説明

基板配線形成方法、基板配線形成装置、及びめっき抑制物質転写スタンプ

【課題】 断線等の不具合の発生を抑制し、CMP工程に要する時間を適正な範囲に抑え、めっき工程終了時点及びCMP工程で十分な平坦化ができ、余剰な金属を余すことなく除去でき、シード層、バリア層、絶縁層等の間に剥離を生じることなく、且つディシングやエロージョンを生じることもないような金属めっき膜を電解めっきにより基板に形成して基板配線を形成する基板配線形成方法、装置,及びめっき抑制物質転写スタンプを提供すること。
【解決手段】 基板10に形成された配線溝やコンタクトホール等の凹部11を電解めっきにより銅13で埋め込み配線を形成する基板配線形成方法において、基板の凹部11内表面を除く該基板10の最表面にめっきを抑制するめっき抑制物質(インク4)を付着させる工程、電解めっきを行う工程、めっき抑制物質(インク4)を離脱させる工程、さらに電解めっきを行う工程を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板の表面に形成された配線溝やコンタクトホール等の凹部内を電解めっきにより金属で埋め込み半導体デバイス(半導体集積回路)の配線を形成する基板配線形成方法、基板配線形成装置、及び基板の凹部内表面を除く表面にめっき抑制物質を転写するめっき抑制物質転写スタンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路の内部配線の金属材料としては、従来はアルミニウムやアルミニウム合金が使われてきたが、昨今では電気抵抗が低くエレクトロマイグレーション耐性のある銅が用いられてきている。銅で配線を形成するために図1(a)に示すように、銅(銅めっき膜102)を基板の絶縁層100に設けたコンタクトホールや配線溝(以下「トレンチ」ともいう)101内に埋め込み、更に基板のコンタクトホールや配線溝101が加工された面の全表面に堆積させてめっき工程を終了し、その後過剰の銅や銅拡散防止のバリア層103をCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)により除去・平坦化するダマシン法が用いられている。この銅の埋め込みには通常電解銅めっきを行うが、通電のためのシード層とよばれる銅の層(図示せず)をスパッタリング等によりバリア層103の上に予め成膜している。
【0003】
上記CMP工程により銅めっき膜102が形成された側の基板の表面を平坦化する場合、図1(b)に示すように残しておくべき銅めっき膜102の配線部102aも一部削ってしまうディシング104やエロージョン105を発生させてしまうので、これらを避けるために、図3に示すように予め銅めっき膜102の厚さを厚くする。即ち、基板の配線形成側表面全体に堆積させる銅めっき膜102の堆積厚さを厚くすることで、めっき表面全体を平坦化させる方法がとられている。しかしながら、銅めっき膜102の厚さを厚くすると、CMP工程の時間が多くかかってしまう。一方、銅めっき膜102が薄い程めっき終了後の表面形状は半導体基板のコンタクトホールやトレンチ等の凹凸をそのまま準えてしまい、基板表面に凹凸(図1(a)102b参照)を残すこととなる。
【0004】
この状態でCMPを行ってしまうと、基板表面の余剰な銅めっき膜102の除去や基板表面の平坦化が困難となるばかりでなく、基板の配線部にディシング104やエロージョン105を発生してしまう。即ち、銅めっき膜102の厚さを厚くするとCMP工程に多大な時間を要することになるし、反対に薄くすると余剰な銅めっき膜102の除去や基板の平坦化が困難となったり、ディシング104やエロージョン105をが発生する等の不具合がある。
【0005】
そこでめっき終了時点での表面の平坦化を図るため、従来からめっき液中に様々な添加剤を入れている。めっき液として硫酸銅めっき液を使用した電解銅めっきで微細な配線パターンになる溝(トレンチやビアホール)に銅の埋め込みを行うためには、均一電着性(厚さが均一にめっきされる浴の能力)及びレベリング性(素地の微視的な凹凸や、研磨の条こん等を平滑化する電気めっき浴の能力)の高いめっきプロセスを実現する必要があるからである。そのため従来は平坦にめっきを行うための技術として、めっき液に下記(1)乃至(3)に示すような添加剤と呼ばれる化合物を加えることが一般に行われている。尚めっきにより銅を埋め込んで微細な配線等を形成するために半導体基板の表面に形成された凹部は前述したようにコンタクトホール、ビアホール、配線溝、トレンチ、溝等のように凹部の形成等に応じていくつかの呼び方があるが、本発明ではそれら凹部をあえて区別する必要が無いので、以降この呼称によって文意を明確にする必要があるときには統一的に、凹部と呼ぶか又は配線溝等と呼ぶ。
【0006】
(1)めっき面の多数の箇所に結晶核を生成させて析出粒子の微細化を促進するキャリアと呼ばれる硫黄化合物
(2)銅析出の過電圧を高めて均一電着性を向上させるポリマ
(3)めっきが成長しやすい凸部(基板においては、配線溝等の凹部が加工形成されていない部分、即ち基板の最表面に相当する)に吸着し過電圧を増加させて凸部即ち最表面への析出を遅らせることにより、平坦なめっきを可能とするレベラと呼ばれる窒素化合物
なお、前述のように基板においては、(イ)配線溝等の凹部が加工形成された部分と、(ロ)配線溝等が加工形成されていない部分とが有り、これらは例えば図3に代表的に例示する通りである。本発明においては、これらに対する呼称によって文意を明確にする必要があるときには、前記(イ)の部分即ち凹部内の表面を基板の凹部内表面または凹部内表面と言い、前記(ロ)の部分を基板の最表面又は基板凸部と言う。図2及び図3において、51は基板の最表面を、52は凹部内表面を指す。
【0007】
しかしながら、めっき液中に上記(1)乃至(3)の化合物を添加剤として入れると、めっきされた銅めっき膜102中にこれらの化合物が不純物として取込まれ、電気伝導度に悪影響を与える可能性がある。
【0008】
平坦な電解銅めっきを実現させる方法として電気化学機械析出(ECMD)技術が「Method and Apparatus for Electrochemical Mechanical Deposition」と題して下記特許文献1に開示されている。この方法によれば銅を析出する際に銅配線部を形成しないフィールド領域をパッドで研磨することによって、該フィールド領域上への銅析出を最小限にしながら、基板表面上のトレンチの中への銅の優先的な析出を達成し、それにより最終的には銅が析出される側の基板表面に全体的に平坦な銅析出物を生成するという。
【0009】
また、シリコーン樹脂上に塗布したアルカンチオールを基板に対して接触転写する所謂マイクロコンタクトプリンデングを用いた論文が下記非特許文献1に掲載されている。この方法は、基板の銅配線を埋め込む側の最表面(基板凸部)に予めクイクロコンタクトプリンティングを用いてめっき抑制物質であるアルカンチオールを転写させてその部分における銅めっきを抑制し、凹部にのみ銅を堆積させる方法で、新しいプロセスとして提唱されている。
【0010】
