付部を前記連結部を介してフレキシブル回路基板の上面側に配置した状態でこの可動部材取付部上に前記操作部材を取り付け、その際前記可動部材取付部に形成したスイッチをこのスイッチのフレキシブル回路基板側に設置した押圧部に対向させ、さらに可動部材取付部に設けた取付部を静止側部材に取り付けることにより、前記操作部材の姿勢を所定の姿勢に維持することを特徴とするスイッチ機構にある。この発明は、下記する「発明を実施するための最良の形態」の記載中の第五,第六,第七実施形態に対応する発明である。
【0011】
本願請求項6に記載の発明は、基部と基部から突出する操作部とを有する操作部材と、前記操作部を突出した状態で前記基部を覆うスイッチ作動部材と、前記基部の下部に設けた押圧部と前記スイッチ作動部材に設けた押圧部の位置のそれぞれに対向するようにスイッチを設けたフレキシブル回路基板とを具備し、操作部材を直立位置にて下方向に押圧することでその押圧部がこれに対向する位置にあるスイッチをオンすると共に、操作部材を揺動することでこれと一体にスイッチ作動部材が揺動して下降した押圧部がこれに対向するスイッチをオンする多方向揺動型スイッチ機構において、前記フレキシブル回路基板に連結部を介して可動部材取付部を設け、前記可動部材取付部を前記連結部を介してフレキシブル回路基板の上面側に配置した状態でこの可動部材取付部に前記操作部材を取り付けると共に、可動部材取付部に設けた取付部を静止側部材に取り付けることにより、前記操作部材の姿勢を直立位置に維持することを特徴とする多方向揺動型スイッチ機構にある。この発明は、下記する「発明を実施するための最良の形態」の記載中の第四実施形態に対応する発明である。
【0012】
本願請求項7に記載の発明は、前記可動部材取付部には、前記フレキシブル回路基板に接続される回路パターンを設け、この回路パターンに発光素子を接続して取り付けたことを特徴とする請求項6に記載の多方向揺動型スイッチ機構にある。この発明は、下記する「発明を実施するための最良の形態」の記載中の第四実施形態に対応する発明である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、可動部材が、連結部と取付部の二ヶ所でフレキシブル回路基板を含む静止側部材に支持されるので、別途可動部材のフレキシブル回路基板上への保持手段を設けなくても可動部材をフレキシブル回路基板上に保持でき、同時に別途可動部材のガイド機構を設けなくても可動部材を所定の姿勢(例えば直立状態)に維持することができる。請求項2に記載の発明によれば、可動部材をそのままスイッチ押圧用の部材として用いることができる。請求項3に記載の発明によれば、容易に可動部材取付部に電気的機能部を設けることができる。
【0014】
請求項4,5に記載の発明によれば、操作部材が、連結部と取付部の二ヶ所でフレキシブル回路基板を含む静止側部材に支持されるので、別途操作部材のフレキシブル回路基板上への保持手段を設けなくても操作部材をフレキシブル回路基板上に保持でき、同時に別途操作部材のガイド機構を設けなくても操作部材を所定の姿勢(例えば直立状態)に維持することができる。
【0015】
請求項6に記載の発明によれば、多方向揺動型スイッチ機構の操作部材とスイッチ作動部材が、別途フレキシブル回路基板上への保持手段を設けなくてもフレキシブル回路基板上の所定位置に保持でき、同時に別途ガイド機構を設けなくても操作部材及びスイッチ作動部材を所定の姿勢(例えば直立状態)に維持することができる。請求項7に記載の発明によれば、可動部材取付部に操作部材を取り付けて所定の姿勢に保持する機能と、発光素子によって操作部材等を照光する機能とを合わせ持たせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
〔第一実施形態〕
図1は本発明の第一実施形態にかかるスイッチ機構(本実施形態では押圧スイッチ機構)1−1の概略断面図である。同図に示すようにスイッチ機構1−1は、基台10と、基台10上に設置されその所定位置にスイッチ21を設けてなるフレキシブル回路基板20と、フレキシブル回路基板20上に設置され前記スイッチ21に対向する位置にこのスイッチ21をオンオフする押圧部73を設けてなる可動部材(以下この実施形態では「操作部材」という)60とを具備して構成されている。以下各構成部品について説明する。
【0017】
静止側部材である基台10は剛性を有する部材であって合成樹脂製でも金属製でも良いが、少なくともその上面はフレキシブル回路基板20を載置するように平面状に形成されている。
【0018】
図2はフレキシブル回路基板20の展開平面図(反転板37の記載は省略)である。同図に示すようにフレキシブル回路基板20は一枚の可撓性を有する合成樹脂フイルム(例えばポリエチレンテレフタレートフイルム〔PETフイルム〕、ポリイミドフイルム〔PIフイルム〕等)の上面にスイッチ21用のスイッチパターン23,25を設け、またその外周辺から帯状の連結部30を介して可動部材取付部31を連結して設け、さらに可動部材取付部31の連結部30とは可動部材取付部31の180°反対側から帯状に取付部41を突出して設けて構成されている。フレキシブル回路基板20の上面には導電ペーストを印刷(本実施形態ではスクリーン印刷)することによって回路パターンが形成されており、回路パターンの一部として一対のスイッチパターン23,25と、各スイッチパターン23,25から引き出される引出パターン27,29とが設けられている。スイッチパターン23は円形の点状に形成され、スイッチパターン25はスイッチパターン23を囲むようにC字状に形成されている。またスイッチパターン25の外側の所定位置には矩形状の小さい貫通孔からなる二つの固定部32,38が設けられている。両固定部32,38はスイッチパターン25の180°反対側に設けられている。可動部材取付部31は円形(下記する操作部材60の外形寸法と略同一外形寸法)であり、所定の複数箇所(本実施形態では四箇所)には円形の小孔からなる係止部33が設けられている。取付部41は帯状であってその先端近傍に矩形状の小さい貫通孔からなる固定部35が設けられている。そして前記一対のスイッチパターン23,25上には金属弾性板をドーム状に形成した可動接点板である金属製の反転板37(図1参照)が取り付けられ、その際反転板37の外周辺をスイッチパターン25上に当接し、これによってスイッチ21が構成される。操作部材60は合成樹脂製の操作部形成部61の下面に合成樹脂製の押圧部形成部71を取り付けて構成されている。操作部形成部61は平板状(円板状)の基台部63の上面から棒状の操作部65を突出し、また基台部63の下面の複数箇所(本実施形態では前記可動部材取付部31の各係止部33に対応する四個所)から小突起状(図1では熱カシメによってその先端を潰した状態を示している)の係合部67を突出している。一方押圧部形成部71は平板状(円板状)に形成され、その下面中央に小突起状の押圧部73を設けると共に、前記各係合部67に対向する位置にこれらを挿入する貫通孔からなる取付係合部75を設けている。
