説明

回転速度検出装置付き車輪用軸受装置

【課題】センサホルダと芯金との剥離を防止すると共に、検出精度と信頼性の向上を図った回転速度検出装置付き車輪用軸受装置を提供する。
【解決手段】芯金24が、外方部材3の端部に圧入され、円孔26が形成された外径円筒部24aと、この外径円筒部24aの軸受外方側から径方向内方に延びる立板部24bと、この立板部24bから軸受内方側に延びる内径円筒部24cと、この内径円筒部24cから径方向内方に延びる内径部24dとを有し、センサホルダ20が外径円筒部24aから立板部24bおよび内径円筒部24cに亙る部位にインサート成形されて一体に結合されると共に、内径部24dにシール部材25が接合され、この内径部24dが回転速度センサ29の検出部から軸受外方側に退避して配置されているので、検出部と磁気エンコーダ28のエアギャップを小さく設定することができ、高い磁束密度が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等の車輪の回転速度を検出する回転速度センサを内蔵した回転速度検出装置付き車輪用軸受装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支承すると共に、アンチロックブレーキシステム(ABS)を制御するために車輪の回転速度を検出する装置が軸受に内蔵された回転速度検出装置付き車輪用軸受装置が一般的に知られている。従来、このような車輪用軸受装置は、転動体を介して転接する内方部材および外方部材の間にシール装置が設けられ、円周方向に磁極を交互に並べてなる磁気エンコーダを前記シール装置に一体化させると共に、磁気エンコーダと、この磁気エンコーダに対面配置され、車輪の回転に伴う磁気エンコーダの磁極変化を検出する回転速度センサとで回転速度検出装置が構成されている。
【0003】
前記回転速度センサは、懸架装置を構成するナックルに車輪用軸受装置が装着された後、当該ナックルに装着されているものが一般的である。しかし、この回転速度センサと磁気エンコーダとのエアギャップ調整作業の煩雑さを解消すると共に、よりコンパクト化を狙って最近では、回転速度センサをも軸受に内蔵した回転速度検出装置付き車輪用軸受装置が提案されている。
【0004】
このような回転速度検出装置付き車輪用軸受装置の一例として図4に示すような構造が知られている。この回転速度検出装置付き車輪用軸受装置50は、外方部材51と、この外方部材51に複列のボール52を介して内挿された内方部材53と、外方部材51の端部に装着された回転速度検出装置54とを備えている。
【0005】
外方部材51は、外周に懸架装置を構成するナックル(図示せず)に取り付けられるための車体取付フランジ51bを一体に有し、内周に複列の外側転走面51a、51aが一体に形成されている。
【0006】
一方、内方部材53は、ハブ輪55と、このハブ輪55に固定された内輪56とからなる。ハブ輪55は、一端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ57を一体に有し、外周に前記複列の外側転走面51a、51aの一方に対向する内側転走面55aと、この内側転走面55aから軸方向に延びる円筒状の小径段部55bが形成されている。内輪56は、外周に前記複列の外側転走面51a、51aの他方に対向する内側転走面56aが形成され、ハブ輪55の小径段部55bに所定のシメシロを介して圧入されている。
【0007】
外方部材51の複列の外側転走面51a、51aと、これらに対向するハブ輪55の内側転走面55aおよび内輪56の内側転走面56a間には複列のボール52、52が収容され、保持器58、58によって転動自在に保持されている。また、外方部材51と内方部材53との間に形成される環状空間の開口部にはシール59、60が装着され、軸受内部に封入された潤滑グリースの漏洩と、外部から軸受内部に雨水やダスト等が侵入するのを防止している。
【0008】
回転速度検出装置54は、図5に示すように、磁気センサ61が包埋されたセンサホルダ62と、シール60とからなる。センサホルダ62は、合成樹脂から射出成形により、シール60を構成する芯金65に一体にインサート成形されている。
【0009】
シール60は、第1のシールリング63と第2のシールリング64とが組み合わされて構成されている。第1のシールリング63は、一つの剛性リングによって形成された芯金65と、この芯金65に被着されたシール部材66とからなる。芯金65は、外方部材51の端部に内嵌された嵌合用円筒部65aと、同円筒部65aから径方向内方に延びる外側フランジ部65bと、このフランジ部65bから軸方向外方(左方)に延びる水分浸入防止用円筒部65cと、および同円筒部65cから径方向内方に延びる内側フランジ部65dを有している。そして、この内側フランジ部65dの内周縁部にシール部材66が接着されている。
【0010】
第2のシールリング64は、内輪56に装着され、断面が略L字状に形成されたスリンガ67と、このスリンガ67に外嵌されたパルサリング68とからなる。スリンガ67は、内輪56の小径部56bに圧入された円筒部67aと、この円筒部67aから径方向外方に延びる外向きフランジ部67bとを有し、円筒部67aの内径には、内輪56の端面に摺接するアキシアルリップ69aを有する弾性シール69が設けられている。
【0011】
