説明

基板の貫通配線の形成方法

【課題】 基板の一表面から他表面にわたって延びる配線を、貫通孔に確実に形成することができる基板の貫通配線の形成方法を提供する。
【解決手段】 半導体基材24に、第1樹脂層27および金属層40をこの順番で積層して形成する。金属層40に第1貫通孔44を形成し、第1貫通孔44に連通するように第1樹脂層27および半導体基材24に、第2貫通孔45および未貫通孔46をそれぞれ形成する。導電性樹脂材料62を第1貫通孔44に供給すると、金属層40と導電性樹脂材料62との接触角が大きいので、導電性樹脂材料62は、金属層40の表面に広がらず、第1貫通孔44を確実に閉塞することができ、圧力差を利用して導電性樹脂材料62を未貫通孔46に確実に注入することができる。導電性樹脂材料62を硬化させ、半導体基材24の一部を他表面36側から除去することによって貫通配線21が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の貫通配線の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機および携帯情報端末機器などが急速に普及した要因として、これらの機器が飛躍的に小型化されたことが挙げられる。これらの機器をさらに小型化するためには、半導体部品の小型化および半導体部品の高密度実装化を行わなければならない。
【0003】
半導体部品の実装密度を飛躍的に向上させるための技術として、半導体素子などを含んで構成される大規模集積回路(Large Scale Integration:略称LSI)などが形成された半導体基板を薄型化し、かつその半導体基板を複数個積層して半導体部品を構成する3次元化システムLSI技術が注目されている。この3次元化システムLSIを実現するためには、離間する積層された半導体基板の間で電気的信号のやりとりが可能でなければならない。そのために、半導体基板の厚み方向に貫通する貫通配線を形成する必要がある。離間する半導体基板の間に挟まれた半導体基板の貫通配線を介して、離間する半導体基板間の電気的信号のやりとりを行うことができる。
【0004】
第1の従来の技術では、半導体基板の貫通配線は以下のように形成される。
図8は、第1の従来の技術の貫通配線の形成途中の半導体基板の一部を模式化して示す断面図である。まず、水平に保たれているステージ2上に貫通孔4が形成された半導体基板1を設置する。このときの半導体基板1の雰囲気の圧力は、大気圧より低く保たれる。次に、図8(1)に示すように、半導体基板1の厚み方向一表面6のうち、貫通孔4に臨む半導体基板1の周縁部10を覆って貫通孔4を塞ぐように導電性ペースト材3を塗布する。次に、半導体基板1の雰囲気の圧力を大気圧に戻す。このとき、貫通孔4に臨む半導体基板1の内周面5とステージ2と導電性ペースト材3とによって形成される閉鎖空間7の圧力は、閉鎖空間7の外部の圧力よりも低くなる。この圧力差によって、図8(2)に示すように、貫通孔4に導電性ペースト材3が差圧充填される。次に、導電性ペースト材3を加熱硬化させて貫通配線8を形成する(たとえば特許文献1参照)。
【0005】
第1の従来の技術では、差圧充填法を用いて導電性ペースト材3を貫通孔4に充填した後に、半導体基板1の一表面6上に余分な導電性ペースト材3が残る。半導体基板1の一表面6上に残る導電性ペースト材3を加熱硬化させると、半導体基板1の一表面6上に不要なばり9が形成される。半導体基板1の一表面6上に形成されるばり9は、ばり取り処理によって除去されるが、完全に除去されずに残るおそれがある。この場合、半導体基板1の一表面6上に形成されるばり9と半導体基板1の一表面部11に形成される半導体素子などが導通するおそれがある。
【0006】
前述した問題に鑑み、第2の従来の技術では、半導体基板の貫通配線は、以下のように形成される。
【0007】
図9は、第2の従来の技術の貫通配線の形成途中の半導体基板の一部を模式化して示す断面図である。まず、半導体基材16の一表面13上に、樹脂層15を形成する。次に、樹脂層15に、この樹脂層15を厚み方向に貫通する貫通孔14を形成する。次に、半導体基材16の厚み方向一表面13から他表面83に向かって延び、かつ樹脂層15の貫通孔14に連通する未貫通孔12を形成する。次に、半導体基材16の雰囲気の圧力を、大気圧より低く保つ。次に、図9(1)に示すように、樹脂層15の厚み方向一表面17のうち、貫通孔14に臨む樹脂層15の周縁部18を覆って貫通孔14を塞ぐように導電性ペースト材3を塗布する。次に、半導体基材16の雰囲気の圧力を大気圧に戻す。
【0008】
図9(2)は、半導体基材16の雰囲気の圧力を大気圧に戻したときの、半導体基材16と樹脂層15と導電性ペースト材3との一部を模式化して示す断面図である。半導体基材16の雰囲気の圧力を大気圧に戻すと、貫通孔14に臨む樹脂層15の内周面19と、未貫通孔12に望む半導体基材16の内周面80とによって形成される閉鎖空間81の圧力は、閉鎖空間81の外部の圧力よりも低くなる。この圧力差によって、未貫通孔12に導電性ペースト材3が差圧充填される。
【0009】
図9(3)は、半導体基材16と貫通配線層82との一部を模式化して示す断面図である。次に、充填された導電性ペースト材3を加熱硬化させて貫通配線層82を形成する。次に、樹脂層15を除去し、半導体基材16の一部を他表面83側から除去して貫通配線層82を露出させ、半導体基板84およびこの半導体基板84を厚み方向に貫通する貫通配線を形成する。以上の方法では、半導体基板84の一表面85上に不要なばりは形成されない。
【0010】
【特許文献1】特開2003−257891号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
第2の従来の技術では、未貫通孔12に導電性ペースト材3を充填することができない場合が生じ、半導体基板84に貫通配線が形成されないおそれがある。
【0012】
図10は、第2の従来の技術の貫通配線の形成途中の半導体基板の一部を模式化して示す断面図である。大気圧よりも低い減圧雰囲気下で、樹脂層15の厚み方向一表面17のうち、貫通孔14に臨む樹脂層15の周縁部18を覆って貫通孔14を塞ぐように導電性ペースト材3を塗布しても、樹脂層15の一表面17と導電性ペースト材3との接触角が小さい場合、導電性ペースト材3は、樹脂層15の厚み方向一表面17上に広がる。そのため、貫通孔14を導電性ペースト材3によって閉塞することができない場合がある。この場合、半導体基材16の雰囲気の圧力を大気圧に戻しても、未貫通孔12に臨む半導体基材16の内周面80に接する気体の圧力と半導体基材16の雰囲気の圧力とが同じとなり、導電性ペースト材3を未貫通孔12に差圧充填することができない。未貫通孔12に導電性ペースト材3が充填されていない状態で導電性ペースト材3を加熱硬化させ、貫通配線層を形成すると、樹脂層15を除去し、半導体基材16の一部を他表面83側から除去して貫通配線層を露出させても、半導体基板84の厚み方向に貫通する配線が形成されないおそれがある。半導体基板に限らず、基板に貫通配線を形成する場合には、上記問題と同様の問題が生じるおそれがある。
【0013】
また、樹脂層15と導電性ペースト材3との接触角が小さい場合、樹脂層15の厚み方向一表面17のうち、貫通孔14に臨む樹脂層15の周縁部18を覆って貫通孔14を塞ぐように導電性ペースト材3を塗布しても、導電性ペースト材3は、樹脂層15の一表面17上に広がる。そのため、差圧充填法を用いて導電性ペースト材3を未貫通孔12に充填したとしても、導電性ペースト材3を加熱硬化させると、樹脂層15の一表面17上に不要なばりが形成される。このばりを除去するときに、半導体基板84の一表面85を傷つけてしまうおそれもある。
【0014】
したがって本発明の目的は、基板の一表面から他表面にわたって延びる配線を貫通孔に確実に形成し、かつ基板を損傷することなく貫通配線を形成することができる基板の貫通配線の形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、導電性ペースト材を用いて、貫通配線を基板に形成する基板の貫通配線の形成方法であって、
基材の厚み方向一表面上に樹脂によって形成される樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、
前記樹脂層の厚み方向一表面上に金属によって形成される金属層を形成する金属層形成工程と、
前記金属層に、この金属層の厚み方向に貫通する第1貫通孔を形成する第1貫通孔形成工程と、
前記樹脂層に、この樹脂層の厚み方向に貫通し、かつ前記第1貫通孔に連通する第2貫通孔を形成する第2貫通孔形成工程と、
前記基材に、この基材の厚み方向一表面から他表面に向かって延び、かつ第2貫通孔に連通する未貫通孔を形成する未貫通孔形成工程と、
前記導電性ペースト材によって、前記金属層の厚み方向一表面のうち、前記第1貫通孔に臨む前記金属層の周縁部を覆って前記第1貫通孔を塞ぎ、閉鎖空間を形成する閉鎖空間形成工程と、
前記閉鎖空間の圧力よりも、前記閉鎖空間の外部の圧力を高くすることによって、前記閉鎖空間形成工程で前記第1貫通孔を塞いだ前記導電性ペースト材を、前記未貫通孔に注入する導電性ペースト材注入工程と、
前記未貫通孔に注入した前記導電性ペースト材を硬化させ、貫通配線層を形成する貫通配線層形成工程と、
前記基材の一部を他表面側から除去して前記貫通配線層を露出させ、基板およびこの基板を厚み方向に貫通する貫通配線を形成する貫通配線形成工程とを含み、
前記閉鎖空間形成工程における前記金属層と前記導電性ペースト材との接触角が、前記樹脂層と前記導電性ペースト材との接触角と比較して、大きくなるように前記金属層が形成されることを特徴とする基板の貫通配線の形成方法である。
