説明

感光性樹脂組成物、この組成物を用いた感光性エレメント、レジストパターンの製造法及びプリント配線板の製造法

【課題】 はく離片を細分化させる効果を有し、また感度、解像度・密着性、さらに、耐めっき性及びスカム分散性に優れる感光性樹脂組成物、この組成物を用いた感光性エレメント、レジストパターンの製造法及びプリント配線板の製造法を提供する。
【解決手段】 (A)バインダーポリマーの成分(重合性単量体)として、(1)メタクリル酸を有し、かつ、その含有量が18〜23質量%であり、(2)アクリル酸エチル及びアクリル酸ブチルをいずれも有し、(3)スチレン及びその他、芳香族系化合物(重合性単量体)を含まないことを特徴とし、この(A)バインダーポリマーの成分に、さらに(B)エチレン性不飽和光重合性モノマ、(C)光重合開始剤及び増感剤を含有してなる感光性樹脂組成物、この組成物を用いた感光性エレメント、レジストパターンの製造法及びプリント配線板の製造法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物、この組成物を用いた感光性エレメント、レジストパターンの製造法及びプリント配線板の製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリント配線板の製造分野において、エッチング(テンティング)及びめっき等に用いられるレジスト材料としては、感光性樹脂組成物及びそれに支持体と保護フィルムを用いて得られる感光性エレメントが広く用いられている。
【0003】
プリント配線板は、通常(化学又は物理)研磨を行った銅基板上に感光性エレメントをラミネートして、パターン露光した後、未露光部分を現像液で除去し、エッチング(テンティング)又はめっき処理を施して、パターンを形成させた後、硬化部分を基板上からはく離除去する方法によって製造されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかし、このはく離の工程において、はく離片(はく離後のレジスト片のサイズ)が大きいと、はく離機の搬送ロール及びスプレーノズルなどにはく離片が絡みつき、搬送異常、スプレー圧低下などの不具合が生じたり又は基板上にはく離片が再付着し、結果として、はく離残りとなる不具合が生じる。
上記不具合に対して感光性エレメントには、はく離片を細分化(はく離後のレジスト片のサイズを小さく)させることが要求されている。
【0005】
【特許文献1】特開2006−323004号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、はく離片を細分化させる効果を有し、また感度、解像度・密着性、さらに、耐めっき性及びスカム分散性に優れる感光性樹脂組成物、この組成物を用いた感光性エレメント、レジストパターンの製造法及びプリント配線板の製造法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、(A)バインダーポリマーの成分(重合性単量体)として、(1)メタクリル酸を有し、かつ、その含有量が18〜23質量%であり、(2)アクリル酸エチル及びアクリル酸ブチルをいずれも有し、(3)スチレン及び芳香族系化合物(重合性単量体)を含まないことを特徴とし、この(A)バインダーポリマーの成分に、さらに(B)エチレン性不飽和光重合性モノマ、(C)光重合開始剤及び増感剤を含有してなる感光性樹脂組成物に関する。
【0008】
また、本発明は、上記の感光性樹脂組成物を支持体上に塗布、乾燥してなる感光性エレメントに関する。
また、本発明は、上記の感光性エレメントを、回路形成用基板上に感光性樹脂組成物層が密着するようにして積層し、活性光線を画像状に照射し、露光部を光硬化させ、未露光部を現像により除去することを特徴とするレジストパターンの製造法に関する。
【0009】
さらに、本発明は、上記で製造されたレジストパターンにおける回路形成用基板をエッチング(テンティング)又はめっきすることを特徴とするプリント配線板の製造法に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の感光性樹脂組成物、この組成物を用いた感光性エレメント、レジストパターンの製造法及びプリント配線板の製造法は、はく離片を細分化させる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
なお、本発明においいて、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸及びそれに対応するメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリレートとはアクリレート及びそれに対応するメタクリレートを意味し、(メタ)アクリロイル基とはアクリロイル基及びそれに対応するメタクリロイル基を意味する。
【0012】
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)バインダーポリマーの成分(重合性単量体)として、(1)メタクリル酸を有し、かつ、その含有量が18〜23質量%であること、(2)アクリル酸エチル及びアクリル酸ブチルをいずれも有すること、(3)スチレン及びその他、芳香族系化合物(重合性単量体)を含まないことを特徴とし、この(A)バインダーポリマーの成分に、さらに(B)エチレン性不飽和光重合性モノマ、(C)光重合開始剤及び増感剤を含有することを特徴とする。
【0013】
前記(A)バインダーポリマーは、例えば、重合性単量体をラジカル重合させることにより製造することができる。上記重合性単量体としては、はく離片を細分化させるため、重合性単量体として、(1)メタクリル酸を有し、さらにその含有量が18〜23質量%であること、(2)アクリル酸エチル及びアクリル酸ブチルをいずれも有すること、(3)スチレン及びその他、芳香族系化合物(重合性単量体)を含まないこととし、それ以外として、例えば、アクリルアミド、アクリロニトリル、ビニル−n−ブチルエーテル等のビニルアルコールのエステル類、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、α−ブロモ(メタ)アクリル酸、α−クロル(メタ)アクリル酸、β−フリル(メタ)アクリル酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノイソプロピル等のマレイン酸モノエステル、フマール酸、ケイ皮酸、α−シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸、プロピオール酸等が挙げられる。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、一般式(I)
【0014】
【化1】


