説明

感光性樹脂凸版組成物およびそれからなる感光性樹脂凸版材

【課題】
製版工程における水現像性と画像再現性に優れた感光性樹脂組成物およびそれから得られる感光性樹脂凸版材を提供すること。
【解決の手段】
(1) 少なくとも可溶性合成高分子化合物、光重合性不飽和化合物、光重合開始剤を基本成分とする感光性樹脂凸版組成物であって、該可溶性高分子化合物が、(A) 主鎖に対してメチル基が分岐した炭素数が6〜9の脂肪族ジアミン、(B)ピペラジン環を有するジアミン及び(C)ジイソシアネート化合物との反応で得られる付加重合体であることを特徴とする感光性樹脂組成物。(2)前記可溶性高分子化合物が(A)成分を全ジアミン量[(A)+(B)]に対して20%〜50重量%含有することを特徴とする(1)に記載の感光性樹脂組成物。(3)(1)又は(2)に記載の感光性樹脂凸版組成物から得られる感光性樹脂凸版材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高性能な感光性樹脂凸版材に関するものであり、より詳しくは、製版工程の現像性に優れ且つ微細な独立点や網点の再現性を有する感光性樹脂組成物およびそれから得られる感光性樹脂凸版材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、印刷版に用いられる感光性樹脂凸版組成物として、一般に、可溶性高分子化合物、光重合性不飽和基含有モノマーおよび光重合開始剤を必須成分として含有し、必要に応じて、安定剤、可塑剤等の添加剤が配合されている。
【0003】
従来、この感光性樹脂組成物層に透明な画像部を有するネガフィルム(またはポジフィルム)を通して活性光線を照射し、露光部の感光層を硬化させた後、非露光部の感光層を適当な溶剤で溶解除去する製版工程により、印刷用のレリーフ版を作成することは広く知られている。
【0004】
前記の感光性樹脂組成物としては可溶性ポリアミド、ポリエーテルウレアウレタン、完全鹸化または部分鹸化ポリ酢酸ビニルなどを可溶性ポリマーとして使用するものが提案されており、可溶性ポリアミドやポリエーテルウレアウレタンを使用する感光性凸版組成物は耐摩耗性に優れるために特に好ましく使用される。それらの感光性樹脂凸版組成物を用いた感光性樹脂凸版材では、感光性樹脂層を高反発弾性化した感光性樹脂凸版材(特許文献1、特許文献2)では高速印刷適性を改善し、感光性樹脂層を多層化した感光性樹脂凸版材(特許文献3)ではレリーフ形状をシャープにすることで印刷時の太りを改善している。
しかしなから、最近では感光性樹脂凸版材に対するユーザーの要求が、短い露光時間で微細なパターンを再現する方向へ進んでおり、最小細線保持は50μから30μ以下へと変化してきている。また、写真の印刷等に使用する最小ハイライトについても150線の3%からさらに細かな200線1%を要求されるようになっている。
それらの要求に対応する従来技術としては、感光樹脂層の紫外線透過率を特定の範囲にした感光性樹脂凸版材(特許文献4)や光透過率の異なる多層構造の感光性樹脂凸版材(特許文献5)などがあげられるが、性能とコストを満足するのではなかった。又、30μ細線と200線1%の網点を再現できる水現像型感光性フレキソ印刷用原版(特許文献6)も提案されているが、水性インキに限定されるために油性インキを用いる感光性樹脂凸版材には使用できるものではなかった。
【特許文献1】特開平04−97154号公報
【特許文献2】特開平05−11447号公報
【特許文献3】特開平06−313966号公報
【特許文献4】特開平10−63967号公報
【特許文献5】特開2002−23349号公報
【特許文献6】特開2001−5172号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたものであり、油性インキを使用する感光性樹脂凸版材において、製版時における水現像性と画像再現性に優れた感光性樹脂凸版組成物およびそれからなる感光性樹脂凸版材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明らは、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、油性インキを使用する感光性樹脂凸版材において、特定のジアミン成分とジイソシアネート成分との付加重合体を含有した感光性樹脂組成物を用いることにより、優れた水現像性を保持しながら高画像再現性を得られるとの知見を得、該知見に基づいて本発明を完成させた。即ち、本発明は、(1) 少なくとも可溶性合成高分子化合物、光重合性不飽和化合物、光重合開始剤を基本成分とする感光性樹脂凸版組成物であって、該可溶性高分子化合物が、(A) メチル基が分岐した炭素数が6〜9の脂肪族ジアミン、(B)ピペラジン環を有するジアミン及び(C)ジイソシアネート化合物との反応で得られる付加重合体であることを特徴とする感光性樹脂組成物。(2)前記可溶性高分子化合物が(A)成分を全ジアミン量[(A)+(B)]に対して20%〜50重量%含有することを特徴とする(1)に記載の感光性樹脂組成物。(3)(1)又は(2)に記載の感光性樹脂凸版組成物から得られる感光性樹脂凸版材。
【発明の効果】
【0007】
本発明の感光性樹脂凸版組成物により、短時間の露光時間で、従来にない高精細な印刷画像が形成される凸版印刷用感光性樹脂版材を提供できるので、産業界に寄与すること大である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の感光性樹脂組成物は、該可溶性合成高分子化合物としてジアミンとジイソシアネート化合物との反応で得られる付加重合体ポリエーテルウレアウレタン樹脂を該可溶性合成高分子化合物に用い、該可溶性合成高分子化合物、光重合性不飽和化合物および光重合開始剤を必須とし、必要に応じて安定剤や可塑剤などの添加剤が含有されて、なるものである。
【0009】
本発明に用いるジアミンは、水現像性と画像再現性の両者を満足するためには疎水性ジアミンとしてメチル基が分岐した炭素数が6〜9のジアミンと親水性ジアミンとしてピペラジン環を有するジアミンとを併用するものである。主鎖に対してメチル基が分岐した炭素数が6〜9の脂肪族ジアミンの例としては、2−メチルペンタメチレンジアミン、2−メチルヘキサメチレンジアミン、2,2,4− 或は2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンなどが挙げられるが、その中でも特に2−メチルペンタメチレンジアミンが好ましい。分岐していないジアミンを用いた場合は得られた付加重合体の結晶性が大きくなるために水現像性が大幅に低下し、好ましくない。又、炭素数が6未満のジアミンでは結晶性が低すぎるためにポリマー物性が悪く、炭素数が9を超えたジアミンでは疎水性増大によって現像性が低下し、好ましくない。
