可撓性基板に蛇行層を有するデバイスの製造装置及び方法
第1の層及び第2の層を有し、第1の層が可撓性基板であり、第2の層が可撓性基板に被着された脆いITO導電ラインであるデバイス、例えばフレキシブルLCDが開示される。ITO層は、ほぼ平坦であり、このITO層は、可撓性基板を変形させたときにITO層の破断が阻止されるように可撓性基板の平面全体にわたり蛇行している。ITO層を幾つかの部分に細分するのがよく、これら細分された部分の長さは、可撓性基板を所定の曲率半径まで変形させた場合に破断しないよう選択されている。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
本願は、可撓性(フレキシブル)デバイスの分野に関し、特に、フレキシブル電子ディスプレイを含むフレキシブル電子デバイスに関するが、これには限定されない。特に、本願は、可撓性基板に被着された層の形態的(topographycal)構造に関し、この場合、この層の形態的構造により、この層は、従来の層よりも高い破断前歪度に耐えることができる。
【0002】
可撓性基板は、機能的健全性を維持しながら変形できる基板である。これら基板は、例えば、プラスチック、金属箔又は非常に薄いガラスで作られる場合があるが、一般に、これら基板は、弾性率が低く又は比較的薄手である。可撓性基板の開発により、電子デバイスの設計において自由度を大きくとることができ、かくして、多くの技術分野において従来実施できなかった電子機器の開発が可能である。一例は、フレキシブル電子ディスプレイの開発である。かかるフレキシブル電子ディスプレイは、現在入手できるリジッドな(剛性の)デバイスと比べて多くの利点がある。製造面で十分に安価であり、将来いつかは紙に取って代わるよう十分な可撓性及び耐久性を持つ湾曲した又は巻き上げ式のディスプレイの開発が可能である。
【0003】
フレキシブルディスプレイの製造上の制限は、可撓性基板が脆い材料の被膜を必要とする場合が多いということである。これら材料の1つの例は、液晶ディスプレイ(LCD)、例えばパッシブマトリクスLCDディスプレイに用いられるインジウム錫酸化物(ITO)電極である。LCDにITOを用いる一例は、米国特許第5,130,829号明細書に記載されている。例えばITOのような脆い物質は、或る限度を超えた歪を受けると破断し、かくして機能性を失う。亀裂がいったん脆い物質に生じると、この亀裂は一般に更に広がり、ついには物質を幾つかの部分に分割する。2つ以上の亀裂が層中に生じた場合、亀裂のこの伝搬の結果として、物質の「島」が生じる場合があり、かかる物質の島は、層が電気導体として用いられる場合、電気的に「浮動」状態になる。ITOは、その脆さのために、歪を受けると、亀裂を生じやすく又は層状に剥離しやすく、その結果その導電率が減少する。これにより、ディスプレイの性能が大幅に阻害される。
【0004】
国際公開第WO96/39707号パンフレットは、可撓性基板に使用できる電極を記載しており、この電極は、歪が大きくてもその導電率を比較的大幅に保持するよう設計されている。これを達成するため、第2の一層可撓性の導電材料の被膜が、比較的脆い電極材料と接触するよう被着される。したがって、脆い電極が歪を受けた状態に置かれ、従って亀裂を発生し始めても、第2のより可撓性の材料により導電性が維持される。
【0005】
この方式の欠点は、第2の物質が脆い電極材料よりも抵抗率が非常に高いということにある。可撓性又は柔軟性の増大の代償として、電極の抵抗が増大し、従ってこの方式は、良好な電極導電率が必要な場合、例えば、電子ディスプレイでは利用できない。
【0006】
国際公開第WO02/45160号パンフレットは、剛性の基板部分相互間のリンクとなる可撓性の金属コネクタを記載している。国際公開第WO02/45160号パンフレットに記載されている構造とほぼ同じ構造を持つコネクタ2を有する可撓性基板1の断面図が、図1に示されている。コネクタ2は、リッジ又は隆起部5により互いに接続された第1のトラフ3と第2のトラフ4により形成されている。第1及び第2のトラフの各々のベース3a,4a及び一方の側部3b,4bは、基板1と接触状態にある。しかしながら、第1及び第2のトラフの各々の他方の側部3c,4c並びにトラフ3,4を互いに接続している隆起部5は、基板1と接触状態にはない。
【0007】
コネクタ2の構造は、歪を受けたときにコンセルティーナ(concertina)のように撓むことができ、かくして従来のコネクタよりも大きな破断前歪に耐えることはできるようなものである。しかしながら、脆い物質についてこの特定の構造を用いることは、幾つかの理由で不適当である。第1に、結果的に得られる構造は、脆弱である。第2に、縦歪が脆い導体材料に加えられると、コネクタ2のコーナ部、例えば、隆起部5の左側コーナ部6に応力集中が生じ、材料が破断する。
【0008】
さらに、例えば国際公開第WO02/45160号パンフレットのコネクタは、隆起した橋渡し部分を有しており、かかるコネクタは、国際公開第WO02/45160号パンフレットに記載されているように、その製造には数回のフォトリソグラフィー工程を必要とする。例えば、一方法では、第1の工程は、フォトレジストの層を基板1の表面に被着させることである。次に、これにパターン付けして3つのブロック、即ち、コネクタ2の左側境界部をマーク付けするブロック7、右側境界部をマーク付けするブロック8及びコネクタ2の隆起部5を付形するために形成される最後のブロック9を後に残す。次の工程は、薄い電気めっきシード層、例えば銅被覆クロムを基板に被着させ、フォトレジスト7,8,9のブロック及び露出状態の基板を被覆する工程である。次に、コネクタ2がシード層上に電気めっきされる。最後の段階では、フォトレジストブロック7,8,9は除去される。
【0009】
図1のコネクタ2の製作に必要なこれらの工程は、フレキシブルデバイスの製造方法において時間及び費用を追加する。また、或る特定の用途に関し、隆起した構造を有する基板、例えば、国際公開第WO02/45160号パンフレットの手法を用いて形成されたITO層に必要な基板は、望ましくない。この一例は、LCDであり、かかるLCDの場合、基板の厚さを制限することは好ましい。
【0010】
本発明は、上述の問題を解決することを目的としている。本発明の第1の特徴によれば、第1の層及び第2の層を有するデバイスであって、第1の層は、可撓性であり、第2の層は、ほぼ平坦であって、第1の層を変形させたときの第2の層の破断が阻止されるよう第1の層の平面全体にわたり蛇行しているデバイスが提供される。
【0011】
第2の層の形状により、第2の層は、全体として比較的薄い構造が維持された上で従来型の非蛇行層よりも可撓性が高いものになることができる。また、平坦な第2の層は、上述した先行技術の構造よりも製作が容易である。
【0012】
第2の層は、第2の層のほぼ全長にわたり第1の層と接触状態にあるのがよい。
【0013】
第2の層は、複数個の相互に接続された部分から成るのがよい。
【0014】
試験結果の示すところによれば、歪を受けた可撓性基板上の機能層の縁部は、機能層の他の領域よりも歪を受ける度合いを低くすることができる。したがって、材料の単一の連続領域ではなく、相互に接続された部分を用いて形成される層は、より多くの縁部領域を有し、従って、歪を受けたときに層中の応力を減少させるという利点をもたらすことができる。これは、層を破断しにくくすることができ、しかも層の動作寿命を延ばすことができる。
【0015】
応力を受けた機能層の亀裂は一般に、層の縁部のところの小さな亀裂として始まる。次に、亀裂は、層全体にわたって広がるが、一般的に言えば、こうなるのに必要な層中の応力は比較的小さい。複数個の層に接続された部分から成る層は、層全体にわたる亀裂の伝搬を制限するという利点をもたらすことができる。したがって、これにより、機能層は、長きにわたりその動作性能を維持することができる。
【0016】
これら部分を互いに整列した組の状態に配置するのがよく、これら部分は、第2の層の第1の端部と第2の端部との間に連続した経路をもたらすよう互いに接続される。整列した組は、互いにずれているのがよい。
【0017】
これら部分を接続されているこれら部分よりも幅の狭い接続要素によって互いに接続するのがよい。これにより、破断の虞れが一段と最小限に抑えられる。というのは、或る1つの部分からその隣の部分への亀裂の経路の寸法を制限できるからである。また、接続部分の幅を狭くすることにより、構造体は、変形中、捩り運動に一層よく抵抗することができる。
【0018】
相互接続部分は、ほぼ四角形の部分又はほぼ六角形の部分から成るのがよい。
【0019】
相互接続部分を相互接続部分のアレイの状態に配置するのがよい。
【0020】
これら相互接続部分のうちの少なくとも1つを3つ以上の他の部分に接続するのがよい。このようにすることにより、これら部分相互間の接続具合に万全を期してたとえ接続部のうちの1つが破断しても、残りの2つの接続部により導電性を維持できるという利点が得られる。
【0021】
これら部分は各々、所定の長さを有し、これら部分の長さは、第1の層を所定の曲率半径まで変形させても破断が阻止されるよう選択されているのがよい。これら部分の長さは、所定の長さよりも短く選択されるのがよく、所定の長さは、所定の曲率半径まで変形させた連続層について生じる亀裂相互間の平均長さで決まる。
【0022】
これら部分の長さをこのように決定することにより、これら部分を、第1の層が所定の曲率まで変形しても、これら部分が亀裂を生じにくい又は層状に剥離しにくい長さのものであるように製作できる。
