説明

情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム

【課題】よりリアリティのある3次元地図を、短時間で(迅速に)生成する。
【解決手段】描画領域算出部24は、注目点から見た、3次元画像の地図である3次元地図を生成する地理的な範囲である描画領域を求める。3次元地図データ検索部56は、3次元地図を生成するのに描画する描画対象の特性に応じて複数の階層に階層化されている、描画対象に関する描画対象データを含む3次元地図データのうちの、描画領域内の3次元地図データを特定するとともに、注目点からの距離に基づいて階層を選択し、その階層の描画対象データを、特定した3次元地図データから取得する。3次元地図データ読み込み部28は、取得された描画対象データに基づいて、3次元地図を生成する。本発明は、例えば、カーナビゲーション装置等に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムに関し、特に、例えば、よりリアリティのある3次元地図を、迅速に表示することができるようにした情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、3次元画像の地図である3次元地図を表示するカーナビゲーションシステムによれば、現在位置等の注目点から見た一定の地理的な範囲にのみ存在する建物や立体交差点等の描画対象すべてを描画することにより、3次元地図が生成される。
【0003】
しかしながら、カーナビゲーションシステムにおいて、一定の地理的な範囲に存在する描画対象すべてを描画する場合、その一定の地理的な範囲に多くの描画対象が存在すると、描画に要する処理量が増加し、3次元地図を表示するのに多くの時間を要することとなってしまう。
【0004】
そこで、注目点からの距離に応じて、描画の詳細度を変更することにより、3次元地図を生成する方法、即ち、例えば、描画対象が、注目点からより遠い距離にある程、描画の詳細度を低くし、ある距離よりも遠い位置にある描画対象は描画しない方法が提案されている(例えば、特許文献1の第0017段落)。
【0005】
また、単純に、注目点からの距離が近い位置の描画対象だけを、詳細度を変更せずに描画し、遠い位置の描画対象は描画しないカーナビゲーションシステムがある。
【0006】
即ち、図1乃至図4は、そのような従来のカーナビゲーションシステムを説明する図である。
【0007】
図1は、従来のカーナビゲーションシステムの一例の構成を示すブロック図である。
【0008】
カーナビゲーションシステムは、GPS(Global Positioning System)衛星11、およびカーナビゲーション装置21により構成され、カーナビゲーション装置21は、注目点取得部22、方位取得部23、描画領域算出部24、3次元地図データDB(DataBase)25、3次元地図データ検索部26、3次元描画データDB27、3次元描画データ読み込み部28、および表示部29により構成されている。なお、カーナビゲーション装置21は、例えば、自動車等の車両に搭載されている。
【0009】
GPS衛星11は、カーナビゲーション装置21に信号電波を送信する。
【0010】
注目点取得部22は、GPS衛星11により送信されてくる信号電波を受信し、所定の演算方法により、車両の現在位置を求め、3次元地図を生成する地理的な範囲である描画領域を決める基準となる注目点として、描画領域算出部24に供給する。なお、注目点取得部22は、例えば、周期的に、或いは、車両が交差点に差し掛かった場合に、注目点を取得する。また、注目点取得部22では、ユーザが、図示せぬタブレット等の操作部から入力する地図上の位置を、注目点として取得してもよい。
【0011】
方位取得部23は、例えば、車両の向きを特定する地磁気センサやジャイロスコープを利用して、車両の向いている方位を検出(算出)し、描画領域算出部24に供給する。なお、方位取得部23では、ユーザが、図示せぬタブレット等の操作部から、方位を表すデータを入力することにより供給される方位を取得してもよい。
【0012】
描画領域算出部24は、注目点取得部22から供給される注目点と、方位取得部23から供給される方位とに基づいて、3次元地図を生成する地理的な範囲である描画領域を算出し、3次元地図データ検索部26に供給する。
【0013】
3次元地図データDB25には、3次元地図を生成するための地図に関する3次元地図データが記録されている。また、3次元地図データは、地理的な範囲である描画領域に存在する建造物その他の描画対象に関する描画対象データを含んでいる。
【0014】
3次元地図データ検索部26は、描画領域算出部24から供給される描画領域に基づいて、描画領域における一定の範囲内の描画対象データを3次元地図データDB25から検索し、3次元描画データ読み込み部28に供給する。
【0015】
3次元描画データDB27には、3次元画像としての3次元地図を生成するための描画に必要な、例えば、ポリゴンのデータやテクスチャのデータ等の3次元描画データが記録されている。
【0016】
3次元描画データ読み込み部28は、3次元地図データ検索部26から供給される描画対象データに基づき、3次元地図を生成するための描画に必要な3次元描画データを3次元描画データDB27から読み込む。さらに、3次元描画データ読み込み部28は、その3次元描画データに基づいて描画を行うことにより、注目点取得部22で得られた注目点から、方位取得部23で得られた方位を見た3次元画像としての3次元地図を生成し、表示部29に供給して表示させる。
【0017】
表示部29は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等により構成されており、3次元描画データ読み込み部28から供給される3次元地図を表示する。
【0018】
以上のように構成されるカーナビゲーション装置21では、例えば、注目点取得部22は、現在位置を注目点として取得し、さらに、方位取得部23は、車両の向いている方位を取得し、それぞれ描画領域算出部24に供給する。描画領域算出部24は、注目点取得部22から供給される注目点と、方位取得部23から供給される方位とに基づいて、描画領域を算出し、3次元地図データ検索部26に供給する。3次元地図データ検索部26は、描画領域算出部24から供給される描画領域内の描画対象データを、3次元地図データDB25から検索し、3次元描画データ読み込み部28に供給する。3次元描画データ読み込み部28は、3次元地図データ検索部26から供給される描画対象データに基づき、3次元描画データDB27から3次元描画データを読み込み、その3次元描画データに基づいて描画を行うことで、3次元画像としての3次元地図を生成し、表示部29に供給して表示させる。
【0019】
図2は、図1の3次元地図データDB25に記録されている3次元地図データを模式的に示している。
【0020】
3次元地図データDB25において、3次元地図データは、例えば、地図を緯度と経度それぞれの方向に格子状に区切って得られる矩形の領域(以下、適宜、単位領域という)ごとのデータに区分けされてファイルに格納されており、各単位領域内に存在する建造物その他の描画対象に関する描画対象データを含んでいる。
【0021】
図1のカーナビゲーション装置21においては、描画領域算出部24が、例えば、注目点取得部22で得られる注目点を始点として、方位取得部23で得られる方位の方向に延びる所定の長さの線分から所定の距離の範囲に含まれる単位領域を、描画領域として算出する。図2では、点線で囲んで示す、横×縦が2×4個の単位領域が、描画領域として算出されている。