この方法ならば確かに、CMP工程において余剰な銅の除去や基板の平坦化は一層好ましく行うことができ、またディシング104やエロージョン105(図1(b)参照)の発生も抑えることができる。しかしながらこの方法は、基板凸部(基板の最表面)においてはダマシン銅めっきを完全に抑制して配線部になる配線溝等の内部即ちトレンチ内部やコンタクトホール内部のみを埋め込んでいるため、トレンチ101の幅が結晶粒子の大きさよりも小さい場合、めっき工程後行われる熱処理工程において、その目的である銅の再結晶や歪みの緩和等の効果が少なくなる場合がある。
【0011】
また、めっき工程終了時のトレンチ101部分の銅埋め込みの上部(銅めっき膜102の上部)の形状が図2に示すように、凸状102cになっているために、後の工程であるCMP工程において局所的にせん断力が加わり、銅層とその下地のバリア層(膜)103間、又はバリア膜とlow−k材等の絶縁層100間、又はその両方で剥離が生じる場合がある。即ち前述の銅めっき膜(層)102の再結晶や歪の緩和の効果が不十分であることによるストレスマイグレーションやエレクトロマイグレーションという不具合が生じ易くなる。
【特許文献1】米国特許第6,176,992号
【非特許文献1】Electrochemical and Solid−State Letters 2004年9月号 C101−C103
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
添加剤を調整して均一電着性とレベリング性を高めためっき液を使用した電解銅めっきで、コンタクトホールやトレンチ等(配線溝等)の内部への電解めっきにより銅の埋め込みを行うと、基板表面にはコンタクトホールやトレンチ等が形成されている部分を含め、全面に銅膜が形成されるが、その膜厚は図1(a)に示すように配線等の密集部分、即ちトレンチ101の密集部分においては膜厚が非配線部の膜厚に比べて厚くなる一方で、幅の広い配線が形成された部分においては非配線部分の膜厚に比べて薄くなるという現象が生じる。このように膜厚にばらつきが生じると、配線部の銅の埋め込み自体は問題とならないが、めっきの後段プロセスであるCMP工程における平坦化が極めて困難になってしまう。
【0013】
即ち、上述したように、CMP工程に要する時間の短縮化のため膜厚を薄く形成しようとすると、例え均一電着性やレベリング性の高いめっき液を使用しても、上記のようにめっき終了後の膜厚のばらつきによりめっき表面に凹凸が存在するので、余剰な銅膜の除去や基板表面の平坦化が十分に行われなかったり、ディシング104やエロージョン105(図1(b)参照)を生じてしまうという不具合が発生する。また、このようなめっき膜厚のばらつきによる不具合を抑えるために、図3に示すように厚い銅めっき膜102を施すと、CMP工程における加工時間が長くなってしまう場合があった。
【0014】
また、配線部になるコンタクトホールやトレンチ101等(配線溝等)の側壁面や底面のように基板に形成された凹部内表面以外の基板表面(即ち、基板の最表面であって、基板凸部とも言う)をめっき抑制剤(めっき抑制物質)により完全に覆ったうえで電解めっきすると、図2に示すように、コンタクトホールやトレンチ101等の凹部が形成された配線部のみ銅めっき膜102が形成され、めっき表面が非配線部の基板の最表面(基板凸部)よりも高くなった凸状のめっき膜102が形成される。
【0015】
この場合、後工程である熱処理やCMP工程時に以下のようなことが起こる。即ち配線部のみに銅めっき膜102が堆積されているために銅自体の体積が限られてしまい、熱処理工程時にめっき銅の再結晶や歪みの緩和等の効果が少なくなる場合がある。また、上述のようにコンタクトホールやトレンチ101等において銅埋め込み部の表面形状が凸状102cになっているため、CMP工程時に局所的にせん断力が加わり、銅層とその下地のバリア層103、又はバリア層103とlow−k材等の絶縁層100間、又はその両方で剥離が生じてしまう。
【0016】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、めっき工程後に行われる熱処理工程においてめっき銅の再結晶や歪の緩和を十分に行うことが出来、CMP工程において当該工程に要する時間を短縮でき、余剰な銅膜の除去や基板表面の平坦化を十分に行うことが出来、またディッシングやエロージョン等の不具合を発生すること無く、銅層、バリア層、絶縁層の相互間に剥離等の不具合を生じることも無いようなめっき膜を、めっき工程終了の時点で得られることが強く望まれている。そのため本発明においてはめっき工程終了時点でのめっき膜が、基板の配線溝等が形成された側の面即ち基板のめっきされる側の面全体に亘ってめっき膜が形成され、且つ当該めっき膜の表面に平坦に形成され、さらにめっき膜厚さ即ち基板の最表面上に堆積しためっき層の厚さを薄く形成できるような、電解めっきによる基板配線形成方法、基板配線形成装置、及びめっき抑制物質転写スタンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決する請求項1に記載の発明は、基板に形成された配線溝等の凹部を電解めっきにより金属で埋め込み配線を形成する基板配線形成方法において、前記基板の凹部内表面を除く該基板の表面即ち基板の最表面にめっきを抑制するめっき抑制物質を付着させるめっき抑制物質付着工程と、その後に電解めっきを行う電解めっき(電気めっき)工程とを備えたことを特徴とする。
【0018】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の基板配線形成方法において、前記電解めっき工程の後に、前記めっき抑制物質を基板の表面から離脱させるめっき抑制物質離脱工程を備えたことを特徴とする。
【0019】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の基板配線形成方法において、前記めっき抑制物質離脱工程後に、電解めっきを行う電解めっき工程を備えたことを特徴とする。
【0020】
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の基板配線形成方法において、前記めっき抑制物質離脱工程は、前記電解めっき方向とは逆に電解をかける(電源の正負が逆の電解めっきを行う)ことにより行うことを特徴とする。
【0021】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の基板配線形成方法において、前記めっき抑制物質離脱工程の電解めっき方向とは逆に電解をかける時点は、前記電解めっき工程により前記基板の凹部内に埋め込まれた金属の表面と前記めっき抑制物質を付着させた前記基板の表面(基板の最表面)とが同一面になった時点即ち基板の凹部内が金属で埋め込まれた結果、これらの両表面が互いに同一の高さとなった時点であることを特徴とする。
【0022】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の基板配線形成方法において、前記めっき抑制物質付着工程は、スタンプに予め前記めっき抑制物質を担持させた後、該スタンプを前記基板の表面(基板の最表面)に押し当てることにより、該めっき抑制物質を該基板の表面に転写させることを特徴とする。
【0023】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の基板配線形成方法において、前記電解めっき工程で前記基板の凹部内を埋め込む金属は、銅、又は銅合金、又は銀であることを特徴とする。
【0024】
