説明

多密度音響減衰積層体およびその製造方法

【課題】 優れた音響減衰特性を示すと同時に、軽量かつ安価な遮音材料を提供する。
【解決手段】 音響減衰積層体とその製造方法であって、不織物繊維性材料層12の表面
に熱を付加し、繊維性材料層12の残りの部分の密度よりも大きい密度を有する融解繊維
層部14を形成する。大きい密度を有する融解繊維層部14は繊維性材料層10内を伝播
する騒音を減衰させるのに有効に作用する。カーペットのような室内装飾材料16を加熱
した繊維性材料層10の表面に付着させる。次いで、繊維性材料層10と室内装飾材料1
6に圧縮成形圧を付加し、所定の形状を得る。圧縮成形圧を付加して繊維性材料層10の
各部の密度を選択的に変化させることによって、繊維性材料層10の減衰特性をさらに調
整することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遮音材料に関し、特に車両内において用いられる遮音材料に関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器から生じる騒音、および建物内や車両内などから生じる騒音を低減することが
一般的に望まれている。車両の場合、道路音、タイヤ音、エンジン音、車両振動などは車
体を通って乗客区域内に伝播する。
【0003】
車両の乗客区域内の騒音レベルを低減することが一般的に望まれている。道路音やエン
ジン音のような騒音、あるいは振動などは種々の音響吸収(または反射)材料を用いて減
衰させることができる。例えば、従来から音響減衰材料がカーペット、ドアパネル、およ
びヘッドライナーに設けられている。
【0004】
車両の乗客区域内の騒音レベルを低減させるための種々の遮音材料が開発されている。
例えば、ホルトロップらによる特許文献1はヘッドライナー内において用いられる熱成形
性積層体を提案している。ヘッドライナーは発泡ポリマーシートに接着される不織布を備
え、この不織布は低融点短繊維と高融点短繊維の混合物によって形成されている。
【0005】
トンプソンによる特許文献2は不織布遮音ウエブを提案している。このウエブは熱可塑
性繊維、特に融解微細繊維と捲縮充填繊維の混合物によって形成されている。
【0006】
松田らによる特許文献3は被覆層、パネル、およびクッション層からなる遮音構造を提
案している。クッション層はポリエチレンテレフタレート(PET)繊維のような第1繊
維と芯鞘構造を有する第2繊維によって形成され、芯成分の大半がPET繊維からなる。
折茂らによる特許文献4は低密度熱可塑性繊維と高密度熱可塑性繊維を含む遮音構造を
提案している。熱可塑性合成繊維として、PET繊維が好適に用いられている。
【0007】
ピープルズ・ジュニアらによる特許文献5はカーペット層と、成形可能な熱可塑性ポリ
マー層と、熱可塑性ポリマー性に融着される1つ以上の発泡パッドとを備える成形発泡体
裏打ちカーペット組立体を提案している。発泡パッドは熱可塑性ポリマー層の全面よりも
小さい領域に延在し、カーペットの所定の各領域のみのクッション性、遮音、および耐熱
性に寄与するように構成されている。
【0008】
【特許文献1】米国特許第4、851、283号
【特許文献2】米国特許第5、298、694号
【特許文献3】米国特許第5、677、027号
【特許文献4】米国特許第5、817、408号
【特許文献5】米国特許第4、529、639号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一般的に、音響を減衰する従来の材料はその厚みが増えるにつれてその音響減衰能力が
大きくなる。しかし、音響減衰材料の厚みの増加はその重量が大きくなるので好ましくな
い。従って、すぐれた音響減衰特性を示すと同時に軽量かつ安価な遮音材料が望まれてい
る。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の検討に基づいて、本発明は音響減衰積層体およびその製造方法を提供する。本発
明の一実施態様によれば、不織物(または織物)繊維性材料層(例えば、熱可塑性または
熱硬化性繊維層)の表面を加熱し、繊維性材料層の残りの部分の密度と異なる(すなわち
、大きい)密度を有する融解繊維層部を形成する。大きい密度を有する融解繊維層部は繊
維性材料層内を伝播する騒音を減衰させるのに有効に作用する。(好ましくは、加熱した
