説明

圧力制御装置および燃料供給装置

【課題】燃料圧力変更時の応答性を向上し、燃料供給圧力の切替時間の算出精度を向上し、燃費を向上する圧力制御装置および燃料供給装置を提供する。
【解決手段】燃料消費部に燃料を供給する燃圧制御弁50と、燃料の燃料圧を制御する操作圧燃料の燃料圧を切り替える燃料切替弁70とを備える圧力制御装置32において、燃料切替弁70が、燃料管部82に往復動可能に収容されて往復動により燃料管部82を開閉可能なシール部84と、シール部84と一体的に往復動可能なアーマチャ部83と、シール部84を開弁方向にアーマチャ部83を移動する電磁コイル72と、シール部84を閉弁する方向にアーマチャ部83を移動する付勢手段74とを備えてなる圧力制御装置32であって、アーマチャ部83の往復動方向の一方側の空間に開口した第1の口と、他方側の空間に開口した第2の口と、第1の口および第2の口を連通する連通路とを有する貫通孔83aを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力制御装置およびこれを備えた燃料供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載された内燃機関の燃料供給装置は、燃料タンク内に貯留された燃料を燃料ポンプによって燃料消費部に供給するときに、その燃料消費部に対する燃料供給圧力を調整するための圧力制御装置を備えている。圧力制御装置は、燃料タンク内の燃料を汲み上げる燃料ポンプから、燃料消費部を構成するインジェクタへの燃料供給圧力を調圧するようになっている。
【0003】
このような圧力制御装置は、一般に、ハウジング内をダイヤフラムによって2室に区画し、そのダイヤフラムの一面側で調圧室内の燃料圧に応じたダイヤフラムの中央部の変位を利用して調圧弁体を開弁方向および閉弁方向に変位させる構成になっている。また、このような圧力制御装置は、ダイヤフラムの他面側では圧縮コイルばねによりダイヤフラムの変位を抑制することで、調圧室内の燃料圧が設定圧に達するよう調圧弁体の開弁状態を保持する構成となっている。このような圧力制御装置が、燃料ポンプとともに燃料タンク内に配置されていることが多い。
【0004】
この種の圧力制御装置としては、例えばハウジング内を2室に区画するダイヤフラムと、このダイヤフラムの一面側に位置し、燃料ポンプからの加圧燃料が導入される流体導入口および余剰燃料が排出される排出口を有する圧力室と、ダイヤフラムの他面側に位置し、背圧流体が導入される背圧室と、ハウジング内に摺動可能に設けられ、ダイヤフラムと背圧室の間に大気圧に開放される開放室を形成するプランジャと、ダイヤフラムの変位に応じて排出口を開閉するようダイヤフラムに装着された弁部材と、ダイヤフラムとプランジャの間に介在されて弁部材を開弁方向に付勢するスプリングと、プランジャの可動範囲を規定するストッパ手段とを備えたプレッシャレギュレータ、すなわち燃圧制御弁を利用したものが知られている。そして、この燃圧制御弁を備えた圧力制御装置では、背圧流体の供給の有無によってスプリングの設定荷重を2段階に切り替えることで、設定値を低圧値と高圧値に切り替えるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、従来から、燃料供給通路上に2つの圧力制御装置を備えた燃料供給装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。この燃料供給装置は、燃料ポンプによって燃料タンクから燃料供給通路を介して圧送された燃料の圧力と基準圧力との差圧が所定値以上であるときに、燃料を燃料タンクに戻すリターン通路を開いて、前述した差圧を一定に調整する燃圧制御弁を備えている。そして、この燃料供給装置は、燃圧制御弁により所定圧力に調整された燃料を、間欠的に開駆動制御される燃料噴射弁によって機関に噴射供給する構成となっている。
【0006】
この特許文献2に開示された燃料供給装置は、燃圧制御弁が燃料供給通路の下流側及び上流側にそれぞれ配設されており、上流側の燃圧制御弁のリターン通路を介して燃料タンクに燃料を戻すか否かによって、上流側および下流側のいずれか一方の燃圧制御弁を機能させるようになっている。さらに、特許文献2に開示された燃料供給装置では、いずれか一方の燃圧制御弁を機能させるために、電磁弁からなる燃料切替弁の切り替えが行われるようになっている。
【0007】
また、特許文献2に開示された燃料供給装置は、2つの燃圧制御弁のいずれか一方を選択的に機能させる燃料切替弁と、2つの燃圧制御弁の切替条件を検出するスタートスイッチと、このスタートスイッチによって切替条件が検出された後の燃料噴射弁の噴射終了時期に同期させて燃料切替弁を制御して燃圧制御弁の切り替えを行わせる切替制御手段とを備えている。このような構成により、切替時に燃料圧に乱れが生じても、燃料圧の乱れによって噴射量の精度が悪化することが回避することができ、噴射精度を向上することができる。
【0008】
ここで、従来から燃料供給装置に適用される燃料切替弁としては、例えば図10に示すようなものが知られている。図10に示す燃料切替弁100は、ボビン101と、電磁コイル102と、バルブ103と、圧縮コイルばね104と、シールド105と、ステータコア106とを備えている。
【0009】
ボビン101は、合成樹脂で構成され、ボビン部110と、シリンダ部111と、燃料管部112とを備えている。ボビン部110は、外側に電磁コイル102が巻き付けられているとともに、内側に圧縮コイルばね104が収容されている。シリンダ部111はボビン部110に連続して形成され、シリンダ部111の内部にはバルブ103が往復動可能に収容されている。燃料管部112は、シリンダ部111の端部に形成されるとともに、燃料が供給される燃料流入管112aと、燃料が排出される燃料流出管112bと、シリンダ部111の内側を向けて開放された燃料流出管112bの開口端部112cとを備えている。
【0010】
バルブ103は、略円柱形状の磁性体からなり、アーマチャ部113と、一方の端面に設けられたシール部114とを備えている。バルブ103がシリンダ部111で移動してシール部114が開口端部112cに押圧されることにより、燃料流入管112aと燃料流出管112bとの連通が閉塞されるようになっている。圧縮コイルばね104は、バルブ103が燃料流入管112aと燃料流出管112bとの連通を閉塞する方向に付勢している。
【0011】
図10(a)に示すように、電磁コイル102に通電されていない時は、圧縮コイルばね104の付勢によりバルブ103が燃料流入管112aと燃料流出管112bとの連通を閉塞している。このため、燃料流入管112aに流入された燃料は、図中矢印で示すようにバルブ103により止められる。
【0012】
一方、図10(b)に示すように、電磁コイル102に通電された時は、電磁コイル102によりバルブ103が圧縮コイルばね104に抗して吸引され、バルブ103が燃料流入管112aと燃料流出管112bとを連通する。このため、燃料流入管112aに流入された燃料は、図中矢印で示すようにシリンダ部111を経て燃料流出管112bから排出される。
【0013】
また、近年の燃料供給装置にあっては、燃料系の各構成部品がユニット化されて燃料タンク内に設けられることが多くなっている。このため、前述した燃料切替弁100も燃料タンク内に貯留された燃料に浸されている状態であることが多い。しかも、電磁コイル102の磁束をバルブ103に有効に通すために、バルブ103とボビン101の隙間Sが極小となっている。
【0014】
一方、燃料供給装置を搭載した車両のECU(Electronic Control Unit)では、燃料切替弁100の電磁コイル102に電圧を印加した時点から燃料消費部への燃料供給圧力が実際に変更されるまでのタイムラグを算出している。これにより、ECUは、燃料消費部で所望の燃料供給圧力を得ようとする時よりもタイムラグの分だけ早く電磁コイル102に電圧を印加するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2009−144686号公報
