説明

層間絶縁膜の形成方法及び層間絶縁膜形成用の前駆体溶液

【課題】重合反応の阻害を抑制し、機械強度に優れ且つ低誘電率である層間絶縁膜を形成する方法、及び該方法に用いる前駆体溶液を提供する。
【解決手段】アルデヒド基を有するアダマンタン誘導体(10a)と芳香族アミン誘導体(10b)とを含む溶液を基板上に塗布した後に、酸素を含有する雰囲気下において熱処理を行なうことにより、アダマンタン骨格とベンツオキサゾール骨格とを有する有機高分子膜(10d)よりなる層間絶縁膜を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、層間絶縁膜の形成方法及び層間絶縁膜形成用の前駆体溶液に関するものであり、具体的には、機械強度が大きく且つ低密度な高分子材料よりなる層間絶縁膜を形成する方法、及びその形成方法に用いる前駆体溶液に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、超LSI(Large Scale Integration)等の層間絶縁膜として、耐熱性の向上のため芳香族系分子を重合した高分子からなる有機高分子膜が使用されている。具体的には、ポリイミド誘導体、ポリアリルエーテル誘導体、ポリキノリン誘導体、ポリパラキシレン誘導体などが知られている。これらの高分子は炭素を主成分とするため、SiO2 系の層間絶縁膜に比べて構成分子の分極率が低く、低誘電率層間絶縁膜として注目されている。
【0003】
具体的には、炭素を主成分とする有機高分子の比誘電率は例えば2.4〜3.0程度であり、SiO2 系層間絶縁膜の誘電率が3.3〜4.5程度であるのに比べて低い。但し、SiO2 系の材料においても、有機成分を導入した有機SOG(Spin On Glass )では2.9程度の比誘電率の層間絶縁膜が知られている。
【0004】
これらの従来の有機高分子膜について、有機高分子の分極率がSiO2 の分極率に比べて小さいことから低誘電率化を実現しているが、近年、比誘電率を更に低減させる目的で多孔質化することが検討されている。しかしながら、多孔質化することにより、比誘電率を大幅に低下させることが可能になる一方で、密着性の低下と機械強度の低下とを招くことになる。これは、多孔質化による低誘電率化が有機高分子の架橋密度を低下させることによって実現されるという原理的な欠陥を有することが原因となっている。有機高分子膜の機械強度は架橋密度が高いほど大きいが、多孔質化による架橋密度の低下は、材料そのものの硬さを低下させると共に、ガラス転移温度の低下をも引き起こす。密着性及び機械強度が低下すると、例えば、多層配線構造において、化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing)による平坦化処理の際に、配線構造の破壊を引き起こしてしまう。一方、ガラス転移温度の低下は、有機高分子膜よりなる層間絶縁膜を形成した後の熱処理によって層間絶縁膜の軟化を引き起こし、その結果、多層配線構造の変形又は破壊などを引き起こしてしまう。
【0005】
ところで、密着性の低下及び機械強度の低下を引き起こすことなく、有機高分子膜の低誘電率化を実現させるために、内部に空孔を有する構造の分子を合成し、該分子を重合することにより、3次元空孔を内包する3次元重合高分子構造の有機高分子膜を形成する方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。例えば、4つの官能基群を有する3次元重合性モノマーと該官能基に化学結合する2つの官能基群を有し且つ直鎖状の2次元重合性モノマーとの共重合体を形成することにより、分子サイズの3次元空孔を有する3次元重合高分子構造体を形成する方法が開示されている。
【特許文献1】特開2001−332543号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、3次元重合性モノマーと2次元重合性モノマーとの組み合わせとしては、カルボキシル基を有するアダマンタン誘導体とアミン誘導体との組み合わせが知られている。このような低分子量のモノマーを用いた場合には、2次元重合性モノマーである2次元重合性アミン誘導体モノマーの揮発温度と重合温度とがほぼ同様の温度範囲内にあるので、重合反応が2次元重合性アミン誘導体モノマーの揮発と同時に進行する。このため、2次元重合性アミン誘導体モノマーが揮発によって減少するので、重合反応が阻害されてしまい、高分子量のポリマーを形成することができないという問題があった。そして、その結果、ガラス転移温度の低下や、機械強度の低下を更に招くという問題があった。
【0007】
前記に鑑み、本発明の目的は、重合反応の阻害を抑制し、機械強度に優れ且つ低誘電率である層間絶縁膜を形成する方法、及び該方法に用いる前駆体溶液を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を考慮して、本件発明者が、重合温度の低温下を実現するために鋭意検討を重ねた結果、アルデヒド基を有するアダマンタン誘導体をモノマーとして用いることにより、重合温度を低下させることを見出した。本発明は、前記の知見に基づいてなされたものであり、具体的には、本発明の第1の側面は、アルデヒド基を有するアダマンタン誘導体と芳香族アミン誘導体とを含む層間絶縁膜形成用の前駆体溶液を用いて、基板上に塗布した後に、酸素を含有する雰囲気下において熱処理を行なうことによって層間絶縁膜を形成するものである。
【0009】
本発明の第1の側面によると、アルデヒド基を有するアダマンタン誘導体よりなるモノマーと芳香族アミン誘導体よりなるモノマーとの重合温度が低下するので、芳香族アミン誘導体よりなるモノマーの揮発を抑制することができる。このため、高分子量のポリマーを形成することができるので、機械強度に優れ且つ低誘電率である層間絶縁膜を形成することができる。
【0010】
また、本発明の第2の側面は、アルデヒド基を有するアダマンタン誘導体と芳香族アミン誘導体とを含む溶液を加熱処理することによって得られる、該アダマンタン誘導体と該芳香族アミン誘導体との共重合体よりなるオリゴマーを含む層間絶縁膜形成用の前駆体溶液を用いて、基板上に塗布した後に、酸素を含有する雰囲気において熱処理を行なうことによって層間絶縁膜を形成するものである。
【0011】
本発明の第2の側面によると、上述の第1の側面による効果に加えて、オリゴマーを含む層間絶縁膜形成用の前駆体溶液は、溶液状態でポリマーの3次元骨格が形成されているため、塗布後の熱処理による膜収縮を抑制することができるので、低密度化が向上し、より低誘電率の層間絶縁膜を形成することができる。また、層間絶縁膜形成用の前駆体溶液中にオリゴマーを形成しておくことにより、塗布後に行なう重合反応のための熱処理の温度を高くしても、芳香族アミン誘導体よりなるモノマーの揮発を抑制することができる。
【0012】
また、本発明の第3の側面は、アルデヒド基を有するアダマンタン誘導体よりなる第1の溶液と、芳香族アミン誘導体を含む第2の溶液とを別々に作製した後に、該第1の溶液と該第2の溶液とを混合して作製された層間絶縁膜形成用の前駆体溶液を用いて、基板上に塗布した後に、酸素を含有する雰囲気下において熱処理を行なうことによって層間絶縁膜を形成するものである。
【0013】
本発明の第3の側面によると、上述の第1の側面による効果に加えて、基板上に塗布する直前に、第1の溶液と第2の溶液とを混合して作製された層間絶縁膜形成用の前駆体溶液を用いることができるので、重合反応に用いる溶液の長期保存が可能となる。特に、第2の溶液に含まれる芳香族アミン誘導体の種類によっては、アルデヒド基を有するアダマンタン誘導体とを同一の溶液中に溶解させて保存すると、室温において重合反応が徐々に進行してゲル化することで実用化が困難な場合があるので、このような場合に、本発明の第3の側面は効果的である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、アルデヒド基を有するアダマンタン誘導体よりなるモノマーと芳香族アミン誘導体よりなるモノマーとの重合温度が低下するので、芳香族アミン誘導体よりなるモノマーの揮発を抑制することができる。このため、高分子量のポリマーを形成することができるので、機械強度に優れ且つ低誘電率である層間絶縁膜を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態では、上述した本発明の第1の側面についての層間絶縁膜の形成方法及び層間絶縁膜形成用の前駆体溶液について説明する。
【0016】
本発明の第1の実施形態に係る層間絶縁膜形成用の前駆体溶液は、アルデヒド基を有するアダマンタン誘導体と芳香族アミン誘導体とを含む溶液であり、本発明の第1の実施形態に係る層間絶縁膜の形成方法は、該前駆体溶液を基板上に塗布した後に、酸素を含有する雰囲気下において熱処理を行なうことにより、有機高分子膜よりなる層間絶縁膜を形成するものである。
【0017】
−−アルデヒド基を有するアダマンタン誘導体−−
まず、アルデヒド基を有するアダマンタン誘導体について説明する。
【0018】
アルデヒド基を有するアダマンタン誘導体は、下記[化125]の一般式
【0019】
【化125】

