説明

情報提供装置

【課題】運転者にとっての煩わしさを低減させるために、情報提供を行った後の経過量に応じて情報提供を行う情報提供装置を提供することを課題とする。
【解決手段】
制御処理部11は、運転者への情報提供が必要な場所において前回情報提供が行われた後の経過量に応じて情報提供度合いを設定する。制御処理部11は、その場所で情報提供の度合いに応じて、運転者に情報提供を行うか否かを判定する。例えば、ある一時停止線を通る度に、その一時停止線があることを運転者に知らせるのではなく、その一時停止線があることを運転者に前回知らせた後の経過日数によって、知らせるか否かを判定する。毎回知らせることはないので、運転者に煩わしさを与えることがなくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走行する場所に応じて運転者に情報提供を行う情報提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両用のナビゲーションシステムを用い、地図データベースに記憶されている一時停止地点データを抽出した後、自車の現在位置に最も近い一時停止地点までの距離を求め、所定距離以内であると判断された場合に、一時停止予告又は減速警報を発生する装置があった。一時停止地点に接近した場合は、左右確認誘導も行われていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−046574号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来の装置は、同じ一時停止線を通過する度に減速警報等の情報提供を行うため、運転者にとって煩わしさを感じさせることがあった。
【0004】
そこで、本発明は、運転者にとっての煩わしさを低減させるために、情報提供を行った後の経過量に応じて情報提供を行う情報提供装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一局面の情報提供装置は、自車両の位置を検知する位置検知手段と、運転者への情報提供が必要な場所において、情報提供が行われた後の経過量を計測する経過量計測手段と、運転者に情報提供する際の情報提供の度合いを前記経過量に応じて設定する情報提供度合い設定手段と、前記情報提供の度合いに応じて、前記情報提供が必要な場所で前記運転者に情報提供を行う情報提供手段とを備える。
【0006】
また、前記情報提供度合い設定手段は、前記経過量の増大に連れて、前記情報提供の度合いを低く設定するように構成されてもよい。
【0007】
また、前記情報提供度合い設定手段は、前記経過量が所定値以上になると、前記情報提供の度合いを所定の度合い以上に設定するように構成されてもよい。
【0008】
また、前記情報提供度合い設定手段は、前記情報提供が必要な複数の場所の各々又はその少なくとも一部について、前記情報提供の度合いを別々に設定するように構成されてもよい。
【0009】
また、前記運転者が前記情報提供に従って運転したか否かを判定する運転状態判定手段と、前記運転状態判定手段によって運転者が情報提供に従って運転していないと判定された場合に、前記情報提供を再度行う再提供手段とをさらに備えてもよい。
【0010】
また、前記運転者が前記情報提供に従って運転したか否かを判定する運転状態判定手段と、前記運転状態判定手段によって運転者が情報提供に従って運転していないと判定された場合に、前記情報提供を行う頻度を上げるために、前記情報提供の度合いを変更する度合い変更手段とをさらに備えてもよい。
【0011】
また、前記変更手段は、情報提供が必要な複数の場所の各々又はその少なくとも一部について、前記情報提供の度合いを別々に変更するように構成されてもよい。
【0012】
また、自車両の走行環境に基づいて情報提供の必要性を判定し、自車両の走行環境に基づき情報提供が不要と判定した場合は、前記情報提供手段に情報提供を行わせない走行環境判定手段をさらに備えてもよい。
【0013】
