説明

少なくとも1つの有効成分の放出を改変するためのマルチマイクロカプセル形態の経口医薬

本発明は経口医薬又は薬学的組成物に関し、特に、一又は二以上の有効成分を含む類型の経口医薬又は薬学的組成物に関するものである。本発明の目的は、1回又は数回において一日量を投与され、有効成分(特に一種の有効成分)の改変された放出を可能とすることにより、前記薬剤の予防及び治療効果が改善された改良経口医薬を提供することにある。本目的は、有効成分の放出が、二重放出トリガー機構:「時間依存性トリガー」及び「pH依存性トリガー」により制御された、本発明に係る経口マルチマイクロカプセルのガレヌス形態により達成される。前記薬剤には、有効成分の改変された放出をもたらすマイクロカプセルであって、各々が有効成分、1又は2以上の膨潤剤、及び有効成分の改変された放出のための少なくとも1層の被膜を含むコアを含有するマイクロカプセルが包含される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は、経口投与のための、有効成分APの遅延放出および制御放出のための微粒子系のものである。
【0002】
本発明において想定されるAPは、特に、(回盲連結部の)結腸の上流に位置する胃腸管の上部に吸収が本質的に限定され、かつ薬学的有効成分の大部分に相当するものである。特に標的とされる有効成分は、「低溶解性」有効成分である。
【0003】
より具体的には、本発明は、制御期が、二重メカニズム:胃において一定期間経過した後にトリガーされる「時間依存的」放出、および粒子が小腸に入るときのpHの変化によってトリガーされ、かつ少しの遅延時間もなく開始する「pH依存的」放出による特定の態様でトリガーされる、遅延放出および制御放出のための微粒子ガレヌス製剤形態に関する。本発明の微粒子は、個々にAPの遅延放出および制御放出のために被膜でコーティングされた2000ミクロン未満の粒径を有する少なくとも1つの有効成分(AP)(カルベジロールを除く)を含むマイクロカプセルである。
【0004】
また、本発明は、それ自体が服用される、少なくとも1つの有効成分の放出を改変するためのマイクロカプセルに関する。
【背景技術】
【0005】
本開示において、「低溶解性有効成分」は、約50g/l以下、好ましくは約20g/l以下、さらに好ましくは約5g/l以下(例えば0.1g/l以下)の溶解度を有する、カルベジロールを除く任意の有効成分を意味する。
【0006】
本開示において、「マイクロカプセル」という用語は、少なくとも1つの有効成分(特に、低溶解性有効成分)の放出を改変するための少なくとも1つの被膜でコーティングされた、有効成分の微粒子を意味する。
【0007】
本開示において、「カルベジロール」という用語は、カルベジロール自体、カルベジロールの1つもしくは複数の薬学的に許容される塩、もしくはカルベジロールの1つもしくは複数の薬学的に許容されるエステル、またはこれらの活性薬剤のいずれかの混合物を意味する。
【0008】
本開示において、「放出を改変する」という表現は、区別なく、マイクロカプセルが溶解培地と接触してすぐに開始して、0.5時間〜24時間、好ましくは1時間〜10時間延びて有効成分の放出が延長されることか、または所定期間(遅延時間)、例えば0.5〜数時間にわたる時間後にのみ開始して、有効成分の50%の放出時間が典型的には数時間で、かつ例えば0.5〜30時間延長することができる有効成分の放出を意味する。
【0009】
本開示において、「即時放出」という表現は、ガレヌス製剤形態が溶解培地(インビボで、またはインビトロで)と接触してすぐに開始して、有効成分の80%の放出時間が1時間以下、例えば20分以下である有効成分の放出を意味する。
【0010】
有効成分の遅延放出および制御放出のための系は、それが時間生物学的理由のために望ましいときは、有効成分を概日サイクルと同調させるために、1日の特定の時間に「生体吸収させる」ために、特に有用である。これは、例えば、患者が起きるときに、しかし患者の早起きを制限することなく治療範囲を保証するために、有効成分を非常に早朝くに生体吸収させるために有利であり得る。このためには、患者が、例えば夕食後夜に摂取したガレヌス製剤系は、有効成分が遅放性にされるべきである。
【0011】
処方される医薬が患者によって吸収されるのを保証することが、ガレヌス製剤の専門家に対するもう一つの必須のルールであるという認識において、遅放形態の場合、治療効果を得るために、所与の瞬間における有効成分の放出を完璧に保証することが必須である。現在、最近まで存在した遅放形態では、要求される時間におけるAPの放出を明確に保証することができない点に留意しなければならず、これは、一定の病態の患者、例えば心臓血管疾患には重大なものとなり得る。
【0012】
有効成分の遅延放出および制御放出の系における他の所望される特性は、投与後に得られる血漿濃度プロファイルの改善である。意図される目的は、有効成分の作用期間を最大に、したがってその(それらの)治療的有効性を最大にするために、できる限り長期間、有効な治療濃度を上回って維持される血漿プロファイルを得ることである。この目的は、血液区分における有効成分の滞流時間に直結しており、これは最も一般的には、1日未満である。したがって、この目的を達成するためには、有効成分APの放出を、胃腸管の上部におけるその(それらの)生体吸収窓口の前に適切に調整することにより、有効成分の生体吸収を延長することが望ましい。
【0013】
上述した時間治療の問題およびできる限り長期間の高血漿プロファイルを維持する問題の解決を試みるために、有効成分の放出を改変するための種々の形態が開発されてきた。
【0014】
次のように、例えばメタクリル酸とメタクリル酸メチルエステルとの共重合体の腸内重合体:EUDRAGIT(登録商標)Lの層によって有効成分をコーティングすることによって得られるpH依存的遅放性形態が既知である。このタイプの腸溶被膜は、胃酸のpH条件下で透過性の減少をもたらすこと、およびpHが小腸で生じるものに近い値に戻るときに溶解し、したがって有効成分を放出することが既知である。しかし、胃のpH状態および胃排出の期間の個体内および個体間のばらつきにより、所与の期間後の有効成分の放出を明確に保証することができない。
【0015】
さらに、摂取後の時間に純粋に依存する(「時間依存的」)遅放系、すなわち有効成分の放出が胃腸管において所与の期間を費やした後にトリガーされる系は、既知でもなく、満足なものでもない。実際のところ、胃の滞流時間の個体内および個体間のばらつきのため、有効成分の放出は、有効成分が、大部分の有効成分については胃腸管の上部に位置するその吸収窓口の前を通過した後に生じ得る。したがって、生体吸収は、非常に低いか、またはさらにゼロであることもある。
【0016】
しかし、特に上述した時間治療の問題およびできる限り長期間の高血漿プロファイルを維持する問題に関して、非常に有意な進歩が得られた多微粒子のガレヌス製剤系は、PCT特許出願WO-A-03/030878に開示された多微粒子のガレヌス製剤系まで存在しなかった。有効成分の遅延放出、制御放出および限定放出のためのこの系は、有効成分の放出をトリガーするための二重メカニズム:胃において制御された期間後にpHの何らの変化も伴わずにトリガーされる「時間依存的」放出、およびガレヌス製剤形態が小腸を透過するときにpHが上昇することによってトリガーされる「pH依存的」放出によって特徴づけられる。有効成分の放出のためのこれらの2つのトリガー因子は、連続して配置されており、ガレヌス製剤系に対して非常に安全な使用を与える。したがって、有効成分の放出は、トリガー因子としてpHの変化が介在しなかった場合であっても、すなわちガレヌス製剤形態が胃から小腸へと通過しなかった場合であって、予め制御された遅延時間後に保証される。200〜600ミクロンの直径のこれらのマイクロカプセルは、40〜90℃の融解温度をもつ植物蝋(LUBRITAB(登録商標))などの疎水性化合物Bと組み合わせたEUDRAGIT(登録商標)L型の親水性ポリマーAをベースとする被膜によって特徴づけられる(B/A比= 0.2-1.5)。これらのマイクロカプセルは、一定のpH 1.4にて1〜5時間の間の遅滞期、続いて有効成分放出期が観察されるような、およびpH 1.4からpH 6.8への変化により、インビトロで何ら遅延時間を伴わずに有効成分を放出させるような、インビトロでの溶解挙動を有する。
【0017】
また、PCT特許出願WO-A-03/030878に記載の多微粒子ガレヌス製剤系は、ヒトの胃腸管の生理学的状態を考慮に入れることによって、胃におけるAPの放出前の遅延時間を調整することができる。したがって、この有利な方法は、APの吸収の個体間のばらつきを最小にする手段となる。実際に、Davis等, J. of Controlled Release, 2, 27-38 (1985)に開示の周知の結果によれば、製剤の胃における滞流時間は、約0.5〜10時間で、非常に変わりやすい。現在、具体的には、上述した系により、この0.5〜10時間の範囲内の所与の一定の遅延時間後に胃において有効成分を放出することができ、その結果、個体間で、またはさらに同じ個体についての日と日の間でも、医薬作用時間が同じである。
【0018】
実際に、WO-A-03/030878に記載されたAPの遅延放出および制御放出のための微粒子経口ガレヌス製剤形態は、同時に以下の特性を有する:
・APの放出を、以下の2つの方法:
- 粒子が胃において費やす時間量が5時間を超える「時間依存的」放出;
- 系が小腸に侵入してpHを増大するときに、何らの遅延時間を伴わずに開始する「pH依存的」放出;
によりトリガーすることができ、これらの連続して配置された2つのAP放出トリガー因子により、pHの変化がトリガー因子として介在しなかった場合であっても、事前に制御された遅延時間後のAPの放出が保証される特性、
・コーティングされたAPの複数個の小さなマイクロカプセルからなる特性、
・コーティング賦形剤の質量分率が制限される特性。
【0019】
できる限り長期間、高い血漿プロファイルを維持する問題は、WO-A-03/030878に記載された発明に従って、異なる遅延放出および制御放出プロファイルを有するマイクロカプセルの混合物を使用することにより解決することができることに留意すべきである。
【0020】
これにより、いくつかの放出の波を示すか、または種々のフラクションの適切な制御によって、一定レベルの有効成分の血漿濃度を保証する放出プロファイルを生じさせることができる。
【0021】
技術的問題
それにもかかわらず、WO-A-03/030878に従った有効成分の遅延放出および制御放出のためのこの微粒子の経口ガレヌス製剤形態は、さらに改善し得る余地がある。
【0022】
実際に、放出されるには、最初にマイクロカプセル化された有効成分に、胃腸管の液体が到達しなければならず、このためには、胃腸管の液体がマイクロカプセルの被膜を通過しなければならないことが既知である。次いで、マイクロカプセル化された有効成分が、これらの液体に溶解し得る。こうして得られる有効成分溶液が、その後に前記マイクロカプセルの被膜を通ってマイクロカプセルの外に拡散し得る。したがって、0.5〜7時間の間、例えば2〜3時間の遅延時間を得るためには、水または胃腸管液などの液体がマイクロカプセルに入る時間により、有効成分の遅放が可能なように、マイクロカプセルの被膜が十分な厚み(μm)を有することおよび/または十分な程度の皮膜(degree of film-coating)DF(質量%)を示すことが重要である。例えば、この最小の厚さは、10〜40%のDFに対応し得る。
【0023】
しかし、被膜の厚みが、遅延時間を生じさせるために十分なときであって、低溶解性有効成分の場合には、まるで「pH依存的」放出のような有効成分の「時間依存的」放出がなおも有効であるものの、より緩徐になってしまい、これが生物学的利用能に有害となり得る点に留意する可能性がある。例えば、「固体の経口形態のための溶出試験」の名称の欧州薬局方第4版の指示に従って行ったインビトロでの溶解試験:37℃に維持し100rpmにて撹拌するSINK条件下で行われるII型溶解試験(dissolutest)において、有効成分の少なくとも80質量%は、例えばpH = 7.0にて16時間後に放出されない。
【0024】
したがって、今日まで、有効成分の放出を改変するために、特に、低溶解性有効成分について、より迅速な放出時間で、この放出をトリガーするための機構を問わず、有効成分の生体吸収を最適化することができる「時間依存的」および「pH依存的」の二重トリガー機構に従って有効成分の放出を得ることができる、WO-A-03/030878に開示されたタイプであって、かつ有効成分の放出を改善する医薬組成物またはマルチマイクロカプセル経口医薬の需要が存在する。
【発明の開示】
【0025】
目的
本発明の必須な目的の1つは、WO-A-03/030878に記述された経口医薬に関して改善された経口医薬を提供すること、具体的には、有効成分(特に低溶解性有効成分)の放出について「時間依存的」および「pH依存的」の二重トリガー機構の正確な機能を保証する、有効成分(特に低溶解性有効成分)の改変された放出のためのマルチマイクロカプセル経口医薬を提供することである。
