説明

帯電装置及びこれを搭載した画像形成装置

【課題】放電空間に不均衡をもたらすことなく清掃部材を移動でき、放電部材に対して好適な清掃性能を発揮させ、像担持体表面を均一にして帯電可能な帯電装置を提供する。
【解決手段】帯電装置40は、放電部材架設方向と平行に延び、その一端に清掃部材45が設けられた棒状部材である清掃棒46と、この清掃棒46の、清掃部材45が設けられた側とは反対側の端部に設けられ、シールドケース41に対する清掃棒46の引き出し/収納が可能な把手部47と、この把手部47の近傍に設けられ、シールドケース41に当接して、清掃棒46をシールドケース41に収納する方向への、清掃部材45の所定位置を超える移動を阻止する係止片48とを備える。これにより、清掃棒46のシールドケース41への収納が完了した状態で、その清掃部材45側の端部の箇所がどこにも当接しないようにすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンタに代表される電子写真方式の画像形成装置において用いられる帯電装置に関する。また、この帯電装置を搭載した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンタに代表される電子写真方式の画像形成装置では、帯電装置によって像担持体表面を帯電させ、光照射により部分的に電位を光減衰させて原稿画像の静電潜像を形成して、この静電潜像をトナーで現像した可視トナー像を用紙に転写する。トナー像転写後、像担持体表面においては、残留したトナーがクリーニング装置によりクリーニングされ、新たな静電潜像の形成に備えて除電される。
【0003】
像担持体表面を帯電させる帯電装置には、コロナ放電を利用した非接触方式のものや、ブラシ、ローラ等を接触させる接触方式のものがある。なかでも広く知られているのが、コロナ放電を利用したスコロトロン方式の帯電装置である。スコロトロン方式の帯電装置は、放電部材であるチャージワイヤと、放電状態をコントロールするグリッドとを備えている。この帯電装置は、グリッドが像担持体表面近傍に位置するように配置され、これらの放電部材に所定電圧を印加することにより、像担持体表面を帯電させる。
【0004】
像担持体表面の帯電電位を好適な状態に維持するためには、チャージワイヤやグリッドなどの放電部材の清掃を行う必要がある。これらの部材がトナーや放電生成物などにより汚れてしまうと、コロナ放電に悪影響を及ぼし、像担持体の表面電位に乱れが生じる。例えば、表面電位にムラが生じると、画像濃度にもムラが生じる。さらに、放電部材の汚れは帯電装置自体にも悪影響を及ぼし、帯電装置の低寿命化を招く恐れもある。このような問題を解決すべく、チャージワイヤやグリッドを清掃する清掃部材を備えた帯電装置が提案され、その例を特許文献1に見ることができる。
【特許文献1】特開2006−145588号公報(第7頁、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された画像形成装置は、帯電装置が、放電部材であるチャージワイヤの架設方向に移動してチャージワイヤを清掃する清掃部材を備え、現像器ユニットの画像形成装置本体に対する着脱に連動して、清掃部材を移動させ、チャージワイヤを清掃できるようになっている。しかしながら、この清掃機構は、清掃部材を支持するレバー部材を感光体ドラムユニット内に押し込む(収納する)と、清掃部材が後方(背面側)端部に当接してホームポジションに停止するようになっている。これにより、レバー部材を必要以上に押し込むと、後方端部と前方端部との間で、レバー部材が湾曲してしまう恐れがある。したがって、帯電装置の、ハウジング内の放電空間のバランスが悪くなり、チャージワイヤに印加された電圧が不均一になる可能性が高い。その結果、コロナ放電に悪影響を及ぼして像担持体の表面電位に乱れが生じ、画像濃度が不均一になり、ムラが発生するといった問題になる恐れがある。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、放電部材を清掃する清掃部材を備えた帯電装置において、放電空間に不均衡をもたらすことなく清掃部材を移動することができ、放電部材に対して好適な清掃性能を発揮させ、像担持体表面を均一に帯電させることが可能な帯電装置を提供することを目的とする。また、このような帯電装置を搭載した画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明は、放電部材を用いて像担持体表面を帯電させるものであって、ハウジング内に、前記放電部材の架設方向に移動して放電部材を清掃する清掃部材を備えた帯電装置において、前記放電部材架設方向と平行に延び、その一端に前記清掃部材が設けられた棒状部材と、この棒状部材の、清掃部材が設けられた側とは反対側の端部に設けられ、前記ハウジングに対する棒状部材の引き出し/収納が可能な把手部と、この把手部の近傍に設けられ、ハウジングに当接して、棒状部材をハウジングに収納する方向への、清掃部材の所定位置を超える移動を阻止する係止片とを備えることとした。