また、前記走行環境判定手段は、自車両の進路前方において、踏切の遮断機が下りているとき、渋滞があるとき、又は、先行車が存在するときに、前記情報提供は不要と判定するように構成されてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、情報提供を行った後の経過量に応じて情報提供の度合いを設定することにより、運転者にとっての煩わしさを低減した情報提供装置を提供できるという特有の効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の情報提供装置を適用した実施の形態について説明する。
【0016】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1の情報提供装置の構成を示す図である。この情報提供装置は、自車両が運転者に対して情報提供の必要な場所にいるときに、情報提供の度合いに応じて、運転者に情報提供を行う。この情報提供の度合いは、前回その場所において情報提供処理が実行された後の経過量に応じて設定されるものであり、本実施の形態では経過量として日数を用いる。また、本実施の形態では、情報提供の要否を判定し、必要に応じて運転者に情報提供を行うこととするが、この「情報提供を行わない場合」とは、情報提供の度合いが零の場合に相当する。
【0017】
また、「情報提供」とは、例えば、一時停止線等の前で、情報提供装置が運転者に一時停止線の存在を知らせることをいう。この「情報提供」は、音声又は画像によって行われ、このような「情報提供」を行う処理を「情報提供処理」と称す。この「情報提供処理」は、情報提供装置の制御処理部によって実行される。また、以下では、例えば、一時停止線や一方通行等の道路標識又は踏切その他の運転者に対して注意を促すための情報提供が必要な地物等を「情報提供対象物」と称す。
【0018】
図1に示すように、情報提供装置10は、制御処理部11、ジャイロコンパス部12、現在位置検出部13、車速検出部14、データベース15、メモリ16、前方監視カメラ17、スピーカ18及びモニタ19を備える。
【0019】
制御処理部11は、図示しない演算処理装置やメモリ等を含み、例えば、ナビゲーション装置のECU(Electronic Control Unit)で構成することができる。この制御処理部11は、経過量計測手段、情報提供度合い設定手段、情報提供手段、運転状態判定手段、再提供手段及び変更手段としての機能を有する。
【0020】
ジャイロコンパス部12は、絶対方位を検出できるジャイロコンパスであればよく、例えば、ナビゲーション装置に含まれるジャイロコンパスであってもよい。検出された絶対方位は、方位データとして制御処理部11に送られる。
【0021】
現在位置検出部(位置検出手段)13は、GPS(Global Positioning System)信号を受信し、自車両の現在位置を絶対位置で表す位置データを出力するように構成されていればよく、例えば、ナビゲーション装置に含まれる位置検出部であってもよい。この位置データは制御処理部11に送られる。
【0022】
車速検出部14は、図示しない車速センサから送られるパルス信号に基づき、車速を検出する。検出された車速を表す車速データは、制御処理部11に送られる。
【0023】
データベース15は、例えば、ナビゲーション装置のハードディスクメモリで構成することができる。このデータベース15は、ナビゲーション装置用の電子地図を格納しており、制御処理部11がこの電子地図を読み込み可能に構成されていればよい。この電子地図は、例えば、交差点及び路線の位置データを含む道路リンク情報であればよい。
【0024】
また、このデータベース15には、運転者に情報提供を行う必要のある場所を、その位置データと情報提供対象物の種類とを関連付けた情報提供対象物データも格納されている。情報提供対象物データとは、多数の情報提供対象物の種別とその位置とを関連付けて得る集合データである。
【0025】
メモリ16は、前方監視カメラ17から制御処理部11に送られる画像データを一時的に保存するためのメモリであり、例えば、ナビゲーション装置の内部メモリで構成することができる。
【0026】
前方監視カメラ17は、車両の前方を撮影できる撮影手段であればよく、例えば、車室内のルームミラー付近に前方に向けて装着されるレーンキープ制御用のCCD(Charge Coupled Device)カメラを用いてもよい。この前方監視カメラ17で撮影された画像を表す画像データは、制御処理部11に送られる。
【0027】
