説明

基板の製造方法、半導体装置の製造方法、基板処理方法、クリーニング方法及び処理装置

【課題】稼働率を向上させる基板の製造方法、半導体装置の製造方法、基板処理方法、クリーニング方法及び処理装置を提供する。
【解決手段】基板の製造方法は、反応管に設けられたガス導入ノズルにより、前記反応管内に酸化性ガスを導入して支持具により支持した基板に酸化膜を形成する工程と、酸化膜形成後の基板を前記反応管内から搬出して、前記反応管内をクリーニングする工程とを有し、前記反応管内をクリーニングする工程は、前記反応管内を所定の温度に維持した状態で、前記反応管内にフッ化水素ガス、フッ化水素ガスと水素ガス、または、フッ化水素ガスと水蒸気を少なくとも含むガスを供給することにより、前記反応管、前記支持具及び前記ガス導入ノズルのうちの少なくとも何れかの部材に形成された酸化膜を除去する工程と、前記所定の温度を維持した状態で前記反応管内に不活性ガスを供給する工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハやガラス基板等の基板を処理するための基板の製造方法、半導体装置の製造方法、基板処理方法、クリーニング方法及び処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の熱処理装置を用いて基板を熱処理する際に、炭化珪素(SiC)製もしくはシリコン(Si)製の反応管、基板支持具及びガス導入ノズル等の各部材に酸化珪素膜が形成される場合において、この酸化珪素膜が成長(累積)して膜厚が大きくなると、各部材と酸化珪素膜との熱膨張の差により該酸化珪素膜が剥離し、反応炉内でパーティクルが発生するとの問題があった。そこで、酸化珪素膜が形成された各部材から酸化珪素膜を除去するクリーニング工程が定期的に実施されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このクリーニング工程は、反応炉内の各部材を取り外し、フッ化水素(又はフッ化水素とフッ化アンモニウムとの混合)等の水溶液で酸化珪素膜を除去するものであり、該クリーニング工程には多くの時間がかかっていた。また、クリーニング後の酸化珪素膜が除去された各部材を取り付ける際に、炉内にパーティクルや汚染物等が混入するため、基板の熱処理前に反応炉内を空焼きしたり、塩化水素等で処理したりして、これらのパーティクルや汚染物を除去する工程が不可欠であり、装置の稼働率を低下させる要因となっていた。
【0004】
本発明の目的は、上記従来の問題を解消し、稼働率を向上させる基板の製造方法及び熱処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の特徴とするところは、反応管に設けられたガス導入ノズルにより、前記反応管内に酸化性ガスを導入して支持具により支持した基板に酸化膜を形成する工程と、酸化膜形成後の基板を前記反応管内から搬出して、前記反応管内をクリーニングする工程とを有し、前記反応管内をクリーニングする工程は、前記反応管内を所定の温度に維持した状態で、前記反応管内にフッ化水素ガス、フッ化水素ガスと水素ガス、または、フッ化水素ガスと水蒸気を少なくとも含むガスを供給することにより、前記反応管、前記支持具及び前記ガス導入ノズルのうちの少なくとも何れかの部材に形成された酸化膜を除去する工程と、前記所定の温度を維持した状態で前記反応管内に不活性ガスを供給する工程とを含むことを特徴とする基板の製造方法にある。
【0006】
本発明の第2の特徴とするところは、反応管に設けられたガス導入ノズルにより、前記反応管内に酸化性ガスを導入して支持具により支持した基板に酸化膜を形成する工程と、酸化膜形成後の基板を前記反応管内から搬出して、前記反応管内をクリーニングする工程とを有し、前記反応管内をクリーニングする工程は、前記反応管内を所定の温度に維持した状態で、前記反応管内にフッ化水素ガス、フッ化水素ガスと水素ガス、または、フッ化水素ガスと水蒸気を少なくとも含むガスを供給することにより、前記反応管、前記支持具及び前記ガス導入ノズルのうちの少なくとも何れかの部材に形成された酸化膜を除去する工程と、前記所定の温度を維持した状態で前記反応管内に不活性ガスを供給する工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法にある。
