説明

基板処理装置及び同基板処理装置の除去処理体並びに基板処理方法

【課題】除去処理体の処理部材で有効に除去処理できる有効除去範囲を拡大させて、基板処理装置での処理時間を短縮してスループットを向上させること。
【解決手段】本発明では、基板(2)の表面に処理部材(38)を押圧した状態で基板(2)に対して相対的に移動しながら基板(2)の表面から除去対象物を除去する基板処理装置(1)、及び同基板処理装置(1)の処理部材(38)、並びに基板処理方法において、処理部材(38)は、円環状に形成され、所定の硬度を有する基準硬度処理部(40)と、基準硬度処理部(40)に隣接し、基準硬度処理部(40)よりも硬度の低い低硬度処理部(41,42)とを有することにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の表面に処理部材を押圧した状態で基板に対して相対的に移動しながら基板の表面から除去対象物を除去する基板処理装置及び同基板処理装置の除去処理体並びに基板処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体部品やフラットパネルディスプレイなどを製造する場合には、基板処理装置を用いて半導体ウエハや液晶用基板などの基板の表面に洗浄処理や研磨処理を施して、基板の表面に付着した塵や基板の表面に形成された凸部などの除去対象物をブラシからなる洗浄処理部材や砥石からなる研磨処理部材によって基板の表面から除去している。
【0003】
この基板処理装置は、基板を保持しながら回転させる基板回転手段と、ベースの下部に処理部材(洗浄処理部材や研磨処理部材)を取付けた除去処理体を基板の表面に所定の押圧力で押圧しながら回転させるとともに処理部材を基板の表面に沿って移動させる除去処理手段とを有している。
【0004】
そして、基板処理装置は、基板回転手段によって基板を保持しながら回転させ、除去処理手段によって処理部材を基板の表面に所定の押圧力で押圧し回転させるとともに、処理部材を基板の表面に沿って移動させて、回転する処理部材で基板の表面から除去対象物を除去する(たとえば、特許文献1参照。)。
【0005】
従来の基板処理装置では、処理部材として均一の硬度を有するブラシや砥石などを用いている。処理部材を基板の表面に押圧する際の押圧力は予め設定され、その押圧力近傍で基板に対して押圧できる硬度を有する処理部材を用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−141519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上記従来の基板処理装置では、図5(a)及び図6(a)に示すように、除去処理体100のベース101の下部に均一の硬度を有する処理部材102を取付けた構成となっている。そのため、基板103に凹状又は凸状の反りが生じていると、処理部材102を基板103の表面に所定の押圧力で押圧した時に、処理部材102の下面によって除去対象物を良好に同時に除去できる有効除去範囲104,105が狭くなる。なお、除去処理体100は、ベース101及び処理部材102の中央に処理液を供給するための処理液供給通路106を形成しており、処理部材102が円筒形状となっている。
【0008】
具体的には、図5(a)に示すように、基板103が凹状に反っている部分では、処理部材102の外周部だけが基板103の表面に接触しており、処理部材102の外周部だけに有効除去範囲104が形成される。すなわち、処理部材102の外周部の有効除去範囲104でのみ基板103に処理が施され、処理部材102の中央部や内周部では基板103が処理されない。
【0009】
また、図6(a)に示すように、基板103が凸状に反っている部分では、処理部材102の内周部だけが基板103の表面に接触しており、処理部材102の内周部だけに有効除去範囲105が形成される。すなわち、処理部材102の内周部の有効除去範囲105でのみ基板103に処理が施され、処理部材102の中央部や外周部では基板103が処理されない。
【0010】
なお、有効除去範囲104,105とは、処理部材102の下面を基板103の表面に所定の押圧力で押圧した時に、処理部材102の下面によって除去対象物を良好に同時に除去できる範囲を指し、処理部材102の下面が基板103の表面に単に接触しているだけで除去対象物を有効に除去できない範囲(押圧力が低い範囲)は含まない。図5(a)及び図6(a)に示すように、処理部材102は、有効除去範囲104,105の内側又は外側においても基板103の表面に接触はしているが、押圧力が低くて除去対象物を有効に除去できない。
