説明

感光性組成物、感光性フィルム、パターン形成方法、及びプリント基板

【課題】青紫色レーザ露光システムに対して高感度であり、保存安定性及びメッキ耐性に優れ、バンプパターン、配線パターンなどの形成に好適な厚肉な膜が得られ、高解像度で高精細なバンプパターン、配線パターンなどの形成に好適な、ネガ型の感光性組成物、感光性フィルム、バンプパターン、配線パターンなどのパターン形成方法、及びプリント基板の提供。
【解決手段】フェノール性水酸基含有樹脂、ベンジル基、カルボキシル基及び水酸基を含有する樹脂、酸により架橋する架橋剤、及び波長350〜420nmに対して吸収極大を有する光酸発生剤を含有し、波長405nmにおける感度が、10〜100mJ/cmであることを特徴とする感光性組成物、該感光性組成物を用いた感光性フィルム、前記感光性組成物等を用いたパターン形成方法及び該パターン形成方法により形成されるプリント基板である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、青紫色レーザ露光システムに対して高感度であり、保存安定性及びメッキ耐性に優れ、バンプパターン、配線パターンなどの形成に好適な厚肉な膜が得られ、高解像度で高精細なバンプパターン、配線パターンなどの形成に好適な、ネガ型の感光性組成物、感光性フィルム、バンプパターン、配線パターンなどのパターン形成方法、及びプリント基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器のダウンサイジングに伴い、LSIの高集積化およびASIC化が急激に進んでおり、LSIを電子機器に搭載するための多ピン薄膜実装が求められ、TAB方式やフリップチップ方式によるベアチップ実装などが注目されてきている。このような多ピン実装方法では、LSIのための接続用端子であるバンプと呼ばれる高さ20μm以上の突起電極が、基板上に高精度に配置されることが必要であり、今後、さらなるLSIの小型化に対応してバンプの高精度化がより一層必要になってきている。また、上記接続用端子の形成を補助するため、再配線工程を用いてチップと接続用端子間の配線を形成する設計もよく見られる。この場合、5〜20μm厚程度のレジストを用い、配線パターンが形成される。
このようなバンプを形成するときに使用されるバンプ形成用材料や、再配線用材料として、いわゆる厚膜用フォトレジストが用いられる。厚膜用フォトレジストとは基板の上に約5μm以上の膜厚を形成できるフォトレジストを意味し、この厚膜パターンをメッキマスクとして、メッキ処理工程によりバンプが形成される。
前記パンプ形成用、配線形成用材料として、例えば、特許文献1〜3に記載の厚膜用感光性組成物が開示されている。
しかし、これら従来の厚膜用感光性組成物では、膜が厚いことから、レジスト膜全域を十分に反応させるために多量の反応開始剤が必要であった。このように反応開始剤の含有量が多い場合、相溶性が悪くなる可能性が高く、保存時のブリードアウトが発生する傾向がある。従って、感光性組成物の保存安定性に優れ、より少量でも高感度な反応開始剤が求められていた。
また、公知のバンプ形成用材料は、青紫色レーザ露光システムに使用した場合、感度の点においても不十分である問題もあった。
【0003】
一方、高感度な感光性組成物として、酸発生剤を用いた化学増幅型レジストが知られている。化学増幅型レジストの特徴は、放射線照射により含有成分である酸発生剤から発生したプロトン酸が、露光後の加熱処理により樹脂組成物中のベース樹脂等に対し酸触媒反応を起こすことである。このようにして光反応効率(一光子当たりの反応)が1未満の従来のフォトレジストに比べて、飛躍的な高感度化を達成している。化学増幅型ネガ型レジストの代表的な例としては、非特許文献1にL.E.Boganらのポリビニルフェノールとメラミン誘導体を組み合わせたレジストが記載されている。
しかし、これらの化学増幅型レジストを使用して厚膜を作製した場合、ひび(クラック)が生じ、必要なメッキ耐性が得られない問題があった。
前記問題点を改善するため、ノボラック樹脂、可塑剤、架橋剤、及び酸発生剤からなる感光性組成物が知られている(例えば、特許文献4参照)。このような感光性組成物は、高解像度で、めっき耐性に優れるレジスト膜が形成可能であるが、ドライフィルム化が可能なほどには、柔軟性や保存安定性が良好ではないという問題があった。
【0004】
したがって、青紫色レーザ露光システムに対して高感度で、メッキ耐性が良好である上に、保存安定性に優れ、配線パターン、バンプパターンなどの形成用ドライフィルム材料などに好適な、厚肉な膜の形成が可能で高解像度で高精細なバンプパターン、配線パターンなどの形成に好適なネガ型の感光性組成物、感光性フィルム、前記感光性組成物を用いたバンプパターン、配線パターンなどのパターン形成方法、及び前記パターン形成方法によりバンプ、配線が形成されるプリント基板は未だ提供されておらず、更なる改良開発が望まれているのが現状である。
【0005】
【特許文献1】特開平10−207057号公報
【特許文献2】特開2000−39709号公報
【特許文献3】特開2000−66385号公報
【特許文献4】特開2003−43688号公報
【非特許文献1】SPIEプロシーディング(Proceeding of SPIE)、1086巻、34−47頁(1989年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、青紫色レーザ露光システムに対して高感度であり、保存安定性及びメッキ耐性に優れ、バンプパターン、配線パターンなどの形成に好適な厚肉な膜が得られ、高解像度で高精細なバンプパターン、配線パターンなどの形成に好適な、ネガ型の感光性組成物、感光性フィルム、パターン形成方法、及びプリント基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明者が鋭意検討を行った結果、(A)フェノール性水酸基含有樹脂、(B)ベンジル基、カルボキシル基及び水酸基を含有する樹脂、(C)酸により架橋する架橋剤、及び(D)波長350〜420nmに対して吸収極大を有する光酸発生剤を含有し、波長405nmにおける感度が、10〜100mJ/cmである感光性組成物を用いることにより、青紫色レーザ露光システムに対して高感度であり、保存安定性及びメッキ耐性に優れ、バンプパターンや配線パターンなどの形成に好適な厚肉な膜が得られ、高精細なパターンを形成可能であることを知見した。
【0008】
本発明は、本発明者の前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> (A)フェノール性水酸基含有樹脂、(B)ベンジル基、カルボキシル基及び水酸基を含有する樹脂、(C)酸により架橋する架橋剤、及び(D)波長350〜420nmに対して吸収極大を有する光酸発生剤を含有し、波長405nmにおける感度が、10〜100mJ/cmであることを特徴とする感光性組成物である。
<2> (B)ベンジル基、カルボキシル基及び水酸基を含有する樹脂のガラス転移温度(Tg)が、240〜300K(−33〜27℃)で、酸価が、50〜120mgKOH/gで、水酸基価が、70〜180mgKOH/gで、質量平均分子量が、10,000〜100,000のベンジル(メタ)アクリレート共重合体である前記<1>に記載の感光性組成物である。
<3> (B)ベンジル基、カルボキシル基及び水酸基を含有する樹脂が、下記一般式(I)で表される共重合体である前記<1>から<2>のいずれかに記載の感光性組成物である。
【化6】

ただし、前記一般式(I)中、R、R、R、R、R、R、R、及びRは、独立に、水素原子及びメチル基のいずれかを表し、Rは、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、及び−CO−R12のいずれかを表し、R12は、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、ビニル基、置換ビニル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アリール基、及び置換アリール基のいずれかを表す。R10及びR11は、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、及び置換アリール基のいずれかを表す。x、y、及びzは、各繰り返し単位のモル組成比を表し、x=0.05〜0.70、y=0.1〜0.3、z=0.2〜0.8であり、x+y+z=1である。
<4> (C)架橋剤が、メトキシメチル化メラミン樹脂、エトキシメチル化メラミン樹脂、プロポキシメチル化メラミン樹脂、ブトキシメチル化メラミン樹脂、及びメトキシメチル化グリコールウリル樹脂から選択される少なくとも1種である前記<1>から<3>のいずれかに記載の感光性組成物である。
<5> (D)光酸発生剤が、下記一般式(II−1)〜(II−4)で表されるオキシムスルホナート化合物である前記<1>から<4>のいずれかに記載の感光性組成物である。
【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