スピーカ18は、制御処理部11によって運転者に情報提供処理が必要と判定されたときに、運転者に情報提供を行うために、所定の音声を出力できるものであればよい。このスピーカ18は、ナビゲーション装置のスピーカであってもよいし、オーディオシステムのスピーカを用いてもよい。
【0028】
モニタ19は、制御処理部11によって運転者に情報提供処理が必要と判定されたときに、運転者に情報提供を行うために、所定の画像を出力できるものであればよい。このモニタ19は、ナビゲーション装置のモニタであってもよい。
【0029】
図2は、実施の形態1の道路判定処理装置の制御処理部11における処理手順を示す図である。制御処理部11は、車両の運転開始によって処理を開始する。なお、この処理手順では、前回の情報提供処理からの経過量に基づいて情報提供を行うか否かを判定するための判定閾値が90日に設定されているものとする。
【0030】
制御処理部11は、情報提供対象物の有無を判定する(ステップS11)。この判定処理は、自車両の現在位置、走行中の路線及び進行方向に基づいて情報提供対象物データ内の情報提供対象物を検索し、自車両の進路における所定距離先に情報提供対象物が存在するか否かを判定することによって行われる。この所定距離は、例えば、100mに設定される。この判定処理は、情報提供対象物の存在が確認されるまで繰り返し実行される。
【0031】
なお、自車両の現在位置、走行中の路線及び進行方向を表す情報は、ジャイロコンパス部12及び現在位置検出部13から得られる方位データ及び位置データに基づいて、電子地図上における自車両の現在位置、走行中の路線及び進行方向を表す情報として検出される。これらの情報は、一般的にナビゲーション装置において用いられているものである。
【0032】
制御処理部11は、情報提供対象物が存在すると判定した場合は、その情報提供対象物についての前回の情報提供処理から90日以上経過しているか否かを判定する(ステップS12)。これは、前回の情報提供処理からの経過量を監視すべく、経過日数に基づいて情報提供の必要性を判定する処理である。
【0033】
制御処理部11は、その場所における前回の情報提供処理から90日以上経過していると判定した場合は、情報提供処理を実行し、スピーカ18に所定の音声を出力させるとともに、モニタ19にその情報提供対象物を表す標識を表示させることにより、運転者に情報提供対象物の存在を通報する(ステップS13)。この所定の音声は、情報提供対象物の種別に応じて異なり、情報提供対象物が一時停止線である場合は、「この先に一時停止線があります」等の運転者に対して一時停止線の存在を通報する内容であればよい。なお、このときモニタ19の片隅には、一時停止を表す「とまれ」の標識が表示される。
【0034】
このように、前回の情報提供処理から89日目までは、その場所における情報提供処理は実行されないことになる。通常、90日未満であれば、前回実行された情報提供処理により、その場所に一時停止線があることを覚えていると考えられ、運転者に煩わしさを与えないようにするためである。なお、この判定閾値は任意の値に設定可能であり、また、車両の使用者が好みに応じて任意に設定できるように構成されていてもよい。
【0035】
なお、このように運転者に情報提供を行う場合に、経過日数が所定の日数以上である場合は、スピーカ19の出力を所定レベル以上にするように設定してもよい。経過量が所定値以上である場合に、情報提供の度合いを所定の度合い以上にすることにより、その場所で長期間情報提供が行なわれていなかった運転者に、一時停止線の存在を強く印象づけるためである。
【0036】
次いで、制御処理部11は、自車両が情報提供対象物に到達する所定時間前に、運転者が情報提供の内容に従って運転しているか否かを判定する(ステップS14)。これは、ステップS13による情報提供処理の後に、運転者が情報提供の内容に従って運転しているか否かを判定することにより、情報提供の内容に従った運転をしていない運転者に注意を喚起するために、情報提供を再度行う必要があるか否かを判定する処理である。例えば、情報提供対象物が一時停止線の場合は、現在位置検出部13と車速検出部14から得られる位置データ及び車速データによって、自車両が一時停止線に到達すると予想される時刻を予測し、その3秒前に、車速が所定値以上であるかを判定する。
