説明

基板処理装置

【課題】ウェハ面内膜厚分布を均一に成膜できる基板処理装置を提供する。
【解決手段】ウェハ200を処理する処理室201と、処理室201内に処理ガスをシャワー状に供給するシャワーヘッド240と、シャワーヘッド240と対向する位置に設けられ処理室201内でウェハ200を支持する支持台203と、支持台203よりも下方に設けられ処理室201内を排気する排気口260と、シャワーヘッド240の上部からシャワーヘッド240内に処理ガスを導入する処理ガス導入口210とを備えた基板処理装置において、シャワーヘッド240の外周にシャワーヘッド240内を排気する複数の排気口241を周方向に等間隔に開設し、各排気口241に排気流量調整器243を接続する。複数の排気口241から排気される処理ガスの排気流量を調整することで、シャワーヘッド240内部の中心部から外周方向への圧力勾配を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコン基板、石英基板、ガラス基板のような基板を処理する基板処理装置は、基板にガスを供給することにより、基板への薄膜形成、不純物ドーピング、表面処理などを実施する。
従来のこの種の基板処理装置としては、シャワーヘッドを用いてガスを供給するタイプの枚葉式熱CVD装置が知られている。この枚葉式熱CVD装置においては、処理室内で基板を加熱し、処理室上部に接続したガス供給ラインからシャワーヘッドを介して処理室内の基板表面にシャワー状に成膜ガスを供給する。この基板上を流れる成膜ガスが熱エネルギーにより化学反応を起こして基板上に薄膜が成膜される。
ところが、このような枚葉式熱CVD装置においては、シャワーヘッドから均一に流出した反応ガスは、シャワーヘッド直下から基板の表面上を基板外周部のガス排気口方向へ(基板の外側へ)向かって流れるため、シャワーヘッドの中心部の孔から基板表面の中心部に流出された反応ガスは、反応ガスの反応率が低い場合、基板表面の中心部付近では反応しきらず、基板の外側へ流れ込み、基板の外側の膜厚が大きくなるという問題点があった。
そこで、シャワーヘッドの孔径や位置を調節して孔の密度を最適化するなどして、基板上の反応ガスの濃度分布を均一化する工夫がなされきた。例えば特許文献1参照。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−299256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、シャワーヘッドの孔径や位置を調節して孔の密度を最適化した基板処理装置においては、プロセス条件毎にシャワーヘッドの設計を変更する必要があり、さらに、部品の加工精度の誤差などによる装置個体差を生じる可能性もあるという問題点があった。
【0005】
本発明の目的は、ガスの流量や処理室の圧力や排気スピードとは独立して、フレキシブルにガスの濃度分布を制御することができる基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、
基板を処理する処理室と、
複数の噴出孔を有し該複数の噴出孔から前記処理室内に処理ガスをシャワー状に供給するシャワーヘッドと、
前記シャワーヘッドの前記複数の噴出孔が設けられた面と対向する位置に設けられ前記処理室内で基板を支持する支持台と、
前記支持台よりも下方に設けられ前記処理室内を排気する排気部と、
前記シャワーヘッドの上部から前記シャワーヘッド内に処理ガスを導入する処理ガス導入口と、
前記シャワーヘッドの外周部から前記シャワーヘッド内を排気する複数の排気口と、
前記複数の排気口から排気される処理ガスの排気流量を調整することで前記シャワーヘッド内部の中心部から外周方向への圧力勾配を制御する制御部と、
を有することを特徴とする基板処理装置、
が提供される。
【0007】
本発明の他の態様によれば、
基板を処理する処理室と、
複数の噴出孔を有し該複数の噴出孔から前記処理室内に処理ガスをシャワー状に供給するシャワーヘッドと、
前記シャワーヘッドの前記複数の噴出孔が設けられた面と対向する位置に設けられ前記処理室内で基板を支持する支持台と、
前記支持台よりも下方に設けられ前記処理室内を排気する排気部と、
前記シャワーヘッドの上部から前記シャワーヘッド内に処理ガスを導入する処理ガス導入口と、
前記シャワーヘッドの外周部から前記シャワーヘッド内に不活性ガスを導入する複数の不活性ガス導入口と、
前記複数の不活性ガス導入口から供給される不活性ガスの供給流量を調整することで、前記シャワーヘッド内部の中心部から外周方向への処理ガスの濃度勾配を制御する制御部と、
を有することを特徴とする基板処理装置、
が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の態様によれば、ガスの流量や処理室の圧力や排気スピードとは独立して、フレキシブルにガスの濃度分布を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる基板処理装置の縦断面図であり、ウェハ搬送時を示している。
【図2】その主要部の縦断面図であり、原料ガス供給ステップ時を示している。
【図3】その基板処理装置のガス供給系を示すレイアウト図である。
【図4】その基板処理装置による半導体装置の製造工程の一工程として行う成膜工程を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2実施形態にかかる基板処理装置を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態を図面に即して説明する。
【0011】
図1〜図4は本発明の第1実施形態を示している。
まず、本実施形態にかかる基板処理装置の各構成を順に説明する。
【0012】
<処理室>
図1、図2に示すとおり、本実施形態にかかる基板処理装置は、処理容器202を備えている。処理容器202は、例えば横断面が円形であり扁平な密閉容器として構成されている。また、処理容器202は、例えばアルミニウム(Al)やステンレス(SUS)など金属材料により構成されている。処理容器202内には、基板としてのウェハ200を処理する処理室201が形成されている。
