説明

手動操作装置

【課題】異なる画像を同時に表示させることができる表示装置に用いられる手動操作装置であって、操作者の区別を実現しながらユーザの使い勝手の悪化を抑えた手動操作装置を提供する。
【解決手段】ドライバーが操作ユニット10を操作する際にのみ触れる位置にドライバー側センサ14を設け、パッセンジャーが操作ユニット10を操作する際に触れる位置にのみパッセンジャー側センサ15を設ける。そして、これらのセンサの検知結果に基づいて、操作ユニット10が何れの操作者によって操作されているのかを判定する。このため、ユーザが操作時に特別な操作を行う必要もなく、また、操作アイコンの表示上の制限も発生しないため、ユーザにとって使い勝手がよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示面に対する視認角度の違いにより異なる画像を同時に表示させることができる表示装置と組み合わせて用いる手動操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デュアルビューディスプレイと呼ばれる、表示面に対する視認角度の違いにより異なる二種類の画像を一つの表示面で同時に表示させることができる表示装置が知られている。
【0003】
このような表示装置を用いてナビゲーション装置を構成した場合、運転席側と助手席側とでそれぞれに適した画像を表示できて利便性が向上する。しかしながら、このように運転席側と助手席側とで異なった画像を表示させるようになっている場合には、画像の内容に対して行われた操作指令が、運転者によるものなのか助手席者によるものなのかを区別する必要がナビゲーション装置側に生ずる。この場合、運転者用の操作部と助手席者用の操作部とが区別されて設けられているのであれば、運転者用の操作部に入力された操作指令は運転者によるものと判定し、助手席者用の操作部に入力された操作指令は助手席者によるものと判定することができるため、操作者の区別は容易である。しかし、一般的に操作部の設置場所や設置可能面積に制限のある車室内においては、運転者用の操作部と助手席者用の操作部とを独立に設置することは難しい。
【0004】
そこで操作部を運転者と助手席者とで共用することを考える。すると、操作部に入力された指令が運転者によるものなのか、助手席者によるものなのかを何らかの方法によって判定する必要が生ずる。
【0005】
例えば、下記の特許文献1に記載の技術では、タッチパネル付きのデュアルビューディスプレイにおいて、視聴者A用の操作アイコンと、視聴者B用の操作アイコンとを表示位置が重ならないように表示させることによって、タッチパネルになされた操作が運転者によるものなのか助手席者によるものなのかを判別するようになっている。
【特許文献1】特開2005−284592号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記特許文献1に記載の技術では、操作アイコンの配置が制限されてしまうとともに、配置可能なアイコンの数も制限されてしまう。したがって、一種類の画像だけを表示させることができる通常のディスプレイと比較して、ユーザの使い勝手の悪化を招いてしまう。
【0007】
本発明はこのような問題にかんがみなされたものであり、このような異なる画像を同時に表示させることができる表示装置に用いられる手動操作装置であって、操作者の区別を実現しながらユーザの使い勝手の悪化を抑えた手動操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の手動操作装置は、第一の方向から視認することができる第一の画像と、前記第一の方向とは異なる第二の方向から視認することができる第二の画像とを同時に表示可能な表示装置と組み合わせて用いられる手動操作装置であって、手動操作部と、手動操作検知手段と、第一の接触検知手段と、第二の接触検知手段と、制御手段とを備える。
【0009】
手動操作部は、同一方向に向いて設置された二つの座席間に設けられ、これらの座席に着席した右座席者及び左座席者からの手動操作を受け付ける。また、手動操作検知手段は、手動操作部が受け付けた手動操作の内容を検知し、第一の接触検知手段は、左座席者の右手によって前記手動操作部が操作される場合には触れず、右座席者の左手によって手動操作部が操作される場合にその左手が触れる部位に設けられた接触検知手段であり、第二の接触検知手段は、右座席者の左手によって前記手動操作部が操作される場合には触れず、左座席者の右手によって手動操作部が操作される場合にその右手が触れる部位に設けられた接触検知手段である。
