説明

情報処理装置及びプログラム

【課題】ゲーテッドコミュニティ内の地点は、そもそも目的地になり得ないので、ゲーテッドコミュニティに係る案内は出力されないこと。
【解決手段】ゲーテッドコミュニティ1内の地点2が案内経路3に含まれれば、ゲーテッドコミュニティ1に設けられた出入管理ゲートの位置に係る案内4が出力される。例えば、「この先、直進すると、ゲートがあります。」との案内が出力される。他方、ゲーテッドコミュニティ1内の地点が案内経路3に含まれなければ、案内4は出力されない。案内4は、音声又は画像で出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関し、より詳しくは、ナビゲーション装置や携帯電話等に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術として、設定目的地が歩行者専用や私有地などの属性を有する進入禁止区域であれば、目的地到着判定の対象となるエリアを拡大するナビゲーション装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開2005−241561号公報(段落0007−0009)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、防犯体制を重視した街(いわゆる「ゲーテッドコミュニティ」)が普及してきている。この街の住人は、街への進入権限を持っている。また、住人の知人なども、この街への進入権限を得られるであろう。
【0004】
ところが、背景技術の下では、ゲーテッドコミュニティ内の地点は、そもそも目的地になり得ない。したがって、住人やその知人等は、ゲーテッドコミュニティに係る案内を享受できないという課題があった。特に、住人の知人は、ゲーテッドコミュニティに設けられた出入管理ゲートの位置を把握できない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る情報処理装置は、地図に定義されたゲーテッドコミュニティ内の地点が案内経路に含まれれば、ゲーテッドコミュニティに設けられた出入管理ゲートの位置を案内する処理を実行し、他方、ゲーテッドコミュニティ内の地点が案内経路に含まれなければ、前記処理を実行しない処理部を備える。本発明における字句の解釈は、次のとおりである。
【0006】
「ゲーテッドコミュニティ」とは、防犯体制を重視した街である。例えば、「ゲーテッドコミュニティ」への出入は、1又は2以上の出入管理ゲートを介してのみ可能である。「出入管理ゲート」とは、ゲーテッドコミュニティへの出入を管理するために設けられた施設である。例えば、ゲーテッドコミュニティの住人か否かは、この出入管理ゲートで行われる。
【0007】
「地図」は、ポリゴンデータ及びネットワークデータの少なくとも一方を含む。「ポリゴンデータ」は、描画処理又はポリゴン判定処理に用いられ、位置(例えば、緯度経度)及び外形を定義する。例えば、「ゲーテッドコミュニティの範囲を示すための画像」及び「出入管理ゲートの位置」は、ポリゴンデータとして用意される。「ネットワークデータ」は、探索処理又は案内処理に用いられ、道路の属性(ゲーテッドコミュニティか否か)等を定義する。地図は、配信され又は2次記憶装置(例えば、CD−ROM、ハードディスクやDVD−ROM等)に予め記憶される。また、地図は、処理時には、主記憶装置(RAM等)に記憶されている。
【0008】
「ゲーテッドコミュニティ内の地点が案内経路に含まれ」る例として、出発地、経由地又は目的地がゲーテッドコミュニティ内に設定された状態が考えられる。
【0009】
「案内」とは、何らかの出力(例えば、音声、画像、振動)によってユーザに知らせることである。特に、案内が画像で表現される場合、「出入管理ゲートに係るゲートマーク」が表示される。
【0010】
「処理部」とは、ハードウエア又はハードウエア及びソフトウエア(プログラム)の協働によって特定の処理を実現するための部位である。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、ゲーテッドコミュニティ内の地点が案内経路に含まれれば、ゲーテッドコミュニティに設けられた出入管理ゲートの位置を案内するので、ゲーテッドコミュニティの中へ案内が可能になるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係る情報処理装置を実施するための最良の形態は、図1乃至図6で示される。
【0013】
<出力例>本実施の形態に係る出力例は、図1及び図2で示される。ゲーテッドコミュニティ1内の地点2が案内経路3に含まれれば、ゲーテッドコミュニティ1に設けられた出入管理ゲートの位置に係る案内(以下、出入管理ゲート位置案内という)4が出力される(図1)。例えば、「この先、直進すると、ゲートがあります。」との案内が出力される。他方、ゲーテッドコミュニティ1内の地点が案内経路3に含まれなければ、案内4は出力されない(図2)。案内4は、音声又は画像で出力される。
【0014】
本実施の形態では、ゲーテッドコミュニティ1内の地点2が案内経路3に含まれる場合、「この先、直進すると、ゲートがあります。」との文章形式の案内が出力される(図1及び図2)。さらに、ゲートマーク5が、表示される。本実施の形態では、ゲーテッドコミュニティの範囲を示すための画像6が、表示される(図1及び図2)。これらの出力例は、以下で説明されるハードウエア構成及びソフトウエア構成によって実現される。
【0015】
<ハードウエア構成について>本実施の形態に係る情報処理装置のハードウエア構成は、図3で示される。情報処理装置10は、処理部11を少なくとも備える。処理部11には、2次記憶装置12、入力装置13、航法装置14、表示装置15及びスピーカ16が接続されている。
【0016】
処理部11は、I/O、ROM、CPUやRAMなどのコンピュータの基本要素を備える。I/Oには、入力装置13、航法装置14、表示装置15及びスピーカ16が接続される。ROMには、BIOS等の基本プログラムが記憶される。RAMには、各種プログラム、CPUの演算結果や入力値等が一時的に記憶される。
【0017】
2次記憶装置12は、ハードディスクである。2次記憶装置12には、案内制御プログラム等の各種プログラム及び地図が記憶されている。
【0018】
入力装置13は、目的地、出発地や自宅等を設定するためのものであり、リモートコントローラやタッチパネル等である。
【0019】
