可撓性表示装置及びこの製造方法
【課題】可撓性表示装置の製造方法を提供する。
【解決手段】可撓性表示装置の製造方法は、キャリア基板上に抵抗を有する導電物質を含む発熱部を形成する段階と、発熱部上に可撓性基板を形成する段階と、可撓性基板上に薄膜トランジスタを含む駆動回路部を形成する段階と、駆動回路部上に発光素子および封止部材を形成する段階と、発熱部に電圧を印加してジュール熱を発生させることによって可撓性基板に直接熱を加えて発熱部から可撓性基板を分離する段階とを含む。
【解決手段】可撓性表示装置の製造方法は、キャリア基板上に抵抗を有する導電物質を含む発熱部を形成する段階と、発熱部上に可撓性基板を形成する段階と、可撓性基板上に薄膜トランジスタを含む駆動回路部を形成する段階と、駆動回路部上に発光素子および封止部材を形成する段階と、発熱部に電圧を印加してジュール熱を発生させることによって可撓性基板に直接熱を加えて発熱部から可撓性基板を分離する段階とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置に関し、より詳細には、曲がる可撓性(flexible)表示装置及びこの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の表示装置市場は、大面積が容易であると同時に薄型および軽量化が可能な平板表示装置(flat panel display:FPD)を中心として急速に変化している。多様な平板表示装置のうちで有機発光表示装置(organic light emitting diode display:OLED)は、別途の光源が必要なくて自体発光型であるため、薄形および軽量化により有利である。
【0003】
通常の平板表示装置はガラス基板を用いるために柔軟性からは遠く、応用範囲に限界がある。したがって、最近では、ガラス基板の代わりに可撓性基板を用い、曲がることが可能なように製造された可撓性表示装置が開発されている。
【0004】
可撓性基板上に薄膜トランジスタを製造およびハンドリングする工程は重要な核心工程である。しかし、既存のガラス基板に適合するように設定された製造設備に可撓性基板を代替投入して可撓性表示装置を製造するには多くの工程上の困難がある。
【0005】
したがって、既存の製造設備を用いて可撓性表示装置を製造することができる方案として、ガラス基板のようなキャリア基板上に可撓性基板を形成し、可撓性基板上に薄膜トランジスタを形成した後、最終段階で可撓性基板とキャリア基板を分離させる工程が適用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、可撓性基板とキャリア基板を分離させるとき、薄膜トランジスタの損傷を防ぎ、工程費用を低め、大面積条件でも短時間で分離が可能な可撓性表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る可撓性表示装置の製造方法は、キャリア基板上に発熱部を形成する段階と、発熱部上に可撓性基板を形成する段階と、可撓性基板上に薄膜トランジスタを形成する段階と、薄膜トランジスタと連結する発光素子を形成する段階と、発熱部の自体発熱によって可撓性基板に熱を加えて発熱部から可撓性基板を分離する段階とを含む。
【0008】
可撓性基板は発熱部上に単一層で形成されてもよい。可撓性基板を分離する段階において、発熱部と可撓性基板との間の界面温度は、可撓性基板の融点よりも高くてもよい。
【0009】
他の一側として、可撓性基板は、発熱部上に形成された犠牲層と、犠牲層上に形成された透湿防止層と、透湿防止層上に形成された本体層とを含んでもよい。可撓性基板を分離する段階において、発熱部と犠牲層との間の界面温度は、犠牲層の融点よりも高くてもよい。
【0010】
本発明の一実施形態による表示装置は、前述した方法によって製造され、可撓性基板と発光素子を含んでもよい。
【0011】
可撓性基板の外面は1nm〜15nmの範囲に属するRMS(root mean square)粗さを有してもよい。
【0012】
本発明の他の一実施形態に係る表示装置の製造方法は、キャリア基板上に抵抗を有する導電物質を含む発熱部を形成する段階と、発熱部上に可撓性基板を形成する段階と、可撓性基板上に薄膜トランジスタを含む駆動回路部を形成する段階と、駆動回路部上に発光素子および封止部材を形成する段階と、発熱部に電圧を印加してジュール熱を発生させることによって可撓性基板に直接熱を加えて発熱部から可撓性基板を分離する段階とを含む。
【0013】
発熱部は金属と金属酸化物のうちの少なくとも1つを含んでもよく、キャリア基板上に均一な厚さで形成されてもよい。発熱部はパルス波形の電圧の印加を受けてジュール熱を発生させてもよい。
【0014】
可撓性基板は発熱部上に単一層で形成され、発熱部のジュール熱によって発熱部と接する一部領域が分解されて発熱部から分離されてもよい。
【0015】
可撓性基板は、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、およびポリエチレンナフタレートのうちの少なくとも1つを含んでもよい。発熱部のジュール発熱温度は300℃〜900℃の範囲に属してもよい。
【0016】
他の一側として、可撓性基板は、発熱部上に形成された犠牲層と、犠牲層上に形成された透湿防止層と、透湿防止層上に形成された本体層とを含んでもよい。犠牲層は本体層よりも薄い厚さで形成され、発熱部のジュール熱によって少なくとも一部が分解され、透湿防止層および本体層が発熱部から分離されてもよい。
【0017】
犠牲層は、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、およびポリエチレンナフタレートのうちの少なくとも1つを含んでもよい。発熱部のジュール発熱温度は300℃〜900℃の範囲に属してもよい。
【0018】
発光素子は複数の有機発光素子を含んでもよく、封止部材は複数の有機膜と複数の無機膜を含む多層膜で構成されてもよい。
【0019】
本発明の一実施形態による可撓性表示装置は、前述した方法によって製造され、可撓性基板と発光素子を含んでもよい。
【0020】
可撓性基板の外面は1nm〜15nmの範囲に属するRMS粗さを有してもよい。
【発明の効果】
【0021】
キャリア基板と可撓性基板を分離する過程において、大略数マイクロ秒(μs)の短い時間で可撓性基板を容易に分離させることができ、分離過程において可撓性基板上の薄膜トランジスタおよび発光素子にいかなる熱的および機械的損傷も残らない。このような分離技術は、大面積の可撓性表示装置を大量生産するのに適合する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る可撓性表示装置の製造方法を示すフローチャートである。
【図2A】図1に示す可撓性表示装置の第1の製造方法を説明するための断面図である。
【図2B】図1に示す可撓性表示装置の第1の製造方法を説明するための断面図である。
【図2C】図1に示す可撓性表示装置の第1の製造方法を説明するための断面図である。
【図2D】図1に示す可撓性表示装置の第1の製造方法を説明するための断面図である。
【図2E】図1に示す可撓性表示装置の第1の製造方法を説明するための断面図である。
【図2F】図2Dの一部を斜視図で表現した図である。
【図3A】図1に示す可撓性表示装置の第2の製造方法を説明するための断面図である。
【図3B】図1に示す可撓性表示装置の第2の製造方法を説明するための断面図である。
【図3C】図1に示す可撓性表示装置の第2の製造方法を説明するための断面図である。
【図4】発熱部への電圧印加時に測定した熱分布シミュレーション結果を示す図である。
【図5】発熱部およびキャリア基板から分離される可撓性表示装置を示す写真である。
【図6】本発明の一実施形態による可撓性表示装置のうち、可撓性基板の表面を示した走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図7】本発明の一実施形態による可撓性表示装置のうち、可撓性基板の表面を示した原子間力顕微鏡(AFM)写真である。
【図8】本発明の一実施形態による可撓性表示装置のうち、可撓性基板の表面を示した原子間力顕微鏡(AFM)写真である。
【図9】レーザスキャン工程を適用した比較例の可撓性表示装置のうち、可撓性基板の表面を示した走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図10】レーザスキャン工程を適用した比較例の可撓性表示装置のうち、可撓性基板の表面を示した原子間力顕微鏡(AFM)写真である。
【図11】ジュールヒーティング誘導リフト−オフ(Joule heating Induced Lift−Off、JILO)工程前と工程後の薄膜トランジスタの伝達特性を示すグラフである。
【図12】BTS(bias−temperature−ストレス)実験によるJILO工程後の薄膜トランジスタの伝達特性を示すグラフである。
【図13A】HDC(high drain current)ストレス実験によるJILO工程後の薄膜トランジスタの伝達特性を示すグラフである。
【図13B】JILO工程後の薄膜トランジスタの履歴(hysteresis)を示すグラフである。
【図14】可撓性表示装置の画素構造を示す配置図である。
【図15】図14のA−A線に沿って切断した可撓性表示装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。本発明は多様に相違した形態に実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されるものではない。
【0024】
図面において、多様な層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。明細書全体において、層、膜、領域、板などの部分が他の部分「上」または「上に」あるとするとき、これは他の部分の「直ぐ上に」ある場合だけでなく、その中間に他の部分がある場合も含む。反対に、ある部分が他の部分の「直ぐ上に」あるとするときには、中間に他の部分がないことを意味する。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態に係る可撓性表示装置の製造方法を示すフローチャートである。