【0010】
そして、制御手段は、第一の接触検知手段が接触を検知した場合には、手動操作検知手段が検知した手動操作の内容を右座席者が行ったものとして所定の装置へ出力し、第二の接触検知手段が接触を検知した場合には、手動操作検知手段が検知した手動操作の内容を左座席者が行ったものとして所定の装置へ出力する。なお、ここで言う「所定の装置」というのは、例えば、ナビゲーション装置やオーディオ装置や空調装置等の装置であって、これらを制御するための情報が表示装置に表示される装置である。
【0011】
人の手の平は非対称の形状を有しているため、手動操作部を左手で操作する場合と右手で操作する場合とで接触箇所に違いが生じ、左手で手動操作部を操作する場合にしか触れない部位と右手で手動操作部を操作する場合にしか触れない部位とが存在する。本願発明者はその点に着目し、左手で手動操作部を操作する場合にしか触れない部位に第一の接触検知手段を設け、右手で手動操作部を操作する場合にしか触れない部位に第二の接触検知手段を設けるようにした。その結果、どちらの手によって手動操作部が操作されたかを判定することができ、表示装置に表示させる操作アイコンの配置が制限を受ける等の使い勝手の悪化も招かない。
【0012】
第一の接触検知手段及び第二の接触検知手段は、右座席者及び左座席者(以下、「操作者」とも言う。)の手の接触有無のみを検知できるようになっていてもよいが、接触圧を検知できるようになっているとよい。そして、制御手段は、第一の接触検知手段が所定以上の接触圧を検知した場合には、手動操作検知手段が検知した手動操作の内容を右座席者が行ったものとして所定の装置へ出力し、第二の接触検知手段が所定以上の接触圧を検知した場合には、手動操作検知手段が検知した手動操作の内容を左座席者が行ったものとして所定の装置へ出力するようになっているとよい(請求項2)。ここで言う「所定以上の接触圧」というのは、操作動作又は操作準備動作に準ずる程度の接触圧であり、操作者が手動操作部を操作する目的で接触している(又は握っている)と判断できる程度の接触圧を意味し、単に触れている程度の接触圧ではない接触圧を意味する。
【0013】
このようになっていれば、より正確に左右どちらの手によって手動操作部が操作されたのかを判定することができ、操作者の区別が正確に行われる。
また、操作者の手の形状や操作方法によっては、第一の接触検知手段と第二の接触検知手段とが共に接触を検知してしまう場合も考えられる。しかし、通常、操作者は座席から操作部に手を近づけていき操作部に触れて操作を開始するため、最初に操作者側に設けられた接触検知部が接触を検知すると考えられる。したがって、手動操作装置は、請求項3に記載のように構成されていてもよい。つまり、第一の接触検知手段は、手動操作部の右座席者側に設けられており、第二の接触検知手段は、手動操作部の左座席者側に設けられており、制御手段は、第一の接触検知手段が接触を検知した後に、第二の検知手段が接触を検知したとしても、手動操作検知手段が検知した手動操作の内容を右座席者が行ったものとして所定の装置へ出力し、第二の接触検知手段が接触を検知した後に、第一の接触検知手段が接触を検知したとしても、手動操作検知手段が検知した手動操作の内容を左座席者が行ったものとして所定の装置へ出力するようになっていてもよい。
【0014】
このようになっていれば、より正確に左右どちらの手によって手動操作部が操作されたのかを判定することができ、操作者の区別が正確に行われる。
また、例えば、右座席者が左手で手動操作装置を操作している際、一時的に、第一の接触検知手段から手が離れ、第二の接触検知手段に手が触れてしまう場合が考えられる。この場合、手動操作部の操作内容を左座席者が行ったものとして扱っては不都合である。したがって、一定時間は、操作者を固定して扱うようになっているとよい。つまり、請求項4に記載のように、制御手段は、手動操作検知手段が検知した手動操作の内容を右座席者及び左座席者が行ったものとして所定の装置へ出力を開始した後、一定時間は、第一の接触検知手段又は第二の接触検知手段の検知結果にかかわらず、同じ者が行ったものとして手動操作検知手段が検知した手動操作の内容を所定の装置へ出力するようになっているとよい。なお、ここで言う「一定時間」というのは、操作者が一通りの操作を終える程度の時間を意味し、例えば、10秒や30秒等の時間が適切だと考えられる。
【0015】
このようになっていれば、より使い勝手が向上する。