【0016】
本発明に従えば、閉鎖空間形成工程における金属層と導電性ペースト材との接触角が、樹脂層と導電性ペースト材との接触角と比較して、大きくなるように金属層が形成される。導電性ペースト材は、樹脂から成るバインダと導電性を有する金属粒子とを混合させたものである。導電性ペースト材を、金属層の厚み方向一表面のうち、第1貫通孔に臨む金属層の周縁部を覆って第1貫通孔を塞ぐように供給したときに、金属層と導電性ペースト材との接触角が大きいので、導電性ペースト材が金属層の厚み方向一表面上に広がらない。供給した導電性ペースト材が金属層の厚み方向一表面上に広がらないので、導電性ペースト材によって金属層の第1貫通孔を確実に塞ぐことができる。
【0017】
また、供給した導電性ペースト材が金属層の厚み方向一表面上に広がらないので、導電性ペースト材を硬化させて貫通配線層を形成しても、金属層の厚み方向一表面上に不要なばりが形成されない。
【0018】
また、基材と金属層との間に樹脂層が介在するので、基材の一表面上に金属層が直接形成されない。基材の一表面上に金属層を直接形成する場合、金属層を除去するときに、基材の一表面を傷つけるおそれがあるが、基材と金属層との間に樹脂層が介在するので、金属層を除去するときに、樹脂層が基材の一表面を保護する。したがって、金属層を除去するときに、基材の一表面を傷つけることがない。
【0019】
本発明において、前記基材は、少なくとも半導体によって形成され、
前記未貫通孔形成工程と前記閉鎖空間形成工程との間に、前記未貫通孔に臨む基材の内周面を、電気絶縁性を有する材料から成る絶縁膜によって覆う絶縁膜形成工程を含むことを特徴とする。
【0020】
本発明に従えば、基材は、少なくとも半導体によって形成される。
また、未貫通孔に臨む基材の内周面は、絶縁膜によって覆われる。
【0021】
本発明は、前記絶縁膜形成工程は、
樹脂材料から成り、電気絶縁性を有する絶縁性ペースト材によって、前記金属層の厚み方向一表面のうち、前記第1貫通孔に臨む前記金属層の周縁部を覆って前記第1貫通孔を塞ぎ、第2閉鎖空間を形成する第2閉鎖空間形成工程と、
前記第2閉鎖空間の圧力よりも、前記第2閉鎖空間の外部の圧力を高くすることによって、前記第2閉鎖空間形成工程で前記第1貫通孔を塞いだ前記絶縁性ペースト材を、前記未貫通孔に注入し、前記絶縁性ペースト材によって前記未貫通孔に臨む前記基材の内周面を覆う内周面被覆工程と、
前記未貫通孔に臨む前記基材の内周面を覆う前記絶縁性ペースト材を硬化させて前記絶縁膜を形成する絶縁性ペースト材硬化工程とを含み、
第2閉鎖空間形成工程における前記金属層と前記絶縁性ペースト材との接触角が、前記樹脂層と前記絶縁性ペースト材との接触角と比較して、大きくなるように前記金属層が形成されることを特徴とする。
【0022】
本発明に従えば、第2閉鎖空間形成工程における金属層と絶縁性ペースト材との接触角が、樹脂層と絶縁性ペースト材との接触角と比較して、大きくなるように金属層が形成される。絶縁性ペースト材は、電気絶縁性を有する樹脂から成る。絶縁性ペースト材を、金属層の厚み方向一表面のうち、第1貫通孔に臨む金属層の周縁部を覆って第1貫通孔を塞ぐように供給したときに、金属層と絶縁性ペースト材との接触角が大きいので、絶縁性ペースト材が金属層の厚み方向一表面上に広がらない。供給した絶縁性ペースト材が金属層の厚み方向一表面上に広がらないので、絶縁性ペースト材によって金属層の第1貫通孔を確実に塞ぐことができる。
【0023】
本発明は、前記閉鎖空間形成工程では、厚み方向に貫通する孔が形成されたマスク体を、前記金属層の厚み方向一表面と前記マスク体の厚み方向他表面とを対向させて配置し、前記導電性ペースト材を、前記マスク体の厚み方向一表面から前記マスク体の孔を介して前記第1貫通孔に供給することを特徴とする。
【0024】
本発明に従えば、導電性ペースト材をマスク体の厚み方向一表面からマスク体の孔を介して金属層の第1貫通孔に供給する。マスク体を介して導電性ペースト材を供給するので、金属層に複数の貫通孔が形成されている場合では、複数の貫通孔に同時に導電性ペースト材を供給することができる。
【0025】
本発明は、前記閉鎖空間形成工程では、厚み方向に貫通する孔が形成されたマスク体を、前記金属層の厚み方向一表面と前記マスク体の厚み方向他表面とを対向させて配置し、前記導電性ペースト材を、前記マスク体の厚み方向一表面から前記マスク体の孔を介して前記第1貫通孔に供給し、
前記第2閉鎖空間形成工程では、前記金属層の厚み方向一表面と前記マスク体の厚み方向他表面とを対向させて配置し、前記絶縁性ペースト材を、前記マスク体の厚み方向一表面から前記マスク体の孔を介して前記第1貫通孔に供給することを特徴とする。
【0026】
本発明に従えば、導電性ペースト材および絶縁性ペースト材を、マスク体の厚み方向一表面からマスク体の孔を介して金属層の第1貫通孔に供給する。マスク体を介して導電性ペースト材および絶縁性ペースト材を供給するので、金属層に複数の貫通孔が形成されている場合では、複数の貫通孔に同時に導電性ペースト材および絶縁性ペースト材を供給することができる。
【0027】
本発明は、前記閉鎖空間形成工程では、ディスペンサを用いて前記第1貫通孔に前記導電性ペースト材を供給することを特徴とする。
【0028】
本発明に従えば、導電性ペースト材をディスペンサを用いて金属層の第1貫通孔に供給する。ディスペンサを用いるので、導電性ペースト材を予め定める位置に精度良く供給することができる。また、導電性ペースト材の供給量も調整しやすくなる。
【0029】
本発明は、前記閉鎖空間形成工程では、ディスペンサを用いて前記第1貫通孔に前記導電性ペースト材を供給し、
前記第2閉鎖空間形成工程では、ディスペンサを用いて前記第1貫通孔に前記絶縁性ペースト材を供給することを特徴とする。
【0030】
本発明に従えば、導電性ペースト材および絶縁性ペースト材をディスペンサを用いて金属層の第1貫通孔に供給する。ディスペンサを用いるので、導電性ペースト材および絶縁性ペースト材を予め定める位置に精度良く供給することができる。また、導電性ペースト材および絶縁性ペースト材の供給量も調整しやすくなる。
【0031】
本発明は、前記第1貫通孔形成工程は、
前記金属層の厚み方向一表面上に、樹脂から成り、厚み方向に貫通する孔が形成される第2樹脂層を形成する第2樹脂層貫通孔形成工程と、
前記金属層に、この金属層の厚み方向に貫通し、かつ前記第2樹脂層の孔に連通する前記第1貫通孔を形成する金属層貫通孔形成工程とを含み、
前記第2貫通孔形成工程では、剥離液によって前記第2樹脂層を剥離するとともに、前記剥離液によって前記樹脂層に、この樹脂層の厚み方向に貫通し、かつ前記第1貫通孔に連通する第2貫通孔を形成することを特徴とする。
【0032】
本発明に従えば、樹脂層と第2樹脂層とは、同一の剥離液に可溶な材料から形成される。したがって、樹脂層の第2貫通孔の形成と第2樹脂層の剥離とを1つの工程で行うことができる。
【0033】
本発明は、前記第2樹脂層を、ポジ型レジストによって形成することを特徴とする。
本発明に従えば、第2樹脂層をポジ型レジストによって形成する。ネガ型レジストによって第2樹脂層を形成する場合に比べて、ポジ型レジストによって第2樹脂層を形成すると、現像したときにその解像度が高くなる。そのため、予め定める形状の孔を第2樹脂層の予め定める位置に精度良く形成することができる。
【0034】
本発明は、前記樹脂層を、ポジ型レジストによって形成することを特徴とする。
本発明に従えば、樹脂層と第2樹脂層とは、ポジ型レジストによって形成され、かつ同じ剥離液に可溶である。したがって、樹脂層の第2貫通孔の形成と第2樹脂層の剥離とを1つの工程で行うことができる。
【0035】
本発明は、前記樹脂層形成工程は、
基材の厚み方向一表面上に感光性樹脂を塗布して感光性樹脂層を形成する感光性樹脂層形成工程と、
前記感光性樹脂層の厚み方向一表面側から感光性樹脂層の全体を露光する感光性樹脂層露光工程と、
露光した感光性樹脂層を硬化させて前記樹脂層を形成する感光性樹脂層硬化工程とを含むことを特徴とする。
【0036】
本発明に従えば、樹脂層は、感光性樹脂の全体を露光させた後に硬化させて形成されるので、樹脂層は、剥離液に溶けやすい。したがって、樹脂層の第2貫通孔の形成と第2樹脂層の剥離とを同じ工程で行うときに、樹脂層の第2貫通孔を形成しやすくなる。また、樹脂層を硬化させた後に、樹脂層の厚み方向一表面上に金属層を形成するので、金属層と基板との相対的な位置は、固定される。
【0037】
本発明は、導電性ペースト材を用いて、貫通配線を基板に形成する基板の貫通配線の形成方法であって、
基材の厚み方向一表面上に導電性ペースト材が供給されるペースト材供給層を形成するペースト材供給層形成工程と、
前記ペースト材供給層に、このペースト材供給層の厚み方向に貫通する貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
前記基材に、この基材の厚み方向一表面から他表面に向かって延び、かつ前記貫通孔と連通する未貫通孔を形成する未貫通孔形成工程と、
前記導電性ペースト材によって、前記ペースト材供給層の厚み方向一表面のうち、前記貫通孔に臨むペースト材供給層の周縁部を覆って前記貫通孔を塞ぎ、閉鎖空間を形成する閉鎖空間形成工程と、
前記閉鎖空間の圧力よりも、前記閉鎖空間の外部の圧力を高くすることによって、前記閉鎖空間形成工程で貫通孔を塞いだ前記導電性ペースト材を、前記未貫通孔に注入するペースト材注入工程と、
前記未貫通孔に注入した前記導電性ペースト材を硬化させ、貫通配線層を形成する貫通配線層形成工程と、