【0026】
本発明のもう一つの必須な目的は、有効成分の放出速度を全てが胃腸管における吸収のその窓口に沿うように適切に調整することができ、その結果、血漿濃度プロファイルをできる限り長期間、特に即時放出形態のものよりも長期間、有効な治療濃度を上回って維持することができる、有効成分の改変された放出のためのマルチマイクロカプセル経口医薬を提供することにある。
【0027】
本発明のもう一つの必須な目的は、時間治療の問題に対し、およびこれに従うことの困難なことに対し適切な問題解決法を提供する、有効成分の改変された放出のためのマルチマイクロカプセル経口医薬を提供することにある。
【0028】
本発明のもう一つの必須な目的は、少なくとも2つの有効成分を同じ薬学的形態において容易に組み合わせることを可能とする、有効成分の改変された放出のためのマルチマイクロカプセル経口医薬を提供することにある。
【0029】
本発明のもう一つの必須な目的は、コンパクトな一体化形態に反して個体間のばらつきの減少をもたらす、有効成分の改変された放出のためのマルチマイクロカプセル経口医薬を提供することにある。
【0030】
本発明のもう一つの必須な目的は、胃腸の通過時間および胃腸管の上部での有効成分の吸収を増大させることができる、有効成分の改変された放出のためのマルチマイクロカプセル経口医薬を提供することにある。
【0031】
本発明のもう一つの必須な目的は、有効成分の改変された放出のためのマルチマイクロカプセル経口医薬であって、特に患者の遵守に関して有意な進歩を示すであろう、一日一回投与することができるという表示形態でこの医薬を存在させることができるマルチマイクロカプセル経口医薬を提供することにある。
【0032】
本発明のもう一つの必須な目的は、安全な工業処理に従って製造することができる、有効成分の改変された放出のためのマルチマイクロカプセル経口医薬を提供することにある。
【0033】
本発明のもう一つの必須な目的は、例えば低溶解性有効成分を含む微粒子に噴霧によって被膜を堆積することによる、調製が容易な、有効成分の改変された放出のためのマルチマイクロカプセル経口医薬を提供することにある。
【0034】
本発明のもう一つの必須な目的は、例えばマイクロカプセルの60質量%までの高含有率の有効成分を有することができる、有効成分の改変された放出のためのマルチマイクロカプセル経口医薬を提供することにある。
【0035】
本発明のもう一つの必須な目的は、複数のマイクロカプセルを含み、かつ用量非依存的なインビトロでの有効成分放出プロファイルを有する、有効成分の改変された放出のための経口医薬を提供することにある。
【0036】
本発明のもう一つの必須な目的は、マイクロカプセルが非腸溶性の、すなわちpHが1.4から7.0(胃のpH→腸管のpH)になるときだけ有効成分を放出しない、有効成分の改変された放出のためのマルチマイクロカプセル経口医薬を提供することにある。
【0037】
本発明のもう一つの必須な目的は、経口投与の24時間後に、できる限り高い有効成分の血漿濃度(C24h)を得ることができる、有効成分の改変された放出のためのマルチマイクロカプセル経口医薬を提供することにある。
【0038】
本発明のもう一つの必須な目的は、特に上記目的において述べた明細書によって定義したとおりの医薬を製造するために使用することができる、有効成分の改変された放出のためのマイクロカプセルを提供することにある。
【0039】
本発明の簡単な開示
最初に、これらの目的は、とりわけ、有効成分の放出を改変するための複数のマイクロカプセルを含む経口医薬であって、前記マイクロカプセルの少なくともいくつかは、有効成分の放出を改変するための少なくとも1層の被膜でコーティングされた少なくとも1つの有効成分、特に少なくとも1つの低溶解性有効成分(カルベジロールを除く)を含む微粒子から個々になり、前記放出は、一方がpHの変化に依存し、他方が胃の中で費やされる一定期間後に有効成分の放出を可能とする二つの異なるトリガー機構により制御されており、
前記被膜は、また、マイクロカプセルに対して以下のようなインビトロでの溶出挙動:
− 一定のpH1.4において、溶解プロファイルには、7時間以下、好ましくは5時間以下、より好ましくは1〜5時間の期間の遅滞期を含み、
− pH1.4からpH7.0になると少しの遅延時間も伴わずに放出期を生じる;
を与える経口医薬において、
前記マイクロカプセルの中には、少なくとも1つの膨潤剤を含有するものが含まれること、および、遅滞期の間に放出される有効成分の質量分率が、1時間あたり15質量%以下、好ましくは1時間あたり10質量%以下、より好ましくは1時間あたり5質量%以下であること、を特徴とする経口医薬に関する本発明によって達成される。
【0040】
インビトロでの溶解挙動は、「固体の経口形態のための溶出試験」の名称の欧州薬局方第4版:37℃にて維持して100rpmにて撹拌するSINK条件下で行われるII型溶解試験の指示に従って行ったインビトロでの溶出試験で決定される。
【0041】
本発明に従った医薬は、上述した技術的問題を解決し、すなわち二重の「時間依存的」および「pH依存的」トリガー機構による低溶解性有効成分APの放出により、特にWO-A-03/030878に従った発明によって得られる溶出時間と比較して、有効成分の放出を促進する。この際に、本発明に従った医薬は、最終的にこのような低溶解性有効成分の予防的および治療的有効性を改善する。
【0042】
しかし、本発明に従った医薬は、また、特に以下の利点を提供する点で有利である:
− 少なくとも2つの有効成分の単なる併用使用の可能性;
− 個体間ばらつきの減少;
− 胃腸の通過時間および胃腸管の上部での有効成分の吸収の増大;
− 用量と薬物速度学的プロファイルとの間の釣り合い;
− 患者による摂取の容易さおよび確実にコンプライアンスが観察され、したがって有効性を保証し、例えば1日1回投与の可能性;
− 製造バッチ間の放出速度の再現性;したがって、カプセル化された有効成分(例えば、低溶解性有効成分)の治療性能レベルを害することなく、製造開発が可能である;
− 簡単かつ経済的な製造(例えば、低溶解性有効成分を含む微粒子に対する吹付けによるコーティングの沈着による);
− 例えばマイクロカプセルの60質量%までの高含量の有効成分を有する可能性;
− 多数のマイクロカプセルおよび用量非依存的なインビトロでの有効成分放出プロファイルを有する;
− 非腸溶性マイクロカプセル、すなわちpHが1.4〜7.0(胃のpH→腸管のpH)になるときだけ有効成分を放出しない;
− 有効成分の血漿濃度は、経口投与の24時間後に、数回の用量で取り込まれる即時放出形態で得られるであろうものに近い、またはこえる有効成分の血漿濃度。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
本発明の詳細な開示
本発明によれば、膨潤剤は、25℃の水中にて10質量%以上、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20%以上の膨潤度を示す少なくとも1つの親水性の薬学的に許容され得る化合物を含む。
【0044】
本発明の顕著な特徴によれば、膨潤剤は、「固体の経口形態のための溶出試験」の名称の欧州薬局方第4版:37℃に維持して100rpmにて撹拌するSINK条件下で行われるII型溶解試験の指示に従って行ったインビトロでの溶解試験において、マイクロカプセルが、pH = 1.4にて16時間後に、および、7時間以下、好ましくは5時間以下、より好ましくは1〜5時間の間の遅滞期後に、有効成分の少なくとも50質量%を放出することを可能とするものの中から選択される。
【0045】
本発明によれば、膨潤剤の濃度(Cd)を適切に選択することにより、マイクロカプセルからの有効成分のpH = 1.4における放出の割合を調整することができる。
【0046】
膨潤剤の粒子のサイズ(Td)は、膨潤剤が微粒子形態であるときは、5〜200μm、好ましくは10〜50μmの平均直径の範囲内で選択されることが都合よい。
【0047】
膨潤剤の濃度(Cd)は、マイクロカプセルの総質量を基準として以下の質量%の範囲内で選択される:
- 3≦Cd≦40、
- 好ましくは、4≦ Cd≦30、
- より好ましくは5≦Cd≦25。
【0048】
本発明の好ましい態様によれば、膨潤剤は、以下の産物群から選択される:
- 架橋されたポリビニルピロリドン(例えば、ポリプラスドン(polyplasdone)またはクロスポビドン(crospovidone))、
- 架橋されたカルボキシアルキルセルロース:架橋されたカルボキシメチルセルロースは(例えば、架橋されたクロスカルメロースナトリウム)、
- 更には、例えば以下に示す高モル質量親水性ポリマー(100000 D以上):
・ポリビニルピロリドン、
・ポリアルキレンオキシド(例えば、ポリエチレンオキシドまたはポリプロピレンオキシド)、
・(ヒドロキシ)(アルキル)セルロース(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、
・カルボキシアルキルセルロース(例えば、カルボキシメチルセルロース)、
・セルロース(粉末または微結晶性である)、
・修飾デンプン(例えば、グリコール酸ナトリウムで修飾されたもの)、
・天然デンプン(例えば、トウモロコシ、コムギまたはジャガイモ由来)、
・アルギン酸ナトリウム、
・ポラクリリンカリウム(sodium polacriline)、及び
・これらの混合物。
【0049】
さらに、より好ましくは、膨潤剤は、以下の産物の下位群から選択される:
- 架橋されたポリビニルピロリドン(例えば、ポリプラスドンまたはクロスポビドン)、
o 架橋されたカルボキシアルキルセルロース:架橋されたカルボキシメチルセルロース(例えば、架橋されたクロスカルメロースナトリウム)。
【0050】
有効成分(例えば、低溶解性有効成分)が水で十分に湿らず、したがって、かたまりになる傾向を有する可能性を克服するために、本発明の有利な変形に従って、医薬が、好ましくは以下の製品から選択される少なくとも1つの湿潤剤を確実に含むことが提唱される:
- アニオン界面活性剤、好ましくは脂肪酸、ステアリン酸および/またはオレイン酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩の下位群、および/または、
- 好ましくは以下の下位群の非イオン性界面活性剤:
・ポリオキシエチレン化オイル、好ましくはポリオキシエチレン化水素添加ヒマシ油)、
・ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレン共重合体、
・ポリオキシエチレン化ソルビタンエステル
・ポリオキシエチレン化ヒマシ油誘導体
・ステアリン酸塩、好ましくはステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウムまたはステアリン酸亜鉛、
・ステアリルフマラート、好ましくはナトリウムステアリルフマラート、
・ベヘン酸グリセリル、及び
・これらの混合物。
【0051】
好都合には、本発明に従った医薬は、「固体の経口形態のための溶出試験」の名称の欧州薬局方第4版:37℃にて維持して100rpmにて撹拌するSINK条件下で行われるII型溶解試験の指示に従って行ったインビトロでの溶出試験において、pH = 7.0にて12時間後に、有効成分の少なくとも80質量%を放出することができる有効成分のマイクロカプセルを含む。
【0052】
本発明に従った医薬は、多微小被膜であり、すなわち、これには、とりわけコーティングされたか、またはフィルムコーティングされた有効成分の微粒子からなるマイクロカプセルを含む。有効成分のこれらの微粒子は、例えば、粉末形態の粗製(純粋な)有効成分、種々のその他の成分と有効成分のマトリックス顆粒、または代わりに、例えば有効成分を含む少なくとも1つの層でコーティングされたセルロースまたは糖でできた中性微粒子であってもよい。
【0053】
有効成分の放出が改変されたマイクロカプセルは、少なくとも1つの有効成分を含み、かつ本発明に従った医薬の構成要素の少なくともいくつかを形成する微小単位と比較することができる。
【0054】
それぞれのマイクロカプセルには、同一または互いに異なる1つまたは複数の有効成分を含むことができる。
【0055】
本発明に従った医薬は、マイクロカプセル以外の有効成分の微小単位を含むことができる。これらは、例えば有効成分の即時放出のためのマイクロカプセルであることができる。後者は、例えば本発明に従ったマイクロカプセルの製造に使用することができるものと同じタイプのコーティングされてない有効成分の微粒子であってもよい。
【0056】
それぞれの微粒子は、同一または互いに異なる1つまたは複数の有効成分を含むことができる。
【0057】
加えて、本発明に従った医薬を構成する微小単位(微粒子および/またはマイクロカプセル)のコレクションを微小単位の種々の集団で構成することができ、これらの集団は、少なくともこれらの微小単位に含まれる有効成分の性質が、および/またはコーティングの組成物が互いに異なる。
