説明

感光性樹脂転写材料及びフォトスペーサーの製造方法、カラーフィルター、並びに液晶表示素子

【課題】高さ分布の均一性が高いフォトスペーサーを形成し得る感光性樹脂転写材料を提供する。
【解決手段】仮支持体上に、少なくとも、アルカリ可溶な熱可塑性樹脂層と、感光性樹脂層とを有し、前記感光性樹脂層の層厚分布の標準偏差が層厚の平均値の1.5%以下であることを特徴とする感光性樹脂転写材料である。前記熱可塑性樹脂層の厚み(A)と、前記感光性樹脂層の厚み(B)との比率(B/A)としては、1/2.5以下であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置を構成する構造物(例えば基板上に配置されて所定の間隙を保持するスペーサー)の形成に好適な感光性樹脂転写材料、及び該感光性樹脂転写材料を用いて製造するフォトスペーサーの製造方法、並びに該フォトスペーサーを有するカラーフィルター、液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液晶表示装置は、高画質画像を表示する表示装置に広く利用されている。液晶表示装置は一般に、一対の基板間に所定の配向により画像表示を可能とする液晶層が配置されており、この基板間隔、すなわち液晶層の厚みを均一に維持することが画質を決定するため、液晶層の厚みを一定に保持するためのフォトスペーサーが配設されている。
【0003】
樹脂組成物を用いたフォトスペーサー形成を行う場合、仮支持体上に樹脂組成物からなる感光性樹脂層を有する転写材料(感光性樹脂転写材料)を用いた方法が知られている(例えば、特許文献1〜3参照。)。この転写材料は、通常、感光性樹脂層の他、被転写材の被転写面に存在する凹凸に伴う転写不良を回避するためにクッション性を有する熱可塑性樹脂層が仮支持体と感光性樹脂層との間に設けられる。そして、フォトスペーサーを形成しようとする基板表面に感光性樹脂層を転写し、該感光性樹脂層に対し、パターニング露光・現像を経て、フォトスペーサーが形成される。
【0004】
ところで、溶液塗布により塗布膜を形成してフォトスペーサーを形成する場合、該フォトスペーサーの高さは塗布層厚に大きく影響されることが知られている(例えば、特許文献4参照。)。このことは転写材料によってフォトスペーサーを形成する場合も然りである。すなわち、感光性樹脂転写材料を用いてフォトスペーサーを形成する場合、感光性樹脂層の層厚がそのままフォトスペーサーの高さとなり、フォトスペーサーの高さ精度は感光性樹脂層の厚み精度に依存し、感光性樹脂層の厚みが不均一であると、フォトスペーサーの高さも不均一となる。従って、フォトスペーサーの高さを均一とするには感光性樹脂層の厚みを均一とすることが不可欠である。
しかしながら、従来においては、感光性樹脂層の厚みについて厳密な検討がなされておらず、フォトスペーサーの高さの均一性について改善の余地が残されていた。
【特許文献1】特開2001−125113号公報
【特許文献2】特開2001−166315号公報
【特許文献3】特開2003−207787号公報
【特許文献4】特開2004−37694号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。すなわち、
本発明の目的は、高さ分布の均一性が高いフォトスペーサーを形成し得る感光性樹脂転写材料、該感光性樹脂転写材料を用い高さ分布の均一性が高いフォトスペーサーを製造し得るフォトスペーサーの製造方法、該フォトスペーサーを有するカラーフィルター、液晶表示素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。すなわち、
<1> 仮支持体上に、少なくとも、アルカリ可溶な熱可塑性樹脂層と、感光性樹脂層とを有し、前記感光性樹脂層の層厚分布の標準偏差が層厚の平均値の1.5%以下であることを特徴とする感光性樹脂転写材料である。
【0007】
<2> 前記熱可塑性樹脂層の厚み(A)と、前記感光性樹脂層の厚み(B)との比率(B/A)が1/2.5以下であることを特徴とする前記<1>に記載の感光性樹脂転写材料である。
【0008】
<3> 前記感光性樹脂層の溶融粘度が110℃において1.0×103Pa・s以上であり、前記熱可塑性樹脂層の110℃における溶融粘度が前記感光性樹脂層の溶融粘度よりも低いことを特徴とする前記<1>または<2>に記載の感光性樹脂転写材料である。
【0009】
<4> 請求項1から3のいずれか1項に記載の感光性樹脂転写材料を用いて、加熱及び/又は加圧により基板上に感光性樹脂層を転写する工程と、転写した感光性樹脂層に対してパターン露光を行う工程と、パターン露光後の感光性樹脂層を現像処理する工程と、ポストベーク処理を行う工程とを有することを特徴とするフォトスペーサーの製造方法である。
【0010】
<5> 前記パターン露光後の現像処理が有機塩基を含む現像液により現像を行った後、再度、無機塩基を含む現像液により現像を行う処理であることを特徴とする前記<4>に記載のフォトスペーサーの製造方法である。
【0011】
<6> 前記有機塩基の種類がアルキルアルコールアミンであり、前記有機塩基を含む現像液のpHが10〜12の範囲であることを特徴とする前記<5>に記載のフォトスペーサーの製造方法である。
【0012】
<7> 前記無機塩基の種類が、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする前記<5>または<6>に記載のフォトスペーサーの製造方法である。
【0013】
<8> 前記<4>から<7>のいずれかに記載のフォトスペーサーの製造方法により製造したフォトスペーサーを有することを特徴とするカラーフィルターである。
【0014】
<9> 前記<4>から<7>のいずれかに記載のフォトスペーサーの製造方法により製造したフォトスペーサーを有することを特徴とする液晶表示素子である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、高さ分布の均一性が高いフォトスペーサーを形成し得る感光性樹脂転写材料、該感光性樹脂転写材料を用い高さ分布の均一性が高いフォトスペーサーを製造し得るフォトスペーサーの製造方法、該フォトスペーサーを有するカラーフィルター、液晶表示素子を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明について詳細に説明する。
《感光性樹脂転写材料》
本発明の感光性樹脂転写材料は、仮支持体上に、該仮支持体側から順に少なくとも、アルカリ可溶な熱可塑性樹脂層と、感光性樹脂層とを少なくとも設けて構成され、前記感光性樹脂層の層厚分布の標準偏差が層厚の平均値の1.5%以下であることを特徴とするものである。
また、必要に応じて熱可塑性樹脂層と感光性樹脂層との間に中間層など他の層を有していてもよい。
【0017】
−アルカリ可溶な熱可塑性樹脂層−
本発明の感光性樹脂転写材料は、少なくとも一層のアルカリ可溶な熱可塑性樹脂層を有する。アルカリ可溶な熱可塑性樹脂層(以下、単に「熱可塑性樹脂層」ともいう。)は、アルカリ現像を可能とし、また、転写時にはみ出した熱可塑性樹脂層自身による被転写体の汚染防止を可能とする点からアルカリ可溶性である必要があり、後述する感光性樹脂層を被転写体上に転写する際に、被転写体上に存在する凹凸に起因して発生する転写不良を効果的に防止するクッション材としての機能を有し、感光性樹脂転写材料を被転写体上に加熱密着させた際の被転写体上の凹凸に対応して変形可能な層である。
【0018】
アルカリ可溶な熱可塑性樹脂層の層厚は、クッション性及び現像により容易に除去可能とすることから、2.0〜20.0μmとすることが好ましく、5.5.0〜18.0μmとすることがより好ましく、12.0〜16.0μmとすることがさらに好ましい。
【0019】
前記熱可塑性樹脂層は、少なくともアルカリ可溶な熱可塑性樹脂を用いて構成することができ、必要に応じて適宜他の成分を用いることができる。アルカリ可溶な熱可塑性樹脂は、特に制限はなく適宜選択することができるが、実質的な軟化点が80℃以下であるものが好ましい。
【0020】
アルカリ可溶な熱可塑性樹脂層に含まれる樹脂としては、エチレンとアクリル酸エステル共重合体とのケン化物、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体とのケン化物、ビニルトルエンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体とのケン化物、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、および(メタ)アクリル酸ブチルと酢酸ビニル等との(メタ)アクリル酸エステル共重合体等のケン化物、等より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。さらに「プラスチック性能便覧」(日本プラスチック工業連盟、全日本プラスチック成形工業連合会編著、工業調査会発行、1968年10月25日発行)による有機高分子のうちアルカリ水溶液に可溶なものを使用することもできる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、これらの熱可塑性樹脂のうち、軟化点が80℃以下のものが好ましい。尚、本発明において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸およびメタクリル酸を総称し、その誘導体の場合も同様である。
【0021】
上記アルカリ可溶な熱可塑性樹脂層に含まれる樹脂の中でも、重量平均分子量5万〜50万(Tg=0〜140℃)の範囲で、更に好ましくは重量平均分子量6万〜20万(Tg=30〜110℃)の範囲で選択して使用することができる。これらの樹脂の具体例としては、特公昭54−34327号、特公昭55−38961号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭61−134756号、特公昭59一44615号、特開昭54−92723号、特開昭54−99418号、特開昭54−137085号、特開昭57−20732号、特開昭58−93046号、特開昭59−97135号、特開昭60−159743号、特開昭60−247638号、特開昭60−208748号、特開昭60−214354号、特開昭60−230135号、特開昭60−258539号、特開昭61−169829号、特開昭61−213213号、特開昭63−147159号、特開昭63−213837号、特開昭63−266448号、特開昭64−55551号、特開昭64一55550号、特開平2−191955号、特開平2−199403号、特開平2−199404号、特開平2−208602号、特開平5−241340号の各公報明細書に記載されているアルカリ水溶液に可溶な樹脂を挙げることができる。特に好ましいのは、特開昭63−147159号明細書に記載されたメタクリル酸/2一エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メチルメタクリレート共重合体である。