前記基材の一部を他表面側から除去して前記貫通配線層を露出させ、基板およびこの基板を厚み方向に貫通する貫通配線を形成する貫通配線形成工程とを含み、
前記閉鎖空間形成工程における前記ペースト材供給層と前記導電性ペースト材との接触角が60°以上80°未満に選ばれるように前記ペースト材供給層が形成されることを特徴とする基板の貫通配線の形成方法である。
【0038】
本発明に従えば、閉鎖空間形成工程におけるペースト材供給層と導電性ペースト材との接触角が、60°以上80°未満に選ばれるようにペースト材供給層が形成される。導電性ペースト材を、ペースト材供給層の厚み方向一表面のうち、貫通孔に臨むペースト材供給層の周縁部を覆って貫通孔を塞ぐように供給したときに、ペースト材供給層と導電性ペースト材との接触角が大きいので、導電性ペースト材がペースト材供給層の厚み方向一表面上に広がらない。供給した導電性ペースト材がペースト材供給層の厚み方向一表面上に広がらないので、導電性ペースト材によってペースト材供給層の貫通孔を確実に塞ぐことができる。
【0039】
また、供給した導電性ペースト材がペースト材供給層の厚み方向一表面上に広がらないので、導電性ペースト材を硬化させて貫通配線層を形成しても、金属層の厚み方向一表面上に不要なばりが形成されない。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、導電性ペースト材によって金属層の第1貫通孔を確実に塞ぐことができるので、圧力の差を利用して、導電性ペースト材を基材の未貫通孔に確実に注入することができる。注入したペースト材を硬化させて貫通配線層を形成した後に、基材の一部を他表面側から除去することによって、基板の一表面から他表面にわたって延びる配線を、基板の貫通孔に確実に形成することができる。
【0041】
また、金属層の厚み方向一表面上に不要なばりが形成されない。金属層の厚み方向一表面上に不要なばりが形成されると、ばり取りを行う必要が生じ、ばり取りを行うときに基板の厚み方向一表面を傷つけるおそれがある。本発明では、金属層の厚み方向一表面上に不要なばりが形成されないので、ばり取りを行う必要がなく、基板の厚み方向一表面が損傷しない。
【0042】
また、基材と金属層との間に樹脂層が介在するので、基材の一表面上に金属層が直接形成されない。基材の一表面上に金属層を直接形成する場合、金属層を除去するときに、基材の一表面を傷つけるおそれがあるが、基材と金属層との間に樹脂層が介在するので、金属層を除去するときに、樹脂層が基材の一表面を保護する。したがって、金属層を除去するときに、基材の一表面を傷つけることがない。
【0043】
また本発明によれば、導電性ペースト材によって金属層の第1貫通孔を確実に塞ぐことができる。アスペクト比の高い半導体基材の未貫通孔にペースト材を充填するのは困難であるが、導電性ペースト材によって金属層の第1貫通孔を確実に塞ぐことができるので、圧力の差を利用して、導電性ペースト材をアスペクト比の高い半導体基材の未貫通孔に確実に注入することができる。注入した導電性ペースト材を硬化させて貫通配線層を形成し、半導体基材の一部を他表面側から除去することによって、半導体基板の一表面から他表面にわたって延びる配線を半導体基板の貫通孔に確実に形成することができる。
【0044】
また、未貫通孔に臨む基材の内周面は、絶縁膜によって覆われているので、貫通配線層と基材とは、接しない。そのため、貫通配線と基板とは、絶縁膜によって隔てられる。したがって、基板と電気的に絶縁される貫通配線を形成することができる。
【0045】
また本発明によれば、絶縁性ペースト材によって金属層の第1貫通孔を確実に塞ぐことができるので、圧力の差を利用して、絶縁性ペースト材を基材の未貫通孔に確実に注入することができ、基材の未貫通孔に臨む基材の内周面を絶縁性ペースト材によって確実に覆うことができる。基材の未貫通孔に臨む基材の内周面を覆う絶縁性ペースト材を硬化させることによって、基材の未貫通孔に臨む基材の内周面を確実に覆う絶縁膜を形成することができる。そのため、導電性ペースト材を未貫通孔に注入したときに、基材の未貫通孔に臨む基材の内周面と導電性ペースト材とは、接しない。注入した導電性ペースト材を硬化させて貫通配線層を形成し、基材の一部を他表面側から除去することによって、基板および基板を厚み方向に貫通する貫通配線を形成したときに、基板と、より確実に電気的に絶縁される貫通配線を基板に形成することができる。
【0046】
また本発明によれば、金属層の複数の貫通孔に同時に導電性ペースト材を供給することができる。したがって、導電性ペースト材を供給する時間を短縮することができ、効率的に基板の貫通配線を形成することができる。
【0047】
また本発明によれば、金属層の複数の貫通孔に同時に導電性ペースト材、および絶縁性ペースト材を供給することができる。したがって、導電性ペースト材および絶縁性ペースト材を供給する時間を短縮することができ、効率的に基板の貫通配線を形成することができる。
【0048】
また本発明によれば、導電性ペースト材を予め定める位置に精度良く供給することができ、かつその供給量も調整しやすいので、金属層の第1貫通孔を導電性ペースト材によってより確実に塞ぐことができる。したがって、圧力の差を利用して、導電性ペースト材を基材の未貫通孔により確実に注入することができる。注入した導電性ペースト材を硬化させて貫通配線層を形成し、基材の一部を他表面側から除去することによって、基板の一表面から他表面にわたって延びる配線を、基板の貫通孔に、より確実に形成することができる。
【0049】
また本発明によれば、導電性ペースト材および絶縁性ペースト材を予め定める位置に精度良く供給することができ、かつその供給量も調整しやすいので、金属層の第1貫通孔を導電性ペースト材、および絶縁性ペースト材によって、より確実に塞ぐことができる。したがって、圧力の差を利用して、ペースト材を基材の未貫通孔により確実に注入することができる。注入した絶縁性ペースト材を硬化させて、未貫通孔に臨む基材の内周面を確実に覆う絶縁膜を形成することができる。また、注入した導電性ペースト材を硬化させて、貫通配線層を形成し、基材の一部を他表面側から除去することによって、基板と電気的に、より確実に絶縁され、かつ基板の一表面から他表面にわたって延びる配線を、基板の貫通孔により確実に形成することができる。
【0050】
また本発明によれば、樹脂層の第2貫通孔の形成と第2樹脂層の剥離とを1つの工程で行うことができるので、基板の貫通配線の形成工程を容易にすることができる。
【0051】
また本発明によれば、第2樹脂層がポジ型レジストによって形成されるので、予め定める形状の孔を第2樹脂層の予め定める位置に精度良く形成することができる。金属層の第1貫通孔は、第2樹脂層の孔を介して、第2樹脂層の孔に連通して形成される。樹脂層の第2貫通孔は、金属層の第1貫通孔を介して、第1貫通孔に連通して形成される。基材の未貫通孔は、樹脂層の第2貫通孔を介して、樹脂層の第2貫通孔に連通して形成される。そのため、基材の未貫通孔の形成される位置およびその形状は、第2樹脂層の孔の位置およびその形状に依存する。未貫通孔に導電性ペースト材を充填して、充填した導電性ペースト材を硬化して貫通配線層を形成し、基材の一部を他表面側から除去することによって貫通配線は、形成される。そのため、貫通配線の形成される位置およびその形状は、未貫通孔の形成される位置およびその形状によって定まる。したがって、予め定める形状の孔を第2樹脂層の予め定める位置に精度良く形成することによって、予め定める形状の貫通配線を基板の予め定める位置に精度良く形成することができる。
【0052】
また本発明によれば、樹脂層と第2樹脂層とは、ポジ型レジストによって形成され、かつ同じ剥離液に可溶なので、樹脂層の第2貫通孔の形成と第2樹脂層の剥離とを1つの工程で行うことができる。したがって、基板の貫通配線の形成工程を容易にすることができる。
【0053】
また本発明によれば、樹脂層は、感光性樹脂の全体を露光させた後に硬化させて形成されるので、樹脂層は、第2樹脂層を剥離する剥離液に溶けやすい。したがって、樹脂層の第2貫通孔の形成と第2樹脂層の剥離とを1つの工程で行うときに、剥離液によって樹脂層の第2貫通孔を形成しやすくなる。また、樹脂層を硬化させた後に、樹脂層の厚み方向一表面上に金属層を形成するので、金属層と基板との相対的な位置は固定される。基材の未貫通孔は、樹脂層の第2貫通孔および金属層の第1貫通孔を介して形成される。そのため、金属層と基板との相対的な位置が固定されるので、予め定める形状の孔を金属層の予め定める位置に形成すると、予め定める形状の未貫通孔を基材の予め定める位置に精度よく形成することができる。貫通配線は、未貫通孔に導電性ペースト材を充填し、充填した導電性ペースト材を加熱硬化して貫通配線層を形成し、基材の一部を他表面側から除去することによって形成される。そのため、貫通配線の形成される位置およびその形状は、未貫通孔の形成される位置およびその形状によって定まる。金属層と基板との相対的な位置が固定されるので、予め定める形状の孔を金属層の予め定める位置に精度良く形成することによって、予め定める形状の貫通配線を基板の予め定める位置に精度良く形成することができる。
【0054】
また本発明によれば、導電性ペースト材によってペースト材供給層の貫通孔を確実に塞ぐことができるので、圧力の差を利用して、導電性ペースト材を基材の未貫通孔に確実に注入することができる。注入した導電性ペースト材を硬化させて貫通配線層を形成した後に、基材の一部を他表面側から除去することによって、基板の一表面から他表面にわたって延びる配線を、基板の貫通孔に確実に形成することができる。
【0055】
