説明

基板処理装置

基板処理装置(1)は基板の周縁部を研磨する第1研磨ユニット(400A)および第2研磨ユニット(400B)を備えている。2台の研磨ユニット(400A,400B)はそれぞれ基板の周縁部を研磨するベベル研磨部(450A,450B)と基板のノッチ部を研磨するノッチ研磨部(480A,480B)を具備し、基板処理装置(1)は2台の研磨ユニット(400A,400B)の間に配設されたメンテナンス用のスペース(7)を具備する。2台の研磨ユニット(400A,400B)のベベル研磨部(450A,450B)はメンテナンス用のスペース(7)に面した位置に設置され、該メンテナンス用のスペース(7)からアクセスできるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置に関し、特に半導体ウエハ等の基板の周縁部を研磨する研磨ユニットを備えた基板処理装置に関するものである。本発明はまた、基板処理方法に関し、特に半導体ウエハ等の基板の周縁部を研磨する基板研磨方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの微細化及び高集積化が進むにつれて、パーティクルの管理が重要となる。このパーティクル管理上の問題として、半導体デバイスの製造工程中に半導体ウエハ等の基板(以下「ウエハ」と称す。)の周縁部(ベベル部及びエッジ部)に生じる表面荒れに起因する発塵の問題がある。
【0003】
図1Aおよび1Bに、ウエハWの周縁部の部分拡大断面図を示す。図1Aは、周縁部の断面が複数の直線部で構成されたいわゆるストレート型のウエハWの断面図であり、図1Bは、周縁部の断面が曲線部で構成されたいわゆるラウンド型のウエハWの断面図である。以下において、ウエハのベベル部とは、図1AのウエハWにおいては、ウエハW外周部の上面及び下面から傾斜した上側傾斜部P及び下側傾斜部Q、及びウエハW外周部の側面部RからなるB部分を指し、また図1BのウエハWにおいては、ウエハW外周部の断面が曲率を有するB部分を指す。また図1Aおよび1Bにおいて、ウエハのエッジ部とは、ウエハWのベベル部Bの内側の境界と半導体デバイスが形成されるウエハWの上面Dとの間の領域Eの部分を指す。以下ウエハの周縁部というときは上記のベベル部B及びエッジ部Eを含むものとする。
【0004】
また、以下でいうノッチとは、シリコンウエハなどの面方位を示すためにその外周部に形成されるV字型の切り込み(V字型ノッチ)や、直線状の切り込み(オリエンテーションフラット)のことをいい、これらはウエハの周縁部に設けられており、ウエハ周縁部のノッチ部が凹部状に切り込まれて形成されている。
【0005】
ウエハの周縁部の研磨を行う研磨装置(周縁部研磨装置)がある。この研磨装置は、半導体デバイス形成前のウエハの外周形状を整形する用途に使われていたが、近年はそれ以外にも半導体デバイス形成工程でウエハの周縁部に付着し汚染源となる膜の除去に用いられたり、ディープトレンチ形成後にウエハの周縁部に形成される針状突起の剥離などのウエハの周縁部に発生する表面荒れの除去に用いられたりしている。このようにウエハの周縁部の付着物を事前に除去することで、ウエハを保持して移送する移送装置などを介して他のウエハが汚染されることを防止でき、またウエハ周縁部の表面荒れを事前に除去することで、ウエハ周縁部における形成物の剥離による発塵を防止することができる。
【0006】
そして、このウエハの周縁部を研磨する研磨装置(研磨ユニット)と、ウエハの洗浄処理を行う洗浄ユニット、及び乾燥処理を行う乾燥ユニットなど一連の処理を行う各処理ユニットを設けてなる基板処理装置が実用化され、この基板処理装置でウエハの周縁部の研磨を含む一連の処理プロセスが行われている。この基板処理装置によれば、処理対象ウエハの周縁部を研磨し、該研磨したウエハを洗浄し乾燥する一連の処理を一度に同一の基板処理装置で行うことができるので、処理効率が良い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記の基板処理装置が備える研磨ユニットは、ウエハのベベル部を研磨するベベル研磨部やノッチ部を研磨するノッチ研磨部を具備し、研磨ユニット内で、ベベル研磨部やノッチ研磨部が研磨対象ウエハの周囲を囲む位置に設置されている。この基板処理装置による研磨処理効率を向上させるには、基板処理装置内に上記構成の研磨ユニットを複数台設置したり、研磨ユニットの配置構成を工夫したりする必要がある。
【0008】
また従来、複数台の研磨ユニットを同一の基板処理装置に設置する場合は、主に各研磨ユニットにウエハを搬入出する搬送ロボットと各研磨ユニットとの取り合いから各研磨ユニットの配置を決定していた。そのため、作業者が研磨テープや研磨パッドの交換等を行なう際の各研磨ユニットのベベル研磨部やノッチ研磨部へのアクセスについては配慮がされておらず、これらの作業の効率が悪いという問題があった。この問題を解決するには、複数の研磨ユニットの研磨テープや研磨パッド等の消耗部品の交換や各部のメンテナンス等の作業が効率良く行なえる配置とすることが望ましい。
【0009】
また、研磨ユニットによる研磨の際に、スラリーなどの研磨液や砥粒などが飛散すると、研磨ユニットの各部が汚染されたり、あるいは研磨対象のウエハが汚染されてその搬送先の各部などに汚染が広がってしまうことがある。そうすると、研磨ユニットや搬送ユニットなどの基板処理装置の各ユニットの頻繁な清掃が必要となり、メンテナンスの作業負担が大きくなってしまう。また、研磨ユニットや他のユニットの汚染された各部にアクセスして清掃作業をしなければならず作業効率が悪くなる。そのため、メンテンナンスの作業負担を軽減するためには、研磨の際に、研磨ユニットの各部やウエハができるだけ汚染されないようにすることが望ましい。
【0010】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、第1の目的は、基板研磨の処理効率を向上させると共に、メンテナンスを短時間で効率良く行なえ、メンテンナンス負担を軽減できる基板処理装置を提供することにある。
本発明の第2の目的は、基板研磨の処理効率を向上させると共に、メンテナンスを短時間で効率良く行なえ、メンテンナンス負担を軽減できる基板研磨方法を提供することにある。
本発明の第3の目的は、基板研磨の処理効率を向上させると共に、メンテナンスを短時間で効率良く行なえ、メンテンナンス負担を軽減できる基板処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様によれば、半導体ウエハ等の基板の周縁部を研磨する少なくとも2台の研磨ユニット備えた基板処理装置であって、基板の周縁部に発生する表面荒れや基板の周縁部に付着し汚染源となる膜の除去に用いられることを特徴とする。前記2台の研磨ユニットは、前記基板の周縁部を研磨するベベル研磨部及び/又は前記基板のノッチ部を研磨するノッチ研磨部を備え、前記2台の研磨ユニットの間にメンテナンス用スペースが配設され、前記2台の研磨ユニットの前記ベベル研磨部及び/又は前記ノッチ研磨部が、前記メンテナンス用スペースに面した位置に配置され、前記メンテナンス用スペースから前記2台の研磨ユニットのベベル研磨部及び/又はノッチ研磨部にアクセスできる。
【0012】
前記2台の研磨ユニットは各々前記メンテナンス用スペースに面した部分に開閉扉が設けられた筐体内に配置され、該開閉扉を開くことで前記メンテナンス用スペースから前記2台の研磨ユニットのベベル研磨部及び/又はノッチ研磨部にアクセスできるようにしてもよい。
【0013】
上記構成により、作業者は、個々の研磨ユニットのベベル研磨部やノッチ研磨部に移動せずに、同一スペースで向きを変えるだけで2台の研磨ユニットのベベル研磨部やノッチ研磨部にアクセスできるので、研磨ユニットのベベル研磨部やノッチ研磨部のメンテナンス作業を短時間で効率良く行うことが可能となる。これにより、基板処理装置のメンテナンス性が向上する。
【0014】
このように、基板処理装置における各ユニットの構成および各ユニットにおける部品の構成は、基板処理の効率を向上させるよう設計されている。作業者は共通のスペースから各ユニットへアクセスできるのでメンテナンス作業を短時間で効率良く行うことが可能となる。また、研磨時のユニットや基板の汚染を防止しメンテナンス作業の負担を削減することが可能となる。
【0015】
前記ベベル研磨部は、研磨テープと、前記基板の周縁部に研磨テープを接触させるベベル研磨ヘッドと、該ベベル研磨ヘッドに研磨テープを供給し回収する研磨テープ供給回収機構とを備えてもよい。前記研磨テープ供給回収機構の前記研磨テープは前記スペースから研磨テープを交換可能としてもよい。前記ノッチ研磨部は、研磨テープと、前記基板のノッチ部に研磨テープを接触させるノッチ研磨ヘッドと、該ノッチ研磨ヘッドに研磨テープを供給し回収する研磨テープ供給回収機構とを備えてもよい。前記研磨テープ供給回収機構の前記研磨テープは前記スペースから研磨テープを交換可能としてもよい。
【0016】
上記構成により、ベベル研磨部の研磨テープ供給回収機構又はノッチ研磨部の研磨テープ供給回収機構は、スペースから研磨テープを交換可能であるので、研磨ユニットの外部から短時間で効率良くメンテナンス作業を行なうことが可能となる。これにより、基板処理装置のメンテナンス性が向上する。
【0017】
前記筐体は四方に側壁を有してもよい。前記筐体の第一の側壁側に前記ベベル研磨部又はノッチ研磨部のいずれか一方が配置されてもよい。前記筐体の第一の側壁が前記スペースに面して配置される。前記筐体の前記第一の側壁に隣接する前記筐体の第二の側壁側に前記ベベル研磨部又はノッチ研磨部のいずれかもう一方が配置されてもよい。前記筐体の前記第二の側壁が前記基板処理装置のハウジングに面して配置される。
【0018】
上記構成により、研磨ユニット内の配置の無駄を無くすことができる。また、スペースやスペースに隣接する基板処理装置のハウジングからベベル研磨部又はノッチ研磨部にアクセスできるので、短時間で効率良くメンテナンスを行うことが可能となる。
【0019】
前記筐体の前記第二の側壁に開閉扉が設けられると共に、前記基板処理装置の前記ハウジングの前記第二の側壁に面した部分に開閉扉が設けられてもよい。前記基板処理装置の前記ハウジングの前記開閉扉及び前記筐体の前記開閉扉を開くことで、前記基板処理装置の外部から前記ベベル研磨部又は前記ノッチ研磨部にアクセスできるように構成してもよい。
【0020】
上記構成により、基板処理装置の外部から直接研磨ユニットのベベル研磨部又はノッチ研磨部の研磨テープ交換等のメンテナンスを行なうことができ、メンテナンス作業を短時間で効率良く行うことが可能となり、基板処理装置のメンテナンス性が向上する。
【0021】
前記基板処理装置は、前記基板を前記研磨ユニットへ搬送する搬送装置をさらに備えてもよい。前記基板を前記研磨ユニットへ搬入出する搬入出口が前記筐体の前記第三の側壁に設けられてもよい。該搬入出口は前記搬送装置に面して配置される。前記搬入出口のためにシャッターが設けられている。上記構成により、基板の搬送が効率良く行なえ、基板処理装置のスループットを向上させることができる。
【0022】
前記ベベル研磨部同士又は前記ノッチ研磨部同士は、その平面配置が前記メンテナンス
用スペースを挟んで互いに対称になるように設置されてもよい。研磨ユニットのベベル研
磨部又はノッチ研磨部の動作がメンテナンス用スペースを挟んで互いに対称な動作をするように設置されてもよい。
【0023】
2台の研磨ユニットのベベル研磨部同士又はノッチ研磨部同士が、その平面配置がメンテナンス用スペースを挟んで互いに対称になるように設置されていると、各研磨ユニットのベベル研磨部同士又はノッチ研磨部同士をメンテナンスする際にその作業が行い易くなり、短時間で効率良くメンテナンスをすることができる。2台の研磨ユニットのベベル研磨部同士又はノッチ研磨部同士が、その平面配置がメンテナンス用スペースを挟んで互いに対称になるように設置されていると、各研磨ユニットに基板を搬入出する搬送装置の動作や処理対象の基板の位置決めもスペースを挟んで対象に設定すればよく、研磨ユニットへの基板の搬入出や研磨ユニット内の動作をスムーズに行なえると共に、研磨ユニット内におけるベベル研磨部又はノッチ研磨部の動作スペースの無駄を省くことができ、研磨ユニットを効率良く運転することが可能となる。
【0024】
前記研磨ユニットは、前記ベベル研磨部及び/又はノッチ研磨部で研磨される前記基板を保持する基板保持テーブルを備えてもよい。前記研磨ユニットは、さらに前記基板保持テーブルを水平面内で直線移動させる基板保持テーブル水平移動機構を備えてもよい。
【0025】
上記構成により、ベベル研磨部及び/又はノッチ研磨部による研磨の際に、これら基板保持テーブル揺動機構や基板保持テーブル水平移動機構で、基板保持テーブルで保持した基板を揺動あるいは直線移動させながら研磨することができ、基板の周縁部に所望の研磨を施すことが可能となる。また、基板保持テーブルを移動させることで、基板をベベル研磨部の位置からノッチ研磨部の位置まで移動させることもでき、ベベル研磨部及びノッチ研磨部による研磨がやり易くなる。
【0026】
前記ベベル研磨部及び/又は前記ノッチ研磨部は、研磨テープの表面を前記基板の周縁部に摺接させて該基板を研磨するように構成されてもよい。前記研磨テープは、砥粒を分散させた化学的に不活性な樹脂材料をテープ基材の表面に塗布する研磨層を形成してもよい。
【0027】
上記構成により、研磨液等との化学反応を防げるので、研磨対象の基板に砥粒が付着して汚染されたり、砥粒が飛散して研磨ユニットの各部に付着して汚染されることを防げ、研磨ユニットや基板処理装置の清掃などのメンテンナンス負担が軽減される。また、研磨対象の基板の品質の低下を防ぐことができる。
【0028】
前記研磨ユニットは、前記ベベル研磨部及び/又はノッチ研磨部で研磨される前記基板を水平に保持する基板保持手段を備えてもよい。前記研磨ユニットは、さらに、前記基板保持手段に保持された基板の研磨位置付近に向けて純水、超純水、または脱イオン水の少なくとも1つを供給する第1の供給ノズルと、前記基板の上面の中央部付近に向けて純水、超純水、または脱イオン水の少なくとも1つを供給する第2の供給ノズルとを備えてもよい。
【0029】
上記構成により、第2の供給ノズルから供給される純水が、水平に保持された基板の上面に広がって、該基板の上面に純水の膜が形成されることで、該基板が、研磨ユニット内の雰囲気や研磨屑によって汚染されることを防げると共に、基板による搬送先の二次汚染も防げるので、基板処理装置の清掃などのメンテンナンス負担が軽減される。また、第1の供給ノズルによって基板の研磨位置付近に純水が供給されると共に、第2の供給ノズルから供給された純水も基板の上面に広がって研磨位置付近に達するので、研磨部分からの研磨屑の飛散が防止されると共に研磨時の摩擦熱を奪うことができる。さらに、第1、第2の供給ノズルから基板に純水が供給されるので、基板自体や研磨ユニット内の各部の清浄度を保つことができる。さらに、第1、第2の供給ノズルから純水を供給するので、研磨層と基板との摩擦熱を奪うことができ、樹脂材料が軟化して研磨テープから砥粒が脱落することを防止できる。
【0030】
本発明の第2の態様によれば、基板研磨の処理効率を向上させると共に、メンテナンスを短時間で効率良く行なえ、メンテンナンス負担を軽減できる基板研磨方法を提供する。この方法によれば、砥粒が化学的に不活性な樹脂材料に分散される。化学的に不活性な樹脂材料はテープ基材の表面に塗布され、研磨層を形成する研磨テープを用意する。前記研磨テープの前記研磨層の表面を、前記基板の周縁部に摺接させて該基板を研磨する。
【0031】
上記方法によれば、研磨時に、研磨液等との化学反応で研磨テープから砥粒が脱落することを防げるので、研磨対象の基板に砥粒が付着して汚染されたり、砥粒が飛散して各部に付着して汚染されたりすることを防げ、装置の清掃などのメンテンナンス負担が軽減される。また、研磨対象の基板の品質の低下を防ぐことができる。
【0032】
前記基板は、その表面に半導体デバイスを形成し該表面に多数の凹部を有してもよい。この場合、研磨液等との化学反応で研磨テープから砥粒が脱落することを防げるので、基板の凹部内に砥粒が入り込んでしまうことがなく、基板の品質が低下せずに済む。
【0033】
前記研磨時に、前記基板に純水のみを供給してもよい。この場合、基板や装置内部などの清浄度を保つことができ、基板の搬送先の二次汚染も防げる。また、テープ基材の樹脂材料が化学反応により変質して砥粒が脱落するおそれがなく、研磨対象の基板に砥粒が付着して汚染されたり、砥粒が飛散して各部に付着して汚染されたりすることを防げ、装置の清掃などのメンテンナンス負担が軽減される。また、研磨中に純水を供給するので、研磨層と基板との摩擦熱を奪うことができ、樹脂材料が軟化して研磨テープから砥粒が脱落することを防止することができる。
【0034】
本発明の第3の態様によれば、基板研磨の処理効率を向上させると共に、メンテナンスを短時間で効率良く行なえ、メンテンナンス負担を軽減できる基板研磨方法を提供する。この方法によれば、基板が、基板の周縁部を研磨するベベル研磨部及び基板のノッチ部を研磨するノッチ研磨部のいずれか一方に、移動機構によって移動される。
前記ベベル研磨部又はノッチ研磨部のいずれか一方で、前記基板の周縁部又はノッチ部の第一の研磨が行われる。前記基板に純水のみを供給して前記第一の研磨後前記基板の表面を覆う水膜が形成される。前記基板の表面に水膜を形成した状態で、前記移動機構によって前記基板を前記ベベル研磨部又はノッチ研磨部のいずれか他方へ移動させて配置する。前記ベベル研磨部又はノッチ研磨部の前記いずれか他方で、前記基板の周縁部又はノッチ部の第二の研磨が行われる。
【0035】
上記方法によれば、研磨ユニット内の雰囲気や研磨屑によって汚染されることを防げ、基板の清浄度を保つことができる。また、基板の移送先のベベル研磨部又はノッチ研磨部の二次汚染も防げるので、ベベル研磨部又はノッチ研磨部における研磨に支障が生じない。さらに、研磨ユニット内の各部の清浄度も保つことができるので、清掃などのメンテンナンス負担が軽減される。
【0036】
