説明

家畜糞尿の離水・乾燥処理システム

【課題】ボイラーへ供給する乾燥有機物の着火性能が良く、低温でも自燃焼する含水率20重量%以下程度の乾燥有機物を得、ボイラーの排熱と温水を有効利用できる家畜糞尿の離水・乾燥処理システムを提供する。
【解決手段】家畜糞尿貯蔵装置1、家畜糞尿供給装置2、撹拌翼を備えたロータリーキルン乾燥装置3、木質系微細粉体貯蔵サイロ4、混合供給装置5、ボイラー型温水発生装置6、温水循環装置7、乾燥有機物貯蔵サイロ8からなる循環型有機物離水・乾燥処理システムであって、叩解装置と細粉砕する粉体生成装置を備えた粉体精製機20によって得られる水分吸着能力を高めた木質系微細粉体と、家畜糞尿とを混合・撹拌・乾燥し、該混合物を乾燥有機物貯蔵サイロ8へ貯蔵し、主部をボイラー型温水発生装置6へ供給するとともに、残部を複合バイオマス燃料として利用する袋詰め装置105を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家畜糞尿と叩解かんな屑とを混合して家畜糞尿から水分を離水させつつ乾燥工程で乾燥させ、自燃焼性の複合バイオマス燃料とする家畜糞尿の離水・乾燥システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、わが国では、家畜糞尿等の処理は、大筋堆肥製造により畑地・牧草地等に散布・施用されているが、堆肥製造工程での発酵完熟に時間とコストがかかるだけでなく、悪臭の拡散・水質汚染等の環境汚染が大きな問題となっている。
多くのバイオマスを燃料として扱うには、家畜糞尿は水分を多量に含んでいるため、水分含有率が高く、そのまま着火しようとしても燃えず、着火の容易性のために多くの技術が報告されている。
例えば、家畜糞尿にオガ屑を投入して水分調整する方法により、水分を低減して運搬可能にする堆肥化処理(特許文献1)が提案されているが、畑地の過剰窒素化の問題がある。
また、家畜糞尿に助材を投入し、脱水して固形化して燃料や肥料にする方法(特許文献2)が提案されているが、助材としてパルプ滓などを使用したときに乾燥後の生成物の含有水分量が高くなり、固形までに長時間を要し、セルロース廃棄物に水分調整材として乾燥ペレットの一部を混入して用い、造粒後に乾燥する手段(特許文献3)が提案されているが、工程管理の煩わしさがあり、微細粉と家畜糞尿を機械撹拌して摩擦熱で水分を蒸発させて乾燥する方法(特許文献4)が提案されているが、大容量の撹拌モーターを数百〜千数百rpmの高速運転をしているので、安全性の確保とエネルギー消費の問題がある。また、植物性有機物粉砕方法及びその装置で様々な植物性有機物を粉砕処理(特許文献5)が提案されているが、装置が複雑になり、家畜糞尿と木質系の炭化物もしくは半炭化物を所定の重量比で混合し、これを乾燥させ燃焼させる手段(特許文献6)が提案され、燃焼工程において発生した熱を混合物の乾燥に利用しているが、燃焼炉を用いているので、多量の化石燃料の必要がある。
また、おしめ製造工程から生じる不良品の吸水性樹脂を利用する家畜糞尿の処理材(特許文献7)もあるが、吸水性樹脂の高熱焼却や不良品材料という原料の安定供給に、さらに、特許文献8では、水分20%以下のオガ屑を水分調整材として使用することも提案されているが、水分調整のための装置の大型化の問題等がある。
そこで、本発明者らは、上記従来技術の改善として、木質系材料(オガ屑)と家畜糞尿を混合し乾燥することによって、家畜糞尿の有機物から水分を25%程度まで乾燥させ、石油代替燃料とする提案(特許文献9)をしたが、この技術では、水分含有率が25%程度でも、未だ安定した自燃焼性が得られず、ボイラーの補助バーナーで化石燃料の必要があった。
