説明

外付け入力装置、読取データ処理システム、ナビゲーションシステム、外付け入力装置による読取データの供給方法、および案内経路の探索方法

【課題】頻繁に使用する読取データを得るために、読み取り作業を繰り返さなくても済むようにすること。
【解決手段】外付け入力装置1は、紙面2,3に印刷された所定のパターン31を読み取って、その読み取ったパターン31に応じた読取データ29を生成する読取手段22と、読取データ29に、読取データ29毎に異なる呼出データ28を対応付けて記憶するデータベース14と、データベース14に記憶される呼出データを表示する表示手段11と、データベース14において、表示手段11の表示に基づいて選択された呼出データに対応付けられている読取データを送信する送信手段27と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外付け入力装置、読取データ処理システム、ナビゲーションシステム、外付け入力装置による読取データの供給方法、および案内経路の探索方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、位置情報をドットパターンで記録した紙と、ドットパターンを読み取ることで位置情報を取得し電子的に読み取り可能な位置情報に変換する電子ペンを備えた地図情報処理システムを開示する。そして、この地図情報処理システムでは、電子ペンにより取得した紙の位置情報を電子地図上の座標に変換する手段を備える。
【0003】
【特許文献1】特開2004−294942号公報(特許請求の範囲など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1にある地図情報処理システムでは、電子ペンが生成する位置情報などの読取データを利用しようとする度に、電子ペンによる紙面の読取作業をしなければならない。
【0005】
また、このように紙面の読取位置に関する読取データを生成する電子ペンとナビゲーション装置とを組み合わせて、電子ペンにより読み取られた地図中の地点を経路探索の出発地や目的地などに用いる場合においても、ユーザは、その出発地や目的地などの地点を指定する度に、電子ペンによる地図の読取作業をしなければならない。
【0006】
そして、たとえば、その電子ペンにより読取る地点がたとえば自宅や会社などの頻繁に使用する場合であっても、ユーザは、その頻繁に使用する地点を指定する度に、電子ペンによる地図の読取作業をしなければならない。ユーザにとっては、同じ地点を読み取る作業を繰り返さなければならず、面倒に感じてしまう。
【0007】
本発明は、頻繁に使用する読取データを得るために、読み取り作業を繰り返さなくてもよい電子ペンなどの外付け入力装置、読取データ処理システム、ナビゲーションシステム、外付け入力装置による読取データの供給方法、および案内経路の探索方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る外付け入力装置は、紙面に印刷された所定のパターンを読み取って、その読み取ったパターンに応じた読取データを生成する読取手段と、読取データに、読取データ毎に異なる呼出データを対応付けて記憶するデータベースと、データベースに記憶される呼出データを表示する表示手段と、データベースにおいて、表示手段の表示に基づいて選択された呼出データに対応付けられている読取データを送信する送信手段と、を有するものである。
【0009】
本発明に係る外付け入力装置は、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、当該外付け入力装置は、ペン形状のハウジングを有する。また、当該外付け入力装置は、読取データをデータベースに登録する際にユーザにより入力される呼出データを取得する取得手段を有する。そして、データベースは、取得手段により取得された呼出データと対応付けて読取データを記憶する。
【0010】
本発明に係る外付け入力装置は、上述した発明の各構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、取得手段は、当該外付け入力装置による筆跡に基づいて認識された文字によるテキストデータを呼出データとして取得する。また、表示手段は、テキストデータを表示する。
【0011】
本発明に係る外付け入力装置は、上述した発明の各構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、送信手段は、読取手段により生成されて且つデータベースに記憶されない読取データを送信する。
【0012】
本発明に係る読取データ処理システムは、上述した発明の各構成に係る外付け入力装置と、外付け入力装置の送信手段が送信する読取データを受信し、受信した読取データを用いて所定の処理を実行する装置本体と、を有するものである。
【0013】
本発明に係るナビゲーションシステムは、地点に関する可読情報とともにその地点の緯度経度値へ変換可能な所定のパターンが印刷された印刷物と、上述した発明の各構成に係る外付け入力装置であって、印刷物の所定のパターンを読み取ることにより生成した読取データをデータベースに記憶するとともに、データベースに記憶されている読取データを送信手段により送信する外付け入力装置と、外付け入力装置が送信した読取データを受信し、その受信した読取データにより特定される地点の緯度経度値を用いて案内経路を探索するナビゲーション装置と、を有するものである。
【0014】
本発明に係るナビゲーションシステムは、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、ナビゲーション装置は、外付け入力装置から送信されてくる読取データにより特定される複数の地点を、その送信順に基づいて出発地および目的地または出発地、経由地および目的地のそれぞれに割り当てて案内経路を探索する。
【0015】
本発明に係る外付け入力装置による読取データの供給方法は、外付け入力装置の読み取りに基づいて生成される読取データを呼出データと対応付けて当該外付け入力装置のデータベースに記憶させるステップと、データベースに記憶されている呼出データを外付け入力装置に表示するステップと、データベースにおいて、表示に基づいて選択された呼出データに対応付けられている読取データを送信するステップと、を有するものである。
【0016】
