説明

情報処理装置、行動予測表示方法及びコンピュータプログラム

【課題】行動予測による最終目的地の情報を画面に表示することが可能な情報処理装置を提供する。
【解決手段】各種情報を表示する表示部と、行動履歴に基づいて求められる行動予測情報を逐次取得する行動予測情報取得部と、行動予測情報取得部が逐次取得した行動予測情報を地図情報と合わせて表示部へ表示させる行動予測情報表示制御部と、を備え、行動予測情報表示制御部は、行動予測情報取得部が取得した行動予測情報の変化に伴い、表示部の表示可能範囲に収めて行動予測情報を表示部へ表示させる、情報処理装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、行動予測表示方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
利用者が保持する携帯端末の現在地及び利用者の過去の行動履歴から、利用者の未来の行動を予測する技術がある(例えば特許文献1参照)。行動の予測は、携帯端末と無線ネットワークで接続されたサーバや、携帯端末上で実行され、携帯端末の画面に行動予測情報が表示される。利用者は、携帯端末に表示される行動予測情報を見ることで、自らの行動に役立てることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−293540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
行動予測は、通常の地図情報や、ルート検索、目的地へのナビゲーションとは異なり、最終目的地が複数表示されることがあり、しかも携帯端末の場所の移動に伴って、予測される最終目的地も時々刻々と変化することがある。
【0005】
しかし、携帯端末に表示される地図の縮尺によっては、最終目的地が画面の範囲外となることがあり、その場合に利用者は、画面の範囲外となっている最終目的地を画面に表示させるには、地図の縮尺を変化させるなどの余分な操作を行う必要がある。従って行動予測の結果を表示するために利用者に余計な操作を行わせてしまうという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、利用者に余計な操作を要求すること無く、行動予測による最終目的地の情報を画面に表示することが可能な、新規かつ改良された情報処理装置、行動予測表示方法及びコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、各種情報を表示する表示部と、行動履歴に基づいて求められる行動予測情報を逐次取得する行動予測情報取得部と、前記行動予測情報取得部が逐次取得した前記行動予測情報を地図情報と合わせて前記表示部へ表示させる行動予測情報表示制御部と、を備え、前記行動予測情報表示制御部は、前記行動予測情報取得部が取得した前記行動予測情報の変化に伴い、前記表示部の表示可能範囲に収めて前記行動予測情報を前記表示部へ表示させる、情報処理装置が提供される。
【0008】
前記行動予測情報表示制御部は、前記行動予測情報の変化に伴い前記表示部の表示可能範囲に収めて前記行動予測情報を前記表示部へ表示させる際に、前記表示部へ表示する地図情報の縮尺を変化させるようにしてもよい。
【0009】
前記行動予測情報表示制御部は、前記表示部へ表示する地図情報の縮尺を段階的に変化させるようにしてもよい。
【0010】
前記行動予測情報表示制御部は、前記行動予測情報取得部が取得した行動予測情報に含まれる行動確率を用いた重み付けによって前記行動予測情報の前記表示部への表示を制御するようにしてもよい。
【0011】
前記行動予測情報表示制御部は、全ての前記行動予測情報に対する前記行動確率を用いた重み付けの加算結果が所定の値を超えている場合に前記行動予測情報の前記表示部への表示を制御するようにしてもよい。
【0012】
前記行動予測情報表示制御部は、前記行動予測情報取得部が取得した行動予測情報に含まれる行動確率が所定の値より低い場合にはその行動予測情報を前記表示部へ表示から除外するようにしてもよい。
【0013】
行動履歴に基づいて行動予測情報を求める行動予測部をさらに備え、前記行動予測情報取得部は前記行動予測部が求めた行動予測情報を取得するようにしてもよい。
【0014】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、行動履歴に基づいて求められる行動予測情報を逐次取得する行動予測情報取得ステップと、前記行動予測情報取得ステップが逐次取得した前記行動予測情報を地図情報と合わせて各種情報を表示する表示部へ表示させる行動予測情報表示制御ステップと、を備え、前記行動予測情報表示制御ステップは、前記行動予測情報取得ステップで取得した前記行動予測情報の変化に伴い、前記表示部の表示可能範囲に収めて前記行動予測情報を前記表示部へ表示させる、行動予測表示方法が提供される。