【0007】
本発明の第3の特徴とするところは、反応管に設けられたガス導入ノズルにより、前記反応管内に酸化性ガスを導入して支持具により支持した基板に酸化膜を形成する工程と、酸化膜形成後の基板を前記反応管内から搬出して、前記反応管内をクリーニングする工程とを有し、前記反応管内をクリーニングする工程は、前記反応管内を所定の温度に維持した状態で、前記反応管内にフッ化水素ガス、フッ化水素ガスと水素ガス、または、フッ化水素ガスと水蒸気を少なくとも含むガスを供給することにより、前記反応管、前記支持具及び前記ガス導入ノズルのうちの少なくとも何れかの部材に形成された酸化膜を除去する工程と、前記所定の温度を維持した状態で前記反応管内に不活性ガスを供給する工程とを含むことを特徴とする基板処理方法にある。
【0008】
本発明の第4の特徴とするところは、反応管に設けられたガス導入ノズルにより、前記反応管内に酸化性ガスを導入して支持具により支持した基板に酸化膜を形成する処理を行った後の前記反応管内をクリーニングする方法であって、前記反応管内をクリーニングする工程は、前記反応管内を所定の温度に維持した状態で、前記反応管内にフッ化水素ガス、フッ化水素ガスと水素ガス、または、フッ化水素ガスと水蒸気を少なくとも含むガスを供給することにより、前記反応管、前記支持具及び前記ガス導入ノズルのうちの少なくとも何れかの部材に形成された酸化膜を除去する工程と、前記所定の温度を維持した状態で前記反応管内に不活性ガスを供給する工程とを含むことを特徴とするクリーニング方法にある。
【0009】
本発明の第5の特徴とするところは、基板を処理する反応菅と、前記反応管内で基板を支持する支持具と、前記反応管に設けられ、前記反応管内に基板に酸化膜を形成するための酸化性ガスを導入するガス導入ノズルとを有し、前記反応管内を所定の温度に維持した状態で、前記反応管、前記支持具及び前記ガス導入ノズルの少なくとも何れかの部材に形成された酸化膜を除去するためのフッ化水素ガス、フッ化水素ガスと水素ガス、または、フッ化水素ガスと水蒸気を少なくとも含むガスを供給するクリーニングガス供給ラインと、前記所定の温度を維持しながら前記反応管内に不活性ガスを供給するパージガス供給ラインとが設けられることを特徴とする処理装置にある。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、反応管内にフッ化水素ガス及びフッ化塩素ガスの少なくとも一方を含むガスを供給して各部材に形成された酸化膜を除去することより、各部材の取外し及び取付け等の作業を省略することが可能となり、装置の稼働率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る熱処理装置全体を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る熱処理装置に用いた反応炉を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に、本発明の実施の形態に係る熱処理装置10の一例を示す。この熱処理装置10は、バッチ式縦型熱処理装置であり、主要部が配置される筺体12を有する。この筺体12の正面側には、ポッドステージ14が接続されており、このポッドステージ14にポッド16が搬送される。ポッド16には、例えば25枚の被処理基板としてのウエハが収納され、図示しない蓋が閉じられた状態でポッドステージ14にセットされる。
【0013】
筺体12内の正面側であって、ポッドステージ14に対向する位置には、ポッド搬送装置18が配置されている。また、このポッド搬送装置18の近傍には、ポッド棚20、ポッドオープナ22及び基板枚数検知器24が配置されている。ポッド棚20はポッドオープナ22の上方に配置され、基板枚数検知器24はポッドオープナ22に隣接して配置される。ポッド搬送装置18は、ポッドステージ14とポッド棚20とポッドオープナ22との間でポッド16を搬送する。ポッドオープナ22は、ポッド16の蓋を開けるものであり、この蓋が開けられたポッド16内の基板の枚数が基板枚数検知器24により検知される。
【0014】