【0022】
また、上記した種々の樹脂の中から、好ましくは重量平均分子量3千〜3万(Tg=30〜170℃)の範囲で、更に好ましくは重量平均分子量4千〜2万(Tg=60〜140℃)の範囲で選択して使用することができる。これらの好ましい具体例は、上記の特許明細書に記載されているものの中から選ぶことができるが、特に好ましくは、特公昭55−38961号、特開平5−241340号の各公報に記載のスチレン/(メタ)アクリル酸共重合体が挙げられる。
【0023】
アルカリ可溶な熱可塑性樹脂層には、前記熱可塑性樹脂以外に他の成分として、仮支持体との接着力を調節する目的で、実質的に軟化点が80℃を超えない範囲内で各種ポリマー、過冷却物質、密着改良剤、界面活性剤、離型剤等を添加することができる。これらによりTgの調整も可能である。好ましい可塑剤の具体例としては、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジオクチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェート、ビフェニルジフェニルフォスフェート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エポキシ樹脂とポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの付加反応生成物、有機ジイソシアネートとポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの付加反応生成物、有機ジイソシアネートとポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの付加反応生成物、ビスフェノールAとポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの縮合反応生成物を挙げることができる。アルカリ可溶性熱可塑性樹脂層中の、可塑剤の量は熱可塑性樹脂に対して200質量%以下が一般的で、20〜100質量%の範囲が好ましい。
【0024】
前記界面活性剤は、本発明の前記熱可塑性樹脂と混ざり合うものであれば使用可能である。本発明に用いる好ましい界面活性剤としては、特開2003−337424号公報[0015]〜[0024]、特開2003−177522号公報[0012]〜[0017]、特開2003−177523号公報[0012]〜[0015]、特開2003−177521号公報[0010]〜[0013]、特開2003−177519号公報[0010]〜[0013]、特開2003−177520号公報[0012]〜[0015]、特開平11−133600号公報の[0034]〜[0035]、特開平6−16684号公報の発明として開示されている界面活性剤が好適なものとして挙げられる。より高い効果を得る為にはフッ素系界面活性剤、及び/又はシリコン系界面活性剤(フッ素系界面活性剤、又は、シリコン系界面活性剤、フッソ原子と珪素原子の両方を含有する界面活性剤)のいずれか、あるいは2種以上を含有することが好ましく、フッ素系界面活性剤が最も好ましい。
【0025】
フッ素系界面活性剤を用いる場合、該界面活性剤分子中のフッ素含有置換基のフッ素原子数は1〜38が好ましく、5〜25がより好ましく、7〜20が最も好ましい。フッ素原子数が多すぎるとフッ素を含まない通常の溶媒に対する溶解性が落ちる点で好ましくない。フッ素原子数が少なすぎると、ムラの改善効果が得られない点で好ましくない。
【0026】
特に好ましい界面活性剤として、下記一般式(a)及び、一般式(b)で表されるモノマーを含み、且つ一般式(a)/一般式(b)の質量比が20/80〜60/40の共重合体を含有するものが挙げられる。
【0027】
【化1】

(式中、R1、R2、及びR3はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を示し、R4は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を示す。nは1〜18の整数、mは2〜14の整数を示す。p、qは0〜18の整数を示すが、p、qが同時に0になる場合は含まない。)
上記界面活性剤の具体例は特開2003−337424号公報の段落番号[0068]の表1に記載されている。
【0028】
また、下記市販の界面活性剤をそのまま用いることもできる。使用できる市販の界面活性剤として、例えばエフトップEF301、EF303、(新秋田化成(株)製)、フロラードFC430、431(住友スリーエム(株)製)、メガファックF−780−F、F171、F173、F176、F189、R08(大日本インキ(株)製)、サーフロンS-382、SC101、102、103、104、105、106(旭硝子(株)製)等のフッ素系界面活性剤、又は、シリコン系界面活性剤を挙げることができる。またポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製)、トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製)もシリコン系界面活性剤として用いることができる。
【0029】
本発明において、熱可塑性樹脂層の溶融粘度は、感光性樹脂層を凹凸のある基板にするときに元の感光性樹脂層の層厚変化を最小限に抑える点で、110℃において100Pa・s〜35000Pa・sであることが好ましく、500Pa・s〜10000Pa・sであることがより好ましく、1000Pa・s〜4000Pa・sであることがさらに好ましい。110℃における溶融粘度が高すぎるとラミネート時に熱可塑性樹脂層の変形が十分に起こらず、逆に110℃における溶融粘度が低すぎるとラミネート時に熱可塑性樹脂層の変形が起こりすぎてしまいその結果支持体の影響を受けて、いずれも感光性樹脂層の膜厚変化が大きくなってしまう。又、熱可塑性樹脂層の層厚の分布は、層厚の標準偏差/層厚の平均値が0%〜10%以下が好ましく、0%〜5%が更に好ましく、0%〜3%が最も好ましい。熱可塑性樹脂層の層厚の分布のバラツキを減らすことにより感光性樹脂層を層厚変化を最小限に抑えることができる。
【0030】
−中間層−
本発明の感光性樹脂転写材料は、少なくとも一層の中間層を有してもよい。中間層は、仮支持体上に設けられた前記熱可塑性樹脂層の上であって、該熱可塑性樹脂層と後述する感光性樹脂層との間に設けられる。中間層が配設されることにより、熱可塑性樹脂層と感光性樹脂層との形成には有機溶剤が用いられるため、両層が互いに混ざり合うのを防止できる点で好ましい。
【0031】
中間層としては、水又はアルカリ水溶液に分散ないし溶解するものが好ましい。中間層の構成材料には、公知のものを使用でき、例えば、特開昭46−2121号公報及び特公昭56−40824号公報に記載のポリビニルエーテル/無水マレイン酸重合体、カルボキシアルキルセルロースの水溶性塩、水溶性セルロースエーテル類、カルボキシアルキル澱粉の水溶性塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド類、水溶性ポリアミド、ポリアクリル酸の水溶性塩、ゼラチン、エチレンオキサイド重合体、各種澱粉及びその類似物からなる群の水溶性塩、スチレン/マレイン酸の共重合体、マレイネート樹脂、などが挙げられる。
これらは、1種単独で用いる以外に2種以上を併用してもよい。
【0032】
上記の中でも、水溶性樹脂、すなわち水溶性の高分子材料を使用するのが好ましく、この中でも少なくともポリビニルアルコールを使用するのがより好ましく、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとの併用が特に好ましい。
前記ポリビニルアルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、その鹸化度が80mol%以上のものが好ましい。
【0033】
前記ポリビニルピロリドンを使用する場合には、その含有量としては、中間層の固形分に対し、1〜75体積%が好ましく、1〜60体積%がより好ましく、10〜50体積%が特に好ましい。該含有量が、1体積%未満であると前記熱可塑性樹脂層との充分な密着性が得られないことがあり、75体積%を超えると酸素遮断能が低下することがある。
【0034】
本発明に係る中間層については、酸素透過率が小さいことが好ましい。中間層の酸素透過率が大きく酸素遮断能が低い場合には、後述の感光性樹脂層に対する露光時における光量をアップする必要が生じたり、露光時間を長くする必要が生ずることがあり、解像度も低下してしまうことがある。
【0035】
中間層の層厚としては、0.1〜3.0μm程度が好ましく、1.0〜2.0μmがより好ましい。該厚みが、0.1μm未満であると酸素透過性が高過ぎてしまうことがあり、3.0μmを超えると現像時や中間層除去時に長時間を要することがあるため好ましくない。
中間層の層厚調整は、中間層塗布液の濃度により、調整することができる。又、中間層の層厚の分布は、層厚の標準偏差/層厚の平均値が0%〜10%以下が好ましく、0%〜5%が更に好ましく、0%〜3%が最も好ましい。中間層の層厚の分布のバラツキを減らすことにより感光性樹脂層を層厚変化を最小限に抑えることができる。
【0036】
−感光性樹脂層−
本発明の感光性樹脂転写材料は、少なくとも一層の感光性樹脂層を有してなる。感光性樹脂層は、フォトスペーサー等の樹脂構造物を形成する場合に該樹脂構造物を構成する層であり、高分子物質と、重合性モノマーと、光重合開始剤とを少なくとも含んでなり、必要に応じて着色剤や他の成分を用いて構成することができる。着色剤を含有する場合には、カラーフィルターを構成する着色画素を形成することができる。
【0037】
本発明においては、既述のように、感光性樹脂層の層厚分布の標準偏差が層厚の平均値の1.5%以下であるが、好ましくは1.0%以下であり、より好ましくは0.5%以下である。このように、本発明の感光性樹脂転写材料においては、感光性樹脂層の層厚分布の標準偏差が層厚の平均値の1.5%以下であることにより、フォトスペーサーを形成した場合に、その高さの均一性を向上することができる。逆に、当該比率が1.5%を超えると、形成するフォトスペーサー高さが不均一となり好ましくない。
【0038】
本発明において、感光性樹脂層の層厚分布の標準偏差を層厚の平均値の1.5%以下とするには、塗布液を仮支持体に塗布する際の塗布機の振動を減らし、仮支持体の搬送速度を精度良く一定に保ち、更に塗布液の吐出量を仮支持体の幅方向、仮支持体の塗布方向について精度良く一定に保つことによって実現される。