)カーペットのような室内装飾材料を加熱した繊維性材料層の表面(融解繊維層部に隣接
する側またはその反対側のいずれかの面)に付着させる。次いで、繊維性材料層と室内装
飾材料に圧縮成形圧を付加し、所定の形状を得る。圧縮成形圧を付加して繊維性材料層の
1つ以上の部分の密度を選択的に変化させることによって、繊維性材料層の音響減衰特性
をさらに調整することができる。
【0011】
本発明の他の実施例によれば、第1不織物(または織物)繊維性材料層の表面を加熱し
、その表面に隣接する繊維によって繊維性材料層の残りの部分の密度よりも大きい密度を
有する融解繊維層部を形成する。大きい密度を有する融解繊維層部は第1繊維性材料層内
を伝播する騒音を減衰させるのに有効に作用する。カーペットのような室内装飾材料を加
熱した第1繊維性材料層の表面(融解繊維層部に隣接する側またはその反対側のいずれか
の表面)に付着させる。次いで、第1繊維性材料層と室内装飾材料に圧縮成形圧(好まし
くは、加熱圧)を付加し、所定の形状を得る。圧縮成形圧を付加して第1繊維性材料層の
各部の密度を選択的に変化させることによって、第1繊維性材料層の音響減衰特性をさら
に調整することができる。さらに、(好ましくは、加熱した)第2不織物繊維性材料層を
第1繊維性材料層の裏面に付着させる。次いで、第1および第2繊維性材料層と室内装飾
材料に圧縮成形圧(好ましくは、加熱圧)を付加する。圧縮成形圧を付加して組合せた第
1および第2繊維性材料層の各部の密度を選択的に変化させることによって、組合せた第
1および第2繊維性材料層の音響減衰特性をさらに調整することができる。
【0012】
繊維性材料層内の繊維を場所によって温度と圧力が異なるように成形および/または融
解させることによって、繊維性材料層をその内部の選択された場所ごとに所定の消音およ
び吸音特性を与えるように調整することができる。ここで、「調整」という用語は積層体
の各部分を1つ以上の周波数または周波数域の音響を減衰するような所定の音響インピー
ダンスを有するように形成することを意味している。さらに、従来の遮音材料と比較して
、本発明の実施例による積層体は音響減衰特性を犠牲にすることなく全体の重量を低減さ
せることができる。
【0013】
なお、添付の図面は本明細書の一部をなすものであり、本発明を詳細に説明するための
主要な実施例を示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施例を示す添付の図面に基づいて、本発明をさらに詳細に説明
する。しかし、本発明は多くの異なった形態で実施することが可能であり、ここに述べる
実施例に制限されると解釈されるべきではない。厳密には、これらの実施例はその開示内
容を綿密かつ完全なものとし、当業者に本発明の範囲を十分に知らしめることを意図して
なされたものである。
【0015】
図面において、線部、層、および領域の厚みは理解しやすいように誇張している。なお
、層、領域、基板、またはパネルのようなある要素が他の要素の「上に配置されている」
と述べた場合、その要素は他の要素の上に直接的または介在要素を介して配置されている
ことを意味する。対照的に、ある要素が他の要素の「上に直接的に配置されている」と述
べた場合、その要素は他の要素の上に介在要素を介さずに配置されていることを意味する
。また、ある要素が他の要素に「接続または取付けられている」と述べた場合、その要素
は他の要素に直接的または介在要素を介して接続または取り付けられていることを意味す
る。対照的に、ある要素が他の要素に「直接的に接続または取り付けられている」と述べ
た場合、その要素は他の要素に介在要素を介さずに接続または取り付けられていることを
意味する。また、「上方」、「下方」、「垂直」、「水平」などの用語は単に記述的な用
語として用いているにすぎず、本発明を制限するものではない。
【0016】
本発明の実施例は種々の用途、特に自動車用途に用いる音響減衰積層体を提供する。本
発明の実施例による音響減衰積層体が適用される自動車用途として、単なる例示にすぎな
いが、ヘッドライナー、ダッシュボード、カーペット、ドアパネル、およびピラーなどが
挙げられる。
【0017】
本発明の実施例による音響減衰積層体は繊維性材料層を備えている。この繊維性材料層
に所定の期間にわたって付与する熱および/または圧力を選択的に制御することによって