本発明の第4の態様によれば、基板研磨の処理効率を向上させると共に、メンテナンスを短時間で効率良く行なえ、メンテンナンス負担を軽減できる基板処理方法を提供する。この方法によれば、少なくとも2台の研磨ユニットと、前記研磨ユニットに前記基板を搬送する搬送装置とを備えた基板処理装置を用いる。前記研磨ユニットはそれぞれ基板の周縁部を研磨するベベル研磨部及び基板のノッチ部を研磨するノッチ研磨部の少なくともいずれか一方を具備する。前記研磨ユニットのベベル研磨部又はノッチ研磨部の平面配置が前記搬送装置から見て互いに対称になるように配置される。前記搬送装置で、前記研磨ユニットにそれぞれ別の基板を搬送して、前記研磨ユニットで並行して前記それぞれ別の基板を研磨して前記それぞれ別の基板の周縁部の汚染除去及び/又は表面荒れの除去を行う。この場合、前記研磨ユニット内における前記ベベル研磨部又は前記ノッチ研磨部の動作が前記搬送装置から見て互いに対称な動作をしてもよい。
【0037】
上記方法によれば、複数の基板を同時に研磨して基板処理装置における単位時間当たりの基板の処理数を多くでき、基板処理装置のスループットを向上させることができる。また、上記方法によれば、搬送装置でこれら各研磨ユニットにそれぞれ別の基板を搬送して各研磨ユニットで並行して各基板を研磨する処理をしても、各研磨ユニットへの基板の搬送や研磨ユニット内におけるベベル研磨やノッチ研磨などの動作がスムーズに行える。さらに、研磨ユニットのベベル研磨部やノッチ研磨部などの動作スペースの無駄を省くことができ、研磨ユニットを効率良く運転することができる。
【0038】
本発明の第5の態様によれば、基板研磨の処理効率を向上させると共に、メンテナンスを短時間で効率良く行なえ、メンテンナンス負担を軽減できる基板処理方法を提供する。この方法によれば、少なくとも2台の研磨ユニットと、前記研磨ユニットに前記基板を搬送する搬送装置とを備えた基板処理装置を用いる。前記研磨ユニットは基板の周縁部を研磨するベベル研磨部及び基板のノッチ部を研磨するノッチ研磨部の少なくともいずれか一方を具備する。前記研磨ユニットのベベル研磨部又はノッチ研磨部の平面配置が前記搬送装置から見て互いに対称になるように配置し、前記搬送装置で、前記研磨ユニットに基板を連続して搬送して、前記研磨ユニットで前記基板を連続して研磨して前記基板の周縁部の汚染除去及び/又は表面荒れの除去を行う。この場合、前記研磨ユニット内における前記ベベル研磨部又は前記ノッチ研磨部の動作が前記搬送装置から見て互いに対称な動作をしてもよい。
【0039】
上記方法によれば、各研磨ユニットでそれぞれ粗研磨処理と仕上げ研磨処理を分担して行うなど、各研磨ユニットを研磨目的に応じて使い分けて研磨することができるので、研磨対象の基板を目的とする形状等に効率良く仕上げることができる。また、上記方法によれば、搬送装置で、同一の基板を各研磨ユニットに順に搬送して、各研磨ユニットで該同一の基板を研磨する処理をしても、各研磨ユニットへの基板の搬送や研磨ユニット内におけるベベル研磨やノッチ研磨などの動作がスムーズに行える。さらに、研磨ユニットのベベル研磨部やノッチ研磨部などの動作スペースの無駄を省くことができ、研磨ユニットを効率良く運転することができる。
【0040】
本発明の第6の態様によれば、基板研磨の処理効率を向上させると共に、メンテナンスを短時間で効率良く行なえ、メンテンナンス負担を軽減できる基板処理方法を提供する。この方法によれば、少なくとも2台の研磨ユニットと、前記研磨ユニットに前記基板を搬送する搬送装置とを備えた基板処理装置を用いる。前記研磨ユニットは、基板の周縁部を研磨するベベル研磨部及び基板のノッチ部を研磨するノッチ研磨部の少なくともいずれか一方を具備する。前記研磨ユニットのベベル研磨部又はノッチ研磨部の平面配置が前記搬送装置から見て互いに対称になるように配置される。次の2つの研磨処理もいずれか一方が選択的に行われる。第1の研磨処理においては、前記搬送装置で、前記少なくとも2台の研磨ユニットにそれぞれ別の基板を搬送して、前記少なくとも2台の研磨ユニットで並行して前記各基板を研磨して各基板の周縁部の汚染除去及び/又は表面荒れの除去が行われる。第2の研磨処理においては、前記搬送装置で、前記少なくとも2台の研磨ユニットに基板を連続して搬送して、前記少なくとも2台の研磨ユニットで前記基板を連続して研磨して前記基板の周縁部の汚染除去及び/又は表面荒れの除去が行われる。この場合、前記研磨ユニット内における前記ベベル研磨部又は前記ノッチ研磨部の動作が前記搬送装置から見て互いに対称な動作をしてもよい。
【0041】
基板処理の目的に応じて、単位時間当たりの基板の処理数を多くして基板処理装置のスループットを向上させたり、各研磨ユニットを研磨目的に応じて使い分けて基板を目的とする形状等に効率良く仕上げたりすることができる。また、上記の処理のうちいずれかを選択的に行う際に、そのつど各処理を行う仕様に基板処理装置の配置構成を変更したりその動作設定を変更したりする必要がなくなり、簡単な手順で、上記の各処理を切り換えて行うことができるようになり、基板処理の効率が向上する。また、いずれの処理においても各研磨ユニットへの基板の搬送や研磨ユニット内におけるベベル研磨やノッチ研磨などの研磨の動作がスムーズに行えるようになる。
【0042】
本発明の上述した、およびその他の目的、特徴、効果は、添付した図面を参照して以下に説明する好ましい実施形態の例によって明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、本発明の実施形態にかかる基板処理装置を図2乃至36に基づいて詳細に説明する。図面を通して同一または相当する構成要素には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図2は、本発明の一実施形態にかかる基板処理装置の全体構成を示す概略平面図である。図2に示す基板処理装置1は、ウエハ供給回収装置101を設置したロードアンロードポート100と、ウエハを載置するウエハステージ300及び/又はウエハ周縁部の形状、表面状態、欠陥部位の有無等の測定を行う測定ユニット310と、主にロードアンロードポート100とウエハステージ300又は測定ユニット310、又は下記する2次洗浄・乾燥ユニット610との間でウエハを搬送する第1搬送ロボット200Aと、ウエハ周縁部の研磨を行う第1研磨ユニット400A及び第2研磨ユニット400Bの二台の研磨ユニットと、研磨後のウエハの洗浄を行う1次洗浄ユニット600と、1次洗浄されたウエハの2次洗浄及び乾燥を行う2次洗浄・乾燥ユニット610と、主に第1、第2研磨ユニット400A,400Bと1次洗浄ユニット600と2次洗浄・乾燥ユニット610の各ユニット間でウエハを搬送する第2搬送ロボット200Bを備えている。また、測定ユニット310によるウエハ周縁部の形状、表面状態、欠陥部位の有無等の測定結果に基づいて、第1、第2研磨ユニット400A,400Bにおける研磨条件を決定する研磨条件決定手段(図示せず)を備えている。なお、図2において、符号4は電源及び制御装置であり、符号6はコントロールパネルである。ここでは、基板処理装置1内に設置された各処理装置の組立体(モジュール)をユニットと称す。以下、基板処理装置1が備える各ユニットの構成、及び各ユニットにおける処理工程を詳細に説明する。
【0044】
基板処理装置1は、クリーンルーム2に設置されたハウジング3内に収納配置されており、クリーンルーム2の内部空間と基板処理装置1の内部空間がハウジング3の壁面によって区画されている。また基板処理装置1内は、第1搬送ロボット200Aが配置された搬送領域Fと、他の各ユニットが配置された処理領域Gからなる。そしてハウジング3の上部に設けられたエア供給ファン、ケミカルフィルタ、HEPA又はULPAフィルタなどを有するファンユニット(図示せず)を介して清浄な空気が基板処理装置1内の空間に供給されるようになっている。ファンユニットは、通気ダクト(図示せず)を介して基板処理装置1の上部から空気を取り込み、フィルタを通過させた清浄な空気を下方に向けて供給する。一方、ハウジング3内の空気は、下部に設けた図示しない排気部から外部へ排出されるようになっており、ハウジング3内に清浄空気のダウンフローが形成される。これにより基板処理装置1内で搬送されるウエハ表面に清浄空気のダウンフローが形成され、ウエハの汚染が防止される。
【0045】
1.ロードアンロードポート
ロードアンロードポート100の構成を説明する。図2の基板処理装置1では、搬送領域Fに隣接する側壁3aの外側にロードアンロードポート100が設けられている。そして、ウエハカセット102を載置するロードアンロードステージとして、SMIF(Standard Mechanical Interface)ポッド、もしくはFOUP(Front Opening Unified Pod)101を用いている。SMIFポッド又はFOUP101は、ウエハカセット102を収納する容器状の隔壁を備えて構成され、内部に外部空間とは独立した環境を保つことができる密閉容器である。ロードアンロードポート100は、SMIFポッド又はFOUP101が基板処理装置1の壁面3aに外付けできるようになっており、該壁面3aには開閉式のシャッター5が設置されている。ウエハを収容したウエハカセット102をSMIFポッド又はFOUP101に載置すると、基板処理装置1のシャッター5とSMIFポッド又はFOUP101の容器側面に設けたシャッター102aとが開いて、開口部同士が連通した状態で基板処理装置1とウエハカセット102が一体化し、ウエハカセット102内のウエハを外部の雰囲気に曝すことなく基板処理装置1内に搬入できる状態となる。
【0046】
一方、基板処理工程が終了するとシャッター5が閉じられて、SMIFポッド又はFOUP101は基板処理装置1と分離して別の処理工程へ自動もしくは手動で搬送されるため、SMIFポッド又はFOUP101の内部に汚染された空気が入り込まないようにする必要がある。そのため、ウエハがウエハカセット102に戻される直前に通過する搬送領域Fの上部には、ケミカルフィルタ(図示せず)が設置され、該ケミカルフィルタを通して清浄な空気のダウンフローが形成されるようになっている。尚、ウエハカセット102内のウエハを清浄に保つために、SMIFポッド又はFOUP101の密閉容器自体にケミカルフィルタやファンを設置し、容器内のクリーン度を維持するようにしてもよい。
【0047】
基板処理装置1では、SMIFポッド又はFOUP101を2台並列に設置しているので、これら2台のSMIFポッド又はFOUP101から並行してウエハを搬入搬出することができ、基板処理装置1の稼働率を向上させることができる。即ち、一方のSMIFポッド又はFOUP101に搭載したウエハカセット102内のウエハを搬入した後、続けて他方のSMIFポッド又はFOUP101に搭載したウエハカセット102内のウエハを搬入し、その間に空になった先のウエハカセット102を交換することで、基板処理装置1に連続してウエハを搬入し続けることが可能となる。
【0048】
図3Aはロードアンロードポート100の他の構成例を示す正面図で、図3Bは図3Aの側面図である。このロードアンロードポート100−2は、ウエハカセット103を載置する板状のロードアンロードステージ104を具備している。ロードアンロードステージ104は、ウエハカセット103の下面の形状にあわせたブロック105による位置決め機構を有し、繰り返しウエハカセット103を載置しても常に同じ位置になるように構成されている。また、正しい位置にウエハカセット103が搭載された場合には、ボタン式のセンサ(図示せず)によりウエハカセット103の存在を検知する。また、ロードアンロードステージ104の上方には、ウエハ飛出し検知機構である透過型光センサ106が設置されており、ウエハカセット103内のウエハが飛び出した場合にこれを検知し、ウエハカセット103のスロットにウエハが正しく収納されているかを確認できるようになっている。ウエハの飛出しを検知した場合は、インターロックが作動し、第1搬送ロボット200Aや下記するウエハサーチ機構109等がロードアンロードステージ104に対してアクセスできないように制御する。
【0049】
各ロードアンロードステージ104の下には、ダミーウエハステーション107が設置されている。ダミーウエハステーション107は、ウエハを各1枚以上載置することが可能であり、製品ウエハを処理する前に第1、第2研磨ユニット400A,400Bの状態を安定した状態にするために使用するダミーウエハや、基板処理装置1の状態を確認するために搬送させる品質管理(QC)ウエハ等を入れる。ダミーウエハステーション107内には、ウエハ有無検知用のセンサ108が設置されており、ウエハの存在を確認することができる。また、ウエハ飛出し検知用のセンサを設けることもできるが、透過型光センサ106による飛出し検知機能を共有するようにしても良い。ダミーウエハステーション107へウエハを搭載するには、ウエハを収容したウエハカセット103を任意のロードアンロードステージ104に載置した後、ウエハをサーチして、ダミーウエハステーション107に送るウエハを決定しコントロールパネル6(図2参照)から指示することで、第1搬送ロボット200Aによって当該ウエハをウエハカセット103からダミーウエハステーション107へ移送する。あるいは、ロードアンロードステージ104にウエハカセット103が載置されていない場合には、ロードアンロードステージ104を持ち上げて手作業でダミーウエハステーション107にウエハを載置することもできる。
【0050】
図3Aおよび3Bに示すように、ロードアンロードステージ104の下部にはウエハサーチ機構109が設置されている。ウエハサーチ機構109は、駆動源(パルスモータ)110により上下にストローク可能な一対の支持部材111を備え、該一対の支持部材111の上端部にサーチセンサ112が取付けられている。このウエハサーチ機構109は、サーチ動作中以外は下降して図3Aおよび3Bに示す位置に待機し、搬入出されるウエハカセット103などとの干渉が防止される。一対のサーチセンサ112は、図3Bに示すように、光線がウエハカセット103内を水平に貫通するように水平方向に対向する位置に配置される。
【0051】
ウエハサーチ時には、ウエハサーチ機構109が上下動作して、サーチセンサ112がダミーウエハステーション107の下部からウエハカセット103の最終スロット上部まで往復し、ウエハによって光線が遮光された回数をカウントしてウエハの枚数をカウントすると共に、その位置を駆動源110のパルスモータのパルスから検知してウエハがあるスロットの位置を判断する。また、あらかじめウエハカセット103のスロット間隔を入力しておき、その間隔以上のパルス間でサーチセンサ112の光線が遮光された場合にはウエハが斜めに挿入されていることを検知するウエハ斜め検知機能も備えている。
【0052】
図3Bに示すように、ウエハカセット103の開口部と基板処理装置1の間には、シリンダ113により上下に駆動されるシャッター114が配置され、ロードアンロードポート100−2と基板処理装置1内を仕切っている。前記シャッター114は、第1搬送ロボット200Aがウエハカセット103に対してウエハを搬入出している場合を除き閉じられている。図2Aに示すように、基板処理装置1の側壁3aに対して複数台並設された各ロードアンロードステージ104の間が隔壁117で仕切られている。これにより、いずれかのウエハカセット103の交換作業中に隣のウエハカセット103が稼働中でも、作業者が誤ってこれに接触することを防止できる。また、図3Bに示すように、ロードアンロードポート100−2の前面には扉115が設置され外部と仕切られている。扉115には、ロック機構(図示せず)と開閉判別用のセンサが設けられており、基板処理中には扉115をロックすることで、ウエハカセット103の保護と人体への危険を未然に防止している。また、扉115が一定時間開放された状態になっている場合はアラーム(警報)を発するようになっている。
【0053】
ウエハカセット103をロードアンロードステージ104へ載置する方法としては、以下の2種類の方法がある。
(1)ウエハが収納されたウエハカセット103をそのままロードアンロードステージ104へ載置する方法である。これはクリーンルーム2のロードアンロードポート100に面している空間が比較的清浄な状態にある場合、例えば、クラス100以下の時に採られる手段である。なお、この場合には、ロードアンロードポート100(100−2)にフィルタファンユニット116を設置することで、ロードアンロードポート100内のロードアンロードステージ104の周囲の雰囲気を清浄な状態に保つ必要がある。
(2)ウエハカセット103をクラス100程度に清浄度が管理された収納箱の中に収納してクリーンルーム2内を搬送し、そのままロードアンロードステージ104へ載置する方法である。これはクリーンルーム2のロードアンロードポート100に面した空間が比較的ダーティ(汚れた)な状態にある場合、例えば、クラス1000以上の時に採られる方法である。
【0054】
以下、ロードアンロードポート100からウエハを搬入する前述の搬入動作(2)を説明する。
図4は、ロードアンロードポート100の他の構成例を示す正面図である。このロードアンロードポート100−3は、水平方向に設置した隔壁120によって上部空間121と下部空間122に仕切られている。ウエハを収納したウエハカセット123は、密閉した収納箱124に入れられて上部空間121に設けたロードアンロードステージ125上に載置される。収納箱124は、取外し可能な底板124aを備え、搬送中は底板124aが収納箱124の底部に密閉状態で固定されている。そして収納箱124がロードアンロードステージ125上に載置されると、ロック機構(図示せず)によりロードアンロードステージ125の載置板125aに対して底板124aが固定される。一方、載置板125aと底板124aが固定されると同時に、収納箱124の下端部がロードアンロードステージ125に対して密着固定されると共に、底板124aの収納箱124に対する固定が解除され、底板124aは載置板125aと共に上下移動できる状態になる。
【0055】