【0023】
本発明の第2の特徴によれば、第1の層及び第2の層を有するデバイスの製作方法であって、第1の層は、可撓性であり、第2の層は、ほぼ平坦であって、第1の層を変形させたときの第2の層の破断が阻止されるよう第1の層の平面全体にわたり蛇行しており、第2の層は、各々が長さを有する複数個の相互に接続された部分から成り、上記方法は、第1の層を所定の曲率半径まで変形させたときの破断が阻止されるよう上記部分の長さを選択する工程を有する方法が提供される。
【0024】
この方法は、所定曲率半径まで変形させたときの材料の連続層について生じる破断部相互間の間隔を求める工程と、前記部分の前記長さをこれが前記求めた間隔で決まる値であるように選択する工程とを更に有するのがよい。この方法は、破断部相互間の平均間隔を求める工程を有するのがよい。
【0025】
本発明の第3の特徴によれば、可撓性基板に被着された層を有するデバイスであって、層は、複数個の導電性の島を含み、島は各々、基板全体にわたり導電経路を形成するよう1つ以上の他の島に重複接続されているデバイスが提供される。
【0026】
島は、ほぼ六角形又はほぼ四角形の形状のものであるのがよい。
【0027】
本発明をよりよく理解するため、次に、本発明の実施形態を純粋に一例として、添付の図面を参照して説明する。
【0028】
図2を参照すると、フレキシブル液晶ディスプレイ(LCD)の構造の一部が平面図で示されている。これは、第1の層10及び第2の層11を有している。この例では、第2の層11は、インジウム錫酸化物(ITO)の層であり、これは、LCD中の導体ラインに用いられる脆い材料である。他の機能を備えた他の脆い層が、第2の層を形成する場合がある。ITO層11は、本明細書において長手方向と称する方向に第1の層10全体にわたって延び、その長さに沿って第1の層10によって支持された導体ラインを形成し、この第1の層は、この例では、ポリカーボネート基板である。ITO層11は、長手方向に整列した第1及び第2の組をなす矩形部分12,13を有し、一方の組は、他方の組から長手方向にずれている。これらの組は又、所定距離14だけ互いに間隔を置いて位置している。第1の組12の矩形部分の各々の各端部は、比較的幅の狭い接続部分15によって第2の組13の矩形部分の端部に接続されており、従って、ITO層11は、その長さに沿って導電性を持つようになっている。かくして、ITO層11は、蛇行した形状のものである。第1及び第2の組の矩形部分の長さ21は、300μmであり、その幅22は、100μmである。これは当然のことながら、用途に応じて様々であってよい。
【0029】
図3は、図2に示すLCDの部分の断面図である。基板10は、可撓性であり、特に、中央部分16は、両方向を指し示す矢印19によって示されているように、端部17,18に対して上下に動くことができる。このように、基板10は、或る特定の曲率半径rを呈するよう曲げることができる。
【0030】
図4は、歪を受けたときの図2及び図3のLCD部分の断面図である。基板10に歪を与えると、応力が、基板10に及ぼされ、この応力は、基板10の上面及び下面でその最大の状態にあり、上面は、ITO層11が被着されている表面である。端部17,18に対する中央部分16の運動方向に応じて、圧縮応力か引張応力かのいずれかが、基板10の上面に加えられることになる。これにより、脆いITO層11に歪が生じることになる。
【0031】
ITO層11の蛇行構造により、ITO層は、もしそのように構成していない場合の歪よりも高い破断前歪に耐えることができる。これにより、この層に「コンセルティーナのような」特性が与えられ、その結果、部分12,13が図2の矢印20で示すように長手方向に互いに対して動くことができ、それによりITO層11の長手方向長さを減少させ又は増大させ、かくしてITO層11は、大きな長手方向歪を吸収することができるようになっている。本明細書全体を通じて用いられる「長手方向歪」及び「長手方向長さ」という用語は、図示のように基板の端から端まで、例えば、図2に示す基板10の左側の端部17から右側の端部18までの歪及び距離をそれぞれ意味している。
【0032】
機能層11は、多くの脆い機能性被膜のうちの任意のもの、例えば、耐引掻性被膜、耐溶剤性被膜、耐ガス性被膜、導電性被膜、例えば、ポリマー導体ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)又は透明導電酸化物(TCO)であってよく、その一例は、インジウム錫酸化物(ITO)である。これら被膜は一般に、基板10に用いられる材料のヤング率よりも高い値のヤング率を有している。したがって、これら被膜は、基板10にとっては安定性を示すレベルの歪であってもこの歪がかかる被膜に加えられると、破断する虞れが多分にある。
【0033】
機能層11及び可撓性基板10の厚さは、特定の用途及び用いられる材質で決まる。LCDがITO電極層を備えた可撓性ポリカーボネート基板を有する場合、基板の厚さは、恐らくは0.1〜1mmのオーダーであり、ITO層の厚さは、50〜200nmである。
【0034】
機能層11は、例えば、真空蒸着、例えばスパッタリング又は蒸着を行い、次にフォトリソグラフィーによるパターン形成を行うことにより形成されたものであるのがよい。変形例として、印刷法、例えばインクジェット印刷、ソフトリソグラフィー法、例えばマイクロコンタクト印刷、フレキソ印刷又はスクリーン印刷を利用してもよい。機能層11を被着するこれら方法及び他の方法において実施される特定のプロセスは、当業者には明らかである。方法の選択及び選択した方法において実施されるプロセスは、機能層11に必要な材料そのもので決まることになる。
【0035】
図1のコネクタ2とは異なり、機能層11には隆起した形態的構造が存在しないということにより、これを製造する際に実施される工程は、同一の目的を持つより複雑な構造を製造するのに必要な工程と比較して、比較的簡単である。また、層の厚さを最小限に抑えられ、これは、基板の全体的厚さを極力抑えることが望ましいデバイスの製作において有利である。かかる例の1つは、LCDの製作である。
【0036】
図3に示すように、層11の結果的に得られた構造は、その長さに沿って基板10によって支持されている。この性質により、層11は、丈夫なものになる。
【0037】
機能層11の矩形部分12,13の長い方の側部の長さ21は、歪を受けたときの機能層11の性質に影響を及ぼすことになる。引張又は曲げ試験を受けている可撓性基板上のITOラインへの亀裂生成を分析すると、統計学的なパターンが現れる。可撓性基板の或る特定の曲率半径に関し、ITOラインは、例えば、ほぼ300μm間隔で垂直に亀裂を生じる場合がある。しかしながら、このように生じた300μm部分の各々は、この場合、安定性があり、基板がこれよりも小さな曲率半径まで更に変化を生じるまではそれ以上の亀裂を生じない。それ故、可撓性基板が曲げられて得られる各曲率半径に関し、安定性があり、従って亀裂を生じにくい長さのITOラインが存在する。
【0038】
図5は、特定の曲率半径への変形に続く可撓性基板24上における従来のITO層23の平面図である。理解できるように、亀裂25が、ITO層23の長さに沿ってところどころに生じている。これら亀裂相互間の平均距離は、基板24の曲率半径で決まる。基板24の或る特定の曲率半径rにおいて、亀裂相互間の距離(例えば、距離A,B,C)を測定するのがよい。次に、これら値の平均値を出すのがよい。曲率半径rまで曲げられたときの可撓性基板上の脆い層の連続部分が破断する虞れのある下限である限界長さは、この平均距離で決まることになる。実際には、連続部分の限界長さは、平均長さの最大3倍までであることが判明している。したがって、ITO層11の連続部分12,13の長さ21は、限界長さ以下に設定され、それによりITO層は、基板10が曲率半径rまで曲げられても破断しにくいようになっている。
【0039】
図6は、図2に示す機能層とほぼ同じ機能層27を有する可撓性基板26の平面図である。機能層27は、長手方向に整列した第1及び第2の組をなす本質的に半円形の部分28,29を有し、一方の組は、長手方向に他方の組からずれている。これらの組も又、或る距離だけ互いに間隔を置いて位置している。第1の組の半円形部分の各々の各端部は、比較的幅の狭い接続部分30により第2の組の半円形部分の端部に接続されており、その結果、ITO層27が、その長さに沿って導電性を持つようになっている。かくして、ITO層27は、図2の層11と同様に、蛇行形状を呈している。
【0040】
矩形部分12,13ではなく湾曲部分28,29を設けることにより、歪を受けた際の機能層27の性質が向上する。図2の機能層11は、隣り合う矩形部分の交点のところに大きな応力を生じる可能性が高く、それにより機能層11は、これらの箇所で破断する。図6の機能層27中の応力は、これが湾曲した地形学的形状のものなので、層27全体にわたってより一様に分布する。したがって、この形態的形状は、破断しにくい。
【0041】
半円形部分の長さ31は、一例においては、上述した限界長さ以下であるように設定され、それにより、起伏のある層27が、基板26を曲率半径rまで曲げたときでも破断しにくいようになっている。
【0042】