、層内の場所によって繊維を異なって融解させる。具体的に述べれば、繊維性材料層内に
、車両の金属部分(または他の部分)に取り付けるのに適した低密度部分、すなわち、低
密度融解繊維層部を形成し、またカーペットや装飾布地などの室内装飾材料に接合させる
のに適した高密度(緻密化)部分、すなわち、高密度融解繊維層部を形成する。ただし、
高密度部分を必ずしも室内装飾布地に接合させる必要はない。すなわち、高密度部分を車
両の金属部分(または他の部分)に取り付けてもよい。
【0018】
繊維性材料層内の繊維を場所によって温度と圧力が異なるように成形および/または融
解させることによって、繊維性材料層をその内部の選択された場所ごとに所定の消音およ
び吸音特性を与えるように調整することができる。さらに、本発明の実施例による積層体
は遮音特性を犠牲にすることなく全体の重量を低減させることができる。
【0019】
なお、本発明の実施例による繊維性材料層に付与される密度勾配は一方向の密度勾配(
すなわち、低密度→高密度の密度勾配)に制限されず、種々の密度勾配(例えば、中密度
→低密度→高密度のような密度勾配)であってもよい。
【0020】
図1は、本発明の実施例による騒音源からの騒音を減衰するための音響減衰積層体を製
造する方法を示している。まず、第1密度を有する不織物繊維性材料層を設ける(ブロッ
ク100)。この層内の繊維として、天然繊維、熱硬化性繊維、熱可塑性繊維、および/
または天然繊維、熱硬化性繊維、および/または可塑性繊維の混合物(百分率組成物)が
挙げられる。具体的には、単なる例示にすぎないが、アセテート繊維、アクリル繊維、ナ
イロン6繊維、ナイロン6/6繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、再利
用PET繊維、Bico・PET繊維、およびNOMEX繊維などが挙げられる。とり
わけ、PET繊維が好ましい。
【0021】
繊維性材料層の表面を加熱し、その表面に隣接する繊維によって第1密度よりも大きい
第2密度を有する融解繊維層部を形成する(ブロック110)。繊維性材料層の表面に付
与される熱は約400°Fから約480°F、好ましくは、約450°Fから約460°
Fの範囲内の温度における熱であるとよい。ただし、本発明の実施例はこれらの温度に制
限されるものではない。すなわち、用いる繊維の種類によって温度を種々変更することが
できる。さらに、加熱も従来の加熱方法に制限されず、種々の方法によって行なうことが
できる。例えば、マイクロ波および赤外線のエネルギーを用いて繊維を融解させてもよい
。なお、本明細書の全体を通じて、「加熱」という用語は本発明の実施例において繊維を
融解することができるあらゆる形態のエネルギーを含むものとする。
【0022】
大きい繊維密度を有する融解繊維層部は繊維性材料層内を伝播する騒音を減衰させるの
に有効に作用する。融解繊維層部の厚みは約1mmから約4mmの範囲内にあるとよい。
付与する加熱の量を制御することによって、異なった密度を繊維性材料層に与えることが
できる。すなわち、加熱量の制御によって、選択された周波数の騒音を減衰するように繊
維性材料層を調整することができる。
【0023】
加熱した室内装飾材料、例えば、カーペットおよび/または他の布を加熱した繊維性材
料層の表面に付着させる(ブロック120)。カーペットの場合、そのカーペットの裏面
を繊維性材料層の表面に付着させる。次いで、繊維性材料層と室内装飾材料に圧縮成形圧
を付加し、所定の形状を得る(ブロック130)。圧縮成形圧を付加して繊維性材料層の
各部の密度を選択的に変化させることによって、繊維性材料層の音響減衰特性をさらに調
整することができる。圧縮成形圧は約2〜約11ポンド/平方インチ(psi)、好まし
くは、約2.5〜約3.5ポンド/平方インチ(psi)の範囲内にあるとよい。ただし
、本発明の実施例はこれらの圧力に制限されるものではない。すなわち、用いる繊維の種
類によって、圧力を種々変更することができる。
【0024】
図2は本発明の他の実施例による騒音源からの騒音を減衰するための音響減衰積層体を
製造する方法を示している。まず、第1密度を有する第1不織物繊維性材料層(例えば、
熱可塑性および/または熱硬化性繊維層)を設ける(ブロック200)。この第1繊維性
材料層の第1表面に熱を加え、第1表面に隣接する繊維によって第1密度よりも大きい第