【特許文献2】特開平06−249013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、従来の燃料供給装置にあっては、電磁コイル102への電力供給のオンオフを切り替えてバルブ103が往復動する際、移動方向の前後に貯留された燃料がバルブ103とボビン101との極小の隙間Sを介して移動することになり、バルブ103の移動において大きな抵抗を生じてしまう。これにより、バルブ103の移動速度が低下してしまい、バルブ103の切り替えが完了するまでに長時間を要するという問題があった。
【0017】
バルブ103の切替時間が長くなると、電磁コイル102に電圧を印加した時点から燃料消費部への燃料供給圧力が実際に変更されるまでのタイムラグが長くなってしまい、タイムラグの誤差が大きくなってタイムラグの算出精度が低下してしまうという問題があった。また、このようにタイムラグの算出精度が低下すると、燃料ポンプを駆動する負荷が増大するとともに、燃料消費部への燃料供給圧力の設定精度が低下して本来の設定値と異なる圧力で燃料を供給してしまう可能性があり、これらの理由により燃費の向上が困難であるという問題があった。
【0018】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、従来と比較して燃料圧力変更時の応答性を向上することができるとともに、燃料供給圧力の切替時間の算出精度を向上し、さらには燃費を向上することができる圧力制御装置および燃料供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明に係る圧力制御装置は、上記目的達成のため、(1)操作圧燃料の圧力切替により制御対象燃料の圧力を制御する燃圧制御弁と、前記操作圧燃料の圧力を切り替える燃料切替弁とを備えるとともに、前記燃料切替弁は、前記操作圧燃料が流通する燃料流通部に往復動可能に収容されて移動により前記燃料流通部を開閉可能な弁体と、前記弁体に設けられて前記弁体と一体的に往復動可能なアーマチャと、前記弁体を開弁する方向に前記アーマチャを移動する電磁コイルと、前記弁体を閉弁する方向に前記アーマチャを移動する付勢手段とを備えてなる圧力制御装置において、前記アーマチャの往復動方向の一方側の空間に開口した第1の口と、他方側の空間に開口した第2の口と、前記第1の口および前記第2の口を連通する連通路とを有する連通部を備える。
【0020】
この構成により、アーマチャの往復動方向前後の空間同士の間で操作圧燃料が移動可能になる。このため、アーマチャの移動時には、従来のようにアーマチャの往復動方向前後の空間同士で操作圧燃料が流通しにくくアーマチャの移動に対して大きな抵抗を生ずる場合に比べて、アーマチャの操作圧燃料による移動抵抗を小さくすることができる。これにより、アーマチャおよび弁体の移動速度を大きくすることができるので、弁の応答性を向上できる。
【0021】
弁の応答性が向上することにより、電磁コイルに電圧を印加した時点から燃料消費部への燃料供給圧力が実際に変更されるまでのタイムラグが短くなり、タイムラグの誤差が小さくなってタイムラグの算出精度を向上することができる。
【0022】
また、弁の応答性が向上することにより、制御対象燃料の燃料圧を高圧から低圧に切り替える速度も速くなる。このため、ポンプ圧を高圧から低圧に迅速に低減することができるので、燃費を向上することができる。
【0023】
上記(1)に記載の圧力制御装置においては、(2)前記第1の口は前記アーマチャの前記一方側の端部に形成され、前記第2の口は前記アーマチャの前記他方側の端部に形成され、前記連通路は前記アーマチャの内部に形成された貫通孔からなることが好ましい。
【0024】
ここで、電磁コイルからの磁束はアーマチャの外周部、すなわち連通部以外の部分を通過する。アーマチャを通過する磁束は中心部よりも外周部の方が高密度になる。しかも、従来はアーマチャの移動時にはアーマチャの周囲を燃料が流通していたので、アーマチャと周壁との隙間をある程度確保しなければならず、電磁コイルとアーマチャとの距離を短くして磁束を確保することが困難であった。これに対し、本発明では、アーマチャの移動時には燃料はアーマチャの内部に形成された貫通孔を流通するので、アーマチャと周壁との隙間を従来よりも小さくすることができる。これにより、貫通孔からなる連通路を備えたアーマチャであっても、そのような連通路を有しない中実のアーマチャに比べて、同等の磁束数を得ることができる。
【0025】
このため、この構成により、貫通孔の径を十分に太くしてもアーマチャに多数の磁束を通過させてアーマチャは従来のものに近い磁力を得ることができるとともに、大径の貫通孔内に操作圧燃料を流通させてアーマチャの移動抵抗を小さくすることができる。しかも、貫通孔を有するアーマチャは、従来の中実のアーマチャに比べて軽量化される。
【0026】
上記(1)に記載の圧力制御装置においては、(3)前記第1の口は前記アーマチャの外周面の前記一方側の端部に形成され、前記第2の口は前記外周面の前記他方側の端部に形成され、前記連通路は前記外周面に形成された溝からなることが好ましい。
【0027】
この構成により、従来の中実なアーマチャの外周部に溝を形成するだけの比較的簡単な加工で連通部を形成することができるので、従来のアーマチャに比べて部品コストの増加を抑制することができる。
【0028】
上記(1)に記載の圧力制御装置においては、(4)前記電磁コイルが巻き付けられるとともに、前記アーマチャを往復動可能に収容するボビンをさらに備え、前記第1の口は前記ボビンの内周面の前記一方側の端部に形成され、前記第2の口は前記内周面の前記他方側の端部に形成され、前記連通路は前記内周面に形成された溝からなることが好ましい。
【0029】
この構成により、アーマチャや弁体は従来と同様であり、ボビンの形状のみを変更すればよい。このため、磁性体から構成され加工が比較的困難なアーマチャについては従来のものをそのまま利用することができるとともに、ボビンを例えば加工の容易な合成樹脂で構成してその内周面に連通部を設けるだけでよいので、部品コストの増加を抑制することができる。
【0030】
上記(1)に記載の圧力制御装置においては、(5)前記電磁コイルが巻き付けられるとともに、前記アーマチャを往復動可能に収容するボビンをさらに備え、前記第1の口は前記ボビンの内周面の前記一方側の端部に形成され、前記第2の口は前記内周面の前記他方側の端部に形成され、前記連通路は前記ボビンの外部に形成された管からなることが好ましい。
【0031】
この構成により、アーマチャや弁体は、従来のものをそのまま利用することができる。また、連通路はボビンの外部に形成された管からなるので、アーマチャやボビンに連通路を形成する場合に比べて連通路の断面積の制約が小さく、十分な断面積を有して操作圧燃料を大量に流通させることができる。
【0032】
上記(1)から(5)に記載の圧力制御装置においては、(6)前記燃圧制御弁は、前記制御対象燃料が導入される燃料導入口、前記制御対象燃料が排出される燃料排出口および前記操作圧燃料が導入される操作圧燃料導入通路を有するハウジングと、前記ハウジング内に前記燃料導入口に連通するとともに前記操作圧燃料導入通路を備える調圧室を形成するとともに、前記調圧室内の燃料圧力に応じ前記燃料導入口と前記燃料排出口とを連通させる隔壁状の調圧部材と、を備え、前記燃圧制御弁は、前記操作圧燃料導入通路に前記操作圧燃料が導入されることにより、前記調圧部材が前記一面側で燃料圧力を受ける受圧領域の面積が変更され、前記受圧領域の面積に応じて前記調圧室内の燃料圧力を調整するものであり、前記燃料切替弁は、閉弁により前記操作圧燃料導入通路に前記操作圧燃料を封入し、開弁により前記操作圧燃料導入通路から前記操作圧燃料を開放させることが好ましい。
