説明

射出成形方法及び射出成形装置

【課題】溶融プラスチックを冷却するための圧力の釣合いのとれた射出環境を作る射出成形方法を提供する。
【解決手段】本発明の溶融材料の射出方法は、流体圧力の加圧流体を金型キャビティに供給する工程と、溶融材料を第1溶融圧力まで加圧する工程と、第1溶融圧力が流体圧力と釣り合いがとれたときに溶融材料の射出を開始する工程と、第1溶融圧力を第2溶融圧力まで続いて増大させる工程と、加圧流体に抗して溶融材料を金型キャビティの中に射出する工程と、溶融材料の射出のときに流体圧力を維持する工程と、溶融材料の射出中、流体圧力と溶融材料の第2溶融圧力との間の差圧を維持する工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形方法及び射出成形装置に関する。本発明は、特に、溶融プラスチックが射出成形機によって加工されるときに、溶融プラスチックの最適な溶融圧力を監視して維持する閉ループ制御装置を用いる射出成形方法及び射出成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
溶融プラスチックが射出成形機によって加工されるとき、プラスチックは金型キャビティに入り、このキャビティ内でプラスチックは冷却され、所望の成形品形状を形成する。冷却が起こるとき、プラスチックはキャビティ内で収縮する。
【0003】
この収縮の結果、成形品は大きさが実際に収縮し、しばしば、ひけあと即ち低スポットが成形品の表面に発生する。収縮及びひけあとは、射出成形が最初に開発されたときから射出成形業者にとって重大問題を引き起こしていた。これらの問題を除去する試みにおいて、幾つかの方法が開発された。ある例はガス補助式射出成形、構造的フォーム成形、液体ガス補助式射出成形等を含む。加えて、プラスチックに不活性ガスを発生させるために、溶融プラスチックと混合するための発泡剤が成形工程で使用された。これらの不活性ガスはプラスチック内の内圧を生じさせ、それにより、プラスチックが金型のキャビティを更に完全に満たすことを可能にし、プラスチックをキャビティ壁に押しつける。これもまた、プラスチック成形品の表面のひけを減らすのを助ける。また、金型キャビティ内のガス逆圧が成形部品の表面平滑性を改善するのに用いられた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの従来技術の方法は、成形工程における多数の変化により、全て問題がある。成形圧力及び成形速度を変えること、溶融圧力及び溶融温度を変えること、キャビティの状態を変えること及びガスの制御されていないガス抜きは、全て不安定な成形環境に寄与する。成形工程のこれらの種々の問題は焼け及び重合体鎖の分断を引き起こし、プラスチック材料をキャビティ内で冷却するとき、プラスチック内に内部応力を生じさせ、この内部応力はプラスチック内に残る。これらの内部応力は、成形すべきプラスチック成形品の収縮、ひけ及びそりを引き起こす。加えて、これらの種々の成形問題は、プラスチック材料が射出成形機により加工されるとき、プラスチック材料の崩壊を導く。一般に、圧力、温度及び射出速度の不規則な変化により材料の破壊を生じさせ、成形された如き最終製品にあらわれる内部問題をプラスチックに引き起こす。
【0005】
従来技術装置の他の欠点は、これらの装置内のプラスチック溶融流れが、溶融プラスチックが金型のキャビティの中へ移動するとき、キャビティの寸法形状の変化により、圧力の変化に直面することである。これらの圧力変化により、キャビティのある領域を他の領域より迅速に充填させ、かくして、キャビティの異なる領域で冷却特性が異なるようになる。これらの冷却の変化により、プラスチックの凝固方向が不一致となり、その結果、表面応力、ウェルドライン又はひけが生ずる。
【0006】
プラスチックが射出成形機の中を移動するとき、溶融プラスチックの圧力をいっそうしっかりとかつ均一に制御する、いっそう釣合いのとれた射出成形工程を開発することが望ましい。重合体鎖の状態の変化によって引き起こされる上述の問題を除去するために、プラスチックの内部応力を減じるために、プラスチックに作用する圧力を釣合わせる射出成形工程を開発することが更に望ましい。このような射出成形工程の最終的目標は、金型のキャビティ表面とほとんど完全に合い、最終製品の収縮、ひけ及びそりになる内部応力を完全に軽減し、機械的性質を大いに改善した最終製品を製造することであろう。加えて、成形品重量を減らすことができ、これにより、十分な材料節約を製造業者にもたらす。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、溶融プラスチックを金型キャビティの中へ射出するとき、装置を圧力で予め負荷することが望ましく、これにより、圧力変化が測定可能になる状態を作り、制御可能な差圧を金型キャビティ内のガスの圧力と溶融プラスチックの圧力との間に確立することができることの実現から生ずる。プラスチックの金型キャビティの中への射出及び凝固の最適な圧力状態を作るために、即時の閉ループ制御を行うことによって、ガス圧及び溶融プラスチックの静的溶融圧力を制御器によって検知し、非常に正確に監視する。予め負荷をかけられた溶融体の金型キャビティの中への予めプログラムされた移動から引き起こされた差圧にもとづくこの閉ループ圧力制御は、溶融体の静圧を射出及び凝固のサイクル全体を通して制御する能力を提供し、溶融体が溶融体ホルダーから移動し、金型キャビティ内で凝固するとき、溶融体の最適な射出及び凝固の圧力状態を作る能力を提供する。
【0008】
