説明

基板洗浄装置

【課題】噴射する液滴の粒径を一層均一に微小化することにより、基板上に形成された微細素子へのダメージを防止し、微小異物の洗浄が可能となる基板洗浄装置を提供する。
【解決手段】被洗浄基板80が載置される基板載置部70と、微小液滴を生成、加速する気体を供給する気体供給部50と、微小気泡を発生して微小気泡含有液を生成する微小気泡含有液生成部60と、微小液滴を噴射する2流体ノズル1とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に形成された微細素子を洗浄する基板洗浄装置に係り、詳しくは、基板上に形成された微細素子へのダメージを防止し、微小異物の洗浄が可能となる基板洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハやディスプレイ用ガラス基板等、微細パターンが加工された基板表面を洗浄する場合、パターンの損傷を防ぐため、2流体ジェット洗浄が用いられている。図2は、従来の2流体ノズルを示す構造図である。図2において、2流体ノズル5は、液滴発生部15、液滴加速部25、気体導入部35、および液体導入部45を有している。
【0003】
液体が液体導入部45から液滴発生部15に供給され、且つ、高圧の気体が気体導入部35から液滴発生部15に供給されると、供給された気体は、高速流体となって液体を液滴化し、さらに液滴加速部25においてこれを加速して被洗浄物に対して噴射し、被洗浄物の表面を洗浄する。ところが、この液滴の粒径が大きいと、加工された素子にダメージが発生する場合がある。このため、噴射する液滴の微細化、液供給方法やノズルの形状、供給する液体と気体の圧力調整などにより、このダメージの軽減が図られているが、素子の微細化が進むにつれて、更なるダメージの防止が要求されている。
【0004】
特許文献1には、予め気泡発生用のガスを溶解させた過飽和状態の液体と噴射用のガスを混合して液滴を形成し、この液滴を噴射して液滴の大きさを均一に小さくし、被洗浄物の表面に形成された素子等を破壊することなく、表面に付着している異物等を除去する洗浄方法および洗浄装置の記載がある。ところが、過飽和状態の液体であっても、液体に溶け込んでいる気体はごく微量であるため、液滴を微細化する効果は小さい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−223995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、噴射する液滴の粒径を一層均一に微小化することにより、基板上に形成された微細素子へのダメージを防止し、微小異物の洗浄が可能となる基板洗浄装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の基板洗浄装置は、基板上に形成された微細素子を洗浄する基板洗浄装置であって、被洗浄基板が載置される基板載置部と、微小液滴を生成、加速する気体を供給する気体供給部と、微小気泡を発生して微小気泡含有液を生成する微小気泡含有液生成部と、微小液滴を生成、加速し、噴射する2流体ノズルとを有することを特徴とする。
【0008】
本発明の基板洗浄装置の2流体ノズルは、気体導入部と、微小気泡含有液導入部と、微小液滴発生部、微小液滴加速部とを有し、気体導入部と微小液滴発生部と微小液滴加速部とは一体化されてノズル形状を成し、微小気泡含有液導入部は、微小液滴発生部の内部に配備され、気体供給部は気体導入部に接続され、微小気泡含有液生成部は微小気泡含有液導入部に接続されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の基板洗浄装置の微小気泡含有液生成部は、液中の微小気泡の大きさ、および数量を制御する微小気泡制御部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、噴射する液滴の粒径を一層均一に微小化することができるため、基板上に形成された微細素子へのダメージを防止し、微小異物の洗浄が可能となる基板洗浄装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明による基板洗浄装置の構成を示す装置構成図。
【図2】従来の2流体ノズルの構造を示す構造図。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0012】
本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。図1は、本発明による基板洗浄装置の構成を示す装置構成図である。図1において、基板洗浄装置100は、被洗浄基板80が載置される基板載置部70と、微小液滴を生成、加速する気体を供給する気体供給部50と、微小気泡を発生して微小気泡含有液を生成する微小気泡含有液生成部60と、微小液滴を噴射する2流体ノズル1とを有している。
