説明

多孔質薄膜の形成方法

基板上に、第1の金属成分からなる金属部分と、上記第1の金属成分とは異なる第2の金属成分の化合物からなる金属化合物部分とが互いに混合分散してなる複合薄膜を形成し、次いで上記複合薄膜中の金属成分を除去すること、又は基板上に、第1の金属成分からなる第1の金属部分と、上記第1の金属成分とは異なる第2の金属成分からなる第2の金属部分とが互いに混合分散してなる複合薄膜を形成し、次いで上記複合薄膜中の第1又は第2のいずれかの金属部分のみを除去することを特徴とする多孔質薄膜の形成方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、太陽電池の電極や光触媒等に用いられる多孔質金属酸化物薄膜等の多孔質金属化合物薄膜、燃料電池の触媒層等に用いられる多孔質金属薄膜などの多孔質薄膜の形成方法に関する。
【背景技術】
金属酸化物や金属の多孔質薄膜は、その比表面積の大きさから、単位容積当たりに多くの活性点(作用点)が分散されていることが求められる部材に好適である。そのため、限られた容積に多くの活性点(作用点)を必要とする電極や触媒等の部材に適用され、太陽電池の電極や光触媒等の触媒などの分野で用いられている。
太陽電池においては金属酸化物半導体電極用として多孔質金属酸化物薄膜が用いられており、光変換材料としてシリコンを用いず、有機色素で増感された酸化物半導体を用いた太陽電池が知られている(特開平1−220308号公報、特開平5−504023号公報)。また、特開平10−92477号公報には、酸化物半導体微粒子集合体の焼成物からなる酸化物半導体膜を有機色素増感型金属酸化物半導体電極に用いた太陽電池が開示されているが、この場合半導体膜は、酸化物半導体微粉末のスラリーを透明電極上に塗布し、乾燥させて、その後焼成することにより形成している。
この方法では、いわゆるゾル−ゲル法により酸化物半導体微粒子集合体の焼成物である多孔質金属酸化物薄膜を形成しているが、光エネルギー変換効率の高い有機色素増感型金属酸化物半導体電極を得るためには、多孔質金属酸化物薄膜自体の比表面積を更に高いものとする必要があり、高い比表面積を有する多孔質金属酸化物半導体薄膜を形成する方法が求められている。
また、TiO,ZnO,WO等の金属酸化物は、紫外線を吸収して超親水性化や酸化といった作用を与える光触媒機能を有するものとして知られており、水浄化、空気浄化、消臭、油分の分解等に広く使用されているが、その利用に際しては、このような光触媒作用を有する金属酸化物を基板上に薄膜状に成膜して固定化することがしばしば行われている。
この場合、上記のような金属酸化物薄膜の成膜方法としては、例えば、粉末にバインダーとして樹脂やゴムなどを混ぜて、これを基材に塗布して焼結させることにより成膜する方法や、金属アルコキシド溶液を用いてゲルコーティング膜を形成し、これを焼成するいわゆるゾル−ゲル法により成膜する方法、スパッタリングにより金属酸化物薄膜を形成する方法(特開平11−92176号公報)などがある。
この光触媒として用いる金属酸化物薄膜の場合においても、少量で高い触媒活性を与える金属酸化物薄膜とするには、金属酸化物薄膜を多孔質化して、活性点を高分散化することが効果的であるが、上述したような従来の方法では、十分な比表面積を有する多孔質薄膜は得られておらず、太陽電池用の金属酸化物半導体薄膜同様、更に高い比表面積を有する多孔質金属酸化物薄膜を形成する方法が求められている。
また、燃料電池においては、電解質膜と多孔質支持体との間に触媒層が設けられているが、この触媒層は、一般的には活性炭等の担体に白金等の金属を担持させた担持触媒粒子をカーボンシート等の多孔質支持体に塗布する方法がとられているが、燃料電池の発電効率の向上のためには、この触媒の活性点を更に高分散化することが必要である。
【発明の開示】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、基板上に形成して用いられる太陽電池電極用の金属酸化物半導体薄膜、光触媒薄膜、燃料電池触媒層などの金属酸化物薄膜又は金属薄膜として好適な高い比表面積を有する多孔質金属化合物薄膜及び多孔質金属薄膜を形成することができる方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、基板上に、第1の金属成分からなる金属部分と、上記第1の金属成分とは異なる第2の金属成分の化合物からなる金属化合物部分とが互いに混合分散してなる複合薄膜を形成し、次いで上記複合薄膜中の上記金属部分のみを除去することにより形成した多孔質薄膜が、高い比表面積を有するものとなること、特に、この方法を太陽電池電極用の金属酸化物半導体薄膜の形成方法として適用すれば、光エネルギー変換効率の高い有機色素増感型金属酸化物半導体電極が得られ、また、光触媒薄膜の形成方法として適用すれば、高い比表面積を有する活性点が高分散化された光触媒薄膜が得られることを見出した。
