説明

塗布装置、実装装置、塗布方法、電子部品の製造方法及び電子部品

【課題】フラックス等の処理剤をプレート上に安定的に存在させることができ、メンテナンスを減らすことができる技術を提供すること。
【解決手段】押し付けブロック26より上流側で、プレート12上にフラックスFが供給される。このとき、プレート12は回転していてもよいし止まっていてもよい。回転するプレート上12の大部分のフラックスFが外周側へ移動しようとして盛り上がる。押し付けブロック26は、この盛り上がりを抑えることができる。これにより、フラックスFがプレート12外へ流出する等の問題を解決できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IC(Integrated Circuit)等の回路素子やこれをパッケージングした電子部品にフラックス等のペースト状の処理剤を塗布する塗布装置、この塗布装置を搭載した実装装置、その塗布方法、電子部品の製造方法及び当該電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品の製造工程において、例えばIC(Integrated Circuit)等の回路素子を基板に実装する技術として、例えばFC(Flip Chip)、CSP(Chip Size Package)、PoP(Package on Package)等がある。このような実装工程において、半田バンプ等の回路素子の電極にフラックスが塗布される。これは、電極の酸化防止のため、あるいは電極の濡れ性を高めることで回路素子と基板とが付着しやすいようにするためである。
【0003】
フラックスを塗布し、基板上に電子部品を搭載する装置として、電極部分の画像を取り込むカメラが搭載された装置がある(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1の装置では、フラックスの電極への転写痕が画像処理されることで、当該転写状態の良否判別が行われる。
【0004】
ところで、特許文献1において、フラックスが供給される転写ステージ上で、そのフラックスの量が多い場合、スキージによってならされた時にフラックスが転写ステージから外に押しのけられて不具合が発生するおそれがある。
【0005】
そこで、転写ステージ(回転ドラム)上の余剰のフラックスを回収する受け皿を備えた装置もある(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
【特許文献1】特開平11−135572号公報(段落[0029]、図8、図17)
【特許文献2】特2001−345543号公報(段落[0057]、図2、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2の装置では、フラックスが回収された受け皿を交換等するといったメンテナンスを要する。また、受け皿の許容量を超えないようにするための何らかの監視手段も必要になる。
【0008】
また、回転ドラムが回転すると、フラックスの粘性によってスキージに付着したフラックスは回転の外周側へ移動する性質がある。この場合、フラックスの量が少なくなると、回転内周側では回転ドラム(プレート)上にはフラックスが付着していない状態となる場合がある。したがって、プレート上にフラックスが安定的に存在することが望まれる。
【0009】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、フラックス等の処理剤をプレート上に安定的に存在させることができ、メンテナンスを減らすことができる技術を提供することにある。
【0010】
本発明の別の目的は、プレート上の処理剤の膜厚を容易に管理することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る塗布装置は、回転可能に設けられ、ペースト状の処理剤が供給されるプレートと、前記プレート上に隙間をあけて配置され、前記プレートの回転により前記処理剤が前記隙間を通ることで前記プレート上に前記処理剤の膜を形成する膜形成部材と、前記膜形成部材に近接して配置され、前記プレートの回転により前記膜形成部材へ向かう前記処理剤を前記プレートに押し付ける押し付け部材とを具備する。
【0012】
膜形成部材により処理剤がならされるときに膜形成部材に付着した処理剤が盛り上がるが、押し付け部材によりその盛り上がりが上から押さえ付けられる。これにより、処理剤がプレート外へ流出する等の問題を解決でき、処理剤をプレート上に安定的に存在させることができる。したがって、メンテナンスも減らすことができる。
【0013】
本発明の一の形態によれば、前記押し付け部材は、前記プレートに対面する上壁と、前記プレートによる回転の外周側に設けられた外周壁とを有する。これにより、特にプレート上の回転外周側での処理剤の盛り上がりを抑制し、また、処理剤がプレート外へ流れてしまうことを防止することができる。押し付け部材は、外周壁に対向する内周壁をさらに有していてもよい。
【0014】
本発明の一の形態によれば、前記上壁は、前記膜形成部材に向かうにしたがい徐々に前記プレートに近づく内面を有する。これにより、処理剤が徐々に押さえ付けられ、膜形成部材の前できれいな処理剤の膜を形成することができる。「徐々に」とは、「連続的に」及び「段階的に」の両方の意味を含む。以下、同様である。
【0015】
本発明の一の形態によれば、前記上壁は、前記外周壁に向かうにしたがい徐々にプレートに近づく内面を有する。これにより、外周側の滞留する処理剤を内周側へ流動させることができ、外周側での処理剤の盛り上がり効果的に抑制することができる。
【0016】
本発明の一の形態によれば、前記上壁は、内面と、前記内面に、前記回転の周方向に形成された複数の溝とを有する。これにより、押し付け部材の内部で処理剤が周方向の溝に沿って流動するようになる。したがって、外周側へ処理剤が移動することを抑制することができる。
【0017】
本発明の一の形態によれば、前記上壁は、内面と、前記プレートの回転により処理剤が徐々に回転の内周側へ向かうように、前記内面に形成された複数の溝とを有する。これにより、処理剤が内周側へ流動するようになるので、外周側での処理剤の盛り上がり効果的に抑制することができる。
【0018】
本発明の一の形態によれば、塗布装置は、前記処理剤が流動するときの圧力により前記押し付け部材が移動するように該押し付け部材を支持する支持機構と、前記押し付け部材の動きを検出する検出手段とをさらに具備する。例えば、処理剤がプレート上に供給された初期の状態から、処理剤が消費されて所定の量になった場合には、その初期状態から押し付け部材の位置が変わる。したがって、その押し付け部材の動きが検出されることにより、押し付け部材により押し付けられている処理剤の量を確認することができる。その結果、プレート上の処理剤の膜厚を容易に管理することができる。
【0019】
本発明の一の形態によれば、前記支持機構は、前記押し付け部材を弾性的に支持する。これにより、処理剤の量に応じて、精度よく押し付け部材の位置が定められる。その結果、検出手段による当該位置の検出精度が向上する。
【0020】