【0013】
2流体ノズル1は、気体導入部30と、微小気泡含有液導入部40と、微小液滴発生部10、微小液滴加速部20とを有し、気体導入部30と微小液滴発生部10と微小液滴加速部20とは一体化されてノズル形状を成している。微小気泡含有液導入部40は、気体導入部30と微小液滴発生部10との内部に配備され、気体供給部50は気体導入部30に接続され、微小気泡含有液生成部60は微小気泡含有液導入部40に接続されている。微小気泡含有液生成部60は、液中の微小気泡の大きさ、および数量を制御する微小気泡制御部65を有している。
【0014】
つぎに基板洗浄装置100の動作を説明する。微小気泡含有液生成部60には、洗浄用の所望の液体と微小気泡を発生させるための気体が供給される。液中の微小気泡の大きさ、および数量を制御する微小気泡制御部65は、所望の大きさと数量の微小気泡が液体中で発生するよう、供給された気体の圧力、流速等を調整して洗浄用の液体中に噴射する。これによりマイクロバブル、またはナノバブルと称される微小気泡が発生し、微小気泡含有液が生成される。この場合、気体は液体中に溶け込む必要はなく、気泡として存在するため、二酸化炭素ガスに限定されることはなく、洗浄条件を満たす任意の気体を選択することができる。
【0015】
この生成された微小気泡含有液が、微小気泡含有液導入部40を介して、2流体ノズル1の微小液滴発生部10へ供給される。このとき、より多くの微小液滴を発生させるため、気体導入部30から、エアー、窒素ガス等の所望の気体が、気体導入部30を介して微小液滴発生部10へ供給される。これにより、微小液滴発生部10内では、多量の微小液滴が生成される。マイクロバブル、ナノバブルの微小気泡は液中に均一に存在するため、生成される微小液滴の粒径は均一となる。
【0016】
この均一で多量の微小液滴は、微小液滴加速部20において、気体導入部30からの高圧ガスにより加速され、基板載置部70に載置された被洗浄基板80上に噴射される。このとき、噴射された微小液滴の圧力状態は、2流体ノズル1の先端で加圧状態から大気圧に開放されるため、液滴内の気泡が膨張してはじけ、さらに微小な液滴となって被洗浄基板80上に噴射される。これにより、基板上に形成された微細素子へダメージを与えることなく、微小異物の洗浄が可能となる
【0017】
以上説明したように本発明によれば、噴射する液滴の粒径を一層均一に微小化することができるため、基板上に形成された微細素子へのダメージを防止し、微小異物の洗浄が可能となる基板洗浄装置を提供できる。
【符号の説明】
【0018】
1、5 2流体ノズル
10 微小液滴発生部
15 液滴発生部
20 微小液滴加速部
25 液滴加速部
30、35 気体導入部
40 微小気泡含有液導入部
45 液体導入部
50 気体供給部
60 微小気泡含有液生成部
65 微小気泡制御部
70 基板載置部
80 被洗浄基板
100 基板洗浄装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成された微細素子を洗浄する基板洗浄装置であって、
被洗浄基板が載置される基板載置部と、微小液滴を生成、加速する気体を供給する気体供給部と、微小気泡を発生して微小気泡含有液を生成する微小気泡含有液生成部と、微小液滴を生成、加速し、噴射する2流体ノズルとを有することを特徴とする基板洗浄装置。
【請求項2】
前記2流体ノズルは、気体導入部と、微小気泡含有液導入部と、微小液滴発生部、微小液滴加速部とを有し、
前記気体導入部と前記微小液滴発生部と前記微小液滴加速部とは一体化されてノズル形状を成し、
前記微小気泡含有液導入部は、前記微小液滴発生部の内部に配備され、
前記気体供給部は前記気体導入部に接続され、前記微小気泡含有液生成部は前記微小気泡含有液導入部に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の基板洗浄装置。
【請求項3】
前記微小気泡含有液生成部は、液中の前記微小気泡の大きさ、および数量を制御する微小気泡制御部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の基板洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−212519(P2010−212519A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58542(P2009−58542)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000219004)島田理化工業株式会社 (205)
【Fターム(参考)】