【0008】
また本発明では、上記帯電装置を画像形成装置に搭載することとした。
【0009】
また、上記構成の画像形成装置において、前記帯電装置の前記把手部近傍に配置された開閉部材と、この開閉部材に設けられ、開閉部材の閉鎖過程で帯電装置の把手部に当接し、前記棒状部材を前記ハウジングに収納する方向に移動させる係合部とを備えることとした。
【発明の効果】
【0010】
本発明の構成によれば、放電部材を用いて像担持体表面を帯電させるものであって、ハウジング内に、前記放電部材の架設方向に移動して放電部材を清掃する清掃部材を備えた帯電装置において、前記放電部材架設方向と平行に延び、その一端に前記清掃部材が設けられた棒状部材と、この棒状部材の、清掃部材が設けられた側とは反対側の端部に設けられ、前記ハウジングに対する棒状部材の引き出し/収納が可能な把手部と、この把手部の近傍に設けられ、ハウジングに当接して、棒状部材をハウジングに収納する方向への、清掃部材の所定位置を超える移動を阻止する係止片とを備えることとしたので、棒状部材のハウジングへの収納が完了した状態で、その清掃部材側の端部の箇所がどこにも当接しないようにすることができる。これにより、棒状部材の、清掃部材側と把手部側との間、すなわちその両端間における湾曲を防止することができる。その結果、放電部材を清掃すべく清掃部材を移動する際、放電空間に不均衡をもたらすことなく清掃部材を移動することができる。したがって、放電部材に対して好適な清掃性能を発揮させ、像担持体表面を均一に帯電させることが可能な帯電装置を提供することができる。
【0011】
また本発明では、上記帯電装置を画像形成装置に搭載することとしたので、帯電装置の放電空間に不均衡をもたらすことなく、放電部材を清掃する清掃部材を移動することができ、放電部材に対して好適な清掃性能を発揮させ、像担持体表面を均一に帯電させることが可能な高性能な画像形成装置を得ることができる。
【0012】
また、上記画像形成装置が、前記帯電装置の前記把手部近傍に配置された開閉部材と、この開閉部材に設けられ、開閉部材の閉鎖過程で帯電装置の把手部に当接し、前記棒状部材を前記ハウジングに収納する方向に移動させる係合部とを備えることとしたので、開閉部材を閉鎖するだけで自動的に、棒状部材をハウジングに収納することができる。これにより、ユーザーが放電部材を清掃する際、ハウジングから引き出した棒状部材を収納し忘れた場合でも、画像形成装置を運転させるべく開閉部材を閉鎖することで、棒状部材及び清掃部材を帯電装置の所定位置に戻すことが可能である。そして、このように開閉部材を用いて棒状部材を収納するときでも、ハウジングに必要以上に押し込むことを防止できる。したがって、開閉部材を閉鎖することにより、棒状部材の両端間における湾曲を防止しながら、放電空間に不均衡をもたらすことなく清掃部材を移動し、放電部材を清掃することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図1〜図8に基づき説明する。
【0014】
最初に、本発明の実施形態に係る帯電装置を搭載した画像形成装置について、図1及び図2を用いてその構造の概略を説明しつつ、画像出力動作を説明する。図1は画像形成装置の模型的垂直断面正面図、図2は画像形成装置の外観斜視図である。なお、図1において、実線矢印は用紙の搬送経路及び搬送方向を、一点鎖線矢印はレーザ光Lを示す。また、図2では、画像形成装置本体上方の原稿送り部の描画を省略している。
【0015】
図1に示すように、画像形成装置1の本体2の内部下方には、給紙部である給紙カセット3が配置されている。給紙カセット3は、その内部に、印刷前のカットペーパー等の用紙Pを積載して収容している。そして、この用紙Pは、図1において給紙カセット3の左上方に向けて、1枚ずつ分離されて送り出される。給紙カセット3は、本体2の正面側から水平に引き出すことが可能である。
【0016】