【0010】
ピペラジン環を有するジアミンの例としては、N,N’−ビス(アミノエチル)−ピペラジン、N,N’−ビス(γ−アミノプロピル)ピペラジン、N,N’−ジ(アミノペンチル)ピペラジンであり、好ましくは好ましくN,N’−ビス(γ−アミノプロピル)ピペラジンである。主鎖に対してメチル基が分岐した炭素数が6〜9のジアミンの含有率は水現像性と画像再現性の両者を満足するために全ジアミンに対して20〜50重量%の範囲が適当であり、好ましくは25〜45重量%の範囲が適当であり、さらに好ましくは30〜40重量%の範囲である。20重量%未満では画像再現性が悪く水現像時間が長く、又50重量%より多い場合は画像再現性が悪く好ましくない。
【0011】
前記ジイソシアネート化合物は、公知のジイソシアネートをそのまま使用しても良いが、水現像性及び画像再現性の面からジイソシアネート原料と等モル以下のポリオキシアルキレングリコールとを反応させて得られる両末端にイソシアネート基を有するジイソシアネート化合物であることが好ましい。ポリアルキレングリコールと反応して得られるジイソシアネート化合物の製造方法は従来公知の方法を利用出来る。即ち両者を無溶剤の状態で混合・撹拌下に反応させる方法、両者を不活性溶剤に溶解させて反応させる方法などがあげられる。反応温度、反応時間などは、両者の反応性や熱安定性などを考慮して最適条件を決めるべきである。またジイソシアネートの使用比率はポリオキシアルキレングリコールに対して2.0 モル以上、特に2.05モル以上が望ましい。
【0012】
一方、ジイソシアネート化合物の原料であるジイソシアネートとしては公知の脂肪族、脂環族、芳香族のジイソシアネートの使用が可能である。例えば2,4 −トリレンジイソシアネート、2,6 −トリレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ジアニシジンイソシアネート、3,3'−ジトリレン−4,4'−ジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、1,3 −シクロヘキサンジメチルイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トランスビニレンジイソシアネート、2,6 −ジイソシアネートメチルカプロエート、ジフェニルエーテル−4,4'−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられるが、保存安定性や反応性の面から脂肪族ジイソシアネートが好ましく、特にヘキサメチレンジイソシアネートやイソホロンジイソシアネートが好ましい。
【0013】
本発明において用いられる付加重合体は光重合性不飽和化合物との相溶性より分子鎖中のポリオキシアルキレングリコール成分を含有していることが好ましく、さらに水現像性の面よりポリエチレンアルキレングリコールであることが好ましい。ポリエチレングリコール成分の含有率は40〜60重量%の範囲内にあることが好ましく、さらに好ましくは45〜55重量%の範囲である。ポリオキシエチレングリリコール成分の含有率が40重量%未満では安定した水現像性が満足できず、好ましくない。一方、ポリオキシエチレングリコール成分の含有率が60重量%を超えると親水性が大きくなりすぎるために画像再現性が低下するので好ましくない。
【0014】
本発明において用いられる付加重合体は分子鎖中のポリオキシエチレングリコール成分の含有率を40〜60重量%の範囲内に設定する方法としては、使用するポリオキシエチレングリコール成分の分子量により設定が可能である。ポリエチレングリコールの分子量を大きくすれば、ポリエチレングリコールの含有率が増加し、反対に分子量を下げることでポリエチレングリコールの含有率を下げることが可能である。
【0015】
本願発明の付加重合体を得るためのジアミンとイソシアネート化合物との反応比率アミノ基/イソシアネート基(当量比)は1.0 以上、望ましくは1.02以上である。この場合過剰の末端アミノ基が未反応のまま残存しても、それを用いた組成物の性能、物性などに悪影響を及ぼさない限り特にさしつかえない。またアミノ基/イソシアネート基(当量比)が1.0未満の場合はゲル化などの不都合な反応が起こりやすいので好ましくない。アミンとイソシアネートとの反応性は極めて大きいため両者の反応は水、メタノールなどのアルコール類、あるいは水とアルコール類との混合物などの活性溶剤中でも可能であり、かつ反応は速やかに完了する。また両者の反応は、その系に合った最適条件下で行なわれるべきであるが、比較的低温、たとえば室温においても速やかに反応する。
【0016】
本発明において得られる可溶性高分子化合物は、その主鎖の塩基性第3級窒素原子を四級化剤と反応させ、アンモニウム塩型窒素原子を有する可溶性高分子化合物なるので、水溶性の面から好ましい。四級化剤としては公知の有機酸の使用が可能であり、脂肪族有機酸、芳香族有機酸が使用可能である。有機酸の具体的例は、脂肪族有機酸としてはメタクリル酸、アクリル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グリコール酸、乳酸など、芳香族有機酸としては安息香酸、イソフタル酸などが挙げられるが、水溶性の面から脂肪族有機酸が好ましい。
【0017】
本発明で用いる可溶性高分子化合物の使用量は、全組成物中50〜65量%である。充填ポリマーの使用量が50重量%未満では十分な現像性や物性が得られず、65重量%を超えると光硬化性が悪くなり画像再現性が低下するので好ましくない。水現像性と画像再現性の両者を満足するためには、好ましくは55〜65%であり、さらに好ましくは55〜60%である。
【0018】