上述するように、従来の家畜糞尿の燃焼化処理システムでは、高熱を発生させる装置(化石燃料を使用する石油ボイラー、ガスボイラー、電熱装置等)を稼動させることによって家畜糞尿の水分を蒸発させるため、燃料コストが嵩むだけでなく、環境性能も悪く、危険性も伴い、作業時間も長くかかり、乾燥した家畜糞尿は依然として含有水分率が高く、燃料として燃焼をさせるのに補助バーナーを必要とし、化石燃料を多く要する等の問題がある。
【0003】
【特許文献1】特開昭54−117145号公報
【特許文献2】特開2006−273983号公報
【特許文献3】特許第3981021号
【特許文献4】特開2005−246359号公報
【特許文献5】特開2006−64308号公報
【特許文献6】特開2007−40684号公報
【特許文献7】特許第3288317号
【特許文献8】特許第3981021号
【特許文献9】特許第4149487号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述するような従来技術に鑑み、本発明では、ボイラー型温水発生装置へ供給する乾燥有機物の着火性能が良く、低温でも自燃焼する水分含有率20重量%以下程度の乾燥有機物を得、ボイラー型温水発生装置の排熱と温水を有効利用できる家畜糞尿の離水・乾燥処理システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下の構成を有する発明を完成するに至った。
本願の基本的な発明は、(1)家畜糞尿貯蔵装置、該家畜糞尿貯蔵装置から家畜糞尿を所定量供給する(2)家畜糞尿供給装置、(3)撹拌翼を備えたロータリーキルン乾燥装置、(4)木質系微細粉体貯蔵サイロ、(5)混合供給装置、(6)ボイラー型温水発生装置、(7)温水循環装置、(8)乾燥有機物貯蔵サイロからなる循環型有機物離水・乾燥処理システムであって、叩解装置と細粉砕する粉体生成装置を備えた粉体精製機を設けて、かんな屑を、該叩解装置によって木質構造を構成するセルロース分子の結合を緩ませ、該粉体生成装置によって細粉砕せしめて得られる水分吸着能力を高めた木質系微細粉体と、上記(2)家畜糞尿供給装置から供給された家畜糞尿とを混合した後、上記(3)ロータリーキルン乾燥装置に供給し、撹拌・乾燥し、乾燥された混合物を(8)乾燥有機物貯蔵サイロへ貯蔵し、主部を、乾燥有機物供給装置を経て(6)ボイラー型温水発生装置へ供給し、該(6)ボイラー型温水発生装置で発生する排熱を上記(3)ロータリーキルン乾燥装置へ送風するとともに、温水を各種用途に利用する上記(7)温水循環装置と、残部を複合バイオマス燃料として利用する袋詰め装置を備えることを特徴とする家畜糞尿の離水・乾燥処理システムとすることで、(6)ボイラー型温水発生装置へ供給する乾燥混合物の着火性能が良く、低温でも自燃焼する水分含有率20重量%以下程度の乾燥混合物を得、(6)ボイラー型温水発生装置の排熱と温水を有効利用でき、また、(6)ボイラー型温水発生装置で消費しない乾燥された混合物の残部を、複合バイオマス燃料として温室栽培農家等のボイラー燃料として有効利用できる構成である。
通常、木材の切断屑であるオガ屑は燃焼に際しては、先の引用文献9にあるように補助燃料を用いることによって750℃程度で燃焼が可能となる。
本発明では、かんな屑を叩解、細粉砕処理を加えることによって、補助燃料なしの500℃程度で自燃焼が可能である。
また、本発明では、木質系微細粉体は、木の繊維が持つ多孔性を有し、常温で水分約15〜18重量%という高乾燥状態のパウダーで、付着水分は加熱されると速やかに蒸発するという離水能力が大きい。
なお、本発明の技術は、家畜糞尿に限られることなく、野菜や食品の残渣等の高含水率の屑を、適宜、シュレッダー等の手段で粉砕事前処理をすることによって同様の離水・乾燥処理システムとすることができる。
【0006】
本願の第2の発明は、家畜糞尿への木質系微細粉体の混合比率は、35重量%〜65重量%であることを特徴とするものである。混合比率が、該重量%範囲より小さいと自燃焼性が悪くなり、大きいと自燃焼性に問題はないが、有効利用できる割合が少なくなる。