本体2の内部であって、給紙カセット3の左方には、第1用紙搬送部4が備えられている。第1用紙搬送部4は、本体2の左側面に沿って略垂直に形設されている。そして、第1用紙搬送部4は、給紙カセット3から送り出された用紙Pを受け取り、本体2の左側面に沿って垂直上方に転写部30まで搬送する。
【0017】
給紙カセット3の上方であって、第1用紙搬送部4が形設された本体2の左側面とは反対側の側面である右側面の箇所には、手差し給紙部5が備えられている。手差し給紙部5には、給紙カセット3に入っていないサイズの用紙Pや、厚紙、OHPシートのように1枚ずつ送り込みたいものが載置される。
【0018】
手差し給紙部5の左方には、第2用紙搬送部6が備えられている。第2用紙搬送部6は、給紙カセット3のすぐ上方にあって、手差し給紙部5から第1用紙搬送部4まで略水平に延び、第1用紙搬送部4に合流している。そして、第2用紙搬送部6は、手差し給紙部5から送り出された用紙P等を受け取り、略水平に第1用紙搬送部4まで搬送する。
【0019】
一方、図1及び図2に示すように、画像形成装置1の本体2の上面には原稿送り部7が、その下方には原稿画像読み取り部8が備えられている。使用者が原稿の複写を行う場合には、原稿送り部7に、文字や図形、模様等の画像が描かれた原稿を積載する。原稿送り部7では1枚ずつ分離して原稿が送り出され、原稿画像読み取り部8によってその画像データが読み取られる。この画像データの情報は、第2用紙搬送部6の上方であって、本体2の中央部に配置された露光装置9に送られる。露光装置9により、画像データに基づいて制御されたレーザ光Lが、画像形成部20に向かって照射される。
【0020】
第1用紙搬送部4の上方であって、露光装置9の左方には、画像形成部20及び転写部30が備えられている。画像形成部20では、露光装置9によって照射されたレーザ光Lにより原稿画像の静電潜像が形成され、この静電潜像からトナー像が現像される。トナーは、露光装置9の上方に備えられたトナーコンテナ10から画像形成部20に補給される。画像形成部20で形成されたトナー像は、第1用紙搬送部4によって同期をとって送られてきた印刷前の用紙Pに、転写部30にて転写される。
【0021】
転写部30の上方には、定着装置11が備えられている。転写部30にて未定着トナー像を担持した用紙Pは、定着装置11へと送られ、熱ローラと加圧ローラとによりトナー像が加熱、加圧されて定着される。
【0022】
定着装置11の上方には、分岐部12が備えられている。定着装置11から排出された用紙Pは、両面印刷を行わない場合、分岐部12から画像形成装置1の胴内に設けられた胴内用紙排出部13(図2参照)に排出される。
【0023】
分岐部12から胴内用紙排出部13に向かって用紙Pが排出されるその排出口部分は、スイッチバック部14としての機能を果たす。両面印刷を行う場合には、このスイッチバック部14において、定着装置11から排出された用紙Pの搬送方向が切り替えられる。そして、用紙Pは、分岐部12を通過し、定着装置11の左方、及び転写部30の左方に設けられた両面印刷用用紙搬送路15を通して下方に送られ、再度第1用紙搬送部4を経て転写部30へと送られる。
【0024】
また、図2に示すように、画像形成装置1の本体2には、正面部分の給紙カセット3の上方に、開閉部材である正面カバー16が備えられている。正面カバー16は、その内側左端に設けられた図示しない開閉機構により、本体2の外装フレームに支持されている。正面カバー16は、開閉機構の箇所を中心とし、右端の箇所を自由端として水平面内で回動可能である。正面カバー16は本体2の正面に対して開閉自在であり、これを開放することによって画像形成装置1の内部構造を露出させることが可能である。ユーザーは、正面カバー16を開放して、トナーコンテナ10(図1参照)の交換や用紙ジャムの処理などを行う。
【0025】
続いて、画像形成装置1の画像形成部20周辺の詳細な構成について、図1に加えて、図3を用いて説明する。図3は、画像形成部周辺を示す垂直断面部分拡大図である。
【0026】
図3に示すように、画像形成部20には、その中心に像担持体である感光体ドラム21が備えられている。そして、感光体ドラム21の近傍には、その回転方向に沿って順に、帯電装置40、現像装置50、及びクリーニング装置60が配置されている。転写部30は、感光体ドラム21の回転方向に沿って、現像装置50とクリーニング装置60との間に設けられている。
【0027】