パルサリング68は、環状の支持部材70と、これに接着された着磁体71とからなる。支持部材70は、スリンガ67の円筒部67aに圧入される小径円筒部70aと、この小径円筒部70aから径方向外方に延びる連結部70b、およびこの連結部70bから軸方向内方に延び、内輪56の大径部56cより大径に形成された大径円筒部70cからなる。そして、この大径円筒部70cに着磁体71が接着されている。この着磁体71は、磁性粉を含有したゴムまたは樹脂を加硫接着して周方向交互にN極、S極を配置するように径方向から着磁され、芯金65の水分浸入防止用円筒部65cに接触しない範囲で磁気センサ61に対向配置されている。
【0012】
シール部材66は、スリンガ67の外向きフランジ部67bに摺接されるスリンガ側サイドリップ66aと、支持部材70の小径円筒部70aに摺接される一対のラジアルリップ66b、66cと、支持部材70の連結部70bに摺接されるパルサ側サイドリップ66dとを有している。
【0013】
センサホルダ62は外方部材51の端面と僅かな軸方向すきまを介して対向され、芯金65の嵌合用円筒部65aの外径の一部を露出させるように、環状の凹所72が形成されている。この凹所72にOリング73が弾性装着されと共に、センサホルダ62の外方側の端面にスリンガ67の外径よりも小径の孔径を有する円板状カバー74が装着されている。
【0014】
回転速度検出装置54は、第1のシールリング63とパルサリング68とが組み合わされた後、パルサリング68の支持部材70がスリンガ67に圧入されることで、Oリング73を含むすべての構成が予め組み立てられ、その全体が軸方向に押圧されることにより、芯金65の嵌合用円筒部65aが外方部材51の端部に内嵌されると共に、スリンガ67の円筒部67aが内輪56の小径部56bに圧入される。このような構成により、芯金65とセンサホルダ62との分離が防止できると共に、芯金65とセンサホルダ62との境界からの水分の浸入を防止することができる。
【特許文献1】特開2006−183701号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従来の回転速度検出装置付き車輪用軸受装置50では、芯金65にセンサホルダ62がインサート成形されているため、センサホルダ62と芯金65との分離が防止できると共に、芯金65とセンサホルダ62との境界からの水分の浸入を防止することができる。然しながら、磁気センサ61は芯金65の水分浸入防止用円筒部65cに接触しない範囲で対向配置されているものの、鋼板製の芯金65を介して磁気センサ61と着磁体71とが対峙しているため、例え、芯金65が検出精度に影響を及ぼさない非磁性体材料で構成されていたとしても、少なくとも芯金65の肉厚分そのエアギャップが大きくなり、高い磁束密度による検出精度と信頼性の向上を図るには限界があった。
【0016】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、センサホルダと芯金との剥離を防止すると共に、検出精度と信頼性の向上を図った回転速度検出装置付き車輪用軸受装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
係る目的を達成すべく、本発明のうち請求項1記載の発明は、外周に懸架装置に取り付けるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、前記外方部材と内方部材との間に形成される環状空間の開口部に装着されたシールと、前記外方部材のインナー側の端部に装着され、合成樹脂から射出成形により形成されて回転速度センサが包埋されたセンサホルダと、周方向に関する特性が交互にかつ等間隔に変化する磁気エンコーダとを備え、前記シールのうちインナー側のシールが、前記センサホルダがインサート成形され、その露出した部分が前記外方部材の端部に圧入される芯金、およびこの芯金に一体に接合され、サイドリップとラジアルリップを一体に有するシール部材からなる環状のシール板と、このシール板に対向して前記内輪の外径に圧入されるスリンガ、およびこのスリンガに外嵌固定され、その外径部に前記磁気エンコーダが設けられたパルサリングとからなり、前記サイドリップが前記パルサリングとスリンガに摺接され、前記ラジアルリップが前記パルサリングに摺接されると共に、前記磁気エンコーダが前記回転速度センサに所定の径方向すきまを介して対峙された回転速度検出装置付き車輪用軸受装置において、前記芯金が、前記外方部材の端部に圧入される外径円筒部と、この外径円筒部の軸受外方側から径方向内方に延びる立板部と、この立板部から軸受内方側に延びる内径円筒部と、この内径円筒部から径方向内方に延びる内径部とを有し、前記センサホルダが前記外径円筒部から立板部および内径円筒部に亙る部位にインサート成形されて一体に結合されると共に、前記内径部に前記シール部材が接合され、この内径部が前記回転速度センサの検出部から軸受外方側に退避して配置されている。
【0018】
