外観検査装置
【課題】円盤への電子部品の供給不良が生じた場合におけるその電子部品の排出性を向上した外観検査装置の提供。
【解決手段】円盤3の溝9に電子部品Wを吸着して搬送する負圧形成手段12、30〜34と、変位部材が互いに離間したときに露出する開口から電子部品Wを吸引するための吸引空気流を発生する排出吸引手段と、検知手段によって円盤3への電子部品の供給不良を検知したときに、変位部材を互いに離間する状態に変位するとともに、離脱手段28、29により離脱空気流を形成する制御手段とを有する。
【解決手段】円盤3の溝9に電子部品Wを吸着して搬送する負圧形成手段12、30〜34と、変位部材が互いに離間したときに露出する開口から電子部品Wを吸引するための吸引空気流を発生する排出吸引手段と、検知手段によって円盤3への電子部品の供給不良を検知したときに、変位部材を互いに離間する状態に変位するとともに、離脱手段28、29により離脱空気流を形成する制御手段とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の外観に基づき電子部品の検査を行なう外観検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば〔特許文献1〕〜〔特許文献3〕に開示されているように、回転により電子部品を搬送する円盤を備え、円盤によって搬送される電子部品の外観に基づき電子部品の検査を行なう外観検査装置が知られている。
【0003】
このような外観検査装置においては、例えば〔特許文献4〕に記載されているように、電子部品を円盤に供給するためのフィーダが備えられている。〔特許文献4〕に記載のフィーダは、円盤に備えられた凹部に電子部品を供給するとともに、電子部品の供給不良が生じたときに、電子部品を排出するための吸引を行なうようになっている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−10301号公報
【特許文献2】特開2002−28578号公報
【特許文献3】特開2003−275688号公報
【特許文献4】特開2003−112818号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、〔特許文献4〕の円盤は、電子部品を凹部に収納して搬送するため、電子部品の外観検査を行なうことが困難である。また、電子部品を凹部に収納するのみで搬送するため、電子部品が凹部から脱落する恐れがある。電子部品を円盤に良好に保持する技術としては、例えば〔特許文献3〕に記載されているように、電子部品を円盤に吸引して保持する技術が知られている。ところが、電子部品を吸引により保持する技術を、〔特許文献4〕に記載のように、電子部品の供給不良が生じたときに吸引を行なって排出する構成に採用しても、電子部品の排出がうまく行なわれない可能性がある。
【0006】
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであり、円盤への電子部品の供給不良が生じた場合におけるその電子部品の排出性を向上した外観検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上のような目的を達成するため、請求項1記載の発明は、回転により電子部品を搬送するための円盤を備え、前記円盤によって搬送される電子部品の外観を撮像し、撮像された電子部品の外観に基づいて当該電子部品の外観検査を行なう外観検査装置において、前記円盤を2つ備え、前記2つの円盤はそれぞれ、ほぼ水平に配設されているとともに、その周縁部に、互いに向き合う方向に突設された環状の凸部を有し、前記凸部は、前記円盤の周方向に複数備えられた、電子部品を保持するためのV字状の溝を有し、前記2つの円盤の回転時に、それぞれの前記凸部の前記溝の1つが互いに向き合うように、前記2つの円盤を、それぞれの一部が上下方向において互いに重なり合うように配置し、上側の前記円盤から下側の前記円盤に電子部品を受け渡す外観検査装置であって、電子部品を前記溝において前記円盤に吸着して搬送するための負圧を形成する負圧形成手段と、前記負圧形成手段によって形成される負圧に抗して上側の前記円盤に吸着された電子部品を上側の前記円盤から離脱させるための第1の離脱空気流を形成する第1の離脱手段と、上側の前記円盤に電子部品を1つずつ供給するための切り出し部と、前記第1の離脱手段と前記切り出し部とを制御する制御手段と有し、前記切り出し部は、互いに接離する方向に変位するとともに、互いに当接した状態で電子部品を搬送する孔を形成する変位部材と、前記孔を通過した電子部品の前縁に当接してこの電子部品の位置決めを行なう当接部材と、前記変位部材が互いに離間したときに露出する開口と、前記開口から電子部品を吸引するための吸引空気流を発生する排出吸引手段と、前記排出吸引手段によって前記開口から吸引された電子部品を収容する収容部材と、前記円盤への電子部品の供給不良を検知する検知手段とを有し、前記制御手段は、前記検知手段によって前記供給不良を検知したときに、前記変位部材を互いに離間する状態に変位するとともに、前記第1の離脱手段により前記第1の離脱空気流を形成することを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の外観検査装置において、前記円盤によって搬送されている、検査が終了した電子部品を、検査結果に基づいて仕分ける仕分け手段を有し、前記仕分け手段は、検査が終了した前記電子部品を、検査結果に応じた所定位置で下側の前記円盤から排出させる仕分け排出手段と、前記仕分け排出手段によって下側の前記円盤から排出された電子部品を収容する、検査結果に応じて設けられた収容部とを有し、前記仕分け排出手段は、下側の前記円盤によって搬送されている電子部品を下側の前記円盤から離脱させて前記収容部に向けて送り出すための第2の離脱空気流を形成する第2の離脱手段と、下側の前記円盤によって搬送されている電子部品を前記収容部に向けて吸引するための収容空気流を発生する収容吸引手段とを有することを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の外観検査装置において、前記負圧形成手段は、前記溝に電子部品を吸着するために前記溝に連なる孔と、前記円盤内部において前記円盤の中心部から前記孔のそれぞれに連通するように放射状に設けられた複数の管部と、前記管部を互いに連通させる連通部とを有し、前記管部がそれぞれ、前記円盤の径方向における中途に、前記離脱空気流の緩衝を行う緩衝部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、回転により電子部品を搬送するための円盤を備え、前記円盤によって搬送される電子部品の外観を撮像し、撮像された電子部品の外観に基づいて当該電子部品の外観検査を行なう外観検査装置において、前記円盤を2つ備え、前記2つの円盤はそれぞれ、ほぼ水平に配設されているとともに、その周縁部に、互いに向き合う方向に突設された環状の凸部を有し、前記凸部は、前記円盤の周方向に複数備えられた、電子部品を保持するためのV字状の溝を有し、前記2つの円盤の回転時に、それぞれの前記凸部の前記溝の1つが互いに向き合うように、前記2つの円盤を、それぞれの一部が上下方向において互いに重なり合うように配置し、上側の前記円盤から下側の前記円盤に電子部品を受け渡す外観検査装置であって、電子部品を前記溝において前記円盤に吸着して搬送するための負圧を形成する負圧形成手段と、前記負圧形成手段によって形成される負圧に抗して上側の前記円盤に吸着された電子部品を上側の前記円盤から離脱させるための第1の離脱空気流を形成する第1の離脱手段と、上側の前記円盤に電子部品を1つずつ供給するための切り出し部と、前記第1の離脱手段と前記切り出し部とを制御する制御手段と有し、前記切り出し部は、互いに接離する方向に変位するとともに、互いに当接した状態で電子部品を搬送する孔を形成する変位部材と、前記孔を通過した電子部品の前縁に当接してこの電子部品の位置決めを行なう当接部材と、前記変位部材が互いに離間したときに露出する開口と、前記開口から電子部品を吸引するための吸引空気流を発生する排出吸引手段と、前記排出吸引手段によって前記開口から吸引された電子部品を収容する収容部材と、前記円盤への電子部品の供給不良を検知する検知手段とを有し、前記制御手段は、前記検知手段によって前記供給不良を検知したときに、前記変位部材を互いに離間する状態に変位するとともに、前記第1の離脱手段により前記第1の離脱空気流を形成するので、電子部品を円盤に吸着して搬送するから電子部品を円盤に良好に保持させて搬送することができるとともに、円盤への電子部品の供給不良が生じた場合には、第1の離脱空気流及び吸引空気流により電子部品の排出を行なうことができるので、供給不良の際の電子部品の排出性が向上した外観検査装置を提供することができる。
【0011】
前記円盤によって搬送されている、検査が終了した電子部品を、検査結果に基づいて仕分ける仕分け手段を有し、前記仕分け手段は、検査が終了した前記電子部品を、検査結果に応じた所定位置で下側の前記円盤から排出させる仕分け排出手段と、前記仕分け排出手段によって下側の前記円盤から排出された電子部品を収容する、検査結果に応じて設けられた収容部とを有し、前記仕分け排出手段は、下側の前記円盤によって搬送されている電子部品を下側の前記円盤から離脱させて前記収容部に向けて送り出すための第2の離脱空気流を形成する第2の離脱手段と、下側の前記円盤によって搬送されている電子部品を前記収容部に向けて吸引するための収容空気流を発生する収容吸引手段とを有することとすれば、電子部品を円盤に吸着して搬送するから電子部品を円盤に良好に保持させて搬送することができるとともに、円盤への電子部品の供給不良が生じた場合には、第1の離脱空気流を形成して電子部品の排出を行なうことができるので、供給不良の際の電子部品の排出性が向上しており、さらに、検査済みの電子部品を第2の離脱空気流及び収容空気流により円盤から良好に排出できるとともに検査結果に応じて収容部に仕分けることができる外観検査装置を提供することができる。
【0012】
前記負圧形成手段は、前記溝に電子部品を吸着するために前記溝に連なる孔と、前記円盤内部において前記円盤の中心部から前記孔のそれぞれに連通するように放射状に設けられた複数の管部と、前記管部を互いに連通させる連通部とを有し、前記管部がそれぞれ、前記円盤の径方向における中途に、前記離脱空気流の緩衝を行う緩衝部を有することとすれば、電子部品を円盤に吸着して搬送するから電子部品を円盤に良好に保持させて搬送することができるとともに、円盤への電子部品の供給不良が生じた場合には、第1の離脱空気流及び吸引空気流により電子部品の排出を行なうことができるので、供給不良の際の電子部品の排出性が向上し、さらには、離脱空気流が他の電子部品の保持に与える影響を緩和し、所望の電子部品のみを円盤から離脱させることができることで検査効率が向上した外観検査装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る外観検査装置の一実施の形態について図面を用いて説明する。
図1に示すように、外観検査装置100は、検査対象である電子部品Wのフィーダ部Aと、フィーダ部Aから送られた電子部品Wを移動させながら外観の検査を行なう検査部Bと、検査部Bで検査した電子部品Wを検査結果に応じて仕分けるとともに蓄える仕分け部Cと、フィーダ部A、検査部B及び仕分け部Cの制御を行う図示しない制御手段としての制御部とを主に備えている。
【0014】
電子部品Wは略直方体形状をなす微小な部品で、例えば「0603」、「1005」、「1608」、「2412」等といわれるサイズのものである。「0603」という場合には、0.6mm×0.5mmのサイズであることを意味する。
【0015】
以下、フィーダ部A、検査部B、仕分け部Cの構成をそれぞれ説明する。
【0016】
・フィーダ部Aについて
フィーダ部Aは、多数の電子部品Wを蓄えているとともに、微細な振動により蓄えている電子部品Wを送り出す定量補給フィーダ1と、定量補給フィーダ1から送り出された電子部品Wを1列に整列した状態で直線的に搬送する直線フィーダ2と、直線フィーダ2の先端側に位置する切り出し部10とを有している。
【0017】
直線フィーダ2は、微細な振動により電子部品Wを搬送しながら、電子部品Wの姿勢を整えるようになっている。定量補給フィーダ1と、直線フィーダ2とは、それぞれ、電子部品Wの有無を検知する図示しない光反射型のセンサを有している。
【0018】
切り出し部10は、直線フィーダ2によって搬送されてきた電子部品Wを、1つずつ分離して検査部Bに送り出すための構造である。図1においては、切り出し部10の配置位置のみを図示している。切り出し部10の構造については、以下、検査部B、仕分け部Cの構成をこの順でそれぞれ説明した後に説明する。