本発明で用いる光重合性不飽和化合物とは、分子内に光重合可能な不飽和基を2個以上含有する化合物が好ましく、公知のものが使用出来る。このような化合物としてはグリセリンジメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート、1,3 −プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4 −ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6 −ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェイト、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸と(メタ)アクリル酸とのトリエステル、多価アルコールのポリグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との開環付加反応生成物、例えば(ポリ)エチレングリコールジグシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応生成物、(ポリ)プロピレングリコールのジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応生成物、1,6 −ヘキサメチレングリコールのジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応生成物、グリセリンジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応生成物、トリメチロールエタントリグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応生成物、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応生成物、イソフタル酸ジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応生成物、イソプレンオリゴマーのジカルボン酸のジグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との反応生成物、その他の活性水素化合物とグリシジル(メタ)アクリレートとの開環付加反応生成物、例えば(ポリ)エチレングリコールとグリシジル(メタ)アクリレートとの反応生成物、(ポリ)プロピレングリコールとグリシジル(メタ)アクリレートとの反応生成物、グリセリンとグリシジル(メタ)アクリレートとの反応生成物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとグリシジル(メタ)アクリレートとの反応生成物、トリメチロールエタンとグリシジル(メタ)アクリレートとの反応生成物、トリメチロールプロパンとグリシジル(メタ)アクリレートとの反応生成物、(メタ)アクリル酸とグリシジル(メタ)アクリレートとの反応生成物、脂肪族多価カルボン酸とグリシジル(メタ)アクリレートとの反応生成物、芳香族多価カルボン酸とグリシジル(メタ)アクリレートとの反応生成物、第1級または第2級アミノ基を有する化合物とグリシジル(メタ)アクリレートとの反応によって得られる2個以上の不飽和基を有する化合物、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−エチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−プロピレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−m −フェニレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−m −キシリレンビス(メタ)アクリルアミド、ジ(メタ)アクリルアミド−N−メチルエーテル、1,3 −ビス[(メタ)アクリロイルアミノメチル]尿素、およびその誘導体、1,3 −[ビス(メタ)アクリロイルアミノメチル]−1,3 −ジメチル尿素およびその誘導体、1,3 −[ビス(メタ)アクリロイルアミノメチル]エチレン尿素およびその誘導体、1,3 −[ビス(メタ)アクリロイルアミノメチル]トリメチレン尿素およびその誘導体、トリアクリルホルマール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸のトリ(メタ)アクリレート、1,3 −ジグリシジル,5−メチル,5エチルヒダントインなどの不飽和結合を2個以上有する化合物が挙げられるが、それらの中で画像再現性と現像性の面からグリセリン骨格が好ましく、特にグリセリンジメタクリレートや2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレートが好ましい。
【0019】
前記光重合性不飽和化合物は単独で使用しても良いが、2種以上を併用してもよい。該光重合性不飽和化合物の使用量は組成物中の充填ポリマー100重量部に対して、10〜150重量部、特に好ましくは30〜100重量部である。光重合性不飽和化合物の使用量が10重量部未満であると、露光部の溶剤に対する耐性が充分でないために画像再現性が悪く、また100重量部を超えると露光後の組成物の機械的強度低下や現像性低下が起こるので好ましくない。
【0020】
光重合開始剤としては公知のものが使用可能であり、具体的には、例えば、ベンゾフェノン類、ベンゾイン類、アセトフェノン類、ベンジル類、ベンゾインアルキルエーテル類、ベンジルアルキルケタール類、アンスラキノン類、チオキサントン類などが使用できる。好適な具体例としては、ベンゾフェノン、ベンゾイン、アセトフェノン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、アンスラキノン、2−クロロアンスラキノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントンなどが挙げられる。これらは感光性樹脂組成物中に0.05〜5重量%含有させるのが好ましい。0.05重量%より少ないと光重合開始能力に支障をきたし、5重量%より多いと印刷用レリーフを作成する場合の生版の厚み方向の光硬化性が低下し、画像の欠けが起こりやすくなる。
【0021】
また、必要により公知の熱重合禁止剤を添加してもよい。熱重合禁止剤は、感光性樹脂凸版組成物の調合、製造、成形加工時などの加熱による予定外の熱重合、あるいは該組成物の保存中の暗反応を防止するために添加する。このような化合物の例としては、ハイドロキノン、モノ−tert−ブチルハイドロキノン、2,5 −ジ−tert−ブチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテルなどのハイドロキノン類、ベンゾキノン、2,5 −ジフェニル−p−ベンゾキノンなどのベンゾキノン類、フェノール類、カテコール、p−tert−ブチルカテコールなどのカテコール類、芳香族アミン化合物類、ビクリン酸類、フェノチアジン、α−ナフトキノン類、アンスラキノン類、ニトロ化合物類、イオウ化合物類などが挙げられる。熱重合禁止剤の使用量は全組成物中、0.001 〜2 重量%、特に好ましくは0.005 〜1重量%である。これらの化合物は2種以上併用してもよい。
【0022】
本発明の感光性樹脂組成物は、印刷用レリーフ版を得る場合の溶融成形法の他、例えは、熱プレス、注型、或いは、溶融押出し、溶液キャストなど公知の任意の方法により目的の製品に応じた所望の形状物に成形できる。