【0039】
感光性樹脂層の層厚は2.5〜5.0μmであることが好ましく、2.7〜4.5μmであることがより好ましく、3.0〜3.8μmであることがさらに好ましい。
また、既述の熱可塑性樹脂層の層厚(A)と、感光性樹脂層の層厚(B)の比率(B/A)は、凹凸を有する基板上にラミネートによる感光性樹脂層の転写を行った時に、感光性樹脂層の膜厚が変化しない観点から、1/2.5以下であることが好ましく、1/3.75以下であることがより好ましく、1/5以下であることがさらに好ましい。
【0040】
感光性樹脂層は、後述する各成分を含有する塗布液を調製し、該塗布液を塗布することにより形成することにより形成することができるが、層厚を均一化するという観点から、塗布液の粘度としては、1.0〜5.0Pa・sとすることが好ましい。また、塗布液の比重としては、0.9〜1.1とすることが好ましい。
塗布方法としては、ダイコート、ロールコート、カーテンコート等の公知の方法を用いることができる。
また、塗布後、塗布層を乾燥させるが、乾燥方法としては溶剤蒸気量をコントロールした温風を塗布面に当てる事に行う。
【0041】
〈高分子物質〉
高分子物質は、スペーサーや着色画素等の積層体を形成した場合にバインダー成分としての機能を有するものであり、前記<熱可塑性樹脂層>で述べた樹脂や、側鎖にカルボン酸基やカルボン酸塩基などの極性基を有するポリマーやそれ自体重合性を有する、特開2003−131379の段落番号[0031]〜[0054]に記載の光により重合可能なアリル基を有する高分子樹脂が好ましい例として挙げられる。
【0042】
高分子物質は、目的に応じて適宜選択した単量体の単独重合体、複数の単量体からなる共重合体のいずれであってもよく、1種単独で用いる以外に、2種以上を併用するようにしてもよい。
側鎖にカルボン酸基やカルボン酸塩基などの極性基を有するポリマーの例としては、特開昭59−44615号公報、特公昭54−34327号公報、特公昭58−12577号公報、特公昭54−25957号公報、特開昭59−53836号公報及び特開昭59−71048号公報に記載されているようなメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等を挙げることができる。また、側鎖にカルボン酸基を有するセルロース誘導体も挙げることができ、また、この他にも水酸基を有するポリマーに環状酸無水物を付加したものも好ましく用いることができる。また、特に好ましい例としては、米国特許第4139391号明細書に記載のベンジル(メタ)アクリレートレと(メタ)アクリル酸との共重合体や,ベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸と他のモノマーとの多元共重合体を挙げることができる。
【0043】
アリル基を有する高分子物質の単量体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ビニル化合物、アリル基含有(メタ)アクリレート、等が挙げられる。尚、本明細書中において、(メタ)アクリレートは、アクリレート又はメタクリレートを表す。
これら単量体は、1種単独で用いる以外に2種以上を併用してもよい。
【0044】
前記アルキル(メタ)アクリレート及びアリル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジルアクリレート、トリルアクリレート、ナフチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、等が好適に挙げられる。
【0045】
前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシイソブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、中でも特に、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシn−プロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシn−ブチル(メタ)アクリレート等が好ましい。
【0046】
前記ビニル化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、グリシジルメタクリレート、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N−ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、等が好適に挙げられる。
【0047】
前記アリル基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、アリル(メタ)アクリレート、2−メチルアリルアクリレート、クロチルアクリレート、クロルアリルアクリレート、フェニルアリルアクリレート、シアノアリルアクリレート、等が挙げられ、中でもアリル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0048】
上記した高分子物質の中でも、アリル基含有(メタ)アクリレートをモノマーユニットとして少なくとも有する樹脂が好ましく、アリル基含有(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸及びアリル基非含有(メタ)アクリレートから選択されるモノマーとをモノマーユニットとして有する樹脂がより好ましい。
【0049】
前記高分子物質の好ましい具体例としては、(メタ)アクリル酸(M1)とアリル(メタ)アクリレート(M2)との二元共重合樹脂〔好適な共重合比[モル比]はM1:M2=2〜90:10〜98〕や、(メタ)アクリル酸(M3)とアリル(メタ)アクリレート(M4)とベンジル(メタ)アクリレート(M5)との三元共重合樹脂〔好適な共重合比[モル比]はM3:M4:M5=5〜40:20〜90:5〜70〕などが挙げられる。
【0050】
前記高分子物質がアリル基を有する場合のアリル基含有モノマーの含有率としては、10モル%以上が好ましく、好ましくは10〜100モル%、より好ましくは15〜90モル%、更に好ましくは20〜85モル%である。
【0051】
前記高分子物質の重量平均分子量としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定値のポリスチレン換算値で5,000〜100,000が好ましく、8,000〜50,000がより好ましい。該重量平均分子量を5,000〜100,000の範囲内とすることで、膜強度を良化することができる。
【0052】
前記高分子物質の感光性樹脂層中における含有量としては、該層の全固形分に対して、15〜95質量%が好ましく、30〜85質量%がより好ましく、40〜75質量%が更に好ましい。
【0053】
〈重合性モノマー〉
重合性モノマーとしては、少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、エステル化合物、アミド化合物、並びにその他の化合物が挙げられる。
【0054】
前記エステル化合物としては、例えば、単官能(メタ)アクリル酸エステル、多官能(メタ)アクリル酸エステル、イタコン酸エステル、クロトン酸エステル、イソクロトン酸エステル、マレイン酸エステル、その他のエステル化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよいが、これらの中でも、単官能(メタ)アクリル酸エステル、多官能(メタ)アクリル酸エステル等が好ましい。
【0055】
前記単官能(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチルモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0056】
前記多官能(メタ)アクリル酸エステルしては、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。中でも特に、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0057】
前記多官能(メタ)アクリル酸エステルの他の例としては、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化したもの、特公昭48−41708号公報、特公昭50−6034号公報、特開昭51−37193号公報に記載のウレタンアクリレート類、特開昭48−64183号公報、特公昭49−43191号公報、及び特公昭52−30490号公報に記載のポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシアクリレート類、特開昭60−258539号公報に記載の(メタ)アクリル酸エステルやウレタン(メタ)アクリレートやビニルエステル、などが挙げられる。
【0058】
前記「その他のエステル化合物」としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、日本接着協会誌Vol.20,No.7,第300〜308頁に記載の光硬化性モノマー及びオリゴマー、などが挙げられる。
【0059】
また、上記のアミド化合物としては、例えば、不飽和カルポン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド(モノマー)などが挙げられ、具体的には、メチレンビス−(メタ)アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−(メタ)アクリルアミド、ジエチレントリアミントリス(メタ)アクリルアミド、キシリレンビス(メタ)アクリルアミド、などが挙げられ、また、特開昭60−258539号公報に記載の(メタ)アクリル酸アミド、などが挙げられる。
【0060】
また、上記の「その他の化合物」としては、例えば、特開昭60−258539号公報に記載のアリル化合物、などが挙げられる。
【0061】
上記した重合性モノマーは、1種単独で用いる以外に、2種以上を併用するようにしてもよい。重合性モノマーの感光性樹脂層中における含有量としては、該層の全固形分に対して、10〜60質量%が好ましく、20〜50質量%がより好ましい。
【0062】
本発明においては、感光性樹脂層の110℃における溶融粘度は1.0×103Pa・s以上であることが好ましく、1800Pa・s以上であることがより好ましく、25000Pa・s以上であることがさらに好ましい。そして更に、当該感光性樹脂層の溶融粘度は前記熱可塑性樹脂層の溶融粘度よりも低いことが好ましい。このような規定により、感光性樹脂層をラミネートにより基板へ転写した時に、元の感光性樹脂層を維持したまま転写することが出来るようになる。