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の基板配線形成方法において、前記めっき抑制物質付着工程で前記基板の表面に付着しためっき抑制物質は、厚さが一様な膜状態であることを特徴とする。
【0025】
請求項9に記載の発明は、請求項6乃至8のいずれか1項に記載の基板配線形成方法において、前記スタンプとして前記めっき抑制物質を担持するめっき抑制物質担持部が、シリコーン樹脂又はフッ素樹脂の少なくとも一方を有して構成されたスタンプを用いることを特徴とする。
【0026】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の基板配線形成方法において、前記スタンプとして、めっき抑制物質担持部が支持体により支持されたスタンプを用いることを特徴とする。
【0027】
請求項11に記載の発明は、請求項9又は10に記載の基板配線形成方法において、前記スタンプとして、少なくともめっき抑制物質担持部外表面が平板状又は円柱状に構成されているスタンプを用いることを特徴とする。
【0028】
請求項12に記載の発明は、めっき液を収容するめっき液槽を備え、該めっき液槽のめっき液中に配線溝等の凹部が形成された基板と陽極電極を配置し、めっき電源より該陽極電極と前記基板との間に所定のめっき電圧を印加し、電解めっきにより該基板の凹部内を金属で埋め込み配線を形成する基板配線形成装置において、前記基板は凹部内表面を除く前記基板の表面、即ち基板の最表面にめっきを抑制するめっき抑制物質を付着させた基板であることを特徴とする。
【0029】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の基板配線形成装置において、前記電解めっき中に所定のタイミングで前記陽極電極と前記基板の間に印加する電圧の極性の正負を前記電解めっき時とは前記極性の正負が逆になるように切替えて印加する極性切替手段を備えたことを特徴とする。
【0030】
請求項14に記載の発明は、基板に形成された配線溝等の凹部を電解めっきにより金属で埋め込むことにより該基板に配線を形成する際に、前記基板の凹部内表面を除く該基板の表面即ち基板の最表面にめっきを抑制するめっき抑制物質を転写させるのに用い、めっき抑制物質担持部を有するめっき抑制物質転写スタンプであって、前記スタンプの少なくともめっき抑制物質担持部はシリコーン樹脂又はフッ素樹脂の少なくとも一方を有して成ることを特徴とする。
【0031】
請求項15に記載の発明は、請求項14に記載のめっき抑制物質転写スタンプにおいて、前記スタンプは少なくともめっき抑制物質担持部が支持体に支持された構成であることを特徴とする。
【0032】
請求項16に記載の発明は、請求項14又は15に記載のめっき抑制物質転写スタンプにおいて、前記スタンプは少なくともめっき抑制物質担持部外表面が平板状又は円柱状であることを特徴とする。
【0033】
本発明によれば、配線溝等の凹部内表面即ちトレンチやコンタクトホール等の凹部の側壁面、底面などであって、それらの面に接して配線用としての銅を堆積すべき面以外の基板表面(即ち基板の最表面であり、基板凸部とも言う)を、めっき抑制物質(めっき抑制剤)で覆った後に、電解めっきを行い、次に電解めっきの電解方向とは逆に電解をかけることで、めっき抑制物質(めっき抑制剤)を基板最表面から脱離させ、その後電解めっきを再開し適切な時間行うことでめっき工程終了時点において薄くてめっき表面の平坦度が高いめっき膜を、基板の配線埋め込み側の表面全面に亘って成膜することが実現できるので前記の諸課題を解決することができる。
【0034】
即ち本発明に係る基板配線形成方法は、配線溝等即ちトレンチやコンタクトホール等の凹部が加工形成された基板の該凹部内に電解めっきにより金属を埋め込んで配線を形成する方法であり、前記凹部の壁面や底面等の凹部内表面を除く面に、めっきを抑制する物質を付着させる抑制物質付着工程と、その後の電解めっきを行う電解めっき工程とを含むことを特徴とする。
【0035】
また、本発明においては、上記抑制物質付着工程と電解めっき工程のさらに後にめっきの電解方向とは逆の方向に電解を行い前記めっきを抑制する物質を基板の最表面から離脱させるめっき抑制物質離脱工程を行うことが好ましく、加えて、上記諸工程の後工程として、再び電解めっき工程を行うのが更に好ましい。
【0036】
なお、前記めっきの電解方向とは逆の方向に電解を行うめっき抑制物質離脱工程以外にも、めっきを抑制する物質を基板の最表面から離脱させる方法には、下記の方法がある。
【0037】
基板に傷を付けない物性を持った弾性体によりめっきを抑制する物質をめっき液中またはめっき液外において基板の最表面から離脱させる方法。
【0038】
めっきを抑制する物質を溶解する溶液にめっき液外において基板を浸漬させて該基板の最表面からめっきを抑制する物質を離脱させる方法。
【0039】
めっき液中またはめっき液外において基板の最表面を超音波により振動させてめっきを抑制する物質を該基板の最表面から離脱させる方法。
【0040】
めっき液中またはめっき液外において基板の最表面にノズル等により水圧を印加して、めっきを抑制する物質を該基板の最表面から離脱させる方法。
以上の通り、めっきを抑制する物質を基板の最表面から離脱させるためのいくつかの方法を示した。
【0041】
上記のように基板の最表面(基板凸部)にのみめっきを抑制する物質を付着させ、配線溝等即ちトレンチやコンタクトホール等の凹部の内表面には該めっきを抑制する物質を付着させないので、電解めっきを行うと銅層が凹部を埋め込むように形成される。
【0042】
上記のようにして基板の凹部を銅で埋め込み、該銅の表面がめっきを抑制する物質を付着させた基板の最表面と同一面に達した時点でめっきと逆の電解方向に電解を行って、めっきを抑制する物質を基板の最表面から離脱させる。なお前記「基板の最表面と同一面」とは言うまでもなく、基板の最表面に形成されたシード層及びバリア層が形成する表面と同一面と言う趣旨であって、基板の最表面に付着させためっき抑制物質が形成する面と同一面と言うことではない。また、このことは本発明(明細書)の全体に渡って同趣旨である。
【0043】
次に再び電解めっきを行うと、配線溝等の凹部に埋め込まれて形成された銅層(半導体集積回路の配線等となる部分)の表面に加え、めっきを抑制する物質が離脱した基板の最表面(基板凸部)においても同時に電解めっきが進行し基板の片面全体(即ち配線溝等の凹部が加工形成されている側の全面)に、均一な厚さで銅膜が堆積する。従って、基板の最表面上に堆積した銅膜の厚みが所望の値になった時点で電解めっきを終了すれば、全面に渡って平坦度の高い銅めっき表面を備えた基板を得る事ができる。
【0044】
上記のような基板を得ることができるので、下記のような利点が得られる。
(1)めっき工程後に行われる熱処理工程において、堆積した金属銅は基板の全体に亘って均一な温度に制御されるから、理想的な熱処理効果を得ることが出来るので、再結晶や歪の緩和が十分になされる。従って、例えば基板上に形成された半導体チップの断線などの不具合の発生を抑制できる。
【0045】
(2)また、めっき膜厚は基板全体の銅膜がその厚み方向も含めて均一な温度で熱処理できる程度の厚みを有すれば良いので、小さい値に抑えることが出来るため、CMP工程に要する時間を短くできる。
【0046】