本発明に係る案内経路の探索方法は、外付け入力装置の読み取りに基づいて生成されて且つ地点の緯度経度値へ変換可能な読取データを呼出データと対応付けて当該外付け入力装置のデータベースに記憶させるステップと、データベースに記憶されている呼出データを外付け入力装置に表示するステップと、データベースにおいて表示に基づいて選択された呼出データに対応付けられている読取データをナビゲーション装置へ送信するステップと、ナビゲーション装置において受信した読取データにより特定される地点の緯度経度値を用いて案内経路を探索するステップと、を有するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明では、頻繁に使用する読取データを得るために、読み取り作業を繰り返さなくてもよくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態に係る外付け入力装置、読取データ処理システム、ナビゲーションシステム、外付け入力装置による電子データの供給方法、および案内経路の探索方法を、図面に基づいて説明する。なお、外付け入力装置は、電子ペンを例として説明する。外付け入力装置による電子データの供給方法は、この電子ペンの動作の一部として説明する。また、読取データ処理システムおよびナビゲーションシステムは、電子ペンを有するカーナビゲーションシステムを例として説明する。案内経路の探索方法は、カーナビゲーションシステムの動作を例として説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態に係る外付け入力装置としての電子ペン1を示す側面図である。電子ペン1は、ペン形状のハウジング10を有する。ハウジング10の一端には、ポールペン軸あるいはスタイラスペン軸が配設される。ハウジング10の側面には、表示デバイス11と、複数の入力ボタン12とが配設されている。
【0020】
図2は、図1の電子ペン1に内蔵される回路を示すブロック図である。電子ペン1のハウジング10内には、表示デバイス11とともに、複数の入力ボタン12を有する入力デバイス13、データベースとしての位置情報データベース14を記憶する不揮発性メモリ15、通信I/F16、赤外線LED(Light Emitting Diode)17、赤外線カメラ18、これらが接続されるマイクロコンピュータ19、これらへ電力を供給する図示外のバッテリなどが配設される。
【0021】
また、電子ペン1のマイクロコンピュータ19は、タイマ20、メモリ21、図示外のCPU(Central Processing Unit)などを有する。CPUは、メモリ21に記憶される図示外のプログラムを読み込んで実行する。これにより、電子ペン1のマイクロコンピュータ19には、座標読取部22、筆跡再現部23、文字認識部24、メモリ管理部25、UI(User Interface)部26、送信部27などが実現される。
【0022】
なお、これら電子ペン1の図示外のCPUが実行するプログラムは、電子ペン1の出荷前にマイクロコンピュータ19のメモリ21に記録されたものであっても、電子ペン1の出荷後にマイクロコンピュータ19のメモリ21に記録されたものであってもよい。また、プログラムの一部が、電子ペン1の出荷後にマイクロコンピュータ19のメモリ21に記録されたものであってもよい。電子ペン1の出荷後にマイクロコンピュータ19のメモリ21に記録されるプログラムは、たとえばメモリカードやCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)などのコンピュータ読取可能な記録媒体に記録されているものをインストールしたものであっても、インターネットなどの伝送媒体を介してダウンロードしたものをインストールしたものであってもよい。
【0023】
表示手段としての表示デバイス11は、たとえば液晶パネルなどであり、マイクロコンピュータ19から供給されるテキストデータ29を表示するものである。テキストデータ29を表示する液晶パネルは、画像を表示するものに比べて画素数が少なくて且つ構造が簡単であり、小型化することができる。このようにテキストデータ29を表示する液晶パネルを表示デバイス11として採用することで、図1に示すように電子ペン1のハウジング10に突起部などを形成することなく、電子ペン1に表示デバイス11を配設することができる。
【0024】
入力デバイス13は、図1に示すように複数の入力ボタン12を有する。入力デバイス13は、操作された入力ボタン12に応じた操作データをマイクロコンピュータ19へ出力する。
【0025】
不揮発性メモリ15は、たとえばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)などである。EEPROMは、電力が供給されていない状態においても、マイクロコンピュータ19により書込まれたデータを保持することができる。
【0026】
通信I/F16は、たとえばUSB(Universal Serial Bus Interface)による通信インターフェースであり、USBケーブルが接続される。そして、通信I/F16は、USBケーブルの他端に接続される他の装置(たとえば図6中のナビゲーション本体7)との間でデータを送受信する。通信I/F16は、受信したデータをマイクロコンピュータ19へ出力し、マイクロコンピュータ19から供給されるデータを送信する。通信I/F16は、USB以外にも、ブルートゥースなどの無線通信を用いたインターフェースであってもよい。
【0027】
赤外線LED17は、赤外線を発光する。赤外線カメラ18は、たとえばCCD、CMOSセンサであり、受光した赤外線のパターンデータをマイクロコンピュータ19へ周期的に出力する。そして、赤外線LED17および赤外線カメラ18は、電子ペン1のペン先に向けて配設される。これにより、図2中に点線で示す紙面により赤外線LED17の出射光は反射され、赤外線カメラ18は、この反射光によるパターンデータをマイクロコンピュータ19へ周期的に出力することができる。
【0028】
マイクロコンピュータ19中のタイマ20は、時刻や経過時間などを計測する。
【0029】
読取手段としての座標読取部22は、赤外線カメラ18から周期的に供給される各パターンデータを解析し、各パターンデータに応じた読取座標値を生成する。この読取座標値は、たとえば、電子ペン1により読み取られる1枚の紙面中での位置を示す値のものであっても、電子ペン1により読み取られる複数枚の紙面中での位置を示す値のものであってもよい。座標読取部22は、生成した読取座標値を、読取データの一種としての座標データ30としてメモリ21に記憶させる。なお、座標データ30は、後述する筆跡データ28と同様に、読取座標値およびタイマ20による時刻を有するものであってもよい。
【0030】