【0037】
ここで、一時停止線の位置は、現在位置検出部13から得られる位置データと情報提供対象物データとを照合することによって特定されてもよいし、ステップS11で自車両の100m先にある情報提供対象物を認識した時点からの経過時間と車速データとに基づいて特定されてもよい。
【0038】
なお、制御処理部11は、ステップS12において、その場所における前回の情報提供処理から90日以上経過していないと判定した場合は、手順をステップS14に進行させ、運転者の運転状況を監視する。ステップS13における情報提供を行わない場合にも、運転者が情報提供の内容に従って運転しているか否かを監視するためである。
【0039】
次いで、制御処理部11は、情報提供を再度行う(ステップS15)。これは、二度目の情報提供であり、運転者に注意を喚起するための処理である。このため、ステップS13における情報提供の場合よりも音量を大きく、又は、モニタ19に表示させる標識を大きくしてもよいし、あるいは、より強い口調で「この先、一時停止です」との音声案内を出力するようにしてもよい。
【0040】
次いで、制御処理部11は、情報提供対象物がある位置を通過したときの運転者の運転状況を判定する(ステップS16)。これは、運転者が道路標識等(情報提供対象物)に従って運転したか否かを判定する処理であり、情報提供対象物が一時停止線である場合は、その一時停止線で一時停止をしたか否かを判定すればよい。この一時停止を行ったか否かの判定は、例えば、一時停止線の手前の約1m以内で車速が所定速度以下になったか否かを判定することによって行えばよい。
【0041】
制御処理部11は、ステップS16において、運転者が道路標識等に従って運転したと判定した場合は、ステップS12において経過量を判定する際に用いる閾値を増大させる(ステップS17)。これは、道路標識等に従って運転した運転者に、ステップS13における情報提供を行う頻度を減らすためである。なお、このような閾値は、その情報提供対象物の位置データと関連付けてデータベース15に登録しておけばよく、このような閾値の変更は、情報提供対象物データに含まれる多数の情報提供対象物の各々について、別々に行えるものである。
【0042】
制御処理部11は、車両の走行が終了したか否かを判定する(ステップS18)。この判定処理は、例えば、イグニッションのオフを検知することによって実行される。
【0043】
制御処理部11は、イグニッションがオフにされた場合は、処理を終了する。イグニッションがオフにされていない場合は、手順をステップS11にリターンし、一連の処理を繰り返し実行する。
【0044】
また、制御処理部11は、ステップS14において、車両が情報提供対象物に到達する所定時間前に、運転者が情報提供の内容に従って運転していると判定した場合は、手順をステップS16に進行させる。これは、運転者が情報提供の内容に従って運転している場合においても、最終的に道路標識等に従って運転したか否かを判定するためである。
【0045】
また、制御処理部11は、ステップS16において、運転者が道路標識等に従って運転しなかったと判定した場合は、ステップS12において経過量を判定する際に用いる閾値を低減させる(ステップS19)。これは、道路標識などに従って運転しなかった運転者にステップS13における情報提供を行う頻度を上げるためである。なお、このような閾値の変更は、情報提供対象物データに含まれる多数の情報提供対象物の各々について、別々に行える。
【0046】
制御処理部11は、ステップS19における処理を終えると、手順をステップS18に進行させ、車両の走行が終了したか否かを判定する。
【0047】
このように、本実施の形態の情報提供装置によれば、一時停止線等の存在を運転者に知らせる前回の情報提供処理の後の経過量が次回処理を行うまでの閾値に達した場合に、情報提供処理を実行するので、日常的に同じ場所を何度も走行する運転者に煩わしさを与えることなく、かつ、前回の情報提供から所定の日数が経過したときに運転者に確実に情報提供を行うことのできる情報提供装置を提供することができる。従来のナビゲーション装置のように、運転者に提供するための情報の種類が少ない場合は運転者に鬱陶しさを与えることが問題になりにくいが、今後、運転者に提供する情報の種類が増大するにつれ、本実施の形態の情報提供装置によって運転者にもたらされる効果は益々増大する。