図2の機能層11と図6の機能層27の両方は、ITO層11,27の長手方向に垂直に延びる幅の狭い接続部分15,30をそれぞれ有している。これら接続部分は、これらの幅が上述の限界寸法よりもかなり小さく、それ故破断する虞れが非常に低いように幅が狭く作られている。これら接続部分15,30も又、機能層11,27に加わる歪に起因して、これらの端部が互いに異なる方向に回転すると、捩れる場合がある。また、これら接続部分の幅が狭いということにより、これら接続部分がかかる捩れの結果として破断する虞れが低くなる。代替的実施形態では、これよりも幅の広い接続部分を用いてもよい。例えば、図7は、基板32が機能層33を有し、接続部分が事実上、湾曲部分35と同一の幅34のものである実施形態を示している。湾曲部分35は、上述の限界寸法以下に設定された長さ36を有するのがよい。
【0043】
また、別の実施形態では、接続部分15,30と矩形部分12,13又は半円形部分28,29との間の接合部は、丸くなったコーナ部を有していて、それによりこれら接合部のコーナ部のところの力を一様に分布させるようになっている。また、接続部分15,30は、長手方向に垂直に設けられる形態には限定されず、長手方向に角度をなして、例えば45°の角度をなしていてもよい。
【0044】
起伏のある形状を備える機能層27,33を基板26,32に被着させる方法及び結果的に得られた層27,33の厚さは、上述したものとほぼ同じである。
【0045】
本願の開示内容を読むと、当業者であれば、他の変形例及び改造例を想到できよう。かかる変形例及び改造例は、フレキシブル電子デバイスの設計、製造及び用途において既に知られていて、本明細書において既に説明した特徴に代えて又はこれに加えて使用できる均等な特徴及び他の特徴を含む場合がある。
【0046】
特に、本発明は、LCDディスプレイ中の電極用途には限定されず、画素の積層体中の他の層、例えば、ゲート誘電体層及びパッシベーション層並びに幾つかの電極金属ラインにも利用できる。また、本発明は、LCDディスプレイ用途には限定されず、ポリカーボネート基板用途にも限定されない。本発明は、機能性被膜を備えた任意の可撓性基板にも利用できる。本発明は又、他の形式のディスプレイ、例えば、箔ディスプレイ、e−インクディスプレイ、例えば、電気泳動マイクロカプセルをポリエステル/インジウム錫酸化物シートに被着して形成された電子インク層を含むe−インクディスプレイ、O−LEDディスプレイ及び他のエレクトロルミネッセントディスプレイ並びにタッチスクリーン及び光電池にも利用できる。
【0047】
また、本発明に従って層11,17を形成する部分12,13,28,29の形状は、図示の矩形の形状及び半円形の形状とは異なっていてもよい。
【0048】
これらの層は、3つ以上の互いに整列した組をなすかかる部分から成っていてもよく、各組は、他の組からずれていると共に(或いは)間隔を置いて位置する。例えば、図8は、基板37がアレイ状に配置された矩形部分39から成る機能層38で覆われた本発明のかかる一実施形態を平面図で示している。この例では、層38は、アクティブマトリクス(AM)LCDディスプレイのカウンタ電極又はコモン電極を形成するITOの層であり、基板37は、プラスチック箔基板である。各矩形部分39は、最高4つまでの接続部分40により周囲部分に接続されている。周囲の又は隣接の矩形部分39に対して3つ以上の接続部分40を設けることにより、万全が期されて、たとえ1つの接続部分40が破断しても、残りの接続部分40により層38に導電性を継続できるようになっている。
【0049】
部分39を用いて層を形成することは、層中の亀裂の伝搬を制限するという利点がある。例えば、図8に示すように層の左下の部分42に生じた亀裂41は、ギャップ45がITO層38中に存在するので、周囲の部分43,44に伝搬する虞れは低い。かかる部分を用いた場合のもう1つの利点は、層、例えば図示のITO層38中の応力が層の縁部のところでは減少するということにある。したがって、多数の部分39を設けることにより、層38中の全体的な応力が減少する。
【0050】
開口損失及びモアレ効果により引き起こされるLCDディスプレイの画像品質の劣化は、部分39のサイズをLCDディスプレイの画素サイズ(これは、この例では、長さが約300μmである)よりも非常に小さくすると共にAMLCDのバックプレーンとは異なる対称性を持つ部分の配置形態を用いることにより回避できる。この例では、矩形部分39の長さ46と幅47の両方は、上述の限界長さ以下に設定するのがよい。したがって、この層39は、図8に矢印48で示す長手方向か長手方向に垂直な方向かのいずれかの方向において歪がこの層に加えられたときでも破断する虞れが低い。
【0051】
図9は、基板55が、アレイの状態に形成された複数の互いに整列した組をなす六角形部分57から成る機能層56で被覆された本発明の別の実施形態の平面図である。各六角形部分57は、最高3つまでの接続部分58により他の部分57に接続されている。上述した機能層の形成とほぼ同じ仕方で、図9の例における層56の部分57は、基板55全体にわたって蛇行している。
【0052】
互いに接続された六角形部分57から成る層56は、連続層ではなく幾つかの部分を用いたこと及び隣り合う六角形部分57相互間に3つ以上の接続部分58を設けることにより万全を期したことと関連した上述の利点を有する。
【0053】
この例では、六角形部分57の互いに平行な辺相互間の3つの距離58,59,60の各々又はこれらのうちどれか1つを、上述の限界長さ以下に設定するのがよい。したがって、この層56は、ほぼ任意の方向において歪がこの層に加えられても破断する虞れが低い。
【0054】
図10は、基板61が、アレイの状態に形成された複数の組をなす正方形部分63から成る機能層62で被覆された本発明の別の実施形態の平面図である。各正方形部分63は、最高4つまでの接続部分64により他の部分63に接続されている。上述した機能層の形成とほぼ同じ仕方で、図10の例における層62は、基板61全体にわたって蛇行している。
【0055】
互いに接続された正方形部分63から成る層62は、連続層ではなく幾つかの部分を用いたこと及び隣り合う正方形部分63相互間に3つ以上の接続部分64を設けることにより万全を期したことと関連した上述の利点を有する。
【0056】
この例では、正方形部分63の長さ65と幅66の両方を、上述した限界長さ以下であるように設定するのがよい。したがって、この層62は、歪がこの層に加えられても破断する虞れが低い。
【0057】
図11は、基板70が、アレイの状態に形成された複数の互いに整列した組をなす四角形部分72から成る機能層71で被覆された本発明の別の実施形態の平面図である。一例においては、これら四角形部分のうちの幾つかは、正方形であり、幾つかはダイヤモンドの形をしていてもよい。この配置形態は、上述の例のように対称のアレイを形成しているわけではなく、かくして、層71の機械的性質を向上させると共に歪を種々の方向で受けたときの層71の系統的な破断の虞れを減少させている。各四角形部分72は、最高4つまでの接続部分73により他の部分72に接続されている。上述した機能層の形成とほぼ同じ仕方で、図11の例における層71は、基板70全体にわたって蛇行している。
【0058】
互いに接続された四角形部分72から成る層71は、連続層ではなく幾つかの部分を用いたこと及び隣り合う四角形部分72相互間に3つ以上の接続部分73を設けることにより万全を期したことと関連した上述の利点を有する。
【0059】
この例では、四角形部分72の寸法、例えば、正方形部分76の長さ74及び幅75を、上述の限界長さ以下に設定するのがよい。したがって、この層71は、歪がこの層に加えられても破断する虞れが低い。
【0060】
別の実施形態では、このような部分を第2の層が非対称であるようにランダムに分布してもよく、このことは、層内における系統的破断の伝搬の回避を助ける場合がある。図12は、ランダムに分布して設けられた相互接続部分82から成る機能層81を有する基板80の平面図である。
【0061】
図8〜図12に示す機能層を、上述した方法とほぼ同じ方法を用いて基板に被着させることができる。
【0062】
また、これら部分は、基板上に位置決めされてもよく、又、基板上におけるLCD画素の位置に従って決定される寸法を有するのがよい。可撓性基板83上におけるアクティブマトリクスディスプレイ用の電極に関する線で示した幾何学的形状の例が、図13に示されている。電極84が、第1の画素85の左側を通り、第2の画素86の右側を通り、次に第3の画素87の左側を通っている。電極84の蛇行周期は、画素相互間の間隔により定められる。代替実施形態では、電極84は、2つ以上の画素の一方の側を通り、次に画素の他方の側に切り替わり、従って、画素相互間の間隔の整数倍である周期が得られる。不規則な電極蛇行状態も又、使用でき、例えば、かかる電極は、第1の側で画素1つ分を通り、第2の側で画素3つ分を通り、そして第1の側で画素2つ分を通る等である。当業者であれば、多くの他の配置形態を想到できよう。
【0063】
ポリマー導体、例えば、ITOに優れた機械的性質をもたらす導電材料であるポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)の比較的薄い層を上述の機能層のうちのいずれかの頂部に被着させると、層の耐久性を向上させることができるが、このようにするかどうかは任意である。変形例として、機能層それ自体が、ポリマー導体、例えばPEDOTのものであってよい。
【0064】