さらに、筺体12内には、基板移載機26、ノッチアライナ28及び支持具としての炭化珪素(SiC)製の基板支持具(ボート)30が配置されている。基板移載機26は、例えば5枚の基板を取り出すことができるアーム(ツイーザ)32を有し、このアーム32を動かすことにより、ポッドオープナ22の位置に置かれたポッド、ノッチアライナ28及び基板支持具30間で基板を搬送する。ノッチアライナ28は、基板に形成されたノッチまたはオリフラを検出して基板のノッチまたはオリフラを一定の位置に揃えるものである。
【0015】
さらに、筺体12内の背面側上部には反応炉40が配置されている。この反応炉40内に、複数枚の基板を装填した基板支持具30が搬入され熱処理が行われる。
【0016】
図2に反応炉40の一例を示す。この反応炉40は、炭化珪素(SiC)製の反応管42を有する。この反応管42は、上端部が閉塞され下端部が開放された円筒形状をしており、開放された下端部はフランジ状に形成されている。この反応管42の周囲には、ヒータ46が配置されている。
【0017】
反応管42の下部は、基板支持具30を挿入するために開放され、この開放部分(炉口部)は炉口シールキャップ48がOリング49を挟んで当接することにより密閉されるようにしてある。炉口シールキャップ48は、炭化珪素(SiC)製の基板支持具30を支持し、基板支持具30と共に昇降可能に設けられている。炉口シールキャップ48と基板支持具30との間には、石英製の第1の断熱部材52と、この第1の断熱部材52の上部に配置された炭化珪素(SiC)製の第2の断熱部材50とが設けられている。基板支持具30は、基板を支持する支持具として用いられ、多数枚、例えば25〜100枚の基板54を略水平状態で隙間をもって多段に支持し、反応管42内に装填される。
【0018】
反応管42には、ガス供給ライン60とガス排気ライン62とが設けられている。ガス導入ノズル66は反応管42内に設けられ、ガス供給ライン60の下流方向先端部に接続されている。ガス供給ライン60に導入された処理ガスは、ガス導入ノズル66を介して反応管42内に供給される。なお、ガス導入ノズル66は、反応管42の内壁に沿って基板配列領域の上端よりも上方、すなわち基板支持具30の上端よりも上方まで延びるように構成される。
【0019】
ガス供給ライン60は、窒素(N2)ガス、アルゴン(Ar)ガス、水素(H2)ガス、酸素(O2)ガス、フッ化水素(HF)ガス、フッ化塩素(ClF3)ガス及び水蒸気(H2O)等のガス供給源(図示省略)と接続されており、これらのガス(又は少なくとも2種以上の混合ガス)がガス供給ライン60及びガス導入ノズル66を介して反応管40内に供給されるようになっている。なお、反応管42内に供給されるガスの流量はコントローラ70により制御されるようになっている。
【0020】
次に、熱処理装置10の作用について説明する。
なお、以下の説明において、熱処理装置10を構成する各部の動作はコントローラ70により制御される。
【0021】
まず、ポッドステージ14に複数枚の基板54を収容したポッド16がセットされると、ポッド搬送装置18によりポッド16をポッドステージ14からポッド棚20へ搬送し、このポッド棚20にストックする。次に、ポッド搬送装置18により、このポッド棚20にストックされたポッド16をポッドオープナ22に搬送してセットし、このポッドオープナ22によりポッド16の蓋を開き、基板枚数検知器24によりポッド16に収容されている基板54の枚数を検知する。
【0022】
次に、基板移載機26により、ポッドオープナ22の位置にあるポッド16から基板54を取り出し、ノッチアライナ28に移載する。このノッチアライナ28においては、基板54を回転させながら、ノッチを検出し、検出した情報に基づいて複数枚の基板54のノッチを同じ位置に整列させる。次に、基板移載機26により、ノッチアライナ28から基板54を取り出し、基板支持具30に移載する(基板支持工程)。
【0023】