載置板125aは昇降機構126に取付けられており、載置板125a上に底板124aとウエハカセット123を載置した状態で昇降移動が可能になっている。載置板125aと底板124aとのロックが確認されると載置板125aが下降し、ウエハカセット123を下部空間122へ導入する。ここで、上部空間121は、基板処理装置1外の空間と同程度に汚染された雰囲気であるが、下部空間122は基板処理装置1内と同様の清浄な状態に保たれている。従って、ウエハカセット123内のウエハをダーティな上部空間121の雰囲気に曝すことなく基板処理装置1内に搬入することができる。この場合、第1搬送ロボット200Aのハンドが下部空間122のウエハの高さ位置まで移動することで、ウエハを基板処理装置1内に搬入する。
【0056】
2.第1搬送ロボット
次に、第1搬送ロボット200Aの構成を説明する。図5は、第1搬送ロボット200Aを示す側面図である。第1搬送ロボットは、図5に示すように水平面内で回転可能な回転機構を備えた基台201と、基台201の上面に設置された一対のハンドリング機構204a,204bを具備している。基台201は、上面の高さ位置を調節する上下移動機構も備えている。ハンドリング機構204a,204bは、伸縮可能なアーム機構202a,202bの先端部にウエハを保持する上下ハンド203a,203bを取り付けてなり、上下ハンド203a,203bは所定間隔で上下に配置されている。基台201の上下動作及び回転動作とアーム機構202a,202bの伸縮動作(水平方向移動)により、上下ハンド203a,203bが目標位置へ向けて自由に移動することができ、ウエハを所定位置に搬送可能になっている。
【0057】
上ハンド203a及び下ハンド203bは共に真空ライン(図示せず)を備え、いずれも真空吸着ハンドとして使用することが可能である。あるいは、下ハンド203bはウエハを真空吸着する吸着型ハンドとし、上ハンド203aはウエハの周縁部を保持する落し込み型ハンドとしてもよい。吸着型ハンドはウエハカセット102内のウエハの位置ずれに関係なく正確に搬送することができ、落し込み型ハンドは真空吸着のように異物を集めないのでウエハ裏面のクリーン度を保ち搬送することができる。少なくとも洗浄工程終了後のウエハの搬送には、落し込み型のハンドを使用するのが望ましい。この場合は、上ハンド203aにセラミックス製薄型落し込みハンドを採用するとよい。該セラミック製薄型落し込みハンドは、特に2次洗浄・乾燥ユニット610からウエハを取り出してウエハカセット102に収納するまでの搬送工程に使用する。一方、下ハンド203bには、真空ラインを有してなるセラミックス製二股真空吸着ハンドを採用することができる。この下ハンド203bは、ウエハカセット102からのウエハの取出し及びウエハステージ300又は測定ユニット310へのウエハの受渡しの搬送工程に使用するとよい。このように、上ハンド203aと下ハンド203bを使い分けることで、洗浄後のクリーンなウエハを搬送する際に洗浄液や異物等の付着による汚染を防止できるようになっている。
【0058】
3.第2搬送ロボット
次に、第2搬送ロボット200Bの構成を説明する。図6は、第2搬送ロボット200Bを示す斜視図である。図6において図5に示す第1搬送ロボット200Aと共通する部分には同一の符号を付してここではその詳細な説明は省略する。
【0059】
第2搬送ロボット200Bの上ハンド203a及び下ハンド203bは、共にウエハW周縁部を保持する落し込み型ハンドである。上ハンド203aは濡れていないウエハWを保持する搬送工程、具体的にはウエハステージ300又は測定ユニット310から第1、第2研磨ユニット400A,400B、1次洗浄ユニット600までの搬送、及び2次洗浄・乾燥ユニット610からウエハステージ300又は測定ユニット310までの搬送の2パターンで使用する。下ハンド203bは濡れているウエハWを保持する搬送工程、即ち上記以外の搬送工程に使用する。このように濡れているウエハWを下側にすることで、濡れていないウエハWに洗浄液などが滴下し汚染されることを防止できる。
【0060】
4.ウエハステージ及び/又は測定ユニット
ウエハステージ300は、図2に示すように第1、第2搬送ロボット400A,400Bの双方からアクセス可能な位置に設置され、ロードアンロードポート100から搬送された処理前のウエハ、及び2次洗浄・乾燥ユニット610から搬送された処理後のウエハを一時的に載置し、次の搬送ロボットへ受け渡す載置台として用いるものである。このウエハステージ300は、ウエハ周縁部を複数の載置ピン301で支持する構造である。なお、ウエハステージ300にはウエハ有無検知用のセンサ(図示せず)を設置することもできる。
【0061】
一方、ウエハステージ300を設置する位置に、ウエハステージ300に代えて処理前及び処理後のウエハの周縁部の形状等の測定を行う機能を備えた測定ユニット310を設置することもできる。この測定ユニット310の一例として、以下、ウエハの直径を測定する直径測定機構を備えた測定ユニットを説明する。
【0062】
図7は、測定ユニット310の一例を示す概略斜視図である。また図8Aは、測定ユニット310の概略平面図であり、図8Bは、図8AのA方向矢視図である。また、図9Aは測定ユニット310が備える基板保持回転機構361の斜視図であり、図9Bは平面図である。なお、図7、図8Aおよび8Bでは基板保持回転機構361の図示を省略している。測定ユニット310は、ウエハWの外径寸法(直径)を計測する直径計測機構を備えたもので、計測したウエハWの直径からウエハ側面(ベベル部側面)の研磨量を計測するものである。この測定ユニット310は、基板保持回転機構361と、該基板保持回転機構361で保持されたウエハWの周縁部の所定位置の上下に設置した一対の投光装置312及び受光装置313からなるセンサ機構(レーザーセンサ)311を具備している。投光装置32はレーザー光を投光する装置である。
【0063】
図9Aおよび9Bに示す基板保持回転機構361は、測定ユニット310における測定時にウエハWを保持し回転させる機構で、図9Aおよび9Bに示すようにウエハW外周部を把持する複数の爪部362aを備えた上段チャック(上段スピンチャック)362と,同じく複数本の爪部363aを備えた下段チャック(下段スピンチャック)363を2段に設けている。上段チャック362と下段チャック363は同軸状に設置され、いずれも回転軸364周りに回転するようになっている。上段、下段チャック362,363の爪部362a,363aはいずれも所定間隔で4本ずつ設けられており、図9Bに示すように上段、下段チャック362,363は上方から見て各々の爪部362a,363aが互いに所定角度ずれた状態で上下に重ならないように設置されている。下段チャック363は、上段チャック362に対して上下方向に移動可能に取付けられている。また、上段チャック362及び下段チャック363を回転させる回転駆動機構(図示せず)、及びその一定速度での回転や角度を割り出しするインデックス機構(図示せず)が設けられている。
【0064】
図10Aおよび10Bを用いて基板保持回転機構361の動作を説明する。通常は、図10Aに示すように上段チャック362が測定対象ウエハWを保持し回転することでウエハWの測定を行うが、上段チャック362の回転により爪部362aがウエハW周縁部の測定位置に重なる場合、その手前で、図10Bに示すように下段チャック363が上昇してウエハWを保持し、上段チャック362の爪部362aのウエハWに対する係合が外れるようになっている。その状態で上段チャック362及び下段チャック363が所定の角度回転することで、上段チャック362の爪部362aが測定位置に重なることを回避することができる。そして上段チャック362の爪部362aが測定位置を通過した後、下段チャック363を下降させることで再度上段チャック362によってウエハWを保持することができる。このように動作することで、上段チャック362の爪部362aが測定位置に重なることを防ぎ、ウエハW周縁部の全周の測定を行うことを可能としている。
【0065】
一方、図7に示す測定ユニット310は、2組のセンサ機構311,311を備えており、各組のセンサ機構311,311は基板保持回転機構361に保持されたウエハWの中心線上の対角位置にそれぞれ設置されている。各センサ機構311,311には、受光装置313,313で受光したレーザー光の光量を数値化して処理するデータ処理装置(図示せず)が接続されている。なお、受光装置313,313をウエハWの上側に設置し、投光装置312,312をウエハWの下側に設置してもよい。
【0066】
センサ機構311,311は、図8Bに示すように、投光装置312,312からウエハW周縁部に向けて下向きに所定の幅寸法を持つ線状(面状)のレーザー光314,314を投光する。そしてこのレーザー光314が、ウエハW周縁部をウエハWの半径方向に横断しその一部がウエハW周縁部の上面で遮断される。従って、レーザー光314,314のうちウエハWによって遮断されずに外側を通過するものだけが受光装置313,313で受光される。この受光量をデータ処理装置で数値化することで、ウエハWの外周部を通過したレーザー光314,314の幅寸法、即ち図8Bに示すD1,D2の寸法が計測される。測定対象ウエハの直径を求めるには、予め直径が分かっている基準ウエハ(図示せず)を用意しこれを計測することで、その場合のD1,D2の寸法を計測しておき、この基準ウエハにおけるD1,D2の寸法と測定対象ウエハにおけるD1,D2の寸法の差と、基準ウエハの直径とから測定対象ウエハの直径DWを算出する。
【0067】
さらに、基板保持回転機構361の上段チャック362及び下段チャック363の回転角度を割り出しして、ウエハW周縁部の複数箇所の直径を測定することで、ウエハWの全周における研磨量のばらつきなど、1点では得られない情報を得ることができる。また、基板保持回転機構361を回転させた状態で連続的にウエハの直径を計測することもできる。この方法によれば、直径の計測データを連続データとして得ることができるので、ウエハの真円度を算出することができる。
【0068】
測定ユニットとしては、上記のほか、ウエハの周縁部の断面形状を測定する断面形状測定機構やウエハの周縁部の表面状態を測定する表面状態測定機構、又はウエハ周縁部の欠陥部位の検出をする欠陥検出機構等を設けた測定ユニットでもよいし、これら各測定機構のうち複数の測定機構を備えた測定ユニットでもよい。
【0069】
図11は、同一のスペースにウエハステージ300と測定ユニット310を併設する場合の設置例を示す図である。図11では、図示の都合上、測定ユニット310として基板保持回転機構361のみを示しその他の部分は図示を省略している。ウエハステージ300と測定ユニット310はそれぞれ単独で設置することができるほか、測定ユニット310の上部にウエハステージ300を併設することができる。この場合、図11に示すように測定ユニット310を筐体366内に配置し、該筐体366の上面366aにウエハステージ300を設置する。このウエハステージ300は、第1搬送ロボット200Aのハンドによって搬送されるウエハWを一時的に仮置きして第2搬送ロボット200Bのハンドに受け渡す用途に使用したり、測定ユニット310が先のウエハで占有されている場合に、後のウエハを待機させる待機台として使用することができる。一方、筐体366の側壁366bには開閉式のシャッター367が設けられている。該シャッター367を開くことで、第1又は第2搬送ロボット200A又は200Bに保持されたウエハを筐体366内に搬入し、測定ユニット310の基板保持回転機構361に載置して測定を行うことができる。
【0070】
このように測定ユニット310の上部にウエハステージ300を設置することにより、共通のスペースに測定ユニット310とウエハステージ300を設けることができ、基板処理装置1内のスペースを節約することができる。また、下記の基板処理装置1の処理パターンの説明で述べるように、ウエハを効率良く最適な搬送ルートで搬送することが可能となり、基板処理装置1のスループットを向上させることができる。
【0071】
5.研磨ユニットの第1実施形態
次に第1、第2研磨ユニット400A,400Bの構成を説明する。第1、第2研磨ユニット400A,400Bは、図2で示すように各々の筐体内における構成部が、一点鎖線で示す中心線Lを軸として互いに対象となるように、すなわち、中心線Lが線対称の対称軸になるように配置されている点以外は相互に共通する構成を備えたユニットであるため、以下、第1、第2研磨ユニット400A,400Bに共通の構成としての研磨ユニットを説明する。
【0072】
図12は、本発明の第1実施形態にかかる研磨ユニット400−1の概略平面図であり、図13はその概略側断面図あり、図14は、図13に示す断面に対して略直交する方向における概略側断面図である。これらの図に示すように研磨ユニット400−1は、中央に研磨室401を形成すると共にその上部及び下部に複数の機械室を区画してなる筐体403と、研磨室401内でウエハを水平に保持しかつ回転する基板保持回転機構(基板保持機構)410と、ウエハのベベル部を研磨するベベル研磨部450と、ウエハのノッチ部を研磨するノッチ研磨部480の各部を備えている。
【0073】
研磨ユニット400−1の筐体403は、図12に示すように研磨ユニット400−1の略四方を囲む側壁を有しており、隣接した2箇所の側壁404,406の内側にそれぞれベベル研磨部450とノッチ研磨部480が配置されている。また、これらベベル研磨部450とノッチ研磨部480は、研磨室401内の基板保持回転機構410に保持されるウエハWの周囲を囲む位置に配置されると共に、ベベル研磨部450のベベル研磨ヘッド460とノッチ研磨部480のノッチ研磨ヘッド490とが、ウエハWの中心部に対して約90度隔てた位置に配置されている。
【0074】
また、研磨ユニット400−1の前記2箇所の側壁404,406のうち、ベベル研磨ヘッド460側の側壁404には、メンテナンス用ハッチ(開閉扉)407が設けられ,ノッチ研磨ヘッド490側の側壁406には、メンテナンス用ハッチ(開閉扉)408が設けられている。メンテナンス用ハッチ407,408は、それぞれベベル研磨ヘッド460及びノッチ研磨ヘッド490に面している。作業者がメンテナンス用ハッチ407を開くことで、研磨ユニット400−1の外部からベベル研磨ヘッド460にアクセスでき、メンテナンス用ハッチ408を開くことで、ノッチ研磨ヘッド490にアクセスすることができる。一方、研磨ユニット400−1の他の側壁409には、ウエハWを研磨室401に搬入出する搬入出口405が設けられ、該搬入出口405を覆うシャッター405a及び該シャッター405aを駆動するエアシリンダ405bが設置されている。図12に示す研磨ユニット400−1では、ノッチ研磨ヘッド490が配置された側壁406に対向する側壁409に搬入出口405が設けられている。
【0075】
基板保持回転機構410は、図13及び図14に示すように上面にウエハWを水平に保持する基板保持テーブル411と、基板保持テーブル411の下面に連結された回転軸412を備えている。回転軸412は、その中間部付近で上部回転軸412aと下部回転軸412bに分離しており、上部回転軸412aと下部回転軸412bは互いに平行で水平方向に所定距離離間して配置されている。上部回転軸412aは、支持体413aの内周に軸受414aを介して回転自在に取付けられている。また、上部回転軸412aにはプーリ415aが取付けられており、該プーリ415aは支持体413aに固定されたモータ416の回転軸に取付けられたプーリ417とタイミングベルト418で接続されており、モータ416を駆動することで上部回転軸412aを回転させて基板保持テーブル411を回転させるようになっている。
【0076】
一方、下部回転軸412bは支持体413bの内周面に固定された軸受414bによって回転自在に支持されている。また、下部回転軸412bにはプーリ415bが固定されており、このプーリ415bは支持体413bに固定されたモータ419の回転軸に取り付けたプーリ420にタイミングベルト421を介して接続されている。モータ419が駆動することで、プーリ420及びタイミングベルト421を介して下部回転軸412bを回転させることができる。モータ419を所定角度往復回転させれば、下部回転軸412bを中心として上部回転軸412aを揺動させることができ、これにより上部回転軸412aに連結された基板保持テーブル411を水平面内で揺動移動させる基板保持テーブル揺動機構439を構成している。なお、基板保持回転機構410の機械部分に処理液などが付着するのを防止するため、回転軸412や支持体413などを覆うカバー438が取付けられている。
【0077】
支持体413aと支持体413bは、板状部材422で互いに固定されている。また支持体413bは、水平方向移動機構(基板保持テーブル水平移動機構)423を介して研磨室401と機械室402の境界に設けられたベースプレート403aに取付けられている。水平方向移動機構423は、ベースプレート403aに対してリニアガイド424で一方向にスライド移動可能に取付けられた上プレート425と、該上プレート425に対してリニアガイド426によって上記方向に直交する方向に移動可能に取付けられた下プレート427を備えて構成されている。この水平方向移動機構423により、支持体413(413a,413b)はベースプレート403aに対して水平面内の互いに直行する2方向(X−Y方向)に直線移動可能な状態となっており、いわゆるX−Yステージとして動作することができる。上プレート425及び下プレート427には、それぞれサーボモータ428,429及びボールネジ430,431が固定されており、サーボモータ428,429を駆動することで上プレート425及び下プレート427をそれぞれリニアガイド424,426に沿って平行移動させることができる。
【0078】
基板保持テーブル411の上面には研磨パッド435が取付けられており、研磨パッド435の上面には溝部435aが形成されている。研磨パッド435はウレタン系の弾性部材からなり、ウエハWの裏面を傷付けることなくウエハWを保持することができると共に、ウエハWとの接触部を気密に保つ作用がある。溝部435aは、基板保持テーブル411を介して上部回転軸412aに形成された連通路432aに連通している。上部回転軸412aの連通路432aと下部回転軸412bの連通路432bは、上部回転軸412aにロータリージョイント433を介して接続された配管434で連通接続されている。また下部回転軸412bの連通路432bには真空ライン436及び圧縮空気供給ライン437が接続されている。したがって、真空ライン436から真空を供給することにより、研磨パッド435の溝部435aに真空が形成され、基板保持テーブル411上に載置されたウエハWが研磨パッド435の上面に真空吸着される。