ただし、前記一般式(II−1)〜(II−4)中、nは、1〜2の整数を表し、Xは、−(CH)m−X、及び−CH=CHのいずれかを表し、Xは、エステル基、エーテル基、アミド基、イミド基、チオエーテル基、スルホキシド基、及びスルホナート基のいずれかを表す。mは、2〜6の整数を表す。nが1の場合、R及びRは、水素、及び有機基のいずれかを表し、nが2の場合、R及びRは、直接結合、及び二価の有機基のいずれかを表す。。X’は、直接結合及び二価の有機基のいずれかを表す。R、R、R及びRは、互いに異なっていても同一でもよく、水素及び有機置換基のいずれかを表し、また、R及びR、並びにR及びRのいずれかは、それぞれ一緒になって置換されてもよいベンゼン環及びマレイミド環のいずれかを形成してもよい。
<6> 中性増感剤を更に含み、該中性増感剤が、2,4−ジエチルチオキサントン、及び1−クロロ−4−プロポキシチオキサントンから選択される少なくとも1種である前記<1>から<5>のいずれかに記載の感光性組成物である。
【0009】
<7> 支持体と、該支持体上に前記<1>から<6>のいずれかに記載の感光性組成物からなる感光層とを有することを特徴とする感光性フィルムである。
<8> 支持体が、合成樹脂を含み、かつ透明である前記<7>に記載の感光性フィルムである。
<9> 支持体が、長尺状である前記<7>から<8>のいずれかに記載の感光性フィルムである。
<10> 長尺状であり、ロール状に巻かれてなる前記<7>から<9>のいずれかに記載の感光性フィルムである。
<11> 感光層上に、保護フィルムを有する前記<7>から<10>のいずれかに記載の感光性フィルムである。
<12> 感光層の厚みが、5〜100μmである前記<7>から<11>のいずれかに記載の感光性フィルムである。
【0010】
<13> 前記<1>から<6>のいずれかに記載の感光性組成物により形成された感光層に対して、パターン露光し、現像することによりレジストパターンを形成し、該レジストパターンをマスクとしてメッキした後、レジストパターンを剥離することを含むことを特徴とするパターン形成方法である。
<14> 感光層が、前記<7>から<12>のいずれかに記載の感光性フィルムにより形成された前記<13>に記載のパターン形成方法である。
<15> 露光が、350〜415nmの波長のレーザ光を用いて行われる前記<13>から<14>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<16> 露光が行われた後、加熱処理を行う前記<13>から<15>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<17> 現像が行われた後、感光層に対して後硬化処理を行う前記<13>から<16>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
<18> 後硬化処理が、全面露光処理及び全面加熱処理の少なくともいずれかである前記<17>に記載のパターン形成方法である。
<19> バンプパターン及び配線パターンのいずれかを形成する前記<13>から<18>のいずれかに記載のパターン形成方法である。
【0011】
<20> 前記<13>から<19>のいずれかに記載のパターン形成方法により形成されたバンプ及び配線の少なくともいずれかを有することを特徴とするプリント基板である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、従来における問題を解決することができ、青紫色レーザ露光システムに対して高感度であり、保存安定性及びメッキ耐性に優れ、バンプパターン、配線パターンなどの形成に好適な厚肉な膜が得られ、高解像度で高精細なバンプパターン、配線パターンなどの形成に好適な、ネガ型の感光性組成物、感光性フィルム、前記感光性組成物を用いたバンプパターン、配線パターンなどのパターン形成方法、及び前記パターン形成方法によりバンプ、配線などが形成されるプリント基板を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(感光性組成物)
本発明の感光性組成物は、(A)フェノール性水酸基含有樹脂、(B)ベンジル基、カルボキシル基及び水酸基を含有する樹脂、(C)架橋剤、及び(D)光酸発生剤を含み、更に必要に応じて、(E)中性増感剤、適宜選択されたその他の成分を含む。
本発明の前記感光性組成物としては、波長405nmにおける感度が、10〜100mJ/cmであることが必要であり、10〜30mJ/cmが好ましい。
【0014】
<(A)フェノール性水酸基含有樹脂>
前記フェノール性水酸基含有樹脂としては、質量平均分子量が5,000以上のフェノール基含有ビニルポリマー(a−1)、及びフェノール基含有縮合型ポリマー(a−2)が好適に挙げられる。
【0015】
−(a−1)フェノール基含有ビニルポリマー−
前記フェノール基含有ビニルポリマーは、分子量が5,000以上で、フェノール性水酸基価が160〜460mgKOH/gのポリマーであり、(1)フェノール基とビニル基を同一分子中に有するモノマーのビニル重合により得られるポリマー、(2)反応性官能基を有するポリマーとフェノール性水酸基含有化合物との反応により得られるポリマー、が挙げられる。
(1)フェノール性水酸基とビニル基を同一分子中に有するモノマーのビニル重合により得られるポリマー
前記フェノール性水酸基とビニル基を同一分子中に有するモノマーとしては、例えば、ビニルフェノール類、(メタ)アクリロイルアミノフェノール類、(メタ)アクリロイルオキシフェノール類、が挙げられる。
前記ビニルフェノール類としては、p−ビニルフェノール、m−ビニルフェノール、o−ビニルフェノール、p−ビニル−o−クレゾール、p−ビニル−m−クレゾール、などが挙げられる。
前記(メタ)アクリロイルアミノフェノール類としては、p−(メタ)アクリロイルアミノフェノール、m−(メタ)アクリロイルアミノフェノール、o−(メタ)アクリロイルアミノフェノール、などが挙げられる。
前記(メタ)アクリロイルオキシフェノール類としては、p−(メタ)アクリロイルオキシフェノール、m−(メタ)アクリロイルオキシフェノール、o−(メタ)アクリロイルオキシフェノール、などが挙げられる。
【0016】
本発明に好適な前記フェノール基含有ポリマーは、これらのフェノール基とビニル基を含有するモノマーとアルカリ可溶性を損なわない限り、他のビニルモノマーとの共重合体も含有させることができる。
前記ビニルモノマーとしては、前記フェノール性水酸基とビニル基含有モノマーと共重合可能で、カルボキシル基やアミノ基及びフェノール性水酸基と反応する基を含まない化合物群から選ばれるのが好ましい。
前記化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、スチレン類、が挙げられる。
【0017】
(2)反応性官能基を有するポリマーとフェノール性水酸基含有化合物の反応により得られるポリマー
前記ポリマーとしては、具体的には、例えば、エポキシ基含有バインダーとヒドロキシ安息香酸の付加反応生成物、が挙げられる。
【0018】
(a−2)フェノール基含有縮合型ポリマー
前記フェノール基含有縮合型ポリマーは、フェノール類とアルデヒド類との酸性触媒使用での重縮合により得られるフェノールポリマーであり、ノボラック樹脂として知られている。
前記フェノール基含有縮合型ポリマーは、例えば、フェノール性水酸基を持つ芳香族化合物(以下、単に「フェノール類」という)とアルデヒド類とを酸触媒下で付加縮合させることにより得られる。
この際使用される前記フェノール類としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール、o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、pーフェニルフェノール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、フロログリシノール、ヒドロキシジフェニル、ビスフェノールA、没食子酸、没食子酸エステル、α−ナフトール、β−ナフトール、などが挙げられる。
また、前記アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、ニトロベンズアルデヒド、アセトアルデヒド、などが挙げられる。
前記付加縮合反応時の触媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸、蟻酸、しゅう酸、酢酸、などを使用することができる。
前記フェノール基含有縮合型ポリマー(ノボラック樹脂)の質量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,000〜30,000が好ましい。
【0019】
前記(A)フェノール性水酸基含有樹脂の含有量としては、感光性組成物の総量100質量部に対して、50〜95質量部が好ましく、65〜80質量部がより好ましい。前記含有量が、50質量部未満では、メッキ耐性、バンプ形状、剥離性が低下することがあり、95質量部を超えると、現像時に現像不良を起こすことがある。
【0020】
(B)ベンジル基、カルボキシル基及び水酸基を含有する樹脂
前記ベンジル基、カルボキシル基及び水酸基を含有する樹脂としては、基本的に分子中にベンジル基、カルボキシル基及び水酸基を含有すれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、その中でも、ガラス転移温度(Tg)が、300K(27℃)以下で、酸価が、10〜200mgKOH/gで、分子中の水酸基価が、70〜180mgKOH/gで、質量平均分子量が、10,000〜100,000のベンジル(メタ)アクリレート共重合体が好ましく、ガラス転移温度(Tg)が、240〜300K(−33〜27℃)で、酸価が、50〜120mgKOH/gで、水酸基価が、70〜180mgKOH/gで、質量平均分子量が、10,000〜100,000のベンジル(メタ)アクリレート共重合体がより好ましい。ガラス転移温度、酸価、水酸基価、及び質量平均分子量の詳細については、後述する。
【0021】
前記ベンジル基、カルボキシル基及び水酸基を含有する樹脂としては、具体的には、例えば、下記一般式(I)で表される繰り返し単位からなる構造を含む共重合体、が挙げられる。
【化11】

ただし、前記一般式(I)中、R、R、R、R、R、R、R、及びRは、独立に、水素原子及びメチル基のいずれかを表し、Rは、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、及び−CO−R12のいずれかを表し、R12は、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、ビニル基、置換ビニル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アリール基、及び置換アリール基のいずれかを表す。R10及びR11は、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、及び置換アリール基のいずれかを表す。x、y、及びzは、各繰り返し単位のモル組成比を表し、x=0.05〜0.70、y=0.1〜0.3、z=0.2〜0.8であり、x+y+z=1である。
【0022】
前記一般式(I)の第1の繰り返し単位としては、アクリル酸単位、メタクリル酸単位、クロトン酸単位、2,3−ジメチルアクリル酸単位、又は2,3,3−トリメチルアクリル酸単位と、下記構造式で表されるエポキシ基を1個有する化合物との反応により得ることができる。
【化12】

ただし、前記構造式中、Rは、前記一般式(I)のRと同じ意味を表す。
【0023】
前記一般式(I)の繰り返し単位は、対応するアクリル化合物の重合で得ることもできるが、下記構造式で表される繰り返し単位を有する高分子と反応することで得ることもできる。特に、前記一般式(I)中のRが、−CO−CR12=CHの場合は、該高分子との反応法で製造される。
【化13】

ただし、前記構造式中、R12〜R14は、水素原子及びメチル基のいずれかを表し、R〜R11は、前記一般式(I)中のR〜R11と同じ意味を表す。i及びjは、各繰り返し単位のモル組成比を表し、i=0.8〜0.20、j=0.2〜0.8であり、i+j=1である。
【0024】
前記一般式(I)の第1の繰り返し単位の具体例としては、3−イソプロポキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−n−ブトキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−n−ヘキシルオキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−シクロヘキシルオキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ベンジルオキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−メタリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(2−メチルフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(4−メトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−アセトキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ベンゾイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、からの繰り返し単位が挙げられる。
また、高分子反応のみにて得られる、繰り返し単位として、3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、が挙げられる。
これらの中でも、第1の繰り返し単位として最も好ましいものとしては、3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ベンジルオキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、が挙げられる。
【0025】
第2の繰り返し単位としては、アルカリ可溶性基としてカルボン酸基を有するモノマーからの繰り返し単位が好ましく、具体的には、アクリル酸単位、メタクリル酸単位、クロトン酸単位、2,3−ジメチルアクリル酸単位、または2,3,3−トリメチルアクリル酸単位が挙げられ、これらの中でも、(メタ)アクリル酸単位が最も好ましい。
【0026】
第3の繰り返し単位は、物理的、化学的特性を適度にコントロールする目的で、含むことができる。この様なラジカル重合性化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アリールエステル類;マレイン酸ジエチル、フマル酸ジブチルなどのジカルボン酸ジエステル類;スチレン、α−メチルスチレンなどのビニル基含有芳香族化合物;酢酸ビニルなどのビニル基含有脂肪族化合物;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジオレフィン類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル基含有重合性化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデンなどの塩素含有重合性化合物;アクリルアミド、メタクリルアミドなどのアミド結合含有重合性化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、n−ブチルアクリレート、ベンジルメタクリレート、メチルメタクリレート、などが特に好適に挙げられる。
【0027】
前記各繰り返し単位の共重合組成比であるx、y、及びzの好ましい組み合わせとしては、前記一般式(I)で表されるアルカリ可溶性ポリマーの酸価、水酸基価、ガラス転移温度(Tg)などを考慮して選択することができる。
前記ガラス転移温度(Tg)としては、300K(27℃)以下が好ましく、200〜300K(−73〜27℃)がより好ましく、240〜300K(−33〜27℃)が更に好ましい。前記ガラス転移温度が、200K(−73℃)未満であると、感光層の粘着性が高く、支持体の剥離性が劣ることがあり、300K(27℃)を超えると、感光層の機械的強度が劣るため、クラックが入り易くなることがある。
前記酸価としては、10〜200mgKOH/gが好ましく、50〜120mgKOH/gがより好ましい。前記酸価が、10mgKOH/g未満では、現像性に劣り、また十分な硬化膜の剥離性が得られないことがあり、200mgKOH/gを超えると、露光部の残膜率低下やメッキ耐性が悪化することがある。
前記水酸基価としては、70〜180mgKOH/gが好ましく、80〜150mgKOH/gがより好ましい。前記水酸基価が、70mgKOH/g未満では、フェノール化合物との相溶性が劣ることがあり、180mgKOH/gを超えると、露光硬化部の耐水性が劣ることがある。
前記アルカリ可溶性バインダーの質量平均分子量としては、10,000〜100,000が好ましく、10,000〜80,000がより好ましく、30,000〜50,000が更に好ましい。前記質量平均分子量が、10,000未満では、感光層の十分な強度が得られず、メッキ時のプロファイルの膨れ、クラックの発生を引き起こすことがあり、100,000を超えると、密着性が低下することがある。
【0028】
前記ベンジル基、カルボキシル基及び水酸基を含有する樹脂を合成する際に用いられる溶媒としては、例えば、エタノール、ジエチレングリコールなどのアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテルなどの多価アルコールのアルキルエーテル類;エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどの多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;アセトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、などが挙げられる。これらの中でも、多価アルコールのアルキルエーテル類、多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類、が特に好適に挙げられる。
前記触媒としては、更に、通常のラジカル重合開始剤を使用することができ、具体的には、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物;ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシドなどの有機過酸化物などが挙げられる。
【0029】
前記(B)ベンジル基、カルボキシル基及び水酸基を含有する樹脂の含有量としては、前記感光性組成物の総量100質量部に対して、5〜30質量部が好ましく、10〜20質量部がより好ましい。前記含有量が、5質量部未満では、メッキ時にレジストの浮き、クラックの発生などを生じ、メッキ耐性が低下することがあり、30質量部を超えると、形成される厚膜の強度が低下し、膨れなどにより鮮明なプロファイルが得られず、解像度が低下することがある。
【0030】
<(C)酸により架橋する架橋剤>
前記架橋剤としては、酸により架橋するものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミノ化合物が挙げられる。該アミノ化合物としては、例えば、メラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂、グリコールウリル−ホルムアルデヒド樹脂、スクシニルアミド−ホルムアルデヒド樹脂、エチレン尿素−ホルムアルデヒド樹脂、などが挙げられる。これらの中でも、アルコキシメチル化メラミン樹脂、アルコキシメチル化尿素樹脂などのアルコキシメチル化アミノ樹脂、などが特に好適に挙げられる。
前記アルコキシメチル化アミノ樹脂は、例えば、沸騰水溶液中でメラミン又は尿素をホルマリンと反応させて得た縮合物を、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコール類でエーテル化し、次いで反応液を冷却して析出させることで製造できる。
前記アルコキシメチル化アミノ樹脂としては、具体的には、例えば、メトキシメチル化メラミン樹脂、エトキシメチル化メラミン樹脂、プロポキシメチル化メラミン樹脂、ブトキシメチル化メラミン樹脂、メトキシメチル化尿素樹脂、エトキシメチル化尿素樹脂、プロポキシメチル化尿素樹脂、ブトキシメチル化尿素樹脂等が挙げられる。前記アルコキシメチル化アミノ樹脂としては、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アルコキシメチル化メラミン樹脂は、放射線の照射量の変化に対するレジストパターンの寸法変化量が小さく安定したレジストパターンを形成できる観点から、特に好ましい。当該アルコキシメチル化メラミン樹脂の中でも、更に、メトキシメチル化メラミン樹脂、エトキシメチル化メラミン樹脂、プロポキシメチル化メラミン樹脂、ブトキシメチル化メラミン樹脂、及びメトキシメチル化グリコールウリル樹脂が最も好適に挙げられる。
【0031】
前記(C)架橋剤の含有量としては、前記感光性組成物の総量100質量部に対して、1〜30質量部が好ましく、5〜20質量部がより好ましい。前記含有量が、1質量部未満では、得られた厚膜のメッキ耐性、耐薬品性、密着性が低下する、形成されたバンプ形状が不良となることがあり、30質量部を超えると、現像時に現像不良を起こすことがある。
【0032】
<(D)光酸発生剤>
前記光酸発生剤としては、(以下(D)成分という)としては、波長350〜420nmに対して吸収極大を有し、405nmレーザ光により直接若しくは間接的に酸を発生する化合物であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、感度や保存安定性の観点から、下記一般式(II−1)〜一般式(II−4)で表されるオキシムスルホナート類が好適に挙げられる。
【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