本発明は、金型内に形成される金型キャビティの中に溶融材料を射出する方法と、金型キャビティと流体連通するバレルを含んでいる射出成形機で使用される射出成形方法と、射出成形機で使用するための金型と、溶融材料を加圧する手段を有するバレルを含んでいる金型キャビティの中に溶融材料を射出する装置と、バレルを有する射出成形機で使用される射出成形方法とを提供する。
【0009】
本発明に関連する方法は、射出成形機で使用される射出成形方法である。この方法は、(a)プラスチックペレットが射出成形機内で可塑化されるとき、溶融プラスチック内の内部逆圧を生じさせ、(b)溶融プラスチックがキャビティの中へ射出されるときに内部逆圧と釣合うために、射出成形機の金型のキャビティ内の空気を内部逆圧と実質的に等しい空気圧レベルまで加圧し、かくして、プラスチックの実質的に圧力の釣合いのとれた成形環境を作る工程を含む。
【0010】
また、本発明に関連する方法は、射出成形機によって金型キャビティの中へ射出された溶融プラスチックから金型キャビティ内で形成されたプラスチック成形品の内部応力を減じる方法である。この方法は、(a)キャビティに所定の空気圧まで圧力を加え、(b)溶融プラスチックを所定の空気圧と等しい第1溶融圧力で創り出すように射出成形装置を作動させ、(c)所定の空気圧と第1溶融圧力とが等しくなるときに溶融プラスチックを金型キャビティと連通させ、(d)引き続いて、溶融圧力を第2溶融圧力まで増大させ、溶融プラスチックを金型キャビティの中へ射出する所定時間の可なりの部分の間、金型キャビティ内の空気圧と第2溶融圧力との間の実質的に一定の差を維持し、それによって、形成されるプラスチック成形品の内部応力を減じるような方法で、溶融プラスチックに作用する圧力の状態を最適にする工程を含む。
【0011】
また、本発明に関連する方法は、溶融プラスチックを受け入れるためのキャビティが形成された金型と、金型キャビティを所定の溶融圧力で溶融プラスチックで充填する射出圧力を作るための液圧ユニットとを有する射出成形機で使用される射出成形方法である。この方法は、(a)空気をキャビティに所定の空気圧で供給し、(b)射出中、溶融圧力を検知し、(c)射出中、キャビティ内の空気圧を検知し、(d)検知した溶融圧力及び検知した空気圧を監視し、溶融圧力を所望レベルで維持するための信号を液圧ユニットに生じさせる閉ループ制御器を設ける工程を含む。
【0012】
また、本発明に関連する方法は、金型を有する射出成形機で使用される射出成形方法方法である。この方法は、(a)プラスチックが金型内で加工されるとき、プラスチックが受けるべき最大応力を決定し、(b)プラスチックの金型の中への射出の前に、プラスチック内に逆圧を生じさせ、この逆圧は決定された最大応力と実質的に等しく、(c)プラスチックが金型の中に射出されるとき、プラスチック内の逆圧を測定された最大応力と少なくとも等しく維持する工程を含む。
【0013】
また、本発明に関連する方法は、金型キャビティの中へ射出された溶融プラスチックから金型キャビティ内で形成されたプラスチック成形品の内部応力を減じる方法である。この方法は、(a)キャビティに所定の空気圧まで圧力を加え、(b)溶融体に所定の空気圧と等しい第1溶融圧力まで圧力を加え、(c)両方の圧力が等しくなるときに溶融プラスチックをキャビティと連通させ、(d)引き続いて、溶融圧力を射出のための第2溶融圧力まで増大させる工程を含む。
【0014】
また、本発明に関連する方法は、射出成形機で使用される射出成形方法である。この方法は、(a)射出成形機内で成形すべきプラスチックのショットが受けるべき最大応力を計算し、最大応力はプラスチックが射出成形機の金型のキャビティ内で冷却されるときに起こる体積収縮の結果であり、(b)プラスチックが射出成形機のバレル内で可塑化されるときにプラスチックのショットを第1溶融圧力まで加圧し、第1溶融圧力は計算された最大応力と実質的に等しく、(c)キャビティ内の空気を第1溶融圧力と実質的に等しい空気圧まで加圧し、(d)溶融プラスチックがプラスチックをキャビティに入れる箇所に対して同心に前記キャビティに流入する層流の方法で、プラスチックのショットのキャビティの中への射出を開始させ、(e)プラスチックのショットの溶融圧力を第2溶融圧力まで増大させ、同時に、キャビティ内の空気圧を実質的に一定に維持し、プラスチックのショットをキャビティの中へ射出する時間の可なりの部分の間、キャビティ内の空気圧と第2溶融圧力との間の実質的に一定の差を維持し、(f)第1及び第2の溶融圧力を検知し、それらの圧力を示すフィードバック信号を生じさせ、(g)前記フィードバック信号を受け、前記フィードバック信号を基準値と比較し、前記第1及び第2の溶融圧力を制御するための信号を生じさせ、(h)工程(b)に戻る工程を含む。
【0015】
また、本発明は、金型の前半部及び後半部を備える、射出成形機で使用される金型に関連している。この金型において、前半部には溶融プラスチックを射出成形機から受け入れるための孔が形成されている。前半部と後半部は協働して、それらの間にキャビティを形成し、キャビティは溶融プラスチックを孔から受け入れるために、孔と流体流れ連通(すなわち、流体を流すことができるように連通)している。複数のベントが前半部及び後半部の一方に形成され、ベントは、ベントの第1端及び第2端を有する。複数のベントの各々の第1端はキャビティと流体流れ連通している。ベントは、キャビティにプラスチックが充填されているとき、キャビティ内の実質的に一定の空気圧を維持するために以下の式に従って構成される。
【0016】
【数1】

【0017】