【0026】
図1を参照すれば、可撓性表示装置の製造方法は、キャリア基板上に発熱部を形成する第1段階(S10)と、発熱部上に可撓性基板を形成する第2段階(S20)と、可撓性基板上に薄膜トランジスタを形成する第3段階(S30)と、発光素子および封止部材を形成する第4段階(S40)と、発熱部の自体発熱を利用して発熱部およびキャリア基板から可撓性基板を分離させる第5段階(S50)とを含む。
【0027】
図2A〜図2Eは、図1に示す可撓性表示装置の第1の製造方法を説明するための断面図であり、図2Fは、図2Dの一部を斜視図で表現した図である。図2A〜図2Fを参照しながら、本発明の第1実施形態に係る可撓性表示装置の製造方法について詳しく説明する。
【0028】
図2Aを参照すれば、第1段階(S10)でキャリア基板110を準備し、キャリア基板110上に発熱部120を形成する。キャリア基板110は固い絶縁基板であって、ガラス基板であってもよい。発熱部120は設定された条件で自体発熱を引き起こす部材である。発熱部120はキャリア基板110上全体に形成され、面発熱体として機能する。
【0029】
図2Bを参照すれば、第2段階(S20)で発熱部120上に可撓性基板210を形成する。可撓性基板210はプラスチックフィルムであってもよく、発熱部120上に液状の高分子物質を塗布した後に熱硬化させる方法などによって製造されてもよい。
【0030】
可撓性基板210として、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、およびポリエチレンナフタレートなどが用いられてもよい。このうち、ポリイミドは450℃以上の高い工程温度での使用が可能であるため、薄膜トランジスタ製造時に薄膜トランジスタの特性低下を最小化することができる。
【0031】
プラスチックフイルムで構成された可撓性基板210は熱によって曲がったり伸びたりする性質があるため、その上に薄膜トランジスタと発光素子および導電配線などの薄膜パターンを精密に形成することが難しい。したがって、可撓性基板210をキャリア基板110上に位置させた状態で後続工程を進める。
【0032】
第1実施形態において、可撓性基板210は単一層からなり、発熱部120の真上に形成されて発熱部120と接触する。
【0033】
図2Cを参照すれば、第3段階(S30)で可撓性基板210上にバリヤ膜220を形成し、バリヤ膜220上に薄膜トランジスタを含む駆動回路部230を形成する。図2Cでは便宜上、駆動回路部230を1つの層として概略化して示したが、実際には駆動回路部230は複数の薄膜トランジスタと複数の蓄電素子を含む。また、可撓性基板210上には複数の導電配線が形成される。
【0034】
第4段階(S40)で駆動回路部230上に発光素子240を形成し、発光素子240上に封止部材250を形成する。発光素子240は複数の有機発光素子を含んでもよい。発光素子240の作動は駆動回路部230によって制御され、駆動信号に応じて光を放出して画像を表示する。図2Cでは便宜上、発光素子240を1つの層として概略化して示した。
【0035】
バリヤ膜220は、無機膜と有機膜のうちのいずれか1つ、または無機膜と有機膜の積層膜で形成されてもよい。バリヤ膜220は水分や酸素のような不必要な成分が可撓性基板210を透過して発光素子240に浸透することを抑制する。発光素子240に浸透した水分と酸素は発光素子240を劣化させ、発光素子240の寿命を短縮させる。
【0036】
封止部材250は多層膜で形成されてもよい。封止部材250は複数の無機膜で形成されたり、複数の無機膜と複数の有機膜が1つずつ交互に積層された構造で形成されてもよい。無機膜はアルミニウム酸化物またはシリコン酸化物を含んでもよく、有機膜はエポキシ、アクリレート、ウレタンアクリレートなどを含んでもよい。
【0037】
無機膜は外部の水分と酸素が発光素子240に浸透することを防ぐ。有機膜は無機膜の内部ストレスを緩和させたり、無機膜の微細クラックおよびピンホールなどを満たす役割をする。上述した無機膜と有機膜の構成物質は例示に過ぎず、上述した物質に限定されるものではなく、本技術分野に従事する者によって公知された多様な種類の無機膜と有機膜が用いられてもよい。
【0038】
封止部材250は、駆動回路部230の側面および発光素子240の側面を囲み、駆動回路部230および発光素子240の側面が外部に露出しないようにする。
【0039】
図2Dと図2Eを参照すれば、第5段階(S50)で発熱部120の自体発熱を利用して可撓性基板210に熱を直接提供する。これにより、可撓性基板210のうちの発熱部120と接する一部領域(図面を基準として下部領域)が熱エネルギーによって分解され、これによって可撓性基板210は発熱部120およびキャリア基板110から分離される。
【0040】
発熱部120を利用する本実施形態の方法は、キャリア基板の外側から可撓性基板に向かってレーザビーム(代表的に、エキシマレーザビーム)を照射して可撓性基板に熱エネルギーを伝達する従来の方式とは大きく異なる。
【0041】
すなわち、従来の方式は、熱エネルギー源であるレーザソースがキャリア基板の外側に位置し、レーザソースから放出されたレーザビームがキャリア基板を透過して可撓性基板にフォーカシングされることによって可撓性基板に熱エネルギーを伝達する方式である。この反面、本実施形態の方法は、熱エネルギー源である発熱部120が可撓性基板210と接してキャリア基板110の内側に位置し、中間媒介物を置かずに発熱部120の熱エネルギーを可撓性基板210に直接提供する方式である。
【0042】
発熱部120は、電圧印加条件でジュール発熱(Joule Heating)を引き起こす導電層からなってもよい。しかし、発熱部120の構造と発熱原理は上述した例に限定されるものではなく、瞬間的に発熱を引き起こして可撓性基板210の一部を熱分解させることができる構成であればすべて適用が可能である。
【0043】
発熱部120は金属または金属酸化物を含む。発熱部120は、金属としてモリブデン(Mo)、チタニウム(Ti)、銅(Cu)、銀(Ag)、およびクロム(Cr)のうちの少なくとも1つを含んでもよく、金属酸化物としてインジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide)とインジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide)のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0044】
図2Fを参照すれば、発熱部120の両側端部が可撓性基板210の外側に露出するように、キャリア基板110と発熱部120は可撓性基板210よりも大きい面積で形成されてもよい。発熱部120の露出した端部には外部電源装置(図示せず)に備えられた2つのパッド部130が接触し、発熱部120にパルス波形の電圧を印加する。
【0045】
発熱部120の露出した端部とここに接触する2つのパッド部130は、キャリア基板110の一方向(図面のx軸方向)に沿って対向し、これと直交する方向(図面のy軸方向)に沿って長い棒形状で形成されてもよい。これによって発熱部120にはキャリア基板110の一方向(図面のx軸方向)に沿って均一な電流の流れが生じ、これによってジュール発熱が引き起こる。
【0046】
発熱部120は抵抗とパルス条件に応じて多様な温度で発熱し、大略1,000℃以上の発熱も可能である。発熱部120の発熱温度は、可撓性基板210上に形成された駆動回路部230および発光素子240に影響を与えないと同時に可撓性基板210の一部に熱を迅速に浸透させ、熱浸透深さだけの領域のみを瞬間的に分解させるのに適合した範囲に設定される。
【0047】
これを考慮するとき、第5段階(S50)で発熱部120の発熱温度は大略300℃〜900℃の範囲に属してもよい。発熱部120の発熱温度が300℃未満であれば、可撓性基板210下部領域の熱分解が不均一になり、可撓性基板210の分離が難しくなれる。発熱部120の発熱温度が900℃を超えれば、可撓性基板210上に形成された薄膜トランジスタの特性が低下することがある。
【0048】
発熱部120はキャリア基板110上で均一な厚さで形成され、発熱部120全体で均一なジュール発熱が引き起こるようにする。
【0049】
また、発熱部120に印加される電圧のパルス周期は、可撓性基板210の熱浸透深さを考慮して調整される。可撓性基板210の厚さが10μmである場合、熱浸透深さは、例えば1μm以下となってもよい。この場合、可撓性基板210に提供された熱による駆動回路部230と発光素子240の劣化を最小化することができる。
【0050】
前述した本実施形態の分離工程は、ジュールヒーティング誘導リフト−オフ(Joule heationg Induced Lift−Off、JILO)工程と名称することができる。以下、ジュールヒーティング誘導リフト−オフ工程を「JILO工程」という。
【0051】
JILO工程を利用した本実施形態では、発熱部120に電圧を印加してジュール発熱を引き起こすことにより、可撓性基板210は熱が浸透した深さだけ領域が瞬間的に熱分解されて発熱部120から分離される。このような分離過程は、大面積基板でも大略数マイクロ秒(μs)の短い時間でなされ、駆動回路部230と発光素子240に熱的および機械的損傷を残さない。
【0052】
この反面、レーザビームを利用する従来の方式では、高価のレーザシステムが要求され、レーザビームの強さと焦点の深さを精密に調節しても、可撓性基板およびその上に形成される膜自体が極めて薄いため、駆動回路部および発光素子に損傷を引き起こすことがある。さらに、使用可能なレーザビームの大きさに制約があり、レーザビームをスキャンしなければならないため、大面積の表示装置においてキャリア基板の分離工程に多くの時間が所要される。
