説明

基板処理装置

【課題】半導体製造装置の冷却媒体の使用量を増加させずに冷却効果を高める。
【解決手段】基板を処理する処理室と、処理室内を加熱する加熱部と、処理室外に設けられ、処理室と処理室外の機器とを冷却する少なくとも1つ以上設けられた冷却部と、冷却部に供給される冷媒の熱を、冷却部から排出される冷媒へ熱移動させる熱移動部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハやガラス基板等の基板を処理するための基板処理装置およびその装置を用いて基板を処理する工程を有する半導体装置製造装置の冷却水の効率化に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、半導体装置の製造装置や基板処理装置から発生する熱は、液体を媒体として排出する技術が知られている。特許文献1には、半導体装置の製造装置から発生する熱を水で排出する装置の構成が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−316155
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体製造装置の冷却構造では、排熱量を増加させる方法として冷却水の流量を増やす方法や、圧力を高める方法が用いられてきた。これらの方法では、配管が破損して水が漏れるリスクがある。そのため、製造装置の排熱量の増加に対する余裕度が低いという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、基板を処理する処理室と、当該処理室内を加熱する加熱手段と、前記処理室外に設けられ、前記処理室外の機器を冷却する冷却手段と、前記冷却手段に供給される冷媒の熱を、前記冷却手段で加熱された後、排出される冷媒へ熱移動させる熱交換部と、を有する基板処理装置が提供される。
【0006】
本発明の他の態様によれば、基板を処理室に搬入する工程と、当該処理室内を加熱部が加熱する工程と、前記処理室外に設けられ、前記処理室外の機器を冷却手段が冷却する工程と、前記冷却手段に供給される冷媒の熱を、熱移動部が前記冷却手段から排出される冷媒へ移動させる工程とを有する半導体装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る基板処理装置及び半導体装置の製造方法によれば、冷却水の圧力、流量の増加を伴わずに冷却水による冷却性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を実施する基板処理装置の斜透視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を実施する基板処理装置の側面透視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を実施する基板処理装置の一部切断正面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を実施する基板処理装置の処理室断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を実施する基板処理装置の冷却水系統概念図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を実施する基板処理装置の冷却水系統図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法を実施する基板処理装置の熱移動部内のペルチェ素子設置部の斜視図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るペルチェ素子を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の一実施形態について説明する。
【0010】
本発明を実施するための最良の形態において、基板処理装置は、一例として、半導体装置(IC)の製造方法における処理工程を実施する半導体製造装置として構成されている。尚、以下の説明では、基板処理装置として基板に酸化、拡散処理や化学気相堆積(Chemical
Vapor Deposition:CVD)などを行なう縦型の装置(以下、単に処理装置という)を適用した場合について述べる。図1は、本発明に適用される処理装置の斜透視図として示されている。また、図2は図1に示す処理装置の側面透視図である。