(3)さらに例えば電解めっきの電解方向とは逆に電解をかける時点とその条件(電流密度、印加電圧、電解めっきの電解方向とは逆に電解をかける処理時間など)を適切に選べば、めっき工程完了時点でのめっき表面を十分な平坦度にすることが出来るからその後のCMP工程において、下記のような利点が得られる。
【0047】
・十分な平坦化ができると共に余剰な銅を余すこと無く除去できる。
・砥石等の研磨材によって、基板の銅配線等に過大な剪断力が加わることが無いから、銅層、バリア層、絶縁材等の間に前記したような剥離を生じることが無い。
・その上、CMP工程の当初から平坦度が高いから、ディッシングやエロージョンを生じることも無い。
【0048】
さらに本発明では、めっきを抑制する物質を基板の最表面(基板凸部)に付着させるに際し、スタンプに予め、めっきを抑制する物質を付着させた後にスタンプを基板の最表面に押し当てることにより転写する方法を採用することにより、めっき抑制物質を一様な厚さで基板の最表面に付着できるから、平坦なめっき膜が得られるという有利な結果を得ることが出来る。
【0049】
また、本発明に係る基板配線形成方法では、めっき金属として銅、または銅合金、または銀を用いる。これにより実用性の高い基板配線を得ることが出来る。
【0050】
さらに本発明に係る基板配線形成方法では、基板の最表面に、めっきを抑制する物質がその厚さが一様になるように付着されることにより、例えば基板の最表面(基板凸部)全体について一様にめっきを抑制でき、電解めっきの電解方向とは逆に電解をかけたときには、めっきを抑制する物質を基板の最表面から一様に離脱することが出来る。従って、電解めっき工程終了時点でのめっき表面の平坦化に貢献する。
【0051】
さらに本発明に係る基板配線形成方法で用いるスタンプは上記のように、基板の配線溝等例えばトレンチやコンタクトホール等の凹部内表面を除く面、即ち基板の最表面にめっきを抑制する物質を付着させる器具であり、そのめっき抑制物質担持部は、シリコーン樹脂又はフッ素樹脂の少なくとも一方を用いて製作されている。なお必要に応じてこれらの樹脂以外の材料を交えて製作しても良い。まためっき抑制物質担持部自体の機械的強度が小さい等の事情があるときにはめっき抑制物質担持部に支持体を備えてスタンプを構成するのが好ましい。
【0052】
めっき抑制物質担持部の材料として上記の材料を用いてスタンプを製作したので、インクの離型性が良いという有利な効果が得られる。さらに本発明によるスタンプは、少なくともめっき抑制物質担持部の外表面が平板状または円柱状に形成されている。めっき抑制物質担持部の表面形状が平板状のスタンプはその外形を例えば矩形や円形に加工して使用できるから汎用性がある。また円柱状に形成されたスタンプは、その軸心の周りに回転させることが出来る。
【発明の効果】
【0053】
請求項1に記載の発明によれば、めっき抑制物質付着工程と、電解めっき工程とを備えるので、基板の最表面にめっき膜を形成することなく、配線溝等の凹部内表面のみに効果的に金属めっき膜を形成した基板が得られる。
【0054】
請求項2に記載の発明によれば、電解めっき工程の後に、めっき抑制物質離脱工程を備えるので、基板最表面のめっき抑制物質が除去され、その後の電解めっき工程で、基板の配線溝等の凹部が形成された側の全面に金属めっき膜を形成できる形態を備えた基板が得られる。
【0055】
請求項3乃至11に記載の発明では、めっき抑制物質離脱工程後に、電解めっき工程を備えるので、基板の配線溝等の凹部が形成された側の全面に金属めっき膜が形成された基板が得られるから、下記のような優れた効果が得られる。
【0056】
(1)基板の配線溝やコンタクトホール等の凹部が形成された側の全面に金属めっき膜が形成されているので、電解めっき工程後の熱処理工程において、再結晶や歪の緩和を十分に行えるので、例えば基板中に形成された半導体チップの配線の断線等の不具合発生を抑止できる。
(2)また、めっき膜厚例えば基板の最表面を被覆するように堆積しためっき膜の厚みを適正な値に制御できるので、CMP工程に要する時間を妥当な値に抑えることが出来る。
(3)さらに、CMP(化学的機械的研磨)工程において基板全体の平坦化を実現できると共に余剰な銅膜を除去でき、且つディッシングやエロージョンを生じにくいので、優れたCMP加工を行うことができる。
【0057】
請求項12及び13に記載の発明によれば、上記(1)乃至(3)の効果を有する基板配線形成装置を提供できる。
【0058】
請求項14乃至16に記載の発明によれば、基板の最表面に、めっきを抑制する物質を、その厚さが一様になるように付着することができるめっき抑制物質転写スタンプを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0059】
以下、本発明の実施の形態例を説明する。本発明に係る基板配線形成方法では、基板に形成された配線溝等即ち配線溝やコンタクトホール等の凹部を電解めっきにより金属で埋め込む、所謂ダマシンめっき前に行われる工程として、基板の最表面(通常は絶縁材を被覆するバリア層とその上のシード層からなっている)の上に選択的にめっきを抑制するためのインク(めっき抑制物質)を転写等により付着することにより、ダマシンめっき後の工程で除去される銅層の膜厚を制御するめっき抑制物質付着工程を備えている。なお、ここで“インク”とは、被付着面である例えば基板の最表面の銅層やバリア層に最終的に付着されるべき物質であり、通常はこれを溶質として、適切な溶媒に溶解された溶液の状態で、スタンプのめっき抑制物質担持部に塗布されたり、被付着面(被転写面)に付着(転写)したりする。
【0060】
上記インクの付着方法は、ダマシンめっき後の工程で除去される部分である半導体デバイスの配線を除く余剰な銅シード層(基板に形成されてトレンチやコンタクトホール等である凹部として形成された微細配線パターンに電気めっきにより銅を埋め込むために、基板全体に電気伝導性を持たせるために予めスパッタやCVDで成膜された層)やバリア層(層間絶縁膜内に配線金属種が拡散するのを防止することを目的に成膜された層)上に選択的にインクを付着する方法で、ダマシンめっき前に行われる工程であって、電解めっきであるダマシンめっきにおいて、めっきを抑制するために行われる。
【0061】
電解めっき方法は、基板の金属を埋め込むトレンチやコンタクトホール等の凹部が加工形成された側面であって、凹部の壁面や底面等の凹部内表面を除く基板の表面(基板の最表面、即ち基板凸部)にめっきを抑制する物質を付着させる工程と、その後の電解めっきを行う工程とを含むめっき方法である。
【0062】
上記めっきを抑制する物質を付着させる工程、及び電解めっきを行う工程の後に、めっきの電解方向とは逆の方向に電解をかけてめっきを抑制する物質を基板の最表面から離脱させる工程を行うことが好ましく、加えて、上記諸工程の後工程として、再び電解めっき工程を行うことが更に好ましい。
【0063】
めっきを抑制する物質を基板表面から離脱させる方法には、上記めっきの電解方向とは逆の方向に電解をかけてめっきを抑制する物質を基板表面から離脱する以外にも下記(a)乃至(d)の方法がある。
(a)基板表面に傷を付けない物性を持った弾性体によって該めっきを抑制する物質をめっき液中又はめっき液外において基板の最表面から離脱させる方法。
(b)めっきを抑制する物質を溶解する溶液にめっき液外において浸漬させて離脱させる方法。