(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは水素原子又は炭素数1〜12のアルキル基を示す。)
で表される化合物、これらの化合物のアルキル基に水酸基、エポキシ基、ハロゲン基等が置換した化合物などが挙げられる。
【0015】
上記一般式(I)中のRで示される炭素数1〜12のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基及びこれらの構造異性体が挙げられる。
【0016】
上記一般式(I)で表される単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルヒドロキシド、(メタ)アクリル酸エチルヒドロキシド、(メタ)アクリル酸プロピルヒドロキシド、(メタ)アクリル酸ブチルヒドロキシド等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0017】
上記メタクリル酸は、はく離片の細分化、耐めっき性などの見地から、共重合成分として18〜23質量%含むことが好ましく、さらに19〜22質量%含むことがより好ましい。この含有量が18質量%未満でははく離片が細分化されない(はく離片サイズが大きくなる)傾向があり、23質量%を超えると耐めっき性が低下する傾向がある。
【0018】
これらのバインダーポリマーは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。2種類以上を組み合わせて使用する場合のバインダーポリマーとしては、例えば、異なる共重合成分からなる2種類以上のバインダーポリマー、異なる重量平均分子量の2種類以上のバインダーポリマー、異なる分散度の2種類以上のバインダーポリマーなどが挙げられる。また特開平11−327137号公報に記載されているマルチモード分子量分布を有するポリマーを使用するもできる。
【0019】
前記(B)エチレン性不飽和光重合性モノマとして、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリブトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル)プロパン等のビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物、グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させで得られる化合物、分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマ、ノニルフェノキシポリエチレンオキシアクリレート、γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシアルキル−β’−(メタ)アクリロイルオキシアルキル−o−フタレート等のフタル酸系化合物、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられるが、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物又は分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物を必須成分とすることが好ましい。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0020】
前記(C)光重合開始剤及び増感剤の例としては、アクリジン又は分子内に少なくとも1つのアクリジニル基を有するアクリジン系化合物、ベンゾフェノン、N,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)等のN,N’−テトラアルキル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパノン−1等の芳香族ケトン、アルキルアントラキノン等のキノン類、ベンゾインアルキルエーテル等のベンゾインエーテル化合物、ベンゾイン、アルキルベンゾイン等のベンゾイン化合物、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体などのHABI(ヘキサアリールビスイミダゾール)、N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物、オニウム塩等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0021】
前記(A)バインダーポリマーの配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、40〜80質量部であることが好ましく、50〜70質量部であることがより好ましい。この配合量が40質量部未満では光硬化物が脆くなり易く、感光性エレメントとして用いた場合に塗膜性が劣る傾向があり、80質量部を超えると光感度が不充分となる傾向がある。
【0022】
前記(B)エチレン性不飽和光重合性モノマの配合量は、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、20〜60質量部であることが好ましく、30〜50質量部であることがより好ましい。この配合量が20質量部未満では光感度が不充分となる傾向があり、60質量部を超えると光硬化物が脆くなる傾向がある。
【0023】
前記(C)光重合開始剤及び増感剤の配合量は、レジストの吸光度が0.2〜1.5になるときの量が好ましく、0.3〜1.0になるのがより好ましく、0.4〜0.8になるのがさらに好ましい。このレジストの吸光度が0.2未満では光感度が不充分となる傾向があり、1.5を超えると露光の際に組成物の表面での吸収が増大して内部の光硬化が不充分となる傾向がある。
【0024】
前記感光性樹脂組成物には、必要に応じて、分子内に少なくとも1つのカチオン重合可能な環状エーテル基を有する光重合性化合物、カチオン重合開始剤、マラカイトグリーン等の染料、トリブロモフェニルスルホン、ロイコクリスタルバイオレット等の光発色剤、熱発色防止剤、p−トルエンスルホンアミド等の可塑剤、顔料、充填剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、密着性付与剤、レベリング剤、はく離促進剤、酸化防止剤、香料、イメージング剤、熱架橋剤等を(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して各々0.01〜20質量部程度含有することができる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0025】