【0019】
・検査部Bについて
検査部Bについて、図1乃至3を参照しながら説明する。図2は外観検査装置100の側面図、図3は外観検査装置100の平面図である。
【0020】
検査部Bは、ほぼ水平方向に配置された同じ大きさ、形状の2つの円盤3、4と、円盤3、4それぞれの回転中心をなす軸3A、4Aと、円盤3を直接的に回転駆動するとともに円盤4を間接的に回転駆動する駆動手段としてのステッピングモータであるモータ5と、軸3Aと一体をなし円盤3の位相を検知するエンコーダ部6と、モータ5の駆動力を円盤4に伝達する図示しない駆動伝達機構とを有している。
【0021】
検査部Bはまた、円盤3によって搬送されている電子部品Wの外観を撮像する3台のカメラ7A〜Cと、円盤4によって搬送されている電子部品Wを撮像する3台のカメラ7D〜Fとを有している。
【0022】
モータ5は、駆動伝達機構により、円盤3とともに、円盤3と同期して円盤4を円盤3と等速で回転駆動する。モータ5は、制御部の指示によって作動するようになっている。
【0023】
円盤3、4は、互いに上下裏返した態様で配設されている。円盤3は円盤4の上方に位置し、円盤3と円盤4とは、その周縁部の一部が重なり合うように配置されている。
円盤3は、切り出し部10によって1つずつ分離されて搬送されてくる電子部品Wを、その下面に、円周方向に沿って等間隔で吸着保持し、回転に伴って搬送する。
円盤4は、円盤3によって搬送されてくる電子部品Wを、その上面に、円周方向に沿って等間隔で吸着保持し、回転に伴って搬送する。
【0024】
円盤3、円盤4は、その内部構造に特徴を有するが、この点については切り出し部10の構造を説明した後に図16乃至図18を参照して詳述する。
【0025】
図4乃至6を参照しながら、円盤3、4が電子部品Wを保持する部分の構造を説明する。図4は円盤3の底面図であるとともに円盤4の平面図であり、図5は円盤3、4の一部の側断面図であり、図6は円盤3、4の一部の正面図である。
【0026】
円盤3、4は、その一方の面の周縁部、言い換えると周縁近傍の位置に、周縁と同心状かつ環状に突設された、電子部品Wを保持するための凸条である凸部としてのリング部8を有している。リング部8は、円盤3においてはその下面、円盤4においてはその上面に位置している。したがって、各リング部8は、互いに向き合うように円盤3、4のそれぞれに突設された状態となっている。
【0027】
リング部8には、周方向において等間隔で60箇所に形成された、正面視でV字状の溝9を有している。ここで、周方向とは、円盤3、4の周縁における接線方向であり、正面視とは、円盤3、4の周縁から中心を向く方向に見た状態を言う。
【0028】
溝9は、互いに直角をなす2つのテーパ面によって形成されている。溝9には、電子部品Wを吸着するための孔11が、その底部に連なるように形成されている。
孔11はそれぞれ、円盤3、4内部に位置する吸引用の管部としての管12につながっており、ポンプ等を有する図示しない吸引機構によって管12に負圧が与えられることで溝9に電子部品Wを保持する。
【0029】
吸引機構、孔11、管12、その他、後述する円盤3、4の内部構造等は、電子部品Wを各溝9において円盤3、4に吸着して搬送するための負圧を形成する負圧形成手段の一部を構成している。
【0030】
円盤3、4は、それぞれの周縁部において、一方のリング部8が他方のリング部8に対向するように上下方向で互いに重なり合っている。円盤3、4は、回転の過程でそれぞれのリング部8の溝9が互いに向き合ったとき、その状態で、上側の円盤3から下側の円盤4に電子部品Wを受け渡す。
【0031】
円盤3、4の上下方向の間隔は、それぞれのリング部8が対向した位置で、円盤3側の溝9に保持されている電子部品Wと、円盤4側の溝との間隔ができるだけ小さくなるように調整されている。
【0032】
図1において、符号13は、円盤3の上面側に配設されたノズルを示している。このノズル13は、それぞれのリング部8の溝9が対向する位置において、その溝9の孔11につながっている管12に連通するように配設されている。
【0033】
ノズル13は、図示しないエア供給機構により、ぞれぞれのリング部8の溝9が対向するタイミングで、その溝9の孔11から空気を噴出するようになっている。この空気は、負圧形成手段によって形成される負圧に抗して円盤3に吸着された電子部品Wを円盤3から離脱させるための離脱空気流である。ノズル13と、エア供給機構とは、離脱空気流を形成して円盤3によって搬送されている電子部品Wを円盤3から離脱させて円盤4に向けて送り出す離脱手段として機能する。
【0034】
よって、電子部品Wは、円盤4に向けて安定した姿勢で移動し、円盤4側の溝9に正しい姿勢で保持される。ここで、正しい姿勢とは、円盤3側の溝9に吸引保持された状態でその溝9に当接していた上向きの2つの面が露出し、その溝9に吸引保持された状態で露出していた下向きの2つの面が円盤4側の溝に当接する状態をいう。
【0035】
カメラ7A〜Cは、エンコーダ部6からの信号に基づき、円盤3によって搬送されている電子部品Wが所定位置を占めたときに電子部品Wのそれぞれ異なる側面の撮像を行なう。
【0036】
具体的には、カメラ7Aは、円盤3の溝9に吸着された状態で下を向く2つの面のうち、円盤3の回転に伴ってカメラ7Aに向かって来る方の面を撮像する。カメラ7Bは、円盤3の溝9に吸着された状態で円周外側を向く面を撮像する。カメラ7Cは、円盤3の溝9に吸着された状態で下を向く2つの面のうち、カメラ7Aによって撮像された面とは逆面、すなわち円盤3の回転に伴ってカメラ7Cから離れる方の面を撮像する。なお円周内側を向く面を撮像することも可能であるから、円盤3による搬送過程で4面を撮像することもできる。
【0037】
カメラ7D〜Fは、エンコーダ部6からの信号に基づき、円盤4によって搬送されている電子部品Wが所定位置を占めたときに電子部品Wのそれぞれ異なる側面の撮像を行なう。
【0038】
具体的には、カメラ7Dは、円盤4の溝9に吸着された状態で上を向く2つの面のうち、円盤4の回転に伴ってカメラ7Dに向かって来る方の面を撮像する。カメラ7Eは、円盤4の溝9に吸着された状態で円周外側を向く面、すなわちカメラ7Bによって撮像した面と反対側の面を撮像する。カメラ7Fは、円盤4の溝9に吸着された状態で下を向く2つの面のうち、カメラ7Dによって撮像された面とは逆面、すなわち円盤4の回転に伴ってカメラ7Fから離れる方の面を撮像する。なお円周内側を向く面を撮像することも可能であるから、円盤4による搬送過程で4面を撮像することもできる。
【0039】
これにより、カメラ7A〜Fはそれぞれ、電子部品Wの6面の全てをそれぞれ撮像する。撮像された画像は制御部にて画像処理され、電子部品Wの良、不良の判定に供される。このようにして、電子部品Wは、外観により、その良、不良が判定される。
【0040】
各溝9には番地、言い換えるとアドレスが振られており、電子部品Wの良、不良は、その番地と対応して制御部に備えられたメモリに記憶される。不良には複数の態様があり、それぞれ区別された状態でメモリに記憶される。
【0041】
カメラ7A〜Fの構成及び制御、カメラ7A〜Fにより撮像したデータの画像処理、この画像処理結果に基づき電子部品Wの良、不良を判定する処理、エンコーダ部6からの信号に基づくカメラ7A〜Fによる撮像タイミングの決定、及び、良、不良の判定結果を溝9の番地と関連して記憶すること、などのシーケンス、制御は一般的な手法によって制御部で行われる。
【0042】
このように、検査部Bでは、負圧形成手段により、電子部品Wが円盤3、4に吸着されるので、搬送の際の保持が良好であり、撮像及び検査が良好に行なわれ、時間当たりの検査不良の発生が抑制され、検査効率が高い。上側の円盤3から下側の円盤4に電子部品Wを受け渡すので、受渡しの際の電子部品Wの移動に関する安定性が高く、電子部品Wが円盤4によって良好に保持され、これによって撮像及び検査が良好に行なわれ、時間当たりの検査不良の発生が抑制され、検査効率が高い。
【0043】
溝9がV字状をなしているから、電子部品Wを円盤3から円盤4に受け渡す際に、電子部品Wの下側を向いた角部が下側の円盤4の溝9にスムーズに進入して位置決めされ、受渡しの際の電子部品Wの移動に関する安定性が高く、電子部品Wが円盤4によって良好に保持され、これによって撮像及び検査が良好に行なわれ、時間当たりの検査不良の発生が抑制され、検査効率が高い。
【0044】
溝9がV字状をなしているから、円盤3、4による電子部品Wの保持を良好に行なうとともに、ほぼ6面体の形状をなす電子部品Wの保持の際に溝9によって隠れる面が2面のみとなり、4面を露出させるから、撮像可能な面が多く、検査効率が高い。さらに、円盤3の溝9によって隠れていた面が、受渡しにより円盤4に保持されると露出するため、電子部品Wの全面を撮影可能となり、検査効率が高く、また検査の信頼性が高い。
【0045】
・仕分け部Cについて
仕分け部Cは、円盤4の下面側に配設された複数のノズル14と、それぞれのノズル14に対応する位置に配設された複数のチューブ15と、それぞれのチューブ15に接続された複数の収容部としてのビン16と、チューブ15内に、それぞれ対応するビン16に向けた負圧を発生させる図示しない吸引機構とを有している。
【0046】
各ノズル14は、対応する位置を占める溝9につながった管12に連通するように配設されている。各ノズル14は、ポンプ等を備えた図示しないエア供給機構により、溝9が対応した位置を占めるタイミングで、それぞれ独立して、その溝9の孔11から空気を噴出する。
【0047】
この空気は、負圧形成手段によって形成される負圧に抗して円盤4に吸着された電子部品Wを円盤4から離脱させるための離脱空気流である。各ノズル14と、エア供給機構とは、離脱空気流を形成して円盤4によって搬送されている電子部品Wを円盤4から離脱させて所定のビン16に向けて送り出す離脱手段として機能する。
【0048】
各チューブ15は、離脱空気流により円盤3から離脱する電子部品Wが進入する位置に一端を開口し、他端を対応するビン16内に開口させている。吸引機構はポンプ等を有している。チューブ15と、吸引機構とは、円盤3によって搬送されている電子部品Wを所定のビン16に向けて吸引するための収容空気流を発生する収容吸引手段として機能する。
【0049】
各ビン16はそれぞれ、収容すべき電子部品Wが異なっている。すなわち、各ビン16は、電子部品Wの検査結果に応じて使い分けるように設けられているものであって、良品と判定された電子部品Wを収容するものと、不良と判断された電子部品Wを収容するものとがある。良品と判定された電子部品Wを収容するビン16は1つであるが、不良と判断された電子部品Wを収容するビン16は複数あり、不良の態様によって使い分けられる。
【0050】
チューブ15による吸引は常時行なわれるが、各ノズル14による空気の噴出は、制御部によりそのタイミングを制御される。このタイミングは、電子部品Wの良、不良の判定結果に応じ、対応するビン16に収容されるよう、電子部品Wの良、不良の判定結果と対応して記憶されている溝9の番地を参照することで決定される。
【0051】
よって、電子部品Wは、ノズル14による空気の噴出、チューブ15による吸引により、良、不良の状態に応じて、所定位置で円盤4から確実に離脱し、所定のビン16内に確実に搬送され、収容される。このように、円盤4から排出された電子部品Wは、その状態に応じて所定のビン16に仕分けられ、振り分けられる。
【0052】
離脱手段と収容吸引手段とは、検査が終了した電子部品Wを、検査結果に応じた所定位置で円盤4から排出させる仕分け排出手段として機能する。仕分け部Cは、円盤3、4によって搬送されている、検査が終了した電子部品Wを、検査結果に基づいて仕分ける仕分け手段として機能するようになっている。
【0053】
・切り出し部10について
図7乃至図9を参照しながら切り出し部10の構造を説明します。図7は切り出し部10の側面図であり、直線フィーダ2の先端部及び円盤3の一部の断面も併せて示している。図8は切り出し部10の一部の平面図、図9は切り出し部10の一部の正面図である。図7における紙面に垂直な方向は、図8、図9における左右方向に一致する。
【0054】
切り出し部10は、直線フィーダ2で隙間なく直線状に並べられて搬送されてきた電子部品Wを円盤3に1つずつ供給するものである。切り出し部10は、直線フィーダ2本体とは0.03〜0.05mmの間隙を隔てて配設されることで別体をなし、無振動状態となっている。かかる間隙を設けるのは、直線フィーダ2本体の振動が切り出し部10に伝わることを防止し、かつ電子部品Wが直線フィーダ2本体から切出し部10に良好に搬送されるようにするためである。
【0055】
