説明

基板処理装置

【課題】ガス種による排気性のばらつきを解消し、ボックス内における処理ガスの対流を防止する基板処理装置を提供する。
【解決手段】複数のウエハに対して処理ガスにより熱処理を施すための処理炉を収容する装置本体100と、前記処理ガスの供給を制御するガス制御ユニットを収容するガスボックス300と、を有し、前記ガスボックス300の上方に設けられた吸気口305から外気を取り込み、前記ガスボックスの下部に設けられた排気口303から該ガスボックス内部の雰囲気を排気する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に対して成膜処理を行う基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置(IC)の製造工程において、基板に絶縁膜や金属膜及び半導体膜等のCVD(Chemical Vapor Deposition)膜を形成したり、不純物を拡散したりする基板処理装置が広く用いられている。従来からこの種の基板処理装置は、処理炉内に処理ガスを供給するガス供給源としてのガスボックスと、処理炉内を加熱する加熱機構であるヒータを収めるヒータボックスと、処理炉内のガスを排気するガス排気機構であるバルブボックスとを備えている。
【0003】
特許文献1は、ガスボックス73の上部にボックス内のガスを排気する排気口81aを設け、ボックスの下方に外気を吸込む吸込口84を設けて、この吸込口84からボックス内の漏洩ガス(処理ガス)が外へ流出しないよう、吸込口84を覆うように遮蔽板101を設ける技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−242791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の構造では、ボックスの上部から処理ガスを排気しているため、比重の重いガスは排気しづらく、ボックス内を対流し、排気されないという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、ガス種による排気性のばらつきを解消し、ボックス内における処理ガスの対流を防止する基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、複数のウエハに対して処理ガスにより熱処理を施すための処理炉を収容する装置本体と、前記処理ガスの供給を制御するガス制御ユニットを収容するガスボックスと、を有し、前記ガスボックスの上方に設けられた吸気口から外気を取り込み、前記ガスボックスの下部に設けられた排気口から該ガスボックス内部の雰囲気を排気する基板処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ガス種による排気性のばらつきを解消し、ボックス内における処理ガスの対流を防止する基板処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る基板処理装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る基板処理装置を示す側面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る基板処理装置で用いられる処理炉の縦断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る基板処理装置で用いられるガスボックスの縦断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係るガスボックスの吸気と排気を説明する斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るガスボックスのエア系統図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係るガスボックスの吸気と排気を説明する(a)は斜視図であって、(b)はエア系統図である。
【図8】本発明の比較例に係るガスボックスの吸気と排気を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0011】
本発明を実施するための形態において、基板処理装置は、一例として、半導体装置(IC)の製造方法における処理工程を実施する半導体製造装置として構成されている。尚、以下の説明では、基板処理装置として基板に酸化、拡散処理やCVD処理などを行う縦型の装置(以下、単に処理装置という)を適用した場合について述べる。図1は、本発明に適用される処理装置の斜透視図として示されている。また、図2は図1に示す処理装置の側面透視図である。
【0012】
図1および2に示されているように、シリコン等からなるウエハ(基板)200を収納したウエハキャリアとしてフープ(基板収容器。以下ポッドという。)110が使用されている本発明の処理装置100は、筐体111を備えている。筐体111の正面壁111aの正面前方部にはメンテナンス可能なように設けられた開口部としての正面メンテナンス口103が開設され、この正面メンテナンス口103を開閉する正面メンテナンス扉104、104がそれぞれ建て付けられている。