【0023】
印刷用レリーフ版を得る場合はシート状に成形した成形物(生版)を公知の接着剤を介して、或いは、介さずに支持体に積層して使用することができる。支持体としてはスチール、アルミニウム、ガラス、ポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルム、金属蒸着したフィルムなど任意のものが使用できる。シート状成形物(生版)を支持体上に積層した積層体にして供給する場合にはシート状成形物(生版)に接して保護層がさらに積層される。保護層はフイルム状のプラスチック、例えば、ポリエステルの125μm厚みのフイルムに粘着性のない透明で現像液に分散又は溶解する高分子を1〜3μmの厚みで塗布したものが用いられる。この薄い高分子の皮膜を有する保護層をシート状成形物(生版)に接することによって、シート状成形物(生版)の表面粘着性が強い場合であっても次の露光操作時に行う保護層の剥離を容易に行うことができる。
【0024】
このような組成物からなる層単独、もしくはこの層と支持体とからなる感光性樹脂凸版原版は、感光性樹脂層に透明画像部を有するネガフィルムまたはポジフィルムを密着して重ね合せ、その上方から活性光線を照射して露光をおこなうと、露光部のみが不溶化ならびに硬化する。活性光線は通常300〜450nmの波長を中心とする高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノン灯、ケミカルランプなどの光源を用いる。
【0025】
次いで、適当な溶剤、特に本発明では中性の水により非露光部分を溶解除去することによって、鮮明な画像部を有する凸版を得る。このためには、スプレー式現像装置、ブラシ式現像装置などを用いる。
【0026】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに詳しく説明する。以下の実施例および比較例中の部数は重量部のことである。
【0027】
本発明の、最適露光時間、画像再現性及び現像時間は以下の方法により測定した。
(1)画像再現性:まず、感光層厚みが685μの感光性樹脂凸版原版に、画像として網点200線−1%〜95%、最小独立点直径50μm〜600μm、最小独立線幅が10μm〜150μm、600μ〜100μ幅の白抜けスリット、ベタ画像、スラップガイドを含む検査ネガを用い、200μmスリット幅の白抜け深度が少なくとも30μm以上となる最大露光時間を最適露光時間として、25W/m2のケミカルランプを用いて感光性樹脂表面より高さ5cmの距離から露光した。次にブラシ式ウォッシャー(120μmφナイロンブラシ、日本電子精機(株)制作JW-A2-PD型)で25℃の水道水を現像液にして行い、レリーフ画像を得ることができた。更に70℃で10分間、温風乾燥した後に超高圧水銀灯で30秒間後露光して得られたレリーフを評価した。画像再現性の評価は10倍のルーペを使い、肉眼で判定した。又、スリット深度については、ネガにおける白抜き線200μm巾が、レリーフにおいて何μmの深さとなって現れるかを評価するものである。
(2)最適露光時間:感光性樹脂層の厚みが685μの感光性樹脂凸版原版に、検査ネガを用いて200μmスリット幅の白抜け深度が30μm以上となる最大露光時間で露光し、その最大露光時間を最適露光時間とした。なお、深度が30μとは印刷時に200μmスリット幅の白抜け細線を再現するために必要な深度である。
(3)現像性:25℃の中性水を入れたブラシ式ウォッシャー(ブラシ:120 μφナイロンブラシ)で現像し、未露光部を除去するのに必要な時間を測定した。ブラシ式ウォッシャーは日本電子精機(株)のA2 サイズ用ウォッシャー(JW-A2- PD) を使用した。
【0028】
実施例1
N,N’−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン80部と2−メチルペンタメチレンジアミン20部をメタノール1000部に溶解した後、該ジアミン溶液にポリエチレングリコール(平均分子量600)600 部とヘキサメチレンジイソシアネート369部を反応させて得られた実質的に両末端にイソシアネート基を有するウレタンオリゴマー450部を、撹拌下徐々に添加した。両者の反応は約15分で完了した。この溶液をテフロン(登録商標)コートしたシャーレに取り、メタノールを蒸発除去後、減圧乾燥して得られた付加重合体は、ジアミン成分中に2−メチルペンタメチレンジアミンを20重量%、ポリエーテルセグメントを50.7重量%含有し、比粘度が1.75の水可溶性ポリマーであった。
【0029】
このようにして得られたポリマー55.0部を、メタノール100部に65℃で加熱溶解し、N−エチルトルエンスルホン酸アミド5.0部、1,4−ナフトキノン0.03部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1部を添加してさらに30分撹拌溶解させた。その後、乳酸3.6部、グリシジルメタクリレート(GMA)2.5部、水18部、亜硫酸アンモニウム0.3部、シュウ酸0.1部、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール1.0部、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート(日本油脂株式会社製架橋剤ブレンマーGAM)32.5部を添加して30分撹拌溶解させた。次いで、徐々に昇温してメタノールと水を留出させて、釜内の温度が110℃となるまで濃縮した。この段階で流動性のある粘稠な感光性樹脂凸版組成物を得た。
【0030】
次に、紫外線吸収剤としてジヒドロチオ-p-トルイジン0.5重量部及び2ーアミノベンゾフェノン1.0重量部をジメチルアミノアセトアミド3.6重量部に溶解させて、ポリエステル樹脂溶液として"バイロン30SS"(東洋紡績(株)製品、固形分濃度30%、分子量20000〜25000)100重量部、アミン塩触媒として"U−CAT SA102"0.2重量部をジオキサン0.7重量部に溶解して調合した。次に多官能イソシアネートとして"コロネートL"(日本ポリウレタン工業(株)製品)10.2重量部を酢酸エチル1.4重量部で溶解させて調合し、接着剤組成物溶液を得た。この溶液を250μm厚みの透明ポリエステルフィルムに均一に塗布し、120℃熱風乾燥機で1分間乾燥して塗膜20μmの透明な接着剤層を有する支持体を得た。この支持体の被膜に接して上記の感光性樹脂組成物を流延し、厚み2μmのポリビニルアルコール(AH−24、日本合成化学(株)製)の被膜をコートした厚み125μmのポリエステルフイルムの被膜側を感光性樹脂凸版組成物に接するようにして、ラミネーターを用いて全厚みが1080μmのシート状積層体の生版を成形した。
