説明

少なくとも1つのエチレン−ビニルアルコール−共重合体(EVOH)から成るフィルム層を備え同時押出成形された多層保護フィルム、その製造方法及びその使用方法

同時押出成形される多層初期フィルムの同時延伸により145℃以下の温度で製造され、エチレン−ビニルアルコール共重合体のエチレン濃度40モル%以下であり、エチレン−ビニルアルコール共重合体層の厚さが少なくとも5μm以下、特に2μm以下であり、23℃で相対湿度75%での酸素透過性(OTR;ASTM-3985)値が10cm3/m2dbar、好ましくは5cm3/m2dbarより良好に保持され、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)をベースとする同時押出成形された少なくとも1つの機能層又は保護層を備える二軸方向性のポリプロピレンフィルム(PPフィルム)の形態の二軸方向性ポリオレフィンフィルムをベースとする多層フィルムの形態を有する包装用、特に食料品及び嗜好品包装用の保護フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムを構成する重合体として結晶性ポリオレフィンを使用し、更に、少なくとも1つのエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)から成る同時押出成形された層を機能層又は保護層として有し、二軸方向性フィルムにより十分に機械的特性を選定した多層フィルムの形態であり、包装用、特に食料品、嗜好品及び他の傷つき易い商品の包装用の保護フィルムに関する。
【0002】
本発明は、更に前記フィルムの製造方法、包装、特に傑出するフィルムの光学特性、強度特性、保護特性及び必要に応じて収縮特性を利用する食料品及び嗜好品を包装するフィルムの使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
プラスチックフィルムをベースとする包装は、最早現代の食料品に不可欠であると思われる。包装すべき商品に応じて、プラスチックフィルムに種々の要求が発生する。その際、食料品及び嗜好品の包装用プラスチックフィルムでは、販売経路及び食料品の消費までの末端消費者に対して、包装された食料品又は嗜好品の安定性を保証する特性が注目される。
【0004】
包装フィルムに高い要求が発生すると、現在の食料品及び嗜好品の分野では、良好な強度、良好な光学特性及び光沢のある特にアルミニウム製の金属フィルム又は特に酸化珪素(SiOx)又は酸化アルミニウム(AlOx)から成る透明なセラミック被覆用の良好な被覆特性を有するポリエステルベースフィルム(PET、ポリエチレンテレフタレート)を使用することが多い。薄い金属又はセラミックフィルムは、特に水蒸気に対する透過性(水蒸気透過率、WVTR、g/(m2d)即ちg/(m2/24h)で測定、ASTM-E96)及び酸素(酸素透過率、OTR、cm3/(m2dbar)即ち1barの気圧におけるcm3/(m224h)で測定、ASTM-3985)に対して、フィルムへの高い要求を満足できる保護特性を与える。包装調製に必要なフィルムの溶着可能性又は密閉可能性を確実に付与するため、追加の外側ポリオレフィン層、例えば金属被覆又はセラミック被覆を有する例えば高密度ポリエチレン(HDPE)又は低密度ポリエチレン(LDPE)から成るポリエチレン層が通常設けられる。このポリエステルフィルムは、高い品質要求を満足するが、特にポリエステル重合体が比較的高価でありかつ比較的高い密度を有する難点がある。
【0005】
従って、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)又は酸化珪素(SiOx)を備える間接製造工程(オフライン)で積層された二軸ポリエチレンテレフタレート(BOPET)フィルムの代わりに、直接製造工程(インライン)で同時押出成形されたポリオレフィンフィルム、特にポリプロピレンフィルムに頼ることが試みられた。前記フィルムは、(保護フィルムとしても)比較的安く製造できる。しかしながら、より高価ではあるが品質の高い二軸ポリエチレンテレフタレート(BOPET)フィルムと競合するには、光学特性、強度特性及び保護特性でも、ポリオレフィンフィルムに重大な欠点があってはならない。
【0006】
例えばポリエチレン、ポリプロピレン又はその他のオレフィンとの共重合体をベースとするポリオレフィン層と、良好な保護特性として公知のエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)から成る層とを保護フィルム内で組合せることが公知である。また、空気の湿度の進入の際にその保護特性が悪化するので、エチレン−ビニルアルコール共重合体層を通常多層フィルムの芯に配置して、エチレン−ビニルアルコール共重合体層をポリオレフィン層の両面で周囲に対して好ましく遮蔽することも知られている。
【0007】
また、エチレン−ビニルアルコール共重合体内でのビニルアルコール群のモル濃度がエチレン群のモル濃度に対して十分に高く、エチレン−ビニルアルコール共重合体層の保護特性が通常改善されることが重要である。しかしながら、共重合体内の極性ビニルアルコール群の濃度が増加するに伴い、ポリオレフィン等の無極性重合体に対する不耐性も増大する。
【0008】
更に、二軸延伸(二軸方向性付与)によりポリオレフィンフィルムの機械的特性及び光学特性を改善し、二軸延伸によりエチレン−ビニルアルコール共重合体保護層の保護特性も改善できることが知られている。
【0009】
しかしながら、同様に、ポリオレフィン層、特にポリプロピレン層とエチレン−ビニルアルコール共重合体層とが互いに直接接触して良好には粘着せず、非親和性(非接着性)を有し、延伸の際に種々の層が種々の方法で結晶化して、異なる条件の下で所望の光学特性を構成することが知られている。従って、ポリオレフィンとエチレン−ビニルアルコール共重合体層との同時延伸が容易となり又は一定の場合に全般的にまず同時延伸を可能にする粘着層として作用する特別に変性(改質)ポリオレフィン製の特別の中間層を設けて、層の相性又は親和性を改善することが一般的に知られている。
【0010】
にもかかわらず、エチレン−ビニルアルコール共重合体保護層を備える多層ポリオレフィンフィルムの二軸方向性付与の際に、種々の条件の下で最適な光学特性、強度特性及び良好な保護特性が構成されるので、更に対向して作用する効果を調整しなければならない。重要な従来技術は、この問題を提起し、達成可能な所望の特性に対する極力良好な妥協を示すエチレン−ビニルアルコール共重合体保護層を備える多層ポリオレフィンフィルムを製造する種々の方針を追求する。
【0011】
特許文献1は、エチレン−ビニルアルコール共重合体芯層を備える多層初期フィルム及び二つのポリオレフィン−外側層をほぼ130℃〜140℃の温度範囲でまず長手方向(機械方向MD)に延伸し、次に、ほぼ150℃〜160℃の範囲に変更温度条件の下で、横方向(横断方向TD)に延伸することにより、二方向に順次延伸する方法を開示する。得られる面積延伸比は、僅か6(2×3)〜28(4×7)なる比較的僅かな面積増大の範囲にある。また、一般的に25〜75モル%、エチレン濃度のエチレン−ビニルアルコール共重合体が公知であるが、少なくとも45モル%のエチレンモル濃度のエチレン−ビニルアルコール共重合体を使用して、延伸に対する十分な可撓性をエチレン−ビニルアルコール共重合体に付与して保護フィルムの二軸延伸を行うべきことを示す。20℃で0%の相対湿度では、12〜13cm3/m2dの範囲の酸素透過率(OTR)を有する多層フィルムが得られた。