ここで、Aはベントの横断面積であり、Wはポンド/秒でのベントを通過する加圧空気の排出量であり、Cは流れ係数であり、P1はポンド/平方インチでのキャビティ内の空気圧であり、T1は華氏度でのキャビティ内の温度である。溝が後半部及び前半部の一方に形成され、溝は加圧空気をベントを通してキャビティの中へ移動させかつキャビティから移動させるために、複数のベントの各々の第2端と流体流れ連通している。一対の弁が溝と選択的に流体流れ連通して設けられる。弁の対の一方は加圧空気を溝に供給するために、加圧空気を空気管路から選択的に受け入れるようになっていて、弁の対の他方は加圧空気の溝からの排出を選択的に可能にするようになっている。キャビティに溶融プラスチックが充填されているとき、加圧空気が金型の前半部と後半部との間のキャビティから漏れるのを阻止するために、シールがキャビティの周囲を囲みかつ前半部と後半部との間に位置決めされる。
【0018】
(発明の目的)
従って、本発明の目的は、溶融プラスチックを冷却するための圧力の釣合いのとれた射出環境を作る射出成形方法を提供することにある。
本発明の更なる目的は、改善した加工制御装置の結果、プラスチック材料の崩壊を減少させる射出成形方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、溶融プラスチックが金型のキャビティの中へ射出されるとき、乱流の発生がいっそう少ない射出成形方法を提供することにある。
本発明のなお更なる目的は、最終製品の表面応力を大いに減少させる射出成形方法を提供することにある。
【0019】
本発明の更なる目的は、成形した部品の収縮、ひけ及びそりが少ない射出成形方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、溶融プラスチックをむらのない指向的な方法で冷却させかつ凝固させる射出成形方法を提供することにある。
本発明のなお他の目的は、加工サイクル時間が少なく、成形品の重量が少ない射出成形方法を提供することにある。
本発明のなお更なる目的は、金型のキャビティ内の所望の空気圧を維持することができる金型を提供することにある。
【0020】
本発明のこれらの及び他の特徴、目的及び利点は、添付図面を参照するとともに、そのために以下の説明を読む際に明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1を参照すると、本発明の方法で使用される射出ユニット12を有する射出成形機10を示す。プラスチック用樹脂がホッパー14から射出成形機のバレル16の中に移動する。バレル16からの熱とスクリュー18の回転運動により、プラスチック用樹脂を溶融させ、射出成形機によって成形すべきプラスチックのショットを形成する。プラスチックのショットは射出成形機によって加圧される。プラスチックのショットの溶融圧力は溶融圧力トランスジューサ20により測定されかつ調節される。プラスチックがノズルから垂れ落ちるのを阻止し、バレル16内の溶融プラスチックの加圧を可能にするために、バレル16の頂部に正遮断弁が設けられる。
【0022】
金型22が射出成形機10に挿入される。金型22は前半部24と後半部26とを有する。前半部24には射出成形機から溶融プラスチックのショットを受け入れるための孔28が形成されている。金型22の前半部24と後半部26は協働して、それらの間にキャビティ30を形成する。キャビティ30は、溶融プラスチックのショットを受け入れるために、孔28と流体流れ連通している。溶融プラスチックのショットは、プラスチック成形品を冷却してキャビティの形状に合ったプラスチック成形品を形成するために、キャビティ30に押し込まれ、そして、その中に保持される。
【0023】
成形工程全体を通して圧力を検知するためのトランスジューサが設けられる。射出ユニット12の射出圧力は射出圧力トランスジューサ32によって監視される。空気圧が空気管路34を通して金型22のキャビティ30に与えられる。キャビティ30内の空気圧は空気圧トランスジューサ36によって監視される。空気圧トランスジューサは、真の圧力表示度数をキャビティから取ることができるようにベント内に配置される。空気圧トランスジューサを有するベントは溝44から連通を絶たれる。ゴムシール38が、加圧空気が金型のキャビティ30から漏れるのを阻止するために、金型22の前半部と後半部26との間に設けられる。しばしば、溶融プラスチックが高圧下で金型の中に射出されるとき、金型の前半部24及び後半部26はわずかに分離され、かくして、加圧空気のそこからの漏れを許す。ゴムシール38は加圧空気のキャビティからのこの漏れを阻止するように設計される。
【0024】
閉ループ制御器40が射出成形機10に設けられる。閉ループ制御器40は圧力信号を圧力トランスジューサ20、32、36から受け、これらの圧力信号を予め決定された基準値と比較し、従って、信号を射出成形機に送って圧力を調節する。
【0025】
図2を参照すると、キャビティ30と流体流れ連通している複数のベント42を示す。これらのベントの目的は、溶融プラスチックがキャビティ30の中に射出されるとき、加圧空気及びガスの排出を可能にすることにある。溝44がベント42と流体流れ連通して、キャビティ30のまわりに設けられる。加圧空気及びガスはベントを通して溝の中に移動する。加圧空気を空気管路34から溝44に供給するための第1の弁46が、溝44と選択的な流体流れ連通して設けられる。同様に、加圧空気の放出のための第2の弁48が、溝44と選択的な流体流れ連通して設けられる。この密閉された弁付きベント装置の目的は、ベントオリフィス制御装置を金型の外側でなく溶融流れの直前に設けることにある。この方法では、溶融プラスチックがキャビティの中へ射出されるとき、溶融圧力に抵抗するキャビティ空気圧が得られる。
【0026】