【0013】
処理室201内には、ウェハ200を支持する支持台203が設けられている。ウェハ200が直接触れる支持台203の上面には、例えば、石英(SiO2 )、カーボン、セラミックス、炭化ケイ素(SiC)、酸化アルミニウム(Al2 O3 )、又は窒化アルミニウム(AlN)などから構成された支持板としてのサセプタ217が設けられている。また、支持台203には、ウェハ200を加熱する加熱手段としてのヒータ206が内蔵されている。なお、支持台203の下端部は、処理容器202の底部を貫通している。
【0014】
処理室201の外部には、支持台203を昇降させる昇降機構207bが設けられている。この昇降機構207bを作動させて支持台203を昇降させることにより、サセプタ217上に支持されるウェハ200を昇降させることが可能となっている。支持台203は、ウェハ200の搬送時には図1で示される位置(ウェハ搬送位置)まで下降し、ウェハ200の処理時には図2で示される位置(ウェハ処理位置)まで上昇する。なお、支持台203の下端部の周囲は、ベローズ203aにより覆われており、処理室201内は気密に保持されている。
【0015】
また、処理室201の底面(床面)には、例えば3本のリフトピン208bが鉛直方向に立ち上がるように設けられている。また、支持台203(サセプタ217も含む)には、かかるリフトピン208bを貫通させるための貫通孔208aが、リフトピン208bに対応する位置にそれぞれ設けられている。そして、支持台203をウェハ搬送位置まで下降させた時には、図2に示すように、リフトピン208bの上端部がサセプタ217の上面から突出して、リフトピン208bがウェハ200を下方から支持するようになっている。また、支持台203をウェハ処理位置まで上昇させたときには、図3に示すように、リフトピン208bはサセプタ217の上面から埋没して、サセプタ217がウェハ200を下方から支持するようになっている。なお、リフトピン208bは、ウェハ200と直接触れるため、例えば、石英やアルミナなどの材質で形成することが望ましい。
【0016】
<ウェハ搬送口>
処理室201(処理容器202)の内壁側面には、処理室201の内外にウェハ200を搬送するためのウェハ搬送口250が設けられている。ウェハ搬送口250にはゲートバルブ251が設けられており、ゲートバルブ251を開くことにより、処理室201内と搬送室(予備室)271内とが連通するようになっている。搬送室271は搬送容器(密閉容器)272内に形成されており、搬送室271内にはウェハ200を搬送する搬送ロボット273が設けられている。搬送ロボット273には、ウェハ200を搬送する際にウェハ200を支持する搬送アーム273aが備えられている。支持台203をウェハ搬送位置まで下降させた状態で、ゲートバルブ251を開くことにより、搬送ロボット273により処理室201内と搬送室271内との間でウェハ200を搬送することが可能となっている。処理室201内に搬送されたウェハ200は、上述したようにリフトピン208b上に一時的に載置される。なお、搬送室271のウェハ搬送口250が設けられた側と反対側には、図示しないロードロック室(ロードロックモジュール)が設けられており、搬送ロボット273によりロードロック室内と搬送室271内との間でウェハ200を搬送することが可能となっている。ちなみに、ロードロック室は、未処理もしくは処理済ウェハ200を一時的に収容する予備室として機能する。
【0017】
<排気系>
処理室201(処理容器202)の内壁側面であって、ウェハ搬送口250の反対側には、処理室201内の雰囲気を排気する排気口260が設けられている。排気口260には排気チャンバ260aを介して排気管261が接続されており、排気管261には、処理室201内を所定の圧力に制御するAPC(Auto Pressure Controller)等の圧力調整器262、原料回収トラップ263、及び真空ポンプ264が順に直列に接続されている。主に、排気口260、排気チャンバ260a、排気管261、圧力調整器262、原料回収トラップ263、真空ポンプ264により排気系(排気ライン) が構成される。
【0018】
<ガス導入口>
処理室201の上部に設けられる後述のシャワーヘッド240の上面(天井壁)には、処理室201内に各種ガスを供給するためのガス導入口210が設けられている。なお、ガス導入口210に接続されるガス供給系の構成については後述する。
【0019】
<シャワーヘッド>
ガス導入口210と、ウェハ処理位置におけるウェハ200との間には、ガス分散機構としてのシャワーヘッド240が設けられている。シャワーヘッド240は、ガス導入口210から導入されるガスを分散させるための分散板240aと、分散板240aを通過したガスをさらに均一に分散させて支持台203上のウェハ200の表面に供給するためのシャワー板240bと、を備えている。分散板240aおよびシャワー板240bには、複数の通気孔が設けられている。分散板240aは、シャワーヘッド240の上面およびシャワー板240bと対向するように配置されており、シャワー板240bは、支持台203上のウェハ200と対向するように配置されている。なお、シャワーヘッド240の上面と分散板240aとの間、および分散板240aとシャワー板240bとの間には、それぞれ空間が設けられており、かかる空間は、ガス導入口210から供給されるガスを分散させるための第1バッファ空間(分散室)240c、および分散板240aを通過したガスを拡散させるための第2バッファ空間240dとしてそれぞれ機能する。
図2に示されているように、シャワーヘッド240の外周には、シャワーヘッド240内の第2バッファ空間240d内を排気する複数の排気口241が周方向に等間隔に配置されて開設されている。各排気口241には排気管242の一端がそれぞれ接続されており、各排気管242の他端は排気流量調整器243および開閉バルブ244を介して真空ポンプなどの排気装置に接続されている。排気流量調整器243は、複数の排気口241から排気される処理ガスの排気流量を調整することで、シャワーヘッド240内部の中心部から外周方向への圧力勾配を制御する制御部、を構成している。