【0063】
感光性樹脂層の上記溶融粘度の好ましい範囲を達成するために、感光性樹脂層中における、前記高分子ポリマーの含有量A(質量%)と前記重合性モノマーの含有量(質量%)Bとの比B/Aを調整する手段が好ましい。
本発明の感光性樹脂層の110℃における溶融粘度を1.0×103Pa・s以上に調整する場合、この比B/Aを0.4以上1.1未満の範囲、好ましくは0.55以上0.95未満の範囲に調整することが好ましい。比B/Aが大きすぎると感光性樹脂層が室温においてすらもベタツキはじめるため取り扱い性が悪化する。比B/Aが小さいほど溶融粘度は高くなるが小さすぎると光重合が十分に起こらなくするためにフォトスペーサーの力学的な耐久性が低下する。
また、上記溶融粘度の好ましい範囲を達成する他の手段として、感光性樹脂層に体質顔料、又は着色顔料を含有させることが好ましい。前記体質顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、特開2003−302639号公報[0035]〜[0041]に記載の体質顔料が好ましい。前記着色顔料としては、特開2003−302639号公報[0043]に記載の顔料が挙げられる。
【0064】
〈光重合開始剤〉
光重合開始剤としては、およそ300nm〜500nmの波長領域に約50以上の分子吸光係数を有する成分を少なくとも1種含有しているものが好ましく、例えば、特開平2−48664号公報、特開平1−152449号公報、及び特開平2−153353号公報に記載の芳香族ケトン類、ロフィン2量体、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類、ポリハロゲン類、ハロゲン化炭化水素誘導体、ケトン化合物、ケトオキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、芳香族オニウム塩、ケトオキシムエーテル、などが挙げられる。
【0065】
上記の中でも、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンと2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体との組合せ、4−〔p−N,N’−ジ(エトキシカルボニルメチル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン〕、2,4−ビス−(トリクロロメチル)−6−[4−(N,N’−ジエトキシカルボニルメチルアミノ)−3−ブロモフェニル]−s−トリアジンなどが好ましい。
【0066】
上記の光重合開始剤は、1種単独で用いる以外に、2種以上を併用するようにしてもよい。光重合開始剤の含有量としては、前記重合性モノマーの量に対して、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい。
【0067】
本発明に係る感光性樹脂層には、上記した高分子物質、重合性モノマー、及び光重合開始剤の他、染料、顔料等の着色剤を含有してもよい。好ましい顔料の種類、サイズ等については、例えば特開平11−149008号公報の記載から適宜選択することができる。顔料等の着色剤を含有させた場合は、着色画素を形成することができる。また、必要に応じて界面活性剤等の添加剤を添加することもできる。
【0068】
感光性樹脂層の層厚としては、1〜14μmが好ましく、1〜6μmがより好ましい。該層厚が、1μm未満であると製造時の塗布形成の際にピンホールが発生することがあり、14μmを超えると現像時に未露光部を除去するのに長時間を要することがあり好ましくない。
【0069】
−仮支持体−
仮支持体としては、転写の支障とならない程度に前記熱可塑性樹脂層に対する剥離性を有するものが好ましく、化学的・熱的に安定で可撓性を有するものが好ましい。
【0070】
前記仮支持体の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ四フッ化エチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、などが挙げられる。
【0071】
仮支持体の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。これらは、1種単独で用いる以外に、2種以上を併用してもよい。
【0072】
仮支持体には、前記熱可塑性樹脂層との間に良好な剥離性を確保する観点から、グロー放電等の表面処理を行わないことが好ましく、また、ゼラチン等の下塗層も設けないことが好ましい。仮支持体の厚みとしては、5〜300μm程度が好ましく、20〜150μmが好ましい。
【0073】
前記仮支持体としては、その少なくとも一方の表面に導電性層が設けられているか、或いは仮支持体自体が導電性を有することが好ましい。仮支持体がこのように導電性を有する構成であると、該仮支持体を備えた感光性樹脂転写材料を被転写体上に密着させた後に仮支持体を剥離する場合に、該仮支持体や該被転写体等が帯電して周囲のゴミ等を引き寄せることがなく、その結果、該仮支持体を剥離した後においても熱可塑性樹脂層上にゴミ等が付着せず、その後の露光過程で余分な未露光部ができることに伴うピンホールの形成を効果的に防止することができる。仮支持体上の導電性層又は導電性を有する仮支持体の表面における表面電気抵抗としては、1013Ω以下が好ましい。
【0074】
前記導電性を有する仮支持体とするには、該仮支持体中に導電性物質を含有させればよい。導電性物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、金属酸化物、帯電防止剤などが挙げられる。
【0075】
前記金属酸化物としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化モリブデンなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、金属酸化物の形態としては、結晶微粒子、複合微粒子などが挙げられる。
【0076】
前記帯電防止剤としては、例えば、エレクトロストリッパーA(花王(株)製)、エレノンNo.19(第一工業製薬(株)製)等のアルキル燐酸塩系アニオン界面活性剤、アモーゲンK(第一工業製薬(株)製)等のベタイン系両性界面活性剤、ニッサンノニオンL(日本油脂(株)製)等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル系非イオン界面活性剤、エマルゲン106、同120、同147、同420、同220、同905、同910(花王(株)製)やニッサンノニオンE(日本油脂(株)製)等のポリオキシエチレンアルキルエーテル系非イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル系、多価アルコール脂肪酸エステル系、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル系、ポリオキシエチレンアルキルアミン系等のその他の非イオン系界面活性剤が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0077】
前記導電性層としては、公知の導電性物質の中から適宜選択して使用することにより形成することができ、該導電性物質としては、例えば、ZnO、TiO2、SnO2、Al23、In23、SiO2、MgO、BaO、MoO3などが湿度環境に影響されず安定した導電効果が得られる点で好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0078】
前記金属酸化物又は前記導電性物質の体積抵抗値としては、107Ω・cm以下が好ましく、105Ω・cm以下がより好ましい。前記金属酸化物又は前記導電性物質の粒子径としては、0.01〜0.7μmが好ましく、0.02〜0.5μmがより好ましい。
【0079】
前記導電性層には、バインダーとして、例えば、ゼラチン、セルロースナイトレート、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロースエステル、塩化ビニリデン、塩化ビニル、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、炭素数1〜4のアルキルアクリレート、ビニルピロリドン等を含むホモポリマー又はコポリマー、可溶性ポリエステル、ポリカーボネート、可溶性ポリアミド、などを使用することができる。
【0080】
−その他の層−
本発明の感光性樹脂転写材料においては、上記した層以外に、例えば、カバーフィルムなど他の層を更に設けることができる。
【0081】
前記カバーフィルムは、保管等の際に汚れや損傷等から前記感光性樹脂層を保護する機能を有し、上記の仮支持体と同一又は類似の材料で構成することができる。カバーフィルムとしては、前記感光性樹脂層から容易に剥離可能なものであればよく、例えば、シリコン紙、ポリオレフィンシート、ポリテトラフルオロエチレンシート等が好適に挙げられる。これらの中でも、ポリエチレンシートないしフイルム、ポリプロピレンシートないしフイルムが好ましい。カバーフィルムの厚みとしては、5〜100μm程度が好ましく、10〜30μmがより好ましい。
【0082】
本発明の感光性樹脂転写材料は、仮支持体上に、アルカリ可溶に構成された熱可塑性樹脂層用塗布液を塗布、乾燥することによりアルカリ可溶な熱可塑性樹脂層を設け、該熱可塑性樹脂層上に、該熱可塑性樹脂層を溶解しない水系溶媒を用いた中間層用塗布液を塗布、乾燥することにより中間層を設け、更に中間層上に、該中間層を溶解しない溶剤を用いた感光性樹脂層用塗布液を塗布、乾燥することにより感光性樹脂層を設けることによって製造することができる。また別の方法として、カバーフィルム上に感光性樹脂層を設けたものと、仮支持体上に該支持体側から順にアルカリ可溶な熱可塑性樹脂層と中間層とを設けたものとを作製し、前者の感光性樹脂層表面と後者の中間層表面とが互いに接するように貼り合わせることによって、或いは、カバーフィルム上に該カバーフィルム側から順に感光性樹脂層と中間層とを設けたものと、仮支持体上にアルカリ可溶な熱可塑性樹脂層を設けたものとを作製し、前者の中間層表面と後者の熱可塑性樹脂層表面とが互いに接するように貼り合わせることによって製造することができる。
【0083】
