太陽電池基板用の非接触型エッジコーティング装置の制御システム
【解決手段】 非接触型エッジコーティング装置は、太陽電池用基板(801)のエッジにコーティング材料を塗布する塗布部(821)と、塗布部(821)を駆動する制御システム(900)とを備える。当該制御システム(900)は、基板(801)のエッジにコーティング材料をコーティングするべく基板(801)を回転させる場合に、基板(801)のエッジとの間に距離を維持するべく軸に沿って塗布部(821)を駆動するとしてよい。塗布部(821)は、コーティングのために基板(801)のエッジが挿入される凹部(825)を有しているとしてよい。例えば、塗布部(821)は、溝を有するローラであってよい。コーティング材料は、基板(801)のエッジに塗布されるべく、溝に供給されるとしてよい。当該装置では、さまざまなコーティング材料を利用するとしてよく、そのようなコーティング材料には、ホットメルトインクおよびUV硬化性メッキレジストが含まれる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、太陽電池に関する。具体的には、これに限定されるわけではないが、太陽電池を製造するための設備およびプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は、太陽光を電気エネルギーに変換する公知のデバイスである。太陽電池は、半導体プロセス技術を用いて、半導体ウェハ等の太陽電池基板上に製造され得る。太陽電池は、P型拡散領域およびN型拡散領域を有し、両者の間に接合が形成されている。太陽電池に太陽光が当たると、電子および正孔が形成されて両拡散領域に移動するので、拡散領域間に電圧差が発生する。裏面接触型太陽電池では、拡散領域および当該拡散領域に結合されている金属コンタクトが共に、太陽電池の裏面に配置されている。金属コンタクトを設けることによって、外部電気回路と太陽電池とを結合することが出来ると共に、外部電気回路に太陽電池から電力を供給することができるようになる。
【0003】
太陽電池基板のエッジには、電気的絶縁と、基板周縁への金属堆積または金属成長を防ぐこととを目的として、誘電体がコーティングされる場合がある。従来のコーティング材料塗布方法では、基板のエッジにローラを当接させる。ローラには、基板のエッジに対して押し付けられる面を有する溝がある。溝に与えられたコーティング材料は、ローラおよび基板を回転させると、基板のエッジに塗布される。コーティング材料は、別の処理工程で大型の乾燥オーブンで硬化させる必要があるサーマルインクを含むとしてよい。このため、サーマルインクを用いると、関連して必要となるオーブンのコストが高く、フットプリントが大きいので、比較的大規模な設備投資が必要となる。また、サーマルオーブンを利用する場合、その前の処理工程でウェハ表面に堆積させられた材料は、オーブン内の温度に接することで、影響を受ける可能性がある。従来のエッジコーティング方法に関する問題は他にも、塗布部が機械的に直接接触することによって基板に応力が与えられることや、サーマルインクを用いたプロセスによるエッジコーティング効果の信頼性が低いことが挙げられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
非接触型エッジコーティング装置は、太陽電池用基板のエッジにコーティング材料を塗布する塗布部と、塗布部を駆動する制御システムとを備える。当該制御システムは、基板のエッジにコーティング材料をコーティングするべく基板を回転させる場合に、基板のエッジとの間に距離を維持するべく軸に沿って塗布部を駆動するとしてよい。塗布部は、エッジコーティングのために基板のエッジが挿入される凹部を有しているとしてよい。例えば、塗布部は、溝を有するローラであってよい。コーティング材料は、基板のエッジに塗布されるべく、溝に供給されるとしてよい。当該装置では、さまざまなコーティング材料を利用するとしてよく、そのようなコーティング材料には、ホットメルトインクおよびUV硬化性メッキレジストが含まれる。
【0005】
上記およびその他の本発明の特徴は、本開示内容を全て参照することによって当業者に容易に明らかになるであろう。本開示内容は、添付図面および請求項を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の実施形態に係る、太陽電池用非接触型エッジコーティングシステムを示す斜視図である。
【図2】図1に示す非接触型エッジコーティングシステムを示す側面図である。
【図3】図1に示す非接触型エッジコーティングシステムを示す側面図である。
【図4A】図1に示す非接触型エッジコーティングシステムの一部を示す斜視図である。
【図4B】図1に示す非接触型エッジコーティングシステムの一部を示す側面図である。
【図5A】本発明の実施形態に係る、エッジコーティング処理中の太陽電池基板に対するローラを相対的に示す概略側面図である。
【図5B】本発明の実施形態に係る、エッジコーティング処理中の太陽電池基板に対するローラを相対的に示す概略上面図である。
【図6A】本発明の実施形態で利用され得る従来の空気バネの動作原理を示す概略図である。
【図6B】本発明の実施形態で利用され得る従来の空気バネの動作原理を示す概略図である。
【図7】本発明の実施形態に係るコーティング材料供給システムを示す斜視図である。
【図8】本発明の別の実施形態に係る太陽電池用の非接触型エッジコーティングシステムを示す図である。
【図9】図8の非接触型エッジコーティングシステムを示す側面図である。
【図10】図8の非接触型エッジコーティングシステムを示す上面図である。
【図11A】図8の非接触型エッジコーティングシステムの一部を示す斜視図である。
【図11B】図8の非接触型エッジコーティングシステムの一部を示す側面図である。
【図12】本発明の実施形態に係る、図8の非接触型エッジコーティングシステムの制御システムを示す概略図である。
【図13A】本発明の実施形態に係るエッジコーティング処理中の、軸に沿ったローラの移動を示す概略図である。
【図13B】本発明の実施形態に係るエッジコーティング処理中の、軸に沿ったローラの移動を示す概略図である。
【図13C】本発明の実施形態に係るエッジコーティング処理中の、軸に沿ったローラの移動を示す概略図である。
【図13D】本発明の実施形態に係るエッジコーティング処理中の、軸に沿ったローラの移動を示す概略図である。
【図14】本発明の実施形態に係る太陽電池基板のエッジをコーティングする方法を示すフローチャートである。
【0007】
複数の異なる図面にわたって同一の参照符号を使用する場合、同一または同様の構成要素を指し示すものとする。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示では、装置、構成要素、および方法の例など、具体的且つ詳細な説明を多用して、本発明の実施形態を完全に理解できるようにする。しかし、当業者であれば、そのような具体的且つ詳細な説明の一部がなくとも本発明を実施し得ることに想到するであろう。また、公知の詳細な内容については、本発明の側面をあいまいにすることを避けるべく、図示および記載を省略する。
【0009】
図1は、本発明の実施形態に係る、太陽電池基板用非接触型エッジコーティングシステム100を示す斜視図である。以下の説明でより明らかになるが、システム100は特に、太陽電池基板のエッジをコーティングするべく構成されている。尚、太陽電池基板の形状は通常、非円形である。太陽電池基板を回転させた場合に非円形の形状が描く軌道は、塗布部に基板のエッジを追従させることがかなり困難なものである。従来の太陽電池基板エッジコーティング方法では、コーティング材料を供給するローラをエッジに物理的に接触させることで、この問題を回避していた。
【0010】
図1に示す例では、システム100は、搬送部110、塗布システム120、および視認システム160を備える。塗布システム120にコーティング材料を供給するコーティング材料供給システムは、図示の便宜上、図1には示していない。システム100と共に利用可能な材料供給システムの一例は、図7を参照しつつ後述する。本発明の利点を損なうことなく、その他の材料供給システムを利用することも可能である。
【0011】
搬送部110は、事前位置合わせステーション163(図2を参照のこと)と、塗布システム120が基板101のエッジをコーティングすることができる位置との間で、非円形の太陽電池基板101を移動させるハンドリング機構を有するとしてよい。尚、基板101は、一実施形態において、略正方形状を持つ(pseudo−square)半導体ウェハを含む。図1の例では、搬送部110は、市販の多軸ロボットを有する。
【0012】
搬送部110の端部には、基板101を保持するチャック113として設けられている基板支持部と、カム112とが配設されている。カム112は、基板101と形状が同じであるとしてもよいが、寸法は異なる(例えば、基板101よりも小さい)としてよい。チャック113は、真空力またはその他の手段で基板101を保持するとしてよい。チャック113は、例えば、硬化ステンレス鋼を含むとしてよい。搬送部110は、エッジコーティング処理において、塗布システム120の従動子123と接触するようにカム112を位置決めする。
【0013】
塗布システム120は、基板101のエッジにコーティング材料を塗布するための機構を有する。塗布システム120は、ローラ121として設けられているコーティング塗布部と、ローラ121を回転させる回転駆動機構122と、単一軸に沿って基板101に対してローラ121を近接および離間させる滑動アセンブリ124とを有するとしてよい。
【0014】