2密度を有する融解繊維層部を形成する(ブロック210)。大きい第2密度を有する融
解繊維層部は第1繊維性材料層内を伝播する騒音を減衰させるのに有効に作用する。繊維
性材料層の表面に付加される熱は約400°F〜約470°F、好ましくは、約450°
F〜約480°Fの範囲内であるとよい。ただし、本発明の実施例はこれらの温度に制限
されるものではない。すなわち、用いる繊維の種類によって温度を種々変更することがで
きる。
【0025】
(好ましくは加熱した)室内装飾材料、例えば、カーペットおよび/または他の布を加
熱した第1繊維性材料層の表面に付着させる(ブロック220)。カーペットの場合、カ
ーペットの裏面を第1繊維性材料層の表面に付着させる。次いで、第1繊維性材料層と室
内装飾材料に圧縮成形圧を付加し、所定の形状を得る(ブロック230)。圧縮成形圧を
付加して第1繊維性材料層の各部の密度を選択的に変化させることによって、第1繊維性
材料層の音響減圧特性をさらに調整することができる。圧縮成形圧は約2〜約11.5ポ
ンド/平方インチ(psi)、好ましくは、約2.5〜約3.5ポンド/平方インチ(p
si)の範囲内であるとよい。ただし、本発明の実施例はこれらの圧力に制限されるもの
ではない。すなわち、用いる繊維の種類によって、圧力を種々変更することができる。
【0026】
(好ましくは、加熱した)第2不織物繊維性材料層を第1繊維性材料層の裏面に付着さ
せる(ブロック240)。次いで、第1および第2繊維性材料層と室内装飾材料に圧縮成
形圧を付加する(ブロック250)。圧縮成形圧を付加して組合せた第1および第2繊維
性材料層の各部の密度を選択的に変化させることによって、組合せた第1および第2繊維
性材料層の音響減衰特性をさらに調整することができる。圧縮成形圧は約2〜約4ポンド
/平方インチ(psi)、好ましくは、約2.5〜約3.5ポンド/平方インチ(psi
)の範囲内であるとよい。ただし、本発明はこれらの圧力に制限されるものではない。す
なわち、用いる繊維によって、圧力を種々変更することができる。
【0027】
図3は騒音源からの騒音を減衰するように構成した本発明の実施例による音響減衰積層
体10を示している。例示する音響減衰積層体10は車両の乗客区域内に用いるカーペッ
ト材料である。ただし、本発明の実施例はカーペット用途に制限されるものではない。本
発明の実施例による音響減衰積層体が適用される他の自動車用途として、単なる例示にす
ぎないが、ヘッドライナー、ダッシュボード、カーペット、ドアパネル、およびピラーな
どが挙げられる。さらに、本発明の実施例による音響減衰積層体が適用される用途は車両
用途に制限されるものではない。
【0028】
例示する音響減衰積層体10は不織物繊維性材料層12とその繊維性材料層12の表面
12aに付着させたカーペット16からなり、繊維性材料層12は表面12aに隣接する
箇所に融解および/または成形された繊維(例えば、PET繊維)からなる繊維層部14
を有している。融解および/または成形繊維層部14は繊維性材料層12の残りの部分の
密度よりも大きな密度を有し、繊維性材料層12内を伝播する騒音を減衰させるのに有効
に作用する。音響減衰積層体10を用いる用途によるが、融解および/または成形繊維層
部14は約1mmから約4mmの範囲内の厚みを有しているとよい。
【0029】
図4A−4Eは図3の音響減衰積層体10の一具体例を製造する工程を示している。繊
維性材料層12の表面12aを加熱し(図4A)、表面に隣接する箇所に融解繊維層部1
4を形成し、次いで、加熱したカーペットのような室内装飾材料16を繊維性材料層12
の表面12aに付着させる(図4B)。緻密化された(すなわち、多密度化された)繊維
層部と(室内装飾材料の層)を備える繊維性材料層12に加圧成形圧を付加し、所定の形
状を得る(図4C−4E)。
【0030】
図5は本発明の実施例による騒音源からの騒音を減衰するように構成した本発明の他の
実施例による音響減衰積層体30を示している。例示する音響減衰積層体30は車両の乗
客区域内においてカーペットとして用いるように構成されている。ただし、例示する構成
を有する音響減衰積層体はどのような制限もなく種々の用途に用いることができる。
【0031】
例示する音響減衰積層体30は第1不織物繊維性材料層32とその繊維性材料層32の
表面32aに付着させたカーペット36を備え、第1繊維性材料層32は表面32aに隣