【0048】
なお、自車両の現在位置の検出精度を向上させるために、例えば、情報提供対象物データに、情報提供対象物の所定距離手前に存在する標識等の地物とその位置データとを関連付けて登録しておき、車両の後方を監視するCCDカメラを用いて情報提供対象物の所定距離手前の標識を認識することにより、一時停止線等の位置の検出精度を向上させるように構成してもよい。このように車両の後方を監視するCCDカメラとしては、例えば、車両のテールゲート等に後方に向けて装着されるバックモニタ用のカメラが用いてもよい。
【0049】
また、以上では、データベース15に登録した情報提供対象物データを用いて一時停止線等の情報提供対象の存在の有無を判定する形態について説明したが、情報提供対象物データをデータベース15に登録せず(備えず)に、前方監視カメラ17から出力される画像データに基づいて情報提供対象物を判定するように構成してもよい。一時停止線や道路標識は、画像データに対してパターン認識等の処理を行うことによって識別可能だからである。
【0050】
また、路車間通信によって情報提供対象物の検知が可能な場合は、道路側の通信機から得る信号を車両側の通信機で受信し、受信した信号に基づいて一時停止線等の情報提供対象の存在の有無を判定するように構成してもよい。
【0051】
また、以上では、情報提供対象物の具体例として一時停止線を用いて説明したが、一方通行の出口や急カーブの入口等の様々な情報提供対象物の手前においても、上述の一時停止線の場合と同様に情報提供を行うことができる。
【0052】
また、以上では、前回の情報提供の後の経過日数に基づいて次回の情報提供処理を行うか否かを判定する形態について説明したが、「前回の情報提供処理の後の経過量に応じて設定される情報提供の度合い」は、このような形態に限定されるものではない。
【0053】
例えば、各情報提供対象物の情報提供処理の実行回数を積算し、実行回数の積算値が所定値以上になったときに、その情報提供対象物についての情報提供処理を実行しないように構成してもよい。これは、例えば、ある一時停止線についての運転者への情報提供処理の実行回数を積算し、所定回数(例えば3回)に達した場合は、以後は情報提供処理を実行しないようにする処理である。情報提供装置によって何度も情報提供が行われている場所は、運転者によって十分に認識されている可能性が高く、そのような場合に情報提供処理を実行しないことにより、運転者に煩わしさを与えずに済むからである。
【0054】
また、この場合は、上述したステップS16における処理のように、情報提供処理を不実行とするための判定基準となる実行回数を、運転者の運転状況の監視結果に基づいて、減じるように構成してもよい。
【0055】
また、以上では、運転者の運転状況の評価結果に基づいて、判定閾値を増減させる携帯について説明したが、判定閾値を固定して、経過量を増減させることによって、情報提供処理の頻度を変更させてもよい。
【0056】
また、以上では、一時停止線の手前で車速が所定速度以下になったか否かを判定する形態について説明したが、運転者が一時停止線の手前で自車両を完全に停止させたか否かを判定するために、一時停止線の手前で車速が零になったか否かを判定するように構成してもよい。情報提供対象物が一時停止線である場合は、一時停止線の手前で車速が零になったことを監視することにより、自車両及び周辺を走行する車両のより高い安全性が確保されるからである。
【0057】
また、以上では、自車両が情報提供対象物に到達する所定時間前に、車速が所定速度以下になったか否かを判定することによって運転者に再度の情報提供を行うか否かを判定する形態について説明したが、車速に基づく判定に代えて、又は、車速に基づく判定に加えて、アクセル開度が所定開度以上であるか否か、又は、ブレーキのかかり具合が所定の度合い以下であるか否かを判定することによって、再度の情報提供処理を実行するように構成してもよい。自車両が無理なく道路標識等に従って運転されるように、運転者に注意を喚起するためである。
【0058】