感光体ドラム21は、画像形成装置1内の用紙搬送方向と直角をなす用紙幅方向、すなわち図3の紙面奥行き方向に延び、その軸線方向を水平にして配置されている。感光体ドラム21は、アルミニウム等により構成される導電性ローラ状基体の外側に、真空蒸着などによって無機光導電性材料であるアモルファスシリコンの感光層を設けた無機感光体のドラムで、直径が30mmである。感光体ドラム21は、図示しない駆動装置によって、その周速度が用紙搬送速度(例えば125mm/s)とほぼ同じになるように回転せしめられている。
【0028】
帯電装置40は、コロナ放電帯電装置を用いたスコロトロン帯電装置である。なお、同じくコロナ放電帯電装置を用いたコロトロン帯電装置であっても構わない。この帯電装置40により、感光体ドラム21の表面が所定の極性及び電位で一様に帯電せしめられる。なお、帯電装置40の詳細な構成については、後述する。
【0029】
現像装置50は、そのハウジング51の内部に、現像ローラ52を備えている。現像ローラ52は、現像方式が磁性ジャンピング現像であって、感光体ドラム21の近傍に設けられている。現像ローラ52には、感光体ドラム21の帯電極性と同極性のバイアスが印加される。この現像ローラ52により、現像剤であるトナーが帯電せしめられるとともに、感光体ドラム21の表面の静電潜像に移動せしめられ、静電潜像が現像される。また、トナーは、スチレンアクリル系の磁性一成分トナーであって、図1に示すトナーコンテナ10に収容され、現像装置50の箇所まで図示しない搬送手段により搬送されて、ハウジング51の内部に補給される。なお、現像装置の現像方式やトナーの種類は、上記のものに限定されるわけではない。
【0030】
転写部30には、転写ローラ31が設けられている。転写ローラ31は、感光体ドラム21に図3において左方から圧接し、用紙Pを挿通させる転写ニップ部を形成する。転写ローラ31は、駆動装置を有することなく、感光体ドラム21に接触することによって、感光体ドラム21の回転に従って回転する。また、転写ローラ31には、必要に応じて、感光体ドラム21やトナーの帯電極性とは異なる極性の転写バイアスが印加される。
【0031】
クリーニング装置60は、感光体ドラム21の回転方向に沿って、転写部30のさらに下流側に配置されている。クリーニング装置60は、そのハウジング61に、クリーニングローラ62、クリーニングブレード63、及びトナー排出スクリュー64を備えている。クリーニングローラ62及びクリーニングブレード63は、感光体ドラム21の軸線方向長さと略同じ長さであって、感光体ドラム21に接触するように設けられている。これらのクリーニングローラ62及びクリーニングブレード63によって、トナー像の転写後、感光体ドラム21表面に残留したトナーを除去し、その表面を研磨するようにしてクリーニングする。感光体ドラム21表面から除去され、クリーニングに使用された廃棄トナーは、ハウジング61内に一旦回収され、トナー排出スクリュー64によりクリーニング装置60の外部の廃棄トナー回収容器(図示せず)へと搬送される。
【0032】
続いて、帯電装置40とその周辺の詳細な構成を、図2及び図3に加えて、図4〜図8を用いて説明する。図4は帯電装置の垂直断面側面図、図5は帯電装置の外観斜視図、図6は図4と同様の帯電装置の垂直断面側面図にして、清掃棒を引き出した状態を示すものである。また、図7は帯電装置と正面カバーとの係合部を示す部分拡大上面図、図8は帯電装置と正面カバーとの係合部を示す部分拡大斜視図である。なお、図4及び図6は、長手方向の一部を省略した形で描画している。
【0033】
帯電装置40には、図4及び図5に示すように、そのハウジングである金属製のシールドケース41が、感光体ドラム21の軸線方向と略平行になるように設けられている(図3参照)。シールドケース41は、開口部が感光体ドラム21の方を向く樋状をなしている。この樋状のシールドケース41の両端部には、合成樹脂製の絶縁部材42が設けられている。
【0034】
シールドケース41には、タングステンやステンレスなどで構成された放電部材であるチャージワイヤ43と、グリッド44とが設けられている。チャージワイヤ43はシールドケース41の内部に、グリッド44はシールドケース41の開口した一面の箇所に、感光体ドラム21の軸線方向に沿う形で、2個の絶縁部材42の間に架設されている。なおお、図3に示す帯電装置40と感光体ドラム21との組み立て状態において、グリッド44と感光体ドラム21表面との間隔が0.5mmになるように、感光体ドラム21に対して帯電装置40が配置されている。
【0035】
また、シールドケース41の内部には、チャージワイヤ43及びグリッド44の清掃部材45と、棒状部材である清掃棒46とが備えられている。