切り出し部10は、直線フィーダ2で隙間なく直線状に並べられて搬送されてきた電子部品Wが進入する孔24を形成する一対の変位部材としての分離ベース21と、最も先端側の電子部品Wの前側面が当接する当接部材としての当接部22とを有している。
【0056】
切り出し部10はまた、図7に示すポイントPにおいて同図における紙面に垂直な方向にレーザ光を出入射する図示しない検出手段としての検出部と、図8、図9における左右方向に分離ベース21を移動自在に支持した支持台23と、分離ベース21を支持台23上で互いに接離する方向すなわち図8、図9における左右方向に駆動し変位させる図示しない駆動機構と、図1に示すように円盤3の上面側に配設されたノズル28とを有している。
【0057】
各分離ベース21は、図8、図9に示すように互いに当接した状態で、直線フィーダ2によって搬送されてきた電子部品Wが進入する孔24を形成するように構成されている。すなわち、各分離ベース21は、図9に示すように、互いに向き合う端面にV字状の溝を有しており、これらの溝が付き合わされることで孔24が形成される。各溝は互いに直角をなす2つのテーパ面を有しており、図9に示すように、孔24を正面から見た形状は角部が上下左右方向に向く四角形状となる。
【0058】
分離ベース21は、図7における右上側が切り欠かれた形状となり、当接部22との間で空間35を形成する。孔24を通過してきた、最も先端側の電子部品Wは空間35で露出する。孔24を通過して空間35に露出した電子部品Wの前縁言い換えると前側面が、当接部22に突き当たって当接し、後ろから別の電子部品Wが数珠繋ぎ状に搬送されてくることによって、最も先端側の電子部品Wが図7における左右方向において位置決めされる。
【0059】
空間35に、リング部8が進入するようになっている。リング部8の下端位置は、孔24の上端位置よりも僅かに高い位置にあり、空間35への電子部品Wの搬送を妨げることはなく、また、上述のように位置決めされた電子部品Wが、管12による吸引によって上方に移動し、溝9に吸着される。図7は、電子部品Wの吸着が正常に行なわれた状態を示している。
【0060】
当接部22の、電子部品Wの前側面が当接する面は、電子部品Wの進行方向すなわち孔24の延在方向に垂直な平面をなしており、電子部品Wの上方への移動を妨げることがないように滑らかな面となっている。
【0061】
検出部は、円盤3への電子部品Wの供給不良を検知することが可能なものであり、レーザ光を出射する出射部と、出射部が出射したレーザ光を受ける入射部とを有しており、入射部は、レーザ光を受けているか否かの信号を制御部に送信する。
【0062】
ポイントPは、図7に示すように、電子部品Wの吸着が正常に行なわれた状態では、レーザ光が電子部品Wによって遮られることなく入射部に入射する位置とされている。そのため、入射部がレーザ光を受信しているときには電子部品Wが検出されておらず、入射部がレーザ光を受信していないときには電子部品Wが検出されていることとなる。
【0063】
支持台23は、図8、図9に示すように、各分離ベース21が当接した状態と、図10、図11に示すように、各分離ベース21が離間した状態との間で、各分離ベース21がスライドできるように支持している。
【0064】
支持台23は、図10、図11に示すように、各分離ベース21が離間した状態において上方に向けて露出する開口36と、開口36に連通した排出路25と、排出路25に負圧を与え開口36から電子部品Wを吸引するための吸引空気流を発生する排出吸引手段としての図示しない吸引機構とを有している。
【0065】
排出路25は、図1において符号26で示すチューブにつながっている。チューブ26は、吸引機構によって開口36から吸引されチューブ26を通ってきた電子部品Wを収容する収容部材としてのビン27に接続されている。吸引機構は常時作動している。
【0066】
駆動機構は、制御部の指示により、各分離ベース21を、図8、図9に示す状態と、図10、図11に示す状態との何れかをとるように駆動する。各分離ベース21は図8、図9に示す状態を基本位置としており、後述するように何らかの異常が発生したときに、駆動機構によって図10、図11に示すように互いに離間した位置を占める。
【0067】
ノズル28は、孔24を通過し空間35内で当接部22に当接した電子部品Wの直上に位置する溝9の上方位置において、その溝9につながった管12に連通するように配設されている。ノズル28は、図示しないエア供給機構により、後述する所定のタイミングで、その溝9から空気を噴出するようになっている。
【0068】
この空気は、負圧形成手段によって形成される負圧に抗して円盤3に吸着された電子部品Wを円盤3から離脱させるための離脱空気流である。ノズル28と、エア供給機構とは、離脱空気流を形成して円盤3によって搬送されている電子部品Wを円盤3から離脱させてビン27に向けて送り出す離脱手段として機能する。
【0069】
制御部は、入射部からの信号に基づき、電子部品Wが正常に溝9に吸着されたか、何らかの異常が発生したかを判断する。異常の発生には、図12乃至図15にそれぞれ示した4つのパターンがあり、制御部は、入射部からの信号に基づき、異常が発生した場合には、所定の制御を行うようになっている。
【0070】
図12に示す異常は、電子部品Wの姿勢に異常が生じた状態、すなわち電子部品Wの先端側の一部のみが溝9内に進入するのみで電子部品Wが傾いた状態となり、正常な吸着が行なわれない場合に生じる異常である。この場合、ポイントPにおいて出射部からのレーザ光が遮断され続けることになり、電子部品Wが検知され続けることとなる。この場合を、以下、ワーク姿勢異常という。
【0071】
制御部は、電子部品Wの連続検知状態が所定時間を超えると、異常が生じたと判断し、フィーダ部Aの駆動を停止するとともにモータ5を停止させて円盤3、円盤4の回転を停止する。制御部はまた、駆動機構を作動させて分離ベース21を図8、図9に示した状態から図10、図11に示した状態に変位させ、エア供給機構を駆動して離脱空気流を形成して電子部品Wを溝9から離脱させ、排出路25内に排出する。このとき、孔24内を搬送されている電子部品も排出路25内に落下し、これら電子部品Wはすべてチューブ26を経てビン27内に収容される。
【0072】
制御部は、所定時間経過後、エア供給機構の作動を停止するとともに、分離ベース21を図8、図9に示した状態に復帰させ、フィーダ部Aの駆動を再開する。制御部は、所定時間内に入射部からの信号に基づき電子部品Wを検知し、所定時間内に電子部品Wを検知しなくなると、電子部品Wが正常に溝9に吸着されたと判断し、モータ5を駆動して円盤3、円盤4の回転を再開させる。
【0073】
図13に示す異常は、電子部品Wの大きさ、形状が異常であること、すなわち電子部品Wが異形であることにより、電子部品Wが上方に移動せず、正常な吸着が行なわれない場合に生じる異常である。この場合、ポイントPにおいて出射部からのレーザ光が遮断され続けることになり、電子部品Wが検知され続けることとなる。
【0074】
電子部品Wが異形である態様としては、図13に示すように通常の電子部品Wよりも長さが短い場合のほか、通常の電子部品Wよりも長さが長く、その一部が孔24内に残ったままの状態となる場合などがある。この場合を、以下、異形ワーク異常という。
制御部は、電子部品Wの連続検知状態が所定時間を超えると、異常が生じたと判断し、ワーク姿勢異常の場合と同様の制御を行う。
【0075】
図14に示す異常は、ワーク姿勢異常、異形ワーク異常の何れでもなく、重量が正常のものより重いなどの何らかの要因で電子部品Wが上方に移動せず、正常な吸着が行なわれない場合に生じる異常である。この場合も、ポイントPにおいて出射部からのレーザ光が遮断され続けることになり、電子部品Wが検知され続けることとなる。この場合を、以下、吸着異常という。
制御部は、電子部品Wの連続検知状態が所定時間を超えると、異常が生じたと判断し、ワーク姿勢異常、異形ワーク異常の場合と同様の制御を行う。
【0076】
図15に示す異常は、電子部品Wの搬送に異常が生じた状態、具体的には何らかの要因で電子部品Wが孔24内に留まって詰まった状態となり、電子部品Wが孔24を通過しないために、正常な吸着が行なわれない場合に生じる異常である。この場合、ポイントPにおいて出射部からのレーザ光が入射部によって検知され続けることになり、電子部品Wが検知されない状態が続くこととなる。この場合を、以下、ワーク搬入異常という。
【0077】
制御部は、電子部品Wの連続非検知状態が所定時間を超えると、異常が生じたと判断し、フィーダ部Aの駆動を停止するとともにモータ5を停止させて円盤3、円盤4の回転を停止する。制御部はまた、駆動機構を作動させて分離ベース21を図8、図9に示した状態から図10、図11に示した状態に変位させ、孔24内の電子部品Wを排出路25内に排出する。
【0078】
このとき、エア供給機構の駆動は行なわないが、行なうようにすることも可能である。また、直線フィーダ2の駆動を継続して電子部品Wの排出を強制的に行なう排出モードに移行するようにしても良い。排出路25内に落下した電子部品Wはチューブ26を経てビン27内に収容される。
【0079】
制御部は、所定時間経過後、分離ベース21を図8、図9に示した状態に復帰させ、フィーダ部Aの駆動を再開する。制御部は、所定時間内に入射部からの信号に基づき電子部品Wを検知し、所定時間内に電子部品Wを検知しなくなると、電子部品Wが正常に溝9に吸着されたと判断し、モータ5を駆動して円盤3、円盤4の回転を再開する。
【0080】
その他、異常として検知される態様としては、フィーダ部Aの電子部品Wが全て検査部Bに供給されてしまい、空になった場合がある。この場合には、ワーク搬入異常と同様に、ポイントPにおいて出射部からのレーザ光が入射部によって検知され続けることになり、電子部品Wが検知されない状態が続くこととなる。またこの場合、定量補給フィーダ1、直線フィーダ2にそれぞれ備えられたセンサも、電子部品Wを検知しない状態が続く。この場合を、以下、ワーク検査完了状態という。
【0081】
ワーク検査完了状態では、制御部は、ワーク搬入異常の場合と同様の制御を行うが、上述の所定の動作後、フィーダ部Aの駆動を再開しても、電子部品Wが検知されない状態が続くこととなる。そこで、制御部は、ワーク搬入異常時の制御を繰り返しても電子部品Wを検知しない場合には、ワーク検査完了状態になったとして、外観検査装置100の動作全てを停止させ、待機状態に移行する。ワーク搬入異常時の制御を何度繰り返した場合に待機状態に移行するかは必要に応じて適宜設定される。
【0082】
切り出し部10は無振動であるため、空間35において露出した電子部品Wを円盤3の溝9に吸着する際に電子部品Wは振動せず、安定した姿勢を保つ。よって、溝9への供給性が高く、よってワーク姿勢異常、吸着異常が発生しにくく、時間当たりの供給不良の発生が抑制され、検査効率が高い。
【0083】
・円盤3、円盤4の内部構造について
図16乃至図18を参照して円盤3、4の内部構造を説明する。図16は、円盤3、4および軸3A、4Aの一部の側断面図であり、図17、図18は、図16のA−A断面の概略図である。
【0084】
管12はそれぞれ、円盤3、4の厚さ方向に、円盤3、4を貫くようにして形成されている。管12の一端は溝9に連通しており、他端は上述のようにノズル13、14、28に連通可能となっている。なお、図18において、ノズル13、14、28は説明の便宜上図示したに過ぎず、実際とは異なっている。
【0085】
管12の他端が上述のようにノズル13、14、28に連通可能となっているのは、円盤3、4が回転する一方で、ノズル13、14、28は定位置に固定配置されているためである。
【0086】
管12内には、中空状のニードル29が、円盤3、4の厚さ方向のほぼ全体に亘って配設されている。なお、図17において、ニードル29は説明の便宜上図示したに過ぎず、実際とは異なっている。
【0087】
ニードル29のノズル13、14、28側の端部は、ノズル13、14、28からの離脱空気流を全てニードル29内に導くように、管12の内壁面に密着している。ニードル29の溝9側の端部はテーパ状になっており、孔11に対向し、ノズル13、14、28から供給された空気が効率よく溝9から排出されるようになっているが、管12の内壁面とは離間している。
【0088】
よって、負圧形成手段によって形成される負圧は、孔11から溝9内に作用し、電子部品Wを溝9に吸着するが、離脱空気流が形成された場合には離脱空気流が孔11から溝9内に噴き出し、溝9に吸着されている電子部品Wが円盤3、4から離脱する。
【0089】
軸3A、4Aは、その内部に、軸方向に延設された孔30と、孔30から軸3A、4Aの周面に向けて形成された複数の孔31とを有している。孔30は吸引機構に連結され、孔30、31の内部が負圧に保たれる。
【0090】