また、座標読取部22は、生成した読取座標値と、そのときのタイマ20の現在時刻とを対応付けてメモリ21に記憶させる。これにより、メモリ21には、複数組の読取座標値および時刻情報からなる、読取データの一種としての筆跡データ28が記憶される。
【0031】
取得手段の一部としての筆跡再現部23は、複数のパターンデータに基づいて座標読取部22が生成する複数の読取座標値を仮想的な二次元の座標空間にプロットし、これにより電子ペン1による筆跡をその仮想的な二次元の座標空間に再現する。なお、筆跡再現部23は、実際には、メモリ21に記憶されている筆跡データ28から座標読取部22が生成した複数の読取座標値を取得する。
【0032】
取得手段の一部としての文字認識部24は、筆跡再現部23が再現した筆跡に対して文字認識処理を実行する。文字認識部24は、たとえばひらがな、かたかな、漢字のテンプレートを有し、このテンプレートと再現された筆跡とのマッチングを判断し、最も筆跡にマッチングするテンプレートの文字を認識する。また、文字認識部24は、認識した文字のテキストデータ29をメモリ21に記憶させる。なお、文字認識部24が1つの再現筆跡において認識する文字数は、1文字に限られるものではなく、複数の文字であってもよい。
【0033】
メモリ管理部25は、位置情報データベース14を記憶する不揮発性メモリ15を管理する。メモリ管理部25は、マイクロコンピュータ19のメモリ21に記憶される座標データ30やテキストデータ29を対応付けて位置情報データベース14に追加したり、位置情報データベース14中の座標データ30やテキストデータ29を読み出したりする。
【0034】
UI部26は、表示のために、表示デバイス11へテキストデータ29を供給する。また、UI部26は、入力デバイス13からの操作データを解釈し、たとえばメモリ管理部25に対して位置情報データベース14中のテキストデータや座標データ30の読出しを指示する。
【0035】
送信手段としての送信部27は、通信I/F16による通信を管理し、通信I/F16へ送信するデータを供給する。
【0036】
次に、以上の構成を有する電子ペン1の動作を説明する。なお、以下では、自宅を登録する場合を例に挙げて説明する。
【0037】
図3は、図1及び図2の電子ペン1による座標データの蓄積処理の流れを示すフローチャートである。電子ペン1のUI部26がたとえば入力デバイス13からの操作データに基づいて電子ペン1の動作モードが登録モードであることを判断する(ステップST1)と、電子ペン1は、座標の読取による筆跡データ28を基にしたテキストデータ29を、座標データ30と対応付けて位置情報データベース14に登録する動作を開始する。
【0038】
なお、電子ペン1の動作モードとしては、この登録モードの他に、たとえば送信モード、読取送信モードなどがある。送信モードは、位置情報データベース14に登録されている座標データ30を送信するモードであり、読取送信モードは、電子ペン1の読み取りにより生成される座標データ30を位置情報データベース14に登録することなく送信するモードである。
【0039】
図4は、電子ペン1の登録モードにおける動作の説明図である。図4(A)は、電子ペン1により読み取られる地図シート2である。この地図シート2には、所定の地域の地図と重ねて、赤外線を吸収するインクにより複数のドットからなるドットパターン31が印刷されている。
【0040】
そして、ユーザがたとえば図4(A)中の丸印の箇所(自宅の地図上の位置に相当する箇所)を電子ペン1により読み取ると、電子ペン1の赤外線カメラ18は、その接触箇所による反射光を受光し、赤外線の受光パターンデータを出力する(ステップST2)。座標読取部22は、この受光パターンデータを解析し、そのパターンが印刷された紙面中の位置を示す読取座標値を生成する。座標読取部22は、生成した読取座標値をタイマ20から取得した現在時刻とともにメモリ21に保存する。これにより、メモリ21には、読取座標値と現在時刻とが対応付けられた座標データ30が記憶される(ステップST3)。
【0041】
また、電子ペン1のUI部26は、入力デバイス13からの操作データに基づいて、位置情報の呼出名の入力のために文字入力がオンになったと判断する(ステップST4でYes)と、筆跡再現部23および文字認識部24に処理を指示する(ステップST5)。
【0042】
図4(B)は、電子ペン1により読み取られる複数のドットが印刷されたシート3である。なお、この図4(B)のシート3は、図4(A)の地図シート2そのものであっても、ドットパターン31が印刷された別のシートであってもよい。また、図4(B)では、電子ペン1によりユーザがシート3上に「自宅」の文字を書込みした様子を示している。
【0043】
電子ペン1の赤外線カメラ18は、シート3上に「自宅」を書込むときの反射光を受光し、赤外線の受光パターンデータを周期的に出力する。座標読取部22は、各受光パターンデータを解析し、読み取られた各パターンの紙面中の位置を示す読取座標値を生成する。座標読取部22は、生成した読取座標値をタイマ20から取得した現在時刻とともにメモリ21に保存する。これにより、メモリ21には、「自宅」の筆跡を示す複数の読取座標値がそれぞれの時刻と対応付けられて記憶される。
【0044】
メモリ21に新たな複数の読取座標値が記憶されると、筆跡再現部23は、メモリ21からこの複数の読取座標値を取得し、仮想的な二次元の座標空間にプロットする。また、文字認識部24は、筆跡再現部23が再現した筆跡に対して文字認識処理を実行し、認識した文字のテキストデータ29をメモリ21に記憶させる。
【0045】
以上の処理により、マイクロコンピュータ19のメモリ21には、ユーザが電子ペン1により選択した地点の読取座標値と、ユーザの筆跡に基づいて認識されたテキストデータ29とが記憶される。メモリ管理部25は、このメモリ21から座標データ30およびテキストデータ29を読み込み、これらを対応付けて位置情報データベース14に追加する。
【0046】
図4(C)は、不揮発性メモリ15に記憶される位置情報データベース14の一例のデータ構造の説明図である。図4(C)の位置情報データベース14には、2つの座標データが、それぞれのテキストデータと対応付けて記憶されている。具体的には、読取座標値(α1,β1)には「会社」のテキストデータが対応付けられ、読取座標値(α2,β2)には「自宅」のテキストデータが対応付けられている。この2つ目の読取座標値(α2,β2)およびテキストデータ「自宅」が、図4(A)および(B)による処理により、位置情報データベース14に追加されている。すなわち、読取座標値(α2,β2)は、図4(A)において取得された座標値(たとえば代表値)であり、テキストデータ「自宅」は、図4(B)において取得されたものである。