【0022】
3次元地図データ検索部26は、描画領域内の描画対象に関する描画対象データのうちの、例えば、図2に太線で示す、注目点が存在する単位領域と注目点に最も近い単位領域との2つの単位領域を、注目点から近い近隣領域であるとして、その近隣領域としての単位領域内の描画対象に関する描画対象データを、3次元地図データDB25から検索し、3次元描画データ読み込み部28に供給する。
【0023】
3次元描画データ読み込み部28は、3次元地図データ検索部26からの描画対象データに基づき、描画対象を描画することにより、3次元地図を生成し、表示部29に供給して表示させる。
【0024】
次に、図3および図4を参照し、以上のようにして、表示部29に表示される3次元地図について説明する。
【0025】
図3は、描画領域に存在する描画対象を模式的に示している。
【0026】
図3においては、描画領域のうちの、注目点から近い近隣領域と、注目点から遠い遠方領域とのいずれにも、描画対象が存在している。
【0027】
図4は、図3の描画領域に対して生成される3次元地図を模式的に示している。
【0028】
図3の描画領域内に存在する描画対象のすべてが描画された場合、その結果得られる3次元地図においては、図4左側に示すように、近隣領域にある描画対象も、遠方領域にある描画対象も表示される。
【0029】
一方、図3の描画領域のうちの、近隣領域に存在する描画対象だけが描画された場合、その結果得られる3次元地図においては、図4右側に示すように、近隣領域にある描画対象は表示されるが、遠方領域にある描画対象は表示されない。
【特許文献1】特開2005−56075号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
上述したように、注目点から遠い位置にある描画対象を描画しないこととすると、3次元地図において、目印(ランドマーク)となるような建物等の描画対象が描画されないことがあり、このため、リアリティの薄い3次元地図が生成されることがある。
【0031】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、よりリアリティのある3次元地図を、迅速に生成することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0032】
本発明の一側面の情報処理装置は、3次元画像の地図である3次元地図を生成するための地図に関する3次元地図データに基づいて前記3次元地図を生成する情報処理装置であり、注目点から見た前記3次元地図を生成する地理的な範囲である描画領域を求める描画領域取得手段と、前記3次元地図を生成するのに描画する描画対象に関する描画対象データであって、前記描画対象の特性に応じて複数の階層に階層化されている描画対象データを含む前記3次元地図データのうちの、前記描画領域の範囲の3次元地図データを特定する特定手段と、前記注目点からの距離に基づいて階層を選択し、その階層の描画対象データを、前記描画領域の範囲の3次元地図データから取得する描画対象データ取得手段と、前記描画領域の範囲の3次元地図データから取得された前記描画対象データに基づいて、前記描画対象を描画することにより、前記3次元地図を生成する3次元地図生成手段とを備える。
【0033】
前記描画対象データは、前記描画対象の高さに応じて階層化されており、前記描画対象データ取得手段では、前記注目点からの距離が近い場合、前記複数の階層すべてを選択させ、前記注目点からの距離が遠い程、高さがより大の階層のみを選択させることができる。
【0034】
前記3次元地図生成手段は、特定の階層の前記描画対象データに対応する描画対象である特定描画対象については、前記特定描画対象をあらかじめ描画することにより得られている画像データを用いて、前記3次元地図を生成することができる。
【0035】
前記描画対象データ取得手段では、前記注目点から近い描画対象から、前記描画対象データを取得させ、取得済みの前記描画対象データに基づく描画に要する処理量が所定の制限値を超えたとき、選択の対象とする階層を制限させることができる。
【0036】
前記描画対象データは、前記描画対象の高さ、前記描画対象が設置されている位置の高さ、または前記描画対象の認知度に応じて階層化されている。
【0037】
本発明の一側面の情報処理方法、またはプログラムは、3次元画像の地図である3次元地図を生成するための地図に関する3次元地図データに基づいて前記3次元地図を生成する情報処理方法、または3次元画像の地図である3次元地図を生成するための地図に関する3次元地図データに基づいて前記3次元地図を生成する情報処理をコンピュータに実行させるプログラムであり、注目点から見た前記3次元地図を生成する地理的な範囲である描画領域を求め、前記3次元地図を生成するのに描画する描画対象に関する描画対象データであって、前記描画対象の特性に応じて複数の階層に階層化されている描画対象データを含む前記3次元地図データのうちの、前記描画領域の範囲の3次元地図データを特定し、前記注目点からの距離に基づいて階層を選択し、その階層の描画対象データを、前記描画領域の範囲の3次元地図データから取得し、前記描画領域の範囲の3次元地図データから取得された前記描画対象データに基づいて、前記描画対象を描画することにより、前記3次元地図を生成するステップを含む。
【0038】
以上のような一側面の情報処理装置、情報処理方法、またはプログラムにおいては、注目点から見た前記3次元地図を生成する地理的な範囲である描画領域を求め、前記3次元地図を生成するのに描画する描画対象に関する描画対象データであって、前記描画対象の特性に応じて複数の階層に階層化されている描画対象データを含む前記3次元地図データのうちの、前記描画領域の範囲の3次元地図データを特定する。そして、前記注目点からの距離に基づいて階層を選択し、その階層の描画対象データを、前記描画領域の範囲の3次元地図データから取得し、前記描画領域の範囲の3次元地図データから取得された前記描画対象データに基づいて、前記描画対象を描画することにより、前記3次元地図を生成する。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、よりリアリティのある3次元地図を、迅速に生成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、本発明の構成要件と、明細書又は図面に記載の実施の形態との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、本発明をサポートする実施の形態が、明細書又は図面に記載されていることを確認するためのものである。従って、明細書又は図面中には記載されているが、本発明の構成要件に対応する実施の形態として、ここには記載されていない実施の形態があったとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、実施の形態が構成要件に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件以外の構成要件には対応しないものであることを意味するものでもない。
【0041】