(c)めっき液中又はめっき液外において、基板の最表面を超音波により振動させてめっきを抑制する物質を基板の最表面から離脱させる方法。
(d)めっき液中又はめっき液外において基板の最表面にノズル等により水圧を印加して、めっきを抑制する物質を基板の最表面から離脱させる方法。
【0064】
めっき抑制物質の付着方法として転写を行うときには、スタンプと、溶媒中に溶解されたインクを用いる。転写方法は先ずスタンプを製作し、該スタンプに対して溶媒中に溶解されたインクを塗布し、次にスタンプのインクの塗布された面を基板の被転写面に接触させ、インクを該基板の被転写面に転写する。図4及び図5は上記インクの転写方法の概要を示す図で、図4は平坦なスタンプを用いた転写方法を、図5はローラー状(円柱状)のスタンプを用いた転写方法を示す。
【0065】
図4に示す転写方法は、図4(a)に示すように、インク4を担持するためのシリコーン樹脂材又はフッ素樹脂材からなるめっき抑制物質担持部1と、該めっき抑制物質担持部1を支持する支持体2を有する構成のスタンプ3を用意し、図示するように、外表面が平坦なめっき抑制物質担持部1にインク4を塗布する。なお、インクは通常では適切な溶媒に溶解されて溶液の状態になっている。次に図4(b)に示すように、トレンチやコンタクトホール等の凹部11が加工形成された基板10の該凹部11の内表面を含む表面に形成されたシード層及びバリア層12のうち、基板の最表面に対して、めっき抑制物質担持部1にインク4が塗布されたスタンプ3を当接させることにより、図4(c)に示すように、基板10の凹部11の内表面を除くシード層及びバリア層12の表面にインク4を転写する。
【0066】
図5に示す転写方法は、支持体7の外周に外表面がローラー状(円柱状)のめっき抑制物質担持部5を設けた構成のスタンプ6を用意し、該めっき抑制物質担持部5の外周面にインク4を塗布する。このインク4が塗布されためっき抑制物質担持部5を、基板10のトレンチやコンタクトホール等の凹部11が加工形成された側のシード層及びバリア層12のうち、基板の最表面に当接回転させることにより、基板10の凹部11の内表面を除くシード層及びバリア層12の表面にインク4を転写する。
【0067】
〔スタンプのめっき抑制物質担持部〕
〔めっき抑制物質担持部の材料〕
スタンプ3のめっき抑制物質担持部1の材料には、シリコーン系樹脂を用いる。ポリジメチルシロキサン(PDMS)やPDMS−メチルHシロキサン共重合体、H末端ポリジメチルシロキサン等を好ましく使用できる。これらは既存のマイクロコンタクトプリンティング技術では通常使われている樹脂である。シリコーン樹脂は通常の炭素骨格C−C結合(イオン結合性はほぼ0%)をもつゴムではなくSi−O結合を主鎖に持ち、このSi−O結合ではイオン結合性がほぼ50%と大きいために、Siに結合した側鎖の熱運動性が上がり、隣接する他の物質を近づきにくくしているためインク等の離型性がより良くなっている。
【0068】
また、めっき抑制物質担持部1としては平坦度の高いものであれば、前記シリコーン樹脂以外の樹脂や、金属、ガラス、セラミック等の無機化合物でもよい。平坦度は被転写物である基板の最表面の表面粗さやうねりよりも高度な平坦度であることが望ましい。またインク4を塗布したときにめっき抑制物質担持部1が膨潤して平坦度を損うことのない材料であることが望ましい。
【0069】
また、めっき抑制物質担持部1の材料の硬度は、被転写物表面に意図的に形成された凹凸がある場合、例えば半導体ウエハのようにインクを転写しない部分、即ちトレンチやコンタクトホール等の凹部が加工形成されている場合には、その凹部にスタンプ1が潜り込むほど軟らかいものは望ましくない。
【0070】
また、めっき抑制物質担持部1が非導電性又は非磁性の場合は、導電性材料{金属類(金属粒子、金属ファイバー、金属フレーク)、カーボン類(カーボンナノチューブ、カーボンワイヤー、カーボンコイル、カーボン粒子)、有機導電性物質}や磁性材料をめっき抑制物質担持部1の材料に混入し電界・磁界による転写工程を制御するようにすることもできる。また、非導電性である場合はその非導電性を積極的に利用して静電的に転写工程を制御するも可能である。
【0071】
〔スタンプのめっき抑制物質担持部の製造方法〕
めっき抑制物質担持部1の製造方法は、被転写物の表面粗さ、即ち銅シード層及びバリア層12の表面等の被転写面の表面粗さやうねりよりも高度な平坦度の面(通常は鏡面)を備えためっき抑制物質担持部成形用の型(めっき抑制物質担持部1を鋳物に例えれば鋳型に相当するもの)にめっき抑制物質担持部1の材料、例えばPDMSを液体状態で塗布する。次に温室又は高温で又は必要に応じて硬化剤を用いて硬化させて離型することで鏡面状態をめっき抑制物質担持部1に持たせる。
【0072】
また、一旦シリコーン樹脂等のめっき抑制物質担持部1の材料を硬化させた後に研磨等により表面を鏡面に仕上げることもできる。転写作業を行うときにめっき抑制物質担持部1が軟弱で機械的強度が十分でない場合には、めっき抑制物質担持部1の下地に補強用の支持体2を備えるのが好ましい。このとき支持体2にプライマーを塗布してから液体状態にあるめっき抑制物質担持部1の材料と接触させた上でめっき抑制物質担持部1の材料を硬化させる。このことにより支持体2とめっき抑制物質担持部1である例えばシリコーン樹脂とが、しっかりと接着してスタンプ3として好ましく用いることができる。
【0073】
なお、上記は平坦なめっき抑制物質担持部1の構成材料及び製造方法等について説明したが、図5に示すローラー状(円柱状)のめっき抑制物質担持部5の場合でも略同様である。
【0074】
〔インク〕
基板10に形成された前記シード層及びバリア層12にインク4を接着させる方法として、吸着(化学吸着、物理吸着等)や化学結合、表面凹凸を利用した投錨(アンカー)効果、融着、静電吸着等がある。上述の通りインク4は成膜、特にめっき抑制機能を果たす膜を形成する必要があるので、シード層及びバリア層12に対して適度な接着力を有する必要があるが、後の工程である電解めっきの電解方向とは逆方向に電解をかける工程において完全に除去される程度の接着力でなければならない。また、被転写物であるシード層及びバリア層12に転写されたインク4の厚みは、配線部の配線溝等のアスペクト比が2倍以下の値に抑えられる厚みであることが好ましい。即ちインク4を転写する前の配線溝等の深さ(基板の最表面から当該配線溝等の底面までの距離)の値以下にインク4の厚さを抑えることが好ましい。そして、その厚さは10Å乃至1μm程度となる。
【0075】
インク4を吸着・化学結合する場合、インクの被転写物であるシード層及びバリア層12との接着力については、電子を受容する酸である金属や陽イオンと電子を供与する塩基である陰イオンや分子との結合の安定性を判断するHSAB(Hard and Soft Acids and Bases)則により知ることが出来るから、インク4として適切な物質を選択することができる。
【0076】
被転写物である基板10のシード層及びバリア層12の材質が銅や銅合金、チタン、チタン合金、タンタル、タンタル合金、ルテニウム、ルテニウム合金の場合にはRSH、R2S、RS-、I-、SCN-、S2o32-、R3P、R3As、(RO)3P、CN-、RCN-、CO、C24、C66等(Rはアルカリ基又はアリール基)の化学構造を分子の末端に持つ、例えば下記のものがインク4に適した物質として挙げられる。