このように、外方部材と内方部材との間に形成される環状空間の開口部に装着されたシールと、外方部材のインナー側の端部に装着され、合成樹脂から射出成形により形成されて回転速度センサが包埋されたセンサホルダと、周方向に関する特性が交互にかつ等間隔に変化する磁気エンコーダとを備え、シールのうちインナー側のシールが、センサホルダがインサート成形され、その露出した部分が外方部材の端部に圧入される芯金、およびこの芯金に一体に接合され、サイドリップとラジアルリップを一体に有するシール部材からなる環状のシール板と、このシール板に対向して内輪の外径に圧入されるスリンガ、およびこのスリンガに外嵌固定され、その外径部に磁気エンコーダが設けられたパルサリングとからなり、サイドリップがパルサリングとスリンガに摺接され、ラジアルリップがパルサリングに摺接されると共に、磁気エンコーダが回転速度センサに所定の径方向すきまを介して対峙された回転速度検出装置付き車輪用軸受装置において、芯金が、外方部材の端部に圧入される外径円筒部と、この外径円筒部の軸受外方側から径方向内方に延びる立板部と、この立板部から軸受内方側に延びる内径円筒部と、この内径円筒部から径方向内方に延びる内径部とを有し、センサホルダが外径円筒部から立板部および内径円筒部に亙る部位にインサート成形されて一体に結合されると共に、内径部にシール部材が接合され、この内径部が回転速度センサの検出部から軸受外方側に退避して配置されているので、従来のように、鋼板製の芯金を介して回転速度センサと磁気エンコーダとが対峙するのではなく、磁気的には回転速度センサの検出部と磁気エンコーダが直接対峙するため、そのエアギャップを可及的に小さく設定することができる。したがって、高い磁束密度が得られ、検出精度と信頼性の向上を図った回転速度検出装置付き車輪用軸受装置を提供することができる。
【0019】
好ましくは、請求項2に記載の発明のように、前記磁気エンコーダが、エラストマに磁性体粉が混入されて周方向に交互に磁極N、Sが着磁されたゴム磁石からなると共に、前記回転速度センサが、磁束の流れ方向に応じて特性を変化させる磁気検出素子と、リード線を介してこの磁気検出素子の出力波形を整える波形成形回路が組み込まれたICとからなり、前記芯金の外径円筒部に前記リード線を通すための孔が形成されていれば、芯金を避けてリード線を配線する必要がなく最短距離で磁気検出素子とICとを繋ぐことができ、回転速度センサの信頼性を向上させることができる。
【0020】
また、請求項3に記載の発明のように、前記芯金の外径円筒部に孔が複数形成されていれば、リード線を配線する作業が効率化される共に、ICとハーネスとを結線後、これら孔内にセンサホルダの樹脂が入り込んで塞がれるため、泥水や塩水が跳ねかけられる過酷な環境に曝され、また、高温と低温の繰り返し等、過酷な条件下で使用されても、樹脂製のセンサホルダと芯金との密着性を確保することができ、インサート成形されたセンサホルダが芯金から剥離するのを長期間に亘って防止することができる。
【0021】
また、請求項4に記載の発明のように、前記センサホルダが非磁性体の合成樹脂で構成されていれば、一層回転速度センサの検出精度と信頼性の向上を図ることができる。
【0022】
また、請求項5に記載の発明のように、前記外方部材の端部内周に環状溝が形成されると共に、前記芯金の外径円筒部の端部に径方向外方に折曲された係止部が形成され、この係止部が前記環状溝に係合していれば、車両の運転中に振動や衝撃が負荷されても外方部材に対して芯金が移動するのを確実に防止することができ、検出部の位置ずれを防止して長期間に亘って安定した検出精度を維持することができる。
【0023】
また、請求項6に記載の発明のように、前記内輪の外径に小径部と大径部が形成され、前記小径部に前記スリンガの円筒部が圧入されると共に、前記パルサリングが、強磁性体の鋼鈑からプレス加工によって形成され、前記スリンガの円筒部に圧入される円筒状の内径部と、この内径部から径方向外方に延びる立板部、およびこの立板部から軸受内方側に延び、前記内輪の大径部よりも僅かに大径に形成された円筒状の外径部を有する支持部材を備え、この支持部材の外径部に前記磁気エンコーダが一体に接合されていれば、密封性を向上させ、パルサリングが雨水やダスト等により汚れるのを防止することができると共に、強磁性体からなる支持部材の特性と相俟って出力信号が強くなり安定した検出精度を確保することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る回転速度検出装置付き車輪用軸受装置は、外周に懸架装置に取り付けるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、前記外方部材と内方部材との間に形成される環状空間の開口部に装着されたシールと、前記外方部材のインナー側の端部に装着され、合成樹脂から射出成形により形成されて回転速度センサが包埋されたセンサホルダと、周方向に関する特性が交互にかつ等間隔に変化する磁気エンコーダとを備え、前記シールのうちインナー側のシールが、前記センサホルダがインサート成形され、その露出した部分が前記外方部材の端部に圧入される芯金、およびこの芯金に一体に接合され、サイドリップとラジアルリップを一体に有するシール部材からなる環状のシール板と、このシール板に対向して前記内輪の外径に圧入されるスリンガ、およびこのスリンガに外嵌固定され、その外径部に前記磁気エンコーダが設けられたパルサリングとからなり、前記サイドリップが前記パルサリングとスリンガに摺接され、前記ラジアルリップが前記パルサリングに摺接されると共に、前記磁気エンコーダが前記回転速度センサに所定の径方向すきまを介して対峙された回転速度検出装置付き車輪用軸受装置において、前記芯金が、前記外方部材の端部に圧入される外径円筒部と、この外径円筒部の軸受外方側から径方向内方に延びる立板部と、この立板部から軸受内方側に延びる内径円筒部と、この内径円筒部から径方向内方に延びる内径部とを有し、前記センサホルダが前記外径円筒部から立板部および内径円筒部に亙る部位にインサート成形されて一体に結合されると共に、前記内径部に前記シール部材が接合され、この内径部が前記回転速度センサの検出部から軸受外方側に退避して配置されているので、従来のように、鋼板製の芯金を介して回転速度センサと磁気エンコーダとが対峙するのではなく、磁気的には回転速度センサの検出部と磁気エンコーダが直接対峙するため、そのエアギャップを可及的に小さく設定することができる。したがって、高い磁束密度が得られ、検出精度と信頼性の向上を図った回転速度検出装置付き車輪用軸受装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