搬送部110は、エッジコーティング処理において、図1に示すように、塗布システム120に対応するように基板101を位置決めする。滑動アセンブリ124が上方向に移動すると、従動子123を押してカム112に接触させる。滑動アセンブリ124の空気バネ126は、従動子123に比較的一定の圧力を加えて、カム112に接触させる。搬送部110は、基板101を回転させて、ローラ121から供給されるコーティング材料を基板101のエッジにコーティングさせる。駆動機構122は、カム112と接触しておりカム112の形状を追従する従動子123を回転させる。ローラ121および従動子123は、従動子123とカム112との間の機械的な接触面に応じて空気バネ126によってローラ121が滑動するように、機械的に結合されている。このため、ローラ121は、基板101の形状に応じて移動する。基板101およびローラ121は、互いに同一方向または異なる方向に、インクの種類および特性(例えば、粘度および接着力)に応じて決まる速度で、回転させられるとしてよい。反対方向に回転させる場合、基板101の速度およびローラ121の速度は通常、それぞれ250deg/secおよび100−300RPMである。
【0015】
エッジコーティングシステム100は、本例ではローラ121である塗布部がエッジコーティング処理中に基板101のエッジに接触しないという点において、「非接触型」である。実際のところ、図1に示す例において、システム100のハードウェア構成要素のいずれも、コーティング材料がエッジに塗布されている間、基板101のエッジに接触しない。基板101は、基板101のエッジに物理的に接触することなく、エッジコーティング材料を与えられる溝125(図4Aおよび図4Bを参照のこと)としてローラ121に設けられている凹部内に配置されている。コーティング材料は、溝125に塗布され(図4Aに示す供給管411を参照のこと)、溝125内にエッジを位置させることによって基板101のエッジに移される。搬送部110によって基板101を回転させることによって、基板101の周縁エッジの全周にわたって塗布することができる。
【0016】
視認システム160は、ステーション163から基板101を取るべく、搬送部110にチャック113を正しく位置決めさせる。視認システム160は、カメラ162と、ステーション163と、照明器具164とを有するとしてよい。コンピュータシステム161は、視認システム160、塗布システム120、および搬送部110を備えるシステム100の動作を制御する。図1に示した構成要素の一部は、明瞭に説明するべく、図2および図3にも図示している。
【0017】
図2を参照しつつ説明すると、基板101は、製造担当者によって手動で、または、自動ハンドリングシステム(不図示)によって、ステーション163に配置される。ステーション163は、容易に位置を特定できるように、搬送部110と相対的に一定の座標に設けられている。また、ステーション163は、基板101を搬送部110に対して相対的に事前に位置合わせできるような形状を持つので、基板101の取り出しおよびチャック113およびカム112に対する位置合わせが容易になる。視認システム160は、ステーション163内の基板101の画像を撮像して、画像を分析して基板表面の中心を探し、基板101の向きを決める。コンピュータ161は、制御ソフトウェアを用いて、視認システム160からの情報に基づき、搬送部110に、基板101の表面領域の中心とチャック113の表面領域の中心とが一致するように、基板101の位置を特定させ、取り出しをさせる。搬送部110は、基板101の位置を特定してチャック113に対して相対的に位置合わせした後、図2に示すように基板101を取って、図3に示すように塗布システム120によるエッジコーティング処理のために位置決めする。搬送部110は、エッジコーティング処理の後、基板101をステーション163に戻す。視認システム160は、本発明の利点を損なうことなく、市販の構成要素を用いて実施するとしてよい。
【0018】
図4Aは、エッジコーティング処理における基板101およびローラ121の相対的な関係を示す斜視図である。コーティング材料は、供給管411を介して、ローラ121の溝125へと供給される。供給管411は、可撓性の供給管141を介して、材料供給タンク(図7の参照番号142を参照のこと)からコーティング材料を受け取る。駆動機構122は、コーティング材料が溝125に供給されている間、カム123およびローラ121を回転させる。基板101は、カム112に機械的に結合されているチャック113によって保持されている。エッジコーティング処理中、搬送部110の回転駆動部131がカム112を回転させるので、基板101も回転させられる。基板101のエッジは、溝125内に配置されて、コーティング材料が塗布される。余分なコーティング材料は、ドクターブレード(不図示)によって除去される。基板101の中心は、エッジコーティング処理中は、比較的一定の位置にある。回転駆動部131は、チャック113および基板101と共に、カム112を回転させる。空気バネ126(図3を参照のこと)は、ローラ121が基板101の形状に追従するように、従動子123を押してカム112に追従させる。
【0019】
図4Bは、エッジコーティング処理における基板101およびローラ121の相対的な関係を示す側面図である。尚、基板101のエッジは、エッジコーティング処理中において、ローラ121に物理的に接触していない。基板101のエッジは、溝125に挿入されている。カム112の形状は基板101と同様または同一であり、従動子123がカム112と機械的に接触しているので、ローラ121は、物理的に接触することなく、基板101のエッジにコーティング材料を塗布することができる。
【0020】
図5Aおよび図5Bは、本発明の実施形態に係る、エッジコーティング処理中の基板101に対するローラ121を相対的に示す概略側面図および概略上面図である。図5Bには、滑動アセンブリ124の空気バネ126が従動子123に対して比較的一定の力を加えているので、従動子123はカム112の形状を追従するように移動する様子が概略的に示されている。基板101のエッジは、溝125の表面またはローラ121のその他の部分に接触することなく、溝125の内部に配置されている。
【0021】
図6Aおよび図6Bは、本発明の実施形態で利用される従来の空気バネ126の動作原理を示す概略図である。図6Aおよび図6Bに示す例では、空気バネ126は圧力P1を維持するように構成されているので、従動子123に加えられる力は、カム112の外形に関わらず比較的一定である。負荷圧力PLOADに等しい圧力P0は、給気システムを用いて空気バネ126に加えられる。当該給気システムは、小さい換気孔502を有しており、空気が漏れて漏れ圧力PLEAKが発生する。このように空気が漏れるので、空気バネ126の加圧チャンバ503に加えられる総圧力は、P1=P0−PLEAKとなる。チャンバ503の反対側の空気バネ126のチャンバ505は、大気圧の状態である。したがって、チャンバ505には圧力または抵抗力がかかっていない。ピストン504は、従動子123と接触している。従動子123がカムの平坦部分または中央部分に対して押圧されている場合、空気バネ126が従動子123に力を加え、図6Aに示すように従動子123が押圧されてカム112と接触する。カム112の角のエッジが従動子123と接触するようにカム112が回転している場合、カム112は従動子123を押し返して、図6Bに示すように空気バネ126に対して力が加わる。図6Bの場合、チャンバ503内の空気の体積は減少して、チャンバ503内の圧力P1が増加する。このため、換気孔502から空気がいくらか流出していき、チャンバ503内の圧力P1は比較的一定に保たれる。
【0022】
図7は、本発明の実施形態に係るコーティング材料供給システムを示す斜視図である。図7に示す例では、材料供給システムは、コーティング材料を含む材料供給タンク142を有する。タンク142から供給されるコーティング材料は、可撓性の供給管141を介して供給管411に流入する。コーティング材料は、供給管411内を流れてローラ121に到達し、ローラ121によって、物理的に接触することなく、基板101のエッジに塗布される。
【0023】
一実施形態において、非円形の基板101は、略正方形状を持つ(例えば、図7に示す基板101を参照のこと)半導体ウェハを含む。ウェハの中心がカム表面の中心と一致すると仮定すると、ウェハの丸みを帯びた角部分に塗布されるコーティング材料の幅は、以下の式によって表される。
【数1】
一方、ウェハのエッジのうち平坦な部分に塗布されるコーティング材料の幅は、以下の式によって表される。
【数2】
【0024】
ウェハの中心がカム表面の中心と一致しない場合、ウェハのエッジに塗布されるコーティング材料の幅は一般的に、以下の式によって表される。
【数3】
【0025】
上述の記載からすると、コーティング幅は、所与のウェハ直径に対してカムの直径、従動子の直径、ローラの直径、およびカムの幅を選択することによって、特定の用途向けに調整することが可能である。
【0026】
以上から分かるように、非接触型エッジコーティングシステム100は、本発明の利点を損なうことなく、さまざまなコーティング材料を利用するとしてよい。例えば、エッジコーティングシステム100は、サーマルインクを利用するとしてよい。しかし、エッジコーティングシステム100は、大型のオーブンで硬化または乾燥させる必要がないコーティング材料を利用することが好ましい。一実施形態によると、コーティング材料は、SunJet社製のような、蝋を含むホットメルトインクを含む。ホットメルトインクを利用する場合、タンク142および関連して設けられるホース、管状系統、および供給管は、加熱することが好ましい。
【0027】
別の実施形態では、コーティング材料は、UV(紫外線)硬化性メッキレジストを含む。UV硬化性メッキレジストは、集束ビームを供給するLED(発光ダイオード)システム、例えば、スポット硬化LEDまたはリキッドライトガイドに露光することによって硬化させられるとしてよい。スポット硬化LEDおよびリキッドライトガイドは、例えば、UV Process Supply,Inc社から市販されているものを利用することができる。硬化方法として他に考えられるものは、例えば、Fusion UV Systems Inc社またはDymax Corporation社から市販されているUVランプまたはUV電球を用いるものである。UV硬化性メッキレジストは、「UVインク」とも呼ばれ、太陽電池用のエッジコーティング材料として多くの利点を持ち、例えば、熱要件が低いので、先行する処理工程で堆積させられたホットメルトが液状化することがなく、特定の領域に限定してUV硬化を集中して行うことができるので、太陽電池の正面側にUV露光を行うことがない。以下の説明でより明らかになるが、UV硬化性メッキレジストはさらに、必要な硬化設備が小型で、塗布システムへの実装が容易であるという利点を持つ。
