説明

地図表示方法

【課題】 紙地図とPDAに表示する地図を関連付けて表示するようにした地図表示方法を提供する。
【解決手段】 紙地図1に表示された地図2を電子データ化してPDA5に入力し、PDA5の表示部6に表示するようにした地図表示方法であって、紙地図1を升目状に区画し、かつ縦軸及び横軸方向に異なる符合3,4を付して各区画部2a毎にアドレスを設定すると共に、アドレスをPDA5に入力することにより、表示部6に紙地図1上の区画部2aを表示するようにしたもので、登山や観光等の際PDA5の表示部6に表示された地図を見ながら行動できるため、途中で道に迷うことがほとんどない上、紙地図1のように、折り畳まれた地図をその都度広げて現在位置を確認したり、目的地までのルートを再確認する等の作業が不要となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙に印刷した地図(紙地図)と携帯情報端末(PDA)に表示する地図を関連付けて表示する地図表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来登山地図や観光案内地図等の多くは紙地図が使用されており、紙地図は広域地図が表示できるため、例えば登山地図の場合登山ルート等の設定が容易に行える利点がある。
また観光案内地図の場合、行きたい観光地を調べたり、観光地へ行くルートの設定が容易に行える利点がある。
反面紙地図は、地図自体が大きいため折り畳んだ状態で携帯する必要があり、折り畳んだ紙地図は、広げないと目的とする場所が見られないため、地図を見るのに手間がかかると共に、紙地図を広げるための場所がない場合は、折り畳んだ状態で目的する場所をさがさなければならないため、探すのに時間がかかる等の欠点がある。
【0003】
一方最近普及しているPDAは、パーソナルコンピューター(パソコン)に接続して地図データをダウンロードしたり、予め地図データを記憶させたメモリカード等の記録媒体を装着することにより、画面上に地図を表示できるようになっており、GPS機能が付いたPDAでは、画面表示された地図上に自分の位置(自己位置)を表示することもできるため、登山地図や、観光案内地図を表示させて登山や観光を行えば、道に迷うこともほとんどなくなる等の効果が得られる。
反面PDAは表示部の画面サイズが小さいため、地図を表示した場合、表示範囲が限定される問題がある。
かかる問題を改善するため、例えば特許文献1に、地図等の表示画面上で、拡大表示したいエリアを指や入力ペン等で触れながら円を描いて囲むと、そのエリアが丁度画面に収まるように拡大表示されるようにした表示方法が記載されている。
【特許文献1】特開2004−280745号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし前記特許文献1に記載された表示方法では、例えば登山地図や観光案内地図のような広域地図をPDAの表示部に表示した場合、画面が小さ過ぎて登山ルートや観光ルートを設定することは困難であり、地図を拡大してしまうと地図全体が見られなくなるため、さらに登山ルートや観光ルートを設定することが困難になる問題がある。
本発明はかかる問題を改善するためになされたもので、紙地図とPDAに表示する地図を関連付けて表示するようにした地図表示方法を提供して、登山や観光等の際に道に迷うのを未然に防止することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の地図表示方法は、紙地図に表示された地図を電子データ化してPDAに入力し、PDAの表示部に表示するようにした地図表示方法であって、紙地図を升目状に区画し、かつ縦軸及び横軸方向に異なる符合を付して、各区画部毎に符号によりアドレスを設定すると共に、アドレスをPDAに入力することにより表示部に、紙地図上の区画部を表示するようにしたものである。
【0006】
前記方法により、紙地図を見ながら登山や観光旅行の計画をし、その際に作成した計画書をデータ化してPDAに取り込むことにより、登山や観光等の際PDAの表示部に表示された地図を見ながら行動できるため、途中で道に迷うことがほとんどない上、紙地図のように、折り畳まれた地図をその都度広げて現在位置を確認したり、目的地までのルートを再確認する等の作業が不要となるため、登山や観光等を十分に楽しむことができる。
【0007】
本発明の地図表示方法は、表示部に複数のアイコンにより形成されたメニュー表示部を設け、かつアイコンを入力ペンにより1クリックすると、そのアイコンの機能説明を表示部に表示し、2クリックすると選択したメニューを実行するようにしたものである。