上述した装置で使用される本発明による方法は、キャビティの中へ射出された溶融プラスチックの各体積単位は冷却中、表面張力の調整により収縮し、可なりの応力が固体成形品に生じる事にもとづく。これらの状態は溶融プラスチック内の同伴ガスの発生によって緩和される。これらの同伴ガスは溶融体の流動度を実質的に変え、溶融プラスチックをキャビティの中へ射出するのに必要とされる射出圧力の量を減少させることによって潤滑剤として作用する。同伴ガスにより、溶融プラスチックを大変柔軟にさせ、扱いやすくする。また、金型キャビティの体積とキャビティで成形された固体成形品の体積との間の予測した体積差は、体積収縮に抵抗し、バレル内の溶融プラスチックを、内部応力を除去するのに十分な圧力で予め混合するための基礎として用いることができる。
【0027】
或る所望量の同伴ガス及び水分を溶融プラスチック内に生じさせることによって、同伴ガス及び水分の移動を止める、同伴ガス及び水分の分圧のレベルが確立される。また、ガスの分解が止められ、ガスを、釣合いのとれた表面張力によって静的な位置を維持させる。加えて、凝固プラスチック内の負圧が除去される。
【0028】
図2に示すベント装置は、キャビティ内の一定のガス圧力抵抗を維持する可能性を作り出し、これによって、キャビティ内の溶融プラスチックの一様でない流れ分布を除去する。溶融プラスチックはキャビティスペース内に、孔28に関して実質的に同心に分配される。これにより、溶融体がキャビティ内を移動し、成形品の全ての部分で同じ圧力特性のもとにキャビティ内で凝固する独特の可能性を与える。これは、また、溶融プラスチック内に同伴されるガスがプラスチックのショットの表面に移動する可能性を除去する。溶融プラスチックのキャビティの中への供給速度はキャビティの全ての領域で一定に維持される。同伴ガス及び水分に引き起こされた内圧に加えて、この一定の供給速度は、溶融プラスチックがキャビティ壁と早くから加圧接触するので、冷却速度が増す利点をもたらす。
【0029】
この加圧接触により、熱のキャビティ壁からの散逸の結果、溶融プラスチックを更に迅速に冷却させる。冷却速度が増すことにより、製造業者にとってかなりの省力になる実質的なサイクル時間削減になる。
【0030】
金型のキャビティ内の空気圧を制御することにより、釣り合いのとれた溶融プラスチックの成形環境を確立する能力を与える。溶融プラスチックをこれらの状態下で加工することにより、通常、水分の存在で分解生成物によって化学的に作用を及ぼされる重合体の崩壊及び分断を阻止する。
【0031】
キャビティ内の空気圧と溶融圧力との間の圧力の釣り合いの結果、プラスチックの表面張力の発達が回避される。効果的に、この釣合いのとれた圧力系により、プラスチックの指向的な凝固を引き起こす。換言すれば、溶融プラスチックは溶融プラスチックの表面から溶融プラスチックの中心までの一定の直線で冷える。この指向的な凝固により、成形品の収縮、ひけ及びそりになる表面応力を除去する。この工程の最終結果は、収縮及びひけが無く、応力が完全に軽減された、キャビティ面のほとんど正確な複製である成形品の生産である。そのうえ、この工程により、構造一体性が高められることに加えて、機械的特性が強く、形状安定性が有る成形品を製造する。
【0032】
本発明の最善の実施の形態によれば、射出成形機で使用される射出成形方法を提供する。第1工程は射出成形機10で成形すべきプラスチックのショットが受けるべき最大応力を計算することであり、この最大応力はプラスチックが金型22のキャビティ30内で冷却されるときに起こる体積収縮の結果である。成形すべき成形品が矩形横断面を有する細長い棒であると仮定すれば、以下の式があてはまる。成形品が収縮の結果受けるべき最大均一荷重を以下の数式2に示すように計算する。
【0033】
【数2】

【0034】
ここで、qは単位面積当たりの均一荷重であり、aはキャビティの幅であり、bはキャビティの厚さであり、hはキャビティの高さであり、Eはプラスチックの見掛けの弾性率であり、kはプラスチックの熱変形温度にもとづく変数であり、yはプラスチックの収縮係数である。
【0035】
均一荷重計算方程式は、成形品の形状及び加工すべきプラスチックに応じて変わる。もちろん、これらの式は機械制御装置にプログラム化され、従って、作業者は機械を扱うためにプラスチックの特性を入れるのに必要とされるにすぎない。
【0036】
次に、プラスチックのショットが受けるべき最大の機械的応力を最大均一荷重に従って、以下の数式3に従って計算する。
【0037】
【数3】

【0038】
ここで、S(機械的)は成形品が受けるべき最大の機械的応力であり、aはキャビティの幅であり、bはキャビティの厚さであり、hはキャビティの高さであり、qは単位面積当たりの均一荷重である。重ねて、最大機械的応力計算方程式は、成形品の形状に応じて変わる。
【0039】
次に、プラスチックのショットが受けるべき最大の熱応力を以下の数式4に従って計算する。
【0040】
【数4】

【0041】
ここで、S(熱)は成形品が受けるべき最大の熱応力であり、dTは室温とプラスチックが変形の塑性範囲になる温度との間のプラスチックの温度の変化であり、Lは熱係数であり、Eはプラスチックの弾性率である。
【0042】
最後に、プラスチックのショットが受けるべき最大応力をS(機械的)とS(熱)の大きい方の値として決定する。
【0043】
加工の次の工程は、プラスチックが射出成形機のバレル16内で可塑化されるとき、プラスチックのショットを第1溶融圧力に加圧することであり、第1溶融圧力は計算された最大応力と実質的に等しい。
【0044】