【0019】
そして図2に示すフレキシブル回路基板20の一対のスイッチパターン23,25の上に反転板37を取り付けることでスイッチ21を構成しておく。次に前記可動部材取付部31の両面に操作部60を構成する操作部形成部61と操作部60を構成する押圧部形成部71を設置し(図2では可動部材取付部31の上面側に押圧部形成部71が、可動部材取付部31の下面側に操作部形成部61が位置する)、その際操作部形成部61に設けた係合部67を、可動部材取付部31に設けた係止部33と押圧部形成部71に設けた取付係合部75とに挿入し、その先端を熱カシメして固定する。これによって操作部形成部61と押圧部形成部71とからなる操作部材60が形成される。そしてフレキシブル回路基板20を図1に示すように基台10上に載置すると共に、操作部材60を取り付けた可動部材取付部31を連結部30の部分を折り曲げることで連結部30を介してフレキシブル回路基板20の上面側に配置する。このとき固定部32と固定部35の位置を一致させておく。そしてフレキシブル回路基板20を基台10上に固定する際に、可動部材取付部31から突出する取付部41も合わせてフレキシブル回路基板20上に固定する。フレキシブル回路基板20及び取付部41の固定には前記一致させた貫通孔からなる固定部32,35と貫通孔からなる固定部38中に他の部材からなる部片を配置することでなされる。なおフレキシブル回路基板20及び取付部41の固定には必ずしも固定部32,35,38を利用する必要はなく、他の各種固定構造によって固定しても良い。その場合は貫通孔からなる固定部32,35,38は不要になる。即ち図1にはその固定部分を概略的に固定手段80,81として示しているが、この固定手段80,81としては、例えば合成樹脂で形成された基台10の上面から突出する小突起を両固定部32,35,38に挿入してその先端を熱カシメして固定する構造でも良く、また操作型物60の上部を覆うケース(これも静止側部材である)の外周下辺をフレキシブル回路基板20の上面に当接して固定する方法でも良い。要は少なくともフレキシブル回路基板20の連結部30の近傍部分(必ずしも連結部30の根元部分でなくても良く、その周囲部分であっても良い)と、取付部41とを所望の固定手段80,81によって固定すれば良い。これによって操作部材60を取り付けた可動部材取付部31は、180°対向する位置にある連結部30と取付部41の二ヶ所においてフレキシブル回路基板20や基台10等からなる静止側部材に取り付けられたことになる。なお連結部30と取付部41による操作部材60の取り付けは、操作部材60が可動(この実施形態では上下動)し得るように所定の撓みを連結部30と取付部41の両者に持たせた状態での取り付けとしている。
【0020】
以上のように構成されたスイッチ機構1−1において、操作部材60の操作部65を真下に向けて押圧すると、操作部材60の押圧部73がスイッチ21を構成する反転板37を反転し、一対のスイッチパターン23,25間をオンする。操作部材60への押圧を解除すれば、操作部材60が上昇して反転板37は元の形状に自動復帰し、スイッチ21はオフする。そして操作部材60が操作されていない、いわゆる無負荷状態において操作部材60は、連結部30と取付部41の二ヶ所で支持されているので、操作部材60の姿勢は所定の姿勢(この実施形態の場合は直立状態)を維持する。即ちこの実施形態においては、フレキシブル回路基板20に設けた取付部41を静止側部材に取り付けるという簡単な構造・取付作業だけで、別途操作部材60のフレキシブル回路基板20上への保持手段を設けなくても操作部材60を保持でき、同時に別途操作部材60のガイド機構を設けなくても操作部材60を所定の姿勢に維持することができる。
【0021】
なお上記実施形態においては、操作部材60を、操作部形成部61と押圧部形成部71の二部品で構成したが、これらは一体の成形品で構成しても良い(以下の各実施形態でも同様)。また可動部材取付部31は操作部材60の下面又は上面に取り付けても良い(以下の各実施形態でも同様)。また上記実施形態では操作部材60をスイッチ21を操作する部材として構成したが、操作部材60はスイッチ押圧用以外の各種用途に利用しても良く、その場合は操作部材60に対向するフレキシブル回路基板20上にスイッチ21以外の各種電子部品を設置したり、場合によっては操作部材60に対向するフレキシブル回路基板20上には何ら電気的部材を設置しなくてもよい。また本発明においては何かを操作する操作部材60である必要はなく、フレキシブル回路基板20上に設置される他の各種可動部材であっても良い。また図3に示すように、フレキシブル回路基板20に設ける連結部30の数は一本に限らず複数本であっても良く、また図4に示すように取付部41の数も一本に限らず複数本であっても良い。連結部30や取付部41の数が増えれば、操作部材60の姿勢保持機能は向上する。なお上記実施形態では取付部41をフレキシブル回路基板20上に取り付けたが、取付部41を取り付けるのはフレキシブル回路基板20上に限定されず、他の種々の静止側部材に取り付けても良い。即ち可動部材である操作部材60に対して静止しているフレキシブル回路基板20を含む各種静止側部材(例えば操作部材60を収納する図示しないケース等)に、取付部41を取り付けるものであれば良い。
【0022】