【0007】
本願の第3の発明は、上記第1又は第2の発明のいずれかに記載されている家畜糞尿の離水・乾燥処理システムであって、上記(2)家畜糞尿供給装置から供給される家畜糞尿の水分含有率が、70〜80重量%であることを特徴とするものである。
【0008】
本願の第4の発明は、上記第1〜第3の発明のいずれかに記載されている家畜糞尿の離水・乾燥処理システムであって、粉体精製機で精製される木質系微細粉体の大きさが、厚さ0.02〜0.2mm、横幅1〜10mm、長さ2〜20mm、カサ密度0.1〜0.3g/cm(150℃、30分乾燥)であることを特徴とするものである。
すなわち、木質系微細粉体は、その大きさが前記範囲外では、家畜糞尿との混合が適度の隙間を確保できず、離水効果等に影響し、乾燥された混合物の水分含有率にバラツキを生じ、乾燥された混合物の自燃焼性の劣化を生じる等の問題があり、そのカサ密度は、木質系微細粉体を150℃、30分乾燥してから測定したものであるから、カサ密度が小さいのは、木質系微細粉体がふわふわでよじれ曲がっているためで、家畜糞尿との混合が適度の隙間を有する状態を保ち、乾燥時に離水促進等の効果を発揮する。
【0009】
本願の第5の発明は、上記第1〜第4の発明のいずれかに記載されている家畜糞尿の離水・乾燥処理システムであって、粉体精製機で精製される木質系微細粉体は、常温での水分吸収能力(150℃、30分乾燥した木質系微細粉体1g当たりの吸収水)が、1.0g水分/g粉体(5分)〜1.5g水分/g粉体(10分)、かつ水分蒸発能力(150℃雰囲気にて)が、5〜10分で吸収水分を全量放出することを特徴とするものである。
すなわち、木質系微細粉体1gを150℃、30分乾燥した後、5分間・10分間で吸収する水分量の範囲が1g〜1.5gで、水分を吸収した該木質系微細粉体1gが、150℃雰囲気で吸収した水分を全量放出するまでの時間の範囲が5〜10分であることを示す。
なお、水分吸収量の測定は、木質系微細粉体が家畜糞尿と接する際の条件に近似した、すなわち、木質系微細粉体を水中に所定時間没した後、吸水性の良い紙類(トイレット紙)で水分を十分拭き取り後、その重量増加分を測定したものである。
本発明では、上記水分吸収能力及び水分蒸発能力を有することによって、家畜糞尿との混合時に家畜糞尿からの水分移行が効果的に行われ、ロータリーキルン乾燥装置までの搬送が容易になり、乾燥時の水分蒸発がスムーズに行われるなどの効果がある。
上記水分吸収能力、水分蒸発能力の範囲外では、家畜糞尿からの水分移行が不十分で、べたつきが生じ、ロータリーキルン乾燥装置までの搬送が困難で、乾燥時においても装置内で均一な攪拌を困難にするなどのトラブルを生じ、水分含有率が不均一な乾燥物となる。
【0010】
本願の第6の発明は、上記第1〜第5の発明のいずれかに記載される家畜糞尿の離水・乾燥処理システムによって生じる効果であって、複合バイオマス燃料袋詰め装置へ送る乾燥混合物の量は、乾燥混合物全体の10〜30重量%であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の家畜糞尿の離水・乾燥処理システムは、150℃以上のボイラー型温水発生装置の排熱を直接乾燥装置へ送り込むので、乾燥混合物の水分含有率を20重量%以下程度とすることができ、上記ボイラー炉内温度もオガ屑等を使用していたときの約600℃以上(先願発明、特許文献9)から約450℃で着火が可能で、自燃焼できるようになり、結果的に乾燥燃料の品質、燃焼効率の向上、ボイラー型温水発生装置の自燃焼停止に至るなどの操業バラツキの改善、ボイラー用点火バーナーへの給油量低減も実現できる。