【0020】
(但し、X1 、X2 、X3 、及びX4 の各々の組み合わせは、下記[表1]に示される組み合わせであり、下記[表1]におけるR1 〜R12 の各々は、水素又は有機基である。)
で表されるもののうちの1種類又は複数種類である。
【0021】
【表1】

【0022】
なお、X1 〜X4 の取り得る組み合わせの種類としては[表1]に示す通りであるが、具体的には、組み合わせ1aの場合では、X1 〜X4 が(1)に示す置換基であり、組み合わせ1bの場合では、X1 〜X3 が(1)に示す置換基であって、且つ、X4 が水素、脂肪族基又は芳香族基であり、組み合わせ1cの場合では、X1 及びX2 が(1)に示す置換基であって、且つ、X3 及びX4 が水素、脂肪族基又は芳香族基であり、組み合わせ1dの場合では、X1 が(1)に示す置換基であって、且つ、X2 〜X4 が水素、脂肪族基又は芳香族基である。さらに、組み合わせ1eの場合では、X1 〜X4 が(2)に示す置換基であり、組み合わせ1fの場合では、X1 〜X3 が(2)に示す置換基であって、且つ、X4 が水素、脂肪族基又は芳香族基であり、組み合わせ1gの場合では、X1 及びX2 が(2)に示す置換基であって、且つ、X3 及びX4 が水素、脂肪族基又は芳香族基であり、組み合わせ1hの場合では、X1 が(2)に示す置換基であって、且つ、X2 〜X4 が水素、脂肪族基又は芳香族基である。
【0023】
ここで、本実施形態において、[表1]における組み合わせ1a、1b、1e、及び1fを例とする3つ以上のアルデヒド基を有するアダマンタン誘導体を用いることが好ましい。3つ以上のアルデヒド基を有するアダマンタン誘導体は、嵩高さが大きくなるので、形成される層間絶縁膜は低密度であって且つ高架橋密度を実現することができる。
【0024】
−−芳香族アミン誘導体−−
次に、芳香族アミン誘導体について説明する。
【0025】
芳香族アミン誘導体は、下記[表2]、
【0026】
【表2】

【0027】
(但し、[表2]におけるX1 〜X4 のうちの少なくとも1つはNH2 基であり、残りの3つのうちの少なくとも1つはOH基である。)
下記[表3]、及び、
【0028】
【表3】

【0029】
下記[化126]の一般式
【0030】
【化126】

【0031】
(但し、Y1 、Y2 、Y3 、及びY4 の各々は、下記[表4]、下記[表5]及び下記[表6]に示される組み合わせであり、下記[表4]、下記[表5]及び下記[表6]におけるR1 〜R12 の各々は、水素又は有機基である。)
で表されるもののうちの1種類又は複数種類である。
【0032】
【表4】

