説明

圧電デバイスとそれを用いた電子機器及び自動車

【課題】本発明は、圧電デバイスとそれを用いた電子機器及び自動車の衝撃信頼性を向上させることを目的とする。
【解決手段】そして、この目的を達成するために本発明は、底面11と、底面11にその一端が配置された可撓性部材12と、可撓性部材12の他端により中空保持された圧電振動子13とを備え、圧電振動子13の下面側において底面11の裏面11Aに対して略平行に水平保持部材14が設けられた圧電デバイスとしたものである。
この構成により、圧電振動子13の底面11に対する水平性が失われようとするのを、底面11と圧電振動子13との間に介在させた水平保持部材14が抑制するため、衝撃信頼性を向上させることができるのである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラやカーナビゲーション装置等に用いられる圧電デバイスと、それを用いた各種電子機器及び自動車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の圧電デバイスは、図9に示す如く、底面1と、底面1にその一端が配置された可撓性部材2と、可撓性部材2の他端により中空保持された圧電振動子3とを備える構成をしていた。
【0003】
なお、この出願に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2007−167854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の圧電デバイスでは、衝撃信頼性が低いことが問題となっていた。
【0005】
すなわち、上記従来の構成においては、例えば圧電デバイスの外部等から衝撃が加わり、その衝撃振動が可撓性部材2、圧電振動子3に伝えられると、その振動が原因となって可撓性部材2が屈曲する等して圧電振動子3の底面1に対する水平性が失われてしまう。そうすると、この水平性が失われた圧電振動子3は、例えば底面1に対して平行方向の角速度を正確に検知することができず、その結果として衝撃信頼性が低くなってしまっていた。
【0006】
そこで本発明は、圧電デバイスとそれを用いた電子機器及び自動車の衝撃信頼性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そして、この目的を達成するために本発明は、底面と、前記底面にその一端が配置された可撓性部材と、前記可撓性部材の他端により中空保持された圧電振動子とを備え、前記圧電振動子の下面側において前記底面の裏面に対して略平行に水平保持部材が設けられた圧電デバイスとしたものである。
【発明の効果】
【0008】
この構成により、衝撃振動が可撓性部材、圧電振動子に伝えられたとしても、その振動が原因となって可撓性部材が屈曲する等して圧電振動子の底面に対する水平性が失われようとするのを、前記圧電振動子の下面側において前記底面の裏面に対して略平行に設けられた水平保持部材が抑制するため、底面に対して平行方向の角速度等を正確に検知することができ、その結果として衝撃信頼性を向上させることができるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1における圧電デバイスについて図面を参照しながら説明する。
【0010】
本発明の実施の形態1における圧電デバイスは、図1に示すごとく、回路パターンを有する底面11と、この回路パターンにその一端が電気的に接続される可撓性部材としての導体12と、この導体12の他端に電気的に接続された端子13Aを有する圧電振動子13とを備えている。
【0011】
そして、圧電振動子13が導体12の他端により中空保持されており、圧電振動子13の下面側において底面11の裏面11Aに対して略平行に水平保持部材14を設けている。
【0012】
具体的には、複数の直線形状をした水平保持部材14A、14Bを、図2に示す如く底面11を有する外容器15における対向する2つの側面15A、15Bにその両端が固定されるように形成し、この複数の直線形状である水平保持部材14A、14Bを図1に示す如く底面11の裏面11Aに対して略平行方向に配置すると共に、この水平保持部材14の上面と圧電振動子13の下面とを接触させる構成としている。
【0013】
このような構成により、衝撃信頼性を向上させることができるのである。
【0014】
即ち、衝撃振動が導体12、圧電振動子13に伝えられたとしても、その振動が原因となって導体12が屈曲する等して圧電振動子13の底面11に対する水平性が失われようとするのを、圧電振動子13の下面側において底面11の裏面11Aに対して略平行に設けられた水平保持部材14が抑制するため、底面11に対して平行方向の角速度等を正確に検知することができ、その結果として衝撃信頼性を向上させることができるのである。
【0015】
なお、本実施の形態においては水平保持部材14を複数の直線形状の水平保持部材14A、14Bとして示したが、底面11に対して平行方向に所望の面積を有する構成であれば、この形状に限定されない。
【0016】
ただし、本実施の形態に示す如く、複数の直線形状の水平保持部材14A、14Bを用いれば、圧電振動子13の限られた面積内における配置の自由度を大きくすることができるため、圧電デバイスの小型化を図ることができると共に、設計自由度を向上させることができる。
【0017】
さらに、その配置方法としては、図2に示す如く、圧電振動子13の振動脚13Bと水平保持部材14A、14Bとが非接触状態にある構成とすることが望ましい。このような構成により、振動脚13Bの振動を阻害することなく、圧電振動子13の水平性を保つことができるのである。