前記感光性樹脂組成物は、必要に応じて、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の溶剤又はこれらの混合溶剤に溶解して固形分30〜60質量%程度の溶液として塗布することができる。
【0026】
前記感光性樹脂組成物は、特に制限はないが、銅、銅系合金、鉄、鉄系合金等の金属面上に、液状レジストとして塗布して乾燥後、必要に応じて保護フィルムを被覆して用いるか、感光性エレメントの形態で用いられることが好ましい。
【0027】
また、感光性樹脂組成物層の厚みは、用途により異なるが、乾燥後の厚みで1〜100μm程度であることが好ましい。液状レジストに保護フィルムを被覆して用いる場合は、保護フィルムとして、ポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体フィルムなどが挙げられる。
【0028】
上記感光性エレメントは、例えば、支持体として、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の重合体フィルム上に感光性樹脂組成物を塗布、乾燥することにより得ることができる。
【0029】
上記塗布は、例えば、ロールコータ、コンマコータ、グラビアコータ、エアーナイフコータ、ダイコータ、バーコータ等の公知の方法で行うことができる。
また、乾燥は、40〜150℃、1〜30分間程度で行うことができる。
また、感光性樹脂組成物層中の残存有機溶剤量は、後の工程での有機溶剤の拡散を防止する点から、2質量%以下とすることが好ましい。
【0030】
これらの重合体フィルムの厚みは、1〜100μmとすることが好ましい。これらの重合体フィルムの一つは感光性樹脂組成物層の支持体として、他の一つは感光性樹脂組成物の保護フィルムとして感光性樹脂組成物層の両面に積層してもよい。保護フィルムとしては、感光性樹脂組成物層及び支持体の接着力よりも、感光性樹脂組成物層及び保護フィルムの接着力の方が小さいものが好ましく、また低フィッシュアイのフィルムが好ましい。
【0031】
また、前記感光性エレメントは、感光性樹脂組成物層、支持体及び保護フィルムの他に、クッション層、接着層、光吸収層、ガスバリア層等の中間層や保護層を有していてもよい。
前記感光性エレメントは、例えば、そのまま又は感光性樹脂組成物層の他の面に保護フィルムをさらに積層して円筒状の巻芯に巻きとって貯蔵される。
【0032】
なお、この際支持体が1番外側になるように巻き取られることが好ましい。上記ロール状の感光性エレメントロールの端面には、端面保護の見地から端面セパレータを設置することが好ましく、耐エッジフュージョンの見地から防湿端面セパレータを設置することが好ましい。
また、梱包方法として、透湿性の小さいブラックシートに包んで包装することが好ましい。
【0033】
上記巻芯としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)等のプラスチックなどが挙げられる。
【0034】
上記感光性エレメントを用いてレジストパターンを製造するに際しては、前記の保護フィルムが存在している場合には、保護フィルムを除去後、感光性樹脂組成物層を70〜130℃程度に加熱しながら回路形成用基板に0.1〜1MPa程度(1〜10kgf/cm程度)の圧力で圧着することにより積層する方法などが挙げられ、減圧下で積層することも可能である。積層される表面は、通常金属面であるが、特に制限はない。
【0035】
このようにして積層が完了した感光性樹脂組成物層は、ネガ又はポジマスクパターンを通して活性光線が画像状に照射される。上記活性光線の光源としては、公知の光源、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線、可視光などを有効に放射するものが用いられる。
【0036】
次いで、露光後、感光性樹脂組成物層上に支持体が存在している場合には、支持体を除去した後、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤等の現像液によるウエット現像、ドライ現像等で未露光部を除去して現像し、レジストパターンを製造することができる。
【0037】
上記アルカリ性水溶液としては、例えば、0.1〜5質量%炭酸ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%炭酸カリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%水酸化ナトリウムの希薄溶液等が挙げられる。
【0038】
上記アルカリ性水溶液のpHは、9〜11の範囲とすることが好ましく、その温度は、感光性樹脂組成物層の現像性に合わせて調節される。
また、アルカリ性水溶液中には、表面活性剤、消泡剤、有機溶剤等を混入させてもよい。上記現像の方式としては、例えば、ディップ方式、スプレー方式、ブラッシング、スラッピング等が挙げられる。
【0039】
現像後の処理として、必要に応じて60〜250℃程度の加熱又は0.2〜10J/cm程度の露光を行うことによりレジストパターンをさらに硬化して用いてもよい。
現像後に行われる金属面のエッチングには、例えば、塩化第二銅溶液、塩化第二鉄溶液、アルカリエッチング溶液等を用いることができる。
【0040】
本発明の感光性エレメントを用いてプリント配線板を製造する場合、現像されたレジストパターンをマスクとして、回路形成用基板の表面を、エッチング(テンティング)、めっき等の公知方法で処理する。
【0041】
上記めっき法としては、例えば、銅めっき、はんだめっき、スズめっき、ニッケルめっき、金めっき等がある。
次いで、レジストパターンは、例えば、現像に用いたアルカリ性水溶液よりさらに強アルカリ性の水溶液ではく離することができる。
【0042】
上記強アルカリ性の水溶液としては、例えば、1〜10質量%水酸化ナトリウム水溶液、1〜10質量%水酸化カリウム水溶液又はアミンはく離液等が用いられる。
上記はく離液は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0043】
上記はく離方式としては、例えば、浸漬方式、スプレー方式等が挙げられる。
また、レジストパターンが形成されたプリント配線板は、多層プリント配線板でもよく、小径スルーホールを有していてもよい。
【実施例】
【0044】
以下、実施例により本発明を説明する。
実施例1,2及び比較例1〜4
表1及び2に示す材料を配合し、溶液を得た。
【0045】
メタクリル酸/メタクリル酸メチル/アクリル酸エチル/アクリル酸ブチル
(20/50/25/5(重量比))
【0046】
【表1】