【0079】
また、基板保持回転機構410上方には基板受渡機構440が設置されている。基板受渡機構440は一対のアーム441,441を備え、アーム441,441には、ウエハWのベベル部に対応した保持部441a,441aが設けられている。アーム441,441は、図12の矢印で示す方向に開閉可能で閉鎖位置と開放位置を取ることができ、閉鎖位置で保持部441a,441aにウエハWを狭持し、開放位置でウエハWを放す。アーム441,441がウエハWを狭持することでセンタリングが行われる。
【0080】
ここで、研磨ユニット400−1内には、基板保持回転機構410やベベル研磨部450やノッチ研磨部480などの各構成部に液体・気体(純水やガスなど)を供給する供給配管(図示せず)や、各構成部からの排液が流通する排液管などの各種配管(図示せず)が設置されている。これら各構成部に連通する配管は、図13に示すベベル研磨部450側の側壁404の下部に設けた取り合い部495に集約されている。一方、図13に示すように、研磨ユニット400−1は、基板処理装置1の下部に敷設されたベース部11上に設置されている。ベース部11は、共に板状部材である上ベース11aと下ベース11bの間に空間部12が設けられた構成であり、空間部12に、研磨ユニット400や1次洗浄ユニット600、2次洗浄・乾燥ユニット610など基板処理装置1の各ユニットに液体や気体(エア、N2ガス、純水、薬液など)を供給する供給配管(図示せず)や、各ユニットから排出される排液が流通する排液管などの配管(図示せず)が設置されている。そして、図13に示すように、空間部12に設置した前記配管から分岐した供給配管497や排液管498が、研磨ユニット400−1の取り合い部495に接続されており、取り合い部495を介して研磨ユニット400−1内の配管に連結されている。
【0081】
また、研磨ユニット400−1には、各構成部のモータなどに電源を供給する電気ケーブル(図示せず)や各種センサなどに制御信号を送る制御信号ラインなどの配線(図示せず)が設置されている。これらの配線も取り合い部495に集約されて、取り合い部495に設置した電源・信号コネクタ496に接続されている。一方、ベース部11の空間部12には、基板処理装置1の電源及び制御装置4に接続された電気ケーブルや制御信号ラインなどの配線(図示せず)が配設されており、該配線から分岐した配線が、電源・信号コネクタ496に接続されるようになっている。このように、研磨ユニット400−1の基板処理装置1に対する配管や配線の接続は、すべて側壁404に設けた取り合い部495を介して行なうようになっている。
【0082】
図13に示すように、ベベル研磨部450は、研磨テープ451をウエハWのベベル部に押圧接触させるベベル研磨ヘッド460と、ベベル研磨ヘッド460に研磨テープ451を供給・回収する研磨テープ供給回収機構452を備えている。ベベル研磨ヘッド460は、基板保持テーブル411に面した位置に、研磨テープ451を掛ける一対の送りローラ461,461を備え、該一対の送りローラ461,461の間に研磨テープ451を張り渡してその研磨面451aをウエハWのベベル部に接触させるようになっている。また、送りローラ461,461間に掛け渡された研磨テープ451の背面側には基部462が設置されている。該基部462の研磨テープ451に当接する面には、弾性部材(図示せず)を取付けることもできる。基部462が研磨テープ451を背面から押す作用と研磨テープ451自体の張力とによって、研磨テープ451の研磨面451aがウエハWのベベル部のみ、あるいはウエハWの周縁部(ベベル部及びエッジ部)に押圧接触される。
【0083】
図15は、ベベル研磨部450の構成を示す概略拡大平面図である。図15に示すようにベベル研磨部450のベベル研磨ヘッド460は、クランク部材471を介して揺動機構470に連結されている。揺動機構470は、ベベル研磨ヘッド460の側面に取付けられたクランク部材471のクランク軸471aに固定されたプーリ472とモータ473の回転軸473aに固定されたプーリ474とがタイミングベルト475を介して接続されている。モータ473はプーリ474を一定の周期で正転及び反転させるように駆動可能であり、モータ473の回転によりベベル研磨ヘッド460がクランク部材471を介して上下方向に揺動する。クランク軸471aは、基板保持テーブル411上のウエハW周縁部の接線方向に延伸しており、これによりベベル研磨ヘッド460はウエハWの周縁部を中心としてウエハ面に対して上下方向に揺動(旋回・傾動)移動することができ、ウエハWのベベル部に任意の角度から研磨テープ451を接触させることができる。
【0084】
また揺動機構470には、ベベル研磨ヘッド460をウエハWの接線方向に沿って往復移動させる往復移動機構476が連結されている。往復移動機構476としては、エアシリンダが好適に用いられる。この往復移動機構476は、揺動機構470及びクランク部材471をクランク軸471aが延伸する方向に沿って往復移動させる。したがって、クランク部材471に連結されたベベル研磨ヘッド460は、ウエハWの接線方向にそって往復移動(オシレーション動作)する。このように、揺動機構470と往復移動機構476が設けられているので、ベベル研磨ヘッド460はウエハWの周縁部を中心として揺動しつつウエハWの接線方向にそって往復移動する。
【0085】
図13に戻り、研磨テープ供給回収機構452は、研磨室401の上部であって側壁404に面した位置に配置された機械室456内に設置され、ベベル研磨ヘッド460に研磨テープ451を送る供給リール453aと、ベベル研磨ヘッド460から研磨テープ451を回収する回収リール453bを具備している。研磨テープ451は、1インチ〜3インチ内の一定幅の帯状部材で長さが数十メートル程であり、円筒状の芯材454に巻き付けられている。この芯材454が供給リール453aに取付けられて、研磨テープ451が研磨面451aを外側に向けた状態でベベル研磨ヘッド460の一対の送りローラ461,461間に掛け渡されて、その先で回収リール453bに取り付けられている。回収リール453bには、モータ等の回転駆動機構(図示せず)が取付けられており、研磨テープ451に所定の引張力を付与しながら巻き取り回収することができる。ベベル部の研磨時には、磨耗した研磨テープ451が巻き取られて供給リール453aから研磨テープ451が順次送られることで、ベベル研磨ヘッド460には常に新しい研磨面451aが供給されるようになっている。
【0086】
機械室456の側壁404側から上部にかけて、メンテナンス用ハッチ457が設けられている。このメンテナンス用ハッチ457を開けることで、研磨ユニット400−1の外部から研磨テープ供給回収機構452にアクセスでき、研磨テープ451を供給リール453a及び回収リール453bごと交換したり、研磨テープ供給回収機構452のメンテナンスをしたりできるようになっている。
【0087】
研磨テープ451は、砥粒を分散させた樹脂材料をテープ基材のいずれかの面に塗布して固化させることで研磨面451aを形成したもので、砥粒には、例えばダイヤモンドやSiC等が用いられる。砥粒の種類及び粒度は、研磨するウエハの種類や要求される研磨の程度に応じて選択されるが、例えば、粒度♯4000〜♯11000のダイヤモンドや、粒度♯4000〜♯10000のSiCを用いることができる。また、研磨テープ451に代えて表面に粒状物を付着させていない帯状の研磨布等を用いてもよい。
【0088】
なお、粒度の粗い研磨テープ451を装着してベベル部の側面を研磨すれば、ウエハの直径寸法を所望の寸法に形成することができる。また、異なる研磨ユニット400−1でそれぞれ粗研磨と仕上げ研磨を行なう場合は、粗研磨を行なう研磨ユニット400−1のベベル研磨部450に、低番手の研磨材(砥粒径が大きい粗い研磨剤)を塗布した研磨テープ451を装着し、仕上げ研磨を行なう研磨ユニット400のベベル研磨部450に、高番手の研磨材(砥粒径が小さい細かい研磨材)を塗布した研磨テープ451を装着するようにして複数の研磨ユニット400を使い分けると良い。
【0089】
ここで、低番手の研磨材としては、例えば砥粒径が平均5μmの粒度♯3000程度の研磨材があり、高番手の研磨材としては、例えば砥粒径が平均0.2μmの粒度♯20000程度の研磨材がある。一般に粒度♯6000程度を境として、これより粗い砥粒径の研磨材は形状整形用に用い、これより細かい砥粒径の研磨材は表面状態を整える仕上げ用として用いられる。
【0090】
研磨テープ451の構成例をさらに詳述すると、テープ基材は、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂製の厚さ数十μm程度の均一な帯状部材である。このテープ基材の片方の面に研磨作用を有する研磨層が形成されており、この研磨層は、前述したダイヤモンドなどからなる砥粒を樹脂材料で分散した塗料をテープ基材に塗布して、これを乾燥させて硬化させたものである。この研磨層は、厚さが数μm程度の均一な層をなし、その表面が研磨面451aになっていて、この研磨面451aには、分散した砥粒によって微小な凹凸が形成されている。
【0091】
また、砥粒を分散する樹脂材料は、各種の樹脂成分を混合した複合樹脂材料で構成され、この樹脂材料の性質は、研磨テープメーカーの仕様によって様々であるが、硬化した後の樹脂材料は、水溶性がなく、研磨対象物の研磨中に生じる研磨面と研磨対象物との摩擦力で砥粒が離脱することがない程度の強度を備え、研磨時に発生する摩擦熱によっても樹脂材料が軟化せず砥粒が脱落しなことが必要である。また、硬化した後の樹脂材料は、化学的に不活性であることが必要で、特に、研磨中に供給される水(研磨水)によって濡れても化学的に不活性であることが必要である。すなわち、研磨テープの樹脂材料自体には化学的な研磨作用を備えていないことが望ましい。上記のような要件を満たす樹脂材料で砥粒が固定された研磨テープを用いてウエハWを研磨すれば、研磨時に砥粒が容易に脱落してしまうことを防ぐことができる。なおここで樹脂材料が化学的に不活性であるとは、研磨中の温度や機械的な摺動下で樹脂材料が研磨対象物であるウエハ、砥粒、水などと化学反応しないことである。
【0092】
図16A乃至16Cは、ベベル研磨時のベベル研磨ヘッド460の動きを説明するための図である。ベベル研磨ヘッド460は、揺動機構470によってウエハ面に対して上下方向に所定角度傾斜した位置からベベル部の研磨部位に研磨テープ451の研磨面451aを接触させることができる。したがって、図16Aに示すように、ベベル研磨ヘッド460をウエハ面に対して下方に所定角度傾けた状態で研磨することで、ベベル部の上側傾斜面を研磨でき、図16Bに示すように、ベベル研磨ヘッド460を水平方向に向けることでベベル部の側面を研磨でき、図16Cに示すように、ベベル研磨ヘッド460をウエハ面に対して上方に所定角度傾けた状態で研磨することで、ベベル部の下側傾斜面を研磨することができる。また、ベベル研磨ヘッド460の傾斜角度を微調整することにより、ベベル部の上下傾斜面や側面、及びそれらの境界部、さらにはエッジ部を所望の角度及び形状に研磨することができる。
【0093】
図17はノッチ研磨部480の構成を示す概略拡大平面図で、図18はノッチ研磨ヘッド490の構成を示す概略側面図である。図17及び図18に示すようにノッチ研磨部480は、研磨テープ481をウエハWのノッチ部に押圧接触させるノッチ研磨ヘッド490と、研磨テープ供給回収機構482とを備えている。またノッチ研磨ヘッド490には、ノッチ研磨ヘッド490を上下方向に移動させる上下移動機構500、及びノッチ研磨ヘッド490を揺動移動させる揺動機構510が取付けられている。
【0094】
揺動機構510は、モータ511による回転が伝達される回転軸512と、該回転軸512の端部に固定され該回転軸512を中心として揺動(回動)可能な第1支持板514とを具備して構成される。即ち、回転軸512の一端に取付板513を介して第1支持板514が固定されており、第1支持板514には第2支持板515及びノッチ研磨ヘッド490が取付けられている。回転軸512の他端には歯車517が固定され、該歯車517と噛み合うウォーム518の軸519が回転軸512と直行する方向に延伸して、その端部がモータ511の回転軸に連結されている。したがって、モータ511が回転するとその回転は、軸519からウォーム518及び歯車517を介して回転軸512の回転運動に変換されるようになっている。したがって、モータ511を所定角度の範囲内で正逆往復回転させることにより回転軸512を往復回転させ、該回転軸512を中心として第1支持板514を揺動させることができる。そして、回転軸512の軸心の延長上にノッチ研磨ヘッド490の研磨位置が位置しているので、ノッチ研磨ヘッド490をその研磨位置を中心として上下方向に揺動移動させることができる。
【0095】
一方、上下移動機構500は、第1支持板514に対してリニアガイド516を介して上下方向に移動可能に取り付けられた第2支持板515を具備してなる。第2支持板515にノッチ研磨ヘッド490が固定されている。そして図18に示すように、第2支持板515の側部にヒンジ部520を介して連結棒521の一端が取り付けられている。一方、第1支持板514に固定されたモータ522の回転軸522aが第1支持板514を貫通し、連結棒521の他端がこの回転軸522a端部の軸心から所定量偏心した位置に回動自在に取付けられている。これらヒンジ部520及び連結棒521と回転軸522aとでクランク機構を構成している。モータ522が回転することで、上記クランク機構により第2支持板515が第1支持板514に対して上下方向に往復移動するようになっている。これにより第2支持板515に固定されたノッチ研磨ヘッド490をその研磨位置を中心として上下方向に往復移動させることができる。
【0096】
図14に戻り、ノッチ研磨ヘッド490は、基板保持回転機構410に保持されたウエハWに対向する位置に設置された一対の送りローラ491,491を備え、該一対の送りローラ491,491の間に研磨テープ481を張り渡して、該研磨テープ481をウエハのベベル部に接触させるようになっており、研磨テープ481自体の張力によって、その研磨面481aがウエハWのノッチ部に押圧接触される。また、図18に示すように研磨テープ供給回収機構482は、研磨室401の上部であって側壁406に面した位置に配置された機械室458内に設置され、ノッチ研磨ヘッド490に研磨テープ481を送る供給リール483aと、ノッチ研磨ヘッド490から研磨テープ481を回収する回収リール483bを具備している。
【0097】
研磨テープ481は、ベベル研磨部450に用いる研磨テープ451と同材質の研磨テープであり、その材質及び詳細構成は、上記の研磨テープ451と共通なのでここではその説明は省略する。研磨テープ481は、ウエハWのノッチ部の形状に合わせた幅寸法に形成されている。この研磨テープ481は、研磨テープ451より幅寸法が小さく形成されている。研磨テープ481は、円筒状の芯材484に巻き付けられている。該芯材484が供給リール483aに取付けられて、研磨面481aを外側に向けた状態でノッチ研磨ヘッド490の一対の送りローラ491,491間に掛け渡され、その先で回収リール483bに取り付けられている。回収リール483bには、モータ等の回転駆動機構(図示せず)が取付けられており、研磨テープ481に所定の引張力を付与しながら巻き取り回収することができる。
【0098】
機械室458の側壁406側から上部にかけて、メンテナンス用ハッチ459が設けられている。このメンテナンス用ハッチ459を開けることで、研磨ユニット400−1の外部から研磨テープ供給回収機構482にアクセスでき、研磨テープ481を供給リール483aや回収リール483bごと交換したり、研磨テープ供給回収機構482のメンテナンスをしたりできるようになっている。
【0099】
ノッチ研磨ヘッド490を上下移動機構500によって上下方向に往復移動させることで、研磨テープ481の研磨面481aをウエハWのノッチ部に摺接させて研磨することができる。またその際、下記するようにノッチ研磨ヘッド490を揺動機構510によって揺動させてウエハ面に対して上下方向に所定角度傾斜させ、その状態でウエハWのノッチ部を研磨することができる。
【0100】
図19A乃至19Cは、ノッチ研磨時のノッチ研磨ヘッド490の動きを説明するための図である。ノッチ研磨ヘッド490は、揺動機構510によって、ウエハ面に対して上下方向に所定角度傾斜した位置からノッチ部に研磨テープ481を接触させて研磨することができる。即ち、図19Aに示すように、ノッチ研磨ヘッド490をウエハ面に対して下方に所定角度傾けた状態で研磨することで、ノッチ部の上側傾斜面に沿って研磨でき、図19Bに示すように、ノッチ研磨ヘッド490を水平方向に向けることでノッチ部の側面に沿って研磨でき、図19Cに示すように、ノッチ研磨ヘッド490をウエハ面に対して上方に所定角度傾けた状態で研磨することで、ノッチ部の下側傾斜面に沿って研磨できる。また、ノッチ研磨ヘッド490の傾斜角度を微調整すれば、ノッチ部の上側傾斜面・下側傾斜面や側面の境界部に沿った研磨をすることや、上側傾斜面・下側傾斜面や側面を所望の角度及び形状に研磨することなども可能となる。
【0101】
一方、研磨ユニット400にはノッチセンサ(図示せず)が設置されている。このノッチセンサは、直線光回帰型センサである。直線光回帰型センサは、投光部と受光部を同一部分に備えると共に、投光部から離間して設けられた反射部を備えたレーザーセンサからなる。投光部から出たレーザーは、ウエハのノッチ部を通過すると反射部まで到達し、反射部から反射して受光部に戻る。したがって投光部の直下をノッチ部が通過するときのみ、レーザーは反射部から反射して受光部に戻り、ノッチ部が検出される。そしてウエハWを吸着した基板保持テーブル411が回転している状態で、ノッチセンサによりウエハWのノッチ部が検出されると、基板保持テーブル411の回転が停止しウエハWのノッチ部がノッチ研磨部480の研磨テープ481に位置合わせされるようになっている。