接する箇所に融解および/または成形された繊維(例えば、PET繊維)からなる層部3
4を有している。融解および/または成形繊維層部34は第1繊維性材料層32の残りの
部分の密度よりも大きい密度を有し、第1繊維性材料層32内を伝播する騒音を減衰させ
るのに有効に作用する。
【0032】
音響減衰積層体30は第1不織物繊維性材料層32に付着させた第2不織物繊維性材料
層35をさらに備えている。第2繊維性材料層35は融解および/または成形繊維層部3
4および第1繊維性材料層31の残りの部分の各々の密度(または、緻密度)と同一の密
度(または、緻密度)を有していてもよいし、あるいは異なる密度(または、緻密度)を
有していてもよい。この場合、カーペット36は第1繊維性材料層32の表面側に付着さ
せる。
【0033】
図6A−6Dは図5の音響減衰積層体30を製造する工程を示している。カーペット3
6を付着させた第1繊維性材料層32の表面32aを加熱および/または成形し、カーペ
ット36に隣接する箇所に融解および/または成形繊維層部34を形成する(図6A)。
次いで、繊維性材料層32とカーペットに圧縮成形圧を付加し、所定の形状を得る(図6
B)。その後、加熱した第2不織物繊維性材料層35を第1不織物繊維性材料層32に付
着させ、圧縮成形し、音響減衰積層体30を製造する(図6C−6D)。
【0034】
図7Aおよび図7は本発明の実施例による音響減衰積層体10が一部に取り付けられた
車両50の内部区域52を示している。例示する音響減衰積層体10は融解繊維層部14
を有する不織物繊維性材料層12を備えている。融解繊維層部14は繊維性材料層12の
残りの部分の密度よりも大きい密度を有し、車両区域52の外の騒音源より繊維性材料層
12内を伝播する騒音を減衰させるのに有効に作用する。
【実施例】
【0035】
PET繊維からなる繊維性材料層を420°Fの温風によって92秒間加熱した。また
、カーペット材料を330°Fの温度まで赤外線によって加熱し、繊維性材料層に付着さ
せた。次いで、繊維性材料層とカーペット材料によって形成した積層体を金型に装填し、
約2から約11ポンド/平方インチ(psi)の範囲の成形圧を付加し、緻密化積層体を
製造した。積層体を金型から除去し、冷却し、ウオータジェットによるトリミングを行な
った。
【0036】
前述の実施例は本発明の例示であって、本発明を制限するものではない。すなわち、本
発明をいくつかの具体的な実施例について説明したが、当業者にとっては容易に理解され
るように、これらの実施例に対して多くの修正例を本発明の新規の示唆と利点から実質的
に逸脱することなく考案することが可能である。従って、そのような修正例は全て請求の
範囲によって定義される本発明の範囲内に包含される。すなわち、前述の実施例は本発明
の単なる例示にすぎず、開示された具体的な実施例に本発明が制限されると解釈されるべ
きではなく、開示された実施例に対する修正例および他の実施例は請求の範囲内に包含さ
れると解釈されるべきである。従って、本発明は請求の範囲およびそれらの請求の範囲に
包含される等価物によって定義されると見なされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施例による騒音源からの騒音を減衰させるための音響減衰積層体を製造する工程のフローチャートである。
【図2】本発明の他の実施例による騒音源からの騒音を減衰させるための音響減衰積層体を製造する工程のフローチャートである。
【図3】騒音源からの騒音を減衰させるように構成した本発明の実施例による音響減衰積層体の断面図である。
【図4A】図3の音響減衰積層体を製造する工程を概略的に示す図である。
【図4B】図3の音響減衰積層体を製造する工程を概略的に示す図である。
【図4C】図3の音響減衰積層体を製造する工程を概略的に示す図である。
【図4D】図3の音響減衰積層体を製造する工程を概略的に示す図である。
【図4E】図3の音響減衰積層体を製造する工程を概略的に示す図である。
【図5】騒音源からの騒音を減衰させるように構成した本発明の他の実施例による音響減衰積層体の断面図である。
【図6A】図5の音響減衰積層体を製造する工程を概略的に示す図である。
【図6B】図5の音響減衰積層体を製造する工程を概略的に示す図である。
【図6C】図5の音響減衰積層体を製造する工程を概略的に示す図である。
【図6D】図5の音響減衰積層体を製造する工程を概略的に示す図である。