【0031】
生版を7日間以上保管した後に、125μmのポリエステルフイルムを剥離してテストネガフイルム(感度測定用グレイスケールネガフイルムと画像再現性評価用画像のネガフイルム)を真空密着させ、25W/m2のケミカルランプを用いて感光性樹脂表面より高さ5cmの距離から3分15秒間露光した。次にブラシ式ウォッシャー(120μmφナイロンブラシ、日本電子精機(株)制作JW−A2−PD型)で水道水を現像液にして、30℃で2分45秒間現像してレリーフ画像を得ることができた。更に70℃で10分間、温風乾燥した後に超高圧水銀灯で30秒間後露光して得られたレリーフを評価した結果、グレイスケールは17段、画像部は200線1%網点、200μm独立点、30μm細線が再現され、これまでに得られたことのない高画像再現性であった。この時の200μmスリット幅の白抜け深度は31μmであった。
【0032】
実施例2
N,N’−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン61部と2−メチルペンタメチレンジアミン33部をメタノール1000部に溶解した後、該ジアミン溶液にポリエチレングリコール(平均分子量600)600 部とヘキサメチレンジイソシアネート369部を反応させて得られた実質的に両末端にイソシアネート基を有するウレタンオリゴマー456部を、撹拌下徐々に添加した。両者の反応は約15分で完了した。この溶液をテフロン(登録商標)コートしたシャーレに取り、メタノールを蒸発除去後、減圧乾燥して得られた付加重合体は、ジアミン成分中に2−メチルペンタメチレンジアミンを35重量%、ポリエーテルセグメントを51.4重量%含有し、比粘度が1.73の水可溶性ポリマーであった。
【0033】
このようにして得られたポリマー55.0部を、メタノール100部に65℃で加熱溶解し、N−エチルトルエンスルホン酸アミド5.0部、1,4−ナフトキノン0.03部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1部を添加してさらに30分撹拌溶解させた。その後、乳酸2.3部、グリシジルメタクリレート(GMA)2.5部、水18部、亜硫酸アンモニウム0.3部、シュウ酸0.1部、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール1.0部、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート(日本油脂株式会社製架橋剤ブレンマーGAM)33.3部を添加して30分撹拌溶解させた。次いで、徐々に昇温してメタノールと水を留出させて、釜内の温度が110℃となるまで濃縮した。この段階で流動性のある粘稠な感光性樹脂組成物を得た。
【0034】
このようにして得られた感光性樹脂組成物を実施例1と同様にして全厚みが1080μmのシート状積層体の生版を成形した。得られた生版を7日間以上保管した後に、実施例1と同様に125μmのポリエステルフイルムを剥離してテストネガフイルム(感度測定用グレイスケールネガフイルムと画像再現性評価用画像のネガフイルム)を真空密着させ、25W/m2のケミカルランプを用いて感光性樹脂表面より高さ5cmの距離から3分間の最適露光時間で露光した。次にブラシ式ウォッシャー(120μmφナイロンブラシ、日本電子精機(株)制作JW−A2−PD型)で水道水を現像液にして、30℃で3分20秒間現像してレリーフ画像を得ることができた。更に70℃で10分間、温風乾燥した後に超高圧水銀灯で30秒間後露光して得られたレリーフを評価した結果、グレイスケールは17段、画像部は200線1%網点、150μm独立点、20μm細線が再現され、これまでに得られたことのない高再現性であった。この時の200μmスリット幅の白抜け深度は30μmであった。
【0035】
実施例3
N,N’−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン43部と2−メチルペンタメチレンジアミン43部をメタノール1000部に溶解した後、該ジアミン溶液にポリエチレングリコール(平均分子量600)600 部とヘキサメチレンジイソシアネート369部を反応させて得られた実質的に両末端にイソシアネート基を有するウレタンオリゴマー464部を、撹拌下徐々に添加した。両者の反応は約15分で完了した。この溶液をテフロン(登録商標)コートしたシャーレに取り、メタノールを蒸発除去後、減圧乾燥して得られた付加重合体は、ジアミン成分中に2−メチルペンタメチレンジアミンを20重量%、ポリエーテルセグメントを50.7重量%含有し、比粘度が1.74の水可溶性ポリマーであった。
【0036】
このようにして得られたポリマー55.0部を、メタノール100部に65℃で加熱溶解し、N−エチルトルエンスルホン酸アミド5.0部、1,4−ナフトキノン0.03部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1部を添加してさらに30分撹拌溶解させた。その後、乳酸2.0部、グリシジルメタクリレート(GMA)2.5部、水18部、亜硫酸アンモニウム0.3部、シュウ酸0.1部、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール1.0部、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート(日本油脂株式会社製架橋剤ブレンマーGAM)34.2部を添加して30分撹拌溶解させた。次いで、徐々に昇温してメタノールと水を留出させて、釜内の温度が110℃となるまで濃縮した。この段階で流動性のある粘稠な感光性樹脂組成物を得た。
【0037】
このようにして得られた感光性樹脂組成物を実施例1と同様にして全厚みが1080μmのシート状積層体の生版を成形した。得られた生版を7日間以上保管した後に、実施例1と同様に125μmのポリエステルフイルムを剥離してテストネガフイルム(感度測定用グレイスケールネガフイルムと画像再現性評価用画像のネガフイルム)を真空密着させ、25W/m2のケミカルランプを用いて感光性樹脂表面より高さ5cmの距離から3分間の最適露光時間で露光した。次にブラシ式ウォッシャー(120μmφナイロンブラシ、日本電子精機(株)制作JW−A2−PD型)で水道水を現像液にして、30℃で4分30秒間現像してレリーフ画像を得ることができた。更に70℃で10分間、温風乾燥した後に超高圧水銀灯で30秒間後露光して得られたレリーフを評価した結果、グレイスケールは17段、画像部は200線1%網点、200μm独立点、30μm細線が再現され、これまでに得られたことのない高再現性であった。この時の200μmスリット幅の白抜け深度は31μmであった。