【0077】
アルカンチオール、ベンゾトリアゾール、カゼイン、デキストリン、ジメチルアミノ誘導体、1,8−ジスルホン酸、エチレンオキシド、ゼラチン、グリュー(のり)、ラクトースベンゾイルヒドラゾーン、モラセス(糖蜜)、石油スルホン酸、o−フェナントロリン、ポリエトキシエーテル(ポリエチレングリコール)、ポリエチレンイミン、ポリN,N’−ジエチルサフラニン、ポリプロピレンエーテル、プロピレンオキシド、砂糖、チオ尿素、ポリアルキレングリコール、動物性グリュー、エーテル基を含むポリマー、アミノ酸の高タンパク質ポリマー、ポリアルキレングリコール、ポリエチレンオキシド、ヒドロキノンまたはエトキシ化アルキルフェノール、ポリエチレンオキシド、グリコール、アミン、アルコキシル化ラクタムアミド、二置換エタンスルホン酸、尿素およびグリセリン、尿素、ラウリルスルホン酸ナトリウム、トシルまたはメシルスホン酸、フェナジン染料、ポリエーテル界面活性剤+ベンゼンスルホン酸+グレイン改良剤、ポリエーテル+メルカプトイミダゾール+ベンゼンスルホン酸、ポリエーテル+有機二価硫黄化合物+三級アルキルアミン+ポリエピクロロヒドリン、スルファミン酸、アルキル化ポリアルキレインイミン、ω−スルホ−n−プロピル−N、N−ジエチルジチオカルバミン酸塩+ポリエチレングリコール+クリスタルバイオレット、フタロシアニン+三級アルキルアミン+ポリエピクロロヒドリン+ベンゼンスルホン酸、ポリエーテル+メルカプトイミンダゾール+ベンゼンスルホン酸、フェノールフタレイン、置換フタロシアニンラジカル、レギュラーコーヒー、アルキル化ポリアルキレインイミン、ジスルフィド、スルホン酸、脂肪族アルデヒド、ジまたはトリアミノトリフェニルメタン染料とスルホアルキルスルフィド、尿素、ポリエーテル、ポリスルフィド、ヘテロ環式硫黄およびポリエーテル化合物、ポリエチレンイミン、ポリエチレングリコール、ホルムアルデヒドおよびチオ尿素、エチレンオキシド生成物と2−メルカプトピリジン、ポリスルフィド、チオ尿素およびポリエーテル、ポリエーテル類、フェナゾニウム高分子化合物、タンニン(酸)、銅と配位結合する各種錯化剤。
【0078】
インク4としては、これら溶質が液体の場合はそのまま使用されることもあるが、固体の場合を含め一般的には溶剤へ溶かして使用される。溶解度パラメーターや混合性を考慮して溶解可能な溶媒(溶剤)で溶解させて濃度を調整する。
【0079】
被転写面の材質即ち基板10の最表面の材質が銅や銅合金、チタン、チタン合金、タンタル、タンタル合金、ルテニウム、ルテニウム合金であるとき、インク4を基板10へ投錨効果により接着させる場合には、既存のフォトレジスト等の高分子化合物をインク4として用いることができる。
【0080】
また、同様に融着による接着にはインク4及びその溶媒に代えて低融点金属を用いることができる。
【0081】
また、静電吸着による接着の場合には複素誘電率の異なる溶媒とインク4の働きをする微粒子を含む溶液を用いることもできる。これは溶媒を蒸発させない状態でスタンプ3(又はスタンプ6)のめっき抑制物質担持部1(又はめっき抑制物質担持部5)と被転写物(シード層及びバリア層12)との間に直流や交流の電圧を印加して生じる電気泳動や誘電泳動を利用して微粒子をインク4として被転写物上へ固定するものである。微粒子としては金属や非金属の酸化物粒子や高分子化合物の微粒子を用いることができる。
【0082】
〔スタンプのめっき抑制物質担持部へのインクの塗布方法〕
前記各種インク4は、通常の場合はインク4が溶媒に溶解された状態でスタンプ3(又はスタンプ6)に塗布される。スタンプ上へ塗布するために各種塗工装置を用いることができる。例えば、正回転ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、ナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター、カーテンコーター、ファウンテンコーター、キスコーター、スピンコーター、スプレーコーター、含浸機、押出しコーター、浸漬塗工機、スクリーン印刷機、キャスト塗工機、真空塗工機、LB法を用いた塗工機等がある。
【0083】
〔スタンプのめっき抑制物質担持部から被転写物への転写及び接着(固着)方法〕
ここでインク4がめっき抑制物質担持部1(又はめっき抑制物質担持部5)から被転写物(被転写面)へ転写される状況と、インク4が被転写面に固着(接着)する状況について説明する。通常は溶媒に溶解された溶液の状態でスタンプ3(又はスタンプ6)のめっき抑制物質担持部1(又はめっき抑制物質担持部5)に塗布されたインク4は、一般に被転写面に対して当該めっき抑制物質担持部1(又はめっき抑制物質担持部5)を押し付けることによって被転写面側に転写される。このときスタンプ3(又はスタンプ6)には例えばプレス機構等によって押し付け力を与える。この押し付け力は被転写面とめっき抑制物質担持部1(又はめっき抑制物質担持部5)との間に作用する圧力が適切な値となるように制御されるのが好ましい。また押し付け時間も適切な時間であることが好ましい。
【0084】
次にインク4が被転写面に接着する状況について述べる。一般に被転写面へは前述のようにインクを溶質として、溶質を溶かし込んでいる溶媒(溶剤)が媒体となって転写される。転写された後、溶媒(溶剤)が揮発することによって被転写物へのインクの接着がなされるため、被転写面である基板の最表面の銅シード層及びバリア層12の表面に転写された時点においては、未だ溶媒が存在している状態なので溶媒を揮発・蒸発させるように接着(転写)現場環境の温度・湿度等の調整が必要である。
【0085】
〔めっき抑制物質の除去方法〕
基板10の凹部11を加工形成した側の最表面に付着させたインク4を除去(離脱)させるには下記(1)乃至(5)に示す方法がある。
【0086】
(1)電解めっきにより凹部11に埋め込まれた銅の上面がめっきを抑制する物質を付着させた基板の最表面と同一面に達した時点で電解めっきとは逆方向に電界をかけ、めっきを抑制する物質を基板の最表面から離脱させる方法。(なお前記「めっきを抑制する物質を付着させた基板の最表面」とは言うまでも無く基板の最表面に形成されたシード層及びバリア層12が形成する面を指すのであって、基板の最表面に付着させためっき抑制物質が形成する面のことではない。このことについては本発明全体(本明細書全体)について同趣旨である。)
【0087】
(2)電解めっきにより凹部11に埋め込まれた銅の上面がめっきを抑制する物質を付着させた基板の最表面と同一面に達した時点で基板に傷を付けない物性を持った弾性体、例えばゴム、ポリウレタン、アクリル樹脂等の不織布、パッドによりめっきを抑制する物質をめっき液中またはめっき液外において基板最表面から離脱させる方法。
【0088】
(3)電解めっきにより凹部11に埋め込まれた銅の上面がめっきを抑制する物質を付着させた基板の最表面と同一面に達した時点でめっきを抑制する物質を溶解する有機系溶媒や酸、アルカリ等の水溶液によりめっき液外において浸漬させて離脱させる方法。
【0089】
(4)電解めっきにより凹部11に埋め込まれた銅の上面がめっきを抑制する物質を付着させた基板の最表面と同一面に達した時点でめっき液中またはめっき液外において基板の最表面を超音波振動子を用いて液を振動させ、めっきを抑制する物質を離脱させる方法。