【0015】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータに、行動履歴に基づいて求められる行動予測情報を逐次取得する行動予測情報取得ステップと、前記行動予測情報取得ステップが逐次取得した前記行動予測情報を地図情報と合わせて各種情報を表示する表示部へ表示させる行動予測情報表示制御ステップと、を実行させ、前記行動予測情報表示制御ステップは、前記行動予測情報取得ステップで取得した前記行動予測情報の変化に伴い、前記表示部の表示可能範囲に収めて前記行動予測情報を前記表示部へ表示させる、コンピュータプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように本発明によれば、利用者に余計な操作を要求すること無く、行動予測による最終目的地の情報を画面に表示することが可能な、新規かつ改良された情報処理装置、行動予測表示方法及びコンピュータプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る行動予測システム1の構成を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る携帯電話100の機能構成を示す説明図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる携帯電話100に含まれるCPU110の機能構成を示す説明図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかる行動予測サーバ10の機能構成を示す説明図である。
【図5】本発明の一実施形態にかかる行動予測システム1の動作を示す流れ図である。
【図6】表示部140に地図情報と共に表示される行動予測情報の表示例を示す説明図である。
【図7】表示部140に地図情報と共に表示される行動予測情報の表示例を示す説明図である。
【図8】表示部140に地図情報と共に表示される行動予測情報の表示例を示す説明図である。
【図9】表示部140に地図情報と共に表示される行動予測情報の表示例を示す説明図である。
【図10】本発明の一実施形態にかかる携帯電話100に含まれるCPU110の変形例であるCPU110’の機能構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0019】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
<1.本発明の一実施形態>
[1−1.行動予測システムの構成]
[1−2.携帯電話の構成]
[1−3.行動予測サーバの構成]
[1−4.行動予測システムの動作例]
[1−5.変形例]
<2.まとめ>
【0020】
<1.本発明の一実施形態>
[1−1.行動予測システムの構成]
まず、本発明の一実施形態に係る行動予測システムの構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る行動予測システム1の構成を示す説明図である。以下、図1を用いて、本発明の一実施形態に係る行動予測システム1の構成について説明する。
【0021】
図1に示したように、本発明の一実施形態に係る行動予測システム1は、携帯電話100の現在位置から、携帯電話100を保持しているユーザの行動を予測する行動予測サーバ10と、行動予測サーバ10から行動予測情報を取得して表示する携帯電話100と、を含んで構成される。
【0022】
行動予測サーバ10と携帯電話100との間のデータの送受信は無線ネットワーク30を介して行われる。携帯電話100はGPS(Global Positioning System)衛星20から現在位置を取得するための受信機を備えており、携帯電話100は取得した現在位置の情報を、無線ネットワーク30を介して行動予測サーバ10に送信する。
【0023】
行動予測サーバ10は、携帯電話100の現在位置の情報から今後の行動を予測して行動予測情報を生成し、地図情報と共に無線ネットワーク30を介して携帯電話100に送信する。行動予測情報には、出発地、目的地、出発地から目的地までの経路及び携帯電話100のユーザが当該経路を選択する確率、目的地の到達予想時刻が含まれる。
【0024】
出発地、目的地及び経路の情報は緯度及び経度で表される。行動予測サーバ10から行動予測情報を携帯電話100に送信することにより、携帯電話100は行動予測サーバ10から取得した行動予測情報を画面に表示することが出来る。
【0025】