また、基板上に、第1の金属成分からなる第1の金属部分と、上記第1の金属成分とは異なる第2の金属成分からなる第2の金属部分とが互いに混合分散してなる複合薄膜を形成し、次いで上記複合薄膜中の上記第1の金属部分又は第2の金属部分のいずれかの金属部分のみを除去することにより形成した多孔質薄膜が、高い比表面積を有するものとなること、特に、この方法を燃料電池触媒層の形成方法として適用して、この触媒層として多孔質金属薄膜を形成すれば、触媒の活性点の高分散化が可能であり、この触媒層を用いた燃料電池の発電効率を向上させることができることを見出し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は、以下の多孔質薄膜の形成方法を提供する。
請求項1:基板上に、第1の金属成分からなる金属部分と、上記第1の金属成分とは異なる第2の金属成分の化合物からなる金属化合物部分とが互いに混合分散してなる複合薄膜を形成し、次いで上記複合薄膜中の上記金属部分のみを除去することを特徴とする多孔質薄膜の形成方法。
請求項2:上記複合薄膜を、チャンバー内に第1の金属成分からなる金属ターゲット及び上記第1の金属成分とは異なる第2の金属成分の化合物からなる金属化合物ターゲットを設け、これらターゲットに電力を同時に印加してスパッタリングすることにより形成することを特徴とする請求項1記載の多孔質薄膜の形成方法。
請求項3:上記金属化合物が、金属酸化物、金属窒化物又は金属酸化窒化物であることを特徴とする請求項1又は2記載の多孔質薄膜の形成方法。
請求項4:上記第1の金属成分がZn,Cr,Al,Cu,Si,Ti,Ag,Mn,Fe,Co,Cd,Ni,Zr,Nb,Mo,In,Sn,Sb,Hf,Ta,W及びMgからなる群より選ばれる1種であり、上記第2の金属成分が上記群より選ばれる上記第1の金属成分とは異なる1種であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の多孔質薄膜の形成方法。
請求項5:上記第1の金属成分がZn,Cr,Al,Cu,Si,Ti,Ag,Mn,Fe,Co,Cd,Ni,Zr,Nb,Mo,In,Sn,Sb,Hf,Ta,W及びMgからなる群より選ばれる1種であり、上記第2の金属成分がZn,Ti,Nb,In,Sn,Sb及びWからなる群より選ばれる上記第1の金属成分とは異なる1種であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の多孔質薄膜の形成方法。
請求項6:上記第1の金属成分がZn,Cr,Al,Cu,Si,Ag,Mn,Fe,Co,Cd,Ni,Zr,Nb,Mo,In,Sn,Sb,Hf,Ta,W及びMgからなる群より選ばれる1種であり、上記第2の金属成分がTiであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の多孔質薄膜の形成方法。
請求項7:上記第1の金属成分及び第2の金属成分が、酸水溶液又はアルカリ水溶液中で複合薄膜中の金属部分のみを溶出させることができる組み合わせであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の多孔質薄膜の形成方法。
請求項8:上記金属部分の除去が、酸水溶液又はアルカリ水溶液により金属部分を溶解させるものであることを特徴とする請求項7記載の多孔質薄膜の形成方法。
請求項9:上記金属部分を除去した後、更に焼成することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載の多孔質薄膜の形成方法。
請求項10:基板上に、第1の金属成分からなる第1の金属部分と、上記第1の金属成分とは異なる第2の金属成分からなる第2の金属部分とが互いに混合分散してなる複合薄膜を形成し、次いで上記複合薄膜中の上記第1の金属部分又は第2の金属部分のいずれかの金属部分のみを除去することを特徴とする多孔質薄膜の形成方法。
請求項11:上記複合薄膜を、チャンバー内に第1の金属成分からなる第1の金属ターゲット及び上記第1の金属成分とは異なる第2の金属成分からなる第2の金属ターゲットを設け、これらターゲットに電力を同時に印加してスパッタリングすることにより形成することを特徴とする請求項10記載の多孔質薄膜の形成方法。
請求項12:上記第1の金属成分がPt,Ru,Ir,Rh,Zn,Cr,Al,Cu,Si,Ti,Ag,Mn,Fe,Co,Cd,Ni,Zr,Nb,Mo,In,Sn,Sb,Hf,Ta,W及びMgからなる群より選ばれる1種であり、上記第2の金属成分が上記群より選ばれる上記第1の金属成分とは異なる1種であることを特徴とする請求項10又は11記載の多孔質薄膜の形成方法。