本発明の一側面の情報処理装置(例えば、図5のカーナビゲーション装置52)は、3次元画像の地図である3次元地図を生成するための地図に関する3次元地図データに基づいて前記3次元地図を生成する情報処理装置において、注目点から見た前記3次元地図を生成する地理的な範囲である描画領域を求める描画領域取得手段(例えば、図6の描画領域算出部24)と、前記3次元地図を生成するのに描画する描画対象に関する描画対象データであって、前記描画対象の特性に応じて複数の階層に階層化されている描画対象データを含む前記3次元地図データのうちの、前記描画領域の範囲の3次元地図データを特定する特定手段(例えば、図14のステップS21の処理を行う図6の3次元地図データ検索部56)と、前記注目点からの距離に基づいて階層を選択し、その階層の描画対象データを、前記描画領域の範囲の3次元地図データから取得する描画対象データ取得手段(例えば、図14のステップS22の処理を行う図6の3次元地図データ検索部56)と、前記描画領域の範囲の3次元地図データから取得された前記描画対象データに基づいて、前記描画対象を描画することにより、前記3次元地図を生成する3次元地図生成手段(例えば、図6の3次元地図データ読み込み部28)とを備える。
【0042】
本発明の一側面の情報処理方法、またはプログラムは、3次元画像の地図である3次元地図を生成するための地図に関する3次元地図データに基づいて前記3次元地図を生成する情報処理方法、または3次元画像の地図である3次元地図を生成するための地図に関する3次元地図データに基づいて前記3次元地図を生成する情報処理をコンピュータに実行させるプログラムにおいて、注目点から見た前記3次元地図を生成する地理的な範囲である描画領域を求め(例えば、図13のステップS13)、前記3次元地図を生成するのに描画する描画対象に関する描画対象データであって、前記描画対象の特性に応じて複数の階層に階層化されている描画対象データを含む前記3次元地図データのうちの、前記描画領域の範囲の3次元地図データを特定し(例えば、図14のステップS21)、前記注目点からの距離に基づいて階層を選択し、その階層の描画対象データを、前記描画領域の範囲の3次元地図データから取得し(例えば、図14のステップS22)、前記描画領域の範囲の3次元地図データから取得された前記描画対象データに基づいて、前記描画対象を描画することにより、前記3次元地図を生成する(例えば、図13のステップS15)ステップを含む。
【0043】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0044】
図5は、本発明を適用したカーナビゲーションシステムの構成例を示す図である。
【0045】
カーナビゲーションシステムは、GPS衛星11および自動車等の車両51から構成され、さらに、車両51には、カーナビゲーション装置52が搭載されている。
【0046】
GPS衛星11は、図1のGPS衛星11と同様に、車両51(カーナビゲーション装置52)に信号電波を送信する。
【0047】
カーナビゲーション装置52は、図1のカーナビゲーション装置21と同様に、GPS衛星11により送信されてくる信号電波を受信し、所定の演算方法により、車両51の現在位置を、注目点として求める。また、カーナビゲーション装置52は、例えば、地磁気センサ等により車両51の向いている方位を取得し、注目点と方位とに基づいて、3次元地図を描画する地図上の範囲である描画領域を算出する。そして、カーナビゲーション装置52は、描画領域の3次元地図データに基づいて、3次元地図を生成して、表示する。
【0048】
図6は、図5のカーナビゲーション装置52の第1の構成例を示すブロック図である。
【0049】
なお、図中、図1と対応する部分については、同一の符号を付してあり、以下、その説明は、適宜省略する。
【0050】
即ち、図6のカーナビゲーション装置52は、図1の3次元地図データDB25、または3次元地図データ検索部26に代えて、それぞれ3次元地図データDB55、または3次元地図データ検索部56が設けられている他は、図1のカーナビゲーション装置21と同様に構成される。
【0051】
3次元地図データDB55には、3次元地図データが記録されている。ここで、3次元地図データDB55に記録されている3次元地図データは、例えば、図1の3次元地図データDB25に記録されている3次元地図データと同様に、地図を緯度と経度それぞれの方向に格子状に区切って得られる矩形の単位領域ごとのデータに区分けされてファイルに格納されており、各単位領域内に存在する建造物その他の描画対象に関する描画対象データを含んでいる。但し、3次元地図データDB55に記録されている単位領域ごとの3次元地図データに含まれる描画対象データは、例えば、描画対象としての建造物等の高さや、設置されている位置の高さ、認知されている度合いその他の、描画対象の特性に応じて、複数の階層に階層化されている。
【0052】
3次元地図データ検索部56には、描画領域算出部24から、描画領域が供給される。3次元地図データ検索部56は、描画領域を、注目点からの距離に応じて複数の領域に分けて、各領域について、その領域と注目点との距離(注目点からの距離)に応じ、描画対象データの階層を選択する。そして、3次元地図データ検索部56は、選択した階層の描画対象データを、3次元地図データDB55から読み込み、3次元地図データ読み込み部28に供給する。
【0053】
なお、3次元地図データ検索部56は、3次元地図データDB55から読み込んだ描画対象データに基づく描画に要する処理量に応じて、選択する階層を制限することができる。
【0054】
次に、図7乃至図9を参照して、図6の3次元地図データDB55に記録されている3次元地図データについて、さらに説明する。
【0055】
図7は、図6の3次元地図データDB55に記録されている3次元地図データを模式的に示している。
【0056】
3次元地図データDB55に記録されている3次元地図データは、図7左側に示すように、地図を緯度と経度それぞれの方向に格子状に区切って得られる矩形の単位領域ごとのデータに区分けされてファイルに格納されている。そして、各単位領域の3次元地図データは、図7右側に示すように、その領域内に存在する建造物その他の描画対象に関する描画対象データを含んでいる。
【0057】
さらに、3次元地図データDB55に記録されている各単位領域の3次元地図データに含まれる描画対象データは、図8に示すように、複数の階層に階層化されている。
【0058】
即ち、図8は、単位領域の描画対象データを模式的に示している。
【0059】
図8では、単位領域の3次元地図データに含まれる描画対象データ、即ち、単位領域に存在する描画対象の描画対象データが、その描画対象である建造物等の高さや、設置されている位置の高さ、認知されている度合いその他の、描画対象の特性、つまり、遠くから見た場合に、どの程度目立つかによって、低層、中層、高層、超高層の4つの階層に階層化されている。
【0060】
具体的には、例えば、遠くから見た場合に全く目立たない(例えば、ほとんど見えない)低い建造物(例えば、2階建ての一般的な家や道路標識)等の描画対象の描画対象データは、低層に階層化(分類)され、遠くから見た場合にほとんど目立たない(例えば、ある程度見える)、中程度の高さの建造物(例えば、中規模のビルや、ある程度の高さにある高速道路)等の描画対象の描画対象データは、中層に階層化される。また、例えば、遠くから見た場合にある程度目立つ(例えば、よく見える)、ある程度の高さの建造物(例えば、高層ビルや高架橋)等の描画対象の描画対象データは、高層に階層化され、遠くから見た場合に極めて目立つ(例えば、極めてよく見える)、極めて高い建造物(例えば、超高層ビルや、東京タワー、富士山等)等の描画対象の描画対象データは、超高層に階層化されている。