【0033】
この構成により、調圧部材が燃料圧を受ける面積を可変とすることにより燃料圧が2段階に調圧される。したがって、可変燃料圧調整弁の内部を3室にしたり、可変燃料圧調整弁を2つ設けることなく燃料消費部に供給される燃料圧を2段階に制御することができる。このため、燃料供給装置を小型化することができる。
【0034】
また、燃料切替弁を開閉させることで、操作圧燃料導入通路に操作圧燃料が導入されるか否かを切り替えることが可能となり、調圧部材の受圧領域の面積を容易に変化させることができる。よって、燃圧制御弁による制御対象燃料の圧力を容易に制御することができる。
【0035】
また、本発明に係る内燃機関の燃料供給装置は、上記目的達成のため、上記(1)ないし(6)のいずれか一項に記載された圧力制御装置を備え、燃料消費部に供給される前記制御対象燃料の圧力を前記圧力制御装置により調圧することが好ましい。
【0036】
この構成により、燃料消費部に供給される制御対象燃料の燃料圧を高圧と低圧に切り替える速度を短くすることができる。特に、ポンプ圧を高圧から低圧に迅速に低減することができるので、燃費を向上することができる。
【0037】
上記(7)に記載の燃料供給装置においては、(8)前記燃料消費部は、内燃機関の燃料噴射部であることが好ましい。この構成により、燃料噴射部に供給される制御対象燃料の燃料圧を高圧と低圧に切り替える時間を短くすることができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、従来と比較して燃料圧力変更時の応答性を向上することができるとともに、燃料供給圧力の切替時間の算出精度を向上し、さらには燃費を向上することができる圧力制御装置および燃料供給装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る燃料供給装置を示す概略図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る圧力制御装置の燃料切替弁が閉塞している状態を示す図であり、(a)は概略図、(b)はその受圧領域を示す模式図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る圧力制御装置の燃料切替弁が開放している状態を示す図であり、(a)は概略図、(b)はその受圧領域を示す模式図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るバルブを示す概略図であり、(a)は(b)のA−A線で切断した断面図、(b)は正面図、(c)は分解組立図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る燃料切替弁を示す断面図であり、(a)は下死点で閉塞の状態、(b)は閉塞と開放の間の状態、(c)は上死点で開放の状態である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る燃料供給装置の動作を示すタイムチャートである。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る燃料供給装置の動作を示すタイムチャートであり、(a)は電圧、(b)は電流、(c)はバルブの位置、(d)は燃料圧を示す。
【図8】本発明の他の実施の形態に係るバルブを示す図であり、(a)は第2の実施の形態に係るバルブの正面図、(b)は(a)のB−B線で切断した断面図、(c)は第3の実施の形態に係るバルブの正面図、(d)は(c)のC−C線で切断した断面図、(e)は第4の実施の形態に係るバルブの正面図、(f)は(e)のD−D線で切断した断面図である。
【図9】本発明の第5の実施の形態に係る燃料切替弁を示す断面図である。
【図10】従来の燃料切替弁を示す概略図であり、(a)は閉塞の状態、(b)は開放の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施の形態は、本発明を車両用の内燃機関に燃料を供給する燃料供給装置に適用したものである。
【0041】
(第1の実施の形態)
まず、その燃料供給装置を搭載した車両の構成について説明する。
【0042】
図1に示すように、車両1は、内燃機関2と、燃料供給装置3と、ECU(Electronic Control Unit;電子制御ユニット)4とを備えている。
【0043】
内燃機関2は、自動車に搭載される多気筒の内燃機関、例えば4サイクルガソリンエンジン(以下、エンジン2という)としている。エンジン2は、複数の気筒20と、各気筒20に対応する吸気ポート21および燃料消費部としてのインジェクタ22と、デリバリーパイプ23とを備えている。インジェクタ22は、例えばその噴孔側の端部22aを各気筒20に対応する吸気ポート21内に露出して設けられている。また、デリバリーパイプ23は、各インジェクタ22に連結されている。これにより、デリバリーパイプ23は、燃料供給装置3からの燃料を各インジェクタ22に分配するようになっている。
【0044】
燃料供給装置3は、エンジン2の複数のインジェクタ22に燃料を圧送および供給するものであり、燃料タンク30と、燃料圧送機構31と、圧力制御装置32とを備えている。
【0045】
燃料タンク30は、エンジン2で消費される燃料、例えばガソリンを貯留する。燃料タンク30は、内部にサブタンク30aを備えている。サブタンク30a内には、燃料圧送機構31の一部が配設されている。ここで、本明細書中で燃料タンク30とは、サブタンク30aをも含んだ総括的な意味で用い、例えば、燃料タンク30に貯留された燃料とはサブタンク30aに貯留された燃料をも含む意味とする。さらに、燃料タンク30は、エンジン2で遂次消費される燃料消費量分だけサブタンク30a内に燃料を導入する公知の図示しないジェットポンプを有している。
【0046】
燃料圧送機構31は、燃料ポンプユニット40と、サクションフィルタ41と、燃料フィルタ42と、チェック弁43と、これらを連結する燃料管44と、燃料ポンプコントローラ(FPC)45とを備えている。燃料圧送機構31は、燃料タンク30に貯留された燃料をエンジン2の複数のインジェクタ22に圧送および供給するようになっている。
【0047】
燃料ポンプユニット40は、例えばポンプ作動用の羽根車を有する燃料ポンプ40aと、その燃料ポンプ40aを回転駆動する内蔵直流モータであるポンプ駆動モータ40bとを有している。燃料ポンプユニット40は、そのポンプ駆動モータ40bへの通電を燃料ポンプコントローラ45を介してECU4により制御されることで駆動および停止されるようになっている。
【0048】
燃料ポンプユニット40は、ポンプ駆動モータ40bの駆動により、燃料タンク30内から燃料を汲み上げ加圧して吐出することができるようになっている。また、燃料ポンプユニット40は、同一の供給電圧に対しそのポンプ駆動モータ40bの回転速度[rpm]を負荷トルクに応じて変化させたり、供給電圧の変化に対応してポンプ駆動モータ40bの回転速度を変化させたりすることができる。これにより、燃料ポンプユニット40は、単位時間当りの吐出量や吐出圧を変化させることができるようになっている。
【0049】
サクションフィルタ41は、燃料ポンプユニット40の吸入口に設けられ、異物の吸入を阻止するようになっている。燃料フィルタ13は、燃料ポンプユニット40の吐出口に設けられ、吐出燃料中の異物を除去するようになっている。
【0050】
チェック弁43は、燃料フィルタ13の上流側または下流側に設けられる逆止弁からなる。チェック弁43は、燃料ポンプユニット40からインジェクタ22側への燃料供給方向に開弁する一方、インジェクタ22側から燃料ポンプユニット40側への燃料の逆流方向には閉弁し、加圧された供給燃料の逆流を阻止するようになっている。
【0051】