外周に懸架装置に取り付けるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に前記複列の外側転走面の一方に対向する内側転走面と、この内側転走面から軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入され、外周に前記複列の外側転走面の他方に対向する内側転走面が形成された内輪からなる内方部材と、この内方部材と前記外方部材の両転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、前記外方部材と内方部材との間に形成される環状空間の開口部に装着されたシールと、前記外方部材のインナー側の端部に装着され、合成樹脂から射出成形により形成されて回転速度センサが包埋されたセンサホルダと、エラストマに磁性体粉が混入されて周方向に交互に磁極N、Sが着磁されたゴム磁石からなる磁気エンコーダとを備え、前記シールのうちインナー側のシールが、前記センサホルダがインサート成形され、その露出した部分が前記外方部材の端部に圧入される芯金、およびこの芯金に一体に接合され、サイドリップとラジアルリップを一体に有するシール部材からなる環状のシール板と、このシール板に対向して前記内輪の外径に圧入されるスリンガ、およびこのスリンガに外嵌固定され、その外径部に前記磁気エンコーダが設けられたパルサリングとからなり、前記サイドリップが前記パルサリングとスリンガに摺接され、前記ラジアルリップが前記パルサリングに摺接されると共に、前記磁気エンコーダが前記回転速度センサに所定の径方向すきまを介して対峙された回転速度検出装置付き車輪用軸受装置において、前記芯金が、前記外方部材の端部に圧入され、孔が形成された外径円筒部と、この外径円筒部の軸受外方側から径方向内方に延びる立板部と、この立板部から軸受内方側に延びる内径円筒部と、この内径円筒部から径方向内方に延びる内径部とを有し、前記センサホルダが前記外径円筒部から立板部および内径円筒部に亙る部位にインサート成形されて一体に結合されると共に、前記内径部に前記シール部材が接合され、この内径部が前記回転速度センサの検出部から軸受外方側に退避して配置されている。
【実施例】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る回転速度検出装置付き車輪用軸受装置の一実施形態を示す縦断面図、図2は、図1の要部拡大図、図3(a)は、図2のシール板単体を示す断面図、(b)は、(a)の変形例を示す断面図である。なお、以下の説明では、車両に組み付けた状態で車両の外側寄りとなる側をアウター側(図面左側)、中央寄り側をインナー側(図面右側)という。
【0027】
この回転速度検出装置付き車輪用軸受装置は駆動輪用の第3世代構造と呼称され、ハブ輪1と複列の転がり軸受2および等速自在継手8をユニット化して構成されている。複列の転がり軸受2は、外方部材3と内方部材4、および複列の転動体(ボール)5、5を備えている。
【0028】
外方部材3はS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼からなり、外周に懸架装置を構成するナックル(図示せず)に取り付けられるための車体取付フランジ3bを一体に有し、内周に複列の外側転走面3a、3aが一体に形成されている。そして、これら複列の外側転走面3a、3aが高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。
【0029】
一方、内方部材4は、ハブ輪1と、このハブ輪1に固定された内輪6とからなる。ハブ輪1は、アウター側の端部に車輪(図示せず)を取り付けるための車輪取付フランジ7を一体に有し、外周に前記複列の外側転走面3a、3aの一方(アウター側)に対向する内側転走面1aと、この内側転走面1aから軸方向に延びる円筒状の小径段部1bが形成され、内周にトルク伝達用のセレーション(またはスプライン)1cが形成されている。なお、車輪取付フランジ7の円周等配位置には車輪を取り付けるハブボルト7aが植設されている。
【0030】
ハブ輪1はS53C等の炭素0.40〜0.80wt%を含む中高炭素鋼からなり、内側転走面1aをはじめ、後述するアウター側のシール10が摺接する車輪取付フランジ7の基部7bから小径段部1bに亙って高周波焼入れによって表面硬さを58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。なお、後述する加締部1dは未焼入れで鍛造後の表面硬さのままとされている。
【0031】
内輪6は、外周に前記複列の外側転走面3a、3aの他方(インナー側)に対向する内側転走面6aが形成され、ハブ輪1の小径段部1bに所定のシメシロを介して圧入されている。そして、この小径段部1bの端部を径方向外方に塑性変形させて形成した加締部1dによってハブ輪1に対して軸方向に固定されている。なお、内輪6および転動体5はSUJ2等の高炭素クロム鋼で形成され、ズブ焼入れによって芯部まで58〜64HRCの範囲に硬化処理されている。