本発明の感光性樹脂転写材料は、液晶表示装置を構成する一対の基板間を所定の間隙に保持するためのスペーサー(間隙保持部材)の形成や、着色剤を含む場合は着色画像(着色画素など)の形成、等の用途に好適に用いることができる。該形成方法として、該感光性樹脂転写材料を、少なくとも一方の表面に凹凸を有する基板に転写し、少なくとも1回の露光を行い、1回の現像工程、少なくとも1回のベークを行うことが好ましい。この場合において、少なくとも一方の表面に凹凸を有する基板である被転写体としては、液晶表示装置を構成する透明基板(例えばガラス基板やプラスチックス基板)、配線付基板、遮光膜などにより形成されてた額縁付基板、透明導電膜(例えばITO膜)付基板、カラーフィルター付基板、駆動素子(例えば薄膜トランジスタ[TFT])付駆動基板、などが挙げられる。
【0084】
次に、本発明の感光性樹脂転写材料を用いた液晶表示装置の構成部材の形成例について述べる。
上記のようにして作製した本発明の感光性樹脂転写材料からカバーフィルムを取り除いた後、露出した感光性樹脂層を加圧・加熱下で所望の被転写体上に貼り合わせる(ラミネート)。貼り合わせは、公知のラミネーター、真空ラミネーター等を用いて好適に行うことができ、より生産性を高める観点からはオートカット機構を備えたラミネーターや感光性樹脂転写材料の欠陥を自動的に検出してスキップし,正常部をラミネートできるインテリジェントラミネートや、より幅の広い感光性樹脂転写材料のロールをラミネート可能な大型ラミネーターが好適に使用できる。
【0085】
大型サイズの液晶パネルやプラズマディスプレイ等に対応して、基板サイズが大型化しているため、大型基板では、感光性樹脂転写材料の転写エリアが幅方向(搬送方向に交差する方向)に拡大し、感光性樹脂転写材料自体の幅方向の寸法を増加させる必要性がある。
幅広な感光性樹脂転写材料では、ロール状態での取り扱い性が低下するとともに、ロールから前記感光性樹脂転写材料を巻き戻す送り出し機構の大型化が惹起されるという問題や、幅広な感光性樹脂転写材料が重量物となり、取り扱いが煩雑となる問題、さらには、重量に起因する前記感光性樹脂転写材料の幅方向のたわみから面内に皺等が発生し易く、ラミネート時の気泡を巻き込み、表示性能を悪化させるという問題があるため、2以上のロール状の感光性樹脂転写材料を1枚の大型基板にラミネートできるラミネーターが特に好適に使用することができる。
【0086】
上記の好ましい大型基板用ラミネーターとして、支持体上に感光性樹脂層と保護フイルムとが、順次、積層される長尺状感光性樹脂転写材料を同期して送り出し可能な2以上のウエブ送り出し機構と、送り出された各長尺状感光性樹脂転写材料の前記保護フイルムに、剥離部分と残存部分との境界位置に対応して幅方向に切断可能な加工部位を形成する2以上の加工機構と、前記剥離部分を前記残存部分を残して各長尺状感光性樹脂転写材料から剥離させる2以上の剥離機構と、基板を所定の温度に加熱した状態で接合位置に搬送する基板搬送機構と、前記接合位置で、各残存部分を前記基板間に配設するとともに、各剥離部分が剥離されて露出した2以上の感光材料層を前記基板に一体的且つ並列に接合して接合基板を得る接合機構と、前記接合位置の近傍に配設され、各長尺状感光性ウエブの前記境界位置を直接検出し、又は該境界位置に対応して各長尺状感光性ウエブに設けられたマーク部を検出する2以上の検出機構と、各検出機構により検出された各境界位置情報に基づいて、前記接合位置における各境界位置と前記基板との相対位置及び各境界位置同士の相対位置を調整可能な制御機構とを備えているものが好適なものとして挙げられる。(特開2004−333647号公報)、「トランサーシステムによる大型液晶用カラーフィルターの生産方法」(「極限に挑む−1:゛ナノサイズに挑む、マクロサイズに挑む"」2004年8月27日;化学工学会主催)参照
【0087】
上記の大型基板用ラミネーターを用いることで、幅広な基板に対して幅方向に2以上の感光性樹脂転写材料を良好に転写することができるとともに、高品質な感光性樹脂層を効率的に得ることが可能になる。さらに、長尺状感光性樹脂転写材料は、幅広に構成する必要がなく、前記長尺状感光性樹脂転写材料の取り扱い性が有効に向上し、作業の効率化及び設備費の削減が容易に図られる点で好ましい。
【0088】
例えば透明なスペーサーを形成する場合、例えば、本発明の感光性樹脂転写材料のカバーフィルムを取り除き、露出した感光性樹脂層を被転写体にラミネートして貼り合わせ、仮支持体を熱可塑性樹脂層との界面で剥離除去することにより被転写体に転写する。その後、感光性樹脂層に対し、熱可塑性樹脂層及び中間層を介して所定のマスクを通して露光を行い、ネガ型の場合は感光性樹脂層の非露光部を、ポジ型の場合は露光部をアルカリ性水溶液を用いて現像除去し、露光部又は、非露光部のみを硬化させることでスペーサーを形成することができる。
【0089】
現像は、公知のアルカリ現像の方法にしたがって行うことができ、例えば、溶剤若しくは水性の現像液、特にアルカリ水溶液(アルカリ現像液)等を用いて、露光後の被転写体を、現像液を収容した現像浴中に浸漬させるか、被転写体上の層に対してスプレー等で噴霧等し、更にその表面を回転ブラシ、湿潤スポンジ等で擦ったり超音波を照射させながら処理することによって行うことができる。現像温度としては、通常、室温付近〜40℃程度が好ましい。また、現像後には、水洗処理を行うのが好ましい。
尚、露光後の現像や不要部分の除去の過程において、感光性樹脂層及び熱可塑性樹脂層の溶解に用いるアルカリ性水溶液としては、例えば、アルカリ性物質の希薄水溶液が好ましく、更に水混和性のある有機溶剤を少量添加したものも好ましい。
【0090】
前記アルカリ性物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物類、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩類、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属重炭酸塩類、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のアルカリ金属ケイ酸塩類、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム等のアルカリ金属メタケイ酸塩類、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等のテトラアルキルアンモンニウムヒドロキシド類又は燐酸三ナトリウム、などが挙げられる。これらは、1種単独で用いる以外に、2種以上を併用してもよい。
【0091】
前記アルカリ性水溶液としては、アルカリ性物質の濃度が0.01〜30質量%であるのが好ましく、pHが8〜14であるのが好ましい。
【0092】
前記水混和性を有する有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。水混和性を有する有機溶剤の添加量としては、0.1〜30質量%が好ましい。
【0093】
尚、前記アルカリ性水溶液には、公知の種々の界面活性剤を添加することができ、該界面活性剤を添加する場合の添加量は、0.01〜10質量%であるのが好ましい。
【0094】
《フォトスペーサーの製造方法》
本発明のフォトスペーサーの製造方法は、既述の本発明の感光性樹脂転写材料を用いて、加熱及び/又は加圧により基板上に感光性樹脂層を転写する工程(以下、「転写工程」と呼ぶ。)と、転写した感光性樹脂層に対してパターン露光を行う工程(以下、「パターニング工程」と呼ぶ。)と、パターン露光後の感光性樹脂層を現像処理する工程(以下、「現像処理工程」と呼ぶ。)と、ポストベーク処理を行う工程(以下、「ポストベーク処理工程」)とを有することを特徴としている。
【0095】
[転写工程]
転写工程は、感光性樹脂転写材料を、仮支持体とは反対側の面と基板とを当接して基板上に積層し、仮支持体を剥離して基板表面に感光性樹脂層を転写する工程である。
仮支持体上に膜状に形成された感光性樹脂層を、表面に保護フイルムを有する場合には、それを剥離して、露出した感光樹脂層の表面を被転写材である基板面と当接し、その後、加熱及び/又は加圧したローラー又は平板で圧着又は加熱圧着することによって貼り合せた後、仮支持体を剥離することで、感光性樹脂層を基板上に転写する。貼り合わせは、公知のラミネーター(真空ラミネーターなど)を用いて好適に行うことができ、より生産性を高める観点からは、オートカットラミネーターが好適である。
具体的には、特開平7−110575号公報、特開平11−77942号公報、特開2000−334836号公報、特開2002−148794号公報に記載のラミネーター及びラミネート方法などを適用することができ、異物混入防止の観点からは、特開平7−110575号公報に記載の方法を用いるのが好ましい。
【0096】
[パターニング工程]
パターニング工程は、基板上に形成された感光性樹脂層に対しパターニング露光及びアルカリ現像してパターニングする。具体的には、基板上に形成された感光性樹脂層の上方に所定のマスクを配置し、該マスク及び場合により熱可塑性樹脂層及び中間層を介してマスクの更に上方(マスクの感光性樹脂層と対向しない側)から露光する。
【0097】
前記露光に用いる光源としては、感光性樹脂層を硬化しうる波長域の光(例えば、365nm、405nmなど)を照射できるものであれば適宜選定して用いることができる。具体的には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。露光量としては、通常5〜200mJ/cm2程度であり、好ましくは10〜100mJ/cm2程度である。
【0098】
[現像処理工程]
前記露光完了後、現像液を用いた現像処理を行う。現像処理は、公知のアルカリ現像方法にしたがって行うことができ、例えば、溶剤若しくは水性の現像液、特にアルカリ水溶液(アルカリ現像液)等を用いて、感光性樹脂転写材料が転写された露光後の基板を、現像液を収容した現像浴中に浸漬させるか、感光性樹脂層上の層に対してスプレー等で噴霧する等すると共に、更に回転ブラシ、湿潤スポンジ等で擦ったり、超音波を照射させながら処理する等により行うことができる。現像液の液温度は20℃〜40℃が好ましく、また、現像液のpHは8〜13が好ましい。また、現像後には、水洗処理を行うのが好ましい。
【0099】
現像の方式としては、パドル現像、シャワー現像、シャワー&スピン現像、ディプ現像等、公知の方法を用いることができる。
シャワー現像による場合、露光後の感光性樹脂層に現像液をシャワーにより吹き付けることにより、未硬化部分を除去することができる。なお、現像前に予め、感光性樹脂層の溶解性が低いアルカリ水溶液をシャワーなどにより吹き付け、熱可塑性樹脂層、中間層などを除去しておくことが好ましい。
【0100】