【0011】
図1,2に示されているように、シリコン等からなるウエハ(基板)200(図示せず)を収納したウエハキャリアとしてFOUP(基板収容器。以下ポッドという)110が使用されている本発明の処理装置100は、筐体111を備えている。筐体111の正面壁111aの正面前方部にはメンテナンス可能なように設けられた開口部としての正面メンテナンス口103が開設され、この正面メンテナンス口103を開閉する正面メンテナンス扉104が建て付けられている。
筐体111の正面壁111aにはポッド搬入搬出口112が筐体111の内外を連通するように開設されており、ポッド搬入搬出口112はフロントシャッタ(基板収容器搬入搬出口開閉機構)113によって開閉されるようになっている。
ポッド搬入搬出口112の正面前方側にはロードポート(基板収容器受渡し台)114が設置されており、ロードポート114はポッド110を載置されて位置合わせするように構成されている。ポッド110はロードポート114上に工程内搬送装置(図示せず)によって搬入され、且つまた、ロードポート114上から搬出されるようになっている。
【0012】
筐体111内の前後方向の略中央部における上部には、回転式ポッド棚(基板収容器載置棚)105が設置されており、回転式ポッド棚105は複数個のポッド110を保管するように構成されている。すなわち、回転式ポッド棚105は垂直に立設されて水平面内で間欠回転される支柱116と、支柱116に上中下段の各位置において放射状に支持された複数枚の棚板(基板収容器載置台)117とを備えており、複数枚の棚板117はポッド110を複数個宛それぞれ載置した状態で保持するように構成されている。
筐体111内におけるロードポート114と回転式ポッド棚105との間には、ポッド搬送装置(基板収容器搬送装置)118が設置されており、ポッド搬送装置118は、ポッド110を保持したまま昇降可能なポッドエレベータ(基板収容器昇降機構)118aと搬送機構としてのポッド搬送機構(基板収容器搬送機構)118bとで構成されており、ポッド搬送装置118はポッドエレベータ118aとポッド搬送機構118bとの連続動作により、ロードポート114、回転式ポッド棚105、ポッドオープナ(基板収容器蓋体開閉機構)121との間で、ポッド110を搬送するように構成されている。
【0013】
筐体111内の前後方向の略中央部における下部には、サブ筐体119が後端にわたって構築されている。サブ筐体119の正面壁119aにはウエハ200をサブ筐体119内に対して搬入搬出するためのウエハ搬入搬出口(基板搬入搬出口)120が一対、垂直方向に上下二段に並べられて開設されており、上下段のウエハ搬入搬出口120には一対のポッドオープナ121が設置されている。
ポッドオープナ121はポッド110を載置する載置台122と、ポッド110のキャップ(蓋体)を着脱するキャップ着脱機構(蓋体着脱機構)123とを備えている。ポッドオープナ121は載置台122に載置されたポッド110のキャップをキャップ着脱機構123によって着脱することにより、ポッド110のウエハ出し入れ口を開閉するように構成されている。
【0014】
サブ筐体119はポッド搬送装置118や回転式ポッド棚105の設置空間から流体的に隔絶された移載室124を構成している。移載室124の前側領域にはウエハ移載機構(基板移載機構)125が設置されており、ウエハ移載機構125は、ウエハ200を水平方向に回転ないし直動可能なウエハ移載装置(基板移載装置)125aおよびウエハ移載装置125aを昇降させるためのウエハ移載装置エレベータ(基板移載装置昇降機構)125bとで構成されている。図1に模式的に示されているようにウエハ移載装置エレベータ125bは、耐圧筐体111右側端部とサブ筐体119の移動室124前方領域右端部との間に設置されている。これら、ウエハ移載装置エレベータ125bおよびウエハ移載装置125aの連続動作により、ウエハ移載装置125aのツイーザ(基板保持体)125cをウエハ200の載置部として、ボート(基板保持具)217に対してウエハ200を装填(チャージング)および脱装(ディスチャージング)するように構成されている。
【0015】