ところで、上述した手動操作装置は、さらに、カーソルが描画されたカーソル画像を生成可能なカーソル画像生成手段を備えているとよい。そして、制御手段は、手動操作検知手段が検知した手動操作の内容に応じた位置にカーソルが存在するようにカーソル画像をカーソル画像生成手段に生成させ、表示装置が表示する第一の画像又は第二の画像のうち、手動操作部を操作したと判断した者が視認可能な方の画像にカーソル画像を重畳表示させるようになっているとよい(請求項5)。
【0016】
このようになっていれば、操作者は自身の操作として手動操作装置に判断されていることを知ることができるため、操作者は安心して手動操作装置を操作することができる。
また、手動操作部は、所定位置への戻り特性を有しているとよい(請求項6)。戻り特性を有していれば、操作者が操作時に戻り特性に反する力を手動操作部に与えなければならないため、より強く手動操作部を操作することになる。したがって、より正確に左右どちらの手によって主導操作部が操作されたのかを判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明が適用された実施形態について図面を用いて説明する。尚、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
【0018】
[構成の説明]
図1は、実施形態の車両操作システム5の概略構成を示すブロック図である。車両操作システム5は、操作ユニット10と、ディスプレイユニット20と、ナビゲーションユニット30とオーディオユニット40と、テレビユニット50とを備える。
【0019】
操作ユニット10は、位置センサ12と、決定ボタンセンサ13と、ドライバー側センサ14と、パッセンジャー側センサ15と、検出部16とを備え、各センサは検出部16に接続されている。
【0020】
操作ユニット10は、一般的な右ハンドルの乗用車における右前席と左前席の間であって、右前席の着席者(以下、「ドライバー」とも言う。)が左手を伸ばして操作することができる場所、かつ、左前席の着席者(以下、「パッセンジャー」とも言う。)が右手を伸ばして操作することができる場所に設置されている。なお、左ハンドルの乗用車であってももちろん良い(その場合は、以下の説明においてドライバーとパッセンジャーとを入れ替え読めばよい。)。
【0021】
次に操作ユニット10の形状について図2の模式図を用いて説明する。図2(a)は、車室内において車両上方から操作ユニット10を見た場合の模式図であり、図2(b)は、車室内において車両後方から操作ユニット10を見た場合の模式図である。
【0022】
操作ユニット10は、ドライバー及びパッセンジャーが手で握ることができる程度の大きさの略半球形状を有し、その半球の切断面が車両底面に平行になるよう、また、凸部側が車室内側に突出するように配置されている。なお、操作ユニット10は、ドライバー及びパッセンジャーが操作することにより、車両底面に対して平行に移動させることができるようになっている。また、操作ユニット10には、初期位置に戻るようにバネ等によって力が与えられており、ドライバー及びパッセンジャーが手を離せば、初期位置に戻るようになっている。
【0023】
また、操作ユニット10の車両前側には、決定ボタン11が設けられており、ドライバー及びパッセンジャーが操作ユニット10を握った状態で押下可能になっている。
また、操作ユニット10の車両右側の側面には、ドライバー側センサ14が設けられており、ドライバーが操作ユニット10を握った際には左手の親指がドライバー側センサ14に触れるようになっている。なお、ドライバー側センサ14は、パッセンジャーが操作ユニット10を握った際には触れない位置に設けられている。
【0024】
また、操作ユニット10の車両左側側面には、パッセンジャー側センサ15が設けられており、パッセンジャーが操作ユニット10を握った際には右手の親指がパッセンジャー側センサ15に触れるようになっている。なお、パッセンジャー側センサ15は、ドライバーが操作ユニット10を握った際には触れない位置に設けられている。
【0025】
説明を図1に戻し、位置センサ12は、操作ユニット10の移動位置を検知するセンサである。したがって、この位置センサ12の検知結果により、操作ユニット10に対するドライバー又はパッセンジャーによる操作状態を把握することができる。
【0026】
ドライバー側センサ14は、上述したように、ドライバーが操作ユニット10を握った際に触れる位置に設けられた圧力検知センサである。
パッセンジャー側センサ15は、上述したように、パッセンジャーが操作ユニット10を握った際に触れる位置に設けられた圧力検知センサである。
【0027】