【0033】
【表5】

【0034】
【表6】

【0035】
なお、Y1 〜Y4 の取り得る組み合わせの種類としては[表4]〜[表6]に示す通りであるが、具体的には、まず[表4]において、組み合わせ4aの場合では、Y1 〜Y4 が(3)に示す置換基であり、組み合わせ4bの場合では、Y1 〜Y3 が(3)に示す置換基であって、且つ、Y4 が水素、脂肪族基又は芳香族基であり、組み合わせ4cの場合では、Y1 及びY2 が(3)に示す置換基であって、且つ、Y3 及びY4 が水素、脂肪族基又は芳香族基であり、組み合わせ4dの場合では、Y1 が(3)に示す置換基であって、且つ、Y2 〜Y4 が水素、脂肪族基又は芳香族基である。また、組み合わせ4eの場合では、Y1 〜Y4 が(4)に示す置換基であり、組み合わせ4fの場合では、Y1 〜Y3 が(4)に示す置換基であって、且つ、Y4 が水素、脂肪族基又は芳香族基であり、組み合わせ4gの場合では、Y1 及びY2 が(4)に示す置換基であって、且つ、Y3 及びY4 が水素、脂肪族基又は芳香族基であり、組み合わせ4hの場合では、Y1 が(4)に示す置換基であって、且つ、Y2 〜Y4 が水素、脂肪族基又は芳香族基である。
【0036】
さらに、組み合わせ4iの場合では、Y1 〜Y4 が(5)に示す置換基であり、組み合わせ4jの場合では、Y1 〜Y3 が(5)に示す置換基であって、且つ、Y4 が水素、脂肪族基又は芳香族基であり、組み合わせ4kの場合では、Y1 及びY2 が(5)に示す置換基であって、且つ、Y3 及びY4 が水素、脂肪族基又は芳香族基であり、組み合わせ4lの場合では、Y1 が(5)に示す置換基であって、且つ、Y2 〜Y4 が水素、脂肪族基又は芳香族基である。また、組み合わせ4mの場合では、Y1 〜Y4 が(6)に示す置換基であり、組み合わせ4nの場合では、Y1 〜Y3 が(6)に示す置換基であって、且つ、Y4 が水素、脂肪族基又は芳香族基であり、組み合わせ4oの場合では、Y1 及びY2 が(6)に示す置換基であって、且つ、Y3 及びY4 が水素、脂肪族基又は芳香族基であり、組み合わせ4pの場合では、Y1 が(6)に示す置換基であって、且つ、Y2 〜Y4 が水素、脂肪族基又は芳香族基である。
【0037】
なお、[表5]に示した置換基(7)〜(10)を用いた組み合わせ5a〜5p、及び[表6]に示した置換基(11)〜(14)を用いた組み合わせ6a〜6pについては、上述で説明した[表4]に示した組み合わせ4a〜4pにおける置換基(3)〜(6)が異なるだけでその他は同様であるので、ここではその同様の説明は省略する。
【0038】
ここで、本実施形態において、[表2]、及び、Y1 〜Y4 の組み合わせが[表4]及び[表5]の場合を例とする[化125]で表されるヒドロキシル基を有する芳香族アミン誘導体を用いることが好ましい。ヒドロキシル基を有する芳香族アミン誘導体を用いた場合には、室温では重合反応が進まないので、アルデヒド基を有するアダマンタン誘導体と芳香族アミン誘導体とを含む溶液の長期保存が可能になる。
【0039】
また、本実施形態において、Y1 〜Y4 の組み合わせが[表4]及び[表5]の場合である[化125]で表されるヒドロキシル基を有する芳香族アミン誘導体を用いることが好ましい。この場合、ヒドロキシル基を有する芳香族アミン誘導体の揮発温度を高めることができるため、前駆体溶液をシリコンウェーハ上に塗布した後における熱処理温度を高温化することが可能とになるので、成膜のスループットを高めることが可能となる。また、この場合のヒドロキシル基を有する芳香族アミン誘導体は、排除体積のより大きいアミン誘導体である。このため、形成される有機高分子膜における骨格の架橋構造を低密度化することが可能となり、比誘電率をさらに低下させることができる。
【0040】
また、このように、芳香族アミン誘導体としてヒドロキシル基を有する芳香族アミン誘導体を用いる場合に、アルデヒド基を有するアダマンタン誘導体として上述の3つ以上のアルデヒド基を有するアダマンタン誘導体を用いることにより、上述したそれぞれの効果を同時に実現することができる。
【0041】
以下に、本発明の第1の実施形態を具体化する第1の実施例について説明する。
【0042】
−−実施例1−−
本実施例1では、アルデヒド基を有するアダマンタン誘導体として、X1 〜X4 の組み合わせが上記[表1]に示す組み合わせ1aである場合の上記[化125](但し、R1 〜R12 がすべて水素基である場合)で表されるアダマンタン誘導体<A1>と、ヒドロキシル基を有する芳香族アミン誘導体として、上記[表2]の(2o)に対応するジアミノジヒドロキシビフェニル<B1>とを含む層間絶縁膜形成用の前駆体溶液を用いて層間絶縁膜を形成する場合を例として、図1を参照しながら説明する。
【0043】
アルデヒド基を有するアダマンタン誘導体<A1>(分子量553)300mgと、ヒドロキシル基を有する芳香族アミン誘導体としてのジアミノジヒドロキシビフェニル<B1>(分子量216)234mgとを、ジメチルアセトアミド10mlに溶解させてなる層間絶縁膜形成用の前駆体溶液21を薬液ボトル20内に作製した。次に、薬液ボトル20をヘリウムガスにより加圧することにより、前駆体溶液21を薬液ノズル22を介すると共に厚さ0.2μmの例えばフッ素樹脂(4フッ化エチレン樹脂)よりなるフィルター23を通して、コーターカップ24内の回転支持台25に設置された直径300nmのシリコンウェーハ(半導体基板)26上に、前駆体溶液21を1ml滴下し、シリコンウェーハ26の回転数が3000rpmとなるように、30秒間、回転塗布を行って、シリコンウェーハ26上に薄膜27を形成した。
【0044】
次に、薄膜27が形成されたシリコンウェーハ26をホットプレートで、120℃、100秒間、熱処理を行なうことにより、薄膜27から溶剤を揮発させた。その後、酸素含有雰囲気下において、160℃、30分間、ホットプレートでさらに熱処理を行った。これにより、シリコンウェーハ26上で、薄膜27内で、アルデヒド基を有するアダマンタン誘導体<A1>とジアミノジヒドロキシビフェニル<B1>との重合反応を進行させることができる。その後、さらに、窒素雰囲気下において、400℃、30分間、電気炉で熱処理を行った。これにより、シリコンウェーハ26上に、アダマンタン骨格とベンツオキサゾール骨格とを有する有機高分子膜よりなる層間絶縁膜が形成された。
【0045】
分光エリプソメーターを用いて、層間絶縁膜の膜厚を測定したところ、420nmであった。また、水銀プローバーを用いて、層間絶縁膜の比誘電率を測定したところ、2.2の値が得られた。
【0046】