航法装置14は、現在地を得るためのものであり、GPS受信機、速度センサや方位センサ等である。
【0020】
表示装置15及びスピーカ16は、出入管理ゲート位置案内4等を出力するためのものである。
【0021】
<データ構造について>本実施の形態に係る地図のデータ構造は、図4で示される。地図のデータ構造は、背景21、道路22、名称23、案内24やネットワーク25等に区分されている。
【0022】
背景21、道路22及び名称23は、ポリゴンデータである。背景21には、ゲーテッドコミュニティ形状21a、施設形状21b及び海形状22cが含まれる。道路22には、道路形状22aが含まれる。名称23には、ゲーテッドマーク23a及び交差点23bが含まれる。
【0023】
案内24は、画像データ又は音声データである。案内24には、出入管理ゲート位置案内24a及び交差点案内24bが含まれる。
【0024】
ネットワーク25は、ネットワークデータである。ネットワーク25は、探索コストに反映される。ネットワーク25には、ゲーテッドコミュニティか否かを示す属性25a、道路種別25b及び車線数25cが含まれる。本実施の形態では、一般道30とゲーテッドコミュニティ31との接続リンク32には、ゲーテッドコミュニティを示す属性値が付されている(図5参照)。
【0025】
<案内制御処理について>本実施の形態に係る案内制御処理(以下、本処理という)の前提として、ゲーテッドマーク23a及び出入管理ゲート位置案内24aは、装置の起動時に、2次記憶装置12からRAMに展開される。また、経路探索処理が実行される場合、案内経路上のリンク及びノードは、それらが有する属性値とともにRAMに記憶される。
【0026】
本処理は、図6で示される。本処理は、CPUがRAMに展開された案内制御プログラムを実行することによって実現される。まず、現在地から案内経路上のノード(例えば、図5の「34」参照)までの距離Dと距離閾値D0とが比較される(S1)。
【0027】
S1で距離Dが距離閾値D0以下であれば(S1の「≦」)、案内経路上のノードに接続されるリンクに付された属性値はゲーテッドコミュニティを示すか否かについて、判定が行われる(S2)。つまり、ゲーテッドコミュニティ内の地点が案内経路に含まれるか否かについて、判定が行われる。ここでは、RAMに記憶された属性値が参照される。
【0028】
S2で案内経路上のノードに接続されるリンクに付された属性値はゲーテッドコミュニティを示すとの判定がなされれば(S2の「Yes」)、出入管理ゲート位置案内を出力する旨の制御命令が行われる(S3)。当該制御命令が行われると、音声合成アプリケーション及び描画アプリケーションが実行され、出入管理ゲート位置案内4は、RAMに記憶される出入管理ゲート位置案内24aを源泉として生成される。そして、表示装置15又はスピーカ16は、出入管理ゲート位置案内4を出力する(図1参照)。しかも、ゲートマーク5は、RAMに記憶されるゲーテッドマーク23aを源泉として生成される。そして、表示装置15は、ゲートマーク5を表示する(図1参照)。
【0029】
S1で距離Dが距離閾値D0より大きい場合(S1の「>」)又はS2で案内経路上のノードに接続されるリンクに付された属性値はゲーテッドコミュニティを示すとの判定がなされない場合(S2の「No」)、出入管理ゲート位置案内は出力されない。
【0030】
<本実施の形態における効果>本実施の形態では、ゲーテッドコミュニティ1内の地点2が案内経路3に含まれれば、出入管理ゲート位置案内4及びゲートマーク5は、出力される。したがって、ゲーテッドコミュニティの中へ案内が可能になる。
【0031】
本実施の形態では、ゲーテッドコミュニティ1内の地点2が案内経路3に含まれなければ、出入管理ゲート位置案内4及びゲートマーク5は、出力されない。したがって、ゲーテッドコミュニティ1の存在が不特定多数に知られにくくなり、ゲーテッドコミュニティ1の治安が確保される。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、ゲーテッドコミュニティの中へ案内が可能になるという効果を有し、ナビゲーション装置や携帯電話等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本実施の形態に係る出力例を示す図
【図2】本実施の形態に係る出力例を示す図
【図3】本実施の形態に係る情報処理装置のハードウエア構成を示す図
【図4】本実施の形態に係る地図のデータ構造を示す図
【図5】本実施の形態に係るネットワークの概念を示す図
【図6】本実施の形態における案内制御処理の流れを示すフロー図
【符号の説明】
【0034】
1 ゲーテッドコミュニティ
3 案内経路
4 出入管理ゲートの位置に係る案内
5 ゲートマーク
6 ゲーテッドコミュニティの範囲を示すための画像
10 情報処理装置
11 処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図に定義されたゲーテッドコミュニティ内の地点が案内経路に含まれれば、ゲーテッドコミュニティに設けられた出入管理ゲートの位置を案内する処理を実行し、他方、ゲーテッドコミュニティ内の地点が案内経路に含まれなければ、前記処理を実行しない処理部を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記処理部は、表示装置に対して前記出入管理ゲートに係るゲートマークを表示させることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記表示装置に対してゲーテッドコミュニティの範囲を示すための画像を表示させることを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
地図に定義されたゲーテッドコミュニティ内の地点が案内経路に含まれれば、ゲーテッドコミュニティに設けられた出入管理ゲートの位置を案内し、他方、ゲーテッドコミュニティが案内経路に含まれなければ、前記位置を案内しないための機能をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−241398(P2008−241398A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−80945(P2007−80945)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】