【0032】
外方部材3の複列の外側転走面3a、3aと、これらに対向するハブ輪1の内側転走面1aおよび内輪6の内側転走面6a間には複列の転動体5、5が収容され、保持器9、9によって転動自在に保持されている。そして、内輪6の小径側(正面側)の端面がハブ輪1の肩部に突合せ状態で衝合し、所謂背面合せタイプの複列アンギュラ玉軸受を構成している。また、外方部材3と内方部材4との間に形成される環状空間の開口部にはシール10、11が装着され、軸受内部に封入された潤滑グリースの漏洩と、外部から軸受内部に雨水やダスト等が侵入するのを防止している。
【0033】
等速自在継手8は、外側継手部材12と継手内輪13とケージ14およびトルク伝達ボール15とを備えている。外側継手部材12は、カップ状のマウス部16と、このマウス部16の底部をなす肩部17と、この肩部17から軸方向に延びる軸部18とを一体に有している。軸部18の外周にはハブ輪1のセレーション1cに係合するセレーション(またはスプライン)18aと、このセレーション18aの端部に雄ねじ18bが形成されている。そして、加締部1dの端面と肩部17が衝合するまで、ハブ輪1にセレーション1c、18aを介して外側継手部材12が内嵌されると共に、雄ねじ18bに締結された固定ナット19によってハブ輪1と外側継手部材12がトルク伝達可能に、かつ着脱自在にユニット化されている。
【0034】
回転速度検出装置を構成するセンサホルダ20は外方部材3のインナー側の端部に装着されている。そして、インナー側のシール11はこのセンサホルダ20と内輪6との間に形成される環状空間の開口部に装着されている。シール11は、図2に示すように、断面略L字状に形成された環状のシール板21とスリンガ22を備え、互いに対向して配置されている。パルサリング23はスリンガ22に外嵌固定されている。
【0035】
シール板21は、芯金24と、この芯金24に加硫接着等で一体に接合されたシール部材25とからなる。芯金24は、オーステナイト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS304系等)、あるいは、防錆処理された冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)をプレス加工にて形成され、図3(a)に示すように、外方部材3の端部に圧入される外径円筒部24aと、この外径円筒部24aから立板部24bを介して軸方向に延びる内径円筒部24cと、この内径円筒部24cから径方向内方に延びる内径部24dとを有し、この内径部24dにシール部材25が接合されている。外径円筒部24aは、外方部材3の端部から突出して形成され、後述するセンサホルダ20はこの外径円筒部24aから立板部24bおよび内径円筒部24cに亙る部位にインサート成形されて芯金24に一体に結合されている。また、芯金の外径円筒部24aには後述するリード線を通すための円孔26が周方向1箇所に形成されている。なお、円孔26の孔形状は一例であり、円に限らず長方形や正方形でも良い。
【0036】
図3(b)に示すシール板34は、前述した芯金24の一部を変更した変形例である。この芯金35は、前述した芯金24と同様、オーステナイト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS304系等)、あるいは、防錆処理された冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)をプレス加工にて形成され、外方部材3の端部に圧入される外径円筒部35aと、この外径円筒部35aから立板部24bを介して軸方向に延びる内径円筒部24cと、この内径円筒部24cから径方向内方に延びる内径部24dとを有している。
【0037】
ここで、外径円筒部35aの端部に径方向外方に折曲された係止部36が形成されると共に、外径円筒部35aの外周面に円孔26が複数個形成されている。そして、外方部材3の端部内周に形成された環状溝3cに外径円筒部35aの係止部36が係合される。すなわち、組立工程において、芯金35の外径円筒部35aが弾性変形して芯金35が外方部材3に圧入され、この芯金35の係止部36が外方部材3の環状溝3cの位置に来た時、外径円筒部35aが復元して係止部36が環状溝3cに係合する。これにより、車両の運転中に振動や衝撃が負荷されても外方部材3に対して芯金35が移動するのを確実に防止することができ、検出部の位置ずれを防止して長期間に亘って安定した検出精度を維持することができる。
【0038】
また、外径円筒部35aの外周面に複数の円孔26が形成されることにより、リード線を配線する作業が効率化される共に、これらの円孔26の全てにセンサホルダ20の樹脂が入り込んで塞がれるため、厳しい環境条件で使用されてもインサート成形されたセンサホルダ20と芯金24との剥離を確実に防止することができる。
【0039】
シール部材25は合成ゴム等の弾性部材からなり、芯金24の内径部24dに加硫接着等で一体に接合され、内径部24dを挟んでその両側にサイドリップ25a、25bと、内径部24dの内縁に一対のラジアルリップ25c、25dとを有している。
【0040】