ただし、前記一般式(II−1)〜(II−4)中、nは、1及び2のいずれかの整数を表す。Xは、−(CH)m−X、及び−CH=CHのいずれかを表す。mは、2、3、4、5及び6のいずれかの整数を表す。
また、nが1の場合、R及びRは、フェニル基、ナフチル基、アントラシル基、フェナントリル基、及びヘテロアリールのいずれか、水素(但しRは、同時には水素ではない);C〜C18アルキル基、1個以上のC〜C30シクロアルキレン基、並びに、−O−、−S−、−NR−、−(CO)−、−O(CO)−、−S(CO)−、−NR(CO)−、−SO−、−SO−、及び−OSO−のいずれかにより中断されているC〜C18アルキル基、のいずれか、C〜C30シクロアルキル基、C〜Cハロアルキル基、C〜C12アルケニル基、C〜C30シクロアルケニル基、及びカンホリル基のいずれかを表す。
また、nが2の場合、R及びRは、フェニレン基、ナフチレン基、下記式:
【化18】

、ジフェニレン基、オキシジフェニレン基、及び下記式:
【化19】

のいずれか、直接結合、及び下記式:
【化20】

のいずれかを表す。
ここで、前記Rは、全て、水素及び直接結合である場合を除いて、酸の作用で切断される−O−C−結合及び−O−Si−結合のいずれかを有する基により、更に置換されていてもよい。また、Rは、C〜C18アルカノイル基、場合により、1個以上のC〜C18アルキル基、C〜Cハロアルキル基、C〜C30シクロアルキル基、ハロゲン基、−NO、−CN、−Ar、−(CO)R10、−(CO)OR11、−(CO)NR1213、−O(CO)R10、−O(CO)OR11、−O(CO)NR1213、−NR(CO)R10、−NR(CO)OR11、−OR11、−NR1213、−SR、−SOR10、−SO10、及び−OSO10の少なくともいずれかで置換されているベンゾイル基、NO、S(O)〜C18アルキル基、S(O)−C〜C12アリール基、SOO−C〜C18アルキル基、SOO−C〜C10アリール基、及びジフェニル−ホスフィノイル基のいずれかを表す。
【0033】
前記Aは、直接結合、C〜C18アルキレン基、−O−、−S−、−NR−、−O(CO)−、−S(CO)−、−NR(CO)−、−SO−、−SO−、及び−OSO−のいずれかを表す。
前記Aは、直接結合、C〜C18アルキレン、1個以上のC〜C30シクロアルキレン基、、並びに、−O−、−S−、−NR−、−(CO)−、−O(CO)−、−S(CO)−、−NR(CO)−、−SO−、−SO−、−OSO−、及び−Ar−のいずれかにより中断されているC〜C18アルキレン基、のいずれか、C〜C30シクロアルキレン基、フェニレン基、及びナフチレン基のいずれかを表す。
【0034】
前記pは、1及び2のいずれかの整数を表す。
前記Xは、−O(CO)R14、−O(CO)OR11、−O(CO)NR1213、−NR(CO)R14、−NR(CO)OR11、−OR11、−NR1213、下記式:
【化21】

、−SR、−SOR10、−SO10、及び−OSO10のいずれかを表す。
前記X’は、下記式:
【化22】

を表す。
前記X及びXは、互いに独立して、−O(CO)−、−O(CO)O−、−O(CO)NR−、−NR(CO)−、−NR(CO)O−、−O−、−NR−、−S−、−SO−、−SO−、及び−OSO−のいずれかを表す。また、X及びXは、直接結合であるが、ただし、XとXとが両方とも同時に直接結合ではない。
前記Aは、フェニレン基、ナフチレン基、下記式:
【化23】

、ジフェニレン基、オキシジフェニレン基、及び下記式:
【化24】

のいずれか、直接結合、及び下記式:
【化25】

のいずれかを表す。
【0035】
前記Rは、前記Rで示された意味のうちの1つを有するもの、C〜C18アルカノイル基、1個以上のC〜C18アルキル基、C〜Cハロアルキル基、C〜C30シクロアルキル基、ハロゲン基、−NO、−CN、−Ar、−(CO)R10、−(CO)OR11、−(CO)NR1213、−O(CO)R10、−O(CO)OR11、−O(CO)NR1213、−NR(CO)R10、−NR(CO)OR11、−OR11、−NR1213、−SR、−SOR10、−SO10、及び−OSO10のいずれかで置換されていてもよいベンゾイル基、NO、S(O)〜C18アルキル基、S(O)−C〜C12アリール基、SOO−C〜C18アルキル基、SOO−C〜C10アリール基、及びジフェニル−ホスフィノイル基のいずれかを表す。また、R及びRは、一緒になって、5員、6員若しくは7員環を形成してもよい。
前記R、R、R及びRは、互いに独立して、水素、C〜C18アルキル基、C〜Cハロアルキル基、C〜C30シクロアルキル基、並びに、1個以上の−O−、−S−、−NR−、−O(CO)−及び−NR(CO)−のいずれかで中断されているC〜C30シクロアルキル基、のいずれか、ハロゲン基、−NO、−CN、−Ar、−(CO)R10、−(CO)OR11、−(CO)NR1213、−O(CO)R10、−O(CO)OR11、−O(CO)NR1213、−NR(CO)R10、−NR(CO)OR11、−OR11、−NR1213、−SR、−SOR10、−SO10、及び−OSO10のいずれかを表す。また、R及びR、又はR及びRは、それぞれ一緒になって、−C(R15)=C(R16)−C(R17)=C(R18)−、及び−(CO)NR(CO)−のいずれかを表してもよい。
【0036】
前記Gは、−S−、−O−、−NR−、並びに、下記式Z、Z、Z及びZのいずれかで表される基、のいずれかを表す。
【化26】

【0037】
前記R19及びR20は、互いに独立して、前記Rで示された意味のうちの1つを有するものであってもよいし、R19及びR20は、一緒になって、−CO−NRCO−、及び−C(R15)=C(R16)−C(R17)=C(R18)−、のいずれかを表すものであってもよい。
前記R15、R16、R17及びR18は、互いに独立して、水素、ハロゲン、C〜C18アルキル基、C〜C18アルコキシ基、C〜Cハロアルキル基、CN、NO、C〜C18アルカノイル基、ベンゾイル基、フェニル基、−S−フェニル基、OR11、SR、NR1213、C〜Cアルコキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、S(O)〜C18アルキル基、C〜C18アルキル基で置換されていてもよいS(O)−C〜C12アリール基、SOO−C〜C18アルキル基、SOO−C〜C10アリール、及びNHCONHのいずれかを表す。
前記Arは、フェニル基、ナフチル基、アントラシル基、フェナントリル基、及びヘテロアリール基のいずれかである。
前記R10は、フェニル基、ナフチル基、C〜C30シクロアルキル基、C〜C18アルキル基、C〜Cハロアルキル基、C〜C12アルケニル基、C〜C30シクロアルケニル基のいずれか、1個以上の−O−で中断されているC〜C18アルキル基、1個以上の−O−、−S−、−NR−、−O(CO)−、及び−NR(CO)−のいずれかで中断されているC〜C30シクロアルキル基(これらは全て、場合により1個以上のAr、OH、C〜C18アルキル基、C〜Cハロアルキル基、C〜C30シクロアルキル基、ハロゲン基、−NO、−CN、C〜C12アルコキシ基、フェノキシ基、フェノキシカルボニル基、フェニルチオ基、フェニルチオカルボニル基、−NR1213、C〜C12アルキルチオ基、C〜C12アルコキシカルボニル基、C〜Cハロアルカノイル基、ハロベンゾイル基、C〜C12アルキルスルホニル基、フェニルスルホニル基、(4−メチルフェニル)スルホニル基、C〜C12アルキルスルホニルオキシ基、フェニルスルホニルオキシ基、(4−メチルフェニル)スルホニルオキシ基、C〜C12アルカノイル基、C〜C12アルカノイルオキシ基、ベンゾイル、及びベンゾイルオキシ基の少なくともいずれかで置換されている)、水素、のいずれかを表す。
前記R11は、フェニル基、ナフチル基、C〜C30シクロアルキル基、C〜C18アルキル基、C〜Cハロアルキル基、C〜C12アルケニル基、C〜C30シクロアルケニル基のいずれか、1個以上の−O−で中断されているC〜C18アルキル基、1個以上の−O−、−S−、−NR−、−O(CO)−、及び−NR(CO)−のいずれかで中断されているC〜C30シクロアルキル基、C〜C18アルカノイル基、ベンゾイル基、C〜C18アルキルスルホニル基、水素、フェニルスルホニル基、(4−メチルフェニル)スルホニル基、ナフチルスルホニル基、アントラシルスルホニル基、及びフェナントリルスルホニル基のいずれかを表す。
前記R12、R13及びRは、互いに独立して、フェニル基、ナフチル基、C〜C30シクロアルキル基、C〜C18アルキル基、C〜Cハロアルキル基、C〜C12アルケニル基、及びC〜C30シクロアルケニル基のいずれか、1個以上の−O−で中断されているC〜C18アルキル基、1個以上の−O−、−S−、−NR−、−O(CO)−、及び−NR(CO)−のいずれかで中断されているC〜C30シクロアルキル基、C〜C18アルカノイル基、ベンゾイル基、及びC〜C18アルキルスルホニル基のいずれか;互いに独立して、水素、フェニルスルホニル基、(4−メチルフェニル)スルホニル基、ナフチルスルホニル基、アントラシルスルホニル基、及びフェナントリルスルホニル基のいずれか;のいずれかを表す。また、R12及びR13は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、場合により−O−及び−NR−のいずれかにより中断されている5員、6員及び7員環のいずれかを形成してもよい。
前記R14は、フェニル基、ナフチル基、C〜C30シクロアルキル基、C〜C18アルキル基、C〜Cハロアルキル基、及びC〜C30シクロアルケニル基のいずれか、1個以上の−O−で中断されているC〜C18アルキル基、1個以上の−O−、−S−、−NR−、−O(CO)−、及び−NR(CO)−のいずれかで中断されているC〜C30シクロアルキル基、水素、のいずれかを表す。また、R及びR14は、それらが結合しているN原子と一緒になって、5員、6員及び7員環のいずれかを形成してもよい。
前記Qは、−CR20−、及び−N−のいずれかを表し、前記Qは、−CH−、−S−、−O−、及び−NR−のいずれかを表す。
【0038】
上記一般式(II−1)〜一般式(II−4)で表わされる光酸発生剤としては、具体的には、例えば、下記名称及び構造式で表される化合物、D−1〜D−9が挙げられる。
【0039】
〔D−1〕
5−{2−(メタンスルホニル)−エタンスルホキシ}−イミノ−5H−チオフェン−2−イリデン−o−トリル−アセトニトリル
吸収極大波長:405nm
【化27】

【0040】
〔D−2〕
5−{2−(p−トルエンスルホニル)−エタンスルホキシ}−イミノ−5H−チオフェン−2−イリデン−o−トリル−アセトニトリル
吸収極大波長:410nm
【化28】

【0041】
〔D−3(CGI1397)〕
5−(3−プロパンスルホキシ)−イミノ−5H−チオフェン−2−イリデン−o−トリルアセトニトリル
吸収極大波長:405nm
【化29】

【0042】
〔D−4〕
5−(8−オクタンスルホキシ)−イミノ−5H−チオフェン−2−イリデン−o−トリルアセトニトリル
吸収極大波長:405nm
【化30】

【0043】
〔D−5(CGI1380)〕
5−(カンファースルホキシ)−イミノ−5H−チオフェン−2−イリデン−o−トリルアセトニトリル
吸収極大波長:405nm
【化31】

【0044】
〔D−6(CGI1311)〕
5−(p−トルエンスルホキシ)−イミノ−5H−チオフェン−2−イリデン−o−トリルアセトニトリル
吸収極大波長:410nm
【化32】