本発明の一の形態によれば、前記押し付け部材の膜形成部材側に設けられ、前記押し付け部材を回動させるヒンジ機構を有する。本発明では、ヒンジ機構を軸として押し付け部材が回動することで押し付け部材が移動する。つまり、押し付け部材の膜形成部材側とは反対側から処理剤が流入する。
【0021】
本発明の一の形態によれば、前記支持機構は、前記押し付け部材を回動させるヒンジ機構と、前記押し付け部材を弾性的に保持するバネとを有する。これにより、処理剤の量に応じて、精度良く押し付け部材の位置が定められる。その結果、検出手段による検出精度が向上する。本発明の場合、ヒンジ機構は膜形成部材側でも、その反対側である処理剤の流入側でも、どちらに配置されていてもよい。
【0022】
本発明の一の形態によれば、前記支持機構は、前記押し付け部材がリニアに移動可能に支持するリニア移動機構を有する。押し付け部材が自重により移動する形態であってもよい。あるいは、支持機構が押し付け部材を弾性的に支持するバネをさらに有していてもよい。リニア移動機構の移動方向は、上下方向でもよいし、斜め方向でもよい。
【0023】
本発明の一の形態によれば、塗布装置は、前記押し付け部材の動きを検出する検出手段をさらに具備し、前記押し付け部材は板バネ状に作用する。本発明でも同様に、精度良く押し付け部材の位置が定められ、検出手段による検出精度が向上する。
【0024】
本発明の一の形態によれば、前記押し付け部材は、透明または半透明な材質で構成される。押し付け部材の透明度は、押し付け部材とプレートの間にある処理剤の残量が目視で確認できる程度の透明度であればよい。
【0025】
本発明の一の形態によれば、塗布装置は、前記プレート上に設けられたカバーをさらに具備する。これにより、塵や埃がプレートや処理剤に付着することを防止することができる。また、処理剤の乾燥を抑制することができ、処理剤の寿命を延ばすことができる。
【0026】
本発明の一の形態によれば、前記カバーは、前記押し付け部材に近接して配置されている。処理剤は、押し付け部材の下に最も多く存在するので、その処理剤の乾燥を抑制することができる。
【0027】
本発明の一の形態によれば、前記押し付け部材は、前記上流側に設けられた開口を有し、前記カバーは、前記開口の一部を塞ぐように設けられた壁部材を有する。これにより、押し付け部材で押し付けられた処理剤の乾燥を抑えることができる。また、例えば、実装装置の、電子部品を保持する保持ヘッドが電子部品を保持できずに、処理剤上に残した場合、プレートが回転し電子部品が移動しても壁部材に当る。つまり、電子部品が押し付け部材まで移動してしまうことを防止することができる。
【0028】
本発明の他の観点に係る塗布装置は、ペースト状の処理剤が供給されるプレートと、前記プレート上に隙間をあけて、かつ、前記プレートに沿って移動可能に配置され、前記移動により前記処理剤が前記隙間を通ることで前記プレート上に前記処理剤の膜を形成する膜形成部材と、前記膜形成部材に近接して配置され、前記膜形成部材の移動により前記膜形成部材へ向かう前記処理剤を前記プレートに押し付ける押し付け部材とを具備する。本発明では、膜形成部材がプレート上を移動する形態を想定している。
【0029】
本発明のさらに別の観点に係る塗布装置は、回転可能に設けられ、ペースト状の処理剤が供給されるプレートと、前記プレート上に隙間をあけて配置され、前記プレートの回転により前記処理剤が前記隙間を通ることで前記プレート上に前記処理剤の膜を形成する膜形成部材と、前記プレートの回転により前記膜形成部材に当接して滞留する前記処理剤の量を検出する検出手段とを具備する。
【0030】
本発明では、膜形成部材に当接して滞留する処理剤の量が検出されるので、塗布装置は、例えば処理剤の供給タイミング等を判断することが可能となる。これにより、処理剤をプレート上に安定的に存在させることができる。また、プレート上の処理剤の膜厚を容易に管理することができる。
【発明の効果】
【0031】
以上のように、本発明によれば、処理剤をプレート上に安定的に存在させることができ、メンテナンスを減らすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0033】
図1は、本発明の一実施の形態に係る電子部品の実装装置を示す斜視図である。本実装装置10は、ある電子部品上に別の電子部品を実装する装置である。典型的には、BGA(Ball Grid Array)等の回路素子がプリント配線基板上に実装される。実装装置10は、特に、FC(Flip Chip)技術、PoP(Package on Package)技術、CSP(Chip Size Package)技術等に利用される。この実装装置10で処理された2つの電子部品は、別の装置で、熱圧着やその他の方法によるボンディングが行われる。
【0034】
実装装置10は、実装機構1、フラックス塗布ユニット5、トレイ11、パーツカセット7等を備えている。
【0035】
実装機構1は、回路素子等の処理対象となる電子部品Wを保持して、例えばプリント配線基板3上に実装する機構である。具体的には、実装機構10は、電子部品Wを保持する吸着ノズル29、吸着ノズル29が装着された装着ヘッド8、この装着ヘッド8を3軸(X軸、Y軸及びZ軸)で移動させるヘッド移動機構2を備えている。このヘッド移動機構2は、例えばボールネジ駆動、ベルト駆動、リニアモータ駆動、またはその他の駆動方式が用いられる。吸着ノズル29は、例えば図示しない真空発生源による真空吸着で電子部品Wを保持する。真空吸着に代えて、メカ的に保持されるようにしてもよい。
【0036】
実装機構10は、吸着ノズル29に吸着された電子部品Wの位置等を観察する画像処理用のカメラ9を備えている。カメラ9は、吸着ノズル29より下方に配置されている。しかし、その配置はどこでもよく、吸着ノズル29と同じ程度の高さ、あるいはそれより高い位置に配置されてもよい。その場合、ミラー等の反射を利用して撮像することができる。カメラ9の撮像素子としては、例えばCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等が用いられればよい。
【0037】
パーツカセット7には、TAB(Tape Automated Bonding)用のテープが収納されている。トレイ11には、電子部品Wが縦横に配列されて収容されている。電子部品Wはパーツカセット7によって供給されることもある。パーツカセット7は、支持台6により支持されている。フラックス塗布ユニット5も、この支持台6に支持されている。パーツカセット7やフラックス塗布ユニット5は、支持台6に対して着脱可能に構成されている。トレイ11も同様に、トレイ支持台41に着脱可能となっていてもよい。
【0038】
図2は、フラックス塗布ユニット5を示す斜視図である。フラックス塗布ユニット5は、手前から順に塗布部16、駆動部17及び電装部18を備えている。図3は、塗布部16を示す斜視図である。図4は、塗布部16の平面図であり、図5は図4におけるA−A線断面図である。
【0039】