【0038】
実施例4
N,N’−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン49部と2−メチルペンタメチレンジアミン40部をメタノール1000部に溶解した後、該ジアミン溶液にポリエチレングリコール(平均分子量600)600 部とヘキサメチレンジイソシアネート369部を反応させて得られた実質的に両末端にイソシアネート基を有するウレタンオリゴマー464部を、撹拌下徐々に添加した。両者の反応は約15分で完了した。この溶液をテフロン(登録商標)コートしたシャーレに取り、メタノールを蒸発除去後、減圧乾燥して得られた付加重合体は、ジアミン成分中に2−メチルペンタメチレンジアミンを45重量%、ポリエーテルセグメントを51.9重量%含有し、比粘度が1.74の水可溶性ポリマーであった。
【0039】
このようにして得られたポリマー55.0部を、メタノール100部に65℃で加熱溶解し、N−エチルトルエンスルホン酸アミド5.0部、1,4−ナフトキノン0.03部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1部を添加してさらに30分撹拌溶解させた。その後、乳酸2.2部、グリシジルメタクリレート(GMA)2.5部、水18部、亜硫酸アンモニウム0.3部、シュウ酸0.1部、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール1.0部、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート(日本油脂株式会社製架橋剤ブレンマーGAM)33.9部を添加して30分撹拌溶解させた。次いで、徐々に昇温してメタノールと水を留出させて、釜内の温度が110℃となるまで濃縮した。この段階で流動性のある粘稠な感光性樹脂組成物を得た。
【0040】
このようにして得られた感光性樹脂組成物を実施例1と同様にして全厚みが1080μmのシート状積層体の生版を成形した。得られた生版を7日間以上保管した後に、実施例1と同様に125μmのポリエステルフイルムを剥離してテストネガフイルム(感度測定用グレイスケールネガフイルムと画像再現性評価用画像のネガフイルム)を真空密着させ、25W/m2のケミカルランプを用いて感光性樹脂表面より高さ5cmの距離から3分間の最適露光時間で露光した。次にブラシ式ウォッシャー(120μmφナイロンブラシ、日本電子精機(株)制作JW−A2−PD型)で水道水を現像液にして、30℃で3分40秒間現像してレリーフ画像を得ることができた。更に70℃で10分間、温風乾燥した後に超高圧水銀灯で30秒間後露光して得られたレリーフを評価した結果、グレイスケールは17段、画像部は200線1%網点、150μm独立点、20μm細線が再現され、これまでに得られたことのない高再現性であった。この時の200μmスリット幅の白抜け深度は31μmであった。
【0041】
実施例5
実施例2と同様にしてジアミン成分中に2−メチルペンタメチレンジアミンを35重量%、主鎖にポリエーテルセグメントを51.4重量%含有し、比粘度が1.73の水可溶性ポリマーを得た。
【0042】
得られたポリマー60.0部を、メタノール100部に65℃で加熱溶解し、N−エチルトルエンスルホン酸アミド3.0部、1,4−ナフトキノン0.03部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1部を添加してさらに30分撹拌溶解させた。その後、乳酸3.0部、グリシジルメタクリレート(GMA)2.5部、水18部、亜硫酸アンモニウム0.3部、シュウ酸0.1部、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール1.0部、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート(日本油脂株式会社製架橋剤ブレンマーGAM)28.1部を添加して30分撹拌溶解させた。次いで、徐々に昇温してメタノールと水を留出させて、釜内の温度が110℃となるまで濃縮し、流動性のある粘稠な感光性樹脂組成物を得た。この感光性樹脂組成物は可溶性高分子化合物を60重量%含有していた。
【0043】
このようにして得られた感光性樹脂組成物を実施例1と同様にして全厚みが1080μmのシート状積層体の生版を成形した。得られた生版を7日間以上保管した後に、実施例1と同様に125μmのポリエステルフイルムを剥離してテストネガフイルム(感度測定用グレイスケールネガフイルムと画像再現性評価用画像のネガフイルム)を真空密着させ、25W/m2のケミカルランプを用いて感光性樹脂表面より高さ5cmの距離から3分20秒間の最適露光時間で露光した。次にブラシ式ウォッシャー(120μmφナイロンブラシ、日本電子精機(株)制作JW−A2−PD型)で水道水を現像液にして、30℃で3分30秒間現像してレリーフ画像を得ることができた。更に70℃で10分間、温風乾燥した後に超高圧水銀灯で30秒間後露光して得られたレリーフを評価した結果、グレイスケールは17段、画像部は200線1%網点、100μm独立点、20μm細線が再現され、これまでに得られたことのない高再現性であった。この時の200μmスリット幅の白抜け深度は30μmであった。
【0044】
実施例6
実施例2と同様にしてジアミン成分中に2−メチルペンタメチレンジアミンを35重量%、主鎖にポリエーテルセグメントを51.4重量%含有し、比粘度が1.73の水可溶性ポリマーを得た。
【0045】
得られたポリマー65.0部を、メタノール100部に65℃で加熱溶解し、1,4−ナフトキノン0.03部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1部を添加してさらに30分撹拌溶解させた。その後、乳酸3.3部、グリシジルメタクリレート(GMA)2.5部、水18部、亜硫酸アンモニウム0.3部、シュウ酸0.1部、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール1.0部、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート(日本油脂株式会社製架橋剤ブレンマーGAM)27.8部を添加して30分撹拌溶解させた。次いで、徐々に昇温してメタノールと水を留出させて、釜内の温度が110℃となるまで濃縮し、流動性のある粘稠な感光性樹脂組成物を得た。この感光性樹脂組成物は可溶性高分子化合物を65重量%含有していた。
【0046】