請求項13:上記第1の金属成分及び第2の金属成分が、酸水溶液又はアルカリ水溶液中で複合薄膜中のいずれかの金属部分のみを溶出させることができる組み合わせであることを特徴とする請求項10乃至12のいずれか1項記載の多孔質薄膜の形成方法。
請求項14:上記金属部分の除去が、酸水溶液又はアルカリ水溶液により第1又は第2のいずれかの金属部分のみを溶解させるものであることを特徴とする請求項13記載の多孔質薄膜の形成方法。
本発明によれば、基板上に形成して用いられる太陽電池電極用の金属酸化物半導体薄膜、光触媒薄膜、燃料電池触媒層などの金属酸化物薄膜又は金属薄膜として好適な高い比表面積を有する多孔質金属化合物薄膜及び多孔質金属薄膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の第1の態様の一実施例に係る多孔質薄膜の形成方法における、複合薄膜をスパッタリングにより形成するためのスパッタリング装置の概略平面図である。
第2図は、本発明の第2の態様の一実施例に係る多孔質薄膜の形成方法における、複合薄膜をスパッタリングにより形成するためのスパッタリング装置の概略平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明につき更に詳述する。
本発明の第1の態様に係る多孔質薄膜の形成方法は、基板上に、第1の金属成分からなる金属部分と、上記第1の金属成分とは異なる第2の金属成分の化合物からなる金属化合物部分とが互いに混合分散してなる複合薄膜を形成し、次いで上記複合薄膜中の上記金属部分のみを除去することにより多孔質薄膜を形成するものである。
この第1の態様において、対象となる基材の種類は特に制限されず、多孔質薄膜の用途に合わせて適宜選択されるが、太陽電池電極用の金属酸化物半導体薄膜を形成する場合は、例えば、ITOやフッ素ドープ酸化スズを被覆したガラス基板を基板として用いることができる。また、光触媒薄膜を形成する場合は、セラミックス、樹脂等が適用可能である。この場合、セラミックス基材としては、ノンアルカリガラス、石英ガラス等のガラスなど、樹脂基材としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の炭化水素系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。
この第1の態様においては、複合薄膜は、チャンバー内に第1の金属成分からなる金属ターゲット及び上記第1の金属成分とは異なる第2の金属成分の化合物からなる金属化合物ターゲットを設ける、又は第1の金属成分からなる金属ターゲット及び上記第1の金属成分とは異なる第2の金属成分からなる金属ターゲットを、第1の金属成分を酸化物、窒化物、酸化窒化物等の化合物を形成しにくいもの、第2の金属成分を上記化合物を形成しやすいものとして組み合わせて設け、これらターゲットに電力を同時に印加してスパッタリングすることにより形成することができる。
このような方法としては、例えば、図1に示されるように、チャンバー3内に、第1の金属成分からなる金属ターゲット1及び上記第1の金属成分とは異なる第2の金属成分の化合物からなる金属化合物ターゲット2を配設し、これらターゲット1,2に電力を同時に印加することによって生じるスパッタリング雰囲気(主に、金属ターゲット1及び金属酸化物ターゲット2のスパッタリング面から基材4側へ向かう空間に形成される)中、複合薄膜を形成する基材4を、その複合薄膜を形成する面をターゲット1,2のスパッタリング面に向けて回転させながらスパッタリングすることにより形成することができる。なお、図1中、5は磁石、6はターゲット電極、7はガス導入口、8はガス排気口(減圧口)、9は回転台、10aはRF電源、10bはDC電源を示す。
このような方法により、複合薄膜を形成すれば、複合薄膜は第1の金属成分からなる微細な金属部分と、第2の金属成分の化合物からなる微細な金属化合物部分とが互いに高分散した状態で成膜される。また、特にこの場合は、基板を回転させているので、複合薄膜の金属部分と金属酸化物部分の面方向の分散状態を均一とすることができる。更に、この場合、各々のターゲットに印加する電力を変更することにより、金属部分と金属酸化物部分の比率を変更することも可能である。また更に、第1及び第2ターゲットを矩形ターゲットとして一定の角度傾けて配置することにより、フィルム基板のロールツーロール(Roll to Roll)や、ガラス基板のインラインコーティングにも適用可能である。
この第1の態様においては、金属化合物として、金属酸化物、金属窒化物、金属酸化窒化物が好ましく挙げられる。