なお、本実施形態では、携帯電話100を保持するユーザの行動予測を実行するのは行動予測サーバ10であるとして説明するが、本発明は係る例に限定されない。例えば、携帯電話100を保持するユーザの行動予測を、携帯電話100の内部で実行するようにしてもよい。この際、携帯電話100は地図情報のみを外部のサーバ等から取得し、行動予測情報と共に画面に表示するようにしても良い。
【0026】
以上、図1を用いて本発明の一実施形態に係る行動予測システム1の構成について説明した。次に、本発明の一実施形態にかかる携帯電話100の構成について説明する。
【0027】
[1−2.携帯電話の構成]
図2は、本発明の一実施形態に係る携帯電話100の機能構成を示す説明図である。以下、図2を用いて本発明の一実施形態に係る携帯電話100の機能構成について説明する。
【0028】
図2に示したように、本発明の一実施形態に係る携帯電話100は、CPU110と、メモリ120と、現在地取得部130と、表示部140と、操作部150と、ベースバンド処理部160と、通信部170と、マイク180と、スピーカ190と、を含んで構成される。
【0029】
CPU110は、メモリ120に格納されているコンピュータプログラムに従って種々の動作を実行するものであり、CPU110の動作に応じて携帯電話100の各部を制御する。CPU110の各種処理内容は必要に応じて液晶表示パネル等で構成された表示部140に表示される。
【0030】
メモリ120は、CPU110データ処理の作業領域としての役割や、各種データを保持する記憶媒体としての機能を有する。メモリ120は、揮発性メモリまたは不揮発性メモリを用いることができる。不揮発性メモリとしては、例えば、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)等が挙げられる。
【0031】
操作部150は、電源ボタン、通話ボタン、数字・文字入力ボタン等で構成される。操作部150は、ユーザが所望の通話先の電話番号を入力すると、当該電話番号を表すデータをCPU110に供給する。CPU110はユーザが入力した電話番号で表される通話先に対して、通信部170を介して接続要求を送信する。このとき無線通信回線は通話先の応答に応じて回線を接続する。回線が接続されると、通信部170は、アンテナ(図示せず)を介して受信した通話先からのRF信号をベースバンド処理部160に供給し、ここでRF信号をベースバンド信号に変換する。ベースバンド処理部160により生成されるベースバンド信号から生成される音声信号は、スピーカ190から音声として出力される
【0032】
携帯電話100のユーザがマイク180を介して音声を入力すると、マイク180から供給される入力音声信号はベースバンド処理部160に供給される。ベースバンド処理部160はベースバンド信号をRF信号に変換する。そしてベースバンド処理部160は当該変換されて生成されるRF信号を、通信部170を介して無線通信回線に送出することにより、当該RF信号を回線接続された通話先に対して送信する。
【0033】
またCPU110は、携帯電話100のユーザが操作部150を操作することにより入力される種々の情報をベースバンド処理部160及び通信部170を介して通信先に送信すると共に、通信先からの情報が重畳されたRF信号を通信部170及びベースバンド処理部160を介して取り込み、表示部140に表示する。
【0034】
このような一連の処理をCPU110が実行することで、携帯電話100を使用するユーザは、通話先との間で会話や種々の情報の授受を行うことができる。
【0035】
以上、図2を用いて本発明の一実施形態にかかる携帯電話100の機能構成について説明した。次に、本発明の一実施形態にかかる携帯電話100に含まれるCPU110の機能構成について説明する。
【0036】
図3は、本発明の一実施形態にかかる携帯電話100に含まれるCPU110の機能構成を示す説明図である。図2に示したCPU110は、メモリ120に格納されているコンピュータプログラムを読み出して実行することで、図3に示したように、行動予測情報取得部112と、行動予測情報表示制御部114と、を含んで機能するように構成される。
【0037】
行動予測情報取得部112は、現在地取得部130が取得した携帯電話100の現在地の情報の変化から行動予測サーバ10が予測し、無線ネットワーク30を介して行動予測サーバ10から送信される行動予測情報を随時取得するものである。行動予測情報取得部112は、行動予測サーバ10から送信された行動予測情報を行動予測情報表示制御部114に送る。
【0038】
行動予測情報表示制御部114は、行動予測情報取得部112が取得した行動予測情報を受け取り、表示部140に表示する行動予測情報の表示制御を実行するものである。
【0039】