燃料ポンプコントローラ45は、燃料タンク30の上部に設けられている。燃料ポンプコントローラ45は、ECU4からのポンプ制御信号と、ポンプ駆動モータ40bの端子電圧を検出する図示しない電圧検出部の検出信号との偏差に応じて、燃料ポンプユニット40のポンプ駆動モータ40bに印加する電圧を制御するようになっている。
【0052】
圧力制御装置32は、燃圧制御弁50および燃料切替弁70を備えている。
【0053】
図2(a)に示すように、燃圧制御弁50は、ハウジング51と、調圧部材52と、圧縮コイルばね53と、外側筒状部材54と、内側筒状部材55とを備えている。燃圧制御弁50は、操作圧燃料の圧力切替により制御対象燃料(以下、単に燃料ともいう)の圧力を制御するようになっている。制御対象燃料は、燃料タンク30から供給されてインジェクタ22から噴射される燃料としている。ハウジング51は、一対の凹状の第1のハウジング部材56および第2のハウジング部材57をそれらの外周部でかしめ結合して形成されている。
【0054】
第1のハウジング部材56は、燃料が導入される燃料導入口51aと、その燃料が排出される燃料排出口51bと、操作圧燃料が導入される操作圧導入孔51cと、操作圧導入孔51cに連通して操作圧燃料が導入される操作圧燃料導入通路65とを有している。第1のハウジング部材56の内部の空間は、調圧部材52に仕切られることにより、調圧室58を形成する。このため、調圧室58は、燃料導入口51aに連通するとともに、操作圧燃料導入通路65を備えたものとなる。
【0055】
第2のハウジング部材57は、少なくとも1つの大気圧導入穴57aを有している。第2のハウジング部材57の内部の空間は、調圧部材52に仕切られることにより、背圧室59を形成する。このため、燃料導入口51aと、燃料排出口51bと、操作圧導入孔51cとは、調圧部材52に対して調圧室58側に配置されている。調圧部材52は、調圧室58内の燃料圧力に応じ燃料導入口51aと燃料排出口51bとを連通させる。
【0056】
調圧部材52は、隔壁状で、第1のハウジング部材56および第2のハウジング部材57に挟持されて支持されるとともに、ハウジング51の内部を調圧室58と背圧室59との2室に区画している。調圧部材52は、第1のハウジング56との間に流体導入口51aに連通する調圧室58を形成する隔壁部60と、調圧室58内の燃料圧に応じた開度で調圧室58を流体排出口51bに連通させる開弁方向に変位する可動弁体部61とを一体化して形成されている。
【0057】
隔壁部60は、第1のハウジング部材56側で調圧室58内の燃料圧を常時受圧するようになっている。隔壁部60は、例えば燃料に対して劣化し難いゴム層を基布材料層として、これに他のゴム層を積層して一体的に接着してなる可撓性のダイヤフラムで構成されている。可動弁体部61は、隔壁部60の中央部に支持された例えば金属製の円板状の弁体プレートで構成されている。
【0058】
圧縮コイルばね53は、背圧室59内に、可動弁体部61を調圧室58側、すなわち閉弁方向に付勢するように設けられている。
【0059】
外側筒状部材54および内側筒状部材55は、調圧室58内に設けられている。外側筒状部材54および内側筒状部材55は、径を異にするとともに、可動弁体部61の移動方向を軸方向として同心に配置されている。内側筒状部材55の可動弁体部61側の端部は、第1弁座部62とされている。外側筒状部材54の可動弁体部61側の端部は、第2弁座部63とされている。
【0060】
第1弁座部62は、その内周側に流体排出口51bに連通する排出通路64を形成している。排出通路64は、ハウジング51の流体排出口51bに連通している。第2弁座部63は、その内周側で第1弁座部62との間に操作圧燃料導入通路65を形成している。操作圧燃料導入通路65は、ハウジング51の操作圧導入孔51cに連通している。また、操作圧燃料導入通路65から燃料切替弁70までに流通する燃料を操作圧燃料としている。
【0061】
第1のハウジング部材56と、調圧部材52と、外側筒状部材54とは、環状の導入側通路66を形成している。導入側通路66は、燃料ポンプユニット40から吐出された燃料を流体導入口51aから導入して、隔壁部60にその燃料圧を受圧させるようになっている。
【0062】
ハウジング51の流体導入口51aは、燃料圧送機構31のチェック弁43より下流側の回路部分である燃料管44に分岐管44aを介して接続されている。ハウジング51の操作圧導入孔51cは、燃料切替弁70に接続されている。
【0063】
ここで、図2(a)に示すように、燃料切替弁70が閉塞状態の時は、操作圧燃料導入通路65が閉塞されるので、操作圧燃料導入通路65の操作圧燃料の圧力は導入側通路66と同等になる。この場合、図2(b)に示すように、調圧部材52の受圧領域は、調圧部材52の導入側通路66に対向する環状受圧面52aおよび操作圧燃料導入通路65に対向する環状受圧面52bとを合わせた領域となる。
【0064】
一方、図3(a)に示すように、燃料切替弁70が開放状態の時は、操作圧燃料導入通路65が燃料タンク30内に開放されるので、操作圧燃料導入通路65の操作圧燃料の圧力は大気圧もしくは燃料タンク30内の燃料と同等になる。この場合、図3(b)に示すように、調圧部材52の受圧領域は、調圧部材52の導入側通路66に対向する環状受圧面52aのみになる。
【0065】
このため、操作圧燃料導入通路65が閉塞されるか開放されるかによって調圧部材52の受圧領域の面積が変化する。そして、調圧部材52の受圧領域の面積が増大すると、圧縮コイルばね53の付勢力に対抗して調圧部材52を開弁させる燃料圧が小さくて済むので、環状の導入側通路66内の燃料の調圧レベルが低下する。逆に、操作圧燃料導入通路65が燃料タンク30内に開放され、調圧部材52の受圧領域の面積が縮小されると、圧縮コイルばね53の付勢力に対抗して調圧部材52を開弁させるために大きな燃料圧が必要になる。このため、環状の導入側通路66内の燃料の調圧レベルが上昇するようになっている。
【0066】
このように、燃圧制御弁50は、操作圧燃料導入通路65に操作圧燃料が導入されることにより、調圧部材52が一面側で燃料圧力を受ける受圧領域の面積が変更され、受圧領域の面積に応じて調圧室58内の燃料圧力を調整するものとなっている。
【0067】
燃圧制御弁50の高圧側の設定圧は、暖機時や高燃温時などにデリバリーパイプ23内の燃料温度が高温になっても、燃料ベーパが生じ難い燃料圧(通常、ゲージ圧で324kPa以上)の設定値となっている。また、燃圧制御弁50の低圧側の設定圧は、例えばゲージ圧で200kPaであり、走行中にデリバリーパイプ23内の燃料温度が比較的低温になったとき、燃料ベーパが生じ難い燃料圧設定値となっている。
【0068】
燃料切替弁70は、ボビン71と、電磁コイル72と、バルブ73と、付勢手段としての圧縮コイルばね74と、シールド75と、ステータコア77とを備え、操作圧燃料の圧力を切り替えるようになっている。
【0069】
ボビン71は、合成樹脂から構成され、ボビン部80と、シリンダ部81と、燃料流通部としての燃料管部82とを備えている。ボビン部80は、外側に電磁コイル72が巻き付けられているとともに、内側に圧縮コイルばね74が収容されている。シリンダ部81はボビン部80に連続して形成され、シリンダ部81の内部にはバルブ73が往復動可能に収容されている。燃料管部82は、シリンダ部81の端部に形成されるとともに、燃料が供給される燃料流入管82aと、燃料が排出される燃料流出管82bと、シリンダ部81の内側を向けて開放された燃料流出管82bの開口端部82cとを備えている。
【0070】