【0018】
なお、本実施の形態においては、圧電振動子13の形状を「王の字形状」として説明したが、図3に示す「音叉型」や、図4に示す「H型」など、図1に示した底面11と略平行な面を有する構成であれば、本発明の効果を得ることができる。
【0019】
なお、本実施の形態においては、水平保持部材14の上面を圧電振動子13の下面と接触させる構成として説明したが、図5に示す如く、水平保持部材14と圧電振動子13との間にクリアランス16を設ける構成とすることにより、ある程度の水平性を保ちつつ、振動減衰特性を担保することができる。
【0020】
即ち、圧電振動子13を可撓性を有するリード線等の導体12で保持することにより、外部からの振動を導体12により減衰させる効果を得るわけであるが、圧電振動子13と水平保持部材14とが接触していればこの減衰効果を充分に得ることができない。しかし、図5に示す如く、圧電振動子13と水平保持部材14との間にクリアランス16を設ける構成とすることにより、この振動減衰効果を担保しながらも、圧電振動子13の底面11に対する水平性をある程度得ることができるのである。ただし、水平性を確保する観点からすれば、水平保持部材14の上面と圧電振動子13の下面とを接触させる構成とする方が望ましい。
【0021】
なお、本実施の形態においては、可撓性部材としての導体12が、底面11に設けた回路パターンと圧電振動子13の端子13Aとを電気的に接続する役割と、圧電振動子13を中空保持する役割との二役を果たしているが、可撓性部材を樹脂等で構成して圧電振動子13を中空保持すると共に電気的接続はその他ワイヤー等の導電体を用いて行う構成や、配線パターンがその表面に形成された可撓性樹脂基板を用いて圧電振動子13の中空保持と電気的接続とを行う構成とすることが望ましい。これらのような構成により、電気的接続と物理的保持との二役に関して、一部材一役を徹底することができ、より衝撃信頼性を向上させることができる。
【0022】
さらに、本実施の形態において示した圧電デバイスをデジタルカメラやカーナビゲーション装置等の電子機器や自動車等に搭載することにより、これら電子機器、自動車等に外部から衝撃が加わったとしても、当該圧電デバイスが正常に動作する蓋然性を向上させることができ、その結果として衝撃信頼性を向上させることができるのである。
【0023】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2における圧電デバイスについて図面を参照しながら説明する。
【0024】
本発明の実施の形態2における圧電デバイスは、図6に示すごとく、回路パターンを有する底面21と、この底面21に設けられた凹部22と、底面21における凹部22非形成部に配置された回路パターンにその一端が接続された可撓性部材としての導体23と、導体23の他端に電気的に接続された端子24Aを有する圧電振動子24とを備えている。
【0025】
そして、圧電振動子24が導体23の他端により凹部22内において中空保持されており、圧電振動子24の下面側において底面21(あるいは凹部22における底部22A)の裏面21Aに対して略平行に水平保持部材25を設けている。
【0026】
具体的には、複数の直線形状をした水平保持部材25A、25Bを、図7に示す如く凹部22における対向する2つの側面26A、26Bにその両端が固定されるように形成し、この複数の直線形状である水平保持部材25A、25Bを図6に示す如く底面21(あるいは凹部22における底部22A)の裏面21Aに対して略平行方向に配置すると共に、この水平保持部材25の上面と圧電振動子24の下面とを接触させる構成としている。
【0027】
このような構成により、衝撃信頼性を向上させることができるのである。
【0028】
即ち、衝撃振動が圧電振動子24に伝えられたとしても、その振動が原因となって圧電振動子24の凹部22における底部22Aに対する水平性が失われようとするのを、圧電振動子24の下面側において底面21(あるいは凹部22における底部22A)の裏面21Aに対して略平行に設けられた水平保持部材25が抑制するため、底面21に対して平行方向の角速度等を正確に検知することができ、その結果として衝撃信頼性を向上させることができるのである。
【0029】
なお、本実施の形態においては水平保持部材25を複数の直線形状の水平保持部材25A、25Bとして示したが、凹部22における底部22Aに対して平行方向に所望の面積を有する構成であれば、この形状に限定されない。
【0030】
ただし、本実施の形態に示す如く、複数の直線形状の水平保持部材25A、25Bを用いれば、圧電振動子24の限られた面積内における配置の自由度を大きくすることができるため、圧電デバイスの小型化を図ることができると共に、設計自由度を向上させることができる。
【0031】
さらに、その配置方法としては、実施の形態1と同様に、図7に示す如く、圧電振動子24の振動脚24Bと水平保持部材25A、25Bとが非接触状態にある構成とすることが望ましい。このような構成により、振動脚24Bの振動を阻害することなく、圧電振動子24の水平性を保つことができるのである。
【0032】
なお、圧電振動子24の形状は、「王の字形状」、「音叉型」、「H型」など、図6に示した凹部22における底部22Aと略平行な面を有する構成であれば、本発明の効果を得ることができる。
【0033】
なお、本実施の形態においては、水平保持部材25の上面を圧電振動子24の下面と接触させる構成として説明したが、図8に示す如く、水平保持部材25と圧電振動子24との間にクリアランス27を設ける構成とすることにより、ある程度の水平性を保ちつつ、振動減衰特性を担保することができる。