【0020】
<排気ダクト>
処理室201の内壁側面には、段差部201aが設けられている。この段差部201aは、コンダクタンスプレート204をウェハ処理位置近傍に保持するように構成されている。コンダクタンスプレート204は、内周部にウェハ200を収容する穴が設けられた1枚のドーナツ状(リング状)をした円板として構成されている。コンダクタンスプレート204の外周部には、所定間隔を開けて周方向に配列された複数の排出口204aが設けられている。排出口204aは、コンダクタンスプレート204の外周部がコンダクタンスプレート204の内周部を支えることができるよう、不連続に形成される。
【0021】
一方、支持台203の外周部には、ロワープレート205が係止している。ロワープレート205は、リング状の凹部205bと、凹部205bの内側上部に一体的に設けられたフランジ部205aとを備えている。凹部205bは、支持台203の外周部と、処理室201の内壁側面との隙間を塞ぐように設けられている。凹部205bの底部のうち排気口260付近の一部には、凹部205b内から排気口260側へガスを排出(流通)させるためのプレート排気口205cが設けられている。フランジ部205aは、支持台203の上部外周縁上に係止する係止部として機能する。フランジ部205aが支持台203の上部外周縁上に係止することにより、ロワープレート205が、支持台203の昇降に伴い、支持台203と共に昇降されるようになっている。
【0022】
支持台203がウェハ処理位置まで上昇したとき、ロワープレート205もウェハ処理位置まで上昇する。その結果、ウェハ処理位置近傍に保持されているコンダクタンスプレート204が、ロワープレート205の凹部205bの上面部分を塞ぎ、凹部205bの内部をガス流路領域とする排気ダクト259が形成されることとなる。このとき、排気ダクト259(コンダクタンスプレート204及びロワープレート205)及び支持台203によって、処理室201内が、排気ダクト259よりも上方の処理室上部と、排気ダクト259よりも下方の処理室下部と、に仕切られることとなる。なお、コンダクタンスプレート204およびロワープレート205は、排気ダクト259の内壁に堆積する反応生成物をエッチングする場合(セルフクリーニングする場合)を考慮して、高温保持が可能な材料、例えば、耐高温高負荷用石英で構成することが好ましい。
【0023】
ここで、ウェハ処理時における処理室201内のガスの流れについて説明する。
まず、ガス導入口210からシャワーヘッド240の上部へと供給されたガスは、第1バッファ空間(分散室)240cを経て分散板240aの多数の孔から第2バッファ空間240dへと入り、さらにシャワー板240bの多数の孔を通過して処理室201内に供給され、ウェハ200上に均一に供給される。そして、ウェハ200上に供給されたガスは、ウェハ200の径方向外側に向かって放射状に流れる。そして、ウェハ200に接触した後の余剰なガスは、ウェハ200の外周部に位置する排気ダクト259上、すなわちコンダクタンスプレート204上を、ウェハ200の径方向外側に向かって放射状に流れ、コンダクタンスプレート204に設けられた排出口204aから、排気ダクト259内のガス流路領域内(凹部205b内)へと排出される。その後、ガスは排気ダクト259内を流れ、プレート排気口205cを経由して排気口260へと排気される。このようにガスを流すことで、処理室201下部、すなわち支持台203の裏面や処理室201の底面側へのガスの回り込みが抑制される。
【0024】
ところで、シャワー板240bの多数の孔から処理室201内に均一に流出したガスは、シャワー板240b直下からウェハ200の表面上をウェハ200外周方向へ向かって流れる。このため、成膜する処理ガス(反応ガス)の反応率が低い場合には、シャワー板240b中心部の孔からウェハ200表面の中心部に流出した処理ガスは、ウェハ200表面の中心部付近では反応しきらずに、ウェハ200の外周側へ流れ込み、ウェハ200の外周部における膜厚が大きくなる。
そこで、本実施形態においては、処理ガスの流量や処理室201内の圧力や排気スピードとは独立して、フレキシブルにガスの濃度分布を制御することにより、面内膜厚分布が全体にわたって均一になるように、成膜するものとした。
すなわち、反応率の低い処理ガスがガス導入口210からシャワーヘッド240に供給される際、コントローラ280は開閉バルブ244を開くとともに、排気流量調整器243によって複数の排気口241から排気されるガスの排気流量を調整することにより、シャワーヘッド240内部の圧力勾配を中心部から外周方向へ減少するように制御する。
ここで、シャワー板240bから処理室201内に噴出するガスの流量は、シャワー板240bの各噴出孔からそれぞれの地点での第2バッファ空間240d内と処理室201内との圧力差に依存するため、第2バッファ空間240d内において外周ほど低い圧力分布を形成することにより、シャワー板240bから処理室201内に噴出するガスの流量を中心部ほど多く外周ほど少ない分布とすることができる。このようにして、シャワー板240bによってウェハ200の外周部に供給される処理ガスの流量を予め減少させることができるため、ウェハ200上の処理ガス濃度を一定にすることができる。これにより、ウェハ200に面内膜厚分布が全体にわたって均一になるように、成膜することができる。
【0025】
続いて、上述したガス導入口210に接続されるガス供給系の構成について、図3を参照しながら説明する。
<液体原料供給系>
処理室201の外部には、第1液体原料としてのHf(ハフニウム)を含む有機金属液体原料(以下、Hf原料ともいう)を供給する第1液体原料供給源220hと、第2液体原料としてのSi(シリコン)を含む有機金属液体原料(以下、Si原料ともいう)を供給する第2液体原料供給源220sが設けられている。第1液体原料供給源220h、第2液体原料供給源220sは、内部に液体原料を収容(充填)可能なタンク(密閉容器)としてそれぞれ構成されている。
【0026】