【0058】
本発明に従った医薬に使用されるマイクロカプセルの構造に関して、マイクロカプセルの構造の2つの好ましい態様を、非限定の立場で、以下に詳述する。
【0059】
第1の態様によれば、有効成分の放出を改変するための少なくいくつかのマイクロカプセルは、それぞれ:
- コーティングされた有効成分の微粒子、
- 有効成分の放出を改変するための少なくとも1層の被膜、
を含む。
【0060】
好ましくは、有効成分の微粒子は、有効成分と1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤とを含む顆粒である。
【0061】
好都合には、膨潤剤は、微粒子(例えば、顆粒)に含まれる。
【0062】
湿潤剤に関して、これ(これら)は、好ましくは微粒子(例えば、顆粒)に、および/または有効成分の放出を改変するための被膜に含まれる。
【0063】
第2の態様によれば、有効成分の放出を改変するための少なくいくつかのマイクロカプセルは、それぞれ:
- 中性コア、
- 有効成分を含み、かつ中性コアをコーティングする少なくとも1層の活性層、および、
- 有効成分の放出を改変するための少なくとも1層の被膜、
を含む。
【0064】
第1の可能性によれば、中性コアには、ショ糖および/またはデキストロースおよび/または乳糖を含む。
【0065】
第2の可能性によれば、中性コアは、セルロース微粒子である。
【0066】
好都合には、中性コアは、1〜800μm間、および好ましくは20〜500μmの間の平均直径を有する。
【0067】
活性層は、任意に、有効成分に加えて、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を含むことができる。
【0068】
好都合には、膨潤剤は、活性層に含まれる。
【0069】
例えば、この活性層は、有効成分、少なくとも1つの膨潤剤、少なくとも1つの結合剤および少なくとも1つの界面活性物質を含む。
【0070】
湿潤剤に関しては、これ(これら)は、好ましくは活性層に含まれる。
【0071】
今回、有効成分の放出を改変するためのマイクロカプセルをコーティングする組成物に関して、本発明は、また、以下の特異性を有するマイクロカプセルを選択することで構成される:
- 有効成分の放出を改変するためのコーティングは複合材料を含み、該複合材料は:
・以下を含み:
- 中性pHにてイオン化される基を有する少なくとも1つの親水性ポリマーA、
- 少なくとも1つの疎水性化合物B、
・質量分率(マイクロカプセルの総質量と比較した質量%)≦40を示し;かつ、
- マイクロカプセルの平均直径が、2000μm未満、好ましくは50〜800μm、より好ましくは100〜600μmである。
【0072】
もう一つの有利な特徴によれば、低溶解性有効成分の放出を改変するためのコーティングの複合材料ABは:
- 質量比B/Aが、0.2〜1.5、好ましくは0.5〜1.0であり、
- 疎水性化合物Bが、固体状態で結晶性であり、かつ融点MpB≧40℃、好ましくはMpB≧50、より好ましくは40℃≦MpB ≦90℃を有する産物から選択される。
【0073】
好ましい態様によれば、親水性ポリマーAは:
−A.a (メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸アルキルエステルの共重合体、およびこれらの混合物;
−A.b セルロース誘導体、好ましくは酢酸セルロース、フタル酸セルロース、コハク酸セルロースおよびこれらの混合物、より好ましくはフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびこれらの混合物;及び
−これらの混合物;
から選択される。
【0074】
さらに、より好ましいポリマーAは、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸アルキル(例えば、C1-C6アルキル)エステルの共重合体である。これらの共重合体は、例えば、登録商標EUDRAGIT(登録商標)のシリーズLおよびSにおいて、Rohm Pharma Polymers社によって販売されているもの(例えば、EUDRAGIT(登録商標)、L100、S100、L30 D-55、およびL100-55)のようなタイプがある。これらの共重合体は、胃において遭遇するpHよりも上のpHにて水性媒体に可溶性である陰イオン性腸溶性共重合体である。
【0075】
さらに好ましい態様によれば、化合物Bは、以下の産物群から選択される:
−B.a 単独で、または互いに混合物の形状をとる植物蝋;
−B.b 単独で、または互いに混合物の形状をとる水素添加植物油;
−B.c グリセロールと少なくとも1つの脂肪酸との、モノ−および/またはジ−および/またはトリエステル;
−B.d グリセロールと少なくとも1つの脂肪酸とのモノエステルの、ジエステルの、並びにトリエステルの混合物;
−B.e およびこれらの混合物。
【0076】
さらに、より好ましくは、化合物Bは、以下の産物群:水素添加綿実油、水素添加大豆油、水素添加パーム油、ベヘン酸グリセリル、水素添加ヒマシ油、トリステアリン、トリパルミチン、トリミリスチン、黄ろう、坐薬のための基材として使用することができる固い脂肪または脂肪、無水酪農脂肪、ラノリン、グリセリルパルミトステアラート、グリセリルステアラート、ラウリルマクロゴールグリセリド、セチルアルコール、ポリグリセリルジイソステアラート、ジエチレングリコールモノステアラート、エチレングリコールモノステアラート、オメガ3およびこれらのいずれかの混合物から選択され、
好ましくは以下の産物の下位群:水素添加綿実油、水素添加大豆油、水素添加パーム油、ベヘン酸グリセリル、水素添加ヒマシ油、トリステアリン、トリパルミチン、トリミリスチンおよびこれらのいずれかの混合物から選択される。
【0077】
実際には、化合物Bは好ましくは以下から選択される(限定するものではない。):
- 以下の商標において販売される製品群:Dynasan(登録商標)、Cutina(登録商標)、Hydrobase(登録商標)、Dub(登録商標)、Castorwax(登録商標)、Croduret(登録商標)、Compritol(登録商標)、Sterotex(登録商標)、Lubritab(登録商標)、Apifil(登録商標)、Akofine(登録商標)、Softtisan(登録商標)、Hydrocote(登録商標)、Livopol(登録商標)、Super Hartolan(登録商標)、MGLA(登録商標)、Corona(登録商標)、Protalan(登録商標)、Akosoft(登録商標)、Akosol(登録商標)、Cremao(登録商標)、Massupol(登録商標)、Novata(登録商標)、Suppocire(登録商標)、Wecobee(登録商標)、Witepsol(登録商標)、Lanolin(登録商標)、Incromega(登録商標)、Estaram(登録商標)、Suppoweiss(登録商標)、Gelucire(登録商標)、Precirol(登録商標)、Emulcire(登録商標)、Plurol diisostearique(登録商標)、Geleol(登録商標)、Hydrine(登録商標)およびMonthyle(登録商標)、並びにこれらの混合物;
- さらに、コードが以下である添加物の群:E 901、E 907、E 903、およびこれらの混合物;および
- 好ましくは、以下の商標において販売される商品群:Dynasan(登録商標)P60、Dynasan(登録商標)114、Dynasan(登録商標)116、Dynasan(登録商標)118、Cutina(登録商標)HR、Hydrobase(登録商標)66-68、Dub(登録商標)HPH、Compritol(登録商標)888、Sterotex(登録商標)NF、Sterotex(登録商標)K、Lubritab(登録商標)、およびこれらの混合物。
【0078】
本発明のもう一つの有利な特徴によれば、低溶解性有効成分の放出を改変するための被膜は、タルクを含まない。
【0079】
マイクロカプセルの製造の結果であるもう一つの顕著な特徴によれば、有効成分は、当業者に既知の技術、例えば流動エアー層スプレーコーティング技術、湿式造粒法、成形、押出し−球状化(spheronization)などによって、コア上に堆積される。
【0080】
好都合には、マイクロカプセルの被膜には、必須成分AおよびBに加えて、特に:
- 色素、
- 可塑剤(例えば、セバシン酸ジブチル)、
- 親水性化合物(例えば、セルロースおよびこれらの誘導体、またはポリビニルピロリドンおよびこれらの誘導体)、及び
- これらの混合物、
などの、当業者に既知のその他の従来の成分を含有させることができる。
【0081】
限定されることなくより好ましい態様によれば、有効成分の放出を改変するためのマイクロカプセルの被膜には、単一の複合物ABコーティングフィルムが含まれる。
【0082】
定量的用語で、コーティングの単層は、例えばマイクロカプセルの多くても40%、好ましくは多くても30質量%であることができる。このようにコーティングの程度が限定されることにより、それぞれが、嚥下に関して完全に容認できないサイズを上回ることなく、高用量の有効成分を含むガレヌス製剤単位を製造することができる。治療のコンプライアンス、したがって治療の成功は、これによってのみ改善することができる。
【0083】
胃において予め定められた滞流時間後に、何らのpHの変化も伴わずに低溶解性有効成分の放出をトリガーするための機構は、特にマイクロカプセルの水和の割合および/またはマイクロカプセルの1つまたは複数の成分の溶解の割合を制御することによる。例えば、限定されることは望まないが、マイクロカプセルの水和は:
- マイクロカプセル中に、浸透圧を調整すること、またはマイクロカプセルの膨張を生じさせることができる親水性の製品が存在することにより;
- または、被膜の透水性を調節することにより;
- または、被膜に微細孔性を作製することにより;
- またはさらに、被膜の化合物の水和もしくは溶解により、
制御することができる。
【0084】
本発明に従った、有効成分の、例えば低溶解性成分の遅延放出および制御放出のためのマルチマイクロカプセルガレヌス製剤系の確定している利点のうちの1つには、インビボで、胃腸管において有効成分の、例えば低溶解性成分の放出をトリガーする2つの因子、すなわち:
- 胃において費やされる期間:「時間でトリガーされる」放出、
- pHの変化:「pHでトリガーされる」放出、
を含むことである。
【0085】
有効成分の、例えば低溶解性成分の放出をトリガーするこれらの2つの因子は、一組であり、その結果、これらがガレヌス製剤系で非常に安全な使用される。したがって、予め制御された遅延時間後に、pHの変化がトリガー因子として介在しなかった場合であっても、有効成分の、例えば低溶解性成分の放出が保証される。したがって、個体間のばらつきの問題は、解決される。このようなガレヌス製剤系を含む医薬の治療有効性により、目標とした治療性能レベルに適応された、予め定められた時間生物学が確実に観察される。
【0086】
加えて、いずれの有効成分(例えば、低溶解性有効成分)についても、その吸収の窓口は、胃腸管の上部に限定されており、複数のマイクロカプセルで遅放および次いで延長放出、制御放出が構成される形態には特に有利である。実際に、このようなガレヌス製剤形態については、投与される有効成分(例えば、低溶解性有効成分)の用量が多数のマイクロカプセル(典型的には、5000〜50000)間に分配され、その結果以下の本質的利点をもたらす:
- 胃腸管の上部におけるマイクロカプセルによって費やされる期間を延長することができ、これにより吸収の窓口の前で、通過する低溶解性有効成分によって費やされる時間量が確実に増大し、したがって低溶解性有効成分の生物学的利用能が最大になる。
【0087】
- 異なる遅延放出および制御放出プロファイルをもつマイクロカプセルの混合物の使用により、いくつかの放出の波を有するか、または種々の画分の適切な制御を介して、低溶解性有効成分の一定レベルの血漿濃度を保証する放出プロファイルを生じさせることができる。
【0088】
- 多数の粒子間での胃で起こる排出が、統計学的により再現性があったので、胃排出のばらつきがより少ない。
【0089】
- 組織と高用量の低溶解性有効成分との間の接触(「用量ダンピング」)が防止される。それぞれのマイクロカプセルは、実際に極低用量の低溶解性有効成分だけを含む。したがって、攻撃的な低溶解性有効成分の局部的濃度過剰による組織悪化のリスクがない。
【0090】
o小さい包み、ゼラチンカプセルまたは錠剤の形態でこれらのマイクロカプセルを提供することができる。低溶解性有効成分が高用量(500mg以上)であるときに、一体化形態では、大きすぎて容易に飲み込めない。そして、有効成分の(特に、低溶解性有効成分の)遅延放出および制御放出を保証し、ばらばらにできる錠剤の形態で、または小さい包みの形態で当業者が製造することができる微粒子形態を有することも、特に有利である。