【0047】
なお、図3の登録モードのフローチャートにおいて、電子ペン1のUI部26は、たとえば座標データ30などを生成した後の所定の期間中に呼出名のための文字入力がオンになったと判断しなかった場合(ステップST4においてNoの場合)、さらに、入力デバイス13からの操作データに基づいて、登録のための操作がされたか否かを判断する(ステップST7)。そして、呼出名の入力が無いまま登録のための操作がされた場合(ステップST7においてYesの場合)、メモリ管理部25は、UI部26からの指示に基づいて、まず、テキストデータを自動生成する(ステップST8)。たとえばシリアル番号「001」などを自動生成する。その後、メモリ管理部25は、メモリ21に記憶されている座標データ30を読み込み、これらを位置情報データベース14に追加する(ステップST5)。これにより、位置情報データベース14には、新たな座標データと自動生成したテキストデータとが追加登録される。また、ユーザは、位置情報データベース14に登録するすべての座標データについて、テキストデータを書込む作業をしなくて済む。
【0048】
また、図3の登録モードのフローチャートにおいて、呼出名の入力が無くしかも所定の期間において登録のための操作がされなかった場合(ステップST7においてNoの場合)には、電子ペン1は登録モードにおける処理を終了する。したがって、電子ペン1のメモリ21に座標データ30などが生成された場合であっても、UI部26が入力デバイス13からの操作データに基づいて、呼出名の入力がなかったり、あるいは、登録のための操作がされなかった場合には、この新たに生成された座標データ30は、位置情報データベース14に登録されない。これにより、入力デバイス13に対して呼出名を入力するための明示的な操作や登録のための明示的な操作がユーザからなかった場合には、座標データ30などが位置情報データベース14に登録されない。ユーザが読み込みをさせたものの不要と考えた座標データ30などは、不用意に位置情報データベース14に登録されなくなる。
【0049】
図5は、図1及び図2の電子ペン1による蓄積した座標データの送信処理の流れを示すフローチャートである。電子ペン1のUI部26がたとえば入力デバイス13からの操作データに基づいて電子ペン1の動作モードが送信モードであることを判断する(ステップST11)と、電子ペン1は、位置情報データベース14に登録されている座標データを送信するための動作を開始する。
【0050】
メモリ管理部25は、UI部26からの読出し指示に基づいて、位置情報データベース14に登録されている1つのテキストデータを読み出す。このテキストデータは、メモリ管理部25からUI部26へ供給され、さらにUI部26から表示デバイス11へ供給される。表示デバイス11は、供給されたテキストデータを表示する(ステップST12)。
【0051】
また、入力デバイス13からの操作データに基づいてUI部26が表示テキストの切り替えを判断すると、メモリ管理部25は、位置情報データベース14において表示しているテキストデータの次のテキストデータを読み出す。表示デバイス11は、UI部26を介して供給される新たなテキストデータを表示する。これにより、表示デバイス11に表示されるテキストデータは、位置情報データベース14に記憶されている複数のテキストデータの中で順番に切り替えられる。
【0052】
そして、表示デバイス11に、座標データとともに登録されている所望のテキストデータが表示されると、ユーザは、入力デバイス13に対して、そのテキストデータに対応する座標データを送信するための操作をする。UI部26は、入力デバイス13からの、この操作データの供給により、表示中のテキストデータが選択され、それに対応するデータ送信が指示されたものと判断する(ステップST13)。その後、UI部26は、表示デバイス11に表示中のテキストデータに対応する座標データの送信をメモリ管理部25へ指示する。
【0053】
座標データの送信が指示されたメモリ管理部25は、指示された座標データを位置情報データベース14から読み込み、送信部27へ供給する。送信部27は、メモリ管理部25から供給された座標データを通信I/F16へ供給する。通信I/F16は、USBケーブルにより電子ペン1と接続された機器(たとえば後述するナビゲーション本体7)へ座標データを送信する(ステップST14)。
【0054】
なお、図5において、UI部26は、たとえば表示デバイス11にテキストデータを表示してから表示を切り替えることなく所定の時間が経過したりすると(ステップST13においてNo)、データ送信が指示されなかったと判断し、送信モードにおける処理を終了する。
【0055】
以上の登録モードおよび送信モードの連携により、電子ペン1は、読み取った座標データ30を位置情報データベース14に登録し、その位置情報データベース14に登録された座標データを後から読出して繰り返し送信することができる。なお、電子ペン1には、この他にも読取送信モードがある。
【0056】
次に、電子ペン1の読取送信モードにおける動作を説明する。読取送信モードでは、座標読取部22は、電子ペン1による書込みの際に赤外線カメラ18が生成する受光パターンデータを解析し、座標データ30をメモリ21に保存する。通信I/F16は、USBケーブルにより電子ペン1と接続された機器(たとえば後述するナビゲーション本体7)へ座標データ30を送信する。
【0057】
以上の構成および動作により、この実施の形態に係る電子ペン1は、読み取りにより生成した座標データ30を、電子ペン1内部の位置情報データベース14に登録したり、電子ペン1とUSBケーブルにより接続される機器(たとえば後述するナビゲーション本体7)へ送信したりすることができ、さらには、位置情報データベース14に登録されている座標データを、電子ペン1とUSBケーブルにより接続される機器(たとえば後述するナビゲーション本体7)へ送信したりすることができる。
【0058】
次に、以上の構成を有する電子ペン1を利用したカーナビゲーションシステムについて説明する。
【0059】
図6は、図1および図2に示す電子ペン1を有し、読取データ処理システムあるいはナビゲーションシステムとしてのカーナビゲーションシステム4のシステム構成図である。カーナビゲーションシステム4は、図1および図2に示す電子ペン1の他に、紙面に地図と重ねてドットパターン31が印刷された印刷物としての地図帳5と、この地図帳5に付録される記録媒体6と、自動車のダッシュボードに配設される装置本体あるいはナビゲーション装置としてのナビゲーション本体7と、を有する。そして、このナビゲーション本体7が、USBケーブル8により電子ペン1と接続される。