本実施例では、酸素含有雰囲気下での熱処理を160℃で行ったが、100℃以上であって且つ200℃以下の温度範囲で行なうことが望ましい。これは、芳香族アミン誘導体よりなるモノマーの揮発温度が200℃以上であるので、アルデヒド基を有するアダマンタン誘導体よりなるモノマーと重合反応させることにより、芳香族アミン誘導体よりなるモノマーの揮発を抑制することができる。また、このような温度範囲は、シリコンウェーハ26上でのポリベンツオキサゾール膜の形成速度が実用的に速く、且つ、芳香族アミン誘導体よりなるモノマーの揮発を抑制することができる温度範囲として適切だからである。
【0047】
また、アルデヒド基を有するアダマンタン誘導体と芳香族アミン誘導体とを含む層間絶縁膜形成用の前駆体溶液の保存について実験したところ、上記のアルデヒド基を有するアダマンタン誘導体<A1>(分子量553)300mgと上記のジアミノジヒドロキシビフェニル<B1>(分子量216)234mgとをジメチルアセトアミド10mlに溶解させた溶液は、室温で24時間放置した後もゲル化は生じなかった。
【0048】
最後に、上述したアダマンタン骨格とベンツオキサゾール骨格とを有する有機高分子膜の合成例について説明しておくと、例えば図2に示すように、アルデヒド基を有するアダマンタン誘導体(10a)と芳香族アミン誘導体(10b)とを重合させて、シッフ塩基(10c)を形成した後に、酸化によって脱水反応を生じさることにより、アダマンタン骨格とベンツオキサゾール骨格とを有する有機高分子膜(10d)が合成される。
【0049】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態では、上述した本発明の第2の側面についての層間絶縁膜の形成方法及び層間絶縁膜形成用の前駆体溶液について説明する。
【0050】
本発明の第2の実施形態に係る層間絶縁膜形成用の前駆体溶液は、アルデヒド基を有するアダマンタン誘導体と芳香族アミン誘導体とを含む溶液を加熱処理することによって得られる、該アダマンタン誘導体と該芳香族アミン誘導体との共重合体よりなるオリゴマーを含む溶液であり、本発明の第2の実施形態に係る層間絶縁膜の形成方法は、該前駆体溶液を基板上に塗布した後に、酸素を含有する雰囲気下において熱処理を行なうことにより、有機高分子膜よりなる層間絶縁膜を形成するものである。
【0051】
ここで、アルデヒド基を有するアダマンタン誘導体及び芳香族アミン誘導体の例としては、上述した第1の実施形態と同様であるので、ここではその説明は省略する。
【0052】
また、アルデヒド基を有するアダマンタン誘導体として、3つ以上のアルデヒド基を有するアダマンタン誘導体を用いることが好ましいことも第1の実施形態と同様である。また、芳香族アミン誘導体として、ヒドロキシル基を有する芳香族アミン誘導体を用いることが好ましいことも第1の実施形態と同様である。さらに、芳香族アミン誘導体としてヒドロキシル基を有する芳香族アミン誘導体を用いると共に、アルデヒド基を有するアダマンタン誘導体として3つ以上のアルデヒド基を有するアダマンタン誘導体を用いることがより好ましいことも第1の実施形態と同様である。
【0053】
−−実施例2−−
以下に、本発明の第2の実施形態を具体化する第2の実施例について説明する。
【0054】
本実施例2では、アルデヒド基を有するアダマンタン誘導体として、X1 〜X4 の組み合わせが上記[表1]に示す組み合わせ(1a)である場合の上記[化125](但し、R1 〜R12 がすべて水素基である場合)で表されるアダマンタン誘導体<A1>と、ヒドロキシル基を有する芳香族アミン誘導体として、上記[表2]の(2o)に対応するジアミノジヒドロキシビフェニル<B1>とを含む層間絶縁膜形成用の前駆体溶液を用いて層間絶縁膜を形成する場合を例として、前述の図1を参照しながら説明する。
【0055】
アルデヒド基を有するアダマンタン誘導体<A1>(分子量553)300mgと、ヒドロキシル基を有する芳香族アミン誘導体としてのジアミノジヒドロキシビフェニル<B1>(分子量216)234mgとを、ジメチルアセトアミド10mlに溶解させた溶液を作成した後に、160℃、6時間、該溶液を攪拌して、アルデヒド基を有するアダマンタン誘導体とヒドロキシル基を有する芳香族アミン誘導体との共重合体であるオリゴマーを形成した。該オリゴマーを含む層間絶縁膜形成用の前駆体溶液21を薬液ボトル20内に作製した。次に、薬液ボトル20をヘリウムガスにより加圧することにより、前駆体溶液21を薬液ノズル22を介すると共に厚さ0.2μmの例えばフッ素樹脂(4フッ化エチレン樹脂)よりなるフィルター23を通して、コーターカップ24内の回転支持台25に設置された直径300nmのシリコンウェーハ(半導体基板)26上に、前駆体溶液21を1ml滴下し、シリコンウェーハ26の回転数が3000rpmとなるように、30秒間、回転塗布を行って、シリコンウェーハ26上に薄膜27を形成した。
【0056】
次に、薄膜27が形成されたシリコンウェーハ26をホットプレートで、120℃、100秒間、熱処理を行なうことにより、薄膜27から溶剤を揮発させた。その後、酸素含有雰囲気下において、160℃、30分間、ホットプレートでさらに熱処理を行った。これにより、シリコンウェーハ26上で、アルデヒド基を有するアダマンタン誘導体<A1>とジアミノジヒドロキシビフェニル<B1>との重合反応を薄膜27内で進行させることができる。その後、さらに、窒素雰囲気下において、400℃、30分間、電気炉で熱処理を行った。これにより、シリコンウェーハ26上に、アダマンタン骨格とベンツオキサゾール骨格とを有する有機高分子膜よりなる層間絶縁膜が形成された。
【0057】
分光エリプソメーターを用いて、層間絶縁膜の膜厚を測定したところ、330nmであった。また、水銀プローバーを用いて、層間絶縁膜の比誘電率を測定したところ、2.0の値が得られた。
【0058】
このように、本実施例では、層間絶縁膜形成用の前駆体溶液中にオリゴマーを形成するので、溶液状態でポリマーの3次元骨格が形成されているため、塗布後の熱処理による膜収縮を抑制することができるので、低密度化が向上し、より低誘電率の層間絶縁膜を形成することができる。また、層間絶縁膜形成用の前駆体溶液中にオリゴマーを形成しておくことにより、塗布後に行なう重合反応のための熱処理の温度を高くしても、芳香族アミン誘導体よりなるモノマーの揮発を抑制することができる。なお、オリゴマーの分子量は特に限定されるものではないが、分子量10000以上〜100000程度であって、ゲル化が生じない分子量であることが望ましい。
【0059】
本実施例では、酸素含有雰囲気下での熱処理を160℃で行ったが、100℃以上であって且つ400℃以下の温度範囲で行なうことが望ましい。このような温度範囲は、シリコンウェーハ26上でのポリベンツオキサゾール膜の形成速度が実用的に速く、且つ、芳香族アミン誘導体よりなるモノマーの揮発を抑制することができる適切な温度範囲であるからである。また、第1の実施形態と比べて温度範囲の上限が高いのは、前述したように、オリゴマーを含む層間絶縁膜形成用の前駆体溶液を用いることにより、塗布後に行なう重合反応のための熱処理の温度を高くしても、芳香族アミン誘導体よりなるモノマーの揮発を抑制することができるからである。