【0008】
前記方法により、メニューのアイコンをマニュアルで確認することなくPDAを操作ができるため、登山や観光等に操作マニュアルを持参する必要がなくなり、これによって登山や観光等の際の荷物を削減できるようになる。
【0009】
本発明の地図表示方法は、表示部にアドレス表示部を設けて、アドレス表示部に表示部に表示された区画部のアドレスを表示するようにしたものである。
【0010】
前記方法により、PDAの表示部に表示された地図では部分的過ぎて自身がどこにいるのか不明となった場合は、表示部のアドレス表示部に表示されたアドレスにより紙地図上の区画部を参照することにより、自身がどこにいるかが容易に判断できる上、周囲の山や川の名称や地名等が判読できるようになるため、登山や観光等がさらに楽しいものとなる。
【0011】
本発明の地図表示方法は、アドレス表示部に紙地図と同様な升目を表示して、表示部に表示させた区画部の該当個所を、升目上に着色表示するようにしたものである。
【0012】
前記方法により、紙地図上のどの区画部にいるかが視覚的に判断できるようになると共に、隣接する区画部を表示させたい場合は、着色表示部に隣接する升目を入力ペンでタッチするだけで隣接区画を表示することができるため、操作がさらに容易となる。
【0013】
本発明の地図表示方法は、表示部に表示させた升目状区画部の任意個所を入力ペンでクリックすることにより、その区画部を表示部に表示するようにしたものである。
【0014】
前記方法により、希望する区画部を瞬時に表示部に表示させることができるため、利便性がさらに向上する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の地図表示方法によれば、登山や観光等の際PDAの表示部に表示された地図を見ながら行動できるため、途中で道に迷うことがほとんどない上、紙地図のように、折り畳まれた地図をその都度広げて現在位置を確認したり、目的地までのルートを再確認する等の作業が不要となるため、登山や観光等を十分に楽しむことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施の形態を、図面を参照して詳述する。
図1は紙地図の展開図、図2はPDFの正面図、図3は地図表示方法の変形例を示す説明図である。
図1に示す紙地図1は、例えばA0サイズの用紙のほぼ全面に地図2を印刷またはPCからプリントアウトしたもので、登山地図の場合は山岳地が、観光案内地図の場合は観光地が地図表示されている。
紙地図1に表示された地図2は、周囲に余白1aを残して全体が縦線1bと横線1cにより升目状に区画されていて、縦軸の余白1aには、各区画部2a毎に例えばアルファベットで符号3が付されており、横軸の余白1aには、各区画部2a毎に例えば数字で符号4が付されており、縦軸と横軸の交点に位置する区画部2aのアドレスが符号3,4から、例えば、E3のように設定されている。
【0017】
一方PDA5は図2に示すように、前面パネル5aに液晶表示器よりなる表示部6と、その下側に操作キー群7が設けられている。
表示部6はタッチパネルを兼ねていて、入力ペンで触れることにより各種機能が実行できるようになっており、表示部6の例えば左下部にメニュー表示部8が、そして右下部にアドレス表示部9が表示されている。
メニュー表示部8には、各種メニューが複数のアイコン8aにより表示されていて、メニューのアイコン8aを入力ペンで1クリックすると、そのメニューの機能説明文が表示部6に表示され、2クリックするとそのメニューが実行できるようになっている。
メニュー表示部8に表示されるメニューとしては、GPS機能を有するPDAの場合は、GPSを表示するアイコン8aの他に、地図を見る上で必要な例えば「地図を表示する」や、「地図をプリントする」、「目的地へ向け出発する」、「時間の設定と修正」等がアイコン表示されている。
【0018】
またメニュー表示部8に表示されたメニューのアイコン8aは多数あることから、機能を憶える必要がないように、メニューのアイコン8aを入力ペンで1クリックすると、その機能説明文が表示部6に表示され、2クリックすると、アイコン8aに設定されたメニューが実行されるようになっている。
表示部6の下側に設けられた操作キー群7は、PDA5の操作に必要な機能キー7aや十字キー7b等から構成されていて、例えば表示部6にキーボードを表示したり、表示部6に表示された地図やカーソルをスクロールできるようになっており、PDA5を図示しないパソコンに接続することにより、予めパソコンに入力した地図データや、登山計画等のデータが直接ダウンロードできるようになっている。