さらに、ロータリーキルン乾燥装置へ安定した上記ボイラー排熱を送風することができるので、ロータリーキルン乾燥装置の燃焼バーナーへの給油量も大幅低減が可能で、ランニングコストを減少させる上に、表面積が大きい木質系微細粉体の優れた消臭性で、システム全体から発生する臭気を極めて少なくするなどの優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の家畜糞尿の離水・乾燥処理システムの実施形態を図1及び2によって説明する。
【0013】
図1は、本発明装置における一実施例におけるフローチャートで、図2は、構成する装置を配置した平面図である。
同図において、家畜舎から排出された家畜糞尿は、家畜糞尿貯蔵装置(サイロや堆肥センター等)へ集積され、家畜糞尿供給装置10へ搬送車両やバケットコンベアー等により供給される。家畜糞尿供給装置10は、下部にベルトコンベアー11を備え、ギヤードモータ12で駆動し、タイマーを備え間欠運転制御をし、家畜糞尿供給装置10出口側に設けたギヤードモータ13で駆動する切り出し回転装置(図示せず)を駆動し、タイマーを備え間欠運転制御を行い、所定量の家畜糞尿を混合供給装置60に供給する。14は投入口の一部で、原料の家畜糞尿が投入される原料投入ピット部である。
【0014】
20は、粉体精製機で、木材加工工場で発生するかんな屑を木質系微細粉体に精製する装置で、かんな屑を叩解して木質構造を構成するセルロース分子の結合を緩ませる叩解装置と細粉砕する粉体生成装置を備えている。
木材加工工場等に設置され、各需要家は屋外等へ木質系微細粉体を貯蔵する木質系微細粉体貯蔵サイロ30を搬入車が容易に駐車できる位置に設置し、公知のエアー式搬送装置やスクリュウ式搬送装置等で木質系微細粉体を木質系微細粉体供給装置40へ搬送する。 該木質系微細粉体供給装置40は、貯留構造で相当の容積を有し、エアー付き搬送装置41を備え、木質系微細粉体の送り込みを行うスクリュウコンベア42が連接されて構成されている。
【0015】
50は、貯蔵装置サイロで、木質系微細粉体供給装置40から供給される木質系微細粉体を貯蔵し、下部から所定量を送り出す回転・制御装置(図示せず)を備えている。
【0016】
60は、処理前の家畜糞尿と木質系微細粉体を所定の比率で混合させる混合供給装置で、処理前の家畜糞尿の水分含有率に応じて供給される木質系微細粉体との混合物をスクリュウコンベア61で混練搬送する。搬送導通路62は、上方に向けて傾斜して設けられ、ロータリーキルン乾燥装置70の乾燥機投入装置71と連通接続されている。
所定の比率で混合された家畜糞尿と木質系微細粉体(被乾燥物)は、上方に向けて傾斜して設けられた搬送導通路62を通過する際、スクリュウコンベア61の圧力と被乾燥物の自重により圧縮される作用が発生し、家畜糞尿との密着度が高まり、家畜糞尿からの離水効果が高まる。
【0017】
70は水平設置された向流式のロータリーキルン乾燥装置で、一端に搬送導通路62が乾燥機投入装置71を介して接続され、該乾燥機投入装置71内部には、2個のスクリュウコンベア72が設けられ駆動モーター73によって駆動され、混合された被乾燥物がロータリーキルン乾燥装置70へ定量投入され、他端へ燃焼用バーナー80とボイラー型温水発生装置110の排熱ダクト81が接続されている。
ロータリーキルン乾燥装置70内部には、被乾燥物を撹拌する撹拌翼(図示せず)を備え、駆動装置74によって駆動され、被乾燥物を乾燥機投入装置71側から他端の燃焼用バーナー80側へ被乾燥物を乾燥させながら移動させ、燃焼用バーナー80側ロータリーキルン乾燥装置70下部に設けた排出口82(図示せず)から、被乾燥物が排出される。
ロータリーキルン乾燥装置70他端へ設けた燃焼用バーナー80とボイラー型温水発生装置110の排熱ダクト81から供給される熱風は、移動する被乾燥物と対向流し、上記乾燥機投入装置71側ロータリーキルン乾燥装置70上部に設けた排気口75から排気される。