なお、露光後の現像や不要部分の除去の過程において、感光性樹脂層及び熱可塑性樹脂層や中間層の溶解に用いるアルカリ性水溶液としては、例えば、アルカリ性物質の希薄水溶液が好ましく、更に水混和性のある有機溶剤を少量添加したものも好ましい。アルカリ性物質には、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物類、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩類、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属重炭酸塩類、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のアルカリ金属ケイ酸塩類、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム等のアルカリ金属メタケイ酸塩類、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等のテトラアルキルアンモンニウムヒドロキシド類又は燐酸三ナトリウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いる以外に2種以上を併用してもよい。
【0101】
アルカリ性水溶液としては、アルカリ性物質の濃度が0.01〜30質量%であるのが好ましく、pHが8〜14であるのが好ましい。
【0102】
前記水混和性のある有機溶剤は、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。水混和性を有する有機溶剤の添加量は、0.1〜30質量%が好ましい。
【0103】
なお、アルカリ性水溶液には、公知の種々の界面活性剤を添加することができ、該界面活性剤を添加する場合の添加量は、0.01〜10質量%であるのが好ましい。
【0104】
本発明において、現像処理は、有機塩基を含む現像液により現像を行った後、再度無機塩基を含む現像液により現像を行う処理であることが好ましい。
以下、各現像液について説明する。
【0105】
〜有機塩基を含む現像液〜
有機塩基としては、アルキルアルコールアミン、などが挙げられる。アルキルアルコールアミンとしては、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミンなどが挙げられる。
【0106】
有機塩基を含む現像液のpHは、現像速度、現像時間や温度のふれに対するパターニング性の許容範囲の広さの点で、10〜12の範囲であることが好ましい。
【0107】
〜無機塩基を含む現像液〜
無機塩基としては、既述のような、金属水酸化物類、金属炭酸塩類、金属重炭酸塩類、アルカリ金属ケイ酸塩類、アルカリ金属メタケイ酸塩類などが挙げられ、中でも炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0108】
[ポストベーク処理工程]
ポストベーク処理工程は、パターニングされた感光性樹脂層を加熱処理して、層中の樹脂部分(高分子物質やモノマー、オリゴマー等の重合性モノマーなど)の架橋基の架橋を促進させて硬化させる。このとき、加熱温度、加熱時間を調整することにより、架橋反応率が60%以上の範囲となるように調整することができる。
【0109】
加熱温度、加熱時間は、熱処理による黄ばみの発生が少なく、かつ生産タクトを落さないように、高めの温度で短めの時間に設定して行うことができる。
以上により、架橋反応率が60〜100%である塑性変形した際の変形回復性に優れたフォトスペーサーを得ることができる、
【0110】
前記架橋反応率としては、60〜100%がより好ましく、最も好ましくは80〜100%である。
【0111】
例えば透明なフォトスペーサーを作製する場合、例えば、架橋基密度が0.0073モル/g以上である感光性樹脂組成物で構成された感光性樹脂層を有する感光性転写材料を用意し、その保護フイルムを取り除いて露出した感光性樹脂層の表面を基板面に重ね合せてラミネートして貼り合わせ、仮支持体を熱可塑性樹脂層との界面で剥離除去することにより基板上に感光性樹脂層を転写する(転写工程)。その後、感光性樹脂層に対して、熱可塑性樹脂層及び中間層を介して所定のマスクを通して露光を行い、感光性樹脂層の未露光部をアルカリ性水溶液を用いて現像除去し、スペーサーパターンを形成する(パターニング工程〜現像処理工程)。形成されたスペーサーパターンに加熱処理を施して架橋反応率が86〜100%となるように露光部を硬化させる(ポストベーク処理工程)ことによって、フォトスペーサーを得ることができる。
【0112】
《フォトスペーサー》
以上の本発明のフォトスペーサーの製造方法により製造されるフォトスペーサーは、高さとしては、1.5〜10.0μm(好ましくは、2.0〜5.5μmであり、より好ましくは3.0〜4.5μm)とすることができる。
また、フォトスペーサーの高さ分布の標準偏差が高さの平均値の3%以下(好ましくは1.5%以下、より好ましくは1.0%以下、さらに好ましくは0.5%以下)とすることができる。すなわち、本発明のフォトスペーサーの製造方法により、非常に均一な高さのフォトスペーサーを製造することができる。
また、フォトスペーサーの形は、基板面を上方から見たときに、円形、楕円形、多角形等様々な形があり、カラーフィルター基板設計上の要求から種々の形状を用いることができる。基板面に平行な方向からみたフォトスペーサーの形は四角形(すなわちフォトスペーサー全体の形としては円柱や多角柱など)や、台形、(すなわちフォトスペーサーの全体の形としては円錘台形、多角錘台形)、逆台形(すなわちフォトスペーサーの全体の形としては逆円錘台形、逆多角錘台形)などがあり、これもカラーフィルター基板設計上の要求から種々の形状を用いることが出来る。
【0113】
又、フォトスペーサーに要求される力学的な特性として、弾性回復率、総変形量の2つが上げられる。これらは微小硬度計DUH−W201(島津製作所)等を用いて円錘台圧子により一定の負荷速度でフォトスペーサーを圧縮し、規定の最大荷重に達した後一定の時間その荷重を保持した時のフォトスペーサーの高さをX1、引き続いて一定の除荷速度により荷重を取り除き、荷重を取り除いた後一定時間保持後のフォトスペーサーの高さをX2、荷重をかける前の初期のフォトスペーサーの高さをX0とした時に、弾性回復率は(X2−X1)÷(X0−X1)×100[単位:%]で与えられ、総変形量は(X0−X1)[単位:μm]で与えられる。弾性回復率、総変形量の好ましい範囲の目安としては、最大荷重を50mN、負荷時、除荷時の保持時間を5sec、負荷速度、除荷速度を3.3mN/secとした時に、直径25μm、高さ4.2〜5.0μmのフォトスペーサーにおいて弾性回復率は80〜100%が好ましく、さらに好ましくは90%〜100%である。総変形量は0.1μm〜0.5μmが好ましく、さらに好ましくは0.2μm〜0.4μmである。
【0114】
《カラーフィルター》
本発明のカラーフィルターは、本発明の感光性樹脂転写材料を用いて形成されたフォトスペーサーを有してなるものである。フォトスペーサーは、基板上に形成されたブラックマトリクス等の表示用遮光部の上やTFT等の駆動素子上に形成されることが好ましく、また、必要に応じてブラックマトリクス等の表示用遮光部やTFT等の駆動素子とスペーサーとの間には、ITO等の透明導電層やポリイミド等の液晶配向膜が存在していてもよい。
【0115】
例えば、フォトスペーサーが表示用遮光部や駆動素子の上に設けられる場合、本発明のカラーフィルターは、あらかじめ配設された表示用遮光部や駆動素子を覆うように、本発明の感光性樹脂転写材料を既述したようにしてラミネートし、剥離転写した後、露光、現像等を行うことによりスペーサーを形成することで作製することができる。
【0116】
本発明のカラーフィルターにおいては、高さ均一性が高いフォトスペーサーを使用しているため、その特質を生かすためブラックマトリックスの高さ、赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)画素間の高さの差は、1.0μm以下であることが好ましい。さらに好ましくは0.5μm以下が好ましい。又、ブラックマトリックス、RGB画素の高さのばらつきは高さの標準偏差÷高さの平均値×100の値が3.0以下が好ましい。さらに好ましくは1.5%以下が好ましい。
【0117】
《液晶表示素子》
本発明の液晶表示素子は、対向する一対の基板の間に、液晶材料が封入された液晶層を有する素子であって、前記基板の一方が、本発明の感光性樹脂転写材料を用いて形成されたフォトスペーサーを備えた液晶表示用基板である。
【0118】
《液晶表示装置》
本発明の液晶表示装置は、互いに対向して配置される一対の基板間をスペーサーによって所定幅に規制しその間隙に液晶材料が封入(封入部分を液晶層と称する)された液晶表示装置であり、その液晶層の厚さを一定に保持するために基板上に配置されるスペーサーが、既述した本発明の感光性樹脂転写材料を用いて形成されたものである。すなわち、前記一対の基板の一方として既述の本発明の液晶表示装置用基板を用いて構成したものである。
【0119】
液晶表示装置における液晶としては、STN型、TN型、GH型、ECB型、強誘電性液晶、反強誘電性液晶、VA型、MVA型、ASM型、IPS型、OCB型、AFFS型その他種々のものが好適に挙げられる。本発明のフォトスペーサーは均一性に優れるためIPS型、MVA型、AFFS型、OCB型等のセルギャップ均一性が特に要求される方式に対して特に適している。
【0120】
本発明の液晶表示装置の基本的な構成態様としては、(a)薄膜トランジスタ(TFT)等の駆動素子と画素電極(導電層)とが配列形成された駆動側基板と、カラーフィルター及び対向電極(導電層)を備えたカラーフィルター側基板とをスペーサーを介在させて対向配置し、その間隙部に液晶材料を封入して構成したもの、(b)カラーフィルターが前記駆動側基板に直接形成されたカラーフィルター一体型駆動基板と、対向電極(導電層)を備えた対向基板とをスペーサーを介在させて対向配置し、その間隙部に液晶材料を封入して構成したもの、等を挙げることができる。本発明の液晶表示装置は、各種液晶表示機器に好適に適用することができる。
【実施例】
【0121】
以下、本発明を、実施例を用いて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、以下において「部」及び「%」は「質量部」及び「質量%」を表す。
【0122】
[実施例1]
厚みが75μmであるポリエチレンテレフタレートフィルム製の仮支持体上に、下記組成の熱可塑性樹脂層用塗布液H1を塗布し乾燥させることにより、厚みが15μmである熱可塑性樹脂層を形成した。層厚の分布の標準偏差/層厚の平均値が3%であった。
【0123】
<熱可塑性樹脂層用塗布液H1>
メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(モル比)=55/28.8/11.7/4.5
(商品名:アロマテックスFM601、三井化学株式会社製、重量平均分子量=90000、固形分濃度21質量%)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8.5部