【0036】
清掃棒46は、シールドケース41の開口した一面の箇所とは反対側、すなわち図4において上側に配置され、放電部材であるチャージワイヤ43及びグリッド44の架設方向と平行に延びている。清掃棒46は、シールドケース41内面に設けられた図示しないスライドガイドで支持され、シールドケース41や放電部材が延びる方向に、すなわち図4において左右方向に沿ってスライド移動することができる。
【0037】
清掃棒46の背面側端部の箇所には、清掃部材45が設けられている。清掃部材45は、チャージワイヤ43及びグリッド44に向かって下側に延び、これらの放電部材に接触している。
【0038】
一方、清掃棒46は、前面側端部の箇所で、絶縁部材42の上方を通り、シールドケース41の外側に突出している。この清掃棒46の、清掃部材45が設けられた側とは反対側の前面側端部の箇所に、把手部47が設けられている。
【0039】
ユーザーは、この把手部47を指でつまんで、清掃棒46を、シールドケース41から引き出したり(図6参照)、収納したり(図4参照)して、スライド移動させることができる。このようにして清掃棒46をスライド移動させることにより、清掃部材45がチャージワイヤ43及びグリッド44の架設方向で前面側及び背面側にスライド移動して、これらの放電部材を清掃することができる。
【0040】
把手部47の近傍であって、清掃棒46の上面には、係止片48が備えられている。係止片48は、シールドケース41のすぐ外側で、上方に向かってシールドケース41の厚さより高く突出したブロック形状をなしている。そして、係止片48は、清掃棒46をシールドケース41に収納する方向にスライド移動させ、清掃棒46の背面側端部の箇所に設けられた清掃部材45が背面側の絶縁部材42に近接した状態で、シールドケース41の前面側端部に当接する箇所に配置されている。すなわち、係止片48は、シールドケース41の前面側端部に当接して、清掃棒46をシールドケース41に収納する方向への、清掃部材45の所定位置を超える移動を阻止している。したがって、清掃棒46をシールドケース41に収納する方向に押し込んでも、清掃部材45は、背面側の絶縁部材42に近接した所定位置で停止し、絶縁部材42に衝突することはない。
【0041】
そして、この帯電装置40の、清掃棒46の把手部47の近傍には、図2に示す正面カバー16が配置されている。正面カバー16の内側であって、把手部47に対応する箇所には、図7及び図8に示すように、係合部17が備えられている。係合部17は、把手部47に向かって突出する形で構成されている。
【0042】
図7及び図8は、正面カバー16を本体2に対して閉鎖した状態を描画している。このとき、係合部17は、把手部47の前面側端部に当接し、清掃棒46を、係止片48がシールドケース41にちょうど当接した収納状態で保持している。すなわち、正面カバー16を開放し、清掃棒46がシールドケース41から引き出された状態で正面カバー16を閉鎖すると、その閉鎖過程で、係合部17は、把手部47に当接し、清掃棒45をシールドケース41に収納する方向に移動させる。
【0043】
上記のように、放電部材であるチャージワイヤ43及びグリッド44を用いて像担持体である感光体ドラム21表面を帯電させるものであって、ハウジングであるシールドケース41内に、チャージワイヤ43及びグリッド44の架設方向に移動してこれらの放電部材を清掃する清掃部材45を備えた帯電装置40において、放電部材架設方向と平行に延び、その一端に清掃部材45が設けられた棒状部材である清掃棒46と、この清掃棒46の、清掃部材45が設けられた側とは反対側の端部に設けられ、シールドケース41に対する清掃棒46の引き出し/収納が可能な把手部47と、この把手部47の近傍に設けられ、シールドケース41に当接して、清掃棒46をシールドケース41に収納する方向への、清掃部材45の所定位置を超える移動を阻止する係止片48とを備えているので、清掃棒46のシールドケース41への収納が完了した状態で、その清掃部材45側の端部の箇所がどこにも当接しないようにすることができる。これにより、清掃棒46の、清掃部材45側と把手部47側との間、すなわちその両端間における湾曲を防止することができる。その結果、放電部材を清掃すべく清掃部材45を移動する際、放電空間に不均衡をもたらすことなく清掃部材45を移動することができる。したがって、放電部材に対して好適な清掃性能を発揮させ、感光体ドラム21表面を均一に帯電させることが可能な帯電装置40を提供することができる。