【0053】
上述した第1段階〜第5段階(S10〜S50)を経て、可撓性基板210、バリヤ膜220、駆動回路部230、発光素子240、および封止部材250を含む第1実施形態に係る可撓性表示装置200が完成する。
【0054】
図3A〜図3Cは、図1に示す可撓性表示装置の第2の製造方法を説明するための断面図である。図3A〜図3Cを参照しながら、本発明の第2実施形態に係る可撓性表示装置の製造方法について説明する。
【0055】
図3Aを参照すれば、第1段階(S10)でキャリア基板110を準備し、キャリア基板110上に発熱部120を形成する過程は、上述した第1実施形態と同じである。第2段階(S20)で発熱部120上に犠牲層21と透湿防止層22および本体層23を順に形成して可撓性基板211を形成する。犠牲層21は発熱部120の真上に形成されて発熱部120と接触する。可撓性基板211は犠牲層21と透湿防止層22および本体層23の三層構造からなる。
【0056】
犠牲層21と本体層23は第1実施形態の可撓性基板210と同じようにプラスチックフイルムからなり、液状の高分子物質を塗布した後に熱硬化する方法などによって製造されてもよい。このとき、犠牲層21は本体層23よりも薄い厚さで形成される。犠牲層21は第1実施形態で説明した可撓性基板210の熱浸透深さと同じであるか、これよりも大きい厚さで形成されてもよい。本体層23は第1実施形態の可撓性基板210と同じ厚さで形成されてもよい。
【0057】
透湿防止層22は金属膜であって、例えばアルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、チタニウム(Ti)、銅(Cu)、銀(Ag)、およびクロム(Cr)のうちの少なくとも1つを含んでもよく、スパッタリングなどの方法によって形成されてもよい。透湿防止層22は、外部の水分が可撓性基板211を透過して発光素子240に浸透することを抑制する。すなわち、第2実施形態では、バリヤ膜220と共に透湿防止層22が位置することにより、発光素子240に水分が浸透することをより効果的に抑制することができる。
第3段階(S30)で可撓性基板211上にバリヤ膜220と駆動回路部230を形成する過程と、第4段階(S40)で駆動回路部230上に発光素子240および封止部材250を形成する過程は、上述した第1実施形態と同じである。
【0058】
図3Bと図3Cを参照すれば、第5段階で発熱部120に電圧を印加してジュール熱を発生させる。これにより、発熱部120と接触する犠牲層21の一部または全部がジュール熱によって熱分解されながら、可撓性基板211の透湿防止層22が発熱部120から分離される。透湿防止層22の表面には熱分解されなかった犠牲層21の一部が残留したり残留しないことがある。発熱部120の抵抗と発熱温度およびパルス条件などは、上述した第1実施形態と同じである。
【0059】
上述した第1段階〜第5段階(S10〜S50)を経て、透湿防止層22と本体層23で構成された可撓性基板211、バリヤ膜220、駆動回路部230、発光素子240、および封止部材250を含む第2実施形態に係る可撓性表示装置201が完成する。
【0060】
次に、第1実施形態に係る可撓性表示装置の実際の製作過程と熱伝導シミュレーション結果について説明する。
【0061】
キャリア基板110としてガラス基板を使用し、ガラス基板上にモリブデン(Mo)単独膜で構成された発熱部120を形成した。可撓性基板210としてポリイミドフィルムを使用した。ポリイミドフィルムは大略10μmの厚さを有し、350℃以上の高温で硬化した。ポリイミドフィルム形成後の過程は、通常の有機発光表示装置と同じである。次に、発熱部120にパルス波形の電圧を印加して熱伝導シミュレーションを実行した。
【0062】
図4は、発熱部への電圧印加時に測定した熱分布シミュレーション結果を示す図である。図4において、「PI substrate」はポリイミドフィルムを示し、「conductive layer」は発熱部を示し、「Glass」はキャリア基板としてガラス基板を示す。
【0063】
図4を参照すれば、発熱部の最大温度は600℃に至り、ポリイミドフィルムと発熱部との間の界面温度はポリイミドフィルムの融点の360℃よりも高い450℃に至ることを確認することができる。これにより、ポリイミドフィルムの一部が熱によって分解されて発熱部からポリイミドフィルムが分離される。
【0064】
図5は、発熱部およびキャリア基板から分離される可撓性表示装置を示す写真である。この過程で測定されたポリイミドフィルムの熱浸透深さは0.5μmよりも小さい。全体ポリイミドフィルムにおいて熱浸透深さが占める比率が極めて小さいため、ジュール発熱温度が可撓性基板を溶かす程度に十分に高くても、駆動回路部および発光素子にいかなる熱的および機械的損傷も残さない。
【0065】
前述した製作過程を経て完成された第1実施形態による可撓性表示装置200に対して、可撓性基板210の表面の走査電子顕微鏡(SEM)写真を図6に示し、原子間力顕微鏡(AFM)写真を図7および図8に示した。
【0066】
図6〜図8に示す可撓性基板の表面は、発熱部120と接触した後、ジュール発熱によって発熱部120から分離された可撓性基板の外面である。第2実施形態の可撓性表示装置201の場合、犠牲層21の表面もまた図6および図7のような特性を示す。図6の拡大倍率130,000倍である。
【0067】
JILO工程の代わりに、レーザスキャン工程を適用した比較例の可撓性表示装置を準備して、図9と図10にそれぞれ比較例による可撓性表示装置における可撓性基板表面の走査電子顕微鏡(SEM)写真と原子間力顕微鏡(AFM)写真を示した。図9と図10に示す可撓性基板の表面は、キャリア基板と接触した後、レーザビームによってキャリア基板から分離された可撓性基板の外面である。図9の拡大比率は130,000倍である。
【0068】
比較例の可撓性表示装置は、キャリア基板の直ぐ上に発熱部の代わりに可撓性基板を形成し、キャリア基板の外側で可撓性基板に向かってレーザビームを走査して、キャリア基板と可撓性基板を分離させたことを除いては、本実施形態の可撓性表示装置と同様な工程で製造された。
【0069】
先ず、図6〜図8を参照すれば、JILO工程を利用した第1実施形態の可撓性表示装置において、可撓性基板は粗さが極めて小さい非常に均一な表面を実現していることが確認できる。このような表面特性は、瞬間的な熱分解によって、キャリア基板から可撓性基板の表面全体が同時に分離されるJILO工程の特性によるものである。
【0070】
本実施形態の可撓性表示装置において、可撓性基板表面のRMS(root mean square)粗さは1nm〜15nmの範囲に属する。可撓性基板のRMS粗さは、可撓性基板の種類、発熱部の抵抗、発熱温度、発熱部に印加される電圧のパルス周期などの様々な要因によって変わるが、共通的に1nmより大きくて15nmを超えない。図7の原子間力顕微鏡(AFM)分析で測定された可撓性基板表面のRMS粗さは、略2.5nmであり、図8の原子間力顕微鏡(AFM)分析で測定された可撓性基板表面のRMS粗さは、略7.5nmである。
【0071】
図9と図10を参照すれば、レーザスキャン工程を利用した比較例の可撓性表示装置において、可撓性基板は20nm以上のRMS粗さを有し、本実施形態の可撓性基板より表面粗さが大きくて均一でない表面を実現していることが確認できる。図10の原子間力顕微鏡(AFM)分析で測定された可撓性基板表面のRMS粗さは、略30nmである。
【0072】
比較例による可撓性基板の表面特性は、レーザスキャン特性、つまり、レーザビームの強さと焦点深さを調節しても精密度に限界があるため、可撓性基板の熱分解高さが一定でないことと、可撓性基板の表面がレーザスキャン方向に沿って順次に(つまり、部分的に)熱分解される特性などによるものである。
【0073】
次に、本実施形態による可撓性表示装置において、JILO工程前と工程後の薄膜トランジスタ特性変化について説明する。
【0074】
下記表1は、JILO工程前に測定した薄膜トランジスタの特性を示した表であり、図11はJILO工程前とJILO工程後の薄膜トランジスタの伝達特性を示したグラフである。
【0075】
【表1】
【0076】
JILO工程前、薄膜トランジスタの電荷移動度(μFET)は90.4cm2/Vsec、閾値電圧は−2.9V、s−スロープ(sub−threshold slope)は0.32V/decadeと測定された。また、JILO工程後、図11に示すように、薄膜トランジスタの閾値電圧とS−スロープに変化がないことを確認することができる。この結果はJILO工程が薄膜トランジスタの性能に有意味な損傷を引き起こさないことを意味する。
【0077】
図12は、JILO工程後の薄膜トランジスタの伝達特性を示すグラフであって、BTS(bias−temperature−stress)実験結果を示す。BTS実験は、Vg=15V、600秒、85℃のバイアスストレス条件で進められた。
【0078】
図12を参照すれば、ストレス前に対比し、Vds=5.1Vおよび0.1Vのバイアスストレス条件で0.1Vの閾値電圧移動が観察された。この値はガラス基板に形成された一般的なLTPS(Low Temperature Poly−Silicon)薄膜トランジスタと類似した値である。この結果からJILO工程が薄膜トランジスタの信頼度に及ぼす影響がほぼ無いことを確認することができる。
【0079】
図13Aは、JILO工程後の薄膜トランジスタの伝達特性を示すグラフであって、HDC(high drain current)ストレス実験結果を示す。図13Bは、JILO工程後の薄膜トランジスタの履歴(hysteresis)を示すグラフである。
【0080】