ここで、第1液体原料供給源220h、第2液体原料供給源220sには、圧送ガス供給管237h,237sがそれぞれ接続されている。圧送ガス供給管237h,237sの上流側端部には、図示しない圧送ガス供給源が接続されている。また、圧送ガス供給管237h,237sの下流側端部は、それぞれ第1液体原料供給源220h、第2液体原料供給源220s内の上部に存在する空間に連通しており、この空間内に圧送ガスを供給するようになっている。なお、圧送ガスとしては、液体原料とは反応しないガスを用いることが好ましく、例えばN2 ガス等の不活性ガスが好適に用いられる。
【0027】
また、第1液体原料供給源220h、第2液体原料供給源220sには、第1液体原料供給管211h、第2液体原料供給管211sがそれぞれ接続されている。ここで、第1液体原料供給管211h、第2液体原料供給管211sの上流側端部は、それぞれ第1液体原料供給源220h、第2液体原料供給源220s内に収容した液体原料内に浸されている。また、第1液体原料供給管211h、第2液体原料供給管211sの下流側端部は、液体原料を気化させる気化部としての気化器229h,229sにそれぞれ接続されている。なお、第1液体原料供給管211h、第2液体原料供給管211sには、液体原料の供給流量を制御する流量制御手段としての液体流量コントローラ(LMFC)221h,221sと、液体原料の供給を制御する開閉バルブvh1,vs1と、がそれぞれ設けられている。なお、開閉バルブvh1,vs1は、それぞれ気化器229h,229sの内部に設けられている。
【0028】
上記構成において、開閉バルブvh1,vs1を開くとともに、圧送ガス供給管237h,237sから圧送ガスを供給することにより、第1液体原料供給源220h、第2液体原料供給源220sから気化器229h,229sへと液体原料を圧送(供給)することが可能となる。主に、第1液体原料供給源220h、圧送ガス供給管237h、第1液体原料供給管211h、液体流量コントローラ221h、バルブvh1により第1液体原料供給系(第1液体原料供給ライン)が構成され、主に、第2液体原料供給源220s、圧送ガス供給管237s、第2液体原料供給管211s、液体流量コントローラ221s、バルブvs1により第2液体原料供給系(第2液体原料供給ライン)が構成される。
【0029】
<気化部>
液体原料を気化する気化部としての気化器229h,229sは、液体原料をヒータ23h,23sで加熱して気化させて原料ガスを発生させる気化室20h,20sと、この気化室20h,20sへ液体原料を吐出するまでの流路である液体原料流路21h,21sと、液体原料の気化室20h,20s内への供給を制御する上述の開閉バルブvh1,vs1と、気化室20h,20sにて発生させた原料ガスを後述する第1原料ガス供給管213h、第2原料ガス供給管213sへ供給するアウトレットとしての原料ガス供給口22h,22sと、それぞれを有している。上述の第1液体原料供給管211h、第2液体原料供給管211sの下流側端部は、それぞれ開閉バルブvh1,vs1を介して液体原料流路21h,21sの上流側端部に接続されている。液体原料流路21h,21sには、それぞれキャリアガス供給管24h,24sの下流側端部が接続されており、液体原料流路21h,21sを介して気化室20h,20s内にキャリアガスを供給するように構成されている。キャリアガス供給管24h,24sの上流側端部には、キャリアガスとしてのN2 ガスを供給するためのN2 ガス供給源230cが接続されている。キャリアガス供給管24h,24sには、N2 ガスの供給流量を制御する流量制御器としての流量コントローラ(MFC)225h,225sと、N2 ガスの供給を制御するバルブvh2,vs2とが、それぞれ設けられている。主に、N2 ガス供給源230c、キャリアガス供給管24h,24s、流量コントローラ225h,225s、バルブvh2,vs2によりキャリアガス供給系(キャリアガス供給ライン)が構成される。なお、気化器229h,229sはそれぞれ第1気化部、第2気化部として構成されている。
【0030】
<原料ガス供給系>
上記の気化器229h,229sの原料ガス供給口22h,22sには、処理室201内に原料ガスを供給する第1原料ガス供給管213h、第2原料ガス供給管213sの上流側端部がそれぞれ接続されている。第1原料ガス供給管213h、第2原料ガス供給管213sの下流側端部は、合流するように一本化して原料ガス供給管213となり、一本化した原料ガス供給管213は、ガス導入口210に接続されている。なお、第1原料ガス供給管213h、第2原料ガス供給管213sには、処理室201内への原料ガスの供給を制御する開閉バルブvh3,vs3がそれぞれ設けられている。
【0031】
上記構成において、気化器229h,229sにて液体原料を気化させて原料ガスを発生させるとともに、開閉バルブvh3,vs3を開くことにより、第1原料ガス供給管213h、第2原料ガス供給管213sから原料ガス供給管213を介して処理室201内へ原料ガスを供給することが可能となる。主に、第1原料ガス供給管213h、バルブvh3により、第1原料ガス供給系(第1原料ガス供給ライン)が構成され、主に、第2原料ガス供給管213s、バルブvs3により、第2原料ガス供給系(第2原料ガス供給ライン)が構成される。また、第1液体原料供給系、第1気化部、第1原料ガス供給系により第1原料供給系(Hf原料供給系)が構成され、第2液体原料供給系、第2気化部、第2原料ガス供給系により第2原料供給系(Si原料供給系)が構成される。
【0032】
<反応ガス供給系>
また、処理室201の外部には、酸素(O2 )ガスを供給する酸素ガス供給源230oが設けられている。酸素ガス供給源230oには、第1酸素ガス供給管211oの上流側端部が接続されている。第1酸素ガス供給管211oの下流側端部には、プラズマにより酸素ガスから反応ガス(反応物)すなわち酸化剤としてのオゾンガスを生成させるオゾナイザ229oが接続されている。なお、第1酸素ガス供給管211oには、酸素ガスの供給流量を制御する流量制御手段としての流量コントローラ221oが設けられている。
【0033】