【0012】
特許文献2は、同様に二軸方向に35〜70倍のより高い面積増大で同様のフィルムを順次延伸し、機械方向に温度140乃至150℃の範囲で延伸し、横方向に温度160〜170℃の範囲で延伸する同様の方法を示す。再び、エチレン−ビニルアルコール共重合体中のエチレン濃度を少なくとも45%にして、延伸の際に十分な効果を得ることを示す。
【0013】
特許文献3は、49〜64倍の面積拡大比で同時延伸として比較例のエチレン−ビニルアルコール共重合体保護層を備えるポリプロピレンベースの多層フィルムの延伸する一般的な形態を提案するが、その際、実際には唯一の実施の形態の記述も説明もなく、特許文献3は、各層に対する重合体品質に使用する延伸の実施条件が「同時延伸」と理解される。同様に、フィルム品質に対するより正確な記載を欠く。従って、特許文献3は、全体として専門家に具体的な実施可能な要件を示していない。
【0014】
当該専門家の知識から出発して、範囲49〜64の面積延伸比でポリプロピレンに二軸延伸を行うため、所定の延伸温度を保持すべきであり、特許文献3の記載に対応する公知の適宜の温度範囲内で、40モル%以下のエチレンモル濃度であるエチレン−ビニルアルコール共重合体芯層を備えるポリプロピレンベースの多層フィルムを同時に二軸方向に延伸し方向性の付与を試して、延伸を発生する結晶化に基づくエチレン−ビニルアルコール共重合体層の引裂(網目構造の構成)を観察できる。エチレン−ビニルアルコール共重合体層に引裂が発生すると、最早必然的に良好な保護特性が低下して、フィルム品質が全体として不十分となる。この場合、従来の延伸パラメータを利用する特許文献3での延伸は、光学特性及び保護特性が機能しないフィルムとなる。
【0015】
特許文献4は、付着剤としてエチレン−ビニルアルコール共重合体層及びポリオレフィン層の間にも適する所定の変性ポリオレフィンを示す。僅かなエチレン濃度、当該発明による付着剤層及び44モル%のエチレン濃度のエチレン−ビニルアルコール共重合体層を有するポリプロピレン層を備える多層テストフィルムは、付着強度の試験の例では、80℃で僅か9倍の増大面積に順次延伸される。付着に関する他の記載は、テストフィルムの他の特性に対する如何なる記載も存在しない。
【0016】
特許文献5及び特許文献6は、同様に、エチレン−ビニルアルコール共重合体保護層を内側に備える多層ポリオレフィンフィルムの二軸方向性付与を示すより最近の2件の特許出願である。
【0017】
特許文献5は、熱可塑性多層二軸方向性収縮フィルムを示す。中間層は、エチレン−ビニルアルコール−共重合体から成り、外側層は、ポリエチレン−単独重合体又は共重合体から成る。同時延伸される多層フィルムは、機械方向にも横方向にも4倍以上の延伸比が好適である。MD×TDの延伸比を4.5×4.5又は5×5にする例は、延伸時に20.25倍又は25倍の面積増大に相当する。
【0018】
外側層内のポリエチレン−単独重合体又は共重合体を使用すると、熱安定性フィルムを製造できず、開示される方法条件は、ポリプロピレンベースのフィルムの加工に直接転用することができない。また、ほぼ28からほぼ48モル%の範囲のエチレン濃度のエチレン−ビニルアルコール共重合体品質を一般的に使用できることを示す。しかしながら、公知の従来技術と同様に、44モル%のエチレン濃度のエチレン−ビニルアルコール共重合体のみを全例に使用する。
【0019】
特許文献6は、ポリプリピレン、付着剤及びエチレン−ビニルアルコール共重合体の複合材から成り、二軸方向に順次延伸する多層フィルムの製造法を示す。溶解物の形態で同一幅の層形態に複合材が同時押出成形される。続いて、フィルムは、まず長手方向(MD)に、その後横方向(TD)にクリップ台により延伸され、延伸時の温度は、機械方向に110〜165℃、特に140〜160℃の範囲にあり、機械方向に130〜180℃、好ましくは140〜180℃の範囲にある。当該発明の本質として、横延伸の際に全5層を台クリップにより共通にかつ同時に把持する点が指摘される。エチレン−ビニルアルコール共重合体層のみを把持すると、エチレン−ビニルアルコール共重合体層が引き裂かれて、フィルムが不良品となる。エチレン濃度44モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体を使用して、温度23℃、湿度50%で酸素遮断性約5cm3/m2dの最良酸素保護を備えて製造されるフィルムのエチレン−ビニルアルコール共重合体層の最終厚さは、ほぼ5μmである。
【0020】
【特許文献1】米国特許第4,561,920号
【特許文献2】欧州特許出願公開第0,311,293号公報
【特許文献3】欧州特許出願公開第0,688,667号公報
【特許文献4】欧州特許出願公開第0,758,675号公報
【特許文献5】国際公開第WO2000/37253号公報
【特許文献6】国際公開第WO2004/050353号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明の課題は、低いエチレンのモル濃度を備えるエチレン−ビニルアルコール共重合体の有利な保護特性を完全に利用し、方向性ポリプロピレンフィルムの公知の有利な特性に加えて、特に酸素及び香料に対する改良された保護値と所望の強度とを有し、同時に透明でかつ光沢のある包装フィルムで、酸素、水蒸気、芳香及び臭気に対する傑出する不透過性を備えるフィルムを提供し、少なくとも1つのエチレン−ビニルアルコール共重合体保護層を備える二軸方向性のポリオレフィン層をベースとする改良された保護フィルム、その製造方法及び使用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
基本的かつ好適な特徴を有する請求項1〜18のフィルム、主たる特徴を備える請求項19〜21のフィルム製造方法及び請求項22及び23のフィルム使用方法により、この課題は、解決される。
【0023】
頭記従来技術を引用しつつ当業者の専門知識を確認しかつ補完的に指摘しながら、本発明を以下より詳細に説明する。
【0024】
通常の多層フィルムは、フィルムを構成する主重合体から成る少なくとも1つの基本的な機械的特性を決定する支持層と、所望の保護特性を達成する外側保護層又は内側保護層と、印刷可能性、被覆性又は密閉された包装の調製又は積層に必要な密閉性を生ずる外側層とを含む。
【0025】
本発明の範囲内において、層A/層B/層C/層D/層C/層B/層Eにより構成される7層構造を選択し、各層A、層B、層C、層D及び層Eを個々に以下詳細に説明する。
【0026】
中心の内側保護層Dは、エチレン−ビニルアルコール−共重合体(EVOH)から成る。変性ポリオレフィン、特に変性ポリプロピレンから成る付着剤層Cは、内側保護層Dに隣接して両側に配置される。部分結晶性の熱可塑性ポリオレフィン又は部分結晶性の熱可塑性ポリオレフィンの混合体から成る構造層Bが付着剤層Cに隣接して配置され、二軸延伸に必要な温度条件に対して特別に選定し又は変性し、好ましくは同様にポリオレフィンベースの材料である。外側層A及びEは、同様に部分結晶性の熱可塑性ポリオレフィンから成り、それに関して実際には、選定基準は、二軸延伸後のその表面特性である。