【0091】
本発明に従ったマルチマイクロカプセルガレヌス製剤系は、信頼できる様式で、2つのトリガーによって胃腸管における低溶解性有効成分の遅延放出および制御放出を保証すること、したがって胃排出の条件の個体間および個体内のばらつきを逃れることができ、一方で、同時に経済的に実施可能で、容易に摂取される(コンプライアンスが最適化される)。
【0092】
本発明のもう一つの対象は、有効成分の放出を改変するための複数のマクロカプセルを含有する経口医薬であって、前記マイクロカプセルのいくつかは、有効成分の放出を改変するための少なくとも1層の被膜でコーティングされた少なくとも1つの有効成分、特に少なくとも1つの低溶解性有効成分(カルベジロールを除く)を含有する微粒子から個々になり、前記放出は、一方がpHの変化に依存し、他方が胃の中で費やされる一定期間後に有効成分の放出を可能とする二つの異なるトリガー機構により制御されており、
前記被膜は:
- マイクロカプセルに対して:
・ 一定のpH1.4において、溶解プロファイルは、7時間以下、好ましくは5時間以下、より好ましくは1〜5時間の期間の遅滞期を含み;
・ pH1.4において16時間後に、有効成分の少なくとも50質量%が放出され;
・ ph1.4からpH7.0への通過により、何らの遅延時間を伴わずに開始する放出期を生じさせる;
ようなインビトロでの溶解挙動(「固体の経口形態のための溶出試験」の名称の欧州薬局方第4版:37℃に維持して100rpmにて撹拌するSINK条件下で行われるII型溶解試験の指示に従って生じる)をも与え、且つ、
- 中性pHにてイオン化される基を有する少なくとも1つの親水性ポリマーAおよび少なくとも1つの疎水性化合物Bを含有する複合材料を含む;
経口医薬において、
- 前記マイクロカプセルの少なくともいくつかが、有効成分の放出を改変するための被膜の透過性を増大することができる少なくとも1つの放出助剤を含み、且つ、
- 遅滞期の間に放出される有効成分の質量分率が、1時間あたり15質量%以下、好ましくは1時間あたり10質量%以下、より好ましくは1時間あたり5質量%以下であること、
を特徴とする経口医薬に関する。
【0093】
特に低溶解性有効成分について放出時間を減少させるために、本発明により、マイクロカプセルにおいて、被膜の透過性を増大させるのに好適な1つまたは複数の助剤を提供することは、現実に有用であるように思われる。
【0094】
好都合には、上記記載の通り、放出助剤は、少なくとも1つの膨潤剤からなる。
【0095】
また、本発明のその他の対象に係る医薬は、本医薬に含まれるマイクロカプセルのコーティングが前記マイクロカプセルに対して、
pH 1.4において16時間後に、有効成分の少なくとも50質量%が放出されるような、
インビトロでの溶解挙動(「固体の経口形態のための溶出試験」の名称の欧州薬局方第4版:37℃にて維持して100rpmにて撹拌するSINK条件下で行われるII型溶解試験の指示に従って生じる)を与えるという点で注目すべきである。
【0096】
本発明に係る医薬が複数微小単位からなるという事実により、医薬が有効成分(カルベジロールを除く)を含む微小単位の種々の集団の混合物を含み、これらの集団は、1.4〜7.4の少なくとも1つのpH値について、これらのそれぞれのインビトロでの溶解プロファイルが互いに異なっていることにより、もう一つの必須な本発明の特徴を得ることができる。
【0097】
この必須な特徴により、有効成分の生体吸収時間の増大を、したがって血漿濃度がこの有効成分の最小有効濃度よりも大きい時間の増大を達成することができる。
【0098】
実際のところ、微小単位(例えば、有効成分の放出を改変するためのマイクロカプセル、および任意に、有効成分の即時放出のための微粒子)の種々の集団の混合物は、胃腸管における有効成分の生体吸収の窓口の全ての範囲にわたって、胃腸管の異なる部位において有効成分を優先的に放出させる。
【0099】
微小単位の種々の集団の混合物のこの特徴の有利な態様によれば、本発明に従った医薬は、微小単位が有効成分の放出を改変するためのマイクロカプセル、および任意に有効成分の即時放出のための微小単位である点で特徴づけられる。
【0100】
有効成分の放出を改変するためのマイクロカプセルの集団は、これらのそれぞれのトリガーpHによって異なることが好都合である。
【0101】
有効成分の放出を改変するためのマイクロカプセルの集団は、これらのそれぞれのトリガーpHのみが異なるだけでなく、これらのそれぞれのトリガー時間が、またはさらに、これらのそれぞれのトリガーpHおよび時間が異なることもできる。
【0102】
集団の混合物のこの特徴の好ましい態様によれば、本医薬は:
i. 即時の放出有効成分を含む微小単位の少なくとも1つの集団;
ii. 有効成分の放出を改変するためのマイクロカプセルの少なくとも1つの集団P1;および、
iii.有効成分の放出を改変するためのマイクロカプセルの少なくとも1つの集団P2;
を含み、さらに、P1およびP2のそれぞれのトリガーpHは、少なくとも0.5 pH単位で、好ましくは少なくとも0.8 pH単位で、より好ましくは少なくとも0.9 pH単位で異なる。
【0103】
有効成分の放出を改変するための.マイクロカプセルの種々の集団を区別するトリガーpHに関する好ましい実施態様によれば、前記それぞれのトリガーpHは、5〜7の間である。
【0104】
集団の混合物のこの特徴の好ましい態様のもう一つの変形によれば、医薬は:
i. 即時放出有効成分を含む微小単位の少なくとも1つの集団;
ii. 有効成分の放出を改変するためのマイクロカプセルで構成された有効成分含有微小単位の少なくとも1つの集団であって、そのトリガーpHが5.5に等しい集団P1’;
iii. 有効成分の放出を改変するためのマイクロカプセルで構成された有効成分含有微小単位の少なくとも1つの集団であって、そのトリガーpHが6.0または6.5に等しい集団P2’;
を含む。
【0105】
微小単位(例えば、P1およびP2またはP1’.およびP2’)の種々の集団の上述した混合物に使用される放出が改変されたマイクロカプセルの放出プロファイル(上記記載の通りにインビトロでの放出試験において測定される)は、例えば以下に示されるであろう:
・pH = 1.4にて2時間後に、有効成分の20%未満が放出される;
・pH = 1.4にて16時間後に、有効成分の少なくとも50%が放出される。
【0106】
本発明に係る医薬が、即時放出有効成分を含む微小単位の少なくとも1つの集団を含むとき、この集団は、インビトロでの溶出試験におけるその挙動によって都合よく定義することができ、前記挙動は、有効成分の少なくとも80%が1.4〜7.4の間のいずれのpHにおいても1時間に放出されるものである。
【0107】
本発明の有利な特徴によれば、有効成分を含む微小単位における低溶解性有効成分の比率は(微小単位の総質量と比較して乾燥質量基準に対する質量部として表してある)、5〜80の間、好ましくは10〜70の間、より好ましくは15〜60の間である。
【0108】
好ましくは、即時放出有効成分を含む微小単位は、コーティングされてない微粒子である。
【0109】
限定されることを望むものではないが、本発明に係る医薬は、これが単一の1日の経口用量の形態で:
・有効成分を含む5000〜500000微小単位、または
・有効成分の放出を改変するための5000〜500000マイクロカプセル、
を含むことができるという点で特に有利であることが強調されるべきである。
【0110】
前述の数例によって例証したこの複数のマイクロカプセルは、哺乳類生物体によって完全に十分に許容されるガレヌス製剤形態を構成する。
【0111】
これらのマイクロカプセルは、これらが当業者に周知の技術、例えば流動エアー層スプレー塗装技術、湿式造粒法、成形、押出し-球状化(spheronization)などに従って簡単かつ経済的に製造されるので、いっそう有利である。
【0112】
これらのマイクロカプセルの、特に有効成分を含む少なくとも1つの活性層で、および有効成分の放出を改変するための少なくとも1つの外側コーティングで、コートされた中性コアとのこれらの製剤形態の標品についてのさらなる詳細については、PCT出願WO-A-FRO3/030878の内容が参照され、その内容は、参照により本開示に援用される。
【0113】
本発明に従った多微粒子の経口ガレヌス製剤形態の医薬は、錠剤、有利には口内分散される(orodispersible)錠剤、粉末、液体懸濁液またはマイクロカプセルを含むゼラチンカプセルであることができる。
【0114】
言い換えると、本医薬は、マイクロカプセル粉末の小包の、マイクロカプセルの液体懸濁液の、マイクロカプセルから得られる錠剤の、またはマイクロカプセルを含むゼラチンカプセルの形態であることができる。
【0115】
これらの錠剤、これらのゼラチンカプセル、これらの粉末およびこれらの懸濁液は、微小単位、特に本発明に従った有効成分のマイクロカプセルの種々の集団の混合物から、好ましくはそれと共に低溶解性有効成分の即時放出のための微小単位または微粒子(例えば、顆粒)を組み合わせてなることができる。
【0116】
さらに、本発明は、上記記載の通りの有効成分の、および任意に製剤または低カロリー食の標品のための即時放出有効成分を含む微小単位、微粒子の好ましくは都合よく口内分散される錠剤の形態の経口ガレヌス製剤形態、粉末の、またはゼラチンカプセルの放出を改変するためのマイクロカプセルの使用に向けられる。
【0117】
さらにまた、本発明は、それ自体が服用される、上記記載の通りのマイクロカプセルに関する。
【0118】
好ましくは、有効成分は、以下の主な多様な活性物質の少なくとも一つから選ぶことができ、例えば:消化性潰瘍薬、抗糖尿病薬、血液凝固阻止剤、抗血栓性、血液脂質低下薬、不整脈治療剤、血管拡張薬、抗口峡炎薬、高血圧治療薬、血管保護薬、生殖能力促進薬、子宮分娩の阻害剤および誘導因子、避妊具、抗生物質、抗真菌薬、抗ウイルス薬、抗癌薬、抗炎症薬、鎮痛剤、抗癲癇薬、抗パーキンソン症候群薬、神経遮断薬、催眠薬、抗不安薬、覚醒剤、抗片頭痛薬剤、抗うつ薬、鎮咳薬、抗ヒスタミン剤または抗アレルギー剤や;鬱血性心不全、狭心症、左室肥大、心臓不整脈、心筋梗塞、反射性頻脈、虚血性心疾患、アテローム変性、真性糖尿病関連高血圧症、門脈圧高進、眩暈、徐脈(abradycardia)、動脈低血圧、水およびナトリウム保持、急性腎不全、起立性低血圧および大脳鬱血と戦うための薬剤、並びにこれらの混合物、である。
【0119】
本発明に係る医薬に含有され得る有効成分の例として、以下化合物の群より選ばれるものが挙げられるであろう:アセチルサリチル酸、カルバマゼピンペントキシフィリン、プラゾシン、アシクロビル、ニフェジピン、ジルチアゼム、ナプロキセン、イブプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、フェノプロフェン、インドメタシン、ジクロフェナク、フェンチアザク、吉草酸エストラジオール、メトプロロール、スルピリド、カプトプリル、シメチジン、ジドブジン、ニカルジピン、テルフェナジン、アテノロール、サルブタモール、カルバマゼピン、ラニチジン、エナラプリル、シンバスタチン、フルオキセチン、アルプラゾラム、ファモチジン、ガンシクロビル、ファムシクロビル、スピロノラクトン、5-asa、キニジン、ペリンドプリル、モルヒネ、ペンタゾシン、パラセタモール、オメプラゾール、ランソプラゾール、メトクロプラミド、アミノサリチル酸、ナリジクス酸、アモキシシリン、アモキシシリンおよびクラブラン酸カリウム、アンピシリン、アンピシリンおよびスルバクタム、アジスロマイシン、バカンピシリン、カルベニシリン-インダニル-ナトリウム(およびその他のカルベニシリン塩)、カプレオマイシン、セファドロキシル、セファゾリン、セファレキシン、セファロチン、セファピリン、セファセロール(cephacelor)、セフプロジル、セファドリン(cephadrine)、セファマンドール、セフォニシド、セホラニド、セフロキシム、セフィキシム、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフポドキシム、セフタキシジム(ceftaxidime)、セフチブテン(ceftibuten)、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフェピム、セフメタゾール、セフォテタン、セフォキシチン、シプロフロキサシン、クラリスロマイシン、クリンダマイシン、クロファジミン、クロキサシリン、コトリアモキサゾール(cotriamoxazole)、サイクロセリン、ジクロキサシリン、ジリスロマイシン、エリスロマイシン(およびエストレート、コハク酸エチル、グルセプテート、ラクトビオナート(lactobionate)、ステアラートなどのエリスロマイシン塩)、エタンブトール-HC1およびその他の塩、エチオナミド、ホスホマイシン、イミペネム、イソニアジド、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、ロラカルベフ、メチシリン、メテナミン、メトロニダゾール、メトクロプラミド、メズロシリン、ナフシリン、ニトロフラントイン、ノルフロキサシン、ノボビオシン、オフロキサシン、オキサシリン、ペニシリンV、ペニシリン塩、ペニシリン錯体、ペンタミジン、ピペラシリン、ピペラシリンおよびタゾバクタム、スパルフロキサシン、スルファシチン(sulfacytine)、スルファメラジン、スルファメチアジン、スルファメチキソール(sulfamethixole)、スルファサラジン、スルフイソキサゾール、スルファピリジン、スルファジアジン、スルファメトキサゾール(sulfmethoxazole)、スルファピリジン、チカルシリン、チカルシリンおよびクラブラン酸カリウム、トリメトプリム、トリメトレキセート、トロレアンドマイシン(troleanomycin)、バンコマイシン、ベラパミルおよびこれらの混合物。