【0102】
さらに、研磨ユニット400は、図13、14に示すようにウエハW上面及び下面それぞれの研磨位置付近に超純水又は純水等の水(研磨水)を供給する研磨水供給ノズル(第1の供給ノズル)523,524を備えている。また、基板保持テーブル411の上方に、ウエハW上面の中央部付近に研磨水を供給する研磨水供給ノズル(第2の供給ノズル)525を備えている。ここでいうところの純水とは、半導体製造で利用される極度に清浄化された水をいい、研磨対象となるウエハの性状や処理状態によって、さらに純度の高い超純水や脱イオン水(DIW)であっても良い。ベベル部及びノッチ部の研磨中に、研磨水供給ノズル523,524から研磨水を供給することで、研磨によって発生する粒子状の研摩屑がウエハW上面や下面へ付着することを防止できる。また、研磨部分を冷却することができると共に、研磨時の摩擦係数を下げることができる。一方、研磨水供給ノズル525から供給される研磨水は、ウエハWの中央部付近に向かって供給されるが、基板保持回転機構410によって保持されたウエハWは回転しているので、供給される研磨水がウエハWの中央部付近から外周部に向かって流れてゆき、研磨屑をウエハWの外周部の方へ押し流す作用がある。また研磨中のウエハWは、基板保持回転機構410によって水平に保持されているので、研磨水がウエハWの上面に広がってウエハW上面の全面を覆う水膜が形成される。これにより、研磨ユニット400内の空間に浮遊する微細な塵埃がウエハWの上面に落下しても、この水膜上に落ちて、常時供給されて外周部に向かって流れている研磨水と共にウエハWの外周側に押し流され、塵埃がウエハWの上面に付着しない。このように研磨水供給ノズル525から供給される研磨水は、塵埃をウエハWの表面に付着させない作用も有する。一方、下面側の研磨水供給ノズル524はウエハW裏面の基板保持テーブル411より外周側に露出した部分に研磨水を供給するようになっている。ウエハWの露出した部分の内側部分に研磨水を供給することにより、この場合も供給された研磨水がウエハWの回転により外周部に向かって流れてゆき、研磨屑を外周部の方へ押し流すことができる。また、下記で詳述するように、研磨ユニット400や搬送ロボット200Bの各部などの汚染を防ぐには、ウエハWに供給する上記の各研磨水には、超純水のみを用いることが望ましい。
【0103】
研磨水供給ノズル523,524から供給される研磨水は、ウエハW上下面の汚染を防止するほか、研磨時に研磨屑の飛散を防止する作用と、研磨時の摩擦によって発生する熱を奪う冷却作用も有している。したがって供給する研磨水の温度を調節することにより、ウエハWの研磨部位の熱を除去することができ、安定した状態で研磨を行なうことができる。
【0104】
ベベル研磨部450によるウエハW周縁部の研磨終点は、研磨時間によって管理しても良いし、また、ウエハW周縁部の温度変化をモニタリングし、この温度変化に基づいて研磨終点を検出するようにしても良い。あるいは、研磨ユニット400に研磨終点を検出する研磨終点検出部を設けることもできる。以下、研磨終点検出部の構成例を説明する。
【0105】
図20は、研磨終点検出部の構成例を示す概略側面図である。図20に示す研磨終点検出部530−1は、CCDカメラからなる画像センサ531と、画像センサ531と検査対象物であるウエハWとの間に配置されたリング照明532と、画像センサ531に接続され画像センサ531で得た画像を取り込み研磨終点に達したか否かを判断する制御部533を備えている。
【0106】
この研磨終点検出部530−1においては、ウエハWの周縁部の研磨中に、リング照明532によりウエハWの周縁部を照らし、画像センサ531で得られた画像を制御部533に取り込み、制御部533によりウエハWの周縁部の色の変化を観察して研磨終点を検出する。制御部533が研磨終点を検出すると、制御部533は研磨制御部(図示せず)に終点検出信号を送り、基板保持テーブル411を水平方向に移動させてウエハWの周縁部を研磨テープ481から離間させると共に、基板保持テーブル411の回転を停止する。なお、研磨工程を開始する前に、ウエハWの周縁部の形状(イニシャル形状)を画像センサを介して制御部533にストアしておき、このイニシャル形状を保つようにウエハWの周縁部を研磨してもよい。イニシャル形状を決定する要素としては、ウエハW周縁部の傾斜角度、曲率、寸法などが挙げられる。また、画像センサ531を介してレファレンス用ウエハの周縁部の研磨仕上がり時の画像を参照画像として予め制御部533にストアしておき、画像センサ531によって研磨中に得られる画像を該参照画像と比較して研磨終点を検出してもよい。
【0107】
図21は、研磨終点検出部の他の構成例を示す概略側面図である。図21に示す研磨終点検出部530−2は、基板保持テーブル411を回転させるモータ(サーボモータ)416に接続されたモータ用アンプ534と、モータ用アンプ534に接続されモータ用アンプ534で増幅された信号を取り込み研磨終点に達したか否かを判断する制御部535とを備えている。
【0108】
この研磨終点検出部530−2においては、ウエハWの周縁部の研磨中に、ウエハWを真空吸着している基板保持テーブル411を所定角度で回転させているモータ416からの信号(例えば、モータ電流値)をモータ用アンプ534により増幅し、増幅された信号を制御部535に送る。制御部535においては、モータ用アンプ534からの信号によりモータ416の回転に必要なトルク値を検出し、このトルク値の変化を解析し研磨終点を検出する。制御部535が研磨終点を検出すると、制御部535は研磨制御部(図示せず)に終点検出信号を送り、基板保持テーブル411を水平方向に移動させてウエハWの周縁部を研磨テープ481から離間させると共に、基板保持テーブル411の回転を停止する。なお、基板保持テーブル411の回転軸412にトルクゲージ(図示せず)を設置し、基板保持テーブル411の回転トルク値を直接検出してその変化を解析しても研磨終点を検出できる。なおこの場合、研磨終点時の回転トルク値の変動量を事前に計測し、予め制御部535に記憶させておき、この記憶させた値と測定値とを比較して研磨終点を検知してもよい。その他にも、基板保持テーブル411を水平方向に移動させるサーボモータ428,429の電流変化を解析することによって研磨終点を検出するようにしてもよい。
【0109】
図22Aは、研磨終点検出部のさらに他の構成例を示す図であり、図22Bは図22Aに示す研磨終点検出部530−3のフォトセンサ536の概略拡大図である。図22Aおよび図22Bに示すように研磨終点検出部530−3は、投光部536aと受光部536bを具備したフォトセンサ536と、フォトセンサ536に接続され該フォトセンサ536の受光部536bで受光した光を計測すると共に増幅する計測機アンプ537と、計測機アンプ537に接続され計測機アンプ537で増幅した信号を取り込み研磨終点に達したか否かを判断する制御部538とを備えている。
【0110】
研磨終点検出部530−3においては、ウエハWの周縁部の研磨中にフォトセンサ536の投光部536aからウエハWの周縁部に投光し、この周縁部から反射する散乱光を受光部536bにより受光する。そしてフォトセンサ536で受光した散乱光を計測機アンプ537で計測すると共に増幅し、この増幅された信号を制御部538に送る。制御部538においては、計測機アンプ537からの信号により散乱光を分析し、ウエハWの周縁部の研磨状態の粗さ(荒れ)を評価し、研磨終点を検出する。
【0111】
以上説明した各研磨終点検出部のうち、光学的に研磨終点を検出する研磨終点検出部は、ノッチ研磨部480におけるウエハWのノッチ部の研磨終点の検出に用いることも可能である。
【0112】
次に、研磨ユニット400におけるウエハ周縁部の研磨工程について説明する。研磨ユニット400の研磨対象物であるウエハWは、表面に半導体デバイスが形成された半導体ウエハであり、直径200mmあるいは300mmのウエハである。エアシリンダ405bを作動してシャッター405aを上昇させて搬入出口405を開き、第2搬送ロボット200Bで研磨対象のウエハWを搬入出口405から研磨室401に搬入して基板保持テーブル411の上方へ搬送する。この状態でアーム441,441が互いに近接すると、アーム441、441の保持部441a,441aがウエハW周縁部に当接してこれを挟持し、ウエハWが基板保持テーブル411に対してセンタリングされる。その後、ウエハWを挟持したアーム441,441が下降して、ウエハWは基板保持テーブル411の上面に配置される。そして、真空ライン436により連通路432bに真空を供給し基板保持テーブル411の上面にウエハWを吸着保持させる。その状態でアーム441,441が左右に開いてウエハWを離し、該アーム441,441は上昇して所定の待機位置で待機する。そして、モータ416を駆動させることで基板保持テーブル411と共にウエハWを回転させる。
【0113】
ウエハWのベベル部の研磨を行なうには、ベベル研磨部450の研磨テープ供給回収機構452を駆動して研磨テープ451をベベル研磨ヘッド460へ繰り出し、未使用の研磨面451aを送りローラ461,461の間に位置させる。そして、基板保持回転機構410の水平方向移動機構423で、ウエハWをベベル研磨ヘッド460の方へ移動させてベベル研磨部450による研磨位置に配置して、回転するウエハWのベベル部を研磨テープ451に摺接させて研磨する。また、研磨の際にベベル研磨部450の揺動機構470を駆動して、ベベル研磨ヘッド460を研磨位置を中心に揺動移動させる。これによりウエハWのベベル部のみならずエッジ部も同時に研磨できる。さらに、ベベル研磨部450の往復移動機構476を駆動して、ベベル研磨ヘッド460をウエハWの接線方向に沿って往復移動させながら研磨することもできる。
【0114】
あるいは、ベベル研磨部450の揺動機構470や往復移動機構476を駆動する代わりに、基板保持回転機構410に設けた揺動機構によってウエハWを研磨位置を中心に揺動移動させて研磨することもできるし、基板保持回転機構410に設けた水平方向移動機構423によってウエハWを研磨位置の接線方向に往復移動させて研磨することもできる。なお、基板保持回転機構410でウエハWを回転させながら研磨する場合は、基板保持回転機構410を往復移動させずに研磨することも可能である。
【0115】
一方、ウエハWのノッチ部を研磨するには、水平方向移動機構423でウエハWをノッチ研磨部480による研磨位置に配置する。そして基板保持回転機構410に保持されたウエハWを回転させながらノッチセンサによりウエハWのノッチ部を検出し、該ノッチ部をノッチ研磨部480の研磨テープ481に対向する位置に位置合わせする。そして、基板保持回転機構410の水平方向移動機構423で、ウエハWのノッチ部をノッチ研磨ヘッド490の方へ移動させて追い込み、ノッチ部を研磨テープ481に当接させる。その状態で、ノッチ研磨部480の上下移動機構500によりノッチ研磨ヘッド490を上下方向に繰り返し移動させて、研磨テープ481をウエハWのノッチ部に摺接させることでノッチ部を研磨する。また研磨の際に、ノッチ研磨部480の揺動機構510によりノッチ研磨ヘッド490を揺動移動させてウエハ面に対して所定角度傾けた状態にして研磨することで、ノッチ部の上端部及び下端部を研磨したり、ノッチ部を所望の角度に研磨することができる。
【0116】
ここで、研磨対象のウエハが、表面に半導体デバイスが形成されたウエハである場合は、その表面にサブミクロンレベルの微小な凹凸が形成されていることがある。このようなウエハを研磨する際に、研磨テープから砥粒が脱落すると、脱落した砥粒がウエハ表面の凹部内に入り込んでしまい、研磨後の洗浄処理工程でウエハを洗浄してもこの凹部に入った砥粒を十分に落とすことができない。しかし、研磨ユニット400−1では、上述した材質及び構成の研磨テープを451や研磨テープ481を用いて、これら研磨テープ451や研磨テープ481の研磨層(研磨面451a,481a)をウエハWの周縁部(ベベル部、ノッチ部)の研磨位置に摺接させて研磨するので、砥粒が容易に脱落せず、ウエハWの凹部内に砥粒が入り込んでしまうおそれがない。特に、研磨テープの樹脂材料が水に曝されても砥粒が容易に脱落しないので、ウエハWの表面に超純水である研磨水を供給しながら研磨しても、砥粒が脱落してウエハWの凹部内に入り込んでしまうおそれがない。
【0117】
研磨ユニット400−1による研磨では、研磨中に、研磨水供給ノズル523,524,525からウエハWの表面に超純水である研磨水を供給しながら研磨を行なうので、上記したように基板保持回転機構410によって水平に保持されて回転するウエハWの表面に超純水が広がる。これにより、ウエハWの表面の全体を覆い該表面を保護する作用と、研磨テープ451,481の研磨層とウエハWとが擦れることによって発生する摩擦熱を奪う作用とがある。なお、ウエハWの表面を保護するために供給する超純水と、研磨中の発熱を奪い冷却するために供給する超純水とは、別々の系統から供給してもよい。
【0118】
また、ウエハWの研磨時に純水以外のスラリー等を供給して研磨すると、研磨後に、搬送ロボット200BでウエハWを研磨ユニット400−1から他の研磨ユニットや一次洗浄ユニット600などに搬送する際に、ウエハWに付着したスラリー等によって搬送ロボット200Bのハンドなどが汚染されてしまうという問題がある。しかしながら、研磨ユニット400−1で、研磨の際に供給する研磨水にスラリー等を用いず超純水のみを用いれば、研磨後のウエハWによって搬送ロボット200Bのハンドや搬送先の他のユニットなどの各部が汚染されることがない。
【0119】
また、研磨ユニット400−1による研磨時にスラリーを供給すると、研磨ユニット400−1のベベル研磨ヘッド480やノッチ研磨ヘッド490および研磨ユニット400−1内の各部がスラリーで汚染されてしまう。そうすると、研磨ユニット400−1の洗浄、すなわちメンテナンスの際に、作業員がメンテナンスハッチ407,408からだけでなく各方向から研磨ユニット400−1にアクセスしなければならならず、メンテンナンスの作業負担が大きくなるが、研磨時に超純水のみを供給すれば、研磨ユニット400−1の各部が汚染されることがないので、汚染部分の洗浄作業が不要となり、作業員がメンテナンスハッチ407,408のみからアクセスしてメンテナンスすればよく、その作業負担が軽減される。
【0120】
さらに、ウエハWをベベル研磨部450の位置に配置して該ベベル研磨部450でウエハWの周縁部の研磨をした後、水平方向移動機構423でベベル研磨部450の位置からノッチ研磨部480の位置にウエハWを移動させる際に、該ウエハWの表面に研磨水供給ノズル525から超純水を供給し続けて移送することができる。あるいはこれとは逆に、ノッチ研磨部480の位置からベベル研磨部450の位置にウエハWを移動させる際にもウエハWの表面に超純水を供給しながら移送することができる。これによれば、ウエハWが移動する際に、その表面が水膜で覆われて移動するので、研磨ユニット400−1内の雰囲気や研磨屑によって汚染されることを防げ、ウエハWの清浄度を保つことができる。また、ウエハの移送先のベベル研磨部450又はノッチ研磨部480の二次汚染も防げるので、ベベル研磨部450又はノッチ研磨部480における研磨に支障が生じない。さらに、研磨ユニット400−1内の各部の清浄度も保つことができるので、清掃などのメンテンナンス負担が軽減される。
【0121】
研磨中は、研磨室401に接続された真空ライン(図示せず)によって研磨室401を真空排気し、研磨室401内部の圧力(気圧)を研磨室401外部の圧力(気圧)よりも低くすることが望ましい。これにより、研磨室401内に飛散した研磨粉やパーティクルを外部に排出させることができ、研磨室401内をクリーンな状態に維持することができると共に、高い清浄度が求められる領域に研磨粉が流入してしまうことを防止できる。研磨終点検出部がウエハWの研磨終点を検出したら、ベベル研磨部450あるいはノッチ研磨部480による研磨を終了する。総ての研磨が終了すると、アーム441,441が待機位置から下降してウエハWを把持すると共に、基板保持回転機構410の真空吸着が解除される。そしてウエハWを把持したアーム441,441が所定位置まで上昇して、シャッター405aが開き第2搬送ロボット200Bのハンドが研磨室401に入り込み、アーム441,441に把持されたウエハWを受け取って研磨室401から搬出する。
【0122】
6.研磨ユニットの第2実施形態
次に、研磨ユニット400の他の実施形態を説明する。図23は本発明の第2実施形態による研磨ユニット400−2の概略平面図であり、図24は図23に示す研磨ユニット400−2の一部を示す概略側断面図である。以下、研磨ユニット400−2において研磨ユニット400−1と共通する部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。また、研磨ユニット400−2について下記で説明する事項以外の事項は、研磨ユニット400−1と同じである。
【0123】
研磨ユニット400−2は、ウエハを保持し回転する基板保持回転機構550と、ウエハのセンタリング及び受渡しを行う基板受渡機構565と、ウエハのベベル部を研磨するベベル研磨部560と、ウエハのノッチ部を研磨するノッチ研磨部580及びウエハのノッチ部を検出するノッチセンサ(図示せず)を備えている。
【0124】
図24に示すように、基板保持回転機構550は、ウエハWを真空吸着する真空吸着用の溝部551aを上面に備えてなる基板保持テーブル551と、基板保持テーブル551を支持し回転する回転軸552で構成される。回転軸552には回転駆動装置553が取付けられており、該回転駆動装置553により基板保持テーブル551及び回転軸552が一体に回転するようになっている。基板保持テーブル551の溝部551aは、基板保持テーブル551に形成された連通路551bに連通し、この連通路551bは回転軸552に形成された連通路552aに連通している。そして連通路552aには真空ライン554及び圧縮空気供給ライン555が接続されている。また基板保持テーブル551及び回転軸552は昇降機構(図示せず)に連結されており、ウエハW授受の際に基板保持テーブル551が上昇して、基板受渡機構565との間でウエハWを受取り又は受渡すようになっている。また、基板保持テーブル551には研磨パッド435が貼付されている。