【0027】
自体公知の方法により平坦ノズルから多層溶解物を同時押出成形し、得られる多層溶解物を冷却ローラに接触させて結合層を硬化させる。次に、同時延伸装置によりフィルムを延伸する。
【0028】
同時延伸の実施に好適な方法は、リニアモータ駆動装置(LISIM(登録商標))を備える同時延伸装置で平面フィルムに延伸する方法である。しかしながら、機械的同時延伸装置(MSO;チェーン駆動装置を備える機械式同時延伸装置)によるあまり有利ではない同時延伸法及びバブル(BUBBLE)又はダブルバブル(DOUBLE-BUBBLE)法によるチューブフィルム延伸製造法も同様に本発明の範囲に含まれる。
【0029】
同時延伸に通常の特性の二軸ポリプロピレンフィルムの場合に、本発明に通じる研究の範囲内で、エチレン濃度44モル%及び48モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体を備える多層結合体を問題なく同時延伸できるが、フィルムの酸素透過率値が不十分になる点が認められた。この試験での実際の延伸比は、機械方向に8〜1、横方向に5.5〜1であった。加熱区間では166℃及び178℃の間に温度を調整し、延伸区間では155℃と160℃との間に温度を調整し、二軸ポリプロピレンフィルムを製造する通常の温度条件と同一であった。165℃で最終的な熱定着を行なった。
【0030】
エチレン濃度44モル%及び48モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体を備える多層結合体は、高透明性で、不可視構造を示すが、臨界時の使用には酸素透過性が非常に強過ぎる。
【0031】
これに対して、従来の前記条件により製造される保護層でのエチレン濃度27〜38モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体を使用する多層結合は、二軸同時延伸試験で完全なエチレン−ビニルアルコール共重合体保護層の破壊を示す強い網目構造を有した。従って、従来の延伸条件の下では、品質の高い保護フィルムを製造することができない。
【0032】
高品質の保護層に関して、最重要保護特性、機械的特性及び光学特性に関する以下のパラメータ範囲の分野における固有値の入手する試みがなされた。
フィルムの温度23℃で湿度75%の酸素透過性(OTR;ASTM-3985)を8cm3/(m2dbar)以下にすべきであり、エチレン−ビニルアルコール共重合体保護層の厚さを10μm未満にすべきである。合計ヤング熱膨張材料係数(Eモジュール、ASTM-D-822)は、長手方向及び横方向に2000N/mm2を越えるべきであり、引張強度(ASTM-D-822)は、長手方向及び横方向に300N/mm2を越えるべきである。光沢(ASTM-2457)を80以上にすべきであり、濁度(ASTM-1003)を5%以下とすべきである。また、フィルムに網目構造を形成してはならない。
【発明の効果】
【0033】
発明者は、特に層Bの材料を適宜に選定し、145℃以下の温度で同時延伸を実施すれば、意外にも前記条件を備えるフィルムを製造できることを検証した。前記延伸条件の下で、必要なフィルム特性、特に8cm3/m2dbar以下の傑出する酸素透過率値を備える40モル%以下のエチレン濃度のエチレン−ビニルアルコール共重合体保護層を有する多層フィルムを得ることができる。エチレン−ビニルアルコール共重合体層の引裂現象(網目構造の形成)を阻止するため、50%/秒以上、好ましくは300%/秒以上の同時二軸延伸速度が適用される。
【0034】
特許文献6の方法より比較的低い温度での同時延伸を含む本発明による方法では、多層フィルムの全層を同じ幅で押出成形して、延伸の際に、全層を同時にクリップで把持する必要がなく、更に原則的に経済的に有利なフィルムの自由端への公知技術を適用できることも明らかである。また、64を越え又は46以下にもなる面積延伸比により、所望により大きなベルト幅を使用できることも明らかである。更に、被包装品に適合する収縮特性を備える収縮フィルムとしても保護フィルムを製造できる。
【0035】
本発明を実施する温度145℃以下での延伸時に発生する位相変化及び結晶化過程の押圧によるエチレン−ビニルアルコール共重合体保護層内及び隣接する網目構造が形成されない延伸可能性を明確にできる。
【0036】
各構成層の例として、層A/層B/層C/層D/層C/層B/層Eについて、種々の適宜の構成をより詳細に以下説明する。
【0037】
エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む保護内側層D:
エチレン−ビニルアルコール共重合体を含む内側層Dは、各層Dに関して少なくとも50重量%、好ましくは70〜100重量%、特に80〜100重量%の後述するエチレン−ビニルアルコール−共重合体(EVOH)を含む。
【0038】
エチレン−ビニルアルコール共重合体は、従来公知であり、エチレン−ビニルアセテート−共重合体の鹸化又は加水分解により製造される。本発明の目的に対し、特に加水分解度96〜99%を有するエチレン−ビニルアルコール共重合体が適する。適宜のエチレン−ビニルアルコール共重合体の融点は、一般に150℃以上である。また、本発明では、エチレン−ビニルアルコール共重合体は、40モル%又はそれ以下のエチレン濃度を有し、エチレン−ビニルアルコール共重合体保護層の厚さは、通常1〜10μm、好ましくは1〜6μm、特に1〜3μmの範囲である。
【0039】
付着剤層C:
付着剤層Cを介してエチレン−ビニルアルコール共重合体保護層である内側層Dと構造層Bとを接着し結合することが必要である。従って、内側のエチレン−ビニルアルコール(EVOH)製の内側層Dと部分結晶性のポリオレフィンから成る構造層Bとの間に付着層が設けられる。付着層Cは、エチレン−ビニルアルコール共重合体の内側層Dと構造層Bとを互いに強固に接着して、付着層Cの両側に内側層Dと構造層Bとの付着を保持したまま、付着層Cと共に双方の内側層Dと構造層Bとを一体に延伸することができ、同時延伸装置で一体かつ同時に複数層に方向性を付与することができる。付着層Cは、変性ポリオレフィンをベースとする。
【0040】
変性ポリオレフィンは、エチレン重合体又は特に好適なプロピレン重合体を基礎とし、プロピレン単独重合体、プロピレン共重合体又はプロピレン三量体である。プロピレン共重合体又はプロピレン三量体は、少なくとも80〜98重量%の圧倒的なプロピレンユニットと、コモノマーとして適宜量の追加エチレン及び/又はブチレンユニットとを含むとよい。無水マレイン酸、場合により他のカルボン酸モノマー又は例えばアクリル酸又は他の誘導体等の他のエステルによりこの重合体を変性するとよい。
【0041】
変性ポリプロピレン及び変性ポリオレフィンは、公知であり、例えば三井ケミカル社製商品名Admer、又は三菱ケミカル社製商品名Modic、ケンプレックス(Chemplex)社製商品名Plexar、イーストマン(Eastman)社製商品名Epilene、デュポン(DuPont)社製商品名Bynelとして販売されている。
【0042】
本発明の目的に対し、無水マレイン酸(例えば三井ケミカル社のQシリーズの製品)により変性され、230℃(ASTM-D-1238)の溶解物指数1〜10g/10分の範囲にあり、ビカット(Vicat)軟化点が110と155℃の間にあるプロピレン単独重合体又はプロピレン共重合体が好適である。