【0090】
(5)電解めっきにより凹部11に埋め込まれた銅の上面がめっきを抑制する物質を付着させた基板の最表面と同一面に達した時点でめっき液中またはめっき液外において基板の最表面にノズル等により水圧を印加して、めっきを抑制する物質を離脱させる方法。
【実施例】
【0091】
先ず本発明による基板配線形成を行うについて電解銅めっき工程を中心とした一実施例を説明する。図6は本発明に係る基板配線形成装置の構成例を示す図である。本基板配線形成装置20は電解めっき装置であり、めっき液(硫酸銅めっき)Qを収容するめっき槽21を具備する。めっき槽21内には基板ホルダ22に保持された基板10とアノードホルダ23に保持されたアノード24が対向して配置されている。めっき槽21の外側にはオーバーフロー槽26が配置され、めっき槽21の溢流堰25をオーバーフローしためっき液が該オーバーフロー槽26に流入するようになっている。
【0092】
オーバーフロー槽26に流入しためっき液Qはポンプ28により、循環配管27に設けられた恒温ユニット29、フィルタ30を通って、めっき槽21内に供給され、循環するようになっている。即ち、オーバーフロー槽26内のめっき液Qは恒温ユニット29でその温度が所定の温度に調整され、フィルタ30で汚染物が除去され、めっき槽21内に供給される。32は切替え手段(切替えスイッチ等)であり、切替え手段32が接点a、aに接触しているときはめっき電源(直流電源)31の陰極が基板10に陽極がアノード24に接続され、基板10に陰極、アノード24に陽極が印加されるようになっている。また、切替え手段32が接点b、bに接触しているときはめっき電源31の陽極が基板10に陰極がアノード24に接続され、基板10に陽極、アノード24に陰極が印加されるようになっている。
【0093】
上記構成の基板配線形成装置20に用いる、本発明に係る基板配線形成方法例を図7に基づいて説明する。図7は主に本発明によるめっき工程における基板のめっき進行状況を示している。図7(a)に示すように、基板10のトレンチやコンタクトホール等の凹部11が加工形成された側のシード層及びバリア層12の凹部11の内表面を除く基板10の表面即ち基板10の最表面にインク4を付着させた基板10を、そのインク4を付着させた面がアノード24に対向するように基板ホルダ22に保持させる。その後、切替え手段32が接点a、aに接触させることにより、めっき電源31から基板10に陰極、アノード24に陽極を印加し、電解めっきを開始する。これにより基板10の凹部11内に銅13が堆積する。この凹部11内に堆積する銅13の上面13aが図7(b)に示すように、インク4が付着しているシード層及びバリア層12の上面12aと一致したら、切替え手段32を接点a、aから離間させ、電解めっきを停止する。
【0094】
その後、切替え手段32を接点b、bにて接触させて、めっき電源31から基板10に陽極、アノード24に陰極を印加し、電解めっき時とは逆方向の電解を所定時間かける。これにより、図7(c)に示すようにシード層及びバリア層12に付着しているインク4が除去され、銅13の上面13aとシード層及びバリア層12の上面12aが一致した状態で現れる。次にこの状態で、切替え手段32を接点a、aにて接触させ、所定時間電解めっきを行うことにより、基板10の凹部11が加工形成された側の全面に平坦な銅13の堆積層が形成される(図7(d)参照)。図7において、51は基板10の最表面、52は凹部内表面、53は本発明によるめっき工程終了時に得られる平坦なめっき表面、即ちめっき工程終了時表面を指す。
【0095】
上記のように、凹部11が加工形成された側の全面に平坦な銅13の堆積層が形成された基板10を上記めっき工程の、後工程で熱処理することにより、再結晶や歪の緩和を十分に行えるから、配線の断線等の不具合発生を抑止できる。また、銅13の堆積層の厚さを適正な値に制御することにより、CMP工程に要する時間を妥当な値に抑えることが出来る。こうして基板10全体の平坦化を実現できると共に余剰な銅13の堆積層を除去でき、且つディッシング104やエロージョン105(図1(b)参照)さらには銅層、バリア層、絶縁層相互間の剥離などの不具合を生じにくいので、CMPを好適に行うことができる。
【0096】
次に本発明による基板配線形成方法やめっき抑制物質転写スタンプなどを用いて、半導体ウエーハに電解銅めっきによって銅めっき膜を形成した実施例を示す。スタンプにはシリコーンゴムとして、ダウコーニング社製二液常温硬化型シリコーンゴム(商品名;シルポット184W/C)を用いる。
【0097】
スタンプ1の支持体2には、SiO2酸化膜付き8インチSiウェーハ(第1のウエーハ)を用いる。このウェーハをUVオゾン洗浄により洗浄し、鏡面側にプライマー(FSXA−2869;ダウコーニング社)を塗布する。続いて前述のシルポット184W/Cを混合・減圧脱泡して、前述の第1のウェーハ上に滴下する。この上に別途の酸化膜付き8インチウェーハ(第2のウェーハ)をプライマーを用いずに鏡面側が前記シリコーンゴム(シルポット184W/C)に接するように向けて被せて室温で約1日または恒温槽で一定時間(例えば150℃で約1時間)放置してシリコーンゴムを硬化させる。
【0098】
上記硬化後、プライマ−の付いていない上記別途の酸化膜付き8インチウェーハ(第2のウエーハ)をシリコーンゴムから剥がし、シリコーンゴムが一定の膜厚で付いているウェーハ(第1のウエーハ)をスタンプとして用いる。
【0099】
上記スタンプのめっき抑制物質担持部即ち、シリコーンゴム表面は適宜インクの溶媒として用いた溶剤と同種の溶剤を用いて洗浄するが、初期状態で使用する場合にはUVオゾン洗浄のみでよい。
【0100】
めっき抑制物質即ちインク(溶質)としてオクタデシルトリクロロシランを溶媒であるヘキサンやトルエンに約0.1〜50mmol/l(ミリモル・パー・リットル)混合した溶液や、インクとしてアルカンチオールCn2n+1SH(n=8、n=10)を溶媒であるアルコール類(エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール)に約0.1〜50mmol/l(ミリモル・パー・リットル)混合した溶液を用いて被転写面に転写する。なお、アルカンチオールはn数が多いほど金属表面に吸着した後に、アルカンチオールのアルキル鎖同士がファンデルワールス力によりその引力と反発力が釣り合った安定なエネルギー状態となって高密度に吸着しやすくなるからインクとして好ましい。しかし、n数が多いと溶媒中への溶解度が下がるためnの数は8〜10が好ましい。
【0101】
上記のインクを含んだ溶液を前述のスタンプ表面のめっき抑制物質担持部であるシリコーンゴムへスピンコーターを用いて塗布する。
【0102】
上記スタンプのシリコーンゴムの面を配線溝等の凹部が形成され、銅シード層が成膜された半導体ウエーハのインクを転写すべき面に向けて押し付け、インクが溶解した溶液を転写する。転写するときには、接触時間は3秒間から2分間の範囲で適宜変化させる。そして通常では約1分間以内に硫酸銅めっき液に浸漬して電解銅めっきを開始する。硫酸銅めっきの溶液組成の一例を下記に示す。
CuSO4・H2O 225g/l
2SO4 55g/l
Cl− 60ppm
基板における電流密度として、−5〜−50mA/cm2で、基板の凹部の埋め込みが完了するまでめっきを行う。
【0103】