またパソコンより地図データをダウンロードしたメモリカード等の記録媒体(図示せず)をPDA5に装着することによっても、地図データがPDA5で利用できるようになっている。
PDA5で使用する地図データは、紙地図1に表示された地図と、縦横線1b、1cで升目状に区画された区画部2a及びそのアドレスがデジタルデータ化されていて、地図表示プログラムに組み込まれており、地図表示プログラムと共にPDA5に取り込まれるようになっている。
【0019】
次に前記紙地図1及びPDA5を使用して地図を表示する方法を説明する。
紙地図1を使用して例えば登山計画を作成する場合、紙地図1を広げて登山ルートを設定するが、このとき登山ルートで通る紙地図1の区画部2aを、そのアドレス毎に登山計画書にメモしておけば、さらに容易に目的とする区画部2aをPDA5の表示部6に表示可能となる。
またパソコンが使用できる環境にある場合は、パソコンに登山地図を表示させて登山ルートを設定し、出発時間や途中通過時間、到着時間等の予定時刻やその他のデータを記入した登山計画書を作成し、その登山計画書を地図データとともにPDA5に直接ダウンロードするか、記録媒体にダウンロードした後、記録媒体をPDA5に装着して使用するようにしてもよい。
【0020】
実際の登山に当たっては、PDA5とともに紙地図1も持参する。
出発点に到着したら、紙地図1で出発地点を確認し、出発地点に当たる地図の区画部2aをアドレスでPDA5に入力する。
PDA5にアドレスを入力する場合は、PDA5の操作キー群7から機能キー7aを操作して表示部6上にキーボードを表示させ、キーボードを入力ペンでタッチしてアドレスを入力するもので、例えば紙地図1上のアドレスがE3の区画部2aを表示させる場合は、キーボードからE3と入力する。
予め登山計画書の出発地点にアドレスをメモ書きしてある場合は、そのアドレスをキーボードより入力すれば、紙地図1を広げて出発地点のアドレスを読み出す必要がない。
キーボードよりアドレスを入力した後、キーボードを消去すると、入力したアドレスの区画部2aが図2に示すように表示部6に表示され、また表示部6右下部に設けられたアドレス表示部9に区画部2aのアドレス「E3」が表示される。
【0021】
またPDA5にGPS機能がある場合は、表示された地図上に自己位置がカーソルにより重ねて表示され、出発時間等が予め設定してある場合は、メニュー表示部8のメニューアイコン8aにタッチすることにより出発時間が表示される。
メニュー表示部に表示されたアイコン8aの機能が分からない場合は、アイコン8aを1クリックすると、アイコンの機能説明が表示部6に表示されるので、マニュアルが手元にない場合でも、アイコン8aを操作してPDA5を使いこなすことが可能になる。
【0022】
一方PDA5の表示部6に表示された地図画像を参照して登山を開始するのに伴い、地図上にカーソルで表示された自己位置も移動するので、地図上のどの位置を移動しているかが表示部6を見ることにより容易に把握できると共に、自己位置が表示部6に表示された地図の端に達した場合は、十字キー7bを使用して地図をスクロールさせる。
これによって現在表示されている地図に隣接した区画部2aの地図が表示部6に表示されるとともに、その区画部2aのアドレスがアドレス表示部9に表示される。
以下前記操作を繰り返して登山を続けるが、地図のスクロールを繰り返している間に、自身が地図上のどこの場所に居るかが把握できなくなる場合がある。
また自己位置の周囲に遠望する山や川等の名称や地名を知りたい場合も生じる。このような場合は紙地図1を広げて、表示部6のアドレス表示部9に表示されたアドレスから、現在表示部6に表示されている地図の区画部2aが紙地図1上のどの位置にあるか確認する。
これによって紙地図1上の自己位置が把握できるので、その位置から見える山や川を紙地図1で確認することにより、山や川の名称、地名等を容易に知ることができるため、登山の楽しみも倍増する。
【0023】
以上は紙地図1を使用して登山を計画したり、登山をした場合の地図の表示方法であるが、観光案内地図等の紙地図1を使用して観光地を調べたり、観光計画書を作成する場合も同様な操作で、PDA5の表示部6に表示された地図を見ながら観光することもできる。
例えば観光案内地図よりなる紙地図1により観光地を選定したら、観光地までの行き方、利用する乗り物、出発時間等をメモした観光計画書を作成する。