【0061】
ここで、低層、中層、高層、または超高層の描画対象データを、以下、適宜、それぞれ、低層データ、中層データ、高層データ、または超高層データともいう。
【0062】
また、低層、中層、高層、または超高層のうちの、例えば、低層を、最下位層とする。従って、超高層は、最上位層である。
【0063】
さらに、低層、中層、高層、または超高層の描画対象データに対応する描画対象を、それぞれ、以下、適宜、低層、中層、高層、または超高層の描画対象ともいう。
【0064】
図9は、3次元地図データDB55の記憶内容(記録内容)を示している。
【0065】
3次元地図データDB55には、図9に示すように、単位領域r1,r2,…それぞれごとに、低層データ、中層データ、高層データ、および超高層データが記録されている。
【0066】
なお、単位領域によっては、低層データ、中層データ、高層データ、および超高層データのすべてが存在するとは限らない。即ち、例えば、極めて高い建造物が存在しない単位領域の3次元地図データには、超高層データが含まれない。
【0067】
次に、図10乃至図12を参照して、図6のカーナビゲーション装置52で生成される3次元地図について説明する。
【0068】
図10は、描画領域に存在する描画対象を模式的に示している。
【0069】
例えば、図6のカーナビゲーション装置52において、描画領域算出部24が、注目点を含む、図10に点線で示す、横×縦が2×4個の、合計で8個の単位領域r1,r2,r3,r4,r5,r6,r7,r8を、描画領域として算出したとすると、3次元地図データ検索部56は、その描画領域のうちの、注目点から1番目に近い単位領域r1と2番目に近い単位領域r2については、低層、中層、高層、および超高層のすべての階層を選択し、そのすべての階層の描画対象データ、つまり、低層データ、中層データ、高層データ、および超高層データを、3次元地図データDB55から読み込む(検索する)。
【0070】
また、3次元地図データ検索部56は、描画領域のうちの、注目点から3番目に近い単位領域r3と4番目に近い単位領域r4については、低層、中層、高層、または超高層のうちの中層以上の階層である中層、高層、および超高層を選択し、その中層、高層、および超高層の描画対象データ、つまり、中層データ、高層データ、および超高層データを、3次元地図データDB55から検索する。
【0071】
さらに、3次元地図データ検索部56は、描画領域のうちの、注目点から5番目に近い単位領域r5と6番目に近い単位領域r6については、低層、中層、高層、または超高層のうちの高層以上の階層である高層、および超高層を選択し、その高層、および超高層の描画対象データ、つまり、高層データ、および超高層データを、3次元地図データDB55から検索する。
【0072】
また、3次元地図データ検索部56は、描画領域のうちの、注目点から7番目に近い(2番目に遠い)単位領域r7と8番目に近い(最も遠い)単位領域r8については、低層、中層、高層、または超高層のうちの超高層のみを選択し、その超高層の描画対象データ、つまり、超高層データを、3次元地図データDB55から検索する。
【0073】
図11は、3次元地図データ検索部56によって検索される描画対象データを模式的に示している。
【0074】
図11に示すように、注目点から近い近隣領域、即ち、例えば、図10の単位領域r1やr2については、低い建造物等から極めて高い建造物等までの描画対象データ(低層データ、中層データ、高層データ、および超高層データ)が検索される。一方、注目点から遠い遠方領域、即ち、例えば、図10の単位領域r7やr8については、極めて高い建造物等のみの描画対象データ(超高層データ)が検索される。
【0075】
図12は、3次元地図データ検索部56によって検索された描画対象データに基づき、3次元描画データ読み込み部28で生成される3次元地図を模式的に示している。
【0076】
上述したように、3次元地図データ検索部56では、注目点から近い近隣領域については、低層データ、中層データ、高層データ、および超高層データのすべてが検索されるので、3次元描画データ読み込み部28では、低層、中層、高層、および超高層すべての建造物等の描画対象が描画される。
【0077】
また、注目点から遠い遠方領域については、3次元地図データ検索部56では、低層データ、中層データ、高層データ、または超高層データのうちの、例えば、超高層データだけが検索されるので、3次元描画データ読み込み部28では、超高層の建造物等の描画対象だけが描画される。
【0078】
従って、3次元描画データ読み込み部28による描画対象の描画によって得られる3次元地図は、図12に示すように、近隣領域については、例えば、低層、中層、高層、および超高層すべての建造物等が表示され、遠方領域については、例えば、超高層の建造物等のみが表示された3次元画像となる。
【0079】
次に、図13のフローチャートを参照して、図6のカーナビゲーション装置52における処理を説明する。
【0080】
カーナビゲーション装置52は、例えば、周期的に、或いは、車両51が交差点に差し掛かった場合や、ユーザが図示せぬ操作部を操作した場合に、図13のフローチャートに従った処理を行う。
【0081】
即ち、ステップS11において、注目点取得部22は、GPS衛星11により送信されてくる信号電波を受信し、所定の演算方法により、車両51の現在位置を、注目点として算出し、描画領域算出部24に供給して、ステップS12に進む。
【0082】
ステップS12において、方位取得部23は、車両51の向いている方位を検出(算出)し、描画領域算出部24に供給して、ステップS13に進む。
【0083】
ステップS13において、描画領域算出部24は、注目点取得部22から供給される注目点と、方位取得部23から供給される方位とに基づいて、描画領域を算出し、3次元地図データ検索部56に供給して、ステップS14に進む。
【0084】
ステップS14において、3次元地図データ検索部56は、描画領域算出部24からの描画領域の範囲に含まれる単位領域の3次元地図データを、検索の対象として特定する。さらに、3次元地図データ検索部56は、描画領域の範囲に含まれる各単位領域について、注目点からの距離に基づいて、階層を選択し、その選択した階層の描画対象データを、検索の対象として特定した3次元地図データ(のファイル)から検索し、3次元地図データ読み込み部28に供給して、ステップS15に進む。
【0085】
ステップS15において、3次元地図データ読み込み部28は、3次元地図データ検索部56から供給された描画対象データに基づき、3次元地図を生成するための描画に必要な3次元描画データを、3次元描画データDB27から読み込む。さらに、3次元地図データ読み込み部28は、その3次元描画データに基づいて描画を行うことにより、注目点取得部22で得られた注目点から、方位取得部23で得られた方位を見た3次元画像としての3次元地図を生成し、表示部29に供給して、ステップS16に進む。
【0086】
ステップS16において、表示部29は、3次元地図データ読み込み部28から供給される3次元地図を表示して、処理を終了する。
【0087】
次に、図14のフローチャートを参照して、図13のステップS14の処理(描画対象データの検索処理)の詳細を説明する。
【0088】