円盤3、4は、軸3A、4A周りに位置する円筒形状の空間部32と、空間部32から各管12に向けて、すなわち円盤3、4の中心部から各管12に向けて放射状に形成された複数の管部33とを有している。管部33はそれぞれ、一端が空間部32に連通し、他端が管12に連通している。これにより、管部33はそれぞれ、空間部32と管12とを連通させているとともに、管12を介して孔11のそれぞれに連通している。
【0091】
各管12は、円盤3、4の径方向に延在している。ここで、径方向とは、円盤3、4の回転中心と外周とを結ぶ方向である。空間部32は、各管部33を互いに連通させる連通部としての機能を有している。
【0092】
各管部33はそれぞれ、径方向における中途に、円盤3、4の肉厚方向の深さを有する、離脱空気流の緩衝を行う緩衝部としてのポケット34を有している。ポケット34は、管部33の他の部分すなわちポケット34を除く部分より大径に形成されている。
【0093】
ポケット34は、隣り合う管部33同士で、円盤3、4の中心からの距離が交互に繰り返して互い違いになるように配設されている。これにより、円盤3、4の中心と各ポケット34との間の距離が等距離である場合に比べ、円盤3、4による電子部品Wの保持数を増加可能となっている。すなわち、溝9を多数形成して円盤3、4による電子部品Wの保持数を増加させるために、各管部33の間隔を小さくしても、各管部33に対してポケット34を配設できるよう、ポケット34を設ける領域が確保されている。
【0094】
ポケット34を設ける領域を確保するためには、本形態のように相隣るポケット34の円盤3、4の中心部からの距離が交互に繰り返して互い違いになるとなるように配設することが、ポケット34の形成の観点からも好ましいが、かかる距離は、交互に繰り返す態様以外の態様で、相隣るポケット34の、円盤3、4の中心部からの距離が互いに異なるように配設されていても良い。
【0095】
このような構造により、吸引機構によって孔30、31、空間部32、管部33、管12、孔11を経て、溝9に電子部品Wを吸着する負圧が生じる。これら吸引機構、孔30、31、空間部32、管部33、管12、孔11は、電子部品Wを各溝9において円盤3、4に吸着して搬送するための負圧を形成する負圧形成手段を構成している。
【0096】
一方、上述のように、溝9から電子部品Wを排除すべく、所定のタイミングで、エア供給機構が駆動され、ノズル13、14、28から、管12内に空気が吹き込まれる。
この際、この管12に連通した管部33、空間部32を介して、その隣の管部33などの、他の管部33に空気が吹き込まれると、その管部33に連通した溝9に吸着しておくべき電子部品Wが離脱する恐れがある。
【0097】
これは、空間部32に面した管部33同士の間隙が小さくなっているため、かりに、ある管部33から離脱空気流が空間部32内に流れ込むと、周辺の気圧が高くなり、その周辺の管部33の気圧が、その管部33に連通した溝9に電子部品Wを吸着しておくのに必要な負圧を保てなくなるためである。
【0098】
しかし、ニードル29を配設してノズル13、14、28から供給された離脱空気流が効率よく溝9から噴き出されるように構成したこと、及び、ポケット34を設けて管部33の体積を大きくし、管12側から空間部32側への、または空間部32側から管12側への、気圧の瞬間的な変化を緩衝するように構成したことで、ある管12に空気が吹き込まれた場合であっても、その隣や周辺の管12への影響が低減され、吸着しておくべき電子部品Wの吸着状態は確保される。
【0099】
よって、所望の電子部品Wのみを円盤3、4から離脱させ、他の電子部品Wは円盤3、4に保持された状態で搬送されるから、撮像、検査が良好に行なわれるとともに、最終的な仕分けまで良好に行なわれることとなり、検査効率が向上する。
【0100】
隣り合うポケット34を、中心からの距離を違えて配置したため、円盤3、4の肉厚方向のみならず、径方向におけるその大きさを大きくとることができるようになっており、これにより緩衝効率が向上している。ただし、肉厚方向のみの大きさを大きくするようにしても良い。管部33全体の径を大きくすると、負圧形成効率が低下するため、ポケット34の部分のみ、その径を大きくすることが望ましく、本実施形態の管部33、ポケット34は、これに適った構造となっている。
【0101】
隣り合うポケット34を、中心からの距離を違えて配置したため、円盤3、4の肉厚方向のみならず、径方向におけるその大きさも大きくとりつつ、さらには、管部33の間隔が抑制可能であるから、円盤3、4の大きさを抑制しつつ、管部33の数を増やして、円盤3、4によって保持する電子部品Wの数を増加させることが可能である。
【0102】
隣り合うポケット34を、中心からの距離が交互に繰り返して互い違いになるように配置したため、ポケット34の製造工程が簡易であり、比較的に容易にポケット34が製造され、ポケット34の形成によるコストが抑制されている。
【0103】
以上、本発明にかかる外観検査装置100の構成及び動作を説明したが、特に述べていない動作についても、制御部で制御するようになっている。制御部は、CUP、メモリ等を備えたものである。
【0104】
なお、円盤3の溝9のうち、電子部品Wを円盤4に受け渡した後の溝9であって、切り出し部10で電子部品Wを吸着する前の溝9は、孔11が露出し、空気が進入する状態となっている。また、円盤4の溝9のうち、電子部品Wを仕分けした後の溝9であって、円盤3から電子部品Wを受け取る前の溝9は、孔11が露出し、空気が進入する状態となっている。そのため、かかる空気の進入によって負圧は低下するが、吸引機構の出力、孔11、管12、管部33、空間部32等の形状、大きさは、かかる負圧の低下が、溝9において電子部品Wの保持を良好に維持する範囲に保たれるように設計されている。
【0105】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0106】
たとえば、エンコーダ6は、ステッピングモータであるモータ5への電子的制御に加えて、機械的検知を行なうことにより、円盤3、4の回転制御の精度を向上するために用いているが、エンコーダ6を用いず、モータ5への電子的制御のみで円盤3、4の回転制御を行ってもよい。
【0107】
また、電子部品Wを撮像するカメラは、撮像すべき電子部品Wの面の数だけ、撮影すべき面の位置に対応して備えられていれば良く、6つに限らず、5つ以下を配置しても良い。各エア供給機構、各吸引機構は、ポンプ等をそれぞれ別に備えているものでも良いし、共通のポンプ等によって作動するものでも良い。
【0108】
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本実施形態における外観検査装置の概略斜視図である。
【図2】本実施形態における外観検査装置の概略側面図である。
【図3】本実施形態における外観検査装置の概略平面図である。
【図4】本実施形態における外観検査装置に備えられた円盤の平面図又は底面図及びその一部の拡大図である。
【図5】本実施形態における外観検査装置に備えられた円盤の凸部および溝の拡大側断面図である。
【図6】本実施形態における外観検査装置に備えられた円盤の凸部および溝の拡大正断面図である。
【図7】本実施形態における外観検査装置に備えられた切り出し部の一部の拡大側断面図であって、電子部品が正常に供給された状態を示す図である。
【図8】本実施形態における外観検査装置に備えられた切り出し部の一部の平面図であって、電子部品が正常に供給されている状態を示す図である。
【図9】本実施形態における外観検査装置に備えられた切り出し部の一部の正面図であって、電子部品が正常に供給されている状態を示す図である。
【図10】本実施形態における外観検査装置に備えられた切り出し部の一部の平面図であって、電子部品の供給が正常でなかった状態を示す図である。
【図11】本実施形態における外観検査装置に備えられた切り出し部の一部の正面図であって、電子部品の供給が正常でなかった状態を示す図である。
【図12】本実施形態における外観検査装置に備えられた切り出し部の一部の拡大側断面図であって、電子部品の供給が正常でない状態を示す図である。
【図13】本実施形態における外観検査装置に備えられた切り出し部の一部の拡大側断面図であって、電子部品の供給が正常でない他の状態を示す図である。
【図14】本実施形態における外観検査装置に備えられた切り出し部の一部の拡大側断面図であって、電子部品の供給が正常でないまた他の状態を示す図である。
【図15】本実施形態における外観検査装置に備えられた切り出し部の一部の拡大側断面図であって、電子部品の供給が正常でないさらに他の状態を示す図である。
【図16】本実施形態における外観検査装置に備えられた円盤及びその周りの構造の一部の側断面図である。
【図17】図16のA−A断面の概略図である。
【図18】図16のA−A断面の他の概略図である。
【符号の説明】
【0110】
3 円盤、上側の円盤
4 円盤、下側の円盤
8 凸部
9 溝
10 切り出し部
11 孔
11、12、30〜34 負圧形成手段
13 離脱手段
14 離脱手段、第1の離脱手段
14、15 仕分け排出手段
15 収容吸引手段
16 収容部
21 変位部材
22 当接部材
27 収容部材
28 離脱手段、第1の離脱手段
32 連通部
33 管部
34 緩衝部
36 開口
100 外観検査装置
C 仕分け手段
P 検知手段による検知位置
W 電子部品
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の外観に基づき電子部品の検査を行なう外観検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば〔特許文献1〕〜〔特許文献3〕に開示されているように、回転により電子部品を搬送する円盤を備え、円盤によって搬送される電子部品の外観に基づき電子部品の検査を行なう外観検査装置が知られている。
【0003】
このような外観検査装置においては、例えば〔特許文献4〕に記載されているように、電子部品を円盤に供給するためのフィーダが備えられている。〔特許文献4〕に記載のフィーダは、円盤に備えられた凹部に電子部品を供給するとともに、電子部品の供給不良が生じたときに、電子部品を排出するための吸引を行なうようになっている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−10301号公報
【特許文献2】特開2002−28578号公報
【特許文献3】特開2003−275688号公報
【特許文献4】特開2003−112818号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、〔特許文献4〕の円盤は、電子部品を凹部に収納して搬送するため、電子部品の外観検査を行なうことが困難である。また、電子部品を凹部に収納するのみで搬送するため、電子部品が凹部から脱落する恐れがある。電子部品を円盤に良好に保持する技術としては、例えば〔特許文献3〕に記載されているように、電子部品を円盤に吸引して保持する技術が知られている。ところが、電子部品を吸引により保持する技術を、〔特許文献4〕に記載のように、電子部品の供給不良が生じたときに吸引を行なって排出する構成に採用しても、電子部品の排出がうまく行なわれない可能性がある。
【0006】