行動予測情報表示制御部114は、行動予測サーバ10が予測した行動予測情報を地図情報と合わせて表示部140に表示する。ここで、表示部140の表示範囲には限界があるので、表示部140に表示される地図情報の表示範囲は、地図の縮尺によって決まる。従って、地図の縮尺によっては、行動予測情報取得部112が取得した行動予測情報を位置情報に合わせて表示部140に表示しようとすると、行動予測情報の目的地が表示部140の表示範囲外となることがある。
【0040】
このような場合、本実施形態にかかる携帯電話100は、行動予測情報表示制御部114において現在地と目的地とが同一の画面に収まるように表示部140への表示が制御される。
【0041】
より詳細に説明すると、現在地取得部130が取得した携帯電話100の現在地情報が変化し、この現在地情報の変化に伴って、行動予測情報取得部112が取得した行動予測情報も変化し、予測された目的地が時々刻々と変化する。この目的地の変化に応じて、行動予測情報表示制御部114において現在地と目的地とが同一の画面に収まるように表示部140への行動予測情報及び地図情報の表示を制御する。
【0042】
このように、行動予測情報表示制御部114によって表示部140への行動予測情報及び地図情報の表示を制御することで、本発明の一実施形態に係る携帯電話100は、携帯電話100のユーザに対し、行動予測情報の変化に伴う地図の縮尺を変化させる操作をさせずに済む。従って、携帯電話100のユーザは、表示部140に表示される行動予測情報及び地図情報を見るだけで良く、地図の縮尺を変化させるための操作をする煩わしさから解放される。
【0043】
以上、本発明の一実施形態にかかる携帯電話100に含まれるCPU110の機能構成について説明した。次に、本発明の一実施形態にかかる行動予測サーバ10の構成について説明する。
【0044】
[1−3.行動予測サーバの構成]
図4は、本発明の一実施形態にかかる行動予測サーバ10の機能構成を示す説明図である。以下、図4を用いて本発明の一実施形態にかかる行動予測サーバ10の機能構成について説明する。
【0045】
図4に示したように、本発明の一実施形態にかかる行動予測サーバ10は、CPU11と、メモリ12と、データベース13と、通信部14と、を含んで構成される。
【0046】
CPU11は通信部14によって接続された無線ネットワーク30を介して携帯電話100から現在位置の情報を受け取る。携帯電話100から現在位置の情報を受け取ると、CPU11はメモリ12に格納されたコンピュータプログラムを読み出して、携帯電話100の現在位置の情報や過去の移動履歴の情報を用いて、携帯電話100のユーザの行動予測処理を実行し、行動予測情報を生成する。
【0047】
メモリ12は、コンピュータプログラムは各種情報を格納するためのものであり、不揮発性メモリ、磁気ディスクなどの記憶媒体であってもよい。不揮発性メモリとしては、例えば、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)があげられる。また、磁気ディスクとしては、ハードディスクおよび円盤型磁性体ディスクなどが挙げられる。
【0048】
上述したように、行動予測情報には、出発地、目的地、出発地から目的地までの経路及び携帯電話100のユーザが当該経路を選択する確率、目的地の到達予想時刻が含まれる過去の移動履歴の情報は、例えばデータベース13に蓄積されており、CPU11は例えばデータベース13に蓄積されている携帯電話100のユーザの過去の移動履歴を読み出して行動予測処理に用いる。
【0049】
CPU11による行動予測処理は種々の技術を用いることが可能であり、ある特定の処理に限られるものではない。例えば、CPU11は上述の特許文献1に記載されている行動予測処理を用いて携帯電話100のユーザの行動予測処理を実行することができる。
【0050】
CPU11による行動予測処理は、携帯電話100の現在地や行動履歴だけでなく、曜日や時間帯の情報を用いて行われても良い。またCPU11は、現在の天候や当日の天気予報の情報を用いて行動予測処理を実行しても良い。このような、曜日や時間帯、天候や天気予報の情報を用いることにより、CPU11は、携帯電話100が同じ位置にあったり同じような行動履歴をとっていたりした場合であっても、曜日や時間帯、天候や天気予報の内容に応じて異なる行動予測結果を導出することができる。
【0051】
CPU11による行動予測処理の結果は、行動予測情報として通信部14から無線ネットワーク30を介して携帯電話100に送信される。行動予測サーバ10から送信された行動予測情報を受信した携帯電話100は、受信した行動予測情報を表示部140に表示することで、行動予測サーバ10による行動予測処理の結果をユーザに提示することができる。
【0052】
以上、図4を用いて本発明の一実施形態にかかる行動予測サーバ10の機能構成について説明した。次に、本発明の一実施形態にかかる行動予測システム1の動作について説明する。
【0053】
[1−4.行動予測システムの動作例]