スパッタリングガスとしては、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスを用いることができる。また、金属酸化物、金属窒化物、金属酸化窒化物のターゲットを用いて複合薄膜を形成する場合には、金属酸化物を用いる場合は酸素ガス、金属窒化物を用いる場合は窒素ガス、金属酸化窒化物を用いる場合は酸素ガス、窒素ガス又は酸化窒素ガスを少量であれば併用することも可能である。一方、第1の金属成分からなる金属ターゲットと上記第1の金属成分とは異なる第2の金属成分からなる金属ターゲットとを組み合わせて用いる場合は、第2の金属成分の化合物として金属酸化物を形成する場合は酸素ガス、金属窒化物を形成する場合は窒素ガス、金属酸化窒化物を形成する場合は酸素ガス、窒素ガス又は酸化窒素ガスを用いることにより、第2の金属成分の化合物を形成することができる。ターゲットへの電力の印加方式は特に限定されず、形成する複合薄膜の種類に応じて選定され、RF、AC、DC電源のいずれをも用いることができ、ターゲット毎に異なる電源を用いてもよい。
また、上記第1及び第2の金属成分としては、第1の金属成分がZn,Cr,Al,Cu,Si,Ti,Ag,Mn,Fe,Co,Cd,Ni,Zr,Nb,Mo,In,Sn,Sb,Hf,Ta,W及びMgからなる群より選ばれる1種であり、上記第2の金属成分が上記群より選ばれる上記第1の金属成分とは異なる1種、特に、Zn,Ti,Nb,In,Sn,Sb及びWからなる群より選ばれる上記第1の金属成分とは異なる1種であることが好ましい。
特に、金属化合物がチタン化合物である場合(第2の金属成分がTiの場合)は、第1の金属成分はZn,Cr,Al,Cu,Si,Ag,Mn,Fe,Co,Cd,Ni,Zr,Nb,Mo,In,Sn,Sb,Hf,Ta,W及びMgからなる群より選ばれる1種が好適である。
なお、第1の金属成分及び第2の金属成分のいずれの組み合わせにおいても、第1の金属成分及び第2の金属成分が、酸水溶液又はアルカリ水溶液中で複合薄膜中の金属部分のみを溶出させることができる組み合わせであることが好ましい。
なお、複合薄膜の厚さは多孔質薄膜の用途に応じて適宜選定されるが、10nm〜20μm、特に100nm〜10μmであることが好ましい。
本発明の第1の態様に係る多孔質薄膜の形成方法においては、上記複合薄膜中の上記金属部分のみを除去することにより多孔質薄膜を形成する。従って、この場合、多孔質薄膜は、多孔質金属化合物薄膜となる。金属部分を除去する方法としては、第1の金属成分及び第2の金属成分が、酸水溶液又はアルカリ水溶液中で複合薄膜中の金属部分のみを溶出させることができる組み合わせである場合には、酸水溶液又はアルカリ水溶液により金属部分を溶解させる方法が採用し得、上記複合薄膜を酸水溶液又はアルカリ水溶液に浸漬する方法が適用できる。
酸水溶液、アルカリ水溶液は、第1及び第2の金属成分の種類及び組み合わせに合わせて適宜選択される。使用される酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸、酢酸、弗酸、クロム酸、過酸化水素、過塩素酸、塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、クエン酸、シュウ酸、臭化水素等が挙げられ、これらを単体で又はこれらを混合した混酸で水溶液として用いることができる。また、溶解する金属によっては、混酸と塩化第二鉄のような金属塩化物、金属硫化物との混合水溶液を用いることもできる。一方、アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶液やアンモニア水などを用いることができる。なお、酸水溶液、アルカリ水溶液の濃度、組成は、溶解する金属の種類に応じて適宜選定することができる。
なお、この第1の態様においては、金属部分を除去した後、更に焼成することが好ましく、焼成することにより強度が高い多孔質薄膜を得ることができる。
次に、本発明の第2の態様に係る多孔質薄膜の形成方法について説明する。
本発明の第2の態様に係る多孔質薄膜の形成方法は、基板上に、第1の金属成分からなる第1の金属部分と、上記第1の金属成分とは異なる第2の金属成分からなる第2の金属部分とが互いに混合分散してなる複合薄膜を形成し、次いで上記複合薄膜中の上記第1の金属部分又は第2の金属部分のいずれかの金属部分のみを除去することにより多孔質薄膜を形成するものである。
この第2の態様において、対象となる基材の種類は特に制限されず、多孔質薄膜の用途に合わせて適宜選択されるが、燃料電池用の触媒として多孔質薄膜を形成する場合は、燃料電池用に用いられる高分子電解質膜を基板として用いることができる。
この第2の態様においては、複合薄膜は、チャンバー内に第1の金属成分からなる第1の金属ターゲット及び上記第1の金属成分とは異なる第2の金属成分からなる第2の金属ターゲットを設け、これらターゲットに電力を同時に印加してスパッタリングすることにより形成することができる。