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであり、円盤への電子部品の供給不良が生じた場合におけるその電子部品の排出性を向上した外観検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上のような目的を達成するため、請求項1記載の発明は、回転により電子部品を搬送するための円盤を備え、前記円盤によって搬送される電子部品の外観を撮像し、撮像された電子部品の外観に基づいて当該電子部品の外観検査を行なう外観検査装置において、前記円盤を2つ備え、前記2つの円盤はそれぞれ、ほぼ水平に配設されているとともに、その周縁部に、互いに向き合う方向に突設された環状の凸部を有し、前記凸部は、前記円盤の周方向に複数備えられた、電子部品を保持するためのV字状の溝を有し、前記2つの円盤の回転時に、それぞれの前記凸部の前記溝の1つが互いに向き合うように、前記2つの円盤を、それぞれの一部が上下方向において互いに重なり合うように配置し、上側の前記円盤から下側の前記円盤に電子部品を受け渡す外観検査装置であって、電子部品を前記溝において前記円盤に吸着して搬送するための負圧を形成する負圧形成手段と、前記負圧形成手段によって形成される負圧に抗して上側の前記円盤に吸着された電子部品を上側の前記円盤から離脱させるための第1の離脱空気流を形成する第1の離脱手段と、上側の前記円盤に電子部品を1つずつ供給するための切り出し部と、前記第1の離脱手段と前記切り出し部とを制御する制御手段と有し、前記切り出し部は、互いに接離する方向に変位するとともに、互いに当接した状態で電子部品を搬送する孔を形成する変位部材と、前記孔を通過した電子部品の前縁に当接してこの電子部品の位置決めを行なう当接部材と、前記変位部材が互いに離間したときに露出する開口と、前記開口から電子部品を吸引するための吸引空気流を発生する排出吸引手段と、前記排出吸引手段によって前記開口から吸引された電子部品を収容する収容部材と、前記円盤への電子部品の供給不良を検知する検知手段とを有し、前記制御手段は、前記検知手段によって前記供給不良を検知したときに、前記変位部材を互いに離間する状態に変位するとともに、前記第1の離脱手段により前記第1の離脱空気流を形成することを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の外観検査装置において、前記円盤によって搬送されている、検査が終了した電子部品を、検査結果に基づいて仕分ける仕分け手段を有し、前記仕分け手段は、検査が終了した前記電子部品を、検査結果に応じた所定位置で下側の前記円盤から排出させる仕分け排出手段と、前記仕分け排出手段によって下側の前記円盤から排出された電子部品を収容する、検査結果に応じて設けられた収容部とを有し、前記仕分け排出手段は、下側の前記円盤によって搬送されている電子部品を下側の前記円盤から離脱させて前記収容部に向けて送り出すための第2の離脱空気流を形成する第2の離脱手段と、下側の前記円盤によって搬送されている電子部品を前記収容部に向けて吸引するための収容空気流を発生する収容吸引手段とを有することを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の外観検査装置において、前記負圧形成手段は、前記溝に電子部品を吸着するために前記溝に連なる孔と、前記円盤内部において前記円盤の中心部から前記孔のそれぞれに連通するように放射状に設けられた複数の管部と、前記管部を互いに連通させる連通部とを有し、前記管部がそれぞれ、前記円盤の径方向における中途に、前記離脱空気流の緩衝を行う緩衝部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、回転により電子部品を搬送するための円盤を備え、前記円盤によって搬送される電子部品の外観を撮像し、撮像された電子部品の外観に基づいて当該電子部品の外観検査を行なう外観検査装置において、前記円盤を2つ備え、前記2つの円盤はそれぞれ、ほぼ水平に配設されているとともに、その周縁部に、互いに向き合う方向に突設された環状の凸部を有し、前記凸部は、前記円盤の周方向に複数備えられた、電子部品を保持するためのV字状の溝を有し、前記2つの円盤の回転時に、それぞれの前記凸部の前記溝の1つが互いに向き合うように、前記2つの円盤を、それぞれの一部が上下方向において互いに重なり合うように配置し、上側の前記円盤から下側の前記円盤に電子部品を受け渡す外観検査装置であって、電子部品を前記溝において前記円盤に吸着して搬送するための負圧を形成する負圧形成手段と、前記負圧形成手段によって形成される負圧に抗して上側の前記円盤に吸着された電子部品を上側の前記円盤から離脱させるための第1の離脱空気流を形成する第1の離脱手段と、上側の前記円盤に電子部品を1つずつ供給するための切り出し部と、前記第1の離脱手段と前記切り出し部とを制御する制御手段と有し、前記切り出し部は、互いに接離する方向に変位するとともに、互いに当接した状態で電子部品を搬送する孔を形成する変位部材と、前記孔を通過した電子部品の前縁に当接してこの電子部品の位置決めを行なう当接部材と、前記変位部材が互いに離間したときに露出する開口と、前記開口から電子部品を吸引するための吸引空気流を発生する排出吸引手段と、前記排出吸引手段によって前記開口から吸引された電子部品を収容する収容部材と、前記円盤への電子部品の供給不良を検知する検知手段とを有し、前記制御手段は、前記検知手段によって前記供給不良を検知したときに、前記変位部材を互いに離間する状態に変位するとともに、前記第1の離脱手段により前記第1の離脱空気流を形成するので、電子部品を円盤に吸着して搬送するから電子部品を円盤に良好に保持させて搬送することができるとともに、円盤への電子部品の供給不良が生じた場合には、第1の離脱空気流及び吸引空気流により電子部品の排出を行なうことができるので、供給不良の際の電子部品の排出性が向上した外観検査装置を提供することができる。
【0011】
前記円盤によって搬送されている、検査が終了した電子部品を、検査結果に基づいて仕分ける仕分け手段を有し、前記仕分け手段は、検査が終了した前記電子部品を、検査結果に応じた所定位置で下側の前記円盤から排出させる仕分け排出手段と、前記仕分け排出手段によって下側の前記円盤から排出された電子部品を収容する、検査結果に応じて設けられた収容部とを有し、前記仕分け排出手段は、下側の前記円盤によって搬送されている電子部品を下側の前記円盤から離脱させて前記収容部に向けて送り出すための第2の離脱空気流を形成する第2の離脱手段と、下側の前記円盤によって搬送されている電子部品を前記収容部に向けて吸引するための収容空気流を発生する収容吸引手段とを有することとすれば、電子部品を円盤に吸着して搬送するから電子部品を円盤に良好に保持させて搬送することができるとともに、円盤への電子部品の供給不良が生じた場合には、第1の離脱空気流を形成して電子部品の排出を行なうことができるので、供給不良の際の電子部品の排出性が向上しており、さらに、検査済みの電子部品を第2の離脱空気流及び収容空気流により円盤から良好に排出できるとともに検査結果に応じて収容部に仕分けることができる外観検査装置を提供することができる。
【0012】
前記負圧形成手段は、前記溝に電子部品を吸着するために前記溝に連なる孔と、前記円盤内部において前記円盤の中心部から前記孔のそれぞれに連通するように放射状に設けられた複数の管部と、前記管部を互いに連通させる連通部とを有し、前記管部がそれぞれ、前記円盤の径方向における中途に、前記離脱空気流の緩衝を行う緩衝部を有することとすれば、電子部品を円盤に吸着して搬送するから電子部品を円盤に良好に保持させて搬送することができるとともに、円盤への電子部品の供給不良が生じた場合には、第1の離脱空気流及び吸引空気流により電子部品の排出を行なうことができるので、供給不良の際の電子部品の排出性が向上し、さらには、離脱空気流が他の電子部品の保持に与える影響を緩和し、所望の電子部品のみを円盤から離脱させることができることで検査効率が向上した外観検査装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る外観検査装置の一実施の形態について図面を用いて説明する。
図1に示すように、外観検査装置100は、検査対象である電子部品Wのフィーダ部Aと、フィーダ部Aから送られた電子部品Wを移動させながら外観の検査を行なう検査部Bと、検査部Bで検査した電子部品Wを検査結果に応じて仕分けるとともに蓄える仕分け部Cと、フィーダ部A、検査部B及び仕分け部Cの制御を行う図示しない制御手段としての制御部とを主に備えている。
【0014】
電子部品Wは略直方体形状をなす微小な部品で、例えば「0603」、「1005」、「1608」、「2412」等といわれるサイズのものである。「0603」という場合には、0.6mm×0.5mmのサイズであることを意味する。
【0015】
以下、フィーダ部A、検査部B、仕分け部Cの構成をそれぞれ説明する。
【0016】
・フィーダ部Aについて
フィーダ部Aは、多数の電子部品Wを蓄えているとともに、微細な振動により蓄えている電子部品Wを送り出す定量補給フィーダ1と、定量補給フィーダ1から送り出された電子部品Wを1列に整列した状態で直線的に搬送する直線フィーダ2と、直線フィーダ2の先端側に位置する切り出し部10とを有している。
【0017】
直線フィーダ2は、微細な振動により電子部品Wを搬送しながら、電子部品Wの姿勢を整えるようになっている。定量補給フィーダ1と、直線フィーダ2とは、それぞれ、電子部品Wの有無を検知する図示しない光反射型のセンサを有している。
【0018】
切り出し部10は、直線フィーダ2によって搬送されてきた電子部品Wを、1つずつ分離して検査部Bに送り出すための構造である。図1においては、切り出し部10の配置位置のみを図示している。切り出し部10の構造については、以下、検査部B、仕分け部Cの構成をこの順でそれぞれ説明した後に説明する。
【0019】
・検査部Bについて
検査部Bについて、図1乃至3を参照しながら説明する。図2は外観検査装置100の側面図、図3は外観検査装置100の平面図である。
【0020】
検査部Bは、ほぼ水平方向に配置された同じ大きさ、形状の2つの円盤3、4と、円盤3、4それぞれの回転中心をなす軸3A、4Aと、円盤3を直接的に回転駆動するとともに円盤4を間接的に回転駆動する駆動手段としてのステッピングモータであるモータ5と、軸3Aと一体をなし円盤3の位相を検知するエンコーダ部6と、モータ5の駆動力を円盤4に伝達する図示しない駆動伝達機構とを有している。
【0021】
検査部Bはまた、円盤3によって搬送されている電子部品Wの外観を撮像する3台のカメラ7A〜Cと、円盤4によって搬送されている電子部品Wを撮像する3台のカメラ7D〜Fとを有している。
【0022】
モータ5は、駆動伝達機構により、円盤3とともに、円盤3と同期して円盤4を円盤3と等速で回転駆動する。モータ5は、制御部の指示によって作動するようになっている。
【0023】
円盤3、4は、互いに上下裏返した態様で配設されている。円盤3は円盤4の上方に位置し、円盤3と円盤4とは、その周縁部の一部が重なり合うように配置されている。
円盤3は、切り出し部10によって1つずつ分離されて搬送されてくる電子部品Wを、その下面に、円周方向に沿って等間隔で吸着保持し、回転に伴って搬送する。
円盤4は、円盤3によって搬送されてくる電子部品Wを、その上面に、円周方向に沿って等間隔で吸着保持し、回転に伴って搬送する。
【0024】
円盤3、円盤4は、その内部構造に特徴を有するが、この点については切り出し部10の構造を説明した後に図16乃至図18を参照して詳述する。
【0025】
図4乃至6を参照しながら、円盤3、4が電子部品Wを保持する部分の構造を説明する。図4は円盤3の底面図であるとともに円盤4の平面図であり、図5は円盤3、4の一部の側断面図であり、図6は円盤3、4の一部の正面図である。
【0026】
円盤3、4は、その一方の面の周縁部、言い換えると周縁近傍の位置に、周縁と同心状かつ環状に突設された、電子部品Wを保持するための凸条である凸部としてのリング部8を有している。リング部8は、円盤3においてはその下面、円盤4においてはその上面に位置している。したがって、各リング部8は、互いに向き合うように円盤3、4のそれぞれに突設された状態となっている。
【0027】
リング部8には、周方向において等間隔で60箇所に形成された、正面視でV字状の溝9を有している。ここで、周方向とは、円盤3、4の周縁における接線方向であり、正面視とは、円盤3、4の周縁から中心を向く方向に見た状態を言う。
【0028】
溝9は、互いに直角をなす2つのテーパ面によって形成されている。溝9には、電子部品Wを吸着するための孔11が、その底部に連なるように形成されている。
孔11はそれぞれ、円盤3、4内部に位置する吸引用の管部としての管12につながっており、ポンプ等を有する図示しない吸引機構によって管12に負圧が与えられることで溝9に電子部品Wを保持する。
【0029】
吸引機構、孔11、管12、その他、後述する円盤3、4の内部構造等は、電子部品Wを各溝9において円盤3、4に吸着して搬送するための負圧を形成する負圧形成手段の一部を構成している。
【0030】
円盤3、4は、それぞれの周縁部において、一方のリング部8が他方のリング部8に対向するように上下方向で互いに重なり合っている。円盤3、4は、回転の過程でそれぞれのリング部8の溝9が互いに向き合ったとき、その状態で、上側の円盤3から下側の円盤4に電子部品Wを受け渡す。
【0031】
円盤3、4の上下方向の間隔は、それぞれのリング部8が対向した位置で、円盤3側の溝9に保持されている電子部品Wと、円盤4側の溝との間隔ができるだけ小さくなるように調整されている。
【0032】
図1において、符号13は、円盤3の上面側に配設されたノズルを示している。このノズル13は、それぞれのリング部8の溝9が対向する位置において、その溝9の孔11につながっている管12に連通するように配設されている。
【0033】
ノズル13は、図示しないエア供給機構により、ぞれぞれのリング部8の溝9が対向するタイミングで、その溝9の孔11から空気を噴出するようになっている。この空気は、負圧形成手段によって形成される負圧に抗して円盤3に吸着された電子部品Wを円盤3から離脱させるための離脱空気流である。ノズル13と、エア供給機構とは、離脱空気流を形成して円盤3によって搬送されている電子部品Wを円盤3から離脱させて円盤4に向けて送り出す離脱手段として機能する。