【0060】
図7は、図6中のナビゲーション本体7および記録媒体6の構成を示すブロック図である。
【0061】
記録媒体6は、メモリカード、CD、DVD(Digital Versatile Disk)などのデータを記録して持ち歩くことができるメディアであり、位置変換テーブル41を記憶する。位置変換テーブル41は、たとえば地図帳5の各紙面中の座標値を、それと重ねて印刷された地図中の地点の緯度経度値へ変換するためのデータを格納するものである。
【0062】
ナビゲーション本体7は、車両の移動の加速度を検出するジャイロセンサ51、図示外のGPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信するGPS受信機52、ナビゲーションデータ53および案内経路データ54を記憶するHDD(Hard Disk Drive)55、キーデバイス56、タッチパネル57、液晶デバイス58、USBケーブル8が接続される通信I/F60、これらが接続されるマイクロコンピュータ61などを有する。
【0063】
ナビゲーションデータ53は、たとえば表示地図データ、複数のノードデータ、複数のリンクデータ、複数の施設データなどを有する。表示地図データは、液晶デバイス58に道路地図を表示するためデータであり、たとえば道路地図をデータ化したものである。ノードデータは、この道路地図中の交差点や曲がり角の地点のデータであり、その地点の緯度経度値などの属性データを有する。リンクデータは、交差点と交差点とを結ぶ道路区間に対応付けられるデータであり、接続される複数のノードの情報や距離情報などの属性データを有する。施設データは、道路地図中に存在する学校などの施設に関するデータであり、その施設の所在地の緯度経度値などの属性データを有する。
【0064】
案内経路データ54は、ナビゲーション本体7により探索された出発地から目的地までの案内経路のデータである。なお、案内経路データ54は、出発地から経由地を経由して目的地に至る案内経路のデータであってもよい。
【0065】
また、ナビゲーション本体7のマイクロコンピュータ61は、メモリ62、図示外のCPUなどを有する。メモリ62は、受信データ63、抽出地点リスト64などを記憶する。また、CPUは、メモリ62に記憶される図示外のプログラムを読み込んで実行する。これにより、ナビゲーション本体7のマイクロコンピュータ61には、現在位置生成部65、UI部66、データ変換部67、受信部68などが実現される。
【0066】
現在位置生成部65は、GPS受信機52が受信した電波に基づいて車両の現在位置の緯度経度値を生成したり、その緯度経度値をジャイロセンサ51の加速度に基づく移動量で補正した緯度経度値を生成したりする。
【0067】
UI部66は、HDD55に記憶されるナビゲーションデータ53を液晶デバイス58に表示させたり、キーデバイス56やタッチパネル57からの操作データに基づいて地点を選択したり、選択した地点およびナビゲーションデータ53を用いて案内経路を探索したりする。また、UI部66は、探索した案内経路データ54をHDD55に記憶させる。
【0068】
受信部68は、通信I/F60による通信を管理する。そして、受信部68は、通信I/F60の受信データ63を取得し、メモリ62に記憶させる。これにより、メモリ62には、通信I/F60が受信した受信データ63が記憶される。
【0069】
なお、上述するようにナビゲーション本体7の通信I/F60には、USBケーブル8により電子ペン1の通信I/F16が接続される。電子ペン1の通信I/F16は、座標データを送信する。この場合、ナビゲーション本体7のメモリ62には、受信した座標データが受信データ63として記憶される。
【0070】
データ変換部67は、メモリ62に新たな座標データが受信データ63として記憶された場合、この座標データと記録媒体6に記憶される位置変換テーブル41とを用いて、座標データにより特定される地図中の地点の緯度経度値を生成する。また、データ変換部67は、生成した緯度経度値を抽出地点リスト64としてメモリ62に保存する。
【0071】
次に、以上の構成を有するカーナビゲーションシステム4の動作を説明する。なお、以下の説明では、電子ペン1の位置情報データベース14には、図4(C)に示す「会社」および「自宅」の2つの地点を読み取った座標データが格納されているものとして説明する。また、以下の説明では、案内経路の出発地と目的地とを電子ペン1が生成する座標データにより指定する場合を例として説明する。
【0072】
図8は、図6に示すカーナビゲーションシステム4において、案内経路に用いる地点の指定から案内経路の生成までの処理の流れを示す説明図である。
【0073】
ユーザは、USBケーブル8により電子ペン1とナビゲーション本体7とを接続する。これにより、電子ペン1の通信I/F16とナビゲーション本体7の通信I/F60とが通信可能になる。
【0074】
ユーザは、まず、案内経路の出発地を指定するために、送信モードにある電子ペン1の入力デバイス13を操作し、図8(A)に示すように、位置情報データベース14に登録されているテキストデータを表示デバイス11に表示させる。図8(A)の例では、電子ペン1の表示デバイス11には、「自宅」の文字が表示されている。
【0075】
所望のテキストデータが表示されている状態で入力デバイス13が操作されると、電子ペン1のメモリ管理部25は、UI部26からの指示により、表示中のテキストデータと対応付けて位置情報データベース14に登録されている座標データを読み込み、送信部27へ供給する。
【0076】
送信部27は、電子ペン1の通信I/F16、USBケーブル8およびナビゲーション本体7の通信I/F60を介して、メモリ管理部25から供給された座標データをナビゲーション本体7の受信部68へ送信する。受信部68は、受信した座標データを受信データ63としてメモリ62に保存する。
【0077】
ナビゲーション本体7のデータ変換部67は、メモリ62に新たな座標データが記憶されると、その座標データに基づく地点の抽出処理を開始する。データ変換部67は、たとえば受信した座標データにより1つの座標値を得て、その座標値により記録媒体6に記憶されている位置変換テーブル41を参照する。これにより、データ変換部67は、特定した1つの座標値に対応する地点の緯度経度値を得る。データ変換部67は、取得した地点の緯度経度値を、抽出地点リスト64としてメモリ62に保存する。
【0078】
図8(B)は、案内経路に用いる最初の地点が登録された抽出地点リスト64のデータ構造の説明図である。図8(B)では、電子ペン1において選択された「自宅」の緯度経度値が抽出地点リスト64に登録されている。