移載室124の後側領域には、ボート217を収容して待機させる待機部126が構成されている。待機部126の上方には、プロセスチューブ11が設けられている。プロセスチューブ11の下端部は、炉口シャッタ(炉口開閉機構)147により開閉されるように構成されている。
【0016】
図1に模式的に示されているように、耐圧筐体111右側端部とサブ筐体119の待機部126右端部との間にはボート217を昇降させるためのボートエレベータ(基板保持具昇降機構)115が設置されている。ボートエレベータ115の昇降台に連結された連結具としてのアーム128には蓋体としてのシールキャップ129が水平に据え付けられており、シールキャップ129はボート217を垂直に支持し、プロセスチューブ11の下端部を閉塞可能なように構成されている。
ボート217は複数本の保持部材を備えており、複数枚(例えば、50枚〜125枚程度)のウエハ200をその中心を揃えて垂直方向に整列させた状態で、それぞれ水平に保持するように構成されている。
【0017】
図1に模式的に示されているように移載室124のウエハ移載装置エレベータ125b側およびボートエレベータ115側と反対側である左側端部には、清浄化した雰囲気もしくは不活性ガスであるクリーンエア133を供給するよう供給ファンおよび防塵フィルタで構成されたクリーンユニット134が設置されており、ウエハ移載装置125aとクリーンユニット134との間には、図示はしないが、ウエハの円周方向の位置を整合させる基板整合装置としてのノッチ合わせ装置135が設置されている。
クリーンユニット134から吹き出されたクリーンエア133は、ノッチ合わせ装置135およびウエハ移載装置125a、待機部126にあるボート217に流通された後に、図示しないダクトにより吸い込まれて、筐体111の外部に排気がなされるか、もしくはクリーンユニット134の吸い込み側である一次側(供給側)にまで循環され、再びクリーンユニット134によって、移載室124内に吹き出されるように構成されている。
【0018】
また、図1、図2、図3、図5に示すように、基板処理装置の動作を制御するコントローラ600が設けられている。コントローラ600は信号線Aを通じてフロントシャッタ113及びポッドオープナ121を、信号線Bを通じてポッド搬送装置118を、信号線Cを通じて支柱116を、信号線Dを通じてウエハ移載機構Dを、信号線E通じて圧力コントローラ21を、信号線Fを通じて駆動コントローラ28を、信号線Gを通じて温度コントローラ53を、信号線Hを通じてクリーンユニット134を、信号線Iを通じて熱移動部506を、制御するように構成されている。以下の基板処理装置の動作は、コントローラ600により制御されている。
【0019】
(2)基板処理装置の動作
次に、本発明の処理装置の動作について説明する。
図1に示されているように、ポッド110がロードポート114に供給されると、ポッド搬入搬出口112がフロントシャッタ113によって開放され、ロードポート114の上のポッド110はポッド搬送装置118によって筐体111の内部へポッド搬入搬出口112から搬入される。
搬入されたポッド110は回転式ポッド棚105の指定された棚板117へポッド搬送装置118によって自動的に搬送されて受け渡され、一時的に保管された後、棚板117から一方のポッドオープナ121に搬送されて載置台122に移載されるか、もしくは直接ポッドオープナ121に搬送されて載置台122に移載される。この際、ポッドオープナ121のウエハ搬入搬出口120はキャップ着脱機構123によって閉じられており、移載室124にはクリーンエア133が流通され、充満されている。例えば、移載室124にはクリーンエア133として窒素ガスが充満することにより、酸素濃度が20ppm以下の雰囲気になり、筐体111の内部(大気雰囲気)の酸素濃度よりも遥かに低く設定されている。
【0020】
載置台122に載置されたポッド110はその開口側端面がサブ筐体119の正面壁119aにおけるウエハ搬入搬出口120の開口縁辺部に押し付けられるとともに、そのキャップがキャップ着脱機構123によって取り外され、ウエハ出し入れ口を開放される。
ポッド110がポッドオープナ121によって開放されると、ウエハ200はポッド110からウエハ移載装置125aのツイーザ125cによってウエハ出し入れ口を通じてピックアップされ、ノッチ合わせ装置135にてウエハを整合した後、移載室124の後方にある待機部126へ搬入され、ボート217に装填(チャージング)される。ボート217にウエハ200を受け渡したウエハ移載装置125aはポッド110に戻り、次のウエハ200をボート217に装填する。