*(単位はg)
【0047】
【表2】

*(単位はg)
【0048】
なお、表1及び表2において使用した材料を下記に示す。
BPE−500:下記一般式(II)において、m+n=10(平均値)である化合物(新中村化学工業(株)製、商品名)
【0049】
【化2】

【0050】
UA−13:下記一般式(III)で示されるEO、PO変性ウレタンジメタクリレート(新中村化学(株)製、商品名)
【0051】
【化3】

【0052】
TMPT−21:下記一般式(IV)において、n+n+n=21(平均値)である化合物(日立化成工業(株)製、商品名)
【0053】
【化4】

【0054】
M−113:下記一般式(V)で示されるノニルフェニルポリエチレン変性アクリレート(東亜合成化学(株)製、商品名)
【0055】
【化5】

【0056】
F−804S:下記一般式(VI)で示される1−[N,N−ビス(2−エチルヘキシル)アミノメチル]−5−カルボキシベンゾトリゾール(千代田ケミカル(株)製、商品名)
【0057】
【化6】

【0058】
次いで、得られた感光性樹脂組成物の溶液を、16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(帝人(株)製、商品名HTR−02−16)上に均一に塗布し、100℃の熱風対流式乾燥機で10分間乾燥した後、ポリエチレン製保護フィルム(タマポリ(株)製、商品名NF−13)で保護し感光性エレメントを得た。感光性樹脂組成物層の乾燥後の膜厚は38μmであった。
【0059】
次いで、銅箔(厚み35μm)を両面に積層したガラスエポキシ材である銅張積層板(日立化成工業(株)製、商品名MCL−E−67)の銅表面を#600相当のブラシを持つ研磨機(三啓(株)製)を用いて研磨し、水洗後、空気流で乾燥し、得られた銅張積層板を80℃に加温し、その銅表面上に保護フィルムを剥がしながら前記感光性樹脂組成物層を120℃のヒートロールを用い1.5m/分の速度でラミネートした。
【0060】
次に、高圧水銀灯ランプを有する露光機((株)オーク製作所製、商品名HMW−201GX)を用いて、ネガとしてストーファー21段ステップタブレットを試験片の上に置いて露光した。
【0061】
次に、ポリエチレンテレフタレートフィルムをはく離し、30℃で1質量%炭酸ナトリウム水溶液を最少現像時間の2倍の時間でスプレーし、未露光部分を除去した後、銅張積層板上に形成された光硬化膜のステップタブレットの段数を測定することにより、感光性樹脂組成物の光感度を評価した。最少現像時間は未露光部のレジストが現像処理によって完全に除去された時間を測定した。
【0062】
光感度は、ストーファーの21段ステップタブレットにおいて、現像後(現像時間=最少現像時間×2)の残存ステップ段数が8.0となる露光エネルギー量(mJ/cm)を示す。この露光エネルギー量が少ないほど光感度が高いことを示す。
【0063】
解像度は、ストーファーの21段ステップタブレットを有するフォトツールと解像度評価用ネガとしてスペース幅/ライン幅が8/400〜47/400(単位:μm)の配線パターンを有するフォトツールを密着させ、ストーファーの21段ステップタブレットにおいて、現像後(現像時間=最少現像時間×2)の残存ステップ段数が8.0となるエネルギー量で露光を行った。
【0064】
ここで、解像度は、現像(現像時間=最少現像時間×2)処理によって未露光部をきれいに除去することができたライン幅間のスペース幅の最も小さい値により評価した。解像度の評価は数値が小さいほど良好な値である。
【0065】