塗布部16は、基台19、基台19上に設けられペースト状の処理剤であるフラックスが供給されるプレート12、プレート12上に隙間m(図5参照)をあけて配置されたスキージ25、スキージ25に近接して配置され、フラックスをプレート12に押し付ける押し付けブロック26を含む。また、塗布部16は、スキージ25を移動させる移動機構として、昇降移動させる昇降機構21を含む。昇降機構21は、図5に示すように、例えば図示しない部材によって固定されたサーボモータ22を備える。サーボモータ22の回転軸にはボールネジ22aが接続されている。また、昇降機構21は、ほぼ垂直に立設されたコラム23を備え、コラム23にはガイドレール23aが設けられている。ガイドレール23aには、リニアガイド24が昇降可能に設けられている。リニアガイド24の上部には、ボールネジ22aと接続される接続部材24aが固定されている。リニアガイド24には、装着部材27が接続され、この装着部材27にスキージ25が装着されている。なお、サーボモータ22の代わりに、ステッピングモータが用いられてもよい。
【0040】
プレート12は、例えば円形であり、その外周部に側壁12aを有する。スキージ25は、プレート12上に供給されたフラックスをならして膜を形成する膜形成部材である。スキージ25は、金属、樹脂、ガラスまたはセラミックス等の材料で構成される。スキージ25とプレート12の膜形成面12bとの隙間mは、所定の距離tに設定されている。後述するように、プレート12は中心軸28(図5参照)を中心に回転する。したがって、プレート12上に供給されたフラックスは、隙間mを通ることで、上記距離t(膜厚t)のフラックスの膜が形成される。なお、フラックスは、手動または自動によってプレート12上に供給される。この場合、作業者による人手でフラックスが供給されてもよいし、プレート12上にフラックスの供給装置(図示せず)が設けられていてもよい。この供給装置が設けられる場合、手動または自動によりプレート12上にフラックスが供給される。
【0041】
図6は、塗布部16、駆動部17及び実装装置10の制御系を示す図である。駆動部17は、モータ31、タイミングベルト34がかけられた一対のタイミングプーリ37a及び37b、モータ31の回転軸32にカップリング33を介して接続され、その回転を上記タイミングプーリ37aに伝達するウォームギア36及びウォームホイール35を含む。タイミングプーリ37bは、プレート12の中心軸28に接続されている。このような構成により、モータ31の駆動によりプレート12が中心軸28を中心に回転する。
【0042】
実装装置10は、メイン制御部42、電子部品情報記憶部43、通信インターフェース44を備えている。フラックス塗布ユニット5の電装部18は、制御部46、膜厚管理テーブル記憶部47、通信インターフェース45を含む。
【0043】
電子部品情報記憶部43には、電子部品Wに関する情報が記憶されている。電子部品Wに関する情報を、以下、単に電子部品情報という。電子部品情報については後述する。メイン制御部42は、上記ヘッド移動機構2の駆動やそのタイミングを制御し、また、電子部品情報記憶部43から電子部品情報(またはその電子部品情報の一部)を抽出して電装部18に送出する。
【0044】
膜厚管理テーブル記憶部47は、電子部品情報と、塗布部16のプレート12上に形成されるフラックス膜の膜厚とが関連付けされたテーブルを記憶している。制御部46は、モータ31の駆動やそのタイミングを制御する。また、制御部46は、実装装置10側から取得した上記電子部品情報に応じてサーボモータ22の駆動を制御し、またそのタイミングを制御する。
【0045】
通信インターフェース44及び45は、例えば通信に必要なソフトウェアやハードウェアの概念が含まれる。例えば通信手段としては、LAN(Local Area Network)、RS−232C等、どのような通信手段でも構わない。
【0046】
図7は、押し付けブロック26を示す斜視図である。押し付けブロック26は、プレート12の回転によるスキージ25の上流側に配置されている。典型的には、押し付けブロック26は、スキージ25にネジ穴26a等においてネジにより固定されている。しかし、固定手段は、他の手段でもよい。また、押し付けブロック26は、スキージ25に固定される場合のほか、図示しない他の部材、例えば基台19等に適当な部材を介して固定されていてもよい。
【0047】
押し付けブロック26は、図4に示すように、円の一部の形状を有している。その角度θは、例えば60°程度に設定されているが、これに限られない。押し付けブロック26は、プレート12に対面する上壁26b、回転外周側に設けられた外周壁26cを有する。また、押し付けブロック26は、内周側に設けられた内周壁26dを有する。これら外周壁26cの下端26g及び内周壁26dの下端26hは、プレート12から所定の距離s(図8参照)だけ離れている。この距離sと上記距離tとの関係は、s>tである。しかし、sとtは実質的に同じであってもよい。あるいはs<tであってもよい。
【0048】
図8は、押し付けブロック26の外周壁26cに沿って見た断面図である。見方を変えると、押し付けブロック26は、上流側の開口26e及び下流側の開口26jを有し、さらに上流側開口26eから下流側開口26jにかけてフラックスが通る内部領域26iを有する。矢印はプレート12の回転方向を示している。また、上壁26bの内面26fは、スキージ25に向かうにしたがって徐々にプレート12に近づくように斜めに形成されている。すなわち、上流側開口26eから下流側開口26jに向かって徐々に内部領域26iの高さが小さくなっている。これにより、プレート12の回転時にフラックスFが徐々に押さえ付けられ、スキージ25でならされる前に、きれいなフラックス膜を形成することができる。
【0049】
押し付けブロック26は、金属、樹脂、ガラス、セラミックス等で構成される。樹脂やガラスの場合、内部領域が視認できるように透明または半透明の材質で構成されていてもよい。
【0050】
図9(A)は、フラックス塗布ユニット5で処理される電子部品Wの例を示す側面図である。図9(B)はその平面図である。この電子部品Wは、BGAタイプの回路素子である。パッケージングの裏面には半田や金でなる電極のボール38が2次元的に配置されている。図9(C)は、図9(A)及び図9(B)で示した電子部品Wの各箇所の寸法を説明した図である。
【0051】
図10は、電子部品情報記憶部43に記憶された電子部品情報の例を示す図である。例えば電子部品IDが「A」である電子部品情報については、上記部品厚さaがa1、横寸法bがb1、・・・、電子部品IDが「B」である電子部品情報については、部品厚さaがa2、横寸法bがb2、・・・という具合に、IDごとに異なる電子部品情報が定められている。
【0052】
図11は、上記膜厚管理テーブル記憶部47に記憶された膜厚管理テーブルの例を示す図である。この例では、例えば電子部品WのID(図10参照)「A」、「B」、「C」、・・・ごとに、プレート12上に形成されるフラックスの膜厚「t1」、「t2」、「t3」、・・・が定められている。
【0053】
図12は、フラックスの種類を示した表である。また、これらのフラックス以外でも、クリーム半田、接着剤等、ペースト状の処理剤であれば何でもよい。
【0054】
以上のように構成された実装装置の動作を説明する。図13は、その動作を順に示す図である。図20は、その動作を示すフローチャートである。
【0055】