即ちこの実施形態(以下の各実施形態でも同様)には、フレキシブル回路基板20と、フレキシブル回路基板20上に設置される可動部材(操作部材)60とを具備し、フレキシブル回路基板20に連結部30を介して可動部材取付部31を設け、可動部材取付部31を連結部30を介してフレキシブル回路基板20の上面側に配置した状態でこの可動部材取付部31に可動部材60を取り付けると共に、可動部材取付部31に設けた取付部41を静止側部材に取り付けることにより、可動部材60の姿勢を所定の姿勢に維持する構成を有する可動部材60のフレキシブル回路基板20上への設置構造、又はスイッチ構造1−1が開示されている。
【0023】
〔第二実施形態〕
図5は本発明の第二実施形態にかかるスイッチ機構(本実施形態では押圧スイッチ機構)1−2の概略断面図である。同図に示すスイッチ機構1−2において、前記第一実施形態にかかるスイッチ機構1−1と同一部分には同一符号を付す。なお以下で説明する事項以外の事項については、第一実施形態と同じである。このスイッチ機構1−2も前記スイッチ機構1−1と同様に、静止側部材である基台10と、基台10上に設置されその所定位置にスイッチ21を設けてなるフレキシブル回路基板20と、フレキシブル回路基板20上に設置され前記スイッチ21に対向する位置にこのスイッチ21をオンオフする押圧部73を設けてなる操作部材60とを具備して構成されている。そしてこのスイッチ機構1−2において前記スイッチ機構1−1と相違する点は、可動部材取付部31の上面に電気的機能部である電子部品(以下「発光素子」という)90を取り付けると共に、操作部材60の少なくとも操作部形成部61を透明な材質の合成樹脂によって構成した点である。従ってこの実施形態の場合、フレキシブル回路基板20に設けた所定の回路パターンを連結部30を介して操作部形成部61にも形成し、その回路パターン上に発光素子90を取り付けることで、発光素子90を発光させるように構成している。操作部形成部61の下面には前記発光素子90を収納するための凹状の電子部品収納部69が設けられている。従って発光素子90を発光すると、その光は操作部形成部61を介して操作部65を明るく照らし出す。なお操作部形成部61は不透光性の材料で構成すると同時に操作部形成部61の内部に導光部材を取り付け、この導光部材を介して発光素子から発射される光を所定の場所に導いても良い。
【0024】
そして第一実施形態と同様に、操作部材60が操作されていない、いわゆる無負荷状態においては、操作部材60は、連結部30と取付部41の二ヶ所で支持されているので、操作部材60の姿勢は所定の姿勢(この実施形態の場合は直立状態)を維持する。即ち別途操作部材60のフレキシブル回路基板20上への保持手段を設けなくても操作部材60を保持でき、同時に別途操作部材60のガイド機構を設けなくても操作部材60を所定の姿勢に維持することができる。このように第二実施形態においては、可動部材取付部31に、フレキシブル回路基板20に接続される回路パターンを設け、この回路パターンによって可動部材取付部31に電気的機能部である電子部品(発光素子)90を設け、これによって可動部材取付部31に、操作部材60の取り付けと姿勢保持の機能の他に、電気的機能部を設置できる機能をも有するようにしている。
【0025】
〔第三実施形態〕
図6は本発明の第三実施形態にかかるスイッチ機構(本実施形態では押圧スイッチ機構)1−3の概略断面図である。同図に示すスイッチ機構1−3において、前記第一実施形態にかかるスイッチ機構1−1と同一部分には同一符号を付す。なお以下で説明する事項以外の事項については、第一実施形態と同じである。このスイッチ機構1−3も前記スイッチ機構1−1と同様に、基台10と、基台10上に設置されその所定位置にスイッチ21を設けてなるフレキシブル回路基板20と、フレキシブル回路基板20上に設置され前記スイッチ21に対向する位置にこのスイッチ21をオンオフする押圧部73を設けてなる操作部材60とを具備して構成されている。そしてこのスイッチ機構1−3において前記スイッチ機構1−1と相違する点は、操作部材60を、第一実施形態の押圧部形成部71に相当する部分で構成し、さらにこの操作部材60上に可動部材取付部31の上面を露出し、可動部材取付部31に電気的機能部である電子部品(以下「第二のスイッチ」という)95を取り付けると共に、第二のスイッチ95の上部にキートップ100を設置した点である。ここで第二のスイッチ95は、フレキシブル回路基板20に設けた所定の回路パターンを連結部30を介して可動部材取付部31にも形成し、その回路パターン(前記スイッチ21の一対のスイッチパターン23,25と同様のもの)上に反転板97を取り付けることで構成されている。キートップ100は円板状でその外周にリング状のつば部101を有し、その下面の前記第二のスイッチ95に対向する位置に押圧部103を設けて構成され、その上下動はキートップ100の周囲を覆うケース110に設けた開口111にキートップ100の上部を上下動自在に挿入することで行なっている。そして例えば反転板97が反転するのに必要な荷重を反転板37が反転するのに必要な荷重よりも小さくしておけば、キートップ100を押圧することでまず反転板97が反転して第二のスイッチ95がオンし、さらにキートップ100を押圧することで操作型物60も下降して反転板37が反転してスイッチ21がオンする。前記キートップ100への押圧を解除すれば、スイッチ21,第二のスイッチ95の順番でスイッチがオフする。一方キートップ100及び操作型物60が操作されていない、いわゆる無負荷状態においては第一,第二実施形態と同様に、操作部材60は、連結部30と取付部41の二ヶ所で支持されているので、操作部材60の姿勢は所定の姿勢(この実施形態の場合は直立状態)を維持する。即ち別途操作部材60のフレキシブル回路基板20上への保持手段を設けなくても操作部材60を保持でき、同時に別途操作部材60のガイド機構を設けなくても操作部材60を所定の姿勢に維持することができる。従って操作型物60の上下動をスムーズに行うことができる。つまり第三実施形態においては、可動部材取付部31に、フレキシブル回路基板20に接続される回路パターンを設け、この回路パターンによって可動部材取付部31に電気的機能部である第二のスイッチ95を設け、これによって可動部材取付部31に、操作型物60の取り付けと姿勢保持の機能の他に、電気的機能部を設置できる機能も有するようにしている。