オゾナイザ229oのアウトレットとしてのオゾンガス供給口22oには、反応ガス供給管としてのオゾンガス供給管213oの上流側端部が接続されている。また、オゾンガス供給管213oの下流側端部は、原料ガス供給管213に合流するように接続されている。すなわち、オゾンガス供給管213oは、反応ガスとしてのオゾンガスを処理室201内に供給するように構成されている。なお、オゾンガス供給管213oには、処理室201内へのオゾンガスの供給を制御する開閉バルブvo3が設けられている。
【0034】
なお、第1酸素ガス供給管211oの流量コントローラ221oよりも上流側には、第2酸素ガス供給管212oの上流側端部が接続されている。また、第2酸素ガス供給管212oの下流側端部は、オゾンガス供給管213oの開閉バルブvo3よりも上流側に接続されている。なお、第2酸素ガス供給管212oには、酸素ガスの供給流量を制御する流量制御手段としての流量コントローラ222oが設けられている。
【0035】
上記構成において、オゾナイザ229oに酸素ガスを供給してオゾンガスを発生させるとともに、開閉バルブvo3を開くことにより、処理室201内へオゾンガスを供給することが可能となる。なお、処理室201内へのオゾンガスの供給中に、第2酸素ガス供給管212oから酸素ガスを供給するようにすれば、処理室201内へ供給するオゾンガスを酸素ガスにより希釈して、オゾンガス濃度を調整することが可能となる。
主に、酸素ガス供給源230o、第1酸素ガス供給管211o、オゾナイザ229o、流量コントローラ221o、オゾンガス供給管213o、開閉バルブvo3、第2酸素ガス供給管212o、流量コントローラ222oにより反応ガス供給系(反応ガス供給ライン)が構成される。
【0036】
<パージガス供給系>
また、処理室201の外部には、パージガスとしてのN2 ガスを供給するためのN2 ガス供給源230pが設けられている。N2 ガス供給源230pには、パージガス供給管214の上流側端部が接続されている。パージガス供給管214の下流側端部は、3本のライン、すなわち、第1パージガス供給管214h、第2パージガス供給管214s、及び第3パージガス供給管214oに分岐している。第1パージガス供給管214h、第2パージガス供給管214s、第3パージガス供給管214oの下流側端部は、第1原料ガス供給管213h、第2原料ガス供給管213s、オゾンガス供給管213oの開閉バルブvh3,vs3,vo3の下流側にそれぞれ接続されている。なお、第1パージガス供給管214h、第2パージガス供給管214s、第3パージガス供給管214oには、N2 ガスの供給流量を制御する流量制御手段としての流量コントローラ224h,224s,224oと、N2 ガスの供給を制御する開閉バルブvh4,vs4,vo4とが、それぞれ設けられている。
主に、N2 ガス供給源230p、パージガス供給管214、第1パージガス供給管214h、第2パージガス供給管214s、第3パージガス供給管214o、流量コントローラ224h,224s,224o、開閉バルブvh4,vs4,vo4によりパージガス供給系(パージガス供給ライン)が構成される。
【0037】
<ベント(バイパス)系>
また、第1原料ガス供給管213h、第2原料ガス供給管213s、オゾンガス供給管213oの開閉バルブvh3,vs3,vo3の上流側には、第1ベント管215h、第2ベント管215s、第3ベント管215oの上流側端部がそれぞれ接続されている。また、第1ベント管215h、第2ベント管215s、第3ベント管215oの下流側端部は合流するように一本化してベント管215となり、ベント管215は排気管261の原料回収トラップ263よりも上流側に接続されている。第1ベント管215h、第2ベント管215s、第3ベント管215oには、ガスの供給を制御するための開閉バルブvh5,vs5,vo5がそれぞれ設けられている。
【0038】
上記構成において、開閉バルブvh3,vs3,vo3を閉じ、開閉バルブvh5,vs5,vo5を開くことで、第1原料ガス供給管213h、第2原料ガス供給管213s、オゾンガス供給管213o内を流れるガスを、処理室201内に供給することなく処理室201をバイパスさせ、処理室201外へとそれぞれ排気することが可能となる。
【0039】
また、第1パージガス供給管214h、第2パージガス供給管214s、第3パージガス供給管214oの開閉バルブvh4,vs4,vo4よりも上流側であって流量コントローラ224h,224s,224oよりも下流側には、第4ベント管216h、第5ベント管216s、第6ベント管216oがそれぞれ接続されている。また、第4ベント管216h、第5ベント管216s、第6ベント管216oの下流側端部は合流するように一本化してベント管216となり、ベント管216は排気管261の原料回収トラップ263よりも下流側であって真空ポンプ264よりも上流側に接続されている。第4ベント管216h、第5ベント管216s、第6ベント管216oには、ガスの供給を制御するための開閉バルブvh6,vs6,vo6がそれぞれ設けられている。
【0040】
上記構成において、開閉バルブvh4,vs4,vo4を閉じ、開閉バルブvh6,vs6,vo6を開くことで、第1パージガス供給管214h、第2パージガス供給管214s、第3パージガス供給管214o内を流れるN2 ガスを、処理室201内に供給することなく処理室201をバイパスさせ、処理室201外へとそれぞれ排気することが可能となる。
なお、開閉バルブvh3,vs3,vo3を閉じ、開閉バルブvh5,vs5,vo5を開くことで、第1原料ガス供給管213h、第2原料ガス供給管213s、オゾンガス供給管213o内を流れるガスを、処理室201内に供給することなく処理室201をバイパスさせ、処理室201外へとそれぞれ排気する場合には、開閉バルブvh4,vs4,vo4を開くことにより、第1原料ガス供給管213h、第2原料ガス供給管213s、オゾンガス供給管213o内にN2 ガスを導入して、各原料ガス供給管内をパージするように設定されている。また、開閉バルブvh6,vs6,vo6は、開閉バルブvh4,vs4,vo4と逆動作を行うように設定されており、N2 ガスを各原料ガス供給管内に供給しない場合には、処理室201をバイパスしてN2 ガスを排気するようになっている。