【0125】
一方、基板保持回転機構550の上方に配置された基板受渡機構565は、一対のアーム566,566を備え、各アーム566,566にはウエハWのベベル部に対応した凹状の面を有した複数のコマ567,567が固定されている。アーム566,566は開閉可能で閉鎖位置と開放位置を取ることができ、閉鎖位置でコマ567,567によってウエハWを狭持し開放位置でウエハWを放す。アーム566,566がウエハWを狭持することでセンタリングが行われる。
【0126】
基板保持回転機構550は、基板受渡機構565からウエハWを受け取った後、所定位置まで下降するようになっている。その後、真空ライン554から真空を供給することにより、基板保持テーブル551の上面に載置されたウエハWを真空吸着して保持する。そして回転駆動装置553を駆動することにより、ウエハWを所定の回転速度で回転させるようになっている。
【0127】
図25は、ベベル研磨部560の全体構成を示す概略側面図であり、図26はベベル研磨ヘッド570を示す部分拡大図であり、図27Aは研磨時のベベル研磨ヘッドの状態を示す模式図であり、図27Bは図27AのX方向矢視図である。図25及び図26に示すように、ベベル研磨部560は、研磨テープ561をウエハWのベベル部に押圧して研磨するベベル研磨ヘッド570を備えている。ベベル研磨ヘッド570は、2つの突出部571a,571bを有する支持部571と、この突出部571a,571bの端部の間に張設された弾性ゴム等からなる弾性部材572を具備している。ベベル研磨ヘッド570は、移動機構(図示せず)によりウエハWの径方向に移動可能となっている。また、支持部571の基部571cにはエアシリンダ573が連結されている。エアシリンダ573の駆動により、支持部571cがウエハWの中心方向に移動されると、図27Aに示すように、研磨テープ561が弾性部材572によってウエハWのベベル部に押圧される。なお、支持部571の突出部571a,571bの間の距離を可変にする機構を設けてもよい。一方、研磨テープ561は、カセットテープカートリッジ(図示せず)に収容されており、図25に示すカセットテープカートリッジ内の巻き取りリールRA及び送り出しリールRBによって、所定の張力が与えられた状態で巻き取られるようになっている。
【0128】
次に、図28はノッチ研磨部580の全体構成を示す概略側面図であり、図29はノッチ研磨部580の駆動機構を示す概略側面図である。また、図30Aは図29のY方向矢視図であり、図30Bは研磨テープ581をウエハWのノッチ部に押圧する弾性体ローラ582の側面図である。図28および図29に示すように、ノッチ研磨部580は、研磨テープ581をウエハWのノッチ部に押圧するための弾性体ローラ582を備えている。弾性体ローラ582は支持アーム583により回転可能に支持されており、支持アーム583の後端には歯車584が固定されている。図30A及び30Bに示すように、弾性体ローラ582はシリコンゴム等からなる円盤状部材で、外周部582aが先細状(テーパ状)に尖って形成されている。すなわち、弾性体ローラ582の外周部582aがウエハWのノッチ部Nに対応したテーパ状でノッチ部Nに嵌るようになっている。
【0129】
前記歯車584にはラック585が噛み合っており、このラック585はL字形状の支持部材586に固定されている。そして、支持部材586はエアシリンダ587のロッド587aに連結されている。また前記支持アーム583は、支持フレーム588に回転軸589によって回転可能に支持されており、前記エアシリンダ587の上端は支持フレーム588に固定されている。また、装置のベース等の固定部に固定された固定フレーム599には、エアシリンダ590が固定されており、このエアシリンダ590のロッド590aには前記支持フレーム588が固定されている。一方、研磨テープ581は、カセットテープカートリッジ(図示せず)に収容されており、図28に示すようにカセットテープカートリッジ内の巻き取りリールRAおよび送り出しリールRBによって、所定の張力が与えられた状態で巻き取られるようになっている。
【0130】
図28に示すように、巻き取りリールRAと送り出しリールRBとの間には、研磨時に研磨テープ581を往復移動させるためのテープ駆動機構591が設置されている。テープ駆動機構591は、サーボモータ(図示せず)に連結されて軸592の回りに回転可能な歯車593と、歯車593の上下に配設され、歯車593に噛み合ってそれぞれ回転する上下一対の歯車594,594と、上下一対の歯車594,594を支持する支持レバー595とを備えている。この構成において、サーボモータにより歯車593が回転すると、上下一対の歯車594,594は回転すると共に歯車593の円周上を転動することになり、この結果、支持レバー595が軸592を中心として揺動することになる。支持レバー595には、上下一対の支持ローラ596,596が設置されており、この支持ローラ596,596には研磨テープ581が巻回されている。なお、図28においては、上下一対の歯車594,594と上下一対の支持ローラ596,596は同一部材を示しているが、歯車594は支持ローラ596および支持レバー595の奥側に配置されており、図28上は現れない。
【0131】
サーボモータにより歯車593が反時計回りに回転すると、上下一対の歯車594,594は時計回りに回転し、支持レバー595が軸592を中心として反時計回りに揺動する。そして、研磨テープ581は巻き取りリールRA側に引っ張られる。また、サーボモータにより歯車593が時計回りに回転すると、上下一対の歯車594,594は反時計回りに回転し、支持レバー595が軸592を中心として時計回りに揺動する。そして、研磨テープ581は送り出しリールRB側に引っ張られる。このとき、研磨テープ581の往復動のストロークは、上部側および下部側に設けられたアイドルローラ597a,597bにより吸収される。このアイドルローラ597a,597bは、それぞれ矢印方向に移動可能である。なお、上下のアイドルローラ597a,597bは、引っ張りコイルバネからなる上部テンション598aと下部テンション598bによりそれぞれ付勢されている。サーボモータにより研磨テープ581が上下に往復運動をしているときには、巻き取りリールRAおよび送り出しリールRBはロック機構によりロックされている。サーボモータにより、研磨テープ581を上下に往復運動させているので、被研磨面と研磨テープ581との間の相対速度の調整が可能になり、研磨速度の調整も簡易に行うことができる。
【0132】
ノッチ研磨部580でウエハのノッチ部を研磨する工程を説明する。ノッチセンサにより、ウエハWのノッチ部がノッチ研磨部580の弾性体ローラ582と位置合わせされると、ノッチ研磨部580の動作が開始される。ノッチ研磨部580においては、エアシリンダ587が作動してロッド587aが上方に移動すると、支持部材586に固定されたラック585も上方に移動し、歯車584が反時計方向に回転する。この結果、支持アーム583が回転軸589を中心に下方に旋回し、弾性体ローラ582は下方の位置に移動する。一方、エアシリンダ587を作動させてロッド587aを下方に移動させると、支持部材586に固定されたラック585も下方に移動し、歯車584が時計方向に回転する。この結果、支持アーム583が回転軸589を中心に上方に旋回し、弾性体ローラ582は上方の位置に移動する。なお、エアシリンダ587は、ロッド587aが上方位置、下方位置、中間位置の3位置をとることができるエアシリンダである。一方、エアシリンダ590を作動させることにより、支持フレーム588を前進させ、弾性体ローラ582をウエハWに向かって移動させる。これにより、研磨テープ581が弾性体ローラ582によってウエハWのノッチ部Nに押圧される。
【0133】
このとき、ウエハWは基板保持テーブル551に真空吸着されており、基板保持テーブル551の回転は停止され静止状態にある。そして、サーボモータを駆動してテープ駆動機構591の支持レバー595を揺動させることにより、研磨テープ581を上下に往復移動させる。これにより、ウエハWのノッチ部と研磨テープ581が摺接してウエハWのノッチ部の研磨が行われる。このときの研磨テープ581をノッチ部に押圧する圧力は、エアシリンダ590へ供給する圧縮空気の圧力を適宜調節することにより調節可能である。またこのとき研磨水供給ノズル523,524からウエハWのノッチ部と研磨テープ581の接触部に研磨水が供給され、ウエハWのノッチ部が湿式研磨される。摩耗した研磨テープ581は研磨レートが低下する前に巻き取られ、新しい研磨テープ581がウエハWに接触するようになっている。
【0134】
図31A乃至31CはウエハWのノッチ部を研磨する際のノッチ研磨部580とウエハWとの関係を示す模式図であり、図31Aはノッチ部の上縁部を研磨する場合を示す図、図31Bはノッチ部の側面を研磨する場合を示す図、図31Cはノッチ部の下端部を研磨する場合を示す図である。ウエハWのノッチ部Nの上縁部を研磨する場合は、ノッチ研磨部580におけるエアシリンダ587のロッド587aを下方位置に駆動し歯車584を時計方向に回転させ、支持アーム583を回転軸589を中心に上方に旋回させ、弾性体ローラ582を上方の位置に移動させる。そして、エアシリンダ590を作動させて支持フレーム588を前進させ(図30参照)、弾性体ローラ582をウエハWに向かって移動させる。これにより、図31Aに示すように、研磨テープ581が弾性体ローラ582によってウエハWのノッチ部Nの上縁部に押圧され、研磨テープ581を上下に往復移動させてノッチ部Nの上縁部の研磨が行われる。
【0135】
ウエハWのノッチ部の側面を研磨する場合は、エアシリンダ587のロッド587aを中間位置に駆動し支持アーム583の姿勢を略水平の状態に保ち、エアシリンダ590を作動させて支持フレーム588を前進させ(図30参照)、弾性体ローラ582をウエハWに向かって移動させる。これにより、図31Bに示すように、研磨テープ581が弾性体ローラ582によってウエハWのノッチ部Nの半径方向の外周縁に押圧され、研磨テープ581を上下に往復移動させてノッチ部Nの半径方向の外周縁の研磨が行われる。
【0136】
ウエハWのノッチ部の下縁部を研磨する場合は、エアシリンダ587のロッド587aを上方位置に駆動し歯車584を反時計方向に回転させ、支持アーム583を回転軸589を中心に下方に旋回させ、弾性体ローラ582を下方の位置に移動させる。そして、エアシリンダ590を作動させて支持フレーム588を前進させ(図30参照)、弾性体ローラ582をウエハWに向かって移動させる。これにより、図31Cに示すように、研磨テープ581が弾性体ローラ582によってウエハWのノッチ部Nの下縁部に押圧され、研磨テープ581を上下に往復移動させてノッチ部Nの下縁部の研磨が行われる。
【0137】
このようにノッチ研磨部580によれば、ウエハのノッチ部Nにおける上縁部、外周縁部、下縁部の全面を研磨することができ、ノッチ部の形状に合った理想的な研磨ができる。
【0138】
7.第1、第2研磨ユニットの配置構成
次に、基板処理装置1における第1、第2研磨ユニット400A,400Bの配置構成について説明する。図2に示すように、互いに同一の構成部を備える第1、第2研磨ユニット400A,400Bは、基板処理装置1のハウジング3の角部3eを挟んでその両側に設置されると共に、互いの内部装置の平面上配置が、両研磨ユニット400A,400Bの間の中間線Lに対して略線対称配置になる状態で設置されている。即ち、第2研磨ユニット400Bは、第1研磨ユニット400Aの平面配置が中間線Lを軸として反転した平面配置を備えている。具体的には、第1研磨ユニット400Aと第2研磨ユニット400Bの筐体403A,403Bの形状、及び基板保持回転機構410A,410B、ベベル研磨部450A,450B、ノッチ研磨部480A,480B、基板受渡機構440A,440B等の互いに同一構成の各部同士が中間線Lに対して線対称に配置されている。さらにベベル研磨部450A,450Bやノッチ研磨部480A,480B等については、その水平面内における動作方向も中間線Lに対して互いに対称な方向になっている。即ち、ベベル研磨時のウエハWの回転方向も、第1研磨ユニット400Aと第2研磨ユニット400Bとで互いに逆方向に回転するようにプログラムされている。
【0139】
また、第1、第2研磨ユニット400A,400Bは、第2搬送ロボット200Bが設置されている基板処理装置1の中央部付近を囲むように設置されており、第1、第2研磨ユニット400A,400Bの搬入出口405A,405Bがそれぞれ第2搬送ロボット200Bに面している。このような配置により、第2搬送ロボット200Bから第1、第2研磨ユニット400A,400Bのいずれにもアクセスすることが可能である。また第2搬送ロボット200Bは、中間線Lの略延長上に設置されているので、第2搬送ロボット200B側から見た配置が第1、第2研磨ユニット400A,400Bの構成部で互いに対称となっている。即ち第2搬送ロボット200Bから見て、第1研磨ユニット400Aのベベル研磨部450Aは搬入出口405Aの左側に位置し、第2研磨ユニット400Bのベベル研磨部450Bは搬入出口405Bの右側に位置している。
【0140】
一方、第1、第2研磨ユニット400A,400Bによって挟まれた基板処理装置1の角部3eの前には、基板処理装置1の外部から作業者が立ち入ることが可能なメンテナンス用のメンテナンス用スペース7が設けられている。このメンテナンス用スペース7は、平面形状が略矩形状の空間で、第1研磨ユニット400Aのベベル研磨部450Aが配置された側壁404Aと第2研磨ユニット400Bのベベル研磨部450Bが配置された側壁404Bにそれぞれ対向する2辺と、基板処理装置1の角部3eを挟む側壁3b,3cにそれぞれ対向する2辺とに囲まれている。また側壁3bのメンテナンス用スペース7に面した位置には、作業者が基板処理装置1の外部からメンテナンス用スペース7に出入り可能な出入口8が設けられている。
【0141】
即ち、メンテナンス用スペース7は、第1、第2研磨ユニット400A,400Bの側壁404A,404Bに設けたメンテナンス用ハッチ407A,407Bに面しており、作業者がこのメンテナンス用スペース7に立ち入ることで、メンテナンス用ハッチ407A,407Bを開けてベベル研磨部450A,450Bにアクセスし、研磨テープや研磨パッドの交換作業を行うことができるようになっている。このように同一のメンテナンス用スペース7から第1、第2研磨ユニット400A,400Bのベベル研磨部450A,450Bにアクセスすることができるので、一度に両方のベベル研磨部450A,450Bの研磨テープ等を交換することができる。
【0142】
また、メンテナンス用スペース7は、第1研磨ユニット400A、第2研磨ユニット400B各々の研磨テープ供給回収機構452を収容する機械室456(図13参照)のメンテナンス用ハッチ457に面しているので、研磨テープ451をリールごと交換する場合にも、メンテナンス用スペース7からメンテナン用スハッチ457を開くことで、容易にその作業を行なうことができる。さらに、基板処理装置1と第1研磨ユニット400A、第2研磨ユニット400B各々との間で配管や配線を接続する取り合い部495(図13参照)もメンテナンス用スペース7に面した位置にあるので、メンテナンス用スペース7から配管や配線の接続作業を行なうことができ、作業が行い易くなる。これらによって、第1,第2研磨ユニット400A,400Bのメンテナンス作業を短時間で効率良く行うことが可能となり、基板処理装置1のメンテナンス性が向上する。
【0143】
また、第1研磨ユニット400Aと第2研磨ユニット400Bの取り合い部495同士を、メンテナンス用スペース7に面した位置に集中して配置したので、基板処理装置1の配管から各研磨ユニット400A,400Bへ分岐する配管の長さが短くて済み、配管を流通する液体や気体の圧力損失を少なくできるので、分岐する配管を細い配管として取り回しの良い配管接続をすることが可能となる。
【0144】
一方、第1研磨ユニット400Aのノッチ研磨部480Aは、側壁406A側に配置され、該側壁406Aは基板処理装置1の側壁3cに面して配置されている。そして側壁406Aにはメンテナンス用ハッチ408Aが設けられ、さらに側壁3cの側壁406に対向する位置にもメンテナンス用ハッチ10が設けられている。従って、外部から基板処理装置1のメンテナンス用ハッチ10を開き、さらに第1研磨ユニット400Aのメンテナンス用ハッチ408Aを開くことで、ノッチ研磨部480Aにアクセスしてそのメンテナンスをすることができる。
【0145】
また、第2研磨ユニット400Bのノッチ研磨部480Bは、側壁406B側に配置され、該側壁406Bは基板処理装置1の側壁3bに面して配置されている。そして側壁406Bにはメンテナンス用ハッチ408Bが設けられ、さらに側壁3bの側壁406Bに対向する位置にもメンテナンス用ハッチ9が設けられている。従って、外部から基板処理装置1のメンテナンス用ハッチ9を開き、さらに第2研磨ユニット400Bのメンテナンス用ハッチ408Bを開くことで、ノッチ研磨部480Bにアクセスしてそのメンテナンスをすることができる。
【0146】
また、第1,第2研磨ユニット400A,400Bそれぞれの機械室458(図14参照)のメンテナンス用ハッチ459が、側壁3bと側壁3cに面しているので、側壁3b又は3cのメンテナンス用ハッチ9又は10を開いて、さらにメンテナンス用ハッチ459を開けば、第1研磨ユニット400A又は第2研磨ユニット400Bの研磨テープ供給回収機構482にアクセスでき、研磨テープ481をリールごと交換する場合にも容易にその作業を行なうことができる。このように、ノッチ研磨部480A,480Bの研磨テープの交換等のメンテナンス作業は、基板処理装置1の外部から行なうことができるので、作業者が基板処理装置1内に立ち入る手間が省け、メンテナンスの利便性が向上する。
【0147】