ステップS21において、3次元地図データ検索部56は、3次元地図データDB55に記録されている3次元地図データのうちの、描画領域算出部24から供給される描画領域の範囲に含まれる単位領域の3次元地図データを、検索の対象とする検索対象データとして特定し、ステップS22に進む。
【0089】
ステップS22において、3次元地図データ検索部56は、描画領域算出部24からの描画領域に含まれる単位領域について、注目点からの距離に応じて、階層を選択し、その階層の描画対象データを、その単位領域に対応する検索対象データから検索する。即ち、ステップS22において、3次元地図データ検索部56は、描画領域算出部24からの描画領域の範囲に含まれる単位領域のうちの、まだ、注目領域とされていない単位領域の中から、注目点からの距離が最も近い単位領域を、注目領域として選択する。従って、3次元地図データ検索部56では、描画領域の範囲に含まれる単位領域が、注目点から近い順に、注目領域として選択される。
【0090】
さらに、3次元地図データ検索部56は、注目領域について、その注目領域の、注目点からの距離に応じて、低層、中層、高層、および超高層の4つの階層から、描画対象データを検索する検索階層を選択する。
【0091】
具体的には、例えば、3次元地図データ検索部56は、単位領域を最小の分割単位として、描画領域を、注目点からの距離が最も近い第1の領域、2番目に近い第2の領域、3番目に近い第3の領域、および注目点からの距離が最も遠い第4の領域の、4つの領域に分割する。
【0092】
さらに、3次元地図データ検索部56は、注目領域が、第1の領域に属する場合には、低層、中層、高層、および超高層の4つの階層すべてを、検索階層として選択し、注目領域が、第2の領域に属する場合には、低層、中層、高層、および超高層の4つの階層のうちの、中層、高層、および超高層の3つを、検索階層として選択する。また、3次元地図データ検索部56は、注目領域が、第3の領域に属する場合には、低層、中層、高層、および超高層の4つの階層のうちの、高層および超高層の2つを、検索階層として選択し、注目領域が、第4の領域に属する場合には、低層、中層、高層、および超高層の4つの階層のうちの、超高層だけを、検索階層として選択する。
【0093】
そして、3次元地図データ検索部56は、検索階層の描画対象データを、検索対象データから検索する。
【0094】
従って、注目点に最も近い第1の領域に属する単位領域については、低層、中層、高層、および超高層の4つの階層すべての描画対象データが検索され、注目点に2番目に近い第2の領域に属する単位領域については、中層、高層、および超高層の描画対象データが検索される。また、注目点に3番目に近い第3の領域に属する単位領域については、高層および超高層の描画対象データが検索され、注目点から最も遠い第4の領域に属する単位領域については、超高層の描画対象データだけが検索される。
【0095】
ステップS22において、3次元地図データ検索部56は、注目領域について、検索階層の描画対象データを検索すると、ステップS23に進む。
【0096】
ステップS23において、3次元地図データ検索部56は、描画領域算出部24からの描画領域の範囲に含まれる単位領域すべてを注目領域として、描画対象データの検索をしたか否かを判断し、まだ注目領域としていない単位領域が存在すると判断した場合には、ステップS22に戻り、以下、同様の処理を繰り返す。一方、ステップS23において、3次元地図データ検索部56が、描画領域算出部24からの描画領域の範囲に含まれる単位領域のすべてを、注目領域としたと判断した場合には、描画領域算出部24からの描画領域の範囲に含まれる単位領域すべてについて検索した描画対象データを、3次元地図データ読み込み部28に供給して、処理を終了する。
【0097】
以上のように、3次元地図データ検索部56は、描画領域の範囲に含まれる単位領域について、注目点からより遠くなるにつれて、より上位の階層のみを検索することから、3次元地図データ読み込み部28において描画する建造物等の描画対象の数を抑えることができ、3次元地図を、迅速に(短時間に)生成することができる。また、3次元地図データ読み込む部28では、注目点から遠い位置にある描画対象であっても、上位の階層の描画対象、即ち、目立つ描画対象は描画されるため、よりリアリティのある3次元地図が生成されることとなる。
【0098】
次に、図15のフローチャートを参照して、図13のステップS14の処理(描画対象データの検索処理)の他の実施の形態について説明する。
【0099】
ステップS31において、3次元地図データ検索部56は、図14のステップS21と同様に、3次元地図データDB55から、描画領域算出部24から供給される描画領域の範囲に含まれる単位領域の3次元地図データを、検索対象データとして特定し、ステップS32に進む。
【0100】
ステップS32において、3次元地図データ検索部56は、描画対象データの複数の階層、即ち、本実施の形態では、低層、中層、高層、または超高層の4つの階層それぞれについて、描画対象の描画に要する処理量を制限する閾値としての制限値を決定し、ステップS33に進む。
【0101】
ここで、低層、中層、高層、または超高層それぞれの制限値は、その順で、値が大になる関係になるように決定される。
【0102】
ステップS33において、3次元地図データ検索部56は、図14のステップS22と同様に、描画領域算出部24からの描画領域の範囲に含まれる単位領域のうちの、まだ、注目領域とされていない単位領域の中から、注目点からの距離が最も近い単位領域を、注目領域として選択する。これにより、3次元地図データ検索部56では、描画領域の範囲に含まれる単位領域が、注目点から近い順に、注目領域として選択される。
【0103】
さらに、ステップS33において、3次元地図データ検索部56は、図14のステップS22と同様に、注目領域について、その注目領域の、注目点からの距離に応じて、低層、中層、高層、および超高層の4つの階層から、検索階層を選択し、その検索階層の描画対象データを、検索対象データから検索して、ステップS34に進む。
【0104】
ステップS34において、3次元地図データ検索部56は、図14のステップS23と同様に、描画領域算出部24からの描画領域の範囲に含まれる単位領域すべてを注目領域として、描画対象データの検索をしたか否かを判断し、まだ注目領域としていない単位領域が存在すると判断した場合には、ステップS35に進む。一方、ステップS34において、3次元地図データ検索部56が、描画領域算出部24からの描画領域の範囲に含まれる単位領域のすべてを、注目領域としたと判断した場合には、描画領域算出部24からの描画領域の範囲に含まれる単位領域すべてについて検索した描画対象データを、3次元地図データ読み込み部28に供給して、処理を終了する。
【0105】
ステップS35において、3次元地図データ検索部56は、ステップS33で、いままでに検索された描画対象データに基づく描画に要する処理量(以下、適宜、描画処理量という)を算出し、その描画処理量が、低層、中層、高層または超高層の制限値のうちのいずれかを超えているかどうかを判断する。
【0106】
ここで、描画対象データには、その描画対象データに対応する描画対象を描画するのに必要なポリゴンやテクスチャ等の情報が含まれており、3次元地図データ検索部56は、その情報に基づいて、描画処理量を求める。
【0107】
なお、描画対象を描画するのに必要なポリゴン等の情報と、その描画対象を描画するのに要する描画処理量とを対応付けたテーブルをあらかじめ用意しておき、3次元地図データ検索部56では、そのテーブルを用いて、描画処理量を求めることができる。