筐体111の正面壁111aにはポッド搬入搬出口(基板収容器搬入搬出口)112が筐体111の内外を連通するように開設されており、ポッド搬入搬出口112はフロントシャッタ(基板収容器搬入搬出口開閉機構)113によって開閉されるようになっている。
ポッド搬入搬出口112の正面前方側にはロードポート(基板収容器受渡し台)114が設置されており、ロードポート114はポッド110を載置されて位置合わせするように構成されている。ポッド110はロードポート114上に工程内搬送装置(図示せず)によって搬入され、かつまた、ロードポート114上から搬出されるようになっている。
【0013】
筐体111内の前後方向の略中央部における上部には、回転式ポッド棚(基板収容器載置棚)105が設置されており、回転式ポッド棚105は複数個のポッド110を保管するように構成されている。すなわち、回転式ポッド棚105は垂直に立設されて水平面内で間欠回転される支柱116と、支柱116に上中下段の各位置において放射状に支持された複数枚の棚板(基板収容器載置台)117とを備えており、複数枚の棚板117はポッド110を複数個宛それぞれ載置した状態で保持するように構成されている。
筐体111内におけるロードポート114と回転式ポッド棚105との間には、ポッド搬送装置(基板収容器搬送装置)118が設置されており、ポッド搬送装置118は、ポッド110を保持したまま昇降可能なポッドエレベータ(基板収容器昇降機構)118aと搬送機構としてのポッド搬送機構(基板収容器搬送機構)118bとで構成されており、ポッド搬送装置118はポッドエレベータ118aとポッド搬送機構118bとの連続動作により、ロードポート114、回転式ポッド棚105、ポッドオープナ(基板収容器蓋体開閉機構)121との間で、ポッド110を搬送するように構成されている。
【0014】
筐体111内の前後方向の略中央部における下部には、サブ筐体119が後端にわたって構築されている。サブ筐体119の正面壁119aにはウエハ200をサブ筐体119内に対して搬入搬出するためのウエハ搬入搬出口(基板搬入搬出口)120が一対、垂直方向に上下二段に並べられて開設されており、上下段のウエハ搬入搬出口120、120には一対のポッドオープナ121、121がそれぞれ設置されている。
ポッドオープナ121はポッド110を載置する載置台122、122と、ポッド110のキャップ(蓋体)を着脱するキャップ着脱機構(蓋体着脱機構)123、123とを備えている。ポッドオープナ121は載置台122に載置されたポッド110のキャップをキャップ着脱機構123によって着脱することにより、ポッド110のウエハ出し入れ口を開閉するように構成されている。
【0015】
サブ筐体119はポッド搬送装置118や回転式ポッド棚105の設置空間から流体的に隔絶された移載室124を構成している。移載室124の前側領域にはウエハ移載機構(基板移載機構)125が設置されており、ウエハ移載機構125は、ウエハ200を水平方向に回転ないし直動可能なウエハ移載装置(基板移載装置)125aおよびウエハ移載装置125aを昇降させるためのウエハ移載装置エレベータ(基板移載装置昇降機構)125bとで構成されている。図1に模式的に示されているようにウエハ移載装置エレベータ125bは、耐圧筐体111右側端部とサブ筐体119の移動室124前方領域右端部との間に設置されている。これら、ウエハ移載装置エレベータ125bおよびウエハ移載装置125aの連続動作により、ウエハ移載装置125aのツイーザ(基板保持体)125cをウエハ200の載置部として、ボート(基板保持具)217に対してウエハ200を装填(チャージング)および脱装(ディスチャージング)するように構成されている。
【0016】
移載室124の後側領域には、ボート217を収容して待機させる待機部126が構成されている。待機部126の上方には、処理炉202が設けられている。処理炉202の下端部は、炉口シャッタ(炉口開閉機構)147により開閉されるように構成されている。
【0017】
図1に模式的に示されているように、耐圧筐体111右側端部とサブ筐体119の待機部126右端部との間にはボート217を昇降させるためのボートエレベータ(基板保持具昇降機構)115が設置されている。ボートエレベータ115の昇降台に連結された連結具としてのアーム128には蓋体としてのシールキャップ219が水平に据え付けられており、シールキャップ219はボート217を垂直に支持し、処理炉202の下端部を閉塞可能なように構成されている。
ボート217は複数本の保持部材を備えており、複数枚(例えば、50枚〜125枚程度)のウエハ200をその中心を揃えて垂直方向に整列させた状態で、それぞれ水平に保持するように構成されている。
【0018】