本願において、特許請求の範囲は、特徴の特定の組合せに合わせて作成されているが、本発明の開示の範囲は、明示によるか暗黙によるかのいずれにせよ本明細書に開示した新規な特徴又は新規な特徴の組合せ又はその一般化がいずれかの請求項に現時点においてクレーム記載されているのと同一の発明に関するにせよそうでないにせよ、そしてその一般化が本発明によって解決されるのと同じ技術的課題のうちの任意のもの又は全てを解決するにせよそうでないにせよ、いずれにせよ、かかる一般化をも含むことは理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】可撓性基板に取り付けられた先行技術のコネクタの断面図である。
【図2】本発明の可撓性基板に被着された蛇行層の平面図である。
【図3】可撓性基板に被着された機能層の断面図である。
【図4】可撓性基板に被着されていて、歪を受けた状態の機能層の断面図である。
【図5】可撓性基板に被着されていて、曲げを受けた状態の従来型ITO層の平面図である。
【図6】本発明の可撓性基板に被着された起伏部を有する層の平面図である。
【図7】本発明の可撓性基板に被着された起伏のある層の平面図である。
【図8】本発明の可撓性基板に被着された矩形部分のアレイを有する層の平面図である。
【図9】本発明に従って相互に接続された六角形部分のアレイを有する層の平面図である。
【図10】本発明に従って相互に接続された矩形部分のアレイを有する層の平面図である。
【図11】本発明に従って相互に接続された四角形部分のアレイを有する層の平面図である。
【図12】本発明の別の特徴としての可撓性基板に被着されたランダムに分布された部分を有する層の平面図である。
【図13】本発明のアクティブマトリクス液晶ディスプレイ装置用の電極に関する線で示した幾何学的形状の平面図である。
【開示の内容】
【0001】
本願は、可撓性(フレキシブル)デバイスの分野に関し、特に、フレキシブル電子ディスプレイを含むフレキシブル電子デバイスに関するが、これには限定されない。特に、本願は、可撓性基板に被着された層の形態的(topographycal)構造に関し、この場合、この層の形態的構造により、この層は、従来の層よりも高い破断前歪度に耐えることができる。
【0002】
可撓性基板は、機能的健全性を維持しながら変形できる基板である。これら基板は、例えば、プラスチック、金属箔又は非常に薄いガラスで作られる場合があるが、一般に、これら基板は、弾性率が低く又は比較的薄手である。可撓性基板の開発により、電子デバイスの設計において自由度を大きくとることができ、かくして、多くの技術分野において従来実施できなかった電子機器の開発が可能である。一例は、フレキシブル電子ディスプレイの開発である。かかるフレキシブル電子ディスプレイは、現在入手できるリジッドな(剛性の)デバイスと比べて多くの利点がある。製造面で十分に安価であり、将来いつかは紙に取って代わるよう十分な可撓性及び耐久性を持つ湾曲した又は巻き上げ式のディスプレイの開発が可能である。
【0003】
フレキシブルディスプレイの製造上の制限は、可撓性基板が脆い材料の被膜を必要とする場合が多いということである。これら材料の1つの例は、液晶ディスプレイ(LCD)、例えばパッシブマトリクスLCDディスプレイに用いられるインジウム錫酸化物(ITO)電極である。LCDにITOを用いる一例は、米国特許第5,130,829号明細書に記載されている。例えばITOのような脆い物質は、或る限度を超えた歪を受けると破断し、かくして機能性を失う。亀裂がいったん脆い物質に生じると、この亀裂は一般に更に広がり、ついには物質を幾つかの部分に分割する。2つ以上の亀裂が層中に生じた場合、亀裂のこの伝搬の結果として、物質の「島」が生じる場合があり、かかる物質の島は、層が電気導体として用いられる場合、電気的に「浮動」状態になる。ITOは、その脆さのために、歪を受けると、亀裂を生じやすく又は層状に剥離しやすく、その結果その導電率が減少する。これにより、ディスプレイの性能が大幅に阻害される。
【0004】
国際公開第WO96/39707号パンフレットは、可撓性基板に使用できる電極を記載しており、この電極は、歪が大きくてもその導電率を比較的大幅に保持するよう設計されている。これを達成するため、第2の一層可撓性の導電材料の被膜が、比較的脆い電極材料と接触するよう被着される。したがって、脆い電極が歪を受けた状態に置かれ、従って亀裂を発生し始めても、第2のより可撓性の材料により導電性が維持される。
【0005】
この方式の欠点は、第2の物質が脆い電極材料よりも抵抗率が非常に高いということにある。可撓性又は柔軟性の増大の代償として、電極の抵抗が増大し、従ってこの方式は、良好な電極導電率が必要な場合、例えば、電子ディスプレイでは利用できない。
【0006】
国際公開第WO02/45160号パンフレットは、剛性の基板部分相互間のリンクとなる可撓性の金属コネクタを記載している。国際公開第WO02/45160号パンフレットに記載されている構造とほぼ同じ構造を持つコネクタ2を有する可撓性基板1の断面図が、図1に示されている。コネクタ2は、リッジ又は隆起部5により互いに接続された第1のトラフ3と第2のトラフ4により形成されている。第1及び第2のトラフの各々のベース3a,4a及び一方の側部3b,4bは、基板1と接触状態にある。しかしながら、第1及び第2のトラフの各々の他方の側部3c,4c並びにトラフ3,4を互いに接続している隆起部5は、基板1と接触状態にはない。
【0007】
コネクタ2の構造は、歪を受けたときにコンセルティーナ(concertina)のように撓むことができ、かくして従来のコネクタよりも大きな破断前歪に耐えることはできるようなものである。しかしながら、脆い物質についてこの特定の構造を用いることは、幾つかの理由で不適当である。第1に、結果的に得られる構造は、脆弱である。第2に、縦歪が脆い導体材料に加えられると、コネクタ2のコーナ部、例えば、隆起部5の左側コーナ部6に応力集中が生じ、材料が破断する。
【0008】
さらに、例えば国際公開第WO02/45160号パンフレットのコネクタは、隆起した橋渡し部分を有しており、かかるコネクタは、国際公開第WO02/45160号パンフレットに記載されているように、その製造には数回のフォトリソグラフィー工程を必要とする。例えば、一方法では、第1の工程は、フォトレジストの層を基板1の表面に被着させることである。次に、これにパターン付けして3つのブロック、即ち、コネクタ2の左側境界部をマーク付けするブロック7、右側境界部をマーク付けするブロック8及びコネクタ2の隆起部5を付形するために形成される最後のブロック9を後に残す。次の工程は、薄い電気めっきシード層、例えば銅被覆クロムを基板に被着させ、フォトレジスト7,8,9のブロック及び露出状態の基板を被覆する工程である。次に、コネクタ2がシード層上に電気めっきされる。最後の段階では、フォトレジストブロック7,8,9は除去される。
【0009】
図1のコネクタ2の製作に必要なこれらの工程は、フレキシブルデバイスの製造方法において時間及び費用を追加する。また、或る特定の用途に関し、隆起した構造を有する基板、例えば、国際公開第WO02/45160号パンフレットの手法を用いて形成されたITO層に必要な基板は、望ましくない。この一例は、LCDであり、かかるLCDの場合、基板の厚さを制限することは好ましい。
【0010】
本発明は、上述の問題を解決することを目的としている。本発明の第1の特徴によれば、第1の層及び第2の層を有するデバイスであって、第1の層は、可撓性であり、第2の層は、ほぼ平坦であって、第1の層を変形させたときの第2の層の破断が阻止されるよう第1の層の平面全体にわたり蛇行しているデバイスが提供される。
【0011】
第2の層の形状により、第2の層は、全体として比較的薄い構造が維持された上で従来型の非蛇行層よりも可撓性が高いものになることができる。また、平坦な第2の層は、上述した先行技術の構造よりも製作が容易である。
【0012】
第2の層は、第2の層のほぼ全長にわたり第1の層と接触状態にあるのがよい。
【0013】
第2の層は、複数個の相互に接続された部分から成るのがよい。
【0014】
試験結果の示すところによれば、歪を受けた可撓性基板上の機能層の縁部は、機能層の他の領域よりも歪を受ける度合いを低くすることができる。したがって、材料の単一の連続領域ではなく、相互に接続された部分を用いて形成される層は、より多くの縁部領域を有し、従って、歪を受けたときに層中の応力を減少させるという利点をもたらすことができる。これは、層を破断しにくくすることができ、しかも層の動作寿命を延ばすことができる。
【0015】
応力を受けた機能層の亀裂は一般に、層の縁部のところの小さな亀裂として始まる。次に、亀裂は、層全体にわたって広がるが、一般的に言えば、こうなるのに必要な層中の応力は比較的小さい。複数個の層に接続された部分から成る層は、層全体にわたる亀裂の伝搬を制限するという利点をもたらすことができる。したがって、これにより、機能層は、長きにわたりその動作性能を維持することができる。
【0016】
これら部分を互いに整列した組の状態に配置するのがよく、これら部分は、第2の層の第1の端部と第2の端部との間に連続した経路をもたらすよう互いに接続される。整列した組は、互いにずれているのがよい。
【0017】
これら部分を接続されているこれら部分よりも幅の狭い接続要素によって互いに接続するのがよい。これにより、破断の虞れが一段と最小限に抑えられる。というのは、或る1つの部分からその隣の部分への亀裂の経路の寸法を制限できるからである。また、接続部分の幅を狭くすることにより、構造体は、変形中、捩り運動に一層よく抵抗することができる。
【0018】