メイン制御部42は、トレイ11に収容された電子部品Wの電子部品情報またはそのうちのIDを電装部18に送る(ステップ2001)。制御部46は、その電子部品情報等を取得する(ステップ2002)。そうすると、制御部46は、膜厚管理テーブル記憶部47から膜厚管理テーブルを抽出し、その膜厚値に応じてサーボモータ22を駆動して、スキージ25の高さ位置を制御する(ステップ2003)。制御部46は、フラックスが供給されたプレート12を回転駆動させる(ステップ2004)。これにより、上記IDに対応する膜厚でフラックス膜が形成される。フラックス膜が形成されると、制御部46は、プレート12の回転を停止させる(ステップ2005)。この停止のタイミングは、例えば、プレート12が所定回数だけ回転したときでよい。この場合、その回転の回数は、フラックスの種類に応じて予め定められていてもよい。あるいは、回転停止のタイミングは、作業者の手動により行われてもよい。
【0056】
メイン制御部42の制御に応じて、ヘッド移動機構2の駆動により装着ヘッド8が移動させられる。例えば、図13(A)に示すように、装着ヘッド8の移動により、吸着ノズル29によりトレイ11から電子部品Wが取り出される。図13(B)に示すように、吸着ノズル29は、電子部品Wを取り出すと、ヘッド移動機構2の駆動によりカメラ9の上方の位置まで移動する。なお、照明デバイス48により電子部品Wが照らされている。そしてカメラ9により、吸着ノズル29に対する電子部品Wの位置が画像処理で認識され、その位置ずれ量が記録される。
【0057】
吸着ノズル29は、電子部品Wを吸着したまま、フラックス膜が形成されたプレート12上の位置まで移動する。この時の移動位置は、電子部品Wの吸着位置ずれ分だけ補正された位置となる。すなわち、吸着ノズル29ではなく電子部品Wが所定の位置になるように移動する。図13(C)に示すように、その位置から、吸着ノズル29がヘッド移動機構2の駆動により下降し、フラックスを電子部品Wに塗布する(ステップ2006)。このときもちろんプレート12は回転していない。例えば、電子部品Wは、スキージ25とは反対側、つまり180°程度離れた位置でフラックスが塗布されればよい。しかし、プレート12上の塗布位置は、これに限られず、例えばスキージ25から回転方向へ60°、90°、120°等離れた位置であってもよく、あるいはこれら以外の角度でもよい。この角度は、電子部品Wのサイズにもよる。
【0058】
電子部品Wにフラックスが塗布されると、吸着ノズル29は、カメラ9の上方の位置まで移動する。なお、照明デバイス48により電子部品Wが照らされている。そしてカメラ9により、吸着ノズル29に対する電子部品Wの位置が画像処理で再度認識されその位置ずれ量が記録される。その後、吸着ノズル29は電子部品Wの位置ずれ分を加味して、電子部品Wをプリント配線基板3の上方の所定の位置まで移動する。そうすると、図13(D)に示すように、吸着ノズル29が下降し、電子部品Wは、プリント配線基板3上の所定の位置に載置され実装される(ステップ2006)。
【0059】
フラックス塗布前及び塗布後におけるカメラ9による電子部品Wの位置の認識処理について、そのどちらかを省略することもできる。
【0060】
図14は、電子部品Wである回路素子の種類と、フラックスFの膜厚との関係の例を示す図である。図14(A)では、例えばボール直径が0.8mm、ピッチが1.5mmの場合、膜厚tは0.3mmである。図14(B)では、例えばボール直径が0.6mm、ピッチが1mmの場合、膜厚tは0.2mmである。図14(C)では、例えばボール直径が0.3mm、ピッチが0.65mmの場合、膜厚tは0.15mmである。この図14(A)〜図14(C)にそれぞれ示した回路素子の種類とフラックス膜厚との関係は一例に過ぎず、これらに限られない。例えば、フラックス膜厚をtmm、ボールの直径をfmmとすると、t=(1/3〜1/2)fでよい。
【0061】
このように、本実施の形態では、異なる種類の電子部品Wごとに、フラックス膜厚を自動で変更することができ、実装が容易になる。特に、1枚のプリント配線基板3に異なる種類の電子部品Wを連続的に実装することができる。例えば、図15(A)に示すように、例えばID「A」の電子部品に対して、領域121でフラックスが塗布される。なお、プレートは時計周りに回転するとする。続いて、膜厚管理テーブルの膜厚値に応じてスキージ25の高さ位置が変えられる。そして、図15(B)に示すように、例えばプレート12が120°程度時計回りにさらに回転して停止し、ID「B」の電子部品Wに対して領域122でフラックスが塗布される。このようにすれば、約120°ごとに、異なる種類の電子部品Wに連続的にフラックスを塗布することが可能となる。もちろん、120°より小さい回転角度ごとに塗布処理が行われてもよい。
【0062】
従来の装置では、例えばプレート上に凹部が設けられ、その凹部内にフラックスが貯留し、その凹部内に電子部品の電極ボールが浸される。その凹部の深さがフラックス膜厚に相当する。また、1つのプレート上に、深さの異なる複数の凹部が設けられ、複数の種類の電子部品に対応できる装置がある(例えば、特開2005−347775)。
【0063】
図16に示すように例えば120°間隔で凹部が設けられている装置を想定する。凹部212a、212b、212cの深さが、それぞれt1、t2、t3と異なるものとする。この場合、例えば連続して同じ膜厚でフラックスが複数の電子部品に塗布される場合、1つの電子部品の処理が終了するごとにプレートが360°回転しなければならない。
【0064】
また、例えば今、スキージ225とは180°離れた位置(凹部212bの位置)でフラックスが塗布されることを想定する。また、プレート212の回転方向は時計回りとする。この場合、凹部212bで膜厚t2のフラックスが塗布され、その次に、凹部212cで膜厚t3のフラックスが塗布される場合、プレート212が240°回転されなければならない。
【0065】
図17(A)は、図16に示した装置において、膜厚の切り換えに必要なプレートの回転角度を示す表である。例えば切り換え前の膜厚がt1で、切り換え後の膜厚がt2であれば、240°の回転が必要である。これでは処理効率が悪い。また、膜厚の種類は凹部の数によるので、膜厚の種類を増やすにも限界がある。
【0066】
図17(B)は、本実施の形態に係るフラックス塗布ユニット5において、膜厚の切り換えに必要なプレート12の回転角度を示す表である。ここでは、120°ごとのプレート12の回転で1つの電子部品Wにフラックスの塗布処理が行われることを想定している。このように、すべて120°の回転で足りる。図17(A)の従来の装置の場合、この表に示した角度をすべて足し合わせると2160°となる。図17(B)の本実施の形態の場合、すべての角度を足し合わせると1080°となり、従来に比べ効率が2倍となる。また、本実施の形態では、膜厚を自由に設定することができる。
【0067】
このように、本実施の形態に係るフラックス塗布ユニット5では、処理効率が向上し、処理の高速化が図れる。このようなフラックス塗布処理の高速化の必要性を以下に述べる。
【0068】
本実施の形態に係る実装装置10は、装着ヘッド8に吸着ノズル29が1本搭載される機種であり、いわゆる1by1という実装方法を示した。しかし、装着ヘッドに複数の吸着ノズルが搭載された機種もある(例えば、特開2001−77594)。この文献に記載された装置では、複数の電子部品に対して処理が行われる。すなわち、複数の電子部品に対して連続してフラックスの塗布処理が行われる。したがって、この場合、フラックス塗布のスピードが電子部品の実装のスピードを制限する要因となり、膜厚変更には高速性が必要になる。