図1に模式的に示されているように移載室124のウエハ移載装置エレベータ125b側およびボートエレベータ115側と反対側である左側端部には、清浄化した雰囲気もしくは不活性ガスであるクリーンエア133を供給するよう供給ファンおよび防塵フィルタで構成されたクリーンユニット134が設置されており、ウエハ移載装置125aとクリーンユニット134との間には、図示はしないが、ウエハの円周方向の位置を整合させる基板整合装置としてのノッチ合わせ装置135が設置されている。
クリーンユニット134から吹き出されたクリーンエア133は、ノッチ合わせ装置135およびウエハ移載装置125a、待機部126にあるボート217に流通された後に、図示しないダクトにより吸い込まれて、筺体111の外部に排気がなされるか、もしくはクリーンユニット134の吸い込み側である一次側(供給側)にまで循環され、再びクリーンユニット134によって、移載室124内に吹き出されるように構成されている。
【0019】
次に、本発明の処理装置の動作について説明する。
図1および2に示されているように、ポッド110がロードポート114に供給されると、ポッド搬入搬出口112がフロントシャッタ113によって開放され、ロードポート114の上のポッド110はポッド搬送装置118によって筐体111の内部へポッド搬入搬出口112から搬入される。
搬入されたポッド110は回転式ポッド棚105の指定された棚板117へポッド搬送装置118によって自動的に搬送されて受け渡され、一時的に保管された後、棚板117から一方のポッドオープナ121に搬送されて載置台122に移載されるか、もしくは直接ポッドオープナ121に搬送されて載置台122に移載される。この際、ポッドオープナ121のウエハ搬入搬出口120はキャップ着脱機構123によって閉じられており、移載室124にはクリーンエア133が流通され、充満されている。例えば、移載室124にはクリーンエア133として窒素ガスが充満することにより、酸素濃度が20ppm以下と、筐体111の内部(大気雰囲気)の酸素濃度よりも遥かに低く設定されている。
【0020】
載置台122に載置されたポッド110はその開口側端面がサブ筐体119の正面壁119aにおけるウエハ搬入搬出口120の開口縁辺部に押し付けられるとともに、そのキャップがキャップ着脱機構123によって取り外され、ウエハ出し入れ口を開放される。
ポッド110がポッドオープナ121によって開放されると、ウエハ200はポッド110からウエハ移載装置125aのツイーザ125cによってウエハ出し入れ口を通じてピックアップされ、ノッチ合わせ装置135にてウエハを整合した後、移載室124の後方にある待機部126へ搬入され、ボート217に装填(チャージング)される。ボート217にウエハ200を受け渡したウエハ移載装置125aはポッド110に戻り、次のウエハ200をボート217に装填する。
【0021】
この一方(上段または下段)のポッドオープナ121におけるウエハ移載機構125によるウエハのボート217への装填作業中に、他方(下段または上段)のポッドオープナ121には回転式ポッド棚105から別のポッド110がポッド搬送装置118によって搬送されて移載され、ポッドオープナ121によるポッド110の開放作業が同時進行される。
【0022】
予め指定された枚数のウエハ200がボート217に装填されると、炉口シャッタ147によって閉じられていた処理炉202の下端部が、炉口シャッタ147によって、開放される。続いて、ウエハ200群を保持したボート217はシールキャップ219がボートエレベータ115によって上昇されることにより、処理炉202内へ搬入(ローディング)されて行く。
【0023】
ローディング後は、処理炉202にてウエハ200に任意の処理が実施される。
処理後は、ノッチ合わせ装置135でのウエハの整合工程を除き、概上述の逆の手順で、ウエハ200およびポッド110は筺体111の外部へ搬出される。
【0024】
図3は本発明の実施の形態で好適に用いられる基板処理装置の処理炉202の概略構成図であり、縦断面図として示されている。
【0025】
図3に示されているように、処理炉202は加熱機構としてのヒータ206を有する。ヒータ206は円筒形状であり、保持板としてのヒータベース251に支持されることにより垂直に据え付けられている。
【0026】
ヒータ206の内側には、ヒータ206と同心円状に反応容器としてのプロセスチューブ203が配設されている。プロセスチューブ203は内部反応容器としてのインナーチューブ204と、その外側に設けられた外部反応容器としてのアウターチューブ205とから構成されている。インナーチューブ204は、例えば石英(SiO2)または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料からなり、上端および下端が開口した円筒形状に形成されている。インナーチューブ204の筒中空部には処理室201が形成されており、基板としてのウエハ200をボート217によって水平姿勢で垂直方向に多段に整列した状態で収容可能に構成されている。アウターチューブ205は、例えば石英または炭化シリコン等の耐熱性材料からなり、内径がインナーチューブ204の外径よりも大きく上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されており、インナーチューブ204と同心円状に設けられている。