1−メトキシ−2−プロピルアセテート・・・・・・・・・・・・・・・・・・3.5部
スチレン/アクリル酸共重合体(モル比)=63/37(商品名:アロセット7055、株式会社日本触媒製、重量平均分子量=8000、固形分濃度41質量%)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25部
2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン(新中村化学(株)製)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6.4部
メガファックF−780−F(大日本インキ化学工業株式会社製:C613CH2CH2OCOCH=CH2:40部とH(O(CH3)CHCH2)7OCOCH=CH2:55部とH(OCHCH2)7OCOCH=CH2:5部との共重合体、重量平均分子量3万:30部、メチルイソブチルケトン:70部)・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.83部
メチルエチルケトン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・43部
メタノール ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13部
【0124】
次に、前記熱可塑性樹脂層上に、下記組成の中間層用塗布液B1を塗布し乾燥させることにより、厚みが0.8μmである中間層を形成した。層厚の分布の標準偏差/層厚の平均値が2.9%であった。
<中間層用塗布液B1>
ポリビニルアルコール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2.1部
(PVA205(鹸化率=88%);クラレ(株)製)
ポリビニルピロリドン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.95部
(PVP、K−30;GAFコーポレーション社製)
メタノール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・44部
蒸留水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・53部
【0125】
更に、下記組成の感光性樹脂層用塗布液P1を塗布し乾燥させることにより、厚みが5μmである感光性樹脂層を形成した。この感光性樹脂層上に、ポリプロピレン製(厚み12μm)のカバーフィルムを圧着貼付して設けることにより、感光性樹脂転写材料T1を作製した。
【0126】
<感光性樹脂層用塗布液P1>
コロイダルシリカ分散物(コロイダルシリカ:30部、メチルエチルケトン:70部、日産化学工業製 MIBKst)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・140.9部
1−メトキシ−2−プロピルアセテート・・・・・・・・・・・・・・・・347.6部
メタクリル酸/アリルメタクリレート共重合体(モル比)=20/80
(重量平均分子量=3.6万)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・93.43部
DPHA液(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:76部、1−メトキシ−2−プロピルアセテート:24部)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・92.20部
ハイドロキノンモノメチルエーテル・・・・・・・・・・・・・・・・・0.036部
2,4−ビス−(トリクロロメチル)−6−[4−(N,N−ジエトキシカルボニルメチルアミノ)−3−ブロモフェニル]−s−トリアジン・・・・・・・・・2.297部
ビクトリアピュアブルーBOHM(保土ヶ谷化学工業株式会社製)・・・1.027部
メガファックF−780−F(大日本インキ化学工業株式会社製)・・・0.323部
メチルエチルケトン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・300.6部
メタノール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19.50部
塗布液の粘度は29℃において2.4Pa・sであった。比重は29℃において0.934であった。
【0127】
作製した感光性樹脂転写材料T1のカバーフィルムを剥離し、これを、ITOをスパッタしたガラス板上に、ラミネーター(株式会社日立インダストリイズ製(LamicII型))を用いて、線圧100N/cm、130℃の加圧加熱条件下、搬送速度2m/分で貼り合わせた。その後、ポリエチレンテレフタレートフィルム製の仮支持体を熱可塑性樹脂層から剥離し、除去した。次に、所定のフォトマスクを介して超高圧水銀灯を有するプロキシミティー型露光機(日立電子エンジニアリング株式会社製)で80mJ/cm2の露光した後、1%トリエタノールアミン水溶液を用いて熱可塑性樹脂層及び中間層を溶解除去した。この際、感光性樹脂層は実質的に現像されていなかった(有機塩基現像)。
【0128】
次いで、1%炭酸ナトリウム水溶液を用いて感光性樹脂層を現像し(無機塩基現像)、ブラシ工程を経て不要部を除去した後、230℃で60分ベークし、液晶表示装置用基板上に1辺16μm、平均高さ約4.7μmの柱状の透明なスペーサー画像パターン(スペーサードット)を形成した。
【0129】
(液晶表示装置の作製方法)
得られたスペーサー画素パターンを形成したカラーフィルターの上にポリイミドの配向膜を形成し、ナイロン製布を巻きつけたロールでラビングした後、液晶表示装置用基板と対向する電極基板を180℃にてシール材でシールし、液晶を注入し、液晶表示装置を作製した。
【0130】
[実施例2]
実施例1において感光層樹脂層用塗布液P1の組成を以下の感光性樹脂層用塗布液P2に変更したこと以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。作製したフォトスペーサーの高さは4.7μmであった。
<感光性樹脂層用塗布液P2>
コロイダルシリカ分散物(コロイダルシリカ:30部、メチルエチルケトン:70部、日産化学工業製 MIBKst)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・160.0部
メタクリル酸/ベンジルメタクリレート(モル比)=28/72共重合体溶液
(重量平均分子量=3万、上記高分子化合物27部、1−メトキシ−2−プロピルアセテート73部)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・343.4部
DPHA液(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:76部、1−メトキシ−2−プロピルアセテート:24部)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・104.6部
ハイドロキノンモノメチルエーテル・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.041部
2,4−ビス−(トリクロロメチル)−6−[4−(N,N−ジエトキシカルボニルメチル)アミノ−3−ブロモフェニル]−s−トリアジン・・・・・・・・・・2.606部
ビクトリアピュアブルーBOHM(保土ヶ谷化学工業株式会社製)・・・・1.166部
メガファックF−780−F(大日本インキ化学工業株式会社製)・・・・1.142部
メチルエチルケトン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・328.4部
メタノール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22.15部
調製した塗布液の粘度は29℃において3.6Pa・sであった。比重は29℃において0.938であった。
【0131】
[実施例3]
実施例2において、感光性樹脂層塗布液P2の組成を以下のP3に変更したことと、感光性樹脂層の層厚を3.9μmにしたこと以外は実施例2と同様にして液晶表示装置を作製した。作製したフォトスペーサーの高さは3.65μmであった。
<感光性樹脂層用塗布液P3>
コロイダルシリカ分散物(コロイダルシリカ:30部、メチルエチルケトン:70部、日産化学工業製 MIBKst)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・140.0部
1−メトキシ−2−プロピルアセテート・・・・・・・・・・・・・・・・43.35部
メタクリル酸/ベンジルメタクリレート(モル比)=28/72共重合体溶液
(重量平均分子量=3万、上記高分子化合物27部、1−メトキシ−2−プロピルアセテート73部)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・343.4部
DPHA液(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:76部、1−メトキシ−2−プロピルアセテート:24部)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・91.50部
ハイドロキノンモノメチルエーテル・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.036部
2,4−ビス−(トリクロロメチル)−6−[4−(N,N−ジエトキシカルボニルメチル)アミノ−3−ブロモフェニル]−s−トリアジン・・・・・・・・・・2.280部
ビクトリアピュアブルーBOHM(保土ヶ谷化学工業株式会社製)・・・・1.020部
メガファックF−780−F(大日本インキ化学工業株式会社製)・・・・1.000部
メチルエチルケトン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・355.9部
メタノール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19.38部
調製した塗布液の粘度は29℃において3.0Pa・sであった。比重は29℃において0.926であった。
【0132】
[実施例4]
実施例1において、感光性樹脂層用塗布液P1の組成を以下のP4に変更した以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。作製したフォトスペーサーの高さは4.7μmであった。