図13Aにおいて、HDCストレス条件は、Vgs=(−15V)、Vds=(20V)、および60秒である。図13Aの結果からHDCストレス後の薄膜トランジスタの電気的特性に変化が生じないことを確認することができる。また、図13Bにおいて、JILO工程後の閾値電圧移動は大略0.2Vであって、この値は一般的なLTPS薄膜トランジスタとほぼ類似した値である。
【0081】
上述した実験結果から、本実施形態によるJILO技術が薄膜トランジスタの性能と信頼性に影響を与えず、大量生産に適した技術であることを知ることができる。
【0082】
以下、図14と図15を参照しながら、可撓性表示装置の内部構造について詳細に説明する。
【0083】
図14は、可撓性表示装置の画素構造を示す配置図であり、図15は、図14のA−A線に沿って切断した可撓性表示装置の断面を示す。図14と図15では、可撓性表示装置の具体的な例として有機発光表示装置を示した。
【0084】
図14と図15を参照すれば、可撓性表示装置200は複数の画素を含み、各画素ごとに駆動回路部230と有機発光素子240が位置する。駆動回路部230は、スイッチング薄膜トランジスタ30と駆動薄膜トランジスタ40および蓄電素子50を含む。また、可撓性基板210の一方向に沿ってゲートライン61が位置し、データライン62と共通電源ライン63がゲートライン61と絶縁して交差する。
【0085】
図14では、1つの画素に2つの薄膜トランジスタ30、40と1つの蓄電素子50が位置する構造を例示した。しかし、可撓性表示装置200は、1つの画素に3つ以上の薄膜トランジスタと2つ以上の蓄電素子を備えてもよく、別途の配線をさらに備えて多様な構造を有してもよい。
【0086】
スイッチング薄膜トランジスタ30は、スイッチング半導体層31、スイッチングゲート電極32、スイッチングソース電極33、およびスイッチングドレイン電極34を含む。駆動薄膜トランジスタ40は、駆動半導体層41、駆動ゲート電極42、駆動ソース電極43、および駆動ドレイン電極44を含む。薄膜トランジスタとして図15に示したトップゲート構造の他に、ボトムゲート構造の薄膜トランジスタが用いられてもよい。
【0087】
蓄電素子50は、層間絶縁膜64を間において配置された一対の蓄電板51、52を含む。このとき、層間絶縁膜64は誘電体として形成される。蓄電素子50で蓄電された電荷と両蓄電板51、52との間の電圧によって蓄電容量が決定される。
【0088】
有機発光素子240は、画素電極25と、画素電極25上に形成された有機発光層26と、有機発光層26上に形成された共通電極27とを含む。画素電極25は正孔注入電極であってもよく、共通電極27は電子注入電極であってもよい。可撓性表示装置200の駆動方法に応じてその反対の場合も可能である。画素電極25および共通電極27からそれぞれ正孔と電子が有機発光層26内部に注入される。注入された正孔と電子が結合したエキシトン(exciton)が励起状態から基底状態に落ちるときに発光が引き起こる。
【0089】
画素電極25として反射型電極が用いられ、共通電極27として透過型または半透過型電極が用いられてもよい。この場合、有機発光素子240は、封止部材250に向かって光を放出する。画素電極25として透過型または半透過型電極が用いられ、共通電極27として反射型電極が用いられてもよい。この場合、有機発光素子240は、可撓性基板210に向かって光を放出する。
【0090】
スイッチング薄膜トランジスタ30は、発光させようとする画素を選択するスイッチング素子として用いられる。スイッチングゲート電極32はゲートライン61と連結する。スイッチングソース電極33はデータライン62に連結する。スイッチングドレイン電極34はスイッチングソース電極33から離隔して配置され、ある一蓄電板51と連結する。
【0091】
駆動薄膜トランジスタ40は、選択された画素内の有機発光素子240の有機発光層26を発光させるための駆動電源を画素電極25に印加する。駆動ゲート電極42は、スイッチングドレイン電極34と連結した蓄電板51と連結する。駆動ソース電極43と他の一蓄電板52はそれぞれ共通電源ライン63と連結する。駆動ドレイン電極44は、コンタクトホールを介して有機発光素子240の画素電極25と連結する。
【0092】
上述した構造により、スイッチング薄膜トランジスタ30は、ゲートライン61に印加されるゲート電圧によって作動し、データライン62に印加されたデータ電圧を駆動薄膜トランジスタ40に伝達する。共通電源ライン63から駆動薄膜トランジスタ40に印加された共通電圧とスイッチング薄膜トランジスタ30から伝達されたデータ電圧の差に相当する電圧が蓄電素子50に貯蔵され、蓄電素子に貯蔵された電圧に対応する電流が有機発光素子240に流れて有機発光素子240が発光する。
【0093】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属することは当然である。
【符号の説明】
【0094】
30:スイッチング薄膜トランジスタ
40:駆動薄膜トランジスタ
50:蓄電素子
61:ゲートライン
62:データライン
63:共通電源ライン
110:キャリア基板
120:発熱部
210、211:可撓性基板
220:バリヤ膜
230:駆動回路部
240:発光素子
250:封止部材
200、201:可撓性表示装置
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置に関し、より詳細には、曲がる可撓性(flexible)表示装置及びこの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の表示装置市場は、大面積が容易であると同時に薄型および軽量化が可能な平板表示装置(flat panel display:FPD)を中心として急速に変化している。多様な平板表示装置のうちで有機発光表示装置(organic light emitting diode display:OLED)は、別途の光源が必要なくて自体発光型であるため、薄形および軽量化により有利である。
【0003】
通常の平板表示装置はガラス基板を用いるために柔軟性からは遠く、応用範囲に限界がある。したがって、最近では、ガラス基板の代わりに可撓性基板を用い、曲がることが可能なように製造された可撓性表示装置が開発されている。
【0004】
可撓性基板上に薄膜トランジスタを製造およびハンドリングする工程は重要な核心工程である。しかし、既存のガラス基板に適合するように設定された製造設備に可撓性基板を代替投入して可撓性表示装置を製造するには多くの工程上の困難がある。
【0005】
したがって、既存の製造設備を用いて可撓性表示装置を製造することができる方案として、ガラス基板のようなキャリア基板上に可撓性基板を形成し、可撓性基板上に薄膜トランジスタを形成した後、最終段階で可撓性基板とキャリア基板を分離させる工程が適用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、可撓性基板とキャリア基板を分離させるとき、薄膜トランジスタの損傷を防ぎ、工程費用を低め、大面積条件でも短時間で分離が可能な可撓性表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る可撓性表示装置の製造方法は、キャリア基板上に発熱部を形成する段階と、発熱部上に可撓性基板を形成する段階と、可撓性基板上に薄膜トランジスタを形成する段階と、薄膜トランジスタと連結する発光素子を形成する段階と、発熱部の自体発熱によって可撓性基板に熱を加えて発熱部から可撓性基板を分離する段階とを含む。
【0008】
可撓性基板は発熱部上に単一層で形成されてもよい。可撓性基板を分離する段階において、発熱部と可撓性基板との間の界面温度は、可撓性基板の融点よりも高くてもよい。
【0009】
他の一側として、可撓性基板は、発熱部上に形成された犠牲層と、犠牲層上に形成された透湿防止層と、透湿防止層上に形成された本体層とを含んでもよい。可撓性基板を分離する段階において、発熱部と犠牲層との間の界面温度は、犠牲層の融点よりも高くてもよい。
【0010】
本発明の一実施形態による表示装置は、前述した方法によって製造され、可撓性基板と発光素子を含んでもよい。
【0011】
可撓性基板の外面は1nm〜15nmの範囲に属するRMS(root mean square)粗さを有してもよい。
【0012】
本発明の他の一実施形態に係る表示装置の製造方法は、キャリア基板上に抵抗を有する導電物質を含む発熱部を形成する段階と、発熱部上に可撓性基板を形成する段階と、可撓性基板上に薄膜トランジスタを含む駆動回路部を形成する段階と、駆動回路部上に発光素子および封止部材を形成する段階と、発熱部に電圧を印加してジュール熱を発生させることによって可撓性基板に直接熱を加えて発熱部から可撓性基板を分離する段階とを含む。
【0013】
発熱部は金属と金属酸化物のうちの少なくとも1つを含んでもよく、キャリア基板上に均一な厚さで形成されてもよい。発熱部はパルス波形の電圧の印加を受けてジュール熱を発生させてもよい。
【0014】
可撓性基板は発熱部上に単一層で形成され、発熱部のジュール熱によって発熱部と接する一部領域が分解されて発熱部から分離されてもよい。
【0015】
可撓性基板は、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、およびポリエチレンナフタレートのうちの少なくとも1つを含んでもよい。発熱部のジュール発熱温度は300℃〜900℃の範囲に属してもよい。
【0016】
他の一側として、可撓性基板は、発熱部上に形成された犠牲層と、犠牲層上に形成された透湿防止層と、透湿防止層上に形成された本体層とを含んでもよい。犠牲層は本体層よりも薄い厚さで形成され、発熱部のジュール熱によって少なくとも一部が分解され、透湿防止層および本体層が発熱部から分離されてもよい。
【0017】
犠牲層は、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、およびポリエチレンナフタレートのうちの少なくとも1つを含んでもよい。発熱部のジュール発熱温度は300℃〜900℃の範囲に属してもよい。