図5は、本発明の一実施形態にかかる行動予測システム1の動作を示す流れ図である。以下、図5を用いて本発明の一実施形態にかかる行動予測システム1の動作について説明する。
【0054】
本発明の一実施形態にかかる行動予測システム1によって携帯電話100を保持しているユーザの行動を予測するには、まず行動予測サーバ10から行動予測情報を取得するためのアプリケーションを携帯電話100で起動する。以下、このアプリケーションを「行動予測アプリケーション」とも称する。携帯電話100で行動予測アプリケーションが実行されると、行動予測アプリケーションは現在地取得部130を用いて、GPS衛星20との通信によって携帯電話100の現在位置を取得する(ステップS101)。
【0055】
上記ステップS101で、携帯電話100の現在位置が現在地取得部130によって取得されると、携帯電話100の現在位置の情報が行動予測サーバ10に送られる。行動予測サーバ10は、携帯電話100の現在位置の情報や携帯電話100の移動履歴、及び、携帯電話100のユーザの過去の行動履歴等の情報を用いて行動予測処理を実行して行動予測情報を生成する。具体的には、行動予測サーバ10は現在地、目的地、現在地から目的地までの経路、目的地の到着予想時刻等を導出する処理を実行する(ステップS102)。
【0056】
行動予測処理を実行した行動予測サーバ10は、行動予測処理の結果を行動予測情報として携帯電話100へ送信する。携帯電話100は、行動予測情報取得部112が行動予測サーバ10から送信されてくる行動予測の結果を取得する。行動予測情報取得部112が取得した行動予測情報は、地図情報と共に緯度と経度とを合わせて、行動予測情報表示制御部114により表示部140に表示される。
【0057】
図6は、表示部140に地図情報と共に表示される行動予測情報の表示例を示す説明図である。図6に示した例では、表示部140に、現在時刻表示部151、行動確率表示部152、出発地153、経路情報154、及び目的地155が、行動予測情報表示制御部114によって表示されている状態を示している。
【0058】
出発地153は、行動予測サーバ10での行動予測処理が行われる時点における、現在地取得部130が取得した携帯電話100の現在位置であり、目的地155は、行動予測サーバ10での行動予測処理によって導き出された目的地である。出発地153と目的地155は、違いが分かるように、例えば図6に示したように大きさの異なる円で表示部140に表示してもよく、異なる図形で表示部140に表示しても良い。
【0059】
行動確率表示部152は、行動予測サーバ10が導き出した、携帯電話100のユーザが出発地153から目的地155へ移動する確率が表示されるものである。行動確率表示部152には、携帯電話100のユーザが出発地153から目的地155へ移動する確率と共に、その経路情報154によって移動した場合における、目的地155の到着予定時刻の情報が示されている。
【0060】
図6では、1つの経路情報のみが表示されている。目的地155の近傍に図示した数字は、行動確率表示部152に表示されている確率の左に示されている数字と対応するものであり、図6に示した例では、携帯電話100のユーザが出発地153から目的地155へ移動する確率が100%であることを示している。
【0061】
もちろん、携帯電話100のユーザは、出発地153から目的地155以外の場所へ移動する場合もあるので、行動確率表示部152に表示される確率を全て加えても常に100%になるとは限らない。
【0062】
経路情報154は、行動予測サーバ10が導き出した出発地153から目的地155への経路を示すものであり、図6に示したように、出発地153と目的地155とを結んだ線で表される。
【0063】
表示部140の中心は携帯電話100の現在位置であり、行動予測アプリケーションは、現在地取得部130を用いて、GPS衛星20との通信によって携帯電話100の現在位置を定期的に取得する。現在地取得部130が取得した携帯電話100の現在位置は、行動予測情報表示制御部114によって常に表示部140の中心に来るように表示が制御される。
【0064】
続いて、行動予測情報取得部112は、行動予測サーバ10から送信されてくる、現在地から目的地までの経路の情報が2つ以上あるかどうかを確認する(ステップS103)。
【0065】
上記ステップS103の判断の結果、行動予測サーバ10から送信されてくる、現在地から目的地までの経路の情報が1つだけであれば、後述するステップS105に進み、現在地から目的地までの経路が表示部140の表示範囲を変化させる必要があるものであるかどうかを行動予測情報表示制御部114により判断する処理を実行する。
【0066】