【0011】
このように、基板103に反りが生じている場合には、有効除去範囲104,105が狭くなり、基板103の全面を処理するのに要する時間が長くなって基板処理装置のスループットを低減させるおそれがある。
【0012】
また、基板103が凹状に反った場合の処理部材102の外周端縁や基板103が凸状に反った場合の処理部材102の内周端縁においては、基板103への押圧力が高くなり過ぎて、処理部材102の外周端や内周端で基板103の表面を傷付けてしまい、基板処理装置の歩留まりを低減させるおそれもある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そこで、本発明では、基板の表面に処理部材を押圧した状態で基板に対して相対的に移動しながら基板の表面から除去対象物を除去する基板処理装置の処理部材において、前記処理部材は、円環状に形成され、所定の硬度を有する基準硬度処理部と、基準硬度処理部に隣接し、基準硬度処理部よりも硬度の低い低硬度処理部とを有することにした。
【0014】
また、前記基準硬度処理部は、前記基板の表面への押圧力を設定する際に基準となる硬度を有することにした。
【0015】
また、前記低硬度処理部は、前記基準硬度処理部の内側及び外側に設けることにした。
【0016】
前記低硬度処理部は、前記基板について予め設定した想定反り量で変形した基板に押圧した時に、前記基準硬度処理部と同等の押圧力で基板を押圧する硬度とすることにした。
【0017】
また、前記基準硬度処理部及び低硬度処理部は、硬度の異なるブラシからなり、前記基板の表面を洗浄処理することにした。
【0018】
また、前記基準硬度処理部は、砥石からなり、前記低硬度処理部は、ブラシからなり、前記基板の表面を研磨処理することにした。
【0019】
また、本発明では、基板の表面に処理部材を押圧した状態で基板に対して相対的に移動しながら基板の表面から除去対象物を除去する基板処理装置において、前記処理部材は、円環状に形成され、所定の硬度を有する基準硬度処理部と、基準硬度処理部に隣接し、基準硬度処理部よりも硬度の低い低硬度処理部とを有することにした。
【0020】
また、前記基準硬度処理部は、前記基板の表面への押圧力を設定する際に基準となる硬度を有することにした。
【0021】
また、前記基板の表面から除去対象物を除去するときに、前記基板を回転させる基板回転駆動機構を有することにした。
【0022】
また、前記基板の表面から除去対象物を除去するときに、前記処理部材を回転させる処理部材回転駆動機構を有することにした。
【0023】
また、本発明では、基板の表面に処理部材を押圧した状態で基板に対して相対的に移動しながら基板の表面から除去対象物を除去する基板処理方法において、前記処理部材に、基板の表面への押圧力を設定する際に基準となる硬度の基準硬度処理部と、基準硬度処理部に隣接し、基準硬度処理部よりも硬度の低い低硬度処理部とを形成し、基準硬度処理部と低硬度処理部とを基板に押圧した状態で基板の表面から除去対象物を除去することにした。
【0024】
また、前記基板の表面から除去対象物を除去するときに、前記基板の反り形状に応じて前記処理部材の押圧面において除去対象物を除去する部分を異ならせることにした。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、従来よりも有効除去範囲を広げることができ、基板の処理に要する時間が短縮できて基板処理装置のスループットを向上させることができる。また、従来よりも処理部材の外周端縁や内周端縁での押圧力が高くなり過ぎるのを防ぐことができて、基板の表面を傷付けることなく基板処理装置の歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】基板処理装置を示す平面図。
【図2】基板処理室を示す側面模式図。
【図3】基板処理室を示す平面模式図。
【図4】除去処理体を示す側面断面図(a)、底面図(b)。
【図5】基板が凹状に反っている部分での有効除去範囲を示す説明図。
【図6】基板が凸状に反っている部分での有効除去範囲を示す説明図。