【0034】
よって、電子部品Wは、円盤4に向けて安定した姿勢で移動し、円盤4側の溝9に正しい姿勢で保持される。ここで、正しい姿勢とは、円盤3側の溝9に吸引保持された状態でその溝9に当接していた上向きの2つの面が露出し、その溝9に吸引保持された状態で露出していた下向きの2つの面が円盤4側の溝に当接する状態をいう。
【0035】
カメラ7A〜Cは、エンコーダ部6からの信号に基づき、円盤3によって搬送されている電子部品Wが所定位置を占めたときに電子部品Wのそれぞれ異なる側面の撮像を行なう。
【0036】
具体的には、カメラ7Aは、円盤3の溝9に吸着された状態で下を向く2つの面のうち、円盤3の回転に伴ってカメラ7Aに向かって来る方の面を撮像する。カメラ7Bは、円盤3の溝9に吸着された状態で円周外側を向く面を撮像する。カメラ7Cは、円盤3の溝9に吸着された状態で下を向く2つの面のうち、カメラ7Aによって撮像された面とは逆面、すなわち円盤3の回転に伴ってカメラ7Cから離れる方の面を撮像する。なお円周内側を向く面を撮像することも可能であるから、円盤3による搬送過程で4面を撮像することもできる。
【0037】
カメラ7D〜Fは、エンコーダ部6からの信号に基づき、円盤4によって搬送されている電子部品Wが所定位置を占めたときに電子部品Wのそれぞれ異なる側面の撮像を行なう。
【0038】
具体的には、カメラ7Dは、円盤4の溝9に吸着された状態で上を向く2つの面のうち、円盤4の回転に伴ってカメラ7Dに向かって来る方の面を撮像する。カメラ7Eは、円盤4の溝9に吸着された状態で円周外側を向く面、すなわちカメラ7Bによって撮像した面と反対側の面を撮像する。カメラ7Fは、円盤4の溝9に吸着された状態で下を向く2つの面のうち、カメラ7Dによって撮像された面とは逆面、すなわち円盤4の回転に伴ってカメラ7Fから離れる方の面を撮像する。なお円周内側を向く面を撮像することも可能であるから、円盤4による搬送過程で4面を撮像することもできる。
【0039】
これにより、カメラ7A〜Fはそれぞれ、電子部品Wの6面の全てをそれぞれ撮像する。撮像された画像は制御部にて画像処理され、電子部品Wの良、不良の判定に供される。このようにして、電子部品Wは、外観により、その良、不良が判定される。
【0040】
各溝9には番地、言い換えるとアドレスが振られており、電子部品Wの良、不良は、その番地と対応して制御部に備えられたメモリに記憶される。不良には複数の態様があり、それぞれ区別された状態でメモリに記憶される。
【0041】
カメラ7A〜Fの構成及び制御、カメラ7A〜Fにより撮像したデータの画像処理、この画像処理結果に基づき電子部品Wの良、不良を判定する処理、エンコーダ部6からの信号に基づくカメラ7A〜Fによる撮像タイミングの決定、及び、良、不良の判定結果を溝9の番地と関連して記憶すること、などのシーケンス、制御は一般的な手法によって制御部で行われる。
【0042】
このように、検査部Bでは、負圧形成手段により、電子部品Wが円盤3、4に吸着されるので、搬送の際の保持が良好であり、撮像及び検査が良好に行なわれ、時間当たりの検査不良の発生が抑制され、検査効率が高い。上側の円盤3から下側の円盤4に電子部品Wを受け渡すので、受渡しの際の電子部品Wの移動に関する安定性が高く、電子部品Wが円盤4によって良好に保持され、これによって撮像及び検査が良好に行なわれ、時間当たりの検査不良の発生が抑制され、検査効率が高い。
【0043】
溝9がV字状をなしているから、電子部品Wを円盤3から円盤4に受け渡す際に、電子部品Wの下側を向いた角部が下側の円盤4の溝9にスムーズに進入して位置決めされ、受渡しの際の電子部品Wの移動に関する安定性が高く、電子部品Wが円盤4によって良好に保持され、これによって撮像及び検査が良好に行なわれ、時間当たりの検査不良の発生が抑制され、検査効率が高い。
【0044】
溝9がV字状をなしているから、円盤3、4による電子部品Wの保持を良好に行なうとともに、ほぼ6面体の形状をなす電子部品Wの保持の際に溝9によって隠れる面が2面のみとなり、4面を露出させるから、撮像可能な面が多く、検査効率が高い。さらに、円盤3の溝9によって隠れていた面が、受渡しにより円盤4に保持されると露出するため、電子部品Wの全面を撮影可能となり、検査効率が高く、また検査の信頼性が高い。
【0045】
・仕分け部Cについて
仕分け部Cは、円盤4の下面側に配設された複数のノズル14と、それぞれのノズル14に対応する位置に配設された複数のチューブ15と、それぞれのチューブ15に接続された複数の収容部としてのビン16と、チューブ15内に、それぞれ対応するビン16に向けた負圧を発生させる図示しない吸引機構とを有している。
【0046】
各ノズル14は、対応する位置を占める溝9につながった管12に連通するように配設されている。各ノズル14は、ポンプ等を備えた図示しないエア供給機構により、溝9が対応した位置を占めるタイミングで、それぞれ独立して、その溝9の孔11から空気を噴出する。
【0047】
この空気は、負圧形成手段によって形成される負圧に抗して円盤4に吸着された電子部品Wを円盤4から離脱させるための離脱空気流である。各ノズル14と、エア供給機構とは、離脱空気流を形成して円盤4によって搬送されている電子部品Wを円盤4から離脱させて所定のビン16に向けて送り出す離脱手段として機能する。
【0048】
各チューブ15は、離脱空気流により円盤3から離脱する電子部品Wが進入する位置に一端を開口し、他端を対応するビン16内に開口させている。吸引機構はポンプ等を有している。チューブ15と、吸引機構とは、円盤3によって搬送されている電子部品Wを所定のビン16に向けて吸引するための収容空気流を発生する収容吸引手段として機能する。
【0049】
各ビン16はそれぞれ、収容すべき電子部品Wが異なっている。すなわち、各ビン16は、電子部品Wの検査結果に応じて使い分けるように設けられているものであって、良品と判定された電子部品Wを収容するものと、不良と判断された電子部品Wを収容するものとがある。良品と判定された電子部品Wを収容するビン16は1つであるが、不良と判断された電子部品Wを収容するビン16は複数あり、不良の態様によって使い分けられる。
【0050】
チューブ15による吸引は常時行なわれるが、各ノズル14による空気の噴出は、制御部によりそのタイミングを制御される。このタイミングは、電子部品Wの良、不良の判定結果に応じ、対応するビン16に収容されるよう、電子部品Wの良、不良の判定結果と対応して記憶されている溝9の番地を参照することで決定される。
【0051】
よって、電子部品Wは、ノズル14による空気の噴出、チューブ15による吸引により、良、不良の状態に応じて、所定位置で円盤4から確実に離脱し、所定のビン16内に確実に搬送され、収容される。このように、円盤4から排出された電子部品Wは、その状態に応じて所定のビン16に仕分けられ、振り分けられる。
【0052】
離脱手段と収容吸引手段とは、検査が終了した電子部品Wを、検査結果に応じた所定位置で円盤4から排出させる仕分け排出手段として機能する。仕分け部Cは、円盤3、4によって搬送されている、検査が終了した電子部品Wを、検査結果に基づいて仕分ける仕分け手段として機能するようになっている。
【0053】
・切り出し部10について
図7乃至図9を参照しながら切り出し部10の構造を説明します。図7は切り出し部10の側面図であり、直線フィーダ2の先端部及び円盤3の一部の断面も併せて示している。図8は切り出し部10の一部の平面図、図9は切り出し部10の一部の正面図である。図7における紙面に垂直な方向は、図8、図9における左右方向に一致する。
【0054】
切り出し部10は、直線フィーダ2で隙間なく直線状に並べられて搬送されてきた電子部品Wを円盤3に1つずつ供給するものである。切り出し部10は、直線フィーダ2本体とは0.03〜0.05mmの間隙を隔てて配設されることで別体をなし、無振動状態となっている。かかる間隙を設けるのは、直線フィーダ2本体の振動が切り出し部10に伝わることを防止し、かつ電子部品Wが直線フィーダ2本体から切出し部10に良好に搬送されるようにするためである。
【0055】
切り出し部10は、直線フィーダ2で隙間なく直線状に並べられて搬送されてきた電子部品Wが進入する孔24を形成する一対の変位部材としての分離ベース21と、最も先端側の電子部品Wの前側面が当接する当接部材としての当接部22とを有している。
【0056】
切り出し部10はまた、図7に示すポイントPにおいて同図における紙面に垂直な方向にレーザ光を出入射する図示しない検出手段としての検出部と、図8、図9における左右方向に分離ベース21を移動自在に支持した支持台23と、分離ベース21を支持台23上で互いに接離する方向すなわち図8、図9における左右方向に駆動し変位させる図示しない駆動機構と、図1に示すように円盤3の上面側に配設されたノズル28とを有している。
【0057】
各分離ベース21は、図8、図9に示すように互いに当接した状態で、直線フィーダ2によって搬送されてきた電子部品Wが進入する孔24を形成するように構成されている。すなわち、各分離ベース21は、図9に示すように、互いに向き合う端面にV字状の溝を有しており、これらの溝が付き合わされることで孔24が形成される。各溝は互いに直角をなす2つのテーパ面を有しており、図9に示すように、孔24を正面から見た形状は角部が上下左右方向に向く四角形状となる。
【0058】
分離ベース21は、図7における右上側が切り欠かれた形状となり、当接部22との間で空間35を形成する。孔24を通過してきた、最も先端側の電子部品Wは空間35で露出する。孔24を通過して空間35に露出した電子部品Wの前縁言い換えると前側面が、当接部22に突き当たって当接し、後ろから別の電子部品Wが数珠繋ぎ状に搬送されてくることによって、最も先端側の電子部品Wが図7における左右方向において位置決めされる。
【0059】
空間35に、リング部8が進入するようになっている。リング部8の下端位置は、孔24の上端位置よりも僅かに高い位置にあり、空間35への電子部品Wの搬送を妨げることはなく、また、上述のように位置決めされた電子部品Wが、管12による吸引によって上方に移動し、溝9に吸着される。図7は、電子部品Wの吸着が正常に行なわれた状態を示している。
【0060】
当接部22の、電子部品Wの前側面が当接する面は、電子部品Wの進行方向すなわち孔24の延在方向に垂直な平面をなしており、電子部品Wの上方への移動を妨げることがないように滑らかな面となっている。
【0061】
検出部は、円盤3への電子部品Wの供給不良を検知することが可能なものであり、レーザ光を出射する出射部と、出射部が出射したレーザ光を受ける入射部とを有しており、入射部は、レーザ光を受けているか否かの信号を制御部に送信する。
【0062】
ポイントPは、図7に示すように、電子部品Wの吸着が正常に行なわれた状態では、レーザ光が電子部品Wによって遮られることなく入射部に入射する位置とされている。そのため、入射部がレーザ光を受信しているときには電子部品Wが検出されておらず、入射部がレーザ光を受信していないときには電子部品Wが検出されていることとなる。
【0063】
支持台23は、図8、図9に示すように、各分離ベース21が当接した状態と、図10、図11に示すように、各分離ベース21が離間した状態との間で、各分離ベース21がスライドできるように支持している。
【0064】
支持台23は、図10、図11に示すように、各分離ベース21が離間した状態において上方に向けて露出する開口36と、開口36に連通した排出路25と、排出路25に負圧を与え開口36から電子部品Wを吸引するための吸引空気流を発生する排出吸引手段としての図示しない吸引機構とを有している。
【0065】
排出路25は、図1において符号26で示すチューブにつながっている。チューブ26は、吸引機構によって開口36から吸引されチューブ26を通ってきた電子部品Wを収容する収容部材としてのビン27に接続されている。吸引機構は常時作動している。
【0066】
駆動機構は、制御部の指示により、各分離ベース21を、図8、図9に示す状態と、図10、図11に示す状態との何れかをとるように駆動する。各分離ベース21は図8、図9に示す状態を基本位置としており、後述するように何らかの異常が発生したときに、駆動機構によって図10、図11に示すように互いに離間した位置を占める。
【0067】
ノズル28は、孔24を通過し空間35内で当接部22に当接した電子部品Wの直上に位置する溝9の上方位置において、その溝9につながった管12に連通するように配設されている。ノズル28は、図示しないエア供給機構により、後述する所定のタイミングで、その溝9から空気を噴出するようになっている。
【0068】