次に、キャビティ30を第1溶融圧力と実質的に等しい空気圧まで加圧する。プラスチックのショットのキャビティへの射出は、空気圧が第1溶融圧力に達した後に開始する。溶融プラスチックがキャビティに入るとき、キャビティ内の空気圧は、溶融プラスチックに圧力の釣合いを与えるために、溶融圧力に抗して作用する。
【0045】
プラスチックのショットがキャビティの中へ射出されるとき、プラスチックのショットの溶融圧力は、キャビティ内の空気圧を実質的に一定に維持しながら、第1溶融圧力から第2溶融圧力まで増大する。加えて、キャビティ内の空気圧と第2溶融圧力との間の実質的に一定の差は、プラスチックのショットをキャビティの中へ射出する時間の可なりの部分の間維持される。
【0046】
図4及び図5を参照することにより、この方法を更に図示する。図4を参照すると、キャビティ内の空気圧50及び溶融プラスチックの溶融圧力52を時間の関数として図示する。時間t1の間、空気圧50は溶融圧力52に等しくなるまで高まる。時間t2は空気圧を溶融圧力と等しくさせる緩和時間である。t3の間、溶融プラスチックのキャビティの中への射出が始まり、溶融圧力は第1溶融圧力から第2溶融圧力まで増大する。t4の間、第2溶融圧力と空気圧50との間の差圧は、図5に示すように、実質的に一定に維持される。t5の間では、溶融圧力52を第2溶融圧力から第1溶融圧力まで減少させ、2つの圧力をt6の間、等しくする。t7では、キャビティ内の空気圧50を放出し、プラスチックの次のショットの準備が整う。
【0047】
本発明は、空気圧又は溶融圧力には特定の圧力分布が必要とされないことを意図する。この発明の解決の鍵は、装置に予め負荷をかけることと、空気圧と射出の可なりの部分の間、溶融圧力との間に差圧を維持することとにある。差圧は静圧に変換される動圧の量を制御するために、特定の使用要件に従って発生され、従って、差圧は変化する。従って、溶融圧力と空気圧との間の差圧が実質的に一定に維持される限りは、空気圧及び溶融圧力を任意の圧力分布に従って増減させてもよい。そのうえ、空気圧を最大応力の計算結果と等しく初めから設定することは要件でない。重ねて、解決の鍵は、溶融プラスチックがキャビティの中へ射出されるとき、空気圧と溶融圧力との間に差圧を創り出し、かつ、それを維持することにある。空気圧及び溶融圧力の分布を変えることが本発明のもとに意図されている。
【0048】
第1溶融圧力及び第2溶融圧力及びキャビティ内の空気圧を監視し、第1溶融圧力及び第2溶融圧力を維持するための信号を生じさせる閉ループ制御器40が設けられる。
【0049】
最後に、この方法はプラスチックの次のショットをバレル16内で第1溶融圧力に加圧する工程に戻ることによって繰り返される。従って、射出成形製品が繰り返して生産される。
【0050】
プラスチックのショットをバレル16からキャビティの中へ比較的低い速度で射出することが更に好ましい。普通、製造業者は高い速度値と低い速度値の範囲内の勧められる射出速度を提供する。製造業者によって勧められた速度より10%低い速度で溶融プラスチックをキャビティの中へ射出することが、プラスチックの乱流及び材料崩壊を減少させるために望ましい。同様に、製造業者は高い射出圧力値と低い射出圧力値とを提供する。製造業者によって勧められた範囲より10%低い値でプラスチックをキャビティの中へ射出することが望ましい。キャビティを低い射出速度及び低い射出圧力で充填することにより、重合体鎖の破壊及び崩壊を回避する。
【0051】
本発明は、射出成形機に使用する射出成形方法に関連している。この方法は、(a)複数のベント42を射出成形機で使用される金型に形成し、金型はその中に形成されたキャビティを有し、ベントは圧縮空気をキャビティから排出するために金型のキャビティ30と流体流れ連通し、同時に、キャビティ内に実質的に一定の空気圧を以下の数式5に従って維持する。
【0052】
【数5】

【0053】
ここで、Aはベントの横断面積であり、Wはポンド/秒でのベントを通過する空気の排出量であり、Cは流れ係数であり、P1はポンド/平方インチでのキャビティ内の空気圧であり、T1は華氏度でのキャビティ内の温度である。
【0054】
上記方法は、さらに、(b)溝44をベント42と流体流れ連通させて金型に形成し、(c)圧縮空気のキャビティ及び溝からの漏れを阻止するために金型を密閉し、(d)第1及び第2の弁46、48を金型に形成された溝44と選択的に流体流れ連通して設け、第1の弁46は圧縮空気が弁46を通して移動するのを阻止する閉鎖位置と、圧縮空気が弁46を通して溝44に入ることができる開放位置との間で選択的に移動でき、第2の弁48は圧縮空気が弁48を通して移動するのを阻止する閉鎖位置と、圧縮空気が弁48を通して溝44から排出することができる開放位置との間で選択的に移動でき、(e)射出成形機で成形すべきプラスチックのショットが受けるべき最大応力を計算し、最大応力はプラスチックが金型のキャビティ内で冷却されるときに起こる体積収縮の結果であり、(f)射出成形機のバレル16内の溶融プラスチックのショットを第1溶融圧力まで加圧し、第1溶融圧力は最大応力と実質的に等しく、(g)第1の弁46を開放位置に移動させ、(h)第2の弁48を閉鎖位置に移動させ、(i)キャビティ内の空気圧が第1溶融圧力と実質的に等しくなるまで、圧縮空気を第1の弁46を通してキャビティ30に導入し、(j)第1の弁を閉鎖位置に移動させ、(k)プラスチックのショットのキャビティ30の中への射出を開始し、(l)プラスチックのショットの溶融圧力を第2溶融圧力まで増大させ、かくして、第2溶融圧力とキャビティ内のガス圧との間に差圧を作り、(m)第2溶融圧力とキャビティ内の空気圧との間の差圧を、プラスチックをキャビティの中へ射出する時間の可なりの部分の間、実質的に一定に維持し、(n)圧縮空気を溝から開放するために、第2の弁48を開放位置に移動させ、(o)工程(f)に戻る、工程を含む。