【0108】
ステップS35において、描画処理量が、低層、中層、高層、および超高層の制限値のうちのいずれも超えていないと判断された場合、ステップS33に戻り、以下、同様の処理を繰り返す。
【0109】
また、ステップS35において、描画処理量が、低層、中層、高層、または超高層の制限値のうちのいずれかを超えていると判断された場合、ステップS36に進み、3次元地図データ検索部56は、描画処理量が、超高層の制限値、即ち、低層、中層、高層、または超高層それぞれの制限値のうちの最大の制限値を超えているか否かを判断する。
【0110】
ステップS36において、描画処理量が、超高層の制限値を超えていると判断された場合、3次元地図データ検索部56は、いままでに検索した描画対象データを、3次元描画データ読み込み部28に供給して、処理を終了する。
【0111】
また、ステップS36において、描画処理量が、超高層の制限値を超えていないと判断された場合、ステップS37に進み、ステップS37において、3次元地図データ検索部56は、検索階層として選択する階層を制限する。
【0112】
即ち、3次元地図データ検索部56は、描画処理量が、低層のみの制限値を超えている場合、検索階層として選択する階層を、中層、高層、および超高層の3つに制限する。また、3次元地図データ検索部56は、描画処理量が、中層の制限値を超えている場合(この場合、低層の制限値も超えている)、検索階層として選択する階層を、高層および超高層の2つに制限する。さらに、3次元地図データ検索部56は、描画処理量が、高層の制限値を超えている場合(この場合、低層および中層の制限値も超えている)、検索階層として選択する階層を、超高層だけに制限する。
【0113】
ここで、ステップS37で、検索階層として選択する階層が制限された場合、以降に行われるステップS33では、その制限にしたがって、階層が選択される。
【0114】
即ち、例えば、注目領域が、第1の領域に属する場合であっても、検索階層として選択する階層が、中層、高層、および超高層に制限されたときには、検索階層として、中層、高層、および超高層が選択され、低層は選択されない。
【0115】
3次元地図データ検索部56は、ステップS37において、以上のように、検索階層として選択する階層を制限した後、ステップS33に戻り、以下、同様の処理を繰り返す。
【0116】
以上のように、注目領域について、その注目領域の、注目点からの距離に応じて、検索階層を選択するとともに、3次元地図データ検索部56で検索された描画対象データに基づく描画に要する処理量(描画処理量)に応じて、検索階層として選択する階層を制限する場合には、3次元地図データ検索部56で検索された描画対象データに基づく描画に要する処理量を制限することができるので、3次元描画データ読み込み部28での描画に要する時間を、ある短時間に制限しつつ、リアリティのある3次元地図を表示することができる。
【0117】
ここで、図15において、3次元地図データ検索部56では、注目領域について、注目点からの距離に応じて、検索階層を選択するとともに、いままでに検索された描画対象データに基づく描画に要する処理量(描画処理量)に応じて、検索階層として選択する階層を制限しているが、注目点からの距離に関係なく階層を選択することもできる。即ち、3次元地図データ検索部56は、原則として、すべての階層を検索階層として選択することとし、描画処理量に応じて、検索階層として選択する階層を制限された場合には、その制限された階層以外のすべての階層を検索階層として選択することができる。
【0118】
この場合、描画対象が多数存在する、いわば密集した地域が、描画領域となったときには、注目点から、ある程度の距離の位置までは、すべての階層の描画対象の描画対象データが検索されるが、その位置より遠い位置では、より上位の階層の描画対象の描画対象データしか検索されなくなる。また、描画対象が少ない、いわば閑散とした地域が、描画領域となったときには、注目点から、ある程度の遠い距離の位置まで、すべての階層の描画対象の描画対象データが検索される。
【0119】
なお、ステップS32では、例えば、ユーザが、図示せぬ操作部を操作することで入力される値を制限値として決定することができる。また、あらかじめ設定された値を、例えば、3次元地図データDB55等の記録媒体に記録させておき、ステップS32では、記録媒体に記録されている値を制限値として決定することもできる。
【0120】
図16は、図5のカーナビゲーション装置52の第2の構成例を示すブロック図である。
【0121】
なお、図中、図6に対応する部分については同一の符号を付してあり、以下、その説明は、適宜省略する。
【0122】
即ち、図16のカーナビゲーション装置52には、図6の3次元地図データDB55、3次元地図データ検索部56、または3次元描画データ読み込み部28に代えて、それぞれ3次元地図データDB75、3次元地図データ検索部76、または3次元描画データ読み込み部78が設けられている他は、図6のカーナビゲーション装置52と同様に構成されている。
【0123】
3次元地図データDB75には、3次元地図データが記録されている。ここで、3次元地図データDB75は、図6の3次元地図データDB55に記録されている3次元地図データと同様に、矩形の単位領域ごとのデータに区分けされてファイルに格納されており、各領域内に存在する建造物その他の描画対象に関する描画対象データを含んでいる。
【0124】
さらに、3次元地図データDB75に記録されている単位領域ごとの3次元地図データに含まれる描画対象データは、図6の3次元地図データDB55に記録されている描画対象データと同様に、複数の階層に階層化されている。また、3次元地図データDB75に記録されている3次元地図データは、例えば、超高層の描画対象を、8方向や16方向等の複数の方向から見た場合の画像データ(以下、適宜、超高層画像データという)を含んでいる。
【0125】
3次元地図データ検索部76は、図6の3次元地図データ検索部56と同様に、階層を選択し、その階層の描画対象データを、3次元地図データDB75から検索して、3次元描画データ読み込み部78に供給する。さらに、3次元地図データ検索部76は、注目点から遠い単位領域について、超高層の階層を選択した場合には、その超高層の描画対象の描画対象データ(超高層データ)の他に、その超高層の描画対象の画像データ(超高層画像データ)も、3次元地図データDB75から検索し、3次元地図データ読み込み部78に供給する。
【0126】
即ち、3次元地図データ検索部76は、注目点から遠い単位領域(例えば、上述の第4の領域に属する単位領域)については、超高層のみを検索階層として選択するが、この場合、超高層の描画対象の描画対象データの他に、その描画対象を注目点から見た場合に最も近い画像の超高層画像データを検索し、3次元描画データ読み込み部78に供給する。
【0127】
3次元描画データ読み込み部78は、図6の3次元描画データ読み込み部28と同様に、3次元地図データ検索部76から供給される描画対象データに基づいて描画を行うことにより、3次元地図を生成する。但し、3次元描画データ読み込み部78では、遠方の描画領域における超高層の描画対象については、描画対象データに基づく描画を行わず、上述したように、3次元地図データ検索部76から供給される超高層画像データを、そのまま用いて3次元地図を生成し、表示部29に供給する。
【0128】