【0028】
図8には、本発明の別の実施形態に係る非接触型エッジコーティングシステム800を示す。システム800は、システム100と同様に、図1の例ではローラ821として示す塗布部が非円形の太陽電池基板801と物理的に接触することなく、基板801にコーティング材料を塗布するように構成されているという点において、非接触型である。しかし、システム800は、機械的配置ではなく、電子制御手段を用いて、基板に対して相対的に塗布部を位置決めするという点で、システム100と相違する。
【0029】
図8に示す例では、非接触型エッジコーティングシステム800は、搬送部810と、塗布システム820と、処理対象物保持アセンブリ840と、制御システム900(図12を参照のこと)と、事前位置合わせステーション863と、硬化部851とを備える。塗布システム820にコーティング材料を供給するコーティング材料供給システムは、図示の便宜上、図8には示していない。システム800で利用可能な材料供給システムの一例としては、図7を参照しつつ上述したものが挙げられる。本発明の利点を損なうことなく、その他の材料供給システムを利用するとしてもよい。
【0030】
搬送部810は、事前位置合わせステーション863と、基板801のエッジを塗布システム820がコーティングすることが出来る位置との間で、非円形の太陽電池基板801を移動させるためのハンドリング機構を有するとしてよい。基板801は、略正方形状を持つ半導体ウェハを含むとしてよい。
【0031】
図8に示す例では、搬送部810は、ピックアンドプレースロボットを有する。搬送部810は、ビーム873と、エンドエフェクタ872を含むアーム871とを有するとしてよい。エンドエフェクタ872を上下させることによって、基板801を取り上げる、または、配置するとしてよい。エンドエフェクタ872は、真空力によって基板801を保持するとしてよい。
【0032】
基板801は、製造担当者によって手動で、または、自動ハンドリングシステム(不図示)によって、事前位置合わせステーション863に配置されるとしてよい。ステーション863は、容易に位置を特定できるように、搬送部810と相対的に一定の座標に設けられている。また、ステーション863は、基板801を搬送部810に対して相対的に事前に位置合わせできるような形状を持つので、基板801の取り出しおよび位置合わせが容易になる。動作を説明すると、搬送部810はステーション863から基板801を取って、塗布システム820に向かってビーム873に沿って滑動し、基板801を保持アセンブリ840に載置する。搬送部810は、エッジコーティング処理後に、逆方向の動作を実行して基板801をステーション863に戻す。
【0033】
保持アセンブリ840は、基板801を支持および保持するように構成されるとしてよい。保持アセンブリ840は、例えば、真空力によって基板801を保持するチャック843として設けられる基板支持部を有するとしてよい。保持アセンブリ840はさらに、チャック843および基板801を回転させる回転駆動部842を、所定位置に有するとしてよい。チャック843の中心は、一定の座標にあるとしてよく、エッジコーティング中に変わらない。
【0034】
塗布システム820は、単一軸滑動アセンブリ824に載っているローラ821として設けられている塗布部を有するとしてよい。ローラ821は、基板801のエッジが挿入される溝825(図11Aおよび図11Bを参照のこと)として設けられている凹部を含む。以下の説明でより明らかになるが、滑動アセンブリ824は、単一軸に沿ってローラ821を移動させて、基板801のエッジに物理的に接触することなく、基板801のエッジにコーティングを施す。コーティング材料は、溝825に塗布され(図11Aに示す供給管811を参照のこと)、溝825内にエッジを位置させることによって基板801のエッジに移される。回転駆動部842によって基板801を回転させることによって、基板801の周縁エッジの全周にわたってコーティングを施すことができる。硬化部851は、コーティング材料として用いられているUV硬化性メッキレジストを硬化させるスポット硬化LEDまたはその他の手段を含むとしてよい。本発明の利点を損なうことなく、サーマルインクおよびホットメルトインク等、その他のコーティング材料も用いるとしてよい。
【0035】
制御システム900は、チャック843上にある基板801の画像を撮像するカメラ862と、カメラ862の光源となる照明器具864と、カメラ862が撮像した画像を処理して、基板801のエッジに物理的に接触することなく、基板801のエッジにローラ821がコーティング材料を塗布するように、基板801に対して滑動アセンブリ824を近接および離間させるコンピュータ861とを有するとしてよい。制御システム900はさらに、図12を参照しつつ後述する。
【0036】
図9および図10はそれぞれ、システム800を示す側面図および上面図である。図9および図10に参照番号付で示した構成要素は、図8を参照しつつ既に説明している。
【0037】
図11Aおよび図11Bはそれぞれ、エッジコーティング処理における、基板801とローラ821との相対的な関係を示す斜視図および側面図である。コーティング材料は、供給管411を介して、溝825へと塗布される。供給管411は、可撓性の供給管141(図7を参照のこと)を介して、コーティング材料を受け取る。基板801のエッジは、溝825内にあるコーティング材料を受け取る。チャック843は、回転駆動部842(図8および図9を参照のこと)によって回転させられて、基板801を回転させる。この結果、約100−300RPMおよび200−370deg/secという速度で、ウェハの周縁エッジの全周に渡ってコーティング材料でコーティングすることができる。図11Aおよび図11Bに示すように、基板801のエッジは溝825に挿入されているが、エッジコーティング処理中に、ローラ821のいずれの部分にも、また、システム800のいずれのハードウェア構成要素にも接触していない。
【0038】
図12は、本発明の実施形態に係る非接触型エッジコーティングシステム800用の制御システム900を示す概略図である。図12に示す例では、制御システム900は、コンピュータ861と、カメラ862と、駆動モジュール942と、データ取得モジュール943と、対応するデータ取得制御ソフトウェア944とを備える。
【0039】
データ取得モジュール943は、カメラ862が撮像した画像を受信して、当該画像をコンピュータ861による読み取りおよび処理が可能な形式に変換するとしてよい。駆動モジュール942は、滑動アセンブリ942およびローラ821を単一軸に沿って駆動するための制御信号をコンピュータ861から受信するとしてよい。データ取得制御ソフトウェア944は、カメラ862が撮像した画像を処理して、ローラ821を駆動するための対応する制御信号を出力するためのコンピュータ読み取り可能プログラムコードを含むとしてよい。動作を説明すると、制御システム900は、物理的に接触させることなく基板801のエッジにコーティングを施すことために、基板801に対してローラ821を近接および離間させるためのクローズドループサーボとして動作している。
【0040】
ソフトウェア944は、エッジコーティング処理に先立って、基板801のエッジ上のポイント(「エッジポイント」)の位置を特定するべく、チャック843上にある基板801の画像を撮像するように、データ取得モジュール943に命令する。エッジコーティング処理中、ソフトウェア944は、エッジポイントを追いかけて、対応する制御信号を駆動モジュール942に送信して、基板801の回転速度を所与として所定のコーティング距離でエッジポイントをローラ821が追従するように、滑動アセンブリ824を移動させる。このようにして、制御システム900は、基板801の形状が円形でないにも関わらず、ローラ821の溝825の端面と、基板801のエッジとの間にコーティング距離を保つ。
【0041】
図13A、図13B、図13C、および図13Dは、本発明の実施形態に係るエッジコーティング処理中の、単一軸971に沿ったローラ821の移動を示す概略図である。図13Aにおいて、制御システム900は、エッジコーティングに先立って、基板801のエッジポイント1−16の位置を特定する。この時点において、ローラ821の中心は、軸971では位置974にあり(水平軸上では位置X0にある)、基板801からは離れている。図13A、図13B、図13C、および図13Dの例では、基板801の中心975は、軸971が通る一定の座標にある。
【0042】
図13Bでは、制御システム900は、基板801のエッジにコーティング材料を塗布するべく、ローラ821の位置を移動させる。そして、ローラ821および基板801を同一方向に、本例では反時計回り方向(矢印951を参照のこと)に、回転させる。制御システム900は、基板801のエッジポイント1が軸971上にある場合には、軸971に沿って位置976(水平軸上では位置X1)にローラ821の中心を位置決めして、基板のエッジに対してコーティング距離を保つ。一般的に、制御システム900は、基板801を回転させている間、エッジポイント1−16を追いかける。基板801の回転中心である中心975の座標が固定されていて、その固定座標およびエッジポイント1−16の位置を知っていれば、制御システム900は、基板801を回転させている間、計算することで基板801のエッジを全周にわたって追いかけ、基板801のエッジと相対的にローラ821を移動させて、エッジと物理的に接触しないようコーティング距離を維持する。