【図7】他の処理部材を示す側面断面図(a)、底面図(b)。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明に係る基板処理装置及び同基板処理装置の除去処理体並びに基板処理方法の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0028】
図1に示すように、基板処理装置1は、前端部に基板2(ここでは、半導体ウエハ。)を複数枚(たとえば、25枚。)まとめてキャリア3で搬入及び搬出するための基板搬入出部4と、基板搬入出部4の後部にキャリア3に収容された基板2を搬送するための基板搬送部5と、基板搬送部5の後部に基板2の洗浄や乾燥などの各種の処理を施すための基板処理部6とを有している。
【0029】
基板搬入出部4は、4個のキャリア3を基板搬送部5の前壁7に密着させた状態で左右に間隔をあけて載置できるように構成している。
【0030】
基板搬送部5は、内部に基板搬送装置8と基板受渡台9とを収容している。基板搬送装置8は、基板搬入出部4に載置されたいずれか1個のキャリア3と基板受渡台9との間で基板2を搬送する。
【0031】
基板処理部6は、中央部に基板搬送装置10を収容するとともに、基板搬送装置10の左右両側に基板処理室11〜18を前後に並べて収容している。
【0032】
そして、基板処理部6では、基板搬送装置10を用いて基板搬送部5の基板受渡台9と各基板処理室11〜18との間で基板2が1枚ずつ搬送され、各基板処理室11〜18を用いて基板2が1枚ずつ処理される。
【0033】
各基板処理室11〜18は、同様の構成となっており、代表して基板処理室11の構成について説明する。基板処理室11は、図2及び図3に示すように、基板2を水平に保持しながら回転させるための基板回転手段19と、基板回転手段19で保持した基板2の表面(上面)を処理する基板処理手段20とを有している。これら基板回転手段19及び基板処理手段20は、制御手段21で制御される。なお、制御手段21は、基板搬送装置8,10など基板処理装置1の全体を制御する。
【0034】
基板回転手段19は、回転軸22の上端部に円板状のテーブル23を水平に備え、テーブル23の周縁部に基板2の周縁部と接触して基板2を水平に保持する複数個の基板保持体24を円周方向に間隔をあけて設けている。回転軸22には、基板回転駆動機構25を接続している。基板回転駆動機構25は、回転軸22及びテーブル23を回転させることで、テーブル23に基板保持体24で保持した基板2を回転させる。この基板回転駆動機構25は、制御手段21に接続しており、制御手段21で駆動制御される。なお、基板回転手段19の周囲には、上方を開口させたカップ26を設けている。
【0035】
基板処理手段20は、基板2(テーブル23)よりも上方にアーム27を水平移動可能に配置し、アーム27の先端部に除去処理体28を取付けるとともに、アーム27の基端部に回転軸29を取付けている。回転軸29には、アーム回転駆動機構30を接続している。アーム回転駆動機構30は、回転軸29を回転させることで、処理時に開始位置(図3に実線で示す位置)から終了位置(図3に一点鎖線で示す位置)までアーム27の先端の除去処理体28を基板2に沿って水平に往復移動させるとともに、処理前及び処理後に退避位置(図3に二点鎖線で示す位置)に移動させる。このアーム回転駆動機構30は、制御手段21に接続しており、制御手段21で駆動制御される。
【0036】
また、基板処理手段20は、除去処理体28の下端中央部から処理液を基板2の表面に供給するための処理液供給機構31を有している。処理液供給機構31は、処理液を供給するための処理液供給源32に処理液供給流路33を流量調整器34を介して接続している。流量調整器34は、基板2の表面に供給する処理液の流量を調整する。この流量調整器34は、制御手段21に接続しており、制御手段21で開閉制御及び流量制御される。
【0037】
除去処理体28は、アーム27の先端に処理部材回転駆動機構35を取付け、処理部材回転駆動機構35に回転軸36を接続し、回転軸36の下端に円板状のベース37を取付け、ベース37の下端に円筒状の処理部材38を有している。処理部材回転駆動機構35は、回転軸36を昇降させることで、ベース37及び処理部材38を基板2に対して昇降させて、処理時に処理部材38を基板2の表面に予め設定した押圧力で押圧させるとともに、回転軸36を回転させることで、ベース37及び処理部材38を回転させる。この処理部材回転駆動機構35は、制御手段21に接続しており、制御手段21で駆動制御される。