スリンガ22は、オーステナイト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS304系等)、あるいは、防錆処理された冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)をプレス加工にて形成され、内輪6の小径部6bの外径に圧入される円筒部22aと、この円筒部22aから径方向外方に延びる立板部22bと、この立板部22bの角部に加硫接着等で一体に接合された弾性リップ22cとを有している。この弾性リップ22cは内輪6の端面に弾性接触して、スリンガ22と内輪6との嵌合部から雨水等の水分が軸受内部に浸入するのを防止している。
【0041】
パルサリング23は、スリンガ22に圧入される支持部材27と、この支持部材27に加硫接着により一体に接合された磁気エンコーダ28とからなる。支持部材27は、強磁性体の鋼鈑、例えば、フェライト系ステンレス鋼鈑(JIS規格のSUS430系等)あるいは防錆処理された冷間圧延鋼鈑(JIS規格のSPCC系等)からなり、プレス加工によって形成され、スリンガ22の円筒部22aに圧入される円筒状の内径部27aと、この内径部27aから径方向外方に延びる立板部27b、およびこの立板部27bから軸受内方側に延び、内輪6の大径部6cよりも僅かに大径に形成された円筒状の外径部27cを有している。磁気エンコーダ28はこの外径部27cに接合されている。この磁気エンコーダ28は、ゴム等のエラストマにフェライト等の磁性体粉が混入されたゴム磁石からなり、周方向に交互に磁極N、Sが着磁され、車輪の回転速度検出用のロータリエンコーダを構成している。これにより、強磁性体からなる支持部材27の特性と相俟って出力信号が強くなり安定した検出精度を確保することができる。
【0042】
シール部材25のサイドリップ25a、25bは、スリンガ22と支持部材27の立板部22b、27bに摺接されると共に、一対のラジアルリップ25c、25dは支持部材27の円筒部27aにそれぞれ摺接されている。こうしたシール11を構成することにより、密封性を向上させ、パルサリング23が雨水やダスト等により汚れるのを防止することができる。
【0043】
センサホルダ20はポリフェニレンサルファイド(PPS)等の非磁性の樹脂材で形成され、磁気エンコーダ28に所定の径方向すきまを介して対峙する回転速度センサ29が包埋されている。この回転速度センサ29は、ホール素子、磁気抵抗素子(MR素子)等、磁束の流れ方向に応じて特性を変化させる磁気検出素子29aと、リード線29bを介してこの磁気検出素子29aの出力波形を整える波形成形回路が組み込まれたIC29cとからなる。なお、図2の回転速度センサ29の実施例は一例を示すものであり、磁気検出素子29aと波形成型回路29cが一体化されたICでも良い。
【0044】
また、センサホルダ20は外方部材3の端面と僅かな軸方向すきまを介して対向され、芯金24の外径円筒部24aの一部を露出させるように、環状の凹所30が形成されている。この凹所30にOリング31が弾性装着され、芯金24と外方部材3との嵌合部および芯金24とセンサホルダ20との接合部から雨水やダスト等の異物が侵入するのを防止している。また、センサホルダ20のインナー側の端面にはスリンガ22の外径よりも小径の孔径を有する円板状カバー32が装着され、外側継手部材12とスリンガ22との間でラビリンスシールを構成している。これにより、スリンガ22に直接雨水やダスト等の異物が直接侵入するのを防止し、密封性を一層向上させることができる。なお、センサホルダ20は前述した材質以外にPA(ポリアミド)66、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等の射出成形可能な合成樹脂を例示することができる。
【0045】
ここで、本実施形態では、前述したように、芯金24が、外方部材3の端部に圧入される外径円筒部24aと、この外径円筒部24aの軸受外方側から径方向内方に延びる立板部24bと、この立板部24bから軸受内方側に延びる内径円筒部24cと、この内径円筒部24cから径方向内方に延びる内径部24dとを有し、センサホルダ20が外径円筒部24aから立板部24bおよび内径円筒部24cに亙る部位にインサート成形されて一体に結合されていると共に、内径部24dにシール部材25が接合され、この内径部24dが回転速度センサ29の磁気検出素子(検出部)29aから軸受外方側に退避して配置されている。
【0046】
こうした構成の芯金24を採用することにより、従来のように、鋼板製の芯金を介して回転速度センサと磁気エンコーダとが対峙するのではなく、磁気的には回転速度センサ29と磁気エンコーダ28が直接対峙するため、その径方向すきま(エアギャップ)を可及的に小さく設定することができる。したがって、高い磁束密度が得られ、検出精度と信頼性の向上を図った回転速度検出装置付き車輪用軸受装置を提供することができる。
【0047】
さらに、本実施形態では、芯金24(35)の外径円筒部24a(35a)にリード線29bを通すための円孔26が形成されているので、芯金を避けてリード線を配線する必要がなく最短距離で磁気検出素子29aとIC29cとを繋ぐことができ、回転速度センサ29の信頼性を向上させることができる。そして、IC29cとハーネス(図示せず)とを結線後、この円孔26内にセンサホルダ20の樹脂が入り込んで塞がれるため、泥水や塩水が跳ねかけられる過酷な環境に曝され、また、高温と低温の繰り返し等、過酷な条件下で使用されても、樹脂製のセンサホルダ20と芯金24との密着性を確保することができ、インサート成形されたセンサホルダ20が芯金24から剥離するのを長期間に亘って防止することができる。