【0045】
〔D−7(PAG103)〕
3−(3−プロパンスルホキシ)−イミノ−2H−チオフェン−3−イリデン−o−トリルアセトニトリル
吸収極大波長:408nm
【化33】

【0046】
〔D−8(PAG108)〕
3−(8−オクタンスルホキシ)−イミノ−2H−チオフェン−3−イリデン−o−トリルアセトニトリル
吸収極大波長:405nm
【化34】

【0047】
〔D−9(PAG121)〕
3−(p−トルエンスルホキシ)−イミノ−2H−チオフェン−3−イリデン−o−トリルアセトニトリル
吸収極大波長:405nm
【化35】

【0048】
前記(D)光酸発生剤として、更に、下記一般式(III−1)で表されるトリハロメチル−1,3,5−トリアジン、下記一般式(III−2)で表されるトリハロメチル−1,3,4−オキサジアゾールが好適に挙げられる。
【0049】
【化36】

【化37】

ただし、前記一般式(III−1)及び前記一般式(III−2)中、Ar、Arは、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよく、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアリール基、水酸基、置換されてもよいアルコキシ基、置換されてもよいアリールオキシ基、アシルオキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリ−ルオキシカルボニル基、シアノ基、−NR基、ハロゲン原子により置換されていてもよい芳香族炭化水素環、及びヘテロ芳香族環のいずれかを表し、Xは、フッ素原子、塩素原子、及び臭素原子のいずれかを表し、Yは、CX基、及び下記一般式(III−3)で表される基のいずれかを表す。R及びRは、同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、置換されてもよいアルキル基、置換されてもよいアリール基、アシル基、及びアミド基の中から選択される。また、RとRとは、共に結合して窒素原子とともに5〜7員環を形成してもよい。m及びnは、0、1、及び2のいずれかを表す。
【0050】
【化38】

ただし、前記一般式(III−3)中、Arはアルキル基、アリール基、水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、−NR基、ハロゲン原子で置換されていてもよい芳香族炭化水素環、及びヘテロ芳香族環のいずれかを表し、R、Rは、同一であってもよいし、異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アシル基、及びアミド基の中から選択される。また、RとRとは、共に結合して、窒素原子とともに5〜7員環を形成してもよい。kは、0、1、及び2のいずれかを表す。
【0051】
上記一般式(III−1)及び一般式(III−2)で表わされる光酸発生剤としては、具体的には、例えば、下記名称及び構造式で表される化合物、D−10〜D−24が挙げられる。
【0052】
〔D−10〕
2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−フルオレノン−2−イル−1,3,5−トリアジン
吸収極大波長:356nm
【化39】

【0053】
〔D−11〕
2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン
吸収極大波長:355nm
【化40】

【0054】
〔D−12〕
2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノ−3−ブロモフェニル)]−1,3,5−トリアジン
吸収極大波長:368nm
【化41】

【0055】
〔D−13〕
2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(1−ナフチル)−1,3,5−トリアジン
吸収極大波長:363nm
【化42】

【0056】
〔D−14〕
2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−スチリルフェニル)−1,3,5−トリアジン
吸収極大波長:374nm
【化43】

【0057】
〔D−15〕
2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−エトキシ−1−ナフチル)−1,3,5−トリアジン
吸収極大波長:388nm
【化44】

【0058】
〔D−16〕
2,4−ビス(4−メトキシスチリル)−6−トリクロロメチル−1,3,5−トリアジン
吸収極大波長:368nm
【化45】

【0059】
〔D−17〕
2,4−ビス(2−エトキシスチリル)−6−トリクロロメチル−1,3,5−トリアジン
吸収極大波長:366nm
【化46】

【0060】
〔D−18〕
2−(4−メトキシスチリル)−4−(3−フルオロ−4−メトキシスチリル)−6−トリクロロメチル−1,3,5−トリアジン
吸収極大波長:363nm
【化47】

【0061】
〔D−19〕
2−(4−ヒドロキシスチリル)−4−トリフルオロメチル−6−トリクロロメチル−1,3,5−トリアジン
吸収極大波長:375nm
【化48】

【0062】
〔D−20〕
2−(4−ヒドロキシ−3−メトキシスチリル)−4−トリフルオロメチル−6−トリクロロメチル−1,3,5−トリアジン
吸収極大波長:390nm
【化49】

【0063】
〔D−21〕
2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−フェニル−1,3−ブタジエン−1−イル)−1,3,5−トリアジン
吸収極大波長:378nm
【化50】

【0064】
〔D−22〕
2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン
吸収極大波長:377nm
【化51】

【0065】
〔D−23〕
2−[2−(6−メトキシベンゾフラン−2−イル)−ビニル]−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾール
吸収極大波長:370nm
【化52】

【0066】
〔D−24〕
2−(4−スチリルスチリル)−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾール
吸収極大波長:354nm
【化53】