【0069】
本実施の形態では、フラックスの膜厚が高精度に制御されるので、電子部品Wに塗布されるフラックス膜厚の信頼性が向上する。
【0070】
次に、押し付けブロック26の作用効果について説明するが、その前に、押し付けブロック26がない場合のフラックスの動きについて説明する。
【0071】
図18は、押し付けブロック26がない場合において、スキージ225によりフラックス膜が形成されるときの作用を説明するための図である。今、プレート212の回転方向は時計回りとする。図18(A)及び図18(B)に示すように、プレート212上に供給されているフラックスFがスキージ225によりならされる。このとき、スキージ225の上流側にあるフラックスFのうち、プレート212に接しているフラックスF(下の部分)は、その粘性やプレート212との間の摩擦力により、プレート212とともに円周方向に移動する。図18(B)に示すように、円周方向に進んだフラックスFのうち下の部分は、スキージ225とプレート212の隙間を通る。しかし、そのうち上の部分はスキージ225に当る。これによりその上の部分のフラックスFはスキージ225の押しのけ面225aに沿って上昇する。上昇したフラックスFは、プレート212からの回転力(摩擦力)を受けず、スキージ225からの押圧力を受け、押しのけ面225aとほぼ垂直な方向に移動する。これにより、フラックスFは元の位置よりプレート212の外周側へ移動し、再び下降してプレート212に接する。結果的に、図18(C)に示すように、フラックスFは螺旋状に回転しながら外周側へ移動するように流動する。図28は、外周側へ移動したフラックスFの様子の写真である。
【0072】
次に、押し付けブロック26がある場合について説明する。図19は、図4におけるB−B線断面図である。例えば、押し付けブロック26より上流側で、プレート12上にフラックスFが供給される。このとき、プレート12は回転していてもよいし止まっていてもよい。回転するプレート12上のフラックスFが、押し付けブロック26の内部領域26iを通る。そして、大部分のフラックスFが上記したようにスキージ25の上流側で螺旋状に流動し、外周側へ移動しようとして盛り上がる。図19に示すように、押し付けブロック26は、この盛り上がりを抑えることができる。これにより、フラックスFがプレート12外へ流出する等の問題を解決でき、フラックスFをプレート12上に安定的に存在させることができる。したがって、メンテナンスも減らすことができる。
【0073】
特に、押し付けブロック26は、その外周壁26cにより、外周側での処理剤の盛り上がりを抑制することができる。
【0074】
また、上述したように、押し付けブロック26の上壁26bの内面は、スキージ25に向かうにしたがって徐々にプレート12に近づくように斜めに形成されている。したがって、スキージ25でならされる前に、きれいなフラックス膜を形成することができる。
【0075】
従来では、図29に示すように、プレート212上のフラックスFの量が少なくなると、スキージ225に大部分のフラックスFが付着してしまい、プレート212上にフラックスFが付着していない状態となる場合がある。これに対し、本実施の形態によれば、押し付けブロック26により安定してフラックスFをスキージ25に送ることができるので、そのような従来の問題を解決することができる。
【0076】
フラックスFは塗布量が少なすぎるまたは塗布されないと接続不良の原因になる。また、フラックスF多すぎても半田形成の不良の原因になるとともに、残留すると、残留したフラックスFの腐食が製品に害を与えることとなる。したがって、フラックスFの膜厚は十分管理されなくてはならない。
【0077】
次に、本発明の他の実施の形態に係る押し付けブロックについて説明する。これ以降の説明では、図7及び図8等に示した実施の形態に係る押し付けブロック26について、同様の部分については説明を簡略または省略し、異なる点を中心に説明する。
【0078】
図21は、図19で示した断面図と同様の方向で見た図である。この押し付けブロック56の上壁56bの内面56fは、外周壁56cに向かうにしたがい徐々にプレート12に近づく。この内面56fは平面であってもよいし曲面であってもよい。これにより、押し付けブロック56の内部領域の外周側でフラックスFの圧力が高められる。その結果、外周側の滞留するフラックスFを内周側へ流動させることができ、外周側でのフラックスFの盛り上がり効果的に抑制することができる。
【0079】
図22に示す押し付けブロック66の上壁66bは、その内面66fに複数の溝66kを有する。矢印は、プレート12の回転方向を示す。図23は、その押し付けブロック66の、プレート12の径方向での断面図である。これらの溝66kは回転の周方向に沿って形成されている。これにより、押し付けブロック66の内部領域でフラックスFが周方向の溝66kに沿って流動するようになる。すなわち、図18で説明したようなフラックスFの上昇する動きが発生しても、各溝66k内で上昇するだけであって、外周側へフラックスFが移動することを抑制することができる。
【0080】
図24に示す押し付けブロック76では、その内面76fに形成された複数の溝76kが、スキージ25が配置される側から上流側に離れるにしたがって徐々に回転の内周側へ向かうように形成されている。これにより、フラックスFはこれらの溝76kに沿って内周側へ流動するようになるので、外周側でのフラックスFの盛り上がり効果的に抑制することができる。
【0081】
図22または図24に示した押し付けブロック66または76と、図21に示した押し付けブロック56とが組み合わされた形態も考えられる。つまり、図22(または図24)に示した押し付けブロック66(または76)の各溝66k(または76k)が形成された内面66f(または76f)が、図21に示した内面56fのように外周側へ向かうにしたがい徐々にプレート12に近づく構成であってもよい。
【0082】
図25は、本発明の他の実施の形態に係るフラックス塗布ユニットを示す斜視図である。これ以降の説明では、図2等に示した実施の形態に係るフラックス塗布ユニット5の部材や機能等について同様のものは説明を簡略または省略し、異なる点を中心に説明する。
【0083】
このフラックス塗布ユニットのプレート12上には、スキージ25、押し付けブロック26のほか、プレート12を覆うカバー53が配置されている。カバー53は、金属、樹脂、ガラス、セラミックス、またはその他の材料でなる。樹脂やガラスの場合、カバー53は、プレート上のフラックスの残量が視認できる程度に透明または半透明の材質で構成されていてもよい。カバー53は、コラム23、基台19、その他図示しない固定の部材に取り付けられていてもよい。また、カバー53は、それらコラム23等の部材に着脱可能に取り付けられていてもよい。
【0084】
このようなカバー53が設けられることにより、塵や埃がプレート12やフラックスに付着することを防止することができる。また、フラックスの乾燥を抑制することができ、フラックスの寿命を延ばすことができる。
【0085】