【0043】
付着層Cの厚さは、一般的にそれぞれ0.3〜5μm、好ましくは0.3〜3μm、特に0.3〜2μmである。
【0044】
層B:
層Bは、二軸方向性付与可能なポリオレフィン、特にポリプロピレンから成る構造層であり、温度145℃以下での同時延伸の間付着を保持したまま、付着層Cに対し十分に大きな付着強度を発生すべきである。
【0045】
層Cの結晶度は、少なくとも10〜70%、好ましくは30〜70%であり、融点は、少なくとも110度である部分結晶性ポリオレフィンが適当である。
【0046】
ポリオレフィンは、プロピレン重合体をベースとし、プロピレン単独重合体、プロピレン共重合体又はプロピレン三量体が好ましい。プロピレン共重合体又はプロピレン三量体は、少なくとも80〜98重量%の圧倒的なプロピレンユニットと、コモノマーとして適宜量の追加エチレン及び/又はブチレンユニットとを含むことが好ましい。
【0047】
前記プロピレン重合体は、個別に使用し又は混合体として使用できる。また、145℃以下の延伸温度を許す変性を使用してもよい。例えば、アタクチックPP(ポリプロピレン)、シンジオタクチックPP、炭化水素樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブチレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブチレン−三量体、ポリブチレン、再生PP及び線形低密度ポリエチレン(PE-LLD)を変性体としてある範囲まで使用することが好ましい。
【0048】
全重合体に対し、エチレン濃度0〜15重量%間のプロピレン重合体を使用することが好ましい。特に、融点150〜170℃と、融液指数(21.6Nの負荷及び230℃での測定DIN53735)1.0〜15g/10分を有するアイソタクチックプロピレン重合体が適当である。プロピレン重合体の結晶度は、好ましくは40〜70%である。単独重合体の分子重量配分は、変更できる。数量平均Mnに対する重量平均Mwの比は、通常1と15との間である。
【0049】
層Bの層厚は、3と35μmとの間、特に3〜15μmが好ましい。
【0050】
別の実施の形態では、層Bは、公知の不透明な二軸ポリプロピレンフィルムの不透明なベース層等の不透明な層でもよい。この実施の形態では、層Bは、充填材の添加により不透明となる。この実施の形態では、層Bは、層Bの重量に対し通常少なくとも70重量%の部分結晶性ポリオレフィンを含む。不透明な層B内の充填材濃度は、層Bの重量に対し10乃至50重量%の間であることが好ましい。本発明では、充填材は、色素及び/又は空隙を有する粒子でもあり、それ自体公知の材料である。
【0051】
従来の色素及び/又は空隙を有する粒子は、例えば酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムやケイ酸マグネシウム等のケイ酸塩及び二酸化ケイ素等の無機粒子及び/又は有機粒子である。空隙を有する有機充填材としては、従来この目的に使用するベース層の重合体と相性の悪い重合体、特に、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン又はプロペンを有するノルボルン又はテトラシクロドデカン等の環式オレフィンの共重合体、ポリエステル、ポリスチロール、ポリアミド、ハロゲン化有機重合体が問題になり、例えばポリブチレンテレフタレート等のポリエステルが好適である。
【0052】
不透明な層Bの各構造に応じて、不透明な層B及びフィルムの密度を0.4〜1.1g/cm3の範囲で変更できる。
【0053】
カバー層A及びE
本発明によるフィルムは、付加的にエチレン−ビニルアルコール共重合体保護層D、二つの付着層C及びポリオレフィン層Bから成る構造に加えて、同一の又は異なる材質のカバー層により層Bの両表面を覆うことが好ましい。
【0054】
このポリオレフィンカバー層は、完成する多層フィルム構造の外側に配置される層を構成し、追加の処理、印刷、被覆及び金属メッキ可能性等の特性によって、密封可能性、光沢、摩擦等の機能を決定する。
【0055】
カバー層に適するオレフィン重合体の例は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン又は2個〜8個までの炭素原子を備えるオレフィンとの混合重合体、エチレン、プロピレン及び/又はブチレンユニットから成る共重合体、三量体又は前記重合体の混合体が好適である。
【0056】
各カバー層の厚さは、通常0.1μmより大きく、0.5〜10μmの範囲にあることが好ましい。
【0057】
カバー層及び/又は層Bは、付加的に、中和剤、安定剤、帯電防止剤、紫外線及び光保護剤、閉塞防止剤及び/又は潤滑剤等の公知の添加剤を各有効な量で含んでもよい。
【0058】
コロナ、プラズマ又は炎熱処理をカバー層A及び/又はEの表面に施す実施の形態も本発明に含まれる。これらの処理は、公知の方法で、印刷インク、接着剤、常温封縅層、金属層等に対する付着性を向上する。
【0059】
意図する最終の使用目的により、本発明によるフィルムの全厚をより広い限界内で変更することができる。全厚は、好ましくは4〜100μm、特に5〜80μm、より好ましくは6〜60μmである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
当業者が本発明の方法条件、材料及びフィルム特性を実施し、他の目的及び利点を理解できるように、本発明の実施の形態を以下より詳細に説明する。
【0061】
例のうち、例1〜例17は、前記構造層A/層B/層C/層D/層C/層B/層Eのエチレン−ビニルアルコール共重合体層を有する全7層の多層フィルムの製造法を説明し、例1〜例6は、比較例である。
【0062】
各例では、各処理名称を示す材料に下記種類の材料を使用した。
HP522H:バセル社製アイソタクチック構造ポリプロピレン単独重合体「Moplen(登録商標)」HP522H
HP422H:バセル社製アイソタクチック構造ポリプロピレン単独重合体「Moplen(登録商標)」HP422H(ミニランダム(Minirandom)エチレン濃度約1.5%)
「Admer(登録商標)」-QF551E:三井ケミカル社製無水変態ポリプロピレン樹脂
7372-XCP:バゼル社製ポリプロピレン三量体「Adsyl(登録商標)」7372-XCP
5C37-F:バゼル社製ポリプロピレン三量体「Adsyl(登録商標)」5C37F
MA-0935-PP:コンスタブ(Constab)社製50%炭化水素を含むポリプロピレンマスターバッチ(Masterbatch)
LC101-B:EVAL-EUROPE社製エチレン濃度27モル%を含むエチレン−ビニルアルコール−共重合体「EVAL(登録商標)」LC101B
F101-B:EVAL-EUROPE社製エチレン濃度32モル%を含むエチレン−ビニルアルコール−共重合体「EVAL(登録商標)」F101B
H101-B:EVAL-EUROPE社製エチレン濃度38モル%を含むエチレン−ビニルアルコール−共重合体「EVAL(登録商標)」H101B
ES104-B:EVAL-EUROPE社製エチレン濃度44モル%を含むエチレン−ビニルアルコール−共重合体「EVAL(登録商標)」ES104B