相互接続部分は、ほぼ四角形の部分又はほぼ六角形の部分から成るのがよい。
【0019】
相互接続部分を相互接続部分のアレイの状態に配置するのがよい。
【0020】
これら相互接続部分のうちの少なくとも1つを3つ以上の他の部分に接続するのがよい。このようにすることにより、これら部分相互間の接続具合に万全を期してたとえ接続部のうちの1つが破断しても、残りの2つの接続部により導電性を維持できるという利点が得られる。
【0021】
これら部分は各々、所定の長さを有し、これら部分の長さは、第1の層を所定の曲率半径まで変形させても破断が阻止されるよう選択されているのがよい。これら部分の長さは、所定の長さよりも短く選択されるのがよく、所定の長さは、所定の曲率半径まで変形させた連続層について生じる亀裂相互間の平均長さで決まる。
【0022】
これら部分の長さをこのように決定することにより、これら部分を、第1の層が所定の曲率まで変形しても、これら部分が亀裂を生じにくい又は層状に剥離しにくい長さのものであるように製作できる。
【0023】
本発明の第2の特徴によれば、第1の層及び第2の層を有するデバイスの製作方法であって、第1の層は、可撓性であり、第2の層は、ほぼ平坦であって、第1の層を変形させたときの第2の層の破断が阻止されるよう第1の層の平面全体にわたり蛇行しており、第2の層は、各々が長さを有する複数個の相互に接続された部分から成り、上記方法は、第1の層を所定の曲率半径まで変形させたときの破断が阻止されるよう上記部分の長さを選択する工程を有する方法が提供される。
【0024】
この方法は、所定曲率半径まで変形させたときの材料の連続層について生じる破断部相互間の間隔を求める工程と、前記部分の前記長さをこれが前記求めた間隔で決まる値であるように選択する工程とを更に有するのがよい。この方法は、破断部相互間の平均間隔を求める工程を有するのがよい。
【0025】
本発明の第3の特徴によれば、可撓性基板に被着された層を有するデバイスであって、層は、複数個の導電性の島を含み、島は各々、基板全体にわたり導電経路を形成するよう1つ以上の他の島に重複接続されているデバイスが提供される。
【0026】
島は、ほぼ六角形又はほぼ四角形の形状のものであるのがよい。
【0027】
本発明をよりよく理解するため、次に、本発明の実施形態を純粋に一例として、添付の図面を参照して説明する。
【0028】
図2を参照すると、フレキシブル液晶ディスプレイ(LCD)の構造の一部が平面図で示されている。これは、第1の層10及び第2の層11を有している。この例では、第2の層11は、インジウム錫酸化物(ITO)の層であり、これは、LCD中の導体ラインに用いられる脆い材料である。他の機能を備えた他の脆い層が、第2の層を形成する場合がある。ITO層11は、本明細書において長手方向と称する方向に第1の層10全体にわたって延び、その長さに沿って第1の層10によって支持された導体ラインを形成し、この第1の層は、この例では、ポリカーボネート基板である。ITO層11は、長手方向に整列した第1及び第2の組をなす矩形部分12,13を有し、一方の組は、他方の組から長手方向にずれている。これらの組は又、所定距離14だけ互いに間隔を置いて位置している。第1の組12の矩形部分の各々の各端部は、比較的幅の狭い接続部分15によって第2の組13の矩形部分の端部に接続されており、従って、ITO層11は、その長さに沿って導電性を持つようになっている。かくして、ITO層11は、蛇行した形状のものである。第1及び第2の組の矩形部分の長さ21は、300μmであり、その幅22は、100μmである。これは当然のことながら、用途に応じて様々であってよい。
【0029】
図3は、図2に示すLCDの部分の断面図である。基板10は、可撓性であり、特に、中央部分16は、両方向を指し示す矢印19によって示されているように、端部17,18に対して上下に動くことができる。このように、基板10は、或る特定の曲率半径rを呈するよう曲げることができる。
【0030】
図4は、歪を受けたときの図2及び図3のLCD部分の断面図である。基板10に歪を与えると、応力が、基板10に及ぼされ、この応力は、基板10の上面及び下面でその最大の状態にあり、上面は、ITO層11が被着されている表面である。端部17,18に対する中央部分16の運動方向に応じて、圧縮応力か引張応力かのいずれかが、基板10の上面に加えられることになる。これにより、脆いITO層11に歪が生じることになる。
【0031】
ITO層11の蛇行構造により、ITO層は、もしそのように構成していない場合の歪よりも高い破断前歪に耐えることができる。これにより、この層に「コンセルティーナのような」特性が与えられ、その結果、部分12,13が図2の矢印20で示すように長手方向に互いに対して動くことができ、それによりITO層11の長手方向長さを減少させ又は増大させ、かくしてITO層11は、大きな長手方向歪を吸収することができるようになっている。本明細書全体を通じて用いられる「長手方向歪」及び「長手方向長さ」という用語は、図示のように基板の端から端まで、例えば、図2に示す基板10の左側の端部17から右側の端部18までの歪及び距離をそれぞれ意味している。
【0032】
機能層11は、多くの脆い機能性被膜のうちの任意のもの、例えば、耐引掻性被膜、耐溶剤性被膜、耐ガス性被膜、導電性被膜、例えば、ポリマー導体ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)又は透明導電酸化物(TCO)であってよく、その一例は、インジウム錫酸化物(ITO)である。これら被膜は一般に、基板10に用いられる材料のヤング率よりも高い値のヤング率を有している。したがって、これら被膜は、基板10にとっては安定性を示すレベルの歪であってもこの歪がかかる被膜に加えられると、破断する虞れが多分にある。
【0033】
機能層11及び可撓性基板10の厚さは、特定の用途及び用いられる材質で決まる。LCDがITO電極層を備えた可撓性ポリカーボネート基板を有する場合、基板の厚さは、恐らくは0.1〜1mmのオーダーであり、ITO層の厚さは、50〜200nmである。
【0034】
機能層11は、例えば、真空蒸着、例えばスパッタリング又は蒸着を行い、次にフォトリソグラフィーによるパターン形成を行うことにより形成されたものであるのがよい。変形例として、印刷法、例えばインクジェット印刷、ソフトリソグラフィー法、例えばマイクロコンタクト印刷、フレキソ印刷又はスクリーン印刷を利用してもよい。機能層11を被着するこれら方法及び他の方法において実施される特定のプロセスは、当業者には明らかである。方法の選択及び選択した方法において実施されるプロセスは、機能層11に必要な材料そのもので決まることになる。
【0035】
図1のコネクタ2とは異なり、機能層11には隆起した形態的構造が存在しないということにより、これを製造する際に実施される工程は、同一の目的を持つより複雑な構造を製造するのに必要な工程と比較して、比較的簡単である。また、層の厚さを最小限に抑えられ、これは、基板の全体的厚さを極力抑えることが望ましいデバイスの製作において有利である。かかる例の1つは、LCDの製作である。
【0036】
図3に示すように、層11の結果的に得られた構造は、その長さに沿って基板10によって支持されている。この性質により、層11は、丈夫なものになる。
【0037】
機能層11の矩形部分12,13の長い方の側部の長さ21は、歪を受けたときの機能層11の性質に影響を及ぼすことになる。引張又は曲げ試験を受けている可撓性基板上のITOラインへの亀裂生成を分析すると、統計学的なパターンが現れる。可撓性基板の或る特定の曲率半径に関し、ITOラインは、例えば、ほぼ300μm間隔で垂直に亀裂を生じる場合がある。しかしながら、このように生じた300μm部分の各々は、この場合、安定性があり、基板がこれよりも小さな曲率半径まで更に変化を生じるまではそれ以上の亀裂を生じない。それ故、可撓性基板が曲げられて得られる各曲率半径に関し、安定性があり、従って亀裂を生じにくい長さのITOラインが存在する。
【0038】
図5は、特定の曲率半径への変形に続く可撓性基板24上における従来のITO層23の平面図である。理解できるように、亀裂25が、ITO層23の長さに沿ってところどころに生じている。これら亀裂相互間の平均距離は、基板24の曲率半径で決まる。基板24の或る特定の曲率半径rにおいて、亀裂相互間の距離(例えば、距離A,B,C)を測定するのがよい。次に、これら値の平均値を出すのがよい。曲率半径rまで曲げられたときの可撓性基板上の脆い層の連続部分が破断する虞れのある下限である限界長さは、この平均距離で決まることになる。実際には、連続部分の限界長さは、平均長さの最大3倍までであることが判明している。したがって、ITO層11の連続部分12,13の長さ21は、限界長さ以下に設定され、それによりITO層は、基板10が曲率半径rまで曲げられても破断しにくいようになっている。
【0039】
図6は、図2に示す機能層とほぼ同じ機能層27を有する可撓性基板26の平面図である。機能層27は、長手方向に整列した第1及び第2の組をなす本質的に半円形の部分28,29を有し、一方の組は、長手方向に他方の組からずれている。これらの組も又、或る距離だけ互いに間隔を置いて位置している。第1の組の半円形部分の各々の各端部は、比較的幅の狭い接続部分30により第2の組の半円形部分の端部に接続されており、その結果、ITO層27が、その長さに沿って導電性を持つようになっている。かくして、ITO層27は、図2の層11と同様に、蛇行形状を呈している。