このようにして、1バッチ分の基板54を基板支持具30に移載すると、例えば600℃程度の温度に設定された反応炉40(反応容器43)内に複数枚の基板54を装填した基板支持具30を装入(搬入)し、炉口シールキャップ48により反応炉40内を密閉する(基板搬入工程)。次に、炉内温度を熱処理温度まで昇温させて、ガス供給ライン60及びガス導入ノズル66を介して反応管42内に酸素(O2)ガスや水蒸気(H2O)等の基板54を酸化させるための酸化性ガスを導入する。基板54を熱処理する際、基板54は例えば1350℃程度以上の温度に加熱され、該基板54の表面が酸化される(酸化工程)。
【0024】
基板54の熱処理が終了すると、例えば炉内温度を600℃程度の温度に降温した後、熱処理後(酸化後)の基板54を支持した基板支持具30を反応管42内から搬出し(搬出工程)、基板支持具30に支持された全ての基板54が冷えるまで、基板支持具30を所定位置で待機させる。次に、待機させた基板支持具30の基板54が所定温度まで冷却されると、基板移載機26により、基板支持具30から基板54を取り出し、ポッドオープナ22にセットされている空のポッド16に搬送して収容する。次に、ポッド搬送装置18により、基板54が収容されたポッド16をポッド棚20、またはポッドステージ14に搬送して一連の処理が完了する。なお、上述した一連の処理を所定回数(所定時間)行なった後、または所望のタイミングで反応管42内のクリーニングを行なう(クリーニング工程)。
【0025】
次に、上述したクリーニング工程の一例を説明する。
クリーニング工程は、上述した酸化工程により、反応管42内壁、基板支持具30、第1の断熱部材52、第2の断熱部材54及びガス導入ノズル66等に所定膜厚の酸化珪素膜が形成された場合に実施される。
【0026】
まず、コントローラ70は、ガス供給源(図示省略)より反応管42内にフッ化水素(HF)ガス及びフッ化塩素(ClF3)ガスの少なくとも一方を含むクリーニングガスを供給する。より具体的には、コントローラ70は、フッ化水素(HF)ガスと窒素(N2)ガスとの混合ガス(HF+N2)、フッ化水素(HF)ガスとアルゴン(Ar)ガスとの混合ガス(HF+Ar)、フッ化水素(HF)ガスと水素(H2)ガスとの混合ガス(HF+H2)及びフッ化水素(HF)ガスと水蒸気(H2O)との混合ガス(HF+H2O)から選択されるガスをガス供給ライン60及びガス導入ノズル66を介して反応管40内に所定時間供給する。なお、少量の水蒸気(H2O)や水素(H2)を反応管42内に供給することでクリーニング反応が加速される。
【0027】
これにより、反応管42内壁、基板支持具30、第1の断熱部材52、第2の断熱部材54及びガス導入ノズル66等の表面に形成された酸化珪素膜がクリーニングガスとの反応により除去される。なお、クリーニングガス種は、上述したフッ化水素(HF)ガス、フッ化塩素(ClF3)を含むものに限らず、酸化珪素膜と反応し、かつ炭化珪素(SiC)又はシリコン(Si)の部材と反応しない、もしくは反応性が低いガスであればよい。
【0028】
続いて、コントローラ70は、ガス供給源(図示省略)より反応管42内に不活性ガスを供給する。より具体的には、コントローラ70は、例えばアルゴン(Ar)ガス、窒素(N2)ガス等をガス供給ライン60及びガス導入ノズル66を介して反応管42内に所定時間供給する(パージする)。これにより、反応管42内のクリーニングガスが不活性ガスと置換される。
【0029】
このクリーニング工程は、コントローラ70の制御により自動的に実施されるようになっている。なお、クリーニングガスは、処理ガスが供給されるガス供給ライン60及びガス導入ノズルとは別の経路で反応管40内に供給されるようにしてもよい。
【0030】
次に、実施例及び比較例について説明する。
【0031】
[実施例]
まず、熱処理装置10において酸化工程(アニール工程を含む)を実施した。この酸化工程における酸化(又はアニール)温度は1350℃、酸化時間は750時間(連続使用時間)とした。続いて、熱処理装置10においてクリーニング工程を実施した。すなわち、コントローラ70の制御により、ガス供給ライン60及びガス導入ノズル66を介して反応管40内にクリーニングガスを所定時間供給した。続いて、コントローラ70の制御により、ガス供給ライン60及びガス導入ノズル66を介して反応管40内に不活性ガスを所定時間供給した(パージした)。本実施例におけるクリーニングガス種は、フッ化水素(HF)ガスとアルゴン(Ar)ガスとの混合ガス(HF+Ar)とした。
【0032】