検出部16は、マイクロコンピュータ等から構成され、位置センサ12,決定ボタンセンサ13,ドライバー側センサ14,パッセンジャー側センサ15からの検知情報をデジタルデータに変換し、ディスプレイユニット20に送信する機能を有する。
【0028】
一方、ディスプレイユニット20は、メモリ21と、表示部22と、制御部23とを備える。
メモリ21は、ROM及びRAMから構成されている。ROMにはプログラムや制御データが記憶されている。RAMはプログラム実行時に一時的なデータ格納領域として用いられる。
【0029】
表示部22は、表示面に対する視認角度の違いにより異なる二種類の画像を同時に表示させることができる画像表示パネルである。
制御部23は、マイクロコンピュータ等から構成されている。制御部23は、メモリ21に記憶されたプログラムを実行することによって後述する操作振分処理を実行するとともに、ナビゲーションユニット30,オーディオユニット40,テレビユニット50から映像情報を入力して表示部22に表示させる機能を担う。なお、制御部23は、操作振分処理を実行する際には、操作ユニット10から受け取る各種センサの検知結果を利用する。
【0030】
ナビゲーションユニット30は、周知の車両用ナビゲーションユニットであり、地図情報等をディスプレイユニット20へ出力する。
オーディオユニット40は、周知の車両用オーディオユニットであり、音量調整、音質調整、選曲等のオーディオユニットの調整に必要な情報をディスプレイユニット20へ出力する。
【0031】
テレビユニット50は、周知の車両用テレビ受信回路を有するテレビユニットであり、受信して復調したテレビ映像情報をディスプレイユニット20へ出力する。
[動作の説明]
次に、ディスプレイユニット20の制御部23が実行する操作振分処理について図3のフローチャートを用いて説明する。なお、操作振分処理はディスプレイユニット20への電力供給が開始された際に実行が開始される。
【0032】
制御部23は、操作振分処理の実行を開始すると、まずドライバー側センサ14によって手の接触が検知されたか否かを判定する(S105)。この判定ステップでは、ドライバー側センサ14が所定値以上の接触圧を検知した場合、「手の接触が検知された」とする。ここで言う「所定値以上の接触圧」というのは、操作動作又は操作準備動作に準ずる程度の接触圧であり、操作者が操作ユニット10を操作する目的で握っていると判断できる程度の接触圧を意味し、単に触れている程度の接触圧ではない接触圧を意味する。なお、この判定ステップにおいて「手の接触が検知された」と判定したということは、ドライバーが操作ユニット10を握ったと判定したことになる。また、この判定ステップは、処理時間が無視できる程度の時間で実行される。
【0033】
S105において、ドライバー側センサ14により手の接触が検知されたと判定した場合は(S105:Yes)、S140へ処理を移行し、ドライバー側センサ14により手の接触が検知されていないと判定した場合は(S105:No)、S110へ処理を移行する。
【0034】
ドライバー側センサ14により手の接触が検知されていないと判定した場合に進むS110では、パッセンジャー側センサ15により手の接触が検知されたか否かを判定する。この判定ステップでは、パッセンジャー側センサ15により所定値以上の接触圧が検知された場合、「手の接触が検知された」とする。ここで言う「所定値以上の接触圧」というのは、操作動作又は操作準備動作に準ずる程度の接触圧であり、操作者が操作ユニット10を操作する目的で握っていると判断できる程度の接触圧を意味し、単に触れている程度の接触圧ではない接触圧を意味する。なお、この判定ステップにおいて「手の接触が検知された」と判定したということは、パッセンジャーが操作ユニット10を握ったと判定したことになる。また、この判定ステップは、処理時間が無視できる程度の時間で実行される。つまり、ディスプレイユニット20の制御部23は、ドライバー側センサ14により手の接触が検知されたか否か、パッセンジャー側センサ15により手の接触が検知されたか否かを交互に判定するようになっている(S105,S110)。そして、この判定にかかる処理時間は無視できる程度である。したがって、ディスプレイユニット20の制御部23は、操作者が操作ユニット10を最初に触れた側(ドライバー側なのかパッセンジャー側なのか)を特定していると言える。
【0035】
S110において、パッセンジャー側センサ15により手の接触が検知されたと判定した場合は(S110:Yes)、S115へ処理を移行し、パッセンジャー側センサ15により手の接触が検知されていないと判定した場合は(S110:No)、S105へ処理を戻す。