【0055】
これらの工程は必ずしも連続して行われる必要はないことを理解すべきである。この方法に設けられた工程の順序の変化は、本発明の一部として意図する。
【0056】
図4を参照することにより、上述した本発明の第2の実施の形態に設けられたような弁46、48及びベント装置の説明の基礎を提供する。本発明の第2の実施の形態の工程(h)を始めると、第1の弁46を開放位置に移動させ、第2の弁48を図4の時間t1より前に閉鎖位置に移動させる。t1の間、キャビティ内の空気圧が第1溶融圧力と実質的に等しくなるまで、圧縮空気を第1の弁46を通してキャビティ30に導入する。次に、第1の弁46を閉鎖位置に移動させる。第1及び第2の弁は、溶融プラスチックがキャビティの中へ射出されるとき、閉じたままである。次に、キャビティ内の空気圧と第2溶融圧力との間に可なりの時間(T4)、差圧を確立しかつ維持する。次に、溶融圧力と空気圧とを等くし(T5、T6)、次に、第2の弁48を開放位置に移動させて加圧空気を溝から開放する(T7)。
【0057】
この閉じたベント装置の目的は、各個々のガス分子に作用する圧力を釣合わせ、隣接した分子間でガスの移動がプラスチック内でほとんど起こらない溶融プラスチックの成形環境を作ることにある。この釣合いはガス分子がプラスチックの表面に向かって移動するのを阻止し、或いは、他のガス分子と合体して大きい気孔即ち気泡を形成するのを阻止する。
【0058】
当業者は化学発泡剤を溶融プラスチックに加えることの有用性を認識するであろう。化学発泡剤は可塑化の間、溶融体内に分解されかつ同伴ガスの量を制御する際に有用である。これらの発泡剤は加熱されたとき、不活性ガスを発生させる。この不活性ガスは成形品の実質的な重量減少になる気孔を材料内に作り、これらの気孔の圧力はキャビティを充たすのを助け、プラスチックをキャビティの壁に押しつけるのに用いられる。
【0059】
図1から図3を参照すると、本発明は射出成形機10で使用される金型20を更に提供する。金型は前半部24と後半部26とを有し、前半部24は射出成形機から溶融プラスチックのショットを受け入れるための孔28が、前半部24に形成される。前半部24と後半部26は協働して、それらの間にキャビティ30を形成する。キャビティ30は孔28から溶融プラスチックを受け入れるために、孔28と流体流れ連通している。複数のベント42が、図2に示すように、金型の後半部に形成される。ベント42はそれの第1及び第2の端を有する。複数のベントの各々の第1端はキャビティ30と流体流れ連通している。ベントは、キャビティにプラスチックが充填されているとき、キャビティ30内に実質的に一定の空気圧を維持するように、以下の数式6に従って形成される。
【0060】
【数6】

【0061】
ここで、Aはベントの横断面積であり、Wはポンド/秒でのベントを通過する加圧空気の排出量であり、Cは流れ係数であり、P1はポンド/平方インチでのキャビティ内の空気圧であり、T1は華氏度でのキャビティ内の温度である。
【0062】
溝44が金型の後半部に形成される。溝44は複数のベント42の各々の第2端と流体流れ連通している。キャビティ30、ベント42及び溝44を図3に示す。一対の弁46、48が溝44と選択的に流体流れ連通している。第1の弁46は加圧空気を溝44に供給するために、加圧空気を空気管路34から選択的に受け入れるようになっている。第2の弁48は加圧空気の溝44からの排出を選択的に可能にするようになっている。
【0063】
ゴムシール38が金型の後半部に設けられ、キャビティ及び溝の周囲を囲み、キャビティに溶融プラスチックが充填されているとき、加圧空気のキャビティ及び溝からの排出を阻止するために、前半部と後半部との間に位置決めされる。射出の際、金型の前半部と後半部はわずかに分離する傾向を有する。ゴムシール38は、この分離が起こるとき、加圧空気のキャビティからの漏れを阻止する。
【0064】
本発明を実施するための最善の形態を詳細に説明したけれども、この発明が関連する技術に通じている者は、特許請求の範囲の各々の請求項に述べた本発明を実施するための種々の変形例の設計及び実施の形態を認識するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】図1は、本発明による、金型及びそれに連結された圧力制御装置を有する射出成形機の射出ユニットの概略図である。
【図2】図2は、本発明による金型の後半部の平面図である。
【図3】図3は、本発明による射出成形用金型の図2における垂直断面図である。
【図4】図4は、本発明による射出成形機の溶融圧力及び空気圧サイクルのグラフ図である。
【図5】図5は、本発明による射出成形機の溶融圧力と空気圧との間の差圧の概要のグラフ図である。
【符号の説明】
【0066】
10 射出成形機
12 射出ユニット
14 ホッパー
16 バレル
18 スクリュー
20 溶融圧力トランスジューサ
22 金型
24 前半部
26 後半部
28 孔
30 キャビティ
32 射出圧力トランスジューサ
36 空気圧トランスジューサ
38 ゴムシール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型内に形成される金型キャビティの中に溶融材料を射出する方法であって、
溶融材料を金型キャビティの中に射出する前に、流体圧力の加圧流体を金型キャビティに供給する工程と、
溶融材料を射出する前に、溶融材料を第1溶融圧力まで加圧する工程と、
前記第1溶融圧力が前記流体圧力と釣り合いがとれたときに、前記金型キャビティへの溶融材料の射出を開始する工程と、