また、自宅等の車両の保管場所からの距離に応じて、各情報提供対象物についてステップS12における判定閾値(所定の経過量)を変えてもよい。例えば、自宅等から1Km未満の情報提供対象物の判定閾値は90日、自宅等から1Km以上で5Km未満の情報提供対象物の判定閾値は60日、自宅等から5Km以上で10Km未満の情報提供対象物の判定閾値は30日、自宅等から10Km以上で20Km未満の情報提供対象物の判定閾値は10日、自宅等から20Km以上の情報提供対象物の判定閾値は0日(毎回情報提供を行う)等のように、自宅等からの距離に応じて各情報提供対象物における判定閾値を設定してもよい。一般に、自宅等から近いほど、運転者が地理に詳しく、一時停止線等の情報提供対象物の存在を把握している可能性が高いからである。
【0059】
また、このような距離に応じて設定する判定閾値を運転者が標識に従ったか否かによって減じてもよい。
【0060】
さらに、運転者への情報提供処理の実行回数の積算値についても、自宅等からの距離に応じた同様の判定処理を行うように構成してもよい。
【0061】
また、以上では、情報提供の度合いが零の場合を「情報提供を行わない場合」とし、情報提供の要否を判定する形態について説明したが、このような判定処理を行わずに、経過量に応じて情報提供の度合いを増減させるように構成してもよい。例えば、経過日数に応じて、スピーカ18から出力する音量を小さくすることにより、又は、モニタ19に表示させる道路標識の画像の大きさを小さくすることによって、経過量に応じて情報提供の度合いを小さくすることとしてもよい。また、この場合、経過量が所定値以上になった場合に、情報提供の度合いが零に設定されるようにしてもよい。
【0062】
[実施の形態2]
図3は、実施の形態2の情報提供装置の構成を示す図である。
【0063】
図3に示すように、情報提供装置20は、制御処理部21、ジャイロコンパス部22、現在位置検出部23、車速検出部24、データベース25、メモリ26、前方監視カメラ27、スピーカ28、モニタ29及び VICS(Vehicle Information & Communication System)受信機30を備える。
【0064】
この情報提供装置20のジャイロコンパス部22乃至モニタ29は、それぞれ実施の形態1の情報提供装置20のジャイロコンパス部12乃至モニタ19と同一のものであり、制御処理部21は、所定の条件下で、実施の形態1における制御処理部11と同様の情報提供処理を実行する。このため、以下では、実施の形態1との重複説明を避け、相違点について説明する。なお、この制御処理部21は、位置検知手段、経過量計測手段、情報提供度合い設定手段、情報提供手段、運転状態判定手段、再提供手段及び変更手段としての機能に加えて、走行環境判定手段としての機能を含む。
【0065】
本実施の形態の情報提供装置20に含まれるVICS受信機30は、電波ビーコン、光ビーコン又はFM多重放送により発信されるVICS情報を受信できるものであればよい。このVISC情報は、渋滞情報(渋滞の区間と距離)の他、渋滞区間の所要時間、交通規制、速度規制、チェーン規制、駐車場情報、地震・津波等の緊急情報等が含まれてもよい。
【0066】
図4は、実施の形態2の道路判定処理装置の制御処理部21における処理手順を示す図である。制御処理部21は、車両の運転開始によって処理を開始する。
【0067】
制御処理部21は、現在位置検出部23から得られる位置データと地図データに基づき、踏切があるか否かを判定する(ステップS20A)。
【0068】
制御処理部21は、踏切があると判定した場合は、前方監視カメラ27から得られる画像データに基づき、遮断機が下りているか否かを判定する(ステップS20B)。これは、進路前方に遮断機が下りていれば、運転者は進路前方の様々な情報に気付いていると思われるため、一時停止線等の情報提供対象物の有無を判定しない(ひいては情報提供を行わない)ようにするために判定を行うものである。なお、遮断機が降りていることは、画像データをパターン認識することによって実現される。
【0069】
制御処理部21は、遮断機が下りていないと判定した場合は、VICS受信部30から得られるVICS情報に基づき、進路前方に渋滞があるか否かを判定する(ステップS20C)。これは、進路前方に渋滞があれば、運転者は進路前方の様々な情報に気付いていると思われるため、一時停止線等の情報提供対象物の有無を判定しない(ひいては情報提供を行わない)ようにするために判定を行うものである。