G156-B:EVAL-EUROPE社製エチレン濃度48モル%を含むエチレン−ビニルアルコール−共重合体「EVAL(登録商標)」G156B
SP482-B:EVAL-EUROPE社製エチレン濃度32モル%を含むエチレン−ビニルアルコール−共重合体「EVAL(登録商標)」SP482B
【0063】
[例]
例1の前に
例では、内側層としてエチレン−ビニルアルコール共重合体層を有する7層の保護多層フィルムを製造し、幅広スリット溶融物ノズルによる冷却ローラ上への7層押出成形を行ない、例示のように、ブリュックナー(Brueckner)社製Laboratoriums-LISIM(登録商標)延伸装置により、冷却ローラで形成した7層の初期フィルムを直ちに同時に延伸した。
【0064】
その際、多層フィルムを製造する溶融物の配置層A/層B/層C/層D/層C/層B/層Eは、所与の搬送装置から下記ノズル装置により形成される。
層A−外側層、空気ナイフ側:43mmの単軸スクリュー式押出成形機
層B−中間層:55mmの溶融物ポンプを備える2軸スクリュー式押出成形機
層C−付着層:35mmの溶融物ポンプを備える単軸スクリュー式押出成形機
層D−エチレン−ビニルアルコール共重合体芯層:35mmの溶融物ポンプを備える単軸スクリュー式押出成形機
層E−外側層、冷却ローラ側:50mmの単軸スクリュー式押出成形機
【0065】
冷却ローラ及び対向する空気ナイフに対する溶融物押出成形機の幅広スリットノズルの配置又は位置により、層A〜層Eの符号を付す点に注意すべきである。
【0066】
比較例を示す例1〜例6では、二軸方向性ポリプロピレンフィルム(s-BOPPフィルム)の同時方向性付与に最適化する条件下で、内側層としてエチレン−ビニルアルコール共重合体層を備える7層の保護多層フィルムに方向性が付与される。最適化する条件は、良好な厚さ許容誤差及び経済的な製造を確立するのに必要な動作安全性に対して、所望の機械的特性と光学特性との組合せ特性を有する二軸ポリプロピレンフィルムを供給する。標準ポリプロピレン単独重合体を使用する延伸温度は、150〜160℃の範囲、好ましくは155℃である。
【0067】
本発明による例7〜例17では、内側層としてエチレン−ビニルアルコール共重合体層を有する7層の保護多層フィルムは、温度145℃以下、特に140℃以下、好ましくはほぼ135℃で延伸される。その際、延伸温度を低下するため、層Bを使用しかつ例7〜例17に示す材料を使用して達成できる層Bの変性が必要である。
【0068】
例1](比較例)
材料及び5つの押出成形機の運転条件は、以下の通りである。
層A:5C37-F、抽出温度240℃の押出成形機
層B:HP-522H、抽出温度258℃の押出成形機
層C:Admer-QF551E、抽出温度236℃の押出成形機
層D:G156-B、抽出温度186℃の押出成形機
層E:5C37-F、抽出温度240℃の押出成形機
【0069】
7層溶融物の同時押出成形により得られる初期フィルムは、二軸方向性ポリプロピレンフィルム(S-BOPPフィルム)の同時方向性付与に最適化される条件の下で、ベースフィルム上で延伸前に印刷される格子の拡大比により、機械方向(MD)に7倍延伸及び横方向(TD)に6倍延伸をもって方向性を付与した。延伸区間の延伸温度は、158℃であった。弛緩率は、長手方向に5%、横方向に5%であった。全厚20μmのフィルムが得られ、エチレン−ビニルアルコール共重合体層(層D)の厚さは、ほぼ1.4mであった。得られたフィルムの外観は、輝きを有し、いかなる網目構造も認められなかった。引張強度は、長手方向に241N/mm2、横方向に187N/mm2であった。ヤング熱膨張材料係数(Eモジュール)は、長手方向に2471N/mm2、横方向に1929N/mm2であった。破断点伸び率は、長手方向に93%、横方向に143%であった。濁度値は、1.0%であった。光沢は、91であった。120℃で5分間の収縮率は、長手方向に4.1%、横方向に3.1%であった。しかしながら、酸素遮断性は、僅か81.2cm3/m2dbarであった。
【0070】
例2](比較例)
例1と同様に、フィルムを製造した。例1とは異なり、エチレン濃度44モル%、100重量%のエチレン−ビニルアルコール−共重合体EVAL-ES104-Bを層Dに使用した。抽出温度は、223℃であった。延伸区間の延伸温度は、156.5℃であった。全厚20μmのフィルムが得られ、エチレン−ビニルアルコール共重合体層(層D)の厚さは、ほぼ1.8μmであった。得られたフィルムの外観は、輝きがあり、いかなる網目構造も認められなかった。引張強度は、長手方向に238N/mm2、横方向に193N/mm2であった。ヤング熱膨張材料係数(Eモジュール)は、長手方向に2480N/mm2、横方向に2090N/mm2であった。破断点伸び率は、長手方向に95%、横方向に134%であった。濁度値は、0.95%であった。光沢は、91であった。120℃で5分間の収縮率は、長手方向に4.3%、横方向に4.1%であった。しかしながら、酸素遮断性は、僅か62.7cm3/m2dbarであった。
【0071】
例3](比較例)
例1と同様に、フィルムを製造した。例1とは異なり、エチレン濃度38モル%の100重量%のエチレン−ビニルアルコール−共重合体EVAL-H101-Bを層Dに使用した。抽出温度は、208℃であった。延伸区間の延伸温度は、155.5℃であった。延伸比は、機械方向に7、横方向に6.5であった。全厚20μmのフィルムが得られ、エチレン−ビニルアルコール共重合体層(層D)の厚さは、ほぼ1.7μmであった。得られたフィルムは、濁る外観と、強い網目構造を有した。
【0072】
例4](比較例)
例1と同様の方法で、フィルムを製造した。例1とは異なり、エチレン濃度32モル%、100重量%のエチレン−ビニルアルコール−共重合体EVAL-F101-Bを層Dに使用した。抽出温度は、208℃であった。延伸区間の延伸温度は、158.5℃であった。延伸比は、機械方向に7、横方向に6であった。全厚20μmのフィルムが得られ、エチレン−ビニルアルコール共重合体層(層D)の厚さは、ほぼ1.7μmであった。得られたフィルムは、濁る外観と、強い網目構造を有した。
【0073】
例5](比較例)
例1と同様に、フィルムを製造した。例1とは異なり、エチレン濃度27モル%、100重量%のエチレン−ビニルアルコール−共重合体EVAL-LC101-Bを層Dに使用した。抽出温度は、207℃であった。延伸区間の延伸温度は、156.5℃であった。延伸比は、機械方向に7、横方向に6.7であった。全厚18μmのフィルムが得られ、エチレン−ビニルアルコール共重合体層(層D)の厚さは、ほぼ1.1μmであった。得られたフィルムの外観は、濁り、強い網目構造が認められた。
【0074】
例6](比較例)
例1と同様に、フィルムを製造した。例1とは異なり、エチレン濃度32モル%、100重量%のエチレン−ビニルアルコール−共重合体EVAL-SP482-Bを層Dに使用した。この新規EVAL型は、対応する保護の際に改良された光学特性を保証すべきである。抽出温度は、207℃であった。延伸区間の延伸温度は、157.5℃であった。延伸比は、機械方向に7、横方向に6.2であった。全厚15.5μmのフィルムが得られ、エチレン−ビニルアルコール共重合体層(層D)の厚さは、ほぼ1.2μmであった。得られたフィルムの外観は、少し濁りがあった。フィルム上に小さな斑点があったが、網目構造は、認められなかった。しかしながら、酸素遮断性は、僅か185cm3/m2dbarであった。