【0043】
図13Cは、基板801が回転している場合に、制御システム900が、ローラ821の中心を、軸971上を位置977(水平軸上では位置X2)へと移動させて、エッジポイント2について距離を空けている様子を示している。このため、エッジポイント2とローラ821とを物理的に接触させることなく、ローラ821から基板801のエッジポイント2へとコーティング材料を塗布することができる。
【0044】
図13Dは、基板801が回転している場合に、制御システム900が、ローラ821の中心を、軸971上を位置978(水平軸上では位置X3)へと移動させて、エッジポイント3が軸972上に来るようにしている様子を示している。
【0045】
制御システム900は常に、基板801に対してローラ821を近接および離間させるように調整して、基板801との間にコーティング距離を維持して、非接触エッジコーティングを実行している。
【0046】
図14は、本発明の実施形態に係る太陽電池基板のエッジをコーティングする方法980を示すフローチャートである。方法980の説明には非接触型エッジコーティングシステム800の構成要素を用いるが、これは例示を目的とするのみである。本発明の利点を損なうことなく、その他の構成要素を用いるとしてもよい。
【0047】
方法980は、エッジコーティング処理を開始する前に、基板のエッジ上にあるポイントの位置を特定することが開始される(工程981)。例えば、搬送部810(図8を参照のこと)が、事前位置合わせステーション863から基板801を取って、チャック843上に基板801を載置するとしてよい。データ取得制御ソフトウェア944(図12を参照のこと)は、データ取得モジュール953に対して、基板801の画像を撮像するように命令するとしてよい。ソフトウェア944は、画像に基づき、基板のエッジ上のポイントの位置を特定するとしてよい。
【0048】
そして、基板を回転させている間、エッジポイントを追いかける(工程982)。例えば、ソフトウェア944は、チャック843に保持されている基板801が回転させられている間、基板801の画像を常に受信するとしてよい。基板801は、固定回転軸を中心として回転させられており、ソフトウェア944には固定回転軸の座標が既知である。ソフトウェア944は、エッジポイントを追いかけることによって、基板801のエッジの軌道を算出することができるので、ローラ821の単一移動軸で基板801のエッジがどの程度延伸しているかを算出することができる。このため、ソフトウェア944は、ローラ821および基板801が回転させられている間、ローラ821と基板801のエッジとの間のコーティング距離を求めることができる。
【0049】
コーティング材料を基板のエッジに塗布する塗布部は、単一軸に沿って、基板のエッジに対してコーティング距離を維持するべく移動させられる(工程983)。非接触型エッジコーティングシステム800を用いて例で説明を続けると、ソフトウェア944は、駆動モジュール942に制御信号を送信して、ローラ821および基板801を回転させている間、溝825の表面(図11Aを参照のこと)と基板801のエッジとの間のコーティング距離を保つように、滑動アセンブリ824を駆動する。コーティング距離は、基板801のエッジをコーティングできるような予め定められた一定の距離であってもよいし、または、所定の範囲内の距離であってもよい。
【0050】
基板のエッジは、基板を回転させつつ、コーティング材料でコーティングされる(工程984)。例えば、コーティング材料をローラ821の溝825に塗布するとしてよい。溝825内のコーティング材料は、ローラ821および基板821が回転させられると、基板801のエッジに与えられる。コーティング材料は、サーマルインク、ホットメルトインク、または、好ましくはUV硬化性メッキレジストを含むとしてよい。
【0051】
コーティング材料は、基板が基板支持部上にある間に、硬化されるとしてよい(工程985)。これは、例えば、UV硬化性メッキレジストを利用する場合に利用可能な任意の工程である。この場合、基板801がまだチャック843上にある間に、硬化部851を起動して、基板801のエッジにコーティングされたUV硬化性メッキレジストを硬化させる。このようにすることで、基板801をチャック843に1回搭載すれば、コーティング工程および硬化工程を実行することができるようになる。
【0052】
搬送部810は、エッジコーティング処理後に、チャック843から基板801を取って、事前位置合わせステーション863に基板801を戻すとしてよい。
【0053】
太陽電池基板に対して非接触型エッジコーティング処理を実行するための装置および方法を開示している。本発明の具体的な実施形態を挙げているが、上記の実施形態は本発明を例示するために記載されたに過ぎず本発明を限定するものではないものと理解されたい。本開示内容を参照すれば、当業者には、さらに数多くの実施形態を実施できることが明らかである。
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、太陽電池に関する。具体的には、これに限定されるわけではないが、太陽電池を製造するための設備およびプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は、太陽光を電気エネルギーに変換する公知のデバイスである。太陽電池は、半導体プロセス技術を用いて、半導体ウェハ等の太陽電池基板上に製造され得る。太陽電池は、P型拡散領域およびN型拡散領域を有し、両者の間に接合が形成されている。太陽電池に太陽光が当たると、電子および正孔が形成されて両拡散領域に移動するので、拡散領域間に電圧差が発生する。裏面接触型太陽電池では、拡散領域および当該拡散領域に結合されている金属コンタクトが共に、太陽電池の裏面に配置されている。金属コンタクトを設けることによって、外部電気回路と太陽電池とを結合することが出来ると共に、外部電気回路に太陽電池から電力を供給することができるようになる。
【0003】
太陽電池基板のエッジには、電気的絶縁と、基板周縁への金属堆積または金属成長を防ぐこととを目的として、誘電体がコーティングされる場合がある。従来のコーティング材料塗布方法では、基板のエッジにローラを当接させる。ローラには、基板のエッジに対して押し付けられる面を有する溝がある。溝に与えられたコーティング材料は、ローラおよび基板を回転させると、基板のエッジに塗布される。コーティング材料は、別の処理工程で大型の乾燥オーブンで硬化させる必要があるサーマルインクを含むとしてよい。このため、サーマルインクを用いると、関連して必要となるオーブンのコストが高く、フットプリントが大きいので、比較的大規模な設備投資が必要となる。また、サーマルオーブンを利用する場合、その前の処理工程でウェハ表面に堆積させられた材料は、オーブン内の温度に接することで、影響を受ける可能性がある。従来のエッジコーティング方法に関する問題は他にも、塗布部が機械的に直接接触することによって基板に応力が与えられることや、サーマルインクを用いたプロセスによるエッジコーティング効果の信頼性が低いことが挙げられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
非接触型エッジコーティング装置は、太陽電池用基板のエッジにコーティング材料を塗布する塗布部と、塗布部を駆動する制御システムとを備える。当該制御システムは、基板のエッジにコーティング材料をコーティングするべく基板を回転させる場合に、基板のエッジとの間に距離を維持するべく軸に沿って塗布部を駆動するとしてよい。塗布部は、エッジコーティングのために基板のエッジが挿入される凹部を有しているとしてよい。例えば、塗布部は、溝を有するローラであってよい。コーティング材料は、基板のエッジに塗布されるべく、溝に供給されるとしてよい。当該装置では、さまざまなコーティング材料を利用するとしてよく、そのようなコーティング材料には、ホットメルトインクおよびUV硬化性メッキレジストが含まれる。
【0005】
上記およびその他の本発明の特徴は、本開示内容を全て参照することによって当業者に容易に明らかになるであろう。本開示内容は、添付図面および請求項を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の実施形態に係る、太陽電池用非接触型エッジコーティングシステムを示す斜視図である。
【図2】図1に示す非接触型エッジコーティングシステムを示す側面図である。
【図3】図1に示す非接触型エッジコーティングシステムを示す側面図である。
【図4A】図1に示す非接触型エッジコーティングシステムの一部を示す斜視図である。
【図4B】図1に示す非接触型エッジコーティングシステムの一部を示す側面図である。
【図5A】本発明の実施形態に係る、エッジコーティング処理中の太陽電池基板に対するローラを相対的に示す概略側面図である。
【図5B】本発明の実施形態に係る、エッジコーティング処理中の太陽電池基板に対するローラを相対的に示す概略上面図である。
【図6A】本発明の実施形態で利用され得る従来の空気バネの動作原理を示す概略図である。
【図6B】本発明の実施形態で利用され得る従来の空気バネの動作原理を示す概略図である。
【図7】本発明の実施形態に係るコーティング材料供給システムを示す斜視図である。
【図8】本発明の別の実施形態に係る太陽電池用の非接触型エッジコーティングシステムを示す図である。
【図9】図8の非接触型エッジコーティングシステムを示す側面図である。
【図10】図8の非接触型エッジコーティングシステムを示す上面図である。
【図11A】図8の非接触型エッジコーティングシステムの一部を示す斜視図である。
【図11B】図8の非接触型エッジコーティングシステムの一部を示す側面図である。
【図12】本発明の実施形態に係る、図8の非接触型エッジコーティングシステムの制御システムを示す概略図である。
【図13A】本発明の実施形態に係るエッジコーティング処理中の、軸に沿ったローラの移動を示す概略図である。