めっきによりトレンチ内部を金属で埋め込んだ後に逆電解を行う。即ち基板における電流密度を+極側の+5〜+50mA/cm2として、時間としては10ミリ秒から5秒間印加することで被転写物である基板からインクをめっき溶液中へ脱離させる。
【0104】
その後、再度前述の条件で電解めっきを行う。以上の一連の工程を行った結果、基板の最表面の上における厚さが数10nmの薄い銅膜を基板の被めっき表面(即ち配線溝等の凹部が形成された側の表面)全面に渡って平坦に成膜することが出来た。
【0105】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】従来のダマシン法による基板配線形成プロセスの途中過程での基板の状態を示す図である。
【図2】従来のダマシン法による基板配線形成プロセス中の一つの過程での基板の状態を示す図である。
【図3】従来のダマシン法による基板配線形成プロセス中の一つの過程での基板の状態を示す図である。
【図4】本発明に係る基板配線形成プロセスのインク転写プロセスを示す図である。
【図5】本発明に係る基板配線形成プロセスのインク転写プロセスを示す図である。
【図6】本発明に係る基板配線形成装置の構成例を示す図である。
【図7】本発明に係る基板配線形成プロセスを示す図である。
【符号の説明】
【0107】
1 めっき抑制物質担持部
2 支持体
3 スタンプ
4 インク
5 めっき抑制物質担持部
6 スタンプ
7 支持体
10 基板
11 凹部
12 シード層及びバリア層
13 銅
20 基板配線形成装置
21 めっき槽
22 基板ホルダ
23 アノードホルダ
24 アノード
25 溢流堰
26 オーバーフロー槽
27 循環配管
28 ポンプ
29 恒温ユニット
30 フィルタ
31 めっき電源
32 切替え手段
51 基板の最表面
52 凹部内表面
53 めっき工程終了時表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に形成された配線溝等の凹部を電解めっきにより金属で埋め込み配線を形成する基板配線形成方法において、
前記基板の凹部内表面を除く該基板の表面にめっきを抑制するめっき抑制物質を付着させるめっき抑制物質付着工程と、その後に電解めっきを行う電解めっき工程とを備えたことを特徴とする基板配線形成方法。
【請求項2】
請求項1に記載の基板配線形成方法において、
前記電解めっき工程の後に、前記めっき抑制物質を基板の表面から離脱させるめっき抑制物質離脱工程を備えたことを特徴とする基板配線形成方法。
【請求項3】
請求項2に記載の基板配線形成方法において、
前記めっき抑制物質離脱工程後に、電解めっきを行う電解めっき工程を備えたことを特徴とする基板配線形成方法。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の基板配線形成方法において、
前記めっき抑制物質離脱工程は、前記電解めっき方向とは逆に電解をかけることにより行うことを特徴とする基板配線形成方法。
【請求項5】
請求項4に記載の基板配線形成方法において、
前記めっき抑制物質離脱工程の電解めっき方向とは逆に電解をかける時点は、前記電解めっき工程により前記基板の凹部内に埋め込まれた金属の表面と前記めっき抑制物質を付着させた前記基板の表面とが同一面になった時点であることを特徴とする基板配線形成方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の基板配線形成方法において、
前記めっき抑制物質付着工程は、スタンプに予め前記めっき抑制物質を担持させた後、該スタンプを前記基板の表面に押し当てることにより、該めっき抑制物質を該基板の表面に転写させることを特徴とする基板配線形成方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の基板配線形成方法において、
前記電解めっき工程で前記基板の凹部内を埋め込む金属は、銅、又は銅合金、又は銀であることを特徴とする基板配線形成方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の基板配線形成方法において、
前記めっき抑制物質付着工程で前記基板の表面に付着しためっき抑制物質は厚さが一様な膜状態であることを特徴とする基板配線形成方法。
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれか1項に記載の基板配線形成方法において、
前記スタンプとして前記めっき抑制物質を担持するめっき抑制物質担持部が、シリコーン樹脂又はフッ素樹脂の少なくとも一方を有して構成されたスタンプを用いることを特徴とする基板配線形成方法。
【請求項10】
請求項9に記載の基板配線形成方法において、
前記スタンプとして、めっき抑制物質担持部が支持体により支持されたスタンプを用いることを特徴とする基板配線形成方法。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の基板配線形成方法において、
前記スタンプとして少なくともめっき抑制物質担持部外表面が、平板状又は円柱状に構成されているスタンプを用いることを特徴とする基板配線形成方法。
【請求項12】
めっき液を収容するめっき液槽を備え、該めっき液槽のめっき液中に配線溝等の凹部が形成された基板と陽極電極を配置し、めっき電源より該陽極電極と前記基板との間に所定のめっき電圧を印加し、電解めっきにより該基板の凹部内を金属で埋め込み配線を形成する基板配線形成装置において
前記基板は凹部内表面を除く前記基板の表面にめっきを抑制するめっき抑制物質を付着させた基板であることを特徴とする基板配線形成装置。
【請求項13】
請求項12に記載の基板配線形成装置において、
前記電解めっき中に所定のタイミングで前記陽極電極と前記基板の間に印加する電圧の極性の正負を前記電解めっき時とは前記極性の正負が逆になるように切替えて印加する極性切替手段を備えたことを特徴とする基板配線形成装置。
【請求項14】
基板に形成された配線溝等の凹部を電解めっきにより金属で埋め込むことにより該基板に配線を形成する際に、
前記基板の凹部内表面を除く該基板の表面にめっきを抑制するめっき抑制物質を転写させるのに用いるめっき抑制物質転写スタンプであって、
前記スタンプの少なくともめっき抑制物質担持部はシリコーン樹脂又はフッ素樹脂の少なくとも一方を有して成ることを特徴とするめっき抑制物質転写スタンプ。
【請求項15】
請求項14に記載のめっき抑制物質転写スタンプにおいて、
前記スタンプは少なくともめっき抑制物質担持部が支持体に支持された構成であることを特徴とするめっき抑制物質転写スタンプ。
【請求項16】
請求項14又は15に記載のめっき抑制物質転写スタンプにおいて、
前記スタンプは少なくともめっき抑制物質担持部外表面が平板状又は円柱状であることを特徴とするめっき抑制物質転写スタンプ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2006−274369(P2006−274369A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−96511(P2005−96511)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】