溶融材料を金型キャビティの中に射出するために、前記第1溶融圧力を第2溶融圧力まで引き続いて増大させる工程と、
前記加圧流体に抗して溶融材料を前記金型キャビティの中に射出する工程と、
前記溶融材料が前記金型キャビティの中に射出されるときに、前記流体圧力を一定に維持する工程と、
前記溶融材料を射出している間、前記流体圧力と、前記溶融材料の前記第2溶融圧力との間の差圧を維持する工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、さらに、
溶融材料を射出している間、前記溶融圧力を監視する工程と、
溶融材料を射出している間、前記金型キャビティ内の前記流体圧力を監視する工程と、
前記第1溶融圧力および前記第2溶融圧力を所望のレベルに維持するために、監視した溶融圧力、および、監視した流体圧力に応答して、溶融材料の射出を制御する工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、加圧流体を金型キャビティに供給する前記工程は、空気を前記金型キャビティに供給することからなることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、前記溶融材料は、プラスチックからなることを特徴とする方法。
【請求項5】
金型キャビティと流体連通するバレルを含んでいる射出成形機で使用される射出成形方法であって、
(a)射出成形機のバレル内でプラスチックが可塑化されるときに、プラスチックのショットを第1溶融圧力まで加圧する工程を含み、前記第1溶融圧力は、予め計算された最大応力に等しいものであり、
(b)金型キャビティ内の空気を、前記第1溶融圧力と等しい空気圧まで加圧する工程と、
(c)層流の方法で、前記プラスチックのショットの前記キャビティの中への射出を開始させる工程とを含み、溶融プラスチックは、前記プラスチックを前記キャビティに入れる箇所に対して同心に前記キャビティの中に流入するようになっており、
(d)前記プラスチックのショットにかかる溶融圧力を第2溶融圧力まで増大させ、同時に、前記キャビティ内の空気圧を一定に維持し、前記プラスチックのショットを前記キャビティの中へ射出している時間の間、前記キャビティ内の前記空気圧と前記第2溶融圧力との間の差を一定に維持する工程と、
(e)前記第1溶融圧力及び前記第2溶融圧力を検知し、前記第1溶融圧力及び前記第2溶融圧力を示すフィードバック信号を生じさせる工程と、
(f)前記フィードバック信号を受け入れて、前記フィードバック信号を基準値と比較し、前記第1溶融圧力及び前記第2溶融圧力を制御するための信号を生じさせる工程と、
(g)前記工程(b)に戻る工程とを含んでおり、
射出成形機内で射出成形されるプラスチックのショットが受ける、予め定められた最大応力は、前記プラスチックが前記金型キャビティ内で冷却されるときに起こる体積収縮の関数である、
ことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、さらに、
前記工程(a)の前に、予め定められた高い速度の値と、予め定められた低い速度の値の間の範囲内の射出速度で普通に射出成形することができるプラスチック材料を選択する工程を含み、
前記工程(c)の後に、前記高い速度の値よりも前記低い速度の値の方に近い射出速度で、前記キャビティの中に前記プラスチックを射出する工程を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項5に記載の方法において、さらに、
前記工程(a)の前に、予め定められた高い圧力の値と、予め定められた低い圧力の値の間の範囲内の射出圧力で普通に射出成形できるプラスチック材料を選択する工程を含み、
前記工程(c)の後に、前記プラスチックを前記キャビティの中へ前記高い圧力の値よりも前記低い圧力の値の方に近い射出圧力で、前記キャビティの中に前記プラスチックを射出する工程を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項5に記載の方法において、前記キャビティの中への前記プラスチックの射出の前に、前記プラスチックに発泡剤を加える工程を更に含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
射出成形機で使用するための金型であって、
金型の前半部及び後半部を備え、前記前半部は、溶融プラスチックを射出成形機から受け入れるための孔を有し、前記前半部と前記後半部は協働して、前記前半部と前記後半部との間にキャビティを形成し、前記キャビティは溶融プラスチックを前記孔から受け入れるために、流体を流すことができるように、前記孔と連通しており、
前記後半部及び前記前半部のうちの一方に形成された複数のベントを備え、前記ベントは、前記ベントの第1端及び前記ベントの第2端を有しており、前記複数のベントの各々の前記第1端は、前記キャビティと流体を流すことができるように連通しており、前記キャビティをプラスチックで充填するときに、前記ベントは、前記キャビティ内において一定の空気圧を維持させるように構成されており、
さらに、前記後半部及び前記前半部のうちの一方に形成された溝を備え、前記溝は、前記複数のベントの各々の前記第2端と流体を流すことができるように連通しており、
前記溝と選択的に流体を流すことができるように連通する一対の弁を備え、前記一対の弁のうちの一方は、加圧空気が前記溝に入るのを選択的に許すようになっており、前記一対の弁のうちの他方は、加圧空気が前記溝から吐出するのを選択的に許すようになっており、前記キャビティをプラスチックで充填するときに、前記弁は、前記キャビティ内の一定の空気圧を維持するように制御されており、