主に、第1ベント管215h、第2ベント管215s、第3ベント管215o、ベント管215、第4ベント管216h、第5ベント管216s、第6ベント管216o、ベント管216、開閉バルブvh5,vs5,vo5、開閉バルブvh6,vs6,vo6によりベント系(ベントライン)が構成される。
【0041】
<コントローラ>
本実施形態にかかる基板処理装置は、基板処理装置の各部の動作を制御するコントローラ280を有している。コントローラ280は、ゲートバルブ251、昇降機構207b、搬送ロボット273、ヒータ206、圧力調整器(APC)262、気化器229h,229s、オゾナイザ229o、真空ポンプ264、開閉バルブvh1〜vh6,vs1〜vs6,vo3〜vo6、液体流量コントローラ221h,221s、流量コントローラ225h,225s,224h,224s,221o,222o,224o、排気流量調整器243、開閉バルブ244、等の動作を制御する。
【0042】
次に、本発明の実施形態にかかる半導体装置の製造工程の一工程として上述の基板処理装置を用いてウェハ上に薄膜を形成する成膜工程について、図4を参照しながら説明する。
以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作は、コントローラ280によって制御される。
【0043】
<基板搬入工程(S1)、基板載置工程(S2)>
まず、昇降機構207bを作動させ、支持台203を、図1に示すウェハ搬送位置まで下降させる。そして、ゲートバルブ251を開き、処理室201と搬送室271とを連通させる。そして、搬送ロボット273により搬送室271内から処理室201内へ処理対象のウェハ200を搬送アーム273aで支持した状態で搬入する(S1)。処理室201内に搬入したウェハ200は、支持台203の上面から突出しているリフトピン208b上に一時的に載置される。搬送ロボット273の搬送アーム273aが処理室201内から搬送室271内へ戻ると、ゲートバルブ251が閉じられる。
【0044】
続いて、昇降機構207を作動させ、支持台203を、図3に示すウェハ処理位置まで上昇させる。その結果、リフトピン208bは支持台203の上面から埋没し、ウェハ200は、支持台203上面のサセプタ217上に載置される(S2)。
【0045】
<圧力調整工程(S3)、昇温工程(S4)>
続いて、圧力調整器(APC)262により、処理室201内の圧力が所定の処理圧力となるように制御する(S3)。また、ヒータ206に供給する電力を調整し、ウェハ200温度を昇温させウェハ200の表面温度が所定の処理温度となるように制御する(S4)。
【0046】
なお、基板搬入工程(S1)、基板載置工程(S2)、圧力調整工程(S3)、昇温工程(S4)および後述する基板搬出工程(S11)においては、真空ポンプ264を作動させつつ、開閉バルブvh3,vs3,vo3を閉じ、開閉バルブvh4,vs4,vo4を開くことで、処理室201内にN2 ガスを常に流しておく。これにより、ウェハ200上へのパーティクルの付着を抑制することが可能となる。なお、真空ポンプ264は、少なくとも基板搬入工程(S1)から後述の基板搬出工程(S11)までの間は、常に作動させた状態とする。
【0047】
工程S1〜S4と並行して、第1液体原料(Hf原料)を気化させた第1原料ガス(Hf原料ガス)を生成(予備気化)させておく。すなわち、開閉バルブvh3を閉じたまま、開閉バルブvh2を開き、気化器229hへキャリアガスを供給しつつ、開閉バルブvh1を開くとともに、圧送ガス供給管237hから圧送ガスを供給して、第1液体原料供給源220hから気化器229hへ第1液体原料を圧送(供給)し、気化器229hにて第1液体原料を気化させて第1原料ガスを生成させておく。この予備気化工程では、真空ポンプ264を作動させつつ、開閉バルブvh3を閉じたまま、開閉バルブvh5を開くことにより、第1原料ガスを処理室201内に供給することなく処理室201をバイパスして排気しておく。なお、本実施形態では、第1液体原料(Hf原料)として、Hf[OC(CH3 )2 CH2 OCH3 ]4 (以下、Hf(MMP)4 と略す。)を用いる。
【0048】
また、このとき、第2液体原料(Si原料)を気化させた第2原料ガス(Si原料ガス)も生成(予備気化)させておく。すなわち、開閉バルブvs3を閉じたまま、開閉バルブvs2を開き、気化器229sへキャリアガスを供給しつつ、開閉バルブvs1を開くとともに、圧送ガス供給管237sから圧送ガスを供給して、第2液体原料供給源220sから気化器229sへ第2液体原料を圧送(供給)し、気化器229sにて第2液体原料を気化させて第2原料ガスを生成させておく。この予備気化工程では、真空ポンプ264を作動させつつ、開閉バルブvs3を閉じたまま、開閉バルブvs5を開くことにより、第2原料ガスを処理室201内に供給することなく処理室201をバイパスして排気しておく。なお、本実施形態では、第2液体原料(Si原料)として、Si[OC(CH3 )2 CH2 OCH3 ]4 (以下、Si(MMP)4 と略す。)を用いる。
【0049】
さらに、このとき、反応物としてのオゾンガスも生成させておくことが好ましい。すなわち、酸素ガス供給源230oからオゾナイザ229oへ酸素ガスを供給して、オゾナイザ229oにてオゾンガスを生成させておく。この際、真空ポンプ264を作動させつつ、開閉バルブvo3を閉じたまま、開閉バルブvo5を開くことにより、オゾンガスを処理室201内に供給することなく処理室201をバイパスして排気しておく。
【0050】
気化器229h,229sにて第1原料ガス、第2原料ガスを安定した状態で生成させたり、あるいはオゾナイザ229oにてオゾンガスを安定した状態で生成させたりするには所定の時間を要する。すなわち、原料ガスやオゾンガスの生成初期は原料ガスやオゾンガスが不安定な状態で供給される。このため、本実施形態では、第1原料ガス、第2原料ガス、オゾンガスを予め生成させておくことで安定供給可能な状態としておき、開閉バルブvh3,vh5,vs3,vs5,vo3,vo5の開閉を切り替えることにより、第1原料ガス、第2原料ガス、オゾンガスの流路を切り替える。その結果、開閉バルブの切り替えにより、処理室201内への第1原料ガス、第2原料ガス、オゾンガスの安定した供給を迅速に開始あるいは停止できるようになり、好ましい。