一方、上記ステップS103の判断の結果、行動予測サーバ10から送信されてくる、現在地から目的地までの経路の情報が2つ以上であれば、続いて行動予測情報表示制御部114は、行動予測サーバ10が予測した行動確率の値による重み付けを行って、表示部140の表示範囲が適切であるか確認する処理を実行する(ステップS104)。
【0067】
このステップS104の処理は、具体的には以下のような処理によって行われる。まず行動予測情報表示制御部114は、現在地と目的地との間の経路が表示部140の表示可能範囲を超えているかどうかを確認する。表示部140の表示可能範囲は、例えば地図情報の拡大率で指定され、拡大率の値は離散的に複数の段階が与えられている。現在地と目的地との間の経路が表示部140の表示可能範囲を超えていた場合には、表示部140への地図情報を何段階縮小する必要があるかを求める。縮小する段階の数を負の相違数とする。
【0068】
一方、現在地と目的地との間の経路が表示部140の表示可能範囲を超えていない場合には、表示部140への地図情報を何段階拡大しても現在地と目的地との間の経路が表示部140の表示可能範囲を超えないかどうかを求める。拡大する段階の数を正の相違数とする。
【0069】
行動予測情報表示制御部114は、このように経路ごとに求めた相違数を、各経路の行動確率を重み付けして加算し、加算した値が所定の閾値を超えているかどうかによって、表示部140の表示範囲が適切であるか確認する。このように、経路の行動確率による重み付けを行うことで、行動確率が低いものを表示部140の表示範囲の適切性の判断処理に影響を与えないようにすることができる。なお、表示部140の表示範囲を変化させる際には、一度に大きく変化させるとユーザに混乱を招く場合もあるので、上述の離散的に与えられている拡大率の単位で徐々に変化させるようにしてもよい。
【0070】
上記ステップS104で、表示部140の表示範囲が適切であるか確認する処理を行動予測情報表示制御部114が実行すると、続いて行動予測情報表示制御部114は、このステップS104の処理によって表示部140の表示範囲を変化させる必要があるかどうかを判断する(ステップS105)。
【0071】
上記ステップS105の判断の結果、表示部140の表示範囲を変化させる必要が無ければ、上記ステップS101に戻り、現在地取得部130を用いた、GPS衛星20との通信による携帯電話100の現在位置の取得処理を実行する。
【0072】
一方、上記ステップS105の判断の結果、表示部140の表示範囲を変化させる必要があれば、行動予測情報表示制御部114は表示部140の表示範囲を適切なものに設定する(ステップS106)。行動予測情報表示制御部114が表示部140の表示範囲を適切なものに設定した後は、上記ステップS101に戻り、現在地取得部130を用いた、GPS衛星20との通信による携帯電話100の現在位置の取得処理を実行する。
【0073】
図7は、表示部140に地図情報と共に表示される行動予測情報の表示例を示す説明図である。図7に示した例では、行動予測サーバ10の行動予測処理によって3つの経路が導き出され、表示部140に表示された状態を示している。
【0074】
図7では、出発地153から目的地155aへの経路情報154aが表示部140に表示されているが、経路情報154b、155cは目的地が表示部140の表示範囲外にあり、経路情報154b、155cは表示部140に完全に表示されていない。
【0075】
従って、行動予測情報表示制御部114は表示部140の表示範囲が適切であるか確認する処理を実行し、経路情報154b、155cを表示部140に完全に表示すべきか否かを判断する。判断の結果、経路情報154b、155cを表示部140に完全に表示すべき場合には、行動予測情報表示制御部114は地図情報の表示倍率を縮小し、経路情報154b、155cが表示部140に完全に表示されるように制御する。
【0076】
図8は、表示部140に地図情報と共に表示される行動予測情報の表示例を示す説明図である。図8に示した例では、図7の状態から、行動予測情報表示制御部114が地図情報の表示倍率を縮小することで表示部140の表示範囲が拡大された状態を示したものである。
【0077】
図8では、目的地155aに加え、目的地155b、155cも表示部140に表示されている。このように行動予測情報表示制御部114で表示部140の表示範囲を自動的に変化させることで、ユーザは表示部140に表示される情報を見るだけで行動予測情報を確認できる。
【0078】
そして、携帯電話100の位置が変化し、携帯電話100の位置の変化に伴って行動予測サーバ10による行動予測結果も変化すると、表示部140に表示される情報も変化する。行動予測情報表示制御部114は、行動予測サーバ10による行動予測結果の変化に伴って表示部140の表示範囲を自動的に変化させる。
【0079】