被乾燥物には、上記する木質系微細粉体が混入されているので、その離水性能の良さで、熱風及び被乾燥物の移動時による摩擦熱とともに蒸散乾燥し、被乾燥を促進する。被乾燥物が排出口82へ近づくにつれ、乾燥度も高くなるので、木質系微細粉体の粉塵が発生し、蒸発した潜熱を含んだ高湿度の熱風の流れに乗り、排気口75から排出される。
【0018】
90は公知のサイクロン粉塵処理装置で、排気口75から排出される粉塵を回収する装置で、排気ダクト91を介して粉塵が供給され、屋外へ排気する煙突92が上部に設けられ、下部はホッパーとなし、粉塵を回収している。
回収した粉塵は、乾燥度が高いのでボイラー型温水発生装置110の燃料としても、木質系微細粉体貯蔵サイロ30等へ戻してもよく、公知の自動搬送装置を設けることができ、有効に再利用できる。
【0019】
100は乾燥有機物貯蔵サイロで、向流式のロータリーキルン乾燥装置70排出口82(図示せず)から排出され、乾燥した混合物を公知の搬送手段101を介し、上部から投入貯蔵される。
乾燥有機物貯蔵サイロ100下部には、ボイラー型温水発生装置110や複合バイオマス燃料袋詰め装置105へ自動的に搬送する手段を備えると同時に、手動でも排出できる手段を備えている。
102は、ボイラー型温水発生装置110へ乾燥した混合物を搬送する乾燥有機物供給装置で、乾燥有機物貯蔵サイロ100下部側からボイラー型温水発生装置110上部へ設けた燃料自動供給装置111へ、乾燥した混合物を燃料として自動供給している。
【0020】
110はボイラー型温水発生装置で、上部に燃料自動供給装置111が設けられ、側面下部に点火バーナー112が設けられ、ボイラー型温水発生装置110近傍に設置した化石燃料タンク120が設けられている。
113は、ボイラー型温水発生装置110の排熱ダクト81に設けたダンパーで、ボイラー型温水発生装置110の炉内温度が低い点火直後の状態では、若干の開口で閉じ、所定の炉内温度に達した後は、100%開放し、熱気をロータリーキルン乾燥装置70へ送る。
また、同時にボイラー型温水発生装置110炉内温度が低い点火直後、化石燃料タンク120から上記燃焼用バーナー80への給油量を多くし、定常運転になった後には給油量を止め、ランニングコストを低減する。
さらに、ボイラー型温水発生装置110内部には、子豚豚舎床暖房等へ給湯する温水循環装置を備え、公知の配管接続設備を外部に複数備えている。
【0021】
130は、制御盤で、上記述べた各種装置の制御装置や安全装置を収納し、シーケンサー制御装置を備え、集中コントロール機能を有している。
他の設備と本システムを集中制御でき、省力装置として効果がある。
【0022】
なお、図2で示す実線で囲まれた各装置は、同一建屋内へ設備してもよく、家畜糞尿貯蔵装置や粉体精製機20、木質系微細粉体貯蔵サイロ等は、別の場所に設けられている。
上記実施態様の家畜糞尿の離水・乾燥処理システムは、乾燥した混合物の水分含有率を20重量%以下程度とすることができるので、自燃焼燃料として使用できる廃棄物系バイオマスエネルギー装置として、また、化石燃料使用量を低減することができるので、CO発生量削減やコスト低減が可能になり、臭気発生をきわめて低くできる装置である等の利点のあることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施形態のフローチャート。
【図2】実施形態の装置を配置した平面図。
【符号の説明】
【0024】
10 家畜糞尿供給装置
11 ベルトコンベアー
12 ギヤードモータ
13 ギヤードモータ
14 投入口の一部
20 粉体精製機
30 木質系微細粉体貯蔵サイロ
40 木質系微細粉体供給装置
41 エアー付き搬送装置
42 スクリュウコンベア
50 貯蔵装置サイロ
60 混合供給装置
61 スクリュウコンベア
62 搬送導通路
70 ロータリーキルン乾燥装置
71 乾燥機投入装置
72 スクリュウコンベア
73 駆動モーター