【0038】
また、除去処理体28は、図4に示すように、回転軸36とベース37と処理部材38に、処理液を基板2の表面に供給するための処理液供給通路39を形成している。この処理液供給通路39は、処理液供給機構31の処理液供給流路33に接続している。
【0039】
この除去処理体28の処理部材38は、回転軸36を中心とする同心円環状に形成された基準硬度処理部40と内周側及び外周側の低硬度処理部41,42とで構成している。基準硬度処理部40と低硬度処理部41,42は、硬度の異なる部材で形成されている。
【0040】
基準硬度処理部40は、基板2の表面への押圧力を設定する際に基準となる硬度を有し、従来の除去処理体100の処理部材102と略同一の硬度となっている。基板処理装置1では、処理部材38を基板2の表面に押圧する際の押圧力を予め設定し、その押圧力近傍(予め設定した押圧力を含む所定の範囲)で基板2を押圧できる硬度を有する基準硬度処理部40を用いている。なお、押圧力は、処理部材38を基板2に対して鉛直下向きに押し付けた時に処理部材38が収縮することで生ずる圧力を指す。
【0041】
低硬度処理部41,42は、基準硬度処理部40よりも低い硬度となっており、基準硬度処理部40の内周側及び外周側に隣接している。ここでは、低硬度処理部41,42として、基板2について予め設定した想定反り量で変形した基板2を押圧した時に、基準硬度処理部40と略同等の押圧力で基板2を押圧する硬度のものを用いている。
【0042】
ここで、基板処理装置1が基板2の表面に付着した塵等の除去対象物を除去する洗浄装置の場合には、基準硬度処理部40と低硬度処理部41,42に硬度の異なるPVAなどからなるスポンジ状又は刷毛状などのブラシを用い、処理液供給通路39から洗浄液(純水やSC−1等の薬液など)を供給しながらブラシで除去対象物を基板2の表面から除去することで基板2の表面を洗浄処理するように構成する。なお、硬度は材質や気孔径や気孔率などで変化させることができる。また、基板処理装置1が基板2の表面に形成された凹凸等の除去対象物を除去する研磨装置の場合には、基準硬度処理部40に砥石を用いるとともに、低硬度処理部41,42にスポンジ状又は刷毛状などのブラシを用い、処理液供給通路39から純水を供給しながら砥石で除去対象物を基板2の表面から剥離させるとともに、剥離した除去対象物をブラシで基板2の表面から除去することで、基板2の表面を研磨処理するように構成する。この場合には、従来においては砥石による研磨とブラシによる洗浄とを別工程で行っていた処理を一工程で行うことができ、処理時間が短縮されて装置のスループットを向上させることができる。
【0043】
基板処理装置1は、以上に説明したように構成しており、制御手段21(コンピュータ)で読み取り可能な記憶媒体43に記憶した基板処理方法(基板処理プログラム)にしたがって各基板処理室11〜18で基板2を処理する。なお、記憶媒体43は、基板処理プログラム等の各種プログラムを記憶できる媒体であればよく、ROMやRAMなどの半導体メモリ型の記憶媒体であってもハードディスクやCD−ROMなどのディスク型の記憶媒体であってもよい。
【0044】
具体的には、基板処理装置1は、制御手段21で基板回転駆動機構25を制御して基板2を所定の回転数で回転させるとともに、アーム回転駆動機構30を制御して除去処理体28を退避位置から開始位置に移動させる。その後、処理部材回転駆動機構35を制御して除去処理体28の処理部材38を基板2の表面に所定の押圧力で押圧させるとともに処理部材38を基板2の表面で回転させる。その後、アーム回転駆動機構30を制御して除去処理体28を開始位置から終了位置に往復移動させる。これにより、基板処理装置1は、処理部材38の基準硬度処理部40と低硬度処理部41,42とを基板2の表面に押圧させた状態で回転させながら基板2の表面に沿って移動させて、基板2の表面を処理する。この時に、処理部材38が回転軸36を中心として内周側の低硬度処理部41、基準硬度処理部40、外周側の低硬度処理部42の順に同心円環状に形成されていることから、基板2の表面に沿って処理部材38を移動させると、基板2の表面上では常に、処理部材38が外周側の低硬度処理部42、基準硬度処理部40、内周側の低硬度処理部41、基準硬度処理部40、外周側の低硬度処理部42の順番で接触する。