図9は、表示部140に地図情報と共に表示される行動予測情報の表示例を示す説明図である。図9に示した例は、携帯電話100のユーザが電車で「BBB駅」に移動した場合における、行動予測サーバ10の行動予測の結果が表示部140に表示された状態を示したものである。
【0080】
図9に示した例では、行動予測サーバ10の行動予測処理によって1つの経路情報154が図示されており、出発地153から目的地155への経路が表示部140に表示されている。そして図9に示した例は、図8に示した例と比較して地図情報が拡大されて表示部140に表示されている。
【0081】
このように経路情報の変化に応じて行動予測情報表示制御部114で表示部140の表示範囲を自動的に変化させることで、ユーザは表示部140に表示される情報を見るだけで行動予測情報を確認できる。
【0082】
以上、図5を用いて本発明の一実施形態にかかる行動予測システム1の動作について説明した。なお本実施形態では、行動予測サーバ10が導出した行動確率による重み付けを行ったが、もちろん行動予測サーバ10が導出した行動確率による重み付けを行わずに経路が適切に表示部140に表示されているかどうかを判断しても良い。行動予測サーバ10が導出した行動確率が所定の閾値より低い場合には、行動予測情報表示制御部114は、その経路は表示部140の表示制御の対象外としてもよい。次に、本発明の一実施形態にかかる携帯電話100の変形例について説明する。
【0083】
[1−5.変形例]
上述した本発明の一実施形態にかかる行動予測システム1では、携帯電話100から現在位置の情報を行動予測サーバ10に逐次送信し、行動予測サーバ10での行動予測結果を携帯電話100で受信する構成としていたが、本発明は係る例に限定されない。例えば、行動予測処理も携帯電話100で実行し、外部のサーバから無線ネットワーク30経由で取得するのは地図情報だけにして、地図情報と共に行動予測結果を表示部140に表示するようにしてもよい。
【0084】
図10は、本発明の一実施形態にかかる携帯電話100に含まれるCPU110の変形例であるCPU110’の機能構成を示す説明図である。図10に示したように、CPU110の変形例であるCPU110’は、メモリ120に格納されているコンピュータプログラムを読み出して実行することで、行動予測情報取得部112と、行動予測情報表示制御部114と、行動予測部116と、を含んで機能するように構成される。
【0085】
行動予測部116は、行動予測サーバ10が実行する行動予測処理と同様の処理を実行するものである。行動予測部116による行動予測情報は行動予測情報取得部112が取得して、行動予測情報表示制御部114に送られる。行動予測情報表示制御部114が実行する処理は上述のものと異なるところはない。
【0086】
このように、行動予測処理を携帯電話100で実行する場合であっても、同様に行動予測情報の変化に応じて、自動的に表示部140に表示される行動予測情報の表示範囲を変化させることが可能となる。
【0087】
<2.まとめ>
以上説明したように本発明の一実施形態によれば、携帯電話100が行動予測サーバ10から行動予測情報を取得する度に、行動予測情報表示制御部114は表示部140への行動予測情報の表示を制御する。
【0088】
具体的には、行動予測サーバ10から取得した経路情報が表示部140の表示可能範囲を超えていれば、行動予測情報表示制御部114は地図の縮尺を縮小することで経路情報が表示部140の表示可能範囲に収まるような制御を実行する。また逆に、地図の縮尺を拡大しても経路情報が表示部140の表示可能範囲に収まるのであれば、行動予測情報表示制御部114は経路情報が表示部140の表示可能範囲に収まる上限まで地図の縮尺を拡大する。
【0089】
このように表示部140への表示を制御することで、行動予測による出発地と目的地との間の経路が表示部140の表示可能範囲を超えた場合であっても自動的に、出発地と目的地との間の経路がはみ出さないように表示部140の表示が切り替わるので、携帯電話100のユーザは地図の縮尺を切り替えるための操作が不要になり、利便性が高まる。
【0090】
表示部140への表示が自動制御となることで、本発明の一実施形態に係る携帯電話100は、地図情報や行動予測情報に関連する情報の読み込みを表示部140への表示処理に先立って行うことができる。また、行動予測情報の取得・表示に際してユーザ操作による割り込みを避けることができるので、本発明の一実施形態に係る携帯電話100は安定した画面遷移を実現できる。
【0091】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0092】