【0036】
パッセンジャー側センサ15により手の接触が検知されたと判定した場合に進むS115では、パッセンジャー側画面にカーソルを表示する。ここで、図4を用いて、カーソルが表示された画面について説明する。
【0037】
画面201は、パッセンジャーに見える画面である。画面201内には、操作アイコンA〜Dが表示されており、カーソル205が表示されている。一方、画面203は、ドライバーに見える画面である。画面203内には、操作アイコンA’〜D’が表示されているが、カーソルは表示されていない。つまり、パッセンジャーに見える画面にのみカーソル205が表示されている。なお、操作アイコンA〜Dと操作アイコンA’〜D’とは、表示部22においてそれぞれの操作アイコンが画面構成上同じ位置に表示されている。
【0038】
説明を図3に戻し、制御部23は、続いて操作ユニット10が操作されたか否かを判定する(S120)。この判定ステップでは、操作ユニット10の位置センサ12,決定ボタンセンサ13,パッセンジャー側センサ15が検出した検出結果を利用して判定を行う。具体的には、操作ユニット10の位置センサ12が操作ユニット10の移動を検知した場合、「操作ユニット10は操作された」と判定し、操作ユニット10の移動を検知していない場合、「操作ユニット10は操作されていない」と判定する。決定ボタンセンサ13及びパッセンジャー側センサ15の場合についても同様である。
【0039】
このS120において、「操作ユニット10は操作された」と判定した場合は(S120:Yes)、S125へ処理を移行し、「操作ユニット10は操作されていない」と判定した場合は(S120:No)、S130へ処理を移行する。
【0040】
「操作ユニット10は操作された」と判定した場合に進むS125では、操作ユニット10に対する操作情報に基づいてカーソルを移動させるとともに操作情報を外部ユニット(ナビゲーションユニット30,オーディオユニット40,テレビユニット50)へ出力する。ここで言う「操作情報」というのは、位置センサ12及び決定ボタンセンサ13からの情報である。その後、制御部23は、S130へ処理を移行させる。
【0041】
S130では、最後の操作から一定時間経過か否かを判定する。これは、上述した操作情報に基づいて判定する。なお、「一定時間」というのは、操作者が一通りの操作を終える程度の時間を意味し、例えば、10秒や30秒等の時間が適切だと考えられる。
【0042】
S130において、最後の操作から一定時間経過したと判定した場合は(S130:Yes)、S135へ処理を移行し、最後の操作から一定時間経過していないと判定した場合は(S130:No)、S120へ処理を戻す。
【0043】
最後の操作から一定時間経過したと判定した場合に進むS135では、パッセンジャー側画面からカーソルを消去する。そして、S105へ処理を戻す。
S105においてドライバー側センサ14により手の接触が検知されたと判定した場合に進むS140では、ドライバー側画面にカーソルを表示する。
【0044】
続いて、制御部23は、操作ユニット10が操作されたか否かを判定する(S145)。この判定ステップでは、操作ユニット10の位置センサ12,決定ボタンセンサ13,ドライバー側センサ14が検出した検出結果を利用して判定を行う。具体的には、操作ユニット10の位置センサ12が操作ユニット10の移動を検知した場合、「操作ユニット10は操作された」と判定し、操作ユニット10の移動を検知していない場合、「操作ユニット10は操作されていない」と判定する。決定ボタンセンサ13及びドライバー側センサ14の場合についても同様である。
【0045】
このS145において、「操作ユニット10が操作された」と判定した場合は(S145:Yes)、S150へ処理を移行し、「操作ユニット10は操作されていない」と判定した場合は(S145:No)、S155へ処理を移行する。
【0046】
「操作ユニット10は操作された」と判定した場合に進むS150では、操作情報に基づいてカーソルを表示させるとともに操作情報を外部ユニットへ出力する。ここで言う「操作情報」というのは、位置センサ12及び決定ボタンセンサ13からの情報である。その後、制御部23は、S155へ処理を移行させる。
【0047】
「操作ユニット10は操作されていない」と判定した場合に進むS155では、最後の操作から一定時間経過したか否かを判定する。最後の操作から一定時間経過したと判定した場合は(S155:Yes)、S160へ処理を移行し、最後の操作から一定時間経過していないと判定した場合は(S155:No)、S145へ処理を戻す。