【0018】
発光素子は複数の有機発光素子を含んでもよく、封止部材は複数の有機膜と複数の無機膜を含む多層膜で構成されてもよい。
【0019】
本発明の一実施形態による可撓性表示装置は、前述した方法によって製造され、可撓性基板と発光素子を含んでもよい。
【0020】
可撓性基板の外面は1nm〜15nmの範囲に属するRMS粗さを有してもよい。
【発明の効果】
【0021】
キャリア基板と可撓性基板を分離する過程において、大略数マイクロ秒(μs)の短い時間で可撓性基板を容易に分離させることができ、分離過程において可撓性基板上の薄膜トランジスタおよび発光素子にいかなる熱的および機械的損傷も残らない。このような分離技術は、大面積の可撓性表示装置を大量生産するのに適合する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る可撓性表示装置の製造方法を示すフローチャートである。
【図2A】図1に示す可撓性表示装置の第1の製造方法を説明するための断面図である。
【図2B】図1に示す可撓性表示装置の第1の製造方法を説明するための断面図である。
【図2C】図1に示す可撓性表示装置の第1の製造方法を説明するための断面図である。
【図2D】図1に示す可撓性表示装置の第1の製造方法を説明するための断面図である。
【図2E】図1に示す可撓性表示装置の第1の製造方法を説明するための断面図である。
【図2F】図2Dの一部を斜視図で表現した図である。
【図3A】図1に示す可撓性表示装置の第2の製造方法を説明するための断面図である。
【図3B】図1に示す可撓性表示装置の第2の製造方法を説明するための断面図である。
【図3C】図1に示す可撓性表示装置の第2の製造方法を説明するための断面図である。
【図4】発熱部への電圧印加時に測定した熱分布シミュレーション結果を示す図である。
【図5】発熱部およびキャリア基板から分離される可撓性表示装置を示す写真である。
【図6】本発明の一実施形態による可撓性表示装置のうち、可撓性基板の表面を示した走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図7】本発明の一実施形態による可撓性表示装置のうち、可撓性基板の表面を示した原子間力顕微鏡(AFM)写真である。
【図8】本発明の一実施形態による可撓性表示装置のうち、可撓性基板の表面を示した原子間力顕微鏡(AFM)写真である。
【図9】レーザスキャン工程を適用した比較例の可撓性表示装置のうち、可撓性基板の表面を示した走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【図10】レーザスキャン工程を適用した比較例の可撓性表示装置のうち、可撓性基板の表面を示した原子間力顕微鏡(AFM)写真である。
【図11】ジュールヒーティング誘導リフト−オフ(Joule heating Induced Lift−Off、JILO)工程前と工程後の薄膜トランジスタの伝達特性を示すグラフである。
【図12】BTS(bias−temperature−ストレス)実験によるJILO工程後の薄膜トランジスタの伝達特性を示すグラフである。
【図13A】HDC(high drain current)ストレス実験によるJILO工程後の薄膜トランジスタの伝達特性を示すグラフである。
【図13B】JILO工程後の薄膜トランジスタの履歴(hysteresis)を示すグラフである。
【図14】可撓性表示装置の画素構造を示す配置図である。
【図15】図14のA−A線に沿って切断した可撓性表示装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。本発明は多様に相違した形態に実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されるものではない。
【0024】
図面において、多様な層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。明細書全体において、層、膜、領域、板などの部分が他の部分「上」または「上に」あるとするとき、これは他の部分の「直ぐ上に」ある場合だけでなく、その中間に他の部分がある場合も含む。反対に、ある部分が他の部分の「直ぐ上に」あるとするときには、中間に他の部分がないことを意味する。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態に係る可撓性表示装置の製造方法を示すフローチャートである。
【0026】
図1を参照すれば、可撓性表示装置の製造方法は、キャリア基板上に発熱部を形成する第1段階(S10)と、発熱部上に可撓性基板を形成する第2段階(S20)と、可撓性基板上に薄膜トランジスタを形成する第3段階(S30)と、発光素子および封止部材を形成する第4段階(S40)と、発熱部の自体発熱を利用して発熱部およびキャリア基板から可撓性基板を分離させる第5段階(S50)とを含む。
【0027】
図2A〜図2Eは、図1に示す可撓性表示装置の第1の製造方法を説明するための断面図であり、図2Fは、図2Dの一部を斜視図で表現した図である。図2A〜図2Fを参照しながら、本発明の第1実施形態に係る可撓性表示装置の製造方法について詳しく説明する。
【0028】
図2Aを参照すれば、第1段階(S10)でキャリア基板110を準備し、キャリア基板110上に発熱部120を形成する。キャリア基板110は固い絶縁基板であって、ガラス基板であってもよい。発熱部120は設定された条件で自体発熱を引き起こす部材である。発熱部120はキャリア基板110上全体に形成され、面発熱体として機能する。
【0029】
図2Bを参照すれば、第2段階(S20)で発熱部120上に可撓性基板210を形成する。可撓性基板210はプラスチックフィルムであってもよく、発熱部120上に液状の高分子物質を塗布した後に熱硬化させる方法などによって製造されてもよい。
【0030】
可撓性基板210として、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、およびポリエチレンナフタレートなどが用いられてもよい。このうち、ポリイミドは450℃以上の高い工程温度での使用が可能であるため、薄膜トランジスタ製造時に薄膜トランジスタの特性低下を最小化することができる。
【0031】
プラスチックフイルムで構成された可撓性基板210は熱によって曲がったり伸びたりする性質があるため、その上に薄膜トランジスタと発光素子および導電配線などの薄膜パターンを精密に形成することが難しい。したがって、可撓性基板210をキャリア基板110上に位置させた状態で後続工程を進める。
【0032】
第1実施形態において、可撓性基板210は単一層からなり、発熱部120の真上に形成されて発熱部120と接触する。
【0033】
図2Cを参照すれば、第3段階(S30)で可撓性基板210上にバリヤ膜220を形成し、バリヤ膜220上に薄膜トランジスタを含む駆動回路部230を形成する。図2Cでは便宜上、駆動回路部230を1つの層として概略化して示したが、実際には駆動回路部230は複数の薄膜トランジスタと複数の蓄電素子を含む。また、可撓性基板210上には複数の導電配線が形成される。
【0034】
第4段階(S40)で駆動回路部230上に発光素子240を形成し、発光素子240上に封止部材250を形成する。発光素子240は複数の有機発光素子を含んでもよい。発光素子240の作動は駆動回路部230によって制御され、駆動信号に応じて光を放出して画像を表示する。図2Cでは便宜上、発光素子240を1つの層として概略化して示した。
【0035】
バリヤ膜220は、無機膜と有機膜のうちのいずれか1つ、または無機膜と有機膜の積層膜で形成されてもよい。バリヤ膜220は水分や酸素のような不必要な成分が可撓性基板210を透過して発光素子240に浸透することを抑制する。発光素子240に浸透した水分と酸素は発光素子240を劣化させ、発光素子240の寿命を短縮させる。
【0036】
封止部材250は多層膜で形成されてもよい。封止部材250は複数の無機膜で形成されたり、複数の無機膜と複数の有機膜が1つずつ交互に積層された構造で形成されてもよい。無機膜はアルミニウム酸化物またはシリコン酸化物を含んでもよく、有機膜はエポキシ、アクリレート、ウレタンアクリレートなどを含んでもよい。
【0037】
無機膜は外部の水分と酸素が発光素子240に浸透することを防ぐ。有機膜は無機膜の内部ストレスを緩和させたり、無機膜の微細クラックおよびピンホールなどを満たす役割をする。上述した無機膜と有機膜の構成物質は例示に過ぎず、上述した物質に限定されるものではなく、本技術分野に従事する者によって公知された多様な種類の無機膜と有機膜が用いられてもよい。
【0038】
封止部材250は、駆動回路部230の側面および発光素子240の側面を囲み、駆動回路部230および発光素子240の側面が外部に露出しないようにする。
【0039】
図2Dと図2Eを参照すれば、第5段階(S50)で発熱部120の自体発熱を利用して可撓性基板210に熱を直接提供する。これにより、可撓性基板210のうちの発熱部120と接する一部領域(図面を基準として下部領域)が熱エネルギーによって分解され、これによって可撓性基板210は発熱部120およびキャリア基板110から分離される。
【0040】
発熱部120を利用する本実施形態の方法は、キャリア基板の外側から可撓性基板に向かってレーザビーム(代表的に、エキシマレーザビーム)を照射して可撓性基板に熱エネルギーを伝達する従来の方式とは大きく異なる。
【0041】
すなわち、従来の方式は、熱エネルギー源であるレーザソースがキャリア基板の外側に位置し、レーザソースから放出されたレーザビームがキャリア基板を透過して可撓性基板にフォーカシングされることによって可撓性基板に熱エネルギーを伝達する方式である。この反面、本実施形態の方法は、熱エネルギー源である発熱部120が可撓性基板210と接してキャリア基板110の内側に位置し、中間媒介物を置かずに発熱部120の熱エネルギーを可撓性基板210に直接提供する方式である。