図4(a)〜図4(c)に示すように、バルブ73は、アーマチャ部83と、弁体としてのシール部84とを一体化して備えている。アーマチャ部83は、略円筒形状の磁性体からなるとともに、内部を長手方向に貫通する連通部としての貫通孔83aを備えている。すなわち、アーマチャ部83は、シール部84に設けられてシール部84と一体的に往復動可能となっている。貫通孔83aは、開口端部82c側の端部を拡径して形成された第1の口としてのシール部取付孔83bと、連通路83cと、圧縮コイルばね74側の端部に形成された第2の口83dとを備えている。
【0071】
シール部取付孔83bは、アーマチャ部83の往復動方向の一方側の空間、すなわち開口端部82c側の空間に開口している。第2の口83dは、アーマチャ部83の往復動方向の他方側の空間、すなわち圧縮コイルばね74側の空間に開口している。連通路83cは、シール部取付孔83bおよび第2の口83dを連通する
【0072】
シール部84は、円筒形状の例えば金属製で、アーマチャ部83に圧入により一体化されている。シール部84は、シール部取付孔83bに圧入される圧入部84aと、圧入部84aの開口端部82c側の端部に形成された蓋部84bと、蓋部84bから開口端部82c側に突出した円柱形状のシール体84cと、蓋部84bのシール体84cの周囲に形成された複数の第1の口84dとを備えている。
【0073】
第1の口84dは、蓋部84bを貫通するとともに、図4(b)に示すように正面から見た際に、シール体84cを中心とする周方向の45度ごとの8箇所に配置されている。
第1の口84dは、アーマチャ部83の往復動方向の一方側の空間、すなわち開口端部82c側の空間に開口している。
【0074】
シール体84cの端面84eは、開口端部82cに当接可能になっている。シール体84cの端面84eが開口端部82cに当接して押圧されることにより、開口端部82cが閉塞され、燃料流入管82aと燃料流出管82bとの連通が閉塞されるようになっている。
よって、シール部84は、操作圧燃料が流通する燃料管部82に往復動可能に収容され、移動により燃料管部82を開閉可能となっている。
【0075】
図5(a)〜図5(c)に示すように、電磁コイル72は、シール部84を開弁する方向にアーマチャ部83を移動する。また、圧縮コイルばね74は、バルブ73が燃料流入管82aと燃料流出管82bとの連通を閉塞する方向、すなわちシール部84を閉弁する方向にアーマチャ部83を移動するように付勢している。シールド75は、金属製で、電磁コイル72の周囲を覆うように設けられている。シールド75は、電磁コイル72から外部に漏れる磁束を遮蔽している。
【0076】
図5(a)に示すように、電磁コイル72に電圧が印加されていない時は、バルブ73が圧縮コイルばね74により開口端部82cに押圧されている。これにより、燃料流入管82aと燃料流出管82bとの連通が閉塞されるようになっている。すなわち、この燃料切替弁70は、ノーマリーオフ型となっている。また、この状態を下死点とする。
【0077】
一方、図5(c)に示すように、電磁コイル72に電圧が印加されている時は、バルブ73が電磁コイル72に吸引されて開口端部82cから離隔している。これにより、燃料流入管82aと燃料流出管82bとが連通するようになっている。バルブ73が最も吸引された状態を上死点とする。
【0078】
これにより、燃料切替弁70は、閉弁により操作圧燃料導入通路65に操作圧燃料を封入するとともに、開弁により操作圧燃料導入通路65から操作圧燃料を開放させるようになっている。
【0079】
図1に示すように、ECU4は、CPU(Central Processing Unit)と、固定されたデータの記憶を行うROM(Read Only Memory)と、一時的にデータを記憶するRAM(Random Access Memory)と、書き替え可能な不揮発性のメモリからなるEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)と、A/D変替器やバッファなどを有する入力インターフェース回路と、駆動回路などを有する出力インターフェース回路とを備えている。ECU4には車両のイグニッションスイッチのON/OFF信号が取り込まれるとともに、図示しないバッテリからの電源供給がなされるようになっている。
【0080】
さらに、ECU4の入力インターフェース回路には、各種センサ群が接続されており、これらセンサ群からのセンサ情報がA/D変替器などを含む入力インターフェース回路を通してECU4に取り込まれるようになっている。ECU4の出力インターフェース回路には、インジェクタ22や燃料ポンプユニット40、燃料切替弁70などのアクチュエータ類を制御するためのリレースイッチや、燃料ポンプユニット40の駆動電流を可変制御するためのスイッチング素子などが接続されている。
【0081】
ECU4は、ROM内に格納された制御プログラムを実行することで、公知の電子スロットル制御、燃料噴射量制御、点火時期制御、燃料カット制御、可変バルブタイミング制御などを実行することができる。例えば、ECU4は、エアフローメータにより検出される吸入空気量とクランク角センサにより検出されるエンジン回転数とに基づいて燃焼毎に必要な基本噴射量を算出し、さらにエンジン2の運転状態に応じた各種補正や空燃比フィードバック補正などを施した燃料噴射量を算出し、その燃料噴射量に対応する燃料噴射時間だけ対応するインジェクタ22を開弁駆動する。なお、ここでの燃料噴射時間は、インジェクタ22に供給される燃料圧の設定値に応じて理論空燃比を保つよう設定される。
【0082】
また、ECU4は、エンジン2の運転に要求される燃料噴射量に応じて燃料ポンプユニット40の吐出量を最適値にするようその吐出量に対応するポンプ駆動モータ40bの駆動電圧のコマンド値を生成し、燃料ポンプコントローラ45と共にポンプ駆動モータ40bの駆動電圧をフィードバック制御する機能を有している。
【0083】
さらに、ECU4は、各種センサ群からのセンサ情報およびROMに予め格納された設定値やマップ情報に基づいて、エンジン2の運転中にその負荷状態を繰返し判定する。そして、例えば、エンジン2の始動の暖機時や高燃温時には、燃料切替弁70の電磁コイル72に通電して、燃料ポンプユニット40からの燃料の燃料圧を高圧側の設定圧に切り替えるようになっている(図6参照)。また、例えば、エンジン2の暖機後や高燃温時でない通常の運転時は、燃料切替弁70の電磁コイル72の通電を停止して、燃料ポンプユニット40からの燃料の燃料圧を低圧側の設定圧に切り替えるようになっている(図6参照)。
【0084】
ECU4のROMおよびバックアップメモリに格納される設定値には、燃料圧の高圧側の設定値および低圧側の設定値がそれぞれ含まれている。また、ROMおよびバックアップメモリに格納されるマップ情報には、運転負荷の判定とその判定結果に応じた燃料圧の切替制御のためのマップなどが含まれている。
【0085】
次に、作用について説明する。
【0086】
上述のように構成された本実施の形態の燃料供給装置3では、エンジン2の停止中、燃料ポンプユニット40のポンプ駆動モータ40bおよび燃料切替弁70の電磁コイル72への通電はそれぞれ停止されている状態にある。燃料切替弁70においては、図5(a)に示すように、バルブ73が圧縮コイルばね74により開口端部82cに押圧され、燃料流入管82aと燃料流出管82bとの連通が閉塞されている。
【0087】
エンジン2が始動されると、ECU4はインジェクタ22や燃料ポンプユニット40を作動させる。図1に示すように、燃料ポンプユニット40から吐出された燃料は、チェック弁43および燃料フィルタ42を介して燃料管44に流入される。燃料管44からの燃料は分岐管44aにも流入され、燃圧制御弁50に入り込む。
【0088】
また、図6に示すように、エンジン2が始動されると、ECU4は燃料ポンプユニット40からの燃料の燃料圧を高圧側の設定圧に切り替える。このため、図7(a)に示すように、ECU4は、燃料切替弁70の電磁コイル72に対して、電圧の印加を開始する。図7(b)に示すように、電圧の印加により、電流が緩やかに上昇する。
【0089】