【図13B】本発明の実施形態に係るエッジコーティング処理中の、軸に沿ったローラの移動を示す概略図である。
【図13C】本発明の実施形態に係るエッジコーティング処理中の、軸に沿ったローラの移動を示す概略図である。
【図13D】本発明の実施形態に係るエッジコーティング処理中の、軸に沿ったローラの移動を示す概略図である。
【図14】本発明の実施形態に係る太陽電池基板のエッジをコーティングする方法を示すフローチャートである。
【0007】
複数の異なる図面にわたって同一の参照符号を使用する場合、同一または同様の構成要素を指し示すものとする。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示では、装置、構成要素、および方法の例など、具体的且つ詳細な説明を多用して、本発明の実施形態を完全に理解できるようにする。しかし、当業者であれば、そのような具体的且つ詳細な説明の一部がなくとも本発明を実施し得ることに想到するであろう。また、公知の詳細な内容については、本発明の側面をあいまいにすることを避けるべく、図示および記載を省略する。
【0009】
図1は、本発明の実施形態に係る、太陽電池基板用非接触型エッジコーティングシステム100を示す斜視図である。以下の説明でより明らかになるが、システム100は特に、太陽電池基板のエッジをコーティングするべく構成されている。尚、太陽電池基板の形状は通常、非円形である。太陽電池基板を回転させた場合に非円形の形状が描く軌道は、塗布部に基板のエッジを追従させることがかなり困難なものである。従来の太陽電池基板エッジコーティング方法では、コーティング材料を供給するローラをエッジに物理的に接触させることで、この問題を回避していた。
【0010】
図1に示す例では、システム100は、搬送部110、塗布システム120、および視認システム160を備える。塗布システム120にコーティング材料を供給するコーティング材料供給システムは、図示の便宜上、図1には示していない。システム100と共に利用可能な材料供給システムの一例は、図7を参照しつつ後述する。本発明の利点を損なうことなく、その他の材料供給システムを利用することも可能である。
【0011】
搬送部110は、事前位置合わせステーション163(図2を参照のこと)と、塗布システム120が基板101のエッジをコーティングすることができる位置との間で、非円形の太陽電池基板101を移動させるハンドリング機構を有するとしてよい。尚、基板101は、一実施形態において、略正方形状を持つ(pseudo−square)半導体ウェハを含む。図1の例では、搬送部110は、市販の多軸ロボットを有する。
【0012】
搬送部110の端部には、基板101を保持するチャック113として設けられている基板支持部と、カム112とが配設されている。カム112は、基板101と形状が同じであるとしてもよいが、寸法は異なる(例えば、基板101よりも小さい)としてよい。チャック113は、真空力またはその他の手段で基板101を保持するとしてよい。チャック113は、例えば、硬化ステンレス鋼を含むとしてよい。搬送部110は、エッジコーティング処理において、塗布システム120の従動子123と接触するようにカム112を位置決めする。
【0013】
塗布システム120は、基板101のエッジにコーティング材料を塗布するための機構を有する。塗布システム120は、ローラ121として設けられているコーティング塗布部と、ローラ121を回転させる回転駆動機構122と、単一軸に沿って基板101に対してローラ121を近接および離間させる滑動アセンブリ124とを有するとしてよい。
【0014】
搬送部110は、エッジコーティング処理において、図1に示すように、塗布システム120に対応するように基板101を位置決めする。滑動アセンブリ124が上方向に移動すると、従動子123を押してカム112に接触させる。滑動アセンブリ124の空気バネ126は、従動子123に比較的一定の圧力を加えて、カム112に接触させる。搬送部110は、基板101を回転させて、ローラ121から供給されるコーティング材料を基板101のエッジにコーティングさせる。駆動機構122は、カム112と接触しておりカム112の形状を追従する従動子123を回転させる。ローラ121および従動子123は、従動子123とカム112との間の機械的な接触面に応じて空気バネ126によってローラ121が滑動するように、機械的に結合されている。このため、ローラ121は、基板101の形状に応じて移動する。基板101およびローラ121は、互いに同一方向または異なる方向に、インクの種類および特性(例えば、粘度および接着力)に応じて決まる速度で、回転させられるとしてよい。反対方向に回転させる場合、基板101の速度およびローラ121の速度は通常、それぞれ250deg/secおよび100−300RPMである。
【0015】
エッジコーティングシステム100は、本例ではローラ121である塗布部がエッジコーティング処理中に基板101のエッジに接触しないという点において、「非接触型」である。実際のところ、図1に示す例において、システム100のハードウェア構成要素のいずれも、コーティング材料がエッジに塗布されている間、基板101のエッジに接触しない。基板101は、基板101のエッジに物理的に接触することなく、エッジコーティング材料を与えられる溝125(図4Aおよび図4Bを参照のこと)としてローラ121に設けられている凹部内に配置されている。コーティング材料は、溝125に塗布され(図4Aに示す供給管411を参照のこと)、溝125内にエッジを位置させることによって基板101のエッジに移される。搬送部110によって基板101を回転させることによって、基板101の周縁エッジの全周にわたって塗布することができる。
【0016】
視認システム160は、ステーション163から基板101を取るべく、搬送部110にチャック113を正しく位置決めさせる。視認システム160は、カメラ162と、ステーション163と、照明器具164とを有するとしてよい。コンピュータシステム161は、視認システム160、塗布システム120、および搬送部110を備えるシステム100の動作を制御する。図1に示した構成要素の一部は、明瞭に説明するべく、図2および図3にも図示している。
【0017】
図2を参照しつつ説明すると、基板101は、製造担当者によって手動で、または、自動ハンドリングシステム(不図示)によって、ステーション163に配置される。ステーション163は、容易に位置を特定できるように、搬送部110と相対的に一定の座標に設けられている。また、ステーション163は、基板101を搬送部110に対して相対的に事前に位置合わせできるような形状を持つので、基板101の取り出しおよびチャック113およびカム112に対する位置合わせが容易になる。視認システム160は、ステーション163内の基板101の画像を撮像して、画像を分析して基板表面の中心を探し、基板101の向きを決める。コンピュータ161は、制御ソフトウェアを用いて、視認システム160からの情報に基づき、搬送部110に、基板101の表面領域の中心とチャック113の表面領域の中心とが一致するように、基板101の位置を特定させ、取り出しをさせる。搬送部110は、基板101の位置を特定してチャック113に対して相対的に位置合わせした後、図2に示すように基板101を取って、図3に示すように塗布システム120によるエッジコーティング処理のために位置決めする。搬送部110は、エッジコーティング処理の後、基板101をステーション163に戻す。視認システム160は、本発明の利点を損なうことなく、市販の構成要素を用いて実施するとしてよい。
【0018】
図4Aは、エッジコーティング処理における基板101およびローラ121の相対的な関係を示す斜視図である。コーティング材料は、供給管411を介して、ローラ121の溝125へと供給される。供給管411は、可撓性の供給管141を介して、材料供給タンク(図7の参照番号142を参照のこと)からコーティング材料を受け取る。駆動機構122は、コーティング材料が溝125に供給されている間、カム123およびローラ121を回転させる。基板101は、カム112に機械的に結合されているチャック113によって保持されている。エッジコーティング処理中、搬送部110の回転駆動部131がカム112を回転させるので、基板101も回転させられる。基板101のエッジは、溝125内に配置されて、コーティング材料が塗布される。余分なコーティング材料は、ドクターブレード(不図示)によって除去される。基板101の中心は、エッジコーティング処理中は、比較的一定の位置にある。回転駆動部131は、チャック113および基板101と共に、カム112を回転させる。空気バネ126(図3を参照のこと)は、ローラ121が基板101の形状に追従するように、従動子123を押してカム112に追従させる。
【0019】
図4Bは、エッジコーティング処理における基板101およびローラ121の相対的な関係を示す側面図である。尚、基板101のエッジは、エッジコーティング処理中において、ローラ121に物理的に接触していない。基板101のエッジは、溝125に挿入されている。カム112の形状は基板101と同様または同一であり、従動子123がカム112と機械的に接触しているので、ローラ121は、物理的に接触することなく、基板101のエッジにコーティング材料を塗布することができる。
【0020】
図5Aおよび図5Bは、本発明の実施形態に係る、エッジコーティング処理中の基板101に対するローラ121を相対的に示す概略側面図および概略上面図である。図5Bには、滑動アセンブリ124の空気バネ126が従動子123に対して比較的一定の力を加えているので、従動子123はカム112の形状を追従するように移動する様子が概略的に示されている。基板101のエッジは、溝125の表面またはローラ121のその他の部分に接触することなく、溝125の内部に配置されている。
【0021】