【0079】
次に、ユーザは、案内経路の目的地を指定するために、図8(C)に示すように、読取送信モードにある電子ペン1により地図帳5中の所望の地点を読み取る。図8(C)の例では、地図帳5中のたとえばデパートなどの所在地が電子ペン1により読み取られる。電子ペン1の座標読取部22は、この地図帳5において地図と重ねて印刷されたドットパターン31を読み取り、そのドットパターン31に対応する読取座標値を有する座標データ30を生成する。また、電子ペン1の送信部27は、座標読取部22が生成した座標データ30をナビゲーション本体7の受信部68へ送信する。受信部68は、受信した座標データ30を受信データ63としてメモリ62に保存する。
【0080】
案内経路の出発地を指定する座標データを受信した場合と同様に、ナビゲーション本体7のデータ変換部67は、メモリ62に新たな座標データが記憶されると、その座標データに基づく地点を抽出し、その抽出した地点の緯度経度値を、メモリ62中の抽出地点リスト64に追加登録する。
【0081】
図8(D)は、案内経路に用いる2つ目の地点が登録された抽出地点リスト64のデータ構造の説明図である。図8(B)では、電子ペン1において表示に基づいて選択された「自宅」の緯度経度値と、電子ペン1により読み取られた地図帳5中の地点(デパート)の緯度経度値と、が抽出地点リスト64に登録されている。
【0082】
以上の処理により、ナビゲーション本体7のメモリ62には、ユーザが指定した出発地の緯度経度値と目的地の緯度経度値とを有する抽出地点リスト64が記憶される。
【0083】
メモリ62に抽出地点リスト64が記憶されると、ナビゲーション本体7のUI部66は、メモリ62からこの抽出地点リスト64を読込む。そして、ナビゲーション本体7のUI部66は、抽出地点リスト64中の最初の緯度経度値を出発地の緯度経度値とし、抽出地点リスト64中の2つ目の緯度経度値を目的地の緯度経度値とし、HDD55に記憶されるナビゲーションデータ53を使用して案内経路を探索する。UI部66は、たとえば出発地から目的地までの移動距離が最短となる案内経路を探索する。その後、UI部66は、探索した案内経路をHDD55に保存する。これにより、HDD55には、電子ペン1により指定された出発地から目的地へ至る案内経路が、案内経路データ54として記憶される。
【0084】
案内経路を生成してHDD55に保存した後、ナビゲーション本体7のUI部66は、HDD55に記憶される案内経路データ54およびナビゲーションデータ53中の表示地図データを読み込み、案内経路を地図上に重ねて表示する表示画面を液晶デバイス58に表示させる。
【0085】
図9は、図7中の液晶デバイス58に表示される案内経路の表示画面の一例を示す図である。図9の表示画面は、図8(D)の抽出地点リスト64に基づいて探索された自宅からデパートまでの案内経路を、地図と重ねて表示する画面である。図9において、自宅からデパートまでの案内経路は、地図上に太線により重ねて描画されている。
【0086】
その後、自動車が移動し始めたり、所定の案内開始操作がなされたりすると、ナビゲーション本体7のUI部66は、HDD55に保存した案内経路データ54による経路案内を開始する。UI部66は、液晶デバイス58に、たとえばナビゲーションデータ53に基づく地図上に、現在位置生成部65が生成する現在位置を示すマークと、案内経路の一部とを重ねて表示させる。UI部66は、現在位置が案内経路の曲がり角などに近づくとその旨を音声などにより報知し、経路を案内する。また、UI部66は、現在位置生成部65が生成する現在位置が案内経路を外れたと判断すると、ナビゲーションデータ53を利用して案内経路を再探索し、案内を続ける。
【0087】
なお、以上の説明では、電子ペン1の送信部27は、まず、位置情報データベース14に蓄積されている座標データを送信し、次に、電子ペン1が読取送信モードにより生成した座標データ30を送信する場合を例として説明したが、これらの送信順は逆であってもよい。この変形例の場合、ナビゲーション本体7のUI部66は、電子ペン1が読取送信モードにより生成した座標データ30により特定される地点を出発地とし、位置情報データベース14に蓄積されている座標データにより特定される地点を目的地として、案内経路を探索することになる。上記例でいえば、デパートから自宅へ帰る案内経路を探索することになる。
【0088】
また、電子ペン1の送信部27は、位置情報データベース14に蓄積されている2つの座標データをナビゲーション本体7へ送信するようにしてもよい。この変形例の場合、ナビゲーション本体7のUI部66は、先に送信された座標データにより特定される地点を出発地とし、後に送信された座標データにより特定される地点を目的地として、案内経路を探索することになる。図4(C)の場合であれば、たとえば自宅から会社へ向かう案内経路を探索することになる。
【0089】
さらに、電子ペン1の送信部27は、位置情報データベース14に蓄積されている1つの座標データをナビゲーション本体7へ送信したり、位置情報データベース14に蓄積されている3つ以上の座標データをナビゲーション本体7へ送信したりすることもできる。これらの変形例の場合、ナビゲーション本体7のUI部66は、現在位置から、受信した1つの座標データにより特定される地点までの案内経路を探索したり、3つ以上の座標データにより特定される3つ以上の地点を受信した順番で巡る案内経路を探索したりすることになる。
【0090】
以上のように、この実施の形態によれば、電子ペン1の座標読取部22が読み取りに基づいて生成する座標データ30がテキストデータ29と対応付けて位置情報データベース14に記憶され、送信部27は、この位置情報データベース14において、表示デバイス11に表示されて選択されたテキストデータと対応付けられている座標データを送信する。
【0091】
したがって、電子ペン1には、読取に基づく座標データが登録され、ユーザはこの登録済みの座標データを後から呼び出して何度も利用することができる。たとえば、ユーザは、ナビゲーション本体7で頻繁に使用する地点(たとえば自宅)の座標データ30をそのテキストデータ29とともに電子ペン1に登録し、この登録済みの地点の座標データをナビゲーション本体7において繰り返し使用することができる。そのため、ユーザは、たとえばナビゲーション本体7で頻繁に使用する地点(たとえば自宅)などを電子ペン1に登録することで、その頻繁に使用する地点の読み取り作業を繰り返ししなくて済む。
【0092】