【0120】
本発明の、具体的であるが非限定の変形によれば、有効成分は、例えば上で述べたような有効成分から選択される低溶解性有効成分のうちの1つである(単独で、または互いに混合物として服用される)。
【0121】
また、本発明が関連する有効成分は、栄養補助食品および/または食事補助食品またはこれらの混合物、例えばビタミン、アミノ酸、抗酸化剤もしくは微量元素またはこれらの混合物であってもよい。
【0122】
最後に、本発明は、また、治療的処置の方法であって、それが所与の投薬量に従って、上記記載の通りの本発明に従った医薬の経口投与からなることを特徴とする方法にも向けられる。
【0123】
本発明は、本発明を完全に理解するために、並びにその製造および/または実施変形を明らかにするために、単に例証のみとして示した以下の実施例により十分に説明してある。
【実施例】
【0124】
以下に示す例は、下記有効成分に関するものである。
【表1】

【0125】
比較例1(スピロノラクトン)、比較例2(アモキシリン三水和物)、比較例3(ニトロフラントイン)及び比較例4(カルベディロール)は、有効成分の遅延し且つ制御された放出のための調製物を例証する。これらは、国際公開公報03/030878号に従い得た。遅滞期を維持するには有利かもしれないが、同時にバイオアベイラビリティ及び有効成分の効き目を最適化するために、遅滞期後における放出速度を増大させることにもなり得る。比較例1乃至4のマイクロカプセルは、いかなる膨潤剤も含有しない。
【0126】
例5(スピロノラクトン)、6(アモキシリン三水和物)及び7(ニトロフラントイン)は、本発明に係る調製物を例証する。
例8、9及び10(アシクロビル)は、放出速度に関する、調製物中に存在する膨潤剤の量の影響を示す。
例11、12及び13(アシクロビル)は、本発明に係る調製物に使用され得る膨潤剤の非網羅的な選択を例証する。
例14(アシクロビル)は、湿式造粒工程及び流動エアー層コーティング工程を組み合わせたマイクロカプセルの調製を例証する。
【0127】
例15(アシクロビル)は、押し出し/球形化工程及び流動エアー層コーティング工程を組み合わせたマイクロカプセルの調整を例証する。
例16(アシクロビル)は、成形工程及び流動エアー層コーティング工程を組み合わせたマイクロカプセルの調製を例証する。
例17(アシクロビル)は、各種の微小単位の混合物からなる薬剤の調製を例証する。
【0128】
比較例1:膨潤剤を含有しないスピロノラクトンのマイクロカプセルの調製
工程1:
スピロノラクトン432gと低分子量ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel(登録商標) EF/Hercules)48gを、精製水1120g中に分散させる。懸濁液を、Glatt GPCG1スプレー塗装機において、中性ミクロスフェア(アサヒカセイ)720gに噴霧する。
【0129】
工程2:
水素添加綿実油(Penwest)43.2gとポリ(メタクリル酸)(アクリル酸エチル)Eudragit(登録商標)L100−55(Rohm)64.8gを加熱条件下においてイソプロパノール中に溶解させる。溶液を予め調製した微粒子492gに噴霧する。
【0130】
第2工程の終わりに得られたマイクロカプセルを、ヨーロッパ薬局方第4版に従い、II型溶解試験(type II dissolutest)において、下記媒体中で37℃且つ100rpmで撹拌しながら試験した。
【0131】
− pH1.4のHCl;
− 2時間はpH1.4のHCl、その後はpH6.8のKHPO/NaOH緩衝媒体。
【0132】
溶解プロファイルを図1に示す。以下のことがわかる。
【0133】
− pH1.4では、約2時間の遅滞期後、有効成分は徐々に放出される。
【0134】
− pHが1.4から6.8になると放出速度は増すものの、依然としてゆっくりしている(有効成分の80%を放出するまでに約8時間を要している。)。
【0135】
本発明に係る新規な組成物は、pH1.4及びpH6.8において放出プロファイルを加速し、一方でpH1.4における遅滞期を維持することを可能とする。
【0136】
比較例2:膨潤剤を含有しないアモキシリン三水和物のマイクロカプセルの調製
工程1:
アモキシリン三水和物1620gと低分子量ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel(登録商標) EF/Hercules)180gを、精製水4200g中に分散させる。懸濁液を、Glatt GPCG1スプレー塗装機において、中性ミクロスフェア(アサヒカセイ)200gに噴霧する。
【0137】
工程2:
水素添加綿実油(Penwest)120gとポリ(メタクリル酸)(アクリル酸エチル)Acrycoat(登録商標)L100D(NP Pharm)180gを加熱条件下においてイソプロパノール中に溶解させる。溶液を予め調製した微粒子700gに噴霧する。
【0138】
第2工程の終わりに得られたマイクロカプセルを、ヨーロッパ薬局方第4版に従い、II型溶解試験(type II dissolutest)において、下記媒体中で37℃且つ100rpmで撹拌しながら試験した。
【0139】
− pH1.4のHCl;
− 2時間はpH1.4のHCl、その後はpH6.8のKHPO/NaOH緩衝媒体。
【0140】
溶解プロファイルを図2に示す。以下のことがわかる。
【0141】
− pH1.4では、約4時間の遅滞期後、有効成分は徐々に放出される;
− pHが1.4から6.8になると放出速度は予想通り急速になる。
【0142】
本発明に係る新規な組成物は、pH1.4における放出プロファイルを最適化し、一方でpH6.8における急速な放出を保ち、且つ、pH1.4における遅滞期を維持することを可能とする。
【0143】
比較例3:膨潤剤を含有しないニトロフラントインのマイクロカプセルの調製
工程1:
アモキシリン三水和物640gと低分子量ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel(登録商標) EF/Hercules)160gを、精製水2400g中に分散させる。懸濁液を、Glatt GPCG1スプレー塗装機において、中性ミクロスフェア(アサヒカセイ)200gに噴霧する。
【0144】
工程2:
水素添加綿実油(Penwest)40g、セバシン酸ジブチル(Morflex)5g、及びポリ(メタクリル酸)(メタクリル酸メチル)Eudragit(登録商標)L100(Rohm)55gを加熱条件下においてイソプロパノール中に溶解させる。溶液を予め調製した微粒子900gに噴霧する。
【0145】
第2工程の終わりに得られたマイクロカプセルを、ヨーロッパ薬局方第4版に従い、II型溶解試験(type II dissolutest)において、下記媒体中で37℃且つ100rpmで撹拌しながら試験した。
【0146】
− pH1.4のHCl;
− 2時間はpH1.4のHCl、その後はpH6.8のKHPO/NaOH緩衝媒体。
【0147】
溶解プロファイルを図3に示す。以下のことがわかる。
【0148】
− pH1.4では、約2時間の遅滞期後、有効成分は徐々に放出される;
− pHが1.4から6.8になると放出速度は予想通り急速になる。
【0149】
本発明に係る新規な組成物は、pH1.4における放出プロファイルを最適化し、一方でpH6.8における急速な放出を保ち、且つ、pH1.4における遅滞期を維持することを可能とする。
【0150】
比較例4:膨潤剤を含有しないリン酸カルベディロールのマイクロカプセルの調製
リン酸カルベディロール1120gとPlasdone K29/32(登録商標)280gを精製水1120gに溶解させる。懸濁液を、Glatt GPCG1スプレー塗装機において、中性ミクロスフェア(アサヒカセイ)600gに噴霧する。
【0151】
水素添加綿実油(Penwest)100gとEudragit(登録商標)L100−55(Rohm)150gを加熱条件下においてイソプロパノール中に溶解させる。溶液を予め調製した微粒子750gに噴霧する。
【0152】
第2工程の終わりに得られたマイクロカプセルを、前記薬局方に従い、II型溶解試験(type II dissolutest)において、下記媒体中で37℃且つ100rpmで撹拌しながら試験した。
【0153】
− pH1.4のHCl;
− 2時間はpH1.4のHCl、その後はpH6.8のKHPO/NaOH緩衝媒体。
【0154】
溶解プロファイルを図4に示す。以下のことがわかる。
【0155】
− pH1.4では、約2時間の遅滞期後、有効成分は徐々に放出される;
− pHが1.4から6.8になると放出速度は増すものの、依然としてゆっくりしている(16時間かけて、有効成分の40%しか放出されなかった。)。
【0156】
例5:本発明に係るスピロノラクトンのマイクロカプセルの調製
工程1:
スピロノラクトン216g、低分子量ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel(登録商標) EF/Hercules)72g、PEG−40水素添加ヒマシ油(Cremophor RH40/BASF)72g、及びクロスポビドン(crospovidone)(Kollidon CL/BASF)360gを、精製水1120g中に分散させる。懸濁液を、Glatt GPCG1スプレー塗装機において、中性ミクロスフェア(アサヒカセイ)720gに噴霧する。
【0157】
工程2:
水素添加綿実油(Penwest)43.2g及びポリ(メタクリル酸)(アクリル酸エチル)Eudragit(登録商標)L100−55(Rohm)64.8gを加熱条件下においてイソプロパノール中に溶解させる。溶液を予め調製した微粒子492gに噴霧する。
【0158】
第2工程の終わりに得られたマイクロカプセルを、ヨーロッパ薬局方第4版に従い、II型溶解試験(type II dissolutest)において、下記媒体中で37℃且つ100rpmで撹拌しながら試験した。
【0159】
− pH1.4のHCl;
− 2時間はpH1.4のHCl、その後はpH6.8のKHPO/NaOH緩衝媒体。
【0160】
例5の溶解プロファイルと比較例1の溶解プロファイルを図4に示す。以下のことがわかる。
【0161】
− pH1.4では、約1.5時間の遅滞期後、有効成分の約60%が放出される;
− pHが1.4から6.8になると放出速度は急速になる。
【0162】
例6:本発明に係るアモキシリン三水和物のマイクロカプセルの調製
工程1:
アモキシリン三水和物630g、ポビドン(plasdone(登録商標)K29/32(ISP))90g、及びクロスポビドン(crospovidone)(Polyplasdone(登録商標)/ISP)を、イソプロパノール/水混合物(70/30m/m)2100gに分散させる。溶液を、Glatt GPCG1スプレー塗装機において、中性ミクロスフェア(アサヒカセイ)100gに噴霧する。
【0163】
工程2:
水素添加綿実油(Penwest)120g及びポリ(メタクリル酸)(アクリル酸エチル)Kollicoat(登録商標)MAE100P(BASF)160gを加熱条件下においてイソプロパノール中に溶解させる。溶液を予め調製した微粒子700gに噴霧する。
【0164】
第2工程の終わりに得られたマイクロカプセルを、ヨーロッパ薬局方第4版に従い、II型溶解試験(type II dissolutest)において、下記媒体中で37℃且つ100rpmで撹拌しながら試験した。
【0165】
− pH1.4のHCl;
− 2時間はpH1.4のHCl、その後はpH6.8のKHPO/NaOH緩衝媒体。
【0166】
例6の溶解プロファイルと比較例2の溶解プロファイルを図6に示す。本発明に係る組成物に関し、以下のことがわかる。
【0167】
− pH1.4における有効成分の放出は加速された(所定期間後における系の誘発と、有効成分の充分な量の放出を保証する。この放出は、生体における有効成分の吸着時間に対応する期間に亘って起こる。);
− pHが1.4から6.8になったときの急速な放出速度は維持される。
【0168】
例7:本発明に係るニトロフラントインのマイクロカプセルの調製
工程1:
ニトロフラントイン400g、ポビドン(plasdone(登録商標)K29/32 /ISP)200g、PEG−40水素添加ヒマシ油(Cremophor RH40/BASF)50g、及びクロスポビドン(crospovidone)(Polyplasdone(登録商標)/ISP)350gを、精製水2500g中に懸濁させる。懸濁液を、Glatt(登録商標) GPCG1スプレー塗装機において、中性ミクロスフェア(アサヒカセイ)1000gに噴霧する。
【0169】
工程2:
水素添加綿実油(Abitec)120g及びポリ(メタクリル酸)(アクリル酸エチル)Acrycoat(登録商標)L100D(NP Pharm)160gを加熱条件下においてイソプロパノール中に溶解させる。溶液を予め調製した微粒子700gに噴霧する。
【0170】
第2工程の終わりに得られたマイクロカプセルを、ヨーロッパ薬局方第4版に従い、II型溶解試験(type II dissolutest)において、下記媒体中で37℃且つ100rpmで撹拌しながら試験した。
【0171】
− pH1.4のHCl;
− 2時間はpH1.4のHCl、その後はpH6.8のKHPO/NaOH緩衝媒体。
【0172】
例7の溶解プロファイルと比較例2の溶解プロファイルを図7に示す。本発明に係る組成物に関し、以下のことがわかる。
【0173】
− pH1.4における有効成分の放出は加速された(所定期間後における系の誘発と、有効成分の充分な量の放出を保証する。この放出は、生体における有効成分の吸着時間に対応する期間に亘って起こる。);
− pHが1.4から6.8になったときの急速な放出速度は維持される。
【0174】
比較例8:膨潤剤を含有しないアシクロビルのマイクロカプセルの調製
工程1:
アシクロビル75g及びポビドン(plasdone(登録商標)K29/32 /ISP)75gを、イソプロパノール833g中に溶解させる。懸濁液を、Glatt(登録商標) GPCG1スプレー塗装機において、中性ミクロスフェア(アサヒカセイ)850gに噴霧する。
【0175】
工程2:
水素添加大豆油(Abitec)93.3g及びポリ(メタクリル酸)(メタクリル酸メチル)Eudragit(登録商標)L100(Rohm)140gを加熱条件下においてイソプロパノール中に溶解させる。溶液を予め調製した微粒子700gに噴霧する。
【0176】
例9:少量の膨潤剤(crospovidone(登録商標))を含有するアシクロビルのマイクロカプセルの調製
工程1:
アシクロビル375g、低分子量ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel(登録商標) EF(Hercules))50g、及びクロスポビドン(Polyplasdone(登録商標)/ISP)75gを、精製水1200g中に懸濁させる。溶液を、Glatt(登録商標) GPCG3スプレー塗装機において、中性ミクロスフェア(NP Pharm)500gに噴霧する。
【0177】
工程2:
水素添加綿実油(Penwest)100g及びポリ(メタクリル酸)(アクリル酸エチル)Eudragit(登録商標)L100−55(Rohm)150gを加熱条件下においてエタノール中に溶解させる。溶液を予め調製した微粒子750gに噴霧する。
【0178】
例10:より多くの量の膨潤剤(crospovidone(登録商標))を含有するアシクロビルのマイクロカプセルの調製
工程1:
アシクロビル375g、低分子量ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel(登録商標) EF(Hercules))50g、及びクロスポビドン(Polyplasdone(登録商標)/ISP)75gを、精製水1200g中に懸濁させる。溶液を、Glatt(登録商標) GPCG3スプレー塗装機において、中性ミクロスフェア(NP Pharm)500gに噴霧する。
【0179】
工程2
水素添加綿実油(Penwest)100g及びポリ(メタクリル酸)(アクリル酸エチル)Eudragit(登録商標)L100−55(Rohm)150gを加熱条件下においてエタノール中に溶解させる。溶液を予め調製した微粒子750gに噴霧する。
【0180】
比較例8,9、および10における第2工程の終わりに得られたマイクロカプセルを、ヨーロッパ薬局方第4版に従い、II型溶解試験(type II dissolutest)において、下記媒体中で37℃且つ100rpmで撹拌しながら試験した。
【0181】
− pH1.4のHCl;
− 2時間はpH1.4のHCl、その後はpH6.8のKHPO/NaOH緩衝媒体。
【0182】
例8,9および10の溶解プロファイルを図8および9に示す。これらから以下のことがわかる。
【0183】
− pH1.4においては、調製物中に含まれる膨潤剤の量に依存し、幅広い速度範囲が得られ得る;
− pH6.8においては、検討中の組成物に拘わらず、急速な放出が維持される。
【0184】
例11:膨潤剤(ナトリウムクロスカルメロース(sodium croscarmellose)を含有するアシクロビルのマイクロカプセルの調製
工程1:
アシクロビル300g、低分子量ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel(登録商標) EF(Hercules))50g、及びナトリウムクロスカルメロース75gを、精製水1200g中に懸濁させる。溶液を、Glatt(登録商標)(Ac−Di−Sol(登録商標)FMC)150gを、精製水1200g中に懸濁させる。溶液を、Glatt(登録商標) GPCG1スプレー塗装機において、中性ミクロスフェア(NP Pharm)500gに噴霧する。
【0185】
工程2:
水素添加綿実油(Penwest)100g及びポリ(メタクリル酸)(アクリル酸エチル)Eudragit(登録商標)L100−55(Rohm)100gを加熱条件下においてエタノール中に溶解させる。溶液を予め調製した微粒子750gに噴霧する。
【0186】
例12:膨潤剤(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)を含有するアシクロビルのマイクロカプセルの調製
工程1:
アシクロビル300g、低分子量ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel(登録商標) EF(Hercules))50g、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(Pharmacoat/615 シンエツ)150gを、精製水1200g中に懸濁させる。溶液を、Glatt(登録商標)(Ac−Di−Sol(登録商標)FMC)150gを、精製水1200g中に懸濁させる。溶液を、Glatt(登録商標) GPCG1スプレー塗装機において、中性ミクロスフェア(NP Pharm)500gに噴霧する。
【0187】
水素添加綿実油(Penwest)100g、ポリ(メタクリル酸)(アクリル酸エチル)Eudragit(登録商標)L100−55(Rohm)100g、およびポリ(メタクリル酸)(メタクリル酸メチル)Eudragit(登録商標)S100(Rohm)50gを加熱条件下においてエタノール中に溶解させる。溶液を予め調製した微粒子750gに噴霧する。
【0188】
例13:膨潤剤(分子量Mw=1000000g/molのポビドン)を含有するアシクロビルのマイクロカプセルの調製
工程1:
アシクロビル350g、低分子量ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel(登録商標) EF(Hercules))50g、及び高分子量ポビドン(Kollidon(登録商標)90(BASF))100gを、精製水1200g中に懸濁させる。溶液を、Glatt(登録商標)(Ac−Di−Sol(登録商標)FMC)150gを、精製水1200g中に懸濁させる。溶液を、Glatt(登録商標) GPCG1スプレー塗装機において、中性ミクロスフェア(NP Pharm)500gに噴霧する。
【0189】
工程2:
水素添加綿実油(Penwest)100g、ポリ(メタクリル酸)(アクリル酸エチル)Eudragit(登録商標)L100−55(Rohm)50g、およびポリ(メタクリル酸)(メタクリル酸メチル)Eudragit(登録商標)S100(Rohm)100gを加熱条件下においてエタノール中に溶解させる。溶液を予め調製した微粒子750gに噴霧する。
【0190】
例10,11、12および13における第2工程の終わりに得られたマイクロカプセルを、ヨーロッパ薬局方第4版に従い、II型溶解試験(type II dissolutest)において、pH1.4にて37℃且つ100rpmで撹拌しながら試験した。
溶液プロファイルを図10に示す。
【0191】
例14:膨潤剤を含有するアシクロビルのマイクロカプセルの調製(造粒+スプレーコーティング)
工程1:
アシクロビル700g、ポビドン(Plasdone(登録商標)/ISP)50g、およびクロスポビドン(crospovidone)(Polyplasdone(登録商標)/ISP)250gを、予め実験室の造粒機(Lodige)を用いて5分間、乾式混合する。この微粉化混合物を、次いで水(200g)を用いて粒状化する。粒状物をベンチレーテッド式オーブンを用いて0℃で乾燥し、次いで500μmスクリーンで測定する。スクリーニングにより200〜500μmのフラクションが選択される。
【0192】
工程2:
水素添加パーム油(Huls)100g、ポリ(メタクリル酸)(アクリル酸エチル)(Acrycoat L100D)100g、およびポリ(メタクリル酸)(メタクリル酸メチル)Acrycoat(登録商標) S100(NP Pharm)50gを、加熱条件下においてイソプロパノール中に溶解させる。溶液を予め調製した微粒子750gに噴霧する。
【0193】
例13における第2工程の終わりに得られたマイクロカプセルを、ヨーロッパ薬局方第4版に従い、II型溶解試験(type II dissolutest)において、下記媒体中で37℃且つ100rpmで撹拌しながら試験した。
【0194】
− pH1.4のHCl;
− 2時間はpH1.4のHCl、その後はpH6.8のKHPO/NaOH緩衝媒体。
【0195】
溶解プロファイルを図11に示す。
【0196】
例15:膨潤剤を含有するアシクロビルのマイクロカプセルの調製(押し出し/球形化+スプレーコーティング)
工程1:
アシクロビル700g、ポビドン(Plasdone(登録商標)/ISP)50g、およびクロスポビドン(crospovidone)(Kollidon(登録商標) CL/BASF)250gを、実験室の混合機(Kitchen−Aid)にて水150gを用いて5分間、予め混合する。この練り状混合物をエクストルーダー20(Caleva)を用い0.5mmスクリーンを介して押し出す。次いで、得られた糸状体を、スフェロナイザー250(Caleva)を用いて球形化する。得られた粒子を流動エアー層において40℃で乾燥する。300〜700μmのフラクションが選択される。
【0197】
工程2:
水素添加パーム油(Huls)100g、ポリ(メタクリル酸)(アクリル酸エチル)Acrycoat L100D 100g、およびポリ(メタクリル酸)(メタクリル酸メチル)Acrycoat(登録商標) S100(NP Pharm)50gを、加熱条件下においてイソプロパノール中に溶解させる。溶液を予め調製した微粒子750gに噴霧する。
【0198】
例14における第2工程の終わりに得られたマイクロカプセルを、ヨーロッパ薬局方第4版に従い、II型溶解試験(type II dissolutest)において、下記媒体中で37℃且つ100rpmで撹拌しながら試験した。
【0199】
− pH1.4のHCl;
− 2時間はpH1.4のHCl、その後はpH6.8のKHPO/NaOH緩衝媒体。
【0200】
溶解プロファイルを図12に示す。
【0201】
例16:膨潤剤を含有するアシクロビルのマイクロカプセルの調製(成形+スプレーコーティング)
工程1:
アシクロビル590g、ステアリン酸マグネシウム10g、及びクロスポビドン(crospovidone)400gを、実験室の混合機(Kitchen−Aidタイプ)を用いて5分間混合する。次いで、この混合物をAlexanderwerk WP120実験用成形機を用いて成形する。その後、得られた産物を、500μmスクリーンが装備されたErweka振動造粒機を用いて粒状化する。得られた産物の中から100〜500μmのフラクションが選択される。
【0202】
工程2:
水素添加パーム油(Huls)100g、ポリ(メタクリル酸)(アクリル酸エチル)Acrycoat L100D 100g、およびポリ(メタクリル酸)(メタクリル酸メチル)Acrycoat(登録商標) S100(NP Pharm)50gを、加熱条件下においてイソプロパノール中に溶解させる。溶液を予め調製した微粒子750gに噴霧する。
【0203】
例14における第2工程の終わりに得られたマイクロカプセルを、ヨーロッパ薬局方第4版に従い、II型溶解試験(type II dissolutest)において、下記媒体中で37℃且つ100rpmで撹拌しながら試験した。