また、ペースト材供給層の厚み方向一表面上に不要なばりが形成されない。ペースト材供給層の厚み方向一表面上に不要なばりが形成されると、ばり取りを行う必要が生じ、ばり取りを行うときに基板の厚み方向一表面を傷つけるおそれがある。本発明では、ペースト材供給層の厚み方向一表面上に不要なばりが形成されないので、ばり取りを行う必要がなく、基板の厚み方向一表面が損傷しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
図1は、本発明の実施の一形態の基板の貫通配線の形成方法を表すフローチャートである。図2は、図1のフローチャートに示す手順によって、貫通配線21が形成された半導体基板20の一部を模式化して示す断面図である。図3〜図6は、貫通配線21の形成途中の半導体基板20の一部を模式化して示す断面図である。
貫通配線21の形成処理を開始すると、ステップS0からステップS1に移る。
【0057】
図3(1)は、ステップS1終了後の半導体基材24の一部を模式化して示す断面図である。半導体基材24は、半導体基材本体25と、接続端子部22と、保護膜26とを含んで構成される。半導体基材本体25は、たとえば単結晶シリコン(Si)およびガリウム砒素(GaAs)などから成る。半導体基材本体25の厚みは、第1の厚みT1に選ばれる。第1の厚みT1は、たとえば625μm〜725μmに選ばれる。
【0058】
半導体基材本体25の厚み方向一表面部30には、酸化膜が形成されている。半導体基材本体25の厚み方向一表面部30には、半導体素子を含んで構成される大規模集積回路(Large Scale Integration:略称LSI)などが形成されている。半導体基材24の厚み方向を第1方向Zと定義する。接続端子部22は、たとえばアルミニウム(Al)および金(Au)などの金属から成る。接続端子部22は、半導体基材本体25の第1方向Z一表面部30に形成されている。半導体基材本体25の一表面部30には、接続端子部22と半導体素子とを電気的に接続する配線が形成されている。保護膜26は、半導体基材本体25の第1方向Z一表面31のうち、接続端子部22と接する部分を除く残余の表面に形成されている。保護膜26は、半導体素子の表面を保護する。保護膜26は、たとえば窒化シリコン(SiN)などから成る。
【0059】
ステップS1では、接続端子部22に、第1方向Zに貫通する略直円柱形状の端子部貫通孔23をフォトリソグラフィによって形成する。次に、半導体基材本体25の一表面部30に形成されている酸化膜のうち、端子部貫通孔23に露出する部分をフォトリソグラフィによって除去する。半導体基材24の第1方向Z一表面32は、半導体基材本体25の第1方向Z一表面31のうち、保護膜26または接続端子部22に接する部分を除く残余の表面と、保護膜26の第1方向Z一表面28と、接続端子部22の第1方向Z一表面29とを含む。本発明の実施の形態において、用語「略直円柱」は、直円柱を含む。
【0060】
ステップS1が終了すると、ステップS2に移る。ステップS2では、半導体基材24の第1方向Z一表面32上に、たとえばスピンコート法によってポジ型感光性樹脂材料を塗布し、半導体基材24の第1方向Z一表面32を覆う第1感光性樹脂層を形成する。ポジ型感光性樹脂材料は、たとえばノボラック型エポキシ樹脂等を主成分として成る。感光性樹脂層形成工程は、ステップS2に対応する。
【0061】
ステップS2が終了すると、ステップS3に移る。ステップS3では、第1感光性樹脂層にプリキュアを行う。ポジ型感光性樹脂材料を塗布した半導体基材24を、たとえば90℃〜110℃の雰囲気中に1分〜5分間置くことによって、第1感光性樹脂層を半硬化させる。ステップS3で行う処理を第1のプリキュアと記載する。
【0062】
ステップS3が終了すると、ステップS4に移る。ステップS4では、第1感光性樹脂層の第1方向Z一表面側から、第1感光性樹脂層全体を露光する。感光性樹脂層露光工程は、ステップS4に対応する。
ステップS4が終了すると、ステップS5に移る。
【0063】
図3(2)は、ステップS5終了後の半導体基材24と第1樹脂層27との一部を模式化して示す断面図である。ステップS5では、第1感光性樹脂層にポストキュアを行い、第1樹脂層27を形成する。第1感光性樹脂層を、たとえば120℃〜150℃の雰囲気中に1分〜5分間置くことによって硬化させ、第1方向Zの厚みが第2の厚みT2となる第1樹脂層27を形成する。第2の厚みT2は、たとえば5μm〜10μmに選ばれる。感光性樹脂層硬化工程は、ステップS5に対応する。
ステップS5が終了すると、ステップS6に移る。
【0064】
図3(3)は、ステップS6終了後の半導体基材24と第1樹脂層27と金属層40との一部を模式化して示す断面図である。ステップS6では、まず、第1樹脂層27の第1方向Z一表面33上に、たとえばスパッタ法および無電解メッキ法などによって第3の厚みT3の金属層40を形成する。金属層40は、たとえば金(Au)またはニッケル(Ni)などによって形成される。金属層40は、好ましくはAuから成る。金属層40がAuから成る場合、第3の厚みT3は、たとえば0.05μm〜0.5μmに選ばれる。金属層形成工程は、ステップS6に対応する。
【0065】
ステップS6が終了すると、ステップS7に移る。ステップS7では、金属層40の第1方向Z一表面34上に、たとえばスピンコート法によってポジ型感光性樹脂材料を塗布し、金属層40の第1方向Z一表面34を覆う第2感光性樹脂層41を形成する。ポジ型感光性樹脂材料は、たとえばノボラック型エポキシ樹脂等を主成分として成る。
ステップS7が終了すると、ステップS8に移る。
【0066】
図3(4)は、ステップS8終了後の半導体基材24と第1樹脂層27と金属層40と第2感光性樹脂層41との一部を模式化して示す断面図である。ステップS8では、第2感光性樹脂層41にプリキュアを行う。ポジ型感光性樹脂材料を塗布した半導体基材24を、たとえば90℃〜110℃の雰囲気中に1分〜5分間置くことによって、第2感光性樹脂層41を半硬化させる。ステップS8で行う処理を第2のプリキュアと記載する。
【0067】
ステップS8が終了すると、ステップS9に移る。ステップS9では、第2感光性樹脂層41のうち、第1方向Z一方側から見て、端子部貫通孔23が形成される領域を、第2感光性樹脂層41の第1方向Z一表面35側から露光する。
【0068】
ステップS9が終了すると、ステップS10に移る。ステップS10では、第2感光性樹脂層41を現像してレジスト貫通孔42を形成する。第2感光性樹脂層41を現像液によって現像すると、第2感光性樹脂層41のうち、ステップS9で露光した部分が除去され、第2感光性樹脂層41に、第1方向Zに貫通する略直円柱形状のレジスト貫通孔42が形成される。
ステップS10が終了すると、ステップS11に移る。
【0069】
図4(1)は、ステップS11終了後の半導体基材24と第1樹脂層27と金属層40と第2樹脂層43との一部を模式化して示す断面図である。ステップS11では、第2感光性樹脂層41を硬化させる。第2感光性樹脂層41を、たとえば120℃〜150℃の雰囲気中に1分〜5分間置くことによってポストキュアし、第1方向Zの厚みが第4の厚みT4となる第2樹脂層43を形成する。第4の厚みT4は、たとえば1μm〜2μmに選ばれる。第2樹脂層貫通孔形成工程は、ステップS7〜ステップS11に対応する。
ステップS11が終了すると、ステップS12に移る。
【0070】
図4(2)は、ステップS12終了後の半導体基材24と第1樹脂層27と金属層40と第2樹脂層43との一部を模式化して示す断面図である。ステップS12では、金属層40に第1貫通孔44を形成する。半導体基材24、第1樹脂層27、金属層40および第2樹脂層43を、たとえば80℃〜110℃に保たれたエッチング液に5分〜15分間浸漬する。エッチング液は、レジスト貫通孔42を通って、金属層40の第1方向Z一表面34のうち、第2樹脂層43と接する部分を除く残余の表面と接する。金属層40のうち、エッチング液と接する部分が除去され、金属層40に、第1方向Zに貫通する略直円柱形状の第1貫通孔44が形成される。第1貫通孔44は、レジスト貫通孔42を介して形成されるので、レジスト貫通孔42と連通する。第1貫通孔44に臨む金属層40の第2の内周面58と、レジスト貫通孔42に臨む第2樹脂層43の第1の内周面59とは、連なる。金属層貫通孔形成工程は、ステップS12に対応する。
ステップS12が終了すると、ステップS13に移る。
【0071】
図4(3)は、ステップS13終了後の半導体基材24と第1樹脂層27と金属層40との一部を模式化して示す断面図である。ステップS13では、第2樹脂層43を剥離するとともに、第1樹脂層27に第2貫通孔45を形成する。半導体基材24、第1樹脂層27、金属層40および第2樹脂層43を、たとえば80℃〜110℃に保たれた剥離液に5分〜15分間浸漬する。第2樹脂層43は、剥離液によって除去される。また、第1樹脂層27は、第2樹脂層43と同じポジ型感光性樹脂を全面露光した後に硬化させて形成されるので、第2樹脂層43を剥離する剥離液に可溶である。第2樹脂層43を剥離する剥離液は、第1貫通孔44を通って、第1樹脂層27の第1方向Z一表面33のうち、金属層40と接する部分を除く残余の表面と接する。そのため、第1樹脂層27のうち、剥離液と接する部分が除去され、第1樹脂層27に、第1方向Zに貫通する略直円柱形状の第2貫通孔45が形成される。第2貫通孔45は、第1貫通孔44を介して形成されるので、第1貫通孔44と連通する。第2貫通孔45に臨む第1樹脂層27の第3の内周面57と第2の内周面58とは、連なる。第2貫通孔形成工程は、ステップS13に対応する。