【0040】
矩形部分12,13ではなく湾曲部分28,29を設けることにより、歪を受けた際の機能層27の性質が向上する。図2の機能層11は、隣り合う矩形部分の交点のところに大きな応力を生じる可能性が高く、それにより機能層11は、これらの箇所で破断する。図6の機能層27中の応力は、これが湾曲した地形学的形状のものなので、層27全体にわたってより一様に分布する。したがって、この形態的形状は、破断しにくい。
【0041】
半円形部分の長さ31は、一例においては、上述した限界長さ以下であるように設定され、それにより、起伏のある層27が、基板26を曲率半径rまで曲げたときでも破断しにくいようになっている。
【0042】
図2の機能層11と図6の機能層27の両方は、ITO層11,27の長手方向に垂直に延びる幅の狭い接続部分15,30をそれぞれ有している。これら接続部分は、これらの幅が上述の限界寸法よりもかなり小さく、それ故破断する虞れが非常に低いように幅が狭く作られている。これら接続部分15,30も又、機能層11,27に加わる歪に起因して、これらの端部が互いに異なる方向に回転すると、捩れる場合がある。また、これら接続部分の幅が狭いということにより、これら接続部分がかかる捩れの結果として破断する虞れが低くなる。代替的実施形態では、これよりも幅の広い接続部分を用いてもよい。例えば、図7は、基板32が機能層33を有し、接続部分が事実上、湾曲部分35と同一の幅34のものである実施形態を示している。湾曲部分35は、上述の限界寸法以下に設定された長さ36を有するのがよい。
【0043】
また、別の実施形態では、接続部分15,30と矩形部分12,13又は半円形部分28,29との間の接合部は、丸くなったコーナ部を有していて、それによりこれら接合部のコーナ部のところの力を一様に分布させるようになっている。また、接続部分15,30は、長手方向に垂直に設けられる形態には限定されず、長手方向に角度をなして、例えば45°の角度をなしていてもよい。
【0044】
起伏のある形状を備える機能層27,33を基板26,32に被着させる方法及び結果的に得られた層27,33の厚さは、上述したものとほぼ同じである。
【0045】
本願の開示内容を読むと、当業者であれば、他の変形例及び改造例を想到できよう。かかる変形例及び改造例は、フレキシブル電子デバイスの設計、製造及び用途において既に知られていて、本明細書において既に説明した特徴に代えて又はこれに加えて使用できる均等な特徴及び他の特徴を含む場合がある。
【0046】
特に、本発明は、LCDディスプレイ中の電極用途には限定されず、画素の積層体中の他の層、例えば、ゲート誘電体層及びパッシベーション層並びに幾つかの電極金属ラインにも利用できる。また、本発明は、LCDディスプレイ用途には限定されず、ポリカーボネート基板用途にも限定されない。本発明は、機能性被膜を備えた任意の可撓性基板にも利用できる。本発明は又、他の形式のディスプレイ、例えば、箔ディスプレイ、e−インクディスプレイ、例えば、電気泳動マイクロカプセルをポリエステル/インジウム錫酸化物シートに被着して形成された電子インク層を含むe−インクディスプレイ、O−LEDディスプレイ及び他のエレクトロルミネッセントディスプレイ並びにタッチスクリーン及び光電池にも利用できる。
【0047】
また、本発明に従って層11,17を形成する部分12,13,28,29の形状は、図示の矩形の形状及び半円形の形状とは異なっていてもよい。
【0048】
これらの層は、3つ以上の互いに整列した組をなすかかる部分から成っていてもよく、各組は、他の組からずれていると共に(或いは)間隔を置いて位置する。例えば、図8は、基板37がアレイ状に配置された矩形部分39から成る機能層38で覆われた本発明のかかる一実施形態を平面図で示している。この例では、層38は、アクティブマトリクス(AM)LCDディスプレイのカウンタ電極又はコモン電極を形成するITOの層であり、基板37は、プラスチック箔基板である。各矩形部分39は、最高4つまでの接続部分40により周囲部分に接続されている。周囲の又は隣接の矩形部分39に対して3つ以上の接続部分40を設けることにより、万全が期されて、たとえ1つの接続部分40が破断しても、残りの接続部分40により層38に導電性を継続できるようになっている。
【0049】
部分39を用いて層を形成することは、層中の亀裂の伝搬を制限するという利点がある。例えば、図8に示すように層の左下の部分42に生じた亀裂41は、ギャップ45がITO層38中に存在するので、周囲の部分43,44に伝搬する虞れは低い。かかる部分を用いた場合のもう1つの利点は、層、例えば図示のITO層38中の応力が層の縁部のところでは減少するということにある。したがって、多数の部分39を設けることにより、層38中の全体的な応力が減少する。
【0050】
開口損失及びモアレ効果により引き起こされるLCDディスプレイの画像品質の劣化は、部分39のサイズをLCDディスプレイの画素サイズ(これは、この例では、長さが約300μmである)よりも非常に小さくすると共にAMLCDのバックプレーンとは異なる対称性を持つ部分の配置形態を用いることにより回避できる。この例では、矩形部分39の長さ46と幅47の両方は、上述の限界長さ以下に設定するのがよい。したがって、この層39は、図8に矢印48で示す長手方向か長手方向に垂直な方向かのいずれかの方向において歪がこの層に加えられたときでも破断する虞れが低い。
【0051】
図9は、基板55が、アレイの状態に形成された複数の互いに整列した組をなす六角形部分57から成る機能層56で被覆された本発明の別の実施形態の平面図である。各六角形部分57は、最高3つまでの接続部分58により他の部分57に接続されている。上述した機能層の形成とほぼ同じ仕方で、図9の例における層56の部分57は、基板55全体にわたって蛇行している。
【0052】
互いに接続された六角形部分57から成る層56は、連続層ではなく幾つかの部分を用いたこと及び隣り合う六角形部分57相互間に3つ以上の接続部分58を設けることにより万全を期したことと関連した上述の利点を有する。
【0053】
この例では、六角形部分57の互いに平行な辺相互間の3つの距離58,59,60の各々又はこれらのうちどれか1つを、上述の限界長さ以下に設定するのがよい。したがって、この層56は、ほぼ任意の方向において歪がこの層に加えられても破断する虞れが低い。
【0054】
図10は、基板61が、アレイの状態に形成された複数の組をなす正方形部分63から成る機能層62で被覆された本発明の別の実施形態の平面図である。各正方形部分63は、最高4つまでの接続部分64により他の部分63に接続されている。上述した機能層の形成とほぼ同じ仕方で、図10の例における層62は、基板61全体にわたって蛇行している。
【0055】
互いに接続された正方形部分63から成る層62は、連続層ではなく幾つかの部分を用いたこと及び隣り合う正方形部分63相互間に3つ以上の接続部分64を設けることにより万全を期したことと関連した上述の利点を有する。
【0056】
この例では、正方形部分63の長さ65と幅66の両方を、上述した限界長さ以下であるように設定するのがよい。したがって、この層62は、歪がこの層に加えられても破断する虞れが低い。
【0057】
図11は、基板70が、アレイの状態に形成された複数の互いに整列した組をなす四角形部分72から成る機能層71で被覆された本発明の別の実施形態の平面図である。一例においては、これら四角形部分のうちの幾つかは、正方形であり、幾つかはダイヤモンドの形をしていてもよい。この配置形態は、上述の例のように対称のアレイを形成しているわけではなく、かくして、層71の機械的性質を向上させると共に歪を種々の方向で受けたときの層71の系統的な破断の虞れを減少させている。各四角形部分72は、最高4つまでの接続部分73により他の部分72に接続されている。上述した機能層の形成とほぼ同じ仕方で、図11の例における層71は、基板70全体にわたって蛇行している。
【0058】
互いに接続された四角形部分72から成る層71は、連続層ではなく幾つかの部分を用いたこと及び隣り合う四角形部分72相互間に3つ以上の接続部分73を設けることにより万全を期したことと関連した上述の利点を有する。
【0059】
この例では、四角形部分72の寸法、例えば、正方形部分76の長さ74及び幅75を、上述の限界長さ以下に設定するのがよい。したがって、この層71は、歪がこの層に加えられても破断する虞れが低い。
【0060】
別の実施形態では、このような部分を第2の層が非対称であるようにランダムに分布してもよく、このことは、層内における系統的破断の伝搬の回避を助ける場合がある。図12は、ランダムに分布して設けられた相互接続部分82から成る機能層81を有する基板80の平面図である。
【0061】
図8〜図12に示す機能層を、上述した方法とほぼ同じ方法を用いて基板に被着させることができる。
【0062】
また、これら部分は、基板上に位置決めされてもよく、又、基板上におけるLCD画素の位置に従って決定される寸法を有するのがよい。可撓性基板83上におけるアクティブマトリクスディスプレイ用の電極に関する線で示した幾何学的形状の例が、図13に示されている。電極84が、第1の画素85の左側を通り、第2の画素86の右側を通り、次に第3の画素87の左側を通っている。電極84の蛇行周期は、画素相互間の間隔により定められる。代替実施形態では、電極84は、2つ以上の画素の一方の側を通り、次に画素の他方の側に切り替わり、従って、画素相互間の間隔の整数倍である周期が得られる。不規則な電極蛇行状態も又、使用でき、例えば、かかる電極は、第1の側で画素1つ分を通り、第2の側で画素3つ分を通り、そして第1の側で画素2つ分を通る等である。当業者であれば、多くの他の配置形態を想到できよう。