この空気は、負圧形成手段によって形成される負圧に抗して円盤3に吸着された電子部品Wを円盤3から離脱させるための離脱空気流である。ノズル28と、エア供給機構とは、離脱空気流を形成して円盤3によって搬送されている電子部品Wを円盤3から離脱させてビン27に向けて送り出す離脱手段として機能する。
【0069】
制御部は、入射部からの信号に基づき、電子部品Wが正常に溝9に吸着されたか、何らかの異常が発生したかを判断する。異常の発生には、図12乃至図15にそれぞれ示した4つのパターンがあり、制御部は、入射部からの信号に基づき、異常が発生した場合には、所定の制御を行うようになっている。
【0070】
図12に示す異常は、電子部品Wの姿勢に異常が生じた状態、すなわち電子部品Wの先端側の一部のみが溝9内に進入するのみで電子部品Wが傾いた状態となり、正常な吸着が行なわれない場合に生じる異常である。この場合、ポイントPにおいて出射部からのレーザ光が遮断され続けることになり、電子部品Wが検知され続けることとなる。この場合を、以下、ワーク姿勢異常という。
【0071】
制御部は、電子部品Wの連続検知状態が所定時間を超えると、異常が生じたと判断し、フィーダ部Aの駆動を停止するとともにモータ5を停止させて円盤3、円盤4の回転を停止する。制御部はまた、駆動機構を作動させて分離ベース21を図8、図9に示した状態から図10、図11に示した状態に変位させ、エア供給機構を駆動して離脱空気流を形成して電子部品Wを溝9から離脱させ、排出路25内に排出する。このとき、孔24内を搬送されている電子部品も排出路25内に落下し、これら電子部品Wはすべてチューブ26を経てビン27内に収容される。
【0072】
制御部は、所定時間経過後、エア供給機構の作動を停止するとともに、分離ベース21を図8、図9に示した状態に復帰させ、フィーダ部Aの駆動を再開する。制御部は、所定時間内に入射部からの信号に基づき電子部品Wを検知し、所定時間内に電子部品Wを検知しなくなると、電子部品Wが正常に溝9に吸着されたと判断し、モータ5を駆動して円盤3、円盤4の回転を再開させる。
【0073】
図13に示す異常は、電子部品Wの大きさ、形状が異常であること、すなわち電子部品Wが異形であることにより、電子部品Wが上方に移動せず、正常な吸着が行なわれない場合に生じる異常である。この場合、ポイントPにおいて出射部からのレーザ光が遮断され続けることになり、電子部品Wが検知され続けることとなる。
【0074】
電子部品Wが異形である態様としては、図13に示すように通常の電子部品Wよりも長さが短い場合のほか、通常の電子部品Wよりも長さが長く、その一部が孔24内に残ったままの状態となる場合などがある。この場合を、以下、異形ワーク異常という。
制御部は、電子部品Wの連続検知状態が所定時間を超えると、異常が生じたと判断し、ワーク姿勢異常の場合と同様の制御を行う。
【0075】
図14に示す異常は、ワーク姿勢異常、異形ワーク異常の何れでもなく、重量が正常のものより重いなどの何らかの要因で電子部品Wが上方に移動せず、正常な吸着が行なわれない場合に生じる異常である。この場合も、ポイントPにおいて出射部からのレーザ光が遮断され続けることになり、電子部品Wが検知され続けることとなる。この場合を、以下、吸着異常という。
制御部は、電子部品Wの連続検知状態が所定時間を超えると、異常が生じたと判断し、ワーク姿勢異常、異形ワーク異常の場合と同様の制御を行う。
【0076】
図15に示す異常は、電子部品Wの搬送に異常が生じた状態、具体的には何らかの要因で電子部品Wが孔24内に留まって詰まった状態となり、電子部品Wが孔24を通過しないために、正常な吸着が行なわれない場合に生じる異常である。この場合、ポイントPにおいて出射部からのレーザ光が入射部によって検知され続けることになり、電子部品Wが検知されない状態が続くこととなる。この場合を、以下、ワーク搬入異常という。
【0077】
制御部は、電子部品Wの連続非検知状態が所定時間を超えると、異常が生じたと判断し、フィーダ部Aの駆動を停止するとともにモータ5を停止させて円盤3、円盤4の回転を停止する。制御部はまた、駆動機構を作動させて分離ベース21を図8、図9に示した状態から図10、図11に示した状態に変位させ、孔24内の電子部品Wを排出路25内に排出する。
【0078】
このとき、エア供給機構の駆動は行なわないが、行なうようにすることも可能である。また、直線フィーダ2の駆動を継続して電子部品Wの排出を強制的に行なう排出モードに移行するようにしても良い。排出路25内に落下した電子部品Wはチューブ26を経てビン27内に収容される。
【0079】
制御部は、所定時間経過後、分離ベース21を図8、図9に示した状態に復帰させ、フィーダ部Aの駆動を再開する。制御部は、所定時間内に入射部からの信号に基づき電子部品Wを検知し、所定時間内に電子部品Wを検知しなくなると、電子部品Wが正常に溝9に吸着されたと判断し、モータ5を駆動して円盤3、円盤4の回転を再開する。
【0080】
その他、異常として検知される態様としては、フィーダ部Aの電子部品Wが全て検査部Bに供給されてしまい、空になった場合がある。この場合には、ワーク搬入異常と同様に、ポイントPにおいて出射部からのレーザ光が入射部によって検知され続けることになり、電子部品Wが検知されない状態が続くこととなる。またこの場合、定量補給フィーダ1、直線フィーダ2にそれぞれ備えられたセンサも、電子部品Wを検知しない状態が続く。この場合を、以下、ワーク検査完了状態という。
【0081】
ワーク検査完了状態では、制御部は、ワーク搬入異常の場合と同様の制御を行うが、上述の所定の動作後、フィーダ部Aの駆動を再開しても、電子部品Wが検知されない状態が続くこととなる。そこで、制御部は、ワーク搬入異常時の制御を繰り返しても電子部品Wを検知しない場合には、ワーク検査完了状態になったとして、外観検査装置100の動作全てを停止させ、待機状態に移行する。ワーク搬入異常時の制御を何度繰り返した場合に待機状態に移行するかは必要に応じて適宜設定される。
【0082】
切り出し部10は無振動であるため、空間35において露出した電子部品Wを円盤3の溝9に吸着する際に電子部品Wは振動せず、安定した姿勢を保つ。よって、溝9への供給性が高く、よってワーク姿勢異常、吸着異常が発生しにくく、時間当たりの供給不良の発生が抑制され、検査効率が高い。
【0083】
・円盤3、円盤4の内部構造について
図16乃至図18を参照して円盤3、4の内部構造を説明する。図16は、円盤3、4および軸3A、4Aの一部の側断面図であり、図17、図18は、図16のA−A断面の概略図である。
【0084】
管12はそれぞれ、円盤3、4の厚さ方向に、円盤3、4を貫くようにして形成されている。管12の一端は溝9に連通しており、他端は上述のようにノズル13、14、28に連通可能となっている。なお、図18において、ノズル13、14、28は説明の便宜上図示したに過ぎず、実際とは異なっている。
【0085】
管12の他端が上述のようにノズル13、14、28に連通可能となっているのは、円盤3、4が回転する一方で、ノズル13、14、28は定位置に固定配置されているためである。
【0086】
管12内には、中空状のニードル29が、円盤3、4の厚さ方向のほぼ全体に亘って配設されている。なお、図17において、ニードル29は説明の便宜上図示したに過ぎず、実際とは異なっている。
【0087】
ニードル29のノズル13、14、28側の端部は、ノズル13、14、28からの離脱空気流を全てニードル29内に導くように、管12の内壁面に密着している。ニードル29の溝9側の端部はテーパ状になっており、孔11に対向し、ノズル13、14、28から供給された空気が効率よく溝9から排出されるようになっているが、管12の内壁面とは離間している。
【0088】
よって、負圧形成手段によって形成される負圧は、孔11から溝9内に作用し、電子部品Wを溝9に吸着するが、離脱空気流が形成された場合には離脱空気流が孔11から溝9内に噴き出し、溝9に吸着されている電子部品Wが円盤3、4から離脱する。
【0089】
軸3A、4Aは、その内部に、軸方向に延設された孔30と、孔30から軸3A、4Aの周面に向けて形成された複数の孔31とを有している。孔30は吸引機構に連結され、孔30、31の内部が負圧に保たれる。
【0090】
円盤3、4は、軸3A、4A周りに位置する円筒形状の空間部32と、空間部32から各管12に向けて、すなわち円盤3、4の中心部から各管12に向けて放射状に形成された複数の管部33とを有している。管部33はそれぞれ、一端が空間部32に連通し、他端が管12に連通している。これにより、管部33はそれぞれ、空間部32と管12とを連通させているとともに、管12を介して孔11のそれぞれに連通している。
【0091】
各管12は、円盤3、4の径方向に延在している。ここで、径方向とは、円盤3、4の回転中心と外周とを結ぶ方向である。空間部32は、各管部33を互いに連通させる連通部としての機能を有している。
【0092】
各管部33はそれぞれ、径方向における中途に、円盤3、4の肉厚方向の深さを有する、離脱空気流の緩衝を行う緩衝部としてのポケット34を有している。ポケット34は、管部33の他の部分すなわちポケット34を除く部分より大径に形成されている。
【0093】
ポケット34は、隣り合う管部33同士で、円盤3、4の中心からの距離が交互に繰り返して互い違いになるように配設されている。これにより、円盤3、4の中心と各ポケット34との間の距離が等距離である場合に比べ、円盤3、4による電子部品Wの保持数を増加可能となっている。すなわち、溝9を多数形成して円盤3、4による電子部品Wの保持数を増加させるために、各管部33の間隔を小さくしても、各管部33に対してポケット34を配設できるよう、ポケット34を設ける領域が確保されている。
【0094】
ポケット34を設ける領域を確保するためには、本形態のように相隣るポケット34の円盤3、4の中心部からの距離が交互に繰り返して互い違いになるとなるように配設することが、ポケット34の形成の観点からも好ましいが、かかる距離は、交互に繰り返す態様以外の態様で、相隣るポケット34の、円盤3、4の中心部からの距離が互いに異なるように配設されていても良い。
【0095】
このような構造により、吸引機構によって孔30、31、空間部32、管部33、管12、孔11を経て、溝9に電子部品Wを吸着する負圧が生じる。これら吸引機構、孔30、31、空間部32、管部33、管12、孔11は、電子部品Wを各溝9において円盤3、4に吸着して搬送するための負圧を形成する負圧形成手段を構成している。
【0096】
一方、上述のように、溝9から電子部品Wを排除すべく、所定のタイミングで、エア供給機構が駆動され、ノズル13、14、28から、管12内に空気が吹き込まれる。
この際、この管12に連通した管部33、空間部32を介して、その隣の管部33などの、他の管部33に空気が吹き込まれると、その管部33に連通した溝9に吸着しておくべき電子部品Wが離脱する恐れがある。
【0097】
これは、空間部32に面した管部33同士の間隙が小さくなっているため、かりに、ある管部33から離脱空気流が空間部32内に流れ込むと、周辺の気圧が高くなり、その周辺の管部33の気圧が、その管部33に連通した溝9に電子部品Wを吸着しておくのに必要な負圧を保てなくなるためである。
【0098】
しかし、ニードル29を配設してノズル13、14、28から供給された離脱空気流が効率よく溝9から噴き出されるように構成したこと、及び、ポケット34を設けて管部33の体積を大きくし、管12側から空間部32側への、または空間部32側から管12側への、気圧の瞬間的な変化を緩衝するように構成したことで、ある管12に空気が吹き込まれた場合であっても、その隣や周辺の管12への影響が低減され、吸着しておくべき電子部品Wの吸着状態は確保される。
【0099】
よって、所望の電子部品Wのみを円盤3、4から離脱させ、他の電子部品Wは円盤3、4に保持された状態で搬送されるから、撮像、検査が良好に行なわれるとともに、最終的な仕分けまで良好に行なわれることとなり、検査効率が向上する。
【0100】
隣り合うポケット34を、中心からの距離を違えて配置したため、円盤3、4の肉厚方向のみならず、径方向におけるその大きさを大きくとることができるようになっており、これにより緩衝効率が向上している。ただし、肉厚方向のみの大きさを大きくするようにしても良い。管部33全体の径を大きくすると、負圧形成効率が低下するため、ポケット34の部分のみ、その径を大きくすることが望ましく、本実施形態の管部33、ポケット34は、これに適った構造となっている。
【0101】
隣り合うポケット34を、中心からの距離を違えて配置したため、円盤3、4の肉厚方向のみならず、径方向におけるその大きさも大きくとりつつ、さらには、管部33の間隔が抑制可能であるから、円盤3、4の大きさを抑制しつつ、管部33の数を増やして、円盤3、4によって保持する電子部品Wの数を増加させることが可能である。