【0021】
この一方(上段または下段)のポッドオープナ121におけるウエハ移載機構125によるウエハのボート217への装填作業中に、他方(下段または上段)のポッドオープナ121には回転式ポッド棚105から別のポッド110がポッド搬送装置118によって搬送されて移載され、ポッドオープナ121によるポッド110の開放作業が同時進行される。
【0022】
予め指定された枚数のウエハ200がボート217に装填されると、炉口シャッタ147によって閉じられていたプロセスチューブ11の下端部が、炉口シャッタ147によって、開放される。続いて、ウエハ200群を保持したボート217はシールキャップ129がボートエレベータ115によって上昇されることにより、プロセスチューブ11内へ搬入(ローディング)されて行く。
【0023】
ローディング後は、プロセスチューブ11にてウエハ200に任意の処理が実施される。処理後は、ノッチ合わせ装置135でのウエハの整合工程を除き、概上述の逆の手順で、ウエハ200およびポッド110は筐体111の外部へ払出される。
【0024】
図3および図4に示された装置10は、中心線が垂直になるように縦に配されて支持された縦型のプロセスチューブ11を備えており、プロセスチューブ11は互いに同心円に配置されたアウタチューブ12とインナチューブ13とから構成されている。
アウタチューブ12は石英(SiO2 )が使用されて、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に一体成形されている。
インナチューブ13は上下両端が開口した円筒形状に形成されており、インナチューブ13の筒中空部はボートによって長く整列した状態に保持された複数枚のウエハが搬入される処理室14を実質的に形成している。
インナチューブ13の下端開口はウエハを出し入れするための炉口15を実質的に構成している。したがって、インナチューブ13の内径は取り扱うウエハの最大外径(例えば、直径300mm)よりも大きくなるように設定されている。
【0025】
アウタチューブ12とインナチューブ13との間の下端部は、略円筒形状に構築されたマニホールド16によって気密封止されている。アウタチューブ12およびインナチューブ13の交換等のために、マニホールド16はアウタチューブ12およびインナチューブ13にそれぞれ着脱自在に取り付けられている。
マニホールド16が装置10のサブ筐体119に支持されることによって、プロセスチューブ11は垂直に据え付けられた状態になっている。
【0026】
アウタチューブ12とインナチューブ13との隙間によって排気路17が、横断面形状が一定幅の円形リング形状に構成されている。
図3に示されているように、マニホールド16の側壁の上部には排気管18の一端が接続されており、排気管18は排気路17の最下端部に連通した状態になっている。
排気管18の他端には圧力コントローラ21によって制御される排気装置19が接続されており、排気管18の途中には圧力センサ20が接続されている。
圧力コントローラ21は圧力センサ20からの測定結果に基づいて排気装置19をフィードバック制御するように構成されている。
【0027】
マニホールド16の下方にはガス導入管22がインナチューブ13の炉口15に連通するように配設されており、ガス導入管22にはガス流量コントローラ24によって制御される原料ガス供給装置および不活性ガス供給装置(以下、供給装置という。)23が接続されている。
ガス導入管22によって炉口15に導入されたガスはインナチューブ13の処理室14内を流通して、排気路17を通って排気管18によって排気される。
【0028】
マニホールド16には下端開口を閉塞するシールキャップ129が垂直方向下側から当接されるようになっている。シールキャップ129はマニホールド16の外径と略等しい円盤形状に構築されており、筐体2の待機室3に設備されたボートエレベータ115によって垂直方向に昇降されるように構成されている。
ボートエレベータ115はモータ駆動の送りねじ軸装置およびベローズ等によって構成されており、ボートエレベータ115のモータ27は駆動コントローラ28によって制御されるように構成されている。