カバー53は、図25に示すように、必ずしも、プレート12上の領域において押し付けブロック26で覆われた領域以外の領域すべてを覆う必要はない。例えば、押し付けブロック26と同じ60°程度の角度分覆うような大きさであてもよいし、または、それ以上の大きさであってもよい。カバー53がプレート12上の領域において押し付けブロック26で覆われた領域以外の領域すべてを覆う場合、そのカバー53の一部が開閉する蓋になっている形態も考えられる。このような蓋が設けられることにより、その蓋を開けてフラックスをプレート12上に供給することができる。
【0086】
図26は、上記カバーの変形例を示す斜視図である。矢印は、プレート12の回転方向を示している。図27は、そのカバー63が押し付けブロック26に近接して配置された例を示す断面図である。このカバー63は、例えば上流側にネジ穴63dを有し、図示しないネジにより基台19に装着されている。また、カバー63は、押し付けブロック26の開口26eの一部を塞ぐように設けられた壁部材63aを有する。これにより、押し付けブロック26の内部領域26iにあるフラックスFの乾燥を抑えることができる。また、例えば実装装置10の吸着ノズル29が電子部品Wの吸着に失敗し、電子部品WがフラックスF上に残った場合、プレート12が回転し電子部品Wが移動しても電子部品Wは壁部材63aに当る。つまり、壁部材63aがあることにより、電子部品Wが押し付けブロック26の内部領域26iまで移動してしまうことを防止することができる。
【0087】
図30は、本発明のさらに別の実施の形態に係るフラックス塗布ユニットの要部を示す図である。
【0088】
このフラックス塗布ユニットの塗布部116は、プレート12、スキージ25、押し付け板57を含む。また、塗布部116は、押し付け板57の上方に配置された光センサ54、押し付け板57を支持する支持機構61を含む。押し付け板57は、上記押し付けブロック26と同様の機能を有する。支持機構61は、押し付け板57とスキージ25とを接続するヒンジ部58と、光センサ54を保持する保持部材55と押し付け板57との間に設けられたバネ62とを有する。保持部材55の一端は、例えばスキージ25に固定されている。しかし、保持部材55は、基台19(図2参照)やその他の固定の部材に固定されていてもよい。光センサ54は、押し付け板57の移動量を検出する機能を有する。光センサ54は、例えば反射型の光センサが用いられ、反射光量を検出することで、押し付け板57の移動位置を検出する。
【0089】
押し付け板57は、上流側に折り返し部57aが設けられている。押し付け板57は、バネ62によりプレート12側に向けてバネ力が付勢されている。このバネ力により、図30に示す初期状態において押し付け板57はプレート12に接しているか、または、プレートからわずかに離れて配置される。また、図30に示す初期状態では、押し付け板57の折り返し部57aが斜め上方に向けられている。
【0090】
図31(A)に示すように、スキージ25によりフラックスFがならされると、スキージ25の上流側にフラックスFが盛り上がる。押し付け板57は、フラックスFが流動するときにフラックスFからの圧力を受ける。しかし、押し付け板57の下方への押し付け力によって、フラックスFの盛り上がりが押さえ付けられる。
【0091】
このように、押し付け板57は、上記したような押し付けブロック26と同様の作用効果を奏する。また、押し付け板57の折り返し部57aにより、初期においてプレート12の回転によってフラックスFが押し付け板57の下に潜り込みやすくなる。これによりフラックスFはスムーズにスキージ25側へ送られる。
【0092】
押し付け板57は、単に平面でなる板ではなく、曲面を有していたり、押し付けブロック26にあるような外周壁26c等を有していたりしてもよい。
【0093】
図31(B)に示すように、フラックスFが消費されてフラックスFの量が少なくなる。そうなると、バネ62の力により、押し付け板57はヒンジ部58を中心に下方へ回動する。制御部46(図6参照)は、光センサ54が検出する反射光量が所定の閾値以下となると、フラックスFの量が所定の量以下になったと判断し、プレート12の回転を停止する。あるいは、制御部46は、光センサ54の反射光量が所定以下となった場合に、音、光、画像、またはその他の手段により警告を発するようにしてもよい。
【0094】
本実施の形態によれば、押し付け板57の動きが検出されることにより、押し付け板57により押し付けられているフラックスFの量を確認することができる。その結果、プレート12上のフラックスFの膜厚を容易に管理することができる。
【0095】
また、支持機構61は、押し付け板57を弾性的に支持するので、フラックスFの量に応じて、精度良く押し付け板57の位置が定められる。その結果、光センサ54による当該位置の検出精度が向上する。
【0096】
なお、支持機構61は、ヒンジ部58及びバネ62を含んでいたが、いずれか一方を含む構成であってもよい。
【0097】
ヒンジ部58は、押し付け板57を弾性的に支持してもよいし、そうでなくてもよい。弾性的に支持する場合、ヒンジ部58が、ねじりコイルバネやトーションバーバネ等のバネ部材を含んでいればよい。
【0098】
弾性的な支持機構61は設けられず、すなわち、ヒンジ部及びバネが設けられず、押し付け板自体が板バネ状に作用してもよい。この場合、押し付け板57は、板バネとして作用する程度の厚さや材質に適宜設計される。
【0099】
光センサに代えて、磁気センサ、静電センサ、または、ひずみゲージ等のセンサが設けられていてもよい。
【0100】
図32は、図30に示したフラックス塗布ユニットの塗布部の別の実施形態を示す図である。この実施の形態に係る塗布部216は、ほぼ直角に折り曲げられた形状の押し付け板67を含む。つまり、押し付け板67は、第1の板67aと第2の板67bを有し、これらの板67aの間に回動軸68を有する。この回動軸68は、基台19や図示しない固定の部材に接続されている。
【0101】
光センサ54は、スキージ25に取り付けられている。また、スキージ25と、押し付け板67の第2の板67bの端部との間にバネ62が設けられている。さらに、押し付け板67の回動を規制するストッパー69が設けられている。スキージ25の下部25aは、円弧面状に形成されている。これにより、例えば押し付け板67の第1の板67aの端部と、スキージ25の下部25aが極力接近しながら、押し付け板67が回動することができる。
【0102】
図32(A)を参照して、フラックスFの量が比較的多い場合、バネ62の所定のバネ力が押し付け板67に働き、押し付け板67の第1の板67aによりフラックスFがプレート12に押し付けられる。図32(B)に示すように、フラックスFの量が減ると、バネ62の戻り力により第2の板67bが光センサ54に接近する。そして、押し付け板67が所定の位置まで回動するとストッパー69によりその動きが規制される。このとき、光センサ54はその位置を検出する。また、このとき、上述したように警告が発せられるようにすればよい。
【0103】
押し付け板67の折り曲げ角度は、直角であったが、直角に限られない。また、ストッパー69は必ずしも必要でなく、例えばバネ62のバネ力が適宜設定されることによって、押し付け板67は最適な初期位置に配置される。
【0104】