このようにして得られた感光性樹脂組成物を実施例1と同様にして全厚みが1080μmのシート状積層体の生版を成形した。得られた生版を7日間以上保管した後に、実施例1と同様に125μmのポリエステルフイルムを剥離してテストネガフイルム(感度測定用グレイスケールネガフイルムと画像再現性評価用画像のネガフイルム)を真空密着させ、25W/m2のケミカルランプを用いて感光性樹脂表面より高さ5cmの距離から3分15秒間の最適露光時間で露光した。次にブラシ式ウォッシャー(120μmφナイロンブラシ、日本電子精機(株)制作JW−A2−PD型)で水道水を現像液にして、23℃で2分45秒間現像してレリーフ画像を得ることができた。更に70℃で10分間、温風乾燥した後に超高圧水銀灯で30秒間後露光して得られたレリーフを評価した結果、グレイスケールは17段、画像部は200線1%網点、150μm独立点、20μm細線が再現され、これまでに得られたことのない高再現性であった。この時の200μmスリット幅の白抜け深度は31μmであった。
【0047】
比較例1
N,N’−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン81部と2−メチルペンタメチレンジアミン14部をメタノール1000部に溶解した後、該ジアミン溶液にポリエチレングリコール(平均分子量600)600部の500部とヘキサメチレンジイソシアネート369部とを反応させて得られた実質的に両末端にイソシアネート基を有するウレタンオリゴマー454部を、撹拌下徐々に添加した。両者の反応は約15分で完了した。この溶液をテフロン(登録商標)コートしたシャーレに取り、メタノールを蒸発除去後、減圧乾燥して得られた付加重合体は、ジアミン成分中に2−メチルペンタメチレンジアミンを15重量%、ポリエーテルセグメントを51.1重量%含有し、比粘度が1.75の水可溶性ポリマーであった。
【0048】
得られたポリマー55.0部を、メタノール100部に65℃で加熱溶解し、N−エチルトルエンスルホン酸アミド5.0部、1,4−ナフトキノン0.03部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1部を添加してさらに30分撹拌溶解させた。その後、乳酸3.7部、グリシジルメタクリレート(GMA)2.5部、水18部、亜硫酸アンモニウム0.3部、シュウ酸0.1部、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール1.0部、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート(日本油脂株式会社製架橋剤ブレンマーGAM)32.8部を添加して30分撹拌溶解させた。次いで、徐々に昇温してメタノールと水を留出させて、釜内の温度が110℃となるまで濃縮した。この段階で流動性のある粘稠な感光性樹脂組成物を得た。
【0049】
このようにして得られた感光性樹脂組成物を実施例1と同様にして全厚みが1080μmのシート状積層体の生版を成形した。得られた生版を7日間以上保管した後に、実施例1と同様に125μmのポリエステルフイルムを剥離してテストネガフイルム(感度測定用グレイスケールネガフイルムと画像再現性評価用画像のネガフイルム)を真空密着させ、25W/m2のケミカルランプを用いて感光性樹脂表面より高さ5cmの距離から3分秒間の最適露光時間で露光した。次にブラシ式ウォッシャー(120μmφナイロンブラシ、日本電子精機(株)制作JW−A2−PD型)で水道水を現像液にして、30℃で2分10秒間現像してレリーフ画像を得ることができた。更に70℃で10分間、温風乾燥した後に超高圧水銀灯で30秒間後露光して得られたレリーフを評価した結果、グレイスケールは17段、画像部は200線2%網点、200μm独立点、40μm細線が再現され、十分な再現性なものではなかった。この時の200μmスリット幅の白抜け深度は31μmであった。
【0050】
比較例2
N,N’−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン38部と2−メチルペンタメチレンジアミン46部をメタノール1000部に溶解した後、該ジアミン溶液にポリエチレングリコールの平均分子量(平均分子量600)600部とヘキサメチレンジイソシアネート369部とを反応させて得られた実質的に両末端にイソシアネート基を有するウレタンオリゴマー466部を、撹拌下徐々に添加した。両者の反応は約15分で完了した。この溶液をテフロン(登録商標)コートしたシャーレに取り、メタノールを蒸発除去後、減圧乾燥して得られた付加重合体は、ジアミン成分中に2−メチルペンタメチレンジアミンを55重量%、ポリエーテルセグメントを52.5重量%含有し、比粘度が1.74の水可溶性ポリマーであった。
【0051】
得られたポリマー50.0部を、メタノール100部に65℃で加熱溶解し、N−エチルトルエンスルホン酸アミド5.0部、1,4−ナフトキノン0.03部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1部を添加してさらに30分撹拌溶解させた。その後、乳酸1.7部、グリシジルメタクリレート(GMA)2.5部、水18部、亜硫酸アンモニウム0.3部、シュウ酸0.1部、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール1.0部、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート(日本油脂株式会社製架橋剤ブレンマーGAM)34.4部を添加して30分撹拌溶解させた。次いで、徐々に昇温してメタノールと水を留出させて、釜内の温度が110℃となるまで濃縮した。この段階で流動性のある粘稠な感光性樹脂組成物を得た。
【0052】
このようにして得られた感光性樹脂組成物を実施例1と同様にして全厚みが1080μmのシート状積層体の生版を成形した。得られた生版を7日間以上保管した後に、実施例1と同様に125μmのポリエステルフイルムを剥離してテストネガフイルム(感度測定用グレイスケールネガフイルムと画像再現性評価用画像のネガフイルム)を真空密着させ、25W/m2のケミカルランプを用いて感光性樹脂表面より高さ5cmの距離から3分秒間の最適露光時間で露光した。次にブラシ式ウォッシャー(120μmφナイロンブラシ、日本電子精機(株)制作JW−A2−PD型)で水道水を現像液にして、30℃で6分間現像してレリーフ画像を得ることができた。更に70℃で10分間、温風乾燥した後に超高圧水銀灯で30秒間後露光して得られたレリーフを評価した結果、グレイスケールは16段、画像部は200線2%網点、300μm独立点、50μm細線が再現され、十分な再現性なものではなかった。この時の200μmスリット幅の白抜け深度は30μmであった。