【0051】
<原料ガス供給工程(S6)>
続いて、開閉バルブvh4,vh5,vs4,vs5を閉じ、開閉バルブvh3,vs3を開いて、処理室201内への第1原料ガスおよび第2原料ガスの供給を開始する。この際、上述したように、排気流量調整器243によってシャワーヘッド240内の圧力勾配を中心から外周方向へ減少するように制御する。第1原料ガスおよび第2原料ガスは、シャワーヘッド240により処理室201内のウェハ200上に、中心ほど多く外周ほど少なく供給されるため、上述したように、ウェハ200の面内膜厚分布は均一になる。余剰な第1原料ガスおよび第2原料ガスは、排気ダクト259内を流れ、排気口260へと排気される。なお、処理室201内への第1原料ガスおよび第2原料ガスの供給時には、オゾンガス供給管213o内への第1原料ガスおよび第2原料ガスの侵入を防止するように、また、処理室201内における第1原料ガスおよび第2原料ガスの拡散を促すように、開閉バルブvo4は開いたままとし、処理室201内にN2 ガスを常に流しておくことが好ましい。
【0052】
開閉バルブvh3,vs3を開き、第1原料ガスおよび第2原料ガスの供給を開始した後、所定時間が経過したら、開閉バルブvh3,vs3を閉じ、開閉バルブvh4,vh5,vs4,vs5を開いて、処理室201内への第1原料ガスおよび第2原料ガスの供給を停止する。また、同時に、開閉バルブvh1,vs1を閉じて、気化器229h,229sへの第1液体原料および第2液体原料の供給も停止する。
【0053】
<パージ工程(S7)>
開閉バルブvh3,vs3を閉じ、処理室201内への第1原料ガスおよび第2原料ガスの供給を停止した後は、開閉バルブvh4,vs4,vo4は開いたままとし、処理室201内へのN2 ガスの供給を継続して行う。N2 ガスは、シャワーヘッド240を介して処理室201内に供給され、排気ダクト259内を流れ、排気口260へと排気される。このようにして、処理室201内をN2 ガスによりパージし、処理室201内に残留している第1原料ガスおよび第2原料ガスを除去する。
【0054】
<酸化剤供給工程(S8)>
処理室201内のパージが完了したら、開閉バルブvo4,vo5を閉じ、開閉バルブvo3を開いて、処理室201内への酸化剤としてのオゾンガスの供給を開始する。この際、上述したように、排気流量調整器243によってシャワーヘッド240内の圧力勾配を中心から外周方向へ減少するように制御する。オゾンガスは、シャワーヘッド240により処理室201内のウェハ200上に、中心ほど多く外周ほど少なく供給されるため、上述したように、ウェハ200の面内処理(改質)分布は均一になる。余剰なオゾンガスや反応副生成物は、排気ダクト259内を流れ、排気口260へと排気される。なお、処理室201内へのオゾンガスの供給時には、第1原料ガス供給管213h、第2原料ガス供給管213s内へのオゾンガスの侵入を防止するように、また、処理室201内におけるオゾンガスの拡散を促すように、開閉バルブvh4,vs4は開いたままとし、処理室201内にN2 ガスを常に流しておくことが好ましい。
【0055】
開閉バルブvo3を開き、オゾンガスの供給を開始した後、所定時間が経過したら、開閉バルブvo3を閉じ、開閉バルブvo4,vo5を開いて、処理室201内へのオゾンガスの供給を停止する。
【0056】
<パージ工程(S9)>
開閉バルブvo3を閉じ、処理室201内へのオゾンガスの供給を停止した後は、開閉バルブvh4,vs4,vo4は開いたままとし、処理室201内へのN2 ガスの供給を継続して行う。N2 ガスは、シャワーヘッド240を介して処理室201内に供給され、排気ダクト259内を流れ、排気口260へと排気される。このようにして、処理室201内をN2 ガスによりパージし、処理室201内に残留しているオゾンガスや反応副生成物を除去する。
【0057】
なお、酸化剤供給工程(S8)もしくはパージ工程(S7)と並行して、第1原料ガスおよび第2原料ガスを生成(予備気化)させておく。
【0058】
<繰り返し工程(S10)>
そして、工程S6〜S9までを1サイクルとしてこのサイクルを所定回数繰り返すことにより、ウェハ200上に所望膜厚のハフニウムシリケート(HfSiOx)薄膜が形成される(薄膜形成工程)。
【0059】
なお、原料ガス供給工程(S6)では、第1原料ガスと第2原料ガスとを同時に供給する例について説明したが、第1原料ガスと第2原料ガスとは別々に供給してもよい。すなわち、第1原料ガスを供給する第1原料ガス供給工程(S6h)、パージ工程(S7h)、第2原料ガスを供給する第2原料ガス供給工程(S6s)、パージ工程(S7s)、酸化剤供給工程(S8)、パージ工程(S9)を、1サイクルとして、このサイクルを複数回繰り返すことにより、ウェハ200上に所望の膜厚のハフニウムシリケート(HfSiOx)薄膜を形成するようにしてもよい。この場合、支持台203をウェハ処理位置に保持した状態で、第1原料ガス供給工程(S6h)、パージ工程(S7h)、第2原料ガス供給工程(S6s)を行い、パージ工程(S7s)開始と同時に支持台203を降下させ、支持台203を降下させた状態で酸化剤供給工程(S8)を行い、パージ工程(S9)開始と同時に支持台203の上昇を開始することとなる。
【0060】
<基板搬出工程(S11)>
その後、上述した基板搬入工程(S1)、基板載置工程(S2)に示した手順とは逆の手順により、所望膜厚のHfSiOx膜を形成した後のウェハ200を処理室201内から搬送室271内へ搬出して、本実施形態にかかる基板処理工程を完了する。
【0061】
なお、薄膜形成工程をCVD法により行う場合には、処理温度を原料ガスが自己分解する程度の温度帯となるように制御する。この場合、原料ガス供給工程(S6)においては、原料ガスが自己分解し、基板200上に1〜数十原子層程度の薄膜が形成される。酸化剤供給工程においては、オゾンガスにより基板200上に形成された1〜数十原子層程度の薄膜よりC、H等の不純物が除去される。
【0062】