【0027】
アウターチューブ205の下方には、アウターチューブ205と同心円状にマニホールド209が配設されている。マニホールド209は、例えばステンレス等からなり、上端および下端が開口した円筒形状に形成されている。マニホールド209は、インナーチューブ204とアウターチューブ205に係合しており、これらを支持するように設けられている。なお、マニホールド209とアウターチューブ205との間にはシール部材としてのOリング220aが設けられている。マニホールド209がヒータベース251に支持されることにより、プロセスチューブ203は垂直に据え付けられた状態となっている。プロセスチューブ203とマニホールド209により反応容器が形成される。
【0028】
シールキャップ219にはガス導入部としてのノズル230が処理室201内に連通するように接続されており、ノズル230にはガス供給管232が接続されている。ガス供給管232のノズル230との接続側と反対側である上流側には、ガス流量制御器としてのMFC(マスフローコントローラ)241を介して図示しない処理ガス供給源や不活性ガス供給源が接続されている。MFC241には、ガス流量制御部(ガス流量コントローラ)235が電気的に接続されており、供給するガスの流量が所望の量となるよう所望のタイミングにて制御するように構成されている。
【0029】
マニホールド209には、処理室201内の雰囲気を排気する排気管231が設けられている。排気管231は、インナーチューブ204とアウターチューブ205との隙間によって形成される筒状空間250の下端部に配置されており、筒状空間250に連通している。排気管231のマニホールド209との接続側と反対側である下流側には圧力検出器としての圧力センサ245および圧力調整装置242を介して真空ポンプ等の真空排気装置246が接続されており、処理室201内の圧力が所定の圧力(真空度)となるよう真空排気し得るように構成されている。圧力調整装置242および圧力センサ245には、圧力制御部(圧力コントローラ)236が電気的に接続されており、圧力制御部236は圧力センサ245により検出された圧力に基づいて圧力調整装置242により処理室201内の圧力が所望の圧力となるよう所望のタイミングにて制御するように構成されている。
【0030】
マニホールド209の下方には、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219はマニホールド209の下端に垂直方向下側から当接されるようになっている。シールキャップ219は例えばステンレス等の金属からなり、円盤状に形成されている。シールキャップ219の上面にはマニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリング220bが設けられる。シールキャップ219の処理室201と反対側には、ボートを回転させる回転機構254が設置されている。回転機構254の回転軸255はシールキャップ219を貫通して、後述するボート217に接続されており、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させるように構成されている。シールキャップ219はプロセスチューブ203の外部に垂直に設備された昇降機構としてのボートエレベータ115によって垂直方向に昇降されるように構成されており、これによりボート217を処理室201に対し搬入搬出することが可能となっている。回転機構254及びボートエレベータ115には、駆動制御部(駆動コントローラ)237が電気的に接続されており、所望の動作をするよう所望のタイミングにて制御するように構成されている。
【0031】
基板保持具としてのボート217は、例えば石英や炭化珪素等の耐熱性材料からなり、複数枚のウエハ200を水平姿勢でかつ互いに中心を揃えた状態で整列させて多段に保持するように構成されている。なおボート217の下部には、例えば石英や炭化珪素等の耐熱性材料からなる円板形状をした断熱部材としての断熱板216が水平姿勢で多段に複数枚配置されており、ヒータ206からの熱がマニホールド209側に伝わりにくくなるよう構成されている。
【0032】
プロセスチューブ203内には、温度検出器としての温度センサ263が設置されている。ヒータ206と温度センサ263には、電気的に温度制御部238が接続されており、温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ206への通電具合を調整することにより処理室201内の温度が所望の温度分布となるよう所望のタイミングにて制御するように構成されている。
【0033】
ガス流量制御部235、圧力制御部236、駆動制御部237、温度制御部238は、操作部、入出力部をも構成し、基板処理装置全体を制御する主制御部239に電気的に接続されている。これら、ガス流量制御部235、圧力制御部236、駆動制御部237、温度制御部238、主制御部239はコントローラ240として構成されている。
【0034】