【0060】
また、アルデヒド基を有するアダマンタン誘導体と芳香族アミン誘導体とを含む溶液を加熱処理して得られる、アルデヒド基を有するアダマンタン誘導体と芳香族アミン誘導体との共重合体よりなるオリゴマーを含む層間絶縁膜形成用の前駆体溶液の保存について実験した。上記のアルデヒド基を有するアダマンタン誘導体<A1>(分子量553)300mgと上記のジアミノジヒドロキシビフェニル<B1>(分子量216)234mgとをジメチルアセトアミド10mlに溶解させた後、160℃、6時間、加熱処理した後の溶液は、室温で24時間放置した後もゲル化は生じなかった。
【0061】
なお、上述したアダマンタン骨格とベンツオキサゾール骨格とを有する有機高分子膜の合成例については、第1の実施形態における図2を用いた説明と同様である。
【0062】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態では、上述した本発明の第3の側面についての層間絶縁膜の形成方法及び層間絶縁膜形成用の前駆体溶液について説明する。
【0063】
本発明の第3の実施形態に係る層間絶縁膜形成用の前駆体溶液は、別々に作製したアルデヒド基を有するアダマンタン誘導体よりなる第1の溶液と芳香族アミン誘導体を含む第2の溶液とを混合して作製された溶液であり、本発明の第1の実施形態に係る層間絶縁膜の形成方法は、基板上に塗布する前に第1の溶液と第2の溶液とを混合して上記の前駆体溶液を作製し、該前駆体溶液を基板上に塗布した後に、酸素を含有する雰囲気下において熱処理を行なうことにより、有機高分子膜よりなる層間絶縁膜を形成するものである。
【0064】
ここで、アルデヒド基を有するアダマンタン誘導体の例としては、上述した第1の実施形態と同様である。また、アルデヒド基を有するアダマンタン誘導体として、3つ以上のアルデヒド基を有するアダマンタン誘導体を用いることが好ましいことは第1の実施形態と同様である。
【0065】
次に、本実施形態で用いる芳香族アミン誘導体について説明する。
【0066】
芳香族アミン誘導体は、上記[表2]、上記[表3]、及び、上記[化126]の一般式(但し、Y1 、Y2 、Y3 、及びY4 の各々は、下記[表6]に示される組み合わせであり、下記[表6]におけるR1 〜R12 の各々は、水素又は有機基である。)
で表されるもののうちの1種類又は複数種類である。
【0067】
なお、Y1 〜Y4 の取り得る組み合わせの種類としては[表6]に示す通りであるが、具体的には、[表6]において、組み合わせ6aの場合では、Y1 〜Y4 が(11)に示す置換基であり、組み合わせ6bの場合では、Y1 〜Y3 が(11)に示す置換基であって、且つ、Y4 が水素、脂肪族基又は芳香族基であり、組み合わせ6cの場合では、Y1 及びY2 が(11)に示す置換基であって、且つ、Y3 及びY4 が水素、脂肪族基又は芳香族基であり、組み合わせ6dの場合では、Y1 が(11)に示す置換基であって、且つ、Y2 〜Y4 が水素、脂肪族基又は芳香族基である。また、組み合わせ6eの場合では、Y1 〜Y4 が(12)に示す置換基であり、組み合わせ6fの場合では、Y1 〜Y3 が(12)に示す置換基であって、且つ、Y4 が水素、脂肪族基又は芳香族基であり、組み合わせ6gの場合では、Y1 及びY2 が(12)に示す置換基であって、且つ、Y3 及びY4 が水素、脂肪族基又は芳香族基であり、組み合わせ6hの場合では、Y1 が(12)に示す置換基であって、且つ、Y2 〜Y4 が水素、脂肪族基又は芳香族基である。
【0068】
さらに、組み合わせ6iの場合では、Y1 〜Y4 が(13)に示す置換基であり、組み合わせ6jの場合では、Y1 〜Y3 が(13)に示す置換基であって、且つ、Y4 が水素、脂肪族基又は芳香族基であり、組み合わせ6kの場合では、Y1 及びY2 が(13)に示す置換基であって、且つ、Y3 及びY4 が水素、脂肪族基又は芳香族基であり、組み合わせ6lの場合では、Y1 が(13)に示す置換基であって、且つ、Y2 〜Y4 が水素、脂肪族基又は芳香族基である。また、組み合わせ6mの場合では、Y1 〜Y4 が(14)に示す置換基であり、組み合わせ6nの場合では、Y1 〜Y3 が(14)に示す置換基であって、且つ、Y4 が水素、脂肪族基又は芳香族基であり、組み合わせ6oの場合では、Y1 及びY2 が(14)に示す置換基であって、且つ、Y3 及びY4 が水素、脂肪族基又は芳香族基であり、組み合わせ6pの場合では、Y1 が(14)に示す置換基であって、且つ、Y2 〜Y4 が水素、脂肪族基又は芳香族基である。
【0069】
第3の実施形態では、芳香族アミン誘導体として、[表3]、及び、Y1 〜Y4 の組み合わせが[表6]の場合である[化126]で表される芳香族アミン誘導体を用いる場合に、特に効果的である。この場合、アルデヒド基を有するアダマンタン誘導体よりなるモノマーと同一の溶液中に溶解させた場合、室温においても重合反応が徐々に進行してゲル化するので、第1の溶液と第2の溶液とを別々に作製した後に、基板上に塗布する直前に第1の溶液と第2の溶液とを混合して層間絶縁膜形成用の前駆体溶液を作製することにより、前駆体溶液のゲル化を抑制して、有機高分子膜よりなる層間絶縁膜の形成を可能にする。
【0070】
また、本実施形態において、Y1 〜Y4 の組み合わせが[表6]の場合である[化126]で表される芳香族アミン誘導体を用いることが好ましい。この場合、芳香族アミン誘導体の揮発温度を高めることができるため、前駆体溶液をシリコンウェーハ上に塗布した後における熱処理温度を高温化することが可能になるので、成膜のスループットを高めることが可能となる。また、この場合の芳香族アミン誘導体は、排除体積のより大きいアミン誘導体である。このため、形成される有機高分子膜における骨格の架橋構造を低密度化することが可能となり、比誘電率をさらに低下させることができる。
【0071】
−−実施例3−−
以下に、本発明の第3の実施形態を具体化する第3の実施例について説明する。
【0072】
本実施例3では、アルデヒド基を有するアダマンタン誘導体として、X1 〜X4 の組み合わせが上記[表1]に示す組み合わせ(1a)である場合の上記[化125](但し、R1 〜R12 がすべて水素基である場合)で表されるアダマンタン誘導体<A1>を含む第1の溶液と、芳香族アミン誘導体として、上記[表3]の(3o)に示す場合であるジアミノベンジジン<B2>を含む第2の溶液とを混合してなる層間絶縁膜形成用の前駆体溶液を用いて層間絶縁膜を形成する場合を例として、図4を参照しながら説明する。
【0073】