【0026】
〔第四実施形態〕
図7,図8は本発明の第四実施形態にかかる多方向揺動型スイッチ機構1−4の分解斜視図であり、両図によって全体の構成部品を示すものである。また図9は多方向揺動型スイッチ機構1−4の概略側断面図(図7のA−A線上概略断面図)である。なお図8に示すフレキシブル回路基板20と可動部材取付部31とは連結部30によって連結されているが、図示の都合上、両者は連結部30の部分で分断して示している。この多方向揺動型スイッチ機構1−4は、前記第二実施形態にかかるスイッチ機構1−2を多方向揺動型スイッチ機構に応用した実施形態である。これらの図に示す多方向揺動型スイッチ機構1−4において、前記第一〜第三実施形態にかかるスイッチ機構1−1〜1−3と同一部分には同一符号を付す。これらの図に示すように多方向揺動型スイッチ機構1−4は、静止側部材である基台10上に、フレキシブル回路基板20と、操作部形成部61と押圧部形成部71とからなる可動部材である操作部材60と、操作部形成部61と押圧部形成部71の間に設置される可動部材取付部31に取り付けた電気的機能部である電子部品(以下「発光素子」という)90と、スイッチ作動部材120と、静止側部材であるケース140と、静止側部材であるケース取付部材160と、覆い部180と、操作つまみ210とを具備して構成されている。以下各構成部品について説明する。
【0027】
基台10は剛性を有する金属板であるが、合成樹脂によって構成しても良い。そしてその表面はフレキシブル回路基板20を載置する平面状の載置面11となっている。そしてその所定位置には複数(四つ)の略矩形状の貫通孔からなる取付部13が設けられている。これら取付部13の内の二つの取付部13の端部は円弧状に形成されることで位置決め部15が形成されている。
【0028】
フレキシブル回路基板20は、一枚の可撓性を有する合成樹脂フイルム(例えばPETフイルム、PIフイルム等)に、スイッチ21と、スイッチ21の周囲の複数箇所(本実施形態では四個所)に設置されるスイッチ21Aと、前記基台10の四つの取付部13の内の三つの取付部13に対向する位置に設置されそれぞれの取付部13と同一形状の固定部32と、もう一つの取付部13に対向する位置に形成される切欠き部203と、スイッチ21Aのさらに外側に形成される複数本(本実施形態では二本)の円弧状の摺接パターン205と、フレキシブル回路基板20の外周から外部の回路に引き出される引出部207と、切り欠き部203の部分から帯状の連結部30を介して連結されている可動部材取付部31と、可動部材取付部31の連結部30とは180°反対側から帯状に突出する取付部41とを具備して構成されている。スイッチ21及びスイッチ21Aは、フレキシブル回路基板20の上面に形成した回路パターンの一部に設けたスイッチパターン(図2に示したスイッチパターン23,25)の上に弾性金属板製の反転板37,37Aを取り付けて構成されている。摺接パターン205は印刷(本実施形態ではスクリーン印刷)等によって形成されており、例えば回転式可変抵抗器用のパターンとしたり、回転式コードスイッチ用のパターンとしたりしている。可動部材取付部31は、略矩形状であり、左右二ヶ所に矩形状の貫通部311を設け、それらの間に設けた帯状の素子取付部313の中央に、弾性金属板からなる挟持部材305によって発光素子90を機械的に取り付けている。発光素子90には、フレキシブル回路基板20に形成している回路パターンから連結部30を介して可動部材取付部31上に引き出されて形成されている回路パターンに電気的に接続されている。なおこの発光素子90の可動部材取付部31への固定構造としては、この実施形態では特開平11−40917号公報に記載の構造のものを用いているが、その固定方法には種々の変更が可能であり、別の機械的固定方法や接着材や半田による固定方法等を用いても良い。可動部材取付部31の外周から突出する取付部41は略帯状であってその先端近傍に矩形状の貫通孔からなる固定部35を設けている。
【0029】
操作部材60は操作部形成部61と押圧部形成部71の二部品からなり、何れも合成樹脂の成形品である。操作部形成部61は、その上面を略半球面状に形成してなる基部上部611と、基部上部611の上面中央から真上に向けて突出する円筒状の操作部617とを具備している。基部上部611の下面中央には凹状の発光素子収納部615(図9参照)が設けられ、またその下面の複数箇所(本実施形態では四個所)からは柱状の固定部619(図8では二本のみ示す)が突出している。操作部617の中央には略円形の上下に貫通する貫通孔である挿入取付部613が設けられている。一方押圧部形成部71は略平板状であり、前記固定部619に対応する位置にはこれら固定部619を挿入する貫通孔からなる挿入固定部621が設けられ、またその上面中央には前記挟持部材305の厚み分凹む凹部623が設けられ、またその下面の前記スイッチ21の中央に対向する位置には柱状の押圧部73(図9参照)が設けられている。そして以下で説明する組み立て工程で可動部材取付部31を挟持して一体化される操作部形成部61の基部上部611と押圧部形成部71とを合わせて基部625が構成される。
【0030】
スイッチ作動部材120は合成樹脂を略円板状に成形して構成されており、その中央部分を上方向に略ドーム状に凸とすることでその上面を摺接面121とし、その下面側の空間を基部収納部122とし、また摺接面121の中央部分には前記操作部617を突出する開口部123が設けられ、またその外周の複数箇所(本実施形態では前記各スイッチ21Aに対向する四個所)には下方向に向かって突出する押圧部125を設け、また各押圧部125の根元部分には半径方向外側に向かって突出する位置決め部127を設けている。
【0031】