また、電子ペン1が読み取りに基づいて生成する座標データ30は、電子ペン1の位置情報データベース14に記憶される。これに対して、電子ペン1が読み取りに基づいて生成する座標データ30を、その座標データ30を利用するたとえばナビゲーション本体7に記憶させることも考えられる。しかしながら、このように電子ペン1が読み取りに基づいて生成する座標データ30をナビゲーション本体7に記憶させた場合、そのナビゲーション本体7に蓄積される座標データは、他のナビゲーション本体7において利用することができない。これに対して、この実施の形態のように、座標データ30を電子ペン1に記憶することで、ユーザが登録した座標データは、他のナビゲーション本体7などにおいても利用することができる。他のナビゲーション本体7などにおいても利用できるため、例えばタクシーなど他者の車両において自ら所持している電子ペン及び座標データを用いることや、複数の車両で同一目的地を設定する場合にも効果的である。
【0093】
また、電子ペン1はペン形状のハウジング10を有し、位置情報データベース14には、各座標データと対応付けて、電子ペン1の筆跡に基づいて筆跡再現部23および文字認識部24が生成するテキストデータが記憶される。したがって、ユーザが位置情報データベース14に記憶されている座標データを選択する際、表示デバイス11には、ユーザが各座標データとともに自らが手書きした字に基づくテキストデータが表示される。その結果、ユーザは、表示デバイス11に表示されるテキストデータにより、所望の登録済み座標データを容易に選択することができる。
【0094】
また、表示デバイス11に表示されるテキストデータは、ユーザが電子ペン1を用いて手書きした筆跡のテキストデータである。したがって、電子ペン1にテキストデータなどを入力するための入力機能を設ける必要はない。
【0095】
しかも、位置情報データベース14に登録されるテキストデータは、ユーザによる筆跡そのものではなく、それを文字認識することにより得られるテキストデータである。したがって、表示デバイス11には、テキストデータを表示することができる程度の小型で安価なもの、たとえばテキストを表示するための液晶パネルなどを利用することができる。これに対して、電子ペン1の筆跡そのものを位置情報データベース14に登録する場合、その筆跡を表示する表示デバイス11には、解像度が高くてかさばるものが必要となる。このように、この実施の形態では、表示デバイス11の解像度を高くする必要がないので、表示デバイス11は小型化することができる。また、表示デバイス11はペン形状のハウジング10の外形を突出させたりすることなく、ペン形状のハウジング10に収めることができる。
【0096】
また、この実施の形態では、送信部27は、読取送信モードにおいては、座標読取部22により生成された座標データ30を位置情報データベース14に記憶させることなく送信する。したがって、電子ペン1は、読取りに基づいて生成する座標データ30の中の、位置情報データベース14に記憶しない座標データ30については、その読み取りをしたら直ちに送信することができる。
【0097】
したがって、電子ペン1は、送信モードにおいて位置情報データベース14に蓄積した座標データを送信し、且つ、読取送信モードにおいて位置情報データベース14に蓄積しない座標データ30を送信することができる。そのため、ユーザは、読み取りにより生成される座標データ30のすべてを位置情報データベース14に記憶させる必要は無い。また、ユーザは、再利用する可能性がある座標データ30のみを登録モードにおいて位置情報データベース14に記憶させればよい。これにより、位置情報データベース14に記憶される座標データの個数が、電子ペン1を使用する度に増えてしまうことを防止することができる。
【0098】
また、この実施の形態では、地図帳5のドットパターン31を読取ることで電子ペン1が生成する座標データ30は、電子ペン1内の位置情報データベース14に登録され、その後の選択によりナビゲーション本体7へ送信される。ナビゲーション本体7では、データ変換部67がこの座標データに基づいて電子ペン1により読取られた地図中の地点の緯度経度値を生成し、UI部66がその地点の緯度経度値を用いて案内経路を探索する。
【0099】
したがって、電子ペン1が位置情報データベース14に登録された座標データを使用の度に送信することで、ナビゲーション本体7は、その座標データにより特定される地点を用いた案内経路を何度も生成することができる。
【0100】
特に、ナビゲーション本体7は、座標データにより特定される複数の地点をその送信順に抽出地点リスト64に登録し、UI部66は、その抽出地点リスト64において先頭から順番に出発地および目的地に割り当たり、出発地、経由値および目的地に割り当たりして案内経路を探索する。したがって、ユーザは、案内経路を探索させるために複数の地点を指定する場合において、その複数の地点を出発地、経由地および目的地に分類したり、対応付けたりする必要がない。つまり、ユーザは、複数の地点を順番に指定するだけで、所望の出発地から経由地を経由して目的地へ至る案内経路を探索させることができる。
【0101】
以上の実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形や変更が可能である。
【0102】
上記実施の形態では、電子ペン1は、地図帳5などに印刷されたドットパターン31を読み取り、そのドットパターン31と重なる地点の緯度経度値へ変換可能な読取座標値を生成し、その読取座標値を有する座標データ30を記憶する。この他にもたとえば、電子ペン1は、地図帳5以外のたとえばシートなどの印刷物であってドットパターン31が印刷されたものを読み取るものであっても、ドットパターン31の代わりにバーコードパターンやQR(Quick Response)コードパターンが印刷された印刷物を読み取るものであっても、読取座標値以外の値を生成するものであっても、座標データ30以外の読取データをデータベースに記憶するものであってもよい。
【0103】
上記実施の形態では、位置情報データベース14において、各座標データと対応付けて記憶される呼出データとして、ユーザが電子ペン1により書込んだ筆跡に基づいて認識された文字のテキストデータが記憶される。この他にもたとえば、位置情報データベース14において各座標データと対応付けられる呼出データは、電子ペン1が自動的にたとえば連番で生成するテキストデータであっても、テキストデータ以外のたとえば電子ペン1による筆跡の画像データなどであってもよい。
【0104】