【0075】
例7
例1と同様に、フィルムを製造した。例1とは異なり、エチレン濃度38モル%の100重量%のエチレン−ビニルアルコール−共重合体EVAL-H101-Bを層Dに使用した。抽出温度は、226℃であった。ポリプロピレン単独重合体(HP522-H)50重量%と、ポリプロピレン三量体(7372-XCP)50重量%との混合体を層Bに使用した。これにより、延伸区間の延伸温度を137.5℃に低下できた。延伸比は、機械方向に6、横方向に5.8であった。全厚19μmのフィルムが得られ、エチレン−ビニルアルコール共重合体層(層D)の厚さは、ほぼ1.7μmであった。得られたフィルムの外観は、輝きがあり、いかなる網目構造もなかった。引張強度は、長手方向に210N/mm2、横方向に179N/mm2であった。ヤング熱膨張材料係数(Eモジュール)は、長手方向に1830N/mm2、横方向に1638N/mm2であった。破断点伸び率は、長手方向に84%、横方向に93%であった。濁度値は、1.8%であった。光沢は、89であった。120℃で5分間の収縮率は、長手方向に13.2%、横方向に14.1%であった。酸素遮断性は、6.2cm3/m2dbarであった。
【0076】
例8
例1と同様に、フィルムを製造した。例1とは異なり、エチレン濃度32モル%、100重量%のエチレン−ビニルアルコール−共重合体EVAL-F101-Bを層Dに使用した。抽出温度は、218℃であった。
ポリプロピレン単独重合体(HP522-H)50重量%と、ポリプロピレン三量体(7372-XCP)50重量%との混合体を層Bに使用した。これにより、延伸区間の延伸温度を137℃に低下できた。延伸比は、機械方向に6、横方向に6であった。全厚19μmのフィルムが得られ、エチレン−ビニルアルコール共重合体層(層D)の厚さは、ほぼ1.4μmであった。得られたフィルムの外観は、輝きがあり、いかなる網目構造もなかった。引張強度は、長手方向に181N/mm2、横方向に204N/mm2であった。ヤング熱膨張材料係数(Eモジュール)は、長手方向に1591N/mm2、横方向に1739N/mm2であった。破断点伸び率は、長手方向に87%、横方向に77%であった。濁度値は、2.0%であった。光沢は、89であった。120℃で5分間の収縮率は、長手方向に14.1%、横方向に15.5%であった。酸素遮断性は、3.0cm3/m2dbarであった。
【0077】
例9
例1と同様に、フィルムを製造した。例1とは異なり、エチレン濃度32モル%、100重量%のエチレン−ビニルアルコール−共重合体EVAL-F101-Bを層Dに使用した。抽出温度は、218℃であった。ポリプロピレン単独重合体(HP522-H)60重量%と、ポリプロピレン三量体(7372-XCP)40重量%との混合体を層Bに使用した。これにより、延伸区間の延伸温度を138.5℃に低下できた。延伸比は、機械方向に7、横方向に5.8であった。全厚16.5μmのフィルムが得られ、エチレン−ビニルアルコール共重合体層(層D)の厚さは、ほぼ1.3μmであった。得られたフィルムの外観は、輝きがあり、いかなる網目構造もなかった。引張強度は、長手方向に253N/mm2、横方向に170N/mm2であった。ヤング熱膨張材料係数(Eモジュール)は、長手方向に2408N/mm2、横方向に1772N/mm2であった。破断点伸び率は、長手方向に62%、横方向に98%であった。濁度値は、2.1%であった。光沢は、88であった。120℃で5分間の収縮率は、長手方向に14.0%、横方向に11.1%であった。酸素遮断性は、3.0cm3/m2dbarであった。
【0078】
例10
例1と同様に、フィルムを製造した。例1とは異なり、エチレン濃度32モル%、100重量%のエチレン−ビニルアルコール−共重合体EVAL-F101-Bを層Dに使用した。抽出温度は、218℃であった。ポリプロピレン単独重合体(HP522-H)60重量%と、ポリプロピレン三量体(7372-XCP)40重量%との混合体を層Bに使用した。これにより、延伸区間の延伸温度を137.5℃に低下できた。延伸比は、機械方向に6、横方向に5.8であった。全厚20μmのフィルムが得られ、エチレン−ビニルアルコール共重合体層(層D)の厚さは、ほぼ1.6μmであった。弛緩率は、長手方向に15%、横方向に15%であった。得られたフィルムの外観は、輝きがあり、いかなる網目構造もなかった。引張強度は、長手方向に217N/mm2、横方向に156N/mm2であった。ヤング熱膨張材料係数(Eモジュール)は、長手方向に1929N/mm2、横方向に1572N/mm2であった。破断点伸び率は、長手方向に82%、横方向に116%であった。濁度値は、2.2%であった。光沢は、85であった。120℃で5分間の収縮率は、長手方向に5.1%、横方向に4.8%であった。酸素遮断性は、3.3cm3/m2dbarであった。
【0079】
例11
例1と同様に、フィルムを製造した。例1とは異なり、エチレン濃度32モル%、100重量%のエチレン−ビニルアルコール−共重合体EVAL-F101-Bを層Dに使用した。抽出温度は、218℃であった。ポリプロピレン単独重合体(HP522-H)80重量%と、ポリプロピレン三量体(7372-XCP)20重量%との混合体を層Bに使用した。これにより、延伸区間の延伸温度を135.0℃に低下できた。延伸比は、機械方向に7、横方向に5.8であった。全厚17μmのフィルムが得られ、エチレン−ビニルアルコール共重合体層(層D)の厚さは、ほぼ1.4μmであった。得られたフィルムの外観は、輝きがあり、いかなる網目構造もなかった。引張強度は、長手方向に269N/mm2、横方向に187N/mm2であった。ヤング熱膨張材料係数(Eモジュール)は、長手方向に2618N/mm2、横方向に2063N/mm2であった。破断点伸び率は、長手方向に65%、横方向に87%であった。濁度値は、2.2%であった。光沢は、83であった。120℃で5分間の収縮率は、長手方向に14.0%、横方向に10.2%であった。酸素遮断性は、3.0cm3/m2dbarであった。
【0080】
例12
例1と同様に、フィルムを製造した。例1とは異なり、エチレン濃度27モル%、100重量%のエチレン−ビニルアルコール−共重合体EVAL-LC101-Bを層Dに使用した。抽出温度は、217℃であった。ポリプロピレン単独重合体(HP522-H)80重量%と、ポリプロピレン三量体(7372-XCP)20重量%との混合体を層Bに使用した。これにより、延伸区間の延伸温度を136.0℃に低下できた。延伸比は、機械方向に7、横方向に5.8であった。全厚16.4μmのフィルムが得られ、エチレン−ビニルアルコール共重合体層(層D)の厚さは、ほぼ1.4μmであった。得られたフィルムの外観は、輝きがあり、いかなる網目構造もなかった。引張強度は、長手方向に260N/mm2、横方向に189N/mm2であった。ヤング熱膨張材料係数(Eモジュール)は、長手方向に2547N/mm2、横方向に2092N/mm2であった。破断点伸び率は、長手方向に64%、横方向に85%であった。濁度値は、1.7%であった。光沢は、88であった。120℃で5分間の収縮率は、長手方向に11.6%、横方向に9.6%であった。酸素遮断性は、2.3cm3/m2dbarであった。
【0081】
例13