図6Aおよび図6Bは、本発明の実施形態で利用される従来の空気バネ126の動作原理を示す概略図である。図6Aおよび図6Bに示す例では、空気バネ126は圧力P1を維持するように構成されているので、従動子123に加えられる力は、カム112の外形に関わらず比較的一定である。負荷圧力PLOADに等しい圧力P0は、給気システムを用いて空気バネ126に加えられる。当該給気システムは、小さい換気孔502を有しており、空気が漏れて漏れ圧力PLEAKが発生する。このように空気が漏れるので、空気バネ126の加圧チャンバ503に加えられる総圧力は、P1=P0−PLEAKとなる。チャンバ503の反対側の空気バネ126のチャンバ505は、大気圧の状態である。したがって、チャンバ505には圧力または抵抗力がかかっていない。ピストン504は、従動子123と接触している。従動子123がカムの平坦部分または中央部分に対して押圧されている場合、空気バネ126が従動子123に力を加え、図6Aに示すように従動子123が押圧されてカム112と接触する。カム112の角のエッジが従動子123と接触するようにカム112が回転している場合、カム112は従動子123を押し返して、図6Bに示すように空気バネ126に対して力が加わる。図6Bの場合、チャンバ503内の空気の体積は減少して、チャンバ503内の圧力P1が増加する。このため、換気孔502から空気がいくらか流出していき、チャンバ503内の圧力P1は比較的一定に保たれる。
【0022】
図7は、本発明の実施形態に係るコーティング材料供給システムを示す斜視図である。図7に示す例では、材料供給システムは、コーティング材料を含む材料供給タンク142を有する。タンク142から供給されるコーティング材料は、可撓性の供給管141を介して供給管411に流入する。コーティング材料は、供給管411内を流れてローラ121に到達し、ローラ121によって、物理的に接触することなく、基板101のエッジに塗布される。
【0023】
一実施形態において、非円形の基板101は、略正方形状を持つ(例えば、図7に示す基板101を参照のこと)半導体ウェハを含む。ウェハの中心がカム表面の中心と一致すると仮定すると、ウェハの丸みを帯びた角部分に塗布されるコーティング材料の幅は、以下の式によって表される。
【数1】
一方、ウェハのエッジのうち平坦な部分に塗布されるコーティング材料の幅は、以下の式によって表される。
【数2】
【0024】
ウェハの中心がカム表面の中心と一致しない場合、ウェハのエッジに塗布されるコーティング材料の幅は一般的に、以下の式によって表される。
【数3】
【0025】
上述の記載からすると、コーティング幅は、所与のウェハ直径に対してカムの直径、従動子の直径、ローラの直径、およびカムの幅を選択することによって、特定の用途向けに調整することが可能である。
【0026】
以上から分かるように、非接触型エッジコーティングシステム100は、本発明の利点を損なうことなく、さまざまなコーティング材料を利用するとしてよい。例えば、エッジコーティングシステム100は、サーマルインクを利用するとしてよい。しかし、エッジコーティングシステム100は、大型のオーブンで硬化または乾燥させる必要がないコーティング材料を利用することが好ましい。一実施形態によると、コーティング材料は、SunJet社製のような、蝋を含むホットメルトインクを含む。ホットメルトインクを利用する場合、タンク142および関連して設けられるホース、管状系統、および供給管は、加熱することが好ましい。
【0027】
別の実施形態では、コーティング材料は、UV(紫外線)硬化性メッキレジストを含む。UV硬化性メッキレジストは、集束ビームを供給するLED(発光ダイオード)システム、例えば、スポット硬化LEDまたはリキッドライトガイドに露光することによって硬化させられるとしてよい。スポット硬化LEDおよびリキッドライトガイドは、例えば、UV Process Supply,Inc社から市販されているものを利用することができる。硬化方法として他に考えられるものは、例えば、Fusion UV Systems Inc社またはDymax Corporation社から市販されているUVランプまたはUV電球を用いるものである。UV硬化性メッキレジストは、「UVインク」とも呼ばれ、太陽電池用のエッジコーティング材料として多くの利点を持ち、例えば、熱要件が低いので、先行する処理工程で堆積させられたホットメルトが液状化することがなく、特定の領域に限定してUV硬化を集中して行うことができるので、太陽電池の正面側にUV露光を行うことがない。以下の説明でより明らかになるが、UV硬化性メッキレジストはさらに、必要な硬化設備が小型で、塗布システムへの実装が容易であるという利点を持つ。
【0028】
図8には、本発明の別の実施形態に係る非接触型エッジコーティングシステム800を示す。システム800は、システム100と同様に、図1の例ではローラ821として示す塗布部が非円形の太陽電池基板801と物理的に接触することなく、基板801にコーティング材料を塗布するように構成されているという点において、非接触型である。しかし、システム800は、機械的配置ではなく、電子制御手段を用いて、基板に対して相対的に塗布部を位置決めするという点で、システム100と相違する。
【0029】
図8に示す例では、非接触型エッジコーティングシステム800は、搬送部810と、塗布システム820と、処理対象物保持アセンブリ840と、制御システム900(図12を参照のこと)と、事前位置合わせステーション863と、硬化部851とを備える。塗布システム820にコーティング材料を供給するコーティング材料供給システムは、図示の便宜上、図8には示していない。システム800で利用可能な材料供給システムの一例としては、図7を参照しつつ上述したものが挙げられる。本発明の利点を損なうことなく、その他の材料供給システムを利用するとしてもよい。
【0030】
搬送部810は、事前位置合わせステーション863と、基板801のエッジを塗布システム820がコーティングすることが出来る位置との間で、非円形の太陽電池基板801を移動させるためのハンドリング機構を有するとしてよい。基板801は、略正方形状を持つ半導体ウェハを含むとしてよい。
【0031】
図8に示す例では、搬送部810は、ピックアンドプレースロボットを有する。搬送部810は、ビーム873と、エンドエフェクタ872を含むアーム871とを有するとしてよい。エンドエフェクタ872を上下させることによって、基板801を取り上げる、または、配置するとしてよい。エンドエフェクタ872は、真空力によって基板801を保持するとしてよい。
【0032】
基板801は、製造担当者によって手動で、または、自動ハンドリングシステム(不図示)によって、事前位置合わせステーション863に配置されるとしてよい。ステーション863は、容易に位置を特定できるように、搬送部810と相対的に一定の座標に設けられている。また、ステーション863は、基板801を搬送部810に対して相対的に事前に位置合わせできるような形状を持つので、基板801の取り出しおよび位置合わせが容易になる。動作を説明すると、搬送部810はステーション863から基板801を取って、塗布システム820に向かってビーム873に沿って滑動し、基板801を保持アセンブリ840に載置する。搬送部810は、エッジコーティング処理後に、逆方向の動作を実行して基板801をステーション863に戻す。
【0033】
保持アセンブリ840は、基板801を支持および保持するように構成されるとしてよい。保持アセンブリ840は、例えば、真空力によって基板801を保持するチャック843として設けられる基板支持部を有するとしてよい。保持アセンブリ840はさらに、チャック843および基板801を回転させる回転駆動部842を、所定位置に有するとしてよい。チャック843の中心は、一定の座標にあるとしてよく、エッジコーティング中に変わらない。
【0034】
塗布システム820は、単一軸滑動アセンブリ824に載っているローラ821として設けられている塗布部を有するとしてよい。ローラ821は、基板801のエッジが挿入される溝825(図11Aおよび図11Bを参照のこと)として設けられている凹部を含む。以下の説明でより明らかになるが、滑動アセンブリ824は、単一軸に沿ってローラ821を移動させて、基板801のエッジに物理的に接触することなく、基板801のエッジにコーティングを施す。コーティング材料は、溝825に塗布され(図11Aに示す供給管811を参照のこと)、溝825内にエッジを位置させることによって基板801のエッジに移される。回転駆動部842によって基板801を回転させることによって、基板801の周縁エッジの全周にわたってコーティングを施すことができる。硬化部851は、コーティング材料として用いられているUV硬化性メッキレジストを硬化させるスポット硬化LEDまたはその他の手段を含むとしてよい。本発明の利点を損なうことなく、サーマルインクおよびホットメルトインク等、その他のコーティング材料も用いるとしてよい。
【0035】
制御システム900は、チャック843上にある基板801の画像を撮像するカメラ862と、カメラ862の光源となる照明器具864と、カメラ862が撮像した画像を処理して、基板801のエッジに物理的に接触することなく、基板801のエッジにローラ821がコーティング材料を塗布するように、基板801に対して滑動アセンブリ824を近接および離間させるコンピュータ861とを有するとしてよい。制御システム900はさらに、図12を参照しつつ後述する。
【0036】
図9および図10はそれぞれ、システム800を示す側面図および上面図である。図9および図10に参照番号付で示した構成要素は、図8を参照しつつ既に説明している。
【0037】