このような方法としては、例えば、図2に示されるように、チャンバー3内に、第1の金属成分からなる第1の金属ターゲット1a及び上記第1の金属成分とは異なる第2の金属成分からなる第2の金属ターゲット1bを配設し、これらターゲット1a,1bに電力を同時に印加することによって生じるスパッタリング雰囲気(主に、第1の金属ターゲット1a及び第2の金属ターゲット1bのスパッタリング面から基材4側へ向かう空間に形成される)中、複合薄膜を形成する基材4を、その複合薄膜を形成する面をターゲット1a,1bのスパッタリング面に向けて回転させながらスパッタリングすることにより形成することができる。なお、図1中、5は磁石、6はターゲット電極、7はガス導入口、8はガス排気口(減圧口)、9は回転台、10aはRF電源、10bはDC電源を示す。
このような方法により、複合薄膜を形成すれば、複合薄膜は第1の金属成分からなる微細な第1の金属部分と、第2の金属成分からなる微細な第2の金属部分とが互いに高分散した状態で成膜される。また、特にこの場合は、基板を回転させているので、複合薄膜の第1の金属部分と第2の金属部分の面方向の分散状態を均一とすることができる。更に、この場合、各々のターゲットに印加する電力を変更することにより、第1の金属部分と第2の金属部分の比率を変更することも可能である。
スパッタリングガスとしては、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスを用いることができる。また、ターゲットへの電力の印加方式は特に限定されず、形成する複合薄膜の種類に応じて選定され、RF、AC、DC電源のいずれをも用いることができ、ターゲット毎に異なる電源を用いてもよい。
また、上記第1及び第2の金属成分としては、上記第1の金属成分がPt,Ru,Ir,Rh,Zn,Cr,Al,Cu,Si,Ti,Ag,Mn,Fe,Co,Cd,Ni,Zr,Nb,Mo,In,Sn,Sb,Hf,Ta,W及びMgからなる群より選ばれる1種であり、上記第2の金属成分が上記群より選ばれる上記第1の金属成分とは異なる1種であることが好ましい。
なお、第1の金属成分及び第2の金属成分のいずれの組み合わせにおいても、第1の金属成分及び第2の金属成分が、酸水溶液又はアルカリ水溶液中で複合薄膜中のいずれかの金属成分のみを溶出させることができる組み合わせであることが好ましい。
なお、複合薄膜の厚さは多孔質薄膜の用途に応じて適宜選定されるが、1〜500nm、特に10〜50nmであることが好ましい。
本発明の第2の態様に係る多孔質薄膜の形成方法においては、上記複合薄膜中の上記第1の金属部分又は第2の金属部分のいずれかの金属部分のみを除去することにより多孔質薄膜を形成する。従って、この場合、多孔質薄膜は、多孔質金属薄膜となる。金属部分を除去する方法としては、第1の金属成分及び第2の金属成分が、酸水溶液又はアルカリ水溶液中で複合薄膜中の第1の金属部分又は第2の金属部分のいずれかの金属部分のみを溶出させることができる組み合わせである場合には、酸水溶液又はアルカリ水溶液により第1又は第2のいずれかの金属部分のみを溶解させる方法が採用し得、上記複合薄膜を酸水溶液又はアルカリ水溶液に浸漬する方法が適用できる。
酸水溶液、アルカリ水溶液は、第1及び第2の金属成分の種類及び組み合わせに合わせて適宜選択される。使用される酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸、酢酸、弗酸、クロム酸、過酸化水素、過塩素酸、塩素酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、クエン酸、シュウ酸、臭化水素等が挙げられ、これらを単体で又はこれらを混合した混酸で水溶液として用いることができる。また、溶解する金属によっては、混酸と塩化第二鉄のような金属塩化物、金属硫化物との混合水溶液を用いることもできる。一方、アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶液やアンモニア水などを用いることができる。なお、酸水溶液、アルカリ水溶液の濃度、組成は、溶解する金属の種類に応じて適宜選定することができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
多孔質薄膜(太陽電池電極用金属酸化物半導体薄膜)の形成
マグネトロンDCスパッタ装置にターゲットとしてTiOx(旭硝子セラミック製 TXO)ターゲット及びZnターゲットをセットし、真空チャンバーに基板としてフッ素ドープ酸化スズを被覆したガラスをセットして、ターボ分子ポンプで5×10−4Paまで排気した後、Arガスを99sccm、Oガスを1sccmの流量で混合ガスとして導入し、圧力が0.5Paとなるように調整した後、TiOxターゲットに1kW、Znターゲットに100Wの電力を印加してスパッタリングすることにより、フッ素ドープ酸化スズを被覆したガラスの導電面に約1500nmのTiOx/Zn複合薄膜を成膜した。