アルデヒド基を有するアダマンタン誘導体<A1>(分子量553)300mgをジメチルアセトアミド5mlに溶解させてなる第1の溶液31を第1の薬液ボトル30内に作製すると共に、ジアミノベンジジン<B2>(分子量214)230mgをジメチルアセトアミド5mlに溶解させてなる第2の溶液35を第2の薬液ボトル34内に作製する。その後、第1の溶液31及び第2の溶液34とを各々、第1の薬液ノズル32及び第2の薬液ノズル36を介して、厚さ0.2μmの例えばフッ素樹脂(4フッ化エチレン樹脂)よりなる第1のフィルター33及び第2のフィルター37を通して濾過し、第1の溶液31と第2の溶液34とが第3の薬液ボトル38内で混合されてなる層間絶縁膜形成用の前駆体溶液39を作製した。次に、薬液ボトル39をヘリウムガスにより加圧することにより、前駆体溶液39を第3の薬液ノズル40を通して、コーターカップ41内の回転支持台42に設置された直径300nmのシリコンウェーハ(半導体基板)43上に、前駆体溶液39を1ml滴下し、シリコンウェーハ43の回転数が3000rpmとなるように、30秒間、回転塗布を行って、シリコンウェーハ43上に薄膜44を形成した。
【0074】
次に、薄膜44が形成されたシリコンウェーハ43をホットプレートで、120℃、100秒間、熱処理を行なうことにより、薄膜44から溶剤を揮発させた。その後、酸素含有雰囲気下において、160℃、30分間、ホットプレートでさらに熱処理を行った。これにより、シリコンウェーハ43上で、アルデヒド基を有するアダマンタン誘導体<A1>と芳香族アミン誘導体<B2>との重合反応を薄膜44内で進行させることができる。その後、さらに、窒素雰囲気下において、400℃、30分間、電気炉で熱処理を行った。これにより、シリコンウェーハ43上に、アダマンタン骨格とベンツイミダゾール骨格とを有する有機高分子膜よりなる層間絶縁膜が形成された。なお、本実施例では、酸素含有雰囲気下での熱処理を160℃で行ったが、100℃以上であって且つ200℃以下の温度範囲で行なうことが望ましいことは、第1の実施形態と同様である。
【0075】
分光エリプソメーターを用いて、層間絶縁膜の膜厚を測定したところ、500nmであった。また、水銀プローバーを用いて、層間絶縁膜の比誘電率を測定したところ、2.4の値が得られた。
【0076】
このように、本実施例では、第1の溶液と第2の溶液とを別々に作製した後に、基板上に塗布する直前に第1の溶液と第2の溶液とを混合して層間絶縁膜形成用の前駆体溶液を作製するので、前述したように、例えば[表3]、及び、Y1 〜Y4 の組み合わせが[表6]の場合である[化126]で表される芳香族アミン誘導体とアルデヒド基を有するアダマンタン誘導体と同一の溶液中に溶解させた場合に生じるゲル化を抑制し、アダマンタン骨格とベンツイミダゾール骨格とを有する有機高分子膜よりなる層間絶縁膜の形成を可能にする。
【0077】
最後に、上述したアダマンタン骨格とベンツイミダゾール骨格とを有する有機高分子膜の合成例について説明しておくと、例えば図4に示すように、アルデヒド基を有するアダマンタン誘導体(50a)と芳香族アミン誘導体(50b)とを重合させて、シッフ塩基(50c)を形成した後に、酸化によって脱水反応を生じさることにより、アダマンタン骨格とベンツイミダゾール骨格とを有する有機高分子膜(50d)が合成される。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明の層間絶縁膜の形成方法及び層間絶縁膜形成用の前駆体溶液は、高強度であって且つ低誘電率の有機高分子膜よりなる層間絶縁膜の形成にとって有用である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の第1の実施形態の実施例における回転塗布法に用いる装置を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の実施例におけるアダマンタン骨格とベンツオキサゾール骨格とを有する有機高分子膜の合成過程の一例を示す図である。
【図3】本発明の第3の実施形態の実施例における回転塗布法に用いる装置を示す図である。
【図4】本発明の第3の実施形態の実施例におけるアダマンタン骨格とベンツイミダゾール骨格とを有する有機高分子膜の合成過程の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0080】
20 薬液ボトル
21 層間絶縁膜形成用の前駆体溶液
22 薬液ノズル
23 フィルター
24 コーターカップ
25 回転支持台
26 シリコンウェーハ
27 薄膜
30 第1の薬液ボトル
31 第1の溶液
32 第1の薬液ノズル
33 第1のフィルター
34 第2の薬液ボトル
35 第2の溶液
36 第2の薬液ノズル
37 第2のフィルター
38 第3の薬液ボトル
39 層間絶縁膜形成用の前駆体溶液
40 第3の薬液ノズル
41 コーターカップ
42 回転支持台
43 シリコンウェーハ
44 薄膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルデヒド基を有するアダマンタン誘導体と芳香族アミン誘導体とを含む溶液を基板上に塗布する工程と、
酸素を含有する雰囲気下において熱処理を行なう工程とを備えることを特徴とする層間絶縁膜の形成方法。
【請求項2】
前記溶液を塗布する工程は、
前記アルデヒド基を有するアダマンタン誘導体を含む第1の溶液と前記芳香族アミン誘導体を含む第2の溶液とを混合して前記溶液を形成した後に、前記溶液を前記基板上に塗布する工程であることを特徴とする層間絶縁膜の形成方法。
【請求項3】
前記アダマンタン誘導体は、3つ以上のアルデヒド基を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の層間絶縁膜の形成方法。
【請求項4】
前記芳香族アミン誘導体は、ヒドロキシル基を有していることを特徴とする請求項1に記載の層間絶縁膜の形成方法。
【請求項5】
前記アダマンタン誘導体は、3つ以上のアルデヒド基を有しており、
前記芳香族アミン誘導体は、ヒドロキシル基を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の層間絶縁膜の形成方法。
【請求項6】
アルデヒド基を有するアダマンタン誘導体と芳香族アミン誘導体とを含む溶液を加熱処理する工程と、
前記加熱処理の後に、前記溶液を基板上に塗布する工程と、
酸素を含有する雰囲気において熱処理を行なう工程とを備えることを特徴とする層間絶縁膜の形成方法。
【請求項7】
前記アダマンタン誘導体は、3つ以上のアルデヒド基を有していることを特徴とする請求項6に記載の層間絶縁膜の形成方法。
【請求項8】
前記芳香族アミン誘導体は、ヒドロキシル基を有していることを特徴とする請求項6に記載の層間絶縁膜の形成方法。
【請求項9】
前記アダマンタン誘導体は、3つ以上のアルデヒド基を有しており、
前記芳香族アミン誘導体は、ヒドロキシル基を有していることを特徴とする請求項6に記載の層間絶縁膜の形成方法。
【請求項10】
前記アルデヒド基を有するアダマンタン誘導体は、下記[化1]の一般式
【化1】