【0034】
即ち、圧電振動子24を可撓性を有するリード線等の導体23で保持することにより、外部からの振動を導体23により減衰させる効果を得るわけであるが、圧電振動子24と水平保持部材25とが接触していればこの減衰効果を充分に得ることができない。しかし、図8に示す如く、圧電振動子24と水平保持部材25との間にクリアランス27を設ける構成とすることにより、この振動減衰効果を担保しながらも、圧電振動子24の凹部22における底部22Aに対する水平性をある程度得ることができるのである。ただし、水平性を確保する観点からすれば、水平保持部材25の上面と圧電振動子24の下面とを接触させる構成とする方が望ましい。
【0035】
なお、本実施の形態においては、可撓性部材としての導体23が、底面21に設けた回路パターンと圧電振動子24の端子24Aとを電気的に接続する役割と、圧電振動子24を中空保持する役割との二役を果たしているが、可撓性部材を樹脂等で構成して圧電振動子24を中空保持すると共に電気的接続はその他ワイヤー等の導電体を用いて行う構成や、配線パターンがその表面に形成された可撓性樹脂基板を用いて圧電振動子13の中空保持と電気的接続とを行う構成とすることが望ましい。これらのような構成により、電気的接続と物理的保持との二役に関して、一部材一役を徹底することができ、より衝撃信頼性を向上させることができる。
【0036】
さらに、本実施の形態において示した圧電デバイスをデジタルカメラやカーナビゲーション装置等の電子機器や自動車等に搭載することにより、これら電子機器、自動車等に外部から衝撃が加わったとしても、当該圧電デバイスが正常に動作する蓋然性を向上させることができ、その結果として衝撃信頼性を向上させることができるのである。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の圧電デバイスは、衝撃信頼性を向上させることができるという効果を有し、デジタルカメラやカーナビゲーション装置等の電子機器や自動車等において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施の形態1における圧電デバイスを示す断面図
【図2】本発明の実施の形態1における圧電デバイスを示す上面図
【図3】本発明の実施の形態1における圧電デバイスの他の実施例を示す上面図
【図4】本発明の実施の形態1における圧電デバイスの他の実施例を示す上面図
【図5】本発明の実施の形態1における圧電デバイスの他の実施例を示す断面図
【図6】本発明の実施の形態2における圧電デバイスを示す断面図
【図7】本発明の実施の形態2における圧電デバイスを示す上面図
【図8】本発明の実施の形態2における圧電デバイスの他の実施例を示す断面図
【図9】従来の圧電デバイスを示す断面図
【符号の説明】
【0039】
11 底面
11A 裏面
12 導体(可撓性部材)
13 圧電振動子
14 水平保持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面と、
前記底面にその一端が配置された可撓性部材と、
前記可撓性部材の他端により中空保持された圧電振動子とを備え、
前記圧電振動子の下面側において前記底面の裏面に対して略平行に
水平保持部材が設けられた
圧電デバイス。
【請求項2】
前記底面が回路パターンを有し、
前記可撓性部材が導体からなるとともに、
前記回路パターンと前記圧電振動子の端子とを電気的に接続した
請求項1に記載の圧電デバイス。
【請求項3】
前記水平保持部材と前記圧電振動子との間にはクリアランスが設けられた
請求項1に記載の圧電デバイス。
【請求項4】
前記水平保持部材が
前記底面の裏面に対して略平行に設けられた複数の直線形状である
請求項1に記載の圧電デバイス。
【請求項5】
前記圧電振動子が振動脚を有し、
前記振動脚と前記水平保持部材とが非接触状態にある
請求項4に記載の圧電デバイス。
【請求項6】
底面と、
前記底面に設けられた凹部と、
前記底面における前記凹部非形成部にその一端が配置された可撓性部材と、
前記凹部内において前記可撓性部材の他端により中空保持された圧電振動子とを備え、
前記圧電振動子の下面側において前記底面の裏面に対して略平行に
水平保持部材が設けられた
圧電デバイス。
【請求項7】
前記底面がその前記凹部非形成部に回路パターンを有し、
前記可撓性部材が導体からなるとともに、
前記回路パターンと前記圧電振動子の端子とを電気的に接続した
請求項1に記載の圧電デバイス。
【請求項8】
前記水平保持部材と前記圧電振動子との間にはクリアランスが設けられた
請求項6に記載の圧電デバイス。
【請求項9】
前記水平保持部材が
前記底面の裏面に対して略平行に設けられた複数の直線形状である
請求項6に記載の圧電デバイス。
【請求項10】
前記圧電振動子が振動脚を有し、
前記振動脚と前記水平保持部材とが非接触状態にある
請求項9に記載の圧電デバイス。
【請求項11】
請求項1乃至10に記載の圧電デバイスが実装された電子機器。
【請求項12】
請求項1乃至10に記載の圧電デバイスが実装された自動車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−216683(P2009−216683A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−63674(P2008−63674)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】