次いで上記複合薄膜を成膜したフッ素ドープ酸化スズを被覆したガラス基板を1N硫酸水溶液に室温で30分間浸漬することにより、複合薄膜からZnを溶出させて除去し、更に、大気雰囲気中、450℃で30分焼成してTiOxの多孔質薄膜を形成した。
分光増感色素の吸着
分光増感色素溶液として、3×10−4mol/lのシス−ジ(チオシアナト)−ビス(2,2’−ビピリジル−4−ジカルボキシレート−4’−テトラブチルアンモニウムカルボキシレート)ルテニウム(II)−エタノール溶液を調製し、この溶液に上記TiOxの多孔質薄膜を形成したフッ素ドープ酸化スズを被覆したガラス基板を、室温で18時間浸漬して、分光増感色素を吸着させて金属酸化物半導体電極を得た。この分光増感色素の吸着量は、TiOxの多孔質薄膜の表面積1cmあたり8μgであった。
太陽電池の作製
上記金属酸化物半導体電極を一方の電極とし、対電極としてフッ素をドープした酸化スズをコートし、更にその上に白金を担持した透明導電性ガラス板を用いた。2つの電極の間に電解質を入れ、この側面を樹脂で封止した後、リード線を取り付けて、本発明の太陽電池を作製した。なお、電解質としては、アセトニトリルの溶媒にヨウ化リチウム、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムアイオダイド、ヨウ素及びt−ブチルピリジンを、それぞれの濃度が0.1mol/l、0.3mol/l、0.05mol/l、0.5mol/lとなるように溶解させたものを用いた。
得られた太陽電池に、ソーラーシュミレーターで100W/cmの強度の光を照射したところ、Voc(開回路状態の電圧)は0.62V、Jsc(回路を短絡したときに流れる電流の密度)は1.30mA/cm、FF(曲線因子)は0.54、η(変換効率)は4.35%であり、太陽電池として優れていることがわかった。
[比較例1]
薄膜(太陽電池電極用金属酸化物半導体薄膜)の形成
マグネトロンDCスパッタ装置にターゲットとしてTiOx(旭硝子セラミック製 TXO)ターゲットをセットし、真空チャンバーに基板としてフッ素ドープ酸化スズを被覆したガラスをセットして、ターボ分子ポンプで5×10−4Paまで排気した後、Arガスを98sccm、Oガスを2sccmの流量で混合ガスとして導入し、圧力が0.5Paとなるように調整した後、TiOxターゲットに1kWの電力を印加してスパッタリングすることにより、フッ素ドープ酸化スズを被覆したガラスの導電面に約1000nmのTiOx薄膜を成膜し、更に、大気雰囲気中、450℃で30分焼成した。
分光増感色素の吸着
実施例1と同様の方法で分光増感色素を吸着させた。この分光増感色素の吸着量は、TiOxの多孔質薄膜の表面積1cmあたり0.6μgであった。
太陽電池の作製
実施例1と同様の方法で太陽電池を作製した。この太陽電池のVocは0.58V、Jscは0.52mA/cm、FF(曲線因子)は0.50、η(変換効率)は1.51%であり、実施例1と比べて性能が劣るものであった。
[比較例2]
薄膜(太陽電池電極用金属酸化物半導体薄膜)の形成
マグネトロンDCスパッタ装置にターゲットとしてTiターゲットをセットし、真空チャンバーに基板としてフッ素ドープ酸化スズを被覆したガラスをセットして、ターボ分子ポンプで5×10−4Paまで排気した後、Arガスを80sccm、Oガスを20sccmの流量で混合ガスとして導入し、圧力が0.5Paとなるように調整した後、Tiターゲットに1kWの電力を印加してスパッタリングすることにより、フッ素ドープ酸化スズを被覆したガラスの導電面に約1000nmのTiOx薄膜を成膜し、更に、大気雰囲気中、450℃で30分焼成した。
分光増感色素の吸着
実施例1と同様の方法で分光増感色素を吸着させた。この分光増感色素の吸着量は、TiOxの多孔質薄膜の表面積1cmあたり0.5μgであった。
太陽電池の作製
実施例1と同様の方法で太陽電池を作製した。この太陽電池のVocは0.56V、Jscは0.53mA/cm、FF(曲線因子)は0.47、η(変換効率)は1.39%であり、実施例1と比べて性能が劣るものであった。
【実施例2】
多孔質薄膜(光触媒薄膜)の形成
マグネトロンDCスパッタ装置にターゲットとしてTiOx(旭硝子セラミック製 TXO)ターゲット及びZnターゲットをセットし、真空チャンバーに基板としてノンアルカリガラスをセットして、ターボ分子ポンプで5×10−4Paまで排気した後、Arガスを99sccm、Oガスを1sccmの流量で混合ガスとして導入し、圧力が0.5Paとなるように調整した後、TiOxターゲットに1kW、Znターゲットに100Wの電力を印加してスパッタリングすることにより、ノンアルカリガラスの表面に約600nmのTiOx/Zn複合薄膜を成膜した。
次いで上記複合薄膜を成膜したノンアルカリガラス基板を1N硫酸水溶液に室温で30分間浸漬することにより、複合薄膜からZnを溶出させて除去し、更に、大気雰囲気中、450℃で30分焼成してTiOxの多孔質薄膜を形成した。