密着性は、ストーファーの21段ステップタブレットを有するフォトツールと密着性評価用ネガとしてライン幅/スペース幅が8/400〜47/400(単位:μm)の配線パターンを有するフォトツールを密着させ、ストーファーの21段ステップタブレットにおいて、現像後(現像時間=最少現像時間×2)の残存ステップ段数が8.0となるエネルギー量で露光を行った。
【0066】
ここで密着性は、現像後(現像時間=最少現像時間×2)、ラインを形成しているレジストが基板にしっかりと密着していて剥がれている箇所が無く、またラインが蛇行していたり、曲がったりしていないライン幅の最も小さい値により評価した。密着性の評価は数値が小さいほど良好な値である。
【0067】
はく離片形状(サイズ)は、はく離評価用ネガ〔PETネガ:60×45mm角(ベタ:パターン無し)〕を用いて、露光(ストーファーの21段ステップタブレットにおいて、現像後の残存ステップ段数が8.0となる露光エネルギー量)、現像(現像時間=最少現像時間×2)を行い作製した基板(60×45mm角)をビーカーに浸漬(はく離液:3.0質量%NaOH水溶液、50℃)させ、はく離終了後攪拌子での攪拌を30秒間行った後の形状(サイズ)を観測することで評価した。〔このはく離片形状(サイズ)は、パターン幅やはく離機のスプレー圧などによって異なる〕
耐スズめっき性は、表3の条件でスズめっきを行い、表4に示す評価基準により評価した。
【0068】
【表3】

【0069】
【表4】

【0070】
スカム分散性は、以下の方法で評価を行った。
まず、現像液への感光性フィルム溶解量が顧客推奨条件(0.4mil・m/l)の1.5倍に相当する0.6mil・m/lの感光性フィルムを現像液(1質量%NaCO水溶液)に溶解し、この液を小型現像機で90分間循環撹拌後、表面に発生したスカム(油状物)の量を表5に示す分散性評価基準で評価した。
【0071】
【表5】

以上の結果をまとめて表6に示す。
【0072】
【表6】

【0073】
表6に示されるように、実施例1及び2は、はく離片を細分化させる効果があり、また感度、解像度・密着性、さらに、耐めっき性及びスカム分散性が良好であることが明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)バインダーポリマーの成分(重合性単量体)として、(1)メタクリル酸を有し、かつ、その含有量が18〜23質量%であり、(2)アクリル酸エチル及びアクリル酸ブチルをいずれも有し、(3)スチレン及び芳香族系化合物(重合性単量体)を含まないことを特徴とし、この(A)バインダーポリマーの成分に、さらに(B)エチレン性不飽和光重合性モノマ、(C)光重合開始剤及び増感剤を含有してなる感光性樹脂組成物。
【請求項2】
請求項1記載の感光性樹脂組成物を支持体上に塗布、乾燥してなる感光性エレメント。
【請求項3】
請求項2記載の感光性エレメントを、回路形成用基板上に感光性樹脂組成物層が密着するようにして積層し、活性光線を画像状に照射し、露光部を光硬化させ、未露光部を現像により除去することを特徴とするレジストパターンの製造法。
【請求項4】
請求項3で製造されたレジストパターンにおける回路形成用基板をエッチング又はめっきすることを特徴とするプリント配線板の製造法。

【公開番号】特開2010−91789(P2010−91789A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−261618(P2008−261618)
【出願日】平成20年10月8日(2008.10.8)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】