(但し、X1 、X2 、X3 、及びX4 の各々は、下記[化2]に示す置換基、下記[化3]に示す置換基、水素原子、脂肪族基、及び芳香族基よりなる群のうちから選択されるいずれか1つの種類あり、
【化2】

【化3】

前記X1 〜X4 のうちの少なくとも1つは、前記[化2]又は前記[化3]に示す置換基であり、R1 〜R12 の各々は、水素又は有機基である。)
で表されることを特徴とする請求項1、2又は6に記載の層間絶縁膜の形成方法。
【請求項11】
前記3つ以上のアルデヒド基を有するアダマンタン誘導体は、下記[化4]の一般式
【化4】

(但し、X1 、X2 、X3 、及びX4 の各々は、下記[化5]に示す置換基、下記[化6]に示す置換基、水素原子、脂肪族基、及び芳香族基よりなる群のうちから選択されるいずれか1つの種類あり、
【化5】

【化6】

前記X1 〜X4 のうちの3つ又は4つのすべてが、前記[化5]又は前記[化6]に示す置換基であり、R1 〜R12 の各々は、水素又は有機基である。)
で表されることを特徴とする請求項1、2又は6に記載の層間絶縁膜の形成方法。
【請求項12】
前記アミン誘導体は、下記[化7]〜下記[化27]の一般式、及び、
【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

(但し、前記[化7]〜前記[化27]の各々において、X1 〜X4 のうちの少なくとも1つはNH2 基であり、残りの3つのうちの少なくとも1つはOH基である。)
下記[化28]の一般式
【化28】

(但し、Y1 、Y2 、Y3 、及びY4 の各々は、下記[化29]〜下記[化36]に示す置換基、水素原子、脂肪族基、及び芳香族基よりなる群のうちから選択されるいずれか1つの種類あり、
【化29】

【化30】

【化31】

【化32】

【化33】

【化34】

【化35】

【化36】

前記Y1 〜Y4 のうちの少なくとも1つが、前記[化29]〜前記[化36]に示す置換基であり、R1 〜R12 の各々は、水素又は有機基である。)
よりなる群のうちから選択される少なくとも1つで表されることを特徴とすることを特徴とする請求項1、2又は6に記載の層間絶縁膜の形成方法。
【請求項13】
前記アミン誘導体は、下記[化37]〜下記[57]の一般式、及び、
【化37】

【化38】

【化39】

【化40】

【化41】

【化42】

【化43】

【化44】

【化45】

【化46】

【化47】

【化48】

【化49】

【化50】

【化51】

【化52】

【化53】

【化54】

【化55】

【化56】

【化57】

下記[化58]の一般式
【化58】

(但し、Y1 、Y2 、Y3 、及びY4 の各々は、下記[化59]〜下記[化62]に示す置換基、水素原子、脂肪族基、及び芳香族基よりなる群のうちから選択されるいずれか1つの種類あり、
【化59】