【0053】
比較例3
実施例2と同様にしてジアミン成分中に2−メチルペンタメチレンジアミンを35重量%、主鎖にポリエーテルセグメントを51.4重量%含有し、比粘度が1.73の水可溶性ポリマーを得た。
【0054】
得られたポリマー70.0部を、メタノール100部に65℃で加熱溶解し、1,4−ナフトキノン0.03部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1部を添加してさらに30分撹拌溶解させた。その後、乳酸3.7部、グリシジルメタクリレート(GMA)2.5部、水18部、亜硫酸アンモニウム0.3部、シュウ酸0.1部、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール1.0部、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート(日本油脂株式会社製架橋剤ブレンマーGAM)22.3部を添加して30分撹拌溶解させた。次いで、徐々に昇温してメタノールと水を留出させて、釜内の温度が110℃となるまで濃縮し、流動性のある粘稠な感光性樹脂組成物を得た。この感光性樹脂組成物は可溶性高分子化合物を70重量%含有していた。
【0055】
このようにして得られた感光性樹脂組成物を実施例1と同様にして全厚みが1080μmのシート状積層体の生版を成形した。得られた生版を7日間以上保管した後に、実施例1と同様に125μmのポリエステルフイルムを剥離してテストネガフイルム(感度測定用グレイスケールネガフイルムと画像再現性評価用画像のネガフイルム)を真空密着させ、25W/m2のケミカルランプを用いて感光性樹脂表面より高さ5cmの距離から3分30秒間の最適露光時間で露光した。次にブラシ式ウォッシャー(120μmφナイロンブラシ、日本電子精機(株)制作JW−A2−PD型)で水道水を現像液にして、23℃で2分45秒間現像してレリーフ画像を得ることができた。更に70℃で10分間、温風乾燥した後に超高圧水銀灯で30秒間後露光して得られたレリーフを評価した結果、グレイスケールは16段、画像部は200線3%網点、300μm独立点、60μm細線が再現され、十分な再現性なものではなかったこの時の200μmスリット幅の白抜け深度は32μmであった。
【0056】
比較例4
N,N’−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン86部と分岐していないジアミンとして1,9−ノナンジアミン22部をメタノール1000部に溶解した後、該ジアミン溶液にポリエチレングリコールの平均分子量(平均分子量600)600部とヘキサメチレンジイソシアネート369部とを反応させて得られた実質的に両末端にイソシアネート基を有するウレタンオリゴマー442部を、撹拌下徐々に添加した。両者の反応は約15分で完了した。この溶液をテフロン(登録商標)コートしたシャーレに取り、メタノールを蒸発除去後、減圧乾燥して得られた付加重合体は、ジアミン成分中に1,9−ノナンジアミンを20重量%、ポリエーテルセグメントを58.7重量%含有し、比粘度が1.70の水可溶性ポリマーであった。
【0057】
このようにして得られたポリマー55.0部を、メタノール100部に65℃で加熱溶解し、N−エチルトルエンスルホン酸アミド5.0部、1,4−ナフトキノン0.03部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.1部を添加してさらに30分撹拌溶解させた。その後、乳酸3.9部、グリシジルメタクリレート(GMA)2.5部、水18部、亜硫酸アンモニウム0.3部、シュウ酸0.1部、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール1.0部、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピルメタクリレート(日本油脂株式会社製架橋剤ブレンマーGAM)32.1部を添加して30分撹拌溶解させた。次いで、徐々に昇温してメタノールと水を留出させて、釜内の温度が110℃となるまで濃縮した。この段階で流動性のある粘稠な感光性樹脂凸版組成物を得た。
【0058】
このようにして得られた感光性樹脂組成物を実施例1と同様にして全厚みが1080μmのシート状積層体の生版を成形した。得られた生版を7日間以上保管した後に、実施例1と同様に125μmのポリエステルフイルムを剥離してテストネガフイルム(感度測定用グレイスケールネガフイルムと画像再現性評価用画像のネガフイルム)を真空密着させ、25W/m2のケミカルランプを用いて感光性樹脂表面より高さ5cmの距離から4分間の最適露光時間で露光した。次にブラシ式ウォッシャー(120μmφナイロンブラシ、日本電子精機(株)制作JW−A2−PD型)で水道水を現像液にして、23℃で7分30秒間現像してレリーフ画像を得ることができた。更に70℃で10分間、温風乾燥した後に超高圧水銀灯で30秒間後露光して得られたレリーフを評価した結果、グレイスケールは17段、画像部は200線5%網点、400μm独立点、100μm細線が再現され、十分な再現性なものではなかった。この時の200μmスリット幅の白抜け深度は31μmであった。
【産業上の利用可能性】
【0059】
水現像性に優れ、従来にない高精細な印刷画像が形成される感光性樹脂凸版材を得られることから、高品質のカラー印刷用感光性樹脂凸版材として有利に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも可溶性合成高分子化合物、光重合性不飽和化合物、光重合開始剤を基本成分とする感光性樹脂凸版組成物であって、該可溶性高分子化合物が、(A) メチル基が分岐した炭素数が6〜9の脂肪族ジアミン、(B)ピペラジン環を有するジアミン及び(C)ジイソシアネート化合物との反応で得られる付加重合体であることを特徴とする感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記可溶性高分子化合物が(A)成分を全ジアミン量[(A)+(B)]に対して20%〜50重量%含有することを特徴とする請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の感光性樹脂凸版組成物から得られる感光性樹脂凸版材。

【公開番号】特開2007−322680(P2007−322680A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−152109(P2006−152109)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】