【0048】
以上、本発明の実施の形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、および範囲内のすべての変更を含む。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明に係る回転速度検出装置付き車輪用軸受装置は、シールを構成する芯金にインサート成形され、回転速度センサが包埋されたセンサホルダを備え、このセンサホルダから露出した芯金が外方部材の端部に圧入された車輪用軸受装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係る回転速度検出装置付き車輪用軸受装置の一実施形態を示す縦断面図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】(a)は、本発明に係るシール板単体を示す断面図である。 (b)は、(a)の変形例を示す断面図である。
【図4】従来の回転速度検出装置付き車輪用軸受装置を示す縦断面図である。
【図5】図4の要部拡大図である。
【符号の説明】
【0051】
1・・・・・・・・・・・・・・・・ハブ輪
1a、6a・・・・・・・・・・・・内側転走面
1b・・・・・・・・・・・・・・・小径段部
1c、18a・・・・・・・・・・・セレーション
1d・・・・・・・・・・・・・・・加締部
2・・・・・・・・・・・・・・・・複列の転がり軸受
3・・・・・・・・・・・・・・・・外方部材
3a・・・・・・・・・・・・・・・外側転走面
3b・・・・・・・・・・・・・・・車体取付フランジ
3c・・・・・・・・・・・・・・・環状溝
4・・・・・・・・・・・・・・・・内方部材
5・・・・・・・・・・・・・・・・転動体
6・・・・・・・・・・・・・・・・内輪
6b・・・・・・・・・・・・・・・小径部
6c・・・・・・・・・・・・・・・大径部
7・・・・・・・・・・・・・・・・車輪取付フランジ
7a・・・・・・・・・・・・・・・ハブボルト
7b・・・・・・・・・・・・・・・基部
8・・・・・・・・・・・・・・・・等速自在継手
9・・・・・・・・・・・・・・・・保持器
10・・・・・・・・・・・・・・・アウター側のシール
11・・・・・・・・・・・・・・・インナー側のシール
12・・・・・・・・・・・・・・・外側継手部材
13・・・・・・・・・・・・・・・継手内輪
14・・・・・・・・・・・・・・・ケージ
15・・・・・・・・・・・・・・・トルク伝達ボール
16・・・・・・・・・・・・・・・マウス部
17・・・・・・・・・・・・・・・肩部
18・・・・・・・・・・・・・・・軸部
18b・・・・・・・・・・・・・・雄ねじ
19・・・・・・・・・・・・・・・固定ナット
20・・・・・・・・・・・・・・・センサホルダ
21、34・・・・・・・・・・・・シール板
22・・・・・・・・・・・・・・・スリンガ
22a・・・・・・・・・・・・・・円筒部
22b、24b、27b・・・・・・立板部
22c・・・・・・・・・・・・・・弾性リップ
23・・・・・・・・・・・・・・・パルサリング
24、35・・・・・・・・・・・・芯金
24a、35a・・・・・・・・・・外径円筒部
24c・・・・・・・・・・・・・・内径円筒部
24d、27a・・・・・・・・・・内径部
25・・・・・・・・・・・・・・・シール部材
25a、25b・・・・・・・・・・サイドリップ
25c、25d・・・・・・・・・・ラジアルリップ
26・・・・・・・・・・・・・・・円孔
27・・・・・・・・・・・・・・・支持部材
27c・・・・・・・・・・・・・・外径部
28・・・・・・・・・・・・・・・磁気エンコーダ
29・・・・・・・・・・・・・・・回転速度センサ
29a・・・・・・・・・・・・・・磁気検出素子
29b・・・・・・・・・・・・・・リード線
29c・・・・・・・・・・・・・・IC
30・・・・・・・・・・・・・・・凹所
31・・・・・・・・・・・・・・・Oリング
32・・・・・・・・・・・・・・・円板状カバー
33・・・・・・・・・・・・・・・係止部
36・・・・・・・・・・・・・・・係止部
50・・・・・・・・・・・・・・・回転速度検出装置付き車輪用軸受装置
51・・・・・・・・・・・・・・・外方部材
51a・・・・・・・・・・・・・・外側転走面
51b・・・・・・・・・・・・・・車体取付フランジ
52・・・・・・・・・・・・・・・ボール
53・・・・・・・・・・・・・・・内方部材
54・・・・・・・・・・・・・・・回転速度検出装置
55・・・・・・・・・・・・・・・ハブ輪
55a、56a・・・・・・・・・・内側転走面
55b・・・・・・・・・・・・・・小径段部
56・・・・・・・・・・・・・・・内輪
56b・・・・・・・・・・・・・・小径部
56c・・・・・・・・・・・・・・大径部
57・・・・・・・・・・・・・・・車輪取付フランジ
58・・・・・・・・・・・・・・・保持器
59・・・・・・・・・・・・・・・アウター側のシール
60・・・・・・・・・・・・・・・インナー側のシール
61・・・・・・・・・・・・・・・磁気センサ
62・・・・・・・・・・・・・・・センサホルダ
63・・・・・・・・・・・・・・・第1のシールリング
64・・・・・・・・・・・・・・・第2のシールリング
65・・・・・・・・・・・・・・・芯金
65a・・・・・・・・・・・・・・嵌合用円筒部