【0042】
発熱部120は、電圧印加条件でジュール発熱(Joule Heating)を引き起こす導電層からなってもよい。しかし、発熱部120の構造と発熱原理は上述した例に限定されるものではなく、瞬間的に発熱を引き起こして可撓性基板210の一部を熱分解させることができる構成であればすべて適用が可能である。
【0043】
発熱部120は金属または金属酸化物を含む。発熱部120は、金属としてモリブデン(Mo)、チタニウム(Ti)、銅(Cu)、銀(Ag)、およびクロム(Cr)のうちの少なくとも1つを含んでもよく、金属酸化物としてインジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide)とインジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide)のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0044】
図2Fを参照すれば、発熱部120の両側端部が可撓性基板210の外側に露出するように、キャリア基板110と発熱部120は可撓性基板210よりも大きい面積で形成されてもよい。発熱部120の露出した端部には外部電源装置(図示せず)に備えられた2つのパッド部130が接触し、発熱部120にパルス波形の電圧を印加する。
【0045】
発熱部120の露出した端部とここに接触する2つのパッド部130は、キャリア基板110の一方向(図面のx軸方向)に沿って対向し、これと直交する方向(図面のy軸方向)に沿って長い棒形状で形成されてもよい。これによって発熱部120にはキャリア基板110の一方向(図面のx軸方向)に沿って均一な電流の流れが生じ、これによってジュール発熱が引き起こる。
【0046】
発熱部120は抵抗とパルス条件に応じて多様な温度で発熱し、大略1,000℃以上の発熱も可能である。発熱部120の発熱温度は、可撓性基板210上に形成された駆動回路部230および発光素子240に影響を与えないと同時に可撓性基板210の一部に熱を迅速に浸透させ、熱浸透深さだけの領域のみを瞬間的に分解させるのに適合した範囲に設定される。
【0047】
これを考慮するとき、第5段階(S50)で発熱部120の発熱温度は大略300℃〜900℃の範囲に属してもよい。発熱部120の発熱温度が300℃未満であれば、可撓性基板210下部領域の熱分解が不均一になり、可撓性基板210の分離が難しくなれる。発熱部120の発熱温度が900℃を超えれば、可撓性基板210上に形成された薄膜トランジスタの特性が低下することがある。
【0048】
発熱部120はキャリア基板110上で均一な厚さで形成され、発熱部120全体で均一なジュール発熱が引き起こるようにする。
【0049】
また、発熱部120に印加される電圧のパルス周期は、可撓性基板210の熱浸透深さを考慮して調整される。可撓性基板210の厚さが10μmである場合、熱浸透深さは、例えば1μm以下となってもよい。この場合、可撓性基板210に提供された熱による駆動回路部230と発光素子240の劣化を最小化することができる。
【0050】
前述した本実施形態の分離工程は、ジュールヒーティング誘導リフト−オフ(Joule heationg Induced Lift−Off、JILO)工程と名称することができる。以下、ジュールヒーティング誘導リフト−オフ工程を「JILO工程」という。
【0051】
JILO工程を利用した本実施形態では、発熱部120に電圧を印加してジュール発熱を引き起こすことにより、可撓性基板210は熱が浸透した深さだけ領域が瞬間的に熱分解されて発熱部120から分離される。このような分離過程は、大面積基板でも大略数マイクロ秒(μs)の短い時間でなされ、駆動回路部230と発光素子240に熱的および機械的損傷を残さない。
【0052】
この反面、レーザビームを利用する従来の方式では、高価のレーザシステムが要求され、レーザビームの強さと焦点の深さを精密に調節しても、可撓性基板およびその上に形成される膜自体が極めて薄いため、駆動回路部および発光素子に損傷を引き起こすことがある。さらに、使用可能なレーザビームの大きさに制約があり、レーザビームをスキャンしなければならないため、大面積の表示装置においてキャリア基板の分離工程に多くの時間が所要される。
【0053】
上述した第1段階〜第5段階(S10〜S50)を経て、可撓性基板210、バリヤ膜220、駆動回路部230、発光素子240、および封止部材250を含む第1実施形態に係る可撓性表示装置200が完成する。
【0054】
図3A〜図3Cは、図1に示す可撓性表示装置の第2の製造方法を説明するための断面図である。図3A〜図3Cを参照しながら、本発明の第2実施形態に係る可撓性表示装置の製造方法について説明する。
【0055】
図3Aを参照すれば、第1段階(S10)でキャリア基板110を準備し、キャリア基板110上に発熱部120を形成する過程は、上述した第1実施形態と同じである。第2段階(S20)で発熱部120上に犠牲層21と透湿防止層22および本体層23を順に形成して可撓性基板211を形成する。犠牲層21は発熱部120の真上に形成されて発熱部120と接触する。可撓性基板211は犠牲層21と透湿防止層22および本体層23の三層構造からなる。
【0056】
犠牲層21と本体層23は第1実施形態の可撓性基板210と同じようにプラスチックフイルムからなり、液状の高分子物質を塗布した後に熱硬化する方法などによって製造されてもよい。このとき、犠牲層21は本体層23よりも薄い厚さで形成される。犠牲層21は第1実施形態で説明した可撓性基板210の熱浸透深さと同じであるか、これよりも大きい厚さで形成されてもよい。本体層23は第1実施形態の可撓性基板210と同じ厚さで形成されてもよい。
【0057】
透湿防止層22は金属膜であって、例えばアルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、チタニウム(Ti)、銅(Cu)、銀(Ag)、およびクロム(Cr)のうちの少なくとも1つを含んでもよく、スパッタリングなどの方法によって形成されてもよい。透湿防止層22は、外部の水分が可撓性基板211を透過して発光素子240に浸透することを抑制する。すなわち、第2実施形態では、バリヤ膜220と共に透湿防止層22が位置することにより、発光素子240に水分が浸透することをより効果的に抑制することができる。
第3段階(S30)で可撓性基板211上にバリヤ膜220と駆動回路部230を形成する過程と、第4段階(S40)で駆動回路部230上に発光素子240および封止部材250を形成する過程は、上述した第1実施形態と同じである。
【0058】
図3Bと図3Cを参照すれば、第5段階で発熱部120に電圧を印加してジュール熱を発生させる。これにより、発熱部120と接触する犠牲層21の一部または全部がジュール熱によって熱分解されながら、可撓性基板211の透湿防止層22が発熱部120から分離される。透湿防止層22の表面には熱分解されなかった犠牲層21の一部が残留したり残留しないことがある。発熱部120の抵抗と発熱温度およびパルス条件などは、上述した第1実施形態と同じである。
【0059】
上述した第1段階〜第5段階(S10〜S50)を経て、透湿防止層22と本体層23で構成された可撓性基板211、バリヤ膜220、駆動回路部230、発光素子240、および封止部材250を含む第2実施形態に係る可撓性表示装置201が完成する。
【0060】
次に、第1実施形態に係る可撓性表示装置の実際の製作過程と熱伝導シミュレーション結果について説明する。
【0061】
キャリア基板110としてガラス基板を使用し、ガラス基板上にモリブデン(Mo)単独膜で構成された発熱部120を形成した。可撓性基板210としてポリイミドフィルムを使用した。ポリイミドフィルムは大略10μmの厚さを有し、350℃以上の高温で硬化した。ポリイミドフィルム形成後の過程は、通常の有機発光表示装置と同じである。次に、発熱部120にパルス波形の電圧を印加して熱伝導シミュレーションを実行した。
【0062】
図4は、発熱部への電圧印加時に測定した熱分布シミュレーション結果を示す図である。図4において、「PI substrate」はポリイミドフィルムを示し、「conductive layer」は発熱部を示し、「Glass」はキャリア基板としてガラス基板を示す。
【0063】
図4を参照すれば、発熱部の最大温度は600℃に至り、ポリイミドフィルムと発熱部との間の界面温度はポリイミドフィルムの融点の360℃よりも高い450℃に至ることを確認することができる。これにより、ポリイミドフィルムの一部が熱によって分解されて発熱部からポリイミドフィルムが分離される。
【0064】
図5は、発熱部およびキャリア基板から分離される可撓性表示装置を示す写真である。この過程で測定されたポリイミドフィルムの熱浸透深さは0.5μmよりも小さい。全体ポリイミドフィルムにおいて熱浸透深さが占める比率が極めて小さいため、ジュール発熱温度が可撓性基板を溶かす程度に十分に高くても、駆動回路部および発光素子にいかなる熱的および機械的損傷も残さない。
【0065】
前述した製作過程を経て完成された第1実施形態による可撓性表示装置200に対して、可撓性基板210の表面の走査電子顕微鏡(SEM)写真を図6に示し、原子間力顕微鏡(AFM)写真を図7および図8に示した。
【0066】
図6〜図8に示す可撓性基板の表面は、発熱部120と接触した後、ジュール発熱によって発熱部120から分離された可撓性基板の外面である。第2実施形態の可撓性表示装置201の場合、犠牲層21の表面もまた図6および図7のような特性を示す。図6の拡大倍率130,000倍である。
【0067】
JILO工程の代わりに、レーザスキャン工程を適用した比較例の可撓性表示装置を準備して、図9と図10にそれぞれ比較例による可撓性表示装置における可撓性基板表面の走査電子顕微鏡(SEM)写真と原子間力顕微鏡(AFM)写真を示した。図9と図10に示す可撓性基板の表面は、キャリア基板と接触した後、レーザビームによってキャリア基板から分離された可撓性基板の外面である。図9の拡大比率は130,000倍である。