シールキャップ129の中心線上には回転軸30が挿通されて回転自在に支承されており、回転軸30は駆動コントローラ28によって制御されるモータ29によって回転駆動されるように構成されている。
回転軸30の上端にはボート31が垂直に立脚されて支持されている。
【0029】
ボート31は上下で一対の端板32、33と、これらの間に架設されて垂直に配設された3本の保持部材34とを備えており、3本の保持部材34には多数の保持溝35が長手方向に等間隔に配されて互いに対向して開口するように刻設されている。ボート31は3本の保持部材34の保持溝35間にウエハ1を挿入されることにより、複数枚のウエハ1を水平にかつ互いに中心を揃えた状態に整列させて保持するようになっている。
ボート31と回転軸30との間には断熱キャップ部36が配置されている。
回転軸30はボート31をシールキャップ129の上面から持ち上げた状態に支持することにより、ボート31の下端を炉口15の位置から適当な距離だけ離間させるように構成されている。
断熱キャップ部36は炉口15の近傍を断熱するようになっている。
【0030】
プロセスチューブ11の外側には、処理室内を加熱する加熱手段としてのヒータユニット40が同心円に配置されて、サブ筐体119に支持された状態で設置されている。
ヒータユニット40はステンレス鋼(SUS)が使用されて上端閉塞で下端開口の円筒形状に形成されたケース41を備えている。ケース41の内径および全長はアウタチューブ12の外径および全長よりも大きく設定されている。ケース41の内側にはケース41よりも小径の円筒形状に構築された断熱槽42が同心円に設置されている。
断熱槽42の内側には断熱槽42よりも小径の円筒形状に形成された断熱側壁43がアウタチューブ12との間に間隙をとって同心円に設置されている。断熱側壁43は短尺の円筒形状に形成された断熱ブロック44が複数個、垂直方向に積み重ねられて1本の筒体に構築されている。
断熱側壁43の上には断熱天井壁45が断熱側壁43の上端開口を閉塞するように被せられている。断熱天井壁45はケース41の内径と等しい外径を有する円板形状に形成された断熱プレート46が複数枚、垂直方向に積み重ねられて1枚の円盤に構築されている。
【0031】
断熱側壁43の内周面には発熱体(以下、側壁発熱体という。)47が、各断熱ブロック44にそれぞれ敷設されている。
【0032】
ヒータユニット40の天井面である断熱天井壁45の下面の中央部には、サブヒータユニット48が水平に設置されている。
サブヒータユニット48は天井発熱体49とホルダ50とを備えており、天井発熱体49を保持したホルダ50が断熱天井壁45の下面に吊持されている。
【0033】
図4に示されているように、側壁発熱体47および天井発熱体49の発熱体は、発熱体駆動装置52に接続されており、発熱体駆動装置52は温度コントローラ53によって制御されるように構成されている。
ヒータユニット40の側壁部には複数本の熱電対54が上下方向に間隔を置いて配され
て、それぞれ径方向に挿通されており、熱電対54は計測結果を温度コントローラ53に送信するようになっている。
温度コントローラ53は熱電対54からの計測温度によって発熱体駆動装置52をフィードバック制御するようになっている。すなわち、温度コントローラ53は発熱体駆動装置52の目標温度と熱電対54の計測温度との誤差を求めて、誤差がある場合には誤差を解消させるフィードバック制御を実行するようになっている。
さらに、温度コントローラ53は側壁発熱体47をゾーン制御するように構成されている。
【0034】
ヒータユニット40とプロセスチューブ11との間には、処理室14とヒータユニット(加熱手段)との間に形成される空間としての冷却エア通路61が形成されている。冷却エア通路61は冷却ガスとしての冷却エアを全体的に流通させるように形成されている。
ヒータユニット40の断熱側壁43の下端部には給気ダクト62が環状に敷設されており、給気ダクト62および断熱側壁43には吹出口63が複数個、周方向に略等間隔に配されて径方向および上下方向にも複数個ずつ開設されている。
給気ダクト62の外周側には冷却エアを供給する給気管64が接続されており、給気管64に供給された冷却エアは給気ダクト62および吹出口63を通じて冷却エア通路61の全体に拡散するようになっている。
【0035】