【0204】
− pH1.4のHCl;
− 2時間はpH1.4のHCl、その後はpH6.8のKHPO/NaOH緩衝媒体。
【0205】
溶解プロファイルを図13に示す。
【0206】
例17:各種の放出プロファイルを有する微小単位の混合
アシクロビルの各種の微小単位が調製され、該微小単位は、
− アシクロビルの25質量%が、例12の第1の工程の終わりに得られたような即時放出型の形態であり、
− アシクロビルの25質量%が、例10の第2工程の終わりに得られたような遅延及び長期放出の形態であり、
− アシクロビルの50質量%が、例12の第2工程の終わりに得られたような遅延及び長期放出の形態である。
【0207】
例10のマイクロカプセル(Eudragit(登録商標)L100−55の使用)は、pH>5.5超においてその内容物の放出が急速になる。
【0208】
例12のマイクロカプセル(Eudragit(登録商標)L100−55(67%)及びEudragit(登録商標)S100(33%)の使用)は、pH>6.5超においてその内容物の放出が急速になる。
【0209】
図14に示されたプロファイルからわかるように、各種の放出様相が得られ、それによって吸収窓口の前に有効成分の放出を最適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0210】
【図1】比較例1により調製されたマイクロカプセルのインビトロでの放出プロファイルを示す図。
【図2】比較例2により調製されたマイクロカプセルのインビトロでの放出プロファイルを示す図。
【図3】比較例3により調製されたマイクロカプセルのインビトロでの放出プロファイルを示す図。
【図4】比較例4により調製されたマイクロカプセルのインビトロでの放出プロファイルを示す図。
【図5】例5により調製されたマイクロカプセルのインビトロでの放出プロファイルを、比較例1により調製されたマイクロカプセルの放出プロファイルとの比較において示す図。
【図6】例6により調製されたマイクロカプセルのインビトロでの放出プロファイルを、比較例2により調製されたマイクロカプセルの放出プロファイルとの比較において示す図。
【図7】例7により調製されたマイクロカプセルのインビトロでの放出プロファイルを、比較例3により調製されたマイクロカプセルの放出プロファイルとの比較において示す図。
【図8】pH1.4において例8、9及び10により調製されたマイクロカプセルの放出プロファイルを示す図。
【図9】2時間はpH1.4において、その後はpH6.8において測定される、例8、9及び10により調製されたマイクロカプセルの放出プロファイルを示す図。
【図10】pH1.4において例10、11、12及び13により調製されたマイクロカプセルの放出プロファイルを示す図。
【図11】例14により調製されたマイクロカプセルの放出プロファイルを示す図。
【図12】例15により調製されたマイクロカプセルの放出プロファイルを示す図。
【図13】例16により調製されたマイクロカプセルの放出プロファイルを示す図。
【図14】例17により調製されたマイクロカプセルの放出プロファイルを示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分の放出を改変するための複数のマクロカプセルを含有する経口医薬であって、前記マイクロカプセルのいくつかは、有効成分の改変された放出のための少なくとも1層の被膜でコーティングされた少なくとも1つの有効成分、特に少なくとも1つの低溶解性有効成分(カルベジロールを除く)を含有する微粒子から個々になり、前記放出は、一方がpHの変化に依存し、他方が胃の中で費やされる一定期間後に有効成分の放出を可能とする二つの異なるトリガー機構により制御されており、
前記被膜は、また、マイクロカプセルに対して以下のようなインビトロでの溶解挙動:
− 一定のpH1.4において、溶解プロファイルには、7時間以下、好ましくは5時間以下、より好ましくは1〜5時間の期間の遅滞期を含み;
− pH1.4からpH7.0になると少しの遅延時間も伴わずに放出期を生じる;
を与える経口医薬において、
− 前記マイクロカプセルの中には、少なくとも1つの膨潤剤を含有するものが含まれること;
− 遅滞期の間に放出される有効成分の質量分率が、1時間あたり15質量%以下、好ましくは1時間あたり10質量%以下、より好ましくは1時間あたり5質量%以下であること;
を特徴とする経口医薬。
【請求項2】
請求項1に記載の医薬であって、前記膨潤剤が、25℃の水中における膨潤度が10質量%以上、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上を示す少なくとも1つの薬学的に許容し得る親水性化合物を含有することを特徴とする医薬。
【請求項3】
請求項1に記載の医薬であって、膨潤剤が、インビトロでの溶解試験において、マイクロカプセルがpH1.4にて16時間後に有効成分の少なくとも50質量%を放出することを可能とするものの中から選択されることを特徴とする医薬。
【請求項4】
請求項2に記載の医薬であって、膨潤剤が、5〜200μm、好ましくは10〜50μmの平均直径を有する微粒子形態であることを特徴とする医薬。
【請求項5】
請求項2に記載の医薬であって、膨潤剤の濃度(Cd)が下記(マイクロカプセルの全質量に対する質量%において)のように規定されることを特徴とする医薬:
− 3≦Cd≦40、
− 好ましくは、4≦Cd≦30、
− より好ましくは、5≦Cd≦25。
【請求項6】
膨潤剤が下記産物群から選択されることを特徴とする、請求項2又は3に記載の医薬:
- 架橋されたポリビニルピロリドン(例えば、ポリプラスドン又はクロスポビドン)、
- 架橋されたカルボキシアルキルセルロース:架橋されたカルボキシメチルセルロース(例えば、架橋されたクロスカルメロースナトリウム)、
- さらに、例えば以下に示す高モル質量親水性ポリマー(100000D以上):
・ポリビニルピロリドン、
・ポリアルキレンオキシド(例えば、ポリエチレンオキシド又はポリプロピレンオキシド)、
・(ヒドロキシ)(アルキル)セルロース(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、
・カルボキシアルキルセルロース(例えば、カルボキシメチルセルロース)、
・セルロース(粉末又は微結晶)、
・修飾澱粉(例えば、グリコール酸ナトリウムで修飾されたもの)、
・天然澱粉(例えば、トウモロコシ、小麦又はジャガイモ由来)、
・アルギン酸ナトリウム、
・ポラクリリンカリウム、及び
・これらの混合物。
【請求項7】
好ましくは下記産物群から選択される少なくとも1つの湿潤剤を含有することを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の医薬:
- アニオン界面活性剤、好ましくは、脂肪酸、ステアリン酸及び/又はオレイン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩の下位群;及び/又は
- 好ましくは下記下位群の非イオン界面活性剤;
・ポリオキシエチレン化オイル、好ましくはポリオキシエチレン化水素添加ヒマシ油、
・ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体、
・ポリオキシエチレン化ソルビタンエステル
・ポリオキシエチレン化ヒマシ油誘導体、
・ステアリン酸塩、好ましくは、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、又はステアリン酸亜鉛、
・ステアリルフマラート、好ましくはナトリウムステアリルフマラート、
・ベヘン酸グリセリル、及び
・これらの混合物。
【請求項8】
膨潤剤及び/又は湿潤剤が有効成分の微粒子中に含まれていることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の医薬。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の医薬であって、含有する有効成分のマイクロカプセルが、インビトロでの溶解試験において、pH7.0において12時間後に、有効成分の少なくとも80質量%を放出可能なことを特徴とする医薬。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の医薬であって、有効成分の改変された放出のためのマイクロカプセルの少なくともいくつかは個々に、以下を含むことを特徴とする医薬:
- コーティングされた有効成分の微粒子、
- 有効成分の放出を改変するための少なくとも1層の被膜。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の医薬であって、有効成分の改変された放出のためのマイクロカプセルの少なくともいくつかは個々に、以下を含むことを特徴とする医薬:
- 中性コア、
- 有効成分を含み、かつ中性コアをコーティングする少なくとも1層の活性層、及び
- 有効成分の放出を改変するための少なくとも1層の被膜。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の医薬であって、
- 有効成分の放出を改変するためのコーティングが複合材料を含み、該複合材料は:
・以下を含み:
- 中性pHにてイオン化される基を有する少なくとも1つの親水性ポリマーA、
- 少なくとも1つの疎水性化合物B;
・質量分率(マイクロカプセルの総質量に対する質量%)≦40を示し;かつ、
- マイクロカプセルの平均直径は2000μm未満である;
ことを特徴とする医薬。
【請求項13】
請求項12に記載の医薬であって、低溶解性有効成分の放出を改変するための被膜の複合材料ABは以下であることを特徴とする医薬:
- 質量比B/Aが、0.2〜1.5であり、好ましくは0.5〜1.0であり、
- 疎水性化合物Bが、固体状態で結晶性であり、かつ融点MpB≧40℃、好ましくはMpB≧50℃、より好ましくは40℃≦MpB ≦90℃を有する産物から選択される。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の医薬であって、親水性ポリマーAが以下から選択されることを特徴とする医薬:
-A.a (メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸アルキルエステルの共重合体、およびこれらの混合物;
−A.b セルロース誘導体、好ましくは酢酸セルロース、フタル酸セルロース、コハク酸セルロースおよびこれらの混合物、より好ましくはフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびこれらの混合物;及び
−これらの混合物。
【請求項15】
請求項12乃至14のいずれか1項に記載の医薬であって、化合物Bが以下の産物群から選択されることを特徴とする医薬:
- B.a 単独で、または互いに混合物の形状をとる植物蝋;
- B.b 単独で、または互いに混合物の形状をとる水素添加植物油;
- B.c グリセロールと少なくとも1つの脂肪酸との、モノ-および/またはジ-および/またはトリエステル;
- B.d グリセロールと少なくとも1つの脂肪酸とのモノエステルの、ジエステルの、並びにトリエステルの混合物;
- B.e およびこれらの混合物。
【請求項16】
請求項15に記載の医薬であって、化合物Bが以下の産物群:
水素添加綿実油、水素添加大豆油、水素添加パーム油、ベヘン酸グリセリル、水素添加ヒマシ油、トリステアリン、トリパルミチン、トリミリスチン、黄ろう、坐薬の基材として使用することができる固い脂肪または脂肪、無水酪農脂肪、ラノリン、グリセリルパルミトステアラート、グリセリルステアラート、ラウリルマクロゴールグリセリド、セチルアルコール、ポリグリセリルジイソステアラート、ジエチレングリコールモノステアラート、エチレングリコールモノステアラート、オメガ3およびこれらのいずれかの混合物;
から選択され、好ましくは、以下の産物の下位群:
水素添加綿実油、水素添加大豆油、水素添加パーム油、ベヘン酸グリセリル、水素添加ヒマシ油、トリステアリン、トリパルミチン、トリミリスチンおよびこれらのいずれかの混合物;
から選択されることを特徴とする医薬。
【請求項17】
請求項16に記載の医薬であって、化合物Bが以下から選択されることを特徴とする医薬:
- 以下の商標において販売される製品群:
Dynasan(登録商標)、Cutina(登録商標)、Hydrobase(登録商標)、Dub(登録商標)、Castorwax(登録商標)、Croduret(登録商標)、Compritol(登録商標)、Sterotex(登録商標)、Lubritab(登録商標)、Apifil(登録商標)、Akofine(登録商標)、Softtisan(登録商標)、Hydrocote(登録商標)、Livopol(登録商標)、Super Hartolan(登録商標)、MGLA(登録商標)、Corona(登録商標)、Protalan(登録商標)、Akosoft(登録商標)、Akosol(登録商標)、Cremao(登録商標)、Massupol(登録商標)、Novata(登録商標)、Suppocire(登録商標)、Wecobee(登録商標)、Witepsol(登録商標)、Lanolin(登録商標)、Incromega(登録商標)、Estaram(登録商標)、Suppoweiss(登録商標)、Gelucire(登録商標)、Precirol(登録商標)、Emulcire(登録商標)、Plurol diisostearique(登録商標)、Geleol(登録商標)、Hydrine(登録商標)およびMonthyle(登録商標)、並びにこれらの混合物;
- さらに、コードが以下である添加物の群:
E 901、E 907、E 903、およびこれらの混合物;及び
- 好ましくは、以下の商標において販売される商品群:
Dynasan(登録商標)P60、Dynasan(登録商標)114、Dynasan(登録商標)116、Dynasan(登録商標)118、Cutina(登録商標)HR、Hydrobase(登録商標)66-68、Dub(登録商標)HPH、Compritol(登録商標)888、Sterotex(登録商標)NF、Sterotex(登録商標)K、Lubritab(登録商標)、およびこれらの混合物。
【請求項18】
請求項12乃至17のいずれか1項に記載の医薬であって、有効成分の放出を改変するためのマイクロカプセルの被膜が、複合物ABを含有する単一コーティングフィルムを含むことを特徴とする医薬。
【請求項19】
有効成分の放出を改変するための複数のマクロカプセルを含有する経口医薬であって、前記マイクロカプセルのいくつかは、有効成分の放出を改変するための少なくとも1層の被膜でコーティングされた少なくとも1つの有効成分、特に少なくとも1つの低溶解性有効成分(カルベジロールを除く)を含有する微粒子から個々になり、前記放出は、一方がpHの変化に依存し、他方が胃の中で費やされる一定期間後に有効成分の放出を可能とする二つの異なるトリガー機構により制御されており、
前記被膜は:
- マイクロカプセルに対して以下のようなインビトロでの溶解挙動:
・ 一定のpH1.4において、溶解プロファイルは、7時間以下、好ましくは5時間以下、より好ましくは1〜5時間の期間の遅滞期を含み;
・ ph1.4からpH7.0への通過により、何らの遅延時間を伴わずに開始する放出期を生じさせる;
をも与え、且つ、
- 中性pHにてイオン化される基を有する少なくとも1つの親水性ポリマーAおよび少なくとも1つの疎水性化合物Bを含有する複合材料を含む;
経口医薬において、
前記マイクロカプセルの少なくともいくつかが、有効成分の放出を改変するための被膜の透過性を増大することができる少なくとも1つの放出助剤を含み、且つ、遅滞期の間に放出される有効成分の質量分率が、1時間あたり15質量%以下、好ましくは1時間あたり10質量%以下、より好ましくは1時間あたり5質量%以下であることを特徴とする経口医薬。
【請求項20】
請求項19に記載の医薬であって、放出助剤が少なくとも1つの膨潤剤からなることを特徴とする医薬。
【請求項21】
請求項19または20に記載の医薬であって、マイクロカプセルの被膜により、pH1.4において16時間後に、有効成分の少なくとも50質量%が放出されるようなインビトロでの溶解挙動が付与されることを特徴とする医薬。
【請求項22】
請求項1乃至20のいずれか1項に記載の医薬であって、有効成分(カルベジロールを除く)を含む微小単位の種々の集団の混合物を含み、これらの集団は、1.4〜7.4の少なくとも1つのpH値について、これらのそれぞれのインビトロでの溶解プロファイルにより互いに異なっていることを特徴とする医薬。
【請求項23】
請求項1乃至22のいずれか1項に記載の医薬であって、微小単位が有効成分の放出を改変するためのマイクロカプセルであり、任意に有効成分の即時放出のための微小単位であることを特徴とする医薬。
【請求項24】
請求項22に記載の医薬であって、有効成分の放出を改変するためのマイクロカプセルの集団が、これらのそれぞれのトリガーpHによって異なることを特徴とする医薬。
【請求項25】
請求項22に記載の医薬であって、有効成分の放出を改変するためのマイクロカプセルの集団が、これらのそれぞれのトリガー時間において異なることを特徴とする医薬。
【請求項26】
請求項22に記載の医薬であって、
i. 即時放出の有効成分を含む微小単位の少なくとも1つの集団;
ii. 有効成分の放出を改変するためのマイクロカプセルの少なくとも1つの集団P1;および、
iii. 有効成分の放出を改変するためのマイクロカプセルの少なくとも1つの集団P2;
を含有し、且つ、
P1およびP2のそれぞれのトリガーpHは、少なくとも0.5pH単位で、好ましくは少なくとも0.8pH単位で、より好ましくは少なくとも0.9pH単位で異なること、を特徴とする医薬。
【請求項27】
請求項22に記載の医薬であって、有効成分の放出を改変するためのマイクロカプセルの種々の集団各々のトリガーpHが5〜7であることを特徴とする医薬。
【請求項28】
請求項22に記載の医薬であって、
i. 即時放出有効成分を含む微小単位の少なくとも1つの集団;
ii. 有効成分の放出を改変するためのマイクロカプセルで構成された有効成分含有微小単位の少なくとも1つの集団であって、そのトリガーpHが5.5に等しい集団P1’;
iii. 有効成分の放出を改変するためのマイクロカプセルで構成された有効成分含有微小単位の少なくとも1つの集団であって、そのトリガーpHが6.0または6.5に等しい集団P2’;
を含有することを特徴とする医薬。
【請求項29】
請求項22乃至28のいずれか1項に記載の医薬であって、インビトロでの放出試験にて測定される放出プロファイルにおいて、
- pH=1.4にて2時間後に放出される有効成分が20%未満である;
- pH=1.4にて16時間後に放出される有効成分が少なくとも50%である;
ことを特徴とする医薬。
【請求項30】
請求項22乃至29のいずれか1項に記載の医薬であって、即時放出有効成分を含む微小単位の少なくとも1つの集団を含み、そのインビトロでの溶解試験における挙動が、有効成分の少なくとも80%がpH1.4〜7.4のいずれのpHにおいても1時間で放出されるものであることを特徴とする医薬。
【請求項31】
請求項22乃至30のいずれか1項に記載の医薬であって、有効成分を含む微小単位における低溶解性有効成分の比率(微小単位の総質量に対する乾燥質量基準の質量%として)は5〜80であり、好ましくは10〜70であり、より好ましくは15〜60であることを特徴とする医薬。
【請求項32】
請求項22乃至31のいずれか1項に記載の医薬であって、即時放出有効成分を含む微小単位がコーティングされてない微粒子であることを特徴とする医薬。
【請求項33】
請求項1乃至32のいずれか1項に記載の医薬であって、有効成分を含む微小単位5000〜500000を含有する、単一の1日の経口用量の形態であることを特徴とする医薬。
【請求項34】
請求項1乃至33のいずれか1項に記載の医薬であって、有効成分の放出を改変するためのマイクロカプセル5000〜500000を含有する、単一の1日の経口用量の形態であることを特徴とする医薬。
【請求項35】
請求項1乃至34のいずれか1項に記載の医薬であって、マイクロカプセル粉末の小包、マイクロカプセルの液体懸濁液、マイクロカプセルから得られる錠剤、またはマイクロカプセルを含むゼラチンカプセルの形態であることを特徴とする医薬。
【請求項36】
請求項1乃至35のいずれか1項に記載の医薬であって、有効成分が、以下の主な各種の活性物質の少なくとも一つから選ばれ得ることを特徴とする医薬:
例えば:消化性潰瘍薬、抗糖尿病薬、血液凝固阻止剤、抗血栓性、血液脂質低下薬、不整脈治療剤、血管拡張薬、抗口峡炎薬、高血圧治療薬、血管保護薬、生殖能力促進薬、子宮分娩の阻害剤および誘導因子、避妊具、抗生物質、抗真菌薬、抗ウイルス薬、抗癌薬、抗炎症薬、鎮痛剤、抗癲癇薬、抗パーキンソン症候群薬、神経遮断薬、催眠薬、抗不安薬、覚醒剤、抗片頭痛薬剤、抗うつ薬、鎮咳薬、抗ヒスタミン剤または抗アレルギー剤;鬱血性心不全、狭心症、左室肥大、心臓不整脈、心筋梗塞、反射性頻脈、虚血性心疾患、アテローム変性、真性糖尿病関連高血圧症、門脈圧高進、眩暈、徐脈、動脈低血圧、水およびナトリウム保持、急性腎不全、起立性低血圧および大脳鬱血に有効な薬剤、並びにこれらの混合物。
【請求項37】
請求項1乃至36のいずれか1項に記載の医薬であって、有効成分が以下の産物群から選択されることを特徴とする医薬:
アセチルサリチル酸、カルバマゼピンペントキシフィリン、プラゾシン、アシクロビル、ニフェジピン、ジルチアゼム、ナプロキセン、イブプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、フェノプロフェン、インドメタシン、ジクロフェナク、フェンチアザク、吉草酸エストラジオール、メトプロロール、スルピリド、カプトプリル、シメチジン、ジドブジン、ニカルジピン、テルフェナジン、アテノロール、サルブタモール、カルバマゼピン、ラニチジン、エナラプリル、シンバスタチン、フルオキセチン、アルプラゾラム、ファモチジン、ガンシクロビル、ファムシクロビル、スピロノラクトン、5−asa、キニジン、ペリンドプリル、モルヒネ、ペンタゾシン、パラセタモール、オメプラゾール、ランソプラゾール、メトクロプラミド、アミノサリチル酸、ナリジクス酸、アモキシシリン、アモキシシリンおよびクラブラン酸カリウム、アンピシリン、アンピシリンおよびスルバクタム、アジスロマイシン、バカンピシリン、カルベニシリン−インダニル−ナトリウム(およびその他のカルベニシリン塩)、カプレオマイシン、セファドロキシル、セファゾリン、セファレキシン、セファロチン、セファピリン、セファセロール、セフプロジル、セファドリン、セファマンドール、セフォニシド、セホラニド、セフロキシム、セフィキシム、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフポドキシム、セフタキシジム、セフチブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフェピム、セフメタゾール、セフォテタン、セフォキシチン、シプロフロキサシン、クラリスロマイシン、クリンダマイシン、クロファジミン、クロキサシリン、コトリアモキサゾール、サイクロセリン、ジクロキサシリン、ジリスロマイシン、エリスロマイシン(およびエストレート、コハク酸エチル、グルセプテート、ラクトビオナート、ステアラートなどのエリスロマイシン塩)、エタンブトール−HC1およびその他の塩、エチオナミド、ホスホマイシン、イミペネム、イソニアジド、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、ロラカルベフ、メチシリン、メテナミン、メトロニダゾール、メトクロプラミド、メズロシリン、ナフシリン、ニトロフラントイン、ノルフロキサシン、ノボビオシン、オフロキサシン、オキサシリン、ペニシリンV、ペニシリン塩、ペニシリン錯体、ペンタミジン、ピペラシリン、ピペラシリンおよびタゾバクタム、スパルフロキサシン、スルファシチン、スルファメラジン、スルファメチアジン、スルファメチキソール、スルファサラジン、スルフイソキサゾール、スルファピリジン、スルファジアジン、スルファメトキサゾール、スルファピリジン、チカルシリン、チカルシリンおよびクラブラン酸カリウム、トリメトプリム、トリメトレキセート、トロレアンドマイシン、バンコマイシン、ベラパミルおよびこれらの混合物。
【請求項38】
請求項1乃至37のいずれか1項に記載の医薬であって、有効成分が1つの低溶解性有効成分、又は2以上の低溶解性有効成分であることを特徴とする医薬。
【請求項39】
医薬又はダイエット用の微粒子経口ガレヌス製剤形態であり、好ましくは、有利に口内分散錠剤、粉末又はゼラチンカプセルの形態にあるガレヌス製剤形態の調製における、請求項1乃至38のいずれか1項に記載の有効成分(カルベジロールを除く。)の放出を改変するためのマイクロカプセルの、及び、任意に、即時放出有効成分を含む微小単位の使用。
【請求項40】
請求項1乃至39のいずれか1項に記載のマイクロカプセル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2008−520633(P2008−520633A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−542057(P2007−542057)
【出願日】平成17年11月2日(2005.11.2)
【国際出願番号】PCT/FR2005/050922
【国際公開番号】WO2006/056711
【国際公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(593125160)フラメル・テクノロジー (22)
【氏名又は名称原語表記】FLAMEL TECHNOLOGIES
【Fターム(参考)】