【0070】
制御処理部21は、渋滞がないと判定した場合は、進路前方に車両がいるか否かを判定する(ステップS20D)。これは、進路前方に車両があれば、運転者は進路前方の様々な情報に気付いていると思われるため、一時停止線等の情報提供対象物の有無を判定しない(ひいては情報提供を行わない)ようにするために判定を行うものである。
【0071】
制御処理部21は、進路前方に車両がいると判定した場合は、その車両との距離が所定距離以内であるか否かを判定する(ステップS20E)。これは、前方の車両が自車両から離れている場合には、運転者が前方車両に気付いていない場合があるため、所定距離以内である場合に、一時停止線等の情報提供対象物の有無を判定しない(ひいては情報提供を行わない)ようにするために判定を行うものである。なお、ここで判定閾値となる所定距離は、例えば、50mに設定することができる。この所定距離は、車速に応じて長くとるように設定されてもよい。
【0072】
制御処理部21は、進路前方の車両との距離が所定距離以下であると判定した場合は、情報提供対象物の有無を判定することなく、車両の走行が終了したか否かを判定する(ステップS28)。この判定処理は、実施の形態1におけるステップS18と同一の処理であり、例えば、イグニッションのオフを検知することによって実行される。
【0073】
また、ステップS20Bで遮断機が下りていると判定した場合、又は、ステップS20Cで渋滞があると判定した場合においても、制御処理部21は、手順をステップS28に進行させ、情報提供対象物の有無を判定することなく(情報提供を行うことなく)、車両の走行が終了したか否かを判定する(ステップS28)。
【0074】
また、ステップS20Dで進路前方に車両がいないと判定した場合、又は、ステップS20Eで進路前方の車両との距離が所定距離よりも長いと判定した場合は、制御処理部21は、情報提供対象物の有無を判定する(ステップS21)。この判定処理は、実施の形態1におけるステップS11と同一の処理である。
【0075】
以下は、ステップS22乃至ステップS29による処理が実行される。これらは、実施の形態1におけるステップS12乃至ステップS19と同一内容のステップであるため、その説明を省略する。なお、制御処理部21は、ステップS28において、イグニッションがオフにされていないと判定した場合は、手順をステップS20Aにリターンし、一連の処理を繰り返し実行する。
【0076】
なお、ステップS20A乃至ステップS20F、ステップS21及びステップS23の処理手順は、図5に示す処理手順のように、ステップS20A乃至ステップS20Hとして独立して行うことも可能なものである。ここで、ステップS20Fは、図4に示すステップS28と同一の処理であり、ステップS20Gは、図4に示すステップS21と同一の処理であり、ステップS20Hは、図4に示すステップS23と同一の処理である。
【0077】
このように、本実施の形態の情報提供装置によれば、進路前方で遮断機が下りている場合、進路前方に渋滞がある場合、又は、進路前方に車両がいる場合等のように、運転者が進路前方の様々な情報に気付いていると思われる場合には、情報提供を行わないため、運転者に煩わしさを与えることのない情報提供装置を提供することができる。
【0078】
以上では、進路前方で遮断機が下りている場合、進路前方に渋滞がある場合、又は、進路前方に車両がいる場合に、情報提供処理を行わない形態について説明したが、本実施形態の情報提供装置の処理内容は、このような処理に限定されるものではない。
【0079】
例えば、以上の処理に加えて、あるいは、いずれかの処理に代えて、自車両のヘッドライトが点灯されていない場合に情報提供処理を行わないようにしてもよい。また、これとは逆に、ヘッドライトが点灯されている場合に情報提供処理を行うようにしてもよい。
【0080】
また、ワイパーが作動されている場合に情報提供処理を行わないようにしてもよい。また、ヘッドライトが点灯されている場合に情報提供処理を行わないようにしてもよい。また、濃霧注意報又は警報を受信した場合に情報提供処理を行わないようにしてもよい。また、自車両がスクールゾーンにいて、かつ、学生の登下校時間帯である場合に情報提供処理を行うようにしてもよい。
【0081】