図11Aおよび図11Bはそれぞれ、エッジコーティング処理における、基板801とローラ821との相対的な関係を示す斜視図および側面図である。コーティング材料は、供給管411を介して、溝825へと塗布される。供給管411は、可撓性の供給管141(図7を参照のこと)を介して、コーティング材料を受け取る。基板801のエッジは、溝825内にあるコーティング材料を受け取る。チャック843は、回転駆動部842(図8および図9を参照のこと)によって回転させられて、基板801を回転させる。この結果、約100−300RPMおよび200−370deg/secという速度で、ウェハの周縁エッジの全周に渡ってコーティング材料でコーティングすることができる。図11Aおよび図11Bに示すように、基板801のエッジは溝825に挿入されているが、エッジコーティング処理中に、ローラ821のいずれの部分にも、また、システム800のいずれのハードウェア構成要素にも接触していない。
【0038】
図12は、本発明の実施形態に係る非接触型エッジコーティングシステム800用の制御システム900を示す概略図である。図12に示す例では、制御システム900は、コンピュータ861と、カメラ862と、駆動モジュール942と、データ取得モジュール943と、対応するデータ取得制御ソフトウェア944とを備える。
【0039】
データ取得モジュール943は、カメラ862が撮像した画像を受信して、当該画像をコンピュータ861による読み取りおよび処理が可能な形式に変換するとしてよい。駆動モジュール942は、滑動アセンブリ942およびローラ821を単一軸に沿って駆動するための制御信号をコンピュータ861から受信するとしてよい。データ取得制御ソフトウェア944は、カメラ862が撮像した画像を処理して、ローラ821を駆動するための対応する制御信号を出力するためのコンピュータ読み取り可能プログラムコードを含むとしてよい。動作を説明すると、制御システム900は、物理的に接触させることなく基板801のエッジにコーティングを施すことために、基板801に対してローラ821を近接および離間させるためのクローズドループサーボとして動作している。
【0040】
ソフトウェア944は、エッジコーティング処理に先立って、基板801のエッジ上のポイント(「エッジポイント」)の位置を特定するべく、チャック843上にある基板801の画像を撮像するように、データ取得モジュール943に命令する。エッジコーティング処理中、ソフトウェア944は、エッジポイントを追いかけて、対応する制御信号を駆動モジュール942に送信して、基板801の回転速度を所与として所定のコーティング距離でエッジポイントをローラ821が追従するように、滑動アセンブリ824を移動させる。このようにして、制御システム900は、基板801の形状が円形でないにも関わらず、ローラ821の溝825の端面と、基板801のエッジとの間にコーティング距離を保つ。
【0041】
図13A、図13B、図13C、および図13Dは、本発明の実施形態に係るエッジコーティング処理中の、単一軸971に沿ったローラ821の移動を示す概略図である。図13Aにおいて、制御システム900は、エッジコーティングに先立って、基板801のエッジポイント1−16の位置を特定する。この時点において、ローラ821の中心は、軸971では位置974にあり(水平軸上では位置X0にある)、基板801からは離れている。図13A、図13B、図13C、および図13Dの例では、基板801の中心975は、軸971が通る一定の座標にある。
【0042】
図13Bでは、制御システム900は、基板801のエッジにコーティング材料を塗布するべく、ローラ821の位置を移動させる。そして、ローラ821および基板801を同一方向に、本例では反時計回り方向(矢印951を参照のこと)に、回転させる。制御システム900は、基板801のエッジポイント1が軸971上にある場合には、軸971に沿って位置976(水平軸上では位置X1)にローラ821の中心を位置決めして、基板のエッジに対してコーティング距離を保つ。一般的に、制御システム900は、基板801を回転させている間、エッジポイント1−16を追いかける。基板801の回転中心である中心975の座標が固定されていて、その固定座標およびエッジポイント1−16の位置を知っていれば、制御システム900は、基板801を回転させている間、計算することで基板801のエッジを全周にわたって追いかけ、基板801のエッジと相対的にローラ821を移動させて、エッジと物理的に接触しないようコーティング距離を維持する。
【0043】
図13Cは、基板801が回転している場合に、制御システム900が、ローラ821の中心を、軸971上を位置977(水平軸上では位置X2)へと移動させて、エッジポイント2について距離を空けている様子を示している。このため、エッジポイント2とローラ821とを物理的に接触させることなく、ローラ821から基板801のエッジポイント2へとコーティング材料を塗布することができる。
【0044】
図13Dは、基板801が回転している場合に、制御システム900が、ローラ821の中心を、軸971上を位置978(水平軸上では位置X3)へと移動させて、エッジポイント3が軸972上に来るようにしている様子を示している。
【0045】
制御システム900は常に、基板801に対してローラ821を近接および離間させるように調整して、基板801との間にコーティング距離を維持して、非接触エッジコーティングを実行している。
【0046】
図14は、本発明の実施形態に係る太陽電池基板のエッジをコーティングする方法980を示すフローチャートである。方法980の説明には非接触型エッジコーティングシステム800の構成要素を用いるが、これは例示を目的とするのみである。本発明の利点を損なうことなく、その他の構成要素を用いるとしてもよい。
【0047】
方法980は、エッジコーティング処理を開始する前に、基板のエッジ上にあるポイントの位置を特定することが開始される(工程981)。例えば、搬送部810(図8を参照のこと)が、事前位置合わせステーション863から基板801を取って、チャック843上に基板801を載置するとしてよい。データ取得制御ソフトウェア944(図12を参照のこと)は、データ取得モジュール953に対して、基板801の画像を撮像するように命令するとしてよい。ソフトウェア944は、画像に基づき、基板のエッジ上のポイントの位置を特定するとしてよい。
【0048】
そして、基板を回転させている間、エッジポイントを追いかける(工程982)。例えば、ソフトウェア944は、チャック843に保持されている基板801が回転させられている間、基板801の画像を常に受信するとしてよい。基板801は、固定回転軸を中心として回転させられており、ソフトウェア944には固定回転軸の座標が既知である。ソフトウェア944は、エッジポイントを追いかけることによって、基板801のエッジの軌道を算出することができるので、ローラ821の単一移動軸で基板801のエッジがどの程度延伸しているかを算出することができる。このため、ソフトウェア944は、ローラ821および基板801が回転させられている間、ローラ821と基板801のエッジとの間のコーティング距離を求めることができる。
【0049】
コーティング材料を基板のエッジに塗布する塗布部は、単一軸に沿って、基板のエッジに対してコーティング距離を維持するべく移動させられる(工程983)。非接触型エッジコーティングシステム800を用いて例で説明を続けると、ソフトウェア944は、駆動モジュール942に制御信号を送信して、ローラ821および基板801を回転させている間、溝825の表面(図11Aを参照のこと)と基板801のエッジとの間のコーティング距離を保つように、滑動アセンブリ824を駆動する。コーティング距離は、基板801のエッジをコーティングできるような予め定められた一定の距離であってもよいし、または、所定の範囲内の距離であってもよい。
【0050】
基板のエッジは、基板を回転させつつ、コーティング材料でコーティングされる(工程984)。例えば、コーティング材料をローラ821の溝825に塗布するとしてよい。溝825内のコーティング材料は、ローラ821および基板821が回転させられると、基板801のエッジに与えられる。コーティング材料は、サーマルインク、ホットメルトインク、または、好ましくはUV硬化性メッキレジストを含むとしてよい。
【0051】
コーティング材料は、基板が基板支持部上にある間に、硬化されるとしてよい(工程985)。これは、例えば、UV硬化性メッキレジストを利用する場合に利用可能な任意の工程である。この場合、基板801がまだチャック843上にある間に、硬化部851を起動して、基板801のエッジにコーティングされたUV硬化性メッキレジストを硬化させる。このようにすることで、基板801をチャック843に1回搭載すれば、コーティング工程および硬化工程を実行することができるようになる。
【0052】
搬送部810は、エッジコーティング処理後に、チャック843から基板801を取って、事前位置合わせステーション863に基板801を戻すとしてよい。
【0053】
太陽電池基板に対して非接触型エッジコーティング処理を実行するための装置および方法を開示している。本発明の具体的な実施形態を挙げているが、上記の実施形態は本発明を例示するために記載されたに過ぎず本発明を限定するものではないものと理解されたい。本開示内容を参照すれば、当業者には、さらに数多くの実施形態を実施できることが明らかである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池用基板のエッジをコーティングする装置であって、
太陽電池用の非円形の基板を保持する基板支持部と、
コーティング材料を受け取る塗布部と、
前記基板のエッジに前記コーティング材料を塗布するべく前記基板が回転させられている間に、前記基板の前記エッジと前記塗布部との間に距離を維持するべく、軸に沿って前記塗布部を駆動する制御システムと
を備える装置。
【請求項2】