次に、上記構成に係る処理炉202を用いて、半導体デバイスの製造工程の一工程として、CVD法によりウエハ200上に薄膜を形成する方法について説明する。尚、以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ240により制御される。
【0035】
複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)されると、図3に示されているように、複数枚のウエハ200を保持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201に搬入(ボートローディング)される。この状態で、シールキャップ219はOリング220bを介してマニホールド209の下端をシールした状態となる。
【0036】
処理室201内が所望の圧力(真空度)となるように真空排気装置246によって真空排気される。この際、処理室201内の圧力は、圧力センサ245で測定され、この測定された圧力に基づき圧力調節器242が、フィードバック制御される。また、処理室201内が所望の温度となるようにヒータ206によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ206への通電具合がフィードバック制御される。続いて、回転機構254により、ボート217が回転されることで、ウエハ200が回転される。
【0037】
次いで、処理ガス供給源から供給され、MFC241にて所望の流量となるように制御されたガスは、ガス供給管232を流通してノズル230から処理室201内に導入される。導入されたガスは処理室201内を上昇し、インナーチューブ204の上端開口から筒状空間250に流出して排気管231から排気される。ガスは処理室201内を通過する際にウエハ200の表面と接触し、この際に熱CVD反応によってウエハ200の表面上に薄膜が堆積(デポジション)される。
【0038】
予め設定された処理時間が経過すると、不活性ガス供給源から不活性ガスが供給され、処理室201内が不活性ガスに置換されるとともに、処理室201内の圧力が常圧に復帰される。
【0039】
その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降されて、マニホールド209の下端が開口されるとともに、処理済ウエハ200がボート217に保持された状態でマニホールド209の下端からプロセスチューブ203の外部に搬出(ボートアンローディング)される。その後、処理済ウエハ200はボート217より取出される(ウエハディスチャージ)。
【0040】
なお、一例まで、本実施の形態の処理炉にてウエハを処理する際の処理条件としては、例えば、Si34膜の成膜においては、処理温度600〜700℃、処理圧力20〜40Pa、成膜ガス種SiH2Cl2,NH3、成膜ガス供給流量SiH2Cl2:0〜99.999slm,NH3:0〜99.999slmが例示され、それぞれの処理条件を、それぞれの範囲内のある値で一定に維持することでウエハに処理がなされる。
【0041】
次に、本発明の処理装置に適用される処理炉202内にノズル230を介してガスを供給するボックス型ユニットの一例としてガスボックス300について詳述する。図4は、ガスボックス300の縦断面図であり、図5は、ガスボックス300の吸気と排気を説明するための斜視図である。
【0042】
ガスボックス300は、MFC(マスフローコントローラ)241やAV(エアバルブ)301等のバルブと、それらを繋ぐガス供給管232を内蔵している。すなわち、ガスボックス300は、ガス供給源より受け取ったガスをMFC241やAV301等により制御し、ガスを所望のタイミングと流量で処理炉202に供給する。
【0043】
ガスボックス300の側面上方には、外気を取り込む吸気口としてのスリット305が複数形成されている。また、ガスボックス300の下面には、ボックス内の雰囲気を排気する排気口としての排気ダクト303が接続されている。すなわち、ガスボックス300の側面上方に形成された複数のスリット305から外気を取り込んで吸気し、ボックス内にボックス外の雰囲気を取り入れて、ガスボックス300の下面に設けられた排気ダクト303からボックス内の雰囲気が排気される。
【0044】
ガス種は様々で有害なもの、可燃性のものがあり、ガスボックス300内でガスが漏れる場合があるが、ボックス内雰囲気の排気を行うことにより、ボックス内にガスが対流しないようにすることができる。また、比重の重いガスであってもガスボックス300内から効率よく排気することができる。
【0045】
(第2の実施形態)
図6は、本発明の第2の実施形態に係るガスボックスの吸引方式の系統図を示している。
第2の実施形態に係るガスボックス300では、上述した図5におけるガスボックス300の排気ダクト303の下流側に負圧ラインを接続する。これにより、ガスボックス300内部は負圧となり流れが発生する。また、ボックス内部は負圧となるため、ボックス内雰囲気がボックス外へ漏れることがなく、安全である。
【0046】
(第3の実施形態)