反応管42内壁、基板支持具30、ガス導入ノズル66、第1の断熱部材52等の各部材に形成された酸化珪素膜の除去には60分、パージ時間には20分要した。クリーニング温度は80℃とした。すなわち、本実施例におけるクリーニング工程に要する時間は80分となった。
【0033】
[比較例]
まず、熱処理装置10において上記実施例同様の酸化工程(アニール工程を含む)を実施した。続いて、クリーニング工程を実施した。本比較例におけるクリーニング工程は、反応管42、基板支持具30、ガス導入ノズル66、第1の断熱部材52等の各部材を作業員2名で取り外し、クリーニング液により該各部材に形成された酸化珪素膜を除去し、各部材を水洗い及び乾燥させた後、作業員2名で反応炉40内に該各部材を取り付け及び調整し、反応炉40を加熱(空焼き)するものである。本比較例におけるクリーニング液種は、フッ化水素(HF)とフッ化アンモニウム水溶液(NH4F)との混合液(HF+NH4F)とした。また、クリーニング後の水洗いには水(H2O)を使用した。
【0034】
反応管42、基板支持具30、ガス導入ノズル66、第1の断熱部材52等の各部材の取り外しには120分、各部材に形成された酸化珪素膜の除去及び水洗いには1440分、各部材の乾燥には240分、各部材の取り付け及び調整には240分、反応炉40の加熱(空焼き)には1440分要した。したがって、本比較例におけるクリーニング工程に要する時間は、3480分となった。
【0035】
以上のように、本発明の熱処理装置10におけるクリーニング工程は、比較例におけるクリーニング工程と比較し、該クリーニング工程にかかる時間を大幅に短縮することができ、もって装置の稼働率を向上させることができる。また、本発明の熱処理装置10におけるクリーニング工程は、コントローラ70により自動的に実施されるので、比較例におけるクリーニング工程と比較し、作業員の負担が軽減される。
【0036】
なお、反応管42、基板支持具30、ガス導入ノズル66、第1の断熱部材52等の各部材は炭化珪素(SiC)製ではなくシリコン(Si)製でもよい。この場合、シリコン(Si)製の各部材に形成された酸化珪素膜は、フッ化水素(HF)ガスを含むクリーニングガスで除去することが好ましい。
【0037】
本発明の熱処理装置は、基板の製造工程に適用することができる。
SOI(Silicon On Insulator)ウエハの一種であるSIMOX(Separation by Implanted Oxygen)ウエハの製造工程の一工程に本発明の熱処理装置を適用する例について説明する。
【0038】
まずイオン注入装置等により単結晶シリコンウエハ内への酸素イオンをイオン注入する。その後、酸素イオンが注入されたウエハを上記実施の形態の熱処理装置を用いて、例えばAr、O2雰囲気のもと、1300℃〜1400℃、例えば1350℃以上の高温でアニールする。これらの処理により、ウエハ内部にSiO2層が形成された(SiO2層が埋め込まれた)SIMOXウエハが作製される。
【0039】
このような基板の製造工程の一工程として行なう高温アニール処理を行なう場合であっても、本発明の熱処理装置を適用することができる。
【0040】
また、本発明の熱処理装置は、半導体装置(デバイス)の製造工程に適用することも可能である。特に、比較的高い温度で行なう熱処理工程、例えば、ウェット酸化、ドライ酸化、水素燃焼酸化(パイロジェニック酸化)、HCl酸化等の熱酸化工程等に適用するのが好ましい。
【0041】
このような半導体デバイスの製造工程の一工程としての熱処理工程を行なう場合においても、本発明の熱処理装置を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、半導体ウエハやガラス基板等の基板の製造方法及び熱処理装置において、反応管及び反応管内の各部材をクリーニングする必要があるものに利用することができる。
【符号の説明】
【0043】
10 熱処理装置
30 基板支持具
42 反応管
54 基板
60 ガス供給ライン
66 ガス導入ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応管に設けられたガス導入ノズルにより、前記反応管内に酸化性ガスを導入して支持具により支持した基板に酸化膜を形成する工程と、