【0068】
比較例の可撓性表示装置は、キャリア基板の直ぐ上に発熱部の代わりに可撓性基板を形成し、キャリア基板の外側で可撓性基板に向かってレーザビームを走査して、キャリア基板と可撓性基板を分離させたことを除いては、本実施形態の可撓性表示装置と同様な工程で製造された。
【0069】
先ず、図6〜図8を参照すれば、JILO工程を利用した第1実施形態の可撓性表示装置において、可撓性基板は粗さが極めて小さい非常に均一な表面を実現していることが確認できる。このような表面特性は、瞬間的な熱分解によって、キャリア基板から可撓性基板の表面全体が同時に分離されるJILO工程の特性によるものである。
【0070】
本実施形態の可撓性表示装置において、可撓性基板表面のRMS(root mean square)粗さは1nm〜15nmの範囲に属する。可撓性基板のRMS粗さは、可撓性基板の種類、発熱部の抵抗、発熱温度、発熱部に印加される電圧のパルス周期などの様々な要因によって変わるが、共通的に1nmより大きくて15nmを超えない。図7の原子間力顕微鏡(AFM)分析で測定された可撓性基板表面のRMS粗さは、略2.5nmであり、図8の原子間力顕微鏡(AFM)分析で測定された可撓性基板表面のRMS粗さは、略7.5nmである。
【0071】
図9と図10を参照すれば、レーザスキャン工程を利用した比較例の可撓性表示装置において、可撓性基板は20nm以上のRMS粗さを有し、本実施形態の可撓性基板より表面粗さが大きくて均一でない表面を実現していることが確認できる。図10の原子間力顕微鏡(AFM)分析で測定された可撓性基板表面のRMS粗さは、略30nmである。
【0072】
比較例による可撓性基板の表面特性は、レーザスキャン特性、つまり、レーザビームの強さと焦点深さを調節しても精密度に限界があるため、可撓性基板の熱分解高さが一定でないことと、可撓性基板の表面がレーザスキャン方向に沿って順次に(つまり、部分的に)熱分解される特性などによるものである。
【0073】
次に、本実施形態による可撓性表示装置において、JILO工程前と工程後の薄膜トランジスタ特性変化について説明する。
【0074】
下記表1は、JILO工程前に測定した薄膜トランジスタの特性を示した表であり、図11はJILO工程前とJILO工程後の薄膜トランジスタの伝達特性を示したグラフである。
【0075】
【表1】
【0076】
JILO工程前、薄膜トランジスタの電荷移動度(μFET)は90.4cm2/Vsec、閾値電圧は−2.9V、s−スロープ(sub−threshold slope)は0.32V/decadeと測定された。また、JILO工程後、図11に示すように、薄膜トランジスタの閾値電圧とS−スロープに変化がないことを確認することができる。この結果はJILO工程が薄膜トランジスタの性能に有意味な損傷を引き起こさないことを意味する。
【0077】
図12は、JILO工程後の薄膜トランジスタの伝達特性を示すグラフであって、BTS(bias−temperature−stress)実験結果を示す。BTS実験は、Vg=15V、600秒、85℃のバイアスストレス条件で進められた。
【0078】
図12を参照すれば、ストレス前に対比し、Vds=5.1Vおよび0.1Vのバイアスストレス条件で0.1Vの閾値電圧移動が観察された。この値はガラス基板に形成された一般的なLTPS(Low Temperature Poly−Silicon)薄膜トランジスタと類似した値である。この結果からJILO工程が薄膜トランジスタの信頼度に及ぼす影響がほぼ無いことを確認することができる。
【0079】
図13Aは、JILO工程後の薄膜トランジスタの伝達特性を示すグラフであって、HDC(high drain current)ストレス実験結果を示す。図13Bは、JILO工程後の薄膜トランジスタの履歴(hysteresis)を示すグラフである。
【0080】
図13Aにおいて、HDCストレス条件は、Vgs=(−15V)、Vds=(20V)、および60秒である。図13Aの結果からHDCストレス後の薄膜トランジスタの電気的特性に変化が生じないことを確認することができる。また、図13Bにおいて、JILO工程後の閾値電圧移動は大略0.2Vであって、この値は一般的なLTPS薄膜トランジスタとほぼ類似した値である。
【0081】
上述した実験結果から、本実施形態によるJILO技術が薄膜トランジスタの性能と信頼性に影響を与えず、大量生産に適した技術であることを知ることができる。
【0082】
以下、図14と図15を参照しながら、可撓性表示装置の内部構造について詳細に説明する。
【0083】
図14は、可撓性表示装置の画素構造を示す配置図であり、図15は、図14のA−A線に沿って切断した可撓性表示装置の断面を示す。図14と図15では、可撓性表示装置の具体的な例として有機発光表示装置を示した。
【0084】
図14と図15を参照すれば、可撓性表示装置200は複数の画素を含み、各画素ごとに駆動回路部230と有機発光素子240が位置する。駆動回路部230は、スイッチング薄膜トランジスタ30と駆動薄膜トランジスタ40および蓄電素子50を含む。また、可撓性基板210の一方向に沿ってゲートライン61が位置し、データライン62と共通電源ライン63がゲートライン61と絶縁して交差する。
【0085】
図14では、1つの画素に2つの薄膜トランジスタ30、40と1つの蓄電素子50が位置する構造を例示した。しかし、可撓性表示装置200は、1つの画素に3つ以上の薄膜トランジスタと2つ以上の蓄電素子を備えてもよく、別途の配線をさらに備えて多様な構造を有してもよい。
【0086】
スイッチング薄膜トランジスタ30は、スイッチング半導体層31、スイッチングゲート電極32、スイッチングソース電極33、およびスイッチングドレイン電極34を含む。駆動薄膜トランジスタ40は、駆動半導体層41、駆動ゲート電極42、駆動ソース電極43、および駆動ドレイン電極44を含む。薄膜トランジスタとして図15に示したトップゲート構造の他に、ボトムゲート構造の薄膜トランジスタが用いられてもよい。
【0087】
蓄電素子50は、層間絶縁膜64を間において配置された一対の蓄電板51、52を含む。このとき、層間絶縁膜64は誘電体として形成される。蓄電素子50で蓄電された電荷と両蓄電板51、52との間の電圧によって蓄電容量が決定される。
【0088】
有機発光素子240は、画素電極25と、画素電極25上に形成された有機発光層26と、有機発光層26上に形成された共通電極27とを含む。画素電極25は正孔注入電極であってもよく、共通電極27は電子注入電極であってもよい。可撓性表示装置200の駆動方法に応じてその反対の場合も可能である。画素電極25および共通電極27からそれぞれ正孔と電子が有機発光層26内部に注入される。注入された正孔と電子が結合したエキシトン(exciton)が励起状態から基底状態に落ちるときに発光が引き起こる。
【0089】
画素電極25として反射型電極が用いられ、共通電極27として透過型または半透過型電極が用いられてもよい。この場合、有機発光素子240は、封止部材250に向かって光を放出する。画素電極25として透過型または半透過型電極が用いられ、共通電極27として反射型電極が用いられてもよい。この場合、有機発光素子240は、可撓性基板210に向かって光を放出する。
【0090】
スイッチング薄膜トランジスタ30は、発光させようとする画素を選択するスイッチング素子として用いられる。スイッチングゲート電極32はゲートライン61と連結する。スイッチングソース電極33はデータライン62に連結する。スイッチングドレイン電極34はスイッチングソース電極33から離隔して配置され、ある一蓄電板51と連結する。
【0091】
駆動薄膜トランジスタ40は、選択された画素内の有機発光素子240の有機発光層26を発光させるための駆動電源を画素電極25に印加する。駆動ゲート電極42は、スイッチングドレイン電極34と連結した蓄電板51と連結する。駆動ソース電極43と他の一蓄電板52はそれぞれ共通電源ライン63と連結する。駆動ドレイン電極44は、コンタクトホールを介して有機発光素子240の画素電極25と連結する。
【0092】
上述した構造により、スイッチング薄膜トランジスタ30は、ゲートライン61に印加されるゲート電圧によって作動し、データライン62に印加されたデータ電圧を駆動薄膜トランジスタ40に伝達する。共通電源ライン63から駆動薄膜トランジスタ40に印加された共通電圧とスイッチング薄膜トランジスタ30から伝達されたデータ電圧の差に相当する電圧が蓄電素子50に貯蔵され、蓄電素子に貯蔵された電圧に対応する電流が有機発光素子240に流れて有機発光素子240が発光する。
【0093】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲と発明の詳細な説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属することは当然である。
【符号の説明】
【0094】
30:スイッチング薄膜トランジスタ
40:駆動薄膜トランジスタ
50:蓄電素子
61:ゲートライン
62:データライン
63:共通電源ライン
110:キャリア基板
120:発熱部
210、211:可撓性基板
220:バリヤ膜
230:駆動回路部
240:発光素子
250:封止部材
200、201:可撓性表示装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア基板上に発熱部を形成する段階と、
前記発熱部上に可撓性基板を形成する段階と、
前記可撓性基板上に薄膜トランジスタを形成する段階と、
前記薄膜トランジスタと連結する発光素子を形成する段階と、
前記発熱部の自体発熱によって前記可撓性基板に熱を加えて前記発熱部から前記可撓性基板を分離する段階と、