例1と同様に、フィルムを製造した。例1とは異なり、エチレン濃度27モル%、100重量%のエチレン−ビニルアルコール−共重合体EVAL-LC101-Bを層Dに使用した。抽出温度は217℃であった。ポリプロピレン単独重合体(HP522-H)80重量%と、ポリプロピレン三量体(7372-XCP)20重量%との混合体を層Bに使用した。これにより、延伸区間の延伸温度を136.0℃に低下できた。延伸比は、機械方向に6.3、横方向に5.2であった。弛緩率は、長手方向に15%、横方向に15%であった。全厚21.0μmのフィルムが得られ、エチレン−ビニルアルコール共重合体層(層D)の厚さは、ほぼ1.7μmであった。得られたフィルムの外観は、輝きがあり、いかなる網目構造もなかった。引張強度は、長手方向に225N/mm2、横方向に159N/mm2であった。ヤング熱膨張材料係数(Eモジュール)は、長手方向に2133N/mm2、横方向に1868N/mm2であった。破断点伸び率は、長手方向に85%、横方向に97%であった。濁度値は、1.6%であった。光沢は、89であった。120℃で5分間の収縮率は、長手方向に3.0%、横方向に3.1%であった。酸素遮断性は、2.0cm3/m2dbarであった。
【0082】
例14
例1と同様に、フィルムを製造した。例1とは異なり、エチレン濃度32モル%、100重量%のエチレン−ビニルアルコール−共重合体EVAL-F101-Bを層Dに使用した。抽出温度は、217℃であった。ポリプロピレン単独重合体(HP522-H)80重量%と、ポリプロピレン三量体(7372-XCP)20重量%との混合体を層Bに使用した。これにより、延伸区間の延伸温度を136.5℃に低下できた。延伸比は、機械方向に6、横方向に5.3であった。弛緩率は、長手方向に15%、横方向に15%であった。全厚20.0μmのフィルムが得られ、エチレン−ビニルアルコール共重合体層(層D)の厚さは、ほぼ1.7μmであった。得られたフィルムは、輝きのある外観であって、いかなる網目構造もなかった。引張強度は、長手方向に231N/mm2、横方向に168N/mm2であった。ヤング熱膨張材料係数(Eモジュール)は、長手方向に2118N/mm2、横方向に1807N/mm2であった。破断点伸び率は、長手方向に88%、横方向に107%であった。濁度値は、1.5%であった。光沢は、89であった。120℃で5分間の収縮率は、長手方向に3.3%、横方向に1.9%であった。酸素遮断性は、2.8cm3/m2dbarであった。
【0083】
例15
例1と同様に、フィルムを製造した。例1とは異なり、エチレン濃度38モル%、100重量%のエチレン−ビニルアルコール−共重合体EVAL-H101-Bを層Dに使用した。抽出温度は、218℃であった。ポリプロピレン単独重合体(HP522-H)80重量%と、ポリプロピレン三量体(7372-XCP)20重量%との混合体を層Bに使用した。これにより、延伸区間の延伸温度を136.0℃に低下できた。延伸比は、機械方向に7、横方向に6であった。全厚16.0μmのフィルムが得られ、エチレン−ビニルアルコール共重合体層(層D)の厚さは、ほぼ1.3μmであった。得られたフィルムの外観は、輝きがあり、いかなる網目構造もなかった。引張強度は、長手方向に264N/mm2、横方向に200N/mm2であった。ヤング熱膨張材料係数(Eモジュール)は、長手方向に2526N/mm2、横方向に1998N/mm2であった。破断点伸び率は、長手方向に73%、横方向に99%であった。濁度値は、1.4%であった。光沢は、90であった。120℃で5分間の収縮率は、長手方向に9.9%、横方向に8%であった。酸素遮断性は、8.2cm3/m2dbarであった。
【0084】
例16
例1と同様に、フィルムを製造した。例1とは異なり、エチレン濃度27モル%、100重量%のエチレン−ビニルアルコール−共重合体EVAL-LC101-Bを層Dに使用した。抽出温度は218℃であった。エチレン濃度1.5%のポリプロピレンミニランダム(Minirandom)(HP422-H)100重量%を層Bに使用した。これにより、延伸区間での延伸温度を135℃に低下できた。延伸比は、機械方向に6、横方向に6であった。全厚17.0μmのフィルムが得られ、エチレン−ビニルアルコール共重合体層(層D)の厚さは、ほぼ1.5μmであった。得られたフィルムの外観は、輝きがあり、いかなる網目構造もなかった。引張強度は、長手方向に224N/mm2、横方向に210N/mm2であった。ヤング熱膨張材料係数(Eモジュール)は、長手方向に2376N/mm2、横方向に2376N/mm2であった。破断点伸び率は、長手方向に76%、横方向に75%であった。濁度値は、0.95%であった。光沢は、91であった。120℃で5分間の収縮率は、長手方向に7.6%、横方向に7.4%であった。酸素遮断性は、1.8cm3/m2dbarであった。
【0085】
例17
例1と同様に、フィルムを製造した。例1とは異なり、エチレン濃度27モル%、100重量%のエチレン−ビニルアルコール−共重合体EVAL-LC101-Bを層Dに使用した。抽出温度は、218℃であった。エチレン濃度1.5%のポリプロピレンミニランダム(Minirandom)(HP422-H)90重量%と、炭化水素50%を有するポリプロピレンマスターバッチ(Masterbatch)(MA-0935-PP)10重量%との混合体を層Bに使用した。これにより、延伸区間の延伸温度を135.0℃に低下できた。延伸比は、機械方向に6、横方向に6.2であった。全厚17.5μmのフィルムが得られ、エチレン−ビニルアルコール共重合体層(層D)の厚さは、ほぼ1.5μmであった。得られたフィルムの外観は、輝きがあり、いかなる網目構造もなかった。引張強度は、長手方向に231N/mm2、横方向に195N/mm2であった。ヤング熱膨張材料係数(Eモジュール)は、長手方向に2807N/mm2、横方向に2626N/mm2であった。破断点伸び率は、長手方向に77%、横方向に77%であった。濁度値は、0.93%であった。光沢は、92であった。収縮率は、120℃で5分間において、長手方向に7.2%、横方向に6.8%であった。酸素遮断性は、1.7cm3/m2dbarであった。
【0086】
結果
前記例に記載したフィルム製造試験の結果は、本発明により、傑出する保護特性と、更に際立ちかつ包装目的に望ましい組合せ特性とを備えるエチレン−ビニルアルコール共重合体保護層を有する二軸ポリプロピレンフィルムが得られる点、芳香及び臭気密閉性に関する傑出する特性及び傑出する他の保護特性に加えて、非常に良好なフィルム強度、剛性、傑出する光学特性が得られる点を明示する。保護特性を収縮特性に結合することもできる。
【0087】
前記例に示す製造条件の範囲は、実験中に使用できる設備により制限されるが、所与の具体的な方法条件は、本発明又は本発明によるフィルム製造方法の限界を表わすものではない。意図するフィルムの使用に依存して、例えば、特に必要であれば、10μmまでの保護層の厚さを得ることができる。
【0088】
また、同時延伸の条件を制御して、得られるフィルムを安定化できるので、製造時の機械方向(MD)又は横方向(TD)に対応する主方向の一方又は双方に5%以下の収縮率を得ることができる点を指摘できる。しかしながら、120℃での一方向又は双方向の収縮率を15%以上となる延伸条件を選定してもよい。
【0089】