<感光性樹脂層用塗布液P4>
1−メトキシ−2−プロピルアセテート・・・・・・・・・・・・・・・347.6部
メタクリル酸/アリルメタクリレート共重合体(モル比)=20/80
(重量平均分子量=3.6万)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・93.43部
DPHA液(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:76部、1−メトキシ−2−プロピルアセテート:24部)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・92.20部
ハイドロキノンモノメチルエーテル・・・・・・・・・・・・・・・・・0.036部
2,4−ビス−(トリクロロメチル)−6−[4−(N,N−ジエトキシカルボニルメチル)アミノ−3−ブロモフェニル]−s−トリアジン・・・・・・・・・2.297部
ビクトリアピュアブルーBOHM(保土ヶ谷化学工業株式会社製)・・・1.027部
メガファックF−780−F(大日本インキ化学工業株式会社製)・・・0.323部
メチルエチルケトン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・300.6部
メタノール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19.50部
調製した塗布液の粘度は29℃において3.1Pa・sであった。比重は29℃において0.928であった。
【0133】
[実施例5]
実施例2において感光層樹脂層用塗布液P2の組成を以下の感光性樹脂層用塗布液P5に変更したことと、熱可塑性樹脂層の層厚を7μmにした以外は実施例2と同様にして液晶表示装置を作製した。
<感光性樹脂層用塗布液P5>
コロイダルシリカ分散物(コロイダルシリカ:30部、メチルエチルケトン:70部、日産化学工業製 MIBKst)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・70.0部
1−メトキシ−2−プロピルアセテート・・・・・・・・・・・・・・・・43.35部
メタクリル酸/ベンジルメタクリレート(モル比)=28/72共重合体溶液
(重量平均分子量=3万、上記高分子化合物27部、1−メトキシ−2−プロピルアセテート73部)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・343.4部
DPHA液(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:76部、1−メトキシ−2−プロピルアセテート:24部)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・91.50部
ハイドロキノンモノメチルエーテル・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.036部
2,4−ビス−(トリクロロメチル)−6−[4−(N,N−ジエトキシカルボニルメチル)アミノ−3−ブロモフェニル]−s−トリアジン・・・・・・・・・・2.280部
ビクトリアピュアブルーBOHM(保土ヶ谷化学工業株式会社製)・・・・1.020部
メガファックF−780−F(大日本インキ化学工業株式会社製)・・・・1.000部
メチルエチルケトン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・355.9部
メタノール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19.38部
調製した塗布液の粘度は29℃において2.9Pa・sであった。比重は29℃において0.926であった。
【0134】
[実施例6]
実施例1において、有機塩基現像を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。
【0135】
[比較例1]
実施例1において、熱可塑性樹脂層と中間層とを設けなかったこと、及び有機塩基現像を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。出来上がったフォトスペーサーの高さは4.7μmであった。
【0136】
[比較例2]
実施例1において感光性樹脂層用塗布液P1の組成を以下の感光性樹脂層用塗布液P6に変更したこと以外は実施例1と同様にして液晶表示装置を作製した。出来上がったフォトスペーサーの高さは4.7μmであった。
<感光性樹脂層用塗布液P4>
コロイダルシリカ分散物(コロイダルシリカ:30部、メチルエチルケトン:70部、日産化学工業製 MIBKst)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・160.0部
メタクリル酸/ベンジルメタクリレート(モル比)=28/72共重合体溶液
(重量平均分子量=3万、上記高分子化合物27部、1−メトキシ−2−プロピルアセテート73部)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・343.4部
DPHA液(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:76部、1−メトキシ−2−プロピルアセテート:24部)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・104.6部
ハイドロキノンモノメチルエーテル・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.041部
2,4−ビス−(トリクロロメチル)−6−[4−(N,N−ジエトキシカルボニルメチル)アミノ−3−ブロモフェニル]−s−トリアジン・・・・・・・・・・2.606部
ビクトリアピュアブルーBOHM(保土ヶ谷化学工業株式会社製)・・・・1.166部
メガファックF−780−F(大日本インキ化学工業株式会社製)・・・・0.050部
メチルエチルケトン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・328.4部
メタノール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22.15部
【0137】
[評価]
(溶融粘度測定)
上記熱可塑性樹脂層用塗布液及び感光性樹脂層用塗布液をガラス板に塗布し、風乾した後、45℃で4時間真空乾燥を行った。ガラス板から剥がし試料とした。測定はJasco International Co.Ltd製の粘弾性測定装置DynAlyser DAS-100を用いて測定温度110℃、周波数 1Hzで測定した。測定結果を表1に示す。
【0138】
(層厚測定)
層厚は表面粗さ計P−10(TENCOR社製)を用いて測定した。測定は、基板上に塗布乾燥された膜を削り取り、生じた段差を測定して層厚とした。又、塗布サンプルの面内において50箇所の層厚測定を行って、その標準偏差と平均値を求めた。結果を表1に示す。
【0139】
(スペーサーの高さ分布(バラツキ)測定)
三次元表面構造解析顕微鏡(メーカー:ZYGO Corporation、型式:New View 5022)を用いてランダムに無作為に選択されたフォトスペーサーを測定した。測定結果を表1に示す。
【0140】
(表示品質)
作製した液晶表示装置にグレーのベタ画像を表示し、以下の評価基準に従い、画像の表示品質を評価した。結果を表1に示す。
−評価基準−
◎:表示されたベタ画像に明暗のムラは見られない。
○:表示されたベタ画像に明暗のムラが極僅か見られる。
△:表示されたベタ画像に明暗のムラが見られるが、実用上は許容できるレベル。
×:表示されたベタ画像明暗のムラが多くみられ、実用上も許容できないレベル。
【0141】
【表1】

【0142】
表1より、本発明に従う実施例1〜6のフォトスペーサーの高さ分布の均一性が高く、液晶表示装置を作製した場合に優れた画像表示品質が得られたことが分かる。これに対して、比較例1〜2では、フォトスペーサーの高さ分布の均一性が低く、良好な画像表示品質が得られなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮支持体上に、少なくとも、アルカリ可溶な熱可塑性樹脂層と、感光性樹脂層とを有し、前記感光性樹脂層の層厚分布の標準偏差が層厚の平均値の1.5%以下であることを特徴とする感光性樹脂転写材料。
【請求項2】
前記熱可塑性樹脂層の厚み(A)と、前記感光性樹脂層の厚み(B)との比率(B/A)が1/2.5以下であることを特徴とする請求項1に記載の感光性樹脂転写材料。
【請求項3】
前記感光性樹脂層の溶融粘度が110℃において1.0×103Pa・s以上であり、前記熱可塑性樹脂層の110℃における溶融粘度が前記感光性樹脂層の溶融粘度よりも低いことを特徴とする請求項1または2に記載の感光性樹脂転写材料。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の感光性樹脂転写材料を用いて、加熱及び/又は加圧により基板上に感光性樹脂層を転写する工程と、転写した感光性樹脂層に対してパターン露光を行う工程と、パターン露光後の感光性樹脂層を現像処理する工程と、ポストベーク処理を行う工程とを有することを特徴とするフォトスペーサーの製造方法。
【請求項5】
前記パターン露光後の現像処理が有機塩基を含む現像液により現像を行った後、再度、無機塩基を含む現像液により現像を行う処理であることを特徴とする請求項4に記載のフォトスペーサーの製造方法。
【請求項6】
前記有機塩基の種類がアルキルアルコールアミンであり、前記有機塩基を含む現像液のpHが10〜12の範囲であることを特徴とする請求項5に記載のフォトスペーサーの製造方法。
【請求項7】
前記無機塩基の種類が、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項5または6に記載のフォトスペーサーの製造方法。
【請求項8】
請求項4から7のいずれか1項に記載のフォトスペーサーの製造方法により製造したフォトスペーサーを有することを特徴とするカラーフィルター。
【請求項9】
請求項4から7のいずれか1項に記載のフォトスペーサーの製造方法により製造したフォトスペーサーを有することを特徴とする液晶表示素子。

【公開番号】特開2007−187772(P2007−187772A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−4444(P2006−4444)
【出願日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】