ケース140は合成樹脂の成形品であり、その形状は下面を開放した略円筒形状であり、その上面を覆う上板部141の中央に円形の開口143を設け、開口143の内周下端辺のリング状の部分を前記スイッチ作動部材120の摺接面121を当接する当接部145としている。またケース140の側壁面外周部分には、上下方向に向かう複数本(本実施形態では四本)のガイド溝147が設けられている。またケース140の側壁の下端部のガイド溝147を設けていない部分を凹部148とし、ガイド溝147を設けた部分(本実施形態では四個所)の下端部をそれぞれ押圧部149としている。さらにケース140の側壁の下端部の前記基台10の各位置決め部15(本実施形態では二ヶ所)に対向する位置にはこれに挿入する位置決め突起151が二本設けられている。また図示はしないが、ケース140の側壁の内周面部分には、上下方向に向かって前記スイッチ作動部材120の位置決め部127を上下動自在にガイドするガイド溝が設けられている。ケース取付部材160は金属板製であり、前記ケース140の上面形状と略同一形状の略リング状の覆い部161と、覆い部161の中央に設けられ前記ケース140の開口143と略同一形状寸法に形成された開口163と、覆い部161の外周から突出して下方向に向けて折り曲げられて前記ケース140の各ガイド溝147に挿入されるアーム部165とを具備して構成されている。覆い部180は合成樹脂の成形品であり、略ドーム形状であってその中央に係止用開口181を設けて構成されている。係止用開口181は下記する導光部材202を通す円形の開口の周囲に放射状に複数(本実施形態では四つ)の切り欠き183を設けて構成され、また各切り欠き183の間の部分には円形の貫通孔185を設けている。操作つまみ210は不透光性の操作つまみ本体部201と、操作つまみ本体部201の中央で操作つまみ本体部201を上下に貫く透光性の導光部材202とを具備して構成されている。この実施形態では操作つまみ210は操作つまみ本体部201と導光部材202とを二材成形手法にて一体に成形することで構成されているが、導光部材202を操作つまみ本体部201の内部に後から組み込むことで構成しても良い。操作つまみ本体部201の下面の導光部材202が突出している部分の周囲の前記各切り欠き183に対向する位置には各切り欠き183を挿入する板状の突出部207が突出して設けられ、またその下面の前記各貫通孔185に対向する位置には各貫通孔185に挿入される挿入突部209が突出して設けられている。
【0032】
多方向揺動型スイッチ機構1−4の組み立て方法の一例を説明すると、まず予め操作つまみ210を覆い部180の上側からその係止用開口181に挿入することで、覆い部180の各切り欠き183に操作つまみ210の各突出部207を挿入し、同時に覆い部180の各貫通孔185に操作つまみ210の各挿入突部209を挿入して各挿入突部209の先端を熱カシメして操作つまみ210と覆い部180とを一体化しておく。一方発光素子90を取り付けた可動部材取付部31の上下を操作部形成部61と押圧部形成部71とによって挟み込み、その際操作部形成部61の各固定部619を可動部材取付部31の貫通部311を通して押圧部形成部71の各挿入固定部621に挿入し、その先端を押圧部形成部71の下面で熱カシメし、これによって可動部材取付部31を挟持した状態で操作部形成部61と押圧部形成部71とを一体化して操作部材60を組み立てる。このとき発光素子90は発光素子収納部615内に位置する。そしてこの操作部材60を連結部30の部分を折り曲げることにて連結部30を介して図8に示すようにフレキシブル回路基板20上に配置した状態でフレキシブル回路基板20を基台10上に設置し、さらに操作部材60の上にスイッチ作動部材120とケース140とケース取付部材160とを被せ、その際ケース取付部材160の各アーム部165をケース140の各ガイド溝147に挿入し、さらに各アーム部165の先端をフレキシブル回路基板20の各固定部32及び切欠き部203を介して基台10の各取付部13に挿入し、それらの先端を図9に示すように外方向(多方向揺動型スイッチ機構1−4から離れる方向)に向けて折り曲げて固定する。このとき、フレキシブル回路基板20の一つの固定部32の上には、取付部41の固定部35が重ねられているので、この固定部32と同時に固定部35にもアーム部165が挿入され、取付部41は他の固定部32の部分と同様に、ケース140の押圧部149によって基台10に強固に押し付けられ、これによって取付部41及び連結部30のフレキシブル回路基板20の近傍部分(必ずしも連結部30の根元部分でなくても良く、その周囲部分であっても良い)は固定される。つまり可動部材取付部31に取り付けられた操作部材60は、連結部30と取付部41の複数箇所によって支持された状態でフレキシブル回路基板20上に保持されている。なお連結部30と取付部41による操作部材60の取り付けは、操作部材60が可動(この実施形態では上下動と揺動)し得る程度の撓みを連結部30と取付部41が有した状態での取り付けとしている。そして覆い部180と一体化した操作つまみ210の下面から突出する導光部材202を、操作部材60の挿入取付部613に挿入すれば、この多方向揺動型スイッチ機構1−4が完成する。
【0033】
そして操作つまみ210を真下に押圧すれば、スイッチ作動部材120は元の位置のままの状態にて操作部材60のみが下降してその押圧部73が反転板37を反転してスイッチ21をオンする。操作つまみ210への押圧を解除すれば、反転板37が元の形状に自動復帰してスイッチ21がオフすると同時に、操作部材60や操作つまみ210も元の位置に自動復帰する。一方操作つまみ210を揺動すると、これと一体に操作部材60及びスイッチ作動部材120も揺動し(このときケース140の当接部145上をスイッチ作動部材120の摺接面121が摺動する)、下降した側のスイッチ作動部材120の押圧部125によってこれに対向している反転板37Aが反転されてスイッチ21Aがオンする。操作つまみ210の揺動を解除すれば、反転板37Aが元の形状に自動復帰してスイッチ21Aがオフすると同時に、操作部材60や操作つまみ210も元の位置に自動復帰する。そしてこの実施形態においても、前記各実施形態と同様に、操作部材60が無負荷状態の時は、操作部材60は、フレキシブル回路基板20に連結される連結部30と取付部41とによって支持されているので、操作部材60(及びこれと一体の操作つまみ210やスイッチ作動部材120)の姿勢は所定の姿勢(この実施形態の場合は直立状態)を維持する。即ちこの実施形態においても、別途操作部材60のフレキシブル回路基板20上への保持手段を設けなくても操作部材60を保持でき、同時に別途操作部材60のガイド機構を設けなくても操作部材60を所定の姿勢に維持することができる。