そして、電磁コイル72からの磁束は、アーマチャ部83の貫通孔83a以外の部分を高密度に通過する。アーマチャ部83を通過する磁束は中心部よりも外周部の方が高密度になる。しかも、バルブ73の移動時には燃料は貫通孔83aを流通するので、アーマチャ部83とボビン71の内周面との隙間を従来よりも小さくすることができる。これにより、貫通孔83aを備えたアーマチャ部83であっても、従来のように貫通孔83aを有しないアーマチャに比べて同等の磁束数を確保することができる。
【0090】
これにより、本実施の形態のバルブ73では、貫通孔83aの径を十分に太くしてもアーマチャ部83に多数の磁束を通過させてアーマチャ部83は従来のものに近い磁力を得ることができる。さらに、大径の貫通孔83a内に操作圧燃料を流通させることができるので、アーマチャ部83の移動抵抗を小さくすることができる。しかも、貫通孔83aを有するアーマチャ83は、従来の中実のアーマチャに比べて軽量化される。これらの理由により、アーマチャ部83を迅速に移動させることができる。
【0091】
そして、電流値が所定値90を超えた時点で、電磁コイル72からバルブ73に作用する吸引力が圧縮コイルばね74の抗力を上回り、図7(c)に実線で示すように、バルブ73が下死点から移動し始める。これにより、図5(b)に示すように、バルブ73が開口端部82cから離隔して、燃料流入管82aと燃料流出管82bとが連通する。さらに、図5(c)に示すように、バルブ73が最も移動することにより上死点に達する。よって、燃料切替弁70は開放される。
【0092】
ここで、図5(a)〜図5(c)に示すように、バルブ73が下死点から上死点に移動する際には、バルブ73の圧縮コイルばね74側の燃料は、アーマチャ部83の第2の口83dから取り込まれ、連通路83cを経て、シール部84の第1の口84dからバルブ73の燃料管部82側に排出される。これにより、従来のように貫通孔83aを備えていないバルブ(図10の符号113参照)に比べ、バルブ73の移動抵抗を大幅に低減することができる。その結果、図7(c)に二点鎖線で示すように、従来のバルブではグラフの直線の立ち上がりが緩くなるのに対し、図7(c)に実線で示すように、本実施の形態のバルブ73ではグラフの直線の立ち上がりが急傾斜になる。このため、バルブ73の移動速度を速めることができるので、下死点から上死点への移動時間を短縮することができる。
【0093】
すなわち、図7(c)に示すように、本実施の形態によるバルブ73による下死点から上死点への移動時間Sを、従来の貫通孔83aを備えていないバルブによる下死点から上死点への移動時間Sよりも大幅に短くすることができる。これにより、燃料切替弁70の閉塞から開放への切替時間を短縮することができる。
【0094】
そして、上述した燃料ポンプユニット40から燃圧制御弁50に供給された燃料は、図3(a)に示すように、燃料導入口51aから調圧室58に入り込む。ここで、燃料切替弁70が開放状態であるので、操作圧燃料導入通路65が燃料タンク30内に開放されている。このため、図3(b)に示すように、調圧部材52の受圧領域は、調圧部材52の環状受圧面52aのみになる。
【0095】
これにより、圧縮コイルばね53の付勢力に対抗して調圧部材52を開弁させるために大きな燃料圧が必要になり、環状の導入側通路66内の燃料の調圧レベルが上昇する。分岐管44aおよび燃料管44の燃料圧も上昇して、速やかに高圧側の設定圧、例えば400kPaに達し、燃料通路15を通し高燃料圧の燃料がデリバリーパイプ23に供給される。これにより、暖機時にインジェクタ22からの燃料噴射を高圧で行うことにより、噴霧の微粒化を図ることができ、暖機時の未燃炭化水素の発生を抑えることができる。
【0096】
図7(c)および図7(d)に示すように、燃料切替弁70のバルブ73が少しでも動き始めると同時に、燃料圧が上昇し始める。そして、図7(a)に示すように、暖機運転中は、ECU4は燃料切替弁70の電磁コイル72に対して電圧の印加を維持する。これにより、図7(d)に示すように、高圧の燃料噴射が維持される。
【0097】
次に、図6に示すように、暖機運転が終了すると、ECU4は燃料ポンプユニット40からの燃料の燃料圧を低圧側の設定圧に切り替える。
【0098】
そこで、図7(a)に示すように、ECU4は、燃料切替弁70の電磁コイル72に対して、電圧の印加を停止する。図7(b)に示すように、電圧の印加の停止により、電流が緩やかに下降する。
【0099】
電流値が所定値91を下回った時点で、電磁コイル72からバルブ73に作用する吸引力が圧縮コイルばね74の付勢力より小さくなり、図7(c)に示すように、バルブ73が圧縮コイルばね74の付勢力によって上死点から移動し始める。これにより、図5(b)に示すように、バルブ73が開口端部82cに近づき、さらに、図5(a)に示すように、バルブ73が開口端部82cに当接して押圧することにより下死点に達する。よって、燃料切替弁70は閉塞される。
【0100】
図5(c)〜図5(a)に示すように、バルブ73が上死点から下死点に移動する際には、バルブ73の開口端部82c側の燃料は、シール部84の第1の口84dから取り込まれ、連通路83cを経て、アーマチャ部83の第2の口83dからバルブ73の圧縮コイルばね74側に排出される。これにより、従来のように貫通孔83aを備えていないバルブに比べ、バルブ73の移動抵抗を大幅に低減することができる。すなわち、図7(c)に二点鎖線で示すように、従来のバルブではグラフの直線の立ち下がりが緩いのに対し、図7(c)に実線で示すように、本実施の形態のバルブ73ではグラフの直線の立ち下がりが急傾斜になる。このため、バルブ73の移動速度を速めることができるので、上死点から下死点への移動時間を短縮することができる。
【0101】
すなわち、図7(c)に示すように、本実施の形態によるバルブ73による上死点から下死点への移動時間Sを、従来の貫通孔83aを備えていないバルブによる上死点から下死点への移動時間Sよりも大幅に短くすることができる。これにより、燃料切替弁70の開放から閉塞への切替時間を短縮することができる。
【0102】
そして、上述した燃料ポンプユニット40から燃圧制御弁50に供給された燃料は、図2(a)に示すように、燃料導入口51aから調圧室58に入り込む。ここで、燃料切替弁70が閉塞状態になった後は、操作圧燃料導入通路65が閉塞されている。このため、図2(b)に示すように、調圧部材52の受圧領域は、調圧部材52の環状受圧面52aおよび環状受圧面52bとなる。
【0103】
これにより、圧縮コイルばね53の付勢力に対抗して調圧部材52を開弁させるために小さい燃料圧で足りることになり、環状の導入側通路66内の燃料の調圧レベルが低下する。そして、図7(c)および図7(d)に示すように、燃料切替弁70のバルブ73が完全に閉塞すると同時に、燃料圧が下降し始める。よって、分岐管44aおよび燃料管44の燃料圧も低下して、速やかに低圧側の設定圧、例えば200kPaに達し、燃料通路15を通し低燃料圧の燃料がデリバリーパイプ23に供給される。これにより、ポンプユニット40を低圧作動させることにより、燃費を向上することができる。
【0104】
また、図7(a)〜図7(d)に示すように、本実施の形態による電圧の印加の停止から実際に燃料圧が下降し始めるまでの時間Tは、従来の貫通孔83aを備えていないバルブによる時間Tに比べて大幅に短くなる。
【0105】
また、エンジン2の始動から一定時間が経過した後は、通常の運転状態、例えば部分負荷運転時には、燃費や燃料ポンプユニット40の信頼性の面から低圧側の設定圧が要求される。一方、高燃温時には、ベーパの発生を抑制するために高圧側の設定圧が要求される。
【0106】