【0063】
ポリマー導体、例えば、ITOに優れた機械的性質をもたらす導電材料であるポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン(PEDOT)の比較的薄い層を上述の機能層のうちのいずれかの頂部に被着させると、層の耐久性を向上させることができるが、このようにするかどうかは任意である。変形例として、機能層それ自体が、ポリマー導体、例えばPEDOTのものであってよい。
【0064】
本願において、特許請求の範囲は、特徴の特定の組合せに合わせて作成されているが、本発明の開示の範囲は、明示によるか暗黙によるかのいずれにせよ本明細書に開示した新規な特徴又は新規な特徴の組合せ又はその一般化がいずれかの請求項に現時点においてクレーム記載されているのと同一の発明に関するにせよそうでないにせよ、そしてその一般化が本発明によって解決されるのと同じ技術的課題のうちの任意のもの又は全てを解決するにせよそうでないにせよ、いずれにせよ、かかる一般化をも含むことは理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】可撓性基板に取り付けられた先行技術のコネクタの断面図である。
【図2】本発明の可撓性基板に被着された蛇行層の平面図である。
【図3】可撓性基板に被着された機能層の断面図である。
【図4】可撓性基板に被着されていて、歪を受けた状態の機能層の断面図である。
【図5】可撓性基板に被着されていて、曲げを受けた状態の従来型ITO層の平面図である。
【図6】本発明の可撓性基板に被着された起伏部を有する層の平面図である。
【図7】本発明の可撓性基板に被着された起伏のある層の平面図である。
【図8】本発明の可撓性基板に被着された矩形部分のアレイを有する層の平面図である。
【図9】本発明に従って相互に接続された六角形部分のアレイを有する層の平面図である。
【図10】本発明に従って相互に接続された矩形部分のアレイを有する層の平面図である。
【図11】本発明に従って相互に接続された四角形部分のアレイを有する層の平面図である。
【図12】本発明の別の特徴としての可撓性基板に被着されたランダムに分布された部分を有する層の平面図である。
【図13】本発明のアクティブマトリクス液晶ディスプレイ装置用の電極に関する線で示した幾何学的形状の平面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の層及び第2の層を有するデバイスであって、
前記第1の層は、可撓性であり、
前記第2の層は、ほぼ平坦であって、前記第1の層を変形させたときの前記第2の層の破断が阻止されるよう前記第1の層の平面全体にわたり蛇行している、デバイス。
【請求項2】
前記第2の層は、前記第2の層のほぼ全長にわたり前記第1の層と接触状態にあることを特徴とする請求項1記載のデバイス。
【請求項3】
前記第2の層は、複数個の相互に接続された部分から成ることを特徴とする請求項1又は2記載のデバイス。
【請求項4】
前記部分は、互いに整列した組の状態に配置され、前記部分は、前記第2の層の第1の端部と第2の端部との間に連続した経路をもたらすよう互いに接続されていることを特徴とする請求項3記載のデバイス。
【請求項5】
前記整列した組は、互いにずれていることを特徴とする請求項4記載のデバイス。
【請求項6】
前記部分は、接続されている前記部分よりも幅の狭い接続要素によって互いに接続されていることを特徴とする請求項4又は5記載のデバイス。
【請求項7】
前記部分は、長手方向に整列し、前記接続要素は、前記長手方向にほぼ垂直であるよう設けられていることを特徴とする請求項6記載のデバイス。
【請求項8】
前記相互接続部分は、矩形部分から成ることを特徴とする請求項3〜7のうちいずれか一に記載のデバイス。
【請求項9】
前記部分は、該部分のそれぞれの端部のところで互いに接続されていることを特徴とする請求項4〜8のうちいずれか一に記載のデバイス。
【請求項10】
2つの整列した組をなす相互接続部分を有することを特徴とする請求項4〜9のうちいずれか一に記載のデバイス。
【請求項11】
前記相互接続部分は、半円形部分から成ることを特徴とする請求項3〜10のうちいずれか一に記載のデバイス。
【請求項12】
前記相互接続部分は、ほぼ四角形の部分から成ることを特徴とする請求項3〜9のうちいずれか一に記載のデバイス。
【請求項13】
前記相互接続部分は、ほぼ六角形の部分から成ることを特徴とする請求項3〜6のうちいずれか一に記載のデバイス。
【請求項14】
前記相互接続部分は、相互接続部分のアレイの状態に配置されていることを特徴とする請求項3〜9、12及び13のうちいずれか一に記載のデバイス。
【請求項15】
前記相互接続部分のうちの少なくとも1つは、3つ以上の他の部分に接続されていることを特徴とする請求項12〜14のうちいずれか一に記載のデバイス。
【請求項16】
前記第2の層は、前記第2の層の第1の端部と第2の端部との間に連続した経路をもたらすよう互いに接続されたランダムな配置状態の部分から成ることを特徴とする請求項3記載のデバイス。
【請求項17】
前記部分は各々、長さを有し、前記部分の前記長さは、前記第1の層を所定の曲率半径まで変形させても破断が阻止されるよう選択されていることを特徴とする請求項3〜16のうちいずれか一に記載のデバイス。
【請求項18】
前記部分の前記長さは、所定の長さよりも短く選択され、前記所定の長さは、前記所定の曲率半径まで変形させた連続層について生じる亀裂相互間の平均長さで決まることを特徴とする請求項17記載のデバイス。
【請求項19】
前記第1の層は、基板であることを特徴とする請求項1〜18のうちいずれか一に記載のデバイス。
【請求項20】
前記基板は、ポリカーボネートで構成されていることを特徴とする請求項19記載のデバイス。
【請求項21】
前記第2の層は、前記第1の層に被着された被膜であることを特徴とする請求項1〜20のうちいずれか一に記載のデバイス。
【請求項22】
前記第2の層は、透明な導体から成ることを特徴とする請求項21記載のデバイス。
【請求項23】
前記第2の層は、導電性酸化物で構成されていることを特徴とする請求項21又は22記載のデバイス。
【請求項24】
前記導電性酸化物は、インジウム錫酸化物で構成されていることを特徴とする請求項23記載のデバイス。
【請求項25】
前記部分は、電流の連続経路をもたらすよう相互に接続されていることを特徴とする請求項3〜24のうちいずれか一に記載のデバイス。
【請求項26】
前記第2の層の一部を覆う第3の層を有することを特徴とする請求項1〜25のうちいずれか一に記載のデバイス。
【請求項27】
前記第3の層は、ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンであることを特徴とする請求項26記載のデバイス。
【請求項28】
ディスプレイを構成する請求項3〜27のうちいずれか一に記載のデバイス。
【請求項29】
エレクトロルミネッセントディスプレイを構成する請求項28記載のデバイス。
【請求項30】
箔ディスプレイを構成する請求項28記載のデバイス。
【請求項31】
液晶ディスプレイ装置を構成する請求項28記載のデバイス。
【請求項32】
前記部分は各々、長さを有し、前記部分の前記長さは、前記液晶ディスプレイ装置の画素の間隔及びサイズで決まることを特徴とする請求項31記載のデバイス。
【請求項33】
前記液晶ディスプレイ装置は、アクティブマトリクス装置であることを特徴とする請求項31又は32記載のデバイス。
【請求項34】
前記液晶ディスプレイ装置は、パッシブマトリクス装置であることを特徴とする請求項31又は32記載のデバイス。
【請求項35】
前記アクティブマトリクス液晶ディスプレイ装置は、複数個の互いに間隔を置いた画素を有し、前記第2の層は、前記画素相互間を周期的に蛇行するよう配置された電極を有し、前記蛇行周期は、前記画素の前記間隔で決まることを特徴とする請求項33記載のデバイス。
【請求項36】
前記蛇行周期は、前記画素の前記間隔の整数倍であることを特徴とする請求項35記載のデバイス。
【請求項37】
前記第2の層は、脆い材料で構成されていることを特徴とする請求項1〜36のうちいずれか一に記載のデバイス。
【請求項38】
第1の層及び第2の層を有するデバイスの製作方法であって、前記第1の層は、可撓性であり、前記第2の層は、ほぼ平坦であって、前記第1の層を変形させたときの前記第2の層の破断が阻止されるよう前記第1の層の平面全体にわたり蛇行しており、前記第2の層は、各々が長さを有する複数個の相互に接続された部分から成り、前記方法は、前記第1の層を所定の曲率半径まで変形させたときの破断が阻止されるよう前記部分の前記長さを選択する工程を有する、方法。
【請求項39】
所定曲率半径まで変形させたときの材料の連続層について生じる破断部相互間の間隔を求める工程と、前記部分の前記長さをこれが前記求めた間隔で決まる値であるように選択する工程とを更に有することを特徴とする請求項38記載の方法。
【請求項40】
前記破断部相互間の平均間隔を求める工程を有することを特徴とする請求項39記載の方法。
【請求項41】