【0072】
第1樹脂層27と第2樹脂層43とは、同じ剥離液に可溶なので、第2樹脂層43の剥離と第2貫通孔45の形成とを1つの工程で行うことができる。そのため、貫通配線の形成工程を容易にすることができる。
ステップS13が終了すると、ステップS14に移る。
【0073】
図5(1)は、ステップS14終了後の半導体基材24と第1樹脂層27と金属層40との一部を模式化して示す断面図である。ステップS14では、たとえばドライエッチング法などによって、半導体基材24に未貫通孔46を形成する。半導体基材24の第1方向Z一表面32のうち、第1樹脂層27と接する部分は、第1樹脂層27によってエッチングガスから保護されるので、エッチングされない。したがって、半導体基材24は、半導体基材24の第1方向Z一表面32のうち、第1樹脂層27と接する部分を除く残余の表面から、エッチングされるので、半導体基材24の第1方向Z一表面32から他表面36に向かって延びる未貫通孔46が形成される。未貫通孔46は、第1貫通孔44と第2貫通孔45とを介して形成されるので、第1貫通孔44と第2貫通孔45とに連通する。未貫通孔46に臨む半導体基材24の第4の内周面56は、第2の内周面58と第3の内周面57とに連なる。未貫通孔形成工程は、ステップS14に対応する。
【0074】
ドライエッチングの具体例として、誘導結合プラズマ(Inductive Coupled Plasma:略称ICP)を利用したエッチング装置を用い、反応性エッチング(Reactive Ion
Etching:略称RIE)法によって、未貫通孔46を形成する場合、第1貫通孔44の直径を75μm〜90μmとしたときに、シリコンから成る半導体基材24の第1方向Zに深さ100μm〜150μmの未貫通孔46を形成することができる。このとき、エッチングガスには、SFとCとを用いる。SFは、半導体基材をエッチングする役割を担う。Cは、エッチングによって形成される孔に臨む半導体基材の内周面にポリマーの保護膜を形成し、孔に臨む半導体基材の内周面のうち、第1方向Zに垂直な表面を除く残余の表面がエッチングされにくくする役割を担う。RIE法を用いることによって、アスペクト比の高い未貫通孔46を半導体基材24に形成することができる。
ステップS14が終了すると、ステップS15に移る。
【0075】
図5(3)は、ステップS15終了後の半導体基材24と第1樹脂層27と金属層40と絶縁性樹脂材料47との一部を模式化して示す断面図である。ステップS15では、まず、半導体基材24と第1樹脂層27と金属層40とを外囲する雰囲気の圧力を、第1の圧力P1とする。第1の圧力P1は、1kpa〜5kpaに選ばれる。好ましくは、第1の圧力P1は、約1kpaに選ばれる。ステップS15〜ステップS16の工程では、半導体基材24と第1樹脂層27と金属層40とを外囲する雰囲気の温度を、常温に保つ。常温とは、たとえば20℃〜30℃である。
【0076】
次に、厚み方向一表面38および他表面37が平面の板状の印刷用マスク体51を、印刷用マスク体51の厚み方向他表面37と金属層40の第1方向Z一表面34とが対向するように配置する。印刷用マスク体51には、厚み方向に貫通する略直円柱形状のマスク貫通孔50が形成されている。このとき、マスク貫通孔50の中心軸と第1貫通孔44の中心軸とが一致するように、印刷用マスク体51を配置する。マスク貫通孔50の直径は、第1貫通孔44の直径と同程度か、または若干大きい程度が好ましい。印刷用マスク体51の第1方向Z他表面37と金属層40の第1方向Z一表面34とは、第1の距離L1離間する。第1の距離L1は、たとえば500μm〜750μmに選ばれる。
【0077】
次に、印刷用マスク体51の第1方向Z一表面38上に、熱硬化性を有するペースト状の絶縁性樹脂材料47を配置する。絶縁性樹脂材料47は、たとえばエポキシ樹脂から成る。絶縁性樹脂材料47は、電気絶縁性を有する。絶縁性樹脂材料47の粘度が10pa・s未満の場合、粘度が低いため、金属層40の第1方向Z一表面34のうち、第1貫通孔44に臨む金属層40の周縁部53、および第1貫通孔44に絶縁性樹脂材料47を供給する量を調整しにくくなる。また、絶縁性樹脂材料47の粘度が40pa・s以上の場合、粘度が高いため、絶縁性樹脂材料47を未貫通孔46に注入しにくくなる。したがって、絶縁性樹脂材料47の粘度は、第1の粘度U1に選ばれる。第1の粘度U1は、好ましくは10pa・s以上〜40pa・s未満に選ばれる。絶縁性樹脂材料47の粘度が第1の粘度U1に選ばれる場合、絶縁性樹脂材料47を供給する量の調整がしやすくなり、絶縁性樹脂材料47を未貫通孔46に注入しやすくなる。絶縁性ペースト材は、絶縁性樹脂材料47に対応する。
【0078】
次に、スキージ52を、印刷用マスク体51の第1方向Z一表面38上の第1方向Zに垂直な第2方向の一方から他方へ移動させることによって、絶縁性樹脂材料47を、印刷用マスク体51の第1方向Z一表面38上に延ばす。第1方向Z一方側からみて、スキージ52がマスク貫通孔50を通過するときに、絶縁性樹脂材料47は、スキージ52によって、マスク貫通孔50に押込まれ、第1貫通孔44、および金属層40の第1方向Z一表面34のうち、第1貫通孔44に臨む金属層40の周縁部53に供給される。金属層40の第1方向Z一表面34のうち、第1貫通孔44に臨む金属層40の周縁部53とは、第1方向Z一方側から見て、金属層40の第1方向Z一表面34のうち、第1貫通孔44に臨む金属層40の周縁から第1貫通孔44の中心軸を中心とする半径R範囲である。半径Rは、たとえば90μm〜110μmに選ばれる。
【0079】
スキージ52を、印刷用マスク体51の第1方向Z一表面38上の第2方向の一方から他方へ移動させるときに、スキージ52によって印刷用マスク体51は、第1方向Z一方から他方の向きの圧力を受ける。その圧力によって、印刷用マスク体51は、金属層40側に撓む。金属層40の第1方向Z一表面34と印刷用マスク体51の第1方向Z他表面37とを、第1の距離L1離間して配置するので、印刷用マスク体51が金属層40側に撓んでも、金属層40の第1方向Z一表面34と印刷用マスク体51の第1方向Z他表面37とは、接近しすぎない。したがって、印刷用マスク体51の第1方向Z他表面37が、供給した絶縁性樹脂材料47と接することはなく、供給した絶縁性樹脂材料47が毛細管現象によって金属層40の第1方向Z一表面34上に広がることはない。
【0080】
絶縁性樹脂材料47を印刷用マスク体51のマスク貫通孔50を介して第1貫通孔44に供給する方法を用いると、金属層40に複数の第1貫通孔44が形成されている場合、同時に複数の貫通孔に絶縁性樹脂材料47を供給することができ、供給する時間を短縮することができる。したがって、効率的に、基板に貫通配線を形成することができる。
【0081】
金属層40の厚みが、第3の厚みT3に選ばれるので、絶縁性樹脂材料47と第1樹脂層27の一表面33とは、接触しない。供給された絶縁性樹脂材料47は、金属層40の第1方向Z一表面34のうち、第1貫通孔44に臨む金属層40の周縁部53と接する。金属層40は、たとえば金(Au)またはニッケル(Ni)などによって形成されているので、金属層40と絶縁性樹脂材料47との接触角は、第1樹脂層27と絶縁性樹脂材料47との接触角よりも大きい。金属層40と絶縁性樹脂材料47との接触角は、大きく、60°以上80°未満となる。金属層40と絶縁性樹脂材料47との接触角が大きいので、供給された絶縁性樹脂材料47は、金属層40の第1方向Z一表面34上に広がらない。そのため、第1貫通孔44を絶縁性樹脂材料47によって、確実に閉塞することができ、絶縁性樹脂閉鎖空間54を確実に形成することができる。絶縁性樹脂閉鎖空間54は、未貫通孔46に臨む半導体基材24の第4の内周面56と、第2貫通孔45に臨む第1樹脂層27の第3の内周面57と、第1貫通孔44を閉鎖する絶縁性樹脂材料47の表面の一部とによって外囲される空間である。第2閉鎖空間は、絶縁性樹脂閉鎖空間54に対応する。第2閉鎖空間形成工程は、ステップS15に対応する。
ステップS15が終了すると、ステップS16に移る。
【0082】
ステップS16では、まず、半導体基材24と第1樹脂層27と金属層40とを外囲する雰囲気の圧力を、第2の圧力P2にする。第1の圧力P1と第2の圧力P2との関係を式(1)に示す。
P1<P2 …(1)
【0083】
第1の圧力P1は、たとえば約1kpaに選ばれる。第2の圧力P2は、たとえば約100kpaに選ばれる。そのため、絶縁性樹脂閉鎖空間54の圧力と外部の圧力とに圧力差が生じる。絶縁性樹脂閉鎖空間54の外部の圧力とは、半導体基材24と第1樹脂層27と金属層40とを外囲する雰囲気の圧力である。この圧力差によって、供給された絶縁性樹脂材料47は、未貫通孔46に確実に注入される。このとき、未貫通孔46に臨む半導体基材24の第4の内周面56は、絶縁性樹脂材料47によって確実に覆われる。内周面被覆工程は、ステップS16に対応する。
ステップS16が終了すると、ステップS17に移る。
【0084】
図5(4)は、ステップS17終了後の半導体基材24と第1樹脂層27と金属層40と絶縁膜55との一部を模式化して示す断面図である。ステップS16で未貫通孔46に注入した絶縁性樹脂材料47を、たとえば150℃〜160℃の雰囲気中で60分〜90分間加熱して硬化させ、未貫通孔46に臨む半導体基材24の第4の内周面56を覆う絶縁膜55を形成する。絶縁性ペースト材硬化工程は、ステップS17に対応する。
【0085】
たとえば、絶縁性樹脂材料47として、熱硬化性を有するエポキシ樹脂であって、その粘度が30pa・s〜50pa・sの材料を使用した場合、5μm〜10μmの厚みの絶縁膜55を形成することができる。ここで、絶縁膜55の厚みを、絶縁膜55の未貫通孔46と接する一表面60と他表面61との間の距離と定義する。