以上のように、本実施の形態に係る燃料供給装置3によれば、燃料切替弁70のバルブ73に貫通孔83aを設けているので、燃料切替弁70の開放と閉塞との切替時間を短縮し、弁の応答性を向上することができる。このため、電磁コイル72に電圧を印加した時点からインジェクタ22への燃料供給圧力が実際に変更されるまでのタイムラグが短くなり、タイムラグの誤差が小さくなってタイムラグの算出精度を向上することができる。
【0107】
また、弁の応答性が向上することにより、制御対象燃料の燃料圧を高圧から低圧に切り替える速度も速くなる。このため、ポンプ圧を高圧から低圧に迅速に低減することができるので、燃費を向上することができる。
【0108】
また、本実施の形態に係る燃料供給装置3によれば、燃料切替弁70を開閉させることで、燃圧制御弁50の操作圧燃料導入通路65に操作圧燃料が導入されるか否かを切り替えることが可能となる。操作圧燃料導入通路65に操作圧燃料が導入されるか否かにより、調圧部材52の受圧領域の面積を容易に変化させることができるので、燃圧制御弁50による制御対象燃料の圧力を容易に制御することができる。
【0109】
また、本実施の形態に係る燃料供給装置3によれば、燃圧制御弁50の燃料導入口51aと、燃料排出口51bと、操作圧導入孔51cとは、調圧部材52に対して調圧室58側に配置されている。このため、背圧室59に操作圧燃料を導入する必要がなく、燃圧制御弁50の調圧室58側のみに燃料および操作圧燃料の配管を設ければよい。このため、コンパクトで簡素な配管が可能な燃圧制御弁50を提供することができる。また、本実施の形態に係る燃料供給装置3によれば、ハウジング51内を3室にすることや、燃圧制御弁を2つ設けることなしに、2段階に燃料圧を調整することができる。
【0110】
上述した本実施の形態の燃料供給装置3においては、燃圧制御弁50は操作圧導入孔51cを調圧室58側に配置したものとしている。しかしながら、本発明に係る燃料供給装置においては、これに限られず、燃圧制御弁50は操作圧導入孔51cを背圧室59側に配置したものとしてもよい。
【0111】
(第2の実施の形態)
本実施の形態は、上述の第1の実施の形態と略同様の全体構成を有している。本実施の形態に係る燃料供給装置においては、燃料切替弁70のバルブ173の構成が異なっているが、他の構成は同様に構成されている。したがって、同一の構成については、図4に示した第1の実施の形態と同一の符号を用いて説明し、特に相違点についてのみ詳述する。
【0112】
図8(a)および図8(b)に示すように、本実施の形態のバルブ173は、バルブ173は、アーマチャとしてのアーマチャ部183と、弁体としてのシール部184とを備えている。アーマチャ部183およびシール部184は、磁性体からなるとともに一体形成されている。
【0113】
シール部184は、円筒形状でアーマチャ部183の一端部に形成されている。アーマチャ部183は、略円筒形状で、内部に、シール部184とは反対側の端部からシール部184まで達する連通部としての貫通孔183aを備えている。貫通孔183aは、複数の第1の口83bと、連通路183cと、シール部184とは反対側で圧縮コイルばね74側の端部に形成された第2の口183dとを備えている。
【0114】
第1の口183bは、アーマチャ部183のシール部184側の端面から貫通孔183aまで貫通するとともに、図8(a)に示すように正面から見た際に、シール部184を中心とする周方向の45度ごとの8箇所に配置されている。シール部184の端面184aは、開口端部82cに当接可能になっている。端面184aが開口端部82cに当接して押圧されることにより、開口端部82cが閉塞され、燃料流入管82aと燃料流出管82bとの連通が閉塞されるようになっている。
【0115】
本実施の形態のバルブ173によれば、アーマチャ部183とシール部184とを一体形成しているので、これらを別体で形成する場合に比べて部品点数を削減することができる。
【0116】
(第3の実施の形態)
本実施の形態は、上述の第1の実施の形態と略同様の全体構成を有している。本実施の形態に係る燃料供給装置においては、燃料切替弁70のバルブ273の構成が異なっているが、他の構成は同様に構成されている。したがって、同一の構成については、図4に示した第1の実施の形態と同一の符号を用いて説明し、特に相違点についてのみ詳述する。
【0117】
図8(c)および図8(d)に示すように、本実施の形態のバルブ273は、バルブ273は、アーマチャとしてのアーマチャ部283と、弁体としてのシール部284とを備えている。アーマチャ部283およびシール部284は、磁性体からなるとともに一体形成されている。
【0118】
アーマチャ部283は、中心に透孔を有さずに略円柱形状で、外周面に長手方向に沿った連通部としての連通溝283aを備えている。連通溝283aは、シール部284側の端部に形成された第1の口283bと、連通路283cと、シール部284とは反対側で圧縮コイルばね74側の端部に形成された第2の口283dとを備えている。連通溝283aは、図8(c)に示すように正面から見た際に、シール部284を中心とする周方向の90度ごとの4箇所に配置されている。
【0119】
シール部284は、円筒形状でアーマチャ部283の一端部に形成されている。シール部284の端面284aは、開口端部82cに当接可能になっている。端面284aが開口端部82cに当接して押圧されることにより、開口端部82cが閉塞され、燃料流入管82aと燃料流出管82bとの連通が閉塞されるようになっている。
【0120】
本実施の形態のバルブ273によれば、中実な部材の外周部に溝を形成するだけの比較的簡単な工程でアーマチャ部283に連通溝283aを形成することができるので、従来の連通部を有しないアーマチャ部に比べて部品コストの増加を抑制することができる。
【0121】
(第4の実施の形態)
本実施の形態は、上述の第1の実施の形態と略同様の全体構成を有している。本実施の形態に係る燃料供給装置においては、燃料切替弁70のバルブ373およびボビン371の構成が異なっているが、他の構成は同様に構成されている。したがって、同一の構成については、図4に示した第1の実施の形態と同一の符号を用いて説明し、特に相違点についてのみ詳述する。
【0122】
図8(e)および図8(f)に示すように、本実施の形態のバルブ373は、アーマチャ部383と、シール部384とを備えている。アーマチャ部383およびシール部384は、磁性体からなるとともに一体形成されている。
【0123】
アーマチャ部383は、中心に透孔を有さずに略円柱形状とされている。シール部384は、円筒形状でアーマチャ部383の一端部に形成されている。シール部384の端面384aは、開口端部82cに当接可能になっている。端面384aが開口端部82cに当接して押圧されることにより、開口端部82cが閉塞され、燃料流入管82aと燃料流出管82bとの連通が閉塞されるようになっている。
【0124】
また、ボビン371は合成樹脂から構成され、ボビン371のボビン部380の内周面には、長手方向に沿った連通部としての連通溝380aが形成されている。また、ボビン371のシリンダ部381の内周面には、連通溝380aに連続する連通部としての連通溝381aが形成されている。シリンダ部381の連通溝381aは、シール部384側の端部に形成された図示しない第1の口と、連通路381bとを備えている。ボビン部380の連通溝380aは、連通路380bと、シール部384とは反対側で圧縮コイルばね74側の端部に形成された図示しない第2の口とを備えている。連通溝380aおよび連通溝381aは、図8(e)に示すように正面から見た際に、シール部384を中心とする周方向の90度ごとの4箇所に配置されている。
【0125】
本実施の形態のバルブ373およびボビン371によれば、バルブ373は従来の形状と変更する必要は無く、ボビン371の形状のみを変更すればよい。このため、磁性体からなり加工が比較的困難なバルブ373については従来のものをそのまま利用することができるとともに、ボビン371を例えば加工の容易な合成樹脂で構成してその内周面に連通溝380aおよび連通溝381aを設けるだけでよいので、部品コストの増加を抑制することができる。