【0034】
この実施形態の場合、実際には図9に点線で示すようにこの多方向揺動型スイッチ機構1−4の周囲に回転式可変抵抗器や回転式スイッチ等の回転式電子部品300が設置される。前記フレキシブル回路基板20に設けた摺接パターン205(図8参照)はこの回転式電子部品300の一部を構成し、回転式電子部品300の摺動型物に取り付けた摺動子がその上を摺動することで所望の電気的出力を変化するものである。またこの実施形態においても、連結部30や取付部41の数を複数としても良い。
【0035】
即ちこの実施形態には、基部(基部上部611と押圧部形成部71とからなる)625から操作部617を突出してなる操作部材60と、前記操作部617を突出した状態で前記基部625を覆うスイッチ作動部材120と、前記基部625の下部に設けた押圧部73と前記スイッチ作動部材120に設けた押圧部125の位置にそれぞれに対向するようにスイッチ21,21Aを設けたフレキシブル回路基板20とを具備し、操作部材60を直立位置にて下方向に押圧することでその押圧部73がこれに対向する位置にあるスイッチ21をオンすると共に、操作部材60を揺動することでこれと一体にスイッチ作動部材120が揺動して下降した押圧部125がこれに対向するスイッチ21Aをオンする多方向揺動型スイッチ1−4であって、前記フレキシブル回路基板20に連結部30を介して可動部材取付部31を設け、可動部材取付部31を前記連結部30を介してフレキシブル回路基板20の上面側に配置した状態でこの可動部材取付部31に前記操作部材60を取り付けると共に、可動部材取付部31から突出して設けた取付部41を、前記フレキシブル回路基板20を含む静止側部材に取り付けることにより、前記操作部材60の姿勢を直立位置に維持する構成が開示されている。
【0036】
なおこの実施形態においても取付部41をフレキシブル回路基板20上に取り付けたが、取付部41を取り付けるのはこれに限定されず、他の種々の静止側部材に取り付けても良い(例えばケース140に設けた小突起に熱カシメするなど)。
【0037】
〔第五実施形態〕
図10は本発明の第五実施形態にかかるスイッチ機構(本実施形態では押圧スイッチ機構)1−5の概略断面図である。また図11はこのスイッチ機構1−5に用いるフレキシブル回路基板20の展開平面図(反転板37の記載は省略)である。図10に示すスイッチ機構1−5において、前記第一実施形態にかかるスイッチ機構1−1と同一部分には同一符号を付す。なお以下で説明する事項以外の事項については、第一実施形態と同じである。このスイッチ機構1−5も前記スイッチ機構1−1と同様に、静止側部材である基台10と、基台10上に設置される静止側部材であるフレキシブル回路基板20と、フレキシブル回路基板20上に設置される可動部材である操作部材60とを具備して構成されており、フレキシブル回路基板20に連結部30を介して設けられた可動部材取付部31を前記連結部30を介してフレキシブル回路基板20の上面側に配置した状態でこの可動部材取付部31に操作部材60を取り付けると共に、可動部材取付部31に設けた取付部41をフレキシブル回路基板20を含む静止側部材に取り付けることにより、操作部材60の姿勢を所定の姿勢(この実施形態では直立姿勢)に維持するように構成している。そしてこのスイッチ機構1−5において前記スイッチ機構1−1と相違する点は、フレキシブル回路基板20上にスイッチパターン23,25を設ける代りに、可動部材取付部31上にこれと同一形状・構造のスイッチパターン23,25を設けた点と、前記フレキシブル回路基板20のその上に設置するスイッチパターン23に対向する位置に上下に貫通する開口部24を設けた点と、基台10の前記開口部24に対向する位置に開口部24に挿入される突起状の押圧部12を設けた点と、第一実施形態に示す操作部材60の押圧部形成部71を省略して操作部材60を操作部形成部61のみで構成した点と、可動部材取付部31を操作部材60の下面にその係止部33に係合部67を挿入してその先端を熱カシメした取り付けた点とである。従ってスイッチパターン23,25に接続された引出パターン27,29は可動部材取付部31から連結部30を通してフレキシブル回路基板20に引き出されている。またスイッチパターン23,25上には可動接点板である金属板製の反転板37を設置することで電気的機能部であるスイッチ21が構成される。そしてこの実施形態においては、操作部材60の下面に可動部材取付部31を取り付けることで、スイッチ21の反転板37の中央が基台10に設けた押圧部12に当接又は接近して配置されている。
【0038】
このスイッチ機構1−5において操作部材60の操作部65を真下に向けて押圧すると、基台10の押圧部12がスイッチ21を構成する反転板37を反転し、一対のスイッチパターン23,25間をオンする。操作部材60への押圧を解除すれば、操作部材60が上昇して反転板37は元の形状に自動復帰し、スイッチ21はオフする。そして第一実施形態と同様に、操作部材60が操作されていない、いわゆる無負荷状態においては、操作部材60は、連結部30と取付部41の二ヶ所で支持されているので、操作部材60の姿勢は所定の姿勢(この実施形態の場合は直立状態)を維持する。即ち別途操作部材60のフレキシブル回路基板20上への保持手段を設けなくても操作部材60を保持でき、同時に別途操作部材60のガイド機構を設けなくても操作部材60を所定の姿勢に維持することができる。
【0039】
〔第六実施形態〕