【図7】本発明の実施例による音響減衰積層体が取り付けられた車両の内部区域の部分透視図である。
【図7A】図7の線7A−7Aに沿った音響減衰積層体の拡大部分断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮音材料を製造する方法であって、
第1密度を有する不織物繊維性材料層を設ける工程と、
前記繊維性材料層の表面を加熱し、その表面に隣接する繊維によって前記第1密度より
も大きい第2密度を有して前記繊維性材料層内を伝播する騒音を減衰させるのに有効に作
用する融解繊維層部を形成する工程と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記融解繊維層部は、1mm〜4mmの範囲内の厚みを有することを特徴とする請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記表面を450°F〜460°Fの範囲内の温度に加熱することを特徴とする請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
前記繊維性材料層に圧縮成形圧を付加し、所定の形状を得る段階をさらに含むことを特
徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記圧縮成形圧は、2〜11.5ポンド/平方インチ(psi)の範囲内にあることを
特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記繊維性材料層の前記表面を加熱する前記工程は、前記表面の選択された各部分を加
熱し、前記表面の選択された各部分に隣接する繊維によって前記第1密度よりも大きい第
2密度を有して前記繊維性材料層内を伝播する騒音を減衰させるのに有効に作用する各層
部を前記繊維性材料層内に形成する工程からなることを特徴とする請求項1に記載の方法

【請求項7】
前記繊維は、熱可塑性繊維および熱硬化性繊維からなる群から選択されることを特徴と
する請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記繊維は、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維からなることを特徴とする請
求項1に記載の方法。
【請求項9】
騒音源からの騒音を減衰するように構成した音響減衰積層体を製造する方法であって、
第1密度を有する不織物繊維性材料層を設ける工程と、
前記繊維性材料層の表面を加熱し、その表面に隣接する繊維によって前記第1密度より
も大きい第2密度を有して前記繊維性材料層内を伝播する騒音を減衰させるのに有効に作
用する融解繊維層部を形成する工程と、
室内装飾材料を加熱した繊維性材料層の前記表面に付着させる工程であって、前記カー
ペットは布側と反対側の裏面を有し、前記カーペットの前記裏面を前記繊維性材料層の前
記表面に付着させる工程と、
前記繊維性材料層と前記室内装飾材料に圧縮成形圧を付加し、所定の形状を得る工程と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記融解繊維層部は、1mm〜4mmの範囲の厚みを有することを特徴とする請求項9
に記載の方法。
【請求項11】
前記繊維性材料層の前記表面を450°F〜460°Fの範囲の温度に加熱することを
特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記圧縮成形圧は、2〜11.5ポンド/平方インチ(psi)の範囲内にあることを
特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記繊維は、熱硬化性繊維および熱可塑性繊維からなる群から選択されることを特徴と
する請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記繊維は、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維からなることを特徴とする請
求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記室内装飾材料は、カーペットからなることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項16】