図33は、さらに別の実施の形態に係るフラックス塗布ユニットの塗布部を示す平面図である。図34は、図33におけるC−C線断面図である。この実施の形態に係る塗布部316は、スキージ85、押し付けブロック86、押し付けブロック86をリニアに移動させるリニア移動機構81、押し付けブロック86の上部に配置された光センサ54を含む。また、この実施の形態では、塗布部316は押し付けブロック86に近接して配置されたカバー77を含む。このカバー77は、図26等で示したカバー53と同様の機能を有する。
【0105】
リニア移動機構は81、例えばスキージ85に設けられたガイドレール72、押し付けブロック86に接続されこのガイドレール72に沿って移動するリニアガイド74を備えている。光センサ54は、基台19にネジ78によって装着された保持部材75により保持されている。光センサ54は、発した光を押し付けブロック86の上面86aで反射させて、反射光を受光する。
【0106】
このような構成の塗布部316では、フラックスの量が減るにしたがい、押し付けブロック86は、自重で、リニア移動機構81により下降する。光センサ54はこの押し付けブロック86の上下方向の位置を検出することで、フラックスの量が検出される。
【0107】
リニア移動機構81のガイドレール72は、必ずしもスキージ85に設けられる必要はなく、他の図示しない固定の部材に設けられていてもよい。押し付けブロック86は自重により下降する形態を示した。しかし、押し付けブロック86はバネ等の弾性部材により弾性的に支持されていてもよい。
【0108】
フラックス量の検出は、プレート12が回転してフラックス圧が上昇している時、もしくはプレート12が停止した直後に行われる。
【0109】
本発明に係る実施の形態は、以上説明した実施の形態に限定されず、他の種々の実施形態が考えられる。
【0110】
上記各実施の形態では、プレート12がスキージ25、85に対してフラックス膜が形成される形態を挙げた。しかし、プレート12に沿ってスキージ25、85が移動する形態も考えられる。この場合、プレート12を回転させる機構の代わりに、スキージ25、85をプレート12に沿って移動させる移動機構が必要となる。また、その場合、プレートは、円板状でもよいし、矩形等その他の形状でもよい。また、スキージ25、85は、当該移動機構によりプレート上で往復移動してもよい。
【0111】
図2に示したフラックス塗布ユニット5の塗布部16は、スキージ25を自動的に昇降させる昇降機構21を備える構成とした。しかし、この昇降機構21は必ずしもなくてもよく、手動で行われるような昇降機構が設けられていてもよい。
【0112】
上記各実施の形態に係る実装装置10やフラックス塗布ユニット5を構成する各部材の形状、大きさ、配置等は適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の一実施の形態に係る電子部品の実装装置を示す斜視図である。
【図2】フラックス塗布ユニットを示す斜視図である。
【図3】塗布部を示す斜視図である。
【図4】塗布部を示す平面図である。
【図5】図4におけるA−A線断面図である。
【図6】塗布部、駆動部及び実装装置の制御系を示す図である。
【図7】一実施の形態に係る押し付けブロックを示す斜視図である。
【図8】押し付けブロックの外周壁に沿って見た断面図である。
【図9】(A)は、フラックス塗布ユニットで処理される電子部品の例を示す側面図である。(B)はその平面図である。
【図10】電子部品情報記憶部に記憶された電子部品情報の例を示す図である。
【図11】上記膜厚管理テーブルに記憶された膜厚管理テーブルの例を示す図である。
【図12】フラックスの種類を示した表である。
【図13】実装装置の動作を順に示す図である。
【図14】電子部品である回路素子の種類と、フラックス膜厚との関係の例を示す図である。
【図15】本実施の形態に係るフラックス塗布装置において、異なる種類の複数の電子部品にフラックスを塗布する場合のプレートの回転角を説明するための図である。
【図16】従来の装置において、異なる種類の複数の電子部品にフラックスを塗布する場合のプレートの回転角を説明するための図である。
【図17】(A)は、図16に示した装置において、膜厚の切り換えに必要なプレートの回転角度を示す表である。(B)は、本実施の形態に係るフラックス塗布ユニットにおいて、膜厚の切り換えに必要なプレートの回転角度を示す表である。
【図18】押し付けブロックがない場合において、スキージによりフラックス膜が形成されるときの作用を説明するための図である。
【図19】図4におけるB−B線断面図である。
【図20】図13の実装装置の動作を示すフローチャートである。
【図21】他の実施の形態に係る押し付けブロックを示す断面図である。
【図22】さらに別の実施の形態に係る押し付けブロックを示す斜視図であり、複数の溝を有する押し付けブロックを示す。
【図23】図22に示した押し付けブロックの断面図である。
【図24】さらに別の実施の形態に係る押し付けブロックを示す断面図であり、内周側に向かうように形成された複数の溝を有する押し付けブロックを示す。
【図25】本発明の他の実施の形態に係るフラックス塗布ユニットを示す斜視図である。
【図26】上記カバーの変形例を示す斜視図である。
【図27】図26に示すカバーが押し付けブロックに近接して配置された例を示す断面図である。
【図28】従来の装置において、外周側へ移動したフラックスの様子を写真である。
【図29】従来の装置において、プレート上のフラックスの量が少なくなった状態を示す図である。
【図30】本発明のさらに別の実施の形態に係るフラックス塗布ユニットの塗布部を示す図である。
【図31】図30に示した塗布部の動作を示す図である。
【図32】さらに別の実施の形態に係るフラックス塗布ユニットの塗布部の別の実施形態を示す図である。
【図33】さらに別の実施の形態に係るフラックス塗布ユニットの塗布部を示す平面図である。
【図34】図33におけるC−C線断面図である。
【符号の説明】
【0114】
m…隙間
θ…角度
F…フラックス
1…実装機構
3…プリント配線基板
5…フラックス塗布ユニット
10…実装装置
12…プレート
16、116、216…塗布部
17…駆動部
18…電装部
21…昇降機構
25、85…スキージ
26、56、66、76、86…押し付けブロック
26b、56b、66b、76b…上壁
26c…外周壁
26f、56f、66f、76f…内面
42…メイン制御部
43…電子部品情報記憶部
46…制御部
53、63、77…カバー
54…光センサ
57、67…押し付け板
58…ヒンジ部
61…支持機構
62…バネ
63…カバー
63a…壁部材
66k、76k…溝
81…リニア移動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に設けられ、ペースト状の処理剤が供給されるプレートと、
前記プレート上に隙間をあけて配置され、前記プレートの回転により前記処理剤が前記隙間を通ることで前記プレート上に前記処理剤の膜を形成する膜形成部材と、
前記膜形成部材に近接して配置され、前記プレートの回転により前記膜形成部材へ向かう前記処理剤を前記プレートに押し付ける押し付け部材と