ステップS17が終了すると、ステップS18に移る。
【0086】
図6(2)は、ステップS18終了後の半導体基材24と第1樹脂層27と金属層40と導電性樹脂材料62との一部を模式化して示す断面図である。ステップS18では、まず、半導体基材24と第1樹脂層27と金属層40とを外囲する雰囲気の圧力を、第3の圧力P3にする。第3の圧力P3は、1kpa〜5kpaに選ばれる。好ましくは、第3の圧力P3は、約1kpaに選ばれる。ステップS18〜ステップS19の工程では、半導体基材24と第1樹脂層27と金属層40とを外囲する雰囲気の温度を、常温に保つ。
【0087】
次に、厚み方向一表面38および他表面37が平面の板状の印刷用マスク体51を、印刷用マスク体51の厚み方向他表面37と金属層40の第1方向Z一表面34とが対向するように配置する。印刷用マスク体51には、厚み方向に貫通する略直円柱形状のマスク貫通孔50が形成されている。このとき、マスク貫通孔50の中心軸と第1貫通孔44の中心軸とが一致するように、印刷用マスク体51を配置する。マスク貫通孔50の直径は、第1貫通孔44の直径と同程度か、または若干大きい程度が好ましい。印刷用マスク体51の第1方向他表面37と金属層40の第1方向Z一表面34とは、第2の距離L2離間する。第2の距離L2は、たとえば500μm〜750μmに選ばれる。
【0088】
次に、印刷用マスク体51の第1方向Z一表面38上に、たとえば熱硬化性を有するペースト状の導電性樹脂材料62を配置する。導電性樹脂材料62は、たとえばエポキシ樹脂から成るバインダとAgから成る金属粒子とを混合させたものである。導電性樹脂材料62は、電気的に伝導性を有する。導電性樹脂材料62の粘度が50pa・s未満の場合、粘度が低いため、金属層40の第1方向Z一表面34のうち、第1貫通孔44に臨む金属層40の周縁部53、および第1貫通孔44に導電性樹脂材料62を供給する量を調整しにくくなる。また、導電性樹脂材料62の粘度が150pa・s以上の場合、粘度が高いため、導電性樹脂材料62を未貫通孔46に注入しにくくなる。したがって、導電性樹脂材料62の粘度は、第2の粘度U2に選ばれる。第2の粘度U2は、好ましくは50pa・s以上〜150pa・s未満に選ばれる。導電性樹脂材料62の粘度が第2の粘度U2に選ばれる場合、導電性樹脂材料62を供給する量の調整がしやすくなり、導電性樹脂材料62を未貫通孔46に注入しやすくなる。導電性ペースト材は、導電性樹脂材料62に対応する。
【0089】
次に、スキージ52を、印刷用マスク体51の第1方向Z一表面38上の第2方向の一方から他方へ移動させることによって、導電性樹脂材料62を、印刷用マスク体51の第1方向Z一表面38上に延ばす。第1方向Z一方側から見て、スキージ52がマスク貫通孔50を通過するときに、導電性樹脂材料62は、スキージ52によって、マスク貫通孔50に押込まれ、金属層40の第1方向Z一表面34のうち、第1貫通孔44に臨む金属層40の周縁部53、および第1貫通孔44に供給される。スキージ52を、印刷用マスク体51の第1方向Z一表面38上の第2方向の一方から他方へ移動させるときに、スキージ52によって印刷用マスク体51は、第1方向Zの一方から他方の向きの圧力を受ける。その圧力によって、印刷用マスク体51は、金属層40側に撓む。金属層40の第1方向Z一表面34と印刷用マスク体51の第1方向Z他表面37とを第2の距離L2離間して配置するので、印刷用マスク体51が金属層40側に撓んでも、金属層40の第1方向Z一表面34と印刷用マスク体51の第1方向Z他表面37とは、接近しすぎない。したがって、印刷用マスク体51が金属層40側に撓んでも、印刷用マスク体51の第1方向Z他表面37が、供給した導電性樹脂材料62と接することはなく、供給した導電性樹脂材料62が毛細管現象によって金属層40の第1方向Z一表面34上に広がることはない。
【0090】
印刷用マスク体51のマスク貫通孔50を介して導電性樹脂材料62を第1貫通孔44に供給すると、金属層40に複数の第1貫通孔44が形成されている場合、同時に複数の貫通孔に導電性樹脂材料62を供給することができ、供給する時間を短縮することができる。したがって、効率的に、基板に貫通配線を形成することができる。
【0091】
金属層40の厚みが、第3の厚みT3に選ばれるので、導電性樹脂材料62と第1樹脂層27の一表面33とは、接触しない。供給された導電性樹脂材料62は、金属層40の第1方向Z一表面34のうち、第1貫通孔44に臨む金属層40の周縁部53と接する。金属層40は、たとえば金(Au)またはニッケル(Ni)などによって形成されているので、金属層40と導電性樹脂材料62との接触角は、第1樹脂層27と導電性樹脂材料62との接触角よりも大きい。金属層40と導電性樹脂材料62との接触角は、大きく、60°以上80°未満となる。また、第1樹脂層27は、たとえばノボラック型エポキシ樹脂等を主成分として成る感光性樹脂材料を硬化して形成されるので、第1樹脂層27と導電性樹脂材料62との接触角は、45°以上60°未満となる。金属層40と導電性樹脂材料62との接触角が大きいので、供給された導電性樹脂材料62は、金属層40の第1方向Z一表面34上に広がらない。そのため、第1貫通孔44を導電性樹脂材料62によって、確実に閉塞することができ、導電性樹脂閉鎖空間63を確実に形成することができる。導電性樹脂閉鎖空間63は、絶縁膜55の他表面61と、第1貫通孔44を閉塞する導電性樹脂材料62の表面の一部とによって外囲される空間である。閉鎖空間は、導電性樹脂閉鎖空間63に対応する。閉鎖空間形成工程は、ステップS18に対応する。
ステップS18が終了すると、ステップS19に移る。
【0092】
ステップS19では、まず、半導体基材24と第1樹脂層27と金属層40とを外囲する雰囲気の圧力を、第4の圧力P4にする。第3の圧力P3と第4の圧力P4との関係を式(2)に示す。
P3<P4 …(2)
【0093】
第3の圧力P3は、たとえば約1kpaに選ばれる。第4の圧力P4は、たとえば約100kpaに選ばれる。そのため、導電性樹脂閉鎖空間63の圧力と外部の圧力とに圧力差が生じる。導電性樹脂閉鎖空間63の外部の圧力とは、半導体基材24と第1樹脂層27と金属層40とを外囲する雰囲気の圧力である。この圧力差によって、供給された導電性樹脂材料62は、未貫通孔46に確実に注入される。これにより、導電性樹脂材料62を未貫通孔46に確実に充填することができる。導電性ペースト材注入工程は、ステップS19に対応する。
【0094】
未貫通孔46に注入する絶縁性樹脂材料47の容量と導電性樹脂材料62の容量との関係は、絶縁性樹脂材料47の容量が多い場合は、導電性樹脂材料62の容量が少なくなり、絶縁性樹脂材料47の容量が少ない場合は、導電性樹脂材料62の容量が多くなる。未貫通孔46に注入する絶縁性樹脂材料47の容量V1と導電性樹脂材料62の容量V2との比率は、絶縁性樹脂材料47の容量V1を1としたときに、導電性樹脂材料62の容量V2は、たとえば0.3〜2.5に選ばれる。
ステップS19が終了すると、ステップS20に移る。
【0095】
図6(3)は、ステップS20終了後の半導体基材24と第1樹脂層27と金属層40と絶縁膜55と貫通配線層64との一部を模式化して示す断面図である。ステップS19で未貫通孔46に注入した導電性樹脂材料62を、たとえば150℃〜160℃の雰囲気中で60分〜90分間加熱して硬化させ、貫通配線層64を形成する。貫通配線層形成工程は、ステップS20に対応する。
【0096】
ステップS20が終了すると、ステップS21に移る。ステップS21では、半導体基材24と第1樹脂層27と金属層40とを、たとえば25℃〜40℃に保たれたエッチング液に5分〜10分間浸漬する。エッチング液によって、金属層40は、除去される。
【0097】
金属層40を除去するときに、金属層40を除去するエッチング液と貫通配線層64の表面の一部とは、第1貫通孔44と第2貫通孔45とを介して接する。そのため、貫通配線層64をエッチング液から保護するために、貫通配線層64の第1方向Z一表面65上に保護膜を形成した後に、エッチング液によって金属層40を除去してもよい。貫通配線層64を保護する保護膜は、絶縁膜55および貫通配線層64を形成する方法と同様の方法によって形成される。
【0098】
ステップS21が終了すると、ステップS22に移る。ステップS22では、半導体基材24と第1樹脂層27とを、たとえば80℃〜110℃に保たれた剥離液に5分〜15分間浸漬する。剥離液によって、第1樹脂層27は、除去される。
ステップS22が終了すると、ステップS23に移る。
【0099】
図6(4)は、ステップS23終了後の半導体基材24と貫通配線層64と導電性キャップ66との一部を模式化して示す断面図である。ステップS23では、たとえばスパッタ法によって、接続端子部22の第1方向一表面29の一部、および貫通配線層64の第1方向Z一表面65を覆う導電性キャップ66を形成する。導電性キャップ66は、たとえばアルミニウム(Al)から成る。接続端子部22と貫通配線層64とは、導電性キャップ66を介して電気的に接続される。
ステップS23が終了すると、ステップS24に移る。
【0100】