酸化膜形成後の基板を前記反応管内から搬出して、前記反応管内をクリーニングする工程と
を有し、
前記反応管内をクリーニングする工程は、
前記反応管内を所定の温度に維持した状態で、前記反応管内にフッ化水素ガス、フッ化水素ガスと水素ガス、または、フッ化水素ガスと水蒸気を少なくとも含むガスを供給することにより、前記反応管、前記支持具及び前記ガス導入ノズルのうちの少なくとも何れかの部材に形成された酸化膜を除去する工程と、
前記所定の温度を維持した状態で前記反応管内に不活性ガスを供給する工程と
を含む
ことを特徴とする基板の製造方法。
【請求項2】
反応管に設けられたガス導入ノズルにより、前記反応管内に酸化性ガスを導入して支持具により支持した基板に酸化膜を形成する工程と、
酸化膜形成後の基板を前記反応管内から搬出して、前記反応管内をクリーニングする工程と
を有し、
前記反応管内をクリーニングする工程は、
前記反応管内を所定の温度に維持した状態で、前記反応管内にフッ化水素ガス、フッ化水素ガスと水素ガス、または、フッ化水素ガスと水蒸気を少なくとも含むガスを供給することにより、前記反応管、前記支持具及び前記ガス導入ノズルのうちの少なくとも何れかの部材に形成された酸化膜を除去する工程と、
前記所定の温度を維持した状態で前記反応管内に不活性ガスを供給する工程と
を含む
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
反応管に設けられたガス導入ノズルにより、前記反応管内に酸化性ガスを導入して支持具により支持した基板に酸化膜を形成する工程と、
酸化膜形成後の基板を前記反応管内から搬出して、前記反応管内をクリーニングする工程と
を有し、
前記反応管内をクリーニングする工程は、
前記反応管内を所定の温度に維持した状態で、前記反応管内にフッ化水素ガス、フッ化水素ガスと水素ガス、または、フッ化水素ガスと水蒸気を少なくとも含むガスを供給することにより、前記反応管、前記支持具及び前記ガス導入ノズルのうちの少なくとも何れかの部材に形成された酸化膜を除去する工程と、
前記所定の温度を維持した状態で前記反応管内に不活性ガスを供給する工程と
を含む
ことを特徴とする基板処理方法。
【請求項4】
反応管に設けられたガス導入ノズルにより、前記反応管内に酸化性ガスを導入して支持具により支持した基板に酸化膜を形成する処理を行った後の前記反応管内をクリーニングする方法であって、
前記反応管内をクリーニングする工程は、
前記反応管内を所定の温度に維持した状態で、前記反応管内にフッ化水素ガス、フッ化水素ガスと水素ガス、または、フッ化水素ガスと水蒸気を少なくとも含むガスを供給することにより、前記反応管、前記支持具及び前記ガス導入ノズルのうちの少なくとも何れかの部材に形成された酸化膜を除去する工程と、
前記所定の温度を維持した状態で前記反応管内に不活性ガスを供給する工程と
を含む
ことを特徴とするクリーニング方法。
【請求項5】
基板を処理する反応菅と、
前記反応管内で基板を支持する支持具と、
前記反応管に設けられ、前記反応管内に基板に酸化膜を形成するための酸化性ガスを導入するガス導入ノズルと
を有し、
前記反応管内を所定の温度に維持した状態で、前記反応管、前記支持具及び前記ガス導入ノズルの少なくとも何れかの部材に形成された酸化膜を除去するためのフッ化水素ガス、フッ化水素ガスと水素ガス、または、フッ化水素ガスと水蒸気を少なくとも含むガスを供給するクリーニングガス供給ラインと、
前記所定の温度を維持しながら前記反応管内に不活性ガスを供給するパージガス供給ラインと
が設けられる
ことを特徴とする処理装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−199566(P2012−199566A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−116294(P2012−116294)
【出願日】平成24年5月22日(2012.5.22)
【分割の表示】特願2006−201854(P2006−201854)の分割
【原出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】