例えば、上記実施形態では、行動予測情報を表示するのは携帯電話100であるとして説明したが、本発明は係る例に限定されない。現在地を衛星等から取得でき、かつ行動予測情報を表示できる携帯型の端末であれば、例えばPDA(Personal Digital Assistant)、携帯型ゲーム機、携帯型音楽再生装置、携帯型映像再生装置等を用いて行動予測情報を表示してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、情報処理装置、行動予測表示方法及びコンピュータプログラムに適用可能であり、特に現在位置や過去の行動履歴からその後の行動予測を画面に表示する情報処理装置、行動予測表示方法及びコンピュータプログラムに適用可能である。
【符号の説明】
【0094】
1 行動予測システム
10 行動予測サーバ
20 GPS衛星
30 無線ネットワーク
100 携帯電話
110 CPU
112 行動予測情報取得部
114 行動予測情報表示制御部
116 行動予測部
120 メモリ
130 現在地取得部
140 表示部
150 操作部
160 ベースバンド処理部
170 通信部
180 マイク
190 スピーカ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種情報を表示する表示部と、
行動履歴に基づいて求められる行動予測情報を逐次取得する行動予測情報取得部と、
前記行動予測情報取得部が逐次取得した前記行動予測情報を地図情報と合わせて前記表示部へ表示させる行動予測情報表示制御部と、
を備え、
前記行動予測情報表示制御部は、前記行動予測情報取得部が取得した前記行動予測情報の変化に伴い、前記表示部の表示可能範囲に収めて前記行動予測情報を前記表示部へ表示させる、情報処理装置。
【請求項2】
前記行動予測情報表示制御部は、前記行動予測情報の変化に伴い前記表示部の表示可能範囲に収めて前記行動予測情報を前記表示部へ表示させる際に、前記表示部へ表示する地図情報の縮尺を変化させる、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記行動予測情報表示制御部は、前記表示部へ表示する地図情報の縮尺を段階的に変化させる、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記行動予測情報表示制御部は、前記行動予測情報取得部が取得した行動予測情報に含まれる行動確率を用いた重み付けによって前記行動予測情報の前記表示部への表示を制御する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記行動予測情報表示制御部は、全ての前記行動予測情報に対する前記行動確率を用いた重み付けの加算結果が所定の値を超えている場合に前記行動予測情報の前記表示部への表示を制御する、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記行動予測情報表示制御部は、前記行動予測情報取得部が取得した行動予測情報に含まれる行動確率が所定の値より低い場合にはその行動予測情報を前記表示部へ表示から除外する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
行動履歴に基づいて行動予測情報を求める行動予測部をさらに備え、
前記行動予測情報取得部は前記行動予測部が求めた行動予測情報を取得する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
行動履歴に基づいて求められる行動予測情報を逐次取得する行動予測情報取得ステップと、
前記行動予測情報取得ステップが逐次取得した前記行動予測情報を地図情報と合わせて各種情報を表示する表示部へ表示させる行動予測情報表示制御ステップと、
を備え、
前記行動予測情報表示制御ステップは、前記行動予測情報取得ステップで取得した前記行動予測情報の変化に伴い、前記表示部の表示可能範囲に収めて前記行動予測情報を前記表示部へ表示させる、行動予測表示方法。
【請求項9】
コンピュータに、
行動履歴に基づいて求められる行動予測情報を逐次取得する行動予測情報取得ステップと、
前記行動予測情報取得ステップが逐次取得した前記行動予測情報を地図情報と合わせて各種情報を表示する表示部へ表示させる行動予測情報表示制御ステップと、
を実行させ、
前記行動予測情報表示制御ステップは、前記行動予測情報取得ステップで取得した前記行動予測情報の変化に伴い、前記表示部の表示可能範囲に収めて前記行動予測情報を前記表示部へ表示させる、コンピュータプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−214948(P2011−214948A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−82337(P2010−82337)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】