光触媒性能の評価
上記TiOxの多孔質薄膜を形成したノンアルカリガラス基板を22mlアマランス(赤色顔料)溶液(3ml/l)中に浸漬し、250W超高圧水銀灯を照射(20分)して、その濃度変化を紫外−可視光度計で測定したところ、アマランスの分解率は87.2%と高い値であった。
[比較例3]
薄膜(光触媒薄膜)の形成
マグネトロンDCスパッタ装置にターゲットとしてTiOx(旭硝子セラミック製 TXO)ターゲットをセットし、真空チャンバーに基板としてノンアルカリガラスをセットして、ターボ分子ポンプで5×10−4Paまで排気した後、Arガスを98sccm、Oガスを2sccmの流量で混合ガスとして導入し、圧力が0.5Paとなるように調整した後、TiOxターゲットに1kWの電力を印加してスパッタリングすることにより、ノンアルカリガラスの表面に約300nmのTiOx薄膜を成膜し、更に、大気雰囲気中、450℃で30分焼成した。
光触媒性能の評価
実施例2と同様の方法で、光触媒性能を評価した。この薄膜のアマランスの分解率は43.4%であり実施例2に比べ分解性能が劣るものであった。
[比較例4]
薄膜(光触媒薄膜)の形成
マグネトロンDCスパッタ装置にターゲットとしてTiターゲットをセットし、真空チャンバーに基板としてノンアルカリガラスをセットして、ターボ分子ポンプで5×10−4Paまで排気した後、Arガスを80sccm、Oガスを20sccmの流量で混合ガスとして導入し、圧力が0.5Paとなるように調整した後、Tiターゲットに1kWの電力を印加してスパッタリングすることにより、ノンアルカリガラスの表面に約300nmのTiOx薄膜を成膜し、更に、大気雰囲気中、450℃で30分焼成した。
光触媒性能の評価
実施例2と同様の方法で、光触媒性能を評価した。この薄膜のアマランスの分解率は39.7%であり実施例2に比べ分解性能が劣るものであった。
【実施例3】
多孔質薄膜(燃料電池反応層)の形成
マグネトロンDCスパッタ装置にターゲットとしてPtターゲット及びZnターゲットをセットし、真空チャンバーに基板として電解質膜であるナフィオン112(デュポン社製)をセットして、ターボ分子ポンプで5×10−4Paまで排気した後、Arガスを100sccmの流量で導入し、圧力が0.5Paとなるように調整した後、Ptターゲットに1kW、Znターゲットに100Wの電力を印加してスパッタリングすることにより、電解質膜であるナフィオン112の表面上に20nmのPt/Zn複合薄膜を成膜した。更に、上記の処理を電解質膜の反対側の面にも施し、電解質膜の両面に各々20nmのPt/Zn複合薄膜が成膜された電解質膜を得た。
次いで上記複合薄膜を成膜した電解質膜を1N硫酸水溶液に室温で30分間浸漬することにより、複合薄膜からZnを溶出させて除去してPtの多孔質薄膜を形成した。
膜電極積層体の形成
得られたPtの多孔質薄膜が両面に形成された電解質膜に、粒径が50nmのカーボン粒子を電解質膜と同成分のナフィオン117(デュポン社製)溶液中に混練してペースト状としたカーボンペーストを印刷(塗布)した。
次いで、カーボンペーストを塗布した電解質膜の両面に、アノード及びカソードとなるカーボンペーパーを各々の面に重ね合わせ、120℃の温度、5MPaの圧力で10分間ホットプレスすることにより、膜電極積層体を形成した。
燃料電池の作製及び評価
得られた膜電極積層体をグラファイト製セパレーターに挟み込んで燃料電池を作製し、アノード側から加湿した水素を、カソード側から加湿した酸素を各々供給して、燃料電池を稼働させ、その電流−電圧特性を測定したところ、開回路電圧が0.82V、限界電流密度が0.33A/cmであった。
[比較例5]
薄膜(燃料電池反応層)の形成
マグネトロンDCスパッタ装置にターゲットとしてPtターゲットをセットし、真空チャンバーに基板として電解質膜であるナフィオン112(デュポン社製)をセットして、ターボ分子ポンプで5×10−4Paまで排気した後、Arガスを100sccmの流量で導入し、圧力が0.5Paとなるように調整した後、Ptターゲットに1kWの電力を印加してスパッタリングすることにより、電解質膜であるナフィオン112の表面上に20nmのPt薄膜を成膜した。更に、上記の処理を電解質膜の反対側の面にも施し、電解質膜の両面に各々20nmのPt薄膜が成膜された電解質膜を得た。
膜電極積層体の形成
実施例3と同様の方法で膜電極積層体を形成した。
燃料電池の作製及び評価
実施例3と同様の方法で燃料電池を作製し、その電流−電圧特性を測定したところ、開回路電圧が0.66V、限界電流密度が0.17A/cmであり、実施例3と比較して燃料電池性能に劣るものであった。
【図1】

【図2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、第1の金属成分からなる金属部分と、上記第1の金属成分とは異なる第2の金属成分の化合物からなる金属化合物部分とが互いに混合分散してなる複合薄膜を形成し、次いで上記複合薄膜中の上記金属部分のみを除去することを特徴とする多孔質薄膜の形成方法。