【0045】
その際に、基板2に反りが生じておらず基板2が平坦な部分では、除去処理体28の基準硬度処理部40と低硬度処理部41,42とが基板2の表面に予め設定した押圧力で接触し、基準硬度処理部40及び低硬度処理部41,42で基板2の表面を処理する。
【0046】
また、図5(b)に示すように、基板2が凹状に反っている部分では、基準硬度処理部40と内外周側の低硬度処理部41,42とが基板2の表面に接触する。そのうちの外周側の低硬度処理部42と基準硬度処理部40の外周部及び中央部が、基板2の表面に対して予め設定した押圧力近傍(予め設定した押圧力を含む所定の範囲)で押圧される。これにより、除去対象物を良好に同時に処理できる有効除去範囲44が外周側の低硬度処理部42と基準硬度処理部40の外周部及び中央部に形成される。なお、基準硬度処理部40の内周部と内周側の低硬度処理部41においても基板2の表面に接触しているが、押圧力が低いために有効除去範囲44からは除外している。
【0047】
このように、基板2が凹状に反っている部分では、図5に示すように、従来においては処理部材102の外周部だけに有効除去範囲104が形成されるのに対して、基準硬度処理部40と低硬度処理部41,42とを形成することで、外周側の低硬度処理部42と基準硬度処理部40の外周部及び中央部に有効除去範囲44が形成され、有効除去範囲44を従来の有効除去範囲104よりも拡大することができる。しかも、処理部材38の外周端縁に低硬度処理部42が形成されることで、処理部材38の外周端縁での押圧力が高くなり過ぎるのを防ぐことができて処理部材38の外周端縁で基板2の表面を傷付けてしまうのを防止することもできる。
【0048】
また、図6(b)に示すように、基板2が凸状に反っている部分では、基準硬度処理部40と内外周側の低硬度処理部41,42とが基板2の表面に接触する。そのうちの内周側の低硬度処理部41と基準硬度処理部40の内周部及び中央部が、基板2の表面に対して予め設定した押圧力近傍(予め設定した押圧力を含む所定の範囲)で押圧される。これにより、除去対象物を良好に同時に処理できる有効除去範囲45が内周側の低硬度処理部41と基準硬度処理部40の内周部及び中央部に形成される。なお、基準硬度処理部40の外周部と外周側の低硬度処理部42においても基板2の表面に接触しているが、押圧力が低いために有効除去範囲45からは除外している。
【0049】
このように、基板2が凸状に反っている部分では、図6に示すように、従来においては処理部材102の内周部だけに有効除去範囲105が形成されるのに対して、基準硬度処理部40と低硬度処理部41,42とを形成することで、内周側の低硬度処理部41と基準硬度処理部40の内周部及び中央部に有効除去範囲45が形成され、有効除去範囲45を従来の有効除去範囲105よりも拡大することができる。しかも、処理部材38の内周端縁に低硬度処理部41が形成されることで、処理部材38の内周端縁での押圧力が高くなり過ぎるのを防ぐことができて処理部材38の内周端縁で基板2の表面を傷付けてしまうのを防止することもできる。
【0050】
なお、低硬度処理部41,42は、基準硬度処理部40の内周側又は外周側だけに形成してもよく、また、内外周側に向けて徐々に硬度が低くなるように複数層に分けて形成してもよい。たとえば、図7に示すように、基準硬度処理部40の内周側及び外周側に、内周側又は外周側にいくにしたがって段階的に硬度が低く幅が狭くなる複数層(ここでは、2層)の低硬度処理部41a,41b,42a,42bを形成してもよい。
【0051】
以上に説明したように、基板処理装置1は、基板2の表面に除去処理体28の処理部材38を押圧した状態で基板2に対して相対的に移動しながら基板2の表面から除去対象物を除去する構成となっており、除去処理体28の処理部材38は、基板2の表面への押圧力を設定する際に基準となる硬度の基準硬度処理部40と、基準硬度処理部40に隣接し、基準硬度処理部40よりも硬度の低い低硬度処理部41,42とを有する構成となっている。
【0052】
そのため、上記構成の基板処理装置1では、従来よりも有効除去範囲44,45を広げることができて、処理に要する時間が短縮できて基板処理装置1のスループットを向上させることができる。また、従来よりも処理部材38の外周端縁や内周端縁での押圧力を下げることができて、基板2の表面を傷付けることなく基板処理装置1の歩留まりを向上させることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 基板処理装置