以上、本発明の例示的な実施の形態の情報提供装置について説明したが、本発明は、具体的に開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明の情報提供装置は、ナビゲーション装置搭載車両に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】実施の形態1の情報提供装置の構成を示す図である。
【図2】実施の形態1の道路判定処理装置の制御処理部における処理手順を示す図である。
【図3】実施の形態2の情報提供装置の構成を示す図である。
【図4】実施の形態2の道路判定処理装置の制御処理部における処理手順を示す図である。
【図5】実施の形態2の変形例の道路判定処理装置の制御処理部における処理手順を示す図である。
【符号の説明】
【0084】
10、20 情報提供装置
11、21 制御処理部
12、22 ジャイロコンパス部
13、23 現在位置検出部
14、24 車速検出部
15、25 データベース
16、26 メモリ
17、27 前方監視カメラ
18、28 スピーカ
19、29 モニタ
30 VICS受信機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の位置を検知する位置検知手段と、
運転者への情報提供が必要な場所において、情報提供が行われた後の経過量を計測する経過量計測手段と、
運転者に情報提供する際の情報提供の度合いを前記経過量に応じて設定する情報提供度合い設定手段と、
前記情報提供の度合いに応じて、前記情報提供が必要な場所で前記運転者に情報提供を行う情報提供手段と
を備える情報提供装置。
【請求項2】
前記情報提供度合い設定手段は、前記経過量の増大に連れて、前記情報提供の度合いを低く設定する請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記情報提供度合い設定手段は、前記経過量が所定値以上になると、前記情報提供の度合いを所定の度合い以上に設定することを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記情報提供度合い設定手段は、前記情報提供が必要な複数の場所の各々又はその少なくとも一部について、前記情報提供の度合いを別々に設定する、請求項2又は3に記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記運転者が前記情報提供に従って運転したか否かを判定する運転状態判定手段と、
前記運転状態判定手段によって運転者が情報提供に従って運転していないと判定された場合に、前記情報提供を再度行う再提供手段と
をさらに備える請求項1乃至4のいずれかの項に記載の情報提供装置。
【請求項6】
前記運転者が前記情報提供に従って運転したか否かを判定する運転状態判定手段と、
前記運転状態判定手段によって運転者が情報提供に従って運転していないと判定された場合に、前記情報提供を行う頻度を上げるために、前記情報提供の度合いを変更する度合い変更手段と
をさらに備える請求項1乃至4のいずれかの項に記載の情報提供装置。
【請求項7】
前記変更手段は、情報提供が必要な複数の場所の各々又はその少なくとも一部について、前記情報提供の度合いを別々に変更する、請求項6に記載の情報提供装置。
【請求項8】
自車両の走行環境に基づいて情報提供の必要性を判定し、自車両の走行環境に基づき情報提供が不要と判定した場合は、前記情報提供手段に情報提供を行わせない走行環境判定手段をさらに備える、請求項1乃至7のいずれかの項に記載の情報提供装置。
【請求項9】
前記走行環境判定手段は、自車両の進路前方において、踏切の遮断機が下りているとき、渋滞があるとき、又は、先行車が存在するときに、前記情報提供は不要と判定する請求項8に記載の情報提供装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−164505(P2008−164505A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−356068(P2006−356068)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】