【請求項2】
上記複合薄膜を、チャンバー内に第1の金属成分からなる金属ターゲット及び上記第1の金属成分とは異なる第2の金属成分の化合物からなる金属化合物ターゲットを設け、これらターゲットに電力を同時に印加してスパッタリングすることにより形成することを特徴とする請求項1記載の多孔質薄膜の形成方法。
【請求項3】
上記金属化合物が、金属酸化物、金属窒化物又は金属酸化窒化物であることを特徴とする請求項1又は2記載の多孔質薄膜の形成方法。
【請求項4】
上記第1の金属成分がZn,Cr,Al,Cu,Si,Ti,Ag,Mn,Fe,Co,Cd,Ni,Zr,Nb,Mo,In,Sn,Sb,Hf,Ta,W及びMgからなる群より選ばれる1種であり、上記第2の金属成分が上記群より選ばれる上記第1の金属成分とは異なる1種であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の多孔質薄膜の形成方法。
【請求項5】
上記第1の金属成分がZn,Cr,Al,Cu,Si,Ti,Ag,Mn,Fe,Co,Cd,Ni,Zr,Nb,Mo,In,Sn,Sb,Hf,Ta,W及びMgからなる群より選ばれる1種であり、上記第2の金属成分がZn,Ti,Nb,In,Sn,Sb及びWからなる群より選ばれる上記第1の金属成分とは異なる1種であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の多孔質薄膜の形成方法。
【請求項6】
上記第1の金属成分がZn,Cr,Al,Cu,Si,Ag,Mn,Fe,Co,Cd,Ni,Zr,Nb,Mo,In,Sn,Sb,Hf,Ta,W及びMgからなる群より選ばれる1種であり、上記第2の金属成分がTiであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の多孔質薄膜の形成方法。
【請求項7】
上記第1の金属成分及び第2の金属成分が、酸水溶液又はアルカリ水溶液中で複合薄膜中の金属部分のみを溶出させることができる組み合わせであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の多孔質薄膜の形成方法。
【請求項8】
上記金属部分の除去が、酸水溶液又はアルカリ水溶液により金属部分を溶解させるものであることを特徴とする請求項7記載の多孔質薄膜の形成方法。
【請求項9】
上記金属部分を除去した後、更に焼成することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載の多孔質薄膜の形成方法。
【請求項10】
基板上に、第1の金属成分からなる第1の金属部分と、上記第1の金属成分とは異なる第2の金属成分からなる第2の金属部分とが互いに混合分散してなる複合薄膜を形成し、次いで上記複合薄膜中の上記第1の金属部分又は第2の金属部分のいずれかの金属部分のみを除去することを特徴とする多孔質薄膜の形成方法。
【請求項11】
上記複合薄膜を、チャンバー内に第1の金属成分からなる第1の金属ターゲット及び上記第1の金属成分とは異なる第2の金属成分からなる第2の金属ターゲットを設け、これらターゲットに電力を同時に印加してスパッタリングすることにより形成することを特徴とする請求項10記載の多孔質薄膜の形成方法。
【請求項12】
上記第1の金属成分がPt,Ru,Ir,Rh,Zn,Cr,Al,Cu,Si,Ti,Ag,Mn,Fe,Co,Cd,Ni,Zr,Nb,Mo,In,Sn,Sb,Hf,Ta,W及びMgからなる群より選ばれる1種であり、上記第2の金属成分が上記群より選ばれる上記第1の金属成分とは異なる1種であることを特徴とする請求項10又は11記載の多孔質薄膜の形成方法。
【請求項13】
上記第1の金属成分及び第2の金属成分が、酸水溶液又はアルカリ水溶液中で複合薄膜中のいずれかの金属部分のみを溶出させることができる組み合わせであることを特徴とする請求項10乃至12のいずれか1項記載の多孔質薄膜の形成方法。
【請求項14】
上記金属部分の除去が、酸水溶液又はアルカリ水溶液により第1又は第2のいずれかの金属部分のみを溶解させるものであることを特徴とする請求項13記載の多孔質薄膜の形成方法。

【国際公開番号】WO2004/092440
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【発行日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−505444(P2005−505444)
【国際出願番号】PCT/JP2004/005378
【国際出願日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】