図2は、ステップS24終了後の半導体基板20と貫通配線21と導電性キャップ66との一部を模式化して示す断面図である。図2には、ステップS23終了後の半導体基材24の第1方向Z他表面36を仮想線で示している。半導体基材24を半導体基材24の他表面36側から、たとえば機械研磨することによって、貫通配線層64を半導体基材24の表面上に露出させ、半導体基板20および半導体基板20の第1方向Zに貫通する貫通配線21を形成する。図6(4)に、半導体基材24を他表面36側から研磨することによって形成される半導体基板20の第1方向Z他表面69を、仮想線で示している。貫通配線形成工程は、ステップS24に対応する。
【0101】
ステップS24が終了すると、ステップS25に移り、半導体基板20の貫通配線21の形成工程が終了する。
【0102】
貫通配線が形成された半導体基板を複数積層したときに、積層される半導体基板の一表面部に形成されている半導体素子は、接続端子部および貫通配線を介して、積層される他の半導体基板の一表面部に形成されている半導体素子と電気的に接続される。
【0103】
第2樹脂層43をポジ型レジストによって形成するので、ネガ型レジストによって第2樹脂層43を形成する場合に比べて、現像したときにその解像度が高くなる。そのため、予め定める形状のレジスト貫通孔42を第2樹脂層43の予め定める位置に精度良く形成することができる。前述したように、第1貫通孔44は、レジスト貫通孔42を介して形成される。第2貫通孔45は、第1貫通孔44を介して形成される。未貫通孔46は、第1貫通孔44と第2貫通孔45とを介して形成される。したがって、未貫通孔46が形成される位置およびその形状は、レジスト貫通孔42が形成される位置およびその形状に依存する。また、貫通配線21は、未貫通孔46に形成される貫通配線層64によって形成されるので、貫通配線21の形成される位置およびその形状は、レジスト貫通孔42の形成される位置およびその形状に依存することとなる。したがって、第2樹脂層43をポジ型レジストによって形成することによって、予め定める形状のレジスト貫通孔42を第2樹脂層43の予め定める位置に精度良く形成することができ、予め定める形状の貫通配線21を半導体基板20の予め定める位置に精度良く形成することができる。
【0104】
以上に述べた方法によって、半導体基材24の未貫通孔46に臨む半導体基材24の第4の内周面56を絶縁膜55で確実に覆うことができるので、半導体基板20と貫通配線21とは、絶縁膜55によって確実に隔てられる。したがって、半導体基板20と、電気的に確実に絶縁される貫通配線21を形成することができる。
【0105】
また、導電性樹脂材料62を半導体基材24の未貫通孔46に確実に充填することができる。充填した導電性樹脂材料62を硬化させて貫通配線層64を形成し、半導体基材24の一部を他表面36側から除去することによって、半導体基板20の一表面68から他表面69にわたって延びる配線を、半導体基板20の貫通孔に確実に形成することができる。
【0106】
また、絶縁性樹脂材料47および導電性樹脂材料62を、第1貫通孔44、および金属層40の第1方向Z一表面34のうち、第1貫通孔44に臨む金属層40の周縁部53に供給したときに、金属層40と絶縁性樹脂材料47との接触角、および金属層40と導電性樹脂材料62との接触角が大きいので、供給された絶縁性樹脂材料47および導電性樹脂材料62は、金属層40の第1方向Z一表面34上に広がらない。そのため、絶縁性樹脂材料47および導電性樹脂材料62を硬化したときに、金属層40の第1方向Z一表面34に不要なばりが形成されない。金属層40の第1方向Z一表面34に不要なばりが形成されると、ばり取りを行う必要が生じる。ばり取りを行うときに、半導体基材24の一表面32を傷つける場合があるが、本発明の実施の形態では、金属層40の第1方向Z一表面34に不要なばりが形成されず、ばり取りを行う必要がないので、半導体基材24の一表面32が損傷しない。
【0107】
本発明の他の実施の形態では、前述の基板の貫通配線の形成方法によって形成される貫通配線が形成される基板は、半導体基板に限らず、プリント配線基板などであってもよい。基板が電気絶縁性を有する場合は、貫通配線と基板とを電気的に絶縁するための絶縁膜55を形成する必要がなく、前述の実施の形態のステップS15〜ステップS17の各工程を省略してもよい。
【0108】
また、本発明のさらに他の実施の形態では、前述の第1〜第5貫通孔の形状は、略直円柱形状に限らず、たとえば多角柱形状などであってもよい。
【0109】
また、本発明のさらに他の実施の形態では、前述の第1樹脂層27および第2樹脂層43は、ポジ型感光性樹脂に限らず、同じ剥離液に可溶なネガ型感光性樹脂によって形成されてもよい。この場合、第2貫通孔45を形成するときに、第1樹脂層27が剥離液に溶けやすくするために、ネガ型感光性樹脂を露光せずに熱硬化させて第1樹脂層27を形成する。第1樹脂層27および第2樹脂層43を同じ剥離液に可溶な材料から形成することによって、第2樹脂層43の剥離と、第2貫通孔45の形成とを、同時に行うことができる。したがって、基板の貫通配線の形成工程を容易にすることができる。
【0110】
また、本発明のさらに他の実施の形態では、前述の実施の形態のステップS18〜ステップS19までの工程を複数回繰り返すことによって、導電性樹脂材料62を未貫通孔46に充填してもよい。
【0111】
ステップS18〜ステップS19までの工程を複数回繰り返すことによって導電性樹脂材料62を未貫通孔46に充填する例として、ステンレス鋼(Steel Use Stainless :略称SUS)から成り、厚みが50μmの印刷用マスク体51を用い、導電性樹脂材料62として、熱硬化性を有するペースト状のエポキシ樹脂から成るバインダとAgから成る金属粒子とを混合したものから成り、その粘度が50pa・s〜100pa・sの材料を使用した場合、ステップS18〜ステップS19までの工程を3回繰り返して未貫通孔46に導電性樹脂材料62を注入することによって、直径が75μm〜90μmで、第1方向Zの深さが100μm〜150μmの未貫通孔46に導電性樹脂材料62を完全に充填することができる。
【0112】
本発明のさらに他の実施の形態では、前述の半導体基材24に形成する第1樹脂層27および金属層40の代わりに、たとえばAuなどからなる単層のペースト材供給層を形成してもよい。半導体基材24の第1方向Z一表面32上に形成されるペースト材供給層と導電性樹脂材料62との接触角は、大きく、60°以上80°未満に選ばれる。
【0113】
図7は、本発明のさらに他の実施の形態の基板の貫通配線の形成方法を表すフローチャートである。本実施の形態の基板の貫通配線の形成方法と、前述した実施の形態の基板の貫通配線の形成方法とは、前述した実施の形態の基板の貫通配線の形成方法のステップS15の絶縁性樹脂材料47の供給工程およびステップS18の導電性樹脂材料62の供給工程が異なるのみである。本実施の形態の図7のフローチャートに示すステップA0〜ステップA14の各処理は、前述した実施の形態の図1のフローチャートに示すステップS0〜ステップS14の各処理にそれぞれ対応する。本実施の形態の図7のフローチャートに示すステップA16およびステップA17の各処理は、前述した実施の形態の図1のフローチャートに示すステップS16およびステップS17の各処理にそれぞれ対応する。本実施の形態の図7のフローチャートに示すステップA19〜ステップA25の各処理は、前述の実施の形態の図1のフローチャートに示すステップS19〜ステップS25の各処理にそれぞれ対応する。そのため、対応する部分については同一の参照符号を付して重複する説明を省略する。
【0114】
ステップA15では、絶縁性樹脂材料47をディスペンサを用いて第1貫通孔44、および金属層40の第1方向Z一表面34のうち、第1貫通孔44に臨む金属層40の周縁部53に供給する。
【0115】
ディスペンサを用いるので、絶縁性樹脂材料47を予め定める位置に精度良く供給することができる。また、その供給量も調整しやすくなる。そのため、第1貫通孔44を絶縁性樹脂材料47によってより確実に塞ぐことができる。したがって、圧力の差を利用して、絶縁性樹脂材料47を半導体基材24の未貫通孔46により確実に注入することができ、絶縁性樹脂材料47によって、未貫通孔46に臨む半導体基材24の第4の内周面56をより確実に覆うことができる。そのため、絶縁性樹脂材料47を硬化させることによって、未貫通孔46に臨む半導体基材24の第4の内周面56をより確実に覆う絶縁膜55を形成することができる。
【0116】
ステップA18では、導電性樹脂材料62をディスペンサを用いて第1貫通孔44、および金属層40の第1方向Z一表面34のうち、第1貫通孔44に臨む金属層40の周縁部53に供給する。
【0117】
ディスペンサを用いるので、導電性樹脂材料62を予め定める位置に精度良く供給することができる。また、その供給量も調整しやすくなる。そのため、第1貫通孔44を導電性樹脂材料62によってより確実に塞ぐことができる。したがって、圧力の差を利用して、導電性樹脂材料62を半導体基材24の未貫通孔46により確実に注入することができる。未貫通孔46に臨む半導体基材24の第4の内周面56を確実に覆う絶縁膜55が形成されているので、未貫通孔46に注入した導電性樹脂材料62は、絶縁膜55によって半導体基材24と、より確実に隔てられる。
【0118】
未貫通孔46に注入した導電性樹脂材料62を硬化させて貫通配線層64を形成し、半導体基材24の一部を他表面36側から除去することによって、半導体基板20とより確実に電気的に絶縁され、かつ半導体基板20の一表面68から他表面69にわたって延びる配線を、半導体基板20の貫通孔により確実に形成することができる。
【0119】