更に、7層構造では、ポリプロピレン再生品を使用し又は他方の層Bに使用するポリプロピレンとは異なるポリオレフィンを使用しても、使用する最終用途に従って、一方のポリプロピレン層Bを製造できる点を指摘できる。
【0090】
傑出する保護特性に基づき、本発明のフィルムは、包装する商品が芳香損失を受けずかつ/又は包装を通して臭気拡散の生じない全包装目的に適する。本発明によるフィルムの僅かな酸素透過性及び僅かな蒸気透過性は、現在より高価なポリビニルアルコール(PVOH)又はポリ塩化ビニリデン(PVDC)により被覆された二軸ポリプロピレンフィルムを使用すべき最多使用に適する。
【0091】
特に好適な使用方法は、食料品、例えば新鮮な食料品、菓子類及びケーキの包装への使用である。例えば薬品等他の商品の包装にもフィルムを使用できる。良好な光学特性に基づき、消費者が透明な保護材料を期待する全ての場合に、フィルムを使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)をベースとする同時押出成形された少なくとも1つの機能層又は保護層を備える二軸方向性のポリオレフィンフィルムをベースとする多層フィルムの形態を有し、包装用、特に食料品及び嗜好品の包装用保護フィルムにおいて、
同時押出成形された多層初期フィルムの同時延伸により製造され、少なくとも5μm以下、特に2μm以下の厚さのエチレン−ビニルアルコール共重合体層を有し、温度23℃、相対湿度75%での酸素透過性(OTR;ASTM-3985)値は、10cm3/m2dbar未満、好ましくは5cm3/m2dbar未満であることを特徴とする保護フィルム。
【請求項2】
層B/層C/層D/層C/層Bの少なくとも5層構造を有し、双方の層Bは、二軸方向性のポリオレフィンをベースとする構造層であり、双方の層Cの各々は、変性ポリオレフィンをベースとする付着剤層であり、層Dは、40モル%以下のエチレンモル濃度を有するエチレン−ビニルアルコール共重合体をベースとする保護層である請求項1に記載の保護フィルム。
【請求項3】
層A/層B/層C/層D/層C/層B/層Eの7層構造を有し、同一の又は異なる追加の層A及び層Eは、所望の密封可能性、付着改良性、所望の摩擦値又は光沢値を達成しかつ/又は印刷、被覆又は金属メッキ可能性を保証する変性ポリオレフィンから成る機能性カバー層である請求項2に記載の保護フィルム。
【請求項4】
付着剤層Cの変性ポリオレフィンは、無水マレイン酸により変性ポリプロピレン又はポリエチレンである請求項1〜3の何れか1項に記載の保護フィルム。
【請求項5】
各付着剤層Cは、0.1〜5μmの範囲の厚さを有する請求項1〜4の何れか1項に記載の保護フィルム。
【請求項6】
少なくとも一方の層Bのポリオレフィンは、145℃以下の温度で同時延伸により二軸方向性を付与された部分結晶性の熱可塑性ポリプロピレン及び/又は変性ポリプロピレンである請求項1〜5の何れか1項に記載の保護フィルム。
【請求項7】
層Bの部分結晶性の熱可塑性ポリプロピレンは、好ましくは少なくとも80〜98重量%のプロピレンユニット及び対応する残りのエチレンユニット及び/又はブチレンユニットを有し、アイソタクチック構造のプロピレン単独重合体、プロピレン共重合体又はプロピレン三量体をベースとする変性ポリプロピレンである請求項6に記載の保護フィルム。
【請求項8】
層Bのポリプロピレンは、アタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、炭化水素樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブチレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブチレン−三量体、ポリブチレン、再生ポリプロピレン及び線形低密度ポリエチレン(PE-LLD)及びその混合体から選択される変性物を含む請求項6又は7に記載の保護フィルム。
【請求項9】
層Bの少なくとも一方は、付加的に空隙を有する充填剤及び/又は色素を含み、着色され又は不透明である請求項1〜8の何れか1項に記載の保護フィルム。
【請求項10】
各層Bの厚さは、3〜35μm、好ましくは3〜15μmの範囲にある請求項1〜9の何れか1項に記載の保護フィルム。
【請求項11】
フィルムの機械方向(MD)の引張強度及び弾性係数は、フィルムの横方向の引張強度及び弾性係数と同一か又はこれより高く、横方向(TD)の破断点伸びは、機械方向の破断点伸びと同一か又はこれより高い請求項1〜10の何れか1項に記載の保護フィルム。
【請求項12】
長手方向と横方向の合計ヤング熱膨張材料係数(Eモジュール)は、2000N/mm2、好ましくは4000N/mm2を上回る請求項1〜11の何れか1項に記載の保護フィルム。
【請求項13】
80以上の光沢(Gloss;ASTM-2457)を有する請求項1〜12の何れか1項に記載の保護フィルム。
【請求項14】
フィルムに充填剤及び色素がなく、5%以下の濁度(濁度:ASTM-1003)を有する請求項1〜13の何れか1項に記載の保護フィルム。
【請求項15】
12℃の温度で5分内に一方又は双方のフィルム主方向に少なくとも10%の収縮率を有する収縮フィルムである請求項1〜14の何れか1項に記載の保護フィルム。
【請求項16】
フィルムの厚さは、4〜100μmの範囲にある請求項1〜15の何れか1項に記載の保護フィルム。
【請求項17】
少なくともフィルムの一方の表面に金属メッキを施した請求項1〜16の何れか1項に記載の保護フィルム。
【請求項18】
請求項19〜21に記載の方法により製造される請求項1〜17の何れか1項に記載の保護フィルム。
【請求項19】
溶融物として必要な数の幅広スリットノズルから冷却ローラ上に初期多層フィルム層を構成する重合体を同時押出成形し、145℃以下、好ましくは140℃以下の延伸温度で、少なくとも10倍の面積拡大で、形成された初期多層フィルムに接触のない同時延伸を同時延伸装置により実行し、その際50%/秒以上、好ましくは300%/秒以上の延伸速度を適用することを特徴とする請求項1〜18の何れか1項に記載の包装目的保護フィルムの製造方法。
【請求項20】
長手方向及び横方向に少なくとも初期測定値の3倍に初期多層フィルムを延伸する請求項19に記載の製造方法。
【請求項21】
リニアモータ駆動装置を備える同時延伸装置(LISIM(登録商標))により同時延伸を実施して平面フィルムを延伸する請求項19又は20に記載の製造方法。
【請求項22】
芳香、臭気及び酸素密閉性の食料品及び嗜好品の包装フィルムである請求項1〜18の何れか1項に記載の保護フィルムの使用方法。
【請求項23】
カバーフィルムとしての請求項1〜18の何れか1項に記載の保護フィルムの使用方法。

【公表番号】特表2008−545558(P2008−545558A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−513968(P2008−513968)
【出願日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際出願番号】PCT/EP2006/004726
【国際公開番号】WO2006/128589
【国際公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(500192274)ブリュックナー マシーネンバウ ゲーエムベーハー (5)
【Fターム(参考)】