断熱天井壁45には冷却エア通路61の雰囲気を排気する排気流路の一部としての排気孔65が、同一円形線上で周方向に略等間隔に配置されて上下方向に貫通するように開設されている。
【0036】
断熱天井壁45の上には、図3に示すように、排気孔65と共に第一排気流路の一部を構成する排気フード70が被せられている。
排気フード70はステンレス鋼板が使用されて多角形(八角形)の箱形状に組み立てられた筐体71を備えている。
【0037】
排気ダクト76の排気フード70と反対側端(下流側端)には、排気ダクト76や排気フード70等と共に第一排気流路の一部を構成するダンパケース90が接続されている。ダンパケース90は平面視の形状が略正方形の直方体の箱形状に形成されている。
【0038】
図3に示すように、ダンパケース90には排気ダクト76やダンパケース90と共に第一排気流路を構成するラジエータケース300が接続されている。ラジエータケース300は平面視の形状が略長方形の直方体の箱形状に形成されている。
【0039】
ラジエータケース300内には、冷却手段としてのラジエータが設置されている。 ラジエータケース300のダンパケース90との接続側端である上流側端は、ラジエータに冷却すべきガスとしての熱排気(以下、高温ガスという場合がある。)を供給する供給口を構成している。ラジエータケース300のダンパケース90との接続側端とは反対側端(下流側端)は、ラジエータによって冷却された熱排気(以下、低温ガスという場合がある。)を排出する排気口を構成している。ラジエータケース300の排気口には、ラジエータに接続される第二排気流路を構成する排気ダクト106が接続されている。排気ダクト106はブロアやポンプおよびエゼクタ等の排気装置に接続されるようになっている。
【0040】
プロセスチューブ11内の温度を600℃から730℃〜800℃、例えば、760℃の成膜温度まで昇温させ(Ramp
Up)、ウエハ温度が成膜温度に達し安定化したところ(Pre Heat)で反応ガスがガス導入管22より反応炉1内に導入され、ウエハ200に成膜処理がなされる(Depo)。例えば、ウエハ200上にSi3N4膜(窒化シリコン膜、以下、SiNという。)を成膜する場合には、DCS(ジクロルシラン(SiH2Cl2))、NH3等のガスが用いられる。この場合、プロセスチューブ11は730℃〜800℃の成膜温度に保たれることとなる。
【0041】
730℃〜800℃に保たれたプロセスチューブ11とプロセスチューブ11の外界は、各断熱部(断熱槽42,断熱側壁43,断熱天井壁45,断熱ブロック44,断熱キャップ部36)で断熱されているが、各断熱部は高温となっている。これらの各断熱部と各断熱部の周りに設けられた機器を冷却するために、図5に示すように、ラジエータ冷却部501、筐体天井壁冷却部502、筐体側壁冷却部503、炉口冷却部504が設けられている。また、これら冷却部への冷却水の流量を監視する流量計505が設けられ、冷却水の供給・排出と供給される冷却水から排出される冷却水へ熱の伝達を行う熱移動部506が処理装置下後方に設けられている。
【0042】
ラジエータ冷却部501は、図5に示されているように、ラジエータケース300に設けられ、ラジエータケース300を冷却できるように構成されている。
【0043】
筐体天井壁冷却部502は、筐体111内に設けられた断熱天井壁45に設けられ、断熱天井壁45を冷却できるように構成されている。
【0044】
筐体側壁冷却部503は、筐体111内に設けられた断熱側壁43に設けられ、断熱側壁43を冷却できるように構成されている。
【0045】
炉口冷却部504は、図3、図4に示されているようにプロセスチューブ11下端およびマニホールド16に隣接するように設けられ、プロセスチューブ11下端およびマニホールド16を冷却できるように構成されている
【0046】
図6に示されているように、冷却水は、冷却水供給口515から各冷却部(ラジエータ冷却部501、筐体天井壁冷却部502、筐体側壁冷却部503、炉口冷却部504)に供給され、各冷却部の熱を吸収し、流量計505を経た後、冷却水排出口516へ流れていく。
【0047】
冷却水は冷却水供給口515では室温、冷却水排出口516では、各冷却部の熱を吸収した水が流れ込む為、高温となっている。冷却水供給口515を流れる冷却水の温度と冷却水排出口516を流れる冷却水の温度の差は処理装置の運用状況によって大きく異なる。
【0048】