騒音源からの騒音を減衰するように構成した音響減衰積層体を製造する方法であって、
第1密度を有し、かつ互いに対向する第1表面と第2表面を有する第1不織物繊維性材
料層を設ける工程と、
前記第1繊維性材料層の前記第1表面を加熱し、前記第1表面に隣接する繊維によって
前記第1密度よりも大きい第2密度を有して前記第1繊維性材料層内を伝播する騒音を減
衰させるのに有効に作用する融解繊維層部を前記第1繊維性材料層内に形成する工程と、
室内装飾材料を加熱された前記第1繊維性材料層の前記第1表面に付着させる工程であ
って、前記室内装飾材料は布側と反対側の裏面を有し、前記室内装飾材料の前記裏面を前
記繊維性材料層の前記第1表面に付着させる工程と、
前記第1繊維性材料層と前記室内装飾材料に圧縮成形圧を付加し、所定の形状を得る工
程と、
第2不織物繊維性材料層を前記第1繊維性材料層の前記第2表面に付着させる工程と、
前記第1および第2繊維性材料層と前記室内装飾材料に圧縮成形圧を付加する工程と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
前記融解繊維層部は、1mm〜4mmの範囲内の厚みを有することを特徴とする請求項
16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1繊維性材料層の前記表面を450°F〜460°Fの範囲内の温度に加熱する
ことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記第1繊維性材料層と前記室内装飾材料に、2〜11.5ポンド/平方インチ(ps
i)の範囲内の圧縮成形圧を付加することを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記第1および第2繊維性材料層と前記室内装飾材料に、2〜11.5ポンド/平方イ
ンチ(psi)の範囲内の圧縮成形圧を付加することを特徴とする請求項16に記載の方
法。
【請求項21】
前記繊維は、熱硬化性繊維および熱可塑性繊維からなる群から選択されることを特徴と
する請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記繊維は、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維からなることを特徴とする請
求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記室内装飾材料は、カーペットからなることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項24】
騒音源からの騒音を減衰するように構成した音響減衰積層体であって、
第1密度を有する第1融解繊維層部と第1密度よりも大きい第2密度を有する第2融解
繊維層部を備える不織物繊維性材料層であって、前記第2融解繊維層部は前記繊維性材料
層内を伝播する騒音を減衰させるのに有効に作用するような不織物繊維性材料層と、
前記繊維性材料層の表面に付着させた室内装飾材料と
を備えていることを特徴とする音響減衰積層体。
【請求項25】
前記第1融解繊維層部は、4mm〜26mmの範囲内の厚みを有し、前記第2融解繊維
層部は、1mm〜4mmの範囲内の厚みを有することを特徴とする請求項24に記載の音
響減衰積層体。
【請求項26】
前記繊維性材料層は、熱硬化性繊維および熱可塑性繊維からなる群から選択される繊維
によって形成されることを特徴とする請求項24に記載の音響減衰積層体。
【請求項27】
前記繊維性材料層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維によって形成される
ことを特徴とする請求項24に記載の音響減衰積層体。
【請求項28】
前記室内装飾材料は、カーペットからなることを特徴とする請求項24に記載の音響減
衰積層体。
【請求項29】
騒音源からの騒音を減衰するように構成された音響減衰積層体であって、
第1密度を有する第1融解繊維層部と第1密度よりも大きい第2密度を有する第2融解
繊維層部を備える不織物繊維性材料層であって、前記第2融解繊維層部は前記繊維性材料
層内を伝播する騒音を減衰させるのに有効に作用するような不織物繊維性材料層と、
前記第1不織物繊維性材料層に付着させた第2不織物繊維性材料層と、