図32は、基板処理装置の研磨ユニット400A,400Bの配置の他の例を示す概略平面図である。図32に示す基板処理装置1−2は、図2に示す基板処理装置1の研磨ユニット400A,400Bに対してベベル研磨部450A,450Bとノッチ研磨部480A,480Bの配置を互いに逆にしたものであり、各研磨ユニット400A,400Bのメンテナンス用スペース7に面した側壁404A,404B側に、ノッチ研磨部480A,480Bを配置している。この場合は、メンテナンス用スペース7から第1、第2研磨ユニット400A,400Bのノッチ研磨部480A,480Bにアクセスすることが可能となる。また、これ以外にも図示は省略するが、研磨ユニット400Aのメンテナンス用スペース7に面した側壁404A側にベベル研磨部450Aを配置すると共に研磨ユニット400Bのメンテナンス用スペース7に面した側壁404B側にノッチ研磨部480Bを配置したり、あるいはこれとは逆に、研磨ユニット400Aのメンテナンス用スペース7に面した側壁404A側にノッチ研磨部480Aを配置すると共に研磨ユニット400Bのメンテナンス用スペース7に面した側壁404B側にベベル研磨部450Bを配置して、各研磨ユニット400A,400Bのベベル研磨部450とノッチ研磨部480とが互いにメンテナンス用スペース7に面して配置されるように設置することもできる。なおその場合は、研磨ユニット400A,400Bの側壁406A,406B側には、ベベル研磨部450とノッチ研磨部480のいずれを配置してもよい。さらには、研磨ユニット400Aのメンテナンス用スペース7に面した側壁404A側に、ベベル研磨部450Aとノッチ研磨部480Aの両方を配置したり、研磨ユニット400Bのメンテナンス用スペース7に面した側壁404B側に、ベベル研磨部450Bとノッチ研磨部480Bの両方を配置したりすることもできる。このように研磨ユニット400の一の側壁側に、ベベル研磨ユニット450とノッチ研磨ユニット480の両方を設置することも可能である。これによれば、一の側壁に設けたメンテナンス用ハッチから、ベベル研磨部450とノッチ研磨部480の両方にアクセスできるので、研磨テープの交換等のメンテナンスがさらに行い易くなる。
【0148】
8.1次洗浄ユニット
次に、1次洗浄ユニット600の構成を説明する。図33は1次洗浄ユニット600を示す概略斜視図である。図33に示すように、1次洗浄ユニット600は、ウエハWの周縁部を保持する複数のスピンドル(回転機構を具備する保持部材)601と、スピンドル601に保持されたウエハWの上下位置に設置した一対のロール型の洗浄部材(ロールスポンジ)602a,602bを備えたいわゆるロール/ロール(R/R)型の低速回転型洗浄ユニットである。図33に示すように、スピンドル601は、保持するウエハWを取り囲む位置に複数本(図では6本)設置されており、各々のスピンドル601は駆動機構(図示せず)によりウエハWに対して外方及び内方に移動自在に設置されている。また各スピンドル601の側面の上端部近傍には保持溝601aが形成されており、ウエハWの外周部をこの保持溝601aに係合させてウエハWを保持する。またスピンドル601は回転機構(図示せず)により回転自在に構成されており、各スピンドル601が一定方向に回転することによって保持されたウエハWが回転するようになっている。
【0149】
一対の洗浄部材602a,602bは各々駆動機構603a,603bに取付けられており、駆動機構603a,603bによって洗浄部材602a,602bが各々軸心周りに自転すると共に上下方向に移動可能になっている。洗浄部材602a,602bは上下移動することによって洗浄時にウエハWの上下面に接触する一方、ウエハWの搬入出時には上方及び下方に退避可能となっている。一方、ウエハWの上面(表面)にエッチング液(薬液)を供給する薬液供給ノズル604及び洗浄液(純水)を供給する洗浄液供給ノズル605と、ウエハWの下面(裏面)にエッチング液(薬液)を供給する薬液供給ノズル606及び洗浄液を供給する洗浄液供給ノズル607が設置されている。
【0150】
1次洗浄ユニット600による洗浄工程について説明する。ウエハWが1次洗浄ユニット600に搬送されると、スピンドル601がウエハWを保持して回転させると共に、上下の洗浄部材602a,602bがそれぞれ下方及び上方に移動してウエハWの上下面に接触する。この状態で、洗浄部材602a,602bが自転しながらウエハWの上下面に摺接すると共に、洗浄液供給ノズル605からウエハW上面及び下面に洗浄水を供給することによって、ウエハWの上下面を全面に亘ってスクラブ洗浄する。
【0151】
スクラブ洗浄後、洗浄部材602a,602bを上方及び下方に待避させ、薬液供給ノズル604、606からそれぞれウエハWの上面、下面にエッチング液を供給し、ウエハWの上下面のエッチング(化学的洗浄)を行い、残留する金属イオンを除去する。なおこのとき、必要に応じてスピンドル601によるウエハWの回転速度を変化させる。その後、洗浄液供給ノズル605,607からウエハWの上面、下面に洗浄液(純水)を供給し、所定時間の純水置換を行ってエッチング液を除去する。このときも必要に応じてウエハWの回転速度を変化させる。
【0152】
9.2次洗浄・乾燥ユニット
2次洗浄・乾燥ユニット610の構成を説明する。図34は、2次洗浄・乾燥ユニット610である洗浄機能付きスピン乾燥ユニットの構成例を示す図である。図34に示す洗浄機能付きスピン乾燥ユニット610は、基板保持回転機構611と、ペンシル型洗浄機構614と、洗浄液供給ノズル619を備えて構成されている。基板保持回転機構611は、ウエハWの外周部を数箇所で挟持する爪部612aを備えた保持部612と、該保持部612の下部に連接された回転軸613と、回転軸613に連結された回転駆動機構(図示せず)からなり、保持したウエハWを所定の回転数で回転させることができる。なおこの基板保持回転機構611は、ウエハWを授受する際に爪部612aを開閉する開閉機構(図示せず)を備えている。
【0153】
ペンシル型洗浄機構614は、シャフト615に一端が支持された揺動アーム616を具備し、該揺動アーム616の他端にウエハWの洗浄面(上面)に向かって鉛直下方に突出する回転軸617を設け、該回転軸617の下端に多孔質のPVF製スポンジ等で構成された洗浄部材618を取り付けて構成される。この洗浄部材618を構成する材料は、発泡ポリウレタンとすることも可能である。シャフト615は、駆動機構(図示せず)により上下に昇降すると共に回動でき、シャフト615の回動により揺動アーム616は揺動し、洗浄部材618がウエハW上面に当接する洗浄位置と、ウエハW上方から離間した退避位置との間で移動することができる。更に、回転軸617の回転により、洗浄部材618がウエハWの洗浄時に回転する。一方、洗浄液供給ノズル619は、ウエハW上面に向けて洗浄液を供給するように構成されている。ウエハWの下側にもウエハWの下面に向けて洗浄液を供給する洗浄液供給ノズル(図示せず)を設置することができる。
【0154】
2次洗浄・乾燥ユニット610で行う洗浄・乾燥工程について説明する。2次洗浄・乾燥ユニット610にウエハWが搬入されると、基板保持回転機構611でウエハWを保持し、100〜500rpm程度の低速で回転させる。そして、洗浄液供給ノズル619からウエハW上面に洗浄液を供給しながら、揺動アーム616をウエハW上面の全面に亘って揺動させて、洗浄部材618をウエハW上面に接触・走査させてスクラブ洗浄を行う。スクラブ洗浄が終了すると、揺動アーム616を待機位置に移動させて格納する。その後、基板保持回転機構611の回転数を上げて、ウエハWを1500〜5000rpm程度で高速回転させてウエハWのスピン乾燥を行なう。なおこのとき、ガス供給ノズル(図示せず)から必要に応じて清浄な不活性ガスを供給しながらスピン乾燥を行っても良い。上記では洗浄部材618でスクラブ洗浄を行う例を説明したが、スクラブ洗浄の代わりに洗浄液供給ノズル619から超音波加振された純水を供給することで、ウエハW表面に付着したパーティクルの除去を行なういわゆる非接触洗浄を施すこともできる。
【0155】
10.基板処理パターン
次に、基板処理装置1での処理におけるウエハ搬送パターンを説明する。図35および図36はウエハ搬送パターンを説明するフロー図である。図35および図36において、CL1〜CL4はそれぞれ第1研磨ユニット400A、第2研磨ユニット400B、1次洗浄ユニット600、2次洗浄・乾燥ユニット610を示すものとする。第1搬送パターン(a)では、まずCMP工程やCu成膜工程を終えたウエハが収容されたウエハカセット102がロードアンロードポート100に載置されると、第1搬送ロボット200Aによって、ウエハカセット102からウエハが取り出されて測定ユニット310へ搬送される。測定ユニット310で、研磨前のウエハの直径、周縁部の断面形状、表面状態などの必要なデータが測定される。一方、研磨前のウエハを測定する必要がない場合は、測定ユニット310へ搬送する代わりにウエハステージ300へ搬送すればよい。測定を終えたウエハは、第2搬送ロボット200Bによって測定ユニット310から第1研磨ユニット400Aへ搬送される。第1研磨ユニット400Aでウエハ周縁部(ベベル部及びノッチ部)の研磨が行なわれる。第1研磨ユニット400Aでの研磨を終えたウエハは、第2搬送ロボット200Bで、第2研磨ユニット400Bへ搬送され、さらに研磨が行なわれる。第2研磨ユニット400Bでの研磨を終えたウエハは、第2搬送ロボット200Bによって1次洗浄ユニット600へ搬送され、1次洗浄が行われる。1次洗浄ユニット600で洗浄されたウエハは、第2搬送ロボット200Bで2次洗浄・乾燥ユニット610へ搬送され、2次洗浄・乾燥処理がされる。乾燥処理を終えたウエハは、第1、第2搬送ロボット200A,200Bのいずれかにより測定ユニット310へ搬送されて処理後の測定が行なわれる。なお処理後のウエハを測定する必要がない場合は、2次洗浄・乾燥ユニット610からウエハステージ300へ搬送する。その後、第1搬送ロボット200Aにより測定ユニット310又はウエハステージ300からウエハカセット102へ搬送する。あるいは、第1搬送ロボット200Aによって2次洗浄・乾燥ユニット610から直接元のウエハカセット102に戻すこともできる。
【0156】
第1処理パターンのように、第1研磨ユニット400Aと第2研磨ユニット400Bで同一のウエハを続けて研磨するいわゆるシリアル処理を行う場合は、第1研磨ユニット400Aで、ウエハの周縁部の汚染除去や針状突起の剥離を目的とする荒研磨処理を行った後、第2研磨ユニット400Bでその仕上げ研磨処理を行なう、というように第1、第2研磨ユニット400A,400Bを研磨目的に応じて使い分けることができる。
【0157】
第2搬送パターン(b)では、ウエハカセット102がロードアンロードポート100に載置されると、第1搬送ロボット200Aによってウエハカセット102からウエハが取り出されて測定ユニット310又はウエハステージ300へ搬送される。測定ユニット310へ搬送された場合は、研磨前のウエハの直径、周縁部の断面形状、表面状態のうち必要なデータが測定される。次にウエハは、第2搬送ロボット200Bによって測定ユニット310又はウエハステージ300から第1研磨ユニット400Aへ搬送される。第1研磨ユニット400Aでウエハの周縁部(ベベル部及びノッチ部)の研磨が行なわれる。第1研磨ユニット400Aでの研磨を終えたウエハは、第2搬送ロボット200Bによって1次洗浄ユニット600へ搬送され、1次洗浄が行われる。1次洗浄ユニット600で洗浄されたウエハは、第2搬送ロボット200Bで2次洗浄・乾燥ユニット610へ搬送され、2次洗浄・乾燥処理が行われる。乾燥処理を終えたウエハは、第1又は第2搬送ロボット200A又は200Bにより測定ユニット310又はウエハステージ300へ搬送された後、第1搬送ロボット200Aでウエハカセット102へ戻されるか、あるいは第1搬送ロボット200Aで2次洗浄・乾燥ユニット610から直接元のウエハカセット102に戻される。
【0158】
第3搬送パターン(c)は、第2搬送パターン(b)において、第2搬送ロボット200Bで測定ユニット310又はウエハステージ300から第1研磨ユニット400Aへ搬送する代わりに、第2研磨ユニット400Bに搬送して研磨するものである。この場合、先に搬送されたウエハを第2搬送パターン(b)で搬送して第1研磨ユニット400Aで研磨する間に、次に処理すべきウエハを第3搬送パターン(c)で搬送して第2研磨ユニット400Bで研磨することができる。このような処理、即ち第1研磨ユニット400Aと第2研磨ユニット400Bにより異なるウエハを並行して研磨するいわゆるパラレル処理によれば、単位時間当たりのウエハの処理数を多くすることができ、基板処理装置1のスループットが向上し、その稼働率を向上させることができる。なお、パラレル処理を行う場合は、第1、第2研磨ユニット400A,400Bに装着する研磨テープは、第1、第2研磨ユニット400A,400Bで互いに同一の粒度の研磨テープとする。この研磨テープとしては、例えば粒度♯6000〜♯8000程度の研磨テープがある。
【0159】
第4搬送パターン(d)では、第1搬送ロボット200Aによって、ウエハカセット102からウエハが取り出されて測定ユニット310又はウエハステージ300へ搬送される。次にウエハは、第2搬送ロボット200Bによって測定ユニット310又はウエハステージ300から第1研磨ユニット400Aへ搬送される。第1研磨ユニット400Aでウエハの周縁部(ベベル部及びノッチ部)の研磨が行なわれる。第1研磨ユニット400Aでの研磨を終えたウエハは、第2搬送ロボット200Bで2次洗浄・乾燥ユニット610へ搬送され、洗浄・乾燥処理が行われる。乾燥処理を終えたウエハは、第1又は第2搬送ロボット200A又は200Bにより測定ユニット310又はウエハステージ300へ搬送された後、第1搬送ロボット200Aでウエハカセット102へ戻されるか、あるいは第1搬送ロボット200Aで2次洗浄・乾燥ユニット610から直接元のウエハカセット102に戻される。
【0160】
第5搬送パターン(e)は、第4搬送パターン(d)において、第2搬送ロボット200Bによって測定ユニット310又はウエハステージ300から第1研磨ユニット400Aへ搬送する代わりに、第2研磨ユニット400Bに搬送して研磨するものである。この際、先に搬送されたウエハを第4搬送パターン(d)で搬送し第1研磨ユニット400Aで研磨している間に、次に処理すべきウエハを第5搬送パターン(e)で搬送して、第2研磨ユニット400Bで研磨するパラレル処理を行うことができる。
【0161】
第6搬送パターン(f)では、第1搬送ロボット200Aによって、ウエハカセット102からウエハが取り出されて測定ユニット310又はウエハステージ300へ搬送される。次にウエハは、第2搬送ロボット200Bによって1次洗浄ユニット600へ搬送され、1次洗浄が行われる。1次洗浄ユニット600で洗浄されたウエハは、第2搬送ロボット200Bで2次洗浄・乾燥ユニット610へ搬送され、2次洗浄・乾燥処理が行われる。乾燥処理を終えたウエハは、第1又は第2搬送ロボット200A又は200Bにより測定ユニット310又はウエハステージ300へ搬送された後、第1搬送ロボット200Aでウエハカセット102へ戻されるか、あるいは第1搬送ロボット200Aで2次洗浄・乾燥ユニット610から直接元のウエハカセット102に戻される。
【0162】
第7搬送パターン(g)では、第1搬送ロボット200Aによって、ウエハカセット102からウエハが取り出されて測定ユニット310又はウエハステージ300へ搬送される。次にウエハは、第2搬送ロボット200Bによって測定ユニット310又はウエハステージ300から2次洗浄・乾燥ユニット610へ搬送され、洗浄・乾燥処理が行われる。乾燥処理を終えたウエハは、第1又は第2搬送ロボット200A又は200Bにより測定ユニット310又はウエハステージ300へ搬送された後、第1搬送ロボット200Aでウエハカセット102へ戻されるか、あるいは第1搬送ロボット200Aで2次洗浄・乾燥ユニット610から直接元のウエハカセット102に戻される。
【0163】
基板処理装置1では、上記のパラレル処理とシリアル処理のいずれも行うことができ、ウエハの研磨目的に応じて第1、第2研磨ユニット400A,400Bに装着する研磨テープの番手とその運転条件を適宜選択することで、第1、第2研磨ユニット400A,400Bを使い分け、処理対象のウエハに最適な研磨処理を施すことが可能である。なお上記の各処理パターンでは、先に搬送されたウエハによって測定ユニット310が占有されている場合、次に搬送されるウエハを、ウエハステージ300に一時的に載置することで順番待ちをすることが可能であるため、効率良くウエハを搬送することができる。
【0164】
また、処理前・処理後の2回ともウエハの測定を行う場合、測定ユニット310が研磨前のウエハの測定で占有されていても、ウエハステージ300を設けているので、2次洗浄・乾燥ユニット610で乾燥処理を終えたウエハをウエハステージ300に一時退避させておくことができる。これにより2次洗浄・乾燥ユニット610を空けることができるので、続けて次のウエハの洗浄・乾燥処理をすることができ、基板処理装置1のスループットを向上させることができる。
【0165】
また、上記の各処理パターンのウエハ搬送においては、測定ユニット310、第1、第2研磨ユニット400A,400B、1次洗浄ユニット600、2次洗浄・乾燥ユニット610の各ユニットごとの処理の所要時間に応じてウエハを搬送するタイミングを適宜調整することで、ウエハを基板処理装置1内でスムーズに搬送して処理を行なうようにすれば、基板処理装置1のスループットをより向上させることができる。
【0166】
なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば、上記実施形態では、研磨ユニットとして基板の周縁部を研磨するベベル研磨部とノッチ研磨部を備えてなる研磨ユニットを説明したが、基板処理装置が備える研磨ユニットはこれ以外にも、例えば、研磨テーブル上の研磨面に研磨液を供給しながらウエハの表面を該研磨面に押圧して研磨するCMP(Chemical Mechanical Polishing)ユニットなどでもよい。また、上記実施形態では研磨ユニットを2台備えた基板処理装置を説明したが、研磨ユニットは3台以上設置することも可能である。
【0167】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0168】