を具備することを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
請求項1に記載の塗布装置であって、
前記押し付け部材は、
前記プレートに対面する上壁と、
前記プレートによる回転の外周側に設けられた外周壁と
を有することを特徴とする塗布装置。
【請求項3】
請求項2に記載の塗布装置であって、
前記上壁は、前記膜形成部材に向かうにしたがい徐々に前記プレートに近づく内面を有することを特徴とする塗布装置。
【請求項4】
請求項2に記載の塗布装置であって、
前記上壁は、前記外周壁に向かうにしたがい徐々にプレートに近づく内面を有することを特徴とする塗布装置。
【請求項5】
請求項2に記載の塗布装置であって、
前記上壁は、
内面と、
前記内面に、前記回転の周方向に形成された複数の溝と
を有することを特徴とする塗布装置。
【請求項6】
請求項2に記載の塗布装置であって、
前記上壁は、
内面と、
前記プレートの回転により処理剤が徐々に回転の内周側へ向かうように、前記内面に形成された複数の溝と
を有することを特徴とする塗布装置。
【請求項7】
請求項1に記載の塗布装置であって、
前記処理剤が流動するときの圧力により前記押し付け部材が移動するように該押し付け部材を支持する支持機構と、
前記押し付け部材の動きを検出する検出手段と
をさらに具備することを特徴とする塗布装置。
【請求項8】
請求項7に記載の塗布装置であって、
前記支持機構は、前記押し付け部材を弾性的に支持することを特徴とする塗布装置。
【請求項9】
請求項7に記載の塗布装置であって、
前記押し付け部材の膜形成部材側に設けられ、前記押し付け部材を回動させるヒンジ機構を有することを特徴とする塗布装置。
【請求項10】
請求項7に記載の塗布装置であって、
前記支持機構は、
前記押し付け部材を回動させるヒンジ機構と、
前記押し付け部材を弾性的に保持するバネと
を有することを特徴とする塗布装置。
【請求項11】
請求項7に記載の塗布装置であって、
前記支持機構は、前記押し付け部材がリニアに移動可能に支持するリニア移動機構を有することを特徴とする塗布装置。
【請求項12】
請求項1に記載の塗布装置であって、
前記押し付け部材の動きを検出する検出手段をさらに具備し、
前記押し付け部材は板バネ状に作用することを特徴とする塗布装置。
【請求項13】
請求項1に記載の塗布装置であって、
前記押し付け部材は、透明または半透明な材質で構成されることを特徴とする塗布装置。
【請求項14】
請求項1に記載の塗布装置であって、
前記プレート上に設けられたカバーをさらに具備することを特徴とする塗布装置。
【請求項15】
請求項14に記載の塗布装置であって、
前記カバーは、前記押し付け部材に近接して配置されていることを特徴とする塗布装置。
【請求項16】
請求項14に記載の塗布装置であって、
前記押し付け部材は、前記上流側に設けられた開口を有し、
前記カバーは、前記開口の一部を塞ぐように設けられた壁部材を有することを特徴とする塗布装置。
【請求項17】
ペースト状の処理剤が供給されるプレートと、
前記プレート上に隙間をあけて、かつ、前記プレートに沿って移動可能に配置され、前記移動により前記処理剤が前記隙間を通ることで前記プレート上に前記処理剤の膜を形成する膜形成部材と、
前記膜形成部材に近接して配置され、前記膜形成部材の移動により前記膜形成部材へ向かう前記処理剤を前記プレートに押し付ける押し付け部材と
を具備することを特徴とする塗布装置。
【請求項18】
回転可能に設けられ、ペースト状の処理剤が供給されるプレートと、
前記プレート上に隙間をあけて配置され、前記プレートの回転により前記処理剤が前記隙間を通ることで前記プレート上に前記処理剤の膜を形成する膜形成部材と、
前記プレートの回転により前記膜形成部材に当接して滞留する前記処理剤の量を検出する検出手段と
を具備することを特徴とする塗布装置。
【請求項19】
ペースト状の処理剤が供給されるプレートと、
前記プレート上に隙間をあけて、かつ、前記プレートに沿って移動可能に配置され、前記移動により前記処理剤が前記隙間を通ることで前記プレート上に前記処理剤の膜を形成する膜形成部材と、
前記膜形成部材の移動により前記膜形成部材に当接して滞留する前記処理剤の量を検出する検出手段と
を具備することを特徴とする塗布装置。
【請求項20】
回転可能に設けられ、ペースト状の処理剤が供給されるプレートと、
前記プレート上に隙間をあけて配置され、前記プレートの回転により前記処理剤が前記隙間を通ることで前記プレート上に前記処理剤の膜を形成する膜形成部材と、
前記膜形成部材に近接して配置され、前記プレートの回転により前記膜形成部材へ向かう前記処理剤を前記プレートに押し付ける押し付け部材と、
第1の電子部品を保持して移動させることが可能であり、前記プレートに塗布された前記処理剤を前記第1の電子部品に付着させ、前記処理剤が付着した前記第1の電子部品を第2の電子部品上に載置させる実装機構と
を具備することを特徴とする実装装置。
【請求項21】
ペースト状の処理剤が供給されたプレートを回転させ、
前記プレートの回転により、前記プレート上に配置された膜形成部材と前記プレートとの隙間に、前記処理剤が通ることで前記プレート上に前記処理剤の膜を形成し、
前記膜形成部材に近接して配置された押し付け部材により、前記プレートの回転により前記膜形成部材へ向かう前記処理剤を前記プレートに押し付ける
ことを特徴とする塗布方法。
【請求項22】
ペースト状の処理剤が供給されたプレートを回転させ、
前記プレートの回転により、前記プレート上に配置された膜形成部材と前記プレートとの隙間に、前記処理剤が通ることで前記プレート上に前記処理剤の膜を形成し、
前記膜形成部材に近接して配置された押し付け部材により、前記プレートの回転により前記膜形成部材へ向かう前記処理剤を前記プレートに押し付け、
前記プレートに塗布された前記処理剤を第1の電子部品に付着させ、
前記処理剤が付着した前記第1の電子部品を第2の電子部品上に載置させる
ことを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項23】
ペースト状の処理剤が供給されたプレートを回転させ、
前記プレートの回転により、前記プレート上に配置された膜形成部材と前記プレートとの隙間に、前記処理剤が通ることで前記プレート上に前記処理剤の膜を形成し、
前記膜形成部材に近接して配置された押し付け部材により、前記プレートの回転により前記膜形成部材へ向かう前記処理剤を前記プレートに押し付け、
前記プレートに塗布された前記処理剤を第1の電子部品に付着させ、
前記処理剤が付着した前記第1の電子部品を第2の電子部品上に載置させる
ことにより製造された電子部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図28】
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【公開番号】特開2008−73633(P2008−73633A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−257124(P2006−257124)
【出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】