【0126】
(第5の実施の形態)
本実施の形態は、上述の第1の実施の形態と略同様の全体構成を有している。本実施の形態に係る燃料供給装置においては、燃料切替弁70のバルブ473と、ボビン471と、シールド475の構成が異なっているが、他の構成は同様に構成されている。したがって、同一の構成については、図4に示した第1の実施の形態と同一の符号を用いて説明し、特に相違点についてのみ詳述する。
【0127】
図9に示すように、本実施の形態のバルブ473は、アーマチャ部483と、シール部484とを備えている。アーマチャ部483およびシール部484は、磁性体からなるとともに一体形成されている。
【0128】
アーマチャ部483は、中心に透孔を有さずに略円柱形状とされている。シール部484は、円筒形状でアーマチャ部483の一端部に形成されている。シール部484の端面は、開口端部82cに当接可能になっている。端面84eが開口端部82cに当接して押圧されることにより、開口端部82cが閉塞され、燃料流入管82aと燃料流出管82bとの連通が閉塞されるようになっている。
【0129】
また、ボビン471は合成樹脂から構成され、シリンダ部481の側部に形成された第1の口481aと、ボビン部480の底部に形成された第2の口480aとを備えている。シールド475の第2の口480aに対向する部位には、透孔475aが形成されている。第1の口481aと第2の口480aとは、連通路としての連通管476により連結されている。すなわち、本発明における連通部は、第1の口481aと、第2の口480aと、連通管476とにより構成されている。また、ステータコア477は、底部に貫通孔477aを備えている。
【0130】
本実施の形態のバルブ473およびボビン471によれば、連通路はボビン471の外部に形成された連通管476からなるので、バルブ473やボビン471に連通路を形成する場合に比べて連通路の断面積の制約が小さく、十分な断面積を有して操作圧燃料を大量に流通させることができる。
【0131】
ところで、上述した第1〜第5の実施の形態の燃料供給装置3においては、連通路を1種類ずつ採用している。しかしながら、本発明に係る燃料供給装置においては、これに限られず、複数の種類を同時に採用してもよい。例えば、第1の実施の形態に示すバルブ73と、第4の実施の形態に示すボビン471とを同時に併用してもよい。
【0132】
以上のように、本発明に係る圧力制御装置およびこれを備えた燃料供給装置は、従来と比較して燃料圧力変更時の応答性を向上することができるとともに、燃料供給圧力の切替時間の算出精度を向上し、さらには燃費を向上することができるという効果を奏するものであり、圧力制御装置およびこれを備えた燃料供給装置に有用である。
【符号の説明】
【0133】
2 エンジン(内燃機関)
3 燃料供給装置
22 インジェクタ(燃料消費部)
32 圧力制御装置
50 燃圧制御弁
52 調圧部材
65 操作圧燃料導入通路
70,470 燃料切替弁
71,371,471 ボビン
72 電磁コイル
73,173,273,373,473 バルブ
74 圧縮コイルばね(付勢手段)
80,380,480 ボビン部
81,381,481 シリンダ部
82 燃料管部(燃料流通部)
83,183,283,383,483 アーマチャ部(アーマチャ)
83a,183a 貫通孔(連通部)
83b シール部取付孔(第1の口)
83c,183c,283c,380b,381b 連通路
83d,183d,283d,480a 第2の口
84,184,284,384,484 シール部(弁体)
84d,183b,283b,481a 第1の口
283a,380a,381a 連通溝(連通部)
476 連通管(連通路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作圧燃料の圧力切替により制御対象燃料の圧力を制御する燃圧制御弁と、前記操作圧燃料の圧力を切り替える燃料切替弁とを備えるとともに、
前記燃料切替弁は、前記操作圧燃料が流通する燃料流通部に往復動可能に収容されて往復動により前記燃料流通部を開閉可能な弁体と、前記弁体に設けられて前記弁体と一体的に往復動可能なアーマチャと、前記弁体を開弁する方向に前記アーマチャを移動する電磁コイルと、前記弁体を閉弁する方向に前記アーマチャを移動する付勢手段とを備える圧力制御装置であって、
前記アーマチャの往復動方向の一方側の空間に開口した第1の口と、他方側の空間に開口した第2の口と、前記第1の口および前記第2の口を連通する連通路とを有する連通部を備えることを特徴とする圧力制御装置。
【請求項2】
前記第1の口は前記アーマチャの前記一方側の端部に形成され、前記第2の口は前記アーマチャの前記他方側の端部に形成され、前記連通路は前記アーマチャの内部に形成された貫通孔からなることを特徴とする請求項1に記載の圧力制御装置。
【請求項3】
前記第1の口は前記アーマチャの外周面の前記一方側の端部に形成され、前記第2の口は前記外周面の前記他方側の端部に形成され、前記連通路は前記外周面に形成された溝からなることを特徴とする請求項1に記載の圧力制御装置。
【請求項4】
前記電磁コイルが巻き付けられるとともに、前記アーマチャを往復動可能に収容するボビンをさらに備え、
前記第1の口は前記ボビンの内周面の前記一方側の端部に形成され、前記第2の口は前記内周面の前記他方側の端部に形成され、前記連通路は前記内周面に形成された溝からなることを特徴とする請求項1に記載の圧力制御装置。
【請求項5】
前記電磁コイルが巻き付けられるとともに、前記アーマチャを往復動可能に収容するボビンをさらに備え、
前記第1の口は前記ボビンの内周面の前記一方側の端部に形成され、前記第2の口は前記内周面の前記他方側の端部に形成され、前記連通路は前記ボビンの外部に形成された管からなることを特徴とする請求項1に記載の圧力制御装置。
【請求項6】
前記燃圧制御弁は、前記制御対象燃料が導入される燃料導入口、前記制御対象燃料が排出される燃料排出口および前記操作圧燃料が導入される操作圧燃料導入通路を有するハウジングと、前記ハウジング内に前記燃料導入口に連通するとともに前記操作圧燃料導入通路を備える調圧室を形成するとともに、前記調圧室内の燃料圧力に応じ前記燃料導入口と前記燃料排出口とを連通させる隔壁状の調圧部材と、を備え、
前記燃圧制御弁は、前記操作圧燃料導入通路に前記操作圧燃料が導入されることにより、前記調圧部材が前記一面側で燃料圧力を受ける受圧領域の面積が変更され、前記受圧領域の面積に応じて前記調圧室内の燃料圧力を調整するものであり、
前記燃料切替弁は、閉弁により前記操作圧燃料導入通路に前記操作圧燃料を封入し、開弁により前記操作圧燃料導入通路から前記操作圧燃料を開放させることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1の請求項に記載の圧力制御装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか1の請求項に記載された圧力制御装置を備え、
燃料消費部に供給される前記制御対象燃料の圧力を前記圧力制御装置により調圧することを特徴とする燃料供給装置。
【請求項8】
前記燃料消費部は、内燃機関の燃料噴射部であることを特徴とする請求項7に記載の燃料供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−32719(P2013−32719A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168480(P2011−168480)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000116574)愛三工業株式会社 (1,018)
【Fターム(参考)】