【化60】

【化61】

【化62】

前記Y1 〜Y4 のうちの少なくとも1つが、前記[化59]〜前記[化62]に示す置換基であり、R1 〜R12 の各々は、水素又は有機基である。)
よりなる群のうちから選択される少なくとも1つで表されることを特徴とすることを特徴とする請求項6〜9のうちのいずれか1項に記載の層間絶縁膜の形成方法。
【請求項14】
アルデヒド基を有するアダマンタン誘導体と芳香族アミン誘導体を含む溶液よりなることを特徴とする層間絶縁膜形成用の前駆体溶液。
【請求項15】
前記溶液は、前記アルデヒド基を有するアダマンタン誘導体を含む第1の溶液と、前記芳香族アミン誘導体を含む第2の溶液とが混合されて形成されていることを特徴とする請求項13に記載の層間絶縁膜形成用の前駆体溶液。
【請求項16】
前記アダマンタン誘導体は、3つ以上のアルデヒド基を有していることを特徴とする請求項13又は14に記載の層間絶縁膜形成用の前駆体溶液。
【請求項17】
前記芳香族アミン誘導体は、ヒドロキシル基を有していることを特徴とする請求項13に記載の層間絶縁膜形成用の前駆体溶液。
【請求項18】
前記アダマンタン誘導体は、3つ以上のアルデヒド基を有しており、
前記芳香族アミン誘導体は、ヒドロキシル基を有していることを特徴とする請求項13又は14に記載の層間絶縁膜形成用の前駆体溶液。
【請求項19】
アルデヒド基を有するアダマンタン誘導体と芳香族アミン誘導体との共重合体よりなるオリゴマーを含んでいることを特徴とする層間絶縁膜形成用の前駆体溶液。
【請求項20】
前記アダマンタン誘導体は、3つ以上のアルデヒド基を有していることを特徴とする請求項18に記載の層間絶縁膜形成用の前駆体溶液。
【請求項21】
前記芳香族アミン誘導体は、ヒドロキシル基を有していることを特徴とする請求項18に記載の層間絶縁膜形成用の前駆体溶液。
【請求項22】
前記アダマンタン誘導体は、3つ以上のアルデヒド基を有しており、
前記芳香族アミン誘導体は、ヒドロキシル基を有していることを特徴とする請求項18に記載の層間絶縁膜形成用の前駆体溶液。
【請求項23】
前記アルデヒド基を有するアダマンタン誘導体は、下記[化63]の一般式
【化63】

(但し、X1 、X2 、X3 、及びX4 の各々は、下記[化64]に示す置換基、下記[化65]に示す置換基、水素原子、脂肪族基、及び芳香族基よりなる群のうちから選択されるいずれか1つの種類あり、
【化64】

【化65】

前記X1 〜X4 のうちの少なくとも1つは、前記[化64]又は前記[化65]に示す置換基であり、R1 〜R12 の各々は、水素又は有機基である。)
で表されることを特徴とする請求項13、14又は18に記載の層間絶縁膜形成用の前駆体溶液。
【請求項24】
前記3つ以上のアルデヒド基を有するアダマンタン誘導体は、下記[化66]の一般式
【化66】

(但し、X1 、X2 、X3 、及びX4 の各々は、下記[化67]に示す置換基、下記[化68]に示す置換基、水素原子、脂肪族基、及び芳香族基よりなる群のうちから選択されるいずれか1つの種類あり、
【化67】

【化68】

前記X1 〜X4 のうちの3つ又は4つのすべてが、前記[化67]又は前記[化68]に示す置換基であり、R1 〜R12 の各々は、水素又は有機基である。)
で表されることを特徴とする請求項15、17、19、又は21に記載の層間絶縁膜形成用の前駆体溶液。
【請求項25】
前記アミン誘導体は、下記[化69]〜下記[化89]の一般式、及び、
【化69】

【化70】

【化71】

【化72】

【化73】

【化74】

【化75】

【化76】

【化77】

【化78】

【化79】

【化80】

【化81】

【化82】

【化83】

【化84】

【化85】

【化86】

【化87】

【化88】

【化89】

(但し、前記[化69]〜前記[化89]の各々において、X1 〜X4 のうちの少なくとも1つはNH2 基であり、残りの3つのうちの少なくとも1つはOH基である。)
下記[化90]の一般式
【化90】

(但し、Y1 、Y2 、Y3 、及びY4 の各々は、下記[化91]〜下記[化98]に示す置換基、水素原子、脂肪族基、及び芳香族基よりなる群のうちから選択されるいずれか1つの種類あり、
【化91】

【化92】

【化93】

【化94】

【化95】

【化96】

【化97】

【化98】

前記Y1 〜Y4 のうちの少なくとも1つが、前記[化91]〜前記[化98]に示す置換基であり、R1 〜R12 の各々は、水素又は有機基である。)
よりなる群のうちから選択される少なくとも1つで表されることを特徴とすることを特徴とする請求項13、14、又は18に記載の層間絶縁膜形成用の前駆体溶液。
【請求項26】
前記アミン誘導体は、下記[化99]〜下記[119]の一般式、及び、
【化99】

【化100】

【化101】

【化102】

【化103】

【化104】

【化105】

【化106】

【化107】

【化108】

【化109】

【化110】

【化111】

【化112】

【化113】

【化114】

【化115】

【化116】

【化117】

【化118】

【化119】

下記[化120]の一般式
【化120】

(但し、Y1 、Y2 、Y3 、及びY4 の各々は、下記[化121]〜下記[化124]に示す置換基、水素原子、脂肪族基、及び芳香族基よりなる群のうちから選択されるいずれか1つの種類あり、
【化121】

【化122】

【化123】

【化124】

前記Y1 〜Y4 のうちの少なくとも1つが、前記[化121]〜前記[化124]に示す置換基であり、R1 〜R12 の各々は、水素又は有機基である。)
よりなる群のうちから選択される少なくとも1つで表されることを特徴とすることを特徴とする請求項18〜21のうちのいずれか1項に記載の層間絶縁膜形成用の前駆体溶液。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−234871(P2007−234871A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−54923(P2006−54923)
【出願日】平成18年3月1日(2006.3.1)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】