パソコンが使用できる環境にある場合は、パソコンのモニタに観光地図を表示させて、行きたい観光地や利用する乗物、出発時間等のデータを入力して、観光計画データを作成する。
パソコンで作成したデータは、PDA5に直接ダウンロードするか、一旦記録媒体にダウンロードした後PDA5に取り込む。
【0024】
次にPDA5とともに紙地図1を旅行に携帯して、前記登山時と同様にPDA5の表示部6に表示させた紙地図1上のアドレスに相当する区画部2aを見ながら移動することにより、道に迷うことなく目的地に到達することができるようになる。
特に観光案内地図の場合、登山地図に比べて紙地図1上に表示された地図2の範囲が狭いため、区画部2aを拡大してPDA5の表示部6へ表示することができるため、図2に示すように鉄道や駅、道路、地名等まで細かく表示できる上、GPS機能を利用することにより、表示部6に表示された地図上に自己位置をカーソルで表示することもできる。
また表示部6に表示された地図の端に達したら、十字キー7bを使用して地図をスクロールすることにより、隣接した区画部2aへの移動が簡単に行えると同時に、区画部2aのアドレスがアドレス表示部9に表示されるので、自身が紙地図1上のどの位置にいるかも容易に把握できるようになる。
【0025】
なお前記実施の形態では、紙地図1上の区画部2aのアドレスを、PDA5の表示部6のアドレス表示部9に符号で表示したが、図3に示す変形例のように、アドレス表示部9に、紙地図1と同様な升目を表示して、現在表示部6に表示されている区画部2aのアドレスを、升目の一部を例えば赤色で表示してもよく、現在表示されている区画部2aから隣接する区画部2aへ移動する場所は、赤色表示された升目の隣を入力ペンでタッチすることにより、十字キー7bによるスクロールを使用せずに隣接区画部2aを表示できるようにしてもよい。
また升目の任意な個所を入力ペンでタッチすることにより、任意な場所の区画部2aをPDA5の表示部6に表示させることも可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態になる地図表示方法に使用する紙地図の展開図である。
【図2】本発明の実施の形態になる地図表示方法に使用するPDAの正面図である。
【図3】本発明の実施の形態になる地図表示方法の変形例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0027】
1 紙地図
2 地図
2a 区画部
3 符号
4 符号
5 PDA
6 表示部
7 操作キー群
8 メニュー表示部
9 アドレス表示部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙地図に表示された地図を電子データ化してPDAに入力し、前記PDAの表示部に表示するようにした地図表示方法であって、前記紙地図を升目状に区画し、かつ縦軸及び横軸方向に異なる符合を付して、各区画部毎に前記符号によりアドレスを設定すると共に、前記アドレスを前記PDAに入力することにより前記表示部に、前記紙地図上の前記区画部を表示することを特徴とする地図表示方法。
【請求項2】
前記表示部に、複数のアイコンにより形成されたメニュー表示部を設け、かつ前記アイコンを入力ペンにより1クリックすると、そのアイコンの機能説明を前記表示部に表示し、2クリックすると選択したメニューを実行するようにしてなる請求項1に記載の地図表示方法。
【請求項3】
前記表示部にアドレス表示部を設けて、前記アドレス表示部に前記表示部に表示された前記区画部のアドレスを表示してなる請求項1または2に記載の地図表示方法。
【請求項4】
前記アドレス表示部に前記紙地図と同様な升目を表示して、前記表示部に表示させた前記区画部の該当個所を、前記升目上に着色表示してなる請求項1または2に記載の地図表示方法。
【請求項5】
前記表示部に表示させた前記升目状区画部の任意個所を入力ペンでクリックすることにより、その区画部を前記表示部に表示してなる請求項4に記載の地図表示方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−259288(P2006−259288A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−77207(P2005−77207)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(595167292)株式会社デージーエス・コンピュータ (18)
【Fターム(参考)】