【0044】
また本発明では、上記帯電装置40を画像形成装置1に搭載したので、帯電装置40の放電空間に不均衡をもたらすことなく、放電部材を清掃する清掃部材45を移動することができ、放電部材に対して好適な清掃性能を発揮させ、感光体ドラム21表面を均一に帯電させることが可能な高性能な画像形成装置1を得ることができる。
【0045】
また、上記画像形成装置1が、帯電装置40の把手部47近傍に配置された開閉部材である正面カバー16と、この正面カバー16に設けられ、正面カバー16の閉鎖過程で帯電装置40の把手部47に当接し、清掃棒46をシールドケース41に収納する方向に移動させる係合部17とを備えているので、正面カバー16を閉鎖するだけで自動的に、清掃棒46をシールドケース41に収納することができる。これにより、ユーザーが放電部材を清掃する際、シールドケース41から引き出した清掃棒46を収納し忘れた場合でも、画像形成装置1を運転させるべく正面カバー16を閉鎖することで、清掃棒46及び清掃部材45を帯電装置40の所定位置に戻すことが可能である。そして、このように正面カバー16を用いて清掃棒46を収納するときでも、シールドケース41に必要以上に押し込むことを防止できる。したがって、正面カバー16を閉鎖することにより、清掃棒46の両端間における湾曲を防止しながら、放電空間に不均衡をもたらすことなく清掃部材45を移動し、放電部材であるチャージワイヤ43及びグリッド44を清掃することが可能である。
【0046】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、チャージワイヤやグリッドといった放電部材を用いた帯電装置において利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施形態に係る帯電装置を搭載した画像形成装置の模型的垂直断面正面図である。
【図2】図1の画像形成装置の外観斜視図である。
【図3】図1の画像形成部周辺を示す垂直断面部分拡大図である。
【図4】図3の帯電装置の垂直断面側面図である。
【図5】図4の帯電装置の外観斜視図である。
【図6】図4と同様の帯電装置の垂直断面側面図にして、清掃棒を引き出した状態を示すものである。
【図7】図4の帯電装置と正面カバーとの係合部を示す部分拡大上面図である。
【図8】図4の帯電装置と正面カバーとの係合部を示す部分拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0049】
1 画像形成装置
2 本体
16 正面カバー(開閉部材)
17 係合部
40 帯電装置
41 シールドケース(ハウジング)
43 チャージワイヤ(放電部材)
44 グリッド(放電部材)
45 清掃部材
46 清掃棒(棒状部材)
47 把手部
48 係止片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電部材を用いて像担持体表面を帯電させるものであって、ハウジング内に、前記放電部材の架設方向に移動して放電部材を清掃する清掃部材を備えた帯電装置において、
前記放電部材架設方向と平行に延び、その一端に前記清掃部材が設けられた棒状部材と、この棒状部材の、清掃部材が設けられた側とは反対側の端部に設けられ、前記ハウジングに対する棒状部材の引き出し/収納が可能な把手部と、この把手部の近傍に設けられ、ハウジングに当接して、棒状部材をハウジングに収納する方向への、清掃部材の所定位置を超える移動を阻止する係止片とを備えることを特徴とする帯電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の帯電装置を搭載したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記帯電装置の前記把手部近傍に配置された開閉部材と、この開閉部材に設けられ、開閉部材の閉鎖過程で帯電装置の把手部に当接し、前記棒状部材を前記ハウジングに収納する方向に移動させる係合部とを備えることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−98180(P2009−98180A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−266667(P2007−266667)
【出願日】平成19年10月12日(2007.10.12)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】