【0048】
最後の操作から一定時間経過したと判定した場合に進むS160では、ドライバー側画面からカーソルを消去する。そして、S105へ処理を戻す。
[実施形態の効果]
次に上記実施形態の効果について説明する。上記実施形態の車両操作システム5は、ドライバーが左手で操作ユニット10を操作する場合にしか触れない部位にドライバー側センサ14が設けられ、パッセンジャーが右手で操作ユニット10を操作する場合にしか触れない部位にパッセンジャー側センサ15が設けられているため、いずれの操作者によって操作ユニット10が操作されたかを判定することができる。したがって、従来のものとは異なり、表示部22に表示させる操作アイコンの配置が制限を受ける等の使い勝手の悪化を招かない。
【0049】
また、ディスプレイユニット20の制御部23は、ドライバー側センサ14又はパッセンジャー側センサ15によって所定値以上の接触圧が検知された場合にのみ、手の接触が検知されたと判断するようになっている(S105,S110)。したがって、軽く触っただけのような所定値以下の接触圧でセンサに触れた場合にはそれを無視するため、操作者の区別を正確に行うことができる。
【0050】
また、通常、操作者は座席から操作ユニット10に手を近づけていき操作ユニット10に触れて操作を開始するため、操作者は自身の側に設けられたセンサに最初に触れると考えられる。ディスプレイユニット20の制御部23は、この「最初」という点も加味して、操作者を判定するようになっている(S105,S110)。したがって、車両操作システム5は、操作者の区別の精度は従来のものよりも高いと言える。
【0051】
また、ディスプレイユニット20の制御部23は、一度、操作者の区別をした後は一定時間、操作者を変更しないように動作を行う(S130,S155)。したがって、例えば、ドライバーが操作ユニット10を操作していて、一時的に、パッセンジャー側センサ15を触れてしまったとしても、制御部23は、操作者をドライバーからパッセンジャーに変更しない。よって、操作者は操作時にセンサの存在を意識しなくてよいため、使い勝手がよい。
【0052】
また、ディスプレイユニット20の制御部23は、ドライバーが操作ユニット10を操作していると判定した場合には(S105:Yes)、ドライバー側の画面にカーソルを表示させ(S140)、パッセンジャーが操作ユニット10を操作していると判定した場合には(S110:Yes)、パッセンジャー側の画面にカーソルを表示させるようになっている(S115)。
【0053】
したがって、操作者は操作ユニット10に対する操作が自身の操作として車両操作システム5に認識されていることを知ることができるため、操作者は安心して操作ユニット10を操作することができる。
【0054】
また、操作ユニット10は、初期位置に戻るように力が与えられているため、操作者が操作時に戻り特性に反する力を操作ユニット10に与えなければならない。したがって、このような力が与えられていない場合と比較して操作者は操作ユニット10を強く握らなければならないため、結果として、ディスプレイユニット20の制御部23は正確に操作者を判定することができる。
【0055】
[特許請求の範囲との対応]
次に上記実施形態で用いた用語と、特許請求の範囲で用いた用語との対応を示す。
ディスプレイユニット20の表示部22が表示装置に相当し、操作ユニット10が手動操作装置に相当し、位置センサ12が手動操作検知手段に相当する。また、ドライバー側センサ14が第一の接触検知手段に相当し、パッセンジャー側センサ15が第二の接触検知手段に相当し、ディスプレイユニット20の制御部23が制御手段に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】車両操作システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】操作ユニットを説明するための模式図である。
【図3】操作振分処理を説明するためのフローチャートである。
【図4】カーソルが表示された様子を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0057】
5…車両操作システム、10…操作ユニット、11…決定ボタン、12…位置センサ、13…決定ボタンセンサ、14…ドライバー側センサ、15…パッセンジャー側センサ、16…検出部、20…ディスプレイユニット、21…メモリ、22…表示部、23…制御部、30…ナビゲーションユニット、40…オーディオユニット、50…テレビユニット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の方向から視認することができる第一の画像と、前記第一の方向とは異なる第二の方向から視認することができる第二の画像とを同時に表示可能な表示装置と組み合わせて用いられる手動操作装置であって、