また、薄膜形成工程をALD法により行う場合には、処理温度を原料ガスが自己分解しない程度の温度帯となるように制御する。この場合、原料ガス供給工程においては、原料ガスは基板200上に吸着する。酸化剤供給工程においては、基板200上に吸着した原料とオゾンガスとが反応することにより基板200上に1原子層未満の薄膜が形成される。なお、このとき、オゾンガスにより薄膜中に混入しようとするC、H等の不純物を脱離させることができる。
【0063】
なお、本実施形態にかかる基板処理装置にて、CVD法により、基板を処理する際の処理条件としては、例えばHfSiOx膜を成膜する場合、処理温度:390〜450℃、処理圧力:50〜400Pa、第1原料(Hf(MMP)4 )供給流量:0.01〜0.2g/min、第2原料(Si(MMP)4 )供給流量:0.01〜0.2g/min、酸化剤(オゾンガス)供給流量:100〜3000sccmが例示される。
【0064】
また、本実施形態にかかる基板処理装置にて、ALD法により、基板を処理する際の処理条件としては、例えばHfSiOx膜を成膜する場合、処理温度:200〜350℃、処理圧力:50〜400Pa、第1原料(Hf(MMP)4 )供給流量:0.01〜0.2g/min、第2原料(Si(MMP)4 )供給流量:0.01〜0.2g/min、酸化剤(オゾンガス)供給流量:100〜3000sccmが例示される。
【0065】
図5は本発明の第2実施形態を示している。
本実施形態にかかる基板処理装置が前記実施形態にかかる基板処理装置と異なる点は、シャワーヘッド240の外周部から第2バッファ空間240d内に不活性ガスを導入する複数の不活性ガス導入口245がシャワーヘッド240の外周に、周方向に等間隔に配置されて開設されている点と、各不活性ガス導入口245に不活性ガス導入管246の一端がそれぞれ接続されている点と、各不活性ガス導入管246の他端は流量調整器(マスフローコントローラ)247および開閉バルブ248を介して不活性ガスとしての窒素ガスを供給する窒素ガス供給装置に接続されている点である。流量調整器247は、不活性ガス導入口245から供給される窒素ガスの供給流量を調整することにより、シャワーヘッド240内部の中心部から外周方向への処理ガスの濃度勾配を制御する制御部、を構成している。
【0066】
本実施形態においては、反応率の低い処理ガスがガス導入口210からシャワーヘッド240に供給される際に、コントローラ280は開閉バルブ248を開くとともに、流量調整器247によって複数の不活性ガス導入口245から供給される窒素ガスの供給流量を調整することにより、シャワーヘッド240内部の処理ガス濃度勾配を中心部から外周方向へ減少するように制御することができるので、シャワー板240bから処理室201内に噴出する処理ガスの流量を中心部ほど多く外周ほど少ない分布とすることができる。このようにして、シャワー板240bによってウェハ200の外周部に供給される処理ガスの流量を予め減少させることができるため、ウェハ200上の処理ガス濃度を一定にすることができる。これにより、ウェハ200に面内膜厚分布が全体にわたって均一になるように、成膜することができる。
【0067】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変更が可能であることはいうまでもない。
【0068】
例えば、各排気口毎に排気管を接続したり、各不活性ガス導入口毎に不活性ガス導入管を接続したりするに限らず、リング形状のバッファ空間を介して排気管または不活性ガス導入管を接続してもよい。
【符号の説明】
【0069】
200 ウェハ(基板)
201 処理室
203 支持台
210 ガス導入口
240 シャワーヘッド
241 排気口
242 排気管
243 排気流量調整器
244 開閉バルブ
245 不活性ガス導入口
246 不活性ガス導入管
247 流量調整器(マスフローコントローラ)
248 開閉バルブ
260 排気口(排気部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する処理室と、
複数の噴出孔を有し該複数の噴出孔から前記処理室内に処理ガスをシャワー状に供給するシャワーヘッドと、
前記シャワーヘッドの前記複数の噴出孔が設けられた面と対向する位置に設けられ前記処理室内で基板を支持する支持台と、
前記支持台よりも下方に設けられ前記処理室内を排気する排気部と、
前記シャワーヘッドの上部から前記シャワーヘッド内に処理ガスを導入する処理ガス導入口と、
前記シャワーヘッドの外周部から前記シャワーヘッド内を排気する複数の排気口と、
前記複数の排気口から排気される処理ガスの排気流量を調整することで前記シャワーヘッド内部の中心部から外周方向への圧力勾配を制御する制御部と、
を有することを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
基板を処理する処理室と、
複数の噴出孔を有し該複数の噴出孔から前記処理室内に処理ガスをシャワー状に供給するシャワーヘッドと、
前記シャワーヘッドの前記複数の噴出孔が設けられた面と対向する位置に設けられ前記処理室内で基板を支持する支持台と、
前記支持台よりも下方に設けられ前記処理室内を排気する排気部と、
前記シャワーヘッドの上部から前記シャワーヘッド内に処理ガスを導入する処理ガス導入口と、
前記シャワーヘッドの外周部から前記シャワーヘッド内に不活性ガスを導入する複数の不活性ガス導入口と、
前記複数の不活性ガス導入口から供給される不活性ガスの供給流量を調整することで、前記シャワーヘッド内部の中心部から外周方向への処理ガスの濃度勾配を制御する制御部と、
を有することを特徴とする基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−212335(P2010−212335A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−54734(P2009−54734)
【出願日】平成21年3月9日(2009.3.9)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】