前記コーティング材料は、ホットメルトインクを含む請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記コーティング材料は、UV硬化性メッキレジストを含む請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記基板が前記基板支持部上にある間に前記基板の前記エッジに塗布された前記UV硬化性メッキレジストを硬化させる硬化部をさらに備える請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記基板支持部は、真空力で前記基板を保持するチャックを有する請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記塗布部は、前記コーティング材料が塗布されるように前記基板の前記エッジが挿入される溝を持つローラを有する請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記基板は、固定された中心点を中心にして回転させられ、前記塗布部は、前記固定された中心点を通る単一軸に沿って移動する請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記軸に沿って前記塗布部を移動させる滑動アセンブリをさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記塗布部が前記コーティング材料を前記基板の前記エッジに塗布する第1のステーションと、第2のステーションへとの間で、前記基板を移動させる搬送部さらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記搬送部は、ピックアンドプレースロボットを有する請求項9に記載の装置。
【請求項11】
太陽電池用基板のエッジをコーティングする方法であって、
塗布部にコーティング材料を供給する段階と、
太陽電池用の非円形の基板を回転させる段階と、
前記塗布部から前記基板の前記エッジへと前記コーティング材料を塗布する段階と、
前記基板を回転させて前記基板の前記エッジを前記コーティング材料でコーティングする場合に、前記塗布部を移動させて前記塗布部と前記基板の前記エッジとの間に距離を設ける段階と
を備える方法。
【請求項12】
前記コーティング材料は、ホットメルトインクを含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記コーティング材料は、UV硬化性メッキレジストを含む請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記基板の前記エッジに前記コーティング材料をコーティングしていた間に前記基板を支持していた基板支持部上に前記基板が位置している間に前記メッキレジストを硬化させる段階
をさらに備える請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記塗布部は、単一軸に沿って移動させられる
請求項11に記載の方法。
【請求項16】
太陽電池用基板のエッジをコーティングする装置であって、
コーティング材料を受け取るローラと、
太陽電池用の非円形の基板のエッジが挿入される、前記ローラの凹部と、
前記コーティング材料を前記基板の前記エッジに塗布させるべく前記基板を回転させる場合に、前記ローラと前記基板との間に距離を維持するように前記凹部を移動させる制御システムと
を備える装置。
【請求項17】
前記コーティング材料は、ホットメルトインクを含む請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記コーティング材料は、UV硬化性メッキレジストを含む請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記基板の前記エッジに前記コーティング材料を塗布させるべく前記基板を回転させている際に、真空力によって前記基板を保持する基板支持部をさらに備える請求項16に記載の装置。
【請求項20】
第1の位置と第2の位置との間で前記基板を移動させる搬送部
をさらに備え、
前記第1の位置は、前記基板の前記エッジに前記コーティング材料がコーティングされる位置で、前記第2の位置は、前記搬送部によって取り上げられるように前記基板を事前位置合わせする位置である請求項16に記載の装置。
【請求項1】
太陽電池用基板のエッジをコーティングする装置であって、
太陽電池用の非円形の基板を保持する基板支持部と、
コーティング材料を受け取る塗布部と、
前記基板のエッジに前記コーティング材料を塗布するべく前記基板が回転させられている間に、前記基板の前記エッジと前記塗布部との間に距離を維持するべく、軸に沿って前記塗布部を駆動する制御システムと
を備える装置。
【請求項2】
前記コーティング材料は、ホットメルトインクを含む請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記コーティング材料は、UV硬化性メッキレジストを含む請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記基板が前記基板支持部上にある間に前記基板の前記エッジに塗布された前記UV硬化性メッキレジストを硬化させる硬化部をさらに備える請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記基板支持部は、真空力で前記基板を保持するチャックを有する請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記塗布部は、前記コーティング材料が塗布されるように前記基板の前記エッジが挿入される溝を持つローラを有する請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記基板は、固定された中心点を中心にして回転させられ、前記塗布部は、前記固定された中心点を通る単一軸に沿って移動する請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記軸に沿って前記塗布部を移動させる滑動アセンブリをさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記塗布部が前記コーティング材料を前記基板の前記エッジに塗布する第1のステーションと、第2のステーションへとの間で、前記基板を移動させる搬送部さらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記搬送部は、ピックアンドプレースロボットを有する請求項9に記載の装置。
【請求項11】
太陽電池用基板のエッジをコーティングする方法であって、
塗布部にコーティング材料を供給する段階と、
太陽電池用の非円形の基板を回転させる段階と、
前記塗布部から前記基板の前記エッジへと前記コーティング材料を塗布する段階と、
前記基板を回転させて前記基板の前記エッジを前記コーティング材料でコーティングする場合に、前記塗布部を移動させて前記塗布部と前記基板の前記エッジとの間に距離を設ける段階と
を備える方法。
【請求項12】
前記コーティング材料は、ホットメルトインクを含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記コーティング材料は、UV硬化性メッキレジストを含む請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記基板の前記エッジに前記コーティング材料をコーティングしていた間に前記基板を支持していた基板支持部上に前記基板が位置している間に前記メッキレジストを硬化させる段階
をさらに備える請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記塗布部は、単一軸に沿って移動させられる
請求項11に記載の方法。
【請求項16】
太陽電池用基板のエッジをコーティングする装置であって、
コーティング材料を受け取るローラと、
太陽電池用の非円形の基板のエッジが挿入される、前記ローラの凹部と、
前記コーティング材料を前記基板の前記エッジに塗布させるべく前記基板を回転させる場合に、前記ローラと前記基板との間に距離を維持するように前記凹部を移動させる制御システムと
を備える装置。
【請求項17】
前記コーティング材料は、ホットメルトインクを含む請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記コーティング材料は、UV硬化性メッキレジストを含む請求項16に記載の装置。
【請求項19】
前記基板の前記エッジに前記コーティング材料を塗布させるべく前記基板を回転させている際に、真空力によって前記基板を保持する基板支持部をさらに備える請求項16に記載の装置。
【請求項20】
第1の位置と第2の位置との間で前記基板を移動させる搬送部
をさらに備え、
前記第1の位置は、前記基板の前記エッジに前記コーティング材料がコーティングされる位置で、前記第2の位置は、前記搬送部によって取り上げられるように前記基板を事前位置合わせする位置である請求項16に記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図14】
【公表番号】特表2011−517844(P2011−517844A)
【公表日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−545930(P2010−545930)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/032278
【国際公開番号】WO2009/099839
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(505379467)サンパワー コーポレイション (41)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/032278
【国際公開番号】WO2009/099839
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(505379467)サンパワー コーポレイション (41)
【Fターム(参考)】
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