可撓性基板に被着された層を有するデバイスであって、前記層は、複数個の導電性の島を含み、前記島は各々、前記基板全体にわたり導電経路を形成するよう1つ以上の他の島に重複接続されている、デバイス。
【請求項42】
前記島は、ほぼ六角形の形をしていることを特徴とする請求項41記載のデバイス。
【請求項43】
前記島は、ほぼ四角形の形をしていることを特徴とする請求項41記載のデバイス。
【請求項44】
前記層は、透明な導体から成ることを特徴とする請求項41、42及び43のうちいずれか一に記載のデバイス。
【請求項45】
前記層は、ポリマー導体から成ることを特徴とする請求項41〜44のうちいずれか一に記載のデバイス。
【請求項46】
前記層に被着された別の層を有することを特徴とする請求項41〜44のうちいずれか一に記載のデバイス。
【請求項47】
前記別の層は、ポリマー導体から成ることを特徴とする請求項46記載のデバイス。
【請求項1】
第1の層及び第2の層を有するデバイスであって、
前記第1の層は、可撓性であり、
前記第2の層は、ほぼ平坦であって、前記第1の層を変形させたときの前記第2の層の破断が阻止されるよう前記第1の層の平面全体にわたり蛇行している、デバイス。
【請求項2】
前記第2の層は、前記第2の層のほぼ全長にわたり前記第1の層と接触状態にあることを特徴とする請求項1記載のデバイス。
【請求項3】
前記第2の層は、複数個の相互に接続された部分から成ることを特徴とする請求項1又は2記載のデバイス。
【請求項4】
前記部分は、互いに整列した組の状態に配置され、前記部分は、前記第2の層の第1の端部と第2の端部との間に連続した経路をもたらすよう互いに接続されていることを特徴とする請求項3記載のデバイス。
【請求項5】
前記整列した組は、互いにずれていることを特徴とする請求項4記載のデバイス。
【請求項6】
前記部分は、接続されている前記部分よりも幅の狭い接続要素によって互いに接続されていることを特徴とする請求項4又は5記載のデバイス。
【請求項7】
前記部分は、長手方向に整列し、前記接続要素は、前記長手方向にほぼ垂直であるよう設けられていることを特徴とする請求項6記載のデバイス。
【請求項8】
前記相互接続部分は、矩形部分から成ることを特徴とする請求項3〜7のうちいずれか一に記載のデバイス。
【請求項9】
前記部分は、該部分のそれぞれの端部のところで互いに接続されていることを特徴とする請求項4〜8のうちいずれか一に記載のデバイス。
【請求項10】
2つの整列した組をなす相互接続部分を有することを特徴とする請求項4〜9のうちいずれか一に記載のデバイス。
【請求項11】
前記相互接続部分は、半円形部分から成ることを特徴とする請求項3〜10のうちいずれか一に記載のデバイス。
【請求項12】
前記相互接続部分は、ほぼ四角形の部分から成ることを特徴とする請求項3〜9のうちいずれか一に記載のデバイス。
【請求項13】
前記相互接続部分は、ほぼ六角形の部分から成ることを特徴とする請求項3〜6のうちいずれか一に記載のデバイス。
【請求項14】
前記相互接続部分は、相互接続部分のアレイの状態に配置されていることを特徴とする請求項3〜9、12及び13のうちいずれか一に記載のデバイス。
【請求項15】
前記相互接続部分のうちの少なくとも1つは、3つ以上の他の部分に接続されていることを特徴とする請求項12〜14のうちいずれか一に記載のデバイス。
【請求項16】
前記第2の層は、前記第2の層の第1の端部と第2の端部との間に連続した経路をもたらすよう互いに接続されたランダムな配置状態の部分から成ることを特徴とする請求項3記載のデバイス。
【請求項17】
前記部分は各々、長さを有し、前記部分の前記長さは、前記第1の層を所定の曲率半径まで変形させても破断が阻止されるよう選択されていることを特徴とする請求項3〜16のうちいずれか一に記載のデバイス。
【請求項18】
前記部分の前記長さは、所定の長さよりも短く選択され、前記所定の長さは、前記所定の曲率半径まで変形させた連続層について生じる亀裂相互間の平均長さで決まることを特徴とする請求項17記載のデバイス。
【請求項19】
前記第1の層は、基板であることを特徴とする請求項1〜18のうちいずれか一に記載のデバイス。
【請求項20】
前記基板は、ポリカーボネートで構成されていることを特徴とする請求項19記載のデバイス。
【請求項21】
前記第2の層は、前記第1の層に被着された被膜であることを特徴とする請求項1〜20のうちいずれか一に記載のデバイス。
【請求項22】
前記第2の層は、透明な導体から成ることを特徴とする請求項21記載のデバイス。
【請求項23】
前記第2の層は、導電性酸化物で構成されていることを特徴とする請求項21又は22記載のデバイス。
【請求項24】
前記導電性酸化物は、インジウム錫酸化物で構成されていることを特徴とする請求項23記載のデバイス。
【請求項25】
前記部分は、電流の連続経路をもたらすよう相互に接続されていることを特徴とする請求項3〜24のうちいずれか一に記載のデバイス。
【請求項26】
前記第2の層の一部を覆う第3の層を有することを特徴とする請求項1〜25のうちいずれか一に記載のデバイス。
【請求項27】
前記第3の層は、ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェンであることを特徴とする請求項26記載のデバイス。
【請求項28】
ディスプレイを構成する請求項3〜27のうちいずれか一に記載のデバイス。
【請求項29】
エレクトロルミネッセントディスプレイを構成する請求項28記載のデバイス。
【請求項30】
箔ディスプレイを構成する請求項28記載のデバイス。
【請求項31】
液晶ディスプレイ装置を構成する請求項28記載のデバイス。
【請求項32】
前記部分は各々、長さを有し、前記部分の前記長さは、前記液晶ディスプレイ装置の画素の間隔及びサイズで決まることを特徴とする請求項31記載のデバイス。
【請求項33】
前記液晶ディスプレイ装置は、アクティブマトリクス装置であることを特徴とする請求項31又は32記載のデバイス。
【請求項34】
前記液晶ディスプレイ装置は、パッシブマトリクス装置であることを特徴とする請求項31又は32記載のデバイス。
【請求項35】
前記アクティブマトリクス液晶ディスプレイ装置は、複数個の互いに間隔を置いた画素を有し、前記第2の層は、前記画素相互間を周期的に蛇行するよう配置された電極を有し、前記蛇行周期は、前記画素の前記間隔で決まることを特徴とする請求項33記載のデバイス。
【請求項36】
前記蛇行周期は、前記画素の前記間隔の整数倍であることを特徴とする請求項35記載のデバイス。
【請求項37】
前記第2の層は、脆い材料で構成されていることを特徴とする請求項1〜36のうちいずれか一に記載のデバイス。
【請求項38】
第1の層及び第2の層を有するデバイスの製作方法であって、前記第1の層は、可撓性であり、前記第2の層は、ほぼ平坦であって、前記第1の層を変形させたときの前記第2の層の破断が阻止されるよう前記第1の層の平面全体にわたり蛇行しており、前記第2の層は、各々が長さを有する複数個の相互に接続された部分から成り、前記方法は、前記第1の層を所定の曲率半径まで変形させたときの破断が阻止されるよう前記部分の前記長さを選択する工程を有する、方法。
【請求項39】
所定曲率半径まで変形させたときの材料の連続層について生じる破断部相互間の間隔を求める工程と、前記部分の前記長さをこれが前記求めた間隔で決まる値であるように選択する工程とを更に有することを特徴とする請求項38記載の方法。
【請求項40】
前記破断部相互間の平均間隔を求める工程を有することを特徴とする請求項39記載の方法。
【請求項41】
可撓性基板に被着された層を有するデバイスであって、前記層は、複数個の導電性の島を含み、前記島は各々、前記基板全体にわたり導電経路を形成するよう1つ以上の他の島に重複接続されている、デバイス。
【請求項42】
前記島は、ほぼ六角形の形をしていることを特徴とする請求項41記載のデバイス。
【請求項43】
前記島は、ほぼ四角形の形をしていることを特徴とする請求項41記載のデバイス。
【請求項44】
前記層は、透明な導体から成ることを特徴とする請求項41、42及び43のうちいずれか一に記載のデバイス。
【請求項45】
前記層は、ポリマー導体から成ることを特徴とする請求項41〜44のうちいずれか一に記載のデバイス。
【請求項46】
前記層に被着された別の層を有することを特徴とする請求項41〜44のうちいずれか一に記載のデバイス。
【請求項47】
前記別の層は、ポリマー導体から成ることを特徴とする請求項46記載のデバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2007−511783(P2007−511783A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530956(P2006−530956)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【国際出願番号】PCT/IB2004/051930
【国際公開番号】WO2005/033786
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【国際出願番号】PCT/IB2004/051930
【国際公開番号】WO2005/033786
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
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