65b・・・・・・・・・・・・・・外側フランジ部
65c・・・・・・・・・・・・・・水分浸入防止用円筒部
65d・・・・・・・・・・・・・・内側フランジ部
66・・・・・・・・・・・・・・・シール部材
66a・・・・・・・・・・・・・・スリンガ側サイドリップ
66b、66c・・・・・・・・・・ラジアルリップ
66d・・・・・・・・・・・・・・パルサ側サイドリップ
67・・・・・・・・・・・・・・・スリンガ
67a・・・・・・・・・・・・・・円筒部
67b・・・・・・・・・・・・・・外向きフランジ部
68・・・・・・・・・・・・・・・パルサリング
69・・・・・・・・・・・・・・・弾性シール
69a・・・・・・・・・・・・・・アキシアルリップ
70・・・・・・・・・・・・・・・支持部材
70a・・・・・・・・・・・・・・小径円筒部
70b・・・・・・・・・・・・・・連結部
70c・・・・・・・・・・・・・・大径円筒部
71・・・・・・・・・・・・・・・着磁体
72・・・・・・・・・・・・・・・凹所
73・・・・・・・・・・・・・・・Oリング
74・・・・・・・・・・・・・・・円板状カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周に懸架装置に取り付けるための車体取付フランジを一体に有し、内周に複列の外側転走面が一体に形成された外方部材と、
一端部に車輪を取り付けるための車輪取付フランジを一体に有し、外周に軸方向に延びる小径段部が形成されたハブ輪、およびこのハブ輪の小径段部に圧入された少なくとも一つの内輪からなり、外周に前記複列の外側転走面に対向する複列の内側転走面が形成された内方部材と、
この内方部材と前記外方部材の両転走面間に転動自在に収容された複列の転動体と、
前記外方部材と内方部材との間に形成される環状空間の開口部に装着されたシールと、
前記外方部材のインナー側の端部に装着され、合成樹脂から射出成形により形成されて回転速度センサが包埋されたセンサホルダと、
周方向に関する特性が交互にかつ等間隔に変化する磁気エンコーダとを備え、
前記シールのうちインナー側のシールが、前記センサホルダがインサート成形され、その露出した部分が前記外方部材の端部に圧入される芯金、およびこの芯金に一体に接合され、サイドリップとラジアルリップを一体に有するシール部材からなる環状のシール板と、このシール板に対向して前記内輪の外径に圧入されるスリンガ、およびこのスリンガに外嵌固定され、その外径部に前記磁気エンコーダが設けられたパルサリングとからなり、前記サイドリップが前記パルサリングとスリンガに摺接され、前記ラジアルリップが前記パルサリングに摺接されると共に、
前記磁気エンコーダが前記回転速度センサに所定の径方向すきまを介して対峙された回転速度検出装置付き車輪用軸受装置において、
前記芯金が、前記外方部材の端部に圧入される外径円筒部と、この外径円筒部の軸受外方側から径方向内方に延びる立板部と、この立板部から軸受内方側に延びる内径円筒部と、この内径円筒部から径方向内方に延びる内径部とを有し、前記センサホルダが前記外径円筒部から立板部および内径円筒部に亙る部位にインサート成形されて一体に結合されると共に、前記内径部に前記シール部材が接合され、この内径部が前記回転速度センサの検出部から軸受外方側に退避して配置されていることを特徴とする回転速度検出装置付き車輪用軸受装置。
【請求項2】
前記磁気エンコーダが、エラストマに磁性体粉が混入されて周方向に交互に磁極N、Sが着磁されたゴム磁石からなると共に、前記回転速度センサが、磁束の流れ方向に応じて特性を変化させる磁気検出素子と、リード線を介してこの磁気検出素子の出力波形を整える波形成形回路が組み込まれたICとからなり、前記芯金の外径円筒部に前記リード線を通すための孔が形成されている請求項1に記載の回転速度検出装置付き車輪用軸受装置。
【請求項3】
前記芯金の外径円筒部に孔が複数形成されている請求項1または2に記載の回転速度検出装置付き車輪用軸受装置。
【請求項4】
前記センサホルダが非磁性体の合成樹脂で構成されている請求項1乃至3いずれかに記載の回転速度検出装置付き車輪用軸受装置。
【請求項5】
前記外方部材の端部内周に環状溝が形成されると共に、前記芯金の外径円筒部の端部に径方向外方に折曲された係止部が形成され、この係止部が前記環状溝に係合している請求項1乃至4いずれかに記載の回転速度検出装置付き車輪用軸受装置。
【請求項6】
前記内輪の外径に小径部と大径部が形成され、前記小径部に前記スリンガの円筒部が圧入されると共に、前記パルサリングが、強磁性体の鋼鈑からプレス加工によって形成され、前記スリンガの円筒部に圧入される円筒状の内径部と、この内径部から径方向外方に延びる立板部、およびこの立板部から軸受内方側に延び、前記内輪の大径部よりも僅かに大径に形成された円筒状の外径部を有する支持部材を備え、この支持部材の外径部に前記磁気エンコーダが一体に接合されている請求項1乃至5いずれかに記載の回転速度検出装置付き車輪用軸受装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−2385(P2009−2385A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−161477(P2007−161477)
【出願日】平成19年6月19日(2007.6.19)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】