図7に示されているように、熱移動部506には、冷却水供給口515と冷却水排出口516とが設けられ、冷却水供給口515と冷却水排出口516はそれぞれ、ペルチェ素子513で仕切られた熱伝導体512に包まれるように構成され、冷却水供給口515に供給された冷却水の熱を熱伝導体512とペルチェ素子513を介して、冷却水排出口516に伝達することが可能となっている。また、熱伝導体512と、ペルチェ素子513と、冷却水供給口515および冷却水排出口516は、断熱材511で覆われている。
【0049】
熱伝導体512に、アルミ等の熱伝導率の高い材料を用いることによって、冷却水供給口515から冷却水排出口516への熱の伝達を促進させることができる。
【0050】
図8に示されているように、ペルチェ素子513は板状で、吸熱面521、放熱面522を備えており、電極514a,電極514bから電力を供給することで吸熱面521から放熱面522に熱を移動させるように構成されている。
【0051】
各冷却部の冷却性能を制御するために、ペルチェ素子513への電力供給は常時あるいは間欠的、一時的に行われる。例えば、冷却水供給口515を流れる冷却水の温度が室温よりも高いときや、冷却水排出口16を流れる水の温度が処理装置のアイドル時の温度よりも高いときは、常時あるいは間欠的に動作させる。また、処理装置運用時の特定の動作により一時的に冷却性能が不足しているときは、それに合わせて動作させる。
【0052】
また、各冷却部の冷却性能の制御は、ペルチェ素子513へ供給する電圧、電流によって行うことも可能となっている。
【0053】
また、各冷却部の冷却性能の制御は、冷却水供給口515を流れる冷却水の温度と冷却水排出口516を流れる冷却水の温度のいずれか、若しくは両方の温度をフィードバック制御される。すなわち、冷却水供給口515の水温が室温より低いときは、ペルチェ素子513を動作させなくとも、各部の冷却が可能なため、ペルチェ素子513の動作頻度を低くし、冷却水供給口515の水温が室温より高いときは、各部を充分に冷却できない可能性があるため、ペルチェ素子513の動作頻度を高くする制御を行う。また、冷却水排出口516の水温が室温より高いときは、各部を冷却できない可能性があるため、ペルチェ素子513の動作頻度を高くし、冷却水排出口516の水温が処理装置アイドル時の温度よりも低いときは、各部が過冷却となってしまうので、ペルチェ素子513の動作頻度を低くする制御を行う。
【0054】
冷却水供給口516に供給される冷却水の温度と冷却水排出口516から排出される冷却水との温度差が大きいと、ペルチェ素子513による熱の伝達性能が低下するが、ペルチェ素子513を積層することによって、ペルチェ素子513一枚当たりの温度差は減らすことができ、冷却水排出口516から排出される冷却水が高温となっても充分に熱の伝達を行う事ができる。
【0055】
(2)本実施形態に係る効果
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
【0056】
(a) 本実施形態によれば、ラジエータケース300からの熱を吸収するためのラジエータ冷却部501へ供給される冷却水の温度を下げることができ、冷却水の使用量を増大させずにラジエータ冷却部501の冷却性能を向上させることができる。また、余裕度が高くなるため冷却水の使用量を減少させることができる。
【0057】
(b) 本実施形態によれば、断熱天井壁45からの熱を吸収するための筐体天井壁冷却部502へ供給される冷却水の温度を下げることができ、冷却水の使用量を増大させずに筐体天井壁冷却部502の冷却性能を向上させることができる。また、余裕度が高くなるため冷却水の使用量を減少させることができる。
【0058】
(c) 本実施形態によれば、断熱側壁43からの熱を吸収するための筐体側壁冷却部503へ供給される冷却水の温度を下げることができ、冷却水の使用量を増大させずに筐体側壁冷却部503の冷却性能を向上させることができる。また、余裕度が高くなるため冷却水の使用量を減少させることができる。
【0059】
(d) 本実施形態によれば、プロセスチューブ11下端およびマニホールド16からの熱を吸収するための炉口冷却部504へ供給される冷却水の温度を下げることができ、冷却水の使用量を増大させずに炉口冷却部504の冷却性能を向上させることができる。また、余裕度が高くなるため冷却水の使用量を減少させることができる。