74 駆動装置
75 排気口
80 燃焼用バーナー
81 排熱ダクト
82 排出口(図示せず)
90 サイクロン粉塵処理装置
91 排気ダクト
92 煙突
100 乾燥有機物貯蔵サイロ
101 搬送手段
102 乾燥有機物供給装置
105 複合バイオマス燃料袋詰め装置
110 ボイラー型温水発生装置
111 燃料自動供給装置
112 点火バーナー
113 ダンパー
120 化石燃料タンク
130 制御盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)家畜糞尿貯蔵装置、該家畜糞尿貯蔵装置から家畜糞尿を所定量供給する(2)家畜糞尿供給装置、(3)撹拌翼を備えたロータリーキルン乾燥装置、(4)木質系微細粉体貯蔵サイロ、(5)混合供給装置、(6)ボイラー型温水発生装置、(7)温水循環装置、(8)乾燥有機物貯蔵サイロからなる循環型有機物離水・乾燥処理システムであって、叩解装置と細粉砕する粉体生成装置を備えた粉体精製機を設けて、かんな屑を、該叩解装置によって木質構造を構成するセルロース分子の結合を緩ませ、該粉体生成装置によって細粉砕せしめて得られる水分吸着能力を高めた木質系微細粉体と、上記(2)家畜糞尿供給装置から供給された家畜糞尿とを混合した後、上記(3)ロータリーキルン乾燥装置に供給し、撹拌・乾燥し、乾燥された混合物を(8)乾燥有機物貯蔵サイロへ貯蔵し、主部を、乾燥有機物供給装置を経て(6)ボイラー型温水発生装置へ供給し、該(6)ボイラー型温水発生装置で発生する排熱を上記(3)ロータリーキルン乾燥装置へ送風するとともに、温水を各種用途に利用する上記(7)温水循環装置と、残部を複合バイオマス燃料として利用する袋詰め装置を備えたことを特徴とする家畜糞尿の離水・乾燥処理システム。
【請求項2】
家畜糞尿への木質系微細粉体の混合比率は、35重量%〜65重量%であることを特徴とする請求項1に記載の家畜糞尿の離水・乾燥処理システム。
【請求項3】
上記(2)家畜糞尿供給装置から供給される家畜糞尿の水分含有率が、70〜80重量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の家畜糞尿の離水・乾燥処理システム。
【請求項4】
粉体精製機で精製される木質系微細粉体の大きさが、厚さ0.02〜0.2mm、横幅1〜10mm、長さ2〜20mm、カサ密度0.1〜0.3g/cm(150℃、30分乾燥)であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の家畜糞尿の離水・乾燥処理システム。
【請求項5】
粉体精製機で精製される木質系微細粉体は、常温での水分吸収能力(150℃、30分乾燥した木質系微細粉体1g当たりの吸収水)が、1.0g水分/g粉体(5分)〜1.5g水分/g粉体(10分)、かつ水分蒸発能力(150℃雰囲気)が、5〜10分で吸収水分を全量放出することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の家畜糞尿の離水・乾燥処理システム。
【請求項6】
複合バイオマス燃料袋詰め装置へ供給される乾燥混合物の量は、乾燥混合物全体の10〜30重量%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の家畜糞尿の離水・乾燥処理システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−75772(P2010−75772A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−243484(P2008−243484)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(506207831)株式会社五常 (5)
【Fターム(参考)】