本実施の形態は、前述した実施の形態と同様の構成であるので、前述した実施の形態の基板の貫通配線の形成方法と同様の効果については、本実施の形態の基板の貫通配線の形成方法において同様に得られる。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明の実施の一形態の基板の貫通配線の形成方法を表すフローチャートである。
【図2】図1のフローチャートに示す手順によって、貫通配線が形成された半導体基板の一部を模式化して示す断面図である。
【図3】貫通配線の形成途中の半導体基板の一部を模式化して示す断面図である。
【図4】貫通配線の形成途中の半導体基板の一部を模式化して示す断面図である。
【図5】貫通配線の形成途中の半導体基板の一部を模式化して示す断面図である。
【図6】貫通配線の形成途中の半導体基板の一部を模式化して示す断面図である。
【図7】本発明の他の実施の形態の基板の貫通配線の形成方法を表すフローチャートである。
【図8】第1の従来の技術の貫通配線の形成途中の半導体基板の一部を模式化して示す断面図である。
【図9】第2の従来の技術の貫通配線の形成途中の半導体基板の一部を模式化して示す断面図である。
【図10】第2の従来の技術の貫通配線の形成途中の半導体基板の一部を模式化して示す断面図である。
【符号の説明】
【0121】
20 半導体基板
21 貫通配線
23 端子部貫通孔
24 半導体基材
27 第1樹脂層
40 金属層
42 レジスト貫通孔
43 第2樹脂層
44 第1貫通孔
45 第2貫通孔
46 未貫通孔
47 絶縁性樹脂材料
50 マスク貫通孔
51 印刷用マスク体
52 スキージ
54 絶縁性樹脂閉鎖空間
55 絶縁膜
62 導電性樹脂材料
63 導電性樹脂閉鎖空間
64 貫通配線層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性ペースト材を用いて、貫通配線を基板に形成する基板の貫通配線の形成方法であって、
基材の厚み方向一表面上に樹脂によって形成される樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、
前記樹脂層の厚み方向一表面上に金属によって形成される金属層を形成する金属層形成工程と、
前記金属層に、この金属層の厚み方向に貫通する第1貫通孔を形成する第1貫通孔形成工程と、
前記樹脂層に、この樹脂層の厚み方向に貫通し、かつ前記第1貫通孔に連通する第2貫通孔を形成する第2貫通孔形成工程と、
前記基材に、この基材の厚み方向一表面から他表面に向かって延び、かつ第2貫通孔に連通する未貫通孔を形成する未貫通孔形成工程と、
前記導電性ペースト材によって、前記金属層の厚み方向一表面のうち、前記第1貫通孔に臨む前記金属層の周縁部を覆って前記第1貫通孔を塞ぎ、閉鎖空間を形成する閉鎖空間形成工程と、
前記閉鎖空間の圧力よりも、前記閉鎖空間の外部の圧力を高くすることによって、前記閉鎖空間形成工程で前記第1貫通孔を塞いだ前記導電性ペースト材を、前記未貫通孔に注入する導電性ペースト材注入工程と、
前記未貫通孔に注入した前記導電性ペースト材を硬化させ、貫通配線層を形成する貫通配線層形成工程と、
前記基材の一部を他表面側から除去して前記貫通配線層を露出させ、基板およびこの基板を厚み方向に貫通する貫通配線を形成する貫通配線形成工程とを含み、
前記閉鎖空間形成工程における前記金属層と前記導電性ペースト材との接触角が、前記樹脂層と前記導電性ペースト材との接触角と比較して、大きくなるように前記金属層が形成されることを特徴とする基板の貫通配線の形成方法。
【請求項2】
前記基材は、少なくとも半導体によって形成され、
前記未貫通孔形成工程と前記閉鎖空間形成工程との間に、前記未貫通孔に臨む基材の内周面を、電気絶縁性を有する材料から成る絶縁膜によって覆う絶縁膜形成工程を含むことを特徴とする請求項1記載の基板の貫通配線の形成方法。
【請求項3】
前記絶縁膜形成工程は、
樹脂材料から成り、電気絶縁性を有する絶縁性ペースト材によって、前記金属層の厚み方向一表面のうち、前記第1貫通孔に臨む前記金属層の周縁部を覆って前記第1貫通孔を塞ぎ、第2閉鎖空間を形成する第2閉鎖空間形成工程と、
前記第2閉鎖空間の圧力よりも、前記第2閉鎖空間の外部の圧力を高くすることによって、前記第2閉鎖空間形成工程で前記第1貫通孔を塞いだ前記絶縁性ペースト材を、前記未貫通孔に注入し、前記絶縁性ペースト材によって前記未貫通孔に臨む前記基材の内周面を覆う内周面被覆工程と、
前記未貫通孔に臨む前記基材の内周面を覆う前記絶縁性ペースト材を硬化させて前記絶縁膜を形成する絶縁性ペースト材硬化工程とを含み、
第2閉鎖空間形成工程における前記金属層と前記絶縁性ペースト材との接触角が、前記樹脂層と前記絶縁性ペースト材との接触角と比較して、大きくなるように前記金属層が形成されることを特徴とする請求項2記載の基板の貫通配線の形成方法。
【請求項4】
前記閉鎖空間形成工程では、厚み方向に貫通する孔が形成されたマスク体を、前記金属層の厚み方向一表面と前記マスク体の厚み方向他表面とを対向させて配置し、前記導電性ペースト材を、前記マスク体の厚み方向一表面から前記マスク体の孔を介して前記第1貫通孔に供給することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の基板の貫通配線の形成方法。
【請求項5】
前記閉鎖空間形成工程では、厚み方向に貫通する孔が形成されたマスク体を、前記金属層の厚み方向一表面と前記マスク体の厚み方向他表面とを対向させて配置し、前記導電性ペースト材を、前記マスク体の厚み方向一表面から前記マスク体の孔を介して前記第1貫通孔に供給し、
前記第2閉鎖空間形成工程では、前記金属層の厚み方向一表面と前記マスク体の厚み方向他表面とを対向させて配置し、前記絶縁性ペースト材を、前記マスク体の厚み方向一表面から前記マスク体の孔を介して前記第1貫通孔に供給することを特徴とする請求項3記載の基板の貫通配線の形成方法。
【請求項6】
前記閉鎖空間形成工程では、ディスペンサを用いて前記第1貫通孔に前記導電性ペースト材を供給することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の基板の貫通配線の形成方法。
【請求項7】
前記閉鎖空間形成工程では、ディスペンサを用いて前記第1貫通孔に前記導電性ペースト材を供給し、
前記第2閉鎖空間形成工程では、ディスペンサを用いて前記第1貫通孔に前記絶縁性ペースト材を供給することを特徴とする請求項3記載の基板の貫通配線の形成方法。
【請求項8】
前記第1貫通孔形成工程は、
前記金属層の厚み方向一表面上に、樹脂から成り、厚み方向に貫通する孔が形成される第2樹脂層を形成する第2樹脂層貫通孔形成工程と、
前記金属層に、この金属層の厚み方向に貫通し、かつ前記第2樹脂層の孔に連通する前記第1貫通孔を形成する金属層貫通孔形成工程とを含み、
前記第2貫通孔形成工程では、剥離液によって前記第2樹脂層を剥離するとともに、前記剥離液によって前記樹脂層に、この樹脂層の厚み方向に貫通し、かつ前記第1貫通孔に連通する第2貫通孔を形成することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の基板の貫通配線の形成方法。
【請求項9】
前記第2樹脂層を、ポジ型レジストによって形成することを特徴とする請求項8記載の基板の貫通配線の形成方法。
【請求項10】
前記樹脂層を、ポジ型レジストによって形成することを特徴とする請求項9記載の基板の貫通配線の形成方法。
【請求項11】
前記樹脂層形成工程は、
基材の厚み方向一表面上に感光性樹脂を塗布して感光性樹脂層を形成する感光性樹脂層形成工程と、
前記感光性樹脂層の厚み方向一表面側から感光性樹脂層の全体を露光する感光性樹脂層露光工程と、
露光した感光性樹脂層を硬化させて前記樹脂層を形成する感光性樹脂層硬化工程とを含むことを特徴とする請求項10記載の基板の貫通配線の形成方法。
【請求項12】
導電性ペースト材を用いて、貫通配線を基板に形成する基板の貫通配線の形成方法であって、
基材の厚み方向一表面上に導電性ペースト材が供給されるペースト材供給層を形成するペースト材供給層形成工程と、
前記ペースト材供給層に、このペースト材供給層の厚み方向に貫通する貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
前記基材に、この基材の厚み方向一表面から他表面に向かって延び、かつ前記貫通孔と連通する未貫通孔を形成する未貫通孔形成工程と、
前記導電性ペースト材によって、前記ペースト材供給層の厚み方向一表面のうち、前記貫通孔に臨むペースト材供給層の周縁部を覆って前記貫通孔を塞ぎ、閉鎖空間を形成する閉鎖空間形成工程と、
前記閉鎖空間の圧力よりも、前記閉鎖空間の外部の圧力を高くすることによって、前記閉鎖空間形成工程で貫通孔を塞いだ前記導電性ペースト材を、前記未貫通孔に注入するペースト材注入工程と、
前記未貫通孔に注入した前記導電性ペースト材を硬化させ、貫通配線層を形成する貫通配線層形成工程と、
前記基材の一部を他表面側から除去して前記貫通配線層を露出させ、基板およびこの基板を厚み方向に貫通する貫通配線を形成する貫通配線形成工程とを含み、
前記閉鎖空間形成工程における前記ペースト材供給層と前記導電性ペースト材との接触角が60°以上80°未満に選ばれるように前記ペースト材供給層が形成されることを特徴とする基板の貫通配線の形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−120932(P2006−120932A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−308412(P2004−308412)
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】