図12は本発明の第六実施形態にかかるスイッチ機構(本実施形態では二段押圧スイッチ機構)1−6の概略断面図である。図12に示すスイッチ機構1−6において、前記第一実施形態にかかるスイッチ機構1−1と同一部分には同一符号を付す。なお以下で説明する事項以外の事項については、第一実施形態と同じである。このスイッチ機構1−6も前記スイッチ機構1−1と同様に、静止側部材である基台10と、基台10上に設置されその所定位置にスイッチ21を設けてなる静止側部材であるフレキシブル回路基板20と、フレキシブル回路基板20上に設置される可動部材である操作部材60とを具備して構成されており、フレキシブル回路基板20に連結部30を介して設けられた可動部材取付部31を前記連結部30を介してフレキシブル回路基板20の上面側に配置した状態でこの可動部材取付部31に操作部材60を取り付けると共に、可動部材取付部31に設けた取付部41をフレキシブル回路基板20を含む静止側部材に取り付けることにより、操作部材60の姿勢を所定の姿勢に維持するように構成している。そしてこのスイッチ機構1−6において前記スイッチ機構1−1と相違する点は、第一実施形態に示す操作部材60の押圧部形成部71を省略して操作部材60を操作部形成部61のみで構成した点と、可動部材取付部31を操作部材60の下面にその係止部33に係合部67を挿入してその先端を熱カシメした取り付けた点と、操作部材60の形状をキートップ形状に形成した点と、フレキシブル回路基板20上に図2に示すようなスイッチパターン23,25と反転板37とからなる電気的機能部であるスイッチ21を設けると共にさらに可動部材取付部31上(図12では可動部材取付部31の下面上)にも図2に示すようなスイッチパターン23,25と反転板37−2とからなる電気的機能部であるスイッチ21−2を設けた点と、フレキシブル回路基板20と可動部材取付部31の間であって両スイッチ21,21−2の中央部分に対向する位置に押圧部51を設置した点とである。またスイッチ21−2から引き出される引出パターンが可動部材取付部31から連結部30を通してフレキシブル回路基板20に引き出されることは第五実施形態と同様である。
【0040】
ここで前記押圧部51はフレキシブル回路基板20と可動部材取付部31の間に設置される押圧部形成部材50の一部として設置されている。即ち押圧部形成部材50は、反転板37の外径よりも外側にリング状に設置される取付基部53と、可撓性を有する程度に薄板状に形成されたヒンジ部55と、ヒンジ部55によって取付基部53の中央に支持される柱状の押圧部51とを合成樹脂を一体成形することによって構成されている。そして取付基部53を反転板37の外周を覆うようにフレキシブル回路基板20上に取り付けている。取付構造は、例えば図12に示すように、取付基部53の下面から突出する小突起状の取付突起57をフレキシブル回路基板20と基台10に設けた小孔に挿入してその先端を熱カシメすること等によって行う。
【0041】
このスイッチ機構1−6において、例えば反転板37−2の反転に必要な荷重を、反転板37の反転に必要な荷重よりも小さくしておけば、操作部材60を真下に向けて押圧すると、まず押圧部51によって反転板37−2が反転してスイッチ21−2がオンし、さらに操作部材60を押圧することで押圧部51が反転板37を反転してスイッチ21がオンする。操作部材60への押圧を解除すれば、操作部材60が上昇して反転板37,37−2は順番に元の形状に自動復帰し、スイッチ21,21−2は順番にオフする。そして第一実施形態と同様に、操作部材60が操作されていない、いわゆる無負荷状態においては、操作部材60は、連結部30と取付部41の二ヶ所で支持されているので、操作部材60の姿勢は所定の姿勢(この実施形態の場合は直立状態)を維持する。即ち別途操作部材60のフレキシブル回路基板20上への保持手段を設けなくても操作部材60を保持でき、同時に別途操作部材60のガイド機構を設けなくても操作部材60を所定の姿勢に維持することができる。
【0042】
〔第七実施形態〕
図13は本発明の第七実施形態にかかるスイッチ機構(本実施形態では二段押圧スイッチ機構)1−7の概略断面図である。図13に示すスイッチ機構1−7おいて、前記第一,第六実施形態にかかるスイッチ機構1−1,1−6と同一部分には同一符号を付す。なお以下で説明する事項以外の事項については、第一実施形態及び第六実施形態と同じである。このスイッチ機構1−7において、第六実施形態のスイッチ機構1−6と相違する点は、押圧部形成部材50が、可撓性を有する合成樹脂フイルム製の平板状の押圧部取付部59中の前記両反転板37,37−2に対向する位置に押圧部51を設けた構成となっている点のみである。即ち第六実施形態のように押圧部形成部材50を合成樹脂の一体成形品によって構成する代わりに、合成樹脂フイルム中に押圧部51を設けた構造としている。押圧部51は樹脂成形品であっても良く、また樹脂を塗料として塗布することによって形成しても良い。この合成樹脂フイルムからなる押圧部取付部59は、例えばフレキシブル回路基板20や可動部材取付部31に図示しない所定の位置で連結しておくことが部品点数の削減や組み立ての容易化のために好ましい。また押圧部取付部59のスイッチ21,21−2の周囲の部分を可動部材取付部31又はフレキシブル回路基板20に取り付けておけば、押圧部51の位置が正規の位置からずれたりせず、常に正確にスイッチ21,21−2を押圧でき好適である。スイッチ機構1−7のスイッチ押圧動作はスイッチ機構1−6の場合と同一である。また第六実施形態と同様に、操作部材60が操作されていない、いわゆる無負荷状態においては、操作部材60は、連結部30と取付部41の二ヶ所で支持されているので、操作部材60の姿勢は所定の姿勢(この実施形態の場合は直立状態)を維持する。即ち別途操作部材60のフレキシブル回路基板20上への保持手段を設けなくても操作部材60を保持でき、同時に別途操作部材60のガイド機構を設けなくても操作部材60を所定の姿勢に維持することができる。
【0043】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状・構造・材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば上記各実施形態ではフレキシブル回路基板等に形成するスイッチを、1枚の合成樹脂フイルム上に設けた一対のスイッチパターン上に反転板を取り付けることで構成しているが、このスイッチは二枚の合成樹脂フイルムを重ね合わせて両合成樹脂フイルムに設けた一対の接点パターンを隙間を介して対向させ、一方合成樹脂フイルムに設けた接点パターンの裏面側に反転板を設置することで構成されるスイッチ(メンブレンスイッチ)でも良いし、さらに他の構造のスイッチでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】スイッチ機構(押圧スイッチ機構)1−1の概略断面図である。