同一方向に向いて設置された二つの座席間に設けられ、これらの座席に着席した右座席者の左手及び左座席者の右手による操作を受け付ける手動操作部と、
前記手動操作部が受け付けた手動操作の内容を検知する手動操作検知手段と、
左座席者の右手によって前記手動操作部が操作される場合には触れず、右座席者の左手によって前記手動操作部が操作される場合にその左手が触れる部位に設けられた第一の接触検知手段と、
右座席者の左手によって前記手動操作部が操作される場合には触れず、左座席者の右手によって前記手動操作部が操作される場合にその右手が触れる部位に設けられた第二の接触検知手段と、
前記第一の接触検知手段が接触を検知した場合には、前記手動操作検知手段が検知した手動操作の内容を右座席者が行ったものとして所定の装置へ出力し、前記第二の接触検知手段が接触を検知した場合には、前記手動操作検知手段が検知した手動操作の内容を左座席者が行ったものとして所定の装置へ出力する制御手段と、
を備えることを特徴とする手動操作装置。
【請求項2】
請求項1に記載の手動操作装置において、
前記第一の接触検知手段及び前記第二の接触検知手段は、接触圧を検知することができ、
前記制御手段は、前記第一の接触検知手段が所定以上の接触圧を検知した場合には、前記手動操作検知手段が検知した手動操作の内容を右座席者が行ったものとして所定の装置へ出力し、前記第二の接触検知手段が所定以上の接触圧を検知した場合には、前記手動操作検知手段が検知した手動操作の内容を左座席者が行ったものとして所定の装置へ出力すること、
を特徴とする手動操作装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の手動操作装置において、
前記第一の接触検知手段は、前記手動操作部の右座席者側に設けられており、
前記第二の接触検知手段は、前記手動操作部の左座席者側に設けられており、
前記制御手段は、
前記第一の接触検知手段が接触を検知した後に、前記第二の検知手段が接触を検知したとしても、前記手動操作検知手段が検知した手動操作の内容を右座席者が行ったものとして所定の装置へ出力し、
前記第二の接触検知手段が接触を検知した後に、前記第一の接触検知手段が接触を検知したとしても、前記手動操作検知手段が検知した手動操作の内容を左座席者が行ったものとして所定の装置へ出力すること、
を特徴とする手動操作装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れかに記載の手動操作装置において、
前記制御手段は、前記手動操作検知手段が検知した手動操作の内容を右座席者及び左座席者が行ったものとして所定の装置へ出力を開始した後、一定時間は、前記第一の接触検知手段又は前記第二の接触検知手段の検知結果にかかわらず、同じ者が行ったものとして前記手動操作検知手段が検知した手動操作の内容を所定の装置へ出力すること、
を特徴とする手動操作装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れかに記載の手動操作装置において、
さらに、カーソルが描画されたカーソル画像を生成可能なカーソル画像生成手段を備え、
前記制御手段は、前記手動操作検知手段が検知した手動操作の内容に応じた位置にカーソルが存在するようにカーソル画像を前記カーソル画像生成手段に生成させ、前記表示装置が表示する前記第一の画像又は前記第二の画像のうち、前記手動操作部を操作したと判断した者が視認可能な方の画像に前記カーソル画像を重畳表示させること、
を特徴とする手動操作装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5の何れかに記載の手動操作装置において、
前記手動操作部は、所定位置への戻り特性を有していること、
を特徴とする手動操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−120134(P2008−120134A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−303106(P2006−303106)
【出願日】平成18年11月8日(2006.11.8)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】