【0067】
前記(D)光酸発生剤の含有量としては、前記感光性組成物の総量100質量部に対して、0.01〜5質量部が好ましく、0.05〜1質量部がより好ましく、0.1〜0.5質量部が特に好ましい。前記含有量が、0.01質量部未満では、熱や光による架橋硬化が十分に行われず得られたレジストパターンのメッキ耐性、耐薬品性、密着性の低下や、形成されたバンプ形状が不良であることがあり、5質量部を超えると、現像時に現像不良を起こすことがある。
【0068】
<(E)中性増感剤>
前記中性増感剤としては、350〜420nmに極大吸収を有し、中性であれば制限はないが、例えば、チオキサントン誘導体が好適に挙げられる。具体的には、例えば、2,4−ジエチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントンが、特に好適に挙げられる。
ここで、中性の増感剤とは、当該増感剤を水、又は、水と混和性の溶剤の溶液に溶解した際に中性(pH=6.4〜7.4)を示すものを表し、基本的に分子中にアミノ基などの塩基性基やカルボン酸基、スルホン酸基などの酸性基を含有しないもの、及びそれらが存在しても、それぞれ分子内の酸性基や塩基性基との結合により、又は他の酸性分子や塩基性分子との結合により中和しているものから選ばれる。
【0069】
前記(E)中性増感剤の含有量としては、前記感光性組成物固形分の総量100質量部に対して、5質量部以下が好ましく、1質量部以下がより好ましく、0.5質量部以下が特に好ましい。前記含有量が5質量部を超えると、現像時に現像不良を起こすことがある。
【0070】
(その他の成分)
前記その他の成分としては、有機溶剤、クエンチャー、界面活性剤、密着促進剤、などが挙げられる。
−有機溶剤−
前記有機溶剤は、本発明の前記感光性組成物の粘度調整のために適宜使用することができる。前記有機溶剤としては、具体的には、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、2−メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、4−メトキシブチルアセテート、2−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−エチル−3−メトキシブチルアセテート、2−エトキシブチルアセテート、4−エトキシブチルアセテート、4−プロポキシブチルアセテート、2−メトキシペンチルアセテート、3−メトキシペンチルアセテート、4−メトキシペンチルアセテート、2−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−3−メトキシペンチルアセテート、3−メチル−4−メトキシペンチルアセテート、4−メチル−4−メトキシペンチルアセテート、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルシソブチルケトン、エチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソプロピル、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチル、メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネート、エチル−3−プロポキシプロピオネート、プロピル−3−メトキシプロピオネート、イソプロピル−3−メトキシプロピオネート、エトキシ酢酸エチル、オキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、炭酸メチル、炭酸エチル、炭酸プロピル、炭酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、ピルビン酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ベンジルメチルエーテル、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、得られた感光性組成物を用いて、スピンコート法により20μm以上の厚みの感光層を得る観点から、前記有機溶剤の使用量としては、前記感光性組成物の固形分濃度が、65質量%以下になる範囲で添加するのが好ましい。前記固形分濃度が65質量%を超えると、感光性組成物の流動性が著しく悪化し、取り扱いが困難な上、スピンコート法では、均一な感光層が得られにくいことがある。
【0071】
−クエンチャー−
前記クエンチャーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジブチルアミン、トリエタノールアミンなどの第二級又は第三級アミンなどが挙げられる。
【0072】
−界面活性剤−
前記界面活性剤は、本発明の前記感光性組成物の塗布性、消泡性、及びレベリング性などを向上させる目的で添加される。
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アニオン系、カチオン系、ノニオン系の各種活性剤が挙げられる。具体的には、例えば、BM−1000、BM−1100(BMケミー社製)、メガファックF142D、同F172、同F173、同F183(大日本インキ化学工業(株)製)、フロラードFC−135、同FC−170C、同FC−430、同FC−431(住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−112、同S−113、同S−131、同S−141、同S−145(旭硝子(株)製)、SH−28PA、同−190、同−193、SZ−6032、SF−8428(東レシリコーン(株)製)などの名称で市販されているフッ素系界面活性剤、などを使用することができる。
前記界面活性剤の含有量としては、(A)フェノール性水酸基含有樹脂100質量部に対して、5質量部以下が好ましい。
【0073】
−密着促進剤−
前記密着促進剤(以下、接着助剤と称することがある)は、本発明の前記感光性組成物の基板との接着性を向上させるために添加される。
前記密着促進剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、官能性シランカップリング剤が好適に挙げられる。ここで、官能性シランカップリング剤とは、カルボキシル基、メタクリロイル基、イソシアネート基、エポキシ基などの反応性置換基を有するシランカップリング剤を意味し、具体的には、例えば、トリメトキシシリル安息香酸、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、などが挙げられる。
前記密着促進剤の含有量としては、(A)フェノール性水酸基含有樹脂100質量部に対して、20質量部以下が好ましい。
【0074】
また、本発明の前記感光性組成物には、アルカリ現像液に対する溶解性の微調整を行なう観点から、酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、iso−酪酸、n−吉草酸、iso−吉草酸、安息香酸、けい皮酸などのモノカルボン酸;乳酸、2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、サリチル酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシけい皮酸、3−ヒドロキシけい皮酸、4−ヒドロキシけい皮酸、5−ヒドロキシイソフタル酸、シリンギン酸などのヒドロキシモノカルボン酸;シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、イタコン酸、ヘキサヒドロフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、1,2,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸などの多価カルボン酸;無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバニル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水ハイミック酸、1,2,3,4,−ブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビス無水トリメリテート、グリセリントリス無水トリメリテートなどの酸無水物を添加することもできる。
更に、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、フェニルセロソルブアセテート、などの高沸点溶媒を添加することもできる。
また、前記アルカリ現像液に対する溶解性の微調整を行なうための化合物の含有量としては、用途、塗布方法に応じて調整することができ、前記感光性組成物を均一に混合させることができれば特に限定されるものではないが、得られる感光性組成物に対して、60質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。
【0075】
さらに、本発明の前記感光性組成物には、必要に応じて、充填材、着色剤、粘度調整剤などを添加することもできる。
前記充填材としては、シリカ、アルミナ、タルク、ベントナイト、ジルコニウムシリケート、粉末ガラスなどが挙げられる。
前記着色剤としては、アルミナ白、クレー、炭酸バリウム、硫酸バリウムなどの体質顔料;亜鉛華、鉛白、黄鉛、鉛丹、群青、紺青、酸化チタン、クロム酸亜鉛、ベンガラ、カーボンブラックなどの無機顔料;ブリリアントカーミン6B、パーマネントレッド6B、パーマネントレッドR、ベンジジンイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどの有機顔料;マゼンタ、ローダミンなどの塩基性染料;ダイレクトスカーレット、ダイレクトオレンジなどの直接染料;ローセリン、メタニルイエローなどの酸性染料、が挙げられる。
前記粘度調整剤としては、ベントナイト、シリカゲル、アルミニウム粉末、などが挙げられる。
これらの添加剤の含有量としては、前記感光性組成物の本質的な特性を損なわない範囲とするのが好ましく、得られる組成物に対して、50質量%以下がより好ましい。
【0076】
また、本発明の前記感光性組成物には、必要に応じて、消泡剤、その他の添加剤を添加することができる。
前記消泡剤としてはシリコーン系、フッ素系各種消泡剤、などが挙げられる。
【0077】
本発明の前記感光性組成物の調製方法としては、前記充填材、顔料を添加しない場合には、通常の方法で混合、攪拌するだけでよく、充填材、顔料を添加する場合には、ディゾルバー、ホモジナイザー、3本ロールミルなどの分散機を用い分散、混合させればよい。また、必要に応じて、さらにメッシュ、メンブレンフィルターなどを用いてろ過してもよい。
【0078】
なお、本発明の感光性組成物は厚肉な膜形成用として好適であるが、その利用範囲はこれに限定されず、例えば銅、クロム、鉄、ガラス基板等各種基板のエッチング時の保護膜や半導体製造用レジストとしても使用することができる。また、LSI素子、LCD(液晶表示装置)などのFDP、回路基板などの形成においては、バンプの形成の他、配線などもメッキにより形成される。このとき、バンプ並びに配線などには上記電解金メッキの他、銅、ニッケル、半田その他の金属もメッキ材料として用いられる。そして、本発明の化学増幅型ネガ型の感光性樹脂組成物は、バンプ形成時のメッキあるいは配線形成時のメッキ工程において、このような銅、ニッケル、半田などによるメッキを形成する工程におけるレジストとしても好ましく用いることができる。
本発明の感光性組成物をフォトレジスト膜とした場合の感光層の厚みとしては、5〜100μmが好ましく、5〜40μmがより好ましく、20〜30μmがより好ましい。
【0079】
(感光性フィルム)
前記感光性フィルムは、支持体と、該支持体上に本発明の前記感光性組成物からなる感光層とを少なくとも有し、目的に応じて、前記感光層上に保護フィルムを有してなる。
【0080】
<支持体>
前記支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記感光層を剥離可能であり、かつ光の透過性が良好であるのが好ましく、更に表面の平滑性が良好であるのがより好ましい。
【0081】
前記支持体の材料としては、合成樹脂製で、かつ透明であるものが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、三酢酸セルロース、二酢酸セルロース、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、セロファン、ポリ塩化ビニリデン共重合体、ポリアミド、ポリイミド、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリテトラフロロエチレン、ポリトリフロロエチレン、セルロース系フィルム、ナイロンフィルム等の各種のプラスチックフィルムが挙げられ、これらの中でも、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、前記支持体としては、例えば、特開平4−208940号公報、特開平5−80503号公報、特開平5−173320号公報、特開平5−72724号公報などに記載の支持体を用いることもできる。
【0082】
前記支持体の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、4〜300μmが好ましく、5〜175μmがより好ましい。
【0083】
前記支持体の形状は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、円筒状の巻芯に巻き取って、長尺状でロール状に巻かれて保管されるのが好ましい。前記長尺状の感光性フィルムの長さは、特に制限はなく、例えば、10〜20,000mの範囲から適宜選択することができる。また、ユーザーが使いやすいようにスリット加工し、100〜1,000mの範囲の長尺体をロール状にしてもよい。なお、この場合には、前記支持体が一番外側になるように巻き取られるのが好ましい。また、前記ロール状の感光性フィルムをシート状にスリットしてもよい。保管の際、端面の保護、エッジフュージョンを防止する観点から、端面にはセパレーターを設置するのが好ましく、また梱包も透湿性の低い素材を用いるのが好ましい。前記セパレーターとしては、防湿性のもの、乾燥剤入りのものが特に好ましい。
【0084】
<感光層>
前記感光層は、前記本発明の感光性組成物を用いて形成される。前記感光層の前記感光性フィルムにおいて設けられる箇所としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、通常、前記支持体上に積層される。
前記感光層としては、単層であってもよく、複数層であってもよい。
【0085】
前記感光層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、5〜100μmが好ましく、5〜40μmがより好ましく、20〜30μmが更に好ましい。
【0086】
<保護フィルム>
前記保護フィルムは、前記感光層の汚れや損傷を防止し、保護する機能を有する。
前記保護フィルムの前記感光性フィルムにおいて設けられる箇所としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、通常、前記感光層上に設けられる。
前記保護フィルムとしては、例えば、前記支持体に使用されるもの、シリコーン紙、ポリエチレン、ポリプロピレンがラミネートされた紙、ポリオレフィン又はポリテトラフルオルエチレンシート、などが挙げられ、これらの中でも、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムが好ましい。
前記保護フィルムの厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、5〜100μmが好ましく、8〜30μmがより好ましい。
前記保護フィルムを用いる場合、前記感光層及び前記支持体の接着力Aと、前記感光層及び保護フィルムの接着力Bとが、接着力A>接着力Bの関係であることが好ましい。
前記支持体と保護フィルムとの組合せ(支持体/保護フィルム)としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、ポリ塩化ビニル/セロフアン、ポリイミド/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。また、支持体及び保護フィルムの少なくともいずれかを表面処理することにより、上述のような接着力の関係を満たすことができる。前記支持体の表面処理は、前記感光層との接着力を高めるために施されてもよく、例えば、下塗層の塗設、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、高周波照射処理、グロー放電照射処理、活性プラズマ照射処理、レーザ光線照射処理などを挙げることができる。
【0087】
また、前記支持体と前記保護フィルムとの静摩擦係数は、0.3〜1.4が好ましく、0.5〜1.2がより好ましい。
前記静摩擦係数が、0.3未満であると、滑り過ぎるため、ロール状にした場合に巻ズレが発生することがあり、1.4を超えると、良好なロール状に巻くことが困難となることがある。
【0088】
前記保護フィルムは、前記保護フィルムと前記感光層との接着性を調整するために表面処理してもよい。前記表面処理は、例えば、前記保護フィルムの表面に、ポリオルガノシロキサン、弗素化ポリオレフィン、ポリフルオロエチレン、ポリビニルアルコール等のポリマーからなる下塗層を形成させる。該下塗層の形成は、前記ポリマーの塗布液を前記保護フィルムの表面に塗布した後、30〜150℃で1〜30分間乾燥させることにより形成させることができる。前記乾燥の温度は、50〜120℃が特に好ましい。
【0089】
〔感光性フィルムの製造方法〕
前記感光性フィルムは、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、前記感光性組成物に含まれる材料を、水又は溶剤に溶解、乳化又は分散させて、感光性フィルム用の感光性樹脂組成物溶液を調製する。
【0090】
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、n−ヘキサノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジイソブチルケトンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−n−アミル、硫酸メチル、プロピオン酸エチル、フタル酸ジメチル、安息香酸エチル、及びメトキシプロピルアセテートなどのエステル類;トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;四塩化炭素、トリクロロエチレン、クロロホルム、1,1,1−トリクロロエタン、塩化メチレン、モノクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノールなどのエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキサイド、スルホランなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、公知の界面活性剤を添加してもよい。
【0091】
次に、前記支持体上に前記感光性樹脂組成物溶液を塗布し、乾燥させて感光層を形成し、感光性フィルムを製造することができる。
【0092】
前記感光性組成物溶液の塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、スプレー法、ロールコート法、回転塗布法、スリットコート法、エクストルージョンコート法、カーテンコート法、ダイコート法、グラビアコート法、ワイヤーバーコート法、ナイフコート法等の各種の塗布方法が挙げられる。
前記乾燥の条件としては、各成分、溶媒の種類、使用割合等によっても異なるが、通常60〜110℃の温度で30秒間〜15分間程度である。
【0093】
(感光性積層体)
前記感光性積層体は、基体上に、前記感光層を少なくとも有し、目的に応じて適宜選択されるその他の層を積層してなる。
【0094】
<基体>
前記基体は、感光層が形成される被処理基体、又は本発明の感光性フィルムの少なくとも感光層が転写される被転写体となるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。該基体としては、例えば、表面平滑性の高いものから凸凹のある表面を持つものまで任意に選択できるが、板状の基体が好ましく、いわゆる基板が使用される。具体的には、公知のプリント配線用の基板(プリント基板)、ガラス板(ソーダガラス板など)、合成樹脂性のフィルム、紙、金属板などが挙げられる。
【0095】
〔感光性積層体の製造方法〕
前記感光性積層体の製造方法として、第1の態様として、前記感光性組成物を前記基体の表面に塗布し乾燥する方法が挙げられ、第2の態様として、本発明の感光性フィルムにおける少なくとも感光層を加熱及び加圧の少なくともいずれかを行いながら転写して積層する方法が挙げられる。
【0096】
前記第1の態様の感光性積層体の製造方法は、前記基体上に、前記感光性組成物を塗布及び乾燥して感光層を形成する。
前記塗布及び乾燥の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記基体の表面に、前記感光性組成物を、水又は溶剤に溶解、乳化又は分散させて感光性組成物溶液を調製し、該溶液を直接塗布し、乾燥させることにより積層する方法が挙げられる。