図17は、図16の3次元地図データDB75に記録されている、単位領域の3次元地図データを模式的に示している。
【0129】
3次元地図データDB75に記録されている、単位領域の3次元地図データに含まれる描画対象データ、即ち、単位領域に存在する描画対象の描画対象データは、図8の場合と同様に、描画対象である建造物等の高さや、設置されている位置の高さ、認知されている度合いその他の、描画対象の特性、つまり、遠くから見た場合に、どの程度目立つかによって、低層、中層、高層、超高層の4つの階層に階層化されている。さらに、3次元地図データDB75に記録されている、単位領域の3次元地図データには、例えば、超高層の描画対象を複数方向それぞれから見た場合の画像データ(超高層画像データ)を含んでいる。
【0130】
ここで、超高層画像データは、超高層の描画対象を、複数の視点それぞれから見た画像を、あらかじめ描画しておくことにより作成される。
【0131】
図18は、図16の3次元地図データDB75の記憶内容(記録内容)を示している。
【0132】
3次元地図データDB75には、図18に示すように、単位領域r1,r2,…それぞれごとに、低層データ、中層データ、高層データ、超高層データ、および超高層画像データが記録されている。
【0133】
図16のカーナビゲーション装置52では、3次元描画データ読み込み部78は、注目点から遠い単位領域内の超高層の描画対象については、描画対象データに基づいて描画せずに、3次元地図データ検索部76から供給される超高層画像データを用いて、3次元地図を生成する。従って、描画対象データに基づいて、超高層の描画対象を描画する場合と比較して、3次元地図を迅速に生成することができる。
【0134】
なお、超高層画像データは、必ずしも、注目点から見た超高層の描画対象の正確な画像データではないが、注目点から遠い位置にある描画対象の画像データであるため、3次元地図上では、遠近法により、小さく表示されることとなるので、3次元地図のリアリティは、(ほとんど)損なわれない。
【0135】
図19は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するパーソナルコンピュータの構成の例を示すブロック図である。CPU(Central Processing Unit)201は、ROM(Read Only Memory)202、または記憶部208に記憶されているプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM(Random Access Memory)203には、CPU201が実行するプログラムやデータなどが適宜記憶される。これらのCPU201、ROM202、およびRAM203は、バス204により相互に接続されている。
【0136】
CPU201にはまた、バス204を介して入出力インターフェース205が接続されている。入出力インターフェース205には、キーボード、マウス、マイクロホンなどよりなる入力部206、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部207が接続されている。CPU201は、入力部206から入力される指令に対応して各種の処理を実行する。そして、CPU201は、処理の結果を出力部207に出力する。
【0137】
入出力インターフェース205に接続されている記憶部208は、例えばハードディスクからなり、CPU201が実行するプログラムや各種のデータを記憶する。通信部209は、インターネットやローカルエリアネットワークなどのネットワークを介して外部の装置と通信する。
【0138】
また、通信部209を介してプログラムを取得し、記憶部208に記憶してもよい。
【0139】
入出力インターフェース205に接続されているドライブ210は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア211が装着されたとき、それらを駆動し、そこに記録されているプログラムやデータなどを取得する。取得されたプログラムやデータは、必要に応じて記憶部208に転送され、記憶される。
【0140】
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行させることもできるし、ソフトウエアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行させる場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラム記録媒体からインストールされる。
【0141】
コンピュータにインストールされ、コンピュータによって実行可能な状態とされるプログラムを格納するプログラム記録媒体は、図12に示すように、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc)を含む)、光磁気ディスクを含む)、もしくは半導体メモリなどよりなるパッケージメディアであるリムーバブルメディア211、または、プログラムが一時的もしくは永続的に格納されるROM202や、記憶部208を構成するハードディスクなどにより構成される。プログラム記録媒体へのプログラムの格納は、必要に応じてルータ、モデムなどのインタフェースである通信部209を介して、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の通信媒体を利用して行われる。
【0142】
なお、本明細書において、プログラム記録媒体に格納されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0143】
また、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
【0144】
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0145】
以上、本発明を、カーナビゲーションシステムに適用した場合を説明したが、本発明は、カーナビゲーションシステムの他、例えば、GPS機能を備え、地図を表示する携帯電話機や、地図情報を提供するWebサーバ等にも適用することができる。また、本発明は、3次元地図を表示する場合の他、2次元地図を表示する場合についても適用することができる。
【0146】
なお、本実施の形態において、3次元地図データDB55(図6)、および3次元地図データDB75(図16)に記録されている3次元地図データは、地図を緯度と経度それぞれの方向に格子状に区切って得られる矩形の単位領域ごとのデータに区分けされてファイルに格納されていることとしたが、必ずしも、単位領域等のある領域ごとに区分けされていることを要しない。
【0147】
また、本実施の形態では、描画対象データを、低層、中層、高層、および超高層の4つの階層に階層化しておくこととしたが、描画対象データを階層化する階層の数は、その他、例えば、2階層または3階層であってもよいし、5階層以上であってもよい。
【0148】
さらに、本実施の形態では、超高層についてだけ、描画対象の画像データ(超高層画像データ)を用意しておくようにしたが、描画対象の画像データは、さらに、高層についても用意しておき、3次元地図の生成に用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】従来のカーナビゲーションシステムの一例の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の3次元地図データDB25に記録されている3次元地図データを模式的に示す図である。