さらに、前記キャビティおよび前記溝の周囲を囲むシールを備え、前記シールは、前記キャビティをプラスチックで充填するときに、前記金型の前記前半部と前記後半部との間の前記キャビティおよび前記溝からの加圧空気の漏れを阻止するために、前記前半部と前記後半部との間に位置決めされている、
ことを特徴とする金型。
【請求項10】
溶融材料を加圧する手段を有するバレルを含んでいる金型キャビティの中に溶融材料を射出する装置であって、
加圧流体を金型キャビティに供給するために、前記金型キャビティと選択的に流通する加圧流体の源と、
前記キャビティ内の流体の圧力と、前記キャビティに受け入れられた溶融材料の溶融圧力を測定するための第1の手段と、
前記バレル内の溶融材料の溶融圧力を測定するための第2の手段と、
前記第1の手段および前記第2の手段に接続された閉ループ制御器とを備え、
前記閉ループ制御器は、前記金型キャビティ内の測定された流体の圧力と、前記バレル内の測定された溶融圧力とを監視して、測定された前記流体の圧力と測定された前記溶融圧力を数学的に処理して、プラスチックのショットを前記キャビティの中へ射出している時間の間、前記キャビティ内の流体の圧力と前記溶融圧力との間の圧力差を一定に維持するために、前記金型キャビティの中に射出する溶融材料の加圧を制御する信号を得るように構成される、
ことを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置において、前記溶融材料は、プラスチックからなることを特徴とする装置。
【請求項12】
バレルを有する射出成形機で使用される射出成形方法であって、
(a)射出成形機で使用するための金型に複数のベントを形成する工程を含み、前記金型は、前記金型に形成されたキャビティを有しており、前記ベントは、前記キャビティから加圧空気を排出するために、流体を流すことができるように、前記金型のキャビティと連通しており、同時に、前記キャビティ内の一定の空気圧を維持するようになっており、
(b)前記ベントと流体を流すことができるように連通するように、溝を前記金型に形成する工程と、
(c)前記金型をシールして、加圧空気が前記キャビティから漏れるのを阻止し、かつ、加圧空気が前記溝から漏れるのを阻止する工程と、
(d)前記金型に形成された前記溝と選択的に流体を流すことができるように連通する第1の弁および第2の弁を設ける工程とを含み、前記第1の弁は、加圧空気が前記第1の弁を通して移動するのを阻止する閉鎖位置と、加圧空気が前記第1の弁を通して前記溝に入ることができる開放位置との間で選択的に移動できるように構成され、前記第2の弁は、加圧空気が前記第2の弁を通して移動するのを阻止する閉鎖位置と、加圧空気が前記第2の弁を通して前記第2の弁から排出することができる開放位置との間で選択的に移動できるように構成されており、
(e)射出成形機のバレル内の溶融プラスチックのショットを第1溶融圧力まで加圧する工程と、
(f)前記第1の弁を前記開放位置に移動させる工程と、
(g)前記第2の弁を前記閉鎖位置に移動させる工程と、
(h)前記キャビティ内の空気圧が、前記第1溶融圧力と等しくなるまで、加圧空気を前記第1の弁を通して前記キャビティの中に導入する工程と、
(i)前記第1の弁を前記閉鎖位置に移動させる工程と、
(j)前記プラスチックのショットの前記キャビティの中への射出を開始させる工程と、
(k)前記プラスチックのショットの溶融圧力を第2溶融圧力まで増大させ、したがって、前記第2溶融圧力と前記キャビティ内のガス圧との間に差圧を生じさせる工程と、
(l)前記第2の弁を前記開放位置に移動させて、前記溝から前記第2の弁を通して加圧空気を開放することによって、プラスチックを前記キャビティの中へ射出する時間の間、前記第2溶融圧力と前記キャビティ内の空気圧との間の圧力差を一定に維持する工程と、
(m)前記工程(e)に戻る工程と、
含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法において、さらに、
前記工程(e)の前に、予め定められた高い速度の値と、予め定められた低い速度の値の間の範囲内の射出速度で普通に射出成形することができるプラスチック材料を選択する工程を含み、
前記工程(j)の後に、前記高い速度の値よりも前記低い速度の値の方に近い射出速度で、前記キャビティの中に前記プラスチックを射出する工程を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法において、さらに、
前記工程(e)の前に、予め定められた高い圧力の値と、予め定められた低い圧力の値の間の範囲内の射出圧力で普通に射出成形できるプラスチック材料を選択する工程を含み、
前記工程(j)の後に、前記高い圧力の値よりも前記低い圧力の値の方に近い射出圧力で、前記キャビティの中に前記プラスチックを射出する工程を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項12に記載の方法において、さらに、前記キャビティの中への前記プラスチックの射出の前に、前記プラスチックに発泡剤を加える工程を含むことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−185970(P2007−185970A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−109380(P2007−109380)
【出願日】平成19年4月18日(2007.4.18)
【分割の表示】特願平7−528261の分割
【原出願日】平成7年4月13日(1995.4.13)
【出願人】(507088196)
【Fターム(参考)】