【0097】
前記感光性組成物溶液の溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記感光性フィルムに用いたものと同じ溶剤が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、公知の界面活性剤を添加してもよい。
【0098】
前記塗布方法及び乾燥条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記感光性フィルムに用いたものと同じ方法及び条件で行う。
【0099】
前記第2の態様の感光性積層体の製造方法は、前記基体の表面に本発明の感光性フィルムを加熱及び加圧の少なくともいずれかを行いながら積層する。なお、前記感光性フィルムが前記保護フィルムを有する場合には、該保護フィルムを剥離し、前記基体に前記感光層が重なるようにして積層するのが好ましい。
前記加熱温度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、15〜180℃が好ましく、60〜140℃がより好ましい。
前記加圧の圧力は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0.1〜1.0MPaが好ましく、0.2〜0.8MPaがより好ましい。
【0100】
前記加熱及び加圧の少なくともいずれかを行う装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラミネーター(例えば、大成ラミネータ社製 VP−II、ニチゴーモートン(株)製 V130)などが好適に挙げられる。
【0101】
(パターン形成方法)
本発明のパターン形成方法は、露光工程、現像工程、メッキ処理工程、レジスト剥離工程、を少なくとも含み、露光後加熱工程、後硬化処理工程などの適宜選択したその他の工程を含む。
該パターン形成方法により、バンプパターン、配線パターンなどのパターンが形成される。
【0102】
[露光工程]
前記露光工程は、前記感光性積層体における前記感光層に対し、パターン露光を行う工程である。前記感光性積層体における前記感光層としては、本発明の前記感光性組成物により形成されてなる感光層、及び前記感光性フィルムから転写されてなる感光層が挙げられる。
【0103】
前記露光としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、デジタル露光、アナログ露光等が挙げられるが、これらの中でもデジタル露光が好ましい。
【0104】
前記アナログ露光としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、所定のパターンを有するネガマスクを介して、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプなどで露光を行なう方法が挙げられる。
【0105】
前記デジタル露光の手段として、前記感光性積層体の露光方法について、画像データに基づいて光を変調しながら相対走査して露光することで2次元画像の形成を行なうマスクレスのパターン露光方式(デジタル露光)を利用した露光工程を中心に説明する。
【0106】
デジタル露光は、2次元状に並んだ空間光変調デバイスを用い、画像データに基づいて光を変調しながら相対走査することで2次元画像の形成を行なう露光方法である。
【0107】
露光光を透過させない又は弱めて透過させる材質で画像(露光パターン;以下、パターンともいう。)が形成された「マスク」と呼ばれる物体を露光光の光路に配置し、感光性の層を前記画像に対応したパターン状に露光する従来のマスク露光方式(アナログ露光ともいう。)に対して、前記「マスク」を用いずに感光性の層をパターン状に露光する露光方式のことである。
【0108】
デジタル露光では、光源として超高圧水銀灯や、レーザーが用いられる。
超高圧水銀灯とは、石英ガラスチューブなどに水銀を封入した放電灯であり水銀の蒸気圧を高く設定して発光効率を高めたものである(点灯時の水銀の蒸気圧はおよそ5MPaになるものもある。W. Elenbaas:Light Sources、Philips Technical Library 148−150)。輝線スペクトルのうち、405nm±40nmの単一露光波長が用いられ、h線(405nm)が主として用いることができる。
【0109】
レーザーは反転分布を持った物質中で起きる誘導放出の現象を利用し、光波の増幅、発振によって干渉性と指向性が一層強い単色光を作り出す発振器及び増幅器、励起媒質として結晶、ガラス、液体、色素、気体などあり、これらの媒質から固体レーザー(YAGレーザー)、液体レーザー、気体レーザー(アルゴンレーザー、He−Neレーザー、炭酸ガスレーザー、エキシマレーザー)、半導体レーザーなどの公知のレーザーを前記波長領域において用いることができる。
【0110】
半導体レーザーは、送子の注入、電子ビームによる励起、衝突によるイオン化、光励起などによって電子と正孔とが接合部に流出する時、pn接合で可干渉光を誘導放出するような発光ダイオードを用いるレーザーである。この放出される可干渉光の波長は、半導体化合物によって決まる。レーザーの波長は、405nm±40nmの単一露光波長である。
【0111】
本発明における単一露光波長とは、レーザーによる場合は主波長のことを指し、超高圧水銀灯による場合は、405nm以外の輝線をNDフイルターなどで365nmや405nmより大きい波長をカットして主波長を1波長のみにしたものをいう。
【0112】
前記露光方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、レーザーを用いたデジタル露光が好ましい。
【0113】
前記デジタル露光の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、特開2005−258431号公報に記載されている、光を照射する光照射手段、形成するパターン情報に基づいて該光照射手段から照射される光を変調させる光変調手段などが挙げられる。
【0114】
前記デジタル露光としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、形成するパターン形成情報に基づいて制御信号を生成し、該制御信号に応じて変調させた光を用いて行うことが好ましく、例えば、前記感光層に対し、光照射手段、及び前記光照射手段からの光を受光し出射するn個(ただし、nは2以上の自然数)の2次元状に配列された描素部を有し、パターン情報に応じて前記描素部を制御可能な光変調手段を備えた露光ヘッドであって、該露光ヘッドの走査方向に対し、前記描素部の列方向が所定の設定傾斜角度θをなすように配置された露光ヘッドを用い、前記露光ヘッドについて、使用描素部指定手段により、使用可能な前記描素部のうち、N重露光(ただし、Nは2以上の自然数)に使用する前記描素部を指定し、前記露光ヘッドについて、描素部制御手段により、前記使用描素部指定手段により指定された前記描素部のみが露光に関与するように、前記描素部の制御を行い、前記感光層に対し、前記露光ヘッドを走査方向に相対的に移動させて行う方法が好ましい。
【0115】
本発明において「N重露光」とは、前記感光層の被露光面上の露光領域の略すべての領域において、前記露光ヘッドの走査方向に平行な直線が、前記被露光面上に照射されたN本の光点列(画素列)と交わるような設定による露光を指す。ここで、「光点列(画素列)」とは、前記描素部により生成された描素単位としての光点(画素)の並びのうち、前記露光ヘッドの走査方向となす角度がより小さい方向の並びを指すものとする。なお、前記描素部の配置は、必ずしも矩形格子状でなくてもよく、たとえば平行四辺形状の配置等であってもよい。
ここで、露光領域の「略すべての領域」と述べたのは、各描素部の両側縁部では、描素部列を傾斜させたことにより、前記露光ヘッドの走査方向に平行な直線と交わる使用描素部の描素部列の数が減るため、かかる場合に複数の露光ヘッドをつなぎ合わせるように使用したとしても、該露光ヘッドの取付角度や配置等の誤差により、走査方向に平行な直線と交わる使用描素部の描素部列の数がわずかに増減することがあるため、また、各使用描素部の描素部列間のつなぎの、解像度分以下のごくわずかな部分では、取付角度や描素部配置等の誤差により、走査方向と直交する方向に沿った描素部のピッチが他の部分の描素部のピッチと厳密に一致せず、走査方向に平行な直線と交わる使用描素部の描素部列の数が±1の範囲で増減することがあるためである。なお、以下の説明では、Nが2以上の自然数であるN重露光を総称して「多重露光」という。
前記N重露光のNとしては、2以上の自然数であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3以上20以下の自然数が好ましく、3以上7以下の自然数がより好ましい。
【0116】
本発明におけるレーザーの波長としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、感光性組成物の露光時間の短縮を図る目的から、330〜650nmが好ましく、365〜445nmがより好ましく、395〜415nmが更に好ましく、400〜410nmが特に好ましい。
【0117】
レーザーのビーム径は、特に限定されないが、中でも、濃色離隔壁の解像度の観点から、ガウシアンビームの1/e2値で5〜30μmが好ましく、7〜20μmがより好ましい。
レーザービームのエネルギー量としては、特に限定されないが、中でも、露光時間と解像度の観点から、1〜100mJ/cm2が好ましく、5〜20mJ/cm2がより好ましい。
【0118】
本発明ではレーザー光を画像データに応じて空間光変調することが必要である。この目的のため特開2005−258431号公報〔0016〕〜〔0047〕に記載されている空間光変調素子であるデジタル・マイクロ・デバイスを用いることが好ましい。
【0119】
露光装置としては、例えば、レーザーダイレクトイメージング装置「INPREX IP−3000(富士写真フイルム製)」を用いることが出来るが、本発明における露光装置はこれに限定されるものではない。
【0120】
〔露光後加熱工程〕
前記露光後加熱工程は、パターン露光後のレジスト膜に対し、加熱処理(ポストエクスポージャーべ一ク、PEB)を施す工程である。
前記PEBの方法としては、ホットプレートと基板との間に隙間を持たせるプロキシミティベーク、隙間を持たせないダイレクトベークが挙げられ、基板の反りを生じさせることをなく、PEBによる拡散効果を得るために、プロキシミティベークを行った後、ダイレクトベークを行う方法が好ましい。
なお、加熱温度は90〜150℃が好ましく、100〜140℃が特に好ましい。
【0121】
〔現像工程〕
前記現像工程は、前記露光工程により前記感光性フィルムにおける感光層を露光し、該感光層の露光した領域を硬化させた後、未硬化領域を除去することにより現像し、レジストパターンを形成する工程である。
前記現像工程は、例えば、現像手段により好適に実施することができる。
前記現像手段としては、現像液を用いて現像することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記現像液を噴霧する手段、前記現像液を塗布する手段、前記現像液に浸漬させる手段などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、前記現像手段は、前記現像液を交換する現像液交換手段、前記現像液を供給する現像液供給手段などを有していてもよい。
【0122】
前記現像液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルカリ性液、水系現像液、有機溶剤などが挙げられ、これらの中でも、弱アルカリ性の水溶液が好ましい。該弱アルカリ性液の塩基成分としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、硼砂などが挙げられる。
【0123】
前記弱アルカリ性の水溶液のpHとしては、例えば、約8〜12が好ましく、約9〜11がより好ましい。前記弱アルカリ性の水溶液としては、例えば、0.1〜5質量%の炭酸ナトリウム水溶液又は炭酸カリウム水溶液などが挙げられる。
前記現像液の温度としては、前記感光層の現像性に合わせて適宜選択することができ、例えば、約25〜40℃が好ましい。
【0124】
前記現像液は、界面活性剤、消泡剤、有機塩基(例えば、エチレンジアミン、エタノールアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド、ジエチレントリアミン、トリエチレンペンタミン、モルホリン、トリエタノールアミン等)や、現像を促進させるため有機溶剤(例えば、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、アミド類、ラクトン類等)などと併用してもよい。また、前記現像液は、水又はアルカリ水溶液と有機溶剤を混合した水系現像液であってもよく、有機溶剤単独であってもよい。
【0125】
[後硬化処理工程]
本発明の組成物からなる感光性塗膜(感光層)は、前記の露光のみでも、十分に硬化させることができるが、用途に応じてさらに、追加の露光(以下、後露光と称する)や加熱によってさらに硬化させることができる。
前記後露光の方法としては、前記パターン露光における露光方法と同様の方法で行なうことができ、露光量は特に限定されるものではないが、高圧水銀灯使用の場合100〜2,000mJ/cmが好ましい。
また、前記加熱の方法としては、ホットプレート、オーブンなどの加熱装置を用いて、所定の温度、例えば、60〜100℃で所定の時間、例えば、ホットプレート上なら5〜30分間、オーブン中では5〜60分間加熱処理をすればよい。
このような後硬化処理工程によって、さらに良好な特性を有する所定パターンの硬化膜(レジストパターン)を得ることができる。
【0126】
[メッキ処理工程]
前記メッキ処理工程は、前記レジストパターンをマスクとしてメッキ処理を行い、バンプパターンや配線パターンを形成する工程である。
前記バンプパターンを形成する場合には、金属として、はんだ、ニッケル、金などが用いられ、その形成のためには、各種の方法がある。レジストパターン形成前に基板全面に無電解メッキを行って薄層の無電解メッキ層を形成し、その上にレジストパターンを形成し、その後、形成されたレジストパターンに覆われていない部分に電解メッキを行う。その後、後述のレジスト剥離工程によってレジストを剥離し、ソフトエッチングにより前記薄層の無電解メッキ層を除去するのが一般的である。
代表的な前記無電解メッキ液としては、ニッケルメッキ液、金メッキ液が挙げられる。
前記電解メッキ液としては、例えば、アルミニウム、銅、銀、金、ニッケル、パラジウムや、これらの2種以上の合金(例えばパラジウム−金)と同様の成分を含むものが挙げられ、具体的には、例えば、はんだメッキ液、シアン又は非シアン電解金メッキ液が挙げられる。
前記電解メッキの条件としては、メッキ液の組成等により異なるが、例えば、金メッキの場合、温度としては、通常、40〜70℃であり、55〜70℃が好ましく、電流密度としては、通常、0.1〜1A/dmであり、0.2〜0.8A/dmが好ましい。メッキ後は、水洗して乾燥した後、バンプパターンの状態や厚み等を観察し、必要に応じて再び電解メッキを行う。
前記バンプパターンの厚みとしては、通常、5〜50μmであり、10〜30μmが好ましく、15〜25μmがより好ましい。
また、配線パターンの場合は、その厚みとしては、通常、1〜30μmであり、3〜20μmが好ましく、5〜15μmがより好ましい。
【0127】
[レジスト剥離工程]
前記レジスト剥離工程としては、例えば、前記メッキ処理した基板から硬化膜(レジストパターン)を剥離するには、50〜80℃にて攪拌中の剥離液に、該基板を5〜30分間浸漬すればよい。ここで使用される前記剥離液としては、例えば、第4級アンモニウム塩の水溶液、第4級アンモニウム塩とジメチルスルホキシドと水との混合溶液、が挙げられる。
前記レジスト剥離工程により、前記基体の表面にバンプパターンや配線パターンが形成される。
【0128】
〔バンプの形成方法〕
本発明のパターン形成方法は、バンプパターンの形成方法に特に好適に用いることができる。該バンプ形成方法としては、例えば、感光性積層体形成工程と、露光工程と、露光後加熱工程と、現像工程と、後硬化処理工程と、メッキ処理工程と、レジスト剥離工程とを含んでなる。
【0129】
[感光性積層体形成工程]
前述のように調製した、本発明の前記感光性組成物溶液を、所定の配線パターンを有する基板上に、厚み5μm〜100μm、好ましくは20〜40μmで塗布し、加熱により溶媒を除去することによって所望の塗膜(感光層)を形成する。
前記被処理基板上への感光性組成物溶液の塗布方法としては、スピンコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、アプリケーター法などの方法を採用することができる。本発明の組成物の塗膜のプレベーク条件は、組成物中の各成分の種類、配合割合、塗布膜の厚みなどによって異なるが、通常は70〜130℃で、80〜120℃が好ましく、2〜60分間程度である。
【0130】
[露光工程]
前記で得られた感光性積層体に、所定のパターンのマスクを介して、又は、所定のパターン情報を有する光線のスキャニングによりダイレクトに、放射線、例えば波長が300〜500nmの紫外線または可視光線を照射することにより、バンプを形成する配線パターン部分のみを露光させる。これらの放射線の線源として、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、アルゴンガスレーザ、青紫色レーザ、UVレーザなどを用いることができる。ここで放射線とは、紫外線、可視光線、遠紫外線、X線、電子線などを意味する。放射線照射量は、組成物中の各成分の種類、配合量、感光層の厚みなどによって異なるが、例えば超高圧水銀灯使用の場合、10〜100mJ/cm2である。
【0131】
[露光後加熱工程]
前記露光工程後、公知の方法、例えば、前記パターン形成方法の露光後加熱工程で述べたような方法を用いて加熱する。
【0132】
[現像工程]
前記現像工程は、アルカリ性水溶液を現像液として用いて、不要な部分を溶解、除去、即ち、放射線の未露光部分のみ溶解除去させる工程である。
前記現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノナン、などのアルカリ類の水溶液が好適に挙げられる。
また、前記アルカリ類の水溶液に、メタノール、エタノールなどの水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加した水溶液を現像液として使用することもできる。
前記現像時間としては、組成物各成分の種類、配合割合、組成物の乾燥膜厚によって異なるが、通常1〜30分間が好ましい。
前記現像方法としては、液盛り法、ディッピング法、パドル法、スプレー現像法などが挙げられる。現像後は、流水洗浄を30〜90秒間行い、エアーガンなどを用いて風乾させたり、オーブン中で乾燥させるのが好ましい。
【0133】
[後硬化処理工程]
前記後硬化処理工程としては、例えば、前記パターン形成方法の後硬化処理工程で述べたような方法を用いて行うことができる。
【0134】
[メッキ処理工程]
前記メッキ処理工程は、前記レジストパターンをメッキ処理して基板上にバンプパターンを形成する工程であり、前記パターン形成方法のメッキ処理工程で述べたような方法を用いて行うことができる。
【0135】
[レジスト剥離工程]
前記レジスト剥離工程としては、例えば、前記パターン形成方法のレジスト剥離工程で述べたような方法を用いて行うことができる。
【実施例】
【0136】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、特にことわりの無い限り、部は質量部、%は質量%を示す。
【0137】
<(A)フェノール性水酸基含有樹脂の合成>
−樹脂A−1−
前記樹脂A−1として、レジトップPSF−2803(群栄化学社製、クレゾールホルムアルデヒドノボラック樹脂)を水中に沈降し、得られた凝固物を40℃で48時間真空乾燥し使用した。
−樹脂A−2−
前記樹脂A−2として、マルカリンカ−M(丸善石油化学社製、ポリ−p−ビニルフェノール、質量平均分子量は5,000、分散度は2.5)をそのまま用いた。
【0138】
<(B)アルカリ可溶性樹脂の合成>
下記合成例1〜29にしたがって、アルカリ可溶性樹脂B−1〜B−29(以下、単に樹脂B−1〜B−29と称することがある)を合成した
−合成例1(樹脂B−1の合成)−
攪拌装置、還流器、温度計、滴下槽のついたフラスコを窒素置換した後、溶媒としてプロピレングリコールメチルエーテルアセテートを200g仕込み、攪拌を始めた。その後、溶媒の温度を80℃まで上昇させた。滴下槽に重合溶媒として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.5g、ベンジルアクリレート50.3g、アクリル酸35.3g、n−ブチルアクリレート25.6gを仕込み、重合開始剤(和光純薬社製、商品名V−65)が溶解するまで攪拌した後、この溶液をフラスコ内に3時間均一滴下し、引き続き80℃で5時間重合を行った。その後、室温まで冷却した後に、フェニルグリシジルエーテル42.1g及びトリメチルベンジルアンモニウムクロリド1.0gを添加して100℃で8時間反応することにより、開環付加反応生成物である下記樹脂B−1を得た。
得られた樹脂B−1の物性を表1に示す。
【化54】