【図3】図1の描画領域算出部24で算出される描画領域に存在する描画対象を模式的に示す図である。
【図4】図3の描画領域に対して生成される3次元地図を示す図である。
【図5】本発明を適用したカーナビゲーションシステムの構成例を示す図である。
【図6】図5のカーナビゲーション装置52の第1の構成例を示すブロック図である。
【図7】図6の3次元地図データDB55に記録される3次元地図データを模式的に示す図である。
【図8】図6の3次元地図データDB55に記録されている3次元地図データに含まれる、単位領域の描画対象データを模式的に示す図である。
【図9】図6の3次元地図データDB55の記憶内容(記録内容)を示す図である。
【図10】図6の描画領域算出部24で算出される描画領域に存在する描画対象を模式的に示す図である。
【図11】図6の3次元地図データ検索部56によって検索される描画対象データを模式的に示す図である。
【図12】図6の3次元地図データ検索部56によって検索された描画対象データに基づき、3次元描画データ読み込み部28で生成される3次元地図を模式的に示す図である。
【図13】図6のカーナビゲーション装置52における処理を示すフローチャートである。
【図14】図13のステップS14の処理の詳細を示すフローチャートである。
【図15】図13のステップS14の処理の詳細を示す他のフローチャートである。
【図16】図5のカーナビゲーション装置52の第2の構成例を示すブロック図である。
【図17】図16の3次元地図データDB75に記録されている単位領域の3次元地図データを模式的に示す図である。
【図18】図16の3次元地図データDB75の記憶内容(記録内容)を示す図である。
【図19】本発明を適用したコンピュータの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0150】
11 GPS衛星, 21 カーナビゲーション装置, 22 注目点取得部, 23 方位取得部, 24 描画領域算出部, 25 3次元地図データDB, 26 3次元地図データ検索部, 27 3次元描画データDB, 28 3次元描画データ読み込み部, 29 表示部, 51 車両, 52 カーナビゲーション装置, 55 3次元地図データDB, 56 3次元地図データ検索部, 75 3次元地図データDB, 76 3次元地図データ検索部, 78 3次元描画データ読み込み部, 201 CPU, 202 ROM, 203 RAM, 204 バス, 205 入出力インタフェース, 206 入力部, 207 出力部, 208 記憶部, 209 通信部, 210 ドライブ, 211 リムーバブルメディア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元画像の地図である3次元地図を生成するための地図に関する3次元地図データに基づいて前記3次元地図を生成する情報処理装置において、
注目点から見た前記3次元地図を生成する地理的な範囲である描画領域を求める描画領域取得手段と、
前記3次元地図を生成するのに描画する描画対象に関する描画対象データであって、前記描画対象の特性に応じて複数の階層に階層化されている描画対象データを含む前記3次元地図データのうちの、前記描画領域の範囲の3次元地図データを特定する特定手段と、
前記注目点からの距離に基づいて階層を選択し、その階層の描画対象データを、前記描画領域の範囲の3次元地図データから取得する描画対象データ取得手段と、
前記描画領域の範囲の3次元地図データから取得された前記描画対象データに基づいて、前記描画対象を描画することにより、前記3次元地図を生成する3次元地図生成手段と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記描画対象データは、前記描画対象の高さに応じて階層化されており、
前記描画対象データ取得手段は、前記注目点からの距離が近い場合、前記複数の階層すべてを選択し、前記注目点からの距離が遠い程、高さがより大の階層のみを選択する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記3次元地図生成手段は、特定の階層の前記描画対象データに対応する描画対象である特定描画対象については、前記特定描画対象をあらかじめ描画することにより得られている画像データを用いて、前記3次元地図を生成する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記描画対象データ取得手段は、
前記注目点から近い描画対象から、前記描画対象データを取得し、
取得済みの前記描画対象データに基づく描画に要する処理量が所定の制限値を超えたとき、選択の対象とする階層を制限する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記描画対象データは、前記描画対象の高さ、前記描画対象が設置されている位置の高さ、または前記描画対象の認知度に応じて階層化されている
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
3次元画像の地図である3次元地図を生成するための地図に関する3次元地図データに基づいて前記3次元地図を生成する情報処理方法において、
注目点から見た前記3次元地図を生成する地理的な範囲である描画領域を求め、
前記3次元地図を生成するのに描画する描画対象に関する描画対象データであって、前記描画対象の特性に応じて複数の階層に階層化されている描画対象データを含む前記3次元地図データのうちの、前記描画領域の範囲の3次元地図データを特定し、
前記注目点からの距離に基づいて階層を選択し、その階層の描画対象データを、前記描画領域の範囲の3次元地図データから取得し、
前記描画領域の範囲の3次元地図データから取得された前記描画対象データに基づいて、前記描画対象を描画することにより、前記3次元地図を生成する
ステップを含む情報処理方法。
【請求項7】
3次元画像の地図である3次元地図を生成するための地図に関する3次元地図データに基づいて前記3次元地図を生成する情報処理をコンピュータに実行させるプログラムにおいて、
注目点から見た前記3次元地図を生成する地理的な範囲である描画領域を求め、
前記3次元地図を生成するのに描画する描画対象に関する描画対象データであって、前記描画対象の特性に応じて複数の階層に階層化されている描画対象データを含む前記3次元地図データのうちの、前記描画領域の範囲の3次元地図データを特定し、
前記注目点からの距離に基づいて階層を選択し、その階層の描画対象データを、前記描画領域の範囲の3次元地図データから取得し、
前記描画領域の範囲の3次元地図データから取得された前記描画対象データに基づいて、前記描画対象を描画することにより、前記3次元地図を生成する
ステップを含む情報処理をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−132972(P2007−132972A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−323134(P2005−323134)
【出願日】平成17年11月8日(2005.11.8)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】