【0060】
<本発明の好ましい態様>
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
【0061】
<付記1>
本発明の一態様によれば、
基板を処理する処理室と、
当該処理室内を加熱する加熱部と、
前記処理室外に設けられ、前記処理室と前記処理室外の機器とを冷却する少なくとも1つ以上設けられた冷却部と、
前記冷却部に供給される冷媒の熱を、前記冷却部から排出される冷媒へ熱移動させる熱移動部と、
を有する基板処理装置が提供される。
【0062】
<付記2>
好ましくは、
前記熱移動部には、ペルチェ素子が設けられている
【0063】
<付記3>
また好ましくは、
前記冷媒は、水である。
【0064】
<付記4>
本発明の他の態様によれば、
基板を処理する処理室へ基板が搬入される工程と、
加熱部が前記処理室内を加熱する工程と、
少なくとも1つ以上設けられた冷却部が、前記処理室と、前記処理室外に設けられた機器を冷却する工程と、
熱移動部が、前記冷却部に供給される冷媒の熱を前記冷却部で加熱され、排出される冷媒へ移動させる工程と、
を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【符号の説明】
【0065】
10 装置
11 プロセスチューブ
12 アウタチューブ
13 インナチューブ
14 処理室
15 炉口
16 マニホールド
17 排気路
18 排気管
19 排気装置
20 圧力センサ
21 圧力コントローラ
22 ガス導入管
27 モータ
28 駆動コントローラ
29 モータ
30 回転軸
32 端板
33 端板
34 保持部材
35 保持溝
36 断熱キャップ部
40 ヒータユニット
41 ケース
42 断熱槽
43 断熱側壁
44 断熱ブロック
45 断熱天井壁
46 断熱プレート
47 発熱体
48 サブヒータユニット
49 天井発熱体
50 ホルダ
52 発熱体駆動装置
53 温度コントローラ
54 熱電対
61 冷却エア通路
62 給気ダクト
63 吹出口
64 給気管
65 排気孔
70 排気フード
76 排気ダクト
90 ダンパケース
100 処理装置
103 正面メンテナンス口
104 正面メンテナンス扉
105 回転式ポッド棚
106 排気ダクト
110 ポッド
111 筐体
111a 正面壁
112 ポッド搬入搬出口
113 フロントシャッタ
114 ロードポート
115 ボートエレベータ
116 支柱
117 棚板
118 ポッド搬送装置
118a ポッドエレベータ
118b ポッド搬送機構
119 サブ筐体
119a 正面壁
120 ウエハ搬入搬出口
121 ポッドオープナ
122 載置台
123 キャップ着脱機構
124 移載室
125 ウエハ移載機構
125a ウエハ移載装置
125b ウエハ移載装置エレベータ
125c ツイーザ
126 待機部
128 アーム
129 シールキャップ
133 クリーンエア
134 クリーンユニット
135 ノッチ合わせ装置
147 炉口シャッタ
200 ウエハ
217 ボート
300 ラジエータケース
501 ラジエータ冷却部
502 筐体天井壁冷却部
503 筐体側壁冷却部
504 炉口冷却部
505 流量計
506 熱移動部
511 断熱材
512 熱伝導体
513 ペルチェ素子
514a 電極
514b 電極
515 冷却水供給口
516 冷却水排出口
521 吸熱面
522 放熱面
600 コントローラ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する処理室と、
当該処理室内を加熱する加熱部と、
前記処理室外に設けられ、前記処理室と前記処理室外の機器とを冷却する少なくとも1つ以上設けられた冷却部と、
前記冷却部に供給される冷媒の熱を、前記冷却部から排出される冷媒へ熱移動させる熱移動部と、
を有する基板処理装置。


【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−89603(P2012−89603A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233524(P2010−233524)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】