前記樹脂B−1の構造式中の数字は、モノマーの組成比を表し、該組成比の単位は、モル%である。以下、樹脂B−2〜B29についても同様である。
【0139】
−合成例2〜24(実施例用の樹脂B−2〜B−24の合成)
前記合成例1において、モノマーを表1に示すように変更したこと以外は、合成例1と同様にして、樹脂B−2〜B−24を得た。
得られた樹脂B−2〜B−24の物性を表1に、構造式(組成)を以下に示す。
【0140】
【化55】

【0141】
【化56】

【0142】
【化57】

【0143】
【化58】

【0144】
【化59】

【0145】
【化60】

【0146】
【化61】

【0147】
【化62】

【0148】
【化63】

【0149】
【化64】

【0150】
【化65】

【0151】
【化66】

【0152】
−合成例25〜27(比較例用の樹脂B−25〜B−27の合成)−
前記合成例1において、モノマーを表1に示すように変更したこと以外は、合成例1と同様にして、樹脂B−25〜B−27を得た。
得られた樹脂B−25〜B−27の物性を表1に、構造式(組成)を以下に示す。
【0153】
【化67】

【0154】
−合成例28(比較例用の樹脂B−28の合成)−
ドライアイス/メタノール還流器の付いたフラスコを窒素置換した後、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル3.0g、溶媒として3−エトキシプロピオン酸エチル100.0gを仕込み、重合開始剤が溶解するまで攪拌した。引き続いて、2−ヒドロキシエチルメタクリレート75.0g、n−ブチルアクリレート60.0g、及び2−ヘキサヒドロフタロイルエチルメタクリレート15.0gを仕込んだ後、ゆるやかに攪拌を始めた。次いで、溶液の温度を80℃に上昇させ、この温度で4時間重合を行なった。その後、反応生成物を多量のメタノールに滴下して反応生成物を凝固させた。この凝固物を水洗後、凝固物と同質量のテトラヒドロフランに再溶解し、多量のメタノールで再度凝固させた。この再溶解−凝固操作を計3回行なった後、得られた凝固物を40℃で48時間真空乾燥し、目的とする樹脂B−28を得た。
得られた樹脂B−28の物性を表1に、構造式(組成)を以下に示す。
【0155】
【化68】

【0156】
−合成例29(比較例用の樹脂B−29の合成)−
攪拌装置、還流器、温度計、滴下槽のついたフラスコを窒素置換した後、溶媒としてプロピレングリコールメチルエーテルアセテートを200g仕込み、攪拌を始めた。その後、溶剤の温度を80℃まで上昇させた。滴下槽に重合溶媒として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.5g、2−メトキシエチルアクリレート130g、ベンジルメタクリレート50.0g、アクリル酸20.0gを仕込み、重合開始剤(和光純薬社製、商品名V−65)が溶解するまで攪拌した後、この溶液をフラスコ内に3時間均一滴下し、引き続き80℃で5時間重合を行った。その後、室温まで冷却し、反応生成物を多量のメタノールに滴下して反応生成物を凝固させた。この凝固物を水洗後、凝固物と同質量のテトラヒドロフランに再溶解し、多量のメタノールで再度凝固させた。この再溶解−凝固操作を計3回行なった後、得られた凝固物を40℃で48時間真空乾燥し、目的とする樹脂B29を得た。
得られた樹脂B29の物性を表1に、構造式(組成)を以下に示す。
【0157】
【化69】

【0158】
(実施例1)
−感光性組成物溶液の調製−
下記組成に基づいて、感光性組成物溶液を調製した。
〔感光性組成物塗布液の組成〕
(A)樹脂A−1・・・75質量部
(B)アルカリ可溶性樹脂B−1・・・15質量部
(C)架橋剤 ヘキサメトキシメチル化メラミン(三和ケミカル社製、商品名ニカラックMw−100)・・・10質量部
(D)下記式で示される光酸発生剤D−7:Irgacure PAG103(吸収極大波長:408nm、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)・・・0.3質量部
プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PEGMEA:溶剤)・・・150質量部
上記(A)〜(E)の成分を、上記溶剤プロピレングリコールメチルエーテルアセテートに溶解した後、孔径0.2μmのミクロフィルターを用いて濾過し、感光性組成物溶液を調製した。
該感光性組成物溶液を用いて、下記に示す特性評価を行った。結果を表3に示す。
【化70】

前記D−7:Irgacure PAG103の光吸収特性チャートを、図1に示す。
【0159】
<相溶性の評価>
前記感光性組成物溶液を室温にて12時間混合し、攪拌し、攪拌直後及び攪拌後12時間経過後の溶解状態を目視にて観察した。分散状態を下記の評価基準で判定した。
○:12時間攪拌後に組成物が、均一に分散することが目視で確認された。
△:12時間攪拌後に組成物が、均一に分散するが長時間静置により相分離した。
×:12時間攪拌後に組成物が、均一に分散していない。
【0160】
−感光性フィルムの作製−
支持体として、厚み25μmのポリエチレンテレフタレートフィム(東レ社製、ルミラー16FB50)を用い、該支持体上に前記感光性組成物塗布液をバーコーターにより、乾燥後の感光層の厚みが約30μmになるように塗布し、80℃、30分間熱風循環式乾燥機中で乾燥させ、次いで、前記感光層の上に、前記保護フィルムとして厚み12μmのポリプロピレンフィルムをラミネートで積層し、感光性フィルムを作製した。
前記で得られた感光性フィルムについて、下記に示す特性評価を行った。結果を表3に示す。
【0161】
<最短現像時間の測定>
前記感光性フィルムを基板に積層し、感光性積層体を調製した。該感光性積層体からポリエチレンテレフタレートフィルム(支持体)を剥がし取り、銅張積層板上の前記感光層の全面に30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液を0.15MPaの圧力にてスプレーし、炭酸ナトリウム水溶液のスプレー開始から銅張積層板上の感光層が溶解除去されるまでに要した時間を測定し、これを最短現像時間(t)とした。
【0162】
<保存安定性の評価>
得られた感光性フィルムのシートを、黒ビニールとアルミ箔積層構造との遮光性防湿袋(東海アルミ箔株式会社製BF3X)に入れ、40℃のドライオーブン中で3日間保存した。その後、該感光性フィルムシートを取り出し、基板に積層してから前述の最短現像時間試験をおこない、その最短現像時間(t)を測定した。
現像に要する時間を感光性フィルム作製当日の最短現像時間(t)と比較した。具体的には、得られたt/t比の値で、以下の基準で評価した(小数点2以下を四捨五入した)。
−評価基準−
○:1.0〜1.3
△:1.4〜1.8
×:1.9以上
【0163】
<感度の評価>
5インチのシリコンウエハー上に、前記感光性組成物溶液を塗布して、厚み約40μmの感光層(塗膜)を形成し、解像度測定用のパターンを有する405nmレーザ光照射装置であるINPREX IP−3000(富士写真フイルム製)を用いて、一枚の塗布基板を分割し、それぞれを10〜200mJ/cmの範囲で段階的に紫外線露光を行った。これを、2.38質量%のTMAH水溶液で現像した。この後、流水洗浄し、窒素ブローしてパターン状硬化物を得た。これを顕微鏡で観察し、5μm角のホールパターンが解像し、残渣が認められない露光量を測定し、下記の基準で判定を行った。
○:露光量が、10mJ/cm以上、30mJ/cm未満の場合。
△:露光量、30mJ/cm以上、100mJ/cm以下の場合。
×:露光量が、100mJ/cmを超える場合。
【0164】
<解像度の評価>
5インチのシリコンウエハー上にスピンナーを用いて、前記感光性組成物溶液を1,000rpmにて25秒間塗布した後、110℃で6分間ホットプレート上でプレベークし、厚み約20μmの感光層(塗膜)を形成した。次に、解像度測定用のパターンを有する405nmレーザ光照射装置であるINPREX IP−3000(富士写真フイルム製)を用いて、一枚の塗布基板を分割し、それぞれを5〜200mJ/cmの範囲で段階的に露光を行った。露光後、110℃で6分間加熱し、これを、2.38質量%のTMAH水溶液で現像した。この後、流水洗浄し、窒素ブローしてパターン状硬化物を得た。これを顕微鏡で観察し、解像性を下記の評価基準で判定した。
○:5μm角のホールパターンが上記いずれかの露光量で解像し、残渣が認められない場合。
△:5μm角のホールパターンが上記いずれかの露光量で解像するが、残渣が認められる場合。
×:5μm角のホールパターンが解像していない場合。
【0165】
<メッキ耐性の評価>
前記解像度の評価で得られたパターン状硬化物を有する基板を試験体として、酸素プラズマでアッシング処理後、ノンシアン系亜硫酸金メッキ液に70℃で90分間浸漬し、流水洗浄し、被処理試験体を得た。光学顕微鏡または電子顕微鏡を用いて、被処理試験体上に形成されたバンプとパターン状硬化物の状態を観察し、パターン状硬化物のメッキ液に対する耐性、形成されたパンプの形状、パターン状硬化物のメッキ処理工程に対するメッキ耐性を、下記の評価基準で判定した。
〇:形成されたバンプとパターン状硬化物の状態に特に変化が無く良好。
△:パターン状硬化物が一部浮いている。
×:パターン状硬化物にクラックや膨らみや欠けが生じる、又はパターン状硬化物の表面が荒れている。
【0166】
<バンプ形状の評価>
前記メッキ耐性の評価と同様の操作で被処理試験体を得て、形成されたバンプとパターン状硬化物の状態を光学顕微鏡または電子顕微鏡を用いて観察し、形成されたバンプの形状を下記の評価基準で判定した。
○:バンプの形状がパターン状硬化物に追随し、良好である。
△:バンプの形状が一部追従していない。
×:パンプの形状がパターン状硬化物にほとんど追従しない。
【0167】
<剥離性の評価>
前記解像度の評価で得られたパターン状硬化物を有する基板を試験体として、室温にて攪拌中の剥離液(東京応化製ストリッパー710)に5分間浸漬した後、流水洗浄してパターン状硬化物を剥離し、目視観察あるいは光学顕微鏡で観察し下記の基準で評価した。
〇:パターン状硬化物の残渣が認められない。
△:パターン状硬化物の残渣が少量認められた。
×:パターン状硬化物の残渣が多量に認められた。
【0168】
(実施例2)
(B)アルカリ可溶性樹脂として、表2に示すように、樹脂B−2を15質量部用い、(D)光酸発生剤として、下記式で示されるD−3:Irgacure CGI1397(吸収極大波長:405nm、(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を0.3質量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物溶液を調製し、感光性フィルムを作製した。該感光性組成物溶液及び感光性フィルムを用いて、実施例1と同様にして、特性評価を行った。結果を表3に示す。
【化71】