【図2】フレキシブル回路基板20の展開平面図(反転板37の記載は省略)である。
【図3】他のフレキシブル回路基板20の展開平面図である。
【図4】他のフレキシブル回路基板20の展開平面図である。
【図5】スイッチ機構(押圧スイッチ機構)1−2の概略断面図である。
【図6】スイッチ機構(押圧スイッチ機構)1−3の概略断面図である。
【図7】多方向揺動型スイッチ機構1−4の分解斜視図(上側部分)である。
【図8】多方向揺動型スイッチ機構1−4の分解斜視図(下側部分)である。
【図9】多方向揺動型スイッチ機構1−4の概略側断面図である。
【図10】スイッチ機構(押圧スイッチ機構)1−5の概略断面図である。
【図11】スイッチ機構1−5に用いるフレキシブル回路基板20の展開平面図(反転板37の記載は省略)である。
【図12】スイッチ機構(二段押圧スイッチ機構)1−6の概略断面図である。
【図13】スイッチ機構(二段押圧スイッチ機構)1−7の概略断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1−1 スイッチ機構(押圧スイッチ機構)
10 基台(静止側部材)
20 フレキシブル回路基板(静止側部材)
21 スイッチ
23,25 スイッチパターン(回路パターン)
27,29 引出パターン(回路パターン)
30 連結部
31 可動部材取付部
41 取付部
60 操作部材(可動部材)
73 押圧部
1−2 スイッチ機構(押圧スイッチ機構)
90 発光素子(電子部品、電気的機能部)
1−3 スイッチ機構(押圧スイッチ機構)
95 第二のスイッチ(電子部品、電気的機能部)
100 キートップ
1−4 多方向揺動型スイッチ機構
21A スイッチ
61 操作部形成部
617 操作部
625 基部
71 押圧部形成部
120 スイッチ作動部材
125 押圧部
140 ケース(静止側部材)
160 ケース取付部材(静止側部材)
180 覆い部
210 操作つまみ
1−5 スイッチ機構
1−6 スイッチ機構
1−7 スイッチ機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル回路基板と、前記フレキシブル回路基板上に設置される可動部材とを具備し、
前記フレキシブル回路基板に連結部を介して可動部材取付部を設け、
前記可動部材取付部を前記連結部を介してフレキシブル回路基板の上面側に配置した状態でこの可動部材取付部に前記可動部材を取り付けると共に、可動部材取付部に設けた取付部を静止側部材に取り付けることにより、前記可動部材の姿勢を所定の姿勢に維持することを特徴とする可動部材のフレキシブル回路基板上への設置構造。
【請求項2】
前記フレキシブル回路基板にスイッチを設け、このスイッチ上に押圧部を設置したことを特徴とする請求項1に記載の可動部材のフレキシブル回路基板上への設置構造。
【請求項3】
前記可動部材取付部には、前記フレキシブル回路基板に接続される回路パターンを設け、この回路パターンによって可動部材取付部に電気的機能部を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の可動部材のフレキシブル回路基板上への設置構造。
【請求項4】
スイッチを設けてなるフレキシブル回路基板と、前記フレキシブル回路基板上に設置され前記スイッチに対向する位置にこのスイッチをオンオフする押圧部を設けてなる操作部材とを具備するスイッチ機構において、
前記フレキシブル回路基板に連結部を介して可動部材取付部を設け、
前記可動部材取付部を前記連結部を介してフレキシブル回路基板の上面側に配置した状態でこの可動部材取付部に前記操作部材を取り付けると共に、可動部材取付部に設けた取付部を静止側部材に取り付けることにより、前記操作部材の姿勢を所定の姿勢に維持することを特徴とするスイッチ機構。
【請求項5】
フレキシブル回路基板と、前記フレキシブル回路基板上に設置される操作部材とを具備し、
前記フレキシブル回路基板に連結部を介してスイッチを形成した可動部材取付部を設け、
前記可動部材取付部を前記連結部を介してフレキシブル回路基板の上面側に配置した状態でこの可動部材取付部上に前記操作部材を取り付け、その際前記可動部材取付部に形成したスイッチをこのスイッチのフレキシブル回路基板側に設置した押圧部に対向させ、さらに可動部材取付部に設けた取付部を静止側部材に取り付けることにより、前記操作部材の姿勢を所定の姿勢に維持することを特徴とするスイッチ機構。
【請求項6】
基部と基部から突出する操作部とを有する操作部材と、
前記操作部を突出した状態で前記基部を覆うスイッチ作動部材と、
前記基部の下部に設けた押圧部と前記スイッチ作動部材に設けた押圧部の位置のそれぞれに対向するようにスイッチを設けたフレキシブル回路基板とを具備し、
操作部材を直立位置にて下方向に押圧することでその押圧部がこれに対向する位置にあるスイッチをオンすると共に、操作部材を揺動することでこれと一体にスイッチ作動部材が揺動して下降した押圧部がこれに対向するスイッチをオンする多方向揺動型スイッチ機構において、
前記フレキシブル回路基板に連結部を介して可動部材取付部を設け、
前記可動部材取付部を前記連結部を介してフレキシブル回路基板の上面側に配置した状態でこの可動部材取付部に前記操作部材を取り付けると共に、可動部材取付部に設けた取付部を静止側部材に取り付けることにより、前記操作部材の姿勢を直立位置に維持することを特徴とする多方向揺動型スイッチ機構。
【請求項7】
前記可動部材取付部には、前記フレキシブル回路基板に接続される回路パターンを設け、この回路パターンに発光素子を接続して取り付けたことを特徴とする請求項6に記載の多方向揺動型スイッチ機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−140048(P2006−140048A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−329081(P2004−329081)
【出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【出願人】(000215833)帝国通信工業株式会社 (262)
【Fターム(参考)】