2 基板
28 除去処理体
38 処理部材
40 基準硬度処理部
41,42 低硬度処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面に処理部材を押圧した状態で基板に対して相対的に移動しながら基板の表面から除去対象物を除去する基板処理装置の処理部材において、
前記処理部材は、
円環状に形成され、所定の硬度を有する基準硬度処理部と、
基準硬度処理部に隣接し、基準硬度処理部よりも硬度の低い低硬度処理部と、
を有することを特徴とする基板処理装置の処理部材。
【請求項2】
前記基準硬度処理部は、前記基板の表面への押圧力を設定する際に基準となる硬度を有することを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置の処理部材。
【請求項3】
前記低硬度処理部は、前記基準硬度処理部の内側及び外側に設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の基板処理装置の処理部材。
【請求項4】
前記低硬度処理部は、前記基板について予め設定した想定反り量で変形した基板に押圧した時に、前記基準硬度処理部と同等の押圧力で基板を押圧する硬度としたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の基板処理装置の処理部材。
【請求項5】
前記基準硬度処理部及び低硬度処理部は、硬度の異なるブラシからなり、前記基板の表面を洗浄処理することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の基板処理装置の処理部材。
【請求項6】
前記基準硬度処理部は、砥石からなり、前記低硬度処理部は、ブラシからなり、前記基板の表面を研磨処理することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の基板処理装置の処理部材。
【請求項7】
基板の表面に処理部材を押圧した状態で基板に対して相対的に移動しながら基板の表面から除去対象物を除去する基板処理装置において、
前記処理部材は、
円環状に形成され、所定の硬度を有する基準硬度処理部と、
基準硬度処理部に隣接し、基準硬度処理部よりも硬度の低い低硬度処理部と、
を有することを特徴とする基板処理装置。
【請求項8】
前記基準硬度処理部は、前記基板の表面への押圧力を設定する際に基準となる硬度を有することを特徴とする請求項7に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記基板の表面から除去対象物を除去するときに、前記基板を回転させる基板回転駆動機構を有することを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記基板の表面から除去対象物を除去するときに、前記処理部材を回転させる処理部材回転駆動機構を有することを特徴とする請求項7〜請求項9のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項11】
基板の表面に処理部材を押圧した状態で基板に対して相対的に移動しながら基板の表面から除去対象物を除去する基板処理方法において、
前記処理部材に、基板の表面への押圧力を設定する際に基準となる硬度の基準硬度処理部と、基準硬度処理部に隣接し、基準硬度処理部よりも硬度の低い低硬度処理部とを形成し、基準硬度処理部と低硬度処理部とを基板に押圧した状態で基板の表面から除去対象物を除去することを特徴とする基板処理方法。
【請求項12】
前記基板の表面から除去対象物を除去するときに、前記基板の反り形状に応じて前記処理部材の押圧面において除去対象物を除去する部分を異ならせたことを特徴とする請求項11に記載の基板処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−38178(P2013−38178A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172033(P2011−172033)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】