図7は、本発明の第3の実施形態に係るガスボックス300の吸気と排気を説明する(a)は斜視図であって、(b)は、吸引方式の系統図を示している。
第3の実施形態に係るガスボックス300では、スリット305の代わりに吸気口としての吸気ダクト304をガスボックス300の上面に取付け、吸気ダクト304の上流側に加圧ラインを接続する。これにより、ガスボックス300内部は加圧となり流れが発生する。ここで、ボックス内部は加圧であるが、ボックスはスリット305等のない密閉性の高い構造なのでボックス内雰囲気がボックス外に漏れることが抑制され、排気ダクト303を介してボックス外にボックス内雰囲気が排気される。
【0047】
(比較例)
図9は、比較例に係るガスボックス300を示している。
比較例に係るガスボックス300は、ガスボックス300の側面下方に外気を取り込む吸気口としてのスリット305が複数形成されている。また、ガスボックス300の上面にボックス内の雰囲気を排気する排気口としての排気ダクト303が接続されている。すなわち、ガスボックス300の側面下方に形成されたスリット305から外気を取り込んで吸気し、ボックス内にボックス外の雰囲気を取り入れて、ガスボックス300の上部に設けられた排気ダクト303からボックス内の雰囲気を排気する。すなわち、比重の軽いガスをガスボックス300内から効率よく排気することができるが、比重の重いガスは排気しずらい。
【0048】
すなわち、本発明の実施形態によれば、ガス種による排気性のばらつきを解消し、ガス種によらず効果的に排気できる。
【0049】
なお、比重の軽いガス、重いガスの両方を扱う場合には、危険性の高い種類のガスに優先した構造をガスボックス300に適用するとよい。
【0050】
また、成膜例につきSiN膜を形成する例を挙げたがこれに限らず、膜種、ガス種によらず、適用される。
【0051】
[本発明の好ましい態様]
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
【0052】
(付記1)
複数のウエハに対して処理ガスにより熱処理を施すための処理炉を収容する装置本体と、前記処理ガスの供給を制御するガス制御ユニットを収容するガスボックスと、を有し、前記ガスボックスの上方に設けられた吸気口から外気を取り込み、前記ガスボックスの下部に設けられた排気口から該ガスボックス内部の雰囲気を排気する基板処理装置。
【0053】
(付記2)
複数のウエハに対して処理ガスにより熱処理を施すための処理炉を収容する装置本体と、前記処理ガスの供給を制御するガス制御ユニットを収容するガスボックスと、電気部品を収容する電気系ボックスとを有する熱処理装置において、前記ガスボックス上方から外気を取り込み、該ガスボックスの下部からガスボックス内の排気を行う熱処理装置。
【0054】
(付記3)
基板を収容する収容器の蓋体開閉機構と、前記基板を処理する処理室と、前記基板を保持して前記処理室に搬入する基板保持具と、前記処理室の下方に設けられ、前記基板が待機する待機室と、前記蓋体開閉機構から前記基板保持具へ前記基板を搬送する基板移載機構と、前記待機室の側方に設けられ、該待機室に不活性ガスないし酸素含有ガスを供給するガス供給部と、前記ガス供給部に対向する前記待機室側方に設けられ、前記待機室から前記不活性ガスないし前記酸素含有ガスを排気するガス排出部を備える基板処理装置。
【0055】
(付記4)
ボックス型ユニットを有し、前記ボックス型ユニット内雰囲気を対流することなく排気するために、前記不活性ガスないし前記酸素含有ガスを供給するための加圧ラインを備える付記3記載の基板処理装置。
【0056】
(付記5)
ボックス型ユニットを有し、前記ボックス型ユニット内雰囲気を対流することなく排気するために、前記不活性ガスないし前記酸素含有ガスを排出するための負圧ラインを備える付記3記載の基板処理装置。
【符号の説明】
【0057】
100 基板処理装置
200 ウエハ(基板)
201 処理室
202 処理炉
206 ヒータ
217 ボート
231 排気管
232 ガス供給管
241 マスフローコントローラ(MFC)
300 ガスボックス
301 エアバルブ(AV)
303 排気ダクト
304 吸気ダクト
305 スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のウエハに対して処理ガスにより熱処理を施すための処理炉を収容する装置本体と、前記処理ガスの供給を制御するガス制御ユニットを収容するガスボックスと、を有し、
前記ガスボックスの上方に設けられた吸気口から外気を取り込み、前記ガスボックスの下部に設けられた排気口から該ガスボックス内部の雰囲気を排気する基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−62271(P2013−62271A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197881(P2011−197881)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】