前記第1繊維性材料層の表面に付着させた室内装飾材料と
を備えていることを特徴とする音響減衰積層体。
【請求項30】
前記第1融解繊維層部は、4mm〜26mmの範囲内の厚みを有し、前記第2融解繊維
層部は、1mm〜4mmの範囲内の厚みを有することを特徴とする請求項29に記載の音
響減衰積層体。
【請求項31】
前記第1および第2繊維性材料層は、熱硬化性繊維および熱可塑性繊維からなる群から
選択される繊維によって形成されることを特徴とする請求項29に記載の音響減衰積層体

【請求項32】
前記第1および第2繊維性材料層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維によ
って形成されることを特徴とする請求項29に記載の音響減衰積層体。
【請求項33】
前記室内装飾材料は、カーペットからなることを特徴とする請求項29に記載の音響減
衰積層体。
【請求項34】
表面を有するパネルを備えている内部区画と、前記パネルの表面に取り付けられる遮音
材料を備える車両であって、
前記遮音材料は第1密度を有する第1融解繊維層部と第1密度よりも大きい第2密度を
有する第2融解繊維層部を有する不織物繊維性材料層を備え、前記第2融解繊維層部は前
記繊維性材料層内を伝播する騒音を減衰させるのに有効に作用する
ことを特徴とする車両。
【請求項35】
前記繊維性材料層の表面に付着させた室内装飾材料をさらに備えていることを特徴とす
る請求項34に記載の車両。
【請求項36】
前記第1融解繊維層部は、4mm〜26mmの範囲内の厚みを有し、前記第2融解繊維
層部は、1mm〜4mmの範囲内の厚みを有することを特徴とする請求項34に記載の車
両。
【請求項37】
前記繊維性材料層は、熱硬化性繊維および熱可塑性繊維からなる群から選択される繊維
によって成形されることを特徴とする請求項34に記載の車両。
【請求項38】
前記繊維性材料層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維によって形成される
ことを特徴とする請求項34に記載の車両。
【請求項39】
前記室内装飾材料は、カーペットからなることを特徴とする請求項34に記載の車両。
【請求項40】
表面を有するパネルを備える内部区画と、前記パネルの前記表面に取り付けられる遮音
材料とを備える車両であって、
前記遮音材料は第1不織物繊維性材料層と前記第1不織物繊維性材料層に付着された第
2不織物繊維性材料を備え、前記第1繊維層は第1密度を有する第1融解繊維層部と第1
密度よりも大きい第2密度を有する第2融解繊維層部を有し、前記第2融解繊維層部は前
記第1繊維性材料層を伝播する騒音を減衰させるのに有効に作用する
ことを特徴とする車両
【請求項41】
前記第1繊維性材料層の表面に付着された室内装飾材料をさらに備えることを特徴とす
る請求項40に記載の車両。
【請求項42】
前記繊維性材料層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維によって形成される
ことを特徴とする請求項40に記載の車両。
【請求項43】
前記室内装飾材料は、カーペットからなることを特徴とする請求項40に記載の車両。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図4D】
image rotate

【図4E】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図6C】
image rotate

【図6D】
image rotate

【図7】
image rotate

【図7A】
image rotate


【公開番号】特開2009−24323(P2009−24323A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−184893(P2008−184893)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【分割の表示】特願2003−551373(P2003−551373)の分割
【原出願日】平成14年10月15日(2002.10.15)
【出願人】(508080115)インターナショナル オートモーティヴ コンポーネンツ グループ ノース アメリカ,インク. (3)
【Fターム(参考)】