【0102】
隣り合うポケット34を、中心からの距離が交互に繰り返して互い違いになるように配置したため、ポケット34の製造工程が簡易であり、比較的に容易にポケット34が製造され、ポケット34の形成によるコストが抑制されている。
【0103】
以上、本発明にかかる外観検査装置100の構成及び動作を説明したが、特に述べていない動作についても、制御部で制御するようになっている。制御部は、CUP、メモリ等を備えたものである。
【0104】
なお、円盤3の溝9のうち、電子部品Wを円盤4に受け渡した後の溝9であって、切り出し部10で電子部品Wを吸着する前の溝9は、孔11が露出し、空気が進入する状態となっている。また、円盤4の溝9のうち、電子部品Wを仕分けした後の溝9であって、円盤3から電子部品Wを受け取る前の溝9は、孔11が露出し、空気が進入する状態となっている。そのため、かかる空気の進入によって負圧は低下するが、吸引機構の出力、孔11、管12、管部33、空間部32等の形状、大きさは、かかる負圧の低下が、溝9において電子部品Wの保持を良好に維持する範囲に保たれるように設計されている。
【0105】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0106】
たとえば、エンコーダ6は、ステッピングモータであるモータ5への電子的制御に加えて、機械的検知を行なうことにより、円盤3、4の回転制御の精度を向上するために用いているが、エンコーダ6を用いず、モータ5への電子的制御のみで円盤3、4の回転制御を行ってもよい。
【0107】
また、電子部品Wを撮像するカメラは、撮像すべき電子部品Wの面の数だけ、撮影すべき面の位置に対応して備えられていれば良く、6つに限らず、5つ以下を配置しても良い。各エア供給機構、各吸引機構は、ポンプ等をそれぞれ別に備えているものでも良いし、共通のポンプ等によって作動するものでも良い。
【0108】
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本実施形態における外観検査装置の概略斜視図である。
【図2】本実施形態における外観検査装置の概略側面図である。
【図3】本実施形態における外観検査装置の概略平面図である。
【図4】本実施形態における外観検査装置に備えられた円盤の平面図又は底面図及びその一部の拡大図である。
【図5】本実施形態における外観検査装置に備えられた円盤の凸部および溝の拡大側断面図である。
【図6】本実施形態における外観検査装置に備えられた円盤の凸部および溝の拡大正断面図である。
【図7】本実施形態における外観検査装置に備えられた切り出し部の一部の拡大側断面図であって、電子部品が正常に供給された状態を示す図である。
【図8】本実施形態における外観検査装置に備えられた切り出し部の一部の平面図であって、電子部品が正常に供給されている状態を示す図である。
【図9】本実施形態における外観検査装置に備えられた切り出し部の一部の正面図であって、電子部品が正常に供給されている状態を示す図である。
【図10】本実施形態における外観検査装置に備えられた切り出し部の一部の平面図であって、電子部品の供給が正常でなかった状態を示す図である。
【図11】本実施形態における外観検査装置に備えられた切り出し部の一部の正面図であって、電子部品の供給が正常でなかった状態を示す図である。
【図12】本実施形態における外観検査装置に備えられた切り出し部の一部の拡大側断面図であって、電子部品の供給が正常でない状態を示す図である。
【図13】本実施形態における外観検査装置に備えられた切り出し部の一部の拡大側断面図であって、電子部品の供給が正常でない他の状態を示す図である。
【図14】本実施形態における外観検査装置に備えられた切り出し部の一部の拡大側断面図であって、電子部品の供給が正常でないまた他の状態を示す図である。
【図15】本実施形態における外観検査装置に備えられた切り出し部の一部の拡大側断面図であって、電子部品の供給が正常でないさらに他の状態を示す図である。
【図16】本実施形態における外観検査装置に備えられた円盤及びその周りの構造の一部の側断面図である。
【図17】図16のA−A断面の概略図である。
【図18】図16のA−A断面の他の概略図である。
【符号の説明】
【0110】
3 円盤、上側の円盤
4 円盤、下側の円盤
8 凸部
9 溝
10 切り出し部
11 孔
11、12、30〜34 負圧形成手段
13 離脱手段
14 離脱手段、第1の離脱手段
14、15 仕分け排出手段
15 収容吸引手段
16 収容部
21 変位部材
22 当接部材
27 収容部材
28 離脱手段、第1の離脱手段
32 連通部
33 管部
34 緩衝部
36 開口
100 外観検査装置
C 仕分け手段
P 検知手段による検知位置
W 電子部品
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転により電子部品を搬送するための円盤を備え、前記円盤によって搬送される電子部品の外観を撮像し、撮像された電子部品の外観に基づいて当該電子部品の外観検査を行なう外観検査装置において、
前記円盤を2つ備え、
前記2つの円盤はそれぞれ、ほぼ水平に配設されているとともに、その周縁部に、互いに向き合う方向に突設された環状の凸部を有し、
前記凸部は、前記円盤の周方向に複数備えられた、電子部品を保持するためのV字状の溝を有し、
前記2つの円盤の回転時に、それぞれの前記凸部の前記溝の1つが互いに向き合うように、前記2つの円盤を、それぞれの一部が上下方向において互いに重なり合うように配置し、上側の前記円盤から下側の前記円盤に電子部品を受け渡す外観検査装置であって、
電子部品を前記溝において前記円盤に吸着して搬送するための負圧を形成する負圧形成手段と、
前記負圧形成手段によって形成される負圧に抗して上側の前記円盤に吸着された電子部品を上側の前記円盤から離脱させるための第1の離脱空気流を形成する第1の離脱手段と、
上側の前記円盤に電子部品を1つずつ供給するための切り出し部と、
前記第1の離脱手段と前記切り出し部とを制御する制御手段と有し、
前記切り出し部は、互いに接離する方向に変位するとともに、互いに当接した状態で電子部品を搬送する孔を形成する変位部材と、前記孔を通過した電子部品の前縁に当接してこの電子部品の位置決めを行なう当接部材と、前記変位部材が互いに離間したときに露出する開口と、前記開口から電子部品を吸引するための吸引空気流を発生する排出吸引手段と、前記排出吸引手段によって前記開口から吸引された電子部品を収容する収容部材と、前記円盤への電子部品の供給不良を検知する検知手段とを有し、
前記制御手段は、前記検知手段によって前記供給不良を検知したときに、前記変位部材を互いに離間する状態に変位するとともに、前記第1の離脱手段により前記第1の離脱空気流を形成することを特徴とする外観検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の外観検査装置において、
前記円盤によって搬送されている、検査が終了した電子部品を、検査結果に基づいて仕分ける仕分け手段を有し、
前記仕分け手段は、検査が終了した前記電子部品を、検査結果に応じた所定位置で下側の前記円盤から排出させる仕分け排出手段と、
前記仕分け排出手段によって下側の前記円盤から排出された電子部品を収容する、検査結果に応じて設けられた収容部とを有し、
前記仕分け排出手段は、下側の前記円盤によって搬送されている電子部品を下側の前記円盤から離脱させて前記収容部に向けて送り出すための第2の離脱空気流を形成する第2の離脱手段と、下側の前記円盤によって搬送されている電子部品を前記収容部に向けて吸引するための収容空気流を発生する収容吸引手段とを有することを特徴とする外観検査装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の外観検査装置において、
前記負圧形成手段は、前記溝に電子部品を吸着するために前記溝に連なる孔と、前記円盤内部において前記円盤の中心部から前記孔のそれぞれに連通するように放射状に設けられた複数の管部と、前記管部を互いに連通させる連通部とを有し、
前記管部がそれぞれ、前記円盤の径方向における中途に、前記離脱空気流の緩衝を行う緩衝部を有することを特徴とする外観検査装置。
【請求項1】
回転により電子部品を搬送するための円盤を備え、前記円盤によって搬送される電子部品の外観を撮像し、撮像された電子部品の外観に基づいて当該電子部品の外観検査を行なう外観検査装置において、
前記円盤を2つ備え、
前記2つの円盤はそれぞれ、ほぼ水平に配設されているとともに、その周縁部に、互いに向き合う方向に突設された環状の凸部を有し、
前記凸部は、前記円盤の周方向に複数備えられた、電子部品を保持するためのV字状の溝を有し、
前記2つの円盤の回転時に、それぞれの前記凸部の前記溝の1つが互いに向き合うように、前記2つの円盤を、それぞれの一部が上下方向において互いに重なり合うように配置し、上側の前記円盤から下側の前記円盤に電子部品を受け渡す外観検査装置であって、
電子部品を前記溝において前記円盤に吸着して搬送するための負圧を形成する負圧形成手段と、
前記負圧形成手段によって形成される負圧に抗して上側の前記円盤に吸着された電子部品を上側の前記円盤から離脱させるための第1の離脱空気流を形成する第1の離脱手段と、
上側の前記円盤に電子部品を1つずつ供給するための切り出し部と、
前記第1の離脱手段と前記切り出し部とを制御する制御手段と有し、
前記切り出し部は、互いに接離する方向に変位するとともに、互いに当接した状態で電子部品を搬送する孔を形成する変位部材と、前記孔を通過した電子部品の前縁に当接してこの電子部品の位置決めを行なう当接部材と、前記変位部材が互いに離間したときに露出する開口と、前記開口から電子部品を吸引するための吸引空気流を発生する排出吸引手段と、前記排出吸引手段によって前記開口から吸引された電子部品を収容する収容部材と、前記円盤への電子部品の供給不良を検知する検知手段とを有し、
前記制御手段は、前記検知手段によって前記供給不良を検知したときに、前記変位部材を互いに離間する状態に変位するとともに、前記第1の離脱手段により前記第1の離脱空気流を形成することを特徴とする外観検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の外観検査装置において、
前記円盤によって搬送されている、検査が終了した電子部品を、検査結果に基づいて仕分ける仕分け手段を有し、
前記仕分け手段は、検査が終了した前記電子部品を、検査結果に応じた所定位置で下側の前記円盤から排出させる仕分け排出手段と、
前記仕分け排出手段によって下側の前記円盤から排出された電子部品を収容する、検査結果に応じて設けられた収容部とを有し、
前記仕分け排出手段は、下側の前記円盤によって搬送されている電子部品を下側の前記円盤から離脱させて前記収容部に向けて送り出すための第2の離脱空気流を形成する第2の離脱手段と、下側の前記円盤によって搬送されている電子部品を前記収容部に向けて吸引するための収容空気流を発生する収容吸引手段とを有することを特徴とする外観検査装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の外観検査装置において、
前記負圧形成手段は、前記溝に電子部品を吸着するために前記溝に連なる孔と、前記円盤内部において前記円盤の中心部から前記孔のそれぞれに連通するように放射状に設けられた複数の管部と、前記管部を互いに連通させる連通部とを有し、
前記管部がそれぞれ、前記円盤の径方向における中途に、前記離脱空気流の緩衝を行う緩衝部を有することを特徴とする外観検査装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2007−244987(P2007−244987A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−71392(P2006−71392)
【出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【特許番号】特許第3831406号(P3831406)
【特許公報発行日】平成18年10月11日(2006.10.11)
【出願人】(506088953)浜村ユアツ有限会社 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【特許番号】特許第3831406号(P3831406)
【特許公報発行日】平成18年10月11日(2006.10.11)
【出願人】(506088953)浜村ユアツ有限会社 (2)
【Fターム(参考)】
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