上記実施の形態では、電子ペン1の筆跡からテキストデータを生成するための筆跡再現部23、文字認識部24などは、電子ペン1に設けられている。この他にもたとえば、筆跡再現部23、文字認識部24などは、ナビゲーション本体7内に設けられていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明は、地図と重ねてドットパターンが印刷されている地図帳中の地点を電子ペンにより指定して案内経路を探索させるナビゲーションシステムなどにおいて好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る電子ペンを示す側面図である。
【図2】図2は、図1の電子ペンに内蔵される回路を示すブロック図である。
【図3】図3は、図1及び図2の電子ペンによる座標データの蓄積処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】図4は、電子ペンの登録モードにおける動作の説明図である。
【図5】図5は、図1及び図2の電子ペンによる蓄積した座標データの送信処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】図6は、図1および図2に示す電子ペンを有しするカーナビゲーションシステムのシステム構成図である。
【図7】図7は、図6中のナビゲーション本体およびメモリカードの構成を示すブロック図である。
【図8】図8は、図6に示すカーナビゲーションシステムにおいて、案内経路に用いる地点の指定から案内経路の生成までの処理の流れを示す説明図である。
【図9】図9は、図7中の液晶デバイスに表示される案内経路の表示画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0107】
1 電子ペン(外付け入力装置)
4 カーナビゲーションシステム(読取データ処理システム、ナビゲーションシステム)
5 地図帳(印刷物)
7 ナビゲーション本体(装置本体、ナビゲーション装置)
10 ペン形状のハウジング
11 表示デバイス(表示手段)
14 位置情報データベース(データベース)
22 座標読取部(読取手段)
23 筆跡再現部(取得手段の一部)
24 文字認識部(取得手段の一部)
27 送信部(送信手段)
28 筆跡データ(読取データの一種)
29 テキストデータ(呼出データ)
30 座標データ(読取データの一種)
31 ドットパターン(紙面に印刷された所定のパターン)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙面に印刷された所定のパターンを読み取って、その読み取ったパターンに応じた読取データを生成する読取手段と、
上記読取データに、上記読取データ毎に異なる呼出データを対応付けて記憶するデータベースと、
上記データベースに記憶される上記呼出データを表示する表示手段と、
上記データベースにおいて、上記表示手段の表示に基づいて選択された呼出データに対応付けられている上記読取データを送信する送信手段と、
を有することを特徴とする外付け入力装置。
【請求項2】
当該外付け入力装置は、ペン形状のハウジングを有し、
前記読取データを前記データベースに登録する際にユーザにより入力される呼出データを取得する取得手段を有し、
前記データベースは、上記取得手段により取得された上記呼出データと対応付けて前記読取データを記憶すること、
を特徴とする請求項1記載の外付け入力装置。
【請求項3】
前記取得手段は、当該外付け入力装置による筆跡に基づいて認識された文字によるテキストデータを前記呼出データとして取得し、
前記表示手段は、上記テキストデータを表示すること、
を特徴とする請求項2記載の外付け入力装置。
【請求項4】
前記送信手段は、前記読取手段により生成されて且つ前記データベースに記憶されない読取データを送信することを特徴とする請求項1記載の外付け入力装置。
【請求項5】
請求項1記載の外付け入力装置と、
前記外付け入力装置の前記送信手段が送信する前記読取データを受信し、受信した前記読取データを用いて所定の処理を実行する装置本体と、
を有することを特徴とする読取データ処理システム。
【請求項6】
地点に関する可読情報とともにその地点の緯度経度値へ変換可能な所定のパターンが印刷された印刷物と、
請求項1記載の外付け入力装置であって、上記印刷物の上記所定のパターンを読み取ることにより生成した前記読取データを前記データベースに記憶するとともに、前記データベースに記憶されている前記読取データを前記送信手段により送信する外付け入力装置と、
前記外付け入力装置が送信した前記読取データを受信し、その受信した前記読取データにより特定される地点の緯度経度値を用いて案内経路を探索するナビゲーション装置と、
を有することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項7】
前記ナビゲーション装置は、前記外付け入力装置から送信されてくる前記読取データにより特定される複数の地点を、その送信順に基づいて出発地および目的地または出発地、経由地および目的地のそれぞれに割り当てて案内経路を探索することを特徴とする請求項6記載のナビゲーションシステム。
【請求項8】
外付け入力装置の読み取りに基づいて生成される読取データを呼出データと対応付けて当該外付け入力装置のデータベースに記憶させるステップと、
上記データベースに記憶されている呼出データを上記外付け入力装置に表示するステップと、
上記データベースにおいて、上記表示に基づいて選択された呼出データに対応付けられ
ている読取データを送信するステップと、
を有することを特徴とする外付け入力装置による読取データの供給方法。
【請求項9】
外付け入力装置の読み取りに基づいて生成されて且つ地点の緯度経度値へ変換可能な読取データを呼出データと対応付けて当該外付け入力装置のデータベースに記憶させるステップと、
上記データベースに記憶されている呼出データを上記外付け入力装置に表示するステップと、
上記データベースにおいて上記表示に基づいて選択された呼出データに対応付けられている読取データをナビゲーション装置へ送信するステップと、
上記ナビゲーション装置において受信した上記読取データにより特定される地点の緯度経度値を用いて案内経路を探索するステップと、
を有することを特徴とする案内経路の探索方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−186337(P2008−186337A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−20630(P2007−20630)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】