本発明は、半導体ウエハ等の基板の周縁部を研磨する研磨ユニット備えた基板処理装置に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0169】
【図1A】図1Aは、ストレート型のウエハの周縁部を示す断面図である。
【図1B】図1Bは、ラウンド型のウエハの周縁部を示す断面図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態にかかる基板処理装置の構成を示す概略平面図である。
【図3A】図3Aは、図2に示す基板処理装置のロードアンロードポートの構成例を示す正面図である。
【図3B】図3Bは、図3Aの側面図である。
【図4】図4は、図2に示す基板処理装置のロードアンロードポートの他の構成例を示す概略図である。
【図5】図5は、図2に示す基板処理装置の第1搬送ロボットの構成を示す概略側面図である。
【図6】図6は、図2に示す基板処理装置の第2搬送ロボットの構成を示す概略斜視図である。
【図7】図7は、図2に示す基板処理装置の測定ユニットの一例を示す概略斜視図である。
【図8A】図8Aは、図7に示す測定ユニットの一例を示す概略平面図である。
【図8B】図8Bは、図8Aの側面図である。
【図9A】図9Aは、図7に示す測定ユニットが備える基板保持回転機構の構成を示す概略斜視図である。
【図9B】図9Bは、基板保持回転機構の構成を示す概略平面図である。
【図10A】図10Aは、上段チャックでウエハを保持する基板保持回転機構を示す図である。
【図10B】図10Bは、下段チャックでウエハを保持する基板保持回転機構を示す図である。
【図11】図11は、図2に示す基板処理装置の測定ユニットとウエハステージを併設する場合の設置例を示す図である。
【図12】図12は、本発明の第1実施形態にかかる研磨ユニットの概略平面図である。
【図13】図13は、図12の概略側断面図である。
【図14】図14は、図13に示す断面に対して略直交する方向における概略側断面図である。
【図15】図15は、図2に示す研磨ユニットのベベル研磨部を示す概略拡大平面図である。
【図16】図16A乃至16Cは、図15に示すベベル研磨時のベベル研磨ヘッドの動きを説明するための図である。
【図17】図17は、図12に示す研磨ユニットのノッチ研磨部を示す概略拡大平面図である。
【図18】図18は、図17に示すノッチ研磨部のノッチ研磨ヘッドの構成を示す概略側面図である。
【図19A】図19Aは、図18に示すノッチ研磨ヘッドの動きを説明するための図である。
【図19B】図19Bは、図18に示すノッチ研磨ヘッドの動きを説明するための図である。
【図19C】図19Cは、図18に示すノッチ研磨ヘッドの動きを説明するための図である。
【図20】図20は、研磨ユニットにおける研磨終点検出部の構成例を示す概略側面図である。
【図21】図21は、研磨ユニットにおける研磨終点検出部の他の構成例を示す概略側面図である。
【図22A】図22Aは、研磨終点検出部のさらに他の構成例を示す図である。
【図22B】図22Bは、図22Aに示す研磨終点検出部のフォトセンサの概略拡大図である。
【図23】図23は、本発明の第2実施形態にかかる研磨ユニットの概略平面図である。
【図24】図24は、図23に示す研磨ユニットの一部を示す概略側断面図である。
【図25】図25は、図23に示すベベル研磨部の全体構成を示す概略側面図である。
【図26】図26は、図25に示すベベル研磨部のベベル研磨ヘッドを示す部分拡大図である。
【図27A】図27Aは、研磨時の図26に示すベベル研磨ヘッドの状態を示す模式図である。
【図27B】図27Bは、図27AのX方向矢視図である。
【図28】図28は、図23に示す研磨ユニットのノッチ研磨部の全体構成を示す概略側面図である。
【図29】図29は、図28に示すノッチ研磨部の駆動機構を示す概略側面図である。
【図30A】図30Aは、図29のY方向矢視図である。
【図30B】図30Aは、図28に示すノッチ研磨部の弾性体ローラの側面図である。
【図31A】図31Aは、ウエハのノッチ部を研磨する際のノッチ研磨部とウエハとの関係を示す模式図である。
【図31B】図31Bは、ウエハのノッチ部を研磨する際のノッチ研磨部とウエハとの関係を示す模式図である。
【図31C】図31Cは、ウエハのノッチ部を研磨する際のノッチ研磨部とウエハとの関係を示す模式図である。
【図32】図32は、図2に示す基板処理装置の研磨ユニットの各構成部の配置の他の例を示す概略平面図である。
【図33】図33は、図2に示す基板処理装置の1次洗浄ユニットを示す概略斜視図である。
【図34】図34は、図2に示す基板処理装置の2次洗浄機能を備えたスピン乾燥ユニットを示す概略斜視図である。
【図35】図35は、基板処理装置におけるウエハ搬送パターンを説明するフロー図である。
【図36】図36は、基板処理装置におけるウエハ搬送パターンを説明するフロー図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨ユニットを少なくとも2台備え、
前記2台の研磨ユニットは、前記基板の周縁部を研磨するベベル研磨部及び/又は前記基板のノッチ部を研磨するノッチ研磨部を備え、
前記2台の研磨ユニットの間にメンテナンス用スペースが配設され、
前記2台の研磨ユニットの前記ベベル研磨部及び/又は前記ノッチ研磨部が、前記メンテナンス用スペースに面した位置に配置され、前記メンテナンス用スペースから前記2台の研磨ユニットのベベル研磨部及び/又はノッチ研磨部にアクセスできることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記2台の研磨ユニットは各々前記メンテナンス用スペースに面した部分に開閉扉が設けられた筐体内に配置され、
該開閉扉を開くことで前記メンテナンス用スペースから前記2台の研磨ユニットのベベル研磨部及び/又はノッチ研磨部にアクセスできることを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の基板処理装置において、
前記ベベル研磨部は、
(i)研磨テープと、
(ii)前記基板の周縁部に研磨テープを接触させるベベル研磨ヘッドと、
(iii)該ベベル研磨ヘッドに研磨テープを供給し回収する研磨テープ供給回収機構とを備え、前記研磨テープ供給回収機構の前記研磨テープは前記スペースから研磨テープを交換可能であり、
前記ノッチ研磨部は、
(i)研磨テープと、
(ii)前記基板のノッチ部に研磨テープを接触させるノッチ研磨ヘッドと、
(iii)該ノッチ研磨ヘッドに研磨テープを供給し回収する研磨テープ供給回収機構とを備え、前記研磨テープ供給回収機構の前記研磨テープは前記スペースから研磨テープを交換可能であることを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項2に記載の基板処理装置において、
前記筐体は四方に側壁を有し、
前記筐体の第一の側壁側に前記ベベル研磨部又はノッチ研磨部のいずれか一方が配置され、前記筐体の第一の側壁が前記スペースに面して配置され、
前記筐体の前記第一の側壁に隣接する前記筐体の第二の側壁側に前記ベベル研磨部又はノッチ研磨部のいずれかもう一方が配置され、前記筐体の前記第二の側壁が前記基板処理装置のハウジングに面して配置されていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の基板処理装置において、
前記筐体の前記第二の側壁に開閉扉が設けられると共に、前記基板処理装置の前記ハウジングの前記第二の側壁に面した部分に開閉扉が設けられ、
前記基板処理装置の前記ハウジングの前記開閉扉及び前記筐体の前記開閉扉を開くことで、前記基板処理装置の外部から前記ベベル研磨部又は前記ノッチ研磨部にアクセスできるように構成したことを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の基板処理装置において、
前記基板を前記研磨ユニットへ搬送する搬送装置をさらに備え、
前記基板を前記研磨ユニットへ搬入出する搬入出口が前記筐体の前記第三の側壁に設けられ、該搬入出口は前記搬送装置に面して配置され、
前記搬入出口のためにシャッターが設けられていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項7】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記少なくとも2台の研磨ユニットの前記ベベル研磨部同士又は前記ノッチ研磨部同士は、その平面配置が前記メンテナンス用スペースを挟んで互いに対称になるように設置されていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載の基板処理装置において、
前記少なくとも2台の研磨ユニットの前記ベベル研磨部同士又は前記ノッチ研磨部同士は、その平面内における動作が前記スペースを挟んで互いに対称な動作をするように設置されていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項9】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記各研磨ユニットは、
(i)前記ベベル研磨部及び/又はノッチ研磨部の少なくともいずれか一方で研磨される前記基板を保持する基板保持テーブルと、
(ii)該基板保持テーブルを水平面で揺動させる揺動機構又は前記基板保持テーブルを水平面内で直線移動させる基板保持テーブル水平移動機構の少なくともいずれか一方を備えたことを特徴とする基板処理装置。
【請求項10】
請求項1に記載の基板処理装置において、
前記ベベル研磨部及び/又は前記ノッチ研磨部は、研磨テープの表面を前記基板の周縁部に摺接させて該基板を研磨するように構成され、
前記各研磨ユニットの前記ベベル研磨部及び/又はノッチ研磨部に、砥粒を分散させた化学的に不活性な樹脂材料をテープ基材の表面に塗布することで研磨層を形成する研磨テープを設置したことを特徴とする基板処理装置。
【請求項11】
請求項10に記載の基板処理装置において、
前記各研磨ユニットは、
(i)前記ベベル研磨部及び/又はノッチ研磨部の少なくともいずれか一方で研磨される前記基板を水平に保持する基板保持手段と、
(ii)前記基板保持手段に保持された基板の研磨位置付近に向けて純水、超純水、または脱イオン水の少なくとも1つを供給する第1の供給ノズルと、
(iii)前記基板の上面の中央部付近に向けて純水、超純水、または脱イオン水の少なくとも1つを供給する第2の供給ノズルとを備えたことを特徴とする基板処理装置。
【請求項12】
砥粒を分散させた化学的に不活性な樹脂材料をテープ基材の表面に塗布することで研磨層を形成する研磨テープを用意し、
前記研磨テープの前記研磨層の表面を、前記基板の周縁部に摺接させて該基板を研磨することを特徴とする基板研磨方法。
【請求項13】
請求項12に記載の基板研磨方法において、
前記基板は、その表面に半導体デバイスが形成されて該表面に多数の凹部がある基板であることを特徴とする基板研磨方法。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の基板研磨方法において、
前記研磨時に、前記基板に純水のみを供給して研磨を行うことを特徴とする基板研磨方法。
【請求項15】
基板を、基板の周縁部を研磨するベベル研磨部及び基板のノッチ部を研磨するノッチ研磨部に、移動機構によって移動させる基板研磨方法であって、
前記ベベル研磨部又はノッチ研磨部のいずれか一方で、前記基板の周縁部又はノッチ部の第一の研磨を行い、
前記基板に純水のみを供給して前記第一の研磨後前記基板の表面を覆う水膜を形成し、
前記基板の表面に水膜を形成した状態で、前記移動機構によって前記基板を前記ベベル研磨部又はノッチ研磨部のいずれか他方へ移動させて配置し、
前記ベベル研磨部又はノッチ研磨部の前記いずれか他方で、前記基板の周縁部又はノッチ部の第二の研磨を行うことを特徴とする基板研磨方法。
【請求項16】
基板の周縁部を研磨するベベル研磨部及び基板のノッチ部を研磨するノッチ研磨部の少なくともいずれか一方を具備する少なくとも2台の研磨ユニットと、前記少なくとも2台の研磨ユニットに前記基板を搬送する搬送装置とを備えた基板処理装置における基板処理方法であって、
前記少なくとも2台の研磨ユニットの前記ベベル研磨部又は前記ノッチ研磨部の平面配置が前記搬送装置から見て互いに対称になるように配置し、
前記搬送装置で、前記少なくとも2台の研磨ユニットにそれぞれ別の基板を搬送して、
前記少なくとも2台の研磨ユニットで並行して前記各基板を研磨して各基板の周縁部の
汚染除去及び/又は表面荒れの除去を行うことを特徴とする基板処理方法。
【請求項17】
請求項16に記載の基板研磨方法において、前記少なくとも2台の研磨ユニット内における前記ベベル研磨部又は前記ノッチ研磨部の動作が前記搬送装置から見て互いに対称な動作をすることを特徴とする基板処理方法。
【請求項18】
基板の周縁部を研磨するベベル研磨部及び基板のノッチ部を研磨するノッチ研磨部の少なくともいずれか一方を具備する少なくとも2台の研磨ユニットと、前記少なくとも2台の研磨ユニットに前記基板を搬送する搬送装置とを備えた基板処理装置における基板処理方法であって、
前記少なくとも2台の研磨ユニットの前記ベベル研磨部又は前記ノッチ研磨部の平面配置が前記搬送装置から見て互いに対称になるように配置し、
前記搬送装置で、前記少なくとも2台の研磨ユニットに基板を連続して搬送して、前記
少なくとも2台の研磨ユニットで前記基板を連続して研磨して前記基板の周縁部の汚染除
去及び/又は表面荒れの除去を行うことを特徴とする基板処理方法。
【請求項19】
請求項18に記載の基板研磨方法において、前記少なくとも2台の研磨ユニット内における前記ベベル研磨部又は前記ノッチ研磨部の動作が前記搬送装置から見て互いに対称な動作をすることを特徴とする基板処理方法。
【請求項20】
基板の周縁部を研磨するベベル研磨部及び基板のノッチ部を研磨するノッチ研磨部の少なくともいずれか一方を具備する少なくとも2台の研磨ユニットと、前記少なくとも2台の研磨ユニットに前記基板を搬送する搬送装置とを備えた基板処理装置における基板処理方法であって、
前記少なくとも2台の研磨ユニットの前記ベベル研磨部又は前記ノッチ研磨部の平面配置が前記搬送装置から見て互いに対称になるように配置し、
(i)前記搬送装置で、前記少なくとも2台の研磨ユニットにそれぞれ別の基板を搬送して、前記少なくとも2台の研磨ユニットで並行して前記各基板を研磨して各基板の周縁部の汚染除去及び/又は表面荒れの除去を行うか、
(ii)前記搬送装置で、前記少なくとも2台の研磨ユニットに基板を連続して搬送して、前記少なくとも2台の研磨ユニットで前記基板を連続して研磨して前記基板の周縁部の汚染除去及び/又は表面荒れの除去を行うか、
を含む2つの研磨処理もいずれか一方を選択的に行うことを特徴とする基板処理方法。
【請求項21】
請求項20に記載の基板研磨方法において、前記少なくとも2台の研磨ユニット内における前記ベベル研磨部又は前記ノッチ研磨部の動作が前記搬送装置から見て互いに対称な動作をすることを特徴とする基板処理方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図17】
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【図18】
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【図19A】
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【図19B】
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【図19C】
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【図20】
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【図21】
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【図22A】
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【図22B】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27A】
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【図27B】
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【図28】
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【図29】
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【図30A】
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【図30B】
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【図31A】
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【図31B】
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【図31C】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【公表番号】特表2008−537317(P2008−537317A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−554392(P2006−554392)
【出願日】平成18年4月18日(2006.4.18)
【国際出願番号】PCT/JP2006/308493
【国際公開番号】WO2006/112532
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】