を含む、可撓性表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記可撓性基板は前記発熱部上に単一層で形成される、請求項1に記載の可撓性表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記可撓性基板を分離する段階において、前記発熱部と前記可撓性基板との間の界面温度は前記可撓性基板の融点よりも高い、請求項2に記載の可撓性表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記可撓性基板は、前記発熱部上に形成された犠牲層、前記犠牲層上に形成された透湿防止層、および前記透湿防止層上に形成された本体層を含む、請求項1に記載の可撓性表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記可撓性基板を分離する段階において、前記発熱部と前記犠牲層との間の界面温度は前記犠牲層の融点よりも高い、請求項4に記載の可撓性表示装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のうちのいずれか一項の方法によって製造され、
前記可撓性基板と前記発光素子を含み、前記可撓性基板の外面は1nm〜15nmの範囲に属するRMS(root mean square)粗さを有する、可撓性表示装置。
【請求項7】
キャリア基板上に抵抗を有する導電物質を含む発熱部を形成する段階と、
前記発熱部上に可撓性基板を形成する段階と、
前記可撓性基板上に薄膜トランジスタを含む駆動回路部を形成する段階と、
前記駆動回路部上に発光素子および封止部材を形成する段階と、
前記発熱部に電圧を印加してジュール熱を発生させることによって前記可撓性基板に直接熱を加え、前記発熱部から前記可撓性基板を分離する段階と、
を含む、可撓性表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記発熱部は金属と金属酸化物のうちの少なくとも1つを含み、前記キャリア基板上に均一な厚さで形成される、請求項7に記載の可撓性表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記発熱部はパルス波形の電圧の印加を受けてジュール熱を発生させる、請求項8に記載の可撓性表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記可撓性基板は前記発熱部上に単一層で形成され、前記発熱部のジュール熱によって前記発熱部と接する一部領域が分解されて前記発熱部から分離される、請求項7に記載の可撓性表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記可撓性基板は、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、およびポリエチレンナフタレートのうちの少なくとも1つを含む、請求項10に記載の可撓性表示装置の製造方法。
【請求項12】
前記発熱部のジュール発熱温度は300℃〜900℃の範囲に属する、請求項11に記載の可撓性表示装置の製造方法。
【請求項13】
前記可撓性基板は、前記発熱部上に形成された犠牲層、前記犠牲層上に形成された透湿防止層、および前記透湿防止層上に形成された本体層を含む、請求項7に記載の可撓性表示装置の製造方法。
【請求項14】
前記犠牲層は前記本体層より薄い厚さで形成され、前記発熱部のジュール熱によって少なくとも一部が分解されて前記透湿防止層および前記本体層が前記発熱部から分離される、請求項13に記載の可撓性表示装置の製造方法。
【請求項15】
前記犠牲層は、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、およびポリエチレンナフタレートのうちの少なくとも1つを含む、請求項14に記載の可撓性表示装置の製造方法。
【請求項16】
前記発熱部のジュール発熱温度は300℃〜900℃の範囲に属する、請求項15に記載の可撓性表示装置の製造方法。
【請求項17】
前記発光素子は複数の有機発光素子を含む、請求項7に記載の可撓性表示装置の製造方法。
【請求項18】
前記封止部材は、複数の有機膜と複数の無機膜を含む多層膜で構成される、請求項17に記載の可撓性表示装置の製造方法。
【請求項19】
請求項7〜請求項18のうちのいずれか一項の方法によって製造され、
前記可撓性基板と前記発光素子を含み、前記可撓性基板の外面は1nm〜15nmの範囲に属するRMS粗さを有する、可撓性表示装置。
【請求項1】
キャリア基板上に発熱部を形成する段階と、
前記発熱部上に可撓性基板を形成する段階と、
前記可撓性基板上に薄膜トランジスタを形成する段階と、
前記薄膜トランジスタと連結する発光素子を形成する段階と、
前記発熱部の自体発熱によって前記可撓性基板に熱を加えて前記発熱部から前記可撓性基板を分離する段階と、
を含む、可撓性表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記可撓性基板は前記発熱部上に単一層で形成される、請求項1に記載の可撓性表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記可撓性基板を分離する段階において、前記発熱部と前記可撓性基板との間の界面温度は前記可撓性基板の融点よりも高い、請求項2に記載の可撓性表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記可撓性基板は、前記発熱部上に形成された犠牲層、前記犠牲層上に形成された透湿防止層、および前記透湿防止層上に形成された本体層を含む、請求項1に記載の可撓性表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記可撓性基板を分離する段階において、前記発熱部と前記犠牲層との間の界面温度は前記犠牲層の融点よりも高い、請求項4に記載の可撓性表示装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のうちのいずれか一項の方法によって製造され、
前記可撓性基板と前記発光素子を含み、前記可撓性基板の外面は1nm〜15nmの範囲に属するRMS(root mean square)粗さを有する、可撓性表示装置。
【請求項7】
キャリア基板上に抵抗を有する導電物質を含む発熱部を形成する段階と、
前記発熱部上に可撓性基板を形成する段階と、
前記可撓性基板上に薄膜トランジスタを含む駆動回路部を形成する段階と、
前記駆動回路部上に発光素子および封止部材を形成する段階と、
前記発熱部に電圧を印加してジュール熱を発生させることによって前記可撓性基板に直接熱を加え、前記発熱部から前記可撓性基板を分離する段階と、
を含む、可撓性表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記発熱部は金属と金属酸化物のうちの少なくとも1つを含み、前記キャリア基板上に均一な厚さで形成される、請求項7に記載の可撓性表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記発熱部はパルス波形の電圧の印加を受けてジュール熱を発生させる、請求項8に記載の可撓性表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記可撓性基板は前記発熱部上に単一層で形成され、前記発熱部のジュール熱によって前記発熱部と接する一部領域が分解されて前記発熱部から分離される、請求項7に記載の可撓性表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記可撓性基板は、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、およびポリエチレンナフタレートのうちの少なくとも1つを含む、請求項10に記載の可撓性表示装置の製造方法。
【請求項12】
前記発熱部のジュール発熱温度は300℃〜900℃の範囲に属する、請求項11に記載の可撓性表示装置の製造方法。
【請求項13】
前記可撓性基板は、前記発熱部上に形成された犠牲層、前記犠牲層上に形成された透湿防止層、および前記透湿防止層上に形成された本体層を含む、請求項7に記載の可撓性表示装置の製造方法。
【請求項14】
前記犠牲層は前記本体層より薄い厚さで形成され、前記発熱部のジュール熱によって少なくとも一部が分解されて前記透湿防止層および前記本体層が前記発熱部から分離される、請求項13に記載の可撓性表示装置の製造方法。
【請求項15】
前記犠牲層は、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、およびポリエチレンナフタレートのうちの少なくとも1つを含む、請求項14に記載の可撓性表示装置の製造方法。
【請求項16】
前記発熱部のジュール発熱温度は300℃〜900℃の範囲に属する、請求項15に記載の可撓性表示装置の製造方法。
【請求項17】
前記発光素子は複数の有機発光素子を含む、請求項7に記載の可撓性表示装置の製造方法。
【請求項18】
前記封止部材は、複数の有機膜と複数の無機膜を含む多層膜で構成される、請求項17に記載の可撓性表示装置の製造方法。
【請求項19】
請求項7〜請求項18のうちのいずれか一項の方法によって製造され、
前記可撓性基板と前記発光素子を含み、前記可撓性基板の外面は1nm〜15nmの範囲に属するRMS粗さを有する、可撓性表示装置。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−189974(P2012−189974A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99272(P2011−99272)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】
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