前記D−3:Irgacure CGI1397の光吸収特性チャートを、図2に示す。
【0169】
(実施例3)
(B)アルカリ可溶性樹脂として、表2に示すように、樹脂B−3を15質量部用い、(D)光酸発生剤として、下記式で示されるD−8:Irgacure PAG108(吸収極大波長:405nm、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を0.3質量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物溶液を調製し、感光性フィルムを作製した。該感光性組成物溶液及び感光性フィルムを用いて、実施例1と同様にして、特性評価を行った。結果を表3に示す。
【化72】

前記D−8:Irgacure PAG108の光吸収特性チャートを、図3に示す。
【0170】
(実施例4〜24)
(B)アルカリ可溶性樹脂として、表2に示すように、各々樹脂B−4〜B−24を15質量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物溶液を調製し、感光性フィルムを作製した。該感光性組成物溶液及び感光性フィルムを用いて、実施例1と同様にして、特性評価を行った。結果を表3に示す。
【0171】
(実施例25)
(A)フェノール性水酸基含有樹脂として、表2に示すように、樹脂A−2:ポリp−ビニルフェノールを75質量部用い、(D)光酸発生剤として、前記D−3:Irgacure CGI1397(吸収極大波長:405nm、(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を0.3質量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物溶液を調製し、感光性フィルムを作製した。該感光性組成物溶液及び感光性フィルムを用いて、実施例1と同様にして、特性評価を行った。結果を表3に示す。
【0172】
(実施例26)
(D)光酸発生剤として、表2に示すように、前記D−8:Irgacure PAG108(吸収極大波長:405nm、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を0.3質量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物溶液を調製し、感光性フィルムを作製した。該感光性組成物溶液及び感光性フィルムを用いて、実施例1と同様にして、特性評価を行った。結果を表3に示す。
【0173】
(実施例27)
実施例1において、感光性組成物中に(E)中性増感剤として、下記式で示されるカヤキュアDETX(日本化薬社製、2,4−ジエチルチオキサントン)0.1質量部を更に添加したこと以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物溶液を調製し、感光性フィルムを作製した。該感光性組成物溶液及び感光性フィルムを用いて、実施例1と同様にして、特性評価を行った。結果を表3に示す。
【0174】
【化73】

【0175】
(実施例28)
実施例1において、感光性組成物中に(E)中性増感剤として、下記式で示されるSpeedCureCPTX(The Lambson Group社製、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン)0.1質量部を更に添加したこと以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物溶液を調製し、感光性フィルムを作製した。該感光性組成物溶液及び感光性フィルムを用いて、実施例1と同様にして、特性評価を行った。結果を表3に示す。
【0176】
【化74】

【0177】
(実施例29)
(C)架橋剤として、表2に示すように、下記式で示されるニカラックMX−270(三和ケミカル社製、テトラメトキシメチル化グリコールウリルを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物溶液を調製し、感光性フィルムを作製した。該感光性組成物溶液及び感光性フィルムを用いて、実施例1と同様にして、特性評価を行った。結果を表3に示す。
【0178】
【化75】

【0179】
(実施例30)
(D)酸発生剤として、表2に示すように、下記式で示されるD−22:TAZ−110(吸収極大波長:377nm、みどり化学社製)を0.3質量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物溶液を調製し、感光性フィルムを作製した。該感光性組成物溶液及び感光性フィルムを用いて、実施例1と同様にして、特性評価を行った。結果を表3に示す。
【化76】

【0180】
(実施例31)
(D)酸発生剤として、表2に示すように、下記式で示されるD−12:(吸収極大波長:368nm)を0.3質量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物溶液を調製し、感光性フィルムを作製した。該感光性組成物溶液及び感光性フィルムを用いて、実施例1と同様にして、特性評価を行った。結果を表3に示す。
【化77】

【0181】
(実施例32)
(D)酸発生剤として、表2に示すように、下記式で示されるD−24:(吸収極大波長:354nm)を0.3質量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物溶液を調製し、感光性フィルムを作製した。該感光性組成物溶液及び感光性フィルムを用いて、実施例1と同様にして、特性評価を行った。結果を表3に示す。
【化78】

【0182】
(比較例1〜4)
(B)アルカリ可溶性樹脂として、表2に示すように、樹脂B−25〜B−28を15質量部用いたこと以外は以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物溶液を調製し、感光性フィルムを作製した。該感光性組成物溶液及び感光性フィルムを用いて、実施例1と同様にして、特性評価を行った。結果を表3に示す。
【0183】
(比較例5)
(B)アルカリ可溶性樹脂として、表2に示すように、樹脂B−29を15質量部用い、(D)光酸発生剤として、下記式D―25で示される化合物を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物溶液を調製し、感光性フィルムを作製した。該感光性組成物溶液及び感光性フィルムを用いて、実施例1と同様にして、特性評価を行った。結果を表3に示す。
【0184】
【化79】

【0185】
(比較例6)
(D)光酸発生剤として、表2に示すように、下記式で示されるD−26:Irgacure PAG203(吸収極大波長:280nm、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を0.3質量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物溶液を調製し、感光性フィルムを作製した。該感光性組成物溶液及び感光性フィルムを用いて、実施例1と同様にして、特性評価を行った。結果を表3に示す。
【化80】

前記D−11:Irgacure PAG203の光吸収特性チャートを、図4に示す。
【0186】
(比較例7)
実施例1において、表2に示すように、(B)ベンジル基、カルボキシル基及び水酸基を含有する樹脂、(C)架橋剤、及び(D)光酸発生剤を用いず、公知の光反応開始剤、即ち、下記構造式(1)で表される化合物1モルに対して、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニルクロリド2モルを反応させた光反応開始剤(以下、NQDと称する)15質量部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物溶液を調製し、感光性フィルムを作製した。該感光性組成物溶液及び感光性フィルムを用いて、実施例1と同様にして、特性評価を行った。結果を表3に示す。
【化81】

【0187】
(比較例8)
(D)酸発生剤として、表2に示すように、下記D−27:2−(4−n−ブトキシスチリル)−5−トリクロロメチル−1,3,4−オキサジアゾール(吸収極大波長:330nm)を0.3質量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物溶液を調製し、感光性フィルムを作製した。該感光性組成物溶液及び感光性フィルムを用いて、実施例1と同様にして、特性評価を行った。結果を表3に示す。
【化82】

【0188】
(比較例9)
(D)酸発生剤として、表2に示すように、下記D−28:2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−N,N−ジメチルアミノスチリル)−1,3,5−トリアジン(吸収極大波長:468nm)を0.3質量部用いたこと以外は、実施例1と同様にして、感光性組成物溶液を調製し、感光性フィルムを作製した。該感光性組成物溶液及び感光性フィルムを用いて、実施例1と同様にして、特性評価を行った。結果を表3に示す。
【化83】

【0189】
【表1】

表1において略称で記載した成分の正式名称は以下の通りである。
AA−GPE:3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピルアクリレート単位
MAA−GPE:3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート単位
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート単位
BzA:ベンジルアクリレート単位
BzMA:ベンジルメタクリレート単位
AA:アクリル酸単位
HPEMA:2−ヘキサヒドロフタロイルエチルメタクリレート単位
BA:n−ブチルアクリレート単位
i−BA:イソブチルアクリレート単位
【0190】
【表2】

【0191】
【表3】

【0192】
表3の結果より、(A)フェノール性水酸基含有樹脂、(B)ベンジル基、カルボキシル基及び水酸基を含有する樹脂、(C)酸により架橋する架橋剤、及び(D)波長350〜420nmに対して吸収極大を有する光酸発生剤を含有し、波長405nmにおける感度が、10〜100mJ/cmである感光性組成物を用いた実施例1〜32は、高感度で高解像度あり、保存安定性が良好で、メッキ耐性、バンプ形状、レジストパターンの剥離性にも優れ、高精細なバンプパターンを形成可能なことが判った。
【産業上の利用可能性】
【0193】
本発明の感光性組成物及び感光性フィルムは、高感度及び高解像度であり、保存安定性が良好で、かつ要求される諸性質が良好で、高精細なパターンを形成可能である。このため、プリント基板におけるバンプパターン、配線パターンなどのパターン形成用として特に好適に用いることができる。
本発明のパターン形成方法は、本発明の前記感光性組成物及び前記感光性フィルムを用いるため、特に、プリント基板における高精細なバンプパターン、配線パターンなどのパターンの形成に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0194】
【図1】図1は、Irgacure PAG103の光吸収特性チャートである。
【図2】図2は、Irgacure CGI1397の光吸収特性チャートである
【図3】図3は、Irgacure PAG108の光吸収特性チャートである。
【図4】図4は、Irgacure PAG203の光吸収特性チャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)フェノール性水酸基含有樹脂、(B)ベンジル基、カルボキシル基及び水酸基を含有する樹脂、(C)酸により架橋する架橋剤、及び(D)波長350〜420nmに対して吸収極大を有する光酸発生剤を含有し、波長405nmにおける感度が、10〜100mJ/cmであることを特徴とする感光性組成物。
【請求項2】
(B)ベンジル基、カルボキシル基及び水酸基を含有する樹脂のガラス転移温度(Tg)が、240〜300K(−33〜27℃)で、酸価が、50〜120mgKOH/gで、水酸基価が、70〜180mgKOH/gで、質量平均分子量が、10,000〜100,000のベンジル(メタ)アクリレート共重合体である請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項3】
(B)ベンジル基、カルボキシル基及び水酸基を含有する樹脂が、下記一般式(I)で表される共重合体である請求項1から2のいずれかに記載の感光性組成物。
【化1】

ただし、前記一般式(I)中、R、R、R、R、R、R、R、及びRは、独立に、水素原子及びメチル基のいずれかを表し、Rは、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、及び−CO−R12のいずれかを表し、R12は、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、ビニル基、置換ビニル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アリール基、及び置換アリール基のいずれかを表す。R10及びR11は、水素原子、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、及び置換アリール基のいずれかを表す。x、y、及びzは、各繰り返し単位のモル組成比を表し、x=0.05〜0.70、y=0.1〜0.3、z=0.2〜0.8であり、x+y+z=1である。
【請求項4】
(C)架橋剤が、メトキシメチル化メラミン樹脂、エトキシメチル化メラミン樹脂、プロポキシメチル化メラミン樹脂、ブトキシメチル化メラミン樹脂、及びメトキシメチル化グリコールウリル樹脂から選択される少なくとも1種である請求項1から3のいずれかに記載の感光性組成物。
【請求項5】
(D)光酸発生剤が、下記一般式(II−1)〜(II−4)で表されるオキシムスルホナート化合物である請求項1から4のいずれかに記載の感光性組成物。
【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

ただし、前記一般式(II−1)〜(II−4)中、nは、1〜2の整数を表し、Xは、−(CH)m−X、及び−CH=CHのいずれかを表し、Xは、エステル基、エーテル基、アミド基、イミド基、チオエーテル基、スルホキシド基、及びスルホナート基のいずれかを表す。mは、2〜6の整数を表す。nが1の場合、R及びRは、水素、及び有機基のいずれかを表し、nが2の場合、R及びRは、直接結合、及び二価の有機基のいずれかを表す。。X’は、直接結合及び二価の有機基のいずれかを表す。R、R、R及びRは、互いに異なっていても同一でもよく、水素及び有機置換基のいずれかを表し、また、R及びR、並びにR及びRのいずれかは、それぞれ一緒になって置換されてもよいベンゼン環及びマレイミド環のいずれかを形成してもよい。
【請求項6】
支持体と、該支持体上に請求項1から5のいずれかに記載の感光性組成物からなる感光層とを有することを特徴とする感光性フィルム。
【請求項7】
感光層の厚みが、5〜100μmである請求項6に記載の感光性フィルム。
【請求項8】
請求項1から5のいずれかに記載の感光性組成物により形成された感光層に対して、パターン露光し、現像することによりレジストパターンを形成し、該レジストパターンをマスクとしてメッキした後、レジストパターンを剥離することを含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項9】
バンプパターン及び配線パターンのいずれかを形成する請求項8に記載のパターン形成方法。
【請求項10】
請求項8から9のいずれかに記載のパターン形成方法により形成されたバンプ及び配線の少なくともいずれかを有することを特徴とするプリント基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−328090(P2007−328090A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−158389(P2006−158389)
【出願日】平成18年6月7日(2006.6.7)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】